(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021069001
(43)【公開日】20210430
(54)【発明の名称】自動利得制御回路
(51)【国際特許分類】
   H03G 3/20 20060101AFI20210402BHJP
【FI】
   !H03G3/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】2019192574
(22)【出願日】20191023
(71)【出願人】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
【住所又は居所】東京都渋谷区笹塚一丁目47番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 健介
【住所又は居所】埼玉県狭山市大字上広瀬1275番地の2 日本電波工業株式会社狭山事業所内
【テーマコード(参考)】
5J100
【Fターム(参考)】
5J100JA02
5J100KA05
5J100LA02
5J100LA08
5J100LA09
5J100QA02
(57)【要約】
【課題】自動利得制御回路から出力された信号が後段回路で反射することにより生じる反射信号による自動利得制御回路の損傷を防ぐ。
【解決手段】自動利得制御回路1は、入力信号を減衰させる可変減衰器12と、可変減衰器12から出力され、後段回路に進行する進行波を検出する進行波検波器17と、進行波が後段回路で反射して生じた反射波を検出する反射波検波器18と、進行波検波器17が検出した進行波のレベルが第1閾値以上である場合、又は反射波検波器18が検出した反射波のレベルが第2閾値以上である場合に、可変減衰器12における減衰量を増加させるための制御電圧を生成する制御電圧生成部19と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を減衰させる減衰部と、
前記減衰部から出力され、後段回路に進行する進行波を検出する進行波検出部と、
前記進行波が後段回路で反射して生じた反射波を検出する反射波検出部と、
前記進行波検出部が検出した前記進行波のレベルが第1閾値以上である場合、又は前記反射波検出部が検出した前記反射波のレベルが第2閾値以上である場合に、前記減衰部における減衰量を増加させるための制御電圧を生成する制御電圧生成部と、
前記制御電圧に基づいて前記減衰部の減衰量を設定する減衰量設定部と、
を有する自動利得制御回路。
【請求項2】
前記制御電圧生成部は、前記進行波のレベルに対応する前記減衰部の減衰量及び前記反射波のレベルに対応する前記減衰部の減衰量のうち、より大きな減衰量に対応する前記制御電圧を生成する、
請求項1に記載の自動利得制御回路。
【請求項3】
前記反射波のレベルの単位時間当たりの変動量が第3閾値以上である場合に、前記減衰部における減衰量を最大にするためのリセット電圧を生成する反射レベル変動検出部をさらに有し、
前記減衰量設定部は、前記反射レベル変動検出部が前記リセット電圧を生成した場合、前記リセット電圧に基づいて前記減衰量を設定する、
請求項1又は2に記載の自動利得制御回路。
【請求項4】
前記減衰量設定部は、前記反射レベル変動検出部が前記リセット電圧を生成してから、前記制御電圧生成部が前記反射波のレベルに対応する前記制御電圧を生成できるようになるまでの所定の期間が経過した後に、前記制御電圧に基づいて前記減衰量を設定する、
請求項3に記載の自動利得制御回路。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された信号の利得を制御する自動利得制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力信号のダイナミックレンジが広い回路において、回路から出力される信号のレベルを安定化させるために自動利得制御回路が用いられている。自動利得制御回路において入力信号のレベルが急に大きくなると、自動利得制御回路から一時的に過大なレベルの信号が出力されて、後段の回路の故障や異常動作が発生してしまうことがある。