(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021066329
(43)【公開日】20210430
(54)【発明の名称】索道の搬器
(51)【国際特許分類】
   B61B 12/02 20060101AFI20210402BHJP
【FI】
   !B61B12/02 C
   !B61B12/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】2019193314
(22)【出願日】20191024
(71)【出願人】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区神田錦町2丁目11番地
(72)【発明者】
【氏名】中村 元幸
【住所又は居所】千葉県習志野市茜浜3−1−4 日本ケーブル株式会社本社工場内
(57)【要約】
【課題】索道搬器の客車に大容量のバッテリーや電気機器類を搭載し、これらの保守を容易に行うことのできる索道の搬器を提供することを目的とする。
【解決手段】
客車21の下端部に箱形形状のバッテリーボックス26を備え、バッテリーボックス26内にバッテリー25及び電気機器を配置し、停留場11、12内でバッテリー25を充電する。バッテリーボックス26は箱形状に形成されており、このバッテリーボックス26の全側面を可倒構造にした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
客車の下端部に箱形形状のバッテリーボックスを備え、該バッテリーボックス内にバッテリー及び電気機器を配置し、停留場内で前記バッテリーを充電することを特徴とする索道の搬器。
【請求項2】
前記バッテリーボックスの全側面が可倒構造であることを特徴とする請求項1に記載の索道の搬器。
【請求項3】
前記搬器の進行方向前側の前記バッテリーボックスの側面に吸気口を備え、前記搬器の進行方向後側の前記バッテリーボックスの側面に排気口を備えたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の索道の搬器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、索道の搬器に関し、詳しくは空調装置等に電力を供給するバッテリーや電気機器類を搭載した索道の搬器に関する。
【背景技術】
【0002】
索道設備は、空中に張架した索条に搬器を懸垂し、人員や物資を運ぶ輸送設備であり、多くは山岳傾斜地における人員の移動手段や、スキー場におけるスキーヤーやスノーボーダーの移動手段として利用されている。また、索道設備は、鉄道等のように地上にレール等を敷設する必要がなく線路に要する用地が少なくてすむために、特に海外においては都市部の公共交通機関として運用されるようになってきている。
【0003】
このように、都市部等においてゴンドラリフトやロープウェイのような閉鎖型搬器を運行する索道設備を運用するにあたっては、他の都市輸送機関と同程度の利便性や快適性を提供できることが望ましく、特に乗客の快適性を向上するために各搬器には空調装置を備えることが望ましい。しかしながら従来周知のように、索道設備においては、線路中を移動する搬器へ電力を供給することが困難であり、大量の電力を消費する空調装置を各搬器に備えることは困難であった。
【0004】
このようなことから従来、次のような技術が提案され、また、実施されている。この技術のうちの一例は、複数の搬器よりなる搬器グループを形成し、この搬器グループを複数備えて索条の循環移動とともに運行を行うようにしている。搬器グループ内のうち1台の搬器は、電源設備を搭載した電源搬器とし、他の搬器は乗客が乗車する乗客用搬器とする。そして、各乗客用搬器には空調設備を備えるとともに、電源搬器から各乗客用搬器へ給電ケーブルを介して電源を供給するようにし、乗客用搬器の空調を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。また、他の例としては、客車上部に乗客用スペースと隔離した機器用スペースを形成し、ここにガスタービンエンジン及び発電機と、これによって駆動される空調装置を備えて乗客用スペースの空調を行っている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−257363号公報
【特許文献2】特開平9−24823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の搬器グループを形成して運行する方式の索道設備は、少数の設備に採用されているだけであり、現在主流である定間隔で搬器を線路中に配置して運行する方式には採用することができない。また、ガスタービンエンジンを用いた方式は、ガスタービンエンジン自体が高価であるとともに、液体燃料を使用するために消火装置等を備えなくてはならないといった安全対策をとる必要がある。
【0007】
このような事情を考慮し、搬器にバッテリーを搭載してバッテリーの電力供給のみで空調装置ないし電気機器を動作させることが従来から検討されている。しかしながら、上記したように空調装置は、大量の電力を消費するために多数又は大型のバッテリーを搬器に搭載することが必要であり、また、バッテリー及びこれに付随する電気機器類の保守も容易になるようにする必要がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、搬器に大容量のバッテリーや電気機器類を搭載した場合に、これらの保守を容易に行うことのできる索道の搬器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、客車の下端部に箱形形状のバッテリーボックスを備え、該バッテリーボックス内にバッテリー及び電気機器を配置し、停留場内で前記バッテリーを充電することを特徴とを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記バッテリーボックスの全側面が可倒構造であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、客車の下部にバッテリーボックスを備え、バッテリー及び電気機器を一式収納するようにしたことにより保守が容易になる。また、バッテリーボックスの全側面を可倒構造としたことにより、保守時には、目的とする電気機器及びバッテリーの近くの側面を開口させて作業ができるので、保守作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】自動循環式索道の模式図
