(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021047041
(43)【公開日】20210325
(54)【発明の名称】材料試験機
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/20 20060101AFI20210226BHJP
【FI】
   !G01N3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】2019168380
(22)【出願日】20190917
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【住所又は居所】京都府京都市中京区西ノ京桑原町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101753
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 隆司
(72)【発明者】
【氏名】瀧井 忠興
【住所又は居所】京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会社島津製作所内
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA07
2G061AB10
2G061CA15
2G061CB01
2G061CC03
2G061DA01
2G061EB05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】試験片に対して適正な試験力を付与することが可能な材料試験機を提供すること。
【解決手段】試験片に対して三点曲げ試験を行う材料試験機であって、試験片を支持する支持機構と、超音波発振器23に接続され、試験片と当接することにより試験片に超音波振動を付与する圧子22と、圧子22を支持機構により支持された試験片に対して押圧する負荷機構と、を備え、支持機構は、球面状の凹部または凸部を備えた下部材51と、下部材51における凹部または凸部と対応する形状を有する球面状の凸部または凹部を備えた上部材52と、を有する球座50と、上部材52上において試験片を支持する支承部30と、上部材52を下部材51に対して前記球面に沿って摺動させる第1移動部材と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片に対して三点曲げ試験を行う材料試験機であって、
前記試験片を支持する支持機構と、
超音波発振器に接続され、前記試験片と当接することにより前記試験片に超音波振動を付与する圧子と、
前記圧子を前記支持機構により支持された前記試験片に対して押圧する負荷機構と、
を備え、
前記支持機構は、
球面状の凹部または凸部を備えた下部材と、前記下部材における凹部または凸部と対応する形状を有する球面状の凸部または凹部を備えた上部材と、を有する球座と、
前記上部材上において前記試験片を支持する支承部と、
前記上部材を前記下部材に対して前記球面に沿って摺動させる第1移動部材と、
を備える材料試験機。
【請求項2】
請求項1に記載の材料試験機において、
前記球座を、前記負荷機構による前記試験片への押圧方向と直交する平面内において移動させる第2移動部材をさらに備える材料試験機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の材料試験機において、
前記支承部は、
互いに離隔した位置で前記試験片を支持する一対の支点と
前記一対の支点を近接または離隔する方向に移動させる第3移動部材と、
を備える材料試験機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の材料試験機において、
前記支持機構に対して昇降するクロスヘッドを備え、
前記圧子は、前記超音波発振器により発振された超音波を増幅するホーンを介して前記クロスヘッドに連結される材料試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、材料試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
試験片に対して三点曲げ試験を行う材料試験機が使用されている(例えば、特許文献1参照)。また、超音波により試験片を共振させて疲労試験を行う超音波疲労試験機が使用されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
さらに、近年においては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から成る試験片に対して、超音波振動とともに押圧力を付与した状態で三点曲げ試験を実行する材料試験も研究されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−20879号公報
【特許文献2】特許第5880733号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Composites Science and Technology Volume 106 93−99 「Fatigue testing of CFRP in the Very High Cycle Fatigue(VHCF)regime at ultrasonic frequencies」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
試験片に対して超音波振動とともに押圧力を付与する場合には、試験片を押圧する圧子、試験片を支持する曲げ支承、あるいは、試験片自体の制作精度により、圧子と試験片の接触面同士が平行とならない場合がある。このような現象が発生した場合には、試験片に対して均一な試験力を負荷することができず、局所的な破壊が発生すること等により、適正な材料試験を行うことができないという問題がある。
