(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021046359
(43)【公開日】20210325
(54)【発明の名称】2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エステル
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/04 20060101AFI20210226BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20210226BHJP
【FI】
   !C07D495/04 101
   !C07D495/04CSP
   !C08G61/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】2019168654
(22)【出願日】20190917
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
【住所又は居所】山口県周南市開成町4560番地
(71)【出願人】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
【住所又は居所】神奈川県綾瀬市早川2743番地1
(72)【発明者】
【氏名】秋山 映一
【住所又は居所】神奈川県綾瀬市早川2743番地1 公益財団法人相模中央化学研究所内
(72)【発明者】
【氏名】山崎 学
【住所又は居所】神奈川県綾瀬市早川2743番地1 公益財団法人相模中央化学研究所内
(72)【発明者】
【氏名】箭野 裕一
【住所又は居所】山口県周南市開成町4560 東ソー株式会社 南陽事業所内
(72)【発明者】
【氏名】西山 正一
【住所又は居所】山口県周南市開成町4560 東ソー株式会社 南陽事業所内
(72)【発明者】
【氏名】曽我 真一
【住所又は居所】山口県周南市開成町4560 東ソー株式会社 南陽事業所内
【テーマコード(参考)】
4C071
4J032
【Fターム(参考)】
4C071AA01
4C071BB01
4C071CC12
4C071CC21
4C071EE13
4C071FF16
4C071GG03
4C071HH28
4C071LL03
4J032BA04
4J032BB01
4J032BC05
4J032BD07
4J032CG01
(57)【要約】
【課題】頭−尾結合規則性を有する自己ドープ型ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)誘導体を製造するのに有用な2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エステルを提供する。
【解決手段】
下記一般式(4)
【化1】

(式中、Rは、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。)
で示される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エステル。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(4)
【化1】
(式中、Rは、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。)
で示される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エステル。
【請求項2】
がメチル基又はエチル基であることを特徴とする請求項1に記載の2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エステル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
導電性に優れた自己ドープ型ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)誘導体の製造に有用な中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)はフレキシブル基板回路、透明電極、キャパシタ、静電気除去剤など、最も応用が進んだ導電性ポリマーの一つである。PEDOTは、通常はポリスチレンスルホン酸(PSS)と複合化し、水分散液として供されるが、このPEDOT:PSS複合体の水への分散は容易ではなく、安定なコロイド様分散水溶液とするためには過剰のPSSを要する。しかし、強酸性のスルホン酸基を有するPSSを過剰量用いることによって、腐食性、あるいは高い吸水性を示すことから電子デバイスへの悪影響が懸念されている。その解決策の一つとして自己ドープ型のPEDOT誘導体を用いることが提案されている。例えば特許文献1〜3ではスルホン酸基を有する3,4−エチレンジオキシチオフェン誘導体を水溶液中で酸化重合することによって自己ドープ型のPEDOT誘導体が得られることが開示されている。これはPEDOTの側鎖として繰り返し単位毎にアルキル鎖を介してスルホン酸基を導入した化学構造を有する。これを合成する際用いるモノマーは非対称なので重合の際、反応位置の立体規則性について、いわゆる頭−頭(あるいは尾−尾)結合及び頭−尾結合を生じるが、従来法では立体規則性は制御できず、規則性の無い(レジオランダムな)PEDOT誘導体が得られる。
【0003】
一方、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)において、種々の立体規則性のある(レジオレギュラーな)ポリマーとレジオランダムなポリマーとがそれぞれ合成されている。レジオレギュラーP3HTはレジオランダムP3HTと比べて、それらの溶液又はフィルムの紫外−可視光吸収極大の長波長化、結晶性に優れること、更に電荷移動度の増大などが報告されている(非特許文献1,2)。更に、特許文献4及び非特許文献3にはレジオレギュラーな側鎖としてアルキル鎖を有するPEDOTの合成が報告されている。しかし、本明細書参考例−1に示したように、これら文献で開示されている方法と類似の方法で側鎖にスルホン酸基を有するレジオレギュラーな自己ドープ型ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)誘導体を合成することは出来ず、側鎖にスルホン酸基を有するレジオレギュラーな自己ドープ型ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)誘導体の合成法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,111,327号明細書
【特許文献2】国際公開第2014/007299号
【特許文献3】国際公開第2015/194657号
【特許文献4】韓国公開第2011/105239号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Journal of the American Chemical Society,117巻(1号),233頁(1995年).
【非特許文献2】Nature,401巻,685頁(1999年).
