【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態における部品実装装置の要部斜視図
【図2】本発明の一実施の形態における部品実装装置の要部側面図
【図3】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるトレイフィーダの斜視図
【図4】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるトレイフィーダが備えるマガジンをこれに収納されるパレットおよびトレイとともに示す斜視図
【図5】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるトレイフィーダのパレット支持テーブルの構成を示す側面図
【図6】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるトレイフィーダの動作を説明する側面図
【図7】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるトレイフィーダの動作を説明する側面図
【図8】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える搭載ヘッドの正面図
【図9】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるノズル交換台の動作を説明する斜視図
【図10】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるノズル交換台の動作を説明する平面図
【図11】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるノズル交換台の斜視図
【図12】本発明の一実施の形態における部品実装装置の制御系統を示すブロック図
【図13】本発明の一実施の形態における部品実装装置が第1の運転モードで実行する場合のパレットセット動作の流れを示すフローチャート
【図14】本発明の一実施の形態における部品実装装置が第1の運転モードで実行する場合のパレット収納動作の流れを示すフローチャート
【図15】本発明の一実施の形態における部品実装装置が第1の運転モードで実行する場合のシャッタユニットの開動作の流れを示すフローチャート
【図16】本発明の一実施の形態における部品実装装置が第1の運転モードで実行する場合のシャッタユニットの閉動作の流れを示すフローチャート
【図17】本発明の一実施の形態における部品実装装置が第2の運転モードで実行する場合のパレットセット動作の流れを示すフローチャート
【図18】本発明の一実施の形態における部品実装装置が第2の運転モードで実行する場合のパレット収納動作の流れを示すフローチャート
【図19】本発明の一実施の形態における部品実装装置が第2の運転モードで実行する場合のシャッタユニットの開動作の流れを示すフローチャート
【図20】本発明の一実施の形態における部品実装装置が第2の運転モードで実行する場合のシャッタユニットの閉動作の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態としての部品実装装置1を示している。部品実装装置1は基板KBに部品BHを搭載することで実装基板を生産する装置であり、産業用機械装置の一例を示すものである。ここでは説明の便宜上、基板KBの搬送方向(作業者OPから見た左右方向)をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平方向(作業者OPから見た前後方向)をY軸方向とする。また、上下方向をZ軸方向とする。
【0010】
図1において、部品実装装置1は、基台11、基板搬送コンベア12、トレイフィーダ13、ヘッド移動機構14、搭載ヘッド15、ノズル交換台16、タッチパネル17等を備えている。基板搬送コンベア12は基台11上をX軸方向に延びており、部品実装装置1の外部から送られてきた基板KBを受け取ってX軸方向に搬送して所定の作業位置に位置決めする。
【0011】
トレイフィーダ13は、設定された部品供給位置13K(図2)に部品BHを供給する装置である。トレイフィーダ13は、図2および図3(a),(b)に示すように、基台11に連結される台車21上にマガジン22とパレット移動機構23を備えている。マガジン22内には複数のパレット収納部22Hが形成されており、これら複数のパレット収納部22Hのそれぞれには、パレット31が水平方向に挿抜自在に収納されている。各パレット31にはトレイ32が保持されており、トレイ32には複数の部品BHが整列状態に並べられている(図4(a),(b))。
【0012】
図2および図3(a),(b)において、パレット移動機構23は、パレット支持テーブル41とパレット支持テーブル41を昇降させるパレット昇降機構42を有している。パレット昇降機構42は台車21から上方に延びて設けられた左右の垂直支柱42aと左右の垂直支柱42aの間をZ軸方向に延びたテーブル移動用ボール螺子42bを有している。テーブル移動用ボール螺子42bにはブロックナット42cが螺合しており、パレット支持テーブル41はブロックナット42cに結合されている。
【0013】
図2および図3(a),(b)において、台車21上には昇降モータ42dが設けられており、テーブル移動用ボール螺子42bは昇降モータ42dによって回転される。昇降モータ42dがテーブル移動用ボール螺子42bを回転させると、ブロックナット42cがテーブル移動用ボール螺子42b上を上下方向に移動し、これによりパレット支持テーブル41が台車21に対して昇降する(図2および図3(b)中に示す矢印A)。従って、昇降モータ42dによるテーブル移動用ボール螺子42bの回転制御(回転方向と回転数の制御)を行うことで、パレット支持テーブル41を所望の高さに位置させることが可能である。昇降モータ42dには、エンコーダ付きのモータやサーボモータ等が使用される。
【0014】
図2において、部品供給位置13Kは、最上段に位置するパレット収納部22Hの上方の位置に設定されている。部品供給位置13Kは、複数のパレット収納部22Hのいずれかから引き出したパレット31内の部品BHを部品供給位置13Kに供給するときの目標位置であり、パレット31を昇降させるアクチュエータとしての昇降モータ42dにとっての動作完了位置に相当する。
【0015】
図2において、台車21にはテーブル検出センサ43が設けられている。テーブル検出センサ43は例えば光センサから成り、部品供給位置13Kに位置した状態のパレット支持テーブル41を検出する。このように本実施の形態において、テーブル検出センサ43は、アクチュエータ(昇降モータ42d)によって可動部(パレット支持テーブル41)が動作完了位置に変位したことを検出する可動部検出部となっている。
【0016】
図3(b)において、パレット支持テーブル41の上面には、X軸方向に延びた係止ロッド44が設けられている。係止ロッド44はパレット支持テーブル41上でY軸方向に移動自在となっている(図3(b)中に示す矢印B)。
【0017】
図5に示すように、パレット支持テーブル41内には、パレット操作モータ45と、パレット操作モータ45によって駆動されるロッド移動機構46が設けられている。ロッド移動機構46は、パレット操作モータ45の上方にY軸方向に延びて設けられたロッド移動用ボール螺子46a、ロッド移動用ボール螺子46aに螺合したナットブロック46b、ナットブロック46bに取り付けられて係止ロッド44を支持するロッド支持部材46cを備えている。
