(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021069109
(43)【公開日】20210430
(54)【発明の名称】アンテナモジュールおよびそれを搭載した通信装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/29 20060101AFI20210402BHJP
   H01Q 21/08 20060101ALI20210402BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20210402BHJP
   H01Q 23/00 20060101ALI20210402BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20210402BHJP
【FI】
   !H01Q21/29
   !H01Q21/08
   !H01Q13/08
   !H01Q23/00
   !H01Q1/24 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】30
(21)【出願番号】2020163328
(22)【出願日】20200929
(62)【分割の表示】2020530548の分割
【原出願日】20200127
(31)【優先権主張番号】2019027976
(32)【優先日】20190220
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2019190354
(32)【優先日】20191017
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 良樹
【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号 株式会社村田製作所内
(72)【発明者】
【氏名】横山 通春
【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号 株式会社村田製作所内
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
5J047
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA07
5J021AA10
5J021AA11
5J021AB06
5J021CA03
5J021FA05
5J021FA11
5J021FA17
5J021FA26
5J021FA31
5J021FA32
5J021HA10
5J021JA07
5J021JA08
5J045AB05
5J045DA10
5J045FA01
5J045HA03
5J045JA12
5J045JA17
5J045JA19
5J045JA20
5J045NA01
5J047AA07
5J047AB13
5J047FD01
(57)【要約】
【課題】アンテナ特性の低減を抑制しつつ、通信装置内の限られたスペースに配置可能な小型化されたアンテナモジュールを提供する。
【解決手段】アンテナモジュール100Mは、誘電体基板と、誘電体基板に配置された放射素子121とを備える。誘電体基板は、法線方向が互いに異なる平坦部131および平坦部130と、平坦部131と平坦部130を接続する屈曲部135とを含む。平坦部131は、屈曲部135と平坦部131との境界部から、平坦部131に沿って平坦部130の方向へ部分的に突出した突出部133を有している。平坦部131と屈曲部135とは、平坦部131における突出部133のない位置において接続されている。放射素子121は、平坦部131における突出部133以外の位置に配置される。
【選択図】図30
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板と、
前記誘電体基板に配置された第1放射素子とを備え、
前記誘電体基板は、
法線方向が互いに異なる第1平坦部および第2平坦部と、
前記第1平坦部と前記第2平坦部とを接続する屈曲部とを含み、
前記第1平坦部は、前記屈曲部と前記第1平坦部との境界部から、前記第1平坦部に沿って前記第2平坦部の方向へ部分的に突出した第1突出部を有しており、
前記第1平坦部と前記屈曲部とは、前記第1平坦部における前記第1突出部のない位置において接続されており、
前記第1放射素子は、前記第1平坦部における前記第1突出部以外の位置に配置される、アンテナモジュール。
【請求項2】
前記第1平坦部において、前記第1放射素子に対向して配置された接地電極をさらに備え、
前記接地電極は、前記第1突出部にわたって配置されている、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項3】
前記第2平坦部は、
第1面と、
前記第1面の反対に位置し、前記第1面よりも前記第1平坦部に近い第2面とを含み、
前記第1突出部は、前記屈曲部と前記第1平坦部との境界部から、前記第2面を超える位置まで延在している、請求項1または2に記載のアンテナモジュール。
【請求項4】
前記屈曲部の厚みは、前記第1平坦部の厚みよりも薄い、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンテナモジュール。
【請求項5】
前記第1平坦部の厚みは、前記第2平坦部の厚みと同じである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンテナモジュール。
【請求項6】
高周波信号を前記第1放射素子に伝達するための給電配線をさらに備え、
前記給電配線は、前記第1放射素子における給電点に接続されており、
前記屈曲部と前記第1平坦部との境界部は、前記給電点よりも前記第1突出部の方向に位置している、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンテナモジュール。
【請求項7】
前記第2平坦部に配置された第2放射素子をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアンテナモジュール。
【請求項8】
各放射素子に高周波信号を供給するように構成された給電回路をさらに備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアンテナモジュール。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のアンテナモジュールを搭載した、通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナモジュールおよびそれを搭載した通信装置に関し、より特定的には、アンテナモジュールを小型化するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどの携帯端末(通信装置)のアンテナ素子(放射素子)として、平板状のパッチアンテナが用いられる場合がある。このパッチアンテナで放射される電波は指向性(直進性)が高いため、多くの方向に電波を放射させるためには、携帯端末の筐体の各面に沿ってアンテナを配置することが必要となる。
【0003】
特許第6168258号公報(特許文献1)には、放射素子が配置されたリジッド部と、伝送線路が形成され可撓性を有するフレキシブル部とを含む多層基板を備えるアンテナモジュールにおいて、リジッド部が伝送線路の延伸方向に対して屈曲された構成が開示されている。このような可撓性のある多層基板に放射素子を配置したアンテナモジュールを採用することで、筐体内の限られたスペースへのアンテナモジュールの組み込みを容易とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6168258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯端末においては、さらなる小型化および薄型化が要求されており、そのために携帯端末に用いられるアンテナモジュールについてもさらなる小型化が必要となっている。
【0006】
一方で、小型化のために、アンテナ素子の有効面積あるいはアンテナの誘電体層の厚みが低減されると、アンテナ特性が悪化することが懸念される。
【0007】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、アンテナ特性の低減を抑制しつつ、通信装置内の限られたスペースに配置可能な小型化されたアンテナモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に従うアンテナモジュールは、誘電体基板と、誘電体基板に配置された第1放射素子とを備える。誘電体基板は、法線方向が互いに異なる第1平坦部および第2平坦部と、第1平坦部と第2平坦部とを接続する屈曲部とを含む。第1平坦部は、屈曲部と第1平坦部との境界部から、第1平坦部に沿って第2平坦部の方向へ部分的に突出した第1突出部を有している。第1平坦部と屈曲部とは、第1平坦部における第1突出部のない位置において接続されている。第1放射素子は、第1平坦部における第1突出部以外の位置に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本開示のアンテナモジュールによれば、誘電体基板を屈曲することによって形成された第1平坦部において、当該第1平坦部に形成された突出部以外の位置に放射素子が配置される。第1平坦部に突出部を形成することによって、通信装置内に生じるデッドスペース部分に放射素子を配置することができる。さらに、第1平坦部の平坦性を確保することができるので、給電素子からの電波の放射方向を所定の方向に近づけることができ、これによって、電波の放射方向におけるゲインを向上させることが可能となる。したがって、本開示のアンテナモジュールによれば、アンテナ特性の低減を抑制しつつ、通信装置内の限られたスペースに配置可能な小型化されたアンテナモジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に従うアンテナモジュールが適用される通信装置のブロック図である。
