(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021069160
(43)【公開日】20210430
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20210402BHJP
【FI】
   !H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】2019191476
(22)【出願日】20191018
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
【住所又は居所】京都府京都市右京区西院溝崎町21番地
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 明大
【住所又は居所】京都市右京区西院溝崎町21番地 ローム株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄平
【住所又は居所】京都市右京区西院溝崎町21番地 ローム株式会社内
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AA14
5H730AS05
5H730AS13
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730DD12
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FG01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スイッチング電源装置の外部に影響を及ぼし易いノイズの発生を抑制する。
【解決手段】スイッチング電源装置1は、順に直列接続される第1〜第4スイッチSW1〜SW4と、インダクタL1と、第1端が第1スイッチと第2スイッチとの接続ノードに接続され、第2端が第3スイッチと第4スイッチとインダクタの接続ノードに接続される第1コンデンサCFLYと、第1端が第2スイッチと第3スイッチとの接続ノードに接続される第2コンデンサCMIDと、第1〜第4スイッチのオン/オフを制御する制御部CNT1と、を備える。制御部は、第1スイッチ及び第3スイッチによって構成される第1ペアと第2スイッチ及び第4スイッチによって構成される第2ペアとの少なくとも一方のペアにおいて、2つのスイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらす。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を出力電圧に降圧するスイッチング電源装置であって、
第1端が前記入力電圧の印加端に接続可能に構成される第1スイッチと、
第1コンデンサと、
第1端が前記第1スイッチの第2端及び前記第1コンデンサの第1端に接続可能に構成される第2スイッチと、
第2コンデンサと、
第1端が前記第2スイッチの第2端及び前記第2コンデンサの第1端に接続可能に構成される第3スイッチと、
インダクタと、
第1端が前記第3スイッチの第2端、前記第1コンデンサの第2端、及び前記インダクタの第1端に接続可能に構成される第4スイッチと、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、及び前記第4スイッチのオン/オフを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1スイッチ及び前記第3スイッチによって構成される第1ペアと前記第2スイッチ及び前記第4スイッチによって構成される第2ペアとの少なくとも一方のペアにおいて、2つのスイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらし、前記第1ペアにおいて前記第1スイッチ及び前記第3スイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらす場合には、前記第3スイッチをオフからオンに切り替えた後、前記第3スイッチをオンに保持した状態で前記第1スイッチをオフからオンに切り替え、前記第2ペアにおいて前記第2スイッチ及び前記第4スイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらす場合には、前記第4スイッチをオフからオンに切り替えた後、前記第4スイッチをオンに保持した状態で前記第2スイッチをオフからオンに切り替える、スイッチング電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1ペアにおいて前記第1スイッチ及び前記第3スイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらし、前記第1スイッチを制御するための第1スイッチ用制御信号及び前記第3スイッチを制御するための第3スイッチ用制御信号を生成し、
