(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021106715
(43)【公開日】20210729
(54)【発明の名称】注射針及び注射針の使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20210702BHJP
   A61M 5/158 20060101ALI20210702BHJP
【FI】
   !A61M5/32 520
   !A61M5/158 500D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】2019239095
(22)【出願日】20191227
(71)【出願人】
【識別番号】515161102
【氏名又は名称】株式会社アルチザンラボ
【住所又は居所】東京都目黒区自由が丘1−24−3 カルテット
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】柴田 和彦
【住所又は居所】東京都目黒区自由が丘1−24−3 カルテット3階
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF05
4C066KK02
4C066LL13
(57)【要約】
【課題】患者への負担を低減することができる注射針及び注射針の使用方法を提供することを目的とする。
【解決手段】注射針1は、内部に流体が流通する流路4が形成されて長手方向軸線Xに延在する円筒形とされた軸部2と、軸部2の一端側に接続され、長手方向軸線Xに沿って先細りとなるように形成された先端部3と、軸部2の先端部3側の側部に、各々が流路4と連通する案内孔6を形成するとともに、軸部2を側面から見たときに軸部2の長手方向軸線Xに対して斜めに交差するように形成される複数の傾斜部5と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体が流通する流路が形成されて長手方向軸線に延在する円筒形とされた軸部と、
前記軸部の一端側に接続され、前記長手方向軸線に沿って先細りとなるように形成された先端部と、
前記軸部の前記先端部側の側部に、各々が前記流路と連通する案内孔を形成するとともに、前記軸部を側面から見たときに前記軸部の前記長手方向軸線に対して斜めに交差するように形成される複数の傾斜部と、
を備える注射針。
【請求項2】
前記複数の傾斜部は、前記長手方向軸線に対して同一角度で斜めに形成されている請求項1に記載の注射針。
【請求項3】
前記軸部及び前記先端部は金属よりも前記先端部の形状の設計自由度が高い素材からなる請求項1又は請求項2に記載の注射針。
【請求項4】
前記先端部の前記流路側の内周面には、前記流路を流通する前記流体が前記先端部に沿って流れるように前記流路側に突出する突出部が形成されている請求項3に記載の注射針。
【請求項5】
前記先端部には、前記案内孔が形成されることにより前記案内孔の間に前記案内孔の数に対応する数の梁部が形成されており、
前記梁部は2つ以上形成される請求項1から4のいずれか一項に記載の注射針。
【請求項6】
前記梁部は3つ以上形成される請求項5に記載の注射針。
【請求項7】
前記案内孔は前記軸部にのみ形成される請求項1から4のいずれか一項に記載の注射針。
【請求項8】
前記案内孔の前記先端部側は、前記軸部を側面から見たときに前記軸部の前記長手方向軸線に対して垂直となる垂直部とされる請求項7に記載の注射針。
【請求項9】
内部に流体が流通する流路が形成されて長手方向軸線に延在する円筒形とされた軸部と、前記軸部の一端側に接続され、前記長手方向軸線に沿って先細りとなるように形成された先端部と、前記軸部の前記先端部側の側部に、各々が前記流路と連通する案内孔を形成するとともに、前記軸部を側面から見たときに前記軸部の前記長手方向軸線に対して斜めに交差するように形成される複数の傾斜部と、を備える注射針を用いた注射針の使用方法において、
前記注射針を血管内に挿入する挿入工程と、
前記注射針から前記血管内に前記流体を注入する注入工程と、
を有する注射針の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射針及び注射針の使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、治療薬の送達、体液の収集等、医療分野において幅広い多様な用途に針が用いられている。このような多くの用途において、針が挿入された場所の損傷を防止することが望ましい。例えば血液透析においては、皮膚表面から血管まで、穿刺針の通路となるホール(以下「ボタンホール」という)を形成し、このボタンホールに沿って穿刺針を挿入することで血液透析を行うボタンホール穿刺が行われている。このようなボタンホール穿刺においては、患者への負担を低減するため、針から血管内に透析された血液を戻す際(返血時)の血管壁への刺激の低減が特に望まれる。
【0003】
患者に針を穿刺する際の穿刺痛を軽減することを目的として、先端側が先細とされたペンシル型の針が開発されてきている(特許文献1〜2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−147042号公報