【図2】実施の形態1に従うアンテナモジュールの斜視図である。
【図3】実施の形態1に従うアンテナモジュールの断面図である。
【図4】図3のアンテナモジュールが筐体内に組み込まれた場合の断面図である。
【図5】比較例のアンテナモジュールの断面図である。
【図6】実施の形態1に従うアンテナモジュールにおける給電配線の経路を説明するための図である。
【図7】実施の形態1に従うアンテナモジュールの製造方法の概略を示す図である。
【図8】スリット形状の第1例を示す図である。
【図9】スリット成形手法を説明するための図である。
【図10】スリット形状の第2例を示す図である。
【図11】スリット形状の第3例を示す図である。
【図12】変形例1のアンテナモジュールの斜視図である。
【図13】変形例2のアンテナモジュールの斜視図である。
【図14】変形例3のアンテナモジュールの断面図である。
【図15】変形例4のアンテナモジュールの断面図である。
【図16】変形例5のアンテナモジュールの斜視図である。
【図17】変形例6のアンテナモジュールの斜視図である。
【図18】実施の形態2に従うアンテナモジュールの斜視図である。
【図19】図18のアンテナモジュールの製造プロセスにおいて形成されるスリット形状を説明するための図である。
【図20】実施の形態3に従うアンテナモジュールの斜視図である。
【図21】図20のアンテナモジュールの製造プロセスにおいて形成されるスリット形状を説明するための図である。
【図22】実施の形態4に従うアンテナモジュールの斜視図である。
【図23】図22のアンテナモジュールの製造プロセスにおいて形成されるスリット形状を説明するための図である。
【図24】実施の形態5に従うアンテナモジュールの斜視図である。
【図25】図24のアンテナモジュールが筐体に実装された場合の電波の放射方向を説明するための図である。
【図26】実施の形態5に従うアンテナモジュールの変形例の斜視図である。
【図27】実施の形態6に従うアンテナモジュールの斜視図である。
【図28】実施の形態7に従うアンテナモジュールの第1例の断面図である。
【図29】実施の形態7に従うアンテナモジュールの第2例の断面図である。
【図30】実施の形態8に従うアンテナモジュールの断面図である。
【図31】実施の形態9に従うアンテナモジュールの断面図である。
【図32】実施の形態10に従うアンテナモジュールの斜視図である。
【図33】図32のアンテナモジュールの断面図である。
【図34】図32のアンテナモジュールの第1変形例の断面図である。
【図35】図32のアンテナモジュールの第2変形例の断面図である。
【図36】実施の形態11に従うアンテナモジュールの斜視図である。
【図37】実施の形態12に従うアンテナモジュールの第1例の断面図である。
【図38】実施の形態12に従うアンテナモジュールの第2例の断面図である。
【図39】実施の形態13に従うアンテナモジュールの第1例の断面図である。
【図40】実施の形態13に従うアンテナモジュールの第2例の断面図である。
【図41】実施の形態14に従うアンテナモジュールの第1例の断面図である。
【図42】実施の形態14に従うアンテナモジュールの第2例の断面図である。
【図43】実施の形態15に従うアンテナモジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
[実施の形態1]
(通信装置の基本構成)
図1は、本実施の形態1に係るアンテナモジュール100が適用される通信装置10のブロック図の一例である。通信装置10は、たとえば、携帯電話、スマートフォンあるいはタブレットなどの携帯端末や、通信機能を備えたパーソナルコンピュータなどである。本実施の形態に係るアンテナモジュール100に用いられる電波の周波数帯域の一例は、たとえば28GHz、39GHzおよび60GHzなどを中心周波数とするミリ波帯の電波であるが、上記以外の周波数帯域の電波についても適用可能である。
【0013】
図1を参照して、通信装置10は、アンテナモジュール100と、ベースバンド信号処理回路を構成するBBIC200とを備える。アンテナモジュール100は、給電回路の一例であるRFIC110と、アンテナ装置120とを備える。通信装置10は、BBIC200からアンテナモジュール100へ伝達された信号を高周波信号にアップコンバートしてアンテナ装置120から放射するとともに、アンテナ装置120で受信した高周波信号をダウンコンバートしてBBIC200にて信号を処理する。
【0014】
図1では、説明を容易にするために、アンテナ装置120を構成する複数の給電素子121のうち、4つの給電素子121に対応する構成のみ示され、同様の構成を有する他の給電素子121に対応する構成については省略されている。なお、図1においては、アンテナ装置120が二次元のアレイ状に配置された複数の給電素子121で形成される例を示しているが、給電素子121は必ずしも複数である必要はなく、1つの給電素子121でアンテナ装置120が形成される場合であってもよい。また、複数の給電素子121が一列に配置された一次元アレイであってもよい。本実施の形態においては、給電素子121は、略正方形の平板状を有するパッチアンテナである。
【0015】
RFIC110は、スイッチ111A〜111D,113A〜113D,117と、パワーアンプ112AT〜112DTと、ローノイズアンプ112AR〜112DRと、減衰器114A〜114Dと、移相器115A〜115Dと、信号合成/分波器116と、ミキサ118と、増幅回路119とを備える。
【0016】
高周波信号を送信する場合には、スイッチ111A〜111D,113A〜113Dがパワーアンプ112AT〜112DT側へ切換えられるとともに、スイッチ117が増幅回路119の送信側アンプに接続される。高周波信号を受信する場合には、スイッチ111A〜111D,113A〜113Dがローノイズアンプ112AR〜112DR側へ切換えられるとともに、スイッチ117が増幅回路119の受信側アンプに接続される。
【0017】
BBIC200から伝達された信号は、増幅回路119で増幅され、ミキサ118でアップコンバートされる。アップコンバートされた高周波信号である送信信号は、信号合成/分波器116で4分波され、4つの信号経路を通過して、それぞれ異なる給電素子121に給電される。このとき、各信号経路に配置された移相器115A〜115Dの移相度が個別に調整されることにより、アンテナ装置120の指向性を調整することができる。
【0018】
各給電素子121で受信された高周波信号である受信信号は、それぞれ、異なる4つの信号経路を経由し、信号合成/分波器116で合波される。合波された受信信号は、ミキサ118でダウンコンバートされ、増幅回路119で増幅されてBBIC200へ伝達される。
【0019】
RFIC110は、例えば、上記回路構成を含む1チップの集積回路部品として形成される。あるいは、RFIC110における各給電素子121に対応する機器(スイッチ、パワーアンプ、ローノイズアンプ、減衰器、移相器)については、対応する給電素子121毎に1チップの集積回路部品として形成されてもよい。
【0020】
(アンテナモジュールの構成)
次に、図2および図3を用いて、本実施の形態1におけるアンテナモジュール100の構成の詳細を説明する。図2は、アンテナモジュール100の斜視図である。また、図3は、当該アンテナモジュール100が実装基板20に実装された状態の断面図である。
【0021】
図2および図3を参照して、アンテナモジュール100は、給電素子121およびRFIC110に加えて、誘電体基板105と、給電配線170,171と、接地電極GNDとを含む。なお、以降の説明において、各図におけるZ軸の正方向を上面側、負方向を下面側と称する場合がある。
【0022】
誘電体基板105は、たとえば、低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)多層基板、エポキシ、ポリイミドなどの樹脂から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板、より低い誘電率を有する液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer:LCP)から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板、フッ素系樹脂から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板、あるいは、LTCC以外のセラミックス多層基板である。なお、誘電体基板105は必ずしも多層構造でなくてもよく、単層の基板であってもよい。
