(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021107377
(43)【公開日】20210729
(54)【発明の名称】クマザサエキス調製品を有効成分とするアクアポリン発現亢進剤を含む化粧剤およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9794 20170101AFI20210702BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20210702BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20210702BHJP
【FI】
   !A61K8/9794
   !A61Q19/00
   !A45D34/04 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】2020167272
(22)【出願日】20201001
(31)【優先権主張番号】2019239954
(32)【優先日】20191227
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503140403
【氏名又は名称】星製薬株式会社
【住所又は居所】東京都品川区西五反田七丁目22番17号
(74)【代理人】
【識別番号】100147740
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 俊
(72)【発明者】
【氏名】大谷 卓男
【住所又は居所】東京都品川区西五反田7丁目22番17号 TOCビル2F 星製薬株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆治
【住所又は居所】東京都品川区荏原2丁目4番41号 学校法人星薬科大学内
(72)【発明者】
【氏名】杉山 清
【住所又は居所】東京都品川区荏原2丁目4番41号 学校法人星薬科大学内
(72)【発明者】
【氏名】林 明夫
【住所又は居所】東京都世田谷区代沢4−6−14
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA032
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC582
4C083AC662
4C083AC712
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD212
4C083AD412
4C083AD532
4C083AD572
4C083AD662
4C083CC02
4C083CC04
4C083CC05
4C083DD22
4C083DD41
4C083DD47
4C083EE12
4C083FF01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】産地、採取年度、エキス抽出法などの要因による、薬効のばらつきを低減し、化粧効果を発揮する、効果品質の保証されたクマザサエキスを有効成分として含む治癒剤組成物に用いるための薬剤や化粧剤を提供する。
【解決手段】クマザサ熱水抽出分画から水非混和性溶剤に分画された精製濃縮エキスを逆相クロマトグラフィーにより分離分画した低極性の精製濃縮エキスが、アクアポリン発現亢進活性および毛乳頭細胞増殖亢進作用を有することを見出した。これにより、アクアポリン発現亢進剤および毛乳頭細胞増殖亢進に基づく、治癒促進効果のある医薬や食品の有効成分や化粧剤が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クマザサエキス調製品の有効成分を含む、化粧剤。
【請求項2】
前記化粧剤は、スキンクリーム、スキンジェル、白色ワセリン、または化粧水であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧剤。
【請求項3】
前記化粧剤は、クマザサエキス調製品の有効成分を含むアクアポリン発現亢進剤を含有する、請求項1または2に記載の化粧剤。
【請求項4】
アクアポリンがアクアポリン1及び/又はアクアポリン3である、請求項3に記載の化粧剤。
【請求項5】
さらに、毛乳頭細胞増殖亢進作用を有する、請求項3又は4に記載の化粧剤。
【請求項6】
クマザサエキス調製品がクマザサの熱水抽出分画エキスである、請求項1〜5のいずれかの項に記載の化粧剤。
【請求項7】
クマザサエキス調製品が、熱水抽出分画エキスから、水非混和性溶剤に分画された精製濃縮エキスである、請求項1〜5のいずれかの項に記載の化粧剤。
【請求項8】
クマザサエキス調製品が、熱水抽出分画エキスから水非混和性溶剤に分画された精製濃縮エキスを逆相クロマトグラフィーにより分離分画された低極性の精製濃縮エキスである、請求項1〜7のいずれかの項に記載の化粧剤。
【請求項9】
クマザサエキス調製品が、熱水抽出分画エキスから水非混和性溶剤に分画された精製濃縮エキスおよび、さらに逆相クロマトグラフィーにより分離分画分された低極性の精製濃縮エキスの中の一つからゲル濾過により分画された精製濃縮エキスである、請求項1〜8のいずれかの項に記載の化粧剤。
【請求項10】
クマザサからその作用機序効果を指標として、熱水による抽出工程に続き、さらに水非混和性溶剤による分画工程、逆相クロマトグラフィーによる低極性成分分画工程、ならびにゲル濾過分離により特定の分子量成分を精製濃縮する工程、の一つまたは、その組み合わせを行い、クマザサ精製濃縮エキスを製造する工程、および前記クマザサ精製濃縮エキスを溶媒を用いて希釈する工程を含む、クマザサエキス調製品の有効成分を含む、化粧剤の製造方法。
【請求項11】
前記クマザサ精製濃縮エキスを希釈する溶媒は、水または有機溶媒である、請求項10に記載の化粧剤の製造方法。
【請求項12】
前記クマザサ精製濃縮エキスを希釈する溶媒の希釈度は、前記クマザサ精製濃縮エキス1に対して、溶媒は100〜10000である、請求項10または11に記載の化粧剤の製造方法。
【請求項13】
前記1〜9のいずれかの項に記載の化粧剤または請求項10〜12のいずれかの項に記載の化粧剤の製造方法により製造した化粧剤を化粧剤容器に入れて、皮膚にスプレー(噴霧)することを特徴とする、化粧剤の使用方法。
【請求項14】
前記化粧剤容器は、外側容器と内側容器を含むデラミ容器およびスプレー容器を結合したものであり、前記内側容器に入れた化粧剤を内側容器内に配置された吸い上げ管を通して前記スプレー容器の底部に貯留させて化粧剤貯留槽を形成して、前記スプレー容器内に配置された吸い上げ管を通して前記スプレーノズルから、前記化粧剤を霧状に噴出することを特徴とする、請求項13に記載の化粧剤の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クマザサ(隈笹)エキスの作用機序因子ならびに作用機序を見出し、その作用機序効果を指標として分画されたクマザサ調製品を有効成分として含むことを特徴とするアクアポリン発現亢進剤、それを含む化粧剤及びそれらの製法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクアポリン(aquaporin:以下AQPと略すことがある)は、膜6回貫通蛋白質で、細胞内の水分量を調節する水チャネルとして機能する重要な蛋白質である。アクアポリンは細菌から哺乳類に至るまで普遍的に存在しており、これまでに哺乳類で、AQP0からAQP12まで13種類のアクアポリンが確認されている。(非特許文献1)
【0003】
これまでにアクアポリンの臓器における減少とその疾患に対する影響に関しては、次のようなことが知られている。潰瘍性大腸炎では、大腸のAQP3の減少により、下痢、下血、体重減少が生じる。また抗がん剤の臓器に与える影響として、腎臓においてAQP1,2,3の発現が減少し、腎毒性発症につながること、大腸においてAQP3の発現が減少し、下痢につながることが知られている。さらには、皮膚においてAQP3の発現減少が、ドライスキン、老人性乾皮症、毛髪の成長抑制に影響を及ぼすといわれている。腎臓においてはAQP9が減少し、脂肪肝などの腎臓疾患との関連が報告されている。(非特許文献2)
