(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021067598
(43)【公開日】20210430
(54)【発明の名称】信号分析装置および信号分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 23/173 20060101AFI20210402BHJP
【FI】
   !G01R23/173 J
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】2019194346
(22)【出願日】20191025
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
【住所又は居所】神奈川県厚木市恩名五丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】大芝 淳
【住所又は居所】神奈川県厚木市恩名五丁目1番1号 アンリツ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】マカバスコ ジェシ
【住所又は居所】神奈川県厚木市恩名五丁目1番1号 アンリツ株式会社内
(57)【要約】      (修正有)
【課題】トレースポイント数を任意の整数値に設定することができる信号分析装置および信号分析方法を提供する。
【解決手段】被測定信号を中間周波数信号に変換し、サンプリングしてデジタル信号を取得した後、該デジタル信号に信号処理を行って、各々が被測定信号の周波数成分と該周波数成分での信号強度の値を対で含むデータポイントを生成する信号処理部30と、データポイントから、各々が被測定信号の周波数成分と該周波数成分での信号強度の値を対で含むトレースポイントを生成するトレースポイント生成部41と、トレースポイントを表示する表示部5と、を備える。さらに、各トレースポイントに対応付けられた周波数範囲であるトレースバケット内に周波数成分が存在するデータポイントを抽出するデータポイント抽出部40を備え、トレースポイント生成部は、抽出したデータポイントに基づき各トレースポイントを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定信号を局部発振器の出力信号と混合して中間周波数を有する中間周波数信号に変換する中間周波数変換部(20)と、
前記中間周波数信号をサンプリングしてデジタル信号を取得するアナログデジタル変換部(24)と、
前記デジタル信号に信号処理を行って、各々が前記被測定信号の周波数成分と該周波数成分での信号強度の値を対で含むデータポイントを生成するデータポイント生成部(30)と、
前記データポイントから、各々が前記被測定信号の周波数成分と該周波数成分での信号強度の値を対で含むトレースポイントを生成するトレースポイント生成部(41)と、
前記トレースポイントを表示する表示部(5)と、を備えた信号分析装置であって、
前記信号分析装置は、前記各トレースポイントに対応付けられた周波数範囲であるトレースバケット内に周波数成分が存在する前記データポイントを抽出するデータポイント抽出部(40)をさらに備え、前記トレースポイント生成部は、前記抽出したデータポイントに基づき前記各トレースポイントを生成することを特徴とする信号分析装置。
【請求項2】
前記トレースポイント生成部は、前記データポイント抽出部が前記抽出したデータポイントの個数が1の場合は、該データポイントの信号強度値を前記トレースバケットに対応する前記トレースポイントの信号強度値とし、前記データポイント抽出部が前記抽出したデータポイントの個数が複数の場合は、該複数の前記抽出したデータポイントに前記信号処理に含まれる検波処理を行って得られた信号強度値を該トレースポイントの信号強度値として生成する、請求項1に記載の信号分析装置。
【請求項3】
前記トレースポイント生成部は、前記データポイント抽出部が前記抽出したデータポイントの個数が複数の場合は、該複数の前記抽出したデータポイントの信号強度値のうち最大の信号強度値を該トレースポイントの信号強度値とする、請求項2に記載の信号分析装置。
【請求項4】
前記トレースポイント生成部は、前記データポイント抽出部が前記抽出したデータポイントの個数が複数の場合は、該複数の前記抽出したデータポイントの信号強度値のうち最小の信号強度値を該トレースポイントの信号強度値とする、請求項2に記載の信号分析装置。
【請求項5】
前記トレースポイント生成部は、前記データポイント抽出部が前記抽出したデータポイントの個数が複数の場合は、該複数の前記抽出したデータポイントのうち該トレースバケットの中心周波数に最も近い周波数成分を有するデータポイントの信号強度値を該トレースポイントの信号強度値とする、請求項2に記載の信号分析装置。
【請求項6】
前記トレースポイント生成部は、前記データポイント抽出部が前記抽出したデータポイントの個数が複数の場合は、該複数の前記抽出したデータポイントの信号強度値の二乗平均平方根の値を該トレースポイントの信号強度値とする、請求項2に記載の信号分析装置。
【請求項7】
前記局部発振器の発振周波数の掃引が、ゲート信号に基づいて断続的に行われ、
前記トレースポイント生成部は、前記ゲート信号に基づいて前記掃引が中断されている間に生成されたデータポイントを破棄する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の信号分析装置。
【請求項8】
被測定信号を局部発振器の出力信号と混合して中間周波数を有する中間周波数信号に変換する中間周波数変換ステップ(S2)と、
前記中間周波数信号をサンプリングしてデジタル信号を取得するアナログデジタル変換ステップ(S3)と、
前記デジタル信号に信号処理を行って、各々が前記被測定信号の周波数成分と該周波数成分での信号強度の値を対で含むデータポイントを生成するデータポイント生成ステップ(S4)と、
前記データポイントから、各々が前記被測定信号の周波数成分と該周波数成分での信号強度の値を対で含むトレースポイントを生成するトレースポイント生成ステップ(S8)と、