【0023】
アンテナモジュール100のアンテナ装置120において、誘電体基板105は、断面形状が略L字形状となっており、図2および図3のZ軸方向を法線方向とする平板状の平坦部130と、図2および図3のX軸方向を法線方向とする平板状の平坦部131と、当該2つの平坦部130,131を接続する屈曲部135とを含む。なお、実施の形態1においては、平坦部131が本開示の「第1平坦部」に対応し、平坦部130が本開示の「第2平坦部」に対応する。
【0024】
アンテナモジュール100においては、2つの平坦部130,131の各々に、4つの給電素子121がY軸方向に一列に配置されている。以下の説明において、理解を容易にするために、給電素子121が平坦部130,131の表面に露出するように配置された例について説明するが、給電素子121は、平坦部130,131の誘電体基板の内部に配置されてもよい。
【0025】
平坦部130は略矩形形状を有しており、その表面に4つの給電素子121が一列に配置されている。また、平坦部130の下面側(Z軸の負方向の面)には、RFIC110が接続されている。RFIC110は、はんだバンプ140を介して、実装基板20の表面21に実装されている。なお、RFIC110は、はんだ接続に代えて、多極コネクタを用いて実装基板20に実装されてもよい。
【0026】
平坦部131は、平坦部130から屈曲した屈曲部135に接続されており、その内側の面(X軸の負方向の面)が実装基板20の側面22に面するように配置される。平坦部131は、略矩形形状の誘電体基板に複数の切欠部136が形成された構成となっており、この切欠部136に屈曲部135が接続されている。言い換えると、平坦部131において切欠部136が形成されていない部分には、屈曲部135と平坦部131とが接続される境界部134から、当該平坦部131に沿って平坦部130に向かう方向(すなわち、Z軸の正方向)に突出した突出部133が形成されている。この突出部133の突出端の位置は、平坦部130の下面側(実装基板20に面する側)の面よりもZ軸の正方向に位置している。なお、実施の形態1においては、平坦部130の上面側の面(外側に位置する面)が本開示の「第1面」に対応し、平坦部130の下面側(実装基板20に対向する面)が本開示の「第2面」に対応する。また、実施の形態1においては、屈曲部135が本開示の「第1屈曲部」に対応する。
【0027】
図2のアンテナモジュール100においては、平坦部130に配置された4つの給電素子121に対応して、4つの突出部133が形成されている。そして、この突出部133の各々に対して、1つの給電素子121が配置されている。平坦部131における各給電素子121は、少なくともその一部が突出部133に重なるように配置されている。
【0028】
なお、実施の形態1においては、平坦部131に形成される突出部133のうちの1つが本開示の「第1突出部」に対応し、その他の突出部133が本開示の「第2突出部」に対応する。また、実施の形態1においては、平坦部131に配置された給電素子121のうちの1つが本開示の「第1放射素子」に対応し、平坦部131に配置されたその他の給電素子121が本開示の「第2放射素子」に対応する。実施の形態1においては、平坦部130に配置された給電素子121の各々が本開示の「第3放射素子」に対応する。
【0029】
平坦部130,131および屈曲部135において、実装基板20に面する表面あるいは内層には接地電極GNDが配置されている。平坦部130の給電素子121には、給電配線170を介して、RFIC110からの高周波信号が伝達される。また、平坦部131の給電素子121には、給電配線171を介して、RFIC110からの高周波信号が伝達される。給電配線171は、RFIC110から、平坦部130,131の各誘電体基板の内部、および、屈曲部135の誘電体基板の内部(あるいは表面)を通って、平坦部131に配置された給電素子121に接続される。
【0030】
図7で後述するように、平坦部130,131および屈曲部135は、平板状の誘電体基板105を部分的に加工し、屈曲させることによって形成される。このとき、平坦部131の厚みは、突出部133の部分を含めて、平坦部130の厚みと同じとされる。これにより、平坦部131の給電素子121について、誘電体基板の厚みの減少に伴うアンテナ特性の低下を抑制することができる。
【0031】
図4は、アンテナモジュール100が通信装置10の筐体30の内部に組み込まれた状態の断面図である。アンテナモジュール100は、筐体30の隣り合う2つの面の内側に面するように配置される。図4の例においては、筐体30は樹脂あるいはガラスなどの誘電材料で形成されており、給電素子121が筐体30に接するように配置される。なお、給電素子121が内部の層に配置される場合には、誘電体基板(平坦部130,131)が筐体30に接するように配置される。また、筐体30が金属材料で形成される場合には、筐体30自体が電波を遮断するシールドとして作用してしまうため、給電素子121が面する部分については、部分的に誘電材料が設けられる。
【0032】
図5は比較例のアンテナモジュール100#が筐体30の内部に組み込まれた状態の断面図である。比較例のアンテナモジュール100#における平坦部131#は、アンテナモジュール100の平坦部131のように屈曲部135#から突出しておらず、屈曲部135#の端部からさらに延伸するように配置されている。アンテナモジュール100#のような構成においては、図5に示される筐体30の角部分の内側の領域AR1を有効に活用することができず、また、アンテナモジュール100#のZ軸方向の寸法が、実施の形態1のアンテナモジュール100のZ軸方向の寸法よりも大きくなる。
【0033】
近年、通信装置の小型化および薄型化の要求がさらに高くなっているが、比較例のアンテナモジュール100#のような構造において、Z軸方向の寸法を短くすると、平坦部131#に配置される給電素子121のサイズを小さくする必要があり、所望のアンテナ特性が得られなくなる可能性がある。
【0034】
一方で、実施の形態1のように、屈曲部135よりも平坦部130の方向に平坦部131を突出させる構造とすることで、図5で示した領域AR1に給電素子121を配置することが可能となる。これによって、給電素子121のサイズを維持したままアンテナモジュール全体のZ軸方向の寸法を低減することができる。したがって、アンテナ特性の低減を抑制しつつ、通信装置内の限られたスペースに配置可能な小型化されたアンテナモジュールを提供することが可能となる。
【0035】
なお、上述のように、実施の形態1のアンテナモジュール100においては、突出部133の誘電体基板の厚みは、平坦部131の他の部分の誘電体基板と同じ厚みとされる。そのため、誘電体基板の厚みの減少に伴うアンテナ特性の低下も抑制できる。
【0036】
図6は、平坦部131の給電素子121へ高周波信号を伝達する給電配線171の経路を説明するための図である。図6を参照して、給電配線171は、RFIC110から、平坦部130の誘電体基板内を通過し、屈曲部135を通って平坦部131へ至る。平坦部131においては、給電配線171は、屈曲部135と平坦部131との境界部134よりもさらにZ軸の負方向の位置まで延伸し、そこからY軸方向に屈曲して給電素子121に接続される。
【0037】
このとき、境界部134が給電素子121の給電点SPよりもZ軸の負方向に位置する場合には、RFIC110から給電素子121までの給電配線171の長さが長くなり、給電配線171での損失が若干増加するが、屈曲部135の曲率半径を大きくとることができるので、屈曲部135に加わる応力を低減でき屈曲部135の破損を抑制することができる。また、突出部133の突出量を大きくできるので、突出部133の突出端の位置をより高い位置に配置することができ、筐体30内での配置の自由度を増加できる。
【0038】
一方、境界部134が給電素子121の給電点SPよりもZ軸の正方向に位置する場合には、給電配線171の長さを短くすることができるので、給電配線171による損失は抑制できるが、平坦部131の屈曲加工がややしにくくなる。境界部134の位置、すなわち突出部133の突出量は、許容される損失および平坦部131の給電素子121の配置に応じて適宜設定される。
【0039】
(製造プロセス)
次に、図7を用いて、アンテナモジュール100の製造プロセスについて説明する。図7においては、図7(a)から図7(d)へと工程が進められる。各工程において、上段には誘電体基板105の法線方向(すなわち、Z軸方向)から見たときの平面図が示されており、下段には屈曲部135が形成される部分を含む断面図が示されている。なお、断面図においては、説明を容易にするために、接地電極、給電配線および誘電体基板内の配線パターンについては省略されている。
【0040】
まず図7(a)に示される工程では、誘電体と所望のパターンに成形された金属膜とが接合された誘電体層を複数積層することによって誘電体基板105が形成される。各誘電体層の金属膜によって、接地電極および給電素子121等が形成される。このとき、誘電体基板105の平坦部131となる部分の内層には、屈曲部135と同じ形状の電極190が形成されている。
【0041】