【0004】
その観点に立ち、それぞれの臓器におけるアクアポリンの発現調節剤(発現亢進、発現産生、発現抑制)として、有効な成分の研究、並びにその用途の研究開発がすすめられてきた。
【0005】
リラキシンによる哺乳動物組織でのアクアポリンの調節が開示されている(特許文献1)。 ケイガイエキスを有効成分とする、創傷治癒促進剤として用いるためのアクアポリン3の発現亢進剤が開示されている(特許文献2)。 美白剤、抗老化剤、皮膚化粧料として用いるためのアクアポリン3産生・発現促進剤としての、種々の植物エキスが開示されている(特許文献3、特許文献4)。
【0006】
一方、イネ科ササ属のクマザサ(くまざさ、熊笹、隈笹:学名 Sasa albomarginata又はSasa veitichi)の葉は、その抗菌作用や防腐作用を生かして食品の包装材などに広く活用されてきた。薬理学的研究によれば、抗潰瘍作用、抗腫瘍作用、抗炎症作用、鎮静作用、解毒作用、利尿作用を含めた様々な活性が確認されている。加えて、近年では、クマザサエキスにストレス性潰瘍、幽門結紮潰瘍(胃酸による潰瘍)、アスピリンおよびカフェイン等の薬剤性潰瘍に対して抗潰瘍作用が確認されており、抗腫瘍作用、細胞修復促進作用等の効果も報告されている。また、上皮組織および筋組織の再生、抗菌作用、抗腫瘍作用を目的としてクマザサエキスを直接、熱傷や創傷の患部に適用することも行われ、その効果が確認されている。(特許文献5)。クマザサエキスの薬効効果は、商品としては、皮膚外用剤、化粧剤、また養毛剤として開示されているが、その作用機序活性効果を特定した有効成分含有物を開示する特許文献は少ない。
【0007】
一つの例として、毛髪促進作用にすぐれた養育毛剤(特許文献6)として、植物エキスの中の一つとして、クマザサエキスが示されているが、その活性因子は開示されていない。一方、線維芽細胞増殖因子5の阻害活性を有するクマザサエキス調製品を、少なくとも有効成分として含有することを特徴とする育毛剤組成物(特許文献7)に、そのエキスの抽出調製法とその阻害活性因子が特定されたものが見られるのみである。
【0008】
また、クマザサエキスを得る製造方法、抽出法に関しては、先行特許技術に既に多くの開示がある(特許文献8,9,10,11)。 さらに熱水による抽出法としては、以下の開示がある。 「クマザサ濃縮エキス及びその製造方法」が開示されている(特許文献12)。 「竹・笹類抽出物の製造方法」(特許文献13)においてはクマザサもしくはクマザサ抽出成分を、水非混和性溶剤で抽出する工程を含むことを特徴とするクマザサ抽出物の製造方法が開示されている。 「親水相型クマザサ食品組成物及びその製造方法」(特許文献14)として、クマザサ由来の親水化成分を抽出する方法とその組成物が示されている。 またクマザサを1ないし3気圧下で熱水抽出する方法及び熱水抽出物を有効成分とする外皮用剤(特許文献15)が記されている。
【0009】
しかしながら、クマザサエキスにアクアポリン発現亢進作用及び毛乳頭細胞増殖亢進作用があることを見出し、それを有効成分として含む治癒促進剤や化粧剤としてもちいるための明確な作用機序に基づいて効果を発揮する薬剤(作用機序効果剤)や化粧剤を開示するものは見られない。また、それらの開示技術は、エキスの製法として分画された成分に、作用効果がみられたことを開示するのみであり、アクアポリンの発現亢進活性のような作用機序効果を指標として、クマザサの熱水抽出分画物を、精製・濃縮し、有効成分のみを分画取得する製法、ならびにそのアクアポリン発現亢進剤などの作用機序効果剤としての濃縮組成物は知られていない。植物エキスには、種々の成分が含まれており、しかもその複合的効果と思われる、多様な疾病の治癒促進剤としての有用性が多く謳われてきた。しかし、作用機序効果としてのアクアポリンなどの発現亢進作用を指標として、その精製、濃縮をすすめる工程からなる製法、ならびに、アクアポリンなどの発現亢進作用を有する有効成分のみを抽出、精製、濃縮されたクマザサエキスによる治癒促進剤に用いるための作用機序効果剤は知られていない。また、顔や身体等の皮膚等に塗布したり噴霧したりする化粧剤としての有用性についても認知されていない。さらに、作用機序効果を指標とすることにより、その作用機序に無効な成分が排除され、天然物エキスの特定治癒効果の強化と副作用の低減が図れる概念は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2013-522225
【特許文献2】特開2011-32191
【特許文献3】特開2012-162487
【特許文献4】特開2011-190185
【特許文献5】特開2006-347999
【特許文献6】特開平10-045539
【特許文献7】特許第4757665号
【特許文献8】特公平03-067052
【特許文献9】特公平03-076053
【特許文献10】特公平03-067054
【特許文献11】特公平03-073527
【特許文献12】特開2003-321384
【特許文献13】特開2004-359628
【特許文献14】特開2005-210912
【特許文献15】特開2005-298460
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】生化学 第86巻第1号,pp.41−53(2014)「アクアポリンの構造,機能,およびその多様性」 脊椎動物を中心として
【非特許文献2】日薬理誌第122巻第3号 2003年9月 「薬物ターゲットとしての水チャネル」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
作用機序の観点から、天然物エキスを見出し特定することは、その有効成分を含有する治癒促進剤の効果品質や化粧剤の有用性を保証する上で、重要な課題である。また、多様な治癒促進効果のある天然エキスから、特定の治癒効果や化粧剤としての有効性を強化するエキスを得ることも重要な課題である。しかしながら、特定の治癒効果や化粧剤の有効性を評価するには多大な資源投入が必要であり、簡便な評価手法により強化エキスを得ることも大きな課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、アクアポリンの薬理学的研究として、アクアポリンの発現する細胞とその疾病、薬効との作用機序を見出す研究をすすめる中で、アクアポリンの発現亢進活性のある物質を、従来から薬効が知られている天然物エキスの中に見出す検討をすすめてきた。そして、臓器由来細胞株を用いてアクアポリンの誘導能を検討する過程で、クマザサエキスにその活性を見出した。 具体的には、クマザサエキスは、臓器由来細胞株である皮膚上皮由来細胞、大腸由来細胞には、AQP3の濃度依存的発現亢進効果を発揮することを見出し、また、毛髪の毛乳頭細胞においてAQP1の濃度依存的な発現亢進という作用機序因子効果、および毛乳頭細胞の増殖促進活性という作用機序効果を発揮することを見出した。さらに、クマザサエキスは、化粧剤として有効な機能を有することを発見した。
【0014】
本発明者らは、アクアポリンの研究の過程で、クマザサエキスに、アクアポリン1,アクアポリン3の濃度依存的発現亢進の作用機序因子効果を見出し、その治癒剤や化粧剤としての有用性を見出した。さらには、アクアポリンの発現亢進を有効成分の分画の指標として、クマザサからの熱水抽出物を、分画精製濃縮する工程をへることにより、無効分画分を除去して、少量有効成分からなる作用効果の強化されたエキス組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
本発明の治癒促進剤組成物や化粧剤組成物に用いるための薬剤(アクアポリン発現亢進剤)は、アクアポリンの発現亢進活性を有するクマザサエキス(以下、本発明のクマザサエキスとよぶことがある)を少なくとも有効成分として含有しているものである。クマザサから、抽出、分画、精製により、微量でアクアポリンの発現亢進活性等を有する治癒促進剤組成物や化粧剤組成物に用いるための薬剤の有効成分を得ることができる。
【0016】