前記トレースポイントを表示部に表示する表示ステップ(S9)と、を含む信号分析方法であって、
前記信号分析方法は、前記各トレースポイントに対応付けられた周波数範囲であるトレースバケット内に周波数成分が存在する前記データポイントを抽出するデータポイント抽出ステップ(S7)をさらに含み、前記トレースポイント生成ステップにおいて、前記抽出したデータポイントに基づいて前記各トレースポイントを生成することを特徴とする信号分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号分析装置および信号分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線機や高周波増幅器などの被分析機器(DUT(Device Under Test))の特性を分析するために、スペクトラムアナライザなどの信号分析装置が用いられている。
【0003】
一般に、このような信号分析装置は、局部発振器の発振周波数を掃引しつつ、DUTから出力された被測定信号と局部発振器から出力された局発信号とを混合して中間周波数の信号に変換し、該中間周波数の信号をフィルタで帯域制限して検波し、検波後の信号をアナログデジタル変換して波形記憶部に記憶するようになっている。波形記憶部に記憶されたデジタルの波形データは、各種信号処理が行われるとともに、表示部に表示される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、被測定信号を局部発振器からの信号と混合して中間周波数信号を出力する周波数変換部と、局部発振器の発振周波数を掃引する掃引部と、周波数変換部が出力する中間周波数信号を検波する検波器と、検波器の出力を所定レートでサンプリングしてデジタルデータに変換するA/D(アナログデジタル)変換器と、A/D変換器の出力を記憶するデータ記憶部と、データ記憶部の出力を基に、掃引部の1周波数掃引当たり所定周波数ポイント数(N)のデータを被測定信号の特性として出力する表示部とを備えた信号分析装置が開示されている。
【0005】
一般に、周波数特性が分析可能なスペクトラムアナライザなどの信号分析装置では、周波数と信号強度(例えば信号電力など)の関係を表示器に表示できるようになっている。具体的には、横軸を周波数、縦軸を信号強度とし、スタート周波数からストップ周波数までの1周波数掃引の範囲(スパン)において、複数のトレースポイントの各信号強度を表示器の画面に表示することで、周波数スペクトルの波形を表示するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−249149
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の信号分析装置にあっては、1周波数掃引当たりまたは1所定時間間隔当たりの設定された所定のトレースポイント数(N)のデータを表示部に出力する場合、このデータを生成する基になるデータは複数(k)倍のポイント数(kN)となるレートでA/D変換器によりサンプリングされていなければならなかった。通常、A/D変換器のサンプリングレートは一定値であることから、この従来の方法においては、サンプリングレートの約数でない整数値にトレースポイント数(N)を設定することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、トレースポイント数を任意の整数値に設定することができる信号分析装置および信号分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の信号分析装置は、上記目的達成のため、1)被測定信号を局部発振器の出力信号と混合して中間周波数を有する中間周波数信号に変換する中間周波数変換部(20)と、前記中間周波数信号をサンプリングしてデジタル信号を取得するアナログデジタル変換部(24)と、前記デジタル信号に信号処理を行って、各々が前記被測定信号の周波数成分と該周波数成分での信号強度の値を対で含むデータポイントを生成するデータポイント生成部(30)と、前記データポイントから、各々が前記被測定信号の周波数成分と該周波数成分での信号強度の値を対で含むトレースポイントを生成するトレースポイント生成部(41)と、前記トレースポイントを表示する表示部(5)と、を備えた信号分析装置であって、前記信号分析装置は、前記各トレースポイントに対応付けられた周波数範囲であるトレースバケット内に周波数成分が存在する前記データポイントを抽出するデータポイント抽出部(40)をさらに備え、前記トレースポイント生成部は、前記抽出したデータポイントに基づき前記各トレースポイントを生成することを特徴とする。
【0010】
上述のように、本発明の信号分析装置は、各トレースポイントに対応付けられた周波数範囲であるトレースバケット内に周波数成分が存在するデータポイントを抽出するデータポイント抽出部をさらに備え、トレースポイント生成部が、抽出したデータポイントに基づいて各トレースポイントを生成するようになっている。この構成により、各トレースバケット内に存在するトレースポイント数を適切な処理で容易に1にすることができる。これにより、データポイント個数の約数など特定数に限定されることなく、トレースポイント数を任意の整数値に設定することができる。
【0011】
また、本発明の信号分析装置において、2)前記トレースポイント生成部は、前記データポイント抽出部が前記抽出したデータポイントの個数が1の場合は、該データポイントの信号強度値を前記トレースバケットに対応する前記トレースポイントの信号強度値とし、前記データポイント抽出部が前記抽出したデータポイントの個数が複数の場合は、該複数の前記抽出したデータポイントに前記信号処理に含まれる検波処理を行って得られた信号強度値を該トレースポイントの信号強度値として生成するようにしてもよい。
【0012】
