(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021046803
(43)【公開日】20210325
(54)【発明の名称】ヒートインシュレータ
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/08 20060101AFI20210226BHJP
   F01N 13/14 20100101ALI20210226BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20210226BHJP
   F01N 1/06 20060101ALI20210226BHJP
   F02B 77/13 20060101ALI20210226BHJP
【FI】
   !F01N1/08 F
   !F01N13/14
   !F01N13/08 A
   !F01N1/06 Z
   !F02B77/13 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】2019168651
(22)【出願日】20190917
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】進藤 吉高
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】住 範彦
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004BA01
3G004CA13
3G004DA14
3G004DA21
3G004EA05
3G004FA04
3G004GA04
(57)【要約】
【課題】貫通孔を有する対向配置された2枚の板材からなるヒートインシュレータにおいて、貫通孔を通過する音波の通り道を確保する機構を提供すること。
【解決手段】エキマニに適用される第1ヒートインシュレータ11は、第1板材20と第2板材30の2枚の板材で構成される。第1板材20は複数の第1貫通孔25を有しており、第2板材30は複数の第2貫通孔35を有している。第1板材20及び第2板材30は少なくとも一方が非平板状になっているとともに、互いに向き合って配置されている。また、第1板材20に開孔された第1貫通孔25よりも、第2板材に開孔された第2貫通孔35の方の開口面積が大きくなっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気系に適用されるヒートインシュレータであって、
複数の貫通孔を有する第1板材と、複数の貫通孔を有する第2板材とを備え、
前記第1板材及び前記第2板材の少なくとも一方は、非平板状になっているとともに前記第1板材と前記第2板材とが互いに向き合って配置されており、
前記第1板材に開孔された前記貫通孔の1つ当たりの開口面積よりも、前記第2板材に開孔された前記貫通孔の1つ当たりの開口面積の方が大きくなっている
ことを特徴とするヒートインシュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関の排気系に適用されるヒートインシュレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多数の貫通孔を備えた板材からなるヒートインシュレータが開示されている。特許文献1のヒートインシュレータは、波形状の金属板と平板状の背面板とが互いに向かい合って配置されている。また、波形状の金属板には、複数の貫通孔が貫通している。金属板の貫通孔内を音波が通過する際、貫通孔の孔内における空気と貫通孔の内壁面との摩擦によってエネルギー減衰が生じ、音波が減衰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−281379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなヒートインシュレータにおいて、対向配置された2つの板材それぞれに貫通孔を設けることが考えられる。この場合、音波の減衰効果を効果的に得るためには、板材の厚み方向から視たときに、一方の板材の貫通孔の位置と他方の板材の貫通孔の位置とが一致していることが好ましい。