【特許文献2】特表2008−529594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、患者への負担を低減することができる注射針の開発が求められていた。
【0006】
また、他の針の用途に比して圧倒的に内部を流通する流体(血液)の量が多い透析用針においては、上記の構造の針は実用化されていなかった。血液透析では毎分100−500ml程度の大量の血液が流通する。従って、先端が短軸の外側にある従来の針ではボタンホールの側壁を傷つけ、ボタンホールの入り口に存在するかさぶたを体内に運びやすい。運ばれたかさぶたの内部には細菌が混入しているため、体内への押し込みは好ましくない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、患者への負担を低減することができる注射針及び注射針の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、内部に流体が流通する流路が形成されて長手方向軸線に延在する円筒形とされた軸部と、前記軸部の一端側に接続され、前記長手方向軸線に沿って先細りとなるように形成された先端部と、前記軸部の前記先端部側の側部に、各々が前記流路と連通する案内孔を形成するとともに、前記軸部を側面から見たときに前記軸部の前記長手方向軸線に対して斜めに交差するように形成される複数の傾斜部と、を備える注射針を提供する。
【0009】
本発明の注射針においては、軸部の先端部側の側部に、各々が流路と連通する案内孔を形成するとともに、軸部を側面から見たときに軸部の長手方向軸線に対して斜めに交差する複数の傾斜部が形成されている。複数の傾斜部が形成されることにより、軸部の先端部側の側部のみ又は軸部の先端部側の側部及び先端部の側部において、流路を流通する流体を傾斜部を介して案内する複数の案内孔が形成される。
なお、傾斜部は、軸部を少なくとも1つの側面から見たときに軸部の長手方向軸線に対して斜めに交差するように形成されていればよい。また、各傾斜部は、軸部を側面から見たときに、軸部を長手方向軸線まわりに回転させても同じ向きとなるように形成されていてもよい。
【0010】
上記の案内孔が形成されることにより、軸部の流路を軸部の他端側から一端側へ向かって流通する流体を、複数の案内孔を介して注射針の先端部又は軸部の先端部側の側部から複数の方向に向かって吐出することができる。従って、1つの方向のみに流体を吐出する場合に比べて吐出される流体の圧力と速度を低減させることができる。
【0011】
また、上記の傾斜部が形成されていることにより、案内孔が流路を流通する流体を傾斜部を介して案内することができる。流体を傾斜部を介さずに案内する場合、案内孔から吐出される流体は乱流となり直線状となるように吐出されることが確認された。この場合、流体が血管壁に対して同一部位に衝突することによる血管壁への障害が懸念される。一方、流体を傾斜部を介して案内する場合、特に透析時等の早い流速で流体を流す場合においては案内孔から吐出される流体は乱流ではなく層流となるため、流体は扇形に面状に吐出されることが確認される。案内孔から面状に流体を吐出することで、直線状に流体を吐出する場合に比べて、注射針を血管内に挿入して流体を血管内に導入する際の血管壁への刺激を可能な限り低減させることができる。これにより、患者への負担を低減することができる。
【0012】
また、皮膚表面から血管まで形成されているボタンホールに注射針を挿入する場合においては、傾斜部の存在により、ボタンホール口に残存するかさぶたを血管内に押し込むことを抑制することができる。また、本発明の注射針であれば、先端部がボタンホールの側壁に触れることなくボタンホールを進むことができる。
【0013】
上記のように、本発明の注射針であれば、同一ルートを毎回通るボタンホール法においてはかさぶたを血管内に押し込む危険性を減らすとともに、ルートの側壁への障害を与えにくいという従来の針では達成できないメリットが得られる。
【0014】
上記注射針において、前記複数の傾斜部は、前記長手方向軸線に対して同一角度で斜めに形成されていることが好ましい。
【0015】
上記注射針において、前記軸部及び前記先端部は金属よりも前記先端部の形状の設計自由度が高い素材からなることが好ましい。
【0016】
軸部及び先端部は金属よりも先端部の形状の設計の自由度が高い素材からなることが好ましく、例えば軸部及び先端部が樹脂製(例えば合成樹脂製)であれば、金属製の場合よりも低コストで製造することができる。また、樹脂製とすることで先端部の形状の設計自由度を上げることができる。
【0017】
上記注射針において、前記先端部の前記流路側の内周面には、前記流路を流通する前記流体が前記先端部に沿って流れるように前記流路側に突出する突出部が形成されていることが好ましい。
【0018】