【0018】
また、ロッド移動機構46は、パレット操作モータ45の駆動軸45Jに取り付けられた駆動プーリ46d、ロッド移動用ボール螺子46aに連結された従動プーリ46eおよび駆動プーリ46dと従動プーリ46eに掛け渡されたベルト部材46fを備えている。パレット操作モータ45が駆動軸45Jを回転させるとその回転力が駆動プーリ46d、ベルト部材46fおよび従動プーリ46eを経てロッド移動用ボール螺子46aに伝えられ、ロッド移動用ボール螺子46aはパレット操作モータ45の駆動軸45Jの回転方向に応じた方向に、駆動軸45Jの回転量に応じた回転量で回転する。
【0019】
ナットブロック46bはロッド移動用ボール螺子46aに貫通されているとともに、ロッド移動用ボール螺子46aの軸線(Y軸)回りの回動が規制された状態となっている。このためナットブロック46bは、ロッド移動用ボール螺子46aが回転すると、ロッド移動用ボール螺子46aの回転方向に応じて、パレット支持テーブル41上を、パレット支持テーブル41の後側(作業者OPから離れる側)或いは前側(作業者OPに近づく側)へ、その姿勢を変えることなく移動する。そして、このナットブロック46bの後側あるいは前側への移動により、ロッド支持部材46cに支持された係止ロッド44は、ナットブロック46bと一体となって、パレット支持テーブル41上を後側或いは前側へ移動する。パレット操作モータ45の駆動軸45Jの回転量は、パレット操作モータ45が備えるエンコーダによって検出されるようになっている。
【0020】
係止ロッド44は、上記のようにしてパレット支持テーブル41上をY軸方向に移動することで、パレット収納部22H内のパレット31を引き出してパレット支持テーブル41に載せるパレット引出し動作と、パレット支持テーブル41に載せたパレット31をパレット収納部22Hに収納するパレット収納動作とを行う。パレット引出し動作は、これから引き出そうとするパレット31が収納されているパレット収納部22Hの高さにパレット支持テーブル41を移動させて行い、パレット収納動作は、これからパレット31を収納させようとするパレット収納部22Hの高さにパレット支持テーブル41を移動させて行う。
【0021】
図5において、パレット支持テーブル41に内には、引出し完了センサ47と収納完了センサ48が設けられている。引出し完了センサ47は、パレット収納部22Hから引き出されたパレット31がパレット支持テーブル41上に完全に引き出されたときの係止ロッド44の位置(引出し完了位置)に係止ロッド44が位置した状態を検出(直接的にはナットブロック46bを検出)する。収納完了センサ48は、パレット支持テーブル41上のパレット31がパレット収納部22H内に完全に収納されたときの係止ロッド44の位置(収納完了位置)に係止ロッド44が位置した状態を検出(直接的にはナットブロック46bを検出)する。
【0022】
パレット引出し動作では、係止ロッド44が引出し完了位置に位置した状態を引出し完了センサ47が検出することで、パレット支持テーブル41上にパレット31が完全に引き出された状態が検知される。一方、パレット収納動作では、係止ロッド44が収納完了位置に位置した状態を収納完了センサ48が検出することで、パレット31がパレット収納部22Hに完全に収納された状態が検知される。このように本実施の形態において、引出し完了センサ47および収納完了センサ48は、パレット支持テーブル41上でパレット31を移動させる係止ロッド44が動作完了位置(引出し完了位置または収納完了位置)に変位したことを検出する可動部検出部となっている。
【0023】
トレイフィーダ13は、パレット収納部22Hからパレット31を引き出して部品供給位置13Kに供給する場合には、昇降モータ42dを作動させてパレット支持テーブル41を昇降させ、パレット支持テーブル41を目的とするパレット収納部22Hの高さに移動させる。そして、係止ロッド44をパレット支持テーブル41の後側(作業者OPから離れる側)に移動させ、係止ロッド44を収納完了位置に位置させる。これにより係止ロッド44の両端部がパレット31の2つの係止部31aに係止したら(図4(a)→図4(b))、係止ロッド44をパレット支持テーブル41の前側(作業者OPに近づく側)に移動させ、パレット31をパレット収納部22Hから引き出して(図6(a)中に示す矢印B1)、パレット31をパレット支持テーブル41に載せる。パレット31がパレット支持テーブル41に載ったら昇降モータ42dを作動させ、パレット支持テーブル41を部品供給位置13Kの高さまで上昇させる(図6(b)。図中に示す矢印A1)。
【0024】
トレイフィーダ13は、部品供給位置13Kに位置させたパレット31をマガジン22内に収納する(戻す)場合には、昇降モータ42dを作動させてパレット支持テーブル41を下降させ(図7(a)中に示す矢印A2)、パレット31を目的とするパレット収納部22Hの高さの位置に位置させる(図7(a))。そして、係止ロッド44を後側(作業者OPから離れる側)に移動させることによって、パレット支持テーブル41上のパレット31をマガジン22側に押し出し(図7(b)中に示す矢印B2)、パレット収納部22Hに収納する(図7(b))。
【0025】
図1において、ヘッド移動機構14は、Y軸方向に延びた固定ビーム14a、X軸方向に延びた可動ビーム14bおよび可動ビーム14b上に設けられた移動プレート14cを備えている。可動ビーム14bは固定ビーム14aに沿ってY軸方向に移動し、移動プレート14cは可動ビーム14bに沿ってX軸方向に移動する。搭載ヘッド15は移動プレート14cに取り付けられており、可動ビーム14bがY軸方向に移動し、移動プレート14cがX軸方向に移動することで、基台11の上方をXY面内(水平面内)方向に移動する(図2中に示す矢印C)。
【0026】
図8において、搭載ヘッド15は下方に延びた複数のノズル取付け軸51を備えている。各ノズル取付け軸51の下端にはノズル52が着脱自在に取り付けられている。ノズル52はノズル取付け軸51の下端に着脱される着脱部52aと、着脱部52aから下方に延びた管部52bと、着脱部52aと管部52bの間に設けられた円盤状の鍔部52cとを有している。ノズル取付け軸51の内部には負圧供給路が形成されており、その負圧供給路内に負圧が供給されると、ノズル52の管部52bの下端に真空吸着力が発生する。
【0027】
搭載ヘッド15は、ノズル取付け軸51を昇降させるノズル取付け軸昇降部15aを備えている(図8)。ノズル取付け軸昇降部15aはノズル取付け軸51ごとに設けられている。ノズル取付け軸昇降部15aによってノズル取付け軸51を昇降させることにより、ノズル取付け軸51に装着されたノズル52で部品を搭載する作業や、ノズル取付け軸51に装着されるノズル52の交換作業を行う。
【0028】
図1において、ノズル交換台16は基台11上に設けられている。ノズル交換台16は、図9(a),(b)および図10(a),(b)に示すように、交換用の複数のノズル52を保持することができる。
【0029】
図9(a),(b)、図10(a),(b)および図11において、ノズル交換台16は、ベース部61、シャッタユニット62、切替えシリンダ63および切替え位置センサ64を備えている。ベース部61は基台11上に取り付けられており、マトリクス状に配置された複数のノズル挿入孔61Hを備えている。
【0030】
