(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021067154
(43)【公開日】20210430
(54)【発明の名称】枕木固定構造
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/12 20060101AFI20210402BHJP
   E01B 1/00 20060101ALI20210402BHJP
   E01B 3/00 20060101ALI20210402BHJP
【FI】
   !E01D19/12
   !E01B1/00
   !E01B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】2019195598
(22)【出願日】20191028
(71)【出願人】
【識別番号】390007238
【氏名又は名称】コンドーテック株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市西区境川2丁目2番90号
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】仙田 薫
【住所又は居所】大阪市西区境川2丁目2番90号 コンドーテック株式会社内
【テーマコード(参考)】
2D056
2D059
【Fターム(参考)】
2D056AA01
2D059GG55
2D059GG63
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通常箇所は云うまでもなく、狭隘箇所に対しても容易且つ効率的に施工でき、しかも周方向に対するフック部の位置ズレを効果的に防止でき且つ安価に実施可能な枕木固定構造を提供する。
【解決手段】枕木3の角孔3aに相対回転不能に装着される角筒状のスリーブ部11と、スリーブ部11から側方へ突出する載置部12とを有する中間部材10と、角孔3aに相対回転可能に内嵌し得る寸法に構成されて、スリーブ部11に相対回転不能に内嵌される横断面角形の角軸部21と、角軸部21の上端部に連設されたネジ部22と、角軸部21の下端部に連設されたフック部23とを有する角フックボルト20と、ネジ部22に螺合されて、載置部12とフック部23間に、フランジ部2aと枕木3とを挟持させるナット部材30とを備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枕木を構造物に固定するための枕木固定構造であって、
前記枕木に形成された角孔に相対回転不能に装着される角筒状のスリーブ部と、前記スリーブ部から側方へ突出して、前記枕木の上面に載置される載置部とを有する中間部材と、
前記角孔に相対回転可能に内嵌し得る寸法に構成されて、前記スリーブ部に相対回転不能に内嵌される横断面角形の角軸部と、前記角軸部の上端部に連設されて、前記スリーブ部に前記角軸部を組付けた状態で、前記スリーブ部から上方へ突出するネジ部と、前記角軸部の下端部に連設されて、前記構造物の一部に係合可能なフック部とを有する角フックボルトと、
前記ネジ部に螺合されて、前記載置部とフック部間に、前記構造物の一部と前記枕木とを挟持させるナット部材と、
を備えたことを特徴とする枕木固定構造。
【請求項2】
前記載置部に、前記中間部材を前記枕木に固定するための釘孔が形成されている請求項1記載の枕木固定構造。
【請求項3】
前記載置部が、前記枕木の幅方向の両側端まで延びる載置部本体と、前記載置部本体の両端部から前記枕木の側面に沿って下方へ延びる回り止め部とを有する請求項1又は2記載の枕木固定構造。
【請求項4】
前記スリーブ部と前記載置部とが別部材からなり、前記スリーブ部の一端部に前記載置部が溶接接合されている請求項1〜3のいずれか1項記載の枕木固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁のH形鋼などの構造物に枕木を固定するための枕木固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁のH形鋼に対して枕木を固定するための枕木固定構造として、枕木に設けた角孔に、横断面角形の角軸部を有するフックボルト(以下、角フックボルトという。)を相対回転不能に装着し、角フックボルトの下端部に設けられたフック部を橋梁のH形鋼の上側のフランジ部に係合させた状態で、枕木から上方へ突出する角フックボルトのネジ部にナット部材を締結することで、フック部とナット部材間において、上側のフランジ部と枕木とを挟持して、枕木をH形鋼に固定するように構成した枕木固定構造が広く採用されている(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