樹脂製とすることで、先端部の流路側の内周面において、流路側に突出する突出部を設けることが容易となる。また、突出部を、流路を流通する流体が先端部に沿って流れるように流路側に突出する形状とすることで、流体が先端部の流路側の内周面に衝突して乱流を引き起こしてしまうことを抑制することができる。従って、流体をスムーズに吐出することができる。また、特に透析時等の早い流速で流体を流す場合においては、流体を先端部に沿って流すことで、流体の流れを広げずにまっすぐに吐出しやすくなる。
【0019】
上記注射針において、前記先端部には、前記案内孔が形成されることにより前記案内孔の間に前記案内孔の数に対応する数の梁部が形成されており、前記梁部は2つ以上形成されることが好ましい。
【0020】
上記注射針において、前記梁部は3つ以上形成されることが好ましい。
【0021】
梁部が3つ以上形成される場合、2つ形成される場合に比べて先端部が3方向から支えられる構造となるため安定しやすく、また、各梁部の太さを細くしても十分な強度を得ることができる。また、各梁部の太さを細くすることで、流体が梁部に衝突して流体の流れが阻害されてしまうことを抑制することができる。望ましくは梁部の数は3つである。
【0022】
上記注射針において、前記案内孔は前記軸部にのみ形成されてもよい。
【0023】
案内孔が軸部にのみ形成される注射針であれば、案内孔を先端部にまで形成する必要がなくなるため、製造が容易となる。
【0024】
上記注射針において、前記案内孔の前記先端部側は、前記軸部を側面から見たときに前記軸部の前記長手方向軸線に対して垂直となる垂直部とされることが好ましい。
【0025】
案内孔の先端部側が垂直部とされていれば、案内孔の先端部側が軸部を側面から見たときに曲線となる曲線部とされている場合に比べて案内孔の開口面積を広くすることができる。
【0026】
本発明は、内部に流体が流通する流路が形成されて長手方向軸線に延在する円筒形とされた軸部と、前記軸部の一端側に接続され、前記長手方向軸線に沿って先細りとなるように形成された先端部と、前記軸部の前記先端部側の側部に、各々が前記流路と連通する案内孔を形成するとともに、前記軸部を側面から見たときに前記軸部の前記長手方向軸線に対して斜めに交差するように形成される複数の傾斜部と、を備える注射針を用いた注射針の使用方法において、前記注射針を血管内に挿入する挿入工程と、前記注射針から前記血管内に前記流体を注入する注入工程と、を有する注射針の使用方法を提供する。
【0027】
本発明の注射針の使用方法では、軸部の先端部側の側部に、各々が流路と連通する案内孔を形成するとともに、軸部を側面から見たときに軸部の長手方向軸線に対して斜めに交差する複数の傾斜部が形成された注射針を使用する。また、本発明で使用する注射針においては、上記の傾斜部が形成されているため、軸部の先端部側の側部のみ又は軸部の先端部側の側部及び先端部の側部において、流路を流通する流体を傾斜部を介して案内する複数の案内孔が形成される。
【0028】
上記の案内孔が形成されることにより、軸部の流路を軸部の他端側から一端側へ向かって流通する流体を、複数の案内孔を介して注射針の先端部又は軸部の先端部側の側部から複数の方向に向かって吐出することができる。従って、1つの方向のみに流体を吐出する場合に比べて吐出される流体の圧力と速度を低減させることができる。
【0029】
また、上記の傾斜部が形成されていることにより、案内孔が流路を流通する流体を傾斜部を介して案内することができる。流体を傾斜部を介さずに案内する場合、案内孔から吐出される流体は乱流となり直線状となるように吐出されることが確認された。この場合、流体が血管壁に対して同一部位に衝突することによる血管壁への障害が懸念される。一方、流体を傾斜部を介して案内する場合、特に透析時等の早い流速で流体を流す場合においては案内孔から吐出される流体は乱流ではなく層流となるため、流体は扇形に面状に吐出されることが確認される。案内孔から面状に流体を吐出することで、直線状に流体を吐出する場合に比べて、注射針を血管内に挿入して流体を血管内に導入する際の血管壁への刺激を可能な限り低減させることができる。これにより、患者への負担を低減することができる。
【0030】
また、皮膚表面から血管まで形成されているボタンホールに注射針を挿入する場合においては、傾斜部の存在により、ボタンホール口に残存するかさぶたを血管内に押し込むことを抑制することができる。また、本発明で使用する注射針であれば、先端部がボタンホールの側壁に触れることなくボタンホールを進むことができる。
【0031】
上記のように、本発明で使用する注射針であれば、同一ルートを毎回通るボタンホール法においてはかさぶたを血管内に押し込む危険性を減らすとともに、ルートの側壁への障害を与えにくいという従来の針では達成できないメリットが得られる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の注射針及び注射針の使用方法であれば、注射針を血管内に挿入して流体を血管内に導入する際の血管壁への刺激を可能な限り低減させることができる。これにより、患者への負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る注射針を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る注射針を示す正面図である。
