(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021066907
(43)【公開日】20210430
(54)【発明の名称】ステンレス鋼の表面硬化処理方法および表面硬化処理装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 8/26 20060101AFI20210402BHJP
   C21D 1/76 20060101ALI20210402BHJP
   C21D 1/773 20060101ALI20210402BHJP
   C21D 1/06 20060101ALI20210402BHJP
   C21D 6/00 20060101ALN20210402BHJP
【FI】
   !C23C8/26
   !C21D1/76 F
   !C21D1/773 J
   !C21D1/06 A
   !C21D6/00 102J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】2019191616
(22)【出願日】20191021
(71)【出願人】
【識別番号】591080531
【氏名又は名称】株式会社日本テクノ
【住所又は居所】埼玉県さいたま市見沼区南中野661番地の3
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】椛澤 均
【住所又は居所】埼玉県さいたま市見沼区南中野661番地の3 株式会社日本テクノ内
【テーマコード(参考)】
4K028
【Fターム(参考)】
4K028AA02
4K028AB01
4K028AC03
4K028AC07
4K028AC08
(57)【要約】
【課題】ステンレス鋼の耐食性の低下を招くことなく、短時間で、表面硬度を更に高める表面硬化処理技術を提供する。
【解決手段】表面硬化処理方法は、ステンレス鋼からなるワークを収容した熱処理炉内を真空状態にし、このワークの最終到達温度を950℃以上にして、所定時間維持する。その後、熱処理炉内に窒素ガスを供給することで、熱処理炉内を大気圧に復圧させてから、ワークを950℃以上に維持した状態で窒素ガスとアンモニアガスを供給して、ワークに窒素を固溶させる。その後、熱処理炉内に窒素ガスを供給しながら又は熱処理炉内の窒素ガスを循環させながらワークを冷却する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼からなるワークを収容した熱処理炉内を真空状態にする真空化行程と、
前記真空状態を維持したまま、前記ワークの最終到達温度を950℃以上にする昇温行程と、
前記最終到達温度950℃以上且つ前記真空状態で前記ワークを所定時間維持する待機工程と、
前記待機工程後、前記熱処理炉内に窒素ガスを供給することで、前記熱処理炉内を前記真空状態よりも高い圧力に復圧させる復圧工程と、
前記ワークを950℃以上に維持した状態で、前記熱処理炉内に窒素ガスとアンモニアガスを供給し、前記ワークに窒素を固溶させるアンモニアガス導入工程と、
前記アンモニアガス導入工程の後に実行され、前記熱処理炉内に窒素ガスを供給しながら又は前記熱処理炉内の窒素ガスを循環させながら、前記ワークを冷却する窒素ガス冷却工程と、を有することを特徴とする、
表面硬化処理方法。
【請求項2】
前記アンモニアガス導入工程において、前記アンモニアガスの供給量よりも前記窒素ガスの供給量が多いことを特徴とする、
請求項1に記載の表面硬化処理方法。
【請求項3】
前記窒素ガス冷却工程において、前記ワークが750℃〜950℃の温度範囲を通過する時間を40分以下にすることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の表面硬化処理方法。
【請求項4】
前記昇温行程において、前記ワークが500℃以上となる時間を30分以上とすることを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれかに記載の表面硬化処理方法。
【請求項5】
前記アンモニアガス導入工程の時間を60分以下とすることを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載の表面硬化処理方法。
【請求項6】
前記ワークの表面硬度を、700Hv以上にすることを特徴とする、
請求項1ないし5のいずれか前記表面硬化処理方法。
【請求項7】
前記窒素ガス冷却工程では、前記熱処理炉内に新たに供給される窒素ガス又は前記熱処理炉内に滞留する窒素ガスを熱交換器によって冷却することを特徴とする、
請求項1ないし6のいずれか前記表面硬化処理方法。
【請求項8】
ステンレス鋼からなるワークを収容する熱処理炉と、