また、角フックボルトのネジ部として横断面小判形のネジ部を設け、該ネジ部に相対回転不能に嵌合し、枕木上に載置される回り止め部材を設け、回り止め部材の両端部に枕木の側面に沿って下側へ延びる回り止め部を設け、ネジ部に対するナット部材の締結時における角フックボルトの供回りを、回り止め部材により防止して、ネジ部を中心としたフック部の周方向位置を適正な位置に保持できるように構成した枕木固定構造も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−49620号公報
【特許文献2】実用新案登録第3101165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、橋梁によっては、枕木の下面から橋梁の床版までの距離が、部分的或いは全体的に200mm以下の比較的小さい狭隘箇所を有するものもあり、このような狭隘箇所では、特許文献1記載のような枕木固定構造の施工作業が大変煩雑になる。
【0006】
つまり、特許文献1記載の枕木固定構造では、角フックボルトの角軸部を枕木の角孔に装着した状態で、フック部の周方向位置を調整できないので、次のようにして、枕木固定構造を施工している。
【0007】
(1)先ず、角フックボルトを枕木の角孔に装着できるように、角孔を略水平方向にして、枕木を左右のH形鋼上に架設状に載置する。
【0008】
(2)次に、角フックボルトのフック部が、例えば下方へ向けて配置されるように、角フックボルトを枕木の角孔に装着し、その後フック部が枕木の下側に配置されるように、枕木を90°回転させる。つまり、枕木を90°回転させるときに、左右のフック部が上側のフランジ部に干渉するので、これを防止するため、フック部を下方へ向けて、角フックボルトを枕木の角孔に装着する。
【0009】
(3)次に、角フックボルトを下降させて、角フックボルトの角軸部と角孔の係合を解除し、角軸部を中心にてフック部を回転させ、フック部の周方向位置を、H形鋼のフランジ部に係合可能な周方向位置に調整する。
【0010】
(4)次に、角フックボルトを上昇させて、角フックボルトの角軸部を角孔に嵌合させた状態で、角フックボルトのネジ部にナット部材を締結して、枕木をH形鋼に固定することになる。
【0011】
しかし、前記狭隘箇所において、前記施工方法と同様にして枕木固定構造を施工しようとすると、前記(3)のように、角フックボルトを下降させても、床版に角フックボルトの下端部が当接して、角フックボルトの角軸部を角孔から離脱できず、フック部の周方向位置を調整できないとう問題がある。このため、通常は、枕木の下面から床版までの距離の大きい通常箇所のH形鋼上に枕木を載置して、前記(1)〜(3)の作業を行った後、枕木を適正な設置位置までH形鋼に沿って移動させてから、前記(4)の作業を行う必要があり、枕木を適正な設置位置まで移動させるための作業が、肉体的に大きな負担を伴う大変煩雑な作業になるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、通常箇所は云うまでもなく、狭隘箇所に対しても容易且つ効率的に施工でき、しかも周方向に対するフック部の位置ズレを効果的に防止でき且つ安価に実施可能な枕木固定構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1) 枕木を構造物に固定するための枕木固定構造であって、前記枕木に形成された角孔に相対回転不能に装着される角筒状のスリーブ部と、前記スリーブ部から側方へ突出して、前記枕木の上面に載置される載置部とを有する中間部材と、前記角孔に相対回転可能に内嵌し得る寸法に構成されて、前記スリーブ部に相対回転不能に内嵌される横断面角形の角軸部と、前記角軸部の上端部に連設されて、前記スリーブ部に前記角軸部を組付けた状態で、前記スリーブ部から上方へ突出するネジ部と、前記角軸部の下端部に連設されて、前記構造物の一部に係合可能なフック部とを有する角フックボルトと、前記ネジ部に螺合されて、前記載置部とフック部間に、前記構造物の一部と前記枕木とを挟持させるナット部材と、を備えたことを特徴とする枕木固定構造。なお、本明細書において、相対回転不能とは、全く相対回転できない場合だけでなく、製作誤差などにより、多少相対回転し得る場合をも含む意味で用いるものとする。
【0014】
(2) 前記載置部に、前記中間部材を前記枕木に固定するための釘孔が形成されている前記(1)記載の枕木固定構造。