【図3】図1をB−B線から見た図である。
【図4A】比較例8,9に係る注射針を示す側面図である。
【図4B】比較例8,9に係る注射針を示す上面図である。
【図5】比較例8,9に係る注射針を示す正面図である。
【図6】比較例8,9に係る注射針を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る注射針について軸部の切断面から先端部側を見た図である。
【図8】図7をA−A線から見た図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る注射針について軸部の切断面から先端部側を見た図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る注射針について軸部と先端部とを分解して示した分解図である。
【図11】図10に示す軸部と先端部とが合体した状態を示す側面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る注射針の側面図である。
【図13】ボタンホールに図1に示した注射針を挿入する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る注射針及び注射針の使用方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0035】
〔注射針〕
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係る注射針について、図1〜3を用いて説明する。
【0036】
図1は、本実施形態に係る注射針の側面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る注射針1は、長手方向軸線Xに延在する円筒形とされた軸部2と、軸部2の一端側に接続され、長手方向軸線Xに沿って先細りとなるように形成された先端部3とを有している。先端部3は、例えば、一定の角度で先細りとなる略円錐形とされた外形を有している。軸部2及び先端部3は例えば金属製又は樹脂製等である。強度を高めるため金属製とすることが望ましいが、構造が複雑なため金属よりも先端部3の形状の設計自由度が高い素材からなることが好ましく、樹脂製が好ましい。
【0037】
軸部2の内部には流体が流通する流路4が形成されている。流路4は、軸部2の内部において、軸部2の一端側から他端側にかけて一直線状に形成されている。流路4を流通する流体としては、薬剤や血液等を挙げることができるが、これに限定されない。
【0038】
軸部2の先端部3側の側部には、軸部2を側面から見たときに軸部2の長手方向軸線Xに対して斜めに交差するように傾斜部5が形成されている。傾斜部5は流路4と連通するように形成される。これにより、軸部2の先端部3側の側部及び先端部3の側部において案内孔6が形成される。案内孔6により、流路4を流通する流体は傾斜部5を介して案内される。傾斜部5の傾斜角度は、例えば長手方向軸線Xに対して30°±10°とされる。なお、図1中、紙面手前側の傾斜部5及び紙面奥側の傾斜部5は、軸部2の長手方向軸線Xに対して同一角度で斜めに形成されている。
【0039】
先端部3には、案内孔6が形成されることにより案内孔6の間に案内孔6の数に対応する数の梁部7が形成されている。本実施形態の場合、案内孔6は2つ形成されているので、梁部7も案内孔6の数に対応して2つ形成されている。梁部7は2つ以上望ましくは3つ形成されることが好ましい。なお、先端部3は、流路4を流通する流体における軸部2の長手方向軸線Xの流れに対して抵抗を与える形状とされている。具体的には、本実施形態のように、先端部3は、軸部2の長手方向軸線X上に相当する部分が残された形状(孔が形成されていない形状)とされた尖頭部9を有している。
【0040】
図2は本実施形態に係る注射針を示す正面図であり、図3は図1をB−B線から見た図である。図2に示すように、本実施形態の注射針1においては、注射針1を正面から見て、軸部2の先端部3側の両側部に傾斜部5及び案内孔6がそれぞれ形成されている。また、先端部3においては、注射針1を正面から見て長手方向軸線Xを挟んで上下方向に延びるように2つの梁部7が形成されている。各梁部7は、尖頭部9と軸部2とを接続している。
【0041】
図2中左側の傾斜部5は、下端が手前側に位置し、上端が奥側に位置している。一方、図2中右側の傾斜部5は、上端が手前側に位置し、下端が奥側に位置している。このように、注射針1の形状は、正面から見て左右非対称となっている。また、注射針1の形状は、正面から見て軸部2の長手方向軸線Xを中心点とした点対称の形状となっている。
【0042】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の注射針1においては、軸部2の先端部3側の側部に、各々が流路4と連通する案内孔6を形成するとともに、軸部2を側面から見たときに軸部2の長手方向軸線Xに対して斜めに交差する2つの傾斜部5が形成されている。2つの傾斜部5が形成されることにより、軸部2の先端部3側の側部及び先端部3の側部において、流路4を流通する流体を傾斜部5を介して案内する2つの案内孔6が形成される。