図11において、各ノズル挿入孔61Hは、上面に開口した円孔から成る。各ノズル挿入孔61Hの内径は、ノズル52の管部52bの外径よりも大きく、かつ、鍔部52cの外径よりも小さい寸法を有している。
【0031】
図9(a),(b)、図10(a),(b)および図11において、シャッタユニット62は、矩形平板状の部材から成るシャッタ板62Tを上部に有している。シャッタユニット62はその全体が、ベース部61に対してX軸方向に相対移動自在な構成となっている。
【0032】
図11において、シャッタ板62Tには、X軸方向に延びた複数のシャッタ溝62Mが形成されている。各シャッタ溝62Mの溝幅Wは、ノズル52の着脱部52aの外径よりも大きく、かつ、ノズル52の鍔部52cの外径よりも小さい寸法を有している。
【0033】
図11において、各シャッタ溝62Mは、そのシャッタ溝62Mの溝幅Wよりも大径の複数の逃がし孔62Aを有している。各シャッタ溝62Mの逃がし孔62Aの数は、ベース部61のノズル挿入孔61HがX軸方向に並んだ数(ここでは8つ)と一致し、隣接する逃がし孔62A同士の間隔は、隣接するノズル挿入孔61Hの間隔と一致している。各逃がし孔62Aの内径Dは、ノズル52の鍔部52cの外径よりも大きい寸法を有している。
【0034】
シャッタユニット62は、閉位置(図9(a)および図10(a))と開位置(図9(b)および図10(b))と間で移動可能である。ここで、「閉位置」とは、逃がし孔62Aの中心とノズル挿入孔61Hの中心とが平面視において一致せず、ノズル挿入孔61Hの一部がシャッタ板62Tの一部によって覆われる位置である。シャッタユニット62が閉位置に位置した状態では、ノズル挿入孔61Hへのノズル52の挿入が不能であるとともに、ノズル挿入孔61Hに挿入されたノズル52をノズル挿入孔61Hから上方へ引き抜くことも不能である。
【0035】
一方、「開位置」とは、逃がし孔62Aの中心とノズル挿入孔61Hの中心とが平面視において一致することによって、ノズル挿入孔61Hの全部がシャッタ板62Tによって覆われない位置である。シャッタユニット62が開位置に位置した状態では、ノズル挿入孔61Hへのノズル52の挿入が可能であるとともに、ノズル挿入孔61Hに挿入されたノズル52を上方へ引き抜くことも可能である。
【0036】
図9(a),(b)、図10(a),(b)および図11において、切替えシリンダ63は、ベース部61の側面に取り付けられている。切替えシリンダ63のピストンロッド63aはX軸方向に延びており、その先端部には上方に延びた操作部材63bが設けられている。操作部材63bは、シャッタユニット62の側方に設けられた被係合部62Kと係合している。
【0037】
シャッタユニット62が閉位置に位置している状態で、切替えシリンダ63がピストンロッド63aを後退方向に作動させると、操作部材63bが被係合部62Kを切替えシリンダ63側に引き寄せる。これによりシャッタユニット62は閉位置から開位置に移動する(図9(a)→図9(b)および図10(a)→図10(b))。一方、シャッタユニット62が開位置に位置している状態で、切替えシリンダ63がピストンロッド63aを前進方向に作動させると、シャッタユニット62は閉位置に復帰する(図9(b)→図9(a)および図10(b)→図10(a))。
【0038】
図9(a),(b)、図10(a),(b)および図11において、切替え位置センサ64はベース部61に設けられている。切替え位置センサ64は、検査光をY軸方向に投光する投光部64aと、投光部64aが投光した検査光を受光し得る位置に配置された受光部64bを備えている。
【0039】
図9(a),(b)、および図11において、シャッタ板62Tの下面側には、遮蔽部材65が下方に延びて設けられている。遮蔽部材65は、シャッタユニット62が閉位置に位置した状態では検査光を遮り(図9(a)および図10(a))、シャッタユニット62が開位置に位置した状態では検査光を遮らない(図9(b)および図10(b))位置に位置する。このため切替え位置センサ64は、受光部64bが検査光を受光しないことをもってシャッタユニット62が閉位置に位置している状態を検知し、受光部64bが検査光を受光することをもってシャッタユニット62が開位置に位置している状態を検出する。
【0040】
本実施の形態において、シャッタユニット62における閉位置と開位置はそれぞれノズル交換台16の可動部であるシャッタユニット62の動作完了位置に相当し、切替えシリンダ63は、シャッタユニット62を動作完了位置に位置させるように動作するアクチュエータとなっている。そして、切替え位置センサ64は、アクチュエータ(切替えシリンダ63)によって可動部(シャッタユニット62)が動作完了位置(閉位置および開位置)に変位(位置)したことを検出する可動部検出部となっている。
【0041】
図1において、タッチパネル17は部品実装装置1における作業者OPから操作し得る位置に設けられている。タッチパネル17は部品実装装置1に対して作業者OPが入力操作を行う入力部および部品実装装置1から作業者OPに対して所要の通知が行われる通知部として機能する。
【0042】
図1において部品実装装置1が備える制御装置70は、図12に示すように、少なくとも、基板搬送コンベア12、トレイフィーダ13、ヘッド移動機構14、搭載ヘッド15、ノズル交換台16およびタッチパネル17の各動作を制御する。具体的には、制御装置70は、基板搬送コンベア12の動作を制御して基板KBの搬送と位置決めを行い、トレイフィーダ13を制御して、部品供給位置13Kへの部品BHの供給を行う。また制御装置70は、ヘッド移動機構14の動作を制御して搭載ヘッド15を移動させ、搭載ヘッド15の動作を制御してノズル52に部品BHを吸着させる。また制御装置70は、ノズル交換台16の動作を制御してシャッタユニット62を開閉させ、タッチパネル17の動作を制御して所要の情報を作業者OPに通知する。
【0043】
本実施の形態における部品実装装置1では、部品実装装置1が備える複数のモータやシリンダ等のアクチュエータを制御装置70が作動させることによってそのアクチュエータに対応する可動部が変位し、その可動部の変位(移動、回転、揺動等)によって所要の作業がなされる。この際、各アクチュエータは、対応する可動部が目標とする動作完了位置に変位するように動作するが、アクチュエータの動作完了は、可動部が可動部検出部によって検出されることで判断される。
【0044】
図12において、制御装置70はセンサ監視部71と、運転モード切替え部72とを備えている。センサ監視部71は、トレイフィーダ13における可動部検出部であるテーブル検出センサ43、引出し完了センサ47および収納完了センサ48と、ノズル交換台16のシャッタユニット62における可動部検出部である切替え位置センサ64のそれぞれについての出力を常時監視しており、これらセンサの動作に異常が発見された場合には、その旨を、タッチパネル17を介して作業者OPに通知する。
【0045】
運転モード切替え部72は、作業者OPが操作するタッチパネル17からの入力に基づいて運転モードを設定する機能を有する。本実施の形態では、作業者OPは、タッチパネル17から運転モード切替え部72に対して所要の操作を行うことによって、トレイフィーダ13とノズル交換台16それぞれの運転モードを、第1の運転モード(通常運転モード)または第2の運転モード(縮退運転モード)に設定できるようになっている。第2の運転モードは、センサの動作に異常が発見された場合に対応した運転モードである。第1の運転モードと第2の運転モードについては後述する。
