(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2012036242
(43)【国際公開日】20120322
【発行日】20160526
(54)【発明の名称】洗浄布ロール
(51)【国際特許分類】
   B41F 35/00 20060101AFI20160422BHJP
   B41F 35/06 20060101ALI20160422BHJP
   B41F 35/02 20060101ALI20160422BHJP
   B65D 85/672 20060101ALI20160422BHJP
   A47L 13/17 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   !B41F35/00 A
   !B41F35/06
   !B41F35/02
   !B65D85/672
   !A47L13/17 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
【出願番号】2011546503
(21)【国際出願番号】JP2011071135
(22)【国際出願日】20110915
(11)【特許番号】4915976
(45)【特許公報発行日】20120411
(31)【優先権主張番号】2010207464
(32)【優先日】20100916
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA
(71)【出願人】
【識別番号】000230113
【氏名又は名称】日本ボールドウィン株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝浦4丁目9番25号 芝浦スクエアビル
(71)【出願人】
【識別番号】594113126
【氏名又は名称】原 瑛
【住所又は居所】東京都大田区田園調布2−43−15 デイアホームズ田園調布401
(74)【代理人】
【識別番号】100089336
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 佳直
(72)【発明者】
【氏名】原 瑛
【住所又は居所】東京都大田区田園調布2−43−15 デイアホームズ田園調布401
(72)【発明者】
【氏名】和田 義則
【住所又は居所】東京都港区芝浦4丁目9番25号 芝浦スクエアビル 日本ボールドウィン株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大沼 拓
【住所又は居所】東京都港区芝浦4丁目9番25号 芝浦スクエアビル 日本ボールドウィン株式会社内
【テーマコード(参考)】
2C250
3B074
3E037
【Fターム(参考)】
2C250FA03
2C250FA09
2C250FA11
2C250FB12
3B074AA08
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3E037BC01
(57)【要約】
洗浄液が含浸された洗浄布をコアの上に巻きつけた状態でカバーが施された洗浄布ロールであって、コアに洗浄液がしみこむことがない洗浄布ロールを実現する。洗浄液が含浸された洗浄布3をコア4の上に巻きつけた状態で、カバー2を施した洗浄布ロール1において、コアの表面7,8に、コアに洗浄液がしみこまない非浸透処理部を施した。これにより、洗浄布ロールを長期間保存しても洗浄布内の洗浄液の量が安定しており、また、コアの寸法が変化したり、コアの強度が変化することがないので、洗浄布ロールから洗浄布の巻き出しが安定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液が含浸された洗浄布をコアの上に巻きつけた状態でカバーが施された洗浄布ロールにおいて、前記コアの表面に、前記コアに前記洗浄液がしみこまないようにするための非浸透処理部が施されていることを特徴とする洗浄布ロール。
【請求項2】
前記コアは、多孔質材であることを特徴とする請求項1の洗浄布ロール。
【請求項3】
前記多孔質材は、紙、布もしくは木材の小片や繊維、あるいはそれらを組み合わせて集積したものであることを特徴とする請求項2に記載の洗浄布ロール。
【請求項4】
