(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】2021107761
(43)【公開日】20210729
(54)【発明の名称】流体撹拌要素を具える熱分解管
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/40 20060101AFI20210702BHJP
【FI】
   !F28F1/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】2020213656
(22)【出願日】20201223
(31)【優先権主張番号】2019237856
(32)【優先日】20191227
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 基行
【住所又は居所】大阪府枚方市中宮大池1丁目1番1号 株式会社クボタ枚方製造所内
(72)【発明者】
【氏名】橋本 国秀
【住所又は居所】大阪府枚方市中宮大池1丁目1番1号 株式会社クボタ枚方製造所内
(57)【要約】
【課題】本発明は、管内流体の撹拌効果を具備しつつ圧力損失の低減を図ることのできる熱分解管を提供する。
【解決手段】本発明の撹拌要素20を具える熱分解管10は、管の内面に1又は複数の流体の撹拌要素を内向きに突出形成してなる熱分解管であって、前記撹拌要素は、前記管の内面に沿って延び、管軸に対してらせん状に傾斜した第1突条21と、前記第1突条とは傾斜角度が異なる第2突条25であって、前記第1突条同士を実質的に或いは仮想的に連結する第2突条と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の内面に1又は複数の流体の撹拌要素を内向きに突出形成してなる熱分解管であって、
前記撹拌要素は、
前記管の内面に沿って延び、管軸に対してらせん状に傾斜した第1突条と、
前記第1突条とは傾斜角度が異なる第2突条であって、前記第1突条同士を実質的に或いは仮想的に連結する第2突条と、
を含む、
熱分解管。
【請求項2】
管の内面に1又は複数の流体の撹拌要素を内向きに突出形成してなる熱分解管であって、
前記撹拌要素は、
前記管の内面に、管軸に対して直交する第1突条と、
前記管軸に対して前記第1突条とは傾斜角度が異なる第2突条であって、前記第1突条同士を実質的に或いは仮想的に連結する第2突条と、
を含む、
熱分解管。
【請求項3】
前記第2突条は、前記第1突条の端縁同士を繋ぐ、
請求項1又は請求項2に記載の熱分解管。
【請求項4】
前記第2突条は、前記第1突条の端縁以外の部分同士を繋ぐ、
請求項1又は請求項2に記載の熱分解管。
【請求項5】
前記第1突条の高さH1は、前記第2突条の高さH2と同等である、
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の熱分解管。
【請求項6】
前記第1突条の高さH1と前記第2突条の高さH2は、H2/H1≧1/2である、
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の熱分解管。
【請求項7】
前記第2突条は、前記第1突条同士を管軸方向と平行に繋ぐ、
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の熱分解管。
【請求項8】
前記第2突条は、前記第1突条同士を前記第1突条と直交するように繋ぐ、
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の熱分解管。
【請求項9】
前記第1突条が形成された第1突条区間は、前記第2突条が形成された第2突条区間以上の長さである、
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の熱分解管。
【請求項10】
前記第1突条区間は、前記第1突条区間と前記第2突条区間の合計の60%〜80%である、