前記熱処理炉内を真空状態にする排気装置と、
前記熱処理炉に設けられて、前記ワークを加熱する加熱装置と、
前記熱処理炉にアンモニアガスを供給するアンモニアガス供給系統と、
前記熱処理炉に窒素ガスを供給する窒素ガス供給系統と、
前記排気装置、前記加熱装置、前記アンモニアガス供給系統及び前記窒素ガス供給系統を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記排気装置を制御して前記熱処理炉を真空状態にする真空化処理部と、
前記真空状態を維持したまま、前記加熱装置を制御して前記ワークの最終到達温度を950℃以上にする昇温処理部と、
前記最終到達温度950℃以上且つ前記真空状態で前記ワークを所定時間維持する維持処理部と、
前記維持処理部による制御の後、前記窒素ガス供給系統を制御して、前記熱処理炉内に窒素ガスを供給することで、前記熱処理炉内を前記真空状態よりも高い圧力に復圧させる復圧処理部と、
前記復圧処理部による制御の後、前記ワークを950℃以上に維持した状態で、前記窒素ガス供給系統及び前記アンモニアガス供給系統を制御して前記熱処理炉内に窒素ガス及びアンモニアガスを供給して、前記ワークに窒素を固溶させるアンモニアガス導入処理部と、
前記アンモニアガス導入処理部による制御の後、前記窒素ガス供給系統を制御して前記熱処理炉内に窒素ガスを供給しながら又は前記熱処理炉内の窒素ガスを循環させながら、前記ワークを冷却する窒素ガス冷却処理部と、を有することを特徴とする、
表面硬化処理装置。
【請求項9】
前記熱処理炉内に新たに供給される窒素ガス又は前記熱処理炉内に滞留する窒素ガスを熱交換器によって冷却する冷却装置を備え、
前記窒素ガス冷却処理部は、前記冷却装置を制御することで、前記ワークを冷却することを特徴とする、
請求項8に記載の表面硬化処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンレス鋼の表面層に窒素を侵入させて表面を硬化させる表面硬化処理方法および表面硬化処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステンレス鋼の表面硬度を高めるために窒化処理が行われている。この窒化処理には、塩浴窒化、イオン窒化、ガス窒化等の様々な手法がある。ガス窒化は、アンモニアガス使用の低温処理か窒素ガス使用の高温処理により、ステンレス鋼の表面層に窒素(N)を侵入させて表面を硬化させる手法である。
【0003】
ガス窒化の一つとして、ステンレス鋼を真空環境下に配置しつつ、900℃以上(A3変態点以上)で一定時間保持し、その後、900℃以上のまま窒素ガス雰囲気中に保持して窒素(N)を表面に固溶させた後、冷却する手法が存在する(特許文献1参照)。
【0004】
真空環境下で900℃以上に加熱すると、ステンレス鋼の表面に形成される緻密な不動態被膜が除去されて表面が活性化する。結果、その後に添加される窒素ガスの解離窒素を、ステンレス鋼の表面に固溶できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−165370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らの未公知の研究によると、従来のガス窒化方法では、表面硬さが600HVまでしか高めることが出来ないという問題があった。一方、表面硬度を高める目的で、窒素雰囲気中のステンレス鋼の保持時間を長くすると、表面の窒化層中に、クロム窒化物の結晶が析出してしまい、ステンレス鋼元来の耐食性を向上させるためのクロム濃度が大幅に低下し、耐食性の悪化を招くという問題があった。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたものであり、ステンレス鋼の耐食性の低下を招くことなく、短時間で、表面硬度を更に高めることが可能な表面硬化処理方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明は、ステンレス鋼からなるワークを収容した熱処理炉内を真空状態にする真空化行程と、前記真空状態を維持したまま、前記ワークの最終到達温度を950℃以上にする昇温行程と、前記最終到達温度950℃以上且つ前記真空状態で前記ワークを所定時間維持する待機工程と、前記待機工程後、前記熱処理炉内に窒素ガスを供給することで、前記熱処理炉内を前記真空状態よりも高い圧力に復圧させる復圧工程と、前記ワークを950℃以上に維持した状態で、前記熱処理炉内に窒素ガスとアンモニアガスを供給し、前記ワークに窒素を固溶させるアンモニアガス導入工程と、前記アンモニアガス導入工程の後に実行され、前記熱処理炉内に窒素ガスを供給しながら又は前記熱処理炉内の窒素ガスを循環させながら、前記ワークを冷却する窒素ガス冷却工程と、を有することを特徴とする表面硬化処理方法である。