前記非浸透処理部は、前記コアの表面に貼り付けられ、前記洗浄液を透過しないフイルム層からなることを特徴とする請求項1に記載の洗浄布ロール。
【請求項5】
前記非浸透処理部は、前記コアの表面に接着剤によって貼り付けられた表面仕上げ部材からなり、少なくとも前記接着剤が洗浄液を透過しないことを特徴とする請求項1に記載の洗浄布ロール。
【請求項6】
前記非浸透処理部は、前記コアの表面に塗布され、前記洗浄液を透過しない塗料からなることを特徴とする請求項1に記載の洗浄布ロール。
【請求項7】
前記非浸透処理部は、前記コアの外周面に施されていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄布ロール。
【請求項8】
前記非浸透処理部は、前記コアの外周面及び前記コアの両端面に施されていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄布ロール。
【請求項9】
前記非浸透処理部は、前記コアの外周面及び前記コアの内周面に施されていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄布ロール。
【請求項10】
前記非浸透処理部は、前記コアの外周面、前記コアの両端面及び前記コアの内周面に施されていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄布ロール。
【請求項11】
前記非浸透処理部は、前記コアの外周面及び内周面に施され、前記洗浄液が透過しない非透過層と、前記コアの両端面に塗布され、前記洗浄液が透過しない塗料とからなり、前記非透過層及び前記塗料によって前記コアに前記洗浄液がしみこまないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄布ロール。
【請求項12】
前記非浸透処理部は、前記コアの表面に貼り付けられたフイルム層からなり、前記フイルム層の隣接する端が部分的に重なるように前記コアの表面に貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄布ロール。
【請求項13】
前記コアの端面に施された非浸透処理部は、少なくとも前記コアの端面及び前記端面に接した前記外周面の一部を覆う端面カバーであることを特徴とする請求項8に記載の洗浄布ロール。
【請求項14】
前記コアの端面に施された非浸透処理部は、前記コアの前記端面、前記端面に接した前記外周面の一部及び前記端部に接した前記コアの内周面の一部を覆う端面カバーであることを特徴とする請求項8に記載の洗浄布ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機のシリンダ表面の汚れを洗浄布によって拭き取るシリンダ洗浄装置の洗浄布ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
新聞や商業用に使用される印刷機は、大部分がオフセット印刷機である。オフセット印刷機は多数のシリンダを備えている。それらの印刷機のシリンダの表面は、印刷中に汚れる。印刷の品質を保つには、シリンダの表面の洗浄が必要である。印刷機のシリンダの表面は、印刷工場ごとに定められた手順に従って洗浄される。
【0003】
シリンダの表面の洗浄は、基本的には、洗浄液を含ませた洗浄布によって、シリンダの表面を拭き取ることによって行う。シリンダの表面の洗浄は、作業者が手作業で行うこともできるが、通常は、印刷機に一体に組み込まれたシリンダ洗浄装置によって行う。
【0004】
シリンダ洗浄装置の代表的な例は、特許文献1に記載されている。シリンダ洗浄装置は、洗浄布を供給する供給部と、洗浄布を巻き取る巻取り部と、洗浄パッド部から構成されている。予め洗浄液を含浸させた洗浄布がコアの回りに巻きつけられ、それが洗浄布ロールとしてシリンダ洗浄装置に供給される。洗浄布ロールは、シリンダ洗浄装置の洗浄布供給部に装着される。
【0005】
洗浄布供給部に装着された洗浄布は、洗浄布の巻取り部によって巻き取られる。洗浄パッドは、必要に応じて、回転しているシリンダの表面に洗浄布を押し当てるようになっている。
【0006】
洗浄布は、洗浄液とあいまってシリンダ洗浄装置の性能を決める非常に重要な役割がある。よい洗浄布と洗浄液の組み合わせは、シリンダの表面の洗浄を能率的に短時間で行うことができ、結果的に1回の洗浄に必要な洗浄布の消費量も少なくなる。