特許文献1には、入力信号が入力されていない状態で自動利得制御回路の増幅器に定電圧を印加することにより、過大なレベルの信号が出力されることを防ぐ技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−152553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動利得制御回路から出力された信号が後段回路で反射することにより生じる反射信号が自動利得制御回路に入力される場合がある。反射信号のレベルが大きいと、自動利得制御回路が損傷してしまうおそれがあるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、自動利得制御回路から出力された信号が後段回路で反射することにより生じる反射信号による自動利得制御回路の損傷を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動利得制御回路は、入力信号を減衰させる減衰部と、前記減衰部から出力され、後段回路に進行する進行波を検出する進行波検出部と、前記進行波が後段回路で反射して生じた反射波を検出する反射波検出部と、前記進行波検出部が検出した前記進行波のレベルが第1閾値以上である場合、又は前記反射波検出部が検出した前記反射波のレベルが第2閾値以上である場合に、前記減衰部における減衰量を増加させるための制御電圧を生成する制御電圧生成部と、前記制御電圧に基づいて前記減衰部の減衰量を設定する減衰量設定部と、を有する。
【0007】
前記制御電圧生成部は、前記進行波のレベルに対応する前記減衰部の減衰量及び前記反射波のレベルに対応する前記減衰部の減衰量のうち、より大きな減衰量に対応する前記制御電圧を生成してもよい。
【0008】
前記自動利得制御回路は、前記反射波のレベルの単位時間当たりの変動量が第3閾値以上である場合に、前記減衰部における減衰量を最大にするためのリセット電圧を生成する反射レベル変動検出部をさらに有し、前記減衰量設定部は、前記反射レベル変動検出部が前記リセット電圧を生成した場合、前記リセット電圧に基づいて前記減衰量を設定してもよい。
【0009】
前記減衰量設定部は、前記反射レベル変動検出部が前記リセット電圧を生成してから、前記制御電圧生成部が前記反射波のレベルに対応する前記制御電圧を生成できるようになるまでの所定の期間が経過した後に、前記制御電圧に基づいて前記減衰量を設定してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自動利得制御回路から出力された信号が後段回路で反射することにより生じる反射信号による自動利得制御回路の損傷を防ぐことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】自動利得制御回路の構成を示す図である。
【図2】入力検波器の特性を示す図である。
【図3】可変減衰器の特性を示す図である。
【図4】入力レベル変動検出部の構成を示す図である。
【図5】入力レベル変動検出部の動作について説明するための図である。
【図6】減衰量設定部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[自動利得制御回路1の構成]
図1は、本実施形態の自動利得制御回路1の構成を示す図である。自動利得制御回路1は、入力信号のレベルを調整し、所定の範囲の大きさの信号を出力するための回路である。
自動利得制御回路1は、カプラ11と、可変減衰器12と、アンプ13と、カプラ14と、入力検波器15と、入力レベル変動検出部16と、進行波検波器17と、反射波検波器18と、制御電圧生成部19と、反射レベル変動検出部20と、減衰量設定部21とを有する。
【0013】
カプラ11は、信号を2つの系統に分配する分配器である。カプラ11は、入力信号を可変減衰器12と入力検波器15とに分配する。
【0014】
可変減衰器12は、カプラ11から入力された入力信号を減衰させ、減衰後の減衰信号をアンプ13へと出力する減衰部である。可変減衰器12は、減衰量設定部21から入力される制御電圧に基づく減衰率で入力信号を減衰する。
【0015】