次に図7(b)に示される工程では、屈曲部135を形成する部分の誘電体がレーザ加工によって除去されて、誘電体基板105に凹部195が形成される。このとき、前述の電極190よりも上部の誘電体のみがレーザによって除去される。すなわち、電極190はレーザ加工の際にレーザを遮断するためのガード電極として機能する。これによって、誘電体基板105を平面視した場合に、電極190が露出する。この電極190によって、屈曲部135の所望の厚みが確保される。なお、平坦部131へと至る給電配線171は、当該電極190よりも下面側の層に形成されている。
【0042】
突出部133となる部分と屈曲部135となる部分との境界部分には、レーザ加工によって誘電体基板105を厚み方向に貫通するスリット150が形成される。なお、このスリット150が形成される部分には、電極190は形成されていない。
【0043】
上述の図7(b)の工程において、スリット150を形成する工程と、凹部195を形成する工程との順序は特に限定されない。すなわち、スリット150の形成に先立って凹部195を形成してもよいし、スリット150の形成後に凹部を形成してもよい。なお、スリット150形成の際のレーザ加工において、加工の際に生じるスミア(すす)によって、周囲の誘電体に汚れが付着する場合がある。そのため、スリット150を形成した後に凹部195を形成することで、汚れが付着した誘電体を凹部195の形成の際に除去することができ、最終の製品における外観不良を抑制することができる。
【0044】
その後、図7(c)に示される工程において、エッチング処理を施すことによって、露出した電極190が除去される。なお、誘電体基板105の表面に給電素子121が配置される場合には、エッチング処理に先立って、レジスト等により給電素子121の部分にマスク処理が施される。
【0045】
そして、図7(d)に示される工程において、屈曲部135の部分においてY軸に沿って誘電体基板105を屈曲させる。これによって、平坦部131の法線がX軸方向に向けられる。このとき、スリット150が形成されていることにより、誘電体基板の一部が屈曲部135の面から立ち上がり、突出部133が形成されるとともに、突出部133に給電素子121の少なくとも一部が配置される。これによって、アンテナ装置120が形成される。その後、平坦部130の下面側にRFIC110が接続されることによって、アンテナモジュール100が形成される。
【0046】
なお、誘電体の除去については、レーザ加工以外の加工法(たとえば、ルーター加工)により行なわれてもよい。この場合には、ガード電極として機能する電極190は不要である。
【0047】
(スリット形状)
図7(d)の屈曲工程においては、誘電体基板105の全体にわたってY軸に沿った直線状に誘電体基板105を屈曲させることが望ましい。誘電体基板105を屈曲させる際に、応力集中が生じる部分(応力集中点)がスリット150に存在すると、当該応力集中点において誘電体基板105が屈曲しやすくなる。そのため、スリット150を、屈曲させたい部分にできるだけ応力集中が生じ、逆に屈曲させたくない部分には応力集中が生じないような形状とすることが好ましい。
【0048】
図8は、スリット形状の第1例を示す図である。図8に示されるように、スリット150は、全体として角張ったC字形状となっている。ここで、一般的には、角張った部分には応力が集中しやすいことが知られている。そのため、X軸方向に延在し互いに対向する2つのスリット(第1部分,第2部分)とY軸方向に延在するスリット(第3部分)が交わる角部155を、所定の曲率半径を有する円弧状に形成することによって、角部155の応力集中が低減される。これによって、Y軸に沿ったスリット150の第3部分で屈曲することが抑制される。ただし、スリット150の内側、すなわち給電素子121が配置される突出部133の端部の凸状の角部については、接地電極GNDの面積をできるだけ確保するために角張った状態としておくことが好ましい。
【0049】
レーザ加工によって当該スリット150を形成する場合、図9(a)のように開始点STからスリット150と誘電体基板との境界に沿って開始点STに戻る経路でレーザを照射した場合、突出部133の端部の凸状の角部には少なからず曲率を有する曲線となってしまう。また、加工終了点が開始点STに一致しない場合には、スリット150部分の誘電体が除去されず加工不良となる可能性がある。
【0050】
そのため、図9(b)に示されるように、2つの工程によってスリット150を形成することが好ましい。第1工程においては、突出部133のX軸に沿った端部の延長上の開始点ST1から加工を開始し、スリット150と誘電体基板との境界に沿ってレーザを照射し、突出部133のY軸に沿った他方の端部の延長線上の終了点ED1で一旦レーザの照射を終了する。そして、第2工程においては、突出部133のY軸に沿った端部の延長上の開始点ST2からレーザの照射を再開し、突出部133のY軸に沿った他方の端部の延長上の終了点ED2まで、Y軸に沿ってレーザを照射する。
【0051】
このような工程でスリット150を形成することで、基板の凹状の角部については円弧状として応力集中を低減し、凸状の角部については角張った形状として接地電極GNDの面積を確保することができる。また、レーザ照射の開始点と終了点とを異ならせることによって、誘電体が除去されない加工不良を防止することができる。
【0052】
図10および図11は、スリット形状の他の例を示したものである。図10に示される第2例および図11に示される第3例においては、所望の位置で誘電体基板105を屈曲させるためのスリット形状の例が示される。
【0053】
図10の第2例のスリット150Aは、X軸方向に沿って形成されたスリット(第1部分150A1,第2部分150A2)の各々における外側の辺の形状が円弧形状に形成されており、第1部分150A1および第2部分150A2のX軸方向の中央部に向かってスリット開口幅が徐々に広くなっている。これにより、屈曲部135のY軸方向の寸法(幅)について、スリット端部よりも狭くなる部分が生じる。図10の例においては、仮想線CL1に沿った部分の屈曲部135の幅W2が屈曲部135の最小幅となっている。したがって、誘電体基板105を屈曲させる際に、この屈曲部135の幅が最小となる部分に応力が集中しやすくなり、結果として、屈曲部135は仮想線CL1に沿って屈曲する。
【0054】
図11の第3例のスリット150Bにおいては、X軸方向に沿って形成されたスリット(第1部分150B1,第2部分150B2)の各々に、仮想線CL2に沿って、スリットの両端部よりもスリット開口部が広くなるような凹部152が形成されている。これによって、凹部152が形成された部分の屈曲部135の幅が最小となるため、誘電体基板105を屈曲させる際に、凹部152が形成された部分に応力が集中しやすくなり、屈曲部135は仮想線CL2に沿って屈曲する。
【0055】
以上のように、スリット形状を工夫することによって、屈曲位置を調整することができる。
【0056】
(変形例)
以下、アンテナモジュールのバリエーション(変形例)について説明する。
【0057】
(切欠部の変形例:変形例1,変形例2)
実施の形態1のアンテナモジュール100においては、平坦部131の隣接する給電素子121の間のすべてに切欠部136が形成される例について説明したが、必ずしもすべての給電素子121同士の間に切欠部136が形成されなくてもよい。
【0058】
図12は、変形例1のアンテナモジュール100Aを示す斜視図である。アンテナモジュール100Aのアンテナ装置120Aにおいては、切欠部136は、4つの給電素子121のうちの、中央部の2つ給電素子121の間のみに設けられており、屈曲部135は、当該切欠部136と、平坦部131のY軸方向の両端部の位置に形成されている。すなわち、アンテナモジュール100Aにおいては、2つの突出部133Aの各々に、2つの給電素子121が形成されている。
【0059】
また、図13の変形例2のアンテナモジュール100Bのアンテナ装置120Bにおいては、切欠部136は、4つの給電素子121のうちの、1番目と2番目の給電素子121の間、および、3番目と4番目の給電素子121の間に形成されており、当該切欠部136の位置に屈曲部135が形成されている。すなわち、アンテナモジュール100Bにおいては、平坦部131の両端部の突出部133Bには、1つの給電素子121が配置されており、中央部の突出部133Cには2つの給電素子121が配置されている。
【0060】
変形例1のアンテナモジュール100Aおよび変形例2のアンテナモジュール100Bは、切欠部136の形成位置の違いにより、アンテナモジュール100と比較して、平坦部131における誘電体基板105および接地電極GNDのサイズおよび形状が異なっている。このように、誘電体基板105および接地電極GNDのサイズおよび形状が異なると、接地電極GNDに流れる電流分布が変化し、平坦部131に配置された給電素子121で形成されるアンテナアレイの指向性が変化し得る。したがって、切欠部136の形成位置を変化させることによって、指向性の設計自由度が増加し、所望のアンテナ特性を実現することが可能となる。
【0061】
なお、変形例1においては、突出部133Aの一方が本開示の「第1突出部」に対応し、突出部133Aの他方が本開示の「第2突出部」に対応する。また、変形例2においては、突出部133B,133Cのうちの一方が本開示の「第1突出部」に対応し、突出部133B,133Cのうちの他方が本開示の「第2突出部」に対応する。
【0062】
(屈曲部の変形例:変形例3,変形例4)