本発明のクマザサエキスは、例えば、クマザサの生葉を乾燥し細かく剪断させ、これを浸水し、水溶性物質を滲出させて煮沸し、適宜濃縮したものである。濃縮の方法としては、熱を加えない一般的な減圧濃縮調製品にてもアクアポリン発現亢進作用を有するが、好ましくは、1気圧以上での水の高温煮沸による加水分解を伴う加熱抽出濃縮クマザサエキスが明らかにより高いアクアポリン発現亢進作用を示す。さらに、密閉状態ではなく開放状態にして発生するガスを逃がす煮沸装置が好ましい。また、本発明のクマザサエキスは、さらに、アクアポリンの発現亢進活性を指標として、水非混和溶媒での分画、逆相クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーなどの精製、濃縮により、微量のクマザサエキスで、同等のアクアポリン活性を得ることが可能である。
【0017】
本発明のクマザサエキスのアクアポリンの発現亢進活性は、毛髪、皮膚、大腸のAQP誘導能を評価するために、細胞として、臓器由来細胞株を用いて見出されたものである。毛髪は毛乳頭細胞、皮膚上皮由来細胞はKeratinocyte細胞、結腸癌由来細胞はHT-29細胞が好ましい。播種した細胞に、希釈倍率により濃度を変化させてエキスを添加し、培養し数点条件を変え、クマザサエキスの製法の違いによる、皮膚、大腸中のAQPmRNA発現量を指標として評価することによりアクアポリンの発現亢進活性が見出された。クマザサエキスの活性作用として、毛乳頭細胞においては、AQP1の濃度依存的発現誘導亢進作用とともに、毛乳頭細胞の増殖促進が見出された。皮膚、大腸由来の細胞株においてはAQP3が、クマザサエキスに対し濃度依存的に発現誘導亢進する作用を有することが見出された。クマザサエキスのこれらアクアポリン発現亢進により、毛髪、皮膚、大腸における治癒促進効果および毛髪、皮膚における化粧効果が期待される。本発明は、なお、それらを有効成分とする予防治療薬、食品添加物、健康・機能食品、化粧品などとしても提供される。
【0018】
ここで、化粧効果とは、皮膚の老化防止効果・美容効果等であり、老化防止効果・美容効果等とは、皮膚の美白効果や潤い感、しっとり感、すべすべ感、保湿効果、美肌効果、スキンケア効果、肌荒れ防止効果、肌荒れ回復効果、肌乾燥防止効果、肌浸透効果、肌の酸化防止効果、ヘルスケア効果、シワ伸ばし効果、シワ老化防止効果、肌くすみ防止効果、肌しみ防止効果、肌しみ除去効果、敏感肌・乾燥肌向け低刺激性スキンケア効果、角質層のやわらげ効果、肌のみずみずしさ向上効果、乾燥・テカリ・大人ニキビ防止効果、敏感肌緩和効果、目じりしわ防止・除去効果、肌むくみ防止効果、肌のもっちり感向上効果、肌の透明感向上効果、肌のな
めらかさ向上効果などである。
【0019】
この化粧効果を用いて、本発明はさらに以下の特徴も有する。(1)本発明は、クマザサエキス調製品の有効成分を含む化粧剤または化粧品であり、前記化粧剤または化粧品は、スキンクリーム、スキンジェル、白色ワセリン、または化粧水であり、クマザサエキス調製品の有効成分を含むアクアポリン発現亢進剤を含有し、アクアポリンはアクアポリン1及び/又はアクアポリン3であり、さらに毛乳頭細胞増殖亢進作用を有することを特徴とする。(2)本発明は、(1)に加えて、クマザサエキス調製品がクマザサの熱水抽出分画エキスであり、また熱水抽出分画エキスから、水非混和性溶剤に分画された精製濃縮エキスであり、またクマザサエキス調製品が、熱水抽出分画エキスから水非混和性溶剤に分画された精製濃縮エキスを逆相クロマトグラフィーにより分離分画された低極性の精製濃縮エキスであり、また、クマザサエキス調製品が、熱水抽出分画エキスから水非混和性溶剤に分画された精製濃縮エキスおよび、さらに逆相クロマトグラフィーにより分離分画分された低極性の精製濃縮エキスの中の一つからゲル濾過により分画された精製濃縮エキスであることを特徴とする、化粧剤または化粧品である。
【0020】
(3)本発明は、クマザサからその作用機序効果を指標として、熱水による抽出工程に続き、さらに水非混和性溶剤による分画工程、逆相クロマトグラフィーによる低極性成分分画工程、ならびにゲル濾過分離により特定の分子量成分を精製濃縮する工程、の一つまたは、その組み合わせを行い、クマザサ精製濃縮エキスを製造する工程、および前記クマザサ精製濃縮エキスを溶媒を用いて希釈する工程を含む、クマザサエキス調製品の有効成分を含む、化粧剤または化粧品の製造方法であり、前記クマザサ精製濃縮エキスを希釈する溶媒は、水または有機溶媒であり、前記クマザサ精製濃縮エキスを希釈する溶媒の希釈度は、前記クマザサ精製濃縮エキス1に対して、溶媒は100〜10000であることを特徴とする。
【0021】
(4)本発明は、(1)および/または(2)の化粧剤または化粧品または(3)に記載の化粧剤または化粧品の製造方法により製造した化粧剤を化粧剤容器に入れて、皮膚にスプレー(噴霧)することを特徴とする化粧剤または化粧品の使用方法であり、前記化粧剤または化粧品容器は、外側容器と内側容器を含むデラミ容器およびスプレー容器を結合したものであり、前記内側容器に入れた化粧剤または化粧品を内側容器内に配置された吸い上げ管を通して前記スプレー容器の底部に貯留させて化粧剤または化粧品貯留槽を形成して、前記スプレー容器内に配置された吸い上げ管を通して前記スプレーノズルから、前記化粧剤または化粧品を霧状に噴出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、臓器由来細胞株による、アクアポリンの発現亢進などの作用機序効果を指標として、天然物エキスであるが故の、産地、採取年度、エキス抽出法などの要因による、薬効のばらつきを低減した、効果品質の保証されたクマザサエキスを有効成分として含む治癒剤組成物に用いるための明確な作用機序に基づく効果を奏する薬剤(作用機序効果剤)が提供される。また、アクアポリンの発現亢進などの作用機序効果を指標として、クマザサエキスを、分画、精製、濃縮することで、真に有効な活性成分を含む組成物ならびにその製造方法が提供される。
【0023】
本発明のクマザサエキス含有治癒促進剤に用いるための薬剤は、毛乳頭細胞でのAQP1の発現亢進、細胞の増殖亢進や、皮膚上皮細胞や大腸細胞での、AQP3の発現亢進を促すことから、細胞増殖が活発になり、皮膚や消化管の上皮細胞や口腔の上皮細胞の傷がなおる創傷治癒効果を示す。また、本発明のクマザサエキス含有化粧剤または化粧品は、化粧効果を発揮するので、化粧剤または化粧品として、たとえば、化粧液として顔や身体に吹きかけて使用でき、ゲル状・エマルジョンにして顔や身体に塗布して使用でき、また、皮膚の美白効果や潤い感、しっとり感、すべすべ感、保湿効果、美肌効果、スキンケア効果、肌荒れ防止効果、肌荒れ回復効果、肌乾燥防止効果、肌浸透効果、肌の酸化防止効果、ヘルスケア効果、シワ伸ばし効果、シワ老化防止効果、肌くすみ防止効果、肌しみ防止効果、肌しみ除去効果、敏感肌・乾燥肌向け低刺激性スキンケア効果、角質層をやわらげ、みずみずしい肌にする効果、乾燥・テカリ・大人ニキビ防止効果、敏感肌緩和効果、目じりしわ防止・除去効果、肌のみずみずしさ向上効果、肌むくみ防止効果、肌のもっちり感向上効果、肌の透明感向上効果、肌のなめらかさ向上効果等を示す。なお、クマザサエキスの精製、濃縮の製造工程でアクアポリン発現亢進などの作用機序効果を指標として評価するプロセス管理により、天然物由来の治癒剤や化粧剤または化粧品によくみられる薬効のばらつきの低減を図るとともに、指標とする作用機序の非有効成分を排除することによる副作用の低減に伴う安全性の更なる確保と少量有効成分のみによる治癒効果や化粧効果の強化増進の効果もしめす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、ホシ隈笹エキスの分画スキームを示す。
【図2】図2は、ホシ隈笹エキスのAQP3誘導活性試験の結果を示す。
【図3】図3は、ホシ隈笹エキス精製分画のAQP3誘導活性試験の結果を示す。Aはクロロホルム分配抽出により得られた画分、Bはさらに5溶媒系で分配抽出した画分、Cはさらに4溶媒系で分配抽出した画分、Dはさらに逆相クロマトグラフィーにより精製した画分、Eはさらにゲルろ過カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより得られた画分のAQP3誘導活性試験の結果を示す。
