(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013022051
(43)【国際公開日】20130214
【発行日】20150427
(54)【発明の名称】多孔質構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 31/02 20060101AFI20150331BHJP
   H01G 9/20 20060101ALI20150331BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20150331BHJP
【FI】
   !C01B31/02 101F
   !H01G9/20 111A
   !H01G9/20 111B
   !H01G9/20 111C
   !H01M4/86 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】96
【出願番号】2013528059
(21)【国際出願番号】JP2012070280
(22)【国際出願日】20120808
(31)【優先権主張番号】2011173229
(32)【優先日】20110808
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2011278816
(32)【優先日】20111220
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 日本生物工学会 第63回日本生物工学会大会講演要旨集,発行日 平成23年8月25日、日本生物工学会 生物工学 会誌 第89巻 第11号,発行日 平成23年11月25日、応用物理学会 2011年秋季 第72回応用物理学会学術講演会 「講演予稿集」,発行日 平成23年8月16日、http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2011/cc/c1cc15221a, 掲載日 平成23年11月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目15番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100113103
【弁理士】
【氏名又は名称】香島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】井之上 一平
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の素株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】山下 一郎
【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916−5 国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学内
(72)【発明者】
【氏名】鄭 彬
【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916−5 国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学内
(72)【発明者】
【氏名】安枝 寿
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の素株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】浦岡 行治
【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916−5 国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学内
(72)【発明者】
【氏名】石河 泰明
【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916−5 国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学内
【テーマコード(参考)】
4G146
5H018
【Fターム(参考)】
4G146AA02
4G146AA11
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4G146BB04
5H018AA01
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5H018HH03
5H018HH04
(57)【要約】
光触媒活性、電気的特性などに優れた機能性材料を提供する。多孔質構造体10は、第1の標的材料20と、該第1の標的材料に被着して、該第1の標的材料の周囲を取り囲むように位置している、第1の標的材料が凝集した凝集体30とを含み、前記凝集体が、該凝集体の前記第1の標的材料寄りに偏在する複数の第1の空孔部32、及び前記凝集体に散在する複数の第2の空孔部34を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の標的材料と、該第1の標的材料に被着して、該第1の標的材料の周囲を取り囲むように位置している、第2の標的材料が凝集した凝集体とを含み、
前記凝集体が、該凝集体の前記第1の標的材料寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び前記凝集体に散在する複数の第2の空孔部を備える、多孔質構造体。
【請求項2】
前記第1の標的材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノホン、グラフェンシート、フラーレン、及びグラファイトからなる群から選択される炭素材料である、請求項1に記載の多孔質構造体。
【請求項3】
前記第2の標的材料が酸化チタン又は酸化亜鉛である、請求項1又は2に記載の多孔質構造体。
【請求項4】
前記第1の空孔部に配置されており、前記第2の標的材料とは異なる金属粒子をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質構造体。
【請求項5】
前記金属粒子が、酸化鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、リン、ウラン、ベリリウム、アルミニウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、パラジウム、クロム、銅、銀、ガドリウム錯体、白金コバルト、酸化シリコン、酸化コバルト、酸化インジウム、白金、金、硫化金、セレン化亜鉛、及びカドミウムセレンからなる群から選択される金属ナノ粒子である、請求項4に記載の多孔質構造体。
【請求項6】
前記金属粒子が酸化鉄ナノ粒子である、請求項5に記載の多孔質構造体。
【請求項7】
前記第1の空孔部の径が5nm〜15nmの範囲内である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔質構造体。
【請求項8】
複数の前記第1の空孔部それぞれの前記第1の標的材料の表面からの距離が、1nm〜500nmの範囲内であり、かつ同一である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多孔質構造体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の多孔質構造体を機能性材料として含む、電子デバイス。
【請求項10】