しかしながら、2つの板材それぞれについて、同一径の貫通孔を同一ピッチで形成しても、各板材を立体的に加工すると、一方の板材と他方の板材を向き合わせて配置した際にそれぞれの貫通孔の位置にずれが生じることがある。このように、2つの板材間で貫通孔の位置がずれると、音波の通り道の一部が塞がれることになり、十分な吸音性能を発揮できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、内燃機関の排気系に適用されるヒートインシュレータであって、複数の貫通孔を有する第1板材と、複数の貫通孔を有する第2板材とを備え、前記第1板材及び前記第2板材の少なくとも一方は、非平板状になっているとともに前記第1板材と前記第2板材とが互いに向き合って配置されており、前記第1板材に開孔された前記貫通孔の開口面積よりも、前記第2板材に開孔された前記貫通孔の開口面積の方が大きくなっていることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、第1板材の厚み方向から視たときに、当該第1板材の貫通孔が、第2板材の貫通孔の範囲内に位置する可能性が高く、第1板材の貫通孔の塞がりを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ヒートインシュレータの概略図。
【図2】ヒートインシュレータの一部拡大平面図。
【図3】ヒートインシュレータの断面図。
【図4】コルゲート加工を施す前の第1板材及び第2板材である第1平板及び第2平板の金属板の断面図。
【図5】従来技術におけるコルゲート加工を施す前の平板の断面図。
【図6】従来技術における平板の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
先ず、ヒートインシュレータが適用されるエキゾーストマニホールド10(以下、エキマニ10と略称する。)について説明する。
図1に示すように、エキマニ10の上流側は4つの分岐管14に分かれている。各分岐管14の上流端においては、各分岐管14の径方向外側へフランジ13が張り出している。フランジ13は、4つの分岐管14の上流端に跨っている。すなわち、4つの分岐管14の上流端は、フランジ13によって連結されている。なお、このフランジ13は、図示しないシリンダヘッドの排気ポートに固定されている。そして、シリンダヘッドの4つの排気ポートから排出される排気が、各分岐管14の内部へと流通する。4つの分岐管14の下流端には、1つの集合管15が接続されている。集合管15の途中には、触媒16が搭載されている。触媒16は、いわゆる三元触媒であり、排気中に含まれる炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物を除去する。集合管15の下流端は、図示しない排気管に接続されている。
【0009】
次に、上記のエキマニ10に適用されるヒートインシュレータの概略構成について説明する。
図1に示すように、エキマニ10には、第1ヒートインシュレータ11及び第2ヒートインシュレータ12の2組のインシュレータが取り付けられている。第1ヒートインシュレータ11は、全体として板状になっている。第1ヒートインシュレータ11は、平面視すると略台形状になっている。そして、第1ヒートインシュレータ11の両側部は、厚み方向の一方側に向けて湾曲している。
【0010】
第2ヒートインシュレータ12は、第1ヒートインシュレータ11と同様に、全体として平面視すると略台形状の板状になっている。第1ヒートインシュレータ11の両側部は、厚み方向の一方側に向けて湾曲している。なお、後述するとおり、第1ヒートインシュレータ11及び第2ヒートインシュレータ12は、いずれも2枚の板材によって構成されているが、図1では、簡略化して1枚の板材であるかのように図示している。
【0011】
第1ヒートインシュレータ11は、湾曲の内側にエキマニ10が位置するように、図示しないボルトを介してエキマニ10に固定されている。第1ヒートインシュレータ11は、台形の長辺がエキマニ10の上流側、台形の短辺がエキマニ10の下流側を向くように、配置されている。
【0012】