この構成により、トレースポイント数がデータポイント数の約数など特定数か否かに関わらず、1つのトレースバケット内に1つのトレースポイントが生成されるようになるので、トレースポイント数を任意の整数値に設定することができる。また、データポイントの生成時に用いたのと同じ検波処理を行うことにより、適切なトレースポイントを生成することができる。
【0013】
また、本発明の信号分析装置において、3)前記トレースポイント生成部は、前記データポイント抽出部が前記抽出したデータポイントの個数が複数の場合は、該複数の前記抽出したデータポイントの信号強度値のうち最大の信号強度値を該トレースポイントの信号強度値とするよう構成してもよい。
【0014】
この構成により、トレースポイント数を任意の整数値に設定することができるとともに、ノイズレベルに近い信号のピークを測定することができる。
【0015】
また、本発明の信号分析装置において、4)前記トレースポイント生成部は、前記データポイント抽出部が前記抽出したデータポイントの個数が複数の場合は、該複数の前記抽出したデータポイントの信号強度値のうち最小の信号強度値を該トレースポイントの信号強度値とするよう構成してもよい。
【0016】
この構成により、トレースポイント数を任意の整数値に設定することができるとともに、信号の最小レベルを測定することができる。
【0017】
また、本発明の信号分析装置において、5)前記トレースポイント生成部は、前記データポイント抽出部が前記抽出したデータポイントの個数が複数の場合は、該複数の前記抽出したデータポイントのうち該トレースバケットの中心周波数に最も近い周波数成分を有するデータポイントの信号強度値を該トレースポイントの信号強度値とするよう構成してもよい。
【0018】
この構成により、トレースポイント数を任意の整数値に設定することができるとともに、トレースポイントの瞬時の信号レベルに近い信号を測定することができる。これは雑音レベルの測定に有効である。
【0019】
また、本発明の信号分析装置において、6)前記トレースポイント生成部は、前記データポイント抽出部が前記抽出したデータポイントの個数が複数の場合は、該複数の前記抽出したデータポイントの信号強度値の二乗平均平方根の値を該トレースポイントの信号強度値とするよう構成してもよい。
【0020】
この構成により、トレースポイント数を任意の整数値に設定することができるとともに、トレースバケット内に存在する複数のデータポイントすべてを考慮した平均的なトレースポイントを生成することができる。
【0021】
また、本発明の信号分析装置において、7)前記局部発振器の発振周波数の掃引が、ゲート信号に基づいて断続的に行われ、前記トレースポイント生成部は、前記ゲート信号に基づいて前記掃引が中断されている間に生成されたデータポイントを破棄する構成であってもよい。
【0022】
この構成により、トレースポイント数を任意の整数値に設定することができるとともに、局部発振器の発振周波数の掃引が、ゲート信号に基づいて断続的に行われるので、データポイントの生成時間を柔軟に変更、設定することができる。これにより、周波数だけでなく時間の要素を考慮して被測定信号の信号強度を測定して周波数スペクトルを得ることができる。また、ゲート信号に基づいて掃引が中断されている間に生成されたデータポイントを破棄するので、必要なトレースポイントを効率的に生成することができる。
【0023】
また、本発明の信号分析方法は、8)被測定信号を局部発振器の出力信号と混合して中間周波数を有する中間周波数信号に変換する中間周波数変換ステップ(S2)と、前記中間周波数信号をサンプリングしてデジタル信号を取得するアナログデジタル変換ステップ(S3)と、前記デジタル信号に信号処理を行って、各々が前記被測定信号の周波数成分と該周波数成分での信号強度の値を対で含むデータポイントを生成するデータポイント生成ステップ(S4)と、前記データポイントから、各々が前記被測定信号の周波数成分と該周波数成分での信号強度の値を対で含むトレースポイントを生成するトレースポイント生成ステップ(S8)と、前記トレースポイントを表示部に表示する表示ステップ(S9)と、を含む信号分析方法であって、前記信号分析方法は、前記各トレースポイントに対応付けられた周波数範囲であるトレースバケット内に周波数成分が存在する前記データポイントを抽出するデータポイント抽出ステップ(S7)をさらに含み、前記トレースポイント生成ステップにおいて、前記抽出したデータポイントに基づいて前記各トレースポイントを生成することを特徴とする。
【0024】
上述のように、本発明の信号分析方法は、各トレースポイントに対応付けられた周波数範囲であるトレースバケット内に周波数成分が存在するデータポイントを抽出するデータポイント抽出ステップをさらに含み、トレースポイント生成ステップにおいて、抽出したデータポイントに基づいて各トレースポイントを生成するようになっている。この構成により、各トレースバケット内に存在するトレースポイント数を適切な処理で容易に1にすることができる。これにより、データポイント個数の約数など特定数に限定されることなく、トレースポイント数を任意の整数値に設定することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、トレースポイント数を任意の整数値に設定することができる信号分析装置および信号分析方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る信号分析装置の概略構成を示す図である。
【図2】トレースポイントの生成方法を説明する図である。
【図3】トレースポイントの別の生成方法を説明する図である。
【図4】トレースポイントのさらに別の生成方法を説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る信号分析方法のフローチャートである。
【図6】図5のトレースポイント生成ステップの詳細なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る信号分析装置1の概略構成を示す図である。本実施形態に係る信号分析装置1は、例えば、スペクトラムアナライザであり、被測定信号の信号強度(例えば信号電力)の周波数特性を測定し、その周波数スペクトルの波形を表示器に表示するものである。具体的には、図1に示すように、信号分析装置1は、アナログ部2、デジタル部3、制御部4、表示部5、およびパネルキー6を備えている。