【非特許文献3】Journal of Nanoscience and Nanotechnology,12巻(5号),4335頁(2012年).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レジオレギュラーな自己ドープ型PEDOT誘導体が合成できれば、従来のレジオランダムな自己ドープ型PEDOT誘導体に比べ、優れた電気特性が期待されるが、これまで立体規則性を制御できる効率的な合成法は無い。頭−尾結合規則性を有する自己ドープ型ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)誘導体の製造に有用な中間体である2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エステルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、反応性の異なる2つの水酸基を有する3,4−ジヒドロキシチオフェン−2−カルボン酸エステルに2,3−ジブロモプロパノールを作用させると2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エステルを優先的に製造できることを見出し、さらに該2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エステルを鍵中間体として、頭−尾結合規則性を有する自己ドープ型ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)誘導体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は下記一般式(4)
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を表す。)
で示される2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エステル(以下、本発明のカルボン酸エステル(4)とも称する。)に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカルボン酸エステル(4)を用いれば、これまで製造が困難であった頭−尾結合型のレジオレギュラー性のある、側鎖を有するポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)誘導体の製造が可能である。また、当該レジオレギュラー性に基づいて、従来公知の導電性高分子の導電性を高めることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0013】
本発明のカルボン酸エステル(4)において、Rの炭素数1〜8の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、又は直鎖、分岐、若しくは環状の炭素数3〜8の炭化水素基を挙げることができ、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、シクロブチル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、アリル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、又はプロパギル基などを例示でき、これらのうち安価且つ取り扱いが容易な点で、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましく、メチル又はエチル基が更に好ましい。
【0014】
本発明のカルボン酸エステル(4)は、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルを出発原料として、次の一般反応式に示すように[工程1]、[工程2]及び[工程3]を経て製造することができる。
【0015】
【化2】
【0016】
(式中、Rは前記一般式(4)と同じ意味を表す。)
原料の3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸ジアルキルエステル(以下、ジカルボン酸ジエステル(6)とも称する。)は公知文献(例えば、O.Stephanら,Journal of Electroanalytical Chemistry,443巻217〜226頁(1998年).)を参考に製造することが出来る。以下、各工程について詳細に述べる。
【0017】
[工程1]は、ジカルボン酸ジエステル(6)に塩基1を作用させ、一方のカルボン酸エステルを加水分解した後、酸1で処理してジカルボン酸モノエステル(7)を製造する工程である。
【0018】
塩基1としては、2つのカルボン酸エステルの内1つだけを加水分解できれば特に制限は無いが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩基、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ヒドラジン、メチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、1,2−ジメチルヒドラジン、ピペラジン、グアニジンなどの有機塩基を例示することができ、これらを単独若しくは複数種類合わせて用いることができる。これらのうち、収率が良い点で、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムが好ましい。加水分解反応は有機溶媒及び水を用いて0〜120℃で数分〜数十時間撹拌することによって進行する。用いることのできる有機溶媒としてはヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン(DOX)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)などのエーテル、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノールなどのアルコール、アセトン、2−プロパノン(MEK)などのケトン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、1−メチルピロリジン−2−オン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの非プロトン性極性溶媒などをあげることができ、これらを単独又は二種類以上混合して用いることができる。
【0019】
酸1としては、カルボン酸塩をカルボン酸に変換し、ジカルボン酸モノエステル(7)が得られれば特に制限は無いが、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などをあげることができる。安価で操作性が良い点で塩酸が好ましい。
【0020】
[工程2]は、[工程1]で得られたジカルボン酸モノエステル(7)の脱炭酸反応によってモノカルボン酸エステル(8)を製造する工程である。脱炭酸反応の一般的な方法を述べる。脱炭酸反応については、カルボン酸の脱炭酸が進行してモノカルボン酸エステル(8)が得られれば特に制限は無く、公知の脱炭酸反応の条件を適用でき、ジカルボン酸モノエステル(7)に対し必要に応じて触媒と添加物とを加えて、120〜300℃で数分〜数十時間加熱することによりモノカルボン酸エステル(8)が得られる。前記の触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、酸化銅(II)、酸化銅(I)、酢酸銀などをジカルボン酸モノエステル(7)に対し0.001〜0.5当量用いることができる。又、前記の添加物としては、特に限定するものではないが、臭化カリウム、炭酸カリウム、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,10−フェナントロリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)などをジカルボン酸モノエステル(7)に対し0.001〜10当量用いることができる。脱炭酸反応は、DMF、DMAc、NMP、キノリン、スルホランなどの高沸点溶媒中で行うことが出来、超音波を照射することによって反応を促進させることができる。反応終了後はろ過、抽出、沈殿精製、カラムクロマトグラフィー精製など通常の精製操作を行うことによって、高純度のモノカルボン酸エステル(8)を製造できる。
【0021】
[工程3]は、[工程2]で得られたモノカルボン酸エステル(8)に、塩基2存在下、2,3−ジブロモ−1−プロパノールを反応させることによってカルボン酸エステル(4)を製造する工程である。塩基2としては、モノカルボン酸エステル(8)と2,3−ジブロモ−1−プロパノールとを反応させてカルボン酸エステル(4)を製造することができれば特に制限は無く、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの無機塩基を用いることができ、カルボン酸エステル(4)に対し0.1〜10当量、収率が良い点で好ましくは1〜3当量用いると良い。反応は、有機溶媒を用いて30〜120℃で数分〜数十時間撹拌することによって進行する。用いることのできる有機溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素、ジエチルエーテル、THF、DOX、CPMEなどのエーテル、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノールなどのアルコール、アセトン、MEKなどのケトン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、DMF、DMAc、NMP、DMSOなどの非プロトン性極性溶媒などをあげることができ、これらを単独又は二種類以上混合して用いることができる。反応終了後はろ過、抽出、沈殿精製、カラムクロマトグラフィー精製など通常の精製操作を行うことによって、高純度の本発明のカルボン酸エステル(4)を製造できる。