アンプ13は、可変減衰器12から入力された減衰信号を増幅し、増幅後の増幅信号をカプラ14へと出力する。
【0016】
カプラ14は、4端子の方向性結合器である。カプラ14は、アンプ13から入力された増幅信号を出力信号として後段回路へと出力するとともに、進行波検波器17へと出力する。また、後段回路からの反射波を反射波検波器18へと出力する。
【0017】
入力検波器15は、カプラ11から入力された入力信号のレベルを検波する。入力検波器15は、入力信号のレベルに応じた電圧の入力検波信号を入力レベル変動検出部16に入力する。
【0018】
入力レベル変動検出部16は、入力信号が変動したことを検出する変動検出部として機能する。入力レベル変動検出部16は、入力検波器15から入力された入力検波信号の電圧(以下、入力検波電圧という)に基づいて値が変化するリセット信号を減衰量設定部21に出力する。入力レベル変動検出部16は、入力検波器15から入力された入力検波電圧の時間的な変化量を抽出し、入力検波電圧の変化量が所定のレベルを超えた場合に、入力信号が変動したことを検出する。所定のレベルは、可変減衰器12を介してアンプ13に信号が入力された場合にアンプ13に悪影響を及ぼす可能性があるレベルである。
【0019】
入力レベル変動検出部16は、入力信号のレベルの変動を検出してから所定の期間が経過するまでの間は、アンプ13の故障を防ぐために設定された大きな減衰量(後述の第1減衰量)に対応する第1リセット電圧のリセット信号を生成する。入力レベル変動検出部16は、入力信号のレベルの変動を検出してから所定の期間が経過すると、第1リセット電圧と反対の論理値の信号を生成する。
【0020】
進行波検波器17は、可変減衰器12から出力され、アンプ13を介して後段回路に向けて進行する進行波を検波する。具体的には、進行波検波器17は、カプラ14から入力された進行波を検波し、進行波のレベルを制御電圧生成部19に入力する。
【0021】
反射波検波器18は、後段回路に向けて出力された進行波が後段回路で反射して生じた反射波を検波する。具体的には、進行波検波器17は、カプラ14から入力された反射波を検波し、反射波のレベルを制御電圧生成部19に入力する。
【0022】
制御電圧生成部19は、可変減衰器12における減衰量を制御するための制御電圧の生成に用いられるAGC電圧を生成する。具体的には、制御電圧生成部19は、進行波検波器17が検出した進行波のレベル、及び反射波検波器18が検出した反射波のレベルに基づいて、可変減衰器12における減衰量を制御するためのAGC電圧を減衰量設定部21に与える。制御電圧生成部19は、アンプ13等の内部回路の損傷を防ぐために、進行波のレベル及び反射波のレベルが規定値以上にならないように可変減衰器12における減衰量を制御する。
【0023】
制御電圧生成部19は、進行波検波器17が検出した進行波のレベルが第1閾値以上である場合、又は反射波検波器18が検出した反射波のレベルが第2閾値以上である場合に、可変減衰器12における減衰量を増加させるためのAGC電圧を生成する。制御電圧生成部19は、進行波のレベルに対応する可変減衰器12の減衰量及び反射波のレベルに対応する可変減衰器12の減衰量のうち、より大きな減衰量に対応するAGC電圧を生成する。
【0024】
反射レベル変動検出部20は、制御電圧生成部19が検出した反射波のレベルの変動量を検出する。反射レベル変動検出部20は、例えば、単位時間内に反射波のレベルが変動した量を検出する。反射レベル変動検出部20は、変動量が閾値(第3閾値)以上である場合に、可変減衰器12の減衰量を最大にするための第2リセット電圧を生成し、生成した第2リセット電圧を減衰量設定部21に入力する。反射レベル変動検出部20は、反射波のレベルの変動量が閾値未満になると、第2リセット電圧と反対の論理値の電圧を生成する。第2リセット電圧は、例えば第1リセット電圧と同等の電圧であるが、完全に同一の電圧でなくてもよい。
【0025】
