(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021046986
(43)【公開日】20210325
(54)【発明の名称】冷水製造システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20210226BHJP
【FI】
   !F25B1/00 399Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】2019171204
(22)【出願日】20190920
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市堀江町7番地
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】林 遼太郎
【住所又は居所】愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】木寺 宏彰
【住所又は居所】愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】堀川 伸二
【住所又は居所】愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式会社内
(57)【要約】
【課題】熱交換器における水の凍結を防止しつつ、目標温度まで水を冷却可能な冷水製造システムを提供する。
【解決手段】ブラインを貯留するブラインタンク2と、このブラインタンク2からのブラインを冷却するチラー3と、このチラー3で冷却されたブラインとの熱交換により水を冷却する熱交換器4とを備える冷水製造システム1である。冷水製造システム1は、さらに、熱交換器4に通すブライン流量を調整するブライン流量調整手段(ブライン弁12)と、熱交換器4の出口側水温に基づきブライン流量調整手段を制御する制御手段とを備える。制御手段は、予め設定された下限流量を下回らない範囲で熱交換器4にブラインを供給しつつ、出口側水温を「目標温度+設定値」にするように、ブライン流量調整手段を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラインを貯留するブラインタンクと、
このブラインタンクからのブラインを冷却するチラーと、
このチラーで冷却されたブラインとの熱交換により水を冷却する熱交換器とを備える冷水製造システムにおいて、
前記熱交換器に通すブライン流量を調整するブライン流量調整手段と、
前記熱交換器の出口側水温に基づき前記ブライン流量調整手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、予め設定された下限流量を下回らない範囲で前記熱交換器にブラインを供給しつつ、前記出口側水温を「目標温度+設定値」にするように、前記ブライン流量調整手段を制御する
ことを特徴とする冷水製造システム。
【請求項2】
前記チラーから前記熱交換器へのブライン供給路と、前記熱交換器から前記ブラインタンクへのブライン排出路とが、バイパス路で接続されており、
前記ブライン流量調整手段は、前記チラーからのブラインを、前記熱交換器を介して前記ブラインタンクへ戻すか、前記バイパス路を介して前記ブラインタンクへ戻すかの分配割合を調整するブライン弁である
ことを特徴とする請求項1に記載の冷水製造システム。
【請求項3】
前記ブライン排出路と前記バイパス路との合流部、または前記ブライン供給路と前記バイパス路との分岐部に、三方弁からなる前記ブライン弁が設けられ、
前記ブライン弁による前記熱交換器へのブラインの供給開度について、下限開度を下回らない範囲で、前記ブライン弁の開度を調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の冷水製造システム。
【請求項4】
前記ブライン弁は、上限開度と下限開度との範囲で開度調整され、
上限開度および下限開度は、変更可能とされ、
上限開度について、全閉から全開までが複数のステップに分けられ、
上限開度についての一または複数のステップに対応して、下限開度が割り当てられており、
この割り当てられた下限開度は、上限開度が大きくなるほど大きく設定される
ことを特徴とする請求項3に記載の冷水製造システム。
【請求項5】
前記出口側水温が目標温度以下になるか、前記下限開度が所定開度以下の状態を所定時間継続すると、前記ブライン弁により前記熱交換器へのブラインの供給を遮断する