第2ヒートインシュレータ12は、エキマニ10を挟んで第1ヒートインシュレータ11とは反対側に配置されている。第2ヒートインシュレータ12は、第1ヒートインシュレータ11と同様に、湾曲の内側にエキマニ10が位置するように、図示しないボルトを介してエキマニ10に固定されている。また、第2ヒートインシュレータ12は、台形の長辺がエキマニ10の上流側、台形の短辺がエキマニ10の下流側を向くように、配置されている。第2ヒートインシュレータ12の湾曲した側部の先端縁は、第1ヒートインシュレータ11の湾曲した側部の先端縁に突き合わされている。したがって、第2ヒートインシュレータ12及び第1ヒートインシュレータ11全体として筒形状になっていて、その筒形状の内部空間内にエキマニ10が挿通されている。
【0013】
次に、第1ヒートインシュレータ11の構造について詳述する。なお、第2ヒートインシュレータ12の構造は、第1ヒートインシュレータ11と略同一であるため、詳しい説明を省略する。
【0014】
図2及び図3に示すように、第1ヒートインシュレータ11は、エキマニ10に近い側の第1板材20と、その外側に配置される第2板材30とで構成されている。第1板材20と第2板材30とは互いに向き合って配置されている。
【0015】
図3に示すように、第1板材20の形状は、いわゆるコルゲート形状になっている。具体的には、第1板材20は、当該第1板材20の厚み方向に隆起した複数の第1隆起部21を備えている。複数の第1隆起部21は、第1板材20を平面視したときに、当該第1板材20の台形の高さ方向に延びている。また、各第1隆起部21は、互いに平行に延びている。したがって、第1板材20は、断面視すると、湾曲した一方の側部の先端縁から他方の側部の先端縁に向かう方向において、平面状の第1谷部22と、第1谷部22から隆起する第1隆起部21とが交互に繰り返された構造になっている。
【0016】
第1隆起部21は、第1谷部22の縁から立ち上がる一対の側壁23と、側壁23の先端を相互に連結する平坦な頂部24とで構成されている。一対の側壁23の間隔は、隆起の先端側に向かうほど幅広になっている。したがって、第1隆起部21は断面視すると隆起の先端側を長辺とする略台形状になっている。また、この実施形態では、第1隆起部21が有する平坦な頂部24の幅と、第1谷部22の平面の幅とは等しくなっている。
【0017】
また、第1板材20においては、その厚み方向に複数の第1貫通孔25が貫通している。各第1貫通孔25はいずれも同じ孔径の円形状になっている。第1板材20に形成する第1貫通孔25の孔径は、第1隆起部21が有する平坦な頂部24の幅の3分の1程度の大きさになっている。第1板材20を、第1隆起部21の並設方向の断面で視た際、隣り合う第1貫通孔25の中心間の距離である第1貫通孔ピッチP1は一定になっている。また、第1貫通孔ピッチP1は、第1貫通孔25の孔径の約2倍になっている。また、第1貫通孔25は、第1隆起部21の延びる方向に対しても第1貫通孔ピッチP1と同じピッチで配置されている。なお、本実施形態において、第1貫通孔ピッチP1は、第1板材20の表面上を沿う長さで表される。換言すると、第1板材20を第1隆起部21のない平板状に引き延ばしたときの第1貫通孔25の中心間の距離を第1貫通孔ピッチP1としている。
【0018】
図2及び図3に示すように、第2板材30は、第1板材20と同一のコルゲート形状をしている。すなわち、図3に示すように、第2板材30も、台形の高さ方向に延びる複数の第2隆起部31と、隣り合う第2隆起部31の間に位置する複数の第2谷部32とを有している。また、第2隆起部31は、一対の側壁33と頂部34とで構成されている。
【0019】
図3に示すように、第2板材30も第1板材20と同様に、その厚み方向に複数の第2貫通孔35が貫通している。各第2貫通孔35はいずれも同じ孔径の円形状になっている。第2板材30に形成する第2貫通孔35の孔径は、第1貫通孔ピッチP1よりも大きくなっている。したがって、第2貫通孔35の1つ当たりの開口面積は、第1貫通孔25の1つ当たりの開口面積よりも大きくなっている。
【0020】
図2に示すように、第2板材30を、第2隆起部31の並設方向の断面で視た際、隣り合う第2貫通孔35の中心間の距離である第2貫通孔ピッチP2は一定になっている。図3に示すように、本実施形態において、第2貫通孔ピッチP2は、上述した第1貫通孔ピッチP1と同様に、第2板材30の表面上を沿う長さで表される。また、図2に示すように、第2貫通孔ピッチP2は、隣り合う第2貫通孔35の最短距離が第2隆起部31の頂部34の幅よりも大きくなるように定められている。第2隆起部31の延びる方向における隣り合う第2貫通孔35の中心間の距離である第3貫通孔ピッチP3は、第2貫通孔ピッチP2よりも小さくなっている。