請求項9に記載の熱分解管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン等製造用の熱分解反応炉に用いられる熱分解管に関するものであり、より具体的には、管内流体の撹拌作用を高める撹拌要素が管内面から突設された熱分解管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エチレン、プロピレン等のオレフィンは、炭化水素(ナフサ、天然ガス、エタンなど)を含む原料流体を外部から加熱された熱分解管に高速流通させ、原料流体を反応温度域まで加熱して熱分解することにより生成される。
【0003】
熱分解反応を効率良く行なうには、高速流通する原料流体を短時間で管路の径方向中心部まで熱分解反応温度域に加熱昇温させ、且つ、過加熱をできるだけ回避することが重要である。原料流体の過加熱は、炭化水素類の過度の軽質化(メタン、遊離炭素等の生成)や分解生成物の重縮合反応を招き、目的製品の収率低下が大きくなる。また、コーキング(遊離炭素の管内面への沈積)が助長され、管体の熱伝達係数の低下を招くから、デコーキング作業の実施を頻繁に行なう必要が生じ、操業時間が低下してしまう。
【0004】
そこで、熱分解管の内面に流通流体の撹拌要素として突条を設けることが行なわれている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1では、突条は管軸に対してらせん状に旋回するよう形成されている。そして、高速流通する流体は突条による撹拌を受けて熱伝達が促進され、急速に昇温加熱されて熱分解は短時間で完結する。これにより、過加熱による過分解やコーキングの発生を抑え、また、熱分解管の熱伝達効率の向上により、熱分解管の加熱温度を低くすることが可能となり、熱分解管の耐用寿命向上の効果がもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−249249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、らせん状の突条は、流体の撹拌作用を向上させると同時に、管内流体の圧力損失を高めてしまう。圧力損失の増大は、オレフィンの収率の低下を招く可能性がある。そのため、圧力損失の少ない熱分解管が求められている。
【0007】
本発明は、管内流体の撹拌効果を具備しつつ圧力損失の低減を図ることのできる熱分解管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撹拌要素を具える熱分解管は、
管の内面に1又は複数の流体の撹拌要素を内向きに突出形成してなる熱分解管であって、
前記撹拌要素は、
前記管の内面に沿って延び、管軸に対してらせん状に傾斜した第1突条と、
前記第1突条とは傾斜角度が異なる第2突条であって、前記第1突条同士を実質的に或いは仮想的に連結する第2突条と、
を含む。
【0009】
本発明の撹拌要素を具える熱分解管は、
管の内面に1又は複数の流体の撹拌要素を内向きに突出形成してなる熱分解管であって、
前記撹拌要素は、
前記管の内面に、管軸に対して直交する第1突条と、
前記管軸に対して前記第1突条とは傾斜角度が異なる第2突条であって、前記第1突条同士を実質的に或いは仮想的に連結する第2突条と、
を含む。
【0010】
前記第2突条は、前記第1突条の端縁同士を繋ぐ構成とすることができる。
【0011】
前記第2突条は、前記第1突条の端縁以外の部分同士を繋ぐ構成とすることができる。
【0012】
前記第1突条の高さH1は、前記第2突条の高さH2と同等とすることができる。
【0013】
前記第1突条の高さH1と前記第2突条の高さH2は、H2/H1≧1/2とすることができる。
【0014】
前記第2突条は、前記第1突条同士を管軸方向と平行に繋ぐ構成とすることができる。
【0015】
前記第2突条は、前記第1突条同士を前記第1突条と直交するように繋ぐ構成とすることができる。
【0016】
前記第1突条が形成された第1突条区間は、前記第2突条が形成された第2突条区間以上の長さであるとすることが望ましい。
【0017】
前記第1突条区間は、前記第1突条区間と前記第2突条区間の合計の60%〜80%とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の熱分解管によれば、流体は、第1突条により撹拌を受ける。第1突条を通過した流体は、乱流となるが、第1突条とは角度の異なる第2突条により流れの向きが変えられて整流されることで、圧力損失を低減できる。これにより、撹拌効果を具備して熱伝達効率を確保しつつ、圧力損失の増大を防止して、オレフィンの収率の向上を図り、過分解によるコーキングの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による撹拌要素を形成した熱分解管の展開図である。