【0009】
上記表面硬化処理方法に関連して、前記アンモニアガス導入工程において、前記アンモニアガスの供給量よりも前記窒素ガスの供給量が多いことを特徴とする。
【0010】
上記表面硬化処理方法に関連して、前記窒素ガス冷却工程において、前記ワークが750℃〜950℃の温度範囲を通過する時間を40分以下にすることを特徴とする。
【0011】
上記表面硬化処理方法に関連して、前記昇温行程において、前記ワークが500℃以上となる時間を30分以上とすることを特徴とする。
【0012】
上記表面硬化処理方法に関連して、前記アンモニアガス導入工程の時間を60分以下とすることを特徴とする。
【0013】
上記表面硬化処理方法に関連して、前記ワークの表面硬度を、700Hv以上にすることを特徴とする。
【0014】
前記窒素ガス冷却工程では、前記熱処理炉内に新たに供給される窒素ガス又は前記熱処理炉内に滞留する窒素ガスを熱交換器によって冷却することを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成する本発明は、ステンレス鋼からなるワークを収容する熱処理炉と、前記熱処理炉内を真空状態にする排気装置と、前記熱処理炉に設けられて、前記ワークを加熱する加熱装置と、前記熱処理炉にアンモニアガスを供給するアンモニアガス供給系統と、前記熱処理炉に窒素ガスを供給する窒素ガス供給系統と、前記排気装置、前記加熱装置、前記アンモニアガス供給系統及び前記窒素ガス供給系統を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記排気装置を制御して前記熱処理炉を真空状態にする真空化処理部と、前記真空状態を維持したまま、前記加熱装置を制御して前記ワークの最終到達温度を950℃以上にする昇温処理部と、前記最終到達温度950℃以上且つ前記真空状態で前記ワークを所定時間維持する維持処理部と、前記維持処理部による制御の後、前記窒素ガス供給系統を制御して、前記熱処理炉内に窒素ガスを供給することで、前記熱処理炉内を前記真空状態よりも高い圧力に復圧させる復圧処理部と、前記復圧処理部による制御の後、前記ワークを950℃以上に維持した状態で、前記窒素ガス供給系統及び前記アンモニアガス供給系統を制御して前記熱処理炉内に窒素ガス及びアンモニアガスを供給して、前記ワークに窒素を固溶させるアンモニアガス導入処理部と、前記アンモニアガス導入処理部による制御の後、前記窒素ガス供給系統を制御して前記熱処理炉内に窒素ガスを供給しながら又は前記熱処理炉内の窒素ガスを循環させながら、前記ワークを冷却する窒素ガス冷却処理部と、を有することを特徴とする表面硬化処理装置である。
【0016】
上記表面硬化処理装置は、前記熱処理炉内に新たに供給される窒素ガス又は前記熱処理炉内に滞留する窒素ガスを熱交換器によって冷却する冷却装置を備え、前記窒素ガス冷却処理部は、前記冷却装置を制御することで、前記ワークを冷却することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る表面硬化処理方法および表面硬化処理装置によれば、短時間で、ステンレス鋼の表面を硬化させることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る表面硬化処理装置の構成を示した概略図である。
【図2】表面硬化処理方法のタイムチャートの一例を示した図である。
【図3】実施例による硬さ試験の結果を示したグラフである。
【図4】比較例による硬さ試験の結果を示したグラフである。
【図5】ステンレス鋼の鋭敏化特性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態の表面硬化処理装置及び表面硬化処理方法を、添付図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る表面硬化処理装置1の構成を示した概略図である。本実施形態の表面硬化処理装置1は、ステンレス鋼に窒素を固溶させる処理を行うように構成されている。図1に示されるように、表面硬化処理装置1は、熱処理炉10と、熱処理炉10に各種ガスを供給するガス供給装置20と、熱処理炉10内の雰囲気ガスを排出する排気装置30と、熱処理炉10内の雰囲気ガスを冷却する冷却装置60と、表面硬化処理装置1の各部を制御する制御装置40とを備えている。
【0021】
熱処理炉10は、ステンレス鋼材であるワーク100を収容して加熱すると共に、炉内10aの雰囲気ガスによって窒化を行うものである。熱処理炉10は、炉内10aが外部から気密状態に保たれると共に、適宜の断熱材によって保温されるように構成されている。また、炉内10aは、適宜の治具11等に載置された状態で複数のワーク100を収容可能に構成されている。