【0029】
(アナログ部)
アナログ部2は、アナログのRF(Radio Frequency)信号を処理しデジタル信号に変換する部分であり、中間周波数変換部20とADC(アナログデジタル変換部)24とを備えている。
【0030】
中間周波数変換部20は、DUTから入力端子9に入力されたアナログ高周波信号である被測定信号SINを、中間周波数を有する中間周波数信号SIFに変換するものであり、局部発振器21とミキサ22とバンドパスフィルタ23とを備えている。
【0031】
局部発振器21は、制御部4の制御下で動作する電圧制御発振器(VCO(Voltage-controlled oscillator))を備え、局発信号SLOを出力するようになっている。局発信号SLOの周波数は、後で説明する掃引信号発生部44から出力される掃引信号により掃引されるようになっている。
【0032】
ミキサ22は、入力端子9に入力された被測定信号SINと、局部発振器21から出力された局発信号SLOとを入力して混合し、混合信号を出力するようになっている。なお、ミキサ22に入力される被測定信号は、入力端子9に入力された被測定信号SINを、不図示の減衰器により適切な信号レベルに減衰させた信号である。
【0033】
バンドパスフィルタ23は、ミキサ22から出力される混合信号から中間周波数を有する中間周波数信号SIFを抽出するようになっている。
【0034】
本実施形態の中間周波数変換部20は、被測定信号と局発信号との混合を1回行う1段構成であるが、局発信号との混合を複数回行う複数段構成としてもよい。
【0035】
ADC24は、バンドパスフィルタ23から出力されるアナログの中間周波数信号を所定のサンプリングレートでA/D(アナログデジタル)変換し、デジタルの中間周波数信号を生成してデジタル部3に送るようになっている。通常、ADC24のサンプリングレート(変換速度)は一定値に固定されている。
【0036】
(デジタル部)
デジタル部3は、アナログ部2により取得されたデジタルの中間周波数信号に対して、帯域制限や検波処理などのデジタル信号処理を行って記憶するものであり、信号処理部30とデータ記憶部35とを備えている。デジタル部3は、限定するものではないが、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)により構成される。
【0037】
信号処理部30は、デジタルの中間周波数信号に対して帯域制限や検波処理などの信号処理を行うものであり、RBW(resolution bandwidth)フィルタ31、対数変換部32、VBW(video bandwidth)フィルタ33、および検波器34をこの順で或いは別の適当な順で備えている。例えば、検波器34は、必要に応じて、RBWフィルタ31と対数変換部32の間に入れてもよい。なお、本実施形態に係る信号処理部30が本発明のデータポイント生成部に対応する。
【0038】
RBWフィルタ31は、デジタルのバンドパスフィルタで構成されており、不要な周波数成分を取り除き、設定された帯域幅の周波数成分を有する中間周波数信号のみを通過させるようになっている。RBWフィルタ31を通過した中間周波数信号は、必要ならば増幅器(不図示)によりゲイン調整された後に対数変換部32に送られる。
【0039】
対数変換部32は、RBWフィルタ31から出力された信号の信号強度を対数値に変換するようになっている。別言すれば、対数変換部32により、信号レベルがdB単位に変換される。対数変換部32を通過した中間周波数信号は、次のVBWフィルタ33に入力される。表示部5にログスケールで表示しない場合は、RBWフィルタ31を通った中間周波数信号を、対数変換部32に送らず、次のVBWフィルタ33に送るように、切替可能な構成となっている。
【0040】
VBWフィルタ33は、表示部5に最終的に表示される周波数スペクトラム波形の高周波成分(雑音成分)を除去するようになっている。
【0041】
検波器34は、設定された検波モードに従って、VBWフィルタ33から出力された信号の信号強度(例えば信号電力)を算出するようになっている。
【0042】
データ記憶部35は、検波器34から出力された検波値(信号強度値)をデータポイントのデータとして記憶するようになっている。データポイントは、各々のデータポイントが被測定信号の周波数成分と該周波数成分での信号強度の値を対で含んでおり、被測定信号の周波数スペクトルを生成する元データ群である。
【0043】
(制御部)
制御部4は、アナログ部2およびデジタル部3の動作を制御し、表示部5への周波数スペクトルの表示を制御し、各種パラメータの設定を行うよう構成されたものであり、データポイント抽出部40、トレースポイント生成部41、パラメータ設定部42、タイミング信号発生部43、および掃引信号発生部44を備えている。
【0044】
具体的には、制御部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インタフェース、ハードディスク等の記憶装置等を有するコンピュータを用いて構成されており、その機能の一部または全部は、ROMや記憶装置に記憶された各種処理プログラムをRAMに読み出してCPUで実行することにより実現することができる。
【0045】
タイミング信号発生部43は、ユーザにより設定された掃引時間などのパラメータに基づき、掃引信号発生部44による掃引信号の発生のタイミングを与えるタイミング信号を発生し、掃引信号発生部44に与えるようになっている。掃引信号発生部44は、タイミング信号発生部43から送られたタイミング信号に同期して掃引信号を発生し、局部発振器21に出力する。局部発振器21は、掃引信号発生部44から出力された掃引信号により発振周波数を変化させる。
【0046】
また、タイミング信号発生部43は、ADC24におけるA/D変換のタイミングを示すタイミング信号を発生し、ADC24に出力する。ADC24は、タイミング信号発生部43から出力されたタイミング信号に同期してA/D変換を行う。
