(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021066559
(43)【公開日】20210430
(54)【発明の名称】シート搬送装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20210402BHJP
   B65H 7/06 20060101ALI20210402BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20210402BHJP
【FI】
   !B65H5/06 M
   !B65H7/06
   !G03G15/00 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】2019193038
(22)【出願日】20191023
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】特許業務法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石岡 尚樹
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤノン株式会社内
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F049
【Fターム(参考)】
2H072AA02
2H072AA07
2H072AA16
2H072AA22
2H072CA01
2H072EA16
3F048AA03
3F048AB01
3F048BA14
3F048BD01
3F048CC01
3F048DA06
3F048DC12
3F048EA03
3F048EB22
3F048EB24
3F048EB29
3F049AA04
3F049DA12
3F049EA10
3F049EA12
3F049EA27
3F049LA03
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】ジャムの発生時に、シートの除去を容易にかつ安全に行うことが可能なシート搬送装置を提供する。
【解決手段】両面搬送機構170は、両面上流ローラ対15と、シート搬送方向における両面上流ローラ対15の下流に配置された両面下流ローラ対16と、両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16との間にある再搬送路183を開閉する開閉扉14と、両面上流ローラ対15を駆動する両面上流モータと、両面下流ローラ対16を駆動する両面下流モータと、ジャムの発生時に、両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16との間にあるシートに弛みが形成されるように両面上流モータ及び両面下流モータを制御する弛み形成処理を実行するコントローラと、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する第1搬送手段と、
シート搬送方向における前記第1搬送手段の下流に配置され、シートを搬送する第2搬送手段と、
前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間にあるシート搬送路を開閉する開閉部材と、
前記第1搬送手段を駆動する第1駆動手段と、
前記第2搬送手段を駆動する第2駆動手段と、
ジャムの発生時に、前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間にあるシートに弛みが形成されるように前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段を制御する弛み形成処理を実行する制御手段と、を備える、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記弛み形成処理において、前記第1駆動手段の停止を前記第2駆動手段の停止よりも遅延させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記弛み形成処理において、前記第1搬送手段の搬送速度を前記第2搬送手段の搬送速度よりも相対的に速くした後、前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段を停止させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記弛み形成処理において、前記第2駆動手段の駆動速度を前記第1駆動手段の駆動速度よりも一時的に遅くした後、前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段を停止させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記制御手段は、ジャムの発生時に、前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間にあるシート搬送路にシートがある場合に前記弛み形成処理を実行し、前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間にあるシート搬送路にシートがない場合に前記弛み形成処理を実行しない、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