前記第1スイッチをオフからオンに切り替えるタイミングにおける前記第1スイッチ用制御信号のスルーレートは、前記第3スイッチをオフからオンに切り替えるタイミングにおける前記第3スイッチ用制御信号のスルーレートより小さい、請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2ペアにおいて前記第2スイッチ及び前記第4スイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらし、前記第2スイッチを制御するための第2スイッチ用制御信号及び前記第4スイッチを制御するための第4スイッチ用制御信号を生成し、
前記第2スイッチをオフからオンに切り替えるタイミングにおける前記第2スイッチ用制御信号のスルーレートは、前記第4スイッチをオフからオンに切り替えるタイミングにおける前記第4スイッチ用制御信号のスルーレートより小さい、請求項1又は請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
第1端が入力電圧の印加端に接続可能に構成される第1スイッチのオン/オフと、第1端が前記第1スイッチの第2端及び第1コンデンサの第1端に接続可能に構成される第2スイッチのオン/オフと、第1端が前記第2スイッチの第2端及び第2コンデンサの第1端に接続可能に構成される第3スイッチのオン/オフと、第1端が前記第3スイッチの第2端、前記第1コンデンサの第2端、及びインダクタの第1端に接続可能に構成される第4スイッチのオン/オフと、を制御するスイッチ制御装置であって、
前記第1スイッチ及び前記第3スイッチによって構成される第1ペアと前記第2スイッチ及び前記第4スイッチによって構成される第2ペアとの少なくとも一方のペアにおいて、2つのスイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらし、前記第1ペアにおいて前記第1スイッチ及び前記第3スイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらす場合には、前記第3スイッチをオフからオンに切り替えた後、前記第3スイッチをオンに保持した状態で前記第1スイッチをオフからオンに切り替え、前記第2ペアにおいて前記第2スイッチ及び前記第4スイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらす場合には、前記第4スイッチをオフからオンに切り替えた後、前記第4スイッチをオンに保持した状態で前記第2スイッチをオフからオンに切り替える、スイッチ制御装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置又は請求項4に記載のスイッチ制御装置を備える、車載機器。
【請求項6】
請求項5に記載の車載機器と、
前記車載機器に電力を供給するバッテリと、
を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電圧を出力電圧に降圧するスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スイッチドキャパシタと、インダクタを有するDC/DCコンバータとを組み合わせた構成のスイッチング電源装置の開発が精力的に進められている(例えば特許文献1参照)。当該構成のスイッチング電源装置は、スイッチにかかる電圧を低く抑えることができるので、スイッチング損失を低減し、効率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7696735号明細書(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているスイッチング電源装置では、第1ペアを構成する2つのスイッチが第1タイミングで同時にオフからオンに切り替わり且つ第2ペアを構成する他の2つのスイッチが第2タイミングで同時にオフからオンに切り替わることが要因となって、スイッチング電源装置の外部に影響を及ぼし易いノイズが発生する。
【0005】
本発明は、上記の状況に鑑み、スイッチング電源装置の外部に影響を及ぼし易いノイズの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中に開示されているスイッチング電源装置は、入力電圧を出力電圧に降圧するスイッチング電源装置であって、第1端が前記入力電圧の印加端に接続可能に構成される第1スイッチと、第1コンデンサと、第1端が前記第1スイッチの第2端及び前記第1コンデンサの第1端に接続可能に構成される第2スイッチと、第2コンデンサと、第1端が前記第2スイッチの第2端及び前記第2コンデンサの第1端に接続可能に構成される第3スイッチと、インダクタと、第1端が前記第3スイッチの第2端、前記第1コンデンサの第2端、及び前記インダクタの第1端に接続可能に構成される第4スイッチと、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、及び前記第4スイッチのオン/オフを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1スイッチ及び前記第3スイッチによって構成される第1ペアと前記第2スイッチ及び前記第4スイッチによって構成される第2ペアとの少なくとも一方のペアにおいて、2つのスイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらし、前記第1ペアにおいて前記第1スイッチ及び前記第3スイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらす場合には、前記第3スイッチをオフからオンに切り替えた後、前記第3スイッチをオンに保持した状態で前記第1スイッチをオフからオンに切り替え、前記第2ペアにおいて前記第2スイッチ及び前記第4スイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらす場合には、前記第4スイッチをオフからオンに切り替えた後、前記第4スイッチをオンに保持した状態で前記第2スイッチをオフからオンに切り替える構成(第1の構成)である。