【図4】図4は、ホシ隈笹エキス及びその精製分画G2のAQP1誘導活性試験の結果を示す。
【図5】図5は、ホシ隈笹エキス及びその精製分画G2の毛乳頭細胞増殖促進試験の結果を示す。
【図6】図6は、ホシ隈笹エキス及びその精製分画G2の表皮角化細胞におけるAQP3誘導活性試験の結果を示す。
【図7】図7は、本発明のクマザサエキスを含む化粧剤の長期使用を可能にする容器を示す図である。
【図8】図8は、クマザサスプレーの皮膚散布の評価結果を示す図である。
【図9】図9は、クマザサエキス入りクリーム・ジェル・白色ワセリンの皮膚塗布の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を、クマザサエキスの抽出、分画による精製濃縮工程、アクアポリンの発現亢進について詳細に説明する。
【0026】
クマザサエキス調製品 本発明におけるクマザサエキス調製品の一態様は、クマザサから得られる、図1に示された、抽出、精製、濃縮された活性のある有効成分組成物であり、クマザサの熱水抽出分画エキス、水非混和性溶剤による分画精製濃縮されたエキス、逆相クロマトグラフィーにより分画されたエキス、ゲル濾過カラムによる分画されたエキスを包含するものである。
【0027】
クマザサはイネ科ササ属のクマザサ(くまざさ、熊笹、隈笹:学名 Sasa albomarginata又はSasa veitichi)と呼称されるものであり、特に好ましくは、クマザサの葉から有効成分を得るものである。本発明では、図1のどの抽出、精製濃縮工程で得られる分画分をエキスとして用いても良いが、熱水抽出物から、各分画工程で、精製され、有効成分のみ濃縮されていき、同等の活性を保持する、より少量の組成物が望ましい。特に好ましいのは、すべての分画工程を経て、最終分画工程であるゲル濾過カラムにより分画されたエキスである。
【0028】
クマザサの熱水抽出エキス 熱水抽出エキスは、有機溶媒などの抽出でなく、水のみを抽出溶媒とするエキスであり、その熱水の温度などの抽出条件に関しては、特に限定されるわけではないが、以下の方法により、より好適に得ることができる。まず、クマザサの生葉を乾燥し細かく剪断させ、これを浸水し、水溶性物質を滲出させて煮沸し、適宜濃縮する。すなわち、濃度を高めて煮沸温度を上昇させる。濃縮の方法としては、熱を加えない減圧濃縮が挙げられ、更に好ましくは、1気圧以上において煮沸し、抽出および二回目の濃縮を行う。ここで行われる濃縮は、抽出溶媒である水を減らすことによる水分濃度濃縮である。なお、好適な煮沸の条件は、圧力は約7気圧以下、煮沸温度はカラメル変質温度140℃に達しない有効温度、例えば約110℃〜140℃、煮沸時間は6〜12時間である。この方法では、1気圧以上において加熱水抽出を行うことにより、抽出温度を高温とすることができ、特殊な溶剤を使用せずに、クマザサに含まれる有効成分を効率的に抽出および濃縮を行うことができる。
【0029】
また、上記方法のように1気圧以上により沸点を上昇させるのではなく、媒体、例えば、約110℃〜140℃の過熱水蒸気、重曹、空気等を装入することにより、沸点を上昇させ、煮沸温度を上昇させることもできる。その他、上記二回目の濃縮工程の際に、既に二回の濃縮を終了した濃縮溶液を添加して濃縮を行い、得られた溶液に温水を加えて煮沸し、上澄み液を取り、濃縮した後、冷却させ沈殿させる工程を順次施して最終薬効成分を得る方法も好適に使用することができる。
【0030】
なお、クマザサエキスの好適に使用できる熱水抽出エキスの市販品としては、ホシ隈笹(クマザサ)エキス(星製薬(株)製)を挙げることができる。
【0031】
水非混和性溶剤による分画精製濃縮されたエキス 水非混和性溶剤は、水混和性溶剤と組み合わせることにより、クマザサの熱水抽出成分を、液液分配し分画するために用いる溶剤で、混合により、2層に分離し、そのそれぞれの層に溶解させることにより分画するために用いる。したがって、水、メタノール、エタノール、アセトンは水非混和性溶剤に含まれない。水非混和溶剤の具体例としては、一般的にヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどがあげられる。
【0032】
本発明においては、好ましくは、クマザサの熱水抽出物をクロロホルムにて、液液分配を行い、まずは、クロロホルム層に分配された水非混和性溶剤分画分を得たのち、クロロキサン−酢酸エチル−2-プロパノール−エタノール−水の5溶媒系に溶解し、その2層系で、液液分配を行う。その結果、有機溶媒を主成分とした上層と水を主成分とした下層が得られるので、両相のアクアポリン活性の評価を行う。上層にのみ活性が確認されたため、さらに、ヘキサン−クロロホルム−メタノール−水からなる4溶媒系に溶解し、その2層系で液液分配を行う。有機溶媒を主成分とした下層と水を主成分とした上層が得られ、下層のみに活性が見られることから、水非混和性溶剤による分画精製濃縮が行われた。
【0033】
逆相クロマトグラフィーにより分画されたエキス 分離精製クロマトグラフィーということで、好ましくはシリカゲルを基材としたODSカラムを用い、逆相クロマトグラフィーにより、4溶媒系の下層に得られた分画精製物のさらなる分離を行う。ステップワイズモードの分離により、60%メタノール、70%メタノール、100%メタノールを移動相として用い、3つの溶出画分を得た。100%メタノール層に強い活性が見られることから、低極性成分に活性効果があることが見出された。
【0034】
ゲル濾過カラムによる分画されたエキス ゲル濾過カラムにより、好ましくは移動相としてクロロホルムを用い、分離はアイソクラティックモードで行う。3つの時間内に溶出した画分をえて、分子量としての分画を行い、各画分のアクアポリン活性を評価し、精製濃縮組成物を得るのが望ましい。
【0035】
クマザサエキスの精製、濃縮による各分画の固形分重量変化 実施例においては、クロロホルム分画分固形物約100グラムが、次の5溶媒系の有機溶媒を主成分とする上層画分として、約70gに精製濃縮され、さらに4溶媒系において、50gが有効成分として得られる。その50gが、逆相クロマトグラフィーによるメタノール100%移送液画分として、より低極性の有効成分として、約3gが得られる。ゲル濾過カラムにより、分子量として3画分に分画し、その
中で、分子量として、中間の画分が、有効成分として約1gが得られる。
【0036】
作用機序効果およびアクアポリン発現亢進剤 本発明においては作用機序効果として、作用機序因子として見出されたアクアポリンの発現亢進効果、特に、アクアポリン1、アクアポリン3の発現亢進のことを指す。さらには、作用機序因子そのものではないが、毛乳頭細胞増殖亢進という作用機序を見出したことによる作用機序効果のことも含む。作用機序効果を指標として調製されたクマザサエキス調製品を有効成分とするアクアポリン発現亢進剤は、好ましくは、アクアポリン1発現亢進剤、および/またはアクアポリン3発現亢進剤を指す。さらには、毛乳頭細胞増殖亢進剤も含む。 ただし、作用機序効果に関しては、これらに限定されるものではなく、アクアポリン発現亢進剤はアクアポリン発現亢進および毛乳頭細胞増殖亢進以外にも、治癒促進に有効な作用機序を有していてもよい。 さらには、肌荒れ防止、美容効果等を示す化粧剤(化粧効果)に有効な作用機序を有する。
【0037】
クマザサエキスの精製、濃縮による各分画のアクアポリン活性 各精製、濃縮の段階で、アクアポリン活性、特にアクアポリン3の発現亢進活性を指標として、有効分画のみを得ることにより、例えば、当初の約100gから100分の1の最終分画分、約1gの精製、濃縮組成物が得られる。
【0038】