シート搬送方向における前記第1搬送手段の上流に配置され、シートを検知するシート検知手段を備え、
前記制御手段は、前記シート検知手段の検知結果に基づき、前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間にあるシート搬送路にシートがあるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記第1搬送手段は、ニップを形成してシートを挟持しつつ搬送する第1搬送ローラ対であり、
前記第2搬送手段は、ニップを形成してシートを挟持しつつ搬送する第2搬送ローラ対であり、
前記開閉部材により前記シート搬送路を開放した際に、前記第1搬送ローラ対及び前記第2搬送ローラ対がニップの形成を維持している、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のシート搬送装置と、
シートに画像を形成する画像形成手段と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成手段により一方の面に画像が形成されたシートを前記画像形成手段に再搬送する再搬送路を備え、
前記シート搬送路は、前記再搬送路である、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタ、複合機等の画像形成装置においては、ジャム(紙詰まり)が発生した際に、シート搬送路を開放する扉を開くことで、シート搬送路上で停止したシートを取り除くことができるように構成されている。また、扉には、シートを搬送するローラ対の一方のローラが配置されていることが多く、扉を開いた際に、シートの挟持が解除されて、シートが取り出し易くなる構造が多い。しかしながら、扉にローラを配置した構造では、部品交差等の影響でローラ対の位置精度が低下し、搬送性能が低下する虞がある。そのため、扉にローラを配置せず、ローラ対を本体に支持させる構造を採用することがある。
【0003】
しかし、ローラ対を本体に支持させた構造では、上述のようにジャムが発生した際に扉を開いても、ローラ対のニップにシートが挟持されたままとなり、シートを取り除き難いという問題がある。そのため、例えばローラにワンウェイクラッチを介してレバーを連結し、レバーを操作することでローラを一方向に回転させ、ローラ対からシートを通過させることで、シートを取り出し易くすることも考えられている。しかしながら、このような構造を設けると、画像形成装置の構成が複雑になり、また、ジャム処理の際にレバーの操作が必要となって作業性が良好ではないという問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1のものは、搬送方向の上流にあるローラ対と下流にあるローラ対とを別の駆動源で駆動するように構成し、かつそれらのローラ対の間のシート搬送路を開閉制御可能な扉で下方に開放可能なように構成されている。そして、ジャムの発生時に、扉を開放制御すると共に上流にあるローラ対をシートが通過するまで駆動して、シートを画像形成装置の外部に排出するものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−184605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のものでは、ジャムの発生時に、扉を開けた後にシートが移動するため、ユーザが不意に移動するシートに接触して怪我を誘発する可能性がある。そのため、ジャムの発生時に、シートの除去を容易にかつ安全に行うことを可能とすることが望まれる。
【0007】
そこで本発明は、ジャムの発生時に、シートの除去を容易にかつ安全に行うことが可能なシート搬送装置、及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、シートを搬送する第1搬送手段と、シート搬送方向における前記第1搬送手段の下流に配置され、シートを搬送する第2搬送手段と、前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間にあるシート搬送路を開閉する開閉部材と、前記第1搬送手段を駆動する第1駆動手段と、前記第2搬送手段を駆動する第2駆動手段と、ジャムの発生時に、前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間にあるシートに弛みが形成されるように前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段を制御する弛み形成処理を実行する制御手段と、を備える、ことを特徴とするシート搬送装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、ジャムの発生時に、シートに弛みが形成されるので、シートの除去を容易にかつ安全に行うことを可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置を示す全体図。