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の冷水製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チラーで冷却したブラインにより水を冷却して冷水を製造する冷水製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、(i)冷凍機またはヒートポンプと、(ii)ブラインと冷水との熱交換器と、(iii)両者を連結するブライン配管、ブライン循環ポンプ、ブラインタンクを有する設備と、(iv)熱交換器に連結する冷水配管、冷水供給ポンプ、冷水槽を有する設備とからなる冷水製造システムが知られている。このシステムによれば、チラー(冷凍機等)でブラインを冷却し、そのブラインにより熱交換器において水を冷却して冷水を製造することができる。
【0003】
この種の冷水製造システムを用いて比較的低温(たとえば2.5℃以下)の冷水を製造しようする場合、熱交換器における水の凍結を防止しつつ所望温度の冷水を製造する必要がある。たとえば、ブライン配管に流量調整弁を設け、熱交換器の出口側水温に基づき前記弁の開度(言い換えれば熱交換器へのブラインの供給流量)を調整することが考えられる。
【0004】
ところが、たとえば、熱交換器の出口側水温を1℃で取り出したい場合において、目標値の1℃狙いで弁を制御すると、目標値に対する一定の制御幅などが発生するため、熱交換器において水が凍結するおそれがある。これを防止しようとして、目標温度(たとえば1℃)よりも高い温度(たとえば1.5℃)を設定して制御したのでは、熱交換器の出口側水温を目標温度にまで下げることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−143570号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、熱交換器における水の凍結を防止しつつ、目標温度まで水を冷却可能な冷水製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ブラインを貯留するブラインタンクと、このブラインタンクからのブラインを冷却するチラーと、このチラーで冷却されたブラインとの熱交換により水を冷却する熱交換器とを備える冷水製造システムにおいて、前記熱交換器に通すブライン流量を調整するブライン流量調整手段と、前記熱交換器の出口側水温に基づき前記ブライン流量調整手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、予め設定された下限流量を下回らない範囲で前記熱交換器にブラインを供給しつつ、前記出口側水温を「目標温度+設定値」にするように、前記ブライン流量調整手段を制御することを特徴とする冷水製造システムである。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、チラーで冷却したブラインにより熱交換器で水を冷却して冷水を製造する冷水製造システムにおいて、熱交換器の出口側水温に基づきブライン流量調整手段を制御して、熱交換器に通すブライン流量を調整することができる。熱交換器の出口側水温を監視しつつブライン流量を調整することで、熱交換器における水の凍結を防止しつつ、所望温度の冷水を製造することができる。その際、熱交換器の出口側水温を目標温度ではなくそれよりも設定値高い温度にするように、ブライン流量調整手段を制御することで、目標温度が0℃付近であっても、熱交換器における水の凍結を防止することができる。その一方、予め設定された下限流量を下回らない範囲で熱交換器にブラインを供給することで、必要に応じて熱交換器にブラインを流し続けることができ、目標温度まで水の冷却を図ることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記チラーから前記熱交換器へのブライン供給路と、前記熱交換器から前記ブラインタンクへのブライン排出路とが、バイパス路で接続されており、前記ブライン流量調整手段は、前記チラーからのブラインを、前記熱交換器を介して前記ブラインタンクへ戻すか、前記バイパス路を介して前記ブラインタンクへ戻すかの分配割合を調整するブライン弁であることを特徴とする請求項1に記載の冷水製造システムである。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、熱交換器に対するブライン供給路とブライン排出路とがバイパス路で接続されており、ブライン流量調整手段としてのブライン弁により、チラーからのブラインを、熱交換器を介してブラインタンクへ戻すか、バイパス路を介してブラインタンクへ戻すかの分配割合を調整することができる。