減衰量設定部21は、可変減衰器12における減衰量を制御するための制御電圧を生成し、生成した制御電圧を可変減衰器12に与えることにより減衰量を設定する。具体的には、減衰量設定部21は、入力レベル変動検出部16が入力信号のレベルの変動を検出してから所定の期間が経過するまでの間は、可変減衰器12における減衰量を閾値以上の第1減衰量に設定する。また、減衰量設定部21は、可変減衰器12における減衰量を閾値以上の第1減衰量に設定してから所定の期間が経過した後に、可変減衰器12における減衰量を第1減衰量よりも小さい第2減衰量に設定する。第2減衰量は、制御電圧生成部19から入力されるAGC電圧に対応する減衰量である。
【0026】
減衰量設定部21は、設定する減衰量に応じて、制御電圧を切り替える。具体的には、減衰量設定部21は、入力信号のレベルの変動を検出してから所定の期間が経過するまでの間は、第1減衰量に対応する第1制御電圧を可変減衰器12に入力し、所定の期間が経過した後に、第2減衰量に対応する第2制御電圧を可変減衰器12に入力するように切り替える。同様に、減衰量設定部21は、反射レベル変動検出部20が反射波のレベルの変動を検出してから所定の期間が経過するまでの間は、第1減衰量に対応する第1制御電圧を可変減衰器12に入力し、所定の期間が経過した後に、第2減衰量に対応する第2制御電圧を可変減衰器12に入力するように切り替える。
【0027】
上記の所定の期間は、例えば、制御電圧生成部19が、第2減衰量に対応するAGC電圧を生成できるようになるまでの期間である。すなわち、減衰量設定部21は、入力レベル変動検出部16が入力信号の変動を検出してから、制御電圧生成部19がAGC電圧を生成するために要する期間が経過するまでの間、又は反射レベル変動検出部20が反射波のレベルの変動を検出してから、制御電圧生成部19がAGC電圧を生成するために要する期間が経過するまでの間は、可変減衰器12における減衰量を第1減衰量に設定する。このようにすることで、減衰量設定部21は、入力信号又は反射波のレベルが急激に増加した場合に速やかに減衰量を大きくすることで、アンプ13に過大な電圧がかかることを防止できる。
【0028】
そして、減衰量設定部21は、所定の期間が経過した後に、可変減衰器12における減衰量を、制御電圧生成部19が生成するAGC電圧に基づく第2減衰量に切り替える。このようにすることで、制御電圧生成部19が増幅信号を規定のレベルに調整できるようになった時点で、制御電圧生成部19が生成するAGC電圧に基づいて可変減衰器12を動作させることができるので、自動利得制御回路1が規定のレベルの信号を出力することが可能になる。
【0029】
上記のように減衰量を切り替えるために、減衰量設定部21は、入力レベル変動検出部16から入力された第1リセット電圧又は反射レベル変動検出部20から入力された第2リセット電圧と制御電圧生成部19から入力されたAGC電圧とを比較した結果に基づいて、可変減衰器12における減衰量を第1減衰量に設定するか第2減衰量に設定するかを決定する。
【0030】
減衰量設定部21は、第1リセット電圧又は第2リセット電圧が第1減衰量に対応する電圧を示している場合に、減衰量を第1減衰量に設定し、第1リセット電圧又は第2リセット電圧が第1減衰量に対応する電圧を示していない場合に、AGC電圧に基づく第2減衰量に設定する。減衰量設定部21は、第1リセット電圧、第2リセット電圧、及び進行波検波器17から入力されたAGC電圧のうち、最も小さい電圧を制御電圧として出力することにより、可変減衰器12に入力する制御電圧の大きさを切り替える。
以下、主要な各部の特性及び回路構成例について説明する。
【0031】
[入力検波器15の特性]
図2は、入力検波器15の特性を示す図である。図2における横軸は、入力検波器15に入力された信号レベルを示しており、縦軸は、入力された信号レベルに対して出力される電圧を示している。入力検波器15は、入力信号のレベルが異常であることを確実に検出できるように、入力信号の電圧として想定される範囲で、入力レベルの変化に対してほぼ線形に出力電圧が変化することが望ましい。図2に示す特性を有する入力検波器15は、入力信号のレベルが破線の間の領域(入力レベルが−46dBm以上−4dBmの範囲)で変化し得る場合に好適である。
【0032】
[可変減衰器12の特性]