【0007】
上記第1の構成のスイッチング電源装置において、前記制御部は、前記第1ペアにおいて前記第1スイッチ及び前記第3スイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらし、前記第1スイッチを制御するための第1スイッチ用制御信号及び前記第3スイッチを制御するための第3スイッチ用制御信号を生成し、前記第1スイッチをオフからオンに切り替えるタイミングにおける前記第1スイッチ用制御信号のスルーレートは、前記第3スイッチをオフからオンに切り替えるタイミングにおける前記第3スイッチ用制御信号のスルーレートより小さい構成(第2の構成)としてもよい。
【0008】
上記第1又は第2の構成のスイッチング電源装置において、前記制御部は、前記第2ペアにおいて前記第2スイッチ及び前記第4スイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらし、前記第2スイッチを制御するための第2スイッチ用制御信号及び前記第4スイッチを制御するための第4スイッチ用制御信号を生成し、前記第2スイッチをオフからオンに切り替えるタイミングにおける前記第2スイッチ用制御信号のスルーレートは、前記第4スイッチをオフからオンに切り替えるタイミングにおける前記第4スイッチ用制御信号のスルーレートより小さい構成(第3の構成)としてもよい。
【0009】
本明細書中に開示されているスイッチ制御装置は、第1端が入力電圧の印加端に接続可能に構成される第1スイッチのオン/オフと、第1端が前記第1スイッチの第2端及び第1コンデンサの第1端に接続可能に構成される第2スイッチのオン/オフと、第1端が前記第2スイッチの第2端及び第2コンデンサの第1端に接続可能に構成される第3スイッチのオン/オフと、第1端が前記第3スイッチの第2端、前記第1コンデンサの第2端、及びインダクタの第1端に接続可能に構成される第4スイッチのオン/オフと、を制御するスイッチ制御装置であって、前記第1スイッチ及び前記第3スイッチによって構成される第1ペアと前記第2スイッチ及び前記第4スイッチによって構成される第2ペアとの少なくとも一方のペアにおいて、2つのスイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらし、前記第1ペアにおいて前記第1スイッチ及び前記第3スイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらす場合には、前記第3スイッチをオフからオンに切り替えた後、前記第3スイッチをオンに保持した状態で前記第1スイッチをオフからオンに切り替え、前記第2ペアにおいて前記第2スイッチ及び前記第4スイッチ間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらす場合には、前記第4スイッチをオフからオンに切り替えた後、前記第4スイッチをオンに保持した状態で前記第2スイッチをオフからオンに切り替える構成(第4の構成)である。
【0010】
本明細書中に開示されている車載機器は、上記第1〜第3いずれかの構成のスイッチング電源装置又は上記第4の構成のスイッチ制御装置を備える構成(第5の構成)である。
【0011】
本明細書中に開示されている車両は、上記第5の構成の車載機器と、前記車載機器に電力を供給するバッテリと、を備える構成(第6の構成)である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スイッチング電源装置の外部に影響を及ぼし易いノイズの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】スイッチング電源装置の構成例を示す図
【図1B】第3タイミングの直前におけるスイッチング電源装置の状態を示す図
【図1C】第6タイミングの直前におけるスイッチング電源装置の状態を示す図
【図2】実施例に係るスイッチング電源装置の動作を示すタイムチャート
【図3】参考例に係るスイッチング電源装置の動作を示すタイムチャート
【図4】制御部の概略構成例を示す図
【図5】インダクタ及び第1〜第4スイッチを流れる各電流を示すタイムチャート
【図6】車両の一構成例を示す外観図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<1.スイッチング電源装置の構成例>