【0047】
具体的には、タイミング信号発生部43は、基準となるクロック信号を分周して各部の駆動周波数に合ったタイミング信号を発生しており、固定周波数(サンプリングレート)のタイミング信号をADC24に出力するとともに、このタイミング信号に同期しサンプリングレートよりも低い周波数のタイミング信号を掃引信号発生部44に出力している。
【0048】
データポイント抽出部40は、後で詳細に説明するように、データ記憶部35に記憶されたデータポイントから、各トレースポイントに対応付けられた周波数範囲であるトレースバケット内に周波数成分が存在するデータポイントを抽出するようになっている。
【0049】
トレースポイント生成部41は、データポイント抽出部40により抽出されたデータポイントに基づいてトレースポイントを生成するようになっている。各トレースポイントは、被測定信号の周波数成分と該周波数成分での信号強度の値を対で含んでいる。
【0050】
パラメータ設定部42は、パネルキー6等からのユーザ入力に基づき、トレースポイント数Nを設定するよう構成されている。トレースポイント数Nは、データポイント数Mを超えない、1以上の任意の整数値とすることができる。すなわち、1≦N≦Mである。
【0051】
パラメータ設定部42は、トレースポイント数の他に、周波数スパン、周波数スパンのスタート周波数、ストップ周波数、および中心周波数、RBWフィルタ31の帯域幅、VBW33の帯域幅等、必要なパラメータを設定するよう構成されている。
【0052】
表示部5は、例えば、タッチパネルを備えた液晶ディスプレイを有し、トレースポイント生成部41により生成されたトレースポイントを、横軸が周波数、縦軸が信号強度を示す表示画面に周波数スペクトルの波形として表示するようになっている。
【0053】
パネルキー6は、信号分析装置1の前面パネルに設けられた各種キー(数字キーやアルファベットキーを含む)やタッチパネルに表示されるソフトキーを含む構成であり、信号分析装置1の各種パラメータの設定を行うことができるようになっている。例えば、ユーザはパネルキー6を操作して、1周波数掃引当たりのトレースポイント数、すなわち周波数スパン内のトレースポイントの個数を設定することができる。
【0054】
ここで、明細書および特許請求の範囲に記載の用語について説明する。
【0055】
「スパン(Span)」または「周波数スパン」:信号分析装置1の表示部5の画面に表示される周波数幅であり、(ストップ周波数)−(スタート周波数)に等しい。
【0056】
「掃引時間(SWT)」:信号分析装置1が設定された周波数範囲を掃引するのに費やす時間である。
【0057】
「データポイント」:信号分析装置1に入力された後、アナログ部2を経てデジタル部3により検出された被測定信号のデータを指す。各データポイントDは、検波する周波数範囲の中心周波数Freq(D)[Hz]と、検波結果の信号強度(例えば信号電力)Amp(D)[dBm]の情報を有している。すなわち、例えばデジタル部3から読み出せるデータポイント数(1周波数掃引当たり或いは所定時間間隔当たりのデータポイント数)をMとすると、データポイントDは、次の(1)式で表すことができる。
=(Freq(D),Amp(D)),(0≦m≦M−1) (1)
なお、本実施形態におけるデータポイントの中心周波数Freq(D)は、本発明のデータポイントの周波数成分に対応している。
【0058】
「トレースポイント」:データポイントから生成され、最終的に表示部5の画面に表示されるポイントを指す。各トレースポイントTは、表現する中心周波数Freq(T)[Hz]と、検波結果の信号強度(例えば信号電力)Amp(T)[dBm]の情報を有している。設定されたトレースポイント数をN(≦M)とすると、トレースポイントTは次の(2)式で表すことができる。
=(Freq(T),Amp(T)),(0≦n≦N−1) (2)
【0059】
トレースポイントTの中心周波数Freq(T)はスパンのスタート周波数に等しく((3)式参照)、トレースポイントTN−1の中心周波数Freq(TN−1)はスパンのストップ周波数に等しい((4)式参照)。
Freq(T)=スタート周波数 (3)
Freq(TN−1)=ストップ周波数 (4)
【0060】
トレースポイントTの中心周波数Freq(T)は、(5)式により表される。
【数1】
【0061】
信号分析装置1の掃引の原理から、トレースポイントTの中心周波数に対応する、掃引中の時刻Time(T)については、次の関係式が成り立つ。
【数2】
【0062】
「トレースバケット」:信号分析装置1の表示部5の画面に表示されるトレースポイントTを生成する元になる、検波対象の範囲を示す。トレースバケットTBは、周波数ドメインでは、次の範囲を指す。
【数3】
【0063】
トレースバケットTBに対応する時刻は、時間ドメインでは次の範囲を指す。
【数4】
【0064】
次に、データポイントの生成方法を説明する。
【0065】
データ記憶部35に記憶されたデータポイントD,(0≦m≦M−1)のうち、各トレースポイントT,(0≦n≦N−1)を生成するのに用いるデータポイントは、以下に述べるように抽出する。
【0066】
(トリガフリーラン)
図2は、外部から周波数掃引用のトリガ信号を入力しないトリガフリーランモードの場合を示す。この場合は、例えば、信号分析装置1のタイミング信号発生部43が内部クロックを基に掃引トリガとしてタイミング信号を生成するようにしてもよい。トリガーフリーランでは、最初のデータポイントDの中心周波数と最初のトレースポイントTの中心周波数が等しい(次式参照)。すなわち、信号処理部30は、周波数スパンのスタート周波数に応じてデータポイントの生成を開始する。
Freq(D)=Freq(T) (9)
【0067】
トレースポイントTのトレースバケットTB内に中心周波数が入るデータポイントDのインデックスmは、(7)式のトレースバケットの関係式より次式のとおり表される。
【数5】
【0068】