【0046】
部品実装装置1が基板KBに部品BHを搭載する場合には、先ず、外部から送られてきた基板KBを基板搬送コンベア12により受け取って作業位置に位置決めする。基板KBを作業位置に位置決めしたら、トレイフィーダ13が作動して、供給しようとする部品BHが収納されたトレイ32(パレット31)を部品供給位置13Kに位置させる。
【0047】
トレイフィーダ13が部品供給位置13Kにトレイ32(パレット31)を位置させたら、制御装置70は、ヘッド移動機構14を作動させて搭載ヘッド15をトレイフィーダ13の上方に位置させる。そして、搭載ヘッド15はノズル取付け軸51を下降させるとともに、ノズル52の下端に真空吸着力を発生させることによって、ノズル52の下端に部品BHを吸着させる。ノズル52の下端に部品BHを吸着させたら、搭載ヘッド15が基板KBの上方に移動し、ノズル取付け軸51を下降させることによって、部品BHを基板KB上の目標搭載部位に搭載する。
【0048】
部品実装装置1は、このような部品搭載動作を繰り返し行う部品搭載作業を実行することによって実装基板を生産するが、部品搭載作業を実行する過程において、吸着しようとする部品BHの大きさや形状等に応じてノズル52の交換が必要となる場合がある。この場合、制御装置70は、搭載ヘッド15をノズル交換台16の上方に移動させ、切替えシリンダ63を作動させてシャッタユニット62を開位置と閉位置との間で位置切替えをしながら、ノズル取付け軸51を昇降させることによって、ノズル52の交換作業を実行する。
【0049】
具体的には、制御装置70は、ノズル取付け軸51からノズル52を取り外す場合には、搭載ヘッド15をノズル交換台16の上方に移動させたうえで、シャッタユニット62を開位置から開位置に切り替える。そして、ノズル取付け軸51の上下中心軸をノズル交換台16のノズル挿入孔61Hの上下中心軸に一致させたうえで、ノズル取付け軸51を下降させる。このノズル取付け軸51の下降時には、ノズル52の鍔部52cはシャッタユニット62のシャッタ板62Tの逃がし孔62Aを通過するので、ノズル52の管部52bはノズル挿入孔61Hに挿入される。
【0050】
ノズル52の管部52bがノズル挿入孔61Hに挿入されたら、シャッタユニット62を閉位置に切り替えて、ノズル取付け軸51を上方に引き上げる。このときノズル52の鍔部52cはシャッタ板62Tの下方に位置しており、シャッタ板62Tと干渉して上方への移動が妨げられる。このため、ノズル52はノズル交換台16に残留し、ノズル取付け軸51からノズル52が取り外される。
【0051】
一方、ノズル取付け軸51にノズル52を取り付ける場合には、制御装置70は先ず、搭載ヘッド15をノズル交換台16の上方に移動させる。そして、ノズル取付け軸51の上下中心軸をノズル52の上下中心軸に一致させた状態で、ノズル取付け軸51を下降させる。これによりノズル取り付け軸51の下端にノズル52の着脱部52aが取り付けられたら、制御装置70は、シャッタユニット62を開位置に位置させたうえで、ノズル取付け軸51を上方へ引き上げる。このとき、シャッタ板62Tの下方に位置していたノズル52の鍔部52cはシャッタ板62Tの逃がし孔62Aを上方に通過するので、ノズル52はノズル取付け軸51とともに引き上げられ、ノズル52はノズル取付け軸51に取り付けられた状態となる。
【0052】
制御装置70は、上記のようにしてノズル取付け軸51へのノズル52の着脱を行う際には、シャッタユニット62を閉位置或いは開位置に位置させる。シャッタユニット62を開位置側に移動させたときには、シャッタユニット62がその動作完了位置である開位置に位置した状態となっているかどうかを切替え位置センサ64からの出力によって検知し、シャッタユニット62を閉位置側に移動させたときには、シャッタユニット62がその動作完了位置である閉位置に位置した状態となっているかどうかを切替え位置センサ64からの出力によって検知するようになっている。
【0053】
次に、第1の運転モード(通常運転モード)と第2の運転モード(縮退運転モード)について説明する。第1の運転モードは、可動検出部が可動部を検出することによって(可動部検出部から出力される検出情報に基づいて)アクチュエータの動作完了を判断する運転モードであり、第2の運転モードは、可動部検出部による検出結果を無視して(若しくは参照することなく)アクチュエータの動作完了を判断する運転モードである。これら第1の運転モードと第2の運転モードは、前述したように、作業者OPがタッチパネル17を操作して設定および切替えすることができる。
【0054】
先ず、図13のフローチャートに基づいて、部品BHを収納したトレイ32を保持するパレット31を部品供給位置13Kに位置させる動作(パレットセット動作)を第1の運転モードで実行する場合のトレイフィーダ13の動作手順を説明する。
【0055】
制御装置70は、トレイフィーダ13のパレットセット動作を第1の運転モードで行う場合には、先ず、昇降モータ42dを制御し、テーブル移動用ボール螺子42bを作動させることによって、パレット支持テーブル41を目的とするパレット収納部22Hの高さに移動させる(ステップST1)。このとき制御装置70は、パレット支持テーブル41を目的とするパレット収納部22Hの高さに位置させるのに必要な回転量だけ、昇降モータ42dを回転させる。
【0056】
制御装置70は、パレット支持テーブル41を目的とするパレット収納部22Hの高さに移動させたら、係止ロッド44をパレット収納部22H内のパレット31に係止させる(ステップST2)。制御装置70はこの動作を、パレット操作モータ45を制御し、係止ロッド44をパレット支持テーブル41の後側に移動させることによって行う。このとき制御装置70は、係止ロッド44を収納完了位置に位置させるのに必要な規定の回転量だけ、パレット操作モータ45を回転させる。
【0057】
制御装置70は、係止ロッド44をパレット収納部22H内のパレット31に係止させたら、パレット31をパレット支持テーブル41上に引き出す(ステップST3。図6(a)中に示す矢印B1)。制御装置70はこの動作を、パレット操作モータ45を制御して係止ロッド44をパレット支持テーブル41の前側に移動させることによって行う。このとき制御装置70は、係止ロッド44を引出し完了位置に位置させるのに必要な規定の回転量だけ、パレット操作モータ45を回転させる。
【0058】
制御装置70は、ステップST3で、パレット操作モータ45を規定の回転量だけ回転させたら、係止ロッド44が動作完了位置である引出し完了位置に位置しているかどうかの判断を行う(ステップST4)。この判断は、係止ロッド44が動作完了位置(引出し完了位置)に位置した状態が引出し完了センサ47によって検出されているか否かに基づいて行う。
【0059】
制御装置70は、ステップST4において、係止ロッド44が動作完了位置(引出し完了位置)に位置していると判断した場合には、パレット31の引出しが正常に行われたとし、次いで、パレット支持テーブル41を動作完了位置である部品供給位置13Kへ移動させる(ステップST5。図6(b)中に示す矢印A1)。制御装置70はこの動作を、昇降モータ42dを制御してパレット支持テーブル41を上昇させることによって行う。このとき制御装置70は、パレット支持テーブル41を動作完了位置(部品供給位置13K)に位置させるのに必要な規定の回転量だけ、昇降モータ42dを回転させる。