【図2】第1の実施の形態に係る両面搬送機構の部分を示す図。
【図3】第1の実施の形態に係る開閉扉を開いた状態の両面搬送機構の部分を示す図。
【図4】開閉扉を開いた状態における両面搬送機構にシートが停止した状態を示す図。
【図5】開閉扉を開いた状態における両面搬送機構でシートに弛みを形成した状態を示す図。
【図6】第1の実施の形態に係る画像形成装置のコントローラを示すブロック図。
【図7】第1の実施の形態に係るジャム処理を示すフローチャート。
【図8】第1の実施の形態におけるジャムの発生時の両面上流搬送ローラと両面下流搬送ローラとのローラ回転数を示すタイムチャート。
【図9】第2の実施の形態に係るジャム処理を示すフローチャート。
【図10】第2の実施の形態におけるジャムの発生時の両面上流搬送ローラと両面下流搬送ローラとのローラ回転数を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明に係る第1の実施の形態を詳細に説明する。まず、本発明のシート搬送装置が設けられた画像形成装置について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【0012】
[画像形成装置の概略構成]
図1において、100は画像形成装置、100Aは画像形成装置本体、100Bはシートに画像を形成する画像形成部である。また、この画像形成装置本体100Aの上部には、シート排出用のシート排出部100Cが形成されている。
【0013】
画像形成手段である画像形成部100Bは4ドラムフルカラー方式のものであり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する4個のプロセスカートリッジ120とレーザスキャナ121とを備えている。ここで、各プロセスカートリッジ120は、感光体ドラム122、帯電手段である帯電器123、現像手段である現像器124、転写手段である1次転写ローラ125、クリーニング器126を備えている。また、画像形成部100Bは、プロセスカートリッジ120の上方に配された中間転写ユニット100Dと、定着部150を備えている。なお、127は現像器124にトナーを供給するためのトナーカートリッジである。
【0014】
中間転写ユニット100Dは、駆動ローラ131及びテンションローラ132に巻き掛けられた中間転写ベルト130と、中間転写ベルト130をクリーニングするクリーニングブレード133とを備えている。なお、中間転写ベルト130の内側には、上記1次転写ローラ125が感光体ドラム122に対向した位置で中間転写ベルト130に当接して設けられている。ここで、中間転写ベルト130は、不図示の駆動部により駆動される駆動ローラ131により矢印Bの方向に回転する。中間転写ベルト130と感光体ドラム122とのニップ部分が、1次転写ローラ125に押圧された1次転写部として構成されている。
【0015】
そして、1次転写ローラ125によって感光体ドラム上の負極性を持つ各色トナー像が順次中間転写ベルト130に多重転写される。中間転写ユニット100Dの駆動ローラ131と対向する位置には、中間転写ベルト上に形成されたカラー画像をシートS1に転写する2次転写ローラ105が設けられている。この2次転写ローラ105と中間転写ベルト130とのニップ部分が、駆動ローラ131によって押付けられ、2次転写部として構成されている。
【0016】
さらに、この2次転写ローラ105の上部に定着部150が配置され、この定着部150の上部には第1排出ローラ対155、第2排出ローラ対156、及び両面搬送機構170が配置されている。第1排出ローラ対155から排出されたシートS1は、シート排出部100Cの下側にある第1排出トレイ160に排出される。また、フラッパ11の切換えにより第2排出ローラ対156から排出されたシートS1は、シート排出部100Cの上側にある第2排出トレイ161に排出される。シートS1の片面に画像を形成した場合、これら第1排出トレイ160や第2排出トレイ161には、画像が形成された面がトレイ側となるように排出される(フェイスダウン排出)。
【0017】
また、シート搬送装置としての両面搬送機構170は、正逆転可能な両面反転ローラ157、シート搬送路である再搬送路183、両面センサ20、両面上流ローラ対15、両面下流ローラ対16等を備えている。両面反転ローラ157は、一面に画像が形成されたシートS1の一部を反転トレイ162で支持されるように一時的に排出し、フラッパ21を切換えた後、再度、画像形成部100Bに搬送するため、再搬送路183にシートS1を搬送する。なお、本画像形成装置100では、フラッパ22を切換えて、第3排出ローラ182からシートS1を排出することもできる。シートS1の片面に画像を形成した場合、この第3排出ローラ182から排出されたシートS1は、画像が形成された面が上側となるように排出される(フェイスアップ排出)。