実施の形態1のアンテナモジュール100においては、平坦部131および平坦部130の内面(すなわち、実装基板20に対向する面)側に沿って、平坦部131および平坦部130よりも誘電体基板の厚みが薄い屈曲部135が形成される構成について説明したが、屈曲部の形状および配置については他の構成とすることも可能である。
【0063】
図14の変形例3のアンテナモジュール100Cのアンテナ装置120Cにおいては、屈曲部135Aは、平坦部131および平坦部130の外面(すなわち、実装基板20に対向しない面)側に沿って形成されている。なお、屈曲部135Aについても、平坦部131および平坦部130よりも誘電体基板の厚みは薄い。図14のアンテナモジュール100Cのように、外面側に屈曲部を形成することによって、屈曲部の曲率半径を大きくすることができるので、屈曲部に加わる応力を低減でき、屈曲部の破損を抑制することができる。また、屈曲部と実装基板との間のスペースを広げることができるので、実装基板との接触による屈曲部の破損を抑制することができる。
【0064】
なお、図には示されていないが、平坦部131および平坦部130の厚み方向の中間位置同士が接続されるように屈曲部が形成されてもよい。
【0065】
また、各平坦部および屈曲部を構成する誘電体基板105に十分な可撓性がある場合には、屈曲部の厚みを平坦部130および平坦部131に比べて薄くすることは必ずしも必要ではない。
【0066】
図15に示される変形例4のアンテナモジュール100Dのアンテナ装置120Dにおいては、屈曲部135Bの厚みは、平坦部130および平坦部131と同じ厚みとなっている。この場合、後述する製造プロセスにおいて、屈曲部に対応する部分の誘電体基板を削る工程が省略できるので、製造プロセスを簡略化できコストの低減にもつながる。また、屈曲部135Bの部分の耐久性も確保することが可能となる。
【0067】
なお、変形例3,4についても、変形例1,2で示した切欠部の構成を適用してもよい。
【0068】
(単独アンテナの変形例:変形例5,変形例6)
実施の形態1および変形例1〜4においては、いずれも複数の給電素子が配置されたアンテナアレイの場合について説明したが、実施の形態1で開示される特徴については、給電素子が1つだけ配置されたアンテナモジュールについても適用可能である。
【0069】
図16は、変形例5のアンテナモジュール100Eの斜視図である。アンテナモジュール100Eのアンテナ装置120Eにおいては、平坦部131に1つの給電素子121が配置されている。平坦部131には突出部133が1つだけ形成されており、給電素子121の少なくとも一部が、当該突出部133上に配置されている。なお、平坦部131と平坦部130とは、平坦部131のY軸方向の両端部に形成された屈曲部135によって接続されている。
【0070】
なお、屈曲部135が形成される位置については、平坦部131と平坦部130との接続強度を確保することができれば、図17の変形例6のアンテナモジュール100Fのアンテナ装置120Fのように、平坦部131のY軸方向の片方の端部に形成されてもよい。
【0071】
また、図16および図17の変形例においては、平坦部130には給電素子121が形成されない構成の例が示されているが、図16および図17に破線で示されているように、平坦部130にも給電素子121が設けられてもよい。
【0072】
[実施の形態2]
実施の形態1のアンテナモジュールにおいては、実装基板の側面に面する平坦部(平坦部131)に突出部が形成される構成の例について説明した。
【0073】
実施の形態2においては、実装基板の表面に面する平坦部(平坦部130)に突出部が形成されたアンテナモジュールの例について説明する。
【0074】
図18は、実施の形態2に従うアンテナモジュール100Gの斜視図である。図18を参照して、アンテナモジュール100Gは、アンテナ装置120Gと、RFIC110とを備える。アンテナ装置120Gは、実施の形態1のアンテナ装置120と同様に、誘電体基板105を構成する平坦部130,131および屈曲部135を含む。誘電体基板105の断面は略L字形状となっている。Z軸方向を法線方向とする平坦部130と、X軸方向を法線方向とする平坦部131とは、屈曲部135により接続されている。
【0075】
平坦部131は略矩形形状を有しており、その表面に4つの給電素子121が一列に配置されている。
【0076】
平坦部130は、略矩形形状の誘電体基板に複数の切欠部137が形成された構成となっており、この切欠部137に屈曲部135が接続されている。平坦部130において切欠部137が形成されていない部分には、屈曲部135と平坦部130とが接続される境界部134Aから、当該平坦部130に沿って平坦部131に向かう方向(すなわち、X軸の正方向)に突出した突出部133Dが形成されている。この突出部133Dの突出端の位置は、平坦部131の内面側(実装基板20に面する側)の面よりもX軸の正方向に位置している。
【0077】
アンテナ装置120Gにおいては、平坦部131に配置された4つの給電素子121に対応して、4つの突出部133Dが形成されている。そして、この突出部133Dの各々に対して、1つの給電素子121が配置されている。平坦部131における各給電素子121は、少なくともその一部が突出部133Dに重なるように配置されている。
【0078】
このようなアンテナ装置の構成とすることにより、図5に示した比較例における筐体の角部分の領域AR1に、平坦部130の給電素子121を配置することができる。したがって、通信装置内の限られたスペースを有効に活用することができる。なお、実施の形態2のアンテナモジュール100Gにおいては、実施の形態1のアンテナ装置120と比較すると、X軸方向の寸法は短くなっているが、Z軸方向の寸法については長くなっている。アンテナモジュール100Gのような構成は、通信装置10の厚み方向の寸法の制約が比較的に少なく、一方で実装基板20上における実装位置に制約があるような場合に効果的である。近年では、スマートフォンにおいて大画面化のために表示画面の周囲のベゼル部分の面積が狭くされる傾向にある。このような場合には、アンテナモジュール100Gのような構成とすることにより、平坦部130側の給電素子121をできるだけ筐体の端部に配置することが可能となる。
【0079】
なお、実施の形態2においては、平坦部130が本開示の「第1平坦部」に対応し、平坦部131が本開示の「第2平坦部」に対応する。実施の形態2においては、平坦部131の外側に位置する面が本開示の「第1面」に対応し、平坦部131の内側に位置する面が本開示の「第2面」に対応する。実施の形態2においては、突出部133Dのうちに1つが本開示の「第1突出部」に対応し、その他の突出部133Dが本開示の「第2突出部」に対応する。
【0080】
また、実施の形態2においては、平坦部130に形成される突出部133Dのうちの1つが本開示の「第1突出部」に対応し、その他の突出部133Dが本開示の「第2突出部」に対応する。また、実施の形態2においては、平坦部130に配置された給電素子121のうちの1つが本開示の「第1放射素子」に対応し、平坦部130に配置されたその他の給電素子121が本開示の「第2放射素子」に対応する。実施の形態2においては、平坦部131に配置された給電素子121の各々が本開示の「第3放射素子」に対応する。
【0081】
図19は、図18のアンテナモジュール100Gの製造プロセスにおいて形成されるスリット形状を説明するための図である。図19に示されるように、誘電体基板105において、屈曲部135が形成される部分には、レーザ加工等により凹部が形成される。そして、平坦部130における突出部133Dと屈曲部135との境界の部分に、誘電体基板105の厚み方向に貫通するスリット150が形成される。このようなスリットを形成することによって、屈曲部135の部分で誘電体基板105を屈曲させた場合に、図18で示したような形状を実現することができる。なお、スリットの形状については、図8〜図11で示したような形状のバリエーションを適用してもよい。
【0082】
[実施の形態3]
実施の形態3においては、双方の平坦部に突出部が形成される構成の例について説明する。
【0083】
図20は、実施の形態3に従うアンテナモジュール100Hの斜視図である。アンテナモジュール100Hのアンテナ装置120Hにおいては、2つの平坦部130,131に、突出部133,133Dがそれぞれ形成されている。アンテナ装置120Hにおいては、突出部133と対応する位置に突出部133Dが形成されており、平坦部130の切欠部137と平坦部131の切欠部136との間に屈曲部135が形成されている。そして、給電素子121は、各平坦部において、少なくともその一部が突出部に重なる位置に配置されている。
【0084】
このような構成とすることによって、通信装置内の限られたスペースにアンテナ装置を配置できる。また、アンテナ装置のX軸方向およびZ軸方向の寸法を短くすることができるので、アンテナモジュールおよび通信装置の小型化に寄与することができる。なお、実施の形態3においては、平坦部131が本開示の「第1平坦部」に対応し、平坦部130が本開示の「第2平坦部」に対応する。また、実施の形態3において、突出部133のうちの1つが本開示の「第1突出部」に対応し、突出部133Dが本開示の「第3突出部」に対応する。
【0085】