このような分配制御により、チラーへのブライン循環量を維持したまま、熱交換器に通すブライン流量の調整を精度よく行えるので、熱交換器における水の凍結を防止しつつ所望温度の冷水を製造することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記ブライン排出路と前記バイパス路との合流部、または前記ブライン供給路と前記バイパス路との分岐部に、三方弁からなる前記ブライン弁が設けられ、前記ブライン弁による前記熱交換器へのブラインの供給開度について、下限開度を下回らない範囲で、前記ブライン弁の開度を調整することを特徴とする請求項2に記載の冷水製造システムである。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、ブライン弁として三方弁を用いることで、簡易な構成および制御で、チラーへのブライン循環量を維持したまま、熱交換器に通すブライン流量を調整することができる。また、ブライン弁による熱交換器へのブラインの供給開度について、下限開度を下回らない範囲で、ブライン弁の開度を調整することができる。従って、熱交換器における水の凍結を防止するために、目標温度よりも高い温度を設定して制御しても、必要に応じて熱交換器にブラインを流し続けることができ、目標温度まで水の冷却を図ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記ブライン弁は、上限開度と下限開度との範囲で開度調整され、上限開度および下限開度は、変更可能とされ、上限開度について、全閉から全開までが複数のステップに分けられ、上限開度についての一または複数のステップに対応して、下限開度が割り当てられており、この割り当てられた下限開度は、上限開度が大きくなるほど大きく設定されることを特徴とする請求項3に記載の冷水製造システムである。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、上限開度と下限開度との範囲で、ブライン弁の開度を調整する。上限開度に応じて下限開度を設定しておくことで、必要に応じて熱交換器にブラインを流し続けることができ、水の冷却を図ることができる。
【0015】
さらに、請求項5に記載の発明は、前記出口側水温が目標温度以下になるか、前記下限開度が所定開度以下の状態を所定時間継続すると、前記ブライン弁により前記熱交換器へのブラインの供給を遮断することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の冷水製造システムである。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、熱交換器の出口側水温が目標温度以下になるか、下限開度が所定開度以下の状態を所定時間継続すると、ブライン弁により熱交換器へのブラインの供給を遮断して、水の冷却を停止することができる。これにより、水の凍結を防止しつつ、所望まで水の冷却を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の冷水製造システムによれば、熱交換器における水の凍結を防止しつつ、目標温度まで水の冷却を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例の冷水製造システムを示す概略図である。
【図2】上限開度と下限開度との組合せを示す概略図であり、一部を省略して示している。
【図3】ステップアップ判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】ステップダウン判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の冷水製造システム1を示す概略図である。
【0020】
本実施例の冷水製造システム1は、ブラインを貯留するブラインタンク2と、このブラインタンク2からのブラインを冷却するチラー3と、このチラー3で冷却されたブラインとの熱交換により水を冷却する熱交換器4と、この熱交換器4との間で水が循環される冷水タンク5とを備える。
【0021】