図1Aは、スイッチング電源装置の構成例を示す図である。図1Aに示すスイッチング電源装置1は、入力電圧VINを出力電圧VOUTに降圧するスイッチング電源装置であって、制御部CNT1と、第1〜第4スイッチSW1〜SW4と、第1コンデンサCFLYと、第2コンデンサCMIDと、インダクタL1と、出力コンデンサCOUTと、出力帰還部FB1と、を備える。
【0015】
制御部CNT1は、出力帰還部FB1の出力に基づき、第1〜第4スイッチSW1〜SW4のオン/オフを制御する。言い換えると、制御部CNT1は、第1〜第4スイッチSW1〜SW4のオン/オフを制御するスイッチ制御装置である。
【0016】
第1スイッチSW1の第1端は、入力電圧VINの印加端に接続される。第1スイッチSW1の第2端は、第2スイッチSW2の第1端及び第1コンデンサCFLYの第1端に接続される。第1スイッチSW1としては、例えばPチャネル型MOSトランジスタ、Nチャネル型MOSトランジスタ等を用いることができる。例えば第1スイッチSW1にNチャネル型MOSトランジスタを用いる場合、入力電圧VINより大きい電圧を生成するためにブートストラップ回路等をスイッチング電源装置1に設けるようにすればよい。
【0017】
第2スイッチSW2の第2端は、第3スイッチSW3の第1端及び第2コンデンサCMIDの第1端に接続される。第2スイッチSW2としては、例えばPチャネル型MOSトランジスタ、Nチャネル型MOSトランジスタ等を用いることができる。例えば第2スイッチSW2にNチャネル型MOSトランジスタを用いる場合、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との接続ノードの電圧VSWHより大きい電圧を生成するためにブートストラップ回路等をスイッチング電源装置1に設けるようにすればよい。
【0018】
第3スイッチSW3の第2端は、第4スイッチSW4の第1端、第1コンデンサCFLYの第2端、及びインダクタL1の第1端に接続される。第3スイッチSW3としては、例えばPチャネル型MOSトランジスタ、Nチャネル型MOSトランジスタ等を用いることができる。例えば第3スイッチSW3にNチャネル型MOSトランジスタを用いる場合、第2スイッチSW2と第3スイッチSW3との接続ノードの電圧より大きい電圧を生成するためにブートストラップ回路等をスイッチング電源装置1に設けるようにすればよい。
【0019】
第4スイッチSW4の第2端は、グランド電位に接続される。第4スイッチSW4としては、例えばPチャネル型MOSトランジスタ、Nチャネル型MOSトランジスタ等を用いることができる。なお、本実施例とは異なり、第4スイッチSW4の第2端は、入力電圧VINよりも低く且つグランド電位以外の電圧の印加端に接続されてもよい。
【0020】
第2コンデンサCMIDの第2端は、グランド電位に接続される。なお、本実施例とは異なり、第2コンデンサCMIDの第2端は、入力電圧VINよりも低く且つグランド電位以外の電圧の印加端に接続されてもよい。例えば、第2コンデンサCMIDの第2端は、インダクタL1と出力コンデンサCOUTとの接続ノードに接続されてもよい。
【0021】
インダクタL1の第2端は、出力コンデンサCOUTの第1端及び出力電圧VOUTの印加端に接続される。出力電圧VOUTの印加端には、負荷LD1が接続される。
【0022】
出力コンデンサCOUTの第2端は、グランド電位に接続される。なお、出力コンデンサCOUTを設けない構成にしても出力電圧VOUTのリップルが要求仕様を満たすのであれば、出力コンデンサCOUTを設けない構成にしてもよい。
【0023】
出力帰還部FB1は、出力電圧VOUTに応じた帰還信号を生成して出力する。出力帰還部FB1としては、例えば出力電圧VOUTを抵抗分圧して帰還信号を生成する抵抗分圧回路等を用いることができる。また例えば、出力帰還部FB1は、出力電圧VOUTを取得し、出力電圧VOUTそのものを帰還信号として出力する構成であってもよい。なお、出力帰還部FB1は、出力電圧VOUTに応じた帰還信号に加えて、インダクタL1を流れる電流(以下、「インダクタ電流IL」という)に応じた帰還信号も生成して出力する構成であってもよい。出力帰還部FB1がインダクタ電流ILに応じた帰還信号も生成することで、電流モード制御が可能になる。
【0024】
<2.スイッチング電源装置の動作>
図2は、スイッチング電源装置1の動作すなわち実施例に係るスイッチング電源装置の動作を示すタイムチャートである。図3は、制御部CNT1が特許文献1と同様の制御を行った場合のスイッチング電源装置1の動作すなわち参考例に係るスイッチング電源装置の動作を示すタイムチャートである。
【0025】
図2及び図3中のSkは、第kスイッチSWkを制御するための第kスイッチ用制御信号である。なお、kは1以上4以下の整数である。図2及び図3は、第1〜第4スイッチSW1〜SW4それぞれがNMOSトランジスタである場合の第kスイッチ用制御信号Skの波形を示している。
【0026】
制御部CNT1は、出力帰還部FB1の出力に基づき、第kスイッチ用制御信号Skを生成する。制御部CNT1は、第kスイッチ用制御信号Skの電流能力を高めた第kスイッチ用駆動信号Gkも生成する。制御部CNT1は、例えば図4に示すように制御信号生成部GNR1及びドライバDRVkを備える。ドライバDRVkは、第kスイッチ用制御信号Skに基づき第kスイッチ用駆動信号Gkを生成する。なお、第kスイッチ用駆動信号Gkは、第kスイッチ用制御信号SkがHIGHレベルであるときにHIGHレベルとなり、第kスイッチ用制御信号SkがLOWレベルであるときにLOWレベルとなる。第kスイッチ用駆動信号Gkは第kスイッチSWkの制御端(第kスイッチSWkがNMOSトランジスタである場合はNMOSトランジスタのゲート)に供給される。