それぞれの分画分でのアクアポリン活性強度は、当初と同等のアクアポリン濃度依存的亢進活性を示すのに必要な各画分の濃度を評価することで得られる。図2、図3には、クマザサエキスの各画分のAQP3の発現亢進活性に必要な濃度が示されており、熱水抽出エキスと比較して、最終分画であるゲル濾過分離の有効分画では、2000分の1の微量で同等のAQP3発現亢進が見出された。図4に示す如く当初の熱水抽出有効成分と同等のAQP1発現亢進効果が、最終有効分画分では約50分の1の量で得られる。また、図5に示す如く、毛乳頭細胞増殖促進効果が約50分の1の量で得られる。このように、アクアポリンの活性を指標として、精製、濃縮することでアクアポリンの活性に有効な成分よりなる組成物のみを得ることが見出され、特に、AQP3の発現効果においてはそれが、著しいことが見出された。本発明により、アクアポリン発現亢進を介しての治療促進剤の効果が増強されたクマザサエキスの精製濃縮組成物、その製法が見出された。
【0039】
クマザサエキスのアクアポリンの活性・治癒効果 以下、本発明のアクアポリンの評価手法及び活性・治癒効果を詳細に説明する。
【0040】
アクアポリン 非特許文献1に示されるように、AQPは内在性膜タンパク質の一種であり,構造上,主要内在性タンパク質(major intrinsic protein:MIP)スーパー ファミリーに属する。哺乳類のAQPとしては,主に13種類(AQP0〜AQP12)報告されている。これらは,その特性や構造により,水のみを透過 させる狭義AQP(classical AQP),そして水だけでなくグリセロールや尿素などの電気的中性の低分子も透過させるアクアグリセロポリン(aquaglyceroporin)に大別される。本発明によって見出されたアクアポリン発現亢進作用の中でAQP1は水のみを透過させる狭義AQPであり、AQP3は水だけでなく、グリセロールや尿素などの電気的中性の低分子も透過させるというアクアグリセロポリンに属すという共通の特徴を示す。 その意味では、本発明のクマザサエキスは、狭義のみならず、広義のAQPの機序にも幅広い効果があることが見出された。
【0041】
アクアポリン1 AQP1は、赤血球のみならず、脳、腎臓、肺、胆管、眼、内耳など様々な組織に発現しており、また血管では内皮細胞と平滑筋細胞に発現するといわれている。AQP1は、水のみを透過させる狭義のAQPに属するが、水チャンネルとしてだけでなく、血管拡張に寄与するNOを通すガスチャンネルとしても機能するといわれている。本発明では、毛髪に関与する毛乳頭細胞にAQP1が発現し、クマザサエキスによるその発現亢進作用が見出された。また、クマザサエキスにより毛乳頭細胞の増殖亢進作用が見出されており、毛母細胞、血管などとの相互効果により、毛髪剤、特に養毛剤、育毛剤としての治癒促進剤としての有用性に関連する。また、クマザサエキスにより皮膚の老化防止や美容等の効果も見出されており、化粧剤(本発明では化粧品も含む。以上または以下同じ。)や美容剤等に適用され得る。
【0042】
アクアポリン3 AQP3はアクアグリセロポリンに属し,腎臓,皮膚,消化管,気道などの上皮細胞に発現している。特に、腎臓、消化管での水吸収や皮膚などでの、水、グリセロール吸収に関与しているといわれている。本発明では、皮膚、大腸細胞に対してクマザサエキスは、AQP3の発現亢進を示しており、皮膚、大腸の水の吸収チャンネルという意味では、便秘、下痢などの大腸の代表的な疾患及び皮膚疾患の治癒促進剤としての有用性に関連する。また、クマザサエキスにより皮膚の老化防止や美容等の効果も見出されており、化粧剤や美容剤等に適用され得る。
【0043】
治癒促進剤 本発明のクマザサエキスはそのアクアポリン発現亢進作用および毛乳頭細胞増殖亢進作用にもとづき、治癒促進剤の有効成分として使用することができる。治癒促進剤としては、便秘、下痢などの大腸疾患及び皮膚疾患などの疾患の治癒促進剤のみならず養毛剤、育毛剤などの毛髪の状態の治癒を促進する薬剤も含まれる。 本発明の治癒促進剤におけるクマザサエキスの含有率は治癒促進効果が発揮される量であればよいが、例えば、1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%である。 本発明の治癒促進剤はクマザサエキスを、通常の医薬の調製に使用される担体と組み合わせることによって調製することができる。ここで、担体としては薬理学的に許容されるものであればよいが、可溶化剤、pH調整剤、賦形剤、保存剤、乳化剤、防腐剤、色素、矯味矯臭剤、増粘剤などが例示される。 本発明の治癒促進剤の剤形としては、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、液剤、粉剤、塗布剤、乳剤、噴霧剤、滴剤、散剤、貼付剤、ドレッシング剤などがあり、必要に応じて適当な賦形剤を加えることができる。賦形剤は、一般的に医薬品・医療用機器・医薬部外品等に用いられるものであれば種類を問わない。例えば、ポリビニルアルコール、グリセロール、キトサン、カルボキシメチルセルロース、コラーゲン、ヒアルロン酸、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0044】
化粧剤本発明のクマザサエキスはそのアクアポリン発現亢進作用および皮膚の老化防止効果・美容効果等にもとづき、化粧剤の有効成分として使用することができる。老化防止効果・美容効果等とは、皮膚の美白効果や潤い感、しっとり感、すべすべ感、保湿効果、美肌効果、スキンケア効果、肌荒れ防止効果、肌荒れ回復効果、肌乾燥防止効果、肌浸透効果、肌の酸化防止効果、ヘルスケア効果、シワ伸ばし効果、シワ老化防止効果、肌くすみ防止効果、肌しみ防止効果、肌しみ除去効果、敏感肌・乾燥肌向け低刺激性スキンケア効果、角質層のやわらげ効果、肌のみずみずしさ向上効果、乾燥・テカリ・大人ニキビ防止効果、敏感肌緩和効果、目じりしわ防止・除去効果、肌むくみ防止効果、肌のもっちり感向上効果、肌の透明感向上効果、肌のなめらかさ向上効果などである。本発明の化粧剤におけるクマザサエキスの含有率は老化防止効果・美容効果等が発揮される量であればよいが、例えば、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%である。
【0045】
本発明の化粧剤はクマザサエキスを、通常の医薬の調製に使用される担体と組み合わせることによって調製することができる。ここで、担体としては薬理学的に許容されるものであればよいが、可溶化剤、pH調整剤、賦形剤、保存剤、乳化剤、防腐剤、色素、矯味矯臭剤、増粘剤などが例示される。本発明の化粧剤の剤形としては、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、液剤、粉剤、塗布剤、乳剤、噴霧剤、滴剤、散剤、貼付剤、ドレッシング剤などがあり、必要に応じて適当な賦形剤を加えることができる。賦形剤は、一般的に医薬品・医療用機器・医薬部外品・化粧剤・美容液等に用いられるものであれば種類を問わない。例えば、ポリビニルアルコール、グリセロール、キトサン、カルボキシメチルセルロース、コラーゲン、ヒアルロン酸、ポリプロピレングリコール、各種ミネラルオイル(たとえば、ベビーオイル、ワセリン、流動パラフィン)、各種油脂類(たとえば、植物性油脂(たとえば、マカデミアンナッツ油、ホホバオイル、マルラオイル、ライスオイル、ラベンダー油、ローズマリー葉油、オリーブ油、アルガンオイル、ヤシ油、ツバキ種子油、シア脂、アーモンド油、メドフォーム油)、動物性油脂(たとえば、馬油)、各種ロウ(ワックス)類)が挙げられる。さらに水(蒸留水等も含み、化学式HOで表記されるもの)で希釈して使用することもできる。また、色が目立つ場合は脱色しても良い。
【0046】
アクアポリン活性評価手法 アクアポリンの活性評価を下記に詳細に示す。
【0047】
細胞実験 毛髪、皮膚、大腸のAQP誘導能を評価するために、細胞として、臓器由来細胞株を用いた。例えば、皮膚上皮由来細胞はKeratinocyte細胞、結腸癌由来細胞はHT-29細胞が好ましい。毛髪に関しては、毛乳頭細胞を用いた。播種した細胞に、希釈倍率により濃度を変化させてエキスを添加し、培養し数点条件を変え評価するのが好ましい。クマザサエキスの抽出、分画、精製濃縮の違いによるスクリーニングが可能となり、毛髪、皮膚、大腸細胞株中のAQPmRNA発現量を指標として比較した。
【0048】
細胞からのRNA抽出 培養後、各種細胞株よりtotalRNAを精製し、好ましくは、吸光度測定によりRNA濃度の算出および純度の確認を行う。
【0049】