ブラインタンク2は、ブラインを貯留する容器であり、本実施例では内部が大気圧下に開放されている。ブラインタンク2には、液位検出器6が設けられており、設定液位までブラインが貯留される。ブラインは、その種類を特に問わないが、ブラインとの熱交換により製造する冷水を食品冷却に用いる場合、万一の熱交換器4の破損によるブラインの漏れにも安全なように、食品添加物としても許容されるブライン(たとえばプロピレングリコール)を用いるのが好ましい。
【0022】
チラー3は、冷凍機(図示省略)を含んで構成される。冷凍機は、本実施例では蒸気圧縮式の冷凍機である。この場合、冷凍機は、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が、順次環状に接続されて構成される。圧縮機は、冷媒を圧縮して高温高圧の気体にする。凝縮器は、圧縮機からの冷媒を凝縮液化する。膨張弁は、凝縮器からの冷媒を通過させることで、冷媒の圧力と温度とを低下させる。そして、蒸発器は、膨張弁からの冷媒を蒸発させる。蒸発器において、ブラインタンク2からのブラインと冷凍機の冷媒とを混ぜることなく熱交換して、冷媒の気化熱によりブラインの冷却を図ることができる。
【0023】
熱交換器4は、ブラインと水とを混ぜることなく熱交換可能に、ブライン側の流路と水側の流路とを備える。熱交換器4は、その構成を特に問わないが、たとえばプレート式熱交換器とされる。
【0024】
ブラインタンク2からチラー3(より具体的には冷凍機の蒸発器)には、ブライン送出路7を介してブラインが供給される。チラー3で冷却後のブラインは、ブライン供給路8を介して熱交換器4に供給可能とされる。熱交換器4で熱交換後のブラインは、ブライン排出路9を介してブラインタンク2へ戻される。ブライン送出路7には、ブラインポンプ10が設けられており、このブラインポンプ10を作動させることで、ブラインタンク2内のブラインを、チラー3を介して熱交換器4との間で循環可能とされる。
【0025】
チラー3から熱交換器4へのブライン供給路8と、熱交換器4からブラインタンク2へのブライン排出路9とは、バイパス路11で接続されている。そして、ブライン排出路9とバイパス路11との合流部には、三方弁からなるブライン弁12が設けられている。このブライン弁12を制御することにより、チラー3からのブラインを、熱交換器4を介してブラインタンク2へ戻すか、バイパス路11を介してブラインタンク2へ戻すかの分配割合を調整することができる。なお、ブラインポンプ10は、場合により、チラー3に内蔵されていてもよい。
【0026】
冷水タンク5は、水を貯留する容器であり、本実施例では内部が大気圧下に開放されている。冷水タンク5には、水位検出器(図示省略)が設けられている。水位検出器の検出信号に基づき冷水タンク5への給水を制御することで、冷水タンク5内は設定水位に維持される。
【0027】
冷水タンク5から熱交換器4には、冷水入口路13を介して水が供給される。熱交換器4で冷却後の水は、冷水出口路14を介して冷水タンク5へ戻される。冷水入口路13には、冷水ポンプ15が設けられており、この冷水ポンプ15を作動させることで、冷水タンク5内の水を、熱交換器4との間で循環可能とされる。
【0028】
冷水タンク5内の冷水は、所望により、冷水需要箇所(たとえば食品機械)に供給されて使用される。冷水需要箇所で使用後の水は、使い捨てられるか、冷水タンク5へ戻される。前者(冷水使い捨て)の場合でも、前述したとおり冷水タンク5内には適宜給水可能であるから、冷水タンク5内は設定水位に維持される。後者(冷水循環)の場合、冷水タンク5内の冷水は、冷熱需要箇所との間で循環可能とされ、冷熱需要箇所で被冷却物を冷却した後、冷水タンク5へ戻される。
【0029】
冷水製造システム1は、ブラインの温度を検出するためのブライン温度センサ(図示省略)と、冷水の温度を検出するための冷水温度センサ16とを備える。ブライン温度センサは、本実施例ではチラー3に内蔵され、チラー3のブライン出口側でブライン温度を検出する。一方、冷水温度センサは、本実施例では冷水出口路14に設けられ、熱交換器4の冷水出口側で水温を検出する。
【0030】
次に、本実施例の冷水製造システム1の運転例について説明する。以下に説明する運転は、図示しない制御器により自動でなされる。つまり、制御器は、チラー3、ブライン弁12、ブラインポンプ10、冷水ポンプ15の他、ブライン温度センサ(図示省略)および冷水温度センサ16などに接続されており、これらセンサの検出信号や経過時間などに基づき、チラー3、ブライン弁12および各ポンプ10,15などを制御する。
【0031】