【0022】
本発明のカルボン酸エステル(4)を用いれば、(7−ハロ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノール(以下、アルコール(5)と称する。)を経由して、頭−尾結合規則性を有する自己ドープ型ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)誘導体を製造することが出来る。
【0023】
アルコール(5)は上記のカルボン酸エステル(4)を出発原料として、次の一般反応式に示すように[工程4]、[工程5]及び[工程6]を経て製造することができる。
【0024】
【化3】
【0025】
(式中、Rは前記一般式(4)と同じ意味を表す。Xは、塩素原子又は臭素原子を表す。)
以下、各工程について詳細に述べる。
【0026】
[工程4]は、上記のカルボン酸エステル(4)にハロゲン化剤1を作用させてハロゲン化カルボン酸エステル(9)を製造する工程である。ハロゲン化剤1としては、ハロゲン化カルボン酸エステル(9)が得られれば特に制限は無く、公知の塩素化剤又は臭素化剤を用いることができ、具体的には、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミドなどを例示することができる。カルボン酸エステル(4)とハロゲン化剤1との反応は、溶媒中で行ってもよく、該溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素、ジエチルエーテル、THF、DOX、CPMEなどのエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸、DMAc、DMFなどのアミドなどをあげることができ、これらを単独又は二種類以上混合して用いることができる。反応温度は、通常−50〜100℃の範囲から適宜選択できる。得られたハロゲン化カルボン酸エステル(9)はカラムクロマトグラフィーなどを用いて精製することができる。
【0027】
[工程5]は、[工程4]で得られたハロゲン化カルボン酸エステル(9)に塩基3を作用させてカルボン酸エステルを加水分解した後に、酸2で処理してハロゲン化カルボン酸(10)を製造する工程である。塩基3としては、カルボン酸エステルを加水分解して、続く酸処理によってハロゲン化カルボン酸(10)が得られれば特に制限は無く、前記の塩基1であげた塩基から選ぶことができる。加水分解反応の条件についても前記の塩基1を用いた加水分解反応で示した条件から選ぶことができる。酸2としては前記の酸1で示した酸から選ぶことができる。
【0028】
[工程6]は、[工程5]で得られたハロゲン化カルボン酸(10)の脱炭酸反応を行って、アルコール(5)を製造する工程である。脱炭酸反応の条件としては、カルボン酸の脱炭酸が進行してアルコール(5)が得られれば特に制限は無く、公知の脱炭酸反応の条件を適用でき、前記の[工程2]で述べた脱炭酸反応の方法を用いることができる。
【0029】
次に、アルコール(5)から、頭−尾結合規則性を有する自己ドープ型ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)誘導体を製造するために用いるモノマーを製造する方法について述べる。
【0030】
モノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(1a)
【0031】
【化4】
【0032】
(式中、aは、2又は3の整数を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。Xは、塩素原子又は臭素原子を表す。Zは、炭素数3〜8の炭化水素基を表す。)
で示される3,4−エチレンジオキシチオフェン構造を有するスルホン酸エステル(以下、EDOT(X,H)と称する。)、又は一般式(1b)
【0033】
【化5】
【0034】
(式中、aは2又は3の整数を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。Xは塩素原子又は臭素原子を表す。Zは、炭素数3〜8の炭化水素基を表す。Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子から選ばれ、且つXと異なる原子を表す。)
で示される3,4−エチレンジオキシチオフェン構造を有するスルホン酸エステル(以下、EDOT(X,X)と称する。)を挙げることができる。
【0035】
一般式(1a)及び(1b)において、aは、2又は3の整数を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。aとRの組み合わせに特に制限は無いが、原料を入手しやすい点で、aが2のときRは水素原子又はメチル基であることが好ましく、aが3のときRは水素原子であることが好ましい。
【0036】
Zの炭素数3〜8の炭化水素基としては、直鎖、分岐又は環状の炭素数3〜8の炭化水素基を挙げることができ、特に限定するものではないが、例えば、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、シクロブチル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、1−メチルヘプチル基、又は2−エチルヘキシル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、アリル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、又はプロパギル基などを例示でき、これらのうちモノマーの重縮合が容易且つ加水分解を制御しやすい点で、イソプロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、又は2−エチルヘキシル基が好ましく、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基又は2,2−ジメチルプロピル基が特に好ましい。
【0037】
一般式(1a)及び(1b)において、Xは、塩素原子又は臭素原子を表す。Xは、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれ、Xと異なる原子を表す。
【0038】
とXの組合せについては、上記の通り、XとXが相異なる点以外は特に限定されない。
【0039】
EDOT(X,H)(1a)は、次の一般反応式に示すように、アルコール(5)から[工程7]を経て製造することが出来る。
【0040】
EDOT(X,X)(1b)は、次の一般反応式に示すように、アルコール(5)から[工程7]及び[工程8]からなる<経路1>、及び[工程9]及び[工程10]からなる<経路2>のいずれかの経路で製造することができる。
【0041】
【化6】
【0042】
[工程7]は、アルコール(5)のスルホン酸エステル化反応によってEDOT(X,H)(1a)を製造する工程である。[工程7]のスルホン酸エステル化反応はさらに、[工程7−1]のアルキルスルホン酸塩化反応と、[工程7−2]のエステル化反応の2工程からなる。
【0043】
[工程7−1]は、アルコール(5)にアニオン化剤を作用させてアルコラートアニオンを生成させたところへ、環状スルトン化合物(12)を作用させることによって、スルホン酸塩(13)を製造する工程である。
【0044】
【化7】
【0045】
(式中、a及びRは前記一般式(1a)と同じ意味を表す。)
【0046】
【化8】
【0047】
(式中、a、R及びXは前記一般式(1a)と同じ意味を表す。(Mは、スルホン酸塩の許容される対カチオンを表す。)
[工程7−1]で用いるアニオン化剤としては、アルコールをアニオン化でき且つ副反応を抑制できれば特に制限は無いが、具体的には、水素化リチウム、水素化ナトリウム、フェニルリチウム、又はリチウムジイソプロピルアミドなどを例示できる。
【0048】
環状スルトン化合物(12)としては市販のものを用いることができ、具体的には、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−(1−メチル)プロパンスルトンなどを例示できる。対カチオン(Mは、用いた前記アニオン化剤によって自ずと決まり、例えばリチウムイオン、ナトリウムイオンなどであるが、溶解性の制御又は精製のために対カチオンをスルホン酸塩として許容される他の対カチオンに、イオン交換処理などによって変換することができる。
【0049】
[工程7−1]の反応は、有機溶媒中で円滑に進行し、該有機溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素、ジエチルエーテル、THF、DOX、CPMEなどのエーテル、DMAc、DMFなどのアミド、などの有機溶媒を単独又は二種類以上混合して用いることができる。反応温度は通常−80〜100℃の範囲から適宜選択できる。
【0050】
得られたスルホン酸塩(13)は抽出、濃縮、沈殿精製、再結晶精製、カラムクロマトグラフィーなどを用いて精製することができるが、そのまま次の[工程7−2]のエステル化反応に供しても良い。
【0051】
[工程7−2]は、スルホン酸塩(13)に塩素化剤を作用させてスルホン酸クロリド(14)とした後、アルコール(15)を反応させることにより、EDOT(X,H)(1a)を製造する工程である。
【0052】
【化9】
【0053】
(式中、a、R及びXは前記一般式(1a)と同じ意味を表す。)
【0054】