【0015】
(3) 前記載置部が、前記枕木の幅方向の両側端まで延びる載置部本体と、前記載置部本体の両端部から前記枕木の側面に沿って下方へ延びる回り止め部とを有する前記(1)又は(2)記載の枕木固定構造。
【0016】
(4) 前記スリーブ部と前記載置部とが別部材からなり、前記スリーブ部の一端部に前記載置部が溶接接合されている前記(1)〜(3)のいずれかに記載の枕木固定構造。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る枕木固定構造によれば、角フックボルトの角軸部が、枕木の角孔に相対回転可能に内嵌し得る寸法に構成されているので、角フックボルトを枕木の角孔に装着し、枕木を90°回転させた後、角軸部を中心にフック部の周方向位置を調整し、その後角軸部と角孔間にスリーブ部を装着して、中間部材を組み付けることで、フック部をH形鋼の上側のフランジ部に係合可能な適正な周方向位置に位置決め保持できる。このため、フック部の周方向位置を調整するに際して、角フックボルトを下側へ移動させる必要がないので、枕木の下面から床版までの距離の大きい通常箇所は云うまでもなく、枕木の下面から床版までの距離の小さい狭隘箇所においても、枕木固定構造を容易に施工することができる。また、角フックボルトを下側へ移動させたり、角フックボルトを下側へ移動させた後、再度角軸部を角孔に位置決め嵌合させたりすることなく、フック部の周方向位置を、枕木の上側からの作業だけで調整できるので、枕木固定構造の施工作業を効率的に行うことが可能となる。更に、スリーブ部が角軸部よりも一回り大きな寸法になるので、スリーブ部と角孔との接触面積を、従来の枕木固定構造における角フックボルトと角孔との接触面積よりも大きくして、スリーブ部と角孔との接触部分における角孔の変形を効果的に防止でき、ナット部材の締結時における、供回りによるフック部の位置ズレを効果的に防止できる。加えて、角孔を一回り大きな寸法に加工するとともに、角筒部と載置部とからなる簡単な構成の中間部材を設けるだけでよいので、枕木固定構造を安価に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、橋梁に施工された本発明の枕木固定構造の分解斜視図である。
【図2】図2は、本発明の枕木固定構造を施工した橋梁の要部縦断面図である。
【図3】図3は、中間部材の斜視図である。
【図4】図4は、図2のIV-IV線断面図である。
【図5】図5は、本発明の枕木固定構造の施工方法の説明図である。
【図6】図6は、本発明の枕木固定構造の施工方法の説明図である。
【図7A】図7Aは、他の構成の中間部材の斜視図である。
【図7B】図7Bは、更に他の構成の中間部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施の形態では、図1を基準に前後方向、左右方向、上下方向を定義して説明する。
【0020】
図1に示すように、橋梁の床版1上には左右1対のH形鋼2(これが構造物に相当する。)が間隔をあけて略並行に設けられ、左右のH形鋼2上には、H形鋼2の長さ方向に所定間隔おきに複数の枕木3が架け渡して設けられ、これら複数の枕木3は、1対の枕木固定構造5により左右のH形鋼2にそれぞれ固定されている。複数の枕木3上には、H形鋼2の長さ方向に沿って延びる左右1対のレール4が、相互に間隔をあけて架設状に設けられ、左右のレール4は、図示外の固定手段により枕木3上にそれぞれ固定されている。なお、左側のH形鋼、枕木固定構造、レールは、図1において図示していないが、右側と同様の構成のH形鋼2、枕木固定構造5、レール4が、枕木3の長さ方向の中央部を中心として左右対称に設けられている。
【0021】
次に、左右の枕木固定構造5について説明するが、左右の枕木固定構造5は左右対称の構成なので、右側のものについて説明する。
【0022】
枕木固定構造5は、図1、図2に示すように、枕木3に設けた角孔3aに相対回転不能に装着される角筒状のスリーブ部11と、スリーブ部11の上端部から外方へ突出して、枕木3の上面に載置される平板状の載置部12とを有する中間部材10と、中間部材10の横断面角形の装着孔13に相対回転不能に装着される横断面角形の角軸部21と、角軸部21の上端部に連設されて、スリーブ部11に角軸部21を組付けた状態で、スリーブ部11から上方へ突出するネジ部22と、角軸部21の下端部に連設されて、H形鋼2の上側のフランジ部2aに下側から係合可能なフック部23とを有する角フックボルト20と、角フックボルト20のネジ部22に螺合される1対のナット部材30と、ネジ部22の途中部に装着されるスプリングワッシャ31及び座金32と、ナット部材30の脱落を防止するために角フックボルト20の上端部に取り付けられるピン部材33とを備えている。