図3は、可変減衰器12の特性を示す図である。図3における横軸は可変減衰器12に入力される制御電圧を示しており、縦軸は減衰量を示している。このように、本実施の形態においては、可変減衰器12に入力される制御電圧が大きくなるにつれて減衰量が小さくなることが想定されているが、本発明は、逆の特性を有する可変減衰器12にも適用することができる。
【0033】
[入力レベル変動検出部16の構成]
図4は、入力レベル変動検出部16の構成を示す図である。図5は、入力レベル変動検出部16の動作について説明するための図である。
【0034】
入力レベル変動検出部16は、低域通過フィルタ161と、減算器162と、コンパレータ163とリセット回路164とを有する。低域通過フィルタ161及び減算器162は、入力信号に含まれる所定の周波数以上の成分を抽出することにより高域信号を生成する高域信号生成部として機能する。リセット回路164は、入力信号に含まれる高域信号が所定の閾値以上である場合に第1リセット電圧を生成する電圧生成部として機能する。
【0035】
低域通過フィルタ161は、入力検波器15から入力された入力検波電圧に含まれる高域成分を除去する低域通過フィルタである。図5(a)の破線に示す信号が低域通過フィルタ161に入力された場合、低域通過フィルタ161は、入力検波電圧に含まれている高域成分が除去された、図5(a)の実線に示す低域成分信号を出力する。低域通過フィルタ161の時定数は、リセット状態を解除するまでの時間が、進行波検波器17が生成するAGC電圧に基づく可変減衰器12の減衰量が最大になるまで変化させるのに必要な時間よりも長くなるように設定されていることが好ましい。
【0036】
減算器162は、入力検波電圧と、低域通過フィルタ161から入力された低域成分信号の電圧との差分の電圧を生成する減算回路である。減算器162が有する抵抗R2、R3、R4、R5の値は、例えば全て同一である。図5(b)の実線は、減算器162が生成する差分電圧を示している。図5(b)に示すように、入力検波器15から入力された入力検波信号に含まれている高域成分が抽出されて、パルス状の差分信号が出力されることがわかる。減算器162が、高域成分を抽出することで、入力信号が増加する直前の入力信号のレベルによらず、入力信号が増加した大きさに対応するレベルの差分信号を生成することができる。
【0037】
コンパレータ163は、減算器162が生成する差分電圧を所定の閾値電圧VTHと比較するための電圧比較器である。図5(b)においては、閾値電圧VTHが破線で示されている。コンパレータ163は、差分電圧>閾値電圧VTHの場合にハイレベルの信号を出力し、差分電圧≦閾値電圧VTHの場合にロウレベルの信号を出力する。閾値電圧VTHは、リセット回路164が、第1減衰量に対応するレベルのリセット信号を生成するか否かの閾値となる電圧である。
【0038】
閾値電圧VTHは、入力信号のレベルがどれだけ増加した場合に可変減衰器12における減衰量を大きくする必要があるかによって定められる。入力信号のレベルと入力検波器15が出力する電圧との関係は、図2に示した入力検波器15の特性に基づいて特定できる。したがって、閾値電圧VTHは、図2に示した入力検波器15の特性に基づいて決定される、アンプ13に入力することが許容される電圧の最大値に対応する入力検波電圧として定められる。
【0039】
図2に示す特性データの傾きは約25dB/Vであり、検波器出力電圧が1.0V大きくなると、入力レベルが25dB増加したことを意味する。したがって、閾値電圧VTH=0.2Vである場合、検波器出力電圧が0.2V大きくなった時点、すなわち入力信号のレベルが約5dB増加した時点で可変減衰器12の減衰量が第1減衰量になるように、コンパレータ163がハイレベルの信号を出力することになる。
【0040】
リセット回路164は、コンパレータ163からハイレベルの信号が入力された後に、ハイレベルの信号が所定の時間以上継続した場合に第1リセット電圧を出力するリセットICである。リセット回路164が、ハイレベルの信号が所定の時間以上継続した場合に第1リセット電圧を出力することにより、減算器162の出力電圧が閾値電圧VTH付近で変化した場合のチャタリングを防止できる。
【0041】