【図2】図2は、図1の線II−IIに沿う断面図である。
【図3】図3は、異なる形態の撹拌要素を形成した熱分解管の展開図である。
【図4】図4は、さらに異なる形態の突条を形成した熱分解管の展開図である。
【図5】図5は、実施例に用いた供試熱分解管の説明図である。
【図6】図6は、比較例の熱分解管の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の熱分解管10について、図面を参照しながら説明を行なう。なお、図示の熱分解管10は、直管であるが、一般的には、直管からなる熱分解管10同士を屈曲したベンド管で接続し、蛇行した形状として熱分解炉に配備し、管外部から加熱を受けて、内部を流通する流体の熱分解を行なう。
【0021】
図1は、本発明の熱分解管10の一実施例を示す展開図、図2は、図1の線II−IIに沿う拡大断面図である。説明の都合上、図1の紙面左側を上流側、右側を下流側としている。
【0022】
熱分解管10は、耐熱合金材料から形成することができ、25Cr−Ni(SCH22)、25Cr−35Ni(SCH24)、インコロイ(商標名)、或いは、Al:6.0質量%を上限として含有する合金を例示できる。もちろん、熱分解管10の材料はこれらに限定されず、高温の使用環境に耐え、要求される性能を具備する種々の耐熱合金材料を使用できる。
【0023】
熱分解管10には、管内面から内向きに突出する撹拌要素20が形成されている。より詳細には、撹拌要素20は、第1突条21と、第1突条21とは角度が異なる第2突条25とすることができる。
【0024】
第1突条21は、主として流体の撹拌、第2突条25は、主として流体の整流を行なう。
【0025】
第1突条21は、図1では、管軸と直交する面に対して上流側から下流側に向けて角度θ1で傾斜するらせん状形状とすることができる。管内面において、第1突条21が形成された区間を第1突条区間22と称する。そして、第1突条21は、端縁又は端縁以外の部分で第2突条25に連結される。第2突条25は、第1突条21の角度θ1とは異なる角度θ2の突条である。管内面において、第2突条25の形成された区間を第2突条区間26と称する。第2突条25の下流側には、第1突条21が形成されており、第2突条25は、第1突条21と連結される。
【0026】
第2突条25は、図1に示すように、第1突条21の端縁同士を繋ぐ形態としてもよいし、また、第1突条21(23,24)の端縁以外の部分同士を繋ぐ形態(図3及び図4参照)としてもよい。なお、第1突条21と第2突条25は、図1に示すように、実質的に連結されている構成とすることが望ましいが、第1突条21と第2突条25の間に隙間を設けて、第2突条25の延長線が第1突条21と仮想的に連結する構成としてもよい。
【0027】
第1突条21の傾斜角度θ1は、85°以下とすることが好適であり、30°以下とすることが望ましい。突条21の傾斜角度θ1は、15°以上とすることが望ましい。第1突条21は、図3に符号23で示すように、θ1=0°として、管軸に直交する形態としても構わない。傾斜角度θ1が小さ過ぎると突条21の下流側に淀みが発生し易くなる一方で、小さい程、管軸に対して第1突条21の傾きは大きいから、流通する流体の撹拌、乱流発生効果を高めることができる。
【0028】
第2突条25の傾斜角度θ2は、第1突条21の傾斜角度θ1とは異なる角度であり、たとえば、図1、図3及び図4に示すように、第2突条25は、管軸と平行な角度(θ2=90°)とすることができる。第1突条21(23,24)の傾斜角度θ1と第2突条25の傾斜角度θ2は、何れも管軸に直交する面に対して同方向の仰角が0°以上90°以下、且つ、θ1はθ2よりも小さい角度となるように形成することが望ましい。
【0029】
第1突条21及び第2突条25は、連続的な形態とすることができるが、断続的な形態であってもよい。図4は、第1突条21を断続的な突条24,24とした実施形態であり、第2突条25は、断続的な第1突条24,24の端縁以外の部分同士を繋いでいる。
【0030】