図21は、図20のアンテナモジュール100Hの製造プロセスにおいて形成されるスリット形状を説明するための図である。図21に示されるように、誘電体基板105を屈曲させる前においては、平坦部130の突出部133Dと平坦部131の突出部133とが互いに対向して形成されている。そして、屈曲部135と各突出部との境界部分に、誘電体基板105の厚み方向に貫通するスリット150が形成される。このようなスリットを形成することによって、屈曲部135の部分で誘電体基板105を屈曲させた場合に、図20で示したようなアンテナ装置120Hの形状を実現することができる。なお、スリットの形状については、図8〜図11で示したような形状のバリエーションを適用してもよい。
【0086】
[実施の形態4]
実施の形態3においては、2つの平坦部に突出部が形成されたアンテナ装置において、図21で説明したように、双方の突出部が対向するように形成されていた。しかしながら、実施の形態3の構成では、誘電体基板を屈曲させた状態において、一方の突出部の突出端の位置が他方の突出部の面まで達しない。そのため、当該アンテナモジュールを筐体内に組み込んだ場合に、筐体の角部分に若干ではあるが活用できないスペースが残り得る。
【0087】
実施の形態4においては、一方の平坦部の2つの突出部の間(すなわち、切欠部)に他方の突出部を形成する構成の例について説明する。
【0088】
図22は、実施の形態4に従うアンテナモジュール100Iの斜視図である。アンテナモジュール100Iのアンテナ装置120Iにおいては、実施の形態3のアンテナ装置120Hと同様に、平坦部130,131に突出部133E,133Fがそれぞれ形成されている。そして、各突出部は、その突出端が他方の平坦部の切欠部に入り込むような位置に形成されている。言い換えれば、突出部133Eと突出部133Fとが交互に配置されるように、各突出部が形成されている。屈曲部135は、突出部133Eと突出部133Fとの間に形成されている。
【0089】
給電素子121は、各平坦部において、少なくともその一部が突出部に重なる位置に配置されている。すなわち、平坦部130の給電素子121と、平坦部131の給電素子121とは、ジグザグ状に配置されている。
【0090】
このような構成とすることによって、アンテナモジュールのY軸方向の寸法はやや長くなるものの、X軸方向およびZ軸方向の寸法を短くすることができる。さらに、筐体の角部分に余分なスペースを残さないように、筐体内に組み込むことが可能となる。したがって、通信装置内の限られたスペースを有効に活用することができるとともに、アンテナモジュールおよび通信装置の小型化に寄与することができる。
【0091】
なお、実施の形態4においては、平坦部131が本開示の「第1平坦部」に対応し、平坦部130が本開示の「第2平坦部」に対応する。実施の形態4において、突出部133Eが本開示の「第1突出部」に対応し、突出部133Fが本開示の「第3突出部」に対応する。
【0092】
図23は、図22のアンテナモジュール100Iの製造プロセスにおいて形成されるスリット形状を説明するための図である。図23に示されるように、誘電体基板105を屈曲させる前においては、平坦部130の突出部133Eと平坦部131の突出部133Fとが交互に配置されるように形成されている。このとき、突出部133Eの突出端の位置が、突出部133Fの突出端の位置よりもX軸の正方向にオフセットした位置となるようにする。そして、屈曲部135と各突出部との境界部分に、誘電体基板105の厚み方向に貫通するスリット150が形成される。このような構成とすることで、誘電体基板105を屈曲させたときに、2つの突出部133Fの間に突出部133Eを配置することができ、図22で示したようなアンテナ装置120Iの形状を実現することができる。なお、スリットの形状については、図8〜図11で示したような形状のバリエーションを適用してもよい。
【0093】
[実施の形態5]
実施の形態1〜4においては、2方向に電波を放射することができるアンテナモジュールの例について説明した。実施の形態5においては、3方向に電波を放射することができるアンテナモジュールの例について説明する。
【0094】
図24は、実施の形態5に従うアンテナモジュール100Jの斜視図である。図24を参照して、アンテナモジュール100Jのアンテナ装置120Jにおいては、Z軸方向を法線方向とする平坦部130が、略正方形の平板状とされており、Y軸に沿った辺側に形成された平坦部131に加えて、X軸に沿った辺側にも平坦部131Aが形成されている。平坦部131Aは、平坦部131と同様の形状を有しており、複数の突出部133Gが形成されている。平坦部131Aは、屈曲部135Cによって平坦部130に接続されている。そして、平坦部131Aにおいて、給電素子121は、その少なくとも一部が突出部133Gに重なるように配置される。このような形状のアンテナ装置120Jを、筐体の3つの面が交わる角部分に配置することによって、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3方向に電波を放射することができる。そして、筐体の3つの面が交わる角部分のスペースを有効に活用することができる。
【0095】
なお、実施の形態5において、平坦部131Aが本開示における「第3平坦部」に対応する。また、実施の形態5において、屈曲部135Cが本開示の「第2屈曲部」に対応し、突出部133Gが本開示の「第4突出部」に対応する。実施の形態4において、平坦部131Aに配置される給電素子121の各々が、本開示の「第4放射素子」に対応する。
【0096】
図25は、図24のアンテナモジュール100Jが筐体30に実装された場合の電波の放射方向を説明するための図である。図25においては、略直方体の筐体30の対角の位置にある角部の各々に、図24で示したアンテナモジュールが配置されている。2つのアンテナモジュール100J1,100J2は、平坦部130が互いに反対方向を向くように配置される。これによって、アンテナモジュール100J1からは、X軸、Y軸およびZ軸の正方向(すなわち、X1、Y1およびZ1方向)に電波が放射され、アンテナモジュール100J2からは、X軸、Y軸およびZ軸の負方向(すなわち、X2、Y2およびZ2方向)に電波が放射される。したがって、このような通信装置においては、全方向へ電波を放射することが可能となる。
【0097】
(変形例)
図24に示したアンテナモジュール100Jのアンテナ装置120Jにおいては、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の3方向に電波を放射する構成について説明したが、たとえば、図26のアンテナモジュール100J3のアンテナ装置120J3のように、X軸の正方向、X軸の負方向、およびZ軸方向の3方向に電波を放射する構成であってもよい。
【0098】
図26のアンテナ装置120J3においては、平坦部130において平坦部131が形成される辺に対向する辺に、平坦部131Jが形成されている。平坦部131Jは、平坦部131と同様の形状を有しており、複数の突出部133Jが形成されている。平坦部131Jは、屈曲部135Jによって平坦部130に接続されている。図26では突出部133Jの背後となって示されていないが、平坦部131Jにおいて、給電素子は、その少なくとも一部が突出部133Jに重なるように配置される。平坦部131Jに配置された給電素子からは、X軸の負方向に電波が放射される。
【0099】
なお、図26においては、X軸の正方向および負方向に平坦部が形成される例について説明したが、Y軸の正方向および負方向に平坦部が形成される場合であってもよい。
【0100】
[実施の形態6]
上述の実施の形態においては、放射素子として給電素子のみが用いられ、各給電素子から1つの周波数帯域の電波が放射される、いわゆるシングルバンドタイプのアンテナ装置、および、各給電素子に1つの給電点において高周波信号が供給される、シングル偏波タイプのアンテナ装置の例について説明した。しかしながら、本開示の特徴については、放射素子から2つの周波数帯域の電波を放射可能なデュアルバンドタイプのアンテナ装置、および、放射素子から2つの偏波方向の電波を放射可能なデュアル偏波タイプのアンテナ装置にも適用可能である。
【0101】
図27は、実施の形態6に従うアンテナモジュール100Kの斜視図である。図27に示されるアンテナモジュール100Kのアンテナ装置120Kにおいて、誘電体基板105の形状は、実施の形態1と同じ形状とされているが、各平坦部に配置される放射素子が、給電素子121と無給電素子122で構成されている。
【0102】
無給電素子122は、給電素子121よりも大きなサイズを有している。そして、各平坦部の法線方向から見た場合に、無給電素子122は、給電素子121よりも誘電体基板105の内層側に、給電素子121と重なるように配置される。そして、給電配線(図示せず)は、無給電素子122を貫通して給電素子121に接続される。放射素子をこのような構成とすることによって、給電素子121と無給電素子122とから、互いに異なる周波数帯域の電波を放射することができる。
【0103】
また、各給電素子121において、2つの給電点SP1,SP2にRFIC110からの給電配線を接続することによって、給電素子121および無給電素子122の各々から、異なる偏波方向を有する2つの電波を放射することができる。たとえば、平坦部130の放射素子からは、X軸方向を偏波方向とする電波と、Y軸方向を偏波方向とする電波とが、Z軸方向へと放射される。また、平坦部131の放射素子からは、Y軸方向を偏波方向とする電波と、Z軸方向を偏波方向とする電波とが、X軸方向へと放射される。