【化10】
【0055】
(式中、Zは前記一般式(1a)と同じ意味を表す。)
[工程7−2]で用いる塩素化剤としては、スルホン酸クロリド(14)を得られれば特に制限は無いが、副反応を抑制でき収率が良く経済性に優れる点で、塩化チオニル、二塩化オキサリル又は五塩化リンが好ましく、二塩化オキサリルが特に好ましい。塩素化剤を作用させる際、有機溶媒を用いることによって反応を円滑に進行させることができ、有機溶媒としてはヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素、ジエチルエーテル、THF、DOX、CPMEなどのエーテル、アセトン、MEKなどのケトン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素などをあげることができ、これらを単独又は二種類以上混合して用いることができる。又、反応を促進させるためにDMFを少量添加しても良い。反応温度は、通常−20〜150℃の範囲から適宜選択できる。
【0056】
スルホン酸クロリド(14)は、精製せずに、アルコール(15)を添加することにより本発明のEDOT(X,H)(1a)を製造できる。このときトリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基を添加すると、円滑に反応が進行する。得られたEDOT(X,H)(1a)はカラムクロマトグラフィーなどを用いて精製することができる。
【0057】
[工程8]は、EDOT(X,H)(1a)にハロゲン化剤2を加えてチオフェン環上の水素原子をXと異なる塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子に置換することにより、EDOT(X,X)(1b)を製造する工程である。
【0058】
[工程8]で用いるハロゲン化剤2としては、公知のハロゲン化剤を用いることができ、例えば、Cl、Br、I、二塩化スルフリル、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド、又は五塩化リンなどを例示できる。
【0059】
[工程8]のエステル化反応は、溶媒中で行ってもよく、該溶媒としてはヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素、ジエチルエーテル、THF、DOX、CPMEなどのエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素などをあげることができ、これらを単独又は二種類以上混合して用いることができる。又必要に応じて触媒量のDMFを添加しても良い。反応温度は通常−20〜100℃の範囲から適宜選択できる。得られたEDOT(X,X)(1b)はカラムクロマトグラフィーなどを用いて精製することができる。
【0060】
<経路2>は、前記<経路1>の[工程7]と[工程8]の順序を入れ替えた経路で有る。すなわち[工程9]は、アルコール(5)にハロゲン化剤2を加えてチオフェン環上の水素原子をXと異なる塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子に置換することにより、アルコール(11)を製造する工程であって、[工程8]における原料が異なる他は[工程8]と同じ方法で製造できる。[工程10]は、アルコール(11)のスルホン酸エステル化反応によってEDOT(X,X)(1b)を製造する工程であって、[工程7]と原料が異なる他は、[工程7]と同様に、[工程10−1]のアルキルスルホン酸塩化反応と、[工程10−2]のエステル化反応の2工程を経て、EDOT(X,X)(1b)を製造できる。
【0061】
EDOT(X,H)(1a)又はEDOT(X,X)(1b)を原料として重縮合を行うことにより、一般式(2)で示される繰り返し単位を有する、側鎖にスルホン酸エステル基を有する頭−尾結合型ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)誘導体(以下、HT−PEDOT(2)と称する。)を製造できる。
【0062】
【化11】
【0063】
(式中、a、R及びZは前記一般式(1a)と同じ意味を表す。)
EDOT(X,H)(1a)を原料として重縮合を行う場合、ルイス酸若しくはブレンステッド酸存在下の求電子置換重合(公知文献:B.Bonilloら,Journal of The American Chemical Society,134巻18916〜18919(2012年)、A.Balasubramanianら,Polymer Chemistry,5巻5928〜5941頁(2014年))、又はパラジウム触媒を用いて直接C−Hアリール化重縮合(公知文献:A.Kumarら,Polymer Chemistry,Polymer Chemistry,1巻286〜288頁(2010年)、Q.Wangら,Journal of The American Chemical Society,132巻11420〜11421頁(2010年)、Y.Fujinamiら,ACS Macro Letters,1巻67〜70頁(2012年)、H.Zhaoら,Macromolecules,45巻7783〜7790頁(2012年)、J.Kuwabaraら,Polymer Chemistry,6巻891〜895頁(2015年)、M.Wakiokaら,Macromolecules,48巻8382〜8388頁(2015年)、K.Fujitaら,Macromolecules,49巻1259〜1269頁(2016年))するなどの公知の方法を応用することにより、上記のHT−PEDOT(2)を製造できる。中でもポリマーの溶解性が優れる点で直接C−Hアリール化重縮合が好適に用いられる。
【0064】
EDOT(X,H)(1a)から直接C−Hアリール化重縮合を経て、上記のHT−PEDOT(2)を製造する一般的な方法について説明する。下記一般反応式
【0065】
【化12】
【0066】
(式中、a、R、XおよびZは前記一般式(1a)と同じ意味を表す。)
に示すように、重合の際、パラジウム触媒、リン配位子及び塩基4を用いる。
【0067】
パラジウム触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウムなどが好適に用いられ、基質に対して一般に0.1〜20mol%、好ましくは1〜10mol%添加すると良い。
【0068】
リン配位子としては、特に限定するものではないが、例えば、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(2−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(2−フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(2−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン、[2−(2−ジメチルアミノフェニル)フェニル]ジフェニルホスフィン、トリス(2−メチルスルファニルフェニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート、ジ(tert−ブチル)メチルホスホニウムテトラフルオロボラートなどをあげることができる。安価で入手が容易な点でトリフェニルホスフィン、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィンが好ましく、通常パラジウム触媒に対して2当量程度、添加すると良い。
【0069】
塩基4としては、上記のEDOT(X,H)(1a)が分解したり、重合を阻害したりしなければ特に制限は無く、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機弱塩基が好ましく、基質に対して0.5〜4当量、好ましくは1〜2当量程度、添加すると良い。直接C−Hアリール化重縮合は溶媒中で円滑に進行し、当該溶媒としては、反応を妨げなければ特に制限は無く、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素、ジエチルエーテル、THF、DOX、CPMEなどのエーテル、DMAc、DMF、NMPなどのアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノールなどのアルコール、水などの溶媒を単独又は二種類以上混合して用いることができる。反応温度は通常60〜150℃、好ましくは90〜130℃の範囲から適宜選択できる。
【0070】
EDOT(X,X)(1b)を原料として重縮合を行う場合、XとXとの反応性の違いを利用することによってHT−PEDOT(2)を製造できれば、特に重合方法に制限は無く、特に限定するものではないが、例えば、EDOT(X,X)(1b)から有機スズ化合物に誘導して右田−小杉−スティルカップリング(公知文献:J.K.Stille,Angewandte Chemie,International Edition in English,25巻508〜524頁(1986年))重合、EDOT(X,X)(1b)からホウ素化合物に誘導して鈴木−宮浦カップリング重合、又はグリニャール試薬とハロゲン原子との交換反応を用いてGrignard Metathesis(GRIM)重合(公知文献:R.S.Loeweら,Advanced Materials,11巻250〜253頁(1999年))するなどの公知の方法を応用することにより、HT−PEDOT(2)を製造できる。中でも重合効率が良い点で、GRIM重合が好適に用いられる。
【0071】
EDOT(X,X)(1b)からGRIM重合を経て、HT−PEDOT(2)を製造する一般的な方法について説明する。下記一般反応式
【0072】