【0043】
上記の案内孔6が形成されることにより、軸部2の流路4を軸部2の他端側から一端側へ向かって流通する流体を、2つの案内孔6を介して注射針1の先端部3から2つの方向に向かって吐出することができる。従って、1つの方向のみに流体を吐出する場合に比べて吐出される流体の圧力と速度を低減させることができる。
【0044】
また、上記の傾斜部5が形成されていることにより、案内孔6が流路4を流通する流体を傾斜部5を介して案内することができる。流体を傾斜部5を介さずに案内する場合、案内孔6から吐出される流体は乱流となり直線状となるように吐出されることが確認された。この場合、流体が血管壁に対して同一部位に衝突することによる血管壁への障害が懸念される。一方、流体を傾斜部5を介して案内する場合、特に透析時等の早い流速で流体を流す場合においては案内孔6から吐出される流体は乱流ではなく層流となるため、流体は扇形に面状に吐出されることが確認される。案内孔6から面状に流体を吐出することで、直線状に流体を吐出する場合に比べて、注射針1を血管内に挿入して流体を血管内に導入する際の血管壁への刺激を可能な限り低減させることができる。これにより、患者への負担を低減することができる。
【0045】
また、皮膚表面から血管まで形成されているボタンホールに注射針1を挿入する場合においては、傾斜部5の存在により、ボタンホール口に残存するかさぶたに対して注射針1が直角に当たらないため、かさぶたに加わる力が注射針1の進行方向に押す力と側壁に押しつける方向に押す力とに分散する。これにより、かさぶたを側壁に押しつける方向に押しやすくなって、ボタンホールの奥(即ち、血管内)に押し込む可能性が低下すると考えられる。また、本実施形態の注射針1であれば、先端部3がボタンホールの側壁に触れることなくボタンホールを進むことができる。
【0046】
上記のように、本実施形態の注射針1であれば、同一ルートを毎回通るボタンホール法においてはかさぶたを血管内に押し込む危険性を減らすとともに、ルートの側壁への障害を与えにくいという従来の針では達成できないメリットが得られる。
【0047】
軸部2及び先端部3は金属よりも先端部3の形状の設計の自由度が高い素材からなることが好ましく、例えば軸部2及び先端部3が樹脂製(例えば合成樹脂製)であれば、金属製の場合よりも低コストで製造することができる。また、樹脂製とすることで先端部3の形状の設計自由度を上げることができる。
【0048】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る注射針について、図7,8を用いて説明する。
本実施形態の基本構成は、第1実施形態と基本的に同様であるが、第1実施形態とは、先端部3の流路4側の内周面には、流路4を流通する流体が先端部3に沿って流れるように流路4側に突出する突出部8が形成されている点が異なっている。よって、本実施形態においては、この異なっている部分を説明し、その他の重複するものについては説明を省略する。なお、図7,8においては、突出部8の形状は概念的に描かれたものであり、必ずしも細部に亘って厳密に描かれたものではない。
なお、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0049】
図7は、本実施形態に係る注射針21について軸部2の切断面から先端部3側を見た図である。本実施形態では、軸部2の先端部3側の両側部にそれぞれ案内孔6が形成されている。即ち、軸部2の先端部3側に案内孔6は2つ形成されている。これら2つの案内孔6により、先端部3においては、案内孔6の数に対応する数の梁部7が形成されている。即ち、本実施形態では、先端部3において梁部7が2つ形成されている。具体的には、2つの梁部7は、長手方向軸線Xから上下2方向に突出して形成されている。なお、2つの梁部7は長手方向軸線Xに近付くにつれてその太さが太くされている。
【0050】
図8は、図7をA−A線から見た図である。図8に示すように、本実施形態の注射針21においては、先端部3の流路4側の内周面に、流路4を流通する流体が先端部3に沿って流れるように流路4側に突出する突出部8が形成されている。従って、注射針1の横断面視において、先端部3は四隅が丸い略菱形状の形状となっている。
【0051】
ここで、図8中の破線は流路4を流通する流体の流れを意味する。図8に示すように、流路4を流通する流体の流れは先端部3に差し掛かると、突出部8によって図8中上下2方向に分岐する。分岐した流体は、傾斜部5を介して、それぞれ図8中上下2箇所に設けられた案内孔6に突出部8の形状に沿って導かれる。
【0052】
なお、本実施形態においては、先端部3の形状の設計自由度を上げるため、軸部2及び先端部3を樹脂製としている。