【0060】
制御装置70は、ステップST5で、昇降モータ42dを規定の回転量だけ回転させたら、パレット支持テーブル41が、動作完了位置である部品供給位置13Kに位置しているかどうかの判断を行う(ステップST6)。この判断は、パレット支持テーブル41が部品供給位置13Kに位置している状態がテーブル検出センサ43によって検出されているか否かに基づいて行う。制御装置70は、ステップST6において、パレット支持テーブル41が部品供給位置13Kに位置していると判断した場合には、パレット支持テーブル41の部品供給位置13Kへの移動が正常に行われたとして、パレットセット動作を終了する。
【0061】
一方、制御装置70は、ステップST4において、係止ロッド44が動作完了位置(引出し完了位置)に位置していないと判断した場合には、部品実装装置1の動作を停止させるとともに、タッチパネル17等を通じて、係止ロッド44の動作制御系にエラーが発生している旨を作業者OPに通知する(ステップST7)。ステップST4において、係止ロッド44が引出し完了位置に位置しないケースとしては、パレット31がマガジン22内で引っ掛かって出てこない場合、パレット操作モータ45が故障等により回転しなかった場合、ロッド移動機構46に不具合が発生した場合等があり得る。
【0062】
同様に、制御装置70は、ステップST6において、パレット支持テーブル41が部品供給位置13Kに位置していないと判断した場合には、部品実装装置1の動作を停止させるとともに、タッチパネル17等を通じて、パレット支持テーブル41の動作制御系にエラーが発生している旨を作業者OPに通知する(ステップST7)。ステップST6において、パレット支持テーブル41が部品供給位置13Kに位置しないケースとしては、昇降モータ42dが故障等により回転しなかった場合や、昇降モータ42dの回転を伝達する部材に不具合が発生した場合等があり得る。
【0063】
次に、図14のフローチャートに基づいて、部品供給位置13Kに位置させていたパレット31をトレイフィーダ13の中の空いているパレット収納部22H(通常は、そのパレット31が収納されていた元のパレット収納部22H)に収納させる動作(パレット収納動作)を第1の運転モードで実行する場合のトレイフィーダ13の動作手順を説明する。
【0064】
制御装置70は、トレイフィーダ13のパレット収納動作を第1の運転モードで行う場合には、先ず、昇降モータ42dを制御し、テーブル移動用ボール螺子42bを作動させることによって、パレット支持テーブル41を目的とするパレット収納部22Hの高さに移動させる(ステップST11)。このとき制御装置70は、パレット支持テーブル41を目的とするパレット収納部22Hの高さに位置させるのに必要な回転量だけ、昇降モータ42dを回転させる。
【0065】
制御装置70は、パレット支持テーブル41を目的とするパレット収納部22Hの高さに移動させたら、パレット31をパレット支持テーブル41からパレット収納部22Hに収納する(ステップST12)。制御装置70はこの動作を、パレット操作モータ45を制御し、係止ロッド44をパレット支持テーブル41の後側に移動させることによって行う(図7(a)→図7(b))。このとき制御装置70は、係止ロッド44を収納完了位置に位置させるのに必要な規定の回転量だけ、パレット操作モータ45を回転させる。
【0066】
制御装置70は、ステップST12で、パレット操作モータ45を規定の回転量だけ回転させたら、係止ロッド44が動作完了位置である収納完了位置に位置しているかどうかの判断を行う(ステップST13)。この判断は、係止ロッド44が動作完了位置(収納完了位置)に位置した状態が収納完了センサ48によって検出されているか否かに基づいて行う。
【0067】
制御装置70は、ステップST13において、係止ロッド44が動作完了位置(収納完了位置)に位置していると判断した場合には、パレット31の収納が正常に行われたとし、次いで、係止ロッド44を元の位置(引出し完了位置)に戻す(ステップST14)。制御装置70はこの動作を、パレット操作モータ45を制御して係止ロッド44を動作完了位置(引出し完了位置)に移動させることによって行う。このとき制御装置70は、係止ロッド44を引出し完了位置に位置させるのに必要な規定の回転量だけ、パレット操作モータ45を回転させる。
【0068】
制御装置70は、ステップST14で、パレット操作モータ45を規定の回転量だけさせたら、係止ロッド44が、動作完了位置である引出し完了位置に位置しているかどうかの判断を行う(ステップST15)。この判断は、係止ロッド44が動作完了位置(引出し完了位置)に位置している状態が引出し完了センサ47によって検出されているかどうかに基づいて行う。制御装置70は、ステップST15において、係止ロッド44が動作完了位置(引出し完了位置)に位置していると判断した場合には、係止ロッド44の戻し動作が正常に行われたとして、パレット収納動作を終了する。
【0069】
一方、制御装置70は、ステップST13において、係止ロッド44が収納完了位置に位置していないと判断した場合には、部品実装装置1の動作を停止させるとともに、タッチパネル17等を通じて、係止ロッド44の動作制御系にエラーが発生している旨を作業者OPに通知する(ステップST16)。また、制御装置70は、ステップST15において、係止ロッド44が元の位置(引出し完了位置)に位置していないと判断した場合にも、部品実装装置1の動作を停止させるとともに、タッチパネル17等を通じて、係止ロッド44の動作制御系にエラーが発生している旨を作業者OPに通知する(ステップST16)。
【0070】
なお、ステップST13において、係止ロッド44が収納完了位置に位置しないケースとしては、パレット31がマガジン22のパレット収納部22Hの側面等に引っ掛かってパレット31が収納されない場合、パレット操作モータ45が故障等により回転しなかった場合、ロッド移動機構46に不具合が発生した場合等があり得る。また、ステップST15において、係止ロッド44が引出し完了位置に位置しないケースとしては、パレット31がマガジン22内で引っ掛かって出てこない場合、パレット操作モータ45が故障等により回転しなかった場合、ロッド移動機構46に不具合が発生した場合等があり得る。
【0071】
このように本実施の形態のトレイフィーダ13は、アクチュエータ(昇降モータ42d、パレット操作モータ45)によって変位する可動部(パレット支持テーブル41、係止ロッド44)を有する複数の可動部駆動機構を連携させながらパレットセット動作やパレット収納動作を行うようにしている。トレイフィーダ13は、第1の運転モードの場合、一方の可動部駆動機構の動作が確実に行われたことを可動部検出部(テーブル検出センサ43、引出し完了センサ47、収納完了センサ48)で検出した後、他の可動部駆動機構を作動させるようにしている。従って第1の運転モードでは、複数の可動部駆動機構の連携動作の信頼が非常に高い。
【0072】
次に、図15のフローチャートに基づいて、ノズル交換台16において、閉位置に位置しているシャッタユニット62を開位置に移動させる動作(開動作)を第1の運転モード(通常運転モード)で実行する場合のノズル交換台16の動作手順を説明する。
【0073】