第1突条21同士の間隔Iは、管内径が30−150mmの場合、約20−400mmとすることができる。図1の第1突条21は、1条のらせん形態であるが、複数条のらせん形態を平行又は傾斜角度を変えて設けることもできる。
【0031】
第1突条区間22と第2突条区間26の長さを比較した場合、図1に示すように、第1突条区間22は、第2突条区間26以上の長さとすることが好適である。望ましくは、第1突条区間22の占める比率(第1突条区間22/(第1突条区間22+第2突条区間26))は、50%以上が好適であり、60%以上が望ましく、65%以上がより望ましい。第2突条25による整流効果よりも、第1突条21による撹拌効果が重視されるためである。一方、第2突条区間26の整流効果を発揮するために、第1突条区間22の占める比率は80%以下とすることが好適であり、70%以下とすることが望ましい。
【0032】
図2に示す第1突条21の高さH1及び第2突条25の高さH2は、管内径の約1/60−1/10とすることが望ましい。第1突条21の高さH1が、管内径の1/60よりも低いと、流体の撹拌、乱流発生効果を十分に発揮できない虞がある。また、第2突条25の高さH2が、管内径の1/60よりも低いと、流体の整流効果を十分に発揮できない虞がある。また、第1突条21の高さH1、第2突条25の高さH2が、管内径の1/10よりも高いと、第1突条21、第2突条25が流体の流通を阻害し、圧力損失が大きくなり、さらには、第1突条21、第2突条25の下流側で流体が滞留して過分解やコークが堆積し易くなる虞がある。故に、第1突条21の高さH1、第2突条25の高さH2は、上記規定を満たすことが望ましい。なお、第1突条21の高さH1と第2突条25の高さH2は同等とすることが、撹拌、整流効果の点で望ましく、また、第1突条21と第2突条25の形成を簡便化する点でも高さを同等とすることが望ましい。本明細書において、「同等」とは、当業者によって測定された数値が許容可能な誤差範囲内にあることを意味する。もちろん、その値は、測定方法にも依存する。また、「同等」には、測定された数値の20%まで、10%まで、5%まで、或いは、1%までの範囲を含むものとする。
【0033】
第1突条21と第2突条25は、第1突条21の高さH1を第2突条25の高さH2よりも高くすることもできる。この場合、第2突条25の高さH2は、第1突条21の高さH1の1/2倍、すなわち、H2/H1≧1/2とするこが好適である。第1突条21により撹拌を受けて乱流となった流体は、第2突条25により整流されるが、第2突条25を第1突条21よりもやや低く形成することで、整流時の圧力損失を低減できる。また、第1突条21の高さH1は、第2突条25の高さH2の2倍以上(H1≧2×H2)としてもよい。第2突条25の高さH2を高くすることで、整流効果を高められると共に、第2突条25の比表面積が大きくなる結果、熱伝達率を向上できる。
【0034】
第1突条21及び第2突条25は、たとえば、粉体プラズマ溶接(PTA溶接)、MIG溶接、TIG溶接、レーザー溶接などの肉盛溶接法により、肉盛ビードとして効率的に形成することができる。もちろん、押出加工により熱分解管10と一体に第1突条21及び第2突条25を作製することもできる。
【0035】
第1突条21、第2突条25は、上記した熱分解管10と同種の耐熱合金材料から形成することができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
上記の如く撹拌要素20として第1突条21と第2突条25を形成した熱分解管10に流体を流通させると、図1に矢印Aで示すように、流体は、第1突条21により撹拌作用を受け、第1突条21に沿いらせん状に旋回する流れとなる。これにより流体は、管路の径方向中心部まで撹拌されて速やかに加熱昇温することができる。また、旋回し一部が乱流となった流体は、図1に矢印Bで示すように第2突条25に当たって流れの向きが変えられて管軸方向に整流されることで、圧力損失を低減させることができる。そして、図1に矢印Cで示すように、再度下流側の第1突条21により撹拌を受ける。
【0037】
これにより、本発明の熱分解管10は、原料流体を管路の径方向中心部まで熱分解反応温度域に速やかに加熱昇温しつつ、圧力損失の増大を抑制でき、目的製品の収率向上を達成できる。