【0104】
なお、アンテナモジュール100Kにおいては、デュアルバンドかつデュアル偏波タイプのアンテナモジュールの例について説明したが、デュアルバンドかつシングル偏波タイプのアンテナモジュールであってもよいし、シングルバンドかつデュアル偏波タイプのアンテナモジュールであってもよい。また、平坦部130に配置される放射素子の態様と、平坦部131に配置される放射素子の態様とが異なっていてもよい。
【0105】
以上説明したように、屈曲させることによって略L字形状の断面に形成される誘電体基板を有するアンテナモジュールにおいて、少なくとも一方の平坦部に突出部を形成し、少なくとも一部が当該突出部と重なるように給電素子を配置することによって、当該アンテナモジュールを通信装置の筐体内に組み込んだときに、筐体の角部のデッドスペースに給電素子を配置することが可能となる。また、誘電体基板を屈曲させた後でも、突出部の厚みを平坦部の厚みと同じ寸法に維持することができる。したがって、アンテナ特性の低減を抑制しつつ、通信装置内の限られたスペースに配置可能な小型化されたアンテナモジュールを提供することが可能となる。
【0106】
[実施の形態7]
上述の実施の形態においては、RFIC110が実装基板20に実装され、誘電体基板105における平坦部130に接続される構成について説明した。
【0107】
実施の形態7においては、屈曲部135に接続された平坦部131側にRFICが配置される構成について説明する。
【0108】
図28は、実施の形態7に従う第1例のアンテナモジュール100L1の断面図である。アンテナモジュール100L1のアンテナ装置120Lは、はんだバンプ145を介して実装基板20に直接接続されている。アンテナモジュール100L1においては、RFIC110Aは、誘電体基板105の平坦部131の内面(すなわち、実装基板20に対向する面)に配置されている。アンテナモジュール100L1においては、RFIC110Aの少なくとも一部は、平坦部131から突出した突出部133に配置されている。なお、RFICについては、必ずしも突出部133に配置されていなくてもよく、図29に示されるアンテナモジュール100L2のRFIC110Bのように、平坦部131における突出部133以外の部分に配置される構成であってもよい。
【0109】
平坦部130側の給電素子121には、RFIC110A(あるいはRFIC110B)から、給電配線170Aを通して高周波信号が供給される。また、平坦部131側の給電素子121には、給電配線171Aを通して高周波信号が供給される。なお、図示されていないが、RFIC110A,110Bには、屈曲部135を経由して実装基板20から信号が伝達される。
【0110】
このように、RFICを誘電体基板の平坦部131側に配置することによって、アンテナモジュールを収納する機器の厚み方向(Z軸方向)の寸法が制限されるような場合に、アンテナモジュールを薄型化することが可能となる。
【0111】
[実施の形態8]
上述の実施の形態においては、平坦部131側に配置される給電素子121の少なくとも一部が、平坦部131の突出部133に配置される構成について説明した。
【0112】
図30は、実施の形態8に従うアンテナモジュール100Mの断面図である。アンテナモジュール100Mにおけるアンテナ装置120Mにおいては、平坦部131側に配置される給電素子121は、平坦部131における突出部133以外の位置に配置されている。
【0113】
図5で示したような突出部が形成されない構成において、接地電極GNDが屈曲していることにより、平坦部131#と屈曲部135#との接続部分における給電素子121からの電波の放射方向がX軸の正方向よりもZ軸の正方向寄りに傾いてしまい、アンテナ特性が低下してしまう可能性がある。一方で、図30のアンテナモジュール100Mのように突出部133を形成することによって、給電素子121が配置される部分における接地電極GNDの平坦性を確保することができるので、給電素子121からの電波の放射方向をX軸の正方向により近づけることが可能となる。これにより、X軸の正方向へのゲインを向上させることができるので、アンテナ特性の低下を抑制することが可能となる。
【0114】
[実施の形態9]
上述の実施の形態においては、放射素子が配置される誘電体基板自体を屈曲させてアンテナ装置を形成する構成について説明した。実施の形態9においては、屈曲部が形成される基板上に、放射素子が配置された基板を別途実装させてアンテナ装置を形成する構成について説明する。
【0115】
図31は、実施の形態9に従うアンテナモジュール100Nの断面図である。アンテナモジュール100Nにおけるアンテナ装置120Nは、ベース基板210と、第1アンテナ基板220と、第2アンテナ基板230とを含む。
【0116】
ベース基板210は、誘電体211と接地電極GNDとを含む。ベース基板210は、断面形状が略L字形状となっており、Z軸方向を法線方向とする平板状の平坦部130Nと、X軸方向を法線方向とする平板状の平坦部131Nと、平坦部130Nおよび平坦部131Nを接続する屈曲部135Nとを含む。
【0117】
実施の形態1の図2で説明した誘電体基板105と同様に、平坦部131Nには、平坦部131Nと屈曲部135Nとの境界部からZ軸方向に突出した突出部210Aが形成されている。突出部210Aにも接地電極GNDが形成されている。平坦部130Nの下面側(Z軸の負方向の面)には、RFIC110が接続されている。RFIC110は、はんだバンプ140を介して、実装基板20の表面21に実装されている。
【0118】
第1アンテナ基板220は、はんだバンプ145を介して平坦部130Nに実装される。また、第2アンテナ基板230は、はんだバンプ146を介して平坦部131Nに実装される。
【0119】
第1アンテナ基板220においては、平板状の誘電体221上に給電素子121が配置されている。第1アンテナ基板220の給電素子121には、給電配線170Bを介して、RFIC110からの高周波信号が供給され、これによってZ軸方向に電波が放射される。給電配線170Bは、RFIC110からベース基板210の平坦部130Nを貫通し、はんだバンプ145を経由後に、さらに誘電体221を貫通して第1アンテナ基板220の給電素子121に至る。
【0120】
第2アンテナ基板230においては、平板状の誘電体231上に給電素子121が配置されている。第2アンテナ基板230の給電素子121には、給電配線171Bを介して、RFIC110からの高周波信号が供給され、これによってX軸方向に電波が放射される。給電配線171Bは、RFIC110からベース基板210の平坦部130Nおよび屈曲部135Nの内部あるいは表面を延伸して、平坦部131Nに至る。さらに、給電配線171Bは、はんだバンプ146を経由し、誘電体231を貫通して第2アンテナ基板230の給電素子121に至る。第2アンテナ基板230の給電素子121は、その少なくとも一部が、ベース基板210の突出部210Aに対向する位置に配置されている。
【0121】
このように、屈曲部135Nを有するベース基板210と、それぞれに給電素子121が配置される第1アンテナ基板220および第2アンテナ基板230とが個別に形成された構成のアンテナモジュールにおいても、屈曲部135Nよりも平坦部130Nの方向に平坦部131Nを突出させる構造とすることで、筐体の角部分の内側の領域(図5の領域AR1)に給電素子121を配置することができる。これによって、給電素子121のサイズを維持したままアンテナモジュール全体のZ軸方向の寸法を低減することができるので、アンテナ特性の低減を抑制しつつ、通信装置内の限られたスペースに配置可能な小型化されたアンテナモジュールを提供することが可能となる。
【0122】
[実施の形態10]
実施の形態10においては、筐体の側面に対向する平坦部131における突出部の突出量を確保するための構成について説明する。
【0123】
図32は、実施の形態10に従うアンテナモジュール100Pの斜視図である。また、図33は、アンテナモジュール100Pの断面図である。アンテナモジュール100Pは、図13で示した変形例2のアンテナモジュール100Bをさらに変形した構成を有している。具体的には、アンテナモジュール100Pのアンテナ装置120Pにおいては、誘電体基板105の平坦部130の端部に切欠部180が形成されており、平坦部131の当該切欠部180に対応する突出部133Pの寸法(Z軸方向の長さ)が、変形例2の場合よりも長くなっている。
【0124】
すなわち、アンテナモジュール100Pの場合、図7で説明した製造プロセスの図7(b)の工程において、スリット150の一部が平坦部130の領域まで張り出して形成される。これによって、平坦部131の突出部133Pの突出量を確保することができ、図33に示されるように、突出部133Pの先端が平坦部130の誘電体の上面よりも高くなるようにできる。
【0125】
なお、突出部の先端の位置は、必ずしも平坦部130よりも上方にある必要はない。すなわち、図34のアンテナモジュール100P1のように、突出部133P1の先端が平坦部130の上面よりも低い位置としてもよいし、あるいは、図35のアンテナモジュール100P2のように、突出部133P2の先端を平坦部130の上面と揃えてもよい。
【0126】
[実施の形態11]