【0007】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、試験片に対して適正な試験力を付与することが可能な材料試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の態様は、試験片に対して三点曲げ試験を行う材料試験機であって、前記試験片を支持する支持機構と、超音波発振器に接続され、前記試験片と当接することにより前記試験片に超音波振動を付与する圧子と、前記圧子を前記支持機構により支持された前記試験片に対して押圧する負荷機構と、を備え、前記支持機構は、球面状の凹部または凸部を備えた下部材と、前記下部材における凹部または凸部と対応する形状を有する球面状の凸部または凹部を備えた上部材と、を有する球座と、前記上部材上において前記試験片を支持する支承部と、前記上部材を前記下部材に対して前記球面に沿って摺動させる第1移動部材と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
この発明の第1の態様によれば、上部材を下部材に対して球面に沿って摺動させることにより、試験片と圧子との配置を適正に調整することができる。これにより、試験片に対して均一で適正な試験力を付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施形態に係る材料試験機の正面図である。
【図2】球座50および支承部30の斜視図である。
【図3】ベース板19上に配設された球座50および支承部30の平面図である。
【図4】支承部30の正面図である。
【図5】支承部30の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明の実施形態に係る材料試験機の正面図である。
【0012】
この材料試験機は、基台11と、この基台11に対して昇降するクロスヘッド12とを備える。基台11に立設された左右一対のカバー13内には、図示しないモータの駆動により互いに同期して回転するねじ棹が配設されており、クロスヘッド12の両端に設けられた一対のナットがこれらのねじ棹と螺合している。このため、クロスヘッド12は、モータの駆動により昇降する。
【0013】
クロスヘッド12には、支持枠15がロードセル14を介して取り付けられている。この支持枠15には、超音波発振器23と、超音波発振器23により発信された超音波を増幅するホーン21とが配設されている。このホーン21の下端部は、試験片100(後述する図2および図4参照)と当接して試験片100を押圧することにより、試験片100に対して超音波振動と試験力とを付与するための圧子22となっている。圧子22は、ホーン21、支持枠15およびロードセル14を介してクロスヘッド12に連結されることになる。
【0014】
基台11に固定されたベース板19上には、球面状の凹部を備えた下部材51と、この下部材51における凹部と対応する形状を有する球面状の凸部を備えた上部材52と、を有する球座50と、球座50における上部材52上に配設された試験片100を支持するための一対の支点31を有する支承部30とが配設されている。これらの球座50および支承部30は、試験片100を支持する支持機構を構成する。
【0015】
図2は、球座50および支承部30の斜視図であり、図3は、ベース板19上に配設された球座50および支承部30の平面図である。
【0016】
上述したように、球座50は、球面状の凹部を備えた下部材51と、この下部材51における凹部と対応する形状を有する球面状の凸部を備えた上部材52とから構成される。この球座50においては、下部材51に対して上部材52を摺動させることにより、上部材52の上面の角度を調整することが可能となる。
【0017】
なお、上述した実施形態においては、球面状の凹部を備えた下部材51と、この下部材51における凹部と対応する形状を有する球面状の凸部を備えた上部材52とから構成される球座50を使用しているが、球面状の凸部を備えた下部材と、この下部材における凸部と対応する形状を有する球面状の凹部を備えた上部材とから構成される球座を使用してもよい。
【0018】
下部材51には、4個のネジ受け部材57が、上部材52を取り囲むように等間隔で配設されている。このネジ受け部材57と、各々、螺合するネジ58は、上部材52に形成された傾斜面54に対して、傾斜面54の法線方向を向いて当接する。このため、4本のネジ58を調整することにより、下部材51に対して上部材52を摺動させ、また、下部材51に対して上部材52を固定することが可能となる。これらのネジ58やネジ受け部材57等は、上部材52を下部材51に対してそれらの球面に沿って摺動させる第1移動部材を構成する。
【0019】
ベース板19には、4個のネジ受け部材55が、下部材51を取り囲むように等間隔で配設されている。このネジ受け部材55と、各々、螺合するネジ56は、下部材51に形成された鉛直方向を向く面53に対して、水平方向から当接する。このため、4本のネジ56を調整することにより、ベース板19上で下部材51を水平方向に移動させることができる。なお、圧子22による試験片100への押圧方向、すなわち、試験力の付加方向は鉛直方向を向くことから、下部材51は、試験片100への押圧方向と直交する平面内において移動することになる。これらのネジ56やネジ受け部材55等は、球座50を、試験片100に対する押圧方向と直交する平面内において移動させる第2移動部材を構成する。
【0020】
図4は、支承部30の正面図であり、図5は、支承部30の平面図である。なお、図4においては、ネジ56およびネジ58の図示を省略している。
【0021】
この支承部30は、上部材52上において試験片100を一対の支点31により支持するためのものである。図2、図4および図5に示すように、この支承部30は、球座50における上部材52の上面に固定された基部32を備える。この基部32には溝部42が形成されており、一対の支点31は、この溝部42内にその一部が配置され、溝部42に沿って移動可能となっている。一対の支点31の側方には、一端にツマミ36を有するネジ棒35が配設されている。また、一対の支点31のネジ棒35とは逆側の側方には、一対の支点31間の距離を確認するためのゲージ41が配設されている。
【0022】