【0021】
上記の第1板材20及び第2板材30は、互いに重なるように配置されている。具体的には、第1板材20の第1隆起部21が第2板材30の第2隆起部31の内側に嵌まり込んでいる。なお、第1隆起部21及び第2隆起部31は略台形状であるため、第1板材20及び第2板材30が大きく変形しなければ、嵌合後に第2隆起部31から第1隆起部21が外れることや、2枚の板材に位置ずれが生じる可能性は少ない。このように本実施形態では第1板材20と第2板材30は重なり合っているが、図3では第1板材20と第2板材30が離れた状態で示している。
【0022】
この実施形態では、第1板材20全体の面積に占める第1貫通孔25の面積の割合と、第2板材30全体の面積に占める第2貫通孔35の面積の割合とが異なっている。また、第1板材20と第2板材30とを重ね合わせた状態での開口率が30%未満となるように、第1板材20の第1貫通孔25の孔径及び第2板材30の第2貫通孔35の孔径が定められている。ここで、「重ね合わせた状態での開口率」とは、第1板材20と第2板材30とが重なっている領域の面積のうち、各板材の重なり方向において各貫通孔25、35のうちいずれの板材20、30にも塞がれていない箇所の面積の割合である。具体的には、図3において、第1貫通孔25のうち、第1板材20及び第2板材30の重なり方向において、第2貫通孔35と重複する位置にあるものは、塞がれていない箇所の面積に含まれる。一方、第2貫通孔35と重複しない位置にあるものは、塞がれていない箇所の面積には含まれない。
【0023】
次に、第1ヒートインシュレータ11の製造方法について説明する。
第1ヒートインシュレータ11は、第1平板201及び第2平板301に穴あけ加工及び成形加工を施すことにより製造される。
【0024】
図4に示すように、穴あけ加工では、第1平板201に第1貫通孔ピッチP1で第1貫通孔25を形成する。また、第2平板301に、第2隆起部31の並設方向に対しては第2貫通孔ピッチP2、第2隆起部31の延びる方向に対しては第3貫通孔ピッチP3となるように第2貫通孔35を開孔する。
【0025】
また、成形加工では、貫通孔を形成した第1平板201及び第2平板301にそれぞれプレス加工を施して、第1平板201に第1隆起部21を形成し、第2平板301に第2隆起部31を形成する。このようにコルゲート加工を施した後、第1平板201の第1隆起部21の内側に第2平板301の第2隆起部31を嵌め込みつつ、これら2枚の板材を重ね合わせる。その後、プレス加工で前記2枚の平板を湾曲させる。その結果、第1平板201及び第2平板301が、コルゲート形状且つ上述したエキマニ10を覆うことのできる形状の第1板材20及び第2板材30になる。
【0026】
次に、本実施形態の作用について説明する。なお、第1ヒートインシュレータ11及び第2ヒートインシュレータ12は、同一の作用であるため、以下の説明では、第1ヒートインシュレータ11の作用について説明し、第2ヒートインシュレータ12の作用については省略する。
【0027】
本実施形態の第1ヒートインシュレータ11が適用されたエンジンが駆動すると、高温の排気ガスがエキマニ10内を通過する。そのため、エキマニ10は相応に高温となり、熱を放射する。エキマニ10から放射される熱の一部は、第1ヒートインシュレータ11によって遮られるため、エキマニ10が放射する熱が、第1ヒートインシュレータ11の外側のエンジンコンパートメント内へ過度に伝達することは抑制される。
【0028】
また、エンジンの駆動により生じる振動や騒音はエキマニ10に伝達し、第1ヒートインシュレータ11にも伝達する。第1ヒートインシュレータ11に振動が加わると、第1板材20と第2板材30との2枚の板材で摩擦が生じる。特に、第2板材30の第2隆起部31と、その内側に嵌め込まれている第1板材20の第1隆起部21との間で摩擦が生じる。その摩擦により振動が減衰し、制振作用が働く。
【0029】
また、エキマニ10から発生した騒音は、音波として第1ヒートインシュレータ11の第1貫通孔25及び第2貫通孔35を通過する。通過した音波の振動エネルギーは、第1貫通孔25及び第2貫通孔35の内壁面との摩擦によって減衰し、熱エネルギーに変換される。つまり、第1ヒートインシュレータ11は騒音に対する吸音性能を発揮する。
