(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021047616
(43)【公開日】20210325
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0346 20130101AFI20210226BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20210226BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20210226BHJP
   G02B 26/10 20060101ALN20210226BHJP
【FI】
   !G06F3/0346 421
   !G09F9/30 308Z
   !G09F9/30 365
   !G09F9/00 366G
   !G06F3/0346 422
   !G02B26/10 104Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】2019169551
(22)【出願日】20190918
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮戸 泰三
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
(72)【発明者】
【氏名】石原 和幸
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
【テーマコード(参考)】
2H045
5B087
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H045AB13
2H045BA13
5B087AA09
5B087BC11
5B087BC32
5B087CC01
5B087CC33
5C094AA01
5C094BA27
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5C094DA07
5G435AA01
5G435BB05
5G435FF03
5G435FF05
5G435HH01
5G435HH04
(57)【要約】
【課題】スペックルおよびモアレを抑制しつつ、曲面での映像表示と映像に対応する各種操作が可能な構成の表示装置を実現する。
【解決手段】可撓性のあるディスプレイ11の映像表示面11aに対して、IR走査検出部2が赤外線レーザ光をパターン走査し、ディスプレイ11で反射した赤外線を検出すると共に、検出した赤外線の飛行時間を算出し、その飛行時間に応じた信号を出力する。制御部3は、当該信号に基づき、ディスプレイ11の映像表示面11aにおける操作を検出する。ディスプレイ11は、赤外線レーザ光を反射するIR反射部を有した構成とされる。これにより、曲面での映像表示が可能となり、可視レーザ光の走査に起因するスペックルが生じず、タッチパネルを用いないため、モアレが抑制される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のあるディスプレイ(11)と、
前記ディスプレイのうち各種映像を表示する映像表示面(11a)に赤外線レーザ光を照射すると共に、前記ディスプレイで反射された前記赤外線レーザ光を検出し、検出した前記赤外線レーザ光の飛行時間に応じた電気信号を出力するIR走査検出部(2)と、
前記IR走査検出部から出力された電気信号に基づき、前記映像表示面における操作を検出する制御部(3)と、を備え、
前記ディスプレイは、可撓性基板(111)と、TFT層(113)と、自発光素子により構成された自発光層(114)と、封止層(115)とがこの順に積層されてなり、かつ前記赤外線レーザ光を反射するIR反射部(112)を有した構成である、表示装置。
【請求項2】
前記IR反射部は、再帰性反射材により構成され、前記可撓性基板のうち前記TFT層の側の一面または前記一面の反対面に接して配置されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記IR反射部は、可視光を透過させ、かつ前記赤外線レーザ光と同波長の光を散乱させる波長選択性散乱体により構成され、前記封止層の側の最外面に配置されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記ディスプレイは、可視光のうち所定の偏光成分を透過させる偏光層(117)と、前記偏光層を透過した光の位相をずらす位相差層(116)と、をさらに有してなり、
前記位相差層および前記偏光層は、前記封止層の上にこの順で積層されている、請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ディスプレイは、OLEDディスプレイである、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光走式の表示装置であって、表示される画像上における障害物を検知し、画像の各種制御を実行可能なものとして、例えば、特許文献1に記載のものが提案されている。
【0003】