ここで
【数6】
【数7】
であるので、
【数8】
が成り立つ。
【0069】
境界値を整数に丸める場合は、データポイントDのインデックスmは次式を採用するのが好ましい。
【数9】
ここで、Ceil(x)は整数への切り上げ、Floor(x)は整数への切り下げを行う関数である。
【0070】
すなわち、データポイントDのインデックスmの上限値は、1より小さい端数を切り捨て、インデックスmの下限値は、1より小さい端数を切り上げることにより、トレースバケットTBの内側に存在するデータポイントDのみを用いてトレースポイントを生成するようにしている。このように、丸め誤差を考慮して表示するようにしたので、従来と同等の表示周波数確度を確保したまま、多様なトレースポイント数の設定に対応することができる。
【0071】
データポイント抽出部40は、データ記憶部35に記憶されたデータポイントから、(13)式または(14)式が成り立つインデックスmのデータポイントDを抽出する。
【0072】
(外部トリガ)
図3は、信号分析装置1に外部から周波数掃引用のトリガ信号を入力する外部トリガモードの場合を示す。この場合には、トレースポイントTのトレースバケットTB内に中心周波数が入るデータポイントDを抽出する際、トリガタイミングからスタート周波数までの遅延時間であるトリガディレイ値DelayTimeを考慮する必要がある(図3参照)。1周波数掃引当たりのデータポイントの総時間TotalTimeは、次のとおりである。
TotalTime=(DelayTime+SWT) (15)
【0073】
よって、トレースポイント生成部41は、データ記憶部35からトリガディレイ値を含めたデータポイントのデータを取得し、ディレイ分のデータを破棄した後、トレースポイントを生成するようにする。別言すれば、信号処理部30は、トリガ信号に応じてデータポイントの生成を開始し、トレースポイント生成部41は、所定の周波数スパンのスタート周波数前に生成されたデータポイントを破棄する。
【0074】
(ゲート)
図4は、局部発振器21の発振周波数の掃引をゲート信号に基づき断続的に行うゲートモードにおけるトレースポイントの生成を説明する図である。制御部4は、ユーザにより設定されたゲート幅、デューティ比、周期などによりゲート信号を生成してもよいし、あるいは外部からゲート信号を入力するようにしてもよい。制御部4は、ゲート信号を基に掃引信号発生部44による掃引動作を制御する。例えば、ゲート信号の立ち上がりをトリガとして周波数掃引を開始または再開し、ゲート信号の立ち下がりをトリガとして周波数掃引を停止するようにしてもよい。トレースポイントTのトレースバケットTB内に中心周波数が入るデータポイントDを抽出する際には、ゲート信号により周波数掃引を中断した遅延時間であるトリガディレイ値DelayTimeを考慮する必要がある。1周波数掃引当たりのデータポイントの総時間TotalTimeは、次のとおりである。
TotalTime=(DelayTime+SWT) (16)
【0075】
よって、トレースポイント生成部41は、データ記憶部35からトリガディレイ値を含めたデータポイントのデータを取得し、ディレイ分のデータを破棄した後、トレースポイントを生成する。図4では、破棄するデータポイントをX印で示している。別言すれば、トレースポイント生成部41は、ゲート信号に基づいて周波数掃引が中断されている間に生成されたデータポイントを破棄する。
【0076】
本実施形態では、信号処理部30による信号処理を連続して実行してデータポイントDを生成しているが、これに限定されず、制御部4が、ゲート信号に基づいて信号処理部30によるデータポイントの生成動作を断続的に行うように制御してもよい。すなわち、図4においてX印がついたデータポイントは生成しないようにする。このようにすると、トレースポイント生成部41がデータポイントのデータを取得する際に不要なデータポイントを破棄する必要がない。
【0077】
次に、トレースポイントの生成方法を説明する。
【0078】
トレースポイント生成部41は、データポイント抽出部40が(14)式を用いて抽出したデータポイントD(すなわち、トレースバケットTB内に周波数成分が存在するデータポイントD)の個数が1の場合は、該データポイントの信号強度値を該トレースバケットTBに対応するトレースポイントTの信号強度値とする。また、トレースポイント生成部41は、データポイント抽出部40が(14)式を用いて抽出したD(すなわち、トレースバケットTB内に周波数成分が存在するデータポイントD)の個数が複数の場合は、該複数のデータポイントに対し、信号処理部30による信号処理に含まれる検波処理を行って得られた信号強度を該トレースバケットTBに対応するトレースポイントTの信号強度値として生成するようになっている。以下、検波モード別にトレースポイントの生成方法を説明する。
【0079】
(検波モード:Positive Peak)
検波モードがPositive Peakの場合、トレースポイント生成部41は、データポイント抽出部40が(14)式を用いて抽出したD(すなわち、トレースバケットTB内に周波数成分が存在するデータポイントD)の個数が複数の場合は、該複数のデータポイントの信号強度値のうち最大の信号強度値をトレースポイントTの信号強度値とする。
【0080】
具体的には、例えば、トレースポイントTに対応するトレースバケットTBにより規定される周波数範囲内に2つのデータポイントD1、D2の各中心周波数が入る場合(上記(10)式参照)、
Amp(D1)<Amp(D2)のとき、Amp(T)=Amp(D2) (17)
Amp(D1)≧Amp(D2)のとき、Amp(T)=Amp(D1) (18)
とする。
【0081】
(検波モード:Negative Peak)
検波モードがNegative Peakの場合、トレースポイント生成部41は、データポイント抽出部40が(14)式を用いて抽出したD(すなわち、トレースバケットTB内に周波数成分が存在するデータポイントD)の個数が複数の場合は、該複数のデータポイントの信号強度値のうち最小の信号強度値をトレースポイントTの信号強度値とする。