反射レベル変動検出部20も、図4に示した入力レベル変動検出部16と同等の構成を有する。反射レベル変動検出部20は、反射波検波器18から入力された反射波のレベルに基づいて第2リセット電圧を生成する。
【0042】
[減衰量設定部21の構成]
図6は、減衰量設定部21の構成を示す図である。減衰量設定部21は、入力レベル変動検出部16から入力される第1リセット電圧、反射レベル変動検出部20から入力される第2リセット電圧、及び進行波検波器17から入力されるAGC電圧のうち、最も小さい電圧を制御電圧として選択する回路を有する。具体的には、減衰量設定部21は、トランジスタ211と、トランジスタ212と、トランジスタ213と、最小値回路214とを有する。
【0043】
トランジスタ211、トランジスタ212及びトランジスタ213は、デジタルトランジスタである。トランジスタ213は、入力レベル変動検出部16からロウレベルの第1リセット電圧がトランジスタ211に入力された場合、又は反射レベル変動検出部20からロウレベルの第2リセット電圧が入力された場合に、ロウレベルの電圧(第1減衰量に対応する電圧)を出力する。具体的には、トランジスタ211のベース又はトランジスタ212のベースにロウレベルの電圧が入力されると、トランジスタ211又はトランジスタ212がオフ状態になることにより、トランジスタ213のベース電圧がハイレベルになる。その結果、トランジスタ213のコレクタ電圧が0Vになり、最小値回路214に、第1減衰量に対応する0Vの制御電圧が出力される。
【0044】
一方、トランジスタ211のベース及びトランジスタ212のベースにハイレベルの電圧が入力されると、トランジスタ213のベース電圧がロウレベルになる。そして、トランジスタ213のコレクタ電圧はVc_maxとなる。Vc_maxは、可変減衰器12に入力可能な最大の制御電圧、又は設計上使用する可変減衰器12の減衰量が最小になる場合の制御電圧と等しい電圧である。例えば、可変減衰器12に入力可能な最大の制御電圧とする場合、Vc_max=3.0Vとなる。また、図3の特性を有する可変減衰器12において減衰量を−10dB以上にする場合、Vc_max=2.3Vとなる。ここでは、Vc_max=3.0Vとする。
【0045】
図5(b)において第1リセット電圧又は第2リセット電圧がロウレベルになると、トランジスタ213のコレクタの電圧が0Vとなり、最小値回路214が出力する制御電圧は0Vとなり、可変減衰器12の減衰量は最大となる。また、第1リセット電圧及び第2リセット電圧がハイレベルになると、AGC電圧が、トランジスタ213のコレクタ電圧よりも小さくなり、最小値回路214が、AGC電圧を制御電圧として出力する。
【0046】
[自動利得制御回路1による効果]
以上説明したように、反射波検波器18が大きな反射波を検出すると、減衰量設定部21は、可変減衰器12における減衰量を閾値以上の第1減衰量に設定する。減衰量設定部21がこのように動作することで、後段回路からの反射波が大きい場合であっても、自動利得制御回路1の内部回路が損傷を受けることを予防できる。
【0047】
また、自動利得制御回路1は、反射レベル変動検出部20が反射波のレベルの大きな変動を検出した場合に可変減衰器12の減衰量を最大にする。自動利得制御回路1がこのように構成されていることで、例えば後段回路の負荷変動に起因して反射波が急激に大きくなった場合にも、自動利得制御回路1の内部回路が損傷を受けることを予防できる。
【0048】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0049】
1 自動利得制御回路
11 カプラ
12 可変減衰器
13 アンプ
14 カプラ
15 入力検波器
16 入力レベル変動検出部
17 進行波検波器
18 反射波検波器
19 制御電圧生成部
20 反射レベル変動検出部
21 減衰量設定部
161 低域通過フィルタ
162 減算器
163 コンパレータ
164 リセット回路
181 トランジスタ
183 トランジスタ
184 最小値回路

【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】