冷水製造システム1の運転開始に伴い、各ポンプ10,15およびチラー3を作動させる。ブラインポンプ10を作動させることで、ブラインタンク2内のブラインは、チラー3や熱交換器4との間で循環する。冷水ポンプ15を作動させることで、冷水タンク5内の水は、熱交換器4との間で循環する。チラー3においてブラインが冷却され、その冷却されたブラインにより熱交換器4において水が冷却される。前述したとおり、冷水タンク5内の冷水またはその冷熱は、冷水需要箇所で利用可能とされる。以後、各ポンプ10,15は、基本的には作動を継続する。
【0032】
ブラインポンプ10によるブラインの循環中、ブラインはチラー3で冷却可能とされる。本実施例では、チラー3は、出口側ブライン温度をブライン目標温度(たとえば−2℃)にするように容量制御される。具体的には、ブライン温度センサの検出温度をブライン目標温度に維持するように、圧縮機のモータがインバータ制御される。この際、次のような制御を行ってもよい。
【0033】
すなわち、ブライン目標温度を含む目標温度域を中心に上下に複数の温度域を設け、各温度域に応じてインバータ周波数の増減値を設定しておく。そして、設定時間ごとにどの温度域にあるかを監視して、目標温度域ならば現状の周波数を維持する一方、目標温度域よりも低温側の温度域ならば周波数を下げる一方、高温側の温度域ならば周波数を上げるよう制御する。
【0034】
各ポンプ10,15の作動中、熱交換器4の出口側水温を設定温度にするように、ブライン弁12を制御する。具体的には、冷水温度センサ16の検出温度を設定温度に維持するように、ブライン弁12を制御して、チラー3からのブラインを、熱交換器4を介してブラインタンク2へ戻すか、バイパス路11を介してブラインタンク2へ戻すかの分配割合を調整する。これにより、熱交換器4に通すブラインの流量を調整することができる。
【0035】
冷水の冷却目標温度として0℃を超える温度を設定していても、実際の冷水温度(熱交換器4で冷却後の冷水温度)は目標温度付近で多少上下に変動する。そのため、冷水の冷却目標温度が比較的低温(たとえば3℃以下)の場合、熱交換器4において水が凍結するおそれが残る。これを防止するために、本実施例では、熱交換器4の出口側水温を前記設定温度として「目標温度+設定値」にするように、ブライン弁12の開度を調整(好ましくはPID制御)する。
【0036】
なお、目標温度は0℃を超える温度で設定され、典型的には3℃以下で設定される。本実施例では、目標温度は、たとえば1.0℃とされる。また、設定値は1℃未満の正の値で設定され、好ましくは0.5℃未満で設定される。本実施例では、設定値は、たとえば0.5℃とされる。
【0037】
熱交換器4へのブライン供給の停止状態からブライン供給を開始する際、予め設定された上限流量を上回らない範囲で、熱交換器4へのブライン供給を開始する。本実施例では、ブライン弁12による熱交換器4へのブラインの供給開度について、上限開度が設定されており、その上限開度を上回らない範囲で、ブライン弁12の開度を調整する。そして、状況に応じて、上限開度は変更可能とされる。
【0038】
また、本実施例では、上限開度に応じて下限開度も設定されており、その下限開度を下回らない範囲で、ブライン弁12の開度を調整する。そして、状況に応じて、下限開度は変更可能とされる。なお、上限開度(上限流量)や下限開度(下限流量)は、所期の作用効果を奏するように、実験等により求められる。
【0039】
このように、本実施例では、ブライン弁12は、上限開度と下限開度との範囲で開度調整される。そして、上限開度および下限開度は、それぞれ状況に応じて変更可能とされる。以下、より具体的に説明する。
【0040】
図2は、上限開度と下限開度との組合せを示す概略図であり、一部を省略して示している。この図に示すように、ブライン弁12による熱交換器4へのブライン供給の上限開度について、全閉(開度0%)から全開(開度100%)までが複数のステップ(段階)に分けられている。
【0041】
より具体的には、ステップ0を全閉状態(開度0%)、ステップNを全開状態(開度100%)として、全体を「N+1」等分して、ステップ0、ステップ1、ステップ2、…ステップNまでに区分している。そして、各ステップには、ステップを増すほど上限開度が大きくなるように、上限開度が設定されている。すなわち、ステップ0の上限開度をU0(=0)、ステップ1の上限開度をU1、ステップ2の上限開度をU2、…ステップNの上限開度をUN(=100)とした場合、U0<U1<U2<…<UNの関係にある。この際、ステップを一つ上げるごとに、上限開度が所定開度ずつ大きくなるよう設定されるのが好ましい。
【0042】