【0027】
<2−1.第1,3スイッチの制御>
<2−1−1.実施例>
図2に示すように実施例では、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4をオンからオフに切り替える第1タイミングt1の後、制御部CNT1は、まず第2タイミングt2で第3スイッチSW3をオフからオンに切り替える。第1タイミングt1から第2タイミングt2までの間は、いわゆるデッドタイム期間である。
【0028】
第3スイッチSW3がオンになると、第2コンデンサCMIDから第3スイッチSW3に向かって電流が流れる。これにより、第3スイッチSW3と第4スイッチSW4との接続ノードにつながっている寄生容量PC1(主に第4スイッチの両端間に形成される寄生容量)が充電され、第3スイッチSW3と第4スイッチSW4との接続ノードの電圧VSWが上昇する。第1コンデンサCFLYの充電量が変化しないので、電圧VSWの上昇に伴って電圧VSWHも上昇する。電圧VSWHは、入力電圧VINと略同一になるまで上昇する。
【0029】
第2タイミングt2から極僅かな期間、第3スイッチSW3にはスパイク電流が流れる。しかしながら、回路動作上、第1スイッチSW1の耐圧は入力電圧VIN以上が必要であるのに対して、第3スイッチSW3の耐圧は入力電圧VINの半分以上であればよい。したがって、実施例では、第3スイッチSW3のオン抵抗を小さくすることは容易であり、容易に第3スイッチSW3のスイッチング損失を低減することができる。
【0030】
また、上記のスパイク電流は、第2コンデンサCMIDから第3スイッチSW3に流れて寄生容量PC1の充電電流となる。後述する第3タイミングt3が到来するまで第1スイッチSW1がオフであるため、上記のスパイク電流は、入力電圧VINが印加される電源ラインには影響を及ぼさない。したがって、実施例では、入力電圧VINが印加される電源ラインにノイズが伝搬することを抑制することができる。すなわち、実施例では、スイッチング電源装置の外部に影響を及ぼし易いノイズの発生を抑制することができる。
【0031】
電圧VSWHが入力電圧VINと略同一になるまで上昇した後、制御部CNT1は、第3タイミングt3で第1スイッチSW1をオフからオンに切り替える。第3タイミングt3の直前では、図1Bに示すように第3スイッチSW3がオンであり、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第4スイッチSW4がオフである。また、第3タイミングt3の直前では、図1Bに示すように第1コンデンサCFLYの両端電位差VCFLY及び第2コンデンサCMIDの両端電位差VMIDがそれぞれ入力電圧VINの半分(VIN/2)であるため、第2スイッチSW2と第3スイッチSW3との接続ノードの電圧VMID及び第3スイッチSW3と第4スイッチSW4との接続ノードの電圧VSWがそれぞれ入力電圧VINの半分(VIN/2)と略同一になる。また、第3タイミングt3の直前では、図1Bに示すように第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との接続ノードの電圧VSWHが入力電圧VINと略同一になる。したがって、第3タイミングt3での第1スイッチSW1の両端電位差は略零になる。その結果、第3タイミングt3での第1スイッチSW1のスイッチング損失は略零になる。
【0032】
そして、制御部CNT1は、第4タイミングt4で第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3をオンからオフに切り替える。
【0033】
インダクタ電流ILは、第2タイミングt2から第3タイミングt3までの期間、第3スイッチSW3にのみ流れ、第3タイミングt3から第4タイミングt4までの期間、第1スイッチSW1と第3スイッチSW3に分散して流れる。第2タイミングt2から第4タイミングt4までの期間、インダクタ電流ILは増加する。
【0034】
本実施例では、第3タイミングt3における第1スイッチ用制御信号S1のスルーレートを、第2タイミングt2における第3スイッチ用制御信号S3のスルーレートより小さくしている。これにより、第3タイミングt3において第1スイッチSW1を流れる電流が急増することを回避することができ、第1スイッチSW1のスイッチングノイズを抑えることができる。このように、第1スイッチSW1をゆっくりとオフからオンに切り替えても、上述した通り第3タイミングt3での第1スイッチSW1のスイッチング損失は略零であるため、効率を悪化させることはない。
【0035】
<2−1−2.参考例>
図3に示すように参考例では、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4をオンからオフに切り替える第1タイミングt1の後、制御部CNT1は、第2タイミングt2で第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3をオフからオンに切り替える。