【0030】
また、上記吸音性能は、特定の周波数の騒音に対して顕著に作用する。特定の周波数は、第1板材20と第2板材30とを重ね合わせた状態での開口率や、騒音発生源からヒートインシュレータまでの距離等のパラメータによって決定される。上記のパラメータを選定することで、第1ヒートインシュレータ11は、エキマニ10から発せられる騒音だけでなく、エンジンコンパートメント内に放出された騒音についても吸音性能を発揮する。
【0031】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)仮に、図5に示すように、2枚の第3平板401及び第4平板501に同孔径かつ同一貫通孔ピッチで第3貫通孔45、第4貫通孔55をそれぞれ開孔したとする。その後、第3平板401及び第4平板501にプレス加工を施すと、コルゲート形状且つ上述したエキマニ10を覆うことのできる形状の第3板材40及び第4板材50になる。
【0032】
ここで、第3平板401及び第4平板501にプレス加工を施す際に、第3貫通孔45、第4貫通孔55の位置とプレス加工で湾曲させる位置とを精密に位置合わせすることは極めて困難で、非現実的である。そのため、同孔径かつ同一貫通孔ピッチで第3貫通孔45、第4貫通孔55を開孔しても、第3板材40における第3隆起部41と第3貫通孔45との位置関係が、第4板材50における第4隆起部51と第4貫通孔55との位置関係に一致しない。この場合、図6に示すように、第3板材40と第4板材50とを、第3隆起部41が並設する方向の断面で視た際、第3板材40と第4板材50とにそれぞれ開孔した第3貫通孔45と第4貫通孔55にずれが生じることがある。このずれによって、各板材を平面視した場合、第3板材40の第3貫通孔45の一部又は全部が、第4板材50における第4貫通孔55ではない部分で塞がれてしまう。そのため、図6において矢印で示すように、第3貫通孔45を通過した音波が第4板材50の第4貫通孔55が設けられていない部分によって遮られ、吸音性能が十分に発揮されないおそれがある。
【0033】
この点、本実施形態では、第1板材20に開孔した第1貫通孔25の孔径よりも、第2板材30に開孔した第2貫通孔35の孔径の方が大きくなっていて、第2貫通孔35の方が1つ当たりの開口面積が大きくなっている。そのため、例え、プレス加工によって第1貫通孔25と第2貫通孔35にずれが生じても、第2貫通孔35の孔径内に多数の第1貫通孔25を確保でき、孔の塞がりを低減できる。その結果、図3において矢印で示すように、第1貫通孔25を通過した音波の多くは、そのまま第2貫通孔35を通過でき、第1ヒートインシュレータ11において期待される吸音効果を発揮できる。
【0034】
(2)上記実施形態では、第2貫通孔ピッチP2は、隣り合う第2貫通孔35同士の最短距離が第2隆起部31の頂部34の幅よりも大きくなるように定められている。そのため、第2貫通孔35を設けつつも、第2貫通孔35が設けられていない第2隆起部31を相当数確保できる。このように、第2貫通孔35が設けられていない第2隆起部31を確保しておくことで、第1隆起部21を第2隆起部31に嵌め合わせたときに、十分な強度を確保できる。
【0035】
(3)上記実施形態では、第1板材20と第2板材30とを重ね合わせた状態での開口率が30%未満になっている。すなわち、第1ヒートインシュレータ11全体としては、70%以上の領域で、エキマニ10を覆っている。したがって、第1板材20や第2板材30に吸音のための貫通孔を設けつつも、熱の放射を遮るヒートインシュレータとしての機能を十分に確保できる。
【0036】
(4)上記実施形態では、第2貫通孔35の孔径は、第1貫通孔ピッチP1よりも大きい。そのため、第1板材20と第2板材30とが位置ずれしても、各板材を平面視した際に、第2貫通孔35の開孔の範囲内に少なくとも複数の第1貫通孔25が開孔する。したがって、第2貫通孔35の範囲内において開孔する第1貫通孔25の数が過度に少なくなることは防げる。