【図2】搬器の正面図
【図3】搬器の側面図
【図4】バッテリーボックスの一部断面視平面図
【図5】バッテリーボックスの正面図
【図6】バッテリーボックスの一部側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態においては、索道設備の代表例として単線自動循環式索道により説明を行う。図1は、単線自動循環式索道の模式図である。単線自動循環式索道10は、線路の端部に停留場11及び停留場12を有しており、各停留場11、12には、原動滑車13及び従動滑車14を回転自在に備えている。原動滑車13と従動滑車14には、索条15が無端状に巻き掛けられており、原動滑車13を回転駆動することにより、索条15は両停留場11、12間を循環して移動する。索条15には、線路中で所定の間隔となるように複数の搬器18が懸垂されている。
【0014】
搬器18は索条15に着脱自在であって、線路中では索条15に取り付けられて索条15とともに移動し、停留場11、12内では索条15から切り離される。停留場11、12には、平面視U字状の走行レール16及び走行レール17がそれぞれ敷設されており、索条15から切り離された搬器18は、走行レール16、17に沿って次のように移動する。まず、停留場11、12に到着した搬器18は、索条15から切り離されるとともに、走行レール16、17に乗り移り、走行レール16、17に沿って設けられた移送装置により減速させられる。乗客が乗降可能な速度まで搬器18が減速すると、その速度を保って停留場11、12内を出発側へ折返し、この間に乗客の乗降が行われる。出発側へ折り返した搬器18は、索条15の速度と同一速度にまで加速させられた後、索条15に取り付けられるとともに走行レール16、17から離脱して線路中へ出発する。
【0015】
図2は搬器18の正面図、図3は搬器18の側面図である。搬器18は、大別して握索機19と懸垂機20と客車21とからなっている。握索機19は、索条15を握放索可能に構成されており、線路中では索条15を握索して索条15とともに移動し、停留場11、12内では索条15を放索するとともに、走行レール16、17上を走行ローラー22が転動して移動する。握索機19には、進行方向に対し前後方向へ揺動自在に懸垂機20を枢着しており、この懸垂機20の下部に乗客を搭載する客車21が取り付けられている。
【0016】
客車21の上部には、上面23から上方へ若干の間隔を開けて空調装置24を備えている。空調装置24は、圧縮機、蒸発機、凝縮機等を内部に備えた一体型の空調装置であって、客車21下部に備えたバッテリー25から電力を供給されて駆動し、客車21の上部に設けた通風口から客車21内へ温風または冷風を供給する。バッテリー25は、急速充電が可能なバッテリーであって、搬器18が停留場11、12内を移動するときに搬器18に備えたパンタグラフ等の集電器(図示せず)により電力の供給を受け急速充電される。
【0017】
バッテリー25は、バッテリーボックスに収納されて搬器18の下面に取り付けられており、これを保護するために搬器18の下部にはカバー39を備えている。図4は、バッテリーボックスの一部断面視平面図であり、図5は、バッテリーボックスの正面図である。バッテリーボックス26は、矩形の箱形状に形成されており、四隅に備えたボルト30により客車21の下面に取り付けられている。
【0018】
バッテリーボックス26の内部には、複数のバッテリー25が固定配置されており、また、安定化電源27、ブレーカー28、バッテリー25の充放電を管理制御する制御機器などの電気機器類、及び消化器29等が配置されている。このようにバッテリー25及び電気機器類をバッテリーボックス26内に配置することにより、関連する部品一式が集合しているので、部品の点検や交換といった保守が容易になる。
【0019】
バッテリーボックス26の各側面は、次のように構成されている。搬器18の進行方向前側に備えた前部側面板31は、図6に示すように、前部側面板31が倒れて前側面全体が開口する可倒構造となっており、通常の状態においては、端部に備えた止め金具32により前部側面板31垂直状態に固定して前側面全体を閉鎖する。前部側面板31には、複数の吸気口33が形成されており、これら各吸気口33にはルーバー40及びフィルター41が装着されている。これにより搬器18の進行にともなって、ルーバー40及びフィルター41を通して空気がバッテリーボックス26内に流入する。
【0020】
搬器18の進行方向後側に備えた後部側面板34は、上記と同様にして後側面の略全体が開口する可倒構造となっている。後部側面板34には、複数の排気口35が形成されており、これら各排気口35には、ファン36が装着されている。このファン36が動作することにより、バッテリーボックス26内の空気が外部へ排出される。次いで、両横の側面には、後端部からバッテリー25の前端部付近までの長さを有して横部側面板37、38を備えている。横部側面板37、38も前記と同様に可倒構造となっており、この部分が開口出来るようになっている。
【0021】
以上の構成によれば、バッテリーボックス26のいずれの側面も可倒構造としたことにより、バッテリーボックス26内の機器の保守作業が容易になる。すなわち、保守時には目的とする機器に近い側面を開口することができるので、作業者の手や作業道具が入り易く作業者が作業し易い。このために、客車21にバッテリーボックス26を取り付けたままでの作業が可能であり、保守のためにバッテリーボックス26を客車21から取り外す必要がない。さらに、保守を容易にするためには、バッテリーボックス26の高さが作業容易な高さとなるように、搬器18を高い位置で支持するレールを停留場11、12内に設けると、さらにバッテリーボックス26内部の保守を行い易くなる。
【符号の説明】
【0022】
10 単線自動循環式索道
11 停留場
12 停留場
13 原動滑車
14 従動滑車
15 索条
16 走行レール
17 走行レール
18 搬器
19 握索機
20 懸垂機
21 客車
22 走行ローラー
23 上面
24 空調装置
25 バッテリー
26 バッテリーボックス
27 安定化電源
28 ブレーカー
29 消化器
30 ボルト
31 前部側面板
32 止め金具
33 吸気口
34 後部側面板
35 排気口
36 ファン
37 横部側面板
38 横部側面板
39 カバー
40 ルーバー
41 フィルター
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】