下限開度については、次のように設定される。まず、ステップ0の下限開度は、上限開度と同じく開度0%とされる。また、ステップNの下限開度LNは、上限開度UN(100%)未満で設定され、好ましくは半開(50%)未満で設定され、本実施例ではたとえば30%とされる。ステップ1からステップN−1までの各ステップの下限開度は、そのステップの上限開度未満で設定される。その際、下限開度は、0の場合もあり得るが、前記各ステップの内、少なくとも一以上のステップにおいて、下限開度は0を超える開度に設定される。
【0043】
また、上限開度についての一または複数のステップに対応して、下限開度が割り当てられており、この割り当てられた下限開度は、上限開度が大きくなるほど大きく設定される。たとえば、ステップ0〜4までの下限開度L0〜L4は0とされ、ステップ5の下限開度L5は0を超える値に設定され、ステップ6の下限開度L6はステップ5の下限開度L5よりも大きく設定され、ステップ7以降の下限開度L7〜LNはステップ6の下限開度L6よりも大きな所定値に設定される。つまり、隣接するステップにおいて、下限開度は同一のこともあるし、異なることもあるが、全体としては、上限開度が大きくなるほど下限開度も大きくなるよう設定される。
【0044】
前述したとおり、冷水製造システム1の運転を開始すると、ブラインポンプ10および冷水ポンプ15を作動させる。そして、冷水温度センサ16の検出温度を「目標温度+設定値」にするように、ブライン弁12の開度を調整するのであるが、ブライン弁12による熱交換器4へのブラインの供給開度について、全閉状態から開放する際、まずは図2のステップ1からスタートする。つまり、まずは、ステップ1の上限開度と下限開度との範囲で、ブライン弁12の開度を調整する。そして、状況に応じて、ステップ(言い換えれば上限開度や下限開度)を変更しつつ、冷水温度センサ16の検出温度を「目標温度+設定値」に維持するように、ブライン弁12の開度を調整する。
【0045】
図3は、ステップアップ判定処理の一例を示すフローチャートであり、図4は、ステップダウン判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0046】
ブライン弁12による熱交換器4へのブラインの供給開度について、ステップ0の全閉状態(つまり熱交換器4へのブライン供給の遮断状態)からステップ1の開度制限をかけてブライン弁12を開放後、図3のステップアップ判定処理と、図4のステップダウン判定処理とが並行して実行される。ステップを増加させるか否かは、図3のステップアップ判定処理に基づき行われ、ステップを減少させるか否かは、図4のステップダウン判定処理に基づき行われる。
【0047】
図3のステップアップ判定処理では、熱交換器4の出口側水温(冷水温度センサ16の検出温度)が「目標温度+設定値」以上であり(S11)、且つ、現在の運転ステップでの上限開度をステップアップ判定時間継続すると(S12)、ステップを1段階上げる(S13)。たとえば、現在、ステップ1で運転中であるとして、熱交換器4の出口側水温が「目標温度+設定値」以上で、且つ、現在の運転ステップであるステップ1の上限開度U1をステップアップ判定時間(たとえば5秒)継続すると、ステップ2へ移行して、上限開度を増加させる。このようにして、上限開度(ひいては熱交換器4へのブラインの供給可能流量)を増加させていくことができる。そして、ステップにもよるが、上限開度の増加に伴い、下限開度も増加可能とされる。
【0048】
図4のステップダウン判定処理では、ステップ1以上を実行中、ブライン弁12による熱交換器4へのブラインの供給開度について、ブライン弁12が全閉になれば(S21)、ステップ0へ移行する(S22)。前述したとおり、ブライン弁12には下限開度が設定されているので、この下限開度として0が設定されているステップ(たとえばステップ0〜4)で、ステップ0への移行が生じ得ることになる。あるいは、冷水が目標温度に到達するなどでブライン弁12が全閉された場合にも、ステップ0へ移行することになる。
【0049】
一方、ブライン弁12が全閉でなくても、低温時移行ステップXを上回るステップ(ステップX+1〜ステップN)を実行中、熱交換器4の出口側水温が「目標温度+設定値+所定値」以下をステップダウン判定時間(たとえば2秒)継続すると(S23)、低温時移行ステップXへ移行する(S24)。なお、所定値は、設定値未満で設定され、好ましくは設定値の半分以下で設定される。たとえば、本実施例では、目標温度1.0℃に対し、設定値0.5℃、所定値0.1℃で設定される。