【0007】
洗浄布ロールは、市場に供給される形態で、特許文献2に示されている。特許文献2に記載された洗浄布ロールは、洗浄液を含浸させた洗浄布がコアの上に巻きつけられ、洗浄布に含浸された洗浄液が漏れ出さないようにカバーを施した構造になっている。
【0008】
特許文献2に示された洗浄布ロールの最も特徴的な点は、洗浄布に洗浄液が含浸された状態で流通及び保存が可能なところにある。この洗浄布ロールは、洗浄液が洗浄布全体で均一に保持されるため、洗浄で使用されるときに洗浄むらがでない。また、洗浄液の含浸量は均一になるように管理されるため、洗浄布ロールの個体によって、洗浄条件がばらつくことがない。このことにより、特許文献2に記載された洗浄布ロールは、シリンダ洗浄装置に装着され、消費されるまでの期間が短い場合は、理想的な洗浄布と洗浄液の状態を維持することができる。特許文献2に記載された洗浄布ロールは、コアとして紙管などが使用される。紙管の代表的な構造は、特許文献3に記載されたような、スパイラル紙管などが使用される。スパイラル紙管は、一定の幅の紙のテープをマンドレルの上にスパイラルに巻き固めて作ったものである。なお、コアの素材は、紙に限らず、繊維、木材等の繊維、木材等の破片を集積材とした多孔質材を使用することができる。
【0009】
コアは、洗浄布がシリンダ洗浄装置で使用される間、洗浄布ロールの精度と強度を維持する役割がある。精度は、コアの寸法に関するものであり、常にシリンダ洗浄装置の保持機構と正確に適合する必要がある。また、強度は、洗浄布が使用されるときに、洗浄布ロールの変形が起こらないように維持する必要がある。
【0010】
コアの材質は、再使用を前提にすれば、耐久性のある金属、合成樹脂でも実現可能である。しかし、コアは洗浄布を使用した後は廃棄される。使用済みのコアを再度洗浄布ロールの製造工程に戻して、同じ目的のコアとして再利用するためには、運送、洗浄及び再利用を行う前の品質検査が必要となる。そのため、大規模な印刷工場において大量に再利用する場合を除けば、妥当なコストで再利用することはできない。安価な紙などの多孔質材を使用し、廃棄物として処理する(焼却や再溶融しての再生利用を含む)のが合理的である考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−38687号公報
【特許文献2】特開平07−156372号公報
【特許文献3】特開平2011−105340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
洗浄液が含浸された洗浄布をコアの上に巻きつけた状態でカバーを施した従来の洗浄布ロールは、コアに洗浄液がしみこむという課題があった。特に、洗浄布ロールの保存期間が長い場合は、洗浄布に含浸させた洗浄液が、コアに徐々にしみこむため、洗浄布に含浸された洗浄液の量が経時変化する。洗浄布に含浸された洗浄液がコアに浸み込むことにより、洗浄布に含浸された洗浄液が経時的に減少するので、洗浄布の当初の設計通りの洗浄性能が発揮できない。また、従来のコアでは、洗浄液が浸みこみやすい部分と浸み込みにくい部分が点在するので、不均一になりやすい。その結果、洗浄液の分布変化或いは不均一な状態が生じ、洗浄布の洗浄効果も不均一になりやすい。
この原因は、コアの材質が、廃棄の工程を考慮して、紙などの多孔質材を使用しているところにある。
【0013】
さらに、コアに洗浄液がしみこむと、しみこんだ洗浄液は、コアを廃棄するときにそのまま有効な洗浄液として利用されることなく廃棄されるので、無駄が生じる。また、コアに洗浄液がしみこむと、コアの寸法精度が低下したり、コアの強度が低下することがある。 また、洗浄液がしみこんだコアは、コアを再生して利用するときに、コアとしみこんだ洗浄液とを分離するのが難しくなる。
【0014】
本発明は、洗浄液が含浸された洗浄布をコアの上に巻きつけた状態でカバーが施された洗浄布ロールであって、洗浄布ロールを長期間保存しても、コアに洗浄液がしみこむことがない洗浄布ロールを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る洗浄布ロールは、