【0022】
ワーク100の母材にはステンレス鋼が採用される。ステンレス鋼は、ISO規格において、炭素含有量1.2%(質量パーセント濃度)以下、クロム含有量10.5%(質量パーセント濃度)以上の鋼と定義される。表面硬化処理方法等が適用されるステンレス鋼の種類は特に限定されず、マルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼等に適用できる。
【0023】
表面硬化処理方法等は、特に好ましくは、マルテンサイト系ステンレス鋼に適用する。マルテンサイト系ステンレス鋼のクロム含有量は、およそ11%〜18%(質量パーセント濃度)の範囲で、クロム量が比較的少ない一方、炭素の含有量が比較的多い組成となり、焼入れ及び/または焼き戻しされて用いられる。マルテンサイト系ステンレス鋼は、硬さが求められる場合に採用されるものの、目的によっては、より一層の硬さが求められる場合がある。そこで本実施形態の表面効果処理装置1を組み合わせることが好ましい。具体的に、マルテンサイト系ステンレス鋼の日本工業規格(JIS)の鋼種では、クロム11.50〜13.00%(質量パーセント濃度)、炭素0.15%(質量パーセント濃度)以下となるSUS410や、クロム12.00〜14.00%(質量パーセント濃度)、炭素0.26%〜0.40%(質量パーセント濃度)のSUS420J2等が代表的である。なお、このマルテンサイト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼よりも炭素濃度が高いことから、後述する窒素を固溶させる際に、窒化クロムが析出しやすいという特性がある。
【0024】
熱処理炉10には、炉内10aを加熱する加熱装置(例えば電熱線ヒータ)12と、炉内10aの温度を測定する温度計(例えば熱電対)13と、炉内10aの圧力を測定する圧力計14と、炉内10aの雰囲気ガスを攪拌する攪拌装置(例えばファン)16とが設けられている。
【0025】
ガス供給装置20は、アンモニア(NH3)ガスを炉内10aに供給するアンモニアガス供給系統21と、窒素(N2)ガスを炉内10aに供給する窒素ガス供給系統22と、窒素(N2)ガスを炉内10aに供給して真空状態の炉内10aを短時間で大気圧に戻す復圧系統23を有する。なお、アンモニアガスは、ワーク100中に侵入させる窒素(N)を供給する役割を担う。窒素ガスは、ワーク100中に侵入させる窒素(N)を供給すると同時に、対流によってワーク100を冷却する役割を担う。
【0026】
アンモニアガス供給系統21は、所定の供給流量で炉内10aにアンモニアガスを供給するものである。アンモニアガス供給系統21は、アンモニアを収容したガスボンベ等からなるアンモニアガス供給源21aと、アンモニアガス供給源21aと炉内10aを繋ぐ供給配管21bとを備えている。そして、供給配管21bの途中には、アンモニアガスの流量を調整するための流調弁21cと、制御装置40に制御されて開閉する電磁弁21dと、アンモニアガスの流量を測定する流量計21eとが設けられている。
【0027】
窒素ガス供給系統22は、所定の供給流量で炉内10aに窒素ガスを供給するものである。窒素ガス供給系統22は、窒素ガスを収容したガスボンベ、又は圧力スイング吸着法(Pressure Swing Adsorption;PSA)により空気中から窒素を分離する窒素ガス発生装置等からなる窒素ガス供給源22aと、窒素ガス供給源22aと炉内10aを繋ぐ供給配管22bとを備えている。また、供給配管22bの途中には、窒素ガスの流量を調整するための流調弁22cと、制御装置40に制御されて開閉する電磁弁22dと、窒素ガスの流量を測定する流量計22eとが設けられている。
【0028】
復圧系統23は、所定の供給流量で炉内10aに窒素ガスを供給することで、短時間に炉内10aの真空状態を大気圧まで復圧する。具体的に復圧系統23は、短時間に大量の窒素ガスを供給することで、60秒以内、望ましくは20秒以内に炉内10aを復圧する。この復圧系統23は、窒素ガスを収容したガスボンベ、又は圧力スイング吸着法(Pressure Swing Adsorption;PSA)により空気中から窒素を分離する窒素ガス発生装置等からなる窒素ガス供給源23aと、窒素ガス供給源23aと炉内10aを繋ぐ供給配管23bとを備えている。また、供給配管23bの途中には、窒素ガスの流量を調整するための流調弁23cと、制御装置40に制御されて開閉する電磁弁23dが設けられている。
【0029】