実施の形態11においては、平坦部130と屈曲部135との接続部分の形状を円弧状とすることによって、屈曲性の低下を抑制する構成について説明する。
【0127】
図36は、実施の形態11に従うアンテナモジュール100Qの斜視図である。アンテナモジュール100Qにおいては、略L字形状のアンテナモジュールの平坦部130における平坦部130と屈曲部135との接続部分が円弧状に切除されて凹部181が形成されている。
【0128】
図7で説明した製造プロセスにおいて、誘電体の厚みを薄くして屈曲部135を形成する際、あるいはスリット150を形成するためのレーザ加工の際に、位置ずれ等の要因によって、屈曲部135側に加工残りが生じて誘電体が所望の厚みよりも厚くなる場合がある。このような加工残りが生じると、当該部分の屈曲性が低下し、それにより生じる応力集中のために給電配線の断線につながるおそれがある。
【0129】
アンテナモジュール100Qにおいては、平坦部130と屈曲部135との接続部分に円弧状の凹部181を形成することによって、屈曲部135側の加工残りを抑制することができる。これにより、屈曲部135の屈曲性の低下を抑制できるので、平坦部130と屈曲部135との境界部分における給電配線の断線を抑制することが可能となる。
【0130】
[実施の形態12]
実施の形態12においては、誘電体基板105の各平坦部の端面がテーパ形状を有する構成について説明する。
【0131】
図7におけるアンテナモジュールの製造方法で説明したように、誘電体基板105の平坦部130および平坦部131を形成する際に、レーザ加工が用いられる場合がある。レーザ加工を用いて基板の上面から下面に向けて開口部を形成する場合、上面側では確実に開口部を形成するために、所望の開口位置の周囲部分についてもレーザにより誘電体が除去されるが、下面側については、開口部が下面まで貫通した時点で加工が終了されるため、結果として上面側の開口部の大きさが下面側の開口部の大きさに比べて大きくなる傾向にある。すなわち、誘電体が除去された端面は誘電体基板の主面に対して直角とはならず、少なからずテーパ状になり得る。より具体的には、誘電体基板のレーザの照射源に近い側の面の除去幅は、照射源から遠い側の面の除去幅よりも広くなる傾向にある。したがって、誘電体基板の表面側からレーザを照射した場合と、誘電体基板の裏面側からレーザを照射した場合とでは、端面のテーパ形状が異なる。
【0132】
図37は、実施の形態12に従う第1例のアンテナモジュール100Rの断面図である。アンテナモジュール100Rは、誘電体基板105の形成の際に、表面(すなわち、給電素子121が配置された面)側からレーザが照射された場合の例である。そのため、アンテナモジュール100Rにおいては、給電素子121が配置された面の寸法が、接地電極GNDが配置された面の寸法よりも狭くなっている。
【0133】
誘電体基板105の平坦部の端面を図37のようなテーパ状とした場合、給電素子121から接地電極GNDへの電気力線の一部が、誘電体基板105外の空気中を経由することになるため、給電素子121と接地電極GNDとの間の実効誘電率が低下する。これにより、アンテナ特性を向上させることができる。
【0134】
一方、図38に示す第2例のアンテナモジュール100Sは、誘電体基板105の形成の際に、裏面(すなわち、接地電極GNDが配置された面)側からレーザが照射された場合の例である。そのため、アンテナモジュール100Sにおいては、給電素子121が配置された面の寸法が、接地電極GNDが配置された面の寸法よりも広くなっている。
【0135】
図38の第2例の場合には、屈曲部135を屈曲させる場合に、突出部133Sと平坦部130とが接触することを抑制することができる。
【0136】
[実施の形態13]
上述の各実施の形態においては、誘電体基板において一方の平坦部130から屈曲部を介して接続される平坦部131が、平坦部130から実装基板20側に屈曲する構成について説明した。実施の形態13においては、屈曲部が平坦部130から実装基板20とは逆側に屈曲する構成について説明する。
【0137】
図39は、実施の形態13に従うアンテナモジュール100Tの断面図である。アンテナモジュール100Tは、屈曲部135Tが、平坦部130からZ軸の正方向へ屈曲した構成となっており、当該屈曲部135Tに平坦部131が接続されている。すなわち、平坦部131は、平坦部130よりもZ軸の正方向に張り出した形状となっている。そして、屈曲部135Tと平坦部131との接続部分から、Z軸の負方向に向かって突出部133が形成されている。このような構成は、平坦部130よりも上方(Z軸の正方向)側のスペースに余裕がある場合において、筐体の角部分の領域に給電素子121を配置することが可能となる。
【0138】
なお、図40のアンテナモジュール100Uに示されるように、屈曲部135Uが平坦部130における給電素子が配置される面側に形成される場合において、屈曲部135Uが実装基板20とは逆側に屈曲する構成であってもよい。
【0139】
[実施の形態14]
上述の実施の形態においては、屈曲部の屈曲角度が90°である場合について説明したが、屈曲角度は90°よりも大きい場合であってもよい。
【0140】
たとえば、図41のアンテナモジュール100Vのように、屈曲部135Vが平坦部130からZ軸の正方向に約180°屈曲している場合であってもよい。あるいは、図42のアンテナモジュール100Wのように、屈曲部135Wが平坦部130からZ軸の負方向に約180°屈曲している場合であってもよい。
【0141】
このような構成においても、筐体内の限られたスペースを有効に利用することができる。
【0142】
なお、図41および図42においては、屈曲部が約180°屈曲している場合を例として説明したが、屈曲部の屈曲角度は、90°以上180°以下の間で適宜選択し得る。
【0143】
[実施の形態15]
上述の実施の形態の各アンテナモジュールにおいては、実装基板の表面に対して垂直な方向(すなわち、Z軸方向)に加えて、X軸方向および/またはY軸方向に電波を放射する構成に説明した。実施の形態15においては、X軸方向とY軸方向の2方向に電波を放射する構成について説明する。
【0144】
図43は、実施の形態15に従うアンテナモジュール100Xのアンテナ装置120Xの斜視図である。アンテナ装置120Xにおいては、誘電体基板105Xは、X軸方向を法線方向とする平坦部131X1と、Y軸方向を法線方向とする平坦部131X2と、屈曲部135Xとを含む。平坦部131X2は、屈曲部135Xによって平坦部131X1に接続されている。平坦部131X2と屈曲部135Xとの接続部分からX軸の正方向に向かって突出部133Xが形成されている。このようなアンテナ装置120Xは、たとえば、実装基板の側面の角部に配置される。
【0145】
平坦部131X1,131X2の各々には、複数の給電素子121が配置されている。したがって、アンテナモジュール100Xからは、X軸の正方向およびY軸の正方向の2方向に電波が放射される。そして、平坦部131X2において、平坦部131X1に最も近い位置に配置される給電素子121の少なくとも一部は、突出部133Xに重なるように配置される。このような構成とすることによって、筐体の隣接する側面によって形成される角部のスペースを利用することができる。
【0146】
なお、上述の実施の形態においては、放射素子が平坦部に配置される構成について説明したが、それに加えて、屈曲部の表面および/または裏面に他の放射素子を形成してもよい。この場合、放射素子として平板状のパッチアンテナだけでなく、モノポールアンテナおよびダイポールアンテナなどの線状アンテナを形成してもよい。また、上述の各実施の形態における特徴は、矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0147】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0148】
10 通信装置、20 実装基板、21 表面、22 側面、30 筐体、100,100A〜100N,100P〜100X アンテナモジュール、105,105X 誘電体基板、110,110A,110B RFIC、111A〜111D,113A〜113D,117 スイッチ、112AR〜112DR ローノイズアンプ、112AT〜112DT パワーアンプ、114A〜114D 減衰器、115A〜115D 移相器、116 信号合成/分波器、118 ミキサ、119 増幅回路、120,120A〜120N,120P〜120X アンテナ装置、121 給電素子、122 無給電素子、130,130N,131,131A,131J,131N,131X 平坦部、133,133A〜133G,133J,133P〜133S,133X,210A 突出部、134,134A 境界部、135,135A〜135C,135J,135N,135T〜135X 屈曲部、136,137,180 切欠部、140,145,146 はんだバンプ、150,150A,150B スリット、152,181,195 凹部、155 角部、170,170A,170B,171,171A,171B 給電配線、190 電極、200 BBIC、210 ベース基板、220,230 アンテナ基板、211,221,231 誘電体、ED1,ED2 終了点、GND 接地電極、SP,SP1,SP2 給電点、ST,ST1,ST2 開始点。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】