ネジ棒35は、一対の軸受部37に支持されて回転可能となっている。ネジ棒35には、互いに逆ネジとなる第1ネジ領域33と第2ネジ領域34が形成されている。第1ネジ領域33は、一方の支点31に連結された連結部材38と螺合している。一方、第2ネジ領域34は、他方の支点31に連結された連結部材39と螺合している。これにより、オペレータがツマミ36を回転させることで、一対の支点31が互いに近接する方向に移動し、あるいは、互いに離隔する方向に移動する。ネジ棒35や連結部材38、39等は、一対の支点31を近接または離隔する方向に移動させる第3移動部材を構成する。
【0023】
次に、以上のような構成を有する材料試験機において、試験片100に対して超音波振動とともに押圧力を付与した状態で三点曲げ試験を実行するときの動作について説明する。なお、この実施形態においては、試験片100として、炭素繊維強化プラスチックが使用されている。
【0024】
試験を開始するときには、最初に、ツマミ36を回転させて一対の支点31間の距離を調整した後、一対の支点31上に試験片100を載置する。また、球座50における上部材52を取り囲む4本のネジ58を調整することにより、下部材51に対して上部材52を摺動させ、上部材52の上面の角度を調整する。この時には、4本のネジ58のうち、対向する一方のネジ58を緩め、他方のネジ58を締める。これにより、一対の支点31上に載置された試験片100の表面と圧子22から試験片100に付与される試験力の方向とがなす角度が、所定の角度(通常は90度)となるように調整される。
【0025】
次に、球座50における下部材51を取り囲む4本のネジ56を調整することにより、ベース板19上で下部材51を移動させる。この時には、4本のネジ56のうち、対向する一方のネジ56を緩め、他方のネジ56を締める。これにより、試験片100と圧子22とが当接する位置を、圧子22による試験片100への試験力の付加方向と直交する平面内において、材料試験を行うために適した位置に調整される。
【0026】
この状態において、図示しないモータの駆動によりクロスヘッド12を下降させ、圧子22により試験片100を押圧する。試験片100に対する試験力はロードセル14により測定される。試験片100に対して予め設定された試験力が負荷された状態で、超音波発振器23から超音波を発振させる。超音波発振器23により発信された超音波は、ホーン21により増幅される。なお、ホーン21は、超音波発振器23から発振される超音波における定常波の腹の位置が圧子22の下端部に配置されるように設計されている。これにより、試験片100に対して、押圧力が負荷され、かつ、超音波振動が付与された状態で、三点曲げ試験が実行される。
【0027】
なお、上述した実施形態においては、支承部30として一対の支点31により試験片100を支持する構成のものを使用して三点曲げ試験を実行する場合について説明したが、支承部30の構成を変更し、試験片100に対して四点曲げ試験や片持ち曲げ試験を実行するようにしてもよい。
【0028】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0029】
(第1項)
試験片に対して三点曲げ試験を行う材料試験機であって、前記試験片を支持する支持機構と、超音波発振器に接続され、前記試験片と当接することにより前記試験片に超音波振動を付与する圧子と、前記圧子を前記支持機構により支持された前記試験片に対して押圧する負荷機構と、を備え、前記支持機構は、球面状の凹部または凸部を備えた下部材と、前記下部材における凹部または凸部と対応する形状を有する球面状の凸部または凹部を備えた上部材と、を有する球座と、前記上部材上において前記試験片を支持する支承部と、
前記上部材を前記下部材に対して前記球面に沿って摺動させる第1移動部材と、を備える材料試験機。
【0030】
第1項に記載の材料試験機によれば、上部材を下部材に対して球面に沿って摺動させることにより、試験片と圧子との配置を適正に調整することができる。これにより、試験片に対して均一で適正な試験力を付与することが可能となる。
【0031】
(第2項)
第1項に記載の材料試験機において、前記球座を、前記負荷機構による前記試験片への押圧方向と直交する平面内において移動させる第2移動部材をさらに備える材料試験機。
【0032】
第2項に記載の材料試験機によれば、試験片に対する試験力の付与位置を調整することが可能となる。このため、球座による調整で試験片の位置が移動した場合においても、試験力の付与位置を適正な位置とすることが可能となる。
【0033】
(第3項)
第1項または第2項に記載の材料試験機において、前記支承部は、互いに離隔した位置で前記試験片を支持する一対の支点と前記一対の支点を近接または離隔する方向に移動させる第3移動部材と、を備える材料試験機。
【0034】
第3項に記載の材料試験機によれば、一対の支点間の距離を調整して三点曲げ試験を適性に実行することが可能となる。
【0035】
(第4項)
第1項から第3項のいずれかに記載の材料試験機において、前記支持機構に対して昇降するクロスヘッドを備え、前記圧子は、前記超音波発振器により発振された超音波を増幅するホーンを介して前記クロスヘッドに連結される材料試験機。
【0036】
第4項に記載の材料試験機によれば、クロスヘッドの移動により試験片に適正な試験力を付与しながら材料試験を実行することが可能となる。
【0037】
なお、上述した記載はこの発明の実施形態の説明のためのものであり、この発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0038】
11 基台
12 クロスヘッド
14 ロードセル
15 支持枠
19 ベース板
21 ホーン
22 圧子
23 超音波発振器
30 支承部
31 支点
32 基部
35 ネジ棒
36 ツマミ
38 連結部材
39 連結部材
50 球座
51 下部材
52 上部材
53 面
54 傾斜面
55 ネジ受け部材
56 ネジ
57 ネジ受け部材
58 ネジ
100 試験片
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】