【0036】
第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3がオンになると、第1スイッチSW1から第1コンデンサCFLYに向かって電流が流れ、第2コンデンサCMIDから第3スイッチSW3に向かって電流が流れる。これにより、寄生容量PC1が充電され、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との接続ノードの電圧VSWが上昇する。
【0037】
第2タイミングt2から極僅かな期間、第1スイッチSW1と第3スイッチSW3の両方にスパイク電流が流れる。
【0038】
また、第1スイッチSW1の第1端は入力電圧VINの印加端に接続されているので、第1スイッチSW1を流れるスパイク電流は、入力電圧VINが印加される電源ラインに影響を及ぼす。したがって、参考例では、入力電圧VINが印加される電源ラインにノイズが伝搬することを抑制することができない。すなわち、参考例では、スイッチング電源装置の外部に影響を及ぼし易いノイズの発生を抑制することができない。
【0039】
また、参考例では、第1スイッチSW1の両端電位差は略零でない状態で、第1スイッチSW1がオフからオンに切り替わるため、効率も悪化する。
【0040】
そして、制御部CNT1は、第4タイミングt4で第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3をオンからオフに切り替える。
【0041】
インダクタ電流ILは、第3タイミングt3から第4タイミングt4までの期間、第1スイッチSW1と第3スイッチSW3に分散して流れる。第2タイミングt2から第4タイミングt4までの期間、インダクタ電流ILは増加する。
【0042】
<2−2.第2,4スイッチの制御>
<2−2−1.実施例>
図2に示すように実施例では、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3をオンからオフに切り替える第4タイミングt4の後、制御部CNT1は、まず第5タイミングt5で第4スイッチSW4をオフからオンに切り替える。第4タイミング4から第5タイミングt5までの間は、いわゆるデッドタイム期間である。
【0043】
第4スイッチSW4がオンになると、グランド電位から第4スイッチSW4を介してインダクタL1に向かって電流が流れる。第6タイミングが到来するまでは、第2スイッチSW2がオフであるため、第1コンデンサCFLYから第2コンデンサCMIDに向かって電流は流れない。したがって、第5タイミングt5から第6タイミングt6までの期間、第4スイッチSW4を流れる電流は、インダクタ電流ILと等しい。
【0044】
制御部CNT1は、第6タイミングt6で第2スイッチSW2をオフからオンに切り替える。これにより、第1コンデンサCFLYの第1端と第2コンデンサCMIDの第1端とが短絡する。第6タイミングt6の直前では、図1Cに示すように第4スイッチSW4がオンであり、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3がオフである。また、第3タイミングt3から第4タイミングt4までの期間、第1コンデンサCFLYは充電されるので第1コンデンサCFLYの両端電位差VCFLYは増加し、第2コンデンサCMIDは放電しているので第2コンデンサCMIDの両端電位差VCMIDは減少する。その結果、第6タイミングt6の直前では、図1Cに示すように第1コンデンサCFLYの両端電位差VCFLYは入力電圧VINの半分(VIN/2)より大きくなり、第2コンデンサCMIDの両端電位差VMIDは入力電圧VINの半分(VIN/2)より小さくなる。つまり、第6タイミングt6の直前では、図1Cに示すように第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との接続ノードの電圧VSWHは入力電圧VINの半分(VIN/2)より大きくなり、第2スイッチSW2と第3スイッチSW3との接続ノードの電圧VMIDは入力電圧VINの半分(VIN/2)より小さくなる。したがって、第6タイミングt6で第2スイッチSW2がオフからオンに切り替わって第1コンデンサCFLYの第1端と第2コンデンサCMIDの第1端とが短絡すると、第1コンデンサCFLYの第1端から第2コンデンサCMIDに向かって電流が流れる。
【0045】
したがって、第6タイミングt6から次周期の第1タイミングt1が到来するまでの期間、第4スイッチSW4を流れる電流は、インダクタ電流ILと第1コンデンサCFLYの第1端から第2コンデンサCMIDに向かって流れる電流との和になる。
【0046】
第5タイミングt5から次周期の第1タイミングt1が到来するまでの期間、インダクタ電流ILは減少する。したがって、第6タイミングt6では、第5タイミングt5のときよりもインダクタ電流ILが減少している。これにより、第4スイッチSW4がオフからオンに切り替わるときに第4スイッチSW4に流れるスパイク電流を抑えることができ、第4スイッチSW4のスイッチングノイズを低減することができる。
【0047】