【化13】
【0073】
(式中、a、R、X、XおよびZは前記一般式(1a)及び(1b)と同じ意味を表す。R’は、炭素数6以下のアルキル基を表す。Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)
に示すように、重合の際、グリニャール試薬(R’MgX)、ニッケル触媒を用いる。
【0074】
R’の炭素数6以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は直鎖、分岐、若しくは環状の炭素数3〜6のアルキル基を挙げることができ、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、シクロブチル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、又はシクロヘキシル基などをあげることができる。
【0075】
前記のグリニャール試薬は対応するアルキルハライドと金属マグネシウムを作用させて調製できるが、市販されているメチルマグネシウムヨージド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、sec−ブチルマグネシウムブロミド、tert−ブチルマグネシウムクロリド、tert−ブチルマグネシウムブロミド、シクロヘキシルマグネシウムクロリド、シクロヘキシルマグネシウムブロミドなどのシクロヘキサン溶液、トルエン溶液、ジエチルエーテル溶液、THF溶液などを用いても良い。
【0076】
前記のニッケル触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド(Ni(dppe)Cl)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド(Ni(dppp)Cl)などが好適に用いられる。
【0077】
GRIM重合は溶媒中で円滑に進行し、溶媒としては反応を妨げなければ特に制限は無く、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素、ジエチルエーテル、THF、DOX、CPMEなどのエーテルなどの溶媒を単独又は二種類以上混合して用いることができる。反応温度は通常0〜120℃、好ましくは0〜100℃の範囲から適宜選択できる。
【0078】
各種重縮合で得られたHT−PEDOT(2)は空気中の酸素などの影響によりドープが進むため凝集しやすくなる。このような場合は、例えばドープの進んだHT−PEDOT(2)の分散溶液にヒドラジンなどの還元剤を加えるなどの脱ドープ処理を行うことによって、有機溶媒に可溶なHT−PEDOT(2)を得ることができる。
【0079】
HT−PEDOT(2)の分子量は、重量平均分子量、数平均分子量、粘度平均分子量など測定方法に応じて示すことができる。重量平均分子量(Mw)に関しては、1,000〜1,000,000であることが好ましく、重合体の性質の制御及び加工性などの観点から2,000〜500,000であることが更に好ましい。分子量分布(Mw・Mn−1)に特に制限はないが、概ね1〜20の範囲であることが好ましく、重合体の均一性の観点から1〜5の範囲であることが更に好ましい。分子量の算出方法として、ポリスチレンやポリエチレングリコールなどの標準試料を基準に換算するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法、粘度法、光散乱法など公知の方法をあげることができる。
【0080】
HT−PEDOT(2)は、溶媒洗浄、沈殿精製、遠心沈降、限外ろ過、透析、脱ドープ処理、イオン交換樹脂処理などの方法を組み合わせて精製してから、スルホン酸エステル基の加水分解処理を行って一般式(3)で示される繰り返し単位を有する、頭−尾結合規則性を有する自己ドープ型ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)誘導体(以下、HT−PEDOT(3)と称する。)とすることができるが、HT−PEDOT(2)を精製せず該加水分解処理を行ってHT−PEDOT(3)としてもよい。
【0081】
【化14】
【0082】
(式中、a、Rは前記一般式(1a)と同じ意味を表す。Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン又は置換されていても良いアンモニウムイオンを表す。)
一般式(3)で示されるHT−PEDOT(3)において、Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン、又は置換されていても良いアンモニウムイオンを表す。
【0083】
におけるアルカリ金属イオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンなどを例示することができる。
【0084】
における置換されていても良いアンモニウムイオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、アンモニウムイオン(NH)、トリメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、プロピルアンモニウムイオン、ジプロピルアンモニウムイオン、トリプロピルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、ブチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、ビス(2−メチルプロピル)アンモニウムイオン、トリス(2−メチルプロピル)アンモニウムイオン、ペンチルアンモニウムイオン、ジペンチルアンモニウムイオン、ヘキシルアンモニウムイオン、ジヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、ジオクチルアンモニウムイオン、トリオクチルアンモニウムイオン、ジオクチルメチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオン、ビス(2−エチルヘキシル)アンモニウムイオン、デシルアンモニウムイオン、ジデシルメチルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、ドデシルジメチルアンモニウムイオン、ジドデシルアンモニウムイオン、ジドデシルメチルアンモニウムイオン、テトラデシルアンモニウムイオン、ヘキサデシルアンモニウムイオン、ヘキサデシルジメチルアンモニウムイオン、オクタデシルアンモニウムイオン、ジメチルオクタデシルアンモニウムイオンなどを例示できる。これらのうち、安価で合成しやすい点で、アンモニウムイオン(NH)、トリメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、プロピルアンモニウムイオン、ジプロピルアンモニウムイオン、トリプロピルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、ブチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、ヘキシルアンモニウムイオン、ジヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、ジオクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオン、ビス(2−エチルヘキシル)アンモニウムイオン、デシルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、ドデシルジメチルアンモニウムイオン、テトラデシルアンモニウムイオン、ヘキサデシルアンモニウムイオン、ヘキサデシルジメチルアンモニウムイオン、オクタデシルアンモニウムイオン、又はジメチルオクタデシルアンモニウムイオンが好ましい。
【0085】
上記の加水分化処理について説明する。加水分解の方法はスルホン酸エステル基の加水分解反応以外の副反応を抑制できれば特に制限は無いが、具体的にはHT−PEDOT(2)にAlBrやTiClなどのルイス酸を作用させる方法、LiI、LiBr、LiCl、NaI、NaBr、NaCl、KI、KBr、KClなどのハロゲン化アルカリ塩を作用させる方法(公知文献:例えば、Florian M.Kochら,Chemistry−A European Journal,17巻,3679〜3692頁(2011年)、Mori Hideharuら,Macromolecules,43巻,7021〜7032頁(2010年)、Christopher C.Kotorisら,The Journal of Organic Chemistry,63巻,8052〜8057頁(1998年))、塩酸、硫酸、硝酸、トリフルオロ酢酸などの酸を作用させる方法、ブチルジメチルアミン、ヘキシルジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタンなどの第三級アミンを作用させる方法(公知文献:例えば、J.F.Kingら,Journal of the American Chemical Society,104巻,7108〜7122頁(1982年)、Maria Mahrovaら,Journal of Chemical & Engineering Data,57巻,241〜248頁(2012年))などがあげられるが、加水分解の効率が良い点で、ハロゲン化アルカリ塩を作用させる方法及び三級アミンを作用させる方法が好ましい。
【0086】