排気装置30は、炉内10aの雰囲気ガスを排出することで、炉内10aの圧力を調整するものである。具体的に排気装置30は、ガス供給装置20からの各ガスの供給中に雰囲気ガスを排出して炉内10aを大気圧以上又は大気圧前後の所定の圧力に保持する第1の排気系統31と、真空処理を行う際に雰囲気ガスを吸引して炉内10aを大気圧以下の所定の圧力に減圧する第2の排気系統32と、第1の排気系統31または第2の排気系統32から排出された雰囲気ガス中に残留するアンモニアを分解する分解炉33と、分解炉33から排出された可燃性ガスを燃焼させる燃焼塔34とを備えている。
【0030】
第1の排気系統31は、炉内10aと分解炉33を繋ぐ排気配管31aを備えており、排気配管31aの途中には、制御装置40に制御されて開閉する電磁弁31bが設けられている。第2の排気系統32は、炉内10aと分解炉33を繋ぐ排気配管32aを備えており、排気配管32aの途中には、制御装置40に制御されて開閉する電磁弁32bが設けられている。また、電磁弁32bと分解炉33の間の排気配管32aには、制御装置40に制御されて動作する真空ポンプ32cが設けられている。なお、第2の排気系統32は、炉内10aを、真空状態(低真空状態、望ましくは中真空状態、より望ましくは高真空状態)に制御する。より具体的には、低真空状態の場合、例えば、10000Pa(約75Torr)以下、好ましくは1000Pa(約7.5Torr)以下とする。さらに、中真空状態の場合、100Pa(約0.75Torr)以下、好ましくは30Pa(約0.23Torr)以下、更に好ましくは15Pa(0.11Torr)以下に制御する。勿論、高真空状態(0.1Pa以下)に制御しても良い。
【0031】
冷却装置60は、炉内10aの雰囲気ガスを循環させつつ、この循環ガスを冷却することで、炉内10aの温度を低下させる。具体的に、冷却装置60は、炉内10aの雰囲気ガスを外部に導出し、更に、この導出したガス(循環ガス)を炉内10aに戻す循環配管62と、この循環配管62の途中に設けられて循環ガスを強制的に循環させるブロア64と、循環配管62の途中に設けられて循環ガスを冷却する熱交換器66を有する。更に、循環配管62の途中には、制御装置40に制御されて開閉する電磁弁68a、68bが設けられている。結果、炉内10aの温度が短時間で低下するので、ワーク100も冷却される。なお、ここでは冷却装置60が雰囲気ガスを炉外に導出・循環させて、この循環ガスを冷却する場合を例示するが、本発明はこれに限定されない。例えば、冷却装置60が、窒素ガス供給系統22によって新たに供給される窒素ガスを積極的に冷却してから、炉内10aに供給することで、炉内10aの温度を短時間で低下させることもできる。
【0032】
制御装置40は、適宜のマイコンまたはPC等から構成され、表面硬化処理装置1全体を制御するものである。制御装置40は、温度計13の信号出力に基づいて加熱装置12を制御し、熱処理炉10内を予め設定された処理温度Tに昇温し、保持する。また制御装置40は、ガス供給装置20の電磁弁23dを制御し、大量の窒素ガスを短時間で炉内10aに供給して、真空状態の炉内10aを短時間で大気圧まで復圧する。制御装置40はまた、ガス供給装置20の各電磁弁21d,22dを制御し、アンモニアガス及び窒素ガスの炉内10aへの供給を所定のタイミングで開始または停止する。また、制御装置40は、温度計13の信号出力に基づいて冷却装置60(電磁弁68a,68bやブロア64等)を制御し、熱処理炉10内を予め設定された温度まで冷却する。
【0033】
制御装置40は、圧力計14の信号出力に基づいて第1の排気系統31の電磁弁31bを制御し、炉内10aを予め設定された圧力に保持する。制御装置40はまた、圧力計14の信号出力に基づいて、第2の排気系統32の電磁弁32bおよび真空ポンプ32cを制御して、炉内10aを真空状態に維持する。
【0034】
次に、本実施形態の表面硬化処理方法の具体的な手順について説明する。なお、この表面硬化処理方法は、制御装置40において、表面硬化処理プログラムの各処理部がマイコンで実行されることで実現される。
【0035】
図2は、本実施形態の表面硬化処理方法のタイムチャートの一例を示した図である。
【0036】
予め流調弁21c,22cの開度を調整しておき、アンモニアガス及び窒素ガスの供給流量を設定しておく。各ガスの供給流量は、特に限定されるものではなく、炉内10aの容積やワーク100の表面積、必要な窒化層の厚み等に応じて適宜に設定すればよい。一方で、本実施形態では、アンモニアガスの流量よりも、窒素ガスの流量の方が大きいことが好ましい。各ガスの供給流量が適切に設定されているならば、窒化処理を開始する。
【0037】
<ワーク配置工程>
【0038】
炉内10aにワーク100を配置する。ワーク100の配置は、図示を省略した搬送装置によって行われる。
【0039】
<真空化工程>
【0040】