【0053】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の注射針21においては、軸部2及び先端部3を樹脂製とすることで、先端部3の流路4側の内周面において、流路4側に突出する突出部8を設けることが容易となる。また、突出部8を、流路4を流通する流体が先端部3に沿って流れるように流路4側に突出する形状とすることで、流体が先端部3の流路4側の内周面に衝突して乱流を引き起こしてしまうことを抑制することができる。従って、流体をスムーズに吐出することができる。また、特に透析時等の早い流速で流体を流す場合においては、流体を先端部3に沿って流すことで、流体の流れを広げずにまっすぐに吐出しやすくなる。
【0054】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る注射針について、図9を用いて説明する。
本実施形態の基本構成は、第2実施形態と基本的に同様であるが、第2実施形態とは、梁部7が3つ形成されている点が異なっている。よって、本実施形態においては、この異なっている部分を説明し、その他の重複するものについては説明を省略する。
なお、第2実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0055】
図9は、本実施形態に係る注射針31について軸部2の切断面から先端部3側を見た図である。本実施形態では、長手方向軸線Xを中心として周方向等間隔に案内孔6が3つ形成されている。これら3つの案内孔6により、先端部3においては、案内孔6の間に案内孔6の数に対応する数の梁部7が形成されている。即ち、本実施形態では、先端部3において梁部7が3つ形成されている。具体的には、3つの梁部7は、長手方向軸線Xを中心として周方向等間隔に3方向に突出して形成されている。
【0056】
本実施形態においては、流体は先端部3に差し掛かると、突出部8によって3方向に分岐する。分岐した流体は、それぞれ図9中3箇所に設けられた案内孔6に、突出部8の形状に沿って導かれる。
【0057】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の注射針31においては、先端部3において、梁部7が3つ形成されている。梁部7が3つ形成される場合、2つ形成される場合に比べて先端部3が3方向から支えられる構造となるため安定しやすく、また、各梁部7の太さを細くしても十分な強度を得ることができる。また、各梁部7の太さを細くすることで、流体が梁部7に衝突して流体の流れが阻害されてしまうことを抑制することができる。
【0058】
なお、本実施形態においては、梁部7を3つ形成する場合を一例として説明したが、これに限定されず、梁部7を4つ以上形成してもよい。望ましくは梁部7の数は3つである。
【0059】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態に係る注射針について、図10,11を用いて説明する。
本実施形態の基本構成は、第2実施形態と基本的に同様であるが、第2実施形態とは、案内孔6が先端部3には形成されておらず、軸部2にのみ形成されている点が異なっている。よって、本実施形態においては、この異なっている部分を説明し、その他の重複するものについては説明を省略する。
【0060】
図10は本実施形態に係る注射針41について軸部2と先端部3とを分解して示した分解図である。なお、図10においては、説明の都合上、先端部3については側面図を示しているが、軸部2については先端部3側を紙面手前側に少し傾けた状態の図を示している。
【0061】
図10に示すように、本実施形態に係る注射針41において、案内孔6は軸部2にのみ形成されている。即ち、先端部3には案内孔6は形成されていない。また、案内孔6の先端部3側は、軸部2を側面から見たときに先端部3側に凸の曲線となる曲線部10とされている。
【0062】
突出部8は、下方に向かって突出する形状とされており、下端の頂部に連なり先端(同図において上方)に向けて拡径する略円錐面を備えている。この略円錐面は、凹となる曲面を有している。これにより、案内孔6に向けて流体を円滑に流すようになっている。
【0063】
本実施形態に係る注射針41は、図10に示すように、側孔である案内孔6を形成した円筒状の軸部2(例えば金属製)に先端部3(例えば金属製)を組み込んで製造することができる。本実施形態に係る先端部3は第1〜第3実施形態に比べて形状が非常にシンプルであるため、金属での加工が容易である。なお、軸部2及び先端部3は金属製に限られず、樹脂製としてもよい。
【0064】
図11は、図10に示す軸部2と先端部3とが合体した状態を示す側面図である。図11に示すように、注射針41においては、軸部2の他端側から一端(先端部3)側へ向かって流通する流体は、軸部2の先端部3側の側面に形成された案内孔6からのみ吐出される。なお、図10及び図11中、案内孔6は1つしか図示されていないが、軸部2の長手方向軸線Xを挟んで反対側にも同様に案内孔6が形成されている。なお、案内孔6の数は2つに限定されず、望ましくは3つ以上である。