ハロゲン化アルカリ塩又は第三級アミンを用いて加水分解する際、用いるハロゲン化アルカリ塩又は第三級アミンの量に特に制限は無く、化学構造や加水分解させる割合などを考慮して適宜添加量を決めれば良いが、HT−PEDOT(2)のスルホン酸エステル基のモル量に対し、0.1〜100当量用いれば良く、加水分解させる割合を制御しやすい点で0.5〜50当量を用いることが好ましい。本発明の製造法は溶媒中で実施してもよい。該溶媒としてはヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、THF、DOX、CPMEなどのエーテル系溶媒、DMF、DMAcなどのアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、アセトン、MEKなどのケトン系溶媒、水などをあげることができ、これらを単独又は二種類以上混合して用いることができる。反応溶媒の量には制限はない。
【0087】
HT−PEDOT(2)を加水分解する際の反応温度は、通常0〜150℃の範囲から適宜選択でき、反応効率の点で室温〜120℃であることが好ましい。
【0088】
HT−PEDOT(2)を加水分解することによって得られるHT−PEDOT(3)の精製法としては、特に制限は無いが例えば、溶媒洗浄、沈殿精製、遠心沈降、限外ろ過、透析、脱ドープ処理、イオン交換樹脂処理などがあげられ、それぞれ単独又は複数組み合わせることができる。
【0089】
HT−PEDOT(2)及びHT−PEDOT(3)のいずれか単独で、又はHT−PEDOT(2)及びHT−PEDOT(3)を任意の割合で混合して調製したものを導電性ポリマーとして用いることが出来る。あるいはHT−PEDOT(2)の一部繰り返し単位をHT−PEDOT(3)へと変換したものも、導電性ポリマーとして用いることが出来る。HT−PEDOT(2)及びHT−PEDOT(3)の混合の割合、及びHT−PEDOT(2)の一部繰り返し単位をHT−PEDOT(3)へと変換する割合に特に制限は無く、該導電性ポリマーの導電性、溶解性、分散性、吸湿性、酸性、成膜性、塗膜性などを鑑みて適宜決めれば良い。
【0090】
又、必要に応じてスルホン酸塩(−SOにおいてMが水素イオンでない場合)をイオン交換樹脂で処理することにより酸型(−SOH)に変換して供することができる。
【0091】
導電性、溶媒への分散性、成膜性、吸湿性や酸性などを制御するために、HT−PEDOT(2)やHT−PEDOT(3)に添加物を加えて導電性ポリマー組成物とすることができる。該添加物としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ナフィオン(TM)類、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリ(1−ビニルピロリジン−2−オン)、ポリ(3−ビニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン)、ポリ(1−ビニル−1,3−イミダゾリジン−2−オン)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリ(アルキルアクリルアミド)類、セルロース類、フラーレン類、カーボンナノチューブ類、ジメチルスルホキシド、DMF、エチレングリコール、オリゴ(ポリ)エチレングリコール、ブタンジオール、オリゴ(ポリ)テトラメチレングリコール、メチルセロソルブ、又はブチルセロソルブなどを例示でき、単独又は複数種類用いても良い。該添加物の(総)量は、HT−PEDOT(2)及び/又はHT−PEDOT(3)の重量に対し50重量%以下であることが好ましく、HT−PEDOT(2)及び/又はHT−PEDOT(3)の特徴を示しやすい点で、10重量%以下であることが好ましい。該導電性ポリマー又は導電性ポリマー組成物を溶媒に溶解又は分散させて、導電性ポリマー溶液とすることができる。用いることのできる溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素、ジエチルエーテル、THF、DOX、CPMEなどのエーテル、DMF、DMAcなどのアミド、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、MEKなどのケトン、水などをあげることができ、これらを単独又は二種類以上混合して用いることができる。該導電性ポリマー溶液中の導電性ポリマーの濃度は特に制限は無いが、通常、50重量%以下が好ましく、扱いやすさの点で20重量%以下であることが好ましい。
【0092】
該導電性ポリマー又は導電性ポリマー組成物を溶媒に溶解又は分散させて溶液を調製する際、マグネチックスターラーチップ、メカニカルスターラーの撹拌翼を用いて混合できるが、必要に応じて超音波照射の他、メカニカルホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどを用いた処理を適宜組み合わせて混合することができる。調製時の温度は概ね100℃以下が良い。
【0093】
該導電性ポリマー、導電性ポリマー組成物、又は導電性ポリマー溶液を電極又は電子デバイスに用いる際の形状は特に制限は無く、基板に密着した被膜状、フィルム状、粒子状、繊維状など必要に応じて選択することができる。被膜状に成形する場合、該導電性ポリマー溶液を基材に塗布し、乾燥することで得られる。基材としては、被膜を形成できれば材質、形状に特に制限は無いが、基材の材質としては、例えば、ガラス、セラミックス、シリカ、アルミナなどの無機基材、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、セルロースなどのポリマー基材、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレア樹脂などの樹脂基材などをあげることができる。基材の形状としては緻密膜、圧縮成形膜、多孔質膜、粒子、織布、不織布など自由に選択できる。塗布法としては特に制限は無いが、例えば、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、インクジェット印刷法などをあげることができる。膜厚としては特に制限は無いが、通常0.01〜200μm程度である。被膜の乾燥は大気下もしくは窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下、常圧もしくは減圧下行うことができ、乾燥時の温度は概ね室温〜100℃の範囲で数時間〜数日かけて行うことができる。形成した被膜の導電性としては特に制限は無く用途に応じて広く制御可能であるが、電気伝導度で概ね0.001〜1000S・cm−1程度である。
【0094】
該導電性ポリマー、導電性ポリマー組成物、又は導電性ポリマー溶液、及びそれらから作製された電極や電子デバイスは、例えば、静電気防止材料、ディスプレー用透明電極、光電変換素子用電極、固体電解コンデンサ用固体電解質、アルミ固体電解コンデンサ用セパレータ、有機半導体などへの応用が可能である。
【実施例】
【0095】
以下、実施例及び参考例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0096】
得られたポリマーの分子量はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の結果から求めた。SECシステムはGLサイエンス社製GL−7400(検出器:GL−7456、カラム(4本): TSKgel SuperH5000、H4000×2、H2000、カラム温度:40℃、展開溶媒:0.01MのLiClのDMF溶液、標準ポリスチレン換算)を用いた。
【0097】
参考例−1
先行技術文献の特許文献4を参考に行った4−[(7−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピルの合成検討
【0098】
【化15】
【0099】
アルゴン雰囲気下、4−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピル(379mg,1.00mmol)をDMF 1mLに溶解し、これに氷浴下でN−ブロモスクシンイミド(160mg,0.899mmol)を加え、氷浴下で2時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し水で洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで脱水した。これを濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1のTEA 1%溶液)で精製を試みた。無色液体を362mg得た。H−NMRスペクトルにおけるチオフェン環上の水素原子の積分値から、4−[(7−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピル/4−[(5−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピル=45/55(%)混合物であった。
【0100】
実施例−1
2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エチルの合成
【0101】
【化16】
【0102】
アルゴン雰囲気下、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸ジエチル(33.9g,130mmol)と水酸化リチウム(15.6g,651mmol)をDMSO 240mLに溶解し、90℃で24時間撹拌した。氷浴中で冷やしながら反応溶液を6N塩酸で酸性とし、生成した沈殿をろ過、乾燥することで無色固体の5−(エトキシカルボニル)−3,4−ジヒドロキシチオフェン−2−カルボン酸を21.0g得た(収率:69.5%)。H−NMR(400MHz,DMSO−d,ppm),δ:1.27(3H,t,J=7.1Hz),4.26(2H,q,J=7.1Hz),10.28(3H,bs).