【0023】
枕木3に形成する角孔3aは、本実施の形態では加工性を考慮して、図4に示すように略正方形に形成したが、正方形以外の長方形や六角形などの多角形に形成することも可能である。
【0024】
中間部材10は、ステンレスなどの耐食性に優れた金属材料を用いて構成され、角筒状のスリーブ部11の上端部に、平板状の載置部12を溶接接合して製作されている。ただし、中間部材10は、金属板をプレス成形してなるプレス成形品で構成することも可能であるし、強度剛性に優れたエンジニアリングプラスチックなどを用いた合成樹脂材料からなる、射出成形品で構成することも可能である。
【0025】
中間部材10のスリーブ部11の横断面の外形は、本実施の形態では、図4に示すように、略正方形に形成したが、角孔3aに適合する任意の形状に形成できる。スリーブ部11の横断面の内形は、本実施の形態では、図4に示すように、略正方形に形成したが、角フックボルト20の角軸部21の横断面形状に適合する任意の形状に形成できる。
【0026】
中間部材10の載置部12は、スリーブ部11が角孔3aから脱落することを防止可能なものであれば、任意の構成のものを採用できる。
【0027】
角フックボルト20は、枕木3の固定に必要な強度剛性を有するものであれば任意の金属材料で構成でき、例えばJIS規格において、JIS G 3101で規定される一般構造用圧延鋼材SS400で構成できる。角軸部21とネジ部22間には丸軸部24が設けられ、角軸部21と丸軸部24とネジ部22からなる軸部25の長さは、フック部23をH形鋼2の上側のフランジ部2aの下面に係合させた状態で、ネジ部22の上半部が枕木3から上方へ突出する長さに設定されている。なお、丸軸部24を省略して、角軸部21の上端部にネジ部22を直接的に連設することもできる。
【0028】
フック部23は、H形鋼2の上側のフランジ部2aに下側から当接可能なものであれば任意の形状のものを採用でき、図1〜図3に示すように正面視で略半円弧状に構成したり、軸部25の下端部から斜め上方へ向けて略直線状に延びる形状に構成したりすることも可能である。フック部23は、強度剛性を十分に確保するため、局所加熱曲げ加工を施した後、熱間鍛造加工を施して製作することが好ましいが、それ以外の方法により製作することもできる。
【0029】
角軸部21の横断面形状は、中間部材10の装着孔13に相対回転不能に略隙間なく内嵌可能な形状であれば、装着孔13の形状に応じた任意の形状に構成できる。本実施の形態では、図4に示すように、角軸部21の横断面形状を略正方形に構成したが、正方形以外の長方形や六角形などの多角形に構成することも可能である。
【0030】
角軸部21の対角線の長さL1は、角孔3aの一辺の長さL2よりも短尺に構成され、角軸部21は、角孔3aに対して相対回転可能に内嵌し得る寸法に構成されている。ただし、角孔3aの一辺の長さL2から角軸部21の対角線の長さL1を減算した長さ(L2−L1)は、大きくなるとそれに応じてスリーブ部11の肉厚が厚くなり、中間部材10の製作コストが高くなるので、長さ(L2−L1)は、10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下に設定することになる。
【0031】
ネジ部22は、転造により製作することが好ましいが、切削により製作することもできる。
【0032】
ナット部材30としては、緩み防止機能を有するロックナットやハードロックナットなどの周知の構成のものを採用できる。スプリングワッシャ31は周知の構成のもので、列車通過時等の振動によりナット部材30が緩むことを防止するためのものである。
【0033】
ピン部材33は、金属線材を曲げ加工して製作した、ベータピンやRピンなどのスナップピンで構成されている。ただし、ナット部材30の脱落を規制できるものであれば、スナップピン以外の割りピンなどのピン部材で構成することも可能である。このようにピン部材33を設けることで、列車通過時等における振動で、ナット部材30が緩んだ場合でも、ナット部材30がネジ部22から脱落することを確実に防止できる。
【0034】