太陽電池である、請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記太陽電池が、前記多孔質構造体を電極の材料として、又は電極上に配置される機能性材料として含む、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項12】
色素増感太陽電池である、請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
第1の標的材料に、該第1の標的材料に結合し得る第1のペプチド部分、第2の標的材料に結合し得る第2のペプチド部分、及び内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分を含む融合タンパク質からなる、内腔を有する融合タンパク質多量体を結合させ、さらに前記融合タンパク質多量体に前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体を結合させて、前記融合タンパク質多量体に前記第1の標的材料と前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体とが結合した複合体を調製する工程と、
前記複合体を焼成して前記融合タンパク質多量体を消滅させて、前記第1の標的材料の周囲を取り囲むように位置して前記第1の標的材料に被着しており、前記第1の標的材料寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び散在する複数の第2の空孔部を備える凝集体を形成する工程と
を含む、多孔質構造体の製造方法。
【請求項14】
前記複合体を調製する工程が、前記融合タンパク質多量体に前記第1の標的材料と前記第2の標的材料の前駆体とが結合した複合体を調製する工程であり、
前記凝集体を形成する工程が、前記複合体を焼成して前記融合タンパク質多量体を消滅させ、かつ前記第2の標的材料の前駆体を第2の標的材料とすることにより、前記凝集体を形成する工程である、請求項13に記載の多孔質構造体の製造方法。
【請求項15】
前記複合体を調製する工程が、前記融合タンパク質多量体に前記第2の標的材料の前駆体を結合させるとともに、前記第2の標的材料を前記第1の標的材料の周囲に析出させる工程である、請求項14に記載の多孔質構造体の製造方法。
【請求項16】
前記第1の標的材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノホン、グラフェンシート、フラーレン、及びグラファイトからなる群から選択される炭素材料である、請求項13〜15のいずれか1項に記載の多孔質構造体の製造方法。
【請求項17】
前記第2の標的材料が酸化チタン又は酸化亜鉛である、請求項13〜16のいずれか1項に記載の多孔質構造体の製造方法。
【請求項18】
前記融合タンパク質多量体が、前記内腔に内包された、前記第1の標的材料とは異なる金属粒子をさらに含み、
前記第1の空孔部に前記金属粒子をさらに含む凝集体が形成される、請求項13〜17のいずれか1項に記載の多孔質構造体の製造方法。
【請求項19】
前記金属粒子が、酸化鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、リン、ウラン、ベリリウム、アルミニウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、パラジウム、クロム、銅、銀、ガドリウム錯体、白金コバルト、酸化シリコン、酸化コバルト、酸化インジウム、白金、金、硫化金、セレン化亜鉛、及びカドミウムセレンからなる群から選択される金属ナノ粒子である、請求項18に記載の多孔質構造体の製造方法。
【請求項20】
前記金属粒子が酸化鉄ナノ粒子である、請求項19に記載の多孔質構造体の製造方法。
【請求項21】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の多孔質構造体を機能性材料として用いて機能性の構造を形成する工程を含む、電子デバイスの製造方法。
【請求項22】
透明電極を備えた基板を準備する工程と、
第1の標的材料に、第1の標的材料に結合し得る第1のペプチド部分、第2の標的材料に結合し得る第2のペプチド部分、及び内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分を含む融合タンパク質からなる、内腔を有する融合タンパク質多量体を結合させて結合体とし、該結合体と前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体とを結合させて複合体を得る工程と、
前記複合体を含む材料を、前記透明電極上に載せる工程と、
前記透明電極上の前記材料を焼成し、前記融合タンパク質多量体を消滅させて、前記第2の標的材料を含み、前記第1の標的材料の周囲を取り囲むように位置して前記第1の標的材料に被着しており、前記第1の標的材料寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び散在する複数の第2の空孔部を備える凝集体を有する多孔質構造体を含む構造を、前記透明電極上に形成する工程と、
前記多孔質構造体に増感色素を坦持させて光電極を形成する工程と、
前記光電極と、対向電極とを電解液を注入して封止する工程と
を含む、色素増感太陽電池の製造方法。
【請求項23】
前記複合体の終濃度が1重量%未満となるように、前記多孔質構造体を含む構造を形成する、請求項22に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
【請求項24】
前記複合体の終濃度が0.06重量%〜0.5重量%の範囲となるように、前記多孔質構造体を含む構造を形成する、請求項23に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
【請求項25】
透明電極を備えた基板を準備する工程と、
第1の標的材料に、第1の標的材料に結合し得る第1のペプチド部分、第2の標的材料に結合し得る第2のペプチド部分、及び内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分を含む融合タンパク質からなる、内腔を有する融合タンパク質多量体を結合させて結合体とし、該結合体と前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体とを結合させて複合体とし、該複合体を焼成して前記融合タンパク質多量体を消滅させて、前記第2の標的材料を含み、前記第1の標的材料の周囲を取り囲むように位置して前記第1の標的材料に被着しており、前記第1の標的材料寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び散在する複数の第2の空孔部を備える凝集体を有する多孔質構造体を形成する工程と、
前記多孔質構造体、前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体を含む材料を、前記透明電極上に載せる工程と、
前記透明電極上の前記材料を加熱処理して、前記透明電極上に前記多孔質構造体を含む構造を形成する工程と、
前記多孔質構造体に増感色素を坦持させて光電極を形成する工程と、
前記光電極と、対向電極とを電解液を注入して封止する工程と
を含む、色素増感太陽電池の製造方法。
【請求項26】
前記第1の標的材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノホン、グラフェンシート、フラーレン、及びグラファイトからなる群から選択される炭素材料である、請求項22〜25のいずれか1項に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