【0065】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の注射針41においては、軸部2の先端部3側の側部に、各々が流路4と連通する案内孔6を形成するとともに、軸部2を側面から見たときに軸部2の長手方向軸線Xに対して斜めに交差する2つの傾斜部5が形成されている。2つの傾斜部5が形成されることにより、軸部2の先端部3側の側部のみにおいて、流路4を流通する流体を傾斜部5を介して案内する2つの案内孔6が形成される。
【0066】
軸部2にのみ案内孔6が形成されることにより、軸部2の流路4を軸部2の他端側から一端側へ向かって流通する流体を、2つの案内孔6を介して注射針41の軸部2の先端部3側の側部から2つの方向に向かって吐出することができる。従って、1つの方向のみに流体を吐出する場合に比べて吐出される流体の圧力と速度を低減させることができる。
【0067】
また、案内孔6が軸部2にのみ形成される注射針であれば、案内孔6を先端部3にまで形成する必要がなくなるため、製造が容易となる。
【0068】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態に係る注射針について、図12を用いて説明する。
本実施形態の基本構成は、第4実施形態と基本的に同様であるが、第4実施形態とは、案内孔6の先端部3側が垂直部11とされている点が異なっている。よって、本実施形態においては、この異なっている部分を説明し、その他の重複するものについては説明を省略する。
【0069】
図12は本実施形態に係る注射針61の側面図である。
本実施形態に係る注射針61においては、案内孔6の先端部3側は、軸部2を側面から見たときに軸部2の長手方向軸線Xに対して垂直となる垂直部11とされている。なお、図12中、案内孔6は1つしか図示されていないが、軸部2の長手方向軸線Xを挟んで反対側にも同様に案内孔6が形成されている。
【0070】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
案内孔6の先端部3側が垂直部11とされていれば、案内孔6の先端部3側が軸部2を側面から見たときに曲線となる曲線部とされている場合に比べて案内孔6の開口面積を広くすることができる。
【0071】
なお、本発明の注射針は、透析時の脱血や返血の用途だけでなく、血管内等への注射の用途に使用することもできる。
【0072】
〔注射針の使用方法〕
次に、本発明に係る注射針の使用方法の一実施形態について説明する。
なお、以下では、図1に示す注射針1を用いる場合を一例として説明するが、これに限定されない。
【0073】
図13は、ボタンホールに図1に示した注射針を挿入する状態を示す断面図である。ボタンホール51は、透析患者の腕等の皮膚52の表面のボタンホール口53から血管54までを貫通して形成されている。
【0074】
本発明の注射針の使用方法は、上述の本発明の注射針を血管に挿入する挿入工程と、挿入した注射針から血管内に流体を注入する注入工程と、を有する。
【0075】
(挿入工程)
挿入工程においては、図13の直線の矢印に示すように、注射針1を、ボタンホール口53に正確に差し込み、ボタンホール51に挿入する。
【0076】
(注入工程)
注入工程においては、注射針1の案内孔6から血管54内に流体を注入する。
【0077】
流体の注入が完了したら、注射針1を血管54から引き抜けばよい。
【0078】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の注射針の使用方法では、軸部2の先端部3側の側部に、各々が流路4と連通する案内孔6を形成するとともに、軸部2を側面から見たときに軸部2の長手方向軸線Xに対して斜めに交差する2つの傾斜部5が形成された注射針1を使用する。また、本実施形態で使用する注射針1においては、上記の傾斜部5が形成されているため、軸部2の先端部3側の側部及び先端部3の側部において、流路4を流通する流体を傾斜部5を介して案内する2つの案内孔6が形成される。
【0079】
上記の案内孔6が形成されることにより、軸部2の流路4を軸部2の他端側から一端側へ向かって流通する流体を、2つの案内孔6を介して注射針1の先端部3から2つの方向に向かって吐出することができる。従って、1つの方向のみに流体を吐出する場合に比べて吐出される流体の圧力と速度を低減させることができる。
【0080】
また、上記の傾斜部5が形成されていることにより、案内孔6が流路4を流通する流体を傾斜部5を介して案内することができる。流体を傾斜部5を介さずに案内する場合、案内孔6から吐出される流体は乱流となり直線状となるように吐出されることが確認された。この場合、流体が血管壁に対して同一部位に衝突することによる血管壁への障害が懸念される。一方、流体を傾斜部5を介して案内する場合、特に透析時等の早い流速で流体を流す場合においては案内孔6から吐出される流体は乱流ではなく層流となるため、流体は扇形に面状に吐出されることが確認される。案内孔6から面状に流体を吐出することで、直線状に流体を吐出する場合に比べて、注射針1を血管54内に挿入して流体を血管54内に導入する際の血管壁への刺激を可能な限り低減させることができる。これにより、患者への負担を低減することができる。
【0081】