この表示装置は、各種画像の処理を行う画像処理要素と、赤色、緑色および青色の3つのレーザ光源と、IR(赤外線)レーザ光源と、走査ミラーと、レーザ光源光検出器と、TOF(Time Of Flightの略)算出制御要素と、を有してなる。この表示装置は、画像に対応した赤色、緑色および青色の3つのレーザ光源からの可視レーザ光と、IRレーザ光源からのIRレーザ光とを結合した変調レーザ光を走査ミラーにより反射させ、ラスタ走査することにより各種画像を表示する。また、この表示装置は、変調レーザ光を投射した部位で反射したIRレーザ光をレーザ光源光検出器で検出し、画像を構成する画素ごとのIRレーザ光の飛行時間(TOF)を演算する構成とされている。そのため、変調レーザ光をラスタ走査している箇所にユーザの手などの障害物が存在する場合、IRレーザ光のTOFの変化から障害物の存在を検出でき、画像の各種制御が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2017−504047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、曲面に各種映像を表示したいというニーズが存在する。特許文献1に記載の表示装置によりこのようなニーズに応える場合、曲面に変調レーザ光をラスタ走査することになる。
【0006】
しかしながら、レーザ光走査により曲面に映像を表示しようとすると、曲面によるレーザ光の反射方向のバラツキおよび反射されたレーザ光の干渉に起因して、明暗の光の斑点模様、すなわちスペックル模様が生じ、映像の視認性が低下し得る。このスペックル模様を抑制するためには、高度な光走査の制御が必要となり、回路規模の増大、ひいては表示装置の大型化やコスト増大の要因となる。
【0007】
また、曲面形状とされたフレキシブルディスプレイ上にタッチパネルを積層した構成とすることで曲面での映像表示をすることも考えられるが、この場合には、これらの積層により視認性を低下させるモアレが生じ得る。
【0008】
具体的には、フレキシブルディスプレイおよびタッチパネルは、それぞれ平面方向において電極や配線等が規則性のあるパターンで配列されている。このような構成のフレキシブルディスプレイとタッチパネルとが厚み方向において積層されると、個々の規則性のあるパターンが重なるが、これらの周期のズレなどにより干渉縞であるモアレが生じ得る。また、曲面では、ユーザが映像を見る角度の範囲が広いため、その全範囲においてモアレを抑制する設計を行うことは、困難である。さらに、タッチパネルがフレキシブルディスプレイと共に曲面形状とされるため、タッチパネルの信頼性が低下し得る。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑み、スペックルおよびモアレを抑制しつつ、曲面に各種映像の表示および映像に対応する各種操作が可能であって、信頼性の高い構成とされた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の表示装置は、可撓性のあるディスプレイ(11)と、ディスプレイのうち各種映像を表示する映像表示面(11a)に赤外線レーザ光を照射すると共に、ディスプレイで反射された赤外線レーザ光を検出し、検出した赤外線レーザ光の飛行時間に応じた電気信号を出力するIR走査検出部(2)と、IR走査検出部から出力された電気信号に基づき、映像表示面における操作を検出する制御部(3)と、を備え、ディスプレイは、可撓性基板(111)と、TFT層(113)と、自発光素子により構成された発光層(114)と、封止層(115)とがこの順に積層されてなり、かつ赤外線レーザ光を反射するIR反射部(112)を有した構成である。
【0011】
これによれば、可撓性のあるディスプレイにより曲面での映像表示をしつつ、その曲面に対して赤外線レーザ光の照射および当該曲面で反射された赤外線を検出することで、映像表示面における操作を検出可能な構成の表示装置となる。ディスプレイで映像表示を行うため、可視光レーザの走査に起因するスペックルが生じない。また、赤外線レーザ光の投射とその反射光の検出により操作を検出するため、タッチパネルが不要となり、ディスプレイとタッチパネルとの重畳に起因するモアレも生じない。そのため、スペックルおよびモアレを抑制しつつ、曲面での映像表示およびその映像に対応する各種操作が可能であって、信頼性の高い表示装置となる。
【0012】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の表示装置の概要を説明するための説明図である。
【図2】図1の表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】ディスプレイの構成例を示す図である。
【図4】第2実施形態の表示装置におけるディスプレイの構成例を示す図である。
【図5】ディスプレイにおける赤外線レーザ光の散乱反射を示す図である。
【図6】第3実施形態の表示装置におけるディスプレイの構成例を示す図である。
【図7】第3実施形態の表示装置におけるディスプレイの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態の表示装置について、図1〜図3を参照して説明する。本実施形態の表示装置は、例えば、自動車等の移動体に搭載される車載用表示装置に適用されると好適であるが、勿論、他の用途にも適用され得る。
【0016】
本表示装置は、例えば、図1に示すように、曲面形状とされることが可能な表示部1と、表示部1の曲面への赤外線レーザ光の照射および当該曲面で反射された当該赤外線レーザ光の検出をするIR走査検出部2とを備える。
【0017】
以下、説明の簡略化のため、赤外線レーザ光を「IRレーザ光」と称し、表示部1のうち後述するディスプレイ11の映像表示面11aで反射されたIRレーザ光を「反射IR」と称する。