Real-time PCR RNAからcDNAを合成し、hAQP1,hAQP3、をtargetとしたプライマーを作成し、real-time PCRを行い、各遺伝子の発現を確認する。mRNA発現量はGAPDHmRNAを用いて標準化した。
【0050】
毛乳頭細胞増殖活性評価 ヒト頭頂部由来毛乳頭初代培養細胞(Human Follicle Dermal Papilla Cells(HFDPC);Code No. CA60205a, Cell applications)を用いて、エキスの細胞増殖活性を評価した。
【0051】
[実施例] 以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0052】
ホシ隈笹エキスのAQP3誘導活性を保持した分画 図1に示したホシ隈笹エキスの分画スキームに沿って、クロロホルムを用いた分配抽出、5溶媒系を用いた溶媒抽出、4溶媒系を用いた溶媒抽出、逆相カラムクロマトグラフィー及びゲルろ過カラムクロマトグラフィーを用い、活性を2000倍に濃縮したG2画分を得た。
【0053】
まず、ホシ隈笹エキス 15.5 kg を精製水を用い、容量比で 4 倍希釈し、等量のクロロホルムで2回分配抽出を行った。クロロホルム層は、減圧濃縮し、クロロホルム画分 (CHCl3ext.) 約100 gを得た。
【0054】
CHCl3 ext.(約100 g)をヘキサン-酢酸エチル-2-プロパノール-エタノール-水 17:40:15:25:40 の5 溶媒からなる 2 層系で液々分配を行い、上層(5sol. upper)約70 g、下層(5sol. lower)約30 gを得た。
【0055】
5sol. upper画分(約70 g)をヘキサン-クロロホルム-メタノール-水 (1:5:5:2) からなる 2 層系で液々分配し、上層(4sol. upper)約20 g、下層(4sol. lower)約50 gを得た。
【0056】
4sol. lower画分(約50 g)を ODS を充填剤としたガラスカラム(ODS-SM-50B, 26×300 mm, YAMAZEN)を用いた逆相クロマトグラフィーにより分画した。移動相として60%メタノール、70%メタノール及び100%メタノールを順次用い、流速は 10 mL/min とした。その結果、60%メタノール溶出画分(MPLC60)約35 g、70%メタノール溶出画分(MPLC70)約7 gおよび100%メタノール溶出画分(MPLC100)約3 g を得た。
【0057】
MPLC100画分(約3 g)を、ゲルろ過カラム(GPC K801, 8.0×300 mm, Shodex)を用いた高速液体クロマトグラフィーにより
分画した。この時移動相はクロロホルムを用いた。その結果、G1: 約1.3 g、G2画分約1 g、G3画分約0.1 gを得た。
【実施例2】
【0058】
ホシ隈笹エキス各画分のAQP3誘導活性 実施例1で得た各精製画分のAQP3誘導活性の測定を行った。
【0059】
ヒト結腸癌由来細胞株HT-29細胞を24ウェルプレートに播種し、90%コンフルエントの状態まで37℃、CO25%の条件下で培養した。「ホシ隈笹エキス」およびその精製画分を調製し、細胞に添加後、6時間培養した。トリプシン処理により剥離したHT-29細胞からtotal RNAを精製した。得られたRNA 1 μgから High capacity cDNA synthesis kitを用いてcDNAを合成した。これをTE bufferにて20倍希釈し、cDNA TE buffer溶液とし、real-time PCRを行い、各遺伝子の発現を検出した。mRNA発現量はGAPDH mRNAを用いて標準化した。なお、実験には5〜15系代目の細胞を使用した。
【0060】
ホシ隈笹エキスのヒト結腸癌由来細胞への影響を試験した結果、ホシ隈笹エキス未添加と比較してアクアポリン3の発現量の増加作用を有することが確認できた。尚、図2に結果を示した。
【0061】
クロロホルム分配抽出により得られた画分の結腸癌由来細胞への影響を試験した結果、CHCl3 ext. 画分のみがアクアポリン3の発現量の増加作用を有することが確認できた。尚、図3に結果を示した。
【0062】
5溶媒系分配抽出により得られた画分の結腸癌由来細胞への影響を試験した結果、5sol. upper 画分のみがアクアポリン3の発現量の増加作用を有することが確認できた。尚、図3に結果を示した。
【0063】
4溶媒系分配抽出により得られた画分の結腸癌由来細胞への影響を試験した結果、4sol. lower 画分のみがアクアポリン3の発現量の増加作用を有することが確認できた。尚、図3に結果を示した。
【0064】
逆相クロマトグラフィーにより得られた画分の結腸癌由来細胞への影響を試験した結果、MPLC100 画分のみがアクアポリン3の発現量の増加作用を有することが確認できた。尚、図3に結果を示した。
【0065】
ゲルろ過カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより得られた画分の結腸癌由来細胞への影響を試験した結果、G2画分のみがアクアポリン3の発現量の増加作用を有することが確認できた。尚、図3に結果を示した。
【実施例3】
【0066】
ホシ隈笹エキス各画分のAQP1誘導活性 実施例1で得た各精製画分のAQP1誘導活性の測定を行った。
【0067】
ヒト頭頂部由来毛乳頭初代培養細胞(Human Follicle Dermal Papilla Cells(HFDPC);Code No. CA60205a, Cell applications)を24ウェルプレートに播種し、90%コンフルエントの状態まで37℃、CO25%の条件下で培養した。「ホシ隈笹エキス」およびその精製画分を調製し、細胞に添加後、6時間培養した。添加にあたっては、無血清状態で添加した。トリプシン処理により剥離したHFDPC細胞からtotal RNAを精製した。得られたRNA 0.5 μgから High capacity cDNA synthesis kitを用いてcDNAを合成した。これをTE bufferにて10倍希釈し、cDNA TE buffer溶液とし、real-time PCRを行い、各遺伝子の発現を検出した。mRNA発現量はGAPDH mRNAを用いて標準化した。なお、実験には2-5代目の細胞を使用した。
【0068】
(ホシ隈笹エキスのAQP1 誘導活性試験の結果) ホシ隈笹エキスのヒト頭頂部由来毛乳頭初代培養細胞への影響を試験した結果、ホシ隈笹エキス未添加と比較して500 mg/mLでアクアポリン1の発現量の増加作用を有することが確認できた。また、G2画分も同様に試験した結果、2.5 mg/mL でホシ隈笹エキスと同等の活性を示した。尚、図4に結果を示した。
【実施例4】
【0069】
ホシ隈笹エキス各画分の毛乳頭細胞増殖誘導活性 実施例1で得た各精製画分の毛乳頭細胞増殖誘導活性の測定を行った。
【0070】
ヒト頭頂部由来毛乳頭初代培養細胞(Human Follicle Dermal Papilla Cells(HFDPC);Code No. CA60205a, Cell applications)を密度5×102 cell/wellで96ウェルプレートに播種し、48時間、37℃、CO25%の条件下で培養した。48時間後、「ホシ隈笹エキス」およびG2画分を調製し、細胞に添加後、48時間培養した。48時間後、エキス添加培地を除去し、10% Cell Proliferation Reagent WST-1試薬含有培地に変更した。その後、4時間経過後の吸光度(主波長;450 nm、副波長;660 nm)をマイクロプレートリーダーで測定した。
【0071】
ホシ隈笹エキスの毛乳頭細胞の増殖への影響を試験した結果、ホシ隈笹エキス未添加と比較して250 mg/mLで毛乳頭細胞の増殖誘導作用を有することが確認できた。また、G2画分も同様に試験した結果、5 mg/mL でホシ隈笹エキスと同等の活性を示した。尚、図5に結果を示した。
【実施例5】
【0072】
ホシ隈笹エキス各画分のAQP3誘導活性 実施例1で得た各精製画分のAQP3誘導活性の測定を行った。
【0073】