【0038】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するように解すべきものではない。又、本発明の各部構成は上記一実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【実施例】
【0039】
図5に示すように、上流側に1.6mの助走区間31を有し、下流側に図1に示す長さ0.6mの発明例の熱分解管10、又は、図6に示す長さ0.6mの比較例の熱分解管40を接続した供試熱分解管30を作製し、流体を流通させて圧力損失(kPa)、出口温度(℃)及び熱交換量(kW)を測定、比較した。熱分解管10の内径Dは、表1に示す発明例11〜16と比較例11が40mm、表2に示す発明例21〜23と比較例21が90mmである。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
発明例の熱分解管10は、図1に示すように、内部に撹拌要素としてらせん状の連続する1条の第1突条21と、第1突条21とは傾斜角度等の異なる第2突条25を形成している。表1に示すように、発明例11〜16の第1突条21の高さH1と傾斜角度θ1は同じであるが、第2突条25の高さH2、傾斜角度θ2、第2突条の高さを変えている。表2に示すように、発明例21〜23は、第1突条21の高さH1や傾斜角度θ1も変えている。また、発明例では、表1及び表2の「第1突条区間合計、第2突条区間合計、第1突条区間の占める比率」の夫々示すように、突条21,25が形成される区間の長さを変えている。たとえば、発明例12は、第1突条21の形成された第1突条区間22が0.34m、第2突条25が形成された第2突条区間26が0.26mであり、第1突条区間22の占める比率は、0.34/0.6=約56.7%である。何れの突条21,25も断面半円形であり、幅は7.0mmである。なお、第1突条21と第2突条25の内径Dに対する高さの比率(H1/内径D、H2/内径D)、また、第1突条21の高さH1に対する第2突条25の高さH2の比率(H2/H1)を合わせて表1、表2に示す。
【0043】
比較例11、21の熱分解管40は、図6に示すように、内部にらせん状の連続する1条の第1突条21のみを形成したものである。第1突条21の断面は半円形である。
【0044】
上記構成の供試熱分解管30を壁面が1000℃一定となるように加熱しつつ、エタン70重量%、水蒸気30重量%からなる流体を、700℃に昇温し、流入する質量流量が0.2104kg/sとなるように供給した。結果を上記表1に示す。
【0045】
表1、表2を参照すると、発明例は、比較例に比べて、出口温度及び熱交換量は略同等でありながら、圧力損失が大幅に小さくできたことがわかる。これは、撹拌要素20として設けられた第1突条21に対し、少なくとも傾斜角度が異なり、高さや形成区間の異なる第2突条25を設けたことで、第1突条21により生じた乱流が整流されたことによる(図1の矢印B)。そして、撹拌効果を具備して同等の熱伝達効率を確保しつつ、圧力損失の低減できたことで、オレフィンの収率の向上を図り、過分解によるコーキングの発生を抑制できる。
【0046】
次に、発明例同士を比較する。発明例11〜13を比較すると、第1突条区間22の占める比率を大きくすることで圧力損失はやや大きくなっている。しかしながら、第1突条区間22の占める比率を大きくしたことで撹拌効果を得つつ、撹拌された流体に対し、第2突条25による整流が行なわれることで、好適な出口温度、熱交換量を確保できることがわかる。従って、第1突条区間22の占める比率は50%以上であることが望ましい。
【0047】
第2突条25の高さH2が異なる発明例11と発明例16、また、発明例21〜23を比較すると、第2突条25の高さH2が高くなるほど、圧力損失はやや大きくなるが、好適な出口温度、熱交換量を具備できる。これは、第2突条25が適度な高さを有することで、効果的な整流効果を発揮できるためである。発明例15も参照すると、第1突条21に対する第2突条25の高さの比率は0.5以上(H2/H1≧1/2)が好適である。
【符号の説明】
【0048】
10 熱分解管
20 撹拌要素
21 第1突条
25 第2突条
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】