制御装置70は、シャッタユニット62の開動作を第1の運転モードで行う場合には、先ず、シャッタユニット62を開位置に移動させる動作を開始する(ステップST21)。制御装置70は、このシャッタユニット62を開位置に移動させる動作を、切替えシリンダ63のピストンロッド63aが、被係合部62Kが切替えシリンダ63側に引き寄せられる方向に作動するように切替えシリンダ63のバルブ(図示せず)を作動させることによって行う。
【0074】
制御装置70は、シャッタユニット62を開位置に移動させる動作を開始してから時間T1が経過するまで待つ(ステップST22)。時間T1は、シャッタユニット62が開位置に到達するまでの時間のバラツキを考慮し、シャッタユニット62が開位置に確実に到達しているであろうと思われる時間に設定される。
【0075】
制御装置70は、ステップST22で切替えシリンダ63の動作完了待ちを行ったら、シャッタユニット62が開位置に位置しているかどうかの判断を行う(ステップST23)。この判断は、シャッタユニット62が動作完了位置である開位置に位置している状態が切替え位置センサ64によって検出されているかどうかに基づいて行う。
【0076】
制御装置70は、ステップST23において、シャッタユニット62が開位置に位置していると判断した場合には、シャッタユニット62の開位置への移動が正常に行われたとして、シャッタユニット62の開動作を終了する。また、シャッタユニット62の開位置への移動が正常に行われたことが切替え位置センサ64で確認されたら、ノズル52が交換されるノズル取付け軸51の上昇動作若しくは下降動作が開始される。一方、制御装置70は、ステップST23において、シャッタユニット62が開位置に位置していないと判断した場合には、部品実装装置1の動作を停止させるとともに、タッチパネル17等を通じて、シャッタユニット62の動作制御系にエラーが発生している旨を作業者OPに通知する(ステップST24)。
【0077】
次に、図16のフローチャートに基づいて、ノズル交換台16において、開位置に位置している状態のシャッタユニット62を閉位置に移動させる動作(閉動作)を第1の運転モード(通常運転モード)で実行する場合の切替えシリンダ63の動作手順を説明する。
【0078】
制御装置70は、シャッタユニット62の閉動作を第1の運転モードで行う場合には、先ず、シャッタユニット62を閉位置に移動させる動作を開始する(ステップST31)。制御装置70は、このシャッタユニット62を閉位置に移動させる動作を、切替えシリンダ63のピストンロッド63aが、被係合部62Kが切替えシリンダ63から離れる方向に作動するように切替えシリンダ63のバルブを作動させることによって行う。
【0079】
制御装置70は、シャッタユニット62を閉位置に移動させる動作を開始してから時間T2が経過するまで待つ(ステップST32)。時間T2は、シャッタユニット62が閉位置に到達するまでの時間のバラツキを考慮し、シャッタユニット62が閉位置に確実に到達しているであろうと思われる時間に設定される。なお、時間T2は前述の時間T1と同じであってもよい。
【0080】
制御装置70は、ステップST32で切替えシリンダ63の動作完了待ち行ったら、シャッタユニット62が閉位置に位置しているかどうかの判断を行う(ステップST33)。この判断は、シャッタユニット62が動作完了位置である閉位置に位置した状態が切替え位置センサ64によって検出されているかどうかに基づいて行う。
【0081】
制御装置70は、ステップST33において、シャッタユニット62が閉位置に位置していると判断した場合には、シャッタユニット62の閉位置への移動が正常に行われたとして、シャッタユニット62の閉動作を終了する。また、シャッタユニット62の閉位置への移動が正常に行われたことが切替え位置センサ64で確認されたら、ノズル52が交換されるノズル取付け軸51の上昇動作若しくは下降動作が開始される。一方、制御装置70は、ステップST33において、シャッタユニット62が閉位置に位置していないと判断した場合には、部品実装装置1の動作を停止させるとともに、タッチパネル17等を通じて、シャッタユニット62の動作制御系にエラーが発生している旨を作業者OPに通知する(ステップST34)。
【0082】
このように本実施の形態の部品実装装置1は、アクチュエータ(切替えシリンダ63)によって変位する可動部(シャッタユニット62)を有する可動部駆動機構を備えている。そして、可動部駆動機構の動作完了を可動部検出部(切替え位置センサ64)で検出するようになっている。このため、可動部(シャッタユニット62)とノズル取付け軸51の昇降動作との連携を安全かつ確実に行うことができる。
【0083】
次に、図17のフローチャートに基づいて、前述のパレットセット動作を第2の運転モード(縮退運転モード)で行う実行する場合のトレイフィーダ13の動作手順を説明する。
【0084】
制御装置70は、トレイフィーダ13のパレットセット動作を第2の運転モードで行う場合には、先ず、昇降モータ42dを制御し、テーブル移動用ボール螺子42bを作動させることによって、パレット支持テーブル41を目的とするパレット収納部22Hの高さに移動させる(ステップST41)。このとき制御装置70は、パレット支持テーブル41を目的とするパレット収納部22Hの高さに位置させるのに必要な回転量だけ、昇降モータ42dを回転させる。
【0085】
制御装置70は、パレット支持テーブル41を目的とするパレット収納部22Hの高さに移動させたら、係止ロッド44をパレット収納部22H内のパレット31に係止させる(ステップST42)。制御装置70はこの動作を、パレット操作モータ45を制御し、係止ロッド44をパレット支持テーブル41の後側に移動させることによって行う。このとき制御装置70は、係止ロッド44を収納完了位置に位置させるのに必要な規定の回転量だけ、パレット操作モータ45を回転させる。
【0086】
制御装置70は、係止ロッド44をパレット収納部22H内のパレット31に係止させたら、パレット31をパレット支持テーブル41上に引き出す(ステップST43。図6(a)中に示す矢印B1)。制御装置70はこの動作を、パレット操作モータ45を制御して係止ロッド44をパレット支持テーブル41の前側に移動させることによって行う。このとき制御装置70は、係止ロッド44を引出し完了位置に位置させるのに必要な規定の回転量だけ、パレット操作モータ45を回転させる。
【0087】
制御装置70は、ステップST43で、パレット操作モータ45を規定の回転量だけ回転させたら、ステップST43で行ったパレット操作モータ45の回転時の回転量は正常であったかどうかを判断する(ステップST44)。この判断は、例えば、パレット操作モータ45が備えるエンコーダが出力しているパレット操作モータ45の回転量が、係止ロッド44を動作完了位置(引出し完了位置)に位置させるのに必要な規定の回転量と合致しているか否かに基づいて行う。
【0088】
制御装置70は、ステップST44において、パレット操作モータ45の回転量が正常であったと判断した場合には、パレット支持テーブル41上にパレット31が正常に引き出されたとみなし、次いで、パレット支持テーブル41を動作完了位置である部品供給位置13Kへ移動させる(ステップST45。図6(b)中に示す矢印A1)。制御装置70はこの動作を、昇降モータ42dを制御してパレット支持テーブル41を上昇させることによって行う。このとき制御装置70は、パレット支持テーブル41を動作完了位置(部品供給位置13K)に位置させるのに必要な規定の回転量だけ、昇降モータ42dを回転させる。
【0089】