【0018】
本表示装置は、図2に示すように、表示部1およびIR走査検出部2に加えて、制御部3を有してなる。本表示装置は、曲面形状とされた表示部1に各種映像を表示しつつ、当該映像上にユーザが例えば手の指等の操作体を置いたとき、IR走査検出部2が反射IRの飛行時間(TOF)の変化に基づいて、操作体の存在および位置を検出する。そして、本表示装置は、IR走査検出部2からの出力信号により、制御部3が操作体の位置および映像に対応する各種制御を実行する構成とされている。
【0019】
表示部1は、図2に示すように、ディスプレイ11と、その駆動回路12とを有してなる。ディスプレイ11は、任意の曲面形状とされ得るフレキシブルディスプレイであり、例えばOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイとされる。
【0020】
ディスプレイ11は、本実施形態では、例えば図3に示すように、可撓性基板111上に、IR反射部112、TFT層113、自発光層114および封止層115がこの順に積層されてなる。ディスプレイ11は、図1に示すように、任意の曲面形状とされた状態で使用されることで、曲面での映像表示を行う。なお、封止層115側の最外面がディスプレイ11の映像表示面11aに相当する。
【0021】
可撓性基板111は、可撓性を有する材料、例えば、ポリイミド等の樹脂材料によりなるフィルムやフレキシブルガラス等により構成される。可撓性基板111には、例えば、水分や酸素の透過率が小さい無機材料等により図示しないバリア層が形成され得る。
【0022】
IR反射部112は、後述するIR走査検出部2から照射されたIRレーザ光をその投射された方向に反射する部材であり、本実施形態では、再帰性反射材により構成される。具体的には、IR反射部112は、例えば図1に示すように、IR走査検出部2から投射されたIRレーザ光を、表示部1の映像表示面11aのうちIRレーザ光の投射部分とIR走査検出部2とを繋ぐ直線方向に向かって反射する。つまり、IR反射部112は、本実施形態では、IRレーザ光をその光源方向であるIR走査検出部2にそのまま反射する役割を果たす。
【0023】
なお、再帰性反射材は、例えば、赤外線を反射する微小なガラス粒子を有する塗料などとされるが、これに限定されるものではなく、赤外線をその投射方向に反射する任意のものが使用され得る。また、特開2007−10893号公報に記載のもののように、透光性の樹脂を使用したキューブコーナー型再帰反射体をIR反射部112として用い、その平坦面上にTFT層113、自発光層114を積層してもよい。さらに、上記では、IR反射部112が可撓性基板111のうちTFT層113側の一面上に配置された例について説明したが、IR反射部112は、可撓性基板111のうちTFT層113とは反対側の他面上、すなわち一面の反対面上に配置されてもよい。
【0024】
TFT層113は、図示しないゲート電極、ゲート絶縁層、半導体層、ソース電極およびドレイン電極を備え、ゲート電極の電圧調整により電流のオンオフを制御可能な素子である。TFT層113は、自発光層114を構成する後述の一対の電極の少なくとも一方に接続されており、自発光層114の駆動制御に用いられる。
【0025】
自発光層114は、自発光素子により構成されており、例えばOLEDの場合、図示しない一対の電極間に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などが順次積層されてなり、電圧を印加することで発光する。自発光層114は、例えば、電極上に絶縁性材料によりなる格子状のバンクにより区画された領域に赤色、緑色および青色の発光色の異なる3つの副画素が形成されている。自発光層114は、例えば、発光色の異なる3つの副画素により構成される主画素が、平面視にてある一方向および当該一方向に直交する直交方向に沿って繰り返し配列されてなる。
【0026】
封止層115は、自発光層114の外表面を覆うように形成され、空気中の水分および酸素から自発光層114を保護するものであり、水分および酸素の透過率が低い任意のOLED用の封止材料が用いられる。封止層115は、自発光層114で生じた光を外部に透過させると共に、IRレーザ光を内部に透過させるものであればよく、透光性がある任意の封止材料により構成される。また、必要に応じて、封止層115上に透光性の任意の保護フィルムなどが配置されてもよい。
【0027】
なお、TFT層113、自発光層114および封止層115並びにOLEDディスプレイの構成、これらの材料や製造方法などについては、公知であるため、本明細書ではこれらの詳細の説明を省略する。また、自発光層114の構成については、上記の例に限られず、任意のOLEDの構成が採用され得る。
【0028】
駆動回路12は、図示しない回路が形成された回路基板であり、後述する制御部3から入力される信号に応じた駆動信号をディスプレイ11に出力する。駆動回路12は、図示しない配線により、ディスプレイ11および制御部3それぞれに接続される。
【0029】
IR走査検出部2は、例えば図2に示すように、IRレーザ光源21と、駆動部22と、走査ミラー23と、IR検出部24と、演算部25とを有してなる。IR走査検出部2は、制御部3および図示しない外部電源等に接続されており、IRレーザ光源21からのIRレーザ光が、駆動部22により制御された走査ミラー23を介してディスプレイ11の映像表示面11aに投射する。IR走査検出部2は、ディスプレイ11のうちIR反射部112で反射されたIRレーザ光(反射IR)をIR検出部24により検出する。IR走査検出部2は、IR検出部24で検出された反射IRのTOFを演算部25で演算することで、ディスプレイ11上における操作体の存在有無および位置の情報を取得する。