洗浄液が含浸された洗浄布をコアの上に巻きつけた状態でカバーが施された洗浄布ロールにおいて、前記コアの表面に、前記コアに前記洗浄液がしみこまないようにするための非浸透処理部が施されている。
【0016】
好ましくは、前記コアは、多孔質材である。
【0017】
好ましくは、前記多孔質材は、紙、布もしくは木材の小片や繊維、あるいはそれらを組み合わせて集積したものである。
【0018】
好ましくは、前記非浸透処理部は、前記コアの表面に貼り付けられ、前記洗浄液を透過しないフイルム層からなる。
【0019】
好ましくは、前記非浸透処理部は、前記コアの表面に接着剤によって貼り付けられた表面仕上げ部材からなり、少なくとも前記接着剤が洗浄液を透過しない。
【0020】
好ましくは、前記非浸透処理部は、前記コアの表面に塗布され、前記洗浄液を透過しない塗料からなる。
【0021】
好ましくは、前記非浸透処理部は、前記コアの外周面に施されている。
【0022】
好ましくは、前記非浸透処理部は、前記コアの外周面及び前記コアの両端面に施されている。
【0023】
好ましくは、前記非浸透処理部は、前記コアの外周面及び前記コアの内周面に施されている。
【0024】
好ましくは、前記非浸透処理部は、前記コアの外周面、前記コアの両端面及び前記コアの内周面に施されている。
【0025】
好ましくは、前記非浸透処理部は、前記コアの外周面及び内周面に施され、前記洗浄液が透過しない非透過層と、前記コアの両端面に塗布され、前記洗浄液が透過しない塗料とからなり、前記非透過層及び前記塗料によって前記コアに前記洗浄液がしみこまないように構成されている。
【0026】
好ましくは、前記非浸透処理部は、前記コアの表面に貼り付けられたフイルム層からなり、前記フイルム層の隣接する端が部分的に重なるように前記コアの表面に貼り付けられている。
【0027】
好ましくは、前記コアの端面に施された非浸透処理部は、少なくとも前記コアの端面及び前記端面に接した前記外周面の一部を覆う端面カバーである。
【0028】
好ましくは、前記コアの端面に施された非浸透処理部は、前記コアの前記端面、前記端面に接した前記外周面の一部及び前記端部に接した前記内周面の一部を覆う端面カバーである。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る洗浄布ロールは、洗浄布ロールのコアに洗浄液がしみこまない。そのため、コアに浸み込む分の洗浄液量或いは分布変化を考慮する必要がなく、洗浄液の削減が可能である。また、使用済のコアとともに廃棄される洗浄液がなくなるため、洗浄液が無駄になることがない。また、コアに洗浄液がしみこまないので、洗浄布ロールを長期間保存しても洗浄布内の洗浄液の量或いは分布が安定している。また、コアに洗浄液がしみこまないため、コアの寸法が変化したり、コアの強度が変化したりすることがなく、洗浄布ロールから洗浄布の繰り出しが安定し均一な洗浄効果を得ることが出来る。さらに、コアを廃棄する場合に、コアには洗浄液がしみこんでいないため、改めて洗浄液を分離する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、洗浄布ロールの外観図である。
【図2】図2は、洗浄布ロールの断面図である。
【図3】図3は、コアの断面の部分拡大図である。
【図4】図4は、非浸透処理部の第1の実施形態を示す図である。
【図5】図5は、非浸透処理部の第2の実施形態を示す図である。
【図6】図6は、非浸透処理部の第3の実施形態を示す図である。
【図7】図7は、コアの形状の第1の例を示す図である。
【図8】図8は、コアの形状の第2の例を示す図である。
【図9】図9は、洗浄液を洗浄布に含浸させる工程の第1の例を示す図である。
【図10】図10は、洗浄液を洗浄布に含浸させる工程の第2の例を示す図である。
【図11】図11は、コアの非浸透層の説明図である。
【図12】図12は、コアの非浸透処理部の説明図である。
【図13】図13は、コアの端部の端面カバーの第1の例の説明図である。
【図14】図14は、コアの端部の端面カバーの第1の例の構造説明図である。
【図15】図15は、コアの端部の端面カバーの第2の例の説明図である。