【0050】
ステップダウン判定処理により、ブライン弁12を全閉してステップ0へ移行後、所定タイミングで、ステップ1から制御を再開可能とされる。たとえば、冷水温度センサ16の検出温度を監視して、この温度(つまり熱交換器4の出口側水温)が「目標温度+設定値」以上になれば(あるいはその状態をステップアップ判定時間継続すれば)、ステップ1からの制御を再開すればよい。
【0051】
ところで、上述した一連の制御中、熱交換器4の出口側水温が目標温度以下になれば、ブライン弁12を全閉して、熱交換器4へのブラインの供給を遮断する。また、熱交換器4の出口側水温が目標温度以下にならなくても、下限開度が所定開度以下の状態(たとえばステップ6以下の状態)を所定時間(たとえば15分)継続すれば、ブライン弁12を全閉して、熱交換器4へのブラインの供給を遮断してもよい。これにより、冷水側設備の最低負荷(放熱およびポンプ入熱)とつり合ってしまうことによる無駄な運転継続(後述する省エネ制御に入らないこと)を防止することができる。
【0052】
なお、後述する省エネ制御を実行する場合を除き、ブライン弁12が全閉後も、チラー3および各ポンプ10,15は作動を継続する。そのため、ブラインは、ブライン目標温度以下にまで冷却され得る。
【0053】
上述した一連の制御中、次のような省エネ制御を行ってもよい。すなわち、熱交換器4の出口側水温が目標温度以下を目標温度到達確認時間継続すると、ブライン弁12を閉じて熱交換器4へのブライン供給を遮断した後、チラー3を停止すると共にブラインポンプ10を停止させてもよい。また、ブラインポンプ10を停止後、冷水ポンプ15の回転数を所定まで下げてもよい。その後、熱交換器4の出口側水温が「目標温度+冷水ポンプ復帰値」以上を冷水ポンプ復帰判定時間継続すると、冷水ポンプ15の回転数を定常回転数に戻すと共に、所定条件を満たせば、ブラインポンプ10を起動すると共にチラー3を起動させた後、ブライン弁12の開度調整を再開すればよい。その際、図2におけるステップ1からスタートすることになる。このような制御により、状況に応じてブラインポンプ10やチラー3を停止させたり、冷水ポンプ15の回転数を下げたりすることができ、消費電力の削減を図ることができる。
【0054】
本実施例の冷水製造システム1によれば、チラー3で冷却したブラインにより熱交換器4で水を冷却して冷水を製造する冷水製造システム1において、熱交換器4に対するブライン供給路8とブライン排出路9とをバイパス路11で接続すると共に、ブライン排出路9とバイパス路11との合流部に三方弁からなるブライン弁12を設けた。そして、熱交換器4の出口側水温に基づきブライン弁12を制御することで、チラー3からのブラインを、熱交換器4を介してブラインタンク2へ戻すか、バイパス路11を介してブラインタンク2へ戻すかの分配割合を調整することができる。このような分配制御により、チラー3へのブライン循環量を維持したまま、熱交換器4に通すブライン流量の調整を精度よく行えるので、熱交換器4における水の凍結を防止しつつ所望温度の冷水を製造することができる。
【0055】
また、ブライン弁12による熱交換器4へのブラインの供給開度について、上限開度を上回らない範囲で、ブライン弁12の開度を調整することで、熱交換器4における水の凍結を防止することができる。特に、熱交換器4へのブライン供給の停止状態(その間に前述したとおりブラインはブライン目標温度以下にまで冷却され得る)からブライン供給を開始する際、上限開度を上回らない範囲で、熱交換器4へのブライン供給を開始するので、急激な冷水温度の低下を防止して、熱交換器4における水の凍結を防止することができる。また、ブラインの温度が想定よりも低くても、熱交換器4における水の凍結を防止することができる。
【0056】
また、熱交換器4の出口側水温に基づきブライン弁12の開度を調整中、出口側水温が「目標温度+設定値」以上で、現在の運転ステップでの上限開度をステップアップ判定時間継続すると、ステップ(言い換えれば上限開度)を増加させる。上限開度になるということは、基本的には熱交換器4へのブラインの供給流量の増加(つまり冷却能力の増加)が必要な状況であるが、単に上限開度になるだけでなく、ステップアップ判定時間の継続を確認することで、水温変動などによる影響を防止して、ブライン弁12の開き過ぎによる冷水温度のアンダーシュートを防止することができる。また、仮にアンダーシュートが発生する場合でも、ブライン弁12の開度(冷却能力)が上限値で保持されるためアンダーシュートの拡大を抑制することができる。さらに、単に上限開度になるだけでなく、熱交換器4の出口側水温が目標温度よりも高いことを確認することで、過度な上限開度の引き上げを防止することができる。