アルゴン雰囲気下、5−(エトキシカルボニル)−3,4−ジヒドロキシチオフェン−2−カルボン酸(21.0g,90.5mmol)及び酸化銅(II)(1.50g,18.8mmol)をDMF 400mLに溶解し、6時間加熱還流した。DMFを留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで脱水後、濃縮することにより茶色粘性液体の3,4−ジヒドロキシチオフェン−2−カルボン酸エチルを8.74g(収率:51.3%)得た。H−NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:1.38(3H,t,J=7.1Hz),4.37(2H,q,J=7.1Hz),5.40(1H,bs),6.56(1H,s),9.48(1H,bs).
アルゴン雰囲気下、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2−カルボン酸エチル(8.74g,46.4mmol)をDMFに溶解し、これに2,3−ジブロモ−1−プロパノール(8.90mL,70.1mmol)、ヨウ化カリウム(159mg,0.959mmol)及び炭酸セシウム(33.6g,103mmol)を加え、90℃で24時間撹拌した。DMFを留去し、残渣にクロロホルムを加え、不溶物をろ別し、ろ液を水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=1/2のトリエチルアミン(TEA) 1%溶液)で精製することにより、無色液体の2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エチルを4.01g(収率:35.6%)得た。尚、このものは2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−7−カルボン酸エチルを24%含んでいた。H−NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:1.35(3H,t,J=7.1Hz),3.85〜3.93(2H,m),4.10〜4.37(4H,m),4.45(1H,d,J=10.6Hz),6.58(1H,s).
参考例−2
(7−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノールの合成
【0103】
【化17】
【0104】
実施例−1の方法で合成した2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エチル(4.01g,16.5mmol)をアルゴン雰囲気下、THF 75mLに溶解し、これにN−ブロモスクシンイミド(3.27g,18.3mmol)を加え、0℃で3時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈及び水で洗浄し、有機層を硫酸マクネシウムで脱水後、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1のTEA 1%溶液)で精製することにより、無色液体の7−ブロモ−2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エチル(尚、このものは7−ブロモ−3−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エチルを不純物として含むと推測される。)を4.48g(収率:83.0%)得た。H−NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:1.34(3H,t,J=7.1Hz),3.85〜4.00(2H,m),4.25(1H,dd,J=8.1,11.3Hz),4.28〜4.35(1H,m),4.31(2H,q,J=7.1Hz),4.46(1H,dd,J=1.7,11.3Hz).
上記で合成した7−ブロモ−2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸エチル(4.48g,13.9mmol)をアルゴン雰囲気下、エタノール 14mLに溶解し、これに水酸化ナトリウム(8.36g,209mmol)水溶液 14mLを加え、80℃で2時間撹拌した。反応溶液を半分程度まで濃縮した後、氷浴下で冷やしながら12N塩酸で酸性とし、生成した沈殿をろ取して乾燥することにより無色固体の7−ブロモ−2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸(尚、このものは7−ブロモ−3−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸を不純物として含むと推測される。)を4.04g(収率:98.6%)得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,ppm),δ:3.65(2H,m),4.13(1H,dd,J=7.7,11.8Hz),4.27(1H,m),4.43(1H,dd,J=2.1,11.8Hz),5.20(1H,t,J=5.4Hz).
上記で合成した7−ブロモ−2−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−カルボン酸(4.04g,13.7mmol)及び酸化銅(II)(218mg,2.74mmol)をアルゴン雰囲気下、DMF 50mLに溶解し、6時間還流温度で撹拌した。DMFを留去し、残渣をクロロホルムに溶解し、水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで脱水後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1のTEA 1%溶液)で精製することにより、無色液体の7−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノールを1.33g(収率:38.7%)得た。尚、このものは5−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノールを4%含んでいた。H−NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:2.01(1H,bs),3.87(1H,dd,J=4.9,12.2Hz),3.94(1H,dd,J=4.4,12.2Hz),4.11(1H,dd,J=7.9,11.8Hz),4.25(1H,dd,J=2.3,11.8Hz),4.27〜4.32(1H,m),6.35(1H,s).
参考例−3
4−[(7−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピルの合成
【0105】
【化18】
【0106】
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(55%)215mg(118mg,4.88mmol)をヘキサンで洗浄し、真空で乾燥後、TEA 120μLを含むTHF溶液 4mLに懸濁し、これに参考例−2の方法で合成した7−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノール(1.11g,4.42mmol)とTEA 120μLを含むTHF溶液 4mLをゆっくりと滴下し、氷浴下で15分間撹拌した後、室温で1時間撹拌した。その後再び氷浴下とし、2,4−ブタンスルトン(470μL,4.52mmol)のTHF(4mL)溶液をゆっくりと滴下し、室温で2時間撹拌した。反応後、THFを減圧下で留去し、褐色粘性固体の4−[(7−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸ナトリウムを得た。これは特に精製を行うことなく、次の反応に用いた。H−NMR(400MHz,DO,ppm),δ:1.14(3H,d,J=6.9Hz),1.52(1H,m),2.08(1H,m),2.83(1H,m),3.51〜3.71(4H,m),3.99(1H,dd,J=6.3,12.1Hz),4.15(1H,dd,J=1.8,12.1Hz),4.36(1H,m),4.62(1H,s).