【図16】図16は、コアの端部の端面カバーの第2の例の構造説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明を実施した洗浄布ロールの外観図である。洗浄布ロール1は、全体が洗浄液を透過しないポリエチレン等のカバー2によって覆われている。洗浄布3は、円筒状のコア4の外周に巻かれている。洗浄布3の幅は、印刷機の洗浄対象とするシリンダの長さとほぼ同じである。コア4の長さは、図1に示した例では、洗浄布3の幅とほぼ同じであるが、シリンダ洗浄装置によっては、コア4の長さは、洗浄布3の幅より長い場合がある。
【0032】
図1では、カバー2は、密閉した袋状からなる。カバー2は、片側が開いた密閉しない袋、簡易に開閉可能な袋、両側が開いたストロー状の袋、1枚のシートでバンドルしたものなどを含む。カバー2が、片側が開いた袋、又は両端が開いたストロー状の袋の場合は、開いた側を折り曲げて、簡易的に封をすることができる。図1に示したカバー2は、洗浄布3から含浸した洗浄液が流出しなければよいので、開いた部分は、開閉可能な簡易な封でよく、または封で閉じなくてもよい。コア4は、両端面5、6を備える。
【0033】
洗浄布3は、洗浄液が含浸された状態でコア4の外周に巻かれる。洗浄液は、印刷機で使用されるインキの種別や、洗浄対象とされるシリンダによって異なる。洗浄液は、石油系溶剤、植物性溶剤、水溶性の界面活性剤などを単独あるいは混合したものを主な成分とする。洗浄液の役割は、インキや紙粉を軟化させ、洗浄布での拭き取りを容易にする。
洗浄布3は、洗浄液を含浸させることが可能で、かつシリンダの表面に押し当てることのできる引張り強度を備えた組成の不織布を使用する。図1に示した洗浄布ロール1は、カバー2で覆われた状態で流通され、保管される。
【0034】
図2は、図1に示した洗浄布ロール2の断面図であり、図1のA−B線からみた断面を示している。コア4は、円筒又は円柱状の構造物である。コア4は、第2の例を示す図2及び図8の通り、中心にシャフト穴41を設けるが、第1の例を示す図7の通り、シャフト穴41を設けない場合もある。シャフト穴41は、洗浄布3をシリンダ洗浄装置に装着するときに、シリンダ洗浄装置側の装着シャフトに係合するための穴であり、貫通している場合と貫通していない場合がある。シャフト穴41の寸法はシリンダ洗浄装置の機種に依存する。また、シリンダ洗浄装置の機種によっては、洗浄布のロールの外周を支持する構造になっており、シャフト穴41を使用しない。その場合にはコア4には、シャフト穴41が不要である。すなわちコア4は、円柱状のソリッドである。外周面7とシャフト穴41が存在する場合には、コア4が内周面8を備える。すなわちコア4は、円筒状のホローである。コア4の素材は、多孔質材である。多孔質材は、紙、布、木材の小片あるいは木材の繊維などを集積したものである。また、それらの材料は、自然の素材に限らず、工業的に重合して製造したものでもよい。コア4は、洗浄布3が巻き出されると廃棄物として残る。コア4は、焼却などが容易な素材を選択する。
【0035】
図9は、洗浄液を洗浄布に含浸させる工程の第1の例であり、図10は洗浄液を洗浄布に含浸させる工程の第2の例である。図9は、コア4に洗浄布3を巻き取りながら、洗浄液を含浸させる例である。洗浄液トレイ18には、洗浄液19が入れられている。コア4は、反時計方向に回転しながら、巻き取られる前の洗浄布20を巻き取っていき、巻き取った後の洗浄布3を備える。コア4に巻き取られる前の洗浄布20は、コア4に巻き取られる途中で、洗浄液トレイ18の洗浄液19の中を通過する。なお、コア4に巻かれる洗浄布20に洗浄液を供給するには、スプレーノズル21によって、スプレー22のように吹き付けて供給することもできる。さらには、図示はしないが、常に洗浄液で濡れたローラーを押し付けてもよく、それらを組み合わせてもよい。
【0036】
図10は、まずコア4に洗浄布3を巻きつけ、その後に洗浄布3に洗浄液を含浸する工程の例を示したものである。洗浄液皿23には、洗浄液24が入れられている。Dは、コア4に洗浄布3を巻き取る工程である。Eは、コア4を回転させながら、洗浄布3を洗浄液24に接触させ、洗浄布3に洗浄液24を含浸させる工程である。Fは、所定の洗浄液24を洗浄布3に含浸させたあと、洗浄液皿23から取り出す工程である。この後、図1に示したカバー2で覆うことにより、洗浄布ロールは完成となる。
【0037】