【0018】
再搬送路183には、シートの通過(有無)を検出する両面センサ20と、第1搬送手段、第1搬送ローラ対としての両面上流ローラ対15と、第2搬送手段、第2搬送ローラ対としての両面下流ローラ対16とが配置されている。即ち、両面上流ローラ対15は、シート搬送方向において両面下流ローラ対16よりも上流に配置され、反対に、両面下流ローラ対16は、シート搬送方向において両面上流ローラ対15よりも下流に配置されている。これらの詳細な構成は後述する。
【0019】
一方、画像形成装置本体100Aの下部にはセットされたシートを画像形成部へと送り出すシート給送装置としての給送ユニット101,102が設けられており、言い換えると画像形成装置100は給送ユニットを複数備えている。給送ユニット101,102のそれぞれは、シートを収納する給送カセット103と、給送カセット103に収納されたシートS1を給送するシート給送手段としてのピックアップローラ111とを備えている。また、給送ユニット101,102は、ピックアップローラ111から送り出されたシートS1を1枚ずつに分離してシート給送路113に給送する分離ローラ対112を備えている。シート給送路113に送り出されたシートS1は、レジストレーションローラ対116によって斜行補正されつつ、中間転写ベルト130に形成されたトナー像にタイミングを合わせて上記2次転写部に送り出される。
【0020】
また、画像形成装置本体100Aの側方には、マルチ給送トレイとしての手差しトレイ13が備えられている。手差しトレイ13にセットされたシートは、給送分離ローラ115によって1枚ずつに分離され、上記レジストレーションローラ対116に向けて送り出される。同様に、そのシートは、レジストレーションローラ対116によって斜行補正されつつ、中間転写ベルト130に形成されたトナー像にタイミングを合わせて上記2次転写部に送り出される。
【0021】
なお、画像形成装置100には、図1では図示を省略した操作部210(図6参照)が備えられている。操作部210には、ユーザに通知する文字や図等の情報を表示することが可能な表示部や複数の操作キーが配列された入力部が備えられている。
【0022】
[画像形成装置の動作]
次に、画像形成装置100の画像形成動作について説明する。まず、原稿の画像情報が電気信号に変換されて画像形成部100Bのレーザスキャナ121に伝送される。画像形成部100Bでは、レーザ光により、帯電器123によって表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光体ドラム122の表面が順次露光される。これにより、各プロセスカートリッジ120の感光体ドラム上に、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの静電潜像が順次形成される。
【0023】
この後、この静電潜像を各色トナーにより現像して可視化すると共に、1次転写ローラ125に印加した1次転写バイアスにより、各感光体ドラム上の各色トナー像を中間転写ベルト130に順次重ね合わせて転写する。これにより、中間転写ベルト130上にトナー画像が形成される。
【0024】
一方、給送ユニット101又は給送ユニット102の分離ローラ対112から給送されたシートS1は、レジストレーションローラ対116に搬送される。この際、レジストレーションローラ対116は駆動が停止されており、レジストレーションローラ対116にシートS1の先端が突き当てられる。これにより、シートS1の先端がレジストレーションローラ対116に倣わせられる。その後、シートS1の搬送が続けられることで、シートS1に撓み(ループ)が形成され、所定のループ量となったところで、レジストレーションローラ対116が駆動される。これにより、レジストレーションローラ対116によりシートS1の斜行が補正され、斜行が補正されたシートS1が、レジストレーションローラ対116により2次転写部まで搬送される。続けて、2次転写部において、2次転写ローラ105に印加した2次転写バイアスにより、トナー像がシートS1上に一括して転写される。そして、トナー像が転写されたシートS1は、定着部150に搬送され、定着部150において熱及び圧力を受けて各色のトナーが溶融混色し、シートS1にカラーの画像として定着される。
【0025】
この後、画像が定着されたシートS1は、片面に画像を形成する場合、定着部150の下流に設けられた第1排出ローラ対155、又は第2排出ローラ対156によって、第1排出トレイ160又は第2排出トレイ161に積載される。或いは、両面反転ローラ157によって反転した後、第3排出ローラ182から排出することも可能となっている。一方、シートS1の両面に画像を形成する際は、画像が定着された後、シートS1は両面反転ローラ157により再搬送路183に搬送され、再度、画像形成部100Bに搬送されることになる。
【0026】
[画像形成装置の制御系の構成]