【0037】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、エキマニ10に、第1ヒートインシュレータ11と第2ヒートインシュレータ12という2組のヒートインシュレータが適用されていたが、上記ヒートインシュレータのどちらか一方を省略して、1組のヒートインシュレータのみをエキマニ10に適用してもよい。
【0038】
・第1板材20がエキマニ10に近い側、第2板材30がその外側となるように配置したが、反対に、第2板材30がエキマニ10に近い側、第1板材20がその外側となるように配置してもよい。つまり、2枚の板材が有する貫通孔の孔径に違いさえあれば、大きい孔径を有する板材は、エキマニ側でも、その側でも、どちらに配置されても構わない。
【0039】
・上記実施形態では、第1ヒートインシュレータ11は、第1板材20と第2板材30の2枚の板材で構成されていた。これら第1板材20及び第2板材30に加えて、他の板材を追加して、3枚以上の板材で第1ヒートインシュレータ11が構成されていてもよい。この点、第2ヒートインシュレータ12についても同様である。
【0040】
・第1貫通孔25の孔径は、第1隆起部21が有する平坦な頂部24の幅の3分の1程度の大きさになっていたが、第2貫通孔35の孔径未満であればこれに限るものではない。例えば、頂部24の幅と同程度でもよいし、それ以上でもよい。
【0041】
・第1貫通孔ピッチP1は第1貫通孔25の孔径の約2倍になっていたが、それ以外の貫通孔ピッチを設定してもよい。
・第3貫通孔ピッチP3は第2貫通孔ピッチP2よりも小さくなっていたが、第3貫通孔ピッチP3の方が第2貫通孔ピッチP2よりも大きくてもよい。また、これら第2貫通孔ピッチP2及び第3貫通孔ピッチP3は同一でもよい。
【0042】
・第1貫通孔25及び第2貫通孔35の形状は円形状であったが、多角形状であってもよい。また、第1貫通孔25及び第2貫通孔35の形状は、特定の方向に長い溝状であってもよい。
【0043】
・第1板材20を断面視した際、1方向にのみ第1隆起部21と第1谷部22とが交互に繰り返されるようなコルゲート加工が行われていた。しかし、前記1方向と直角の方向に対してもコルゲート加工を行い、平面視した際に格子模様となるような成形を施してもよい。また、その場合は第2板材30にも同様に、1方向にのみ第2隆起部31と第2谷部32とが交互に繰り返されるコルゲート加工に対し、その直角の方向にもコルゲート加工を施せばよい。
【0044】
・本実施形態のヒートインシュレータはエキマニ10適用されていたが、集合管15の下流に連結している排気管やマフラーなど、エキマニ10以外の排気系に適用されてもよい。
【0045】
・第1ヒートインシュレータ11及び第2ヒートインシュレータ12は、平面視すると略台形になっていたが、略台形以外の形状でもよい。例えば、実施形態のヒートインシュレータを排気管に適用する際は、排気管に沿うようにヒートインシュレータを円筒状にする等、ヒートインシュレータの形状を自由に設定できる。
【0046】
・第1板材20及び第2板材30はどちらも立体的に成形されていたが、少なくとも一方が立体的に成形されていて非平板状になっていれば、一方は平板状でもよい。
・第1板材20及び第2板材30は、プレス加工によってコルゲート形状が施され、さらに厚み方向の一方側に向けて湾曲するような立体成形が施されていた。しかし、第1板材20及び第2板材30はこれらの立体成形に限定されない。例えば、上記2枚の板材に対してコルゲート加工せずに湾曲させるだけでもよく、コルゲート加工のみでもよい。また、コルゲート加工に関しても、第1隆起部21や第2隆起部31の断面が略台形以外の形状となるように成形してもよい。
【符号の説明】
【0047】
10…エキマニ、11…第1ヒートインシュレータ、12…第2ヒートインシュレータ、13…フランジ、14…分岐管、15…集合管、16…触媒、20…第1板材、21…第1隆起部、22…第1谷部、23…側壁、24…頂部、25…第1貫通孔、30…第2板材、31…第2隆起部、32…第2谷部、33…側壁、34…頂部、35…第2貫通孔、40…第3板材、41…第3隆起部、45…第3貫通孔、50…第4板材、51…第4隆起部、55…第4貫通孔、201…第1平板、301…第2平板、401…第3平板、501…第4平板、P1…第1貫通孔ピッチ、P2…第2貫通孔ピッチ、P3…第3貫通孔ピッチ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】