図3は、図2に示した断面図の円筒状のコア4の部分拡大図である。コア4の外周面7には洗浄液が含浸された洗浄布3が巻かれる。コア4が多孔質であると、洗浄布3の洗浄液が徐々にコア4にしみこむ。コア4の外周面7には、非浸透処理部9が施される。非浸透処理部9は、洗浄布3に含浸した洗浄液を透過しない。図1において、洗浄布3に含浸した洗浄液の流動性が高いか、あるいは洗浄布3に含浸した洗浄液の量が多い場合は、洗浄布3の洗浄液は端面5及び端面6を回ってコア4にしみこむ可能性がある。このような場合は、コア4の外周面7だけではなく、端面5及び端面6もコア4の表面として非浸透処理部9を施す。
【0038】
また、洗浄布3に含浸した洗浄液が、コア4の内周面8からコア4にしみこむ場合は、コア4の内周面8もコア4の表面として非浸透処理部10を施す。コア4の端面5、端面6及び内周面8に施される非浸透処理部9,10は、洗浄液のしみこむ量に応じて選択的で良い。
【0039】
図4、図5、図6は、図3のK部分を拡大して示す。図4は、コア4の表面に施した非浸透処理部9の第1の実施形態を示す。図4において、コア4の表面である外周面7には、フイルムシート12が貼り付けられている。非浸透処理部9は、フイルムシート12と接着剤13によって構成されたフィルム層11からなる。フイルムシート12は、洗浄液を透過しないもので、例えばポリエチレンなどでよい。接着剤13は、フイルムシート12とコア4の外周面7とを接着する。図4に示したフイルム層11を使用した非浸透処理部9の利点は、コア4を廃棄するときに、必要に応じてコア4からフイルムシート12を分離することが容易であるという利点がある。非浸透処理部9は、細長いテープ状のフイルムシート12をらせん状に使用したスパイラル管の構造でもよく、幅の広いシート状のフイルムシート12を巻いた平巻管の構造としてもよい。また、コア4の外周面7及び内周面8のどちらかをスパイラル管の構造とし、他のひとつを平巻管の構造としてもよい。
【0040】
図5は、非浸透処理部9の第2の実施の形態を示したものである。図5に示した例では、コア4の外周面7に、コア4の保護部材として、表面仕上げ部材14を接着剤16によって付着させ、貼り付けたものである。非浸透処理部9は、表面仕上げ部材14と接着剤16とによって構成される。表面仕上げ部材14は、コア4の外周面7と洗浄布3の密着が良い材料でよく、例えば薄紙でよい。表面仕上げ部材14は、洗浄液がしみこんでもよく、透過してもよい。接着剤16は、洗浄液を透過させないものを選択し、例えばエポキシ樹脂系接着剤を使用する。図5に示した実施の形態は、洗浄布3との密着性の良い仕上げとすることができる利点がある。
【0041】
図6は、非浸透処理部9の第3の実施の形態を示したものである。図6において、非浸透処理部9は、コア4の外周面に塗布又は含浸された塗料17によって構成される。塗料17は、洗浄液がコア4にしみこまないように、洗浄液を透過しないものを選択し、例えば紫外線硬化塗料、熱硬化塗料、乾燥硬化塗料、油性塗料、水性塗料などを選択する。また、塗料17としては、洗浄液に耐性のある材料であれば、高い温度によって流動性を示し、低い温度で固化するパラフインなどの蝋状物質を選択することができる。この場合は、コア4を予熱しておき、その後、蝋状物質を温度が高い状態でスプレーし、塗布が完了したあと冷却するようにしてもよい。また、塗料17としては、揮発性の溶剤に、樹脂を溶解した塗料の場合は、コア4の外周面7、内周面8、端面5、6に塗料をスプレーしたり、塗料中にコア4を沈めることで、コア4全体に非浸透塗布処理部9を施すこともできる。塗料17は、コア4の表面に膜状に固定するようにしてもよいが、一部はコア4に含浸させることにより、より完全な非浸透処理とすることが可能である。
【0042】
上記の通り、コア4の外周面7に施される非浸透処理部9は、フイルムの貼り付け、接着剤によって表面仕上げ材を接着、塗装などいろいろな形態を用いることができる。図6に示した塗料を使用する実施の形態は、コア4の端面5、6に非浸透処理部9を施すことが容易である。コア4の内周面8は、外周面7と同様に、いろいろな実施の形態によってまたは組み合わせて非浸透処理部10を施すことが可能である。
【0043】