第4スイッチSW4を流れるスパイク電流は、入力電圧VINが印加される電源ラインには影響を及ぼさない。しかしながら、第1〜第4スイッチSW1〜SW4を流れる各スパイク電流の中で第4スイッチSW4を流れるスパイク電流が最も大きい(図5参照)。したがって、第4スイッチSW4のスイッチングノイズは、たとえ入力電圧VINが印加される電源ラインに伝搬しなくても、放射ノイズとなってスイッチング電源装置の外部に影響を及ぼすおそれがある。つまり、実施例では、第4スイッチSW4のスイッチングノイズを低減することによって、スイッチング電源装置の外部に影響を及ぼし易いノイズの発生を抑制することができる。なお、図5では、本実施例におけるインダクタ電流IL及び第1〜第4スイッチSW1〜SW4を流れる電流ISW1〜ISW4を示している。図5中のAは、インダクタ電流ILの最大値を意味している。
【0048】
本実施例では、第6タイミングt6における第2スイッチ用制御信号S2のスルーレートを、第5タイミングt5における第4スイッチ用制御信号S4のスルーレートより小さくしている。これにより、第6タイミングt6において第2スイッチSW2を流れる電流が急増することを回避することができ、第2スイッチSW2のスイッチングノイズを抑えることができる。
【0049】
<2−2−2.参考例>
図3に示すように参考例では、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3をオンからオフに切り替える第4タイミングt4の後、制御部CNT1は、第5タイミングt5で第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4をオフからオンに切り替える。
【0050】
第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4がオンになると、第4スイッチSW4を流れる電流は、インダクタ電流ILと第1コンデンサCFLYの第1端から第2コンデンサCMIDに向かって流れる電流との和になる。これにより、第4スイッチSW4がオフからオンに切り替わるときに第4スイッチSW4に流れる電流が大きくなり、第4スイッチSW4のスイッチングノイズが大きくなる。
【0051】
<3.用途>
次に、先に説明したスイッチング電源装置1の用途例について説明する。図6は、車載機器を搭載した車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、車載機器X11〜X17と、これらの車載機器X11〜X17に電力を供給するバッテリ(不図示)と、を搭載している。
【0052】
車載機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
【0053】
車載機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
【0054】
車載機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
【0055】
車載機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power Steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
【0056】
車載機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
【0057】
車載機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、電動サンルーフ、電動シート、及び、エアコンなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
【0058】
車載機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[Electronic Toll Collection System]など、ユーザの任意で車両Xに装着される電子機器である。
【0059】
なお、先に説明したスイッチング電源装置1は、車載機器X11〜X17のいずれにも組み込むことが可能である。
【0060】
<4.留意点>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0061】
例えば、上記実施形態では、制御回路CNT1は、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3によって構成される第1ペアにおいて2つのスイッチ(第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3)間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらし、且つ、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4によって構成される第2ペアにおいて2つのスイッチ(第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4)間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらしている。しかしながら、本発明は、このような制御に限定されない。