次に、真空化工程を行う。真空化工程では、制御装置40が、炉内10aへのアンモニアガス及び窒素ガスの供給を停止した状態で、第1の排気系統31の電磁弁31bを閉じると共に第2の排気系統32の電磁弁32bを開き、真空ポンプ32cを起動して炉内10aの雰囲気ガスを吸引する。例えば、10分〜30分程度で、炉内10aの圧力が真空状態となる。
【0041】
<昇温行程及び待機行程>
【0042】
真空化工程によって炉内10aを真空状態になった後(又はその真空化行程中)に、制御装置40が加熱装置12を制御して昇温時間t、t、tによって、予め設定された複数段階(ここでは3段階)の処理温度T、T、Tまで炉内10aを昇温する。また、各温度T、T、Tでは、予め設定された待機時間t、t、tに亘って温度を維持する。なお、昇温時間t、t、tはできる限り短くして、素早く処理温度まで上昇させることが好ましい。
【0043】
具体的に、複数段階の処理温度の中の一部、低温側の処理温度(T、T)なり、他の一部は、高温側の処理温度(T)となる。低温側の処理温度(T、T)は、500℃以上かつ880℃以下に設定されることが好ましく。高温側の処理温度(T)は950℃以上に設定されることが好ましい。このように、処理温度T、T、Tにおいて、880℃〜950℃の範囲を避けるようにすることで、真空状態であることからリスクは低いものの、これらの温度帯域は窒化クロムが析出しやすいので、避けるようにする。
【0044】
とりわけ、高温側の最終的な処理温度(T)は望ましくは980℃以上、より好ましくは1000℃以上とする。これにより、ワーク100の表面の不動態被膜を完全に除去して活性化できると同時に、ワーク100のステンレス鋼がオーステナイト組織に変態して、窒素が固溶しやすい状態となる。一方、この最終となる高温側の処理温度(T)は、1200℃以下が好ましく、より好ましくは1150℃以下とする。温度が高すぎると、ステンレス鋼の機械的性質が変化してしまう。
【0045】
500℃を超える処理温度T、T、Tでの待機時間t、t、tは、それぞれ10分以上が好ましく、望ましくは20分以上とする。また、真空状態に曝される待機時間t、t、tの合計は、30分以上が好ましく、望ましくは1時間以上とする。一方、待機時間t、t、tの合計は、6時間以下が好ましく、より好ましくは3時間以下とする。これにより、ワーク100の表面を効率的に活性化できる。
【0046】
なお、本実施形態における待機工程は、真空状態且つ処理温度950℃以上となっている時間帯を意味する。この待機工程の時間は、例えば、5分以上が好ましく、望ましくは10分以上とし、更に望ましくは20分以上とする。
【0047】
<窒素ガスによる復圧行程>
【0048】
昇温行程及び待機行程が終了した後、制御装置40は、第2の排気系統32の電磁弁32bを閉じて真空ポンプ32cを停止してから、復圧工程を実行する。復圧工程では、制御装置40が、復圧系統23の電磁弁23dと、窒素ガス供給系統22の電磁弁22dの双方を開いて、炉内10aに、窒素ガスを短時間に大量供給する。結果、10秒〜20秒で、炉内10aが大気圧まで復圧する。復圧後は、復圧系統23の電磁弁23dを閉じると共に、制御装置40が第1の排気系統31による炉内10aの圧力制御を行うことで、窒素ガス供給系統22からの窒素ガスによって炉内10aを大気圧状態(真空よりも高い圧力)に維持する。なお、窒素ガス供給系統22に、制御装置40によって流量を制御可能な流量制御弁を設ける場合は、窒素ガス供給系統22が復圧系統23を兼ねることも可能である。換言すると、この復圧系統23は、窒素ガス供給系統22の一部と定義することも可能である。
【0049】
<アンモニアガス導入行程>
【0050】
復圧工程が終了し、窒素ガス供給系統22の窒素ガスによって炉内10aが大気圧(真空よりも高い圧力)に維持された状態で、制御装置40は、アンモニアガス供給系統21の電磁弁21dを開いて、炉内10aに、アンモニアガスを供給する。この際も、制御装置40は、第1の排気系統31による炉内10aの圧力制御を行い、炉内10aを大気圧状態(真空よりも高圧状態)に維持するが、アンモニアガスの分圧は3〜5kPa程度が好ましい。なお、ここでは、アンモニアガスと窒素ガスも同時に供給する場合を例示しているが、窒素ガスとアンモニアガスを交互に供給する場合も、炉内10aにおいて、アンモニアガスと窒素ガスの混合状態が維持されている限り、本発明の範疇である。
【0051】
また、このアンモニアガス導入工程において、制御装置40は、加熱装置12を制御して、予め設定された処理温度Tを維持する。この処理温度Tは、昇温行程における高温側の処理温度(T)と一致させることが好ましい。結果、処理温度Tは、950℃以上が好ましく、望ましくは1000℃以上とする。温度が950℃よりも低くなると、表面に窒化クロム(CrN)が析出してしまい、母材内のCr濃度が減少してしまう。また、この処理温度Tは、1200℃以下が好ましく、望ましくは1100℃以下とする。これらの温度よりも高くなると、母材の機械的特性が変化しやすくなる。結果、最も好ましくは、1000℃〜1050℃に制御することが好ましい。