ついで、画像形成装置100における制御系の構成について図6を用いて説明する。図6に示すように、制御手段としてのコントローラ200には、CPU201、RAM202、ROM203等を有している。また、コントローラ200には、操作部210が信号を送受信可能となるように接続されており、コントローラ200は、操作部210の表示部の画像表示を制御したり入力部の操作入力を受付けたりすることが可能となっている。一方、コントローラ200には、ドライバ221を介して後述する第1駆動手段としての両面上流モータM1と、ドライバ222を介して後述する第2駆動手段としての両面下流モータM2とが接続されている。
【0027】
[両面搬送機構の詳細]
ついで、シート搬送装置の一例である両面搬送機構170の詳細な構成について図2乃至図6を用いて説明する。図2及び図3に示すように、両面搬送機構170には、画像形成装置本体100Aの側方に配置される両面搬送部12が備えられており、両面搬送部12には、再搬送路183が形成されている。また、両面搬送機構170には、再搬送路183においてシート搬送方向の上流から順に、シート検知手段としての両面センサ20、両面上流ローラ対15、両面下流ローラ対16が配置されている。また、両面搬送機構170は、画像形成装置本体100Aの側方で回動自在に設けられて開閉する手差しトレイ13と、同じく画像形成装置本体100Aの側方で回動自在に設けられて開閉する開閉部材としての開閉扉14とを備えている。
【0028】
手差しトレイ13と開閉扉14とは、異なる回動支点で回動自在に構成されていると共に、それらを閉じた状態で手差しトレイ13が開閉扉14の外側となる二重扉の構造となっている。従って、手差しトレイ13を開いた状態で、開閉扉14を開くことが可能となる。開閉扉14の開閉方向の内側には、ガイド部材17が固定されていて、開閉扉14を閉じた状態で、画像形成装置本体100Aに固定されているガイド部材18に対向して、再搬送路183を形成するように構成されている。そして、開閉扉14を開くことで、再搬送路183が開き、ユーザが再搬送路183にアクセスできるように構成されている。
【0029】
一方、両面センサ20は、再搬送路183にシートが搬送されてきた際、例えばフラグ片が光センサを遮光する等して、シートの有無を検知する。制御手段としてのコントローラ200(図6参照)は、両面センサ20の検知結果と両面上流ローラ対15の回転数(或いはタイマの計時でもよい)とに基づき、シートが再搬送路183に有るか否かを判定する。特に両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16とにシートが跨って位置しているか否かが判定できる。
【0030】
両面上流ローラ対15は、一対の上流駆動ローラ15a及び上流従動ローラ15bからなるローラ対で構成されている。また、図4乃至図6に示すように、上流駆動ローラ15aが両面上流モータM1に不図示のギヤ等の駆動機構を介して駆動連結されている。また、これら上流駆動ローラ15a及び上流従動ローラ15bは、図3に示すように、画像形成装置本体100Aに回転自在に支持されており、換言すると、開閉扉14に取り付けられていない。そのため、開閉扉14を開いた状態でも、上流駆動ローラ15a及び上流従動ローラ15bによってシートを挟持して搬送するニップの形成を維持している。
【0031】
また同様に、両面下流ローラ対16は、一対の下流駆動ローラ16a及び下流従動ローラ16bからなるローラ対で構成されている。また、図4乃至図6に示すように、下流駆動ローラ16aが、両面上流モータM1とは異なる両面下流モータM2に不図示のギヤ等の駆動機構を介して駆動連結されている。また、これら下流駆動ローラ16a及び下流従動ローラ16bは、図3に示すように、画像形成装置本体100Aに回転自在に支持されており、換言すると、開閉扉14に取り付けられていない。そのため、開閉扉14を開いた状態でも、下流駆動ローラ16a及び下流従動ローラ16bによってシートを挟持して搬送するニップを形成している。
【0032】
このように、両面搬送機構170では、各ローラが画像形成装置本体100Aに支持され、開閉扉14に支持されていないので、例えば開閉扉14に一方のローラを支持させた場合に比して部品公差による支持精度の低下が少なく、搬送精度も良好となる。また、開閉扉14は、手差しトレイ13と二重構造となっており、画像形成装置100の小型化のためには厚みを薄くすることが求められるが、ローラを支持する構造でないため、厚みを薄くすることができている。しかしながら、ジャムが発生した際、開閉扉14を開いたとしても、両面上流ローラ対15或いは両面下流ローラ対16がニップを開放しない。このままでは、シートが両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16との間に跨って停止した際に、ユーザがシートの除去を容易に行えない虞がある。特に、図4に示すように、ガイド部材18が湾曲しており、湾曲の内側となるガイド部材18にシートが接触した状態で停止すると、ガイド部材18とシートS1との間にユーザが指を入れ難く、シート除去の作業性が悪化する虞がある。そこで、以下のようなジャム処理の制御を行う。