上記で合成した4−[(7−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸ナトリウムをアルゴン下、THF/クロロホルム(=1/1体積比)の混合溶媒 12mLに溶解し、DMFを5滴加えて氷浴で冷やした。ここへ二塩化オキサリル 380μL(4.65mmol)をゆっくりと加え、1時間撹拌した。反応溶液を濃縮し、4−[(7−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸クロリドを得た。H−NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:1.64(3H,d,J=6.7Hz),1.93(1H,m),2.55(1H,m),3.62〜3.80(4H,m),3.86(1H,m),4.06(1H,m),4.22(1H,dd,J=2.3,11.8Hz),4.33〜4.39(1H,m),6.35(1H,s).
アルゴン雰囲気下、2,2−ジメチル−1−プロパノール 474mg(5.38mmol)及びTEA 930μL(6.67mmol)をクロロホルム 18mLに溶解し、これに上記で合成したスルホン酸クロリドのクロロホルム溶液 18mLをゆっくりと滴下し、氷浴下、2時間撹拌した。反応溶液を水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで脱水後、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1のTEA 1%溶液)で精製することにより、無色液体の4−[(7−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピルを1.33g(収率:65.7%)得た。H−NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:0.99(9H,s),1.45(3H,d,J=6.9Hz),1.82(1H,m),2.37(1H,m),3.38(1H,m),3.60〜3.79(4H,m),3.88(2H,s),4.05(1H,m),4.22(1H,dd,J=2.3,11.8Hz),4.35(1H,m),6.41(1H,s).
参考例−4
4−[(7−ブロモ−5−ヨード−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピルの合成
【0107】
【化19】
【0108】
参考例−3の方法で合成した4−[(7−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピル(1.37g,3.00mmol)をアルゴン雰囲気下、THF 15mLに溶解し、氷浴下、これにN−ヨードスクシンイミド(709mg,3.15mmol)及び酢酸 2.5mLを加え、室温で2時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し水で洗浄後、有機層を硫酸マクネシウムで脱水した。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1のTEA 1%溶液)で精製することにより、無色液体の4−[(7−ブロモ−5−ヨード−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピルを1.35g(収率:77.2%)得た。H−NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:0.99(9H,s),1.46(3H,d,J=6.9Hz),1.82(1H,m),2.37(1H,m),3.38(1H,m),3.61〜3.78(4H,m),3.88(2H,s),4.11(1H,m),4.24〜4.37(2H,m).
参考例−5
酢酸パラジウムの配位子としてP(2−MeOPh)を用いた4−[(7−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピルのC−H直接アリール化重合(HT−PEDOT(2)−1)
【0109】
【化20】
【0110】
アルゴン雰囲気下、参考例−3の方法で合成した4−[(7−ブロモ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピル(637mg,1.39mmol)をDMF 1.5mLに溶解し、酢酸パラジウム(64.2mg,0.286mmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(197mg,0.559mmol)及び炭酸セシウム(453mg,1.39mmol)を加え、100℃で48時間撹拌した。反応溶液を過剰量のメタノール/水(=1/1(v/v))混合溶媒に投入して生成した沈殿を濾取して黒色固体の頭−尾結合型ポリ(4−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピル)(HT−PEDOT(2)−1)を582mg得た。
【0111】
アルゴン雰囲気下、HT−PEDOT(2)−1(200mg)をエタノール 2mLに懸濁し、これにヒドラジン一水和物 2mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応溶液にエタノール 200mLを加えた後、沈殿を濾取してエタノールで洗浄した。黒色粉末(脱ドープ処理したHT−PEDOT(2)−1)を142mg得た。SEC測定の結果、Mnは20,100、Mwは42,900であった。
【0112】
参考例−6
HT−PEDOT(3)−1(Li塩体)の合成
【0113】
【化21】
【0114】
アルゴン雰囲気下、参考例−5の方法で合成した脱ドープ処理したHT−PEDOT(2)−1(137mg)を脱気した2−ブタノン 10mLに懸濁し、臭化リチウム(925mg,10.7mmol)を加えて、90℃で4日間撹拌した。沈殿を濾取し、2−ブタノンで洗浄することにより、黒色粉末状のHT−PEDOT(3)−1(Li塩体)を115mg得た。
【0115】
参考例−7
4−[(7−ブロモ−5−ヨード−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピルのGRIM重合(HT−PEDOT(2)−3)
【0116】
【化22】
【0117】
アルゴン雰囲気下、参考例−4の方法で合成した4−[(7−ブロモ−5−ヨード−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピル(413mg,708μmol)をTHF 1.4mLに溶解し、これに2M tert−ブチルマグネシウムクロリド−ジエチルエーテル溶液(355μL,710μmol)を加え、氷浴下で30分間撹拌した。更に室温で1時間撹拌した後、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド(Ni(dppp)Cl)(4.00mg,7.08μmol)を加え、50℃で24時間撹拌した。反応溶液をメタノールに投入して生成した沈殿を濾取し、黒色粉末を得た。
【0118】
アルゴン雰囲気下、上記で得られた黒色粉末をエタノール 2mLに懸濁し、これにヒドラジン一水和物 2mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応溶液に水を加え、生成した沈殿を濾取することにより、脱ドープ処理した頭−尾結合型ポリ(4−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]ブタン−2−スルホン酸2,2−ジメチルプロピル)(HT−PEDOT(2)−3)を140mg得た。SEC測定の結果、Mnは21,600、Mwは42,300であった。
【0119】
参考例−8
HT−PEDOT(3)−3(Li塩体)の合成
【0120】
【化23】
【0121】
アルゴン雰囲気下、参考例−7の方法で合成した脱ドープ処理したHT−PEDOT(2)−3(95mg)を脱気した2−ブタノン 20mLに懸濁し、臭化リチウム(419mg,4.82mmol)を加え、90℃で4日間撹拌した。沈殿を濾取して2−ブタノンで洗浄することにより、HT−PEDOT(3)−3(Li塩)を90mg得た。