図11は、コア4の非浸透処理部9,10としての非浸透層の説明図である。コア4は、代表的な製造方法として、細いテープ状の素材をらせん状に巻きつけたスパイラル管とする方法と、幅の広いシートを巻きつけた平巻管とする方法がある。図11の例は、スパイラル管であって、外周面7及び説明のためだけに仮想的な穴28を通して内周面8を見えるように露出させたものである。外周面7及び内周面8には、非浸透層としてフイルムシートを貼りつけたフイルム層11とした。フイルム層11は、隣接する端が部分的に重なる重なり部分29、30が形成されるように貼りつけるのが望ましい。重なり部分29、30の形成は、必須ではないが、重なり部29、30を設けることにより、フイルム層11の隣接した端の部分の隙間からコア4に洗浄液が浸み込むことを、より確実に防ぐことができる。
【0044】
図12は、図11に示したコア4の非浸透処理部9の説明図である。図12は、図11に示したコア4の端面5の部分を拡大して、かつ断面として示したものである。内周面8は、コア4を製造するときにマンドレルに接する。内周面8のフイルム層11は、30に示す部分で一部が重なっている。外周面7のフイルム層11は、29に示した部分で一部重なっている。フイルム層11を重ねることにより、洗浄液が浸透する隙間がなくなる。
【0045】
また、図12において、端面5に非浸透処理部10として、非浸透塗布処理を施す例を示している。非浸透処理部10は、塗料31によって構成され、塗料31は、例えば有機溶剤に合成樹脂を溶解して調製してなる。端面5の塗料31は、外周面7及び内周面8の非浸透処理を行った後に塗布してもよく、非浸透処理を行う前に塗布してもよい。図12では、外周面7及び内周面8の非浸透処理を行った後に塗布した例を示している。塗料31は、外周面7の被覆部分32、内周面8の被覆部分33及び端面5の被覆部分34によって、コア4をすきまなく覆い、コア4に洗浄液が浸透しないように塗布するのがよい。また、塗料31の流動性を高くすれば、塗料31は、コア4への含浸部分35を形成することができる。含浸部分35は、何らかの原因で被覆部分32、33、34に隙間や亀裂が生じても、コア4への洗浄液の浸透を少なくする効果がある。
【0046】
図13は、端面カバー36の第1の例である。端面カバー36は、端面5に接した外周面7の一部である被覆部37、及び端面5に接した内周面8の一部である被覆部38を覆う構造物である。端面カバー36は、図12に示した塗料31と実質的に同じ役割を果たす。すなわち、端面カバー36は、コア4の端部5側に装着することができる。端面カバー36は、被覆部37を覆う外側被覆部39と、被覆部38を被覆する内側被覆部40とを備えている。内側被覆部40で構成された端面カバー36の穴41は、コア4を貫通又は保持するシャフトを装着できる。
【0047】
端面カバー36がコア4に装着された後に、当該コア4に洗浄布3が巻きつけられる。図14は、コア4に、端面カバー36を装着し、洗浄布3を巻いた状態を断面図として示している。図14に示すように、端面カバー36は、コア4の端面5を全周で覆うほか、コア4の端面5と接した外周面7の一部である被覆部37を端面カバー36の外側被覆部39で覆い、コア4の端面5と接した内周面8の一部である被覆部38を端面カバー36の内側被覆部40によって一体として覆う。
【0048】
図15は、端面カバー42の第2の例であり、図16は、第2の端面カバー42をコア4とともに断面図として示したものである。端面カバー42は、端面カバー36と異なり、外側被覆部39をもつが、端面カバー36が備える内側被覆部40を備えていない。すなわち端面カバー42が覆うのは、コア4の端面5と、端面5に接した外周面7の一部である被覆部37である。その代わり、コア4の内周面8の開口44と、端面カバー42の穴43を同じ径にすることができる。従って、端面カバー42をコア4に装着しても、コア4及びコア4を貫通又は保持するシャフトの寸法を変更することなく実施可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 洗浄布ロール
2 カバー
3 洗浄布
4 コア
5、6 端面
7 外周面
8 内周面
9、10 非透過処理部
11 フイルム
14 表面仕上げ部材
16 接着剤
17 塗料
36、42 端面カバー
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【国際調査報告】