ヒト表皮角化細胞株HaCaT細胞を24ウェルプレートに播種し、90%コンフルエントの状態まで37℃、CO25%の条件下で培養した。「ホシ隈笹エキス」およびその精製画分を調製し、細胞に添加後、6時間培養した。添加にあたっては、無血清状態のMCDB153培地を用いて添加した。トリプシン処理により剥離したHaCaT細胞からtotal RNAを精製した。得られたRNA 1 μgから High capacity cDNA synthesis kitを用いてcDNAを合成した。これをTE bufferにて20倍希釈し、cDNA TE buffer溶液とし、real-time PCRを行い、各遺伝子の発現を検出した。mRNA発現量はGAPDH mRNAを用いて標準化した。なお、実験には5-15代目の細胞を用いた。
【0074】
(ホシ隈笹エキスのAQP3 誘導活性試験の結果) ホシ隈笹エキスのヒト表皮角化細胞株への影響を試験した結果、ホシ隈笹エキス未添加と比較して500 mg/mLでアクアポリン3の発現量の増加作用を有することが確認できた。また、G2画分も同様に試験した結果、25 mg/mL でホシ隈笹エキスと同等の活性を示した。尚、図6に結果を示した。
【実施例6】
【0075】
(化粧品の評価1:クマザサエキス入りスプレーの評価)
クマザサエキスを1500倍に蒸留水で希釈したクマザサ希釈液(化粧水と呼んでも良い)をスプレー(クマザサスプレー)で身体の各場所(顔、髪、かかと、足の甲、すね、指と手の甲、前腕部、ひじの8か所)に1日2回(朝と夜)散布し、連続3日間使用した後に使用感(皮膚の状態)を評価した。使用方法は、冷蔵庫に保存したスプレー容器を取り出し、空押しを行い、溶液が確実に噴霧されることを確認した後、使用部位に、2回噴霧した。噴霧後は、手のひらで溶液を皮膚に密着させた。使用感の評価はオノマトペ表現によるSD法(Semantic Differential Method)を用いた5段階評価表を用いた。被験者は6名(男3名、女3名)である。図8は、クマザサスプレー散布の3日間使用後の評価結果を示す表である。図8では、被験者6名の平均値を四捨五入し、整数値で表記している。すべての散布部位において、「スベスベになった」は、[当てはまる]という評価であった。また、「サラサラになった」、「シットリしてきた」に関しては、[当てはまる]という評価が得られた部位が多かった。一方、「色が白くなった」、「ツヤが良くなった」は、[当てはまらない]という評価が得られた部位が多かった。さらに、「肌が荒れてきた」、「くすみやシミができた」は、[全く当てはまらない] か[当てはまらない]という評価であった。性別による皮膚の状態の差は、ほとんど見られなかった。以上から、クマザサスプレーは、皮膚の状態を潤し、皮膚を滑らかにする効果を有し、また「肌荒れ」や「くすみ・シミ」などの有害事象は見られず、化粧品(化粧水)としての効果が確認できた。
【実施例7】
【0076】
(化粧品の評価2:クマザサエキス入りクリーム・ジェル・ワセリンの評価)
市販のスキンクリーム、スキンジェル、白色ワセリンにクマザサエキスを適量配合し、7人の被験者(男3名、女4名)にて、クリームは顔(A)および指・手の甲(B)に、ジェルは首(C)およびすね(脛)(D)に、白色ワセリンは足のかかと(E)に朝および晩の1日3日間塗布し、5〜10分後に使用感を評価した。使用感の評価はオノマトペ表現によるSD法(Semantic Differential Method)を用いた5段階評価表を用いた。図9は、クマザサエキス入りのクリーム、スキンジェルおよび白色ワセリンを塗布した場合の使用感評価結果を示す。各評価結果は、7人の3日間(計6回)の平均およびその標準偏差を身体の各部位について示す。図9の上表(a)がクマザサエキス入り(クマザサ有)の場合で、比較のためにクマザサエキスを入れない(クマザサ無)場合を下表(b)で示す。クマザサエキス入りのものは右部位に、クマザサエキスを入れないものは左部位に塗布して、同時に評価した。
【0077】
クマザサエキスを付加することによって、標準偏差を考慮して<スベスベ感>、<シットリ感>や<ピチピチ感>が有意に増大する。これらの効果は、身体の皮膚の潤い程度、若返り程度などと関係していて、特に顔および指・手の効果が大きい。すなわち、クマザサエキス入りクリームは非常に良好な結果である。また、クマザサエキスを付加することにより、しわ(特に顔の目尻などの小じわ)が少なくなるという効果もある。図9には示されていないが、顔や指・手が白くなるという効果も見られた。クマザサエキス入りジェルでも<スベスベ感>や<シットリ感>が増大する。白色ワセリンでは、クマザサエキスを付加することにより<スベスベ感>が良くなった。また、かゆみの増加やしわの増加、肌荒れやくすみ・シミができたということはなかったので、クマザサエキスを付加してもマイナス評価はなかった。以上のようにクマザサエキスを入れたクリーム、ジェルおよび白色ワセリンは入れないものに比べると有意に良好な効果があり、化粧品として使用可能である。
【0078】
本評価で使用した市販スキンクリームは、ティファロクリーム(星製薬製)であり、作製したティファロクリームにクマザサエキスを2重量%配合して20℃〜50℃の温度範囲で十分に攪拌混錬したものである。本評価で使用した市販スキンジェルは、ピュアモイストジェル(星製薬製)であり、作製したピュアモイストジェルにクマザサエキスを0.2重量%配合して配合して20℃〜40℃の温度範囲で十分に攪拌混錬したものである。本評価で使用した白色ワセリンは、一般市販品であり、市販白色ワセリンにクマザサエキスを2重量%配合して20℃〜30℃の温度範囲で十分に攪拌混錬したものである。以上のように、クマザサエキスは各化粧品に少量配合すれば所定の化粧品を越える優れた効果をおよぼすことが分かった。上記実験に用いたクリーム、ジェル、白色ワセリンは特定のメーカー品であるが、評価結果から種々のメーカーのクリーム、ジェル、白色ワセリンに同様の効果があると考えられる。尚、実験6および7で使用したクマザサエキスはホシ隈笹エキス(星製薬製)であり、その製法は、減量のクマザサ(隈笹)を乾燥裁断し熱水で抽出した抽出液を加熱濃縮した後、遠心分離した濃縮液から上済み液を得て加水または加熱により濃度調製する。この濃度はクマザサエキス内の固形分の割合で、試験検査用のオーブンにより一定温度・時間(たとえば、105℃、4時間)でクマザサエキスを乾燥させたときの残量を固形分(減少量は水分量)としている。実験6および7で使用したクマザサエキスの濃度は、約50%である。
【実施例8】
【0079】
本発明の化粧水はドライアイ症状にも効果がある。ドライアイの症状は、パソコンやテレビゲーム、スマートホンなどの細かい作業をしたときに、目が乾きやすくなり、目が疲れ、目にゴロゴロ感や異物感を感ずるなどの症状が出る現象である。このような症状が出たときに、本発明の化粧水(たとえば、クマザサエキスを水(蒸留水等)で1/50〜1/1000に薄めた液)で濡らした布や脱脂綿、不織布等でまぶたの淵や目頭・めじりを拭いたり、まぶたの上から当てたりすることにより、ドライアイの症状が緩和する効果が認められた。また、花粉症で耳が痒くなったときにその患部に本発明の化粧水(たとえば、クマザサエキスを水(蒸留水等)で1/50〜1/1000に薄めた液)濡らした布や脱脂綿、不織布等をあてたり拭いたりすると、この症状が緩和されることも見出された。
【0080】
クマザサエキスを化粧剤として使用する場合、常温でも長期間使用できる必要がある。開封していない場合は製造日から3年以上、開封した場合は3日以上、好ましくは1年以上常温で保存しても使用できることが望ましい。クマザサエキスの場合、空気に触れると酸化してしまい、2〜3日で使用しても効果が小さくなる。また、大気中の細菌(雑菌類やカビ菌を含む)やウィルスや微生物が化粧剤に混入して不衛生な状態となる場合がある。しかし、空気との接触を断つことにより、常温保存でも6か月以上品質を保持することができる。
【0081】
図7は、本発明のクマザサエキスを含む化粧剤(化粧水or化粧液)の長期使用を可能にする容器(クマザサエキス化粧剤容器または単に化粧剤容器と呼ぶ)を示す図である。この化粧剤容器11はデラミ容器(部)13の上部の口部にスプレー容器(部)12の底部が載置された構造となっている。従って、この化粧剤容器11は、デラミ容器(部)13とスプレー容器(部)12を組み合わせたものであるから、デラミスプレー容器と呼んでも良い。