【0033】
[ジャム処理の詳細]
制御手段としてのコントローラ200は、例えば電源がONされている状態で、図7に示す弛み形成処理としてのジャム処理の制御を実行する。本ジャム処理の実行中は、画像形成装置100の内部でジャムが発生した否かを判定しており(S11)、ジャムが発生するまでは、待機する(S11のNO)。例えば画像形成装置100の内部において、不図示のセンサ等の検出結果に基づき、例えば再搬送路183以外の部位でジャムが発生したと判定する(S11のYES)。すると、まず、コントローラ200は、両面センサ20によるシート有無の検知結果を取得する(S12)。
【0034】
続いて、コントローラ200は、両面センサ20の検知結果と両面上流ローラ対15の回転数とに基づき、両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16との間にシートが跨っているか否かを判定する(S13)。両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16との間にシートが跨っていないと判定した場合は(S13のNO)、両面上流モータM1と両面下流モータM2とを直ちに停止する(S17)。そして、操作部210(図6参照)の図示を省略した表示部に、ユーザに対して用紙の排出を促す表示を行い(S16)、本ジャム処理を終了する。
【0035】
一方、上記ステップS13において、両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16との間にシートが跨っていると判定した場合は(S13のYES)、まず、両面下流モータM2を停止する(S14)。次に、所定時間のウエイトを行って(所定時間の経過後に)、両面上流モータM1を停止する(S15)。そして、操作部210(図6参照)の図示を省略した表示部に、ユーザに対して用紙の排出を促す表示を行い(S16)、本ジャム処理を終了する。
【0036】
即ち、図8に示すように、コントローラ200が、時点t1にジャムの発生を判定し、両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16との間にシートが跨っていると判定すると、両面下流モータM2に停止を指令する。すると、時点t2から両面下流ローラ対16の回転数R2が低下していき、その後停止する。また、コントローラ200が、所定時間の経過後に、両面上流モータM1に停止を指令する。すると、時点t3から両面上流ローラ対15の回転数R1が低下していき、その後停止する。
【0037】
このように、両面上流ローラ対15の停止を両面下流ローラ対16の停止よりも遅延させることで、図5に示すように、両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16との間でシートS1に弛みが形成される。これにより、シートS1とガイド部材18との間に隙間が形成され、ユーザが隙間に手を入れ易くなるので、シートS1を掴み易くすることができ、ジャムの発生時におけるシートS1の除去を容易にすることができる。また、両面上流ローラ対15も両面下流ローラ対16に遅れて停止するため、開閉扉14を開いてユーザがシートS1を除去しようとする際にはシートS1の搬送が停止しており、シートS1の除去を安全に行うことができる。
【0038】
<第2の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第2の実施の形態について図9及び図10を用いて説明する。なお、本第2の実施の形態の説明においては、上記第1の実施の形態と同様な部分に同符号を付して、その説明を省略する。本第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態に比して、ジャムの発生時における両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16との停止タイミングは変えずに、回転数(つまりシートの搬送速度)を変更するものである。
【0039】
詳細には、図9に示すように、ジャム処理において、ジャムが発生するまで待機しており(S21のNO)、再搬送路183以外の部位でジャムが発生したと判定すると(S21のYES)、両面センサ20によるシート有無の検知結果を取得する(S22)。続いて、両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16との間にシートが跨っていないと判定した場合は(S23のNO)、両面上流モータM1と両面下流モータM2とを直ちに停止する(S27)。そして、操作部210(図6参照)の表示部に、ユーザに対して用紙の排出を促す表示を行い(S26)、本ジャム処理を終了する。
【0040】