制御装置70は、ステップST45で、昇降モータ42dを規定の回転量だけ回転させたら、ステップST45で行った昇降モータ42dの回転時の回転量は正常であったかどうかを判断する(ステップST46)。この判断は、例えば、昇降モータ42dが備えるエンコーダが出力している昇降モータ42dの回転量が、パレット支持テーブル41を動作完了位置(部品供給位置13K)に位置させるのに必要な規定の回転量と合致しているか否かに基づいて行う。そして、制御装置70は、ステップST46において、昇降モータ42dの回転量が正常であったと判断した場合には、パレット支持テーブル41が部品供給位置13Kに正常に位置したとみなして、パレットセット動作を終了する。
【0090】
一方、制御装置70は、ステップST44において、パレット操作モータ45の回転量が正常でなかったと判断した場合には、部品実装装置1の動作を停止させるとともに、タッチパネル17等を通じて、係止ロッド44の動作制御系にエラーが発生している旨を作業者OPに通知する(ステップST47)。なお、ステップST44において、パレット操作モータ45の回転量が正常とならないケースとしては、パレット31がマガジン22内で引っ掛かって出てこない場合、パレット操作モータ45が故障等により回転しなかった場合、ロッド移動機構46に不具合が発生した場合等があり得る。更には、パレット操作モータ45のエンコーダに不具合が生じている場合や、エンコーダの取付け位置が不正確な場合等もあり得る。
【0091】
また、制御装置70は、ステップST46において、昇降モータ42dの回転量が正常でなかったと判断した場合には、部品実装装置1の動作を停止させるとともに、タッチパネル17等を通じて、パレット支持テーブル41の動作制御系にエラーが発生している旨を作業者OPに通知する(ステップST47)。なお、ステップST46において、昇降モータ42dの回転量が正常とならないケースとしては、昇降モータ42dが故障等により回転しなかった場合や、昇降モータ42dの回転を伝達する部材に不具合が発生した場合等があり得る。更には、昇降モータ42dのエンコーダに不具合が生じている場合や、エンコーダの取付け位置が不正確な場合等もあり得る。
【0092】
次に、図18のフローチャートに基づいて、前述のパレット収納動作を第2の運転モード(縮退運転モード)で実行する場合のトレイフィーダ13の動作手順を説明する。
【0093】
制御装置70は、トレイフィーダ13のパレット収納動作を第2の運転モードで行う場合には、先ず、昇降モータ42dを制御し、テーブル移動用ボール螺子42bを作動させることによって、パレット支持テーブル41を目的とするパレット収納部22Hの高さに移動させる(ステップST51)。このとき制御装置70は、パレット支持テーブル41を目的とするパレット収納部22Hの高さに位置させるのに必要な回転量だけ、昇降モータ42dを回転させる。
【0094】
制御装置70は、パレット支持テーブル41を目的とするパレット収納部22Hの高さに移動させたら、パレット31をパレット支持テーブル41からパレット収納部22Hに収納する(ステップST52)。制御装置70はこの動作を、パレット操作モータ45を制御し、係止ロッド44をパレット支持テーブル41の後側に移動させることによって行う(図7(a)→図7(b))。このとき制御装置70は、係止ロッド44を収納完了位置に位置させるのに必要な規定の回転量だけ、パレット操作モータ45を回転させる。
【0095】
制御装置70は、ステップST52で、パレット操作モータ45を規定の回転量だけ回転させたら、ステップST52で行ったパレット操作モータ45の回転時の回転量は正常であったかどうかを判断する(ステップST53)。この判断は、例えば、パレット操作モータ45が備えるエンコーダが出力しているパレット操作モータ45の回転量が、係止ロッド44を動作完了位置(収納完了位置)に位置させるのに必要な規定の回転量と合致しているか否かに基づいて行う。
【0096】
制御装置70は、ステップST53において、パレット操作モータ45の回転量が正常であったと判断した場合には、パレット31が正常に収納されたとし、次いで、係止ロッド44を元の位置(引出し完了位置)に戻す(ステップST54)。制御装置70はこの動作を、パレット操作モータ45を制御し、係止ロッド44をパレット支持テーブル41の前側に移動させることによって行う。このとき制御装置70は、係止ロッド44を引出し完了位置に位置させるのに必要な規定の回転量だけ、パレット操作モータ45を回転させる。
【0097】
制御装置70は、ステップST54で、パレット操作モータ45を規定の回転量だけ回転させたら、ステップST54で行ったパレット操作モータ45の回転量が正常であったかどうかを判断する(ステップST55)。この判断は、例えば、パレット操作モータ45が備えるエンコーダが出力しているパレット操作モータ45の回転量が、係止ロッド44を動作完了位置(引出し完了位置)に位置させるのに必要な規定の回転量と合致しているかどうかに基づいて行う。そして、制御装置70は、ステップST55において、パレット操作モータ45の回転量が正常であったと判断した場合には、係止ロッド44が正常に戻されたとして、パレット収納動作を終了する。
【0098】
一方、制御装置70は、ステップST53において、パレット操作モータ45の回転量が正常でなかったと判断した場合には、部品実装装置1の動作を停止させるとともに、タッチパネル17等を通じて、係止ロッド44の動作制御系にエラーが発生している旨を作業者OPに通知する(ステップST56)。なお、ステップST53において、係止ロッド44が収納完了位置に位置しないケースとしては、パレット31がマガジン22のパレット収納部22Hの側面等に引っ掛かってパレット31が収納されない場合、パレット操作モータ45が故障等により回転しなかった場合、ロッド移動機構46に不具合が発生した場合等があり得る。更には、パレット操作モータ45のエンコーダに不具合が生じている場合や、エンコーダの取付け位置が不正確な場合等もあり得る。
【0099】
また、制御装置70は、ステップST55において、パレット操作モータ45の回転量が正常でなかったと判断した場合には、部品実装装置1の動作を停止させるとともに、タッチパネル17等を通じて、係止ロッド44の動作制御系にエラーが発生している旨を作業者OPに通知する(ステップST56)。なお、ステップST55において、パレット操作モータ45の回転量が正常とならないケースとしては、パレット31がマガジン22内で引っ掛かって出てこない場合、パレット操作モータ45が故障等により回転しなかった場合、ロッド移動機構46に不具合が発生した場合等があり得る。更には、パレット操作モータ45のエンコーダに不具合が生じている場合や、エンコーダの取付け位置が不正確な場合等もあり得る。
【0100】
このように、トレイフィーダ13におけるパレット支持テーブル41の運転モードが第2の運転モードに設定されている状態では、可動部検出部(テーブル検出センサ43)による検出結果を無視して(若しくは参照することなく)、アクチュエータ(昇降モータ42d)の動作完了を判断するようになっている。また、トレイフィーダ13における係止ロッド44の運転モードが第2の運転モードに設定されている状態では、可動部検出部(引出し完了センサ47および収納完了センサ48)による検出結果を無視して(若しくは参照することなく)、アクチュエータ(パレット操作モータ45)の動作完了を判断するようになっている。
【0101】