【0030】
IRレーザ光源21は、人の眼では不可視の赤外線波長領域のレーザ光を生じさせる光源である。IRレーザ光源21は、例えば、赤外レーザダイオードなどの任意の半導体レーザが用いられ得る。IRレーザ光源21で生じたIRレーザ光は、IRを反射する走査ミラー23に照射される。
【0031】
駆動部22は、走査ミラー23を駆動するための部材であり、例えば、走査ミラー23と共にMEMS(Microelectromechanical systemの略)ミラーを構成する。駆動部22は、MEMSの場合、シリコンなどの半導体材料で構成され、通常の半導体プロセスで形成される。駆動部22は、例えば、走査ミラー23を平面上の一方向と当該一方向に対して直交する他の一方向との二軸方向に変位させることが可能な構成とされる。駆動部22は、図示しない走査ミラー駆動回路に接続されており、駆動信号に応じて走査ミラー23を駆動させる。
【0032】
走査ミラー23は、IRを反射する任意の反射材料により構成されると共に、駆動部22に接続される反射材である。走査ミラー23は、駆動部22により角度が変更されることでIRレーザ光の反射方向、すなわち投射方向を適宜調整し、ディスプレイ11の映像表示面11aにおいてIRレーザ光を任意のパターンでラスタ走査をする。
【0033】
IR検出部24は、IRレーザ光源21から出力されるIRレーザ光と同波長のIRを検出する検出器である。IR検出部24は、例えば、フォトダイオードとされ、IRレーザ光源21からのIRレーザ光と同波長のIRが照射されると、電気信号を演算部25に出力する。
【0034】
演算部25は、IR検出部24からの出力信号に基づき、IRレーザ光のTOFを演算し、映像表示面11a上における操作体の有無を判定する。具体的には、ディスプレイ11とIR走査検出部2との相対位置が固定されている状況においては、映像表示面11aとIR走査検出部2との間に何ら障害物が存在しない場合には、IRレーザ光のTOFは一定である。一方、映像表示面11a上にユーザの指等が存在する場合、IR反射部112におけるIRレーザ光の反射が妨げられるため、IRレーザ光のTOFが変化する。演算部25は、IRレーザ光のTOFを算出し、TOFが変化したときには、映像表示面11a上に操作体が存在すると判定する。また、演算部25は、IRレーザ光の走査箇所ごとのTOFを算出することで、映像上における操作体の位置に応じた信号を出力することができる。このようにして得られた映像表示面11a上における操作体の有無やその位置情報については、制御部3に出力され、映像に対応する各種コンテンツの制御などに用いられる。
【0035】
制御部3は、例えば、図示しない回路基板上に図示しないCPU、ROM、RAMやI/Oなどが搭載されてなる電子制御ユニットである。制御部3は、表示部1およびIR走査検出部2に加え、図示しない外部の電子装置(例えば、車載用途の場合には車載装置)接続されており、ディスプレイ11の映像に対応する各種制御を実行する。制御部3は、例えば図2に示すように、信号入力部31と、操作検出部32とを有してなり、IR走査検出部2からの出力信号に基づいて映像表示面11a上におけるユーザの操作を検出する。制御部3は、映像表示面11a上における操作を検出した場合、映像に関連付けられた各種コンテンツに対応する電気信号を図示しない他の電子装置に出力する構成とされている。
【0036】
なお、車載装置としては、例えば、ナビゲーション装置、カーエアコン、車載カメラやオーディオ装置などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
以上が、本実施形態の表示装置の基本的な構成である。
【0038】
本実施形態によれば、曲面形状とされたディスプレイ11に搭載された自発光素子(例えばOLED)により映像表示を行うため、曲面での映像表示が可能であり、可視レーザ光の走査に起因するスペックルが生じない。また、本表示装置は、IRレーザ光の走査およびその反射IRの検出により、ユーザによる映像表示面11a上における操作を検出する構成であるため、ディスプレイ11上にタッチパネルを配置する必要がなく、モアレが生じない。したがって、本表示装置は、スペックルおよびモアレを抑制しつつも、曲面での映像表示が可能であり、視認性と信頼性とが両立した構成となる。
【0039】
また、ディスプレイ11のうちIR反射部112を再帰性反射材で構成することにより、曲面形状に起因する、反射IRの検出精度が低下することを抑制でき、安定して操作体を検出することが可能となる。
【0040】
具体的には、ディスプレイ11が曲面形状とされている状況にて、IRレーザ光を当該ディスプレイ11に照射すると、映像表示面11aにおけるIRレーザ光の入射角度にバラツキが生じてしまう。このとき、再帰性反射材がないと、IRレーザ光が主に正反射で反射されるため、映像表示面11aの形状に沿って面内における反射IRにバラツキが生じてしまい、反射IRの検出精度が低下する要因となり得る。
【0041】
しかしながら、ディスプレイ11に再帰性反射材で構成されたIR反射部112を配置することで、曲面形状によらず、IRレーザ光がIR反射部112により、IR走査検出部2に反射されるため、反射IRの検出精度は、所定以上の水準となる。