【0082】
デラミ容器部13は、内側層(内側容器と呼んでも良い)15と外側層(外側容器と呼んでも良い)14の少なくとも二層からなる積層ボトル構造となっている。内側層15は、伸縮自在の柔軟層であり、たとえば50〜500μmの厚みのナイロンや塩化ビニールであり、二層以上の多層になっていても良い。外側層14は、容器本体であるが、内側層15よりは固いが、手で押せば変形し、力を除けば元の状態に戻ることができる程度の柔軟性を有することが望ましく、たとえば、ナイロン、塩化ビニール、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンであり、二層以上の多層になっていても良い。
【0083】
内側層15は、外側層14の内側に配置された袋状の構造であり、この内側層15の内部に本発明のクマザサエキスを含む化粧剤(液)が入る。外側層14は、デラミ容器部13の外形を決める部分であり、上部の開口部は密閉蓋18で閉じた閉空間26となっており、この閉空間26内に内側層15が配置される。内側層15の開口部は開閉弁19で塞がれており、開閉弁19に給液管((デラミ容器部)吸い上げ管とも言う)17が接続している。給液管17は細長い管であり、他方は開口している。
【0084】
密閉蓋18の上部にスプレー容器部12が載置されており、スプレー容器部12の底部はデラミ容器部13と開閉弁19を通して接続している。また、スプレー容器部12の下部には化粧液20が貯まるようになっており、その化粧液を吸い込む吸水管23がスプレー容器部12に配置され、バルブ24を通してスプレーノズル25へ接続している。スプレー容器部12の天井部にプッシュ部22が配置されており、プッシュ部22を押すとスプレー容器部12の内部空間21が縮小して、内部空間21の空気層の圧力が高くなり、化粧液層(化粧剤貯留槽とも言う)20を押して、化粧液20が吸液管((スプレー容器部)吸い上げ管とも言う)23を通してスプレーノズル25から霧状に噴出する。この霧状のスプレーを顔、手、腕、足、髪に吹きかけることにより、化粧効果を発揮することができる。
【0085】
化粧液(水)を内側層15に開閉弁19から給液管17を通して入れる。あるいは、密閉豚18を外して内側層15の口部から化粧液(水)を直接入れても良い。内側層15に充填すると外側層14に密着した状態となる。内側層5に入った化粧液が16である。すなわち、内側層15内は化粧液で満たされて完全充填された状態となる。開閉弁19を開けると適量の化粧水がスプレー容器部12の内部空間(スプレー容器空間)21の下部に貯まる(化粧液層20)。あるいは、外側層14を手等で押すことにより、内側層15も押されてその圧力で内側層15内の化粧液16が吸い上げ管17を通して開閉弁19を開放してスプレー容器部12内に押し上げても良い。適量の化粧液がスプレー容器部12内に入ったら、外側層14の押圧をなくせば、自動的に開閉弁19が閉じる。
【0086】
内側層15から化粧液16が出ていくと内側層15は外側層14から剥離(デラミ)していく。内側層15と外側層14の間の空間27には空気(大気)が入るような構造となっているので、内側層15と外側層14の間27に空気(大気)が入り、内側層15は大気圧で押されて、内側層の体積が小さくなる。内側層15の体積が小さくなっても給液管17の開口端は常に化粧液に接触しているので、内側層15内に入っている化粧液16は殆どなくなるまで使うことができる。
【0087】
このような構造の化粧剤容器(デラミスプレー容器)11では、内側層15に入った化粧液16は、空気に接触することがないので、酸化することがなく、また環境(たとえば、大気)から細菌を含む雑菌が入らず汚染されることもなく、殆ど劣化せず、長期間使用可能となる。またカビ菌も侵入しないので当然かびることもない。尚、スプレー容器部12の底部に貯まった(内側層15内の化粧液16がスプレー容器部12のスプレー容器空間21へ出て貯まった)化粧液20は、空気と接触するので、使い切ることが望ましい。そのために吸水管23の開口端はスプレー容器の底部に届くように配置することが望ましい。また、化粧液層20が外側から目視できるように、スプレー容器部12は透明材料で構成されるのが望ましい。
【0088】
また、本発明のクマザサエキスを含む化粧剤にガンマ線(たとえば、コバルト60から発生)を照射(ガンマ線殺菌)することにより、ほぼ無菌状態の化粧剤を得ることができるので、図7に示すようなデラミスプレー容器を使用せずに、常温での長期間使用も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
天然物エキスは、現在トクホ、機能性表示食品としても広く用いられているが、科学的根拠、すなわち作用機序にもとづいての、疾病予防への品質の安定した機能効果が強く求められている。また、天然物由来のエキスであり、抽出源である天然物原料の成分、エキス抽出法のばらつきにより、そのエキス成分、その作用効果の再現性、安定性、品質保証などに課題があった。本発明は、エキスの作用機序効果、すなわちクマザサエキスのアクアポリン発現亢進活性を見出し、さらにはそれを指標としてのクマザサエキスを分画精製濃縮する工程により、その作用機序効果に対する無効組成成分を排除し、作用効果の強化された有効組成成分からなる濃縮組成物を得ることが可能になった。そのため、少量で効果を発揮する、機能性添加剤、錠剤形態のサプリメントなども可能となる。また、その無効成分による副作用の低減にも資することが可能になった。その意味では、複雑な成分からなる天然エキス組成物から、作用効果のみ強化された精製・濃縮有効組成物を得る手法として、さらには、単なる疾病予防効果をうたう従来の機能表示ではなく、作用機序成分をそのエキスの有効成分量表示として記載できる等の進歩性、有用性が得られ、品質の安定した天然物エキスの産業上の利用可能性に大きく貢献する。
【0090】
このことにより、天然物エキスという様々な成分を含む組成物ならではの相乗効果的な効果を生かしつつ、その作用機序効果を指標として分画、精製濃縮することにより、作用機序の作用効果が強化された、より有効な成分のみによる組成物エキスの提供は、科学的根拠に基づく、効果品質の安定した天然エキスを機能性素材として利用したいという産業的な課題を解決するものである。
【0091】
更には、産業的な意味合いにおいて、アクアポリンのAQPmRNA発現量を指標とすることにより、クマザサ原料、製法プロセスの条件などの違いによる品質バラツキをなくし、治癒剤としての機能の品質保証ならびに安全性の課題の解決手段にもつながる。特に、天然エキスは様々な成分が含まれており、その成分の相乗的な複合効果により、疾病の治癒促進につかわれており、その天然エキスからより有効な成分からなる組成物をえて、その治癒効果を強化しようとして、精製、濃縮する際には、その成分並びに組成比がすべて特定されているわけではない場合が多く、何を指標として分画していくかが大きな課題であった。本発明は、クマザサエキスのアクアポリン亢進作用を見出し、さらにそれを指標として、精製・濃縮工程で有効な成分を分画することにより、従来の課題を解決し、より作用の強化された治癒促進組成物を得るという産業上有用な特徴を有する。
【0092】
本発明のクマザサエキスを含む化粧剤は、クリーム、ジェルや白色ワセリン等のワセリンに混合して使用できる、また、美容液オイル、オリーブ油やザクロ種子油をベースにして、精油や植物エキスをブレンドした美容液・乳液・化粧水に混ぜて使用することができる。手足の角質層に使用すれば、すべすべな肌にすることもできる。
【符号の説明】
【0093】
11化粧容器、12スプレー容器(部)、13デラミ容器(部)、14外側層(外側容器)、15内側層(内側容器)、16化粧液、17吸い上げ管、18密閉蓋、19開閉弁、20化粧液(層)、21内部空間、22プッシュ部、23吸水管、24バルブ、25スプレーノズル、

【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】