【0057】
ところで、熱交換器4での水の冷却目標温度が0℃付近の比較的低温(たとえば1℃)である場合、目標温度付近で冷水の温度は多少上下動するため、目標温度を狙ってブライン弁12の開度調整を行うと、熱交換器4において水が凍結するおそれがある。ところが、本実施例では、熱交換器4の出口側水温を「目標温度+設定値」にするように制御するので、熱交換器4における水の凍結を防止することができる。その一方、「目標温度+設定値」になるように制御したのでは、冷水を目標温度にすることができないが、本実施例では、ブライン弁12による熱交換器4へのブラインの供給開度に下限開度を設けることで、目標温度までの冷却を可能とした。すなわち、予め設定された下限開度を下回らない範囲で熱交換器4にブラインを供給することで、必要に応じて(言い換えればステップによっては)熱交換器4にブラインを流し続けることができ、目標温度まで水の徐冷を図ることができる。
【0058】
本発明の冷水製造システム1は、前記実施例の構成(制御を含む)に限らず、適宜変更可能である。特に、ブラインを貯留するブラインタンク2と、このブラインタンク2からのブラインを冷却するチラー3と、このチラー3で冷却されたブラインとの熱交換により水を冷却する熱交換器4とを備える冷水製造システム1において、熱交換器4に通すブライン流量を調整するブライン流量調整手段(たとえばブライン弁12)と、熱交換器4の出口側水温に基づきブライン流量調整手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、予め設定された下限流量を下回らない範囲で熱交換器4にブラインを供給しつつ、出口側水温を「目標温度+設定値」にするように、ブライン流量調整手段を制御するのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0059】
たとえば、前記実施例では、三方弁からなるブライン弁12を、ブライン排出路9とバイパス路11との合流部に設けたが、ブライン供給路8とバイパス路11との分岐部に設けてもよい。また、熱交換器4に通すブライン流量を調整するブライン流量調整手段としては、三方弁からなるブライン弁12に限らず、たとえば、ブライン供給路8(および/またはブライン排出路9)とバイパス路11とにそれぞれ電動弁を設けて、それらの開度を調整してもよい。さらに、場合によりバイパス路11の設置を省略して、ブライン供給路8(またはブライン排出路9)に設けた電動弁の開度を調整したり、ブラインポンプ10をインバータ制御したりしてもよい。
【0060】
また、前記実施例では、ブラインタンク2内のブラインを、チラー3および熱交換器4(またはバイパス路11)を介してブラインタンク2へ戻すように循環させたが、次のように構成してもよい。すなわち、ブラインタンク2内のブラインをチラー3との間で循環させる一方、これとは別の循環路で、ブラインタンク2内のブラインを熱交換器4との間で循環させてもよい。この場合も、ブラインタンク2から熱交換器4へのブライン供給路8と、熱交換器4からブラインタンク2へのブライン排出路9とをバイパス路11で接続して、三方弁からなるブライン弁12により、熱交換器4に通すブライン流量を調整すればよい。
【0061】
また、前記実施例では、冷水タンク5内の水を熱交換器4との間で循環させたが、熱交換器4に対する給排水系統は適宜に変更可能である。たとえば、冷水タンク5の設置を省略して、給水源からの水を熱交換器4に通して冷却した後、その冷水を冷水需要箇所へ供給するようにしてもよい。
【0062】
さらに、前記実施例において、ブラインタンク2、チラー3および熱交換器4として、既存(既設)の構成を用いつつ、バイパス路11やブライン弁12などを付加して、前記実施例の冷水製造システム1を構成してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 冷水製造システム
2 ブラインタンク
3 チラー
4 熱交換器
5 冷水タンク
6 液位検出器
7 ブライン送出路
8 ブライン供給路
9 ブライン排出路
10 ブラインポンプ
11 バイパス路
12 ブライン弁
13 冷水入口路
14 冷水出口路
15 冷水ポンプ
16 冷水温度センサ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】