【0042】
したがって、曲面形状での映像表示をしつつ、スペックルおよびモアレを抑制して視認性を確保でき、映像上における操作を精度良く検出可能であって、信頼性の高い表示装置を実現できる。
【0043】
(第2実施形態)
第2実施形態の表示装置について、図4、図5を参照して説明する。図5では、見易くするため、IRレーザ光を破線の矢印で示し、当該IRレーザ光が反射されたものである反射IRを実線の矢印で示している。
【0044】
本実施形態の表示装置は、IR反射部112が波長選択性散乱体で構成され、ディスプレイ11における配置が変更された点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0045】
IR反射部112は、本実施形態では、可視光を透過させる一方で、IRを選択的に散乱する波長選択性散乱体により構成される。IR反射部112は、例えば図4に示すように、ディスプレイ11のうち封止層115の上、すなわち外表面に配置され、IRレーザ光を選択的に散乱させる。
【0046】
具体的には、図5に示すように、表示部1の映像表示面11aに投射されたIRレーザ光は、表面のIR反射部112により広範囲に散乱させられる。これにより、映像表示面11aのうちどの部位にIRレーザ光が投射されたとしても、IR走査検出部2に向かって反射される反射IRが必ず生じることになる。そのため、本実施形態においても、ディスプレイ11の曲面形状に起因する反射IRの検出精度の低下が抑制された構成となる。
【0047】
なお、IRを選択的に散乱する波長選択性散乱体としては、例えば、所定サイズの銀ナノ粒子を用いて、局在プラズモン共鳴によりIRを選択的に増幅散乱する構成とされたフィルムが挙げられる。IR反射部112は、これに限定されるものではなく、同じ性質を示す構成とされた任意のものが採用され得る。例えばNature Communications volume 5, Article number:3152 (2014)に記載のように、半径が34nmより大きいシリカ粒子を10nm未満の膜厚の銀でコーティングしたものであれば、近赤外領域の光を選択散乱することが期待される。このような材料もIR反射部112を構成する材料として使用され得る。IR反射部112は、例えば、図示しない透明な光学接着剤などにより封止層115上に配置される。
【0048】
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0049】
(第3実施形態)
第3実施形態の表示装置について、図6、図7を参照して説明する。
【0050】
本実施形態の表示装置は、ディスプレイ11がさらに位相差層116と偏光層117とを有してなる点が上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0051】
位相差層116および偏光層117は、外光がディスプレイ11に入射したとき、その反射を抑制し、映像の視認性をより向上させる反射防止層である。具体的には、この反射防止層は、外光が入射したとき、偏光層117を介して所定の偏光成分のみを透過させ、位相差層116により偏光層117を透過した偏光成分の光を例えば90°(λ/4)だけ位相差を生じさせる。これにより、外光がディスプレイ11の内部に入射した際に、特定の偏光成分のみ透過させた後に位相差が生じるため、この光が内部で反射したとしても偏光層117によりカットされ、映像の視認を妨げることが防止される。
【0052】
なお、位相差層116および偏光層117は、IRレーザ光を透過する任意のものが用いられる。また、位相差層116は、可視光領域(例えば400nm〜700nm)の光に対してλ/4の位相差を生じさせる構成の場合、例えば1064nmや1300nm等の近赤外領域の光に対しては偏光層117での透過を妨げる位相差を生じさせないと考えられる。IR反射部112が再帰性反射材とされる場合には、IRレーザ光は、IR反射部112への入射光およびその反射光が位相差層116および偏光層117を透過するようにその波長が調整されてもよい。
【0053】
また、IR反射部112が波長選択性散乱体により構成される場合には、図7に示すように、IR反射部112は、偏光層117上に配置される。
【0054】
本実施形態によれば、上記第1実施形態の効果に加えて、ディスプレイ11への外光の入射時における反射防止により、さらに視認性が向上するという効果が得られる表示装置となる。
【0055】
(他の実施形態)
本発明は、実施例に準拠して記述されたが、本発明は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本発明は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらの一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本発明の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0056】
2・・・IR走査検出部、3・・・制御部、11・・・ディスプレイ、
11a・・・映像表示面、111・・・可撓性基板、112・・・IR反射部、
113・・・TFT層、114・・・発光層、115・・・封止層、
116・・・位相差層、117・・・偏光層
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】