また、皮膚52表面から血管54まで形成されているボタンホール51に注射針1を挿入する場合においては、傾斜部5の存在により、ボタンホール口53に残存するかさぶたを血管54内に押し込むことを抑制することができる。また、本実施形態で使用する注射針1であれば、先端部3がボタンホール51の側壁に触れることなくボタンホール51を進むことができる。
【0082】
上記のように、本実施形態で使用する注射針1であれば、同一ルートを毎回通るボタンホール法においてはかさぶたを血管54内に押し込む危険性を減らすとともに、ルートの側壁への障害を与えにくいという従来の針では達成できないメリットが得られる。
【実施例】
【0083】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明についてより詳細に説明する。
【0084】
[実施例1〜2、比較例1〜9]
まず、実施例1,2及び比較例1〜9の注射針を準備した。
【0085】
実施例1の注射針としては、本発明の第1実施形態の注射針を準備した。なお、実施例1の注射針は16ゲージとした。
【0086】
実施例2の注射針としては、本発明の第1実施形態の注射針を準備した。なお、実施例2の注射針は15ゲージとした。
【0087】
比較例1〜7の注射針としては、以下に列記した注射針を準備した。
比較例1:ハッピーキャスクランプキャスP(メディキット株式会社製) 17ゲージ
比較例2:ハッピーキャスクランプキャスP(メディキット株式会社製) 16ゲージ
比較例3:バイオAVFニードル(ニプロ株式会社製) 15ゲージ
比較例4:ダルAVFニードル(ニプロ株式会社製) 16ゲージ
比較例5:ダルAVFニードル(ニプロ株式会社製) 17ゲージ
比較例6:スマートスレンダル ニードル(メディキット株式会社製) 16ゲージ
比較例7:スマートスレンダル ニードル(メディキット株式会社製) 17ゲージ
【0088】
比較例8の注射針としては、図4A〜図6に示す注射針101を準備した。注射針101は本発明の第1実施形態の注射針1と同様に、軸部102と、軸部102の一端側に接続され、長手方向軸線Xに沿って先細りとなるように形成された先端部103とを備える。軸部102の内部には、流体が流通する流路104が形成されている。先端部103には2つの案内孔106が形成されており、2つの案内孔106の間には梁部107が2つ形成されている。
しかしながら、注射針101においては、軸部102の先端部103側に案内孔106が形成されていない(先端部103にしか形成されていない)。
なお、比較例8の注射針は16ゲージとした。
【0089】
比較例9の注射針としては、比較例8同様、図4A〜図6に示す注射針101を準備した。なお、比較例8の注射針は15ゲージとした。
【0090】
次に、40%グリセリン溶液を満たした容器に透析回路の動脈側を接続した。一方、透析回路の静脈側に準備した注射針を取り付けた。この状態でポンプを回転させて、ほぼ水平面で注射針からグリセリン溶液を吐出することで、各注射針の吐出圧力を測定した。結果を表1に示す。なお、表1中の「返血圧100ml/min」〜「返血圧500ml/min」という記載における数値はポンプの回転数を示す。また、表1中における上記記載における数値以外の数値は、測定した圧力を示し、単位はmmHgである。
【0091】
【表1】
【0092】
表1に示されるように、実施例2の注射針を用いた場合において、各回転数において測定圧力が最も低くなるという結果が得られた。即ち、実施例2は、流体に対する抵抗が最も低いことが分かった。また、実施例1についても、各回転数において十分に低い測定圧力が得られ、流体吐出時の流体に対する抵抗値に問題がないことが明らかとなった。なお、比較例1については、「返血圧400ml/min」の条件において測定圧力が測定限界以上となった。
【0093】
また、実施例1,2の場合、流体を傾斜部5を介して案内孔6に案内することができるため、案内孔6からグリセリン溶液を面状に吐出することができた。従って、注射針を血管内に挿入して流体を血管内に導入する場合、血管壁への刺激を可能な限り低減させることができると判断された。
【0094】
一方、比較例1〜7では、実施例1,2のようにグリセリン溶液を面状に吐出することができなかった。また、比較例8,9の場合、流体を傾斜部を介さずに案内孔106に案内するため、案内孔106から流体が直線状に吐出された。直線状で流体を吐出する場合、注射針を血管内に挿入して流体を血管内に導入すると、血管壁への刺激を低減させることができないと判断された。
【0095】
以上の結果より、本発明の注射針であれば、患者への負担を低減することができることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0096】
1,21,31,41,61 注射針
2 軸部
3 先端部
4 流路
5 傾斜部
6 案内孔
7 梁部
8 突出部
9 尖頭部
10 曲線部
11 垂直部
51 ボタンホール
52 皮膚
53 ボタンホール口
54 血管
X 長手方向軸線
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】