【0082】
具体的には、例えば、トレースポイントTに対応するトレースバケットTBにより規定される周波数範囲内に2つのデータポイントD1、D2の各中心周波数が入る場合(上記(10)式参照)、
Amp(D1)>Amp(D2)のとき、Amp(T)=Amp(D2) (19)
Amp(D1)≦Amp(D2)のとき、Amp(T)=Amp(D1) (20)
とする。
【0083】
(検波モード:Sample)
検波モードがSampleの場合、トレースポイント生成部41は、データポイント抽出部40が(14)式を用いて抽出したD(すなわち、トレースバケットTB内に周波数成分が存在するデータポイントD)の個数が複数の場合は、該複数のデータポイントのうちトレースバケットTBの中心周波数に最も近い周波数成分を有するデータポイントの信号強度値をトレースポイントTの信号強度値とする。等距離の場合は前側のデータポイントのデータを採用する。この検波モードは、例えば雑音レベルの測定に有効である。
【0084】
(検波モード:RMS)
検波モードがRMS(Root Mean Square)の場合、トレースポイント生成部41は、データポイント抽出部40が(14)式を用いて抽出したD(すなわち、トレースバケットTB内に周波数成分が存在するデータポイントD)の個数が複数の場合は、該複数のデータポイントの信号強度値の二乗平均平方根の値をトレースポイントTの信号強度値とする。
【0085】
具体的には、例えば、1つのトレースポイントTのトレースバケットTBにより規定される周波数範囲内に2つのデータポイントD1、D2の各中心周波数が入る場合(上記(10)式参照)、まず、それぞれの信号強度値A1(=Amp(D1))、A2(=Amp(D2))を次式によりリニア値に直す。
【数10】
【0086】
次いで、次式に従って、トレースバケット内のRMS値を取り、Logに変換する。
【数11】
【0087】
検波モードとして、Positive Peak、Negative Peak、Sample、RMSについて説明したが、検波モードはこれらに限定されるものではなく、所定の周波数範囲内に中心周波数(周波数成分)が存在する複数のデータポイントの信号強度値に基づいて1つの信号強度を取得する任意のデジタル検波処理を行う検波モードを採用できる。例えば、複数のデータポイントの信号強度値の算術平均値をトレースポイントの信号強度値としてもよい。また、複数の検波モードによりそれぞれ得られた周波数スペクトルの波形を同時に表示部5に表示するようにしてもよい。例えば、Positive Peak検波モードにより得られた周波数スペクトルとNegative Peak検波モードにより得られた周波数スペクトルの両方の波形を同時に表示部5に表示するようにしてもよい。
【0088】
次に、本実施形態に係る信号分析方法を説明する。
【0089】
図5は、本実施形態に係る信号分析方法のフローチャートである。図5に示すように、まず、ユーザがパネルキー6を操作してトレースポイント数、周波数スパンなど信号分析に必要なパラメータを設定する(S1)。設定するパラメータとしては、例えば、トレースポイント数、周波数スパン、周波数スパンの中心周波数、スタート周波数、ストップ周波数、RBWフィルタの帯域幅、VBWフィルタの帯域幅、検波モード、掃引時間、掃引モード(フリーラン/トリガ/ゲート)、表示モード(周波数ドメイン/時間ドメイン)などが挙げられる。
【0090】
次いで、中間周波数変換部20が、被測定信号SINを中間周波数信号SIFに変換する(S2)。具体的には、入力端子9に入力されたDUTからの被測定信号SINを、不図示の減衰器により適切な信号レベルに減衰させた後、ミキサ22に送る。ミキサ22は、その被測定信号SINと、局部発振器21から出力された局発信号SLOとを混合する。次いで、ミキサ22から出力される信号をバンドパスフィルタ23に通して、中間周波数を有する中間周波数信号SIFを取得する。
【0091】
次いで、ADC24が、中間周波数信号SIFを所定のサンプリングレートでA/D変換する(S3)。ADC24は、限定するものではないが、例えば、分解能が16ビット、サンプリングレートが100Msps(samples per second)である。
【0092】
次いで、信号処理部30が、ADC24により取得されたデジタル信号に対し信号処理を行って、データポイントDを生成する(S4)。各データポイントDは、被測定信号SINの周波数成分と、それに対応する信号強度値とを対で含むデータ構造を有している。信号処理部30による信号処理は、ADC24により得られたデジタルの中間周波数信号に対する、RBWフィルタ31やVBWフィルタ33による帯域制限、検波器34による検波処理、必要に応じて対数変換部32により行われる対数変換などを含む。信号処理部30により生成されたデータポイントDは、データ記憶部35に格納される(S5)。
【0093】
データポイントDの生成は、局部発振器21の発振周波数を掃引しつつ行われる。1回分の周波数掃引が終了していなければ(S6でNO)、ステップS2に戻り、1回分の周波数掃引が終了していれば(S6でYES)、次ステップS7に進む。
【0094】
ステップS7では、データポイント抽出部40が、上記(14)式等を用いて、各トレースポイントTに対応付けられた周波数範囲であるトレースバケットTB内に中心周波数(周波数成分)が存在するデータポイントDを抽出する。
【0095】
ステップS8では、トレースポイント生成部41が、データ記憶部35に格納されたデータポイントDのデータから、設定されたトレースポイント数NのトレースポイントT,T,・・・,TN−1を生成する。トレースポイントTは、被測定信号SINの周波数成分と、それに対応する信号強度値とを対で含むデータ構造を有している。次いで、制御部4は、生成したトレースポイントTを、横軸が周波数、縦軸が信号強度として表示部5に表示する(S9)。
【0096】
次いで、測定終了か否かを判断し(S10)、測定終了の場合(S10でYES)は測定を終了し、測定終了でない場合は、ステップS2に戻り、測定を継続する。