すなわち、トレイフィーダ13において可動部(パレット支持テーブル41、係止ロッド44)を検出する可動部検出部(テーブル検出センサ43、引出し完了センサ47、収納完了センサ48)に何らかの不具合が生じて第1の運転モードでの運転が困難な場合は、緊急的に第2の運転モードで運転が可能なように構成されている。
【0102】
次に、図19のフローチャートに基づいて、ノズル交換台16において、前述の開動作を第2の運転モード(縮退運転モード)で実行する場合のノズル交換台16の動作手順を説明する。
【0103】
制御装置70は、シャッタユニット62の開動作を第2の運転モードで行う場合には、先ず、シャッタユニット62を開位置に移動させる動作を開始する(ステップST61)。制御装置70は、このシャッタユニット62を開位置に移動させる動作を、切替えシリンダ63のピストンロッド63aが、被係合部62Kが切替えシリンダ63側に引き寄せられる方向に作動するように切替えシリンダ63のバルブ(図示せず)を作動させることによって行う。
【0104】
制御装置70は、シャッタユニット62を開位置に移動させる動作を開始してから時間DT1が結果するまで待つ(ステップST62)。時間DT1は、シャッタユニット62が開位置に到達するまでの時間のバラツキを考慮し、シャッタユニット62が開位置に確実に到達しているであろうと思われる時間に設定される。
【0105】
ここで、上記縮退運転時対応の規定の時間「DT1」は、例えば、通常運転時に設定される規定の時間「T1」よりも長く設定される。本実施の形態では時間「T1」の2倍である時間「2×T1」とする。時間「DT1」が経過した時点で、シャッタユニット62が開位置に位置したとみなして、シャッタユニット62の開動作を終了する。また、ステップST62で時間DT1が経過したら、ノズル52が交換されるノズル取付け軸51の上昇動作若しくは下降動作が開始される。
【0106】
次に、図20のフローチャートに基づいて、ノズル交換台16において、前述の閉動作を第2の運転モード(縮退運転モード)で実行する場合のノズル交換台16の動作手順を説明する。
【0107】
制御装置70は、シャッタユニット62の閉動作を第2の運転モードで行う場合には、先ず、シャッタユニット62を閉位置に移動させる動作を開始する(ステップST71)。制御装置70は、このシャッタユニット62を閉位置に移動させる動作を、切替えシリンダ63のピストンロッド63aが、被係合部62Kが切替えシリンダ63から離れる方向に作動するように切替えシリンダ63のバルブ(図示せず)を作動させることによって行う。
【0108】
制御装置70は、シャッタユニット62を閉位置に移動させる動作を開始してから時間DT2が経過するまで待つ(ステップST72)。時間DT2は、シャッタユニット62が閉位置に到達するまでの時間のバラツキを考慮し、シャッタユニット62が閉位置に確実に到達しているであろうと思われる時間に設定される。
【0109】
ここで、上記縮退運転時対応の規定の時間「DT2」は、例えば、通常運転時に設定される規定の時間「T2」よりも長く設定される。本実施の形態では時間「T2」の2倍である時間「2×T2」とする。時間「DT2」が経過した時点で、シャッタユニット62が閉位置に位置したとみなして、シャッタユニット62の閉動作を終了する。また、ステップST72で時間DT2が経過したら、ノズル52が交換されるノズル取付け軸51の上昇動作若しくは下降動作が開始される。
【0110】
このように、ノズル交換台16におけるシャッタユニット62の運転モードが第2の運転モードに設定されている状態では、可動部検出部(切替え位置センサ64)による検出結果を無視して(若しくは参照することなく)、アクチュエータ(切替えシリンダ63)の動作完了を判断するようになっている。すなわち、切替え位置センサ64に何らかの不具合が生じて第1の運転モードでの運転が困難な場合は、緊急的に第2の運転モードで運転が可能なように構成されている。
【0111】
なお、運転モードの切替えは、センサ監視部71を通じて或るセンサ(可動部検出部)について動作の異常が認められる場合、そのセンサを含むユニットや装置全体のアクチュエータの運転モードを第2の運転モードに切り替える場合と、異常があることが通知されたセンサに直接関係する可動部駆動機構についてのみ第2の運転モードに切り替える場合の2通りの方法が考えられる。前述のトレイフィーダ13は前者の場合であって、トレイフィーダ13全体を第2の運転モードに切り替えるものであるが、故障を起こした可動部検出部に直接関係する可動部駆動機構についてのみその動作を第2の運転モードに切り替えるようにしてもよい。
【0112】
また、通知部としてのタッチパネル17に、設定されている運転モードが表示されるようになっていることが好ましい。特に、運転モードが第1の運転モードから第2の運転モードに切り替えられた場合には、どの機構部のどの可動部の動作が第2の運転モードで制御されているかが表示されるようになっていることが好ましい。これにより作業者OPは、どの可動部が第2の運転モードで制御されているのかを的確に把握でき、故障等の疑いのあるセンサを早急に修理し、或いは交換等する対策を講じることができる。
【0113】
以上説明したように、本実施の形態における産業用機械装置としての部品実装装置1は、アクチュエータによって変位する可動部(昇降モータ42dによって変位するパレット支持テーブル41、パレット操作モータ45によって変位する係止ロッド44および切替えシリンダ63によって変位するシャッタユニット62)と、アクチュエータによって可動部が動作完了位置に変位したことを検出する可動部検出部(テーブル検出センサ43、引出し完了センサ47、収納完了センサ48および位置切替えセンサ64)と、アクチュエータを制御する制御部としての制御装置70を備えている。そして、制御装置70は、可動部検出部が可動部を検出することによってアクチュエータの動作完了を判断する第1の運転モードと、可動部検出部による検出結果を無視して(若しくは参照することなく)アクチュエータの動作完了を判断する第2の運転モードのいずれかで制御を行うようになっている。このため、可動部検出部が正常に動作している通常運転時には第1の運転モードで運転し、可動部検出部が故障等により正常に動作しなくなった場合には第2の運転モードに切り替えるようにすることで、可動部検出部により可動部が動作完了位置に変位した状態を検出することができなくなった場合であっても部品実装装置1の運転を継続でき、生産性の低下を防ぐことができる。
【0114】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、第1の運転モードのほか、第2の運転モードでも制御できるアクチュエータの例として、トレイフィーダ13のパレット支持テーブル41を昇降させる昇降モータ42d、トレイフィーダ13の係止ロッド44を移動させるパレット操作モータ45およびノズル交換台16のシャッタユニット62を位置切替えする切替えシリンダ63を挙げたが、これらは一例に過ぎず、部品実装装置1が備える他のアクチュエータについても適用することが可能である。
【0115】
また、上述の実施の形態では、本発明が適用される産業用機械装置の例として部品実装装置1を挙げたが、本発明は部品実装装置1に限られず、アクチュエータによって変位する可動部と、アクチュエータによって可動部が動作完了位置に変位したことを検出する可動部検出部とを備えて構成されるあらゆる産業用機械装置に適用することができる。