【請求項27】
透明電極を備えた基板を準備する工程と、
前記透明電極上に、第1の標的材料である1以上のカーボンナノチューブを前記基板の厚み方向に延在するように配列させる工程と、
前記カーボンナノチューブに、該カーボンナノチューブに結合し得る第1のペプチド部分、第2の標的材料の前駆体に結合し得る第2のペプチド部分、及び内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分を含む融合タンパク質からなり、前記内腔を有する融合タンパク質多量体を結合させて結合体とし、該結合体と前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体とを結合させて複合体とする工程と、
前記混合物を焼成して前記融合タンパク質多量体を消滅させて、前記第2の標的材料を含み、前記カーボンナノチューブの周囲を取り囲むように位置して前記カーボンナノチューブに被着しており、前記カーボンナノチューブ寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び散在する複数の第2の空孔部を備える凝集体を有する多孔質構造体を含む構造を、前記透明電極上に形成する工程と、
前記多孔質構造体に増感色素を坦持させて光電極を形成する工程と、
前記光電極と、対向電極とを電解液を注入して封止する工程と
を含む、色素増感太陽電池の製造方法。
【請求項28】
前記透明電極上に、第1の標的材料である1以上のカーボンナノチューブを前記基板の厚み方向に延在するように配列させる工程が、基板上に無機材料を吸着させる工程と、前記無機材料を種としてカーボンナノチューブを成長させてカーボンナノチューブ配列基板を得る工程と、該カーボンナノチューブ配列基板の前記カーボンナノチューブを透明電極上に転写する工程とを含む、請求項27に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
【請求項29】
前記基板上に前記無機材料を吸着させる工程が、サイズの異なる2種以上の無機材料内包性タンパク質を基板上に配列させて吸着させる工程である、請求項28に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
【請求項30】
前記基板上に前記無機材料を吸着させる工程が、前記基板がシリコン酸化膜が設けられた基板を用いて、前記無機材料内包性タンパク質を前記シリコン酸化膜上に配列させて吸着させる工程である、請求項29に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
【請求項31】
前記無機材料内包性タンパク質が、フェリチンタンパク質、Dpsタンパク質、CDTタンパク質またはそれらの改変タンパク質から選ばれる1種以上のタンパク質である、請求項29又は30に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
【請求項32】
前記第2の標的材料が酸化チタン又は酸化亜鉛である、請求項22〜31のいずれか1項に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
【請求項33】
請求項22〜32のいずれか1項に記載の製造方法により、得ることができる色素増感太陽電池。
【請求項34】
透明電極を備えた基板と、
前記透明電極上に設けられている光電変換層であって、第1の標的材料と、第2の標的材料を含み、前記第1の標的材料の周囲を取り囲むように位置して前記第1の標的材料に被着しており、前記第1の標的材料寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び散在する複数の第2の空孔部を備える凝集体とを有する多孔質構造体を含み、該多孔質構造体が増感色素を坦持している前記光電変換層と、
前記光電極と対向電極とを対向させ、かつ前記光電極及び前記対向電極が電解液に接触するように封止する封止部と
を含む、色素増感太陽電池。
【請求項35】
透明電極を備えた基板と、
前記透明電極上に設けられている光電変換層であって、前記基板の厚み方向に延在するように配列させた、第1の標的材料である1以上のカーボンナノチューブと、前記第2の標的材料を含み、前記カーボンナノチューブの周囲を取り囲むように位置して前記カーボンナノチューブに被着しており、前記カーボンナノチューブ寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び散在する複数の第2の空孔部を備える凝集体とを有する多孔質構造体を含み、該多孔質構造体が増感色素を坦持している前記光電変換層と、
前記光電極と対向電極とを対向させ、かつ前記光電極及び前記対向電極が電解液に接触するように封止する封止部と
を含む、色素増感太陽電池。
【請求項36】
前記第1の標的材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノホン、グラフェンシート、フラーレン、及びグラファイトからなる群から選択される炭素材料である、請求項33に記載の色素増感太陽電池。
【請求項37】
前記第2の標的材料が酸化チタン又は酸化亜鉛である、請求項34〜36のいずれか1項に記載の色素増感太陽電池。
【請求項38】
1以上のカーボンナノチューブが厚み方向に延在するように配列された、カーボンナノチューブ配列基板の製法であって、
サイズの異なる2種以上の無機材料内包性タンパク質を基板上に配列し吸着させる工程と、前記無機材料内包性タンパク質に内包された無機材料を種としてカーボンナノチューブを成長させる工程とを含む、カーボンナノチューブ配列基板の製造方法。
【請求項39】
サイズの異なる2種以上の無機材料内包性タンパク質を基板上に配列し吸着させる工程が、シリコン酸化膜が設けられた基板を用いて、前記無機材料内包性タンパク質を前記シリコン酸化膜上に吸着させることにより行われる、請求項38に記載のカーボンナノチューブ配列基板の製造方法。
【請求項40】
前記無機材料内包性タンパク質が、フェリチンタンパク質、Dpsタンパク質、CDTタンパク質またはそれらの改変タンパク質から選ばれる1種以上のタンパク質である、請求項38又は39に記載のカーボンナノチューブ配列基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質構造体に関する。具体的には、導電性、光触媒特性などの有用な特性を有する多孔質構造体、この多孔質構造体を機能性材料として用いた電子素子、及びこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、酸化チタンは、光が照射されることで、光のエネルギーにより酸化チタン粒子の表面に還元力を有する電子と酸化力を有する正孔とを発生する。これら電子の還元力及び正孔の酸化力を用いる機能性材料であって、抗菌機能、脱臭機能、大気浄化機能、防汚機能、水素発生機能、電荷分離機能などの機能を有する機能性材料としての応用が試みられている(非特許文献1)。
【0003】
例えば、照射された光によって酸化チタン粒子の表面に発生した酸化力を用いて水酸化物イオンを酸化すれば、強い酸化力を有するラジカルを発生させることができる。このラジカルは、その酸化力によって、殺菌機能、アセトアルデヒド、アンモニアなどの臭気物質を分解する消臭機能、空気中のNOx、ホルムアルデヒドなどの有害物質を分解する大気浄化機能、そして埃などを分解する防汚機能を有し得る。
【0004】
また、発生した酸化還元力を用いて水を電気分解し、酸素と水素とを発生させて、水素をクリーンなエネルギーとして利用することも試みられている。さらに、照射された光によって酸化チタン粒子で発生した電子を外部に取り出すことで、太陽電池として動作させることができる。
【0005】
酸化チタンを用いた機能性材料の性能をより向上させるためには、酸化チタンを用いた機能性材料の表面積をより増大させたり、電気的特性をより向上させたりすることが考えられる。
【0006】
すなわち、酸化チタンを用いた機能性材料の表面積を増大させることで、照射された光のエネルギーにより発生する還元力を有する電子と酸化力を有する正孔との総数を増加させることができる。また、導電性などの電気的特性を向上させることで、照射された光により励起した電子が正孔と再結合してしまう確率を低くすることができる。結果として、より多くの電荷を得ることができ、より強い酸化力を得ることができる。
【0007】
酸化チタンを用いた機能性材料の表面積を向上させる方法として、酸化チタンを微細な粒子状にする技術が知られている。具体的には、チタンイオン錯体を加水分解することで、酸化チタンのナノ粒子を製造している(特許文献1)。さらに、パルスレーザーを用いて、酸化チタンのナノ粒子、酸化チタンのナノ粒子の膜を形成する方法(特許文献3)、大気圧原子層堆積法を用いて、酸化チタンのナノ粒子を堆積させて、多孔質層を形成する技術が知られている(特許文献4)。
【0008】
カーボンナノチューブ(以下、CNTと称する。)、カーボンナノホンなどの炭素結晶構造を有するナノ黒鉛構造体(カーボンナノ材料)は、電気的特性及び構造を考慮して他のナノ材料との複合体を構築することで電気機能性材料、触媒、及び光機能性材料などへの応用、さらには医療技術などへの応用が期待されている。
【0009】
炭素結晶構造を有するCNTと酸化チタンとのハイブリッド材料を構築して酸化チタンを用いた機能性材料の電気的特性を向上させた例が報告されている。酸化チタンをCNTの表面に結合させる方法としては、CNTを酸処理する例が知られている(非特許文献2、非特許文献3)。
【0010】
酸化チタンをCNTの表面に結合させる方法としては、例えば、チタンフルオロ錯体を用いる析出反応により、カーボンナノ材料の表面に酸化チタンを析出させる方法が報告されている。また、酸処理を行わず、CNTと酸化チタンとを結合させる技術として、CNT結合性の材料と酸化チタン結合性の材料とを利用する方法が知られている。具体的には、スチレンとマレイン酸とで構成される混合ポリマー材料を用いて、CNTと酸化チタンなどの金属酸化物粒子とを結合させる技術(特許文献2)、CNT結合ペプチド及び酸化チタン結合ペプチドが融合した35個のアミノ酸残基からなるポリペプチドを用いることで、CNTの表面を酸化チタンで被膜し、CNTの電気的特性を変化させる技術(非特許文献4)が報告されている。
【0011】
非特許文献4が開示するように、特にペプチドを用いた場合、まず、CNT結合ペプチドによりCNTをペプチドで被膜して、チタン結合ペプチドの活性により、チタン錯体からのCNTの表面へのチタンの析出を促進することで、ペプチドの周囲をチタンで被膜する。さらに、加熱することで析出したチタンを酸化して酸化チタンとして、CNTを酸化チタンで被膜している。
【0012】
金属ナノ粒子を内包したチタン膜を形成するにあたり、内腔を画成し得るポリペプチドであって、内腔に金属を格納できるフェリチンの24量体を形成し、このフェリチンの24量体にチタン結合ペプチドを融合させたタンパク質を用いる例が知られている(非特許文献5)。
【0013】
色素増感太陽電池は、有機材料を用いる太陽電池の中でも高い光電変換効率を有するため注目されている。この色素増感太陽電池に用いられる光電変換機能を有する材料としては、可視光領域に吸収を有する光増感色素として機能する分光増感色素を半導体材料の表面に吸着させた材料が挙げられる。
【0014】
例えば、色素増感太陽電池の半導体材料として、チタンフルオロ錯体を用いる析出反応により、CNTの表面を酸化チタンで被覆した構造体を用いたり、この構造体のうちのCNTのみを焼失させた構造体を用いたりする例が知られている(特許文献5、特許文献6、特許文献7及び特許文献8)。
また、ポリオキソメタレート(polyoxometalate)を用いてカーボンナノチューブをチタンでコーティングする技術が、報告されている(非特許文献6)。
さらには色素増感太陽電池の光電極の材料として、ウイルスを用いて束ねられた複数本のCNTに、二酸化チタンを析出させたナノ複合体を用いる例が知られている(非特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2007/074436号
【特許文献2】国際公開第2008/127396号
【特許文献3】国際公開第2008/118533号
【特許文献4】国際公開第2009/040499号
【特許文献5】特開2010−24133号公報
【特許文献6】特開2010−24134号公報
【特許文献7】特開2010−208941号公報
【特許文献8】特開2010−24135号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】M.A.Fox and M.T.Dulay,Chem.Rev.,1993,vol.93,p.341.
【非特許文献2】D. Eder, Chem. Rev., 2010, Vol. 110, p. 1348.
【非特許文献3】A. Kongkanand et al., Nano Lett., 2007 Vol. 7 p.676.
【非特許文献4】M.J.Pender et al.,Nano Lett.,2006,vol.6,No.1,p.44.
【非特許文献5】K. Sano et al.,Nano Lett.,2007,vol.7,No.10,p.3200.
【非特許文献6】Bin Fei et al.,Nanotechnology,2006,vol.17,p.1589.
【非特許文献7】X. Dang et al., Nature Nanotechnology., 2011, Vol. 6, p. 377.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述した従来の技術が開示する、例えば酸化チタンを用いた機能性材料では、光触媒活性、電気的特性などが十分ではない。
【0018】
具体的には、機能性材料を製造するにあたり、酸処理のような化学処理を行った場合には、CNTの電気的特性が低下してしまうため、例えば酸化チタンと結合させた構造体を構築したとしても所望の電気的特性が得られない場合がある。
【0019】
CNT結合ペプチドと酸化チタン結合ペプチドとが融合したポリペプチドを用いれば、CNTの化学処理等は必要ではないため、CNT自体の電気的特性は低下しない。しかしながら、ポリペプチドのサイズは小さいため、酸化チタンの表面積をより増大させ、光触媒活性、電気的特性などをさらに向上させることは困難であった。
【0020】
色素増感太陽電池を製造するにあたり、半導体材料(機能性材料)に増感色素を吸着させる際には、エタノール等の有機溶媒に増感色素を溶解させた色素吸着用溶液に、数μm〜数十μm程度の厚みを有する多孔性の半導体材料からなる構造体を浸漬させて行う。そのため、半導体材料からなる構造体が十分な量の増感色素が吸着できるとされる比表面積、表面荒さ係数を有していたとしても、多孔性の半導体材料からなる構造体の内部に表面積の増大に寄与し得る空孔部を有していなければ、多孔性の半導体材料からなる構造体に十分な量の増感色素を実際には坦持させることができない。
【0021】
よって、光触媒活性、電気的特性等に優れ、また例えば増感色素をより多く坦持できる構成を備える機能性材料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。本発明者らは、鋭意検討した結果、所定の構造を有する融合タンパク質多量体を用いることで、光触媒活性、電気的特性等に優れた機能性材料を製造し得ることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
【0023】
すなわち、本発明は下記の[1]〜[40]を提供する。
[1] 第1の標的材料と、該第1の標的材料に被着して、該第1の標的材料の周囲を取り囲むように位置している、第2の標的材料が凝集した凝集体とを含み、
前記凝集体が、該凝集体の前記第1の標的材料寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び前記凝集体に散在する複数の第2の空孔部を備える、多孔質構造体。
[2] 前記第1の標的材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノホン、グラフェンシート、フラーレン、及びグラファイトからなる群から選択される炭素材料である、[1]に記載の多孔質構造体。
[3] 前記第2の標的材料が酸化チタン又は酸化亜鉛である、[1]又は[2]に記載の多孔質構造体。
[4] 前記第1の空孔部に配置されており、前記第2の標的材料とは異なる金属粒子をさらに含む、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の多孔質構造体。
[5] 前記金属粒子が、酸化鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、リン、ウラン、ベリリウム、アルミニウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、パラジウム、クロム、銅、銀、ガドリウム錯体、白金コバルト、酸化シリコン、酸化コバルト、酸化インジウム、白金、金、硫化金、セレン化亜鉛、及びカドミウムセレンからなる群から選択される金属ナノ粒子である、[4]に記載の多孔質構造体。
[6] 前記金属粒子が酸化鉄ナノ粒子である、[5]に記載の多孔質構造体。
[7] 前記第1の空孔部の径が5nm〜15nmの範囲内である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の多孔質構造体。
[8] 複数の前記第1の空孔部それぞれの前記第1の標的材料の表面からの距離が、1nm〜500nmの範囲内であり、かつ同一である、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の多孔質構造体。
[9] [1]〜[8]のいずれか1つに記載の多孔質構造体を機能性材料として含む、電子デバイス。
[10] 太陽電池である、[9]に記載の電子デバイス。
[11] 前記太陽電池が、前記多孔質構造体を電極の材料として、又は電極上に配置される機能性材料として含む、[10]に記載の電子デバイス。
[12] 色素増感太陽電池である、[11]に記載の電子デバイス。
[13] 第1の標的材料に、該第1の標的材料に結合し得る第1のペプチド部分、第2の標的材料に結合し得る第2のペプチド部分、及び内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分を含む融合タンパク質からなる、内腔を有する融合タンパク質多量体を結合させ、さらに前記融合タンパク質多量体に前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体を結合させて、前記融合タンパク質多量体に前記第1の標的材料と前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体とが結合した複合体を調製する工程と、
前記複合体を焼成して前記融合タンパク質多量体を消滅させて、前記第1の標的材料の周囲を取り囲むように位置して前記第1の標的材料に被着しており、前記第1の標的材料寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び散在する複数の第2の空孔部を備える凝集体を形成する工程と
を含む、多孔質構造体の製造方法。
[14] 前記複合体を調製する工程が、前記融合タンパク質多量体に前記第1の標的材料と前記第2の標的材料の前駆体とが結合した複合体を調製する工程であり、
前記凝集体を形成する工程が、前記複合体を焼成して前記融合タンパク質多量体を消滅させ、かつ前記第2の標的材料の前駆体を第2の標的材料とすることにより、前記凝集体を形成する工程である、[13]に記載の多孔質構造体の製造方法。
[15] 前記複合体を調製する工程が、前記融合タンパク質多量体に前記第2の標的材料の前駆体を結合させるとともに、前記第2の標的材料を前記第1の標的材料の周囲に析出させる工程である、[14]に記載の多孔質構造体の製造方法。
[16] 前記第1の標的材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノホン、グラフェンシート、フラーレン、及びグラファイトからなる群から選択される炭素材料である、[13]〜[15]のいずれか1つに記載の多孔質構造体の製造方法。
[17] 前記第2の標的材料が酸化チタン又は酸化亜鉛である、[13]〜[16]のいずれか1つに記載の多孔質構造体の製造方法。
[18] 前記融合タンパク質多量体が、前記内腔に内包された、前記第1の標的材料とは異なる金属粒子をさらに含み、
前記第1の空孔部に前記金属粒子をさらに含む凝集体が形成される、[13]〜[17]のいずれか1つに記載の多孔質構造体の製造方法。
[19] 前記金属粒子が、酸化鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、リン、ウラン、ベリリウム、アルミニウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、パラジウム、クロム、銅、銀、ガドリウム錯体、白金コバルト、酸化シリコン、酸化コバルト、酸化インジウム、白金、金、硫化金、セレン化亜鉛、及びカドミウムセレンからなる群から選択される金属ナノ粒子である、[18]に記載の多孔質構造体の製造方法。
[20] 前記金属粒子が酸化鉄ナノ粒子である、[19]に記載の多孔質構造体の製造方法。
[21] [1]〜[8]のいずれか1つに記載の多孔質構造体を機能性材料として用いて機能性の構造を形成する工程を含む、電子デバイスの製造方法。
[22] 透明電極を備えた基板を準備する工程と、
第1の標的材料に、第1の標的材料に結合し得る第1のペプチド部分、第2の標的材料に結合し得る第2のペプチド部分、及び内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分を含む融合タンパク質からなる、内腔を有する融合タンパク質多量体を結合させて結合体とし、該結合体と前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体とを結合させて複合体を得る工程と、
前記複合体を含む材料を、前記透明電極上に載せる工程と、
前記透明電極上の前記材料を焼成し、前記融合タンパク質多量体を消滅させて、前記第2の標的材料を含み、前記第1の標的材料の周囲を取り囲むように位置して前記第1の標的材料に被着しており、前記第1の標的材料寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び散在する複数の第2の空孔部を備える凝集体を有する多孔質構造体を含む構造を、前記透明電極上に形成する工程と、
前記多孔質構造体に増感色素を坦持させて光電極を形成する工程と、
前記光電極と、対向電極とを電解液を注入して封止する工程と
を含む、色素増感太陽電池の製造方法。
[23] 前記複合体の終濃度が1重量%未満となるように、前記多孔質構造体を含む構造を形成する、[22]に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
[24] 前記複合体の終濃度が0.06重量%〜0.5重量%の範囲となるように、前記多孔質構造体を含む構造を形成する、[23]に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
[25] 透明電極を備えた基板を準備する工程と、
第1の標的材料に、第1の標的材料に結合し得る第1のペプチド部分、第2の標的材料に結合し得る第2のペプチド部分、及び内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分を含む融合タンパク質からなる、内腔を有する融合タンパク質多量体を結合させて結合体とし、該結合体と前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体とを結合させて複合体とし、該複合体を焼成して前記融合タンパク質多量体を消滅させて、前記第2の標的材料を含み、前記第1の標的材料の周囲を取り囲むように位置して前記第1の標的材料に被着しており、前記第1の標的材料寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び散在する複数の第2の空孔部を備える凝集体を有する多孔質構造体を形成する工程と、
前記多孔質構造体、前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体を含む材料を、前記透明電極上に載せる工程と、
前記透明電極上の前記材料を加熱処理して、前記透明電極上に前記多孔質構造体を含む構造を形成する工程と、
前記多孔質構造体に増感色素を坦持させて光電極を形成する工程と、
前記光電極と、対向電極とを電解液を注入して封止する工程と
を含む、色素増感太陽電池の製造方法。
[26] 前記第1の標的材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノホン、グラフェンシート、フラーレン、及びグラファイトからなる群から選択される炭素材料である、[22]〜[25]のいずれか1つに記載の色素増感太陽電池の製造方法。
[27] 透明電極を備えた基板を準備する工程と、
前記透明電極上に、第1の標的材料である1以上のカーボンナノチューブを前記基板の厚み方向に延在するように配列させる工程と、
前記カーボンナノチューブに、該カーボンナノチューブに結合し得る第1のペプチド部分、第2の標的材料の前駆体に結合し得る第2のペプチド部分、及び内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分を含む融合タンパク質からなり、前記内腔を有する融合タンパク質多量体を結合させて結合体とし、該結合体と前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体とを結合させて複合体とする工程と、
前記混合物を焼成して前記融合タンパク質多量体を消滅させて、前記第2の標的材料を含み、前記カーボンナノチューブの周囲を取り囲むように位置して前記カーボンナノチューブに被着しており、前記カーボンナノチューブ寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び散在する複数の第2の空孔部を備える凝集体を有する多孔質構造体を含む構造を、前記透明電極上に形成する工程と、
前記多孔質構造体に増感色素を坦持させて光電極を形成する工程と、
前記光電極と、対向電極とを電解液を注入して封止する工程と
を含む、色素増感太陽電池の製造方法。
[28] 前記透明電極上に、第1の標的材料である1以上のカーボンナノチューブを前記基板の厚み方向に延在するように配列させる工程が、基板上に無機材料を吸着させる工程と、前記無機材料を種としてカーボンナノチューブを成長させてカーボンナノチューブ配列基板を得る工程と、該カーボンナノチューブ配列基板の前記カーボンナノチューブを透明電極上に転写する工程とを含む、[27]に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
[29] 前記基板上に前記無機材料を吸着させる工程が、サイズの異なる2種以上の無機材料内包性タンパク質を基板上に配列させて吸着させる工程である、[28]に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
[30] 前記基板上に前記無機材料を吸着させる工程が、前記基板がシリコン酸化膜が設けられた基板を用いて、前記無機材料内包性タンパク質を前記シリコン酸化膜上に配列させて吸着させる工程である、[29]に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
[31] 前記無機材料内包性タンパク質が、フェリチンタンパク質、Dpsタンパク質、CDTタンパク質またはそれらの改変タンパク質から選ばれる1種以上のタンパク質である、[29]又は[30]に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
[32] 前記第2の標的材料が酸化チタン又は酸化亜鉛である、[22]〜[31]のいずれか1つに記載の色素増感太陽電池の製造方法。
[33] [22]〜[32]のいずれか1つに記載の製造方法により、得ることができる色素増感太陽電池。
[34] 透明電極を備えた基板と、
前記透明電極上に設けられている光電変換層であって、第1の標的材料と、第2の標的材料を含み、前記第1の標的材料の周囲を取り囲むように位置して前記第1の標的材料に被着しており、前記第1の標的材料寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び散在する複数の第2の空孔部を備える凝集体とを有する多孔質構造体を含み、該多孔質構造体が増感色素を坦持している前記光電変換層と、
前記光電極と対向電極とを対向させ、かつ前記光電極及び前記対向電極が電解液に接触するように封止する封止部と
を含む、色素増感太陽電池。
[35] 透明電極を備えた基板と、
前記透明電極上に設けられている光電変換層であって、前記基板の厚み方向に延在するように配列させた、第1の標的材料である1以上のカーボンナノチューブと、前記第2の標的材料を含み、前記カーボンナノチューブの周囲を取り囲むように位置して前記カーボンナノチューブに被着しており、前記カーボンナノチューブ寄りに偏在する複数の第1の空孔部、及び散在する複数の第2の空孔部を備える凝集体とを有する多孔質構造体を含み、該多孔質構造体が増感色素を坦持している前記光電変換層と、
前記光電極と対向電極とを対向させ、かつ前記光電極及び前記対向電極が電解液に接触するように封止する封止部と
を含む、色素増感太陽電池。
[36] 前記第1の標的材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノホン、グラフェンシート、フラーレン、及びグラファイトからなる群から選択される炭素材料である、[33]に記載の色素増感太陽電池。
[37] 前記第2の標的材料が酸化チタン又は酸化亜鉛である、[34]〜[36]のいずれか1つに記載の色素増感太陽電池。
[38] 1以上のカーボンナノチューブが厚み方向に延在するように配列された、カーボンナノチューブ配列基板の製法であって、
サイズの異なる2種以上の無機材料内包性タンパク質を基板上に配列し吸着させる工程と、前記無機材料内包性タンパク質に内包された無機材料を種としてカーボンナノチューブを成長させる工程とを含む、カーボンナノチューブ配列基板の製造方法。
[39] サイズの異なる2種以上の無機材料内包性タンパク質を基板上に配列し吸着させる工程が、シリコン酸化膜が設けられた基板を用いて、前記無機材料内包性タンパク質を前記シリコン酸化膜上に吸着させることにより行われる、[38]に記載のカーボンナノチューブ配列基板の製造方法。
[40] 前記無機材料内包性タンパク質が、フェリチンタンパク質、Dpsタンパク質、CDTタンパク質またはそれらの改変タンパク質から選ばれる1種以上のタンパク質である、[38]又は[39]に記載のカーボンナノチューブ配列基板の製造方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明の多孔質構造体は、光触媒活性、電気的特性などについて優れた性能を有している。本発明の多孔質構造体は、抗菌機能、脱臭機能、大気浄化機能、防汚機能、水素発生機能などを有する機能性材料として、種々の電子デバイスに好適に用い得る。よって、より高性能な太陽電池、半導体装置等を提供し得る。また、本発明の多孔質構造体は、医療、バイオ研究等の分野で用いられる機能性材料としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】図1Aは、多孔質構造体の概略的な平面図である。
【図1B】図1Bは、図1AのIB−IB一点鎖線で示される位置で切断した多孔質構造体の切断端面を示す概略的な図(1)である。
【図1C】図1Cは、図1Bと同様の位置で切断した多孔質構造体の切断端面を示す概略的な図(2)である。
【図1D】図1Dは、図1Bと同様の位置で切断した多孔質構造体の切断端面を示す概略的な図(3)である。
【図1E】図1Eは、図1Bと同様の位置で切断した多孔質構造体の切断端面を示す概略的な図(4)である。
【図2A】図2Aは、色素増感太陽電池の実施形態を示す概略的な図(1)である。
【図2B】図2Bは、色素増感太陽電池の実施形態を示す概略的な図(2)である。
【図3A】図3Aは、色素増感太陽電池の製造工程を示す概略的な図(1)である。
【図3B】図3Bは、色素増感太陽電池の製造工程を示す概略的な図(2)である。
【図3C】図3Cは、色素増感太陽電池の製造工程を示す概略的な図(3)である。
【図3D】図3Dは、色素増感太陽電池の製造工程を示す概略的な図(4)である。
【図4】図4は、CNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図5】図5は、CNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体にチタン前駆体を添加して得られた黒い析出物透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図6】図6は、図5に示されるBox004及びBox005で囲まれた領域それぞれをEDS解析した場合に得られるピークを示す図である。
【図7】図7は、CNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体にチタン前駆体を添加して得られた黒い析出物の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図8】図8は、CNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体にチタン前駆体を添加して得られた黒い析出物の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図9】図9は、CNTが分散した溶液にチタン前駆体を添加して得られた黒い析出物の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図10】図10は、酸化鉄ナノ粒子を内腔に持つCNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図11】図11は、酸化鉄ナノ粒子を内腔に持つCNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体にチタン前駆体を添加して得られた黒い析出物の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図12】図12は、チタンで被膜されたCNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体を焼成して得られた構造体の走査型電子顕微鏡像を示す図である。
【図13A】図13Aは、チタンで被膜されたCNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体を500℃で焼成して得られた構造体の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図13B】図13Bは、チタンで被膜されたCNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体を600℃で焼成して得られた構造体の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図13C】図13Cは、チタンで被膜されたCNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体を700℃で焼成して得られた構造体の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図13D】図13Dは、チタンで被膜されたCNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体を800℃で焼成して得られた構造体の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図14】図14は、チタンで被膜されたCNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体を焼成して得られた構造体のXRD分析の結果を示す図である。
【図15】図15は、色素増感太陽電池の電流−電圧特性を示すグラフ(1)である。
【図16】図16は、色素増感太陽電池の電流−電圧特性を示すグラフ(2)である。
【図17】図17は、色素増感太陽電池の電流−電圧特性を示すグラフ(3)である。
【図18】図18は、得られたCcDTの透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図19】図19は、CcDTとCNTとの結合を確認した結果を示すグラフである。
【図20】図20は、CcDTと酸化チタンとの結合を確認した結果を示すグラフである。
【図21】図21は、CDZの透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図22】図22は、CDZによる硫酸亜鉛水溶液からの白色沈殿の形成を示す図である。
【図23】図23は、CDZとCNTとが結合した複合体の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図24】図24は、色素増感太陽電池の電流−電圧特性を示すグラフ(4)である。
【図25】図25は、色素増感太陽電池の電流−電圧特性を示すグラフ(5)である。
【図26】図26は、SEM解析したシリコン基板上に合成されたCNTの写真図である。
【図27A】図27Aは、CDTとCNTとの混合溶液の透過型電子顕微鏡像を示す写真図である。
【図27B】図27Bは、CDTとCNTとの混合溶液の透過型電子顕微鏡像を示す写真図である。
【図28】図28は、SEM解析したシリコン基板上に合成されたCNTの写真図である。
【図29A】図29Aは、CDTとTBFとの比を1:1として合成したCNTの写真図である。
【図29B】図29Bは、CDTとTBFとの比を1:2として合成したCNTの写真図である。
【図29C】図29Cは、CDTとTBFとの比を2:1として合成したCNTの写真図である。
【図30】図30は、CNTとFe−CDとの複合体をSEM解析した写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。なお各図は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0027】
また以下の説明に用いる各図において、同様の構成要素については同一の符号を付して示し、重複する説明を省略する場合がある。
【0028】
1.多孔質構造体の構成
(1)多孔質構造体の実施形態1
図1A及び図1Bを参照して、多孔質構造体の実施形態1について説明する。図1Aは、多孔質構造体の概略的な平面図である。図1Bは、図1AのIB−IB一点鎖線で示される位置で切断した多孔質構造体の切断端面を示す概略的な図である。
【0029】
図1A及び図1Bに示されるように、多孔質構造体10は、金属材料、シリコン材料及び炭素材料からなる群から選択されるいずれかの第1の標的材料20と、第1の標的材料20に被着して、第1の標的材料20の周囲を取り囲むように位置している、第2の標的材料が凝集した凝集体30とを含み、凝集体30が、凝集体30の第1の標的材料20寄りに偏在する複数の第1の空孔部32、及び凝集体30に散在する複数の第2の空孔部34を備える。
【0030】
多孔質構造体10は、長尺のロッド状(棒状)の形状を有している。多孔質構造体10の長尺方向の平均長さL1は、例えば電子デバイスへの適用を考慮すると、電気的特性、光学的特性の観点から、10nm〜100μm程度であることが好ましく、50nm〜20μm程度であることが特に好ましい。
【0031】
多孔質構造体10は、第1の標的材料20を有している。第1の標的材料20は多孔質構造体10の長尺方向と直交する方向の多孔質構造体10の径のほぼ中心に芯状に位置している。
【0032】
第1の標的材料20としては、例えば、無機材料及び有機材料、あるいは導体材料、半導体材料及び磁性体材料が挙げられる。具体的には、第1の標的材料20としては、金属材料、シリコン材料、炭素材料、低分子化合物(例、ポルフィリン等の生体物質、放射性物質、蛍光物質、色素、薬物)、ポリマー(例、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド又はポリ(L−乳酸)等の疎水性有機ポリマー又は伝導性ポリマー)、タンパク質(例、オリゴペプチド又はポリペプチド)、核酸(例、DNA又はRNA、あるいはヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド)、糖質(例、モノサッカリド、オリゴサッカリド又はポリサッカリド)、脂質が挙げられる。
【0033】
第1の標的材料20である金属材料としては、例えば、金属及び金属化合物が挙げられる。金属としては、例えば、チタン、クロム、亜鉛、鉛、マンガン、カルシウム、銅、カルシウム、ゲルマニウム、アルミニウム、ガリウム、カドミウム、鉄、コバルト、金、銀、プラチナ、パラジウム、ハフニウム、テルルが挙げられる。金属化合物としては、例えば、金属の酸化物、硫化物、炭酸化物、砒化物、塩化物、フッ化物及びヨウ化物、並びに金属間化合物が挙げられる。金属の酸化物としては、種々の酸化物が挙げられる。このような酸化物についてチタンの酸化物(酸化チタン)を例として説明すると、チタンの酸化物としては、例えば、一酸化チタン(CAS番号12137−20−1)、二酸化チタン(CAS番号13463−67−7)、二酸化チタン(アナタース、アナターゼ:CAS番号1317−70−0)、二酸化チタン(ルチル:1317−80−2)、三酸化二チタン(CAS番号1344−54−3)が挙げられる。より具体的には、金属化合物としては、上述したようなチタンの酸化物、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化マンガン、ゼオライト、炭酸カルシウム、酸化銅、酸化マンガンカルシウム、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、チタンジルコン酸鉛、砒化ガリウム、硫化亜鉛、硫化鉛、硫化カドミウム、白金鉄、白金コバルト、カドミウムテルルが挙げられる。
【0034】
第1の標的材料20であるシリコン材料としては、例えば、シリコン又はシリコン化合物が挙げられる。シリコン化合物としては、例えば、シリコンの酸化物(例、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO2))、炭化ケイ素(SiC)、シラン(SiH)、シリコーンゴムが挙げられる。
【0035】
第1の標的材料20である炭素材料としては、例えば、カーボンナノ材料(例、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホン(CNH))、フラーレン(例、C60フラーレン)、グラフェンシート、グラファイトが挙げられる。
第1の標的材料20の例としては、多孔質構造体10を電子デバイスに適用することを考慮すると、金属材料、シリコン材料及び炭素材料からなる群から選択される材料が好ましい。第1の標的材料20としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノホン、グラフェンシート、フラーレン、及びグラファイトからなる群から選択される炭素材料が好ましく、カーボンナノチューブ(CNT)が特に好ましい。
本実施形態及び後述する実施形態では、第1の標的材料20としてCNTを用いる例を具体的に説明する。CNTは、形状の観点から、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、アームチェアカーボンナノチューブ、カイラルカーボンナノチューブ、ジグザグカーボンチューブ等に分類される。また、CNTは、電気的特性の観点から、金属型、半導体型に分類される。多孔質構造体10に用い得るCNTは特に限定されず、多孔質構造体10に求められる特性を考慮して、任意好適なCNTを選択することができる。
【0036】
さらに、CNTとしては、種々の径(太さ)の平均長さD2を有するCNTが用いられ得る。多孔質構造体10に用いられるCNTの径D2及びアスペクト比は、特に限定されない。多孔質構造体10に用いられるCNTは、例えば電子デバイスに適用することを考慮すると、電気的特性、光学的特性の観点から、長尺方向の平均長さL2が10nm〜100μm程度であることが好ましく、50nm〜20μmであることが特に好ましい。多孔質構造体10に用いられるCNTのアスペクト比(長尺方向の平均長さL2/長尺方向に直交する方向の径の平均長さD2)は、5〜50000であることが好ましい。長尺方向の平均長さL2及び長尺方向に直交する方向の径の平均長さD2は、例えば、電子顕微鏡による観察で測定することができる。
【0037】
多孔質構造体10は、凝集体30を有している。凝集体30は、多数の第2の標的材料が連なって凝集(結合)することにより構成されている。凝集体30は多孔性のスポンジ状の形状を有している。
【0038】
第2の標的材料の例としては、無機材料及び有機材料、あるいは導体材料、半導体材料及び磁性体材料が挙げられる。具体的には、このような標的材料としては、金属材料、シリコン材料、炭素材料、低分子化合物(例、ポルフィリン等の生体物質、放射性物質、蛍光物質、色素、薬物)、ポリマー(例、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド又はポリ(L−乳酸)等の疎水性有機ポリマー又は伝導性ポリマー)、タンパク質(例、オリゴペプチド又はポリペプチド)、核酸(例、