【0052】
アンモニアガス導入工程は、予め設定されたアンモニアガス導入時間tの間継続される。アンモニアガス導入時間tは、好ましくは5分以上が好ましく、望ましくは10分以上とし、さらに望ましくは15分以上とする。これにより、窒素の固溶量を増大させることができる。また、アンモニアガス導入時間tは、好ましくは60分以下が好ましく、望ましくは40分以下とし、さらに望ましくは30分以下とする。長すぎると、窒化クロム(CrN)が析出して、耐食性が低下しやすくなる。
【0053】
アンモニアガスの供給量は、炉内10aの容量にも多少依存するが、例えば、5Nl/min〜30Nl/min程度が好ましく、望ましくは5Nl/min〜20Nl/minとする。窒素ガスの供給量は、炉内10aの容量にも多少依存するが、例えば、15Nl/min〜90Nl/min程度が好ましく、望ましくは、15Nl/min〜60Nl/minとする。
【0054】
なお、アンモニアガスの供給量よりも、窒素ガスの供給量が多いことが好ましい。低コストの窒素ガスによって最低限の固溶量を確保しつつも、それを超える固溶量を、高コストのアンモニアガスで補うことで、表面硬度の向上と、低コスト操業を合理的に両立させる。
【0055】
<窒素ガス冷却工程>
【0056】
アンモニアガス導入工程が終了したら、制御装置40は、アンモニアガス供給系統21の電磁弁21dを閉じて、アンモニアガスの供給を停止し、窒素ガス供給系統22の電磁弁22dを開いて炉内10aに窒素ガスのみを供給する。この際、制御装置40は、第1の排気系統31による炉内10aの圧力制御を行い、炉内10aを大気圧状態(真空よりも高圧状態)に維持する。結果、炉内10aのアンモニアガスが、窒素ガスに置換される。また、この窒素ガス冷却工程では、炉内10aのアンモニアガスの濃度が低下してから、加熱装置12をオフにして、窒素ガスの対流を利用してワーク100を70℃以下、好ましくは60℃以下、さらに望ましくは室温まで急冷する。この急冷速度の目安として、ワーク100の温度が、750℃〜950℃の温度範囲を通過する時間を、40分以下にすることが好ましく、望ましくは30分以下とし、さらに望ましくは20分以下とし、一層望ましくは10分以下とする。このようにすることで、冷却行程中において、窒素ガスと母材中のクロムCrが反応して窒化クロムが析出すること(いわゆる鋭敏化)を抑制できる。なお、アンモニアガスが大量に残留したまま冷却を行うと、鋭敏化が生じやすくなって、窒化クロムの析出速度が速くなり、耐食性が低下しやすい。
【実施例1】
【0057】
本実施形態に係る表面効果処理装置1を用いてワーク100の窒化試験を行った。ワーク100の母材は、マルテンサイト系ステンレス鋼のSUS420J2を採用した。
【0058】
真空化工程における真空状態は、炉内10aを1Paに制御した。この真空状態を維持したまま、三段階の処理温度T=650℃、T=850℃、T=1030℃に昇温し、各処理温度での待機時間を、t=30分、t=30分、t=30分に設定した。
【0059】
復圧工程では、炉内10aに復圧用の窒素ガスを短時間で多量供給して、10秒〜20秒で大気圧まで復圧させた。復圧後は、窒素ガスの流量を約16Nl/minに減少させることで、炉内10aを大気圧に維持した。
【0060】
アンモニアガス導入行程では、窒素ガスを約16Nl/minで供給しつづけることで炉内10aを大気圧状態に維持しながら、アンモニアガスを約5Nl/minで供給した。なお、処理温度Tは1030℃とし、アンモニアガス導入時間tを20分にした。
【0061】
窒素ガス冷却工程では、炉内10aを大気圧状態に維持しながら、冷却装置60によって雰囲気ガスを冷却して、ワーク100を室温まで冷却した。その後、マイクロビッカース硬さ計を用いて、ワーク100の硬度を測定した。
【比較例】
【0062】
比較例として、アンモニアガス導入行程において、アンモニアガスを供給せずに炉内10aを窒素ガスのみで大気圧状態に維持した。その他の条件は、すべて実施例と一致させた。
【0063】
実施例のワーク100の硬度測定結果を図3に示す。最表面の硬度は811Hvとなり、700Hv(望ましくは750Hv)を超える硬度が得られた。また、硬度が550Hvとなる際の最表面からの距離が約0.23mmとなった。すなわち、硬度が550Hvを超える窒素固溶硬化層が0.2mm以上得られることが明らかとなった。また、最表面からの距離が0.35mm程度まで、母材よりも硬度が上昇する窒素固溶硬化層が形成されることが明らかとなった。
【0064】