この枕木固定構造5を施工する際には、先ず、図5に示すように、1対の角孔3aがH形鋼2と略平行になるように、枕木3をH形鋼2に載置した状態で、角フックボルト20を1対の角孔3aに装着する。次に、フック部23がH形鋼2の上側のフランジ部2aに接触しないように、角フックボルト20の軸部25を中心にフック部23を所望角度だけ回転させて、例えば、図5に示すように、フック部23の先端が下側を向くように角フックボルト20を回動させた状態で、図5に矢印Aで示すように、枕木3を90°回転させて、フック部23を枕木3の下側に配置させる。次に、枕木3の前後方向及び左右方向の位置を適正位置に調整するとともに、図6に矢印Bで示すように、軸部25を中心にフック部23を回転させて、フック部23の先端部をH形鋼2の上側のフランジ部2aの下方における適正位置に配置させる。次に、中間部材10のスリーブ部11を角フックボルト20の軸部25に上側から外嵌させながら、スリーブ部11を枕木3の角孔3aに上側から挿入して、中間部材10の載置部12を枕木3上に載置し、中間部材10を角フックボルト20の軸部25と枕木3間に組み付ける。次に、図2に示すように、枕木3から上方へ突出するネジ部22に座金32及びスナップリングを外装した後、ナット部材30をネジ部22に締結し、載置部12とフック部23間に、H形鋼2の上側のフランジ部2a及び枕木3を挟持することで、枕木3をH形鋼2に固定し、最後に列車通過時等の振動でナット部材30がネジ部22から脱落しないように、ネジ部22の上端部にピン部材33に装着することになる。
【0035】
この枕木固定構造5では、角フックボルト20の角軸部21が、枕木3の角孔3aに対して相対回転可能に内嵌し得る寸法に構成され、フック部23の周方向位置を調整するに際して、角フックボルト20を下降させる必要がないので、枕木3の下面から床版1までの距離H1が大きい通常箇所は云うまでもなく、距離H1が角フックボルト20の下端部から角軸部21までの長さH2よりも小さい狭隘箇所においても、上述のようにして、枕木固定構造5を容易に施工することができる。また、角フックボルト20を下側へ移動させたり、角フックボルト20を下側へ移動させた後、再度角軸部21を角孔3aに位置決め嵌合させたりすることなく、フック部23の周方向位置を、枕木3の上側からの作業だけで調整できるので、枕木固定構造5の施工作業を効率的に行うことが可能となる。更に、スリーブ部11が角軸部21よりも一回り大きな寸法になるので、スリーブ部11と角孔3aとの接触面積を、従来の枕木固定構造5における角フックボルト20と角孔3aとの接触面積よりも大きくして、スリーブ部11と角孔3aとの接触部分における角孔3aの変形を効果的に防止でき、ナット部材30の締結時における、供回りによるフック部23の位置ズレを効果的に防止できる。加えて、角孔3aを一回り大きな寸法に加工するとともに、角筒部と載置部12とからなる簡単な構成の中間部材10を設けるだけでよいので、枕木固定構造5を安価に実施できる。
【0036】
次に、中間部材10の構成を部分的に変更した他の実施の形態について説明する。なお、前記実施の形態と同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0037】
(1)図7Aに示す中間部材10Aのように、載置部12に代えて、両端部に枕木3への固定用の釘孔40を設けた、枕木3の幅方向に細長い載置部12Aを用いることもできる。この場合には、ナット部材30の締結時における中間部材10Aの供回りを一層効果的に防止できる。
【0038】
(2)図7Bに示す中間部材10Bのように、載置部12に代えて、枕木3の幅方向の両端部まで延びる細長い載置部本体41と、載置部本体41の両端部から枕木3の側面に沿って下側へ延びる回り止め部42とを有し、載置部本体41に枕木3への固定用の1対の釘孔43を設けた載置部12Bを用いることもできる。この場合には、ナット部材30の締結時における中間部材10Bの供回りをより一層効果的に防止できる。
【0039】
なお、本発明の枕木固定構造は、H形鋼2以外の構造物に枕木3を固定する場合においても適用できる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1 床版
2 H形鋼
2a フランジ部
3 枕木
3a 角孔
4 レール
5 枕木固定構造
10 中間部材
11 スリーブ部
12 載置部
13 装着孔
20 角フックボルト
21 角軸部
22 ネジ部
23 フック部
24 丸軸部
25 軸部
30 ナット部材
31 スプリングワッシャ
32 座金
33 ピン部材
10A 中間部材
12A 載置部
40 釘孔
10B 中間部材
12B 載置部
41 載置部本体
42 回り止め部
43 釘孔
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】