【0062】
制御回路CNT1は、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3によって構成される第1ペアにおいて2つのスイッチ(第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3)間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらし、且つ、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4によって構成される第2ペアにおいて2つのスイッチ(第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4)間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらさなくてもよい。逆に、制御回路CNT1は、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3によって構成される第1ペアにおいて2つのスイッチ(第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3)間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらさず、且つ、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4によって構成される第2ペアにおいて2つのスイッチ(第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4)間でオフからオンに切り替えるタイミングをずらしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態とは異なり、第3タイミングt3における第1スイッチ用制御信号S1のスルーレートが、第2タイミングt2における第3スイッチ用制御信号S3のスルーレートより小さくなくてもよい。
【0064】
また、上記実施形態とは異なり、第6タイミングt6における第2スイッチ用制御信号S2のスルーレートが、第5タイミングt5における第4スイッチ用制御信号S4のスルーレートより小さくなくてもよい。
【0065】
また、第3タイミングt3をどのように設定するかは特に限定されない。例えば、第2タイミングt2から第3タイミングt3までの期間の長さである設定値を制御部CNT1の内部メモリや内部レジスタに予め記憶させ、制御部CNT1は、当該設定値に基づき第1スイッチSW1をオフからオンに切り替えてもよい。また例えば、制御部CNT1は、第3スイッチ用駆動信号G3から電圧VSWを引いて得られる電圧を検出し、第3スイッチ用駆動信号G3から電圧VSWを引いて得られる電圧が所定値(第3スイッチSW3として用いるNMOSトランジスタの閾電圧以上入力電圧VINの半分以下の値)を超えると、第1スイッチSW1をオフからオンに切り替えてもよい。
【0066】
また、第6タイミングt6をどのように設定するかは特に限定されない。例えば、第5タイミングt5から第6タイミングt6までの期間の長さである設定値を制御部CNT1の内部メモリや内部レジスタに予め記憶させ、制御部CNT1は、当該設定値に基づき第2スイッチSW2をオフからオンに切り替えてもよい。また例えば、制御部CNT1は、第4スイッチ用駆動信号G4からグランド電圧を引いて得られる電圧を検出し、第4スイッチ用駆動信号G4からグランド電圧を引いて得られる電圧が所定値(第4スイッチSW4として用いるNMOSトランジスタの閾電圧以上入力電圧VINの半分以下の値)を超えると、第1スイッチSW1をオフからオンに切り替えてもよい。
【0067】
また、上記実施形態とは異なり、第4スイッチSW4はダイオードであってもよい。
第4スイッチSW4がダイオードである場合、制御部CNT1は、第1〜第3スイッチSW1〜SWのオン/オフを制御することで第4スイッチSW4(ダイオード)にかかるバイアス電圧を制御する。第4スイッチSW4(ダイオード)のオン/オフは第4スイッチSW4(ダイオード)にかかるバイアス電圧によって決まるので、制御部CNT1は、第4スイッチSW4(ダイオード)のオン/オフを間接的に制御している。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、あらゆる分野(家電分野、自動車分野、産業機械分野など)で用いられる降圧型スイッチング電源装置に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 スイッチング電源装置
COUT 出力コンデンサ
CFLY 第1コンデンサ
CMID 第2コンデンサ
CNT1 制御部
DRV1〜DRV4 ドライバ
L1 インダクタ
LD1 負荷
GNR1 制御信号生成部
PC1 寄生容量
SW1〜SW4 第1〜第4スイッチ
X 車両
X11〜X17 車載機器
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】