一方、両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16との間にシートが跨っていると判定した場合は(S23のYES)、両面下流モータM2に指令し、両面上流ローラ対15の回転数よりも両面下流ローラ対16の回転数を一時的に遅くする(S24)。換言すると、両面下流モータM2の駆動速度を両面上流モータM1の駆動速度よりも一時的に遅くする。つまり、両面上流ローラ対15のシートの搬送速度を両面下流ローラ対16のシートの搬送速度よりも相対的に速くする。その後、所定時間のウエイトを行って(所定時間の経過後に)、両面上流モータM1及び両面下流モータM2を停止する(S25)。そして、操作部210(図6参照)の表示部に、ユーザに対して用紙の排出を促す表示を行い(S26)、本ジャム処理を終了する。
【0041】
即ち、図10に示すように、コントローラ200が、時点t11にジャムの発生を判定し、両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16との間にシートが跨っていると判定すると、両面下流モータM2に回転速度の減速を指令する。すると、時点t12から両面下流ローラ対16の回転数R12が低下していき、時点t13から時点t15まで、その低下した回転数R12が所定時間に亘って維持される。また、コントローラ200が、両面下流モータM2に回転速度の減速を指令してから所定時間の経過後に、両面上流モータM1及び両面下流モータM2に停止を指令する。すると、時点t14から両面上流ローラ対15の回転数R11が低下していき、また、時点t15に両面下流ローラ対16の回転数R12が低下していき、その後、両面上流ローラ対15及び両面下流ローラ対16が停止する。
【0042】
このように、両面上流ローラ対15及び両面下流ローラ対16を停止する前に、両面下流ローラ対16の回転数R12を両面上流ローラ対15の回転数R11よりも低下させる。このため、両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16との間でシートS1に弛みが形成される。これにより、シートS1とガイド部材18との間に隙間が形成され、ユーザが隙間に手を入れ易くなるので、シートS1を掴み易くすることができ、ジャムの発生時におけるシートS1の除去を容易にすることができる。また、両面上流ローラ対15と両面下流ローラ対16とが停止するため、開閉扉14を開いてユーザがシートS1を除去しようとする際にはシートS1の搬送が停止しており、シートS1の除去を安全に行うことができる。
【0043】
<他の実施の形態の可能性>
なお、以上説明した第1及び第2の実施の形態では、ジャムの発生時に、両面搬送機構170における両面上流ローラ対15及び両面下流ローラ対16の間でシートに弛みを形成するものを説明した。しかしながら、これらのローラだけに限らず、シートの搬送方向における上流と下流とにあるローラで別の駆動手段(駆動源)で駆動されるものであれば、どのローラであっても構わない。
【0044】
また、第1及び第2の実施の形態では、上流のローラの停止を下流のローラの停止よりも遅延させるもの、下流のローラの搬送速度を上流のローラの搬送速度より遅くするものを説明した。しかしながら、これらに限らず、2つのローラを制御して、どのようにシートに弛みを形成してもよい。例えば、下流のローラを逆転させたり、上流のローラを停止した後に再度駆動したり、上流のローラを加速させたりしてもよい。また、ローラの停止を遅延するものや搬送速度を遅くするものを含め、どのように組み合わせて制御しても構わない。また、シートの種類や搬送方向の長さに応じて、停止タイミングや搬送速度を変えるようにしてもよい。
【0045】
また、第2の実施の形態では、下流のローラを駆動するモータの駆動速度を遅くするものを説明した。しかしながら、これに限らず、例えばギヤを切換えて変速する等、上流のローラの搬送速度が下流のローラの搬送速度よりも相対的に速くなれば、どのような手法でもよい。
【0046】
また、第1及び第2の実施の形態では、第1及び第2搬送手段がローラであるものを説明したが、これに限らず、ベルト等、シートを搬送できるものであれば、どのようなものでもよい。
【0047】
また、第1及び第2の実施の形態では、両面上流ローラ対15及び両面下流ローラ対16の間にシートが跨っていることを両面センサ20の検知結果と両面上流ローラ対15の回転数(搬送速度)で判定するものを説明した。しかしながら、これに限らず、他のセンサを用いたり、両面上流ローラ対15及び両面下流ローラ対16のニップ圧を検知したり、どのような手法で判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
14…開閉部材/15…第1搬送手段、第1搬送ローラ対(両面上流ローラ)/16…第2搬送手段、第2搬送ローラ対(両面下流ローラ)/100…画像形成装置/100B…画像形成手段(画像形成部)/170…シート搬送装置(両面搬送機構)/183…シート搬送路、再搬送路/200…制御手段(コントローラ)/M1…第1駆動手段(両面上流モータ)/M2…第2駆動手段(両面下流モータ)/S1…シート
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】