【0097】
図5では、1回の周波数掃引ごとにトレースポイントを生成しているが、これに限定されず、周波数スパンをいくつかに分割し、周波数スパンの分割部分の周波数掃引が終了するごとにトレースポイントを生成するようにしてもよい。
【0098】
次に、トレースポイントの生成ステップS8についてさらに詳しく説明する。
【0099】
図6は、図5のトレースポイントの生成ステップS8の詳細を示す図である。図6に示すように、まず、トレースポイントのインデックスnを0に設定する(S11)。
【0100】
次いで、トレースポイント生成部41が、データポイント抽出部40により抽出されたデータポイントの個数が1か否かを判定する(S12)。具体的には、トレースバケットTBの周波数範囲内に中心周波数Freq(T)を有するデータポイントDが1個だけ存在するか否かを判定する。判定結果がYESの場合、存在する1個のデータポイントの信号強度値を、トレースポイントTの信号強度値とする(S13)。その後、ステップS16に進む。
【0101】
ステップS12での判定結果がNOの場合、ステップS14に進み、トレースバケットTB内に中心周波数(周波数成分)を有するデータポイントが複数個存在するか否かを判定する(S14)。この判定結果がYESの場合、存在する複数のデータポイントの信号強度値を、設定された検波モードに従って検波し、得られた検波値を、トレースポイントTの信号強度値とする(S15)。その後、ステップS16に進む。ステップS14での判定結果がNOの場合、処理を終了する。
【0102】
ステップS16では、トレースポイントのインデックスnを1増加し(S16)、インデックスnが設定されたトレースポイント数Nより小さいか否かを判定する(S17)。判定結果がYESの場合、ステップS12に戻り、NOの場合、処理を終了する。
【0103】
次に、作用効果について説明する。
【0104】
上述したように、本実施形態に係る信号分析装置1は、各トレースポイントに対応付けられた周波数範囲であるトレースバケット内に周波数成分が存在するデータポイントを抽出するデータポイント抽出部40を備え、トレースポイント生成部41が、抽出したデータポイントに基づき各トレースポイントを生成するようになっている。この構成により、各トレースバケット内に存在するトレースポイント数を適切な処理で容易に1にすることができる。これにより、データポイント個数の約数など特定数に限定されることなく、トレースポイント数を任意の整数値に設定することができる。
【0105】
また、本実施形態に係る信号分析装置1において、トレースポイント生成部41は、データポイント抽出部40が抽出したデータポイントの個数が1の場合は、該データポイントの信号強度値を該トレースバケットに対応するトレースポイントの信号強度値とし、データポイント抽出部40が抽出したデータポイントの個数が複数の場合は、該複数のデータポイントに信号処理に含まれる検波処理を行って得られた信号強度を該トレースポイントの信号強度値として生成する。この構成により、1つのトレースバケット内に1つのトレースポイントが生成されるようになるので、トレースポイント数を任意の整数値に設定することができる。また、データポイントの生成時に用いたのと同じ検波処理を行うことにより、適切なトレースポイントを生成することができる。
【0106】
上述したように、本実施形態に係る信号分析装置1は、局部発振器21の発振周波数を掃引しつつ、被測定信号を中間周波数信号に変換し、A/D変換、帯域制限、検波等の信号処理を行う掃引型であるが、構成はこれに限定されない。例えば、被測定信号を中間周波数信号にダウンコンバートし、それをA/D変換して得られたデジタルの中間周波数信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)処理を行ってデータポイントを生成するようにしてもよい。FFT型の信号分析装置では、局部発振器21の発振周波数を掃引せず固定する。上述した掃引型の信号分析装置1に用いられる検波処理と同様に、同一トレースバケット内に入る複数のデータポイントから一の信号強度値を算出する適切な処理を用いて、生成されたデータポイントから、設定された任意個数のトレースポイントを生成することが可能である。
【0107】
上述したトレースポイント生成処理の構成は、局部発振器21の発振周波数を固定にし、RBWフィルタ31により設定帯域に帯域制限された信号の時間変化を測定し、時間ドメインで表示する場合にも適用できる。この場合には、設定された掃引時間でタイムスパン掃引しつつ得られたデータポイントから、上述したトレースポイントの生成方法と同様にして、設定された任意個数のトレースポイントを生成し、その結果を表示部5の表示画面上に横軸を時間、縦軸を信号強度として波形表示する。
【0108】
また、上述した実施形態では、被測定信号は電気信号あるいは電波信号であるが、被測定信号が光信号の場合、光学的な中間周波数変換部により変換された中間周波数光信号を電気信号に変換し、A/D変換を行ってデジタルの中間周波数信号を取得するようにしてもよい。以降の処理は信号分析装置1について上述した信号処理と同様である。
【0109】
以上述べたように、本発明は、トレースポイント数を任意の整数値に設定することができるという効果を有し、掃引型、FFT型を問わず、信号分析装置および信号分析方法の全般に有用である。
【符号の説明】
【0110】
1 信号分析装置
2 アナログ部
3 デジタル部
4 制御部
5 表示部
6 パネルキー
9 入力端子
20 中間周波数変換部
21 局部発振器
22 ミキサ
23 バンドパスフィルタ
24 ADC(アナログデジタル変換部)
30 信号処理部(データポイント生成部)
31 RBWフィルタ
32 対数変換部
33 VBWフィルタ
34 検波器
35 データ記憶部
40 データポイント抽出部
41 トレースポイント生成部
42 パラメータ設定部
43 タイミング信号発生部
44 掃引信号発生部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】