比較例のワーク100の硬度測定結果を図4に示す。最表面の硬度は618Hvとなり650Hv未満の硬度となった。また、硬度が550Hvとなる際の最表面からの距離が約0.08mmとなった。すなわち、硬度が550Hvを超える窒素固溶硬化層が0.10mm未満となることが明らかとなった。また、最表面からの距離が0.20mm程度まで、母材よりも硬度が上昇する窒素固溶硬化層が形成されることが明らかとなった。
【0065】
実施例と比較例を対比すると分かるように、実施例のほうが、比較例に対して表面硬度が約200Hv大きくなり、比較例を基準にすると約30%硬度が向上する。なお、母材(芯部)の硬度の誤差が約40Hv程度存在しているので、それを加味すると、実施例のほうが、比較例に対して表面硬度が約160Hv大きくなり、比較例を基準にすると約26%硬度が向上する。また、硬度550Hvを基準とする硬化層の厚さも、実施例のほうが、比較例に対して0.1mm以上大きくなる。全体的な硬化層の厚さも、実施例のほうが、比較例に対して0.15mm程度大きくなる。
【0066】
以上の通り、本実施形態の表面硬化処理方法等は、熱処理炉内を真空状態にする真空化行程と、真空状態を維持したまま最終到達温度を950℃以上にする昇温行程と、その状態を所定時間維持する待機工程と、待機工程後に熱処理炉内を窒素ガスで大気圧まで復圧させる復圧工程と、復圧後のアンモニアガス及び窒素ガスを供給し、ワークに窒素を固溶させるアンモニアガス導入工程と、アンモニアガス導入工程の後に、熱処理炉内に窒素ガスを供給しながら又は熱処理炉内の窒素ガスを循環させながらワークを冷却する窒素ガス冷却工程を有している。
【0067】
表面硬化処理方法等よれば、真空状態の昇温行程によって、ワークとなるステンレス鋼の表面を活性化しつつ、これに連続して、アンモニアガス導入工程によって950℃以上の高温環境で窒素ガス及びアンモニアガスを供給することで、アンモニアガスを、2NH→2N+3Hという関係式で素早く熱分解し、多量の窒素原子をワークの表面に短時間で供給できる。結果、ワークの表層部に多量の窒素が固溶し、表面硬度を飛躍的に高めることが可能となる。ちなみに、窒素ガスの供給であっても、950℃以上、望ましくは1000℃を超える温度において熱解離が生じて、窒素原子をワークの表面に供給できるが、アンモニアガスの方が短時間で素早い供給が実現される。
【0068】
更に、ワークを冷却する際は、アンモニアガスではなく、窒素ガスを用いて冷却することで、アンモニアの浪費を抑制しつつ、ワークの表面に、窒化クロムが析出することを抑制できる。
【0069】
とりわけ本実施形態の表面硬化処理方法等のアンモニアガス導入工程では、アンモニアガスに加えて窒素ガスを供給する。安価な窒素ガスと、高価なアンモニアガスを混合させることによって、ランニングコストの増大を抑制することが可能となる。特にアンモニアガスの供給量よりも窒素ガスの供給量が多くすることが好ましい。
【0070】
更に本実施形態の表面硬化処理方法等の窒素ガス冷却工程では、前記ワークが750℃〜950℃の温度範囲を通過する時間を40分以下にする。このようにすると、窒化クロム析出物の発生を抑制することが可能になる。なお、図5に、ステンレス鋼(SUS304、SUS316)における、クロム窒化物の析出開始境界を示す。この境界線は、クロム窒化物の析出が開始される温度及び時間(鋭敏化開始温度、鋭敏化開始時間)を意味する。従って、この境界線より右側の範囲は、クロム窒化物が析出しやすい範囲であり、左側の範囲は、析出しにくい範囲である。従って、ステンレス鋼は、750℃〜950℃の範囲で、鋭敏化が生じやすいことが分かる。そこで、本実施形態では、窒素ガスによる冷却によって、この温度範囲を通過する時間を40分以下にする。
【0071】
また更に、本実施形態の表面硬化処理方法等の昇温行程では、真空状態においてワークが500℃以上となる時間を30分以上とする。このようにすると、ワークの表面が一層活性化して、窒素が固溶しやすい状態となる。特に、待機工程において、鋭敏化が生じにくい950℃以上の範囲で真空状態を所定時間維持すると、ワークの表面を更に活性化させることができる。
【0072】
更にまた、本実施形態の表面硬化処理方法等のアンモニアガス導入工程の時間を60分以下とする。本発明者らの検証によれば、このように、アンモニアガスの供給時間を短くしても、十分に表面硬度を向上させることができる。
【0073】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更できるものである。
【符号の説明】
【0074】
1 表面硬化処理装置
10 熱処理炉
22 アンモニアガス供給系統
23 窒素ガス供給系統
30 排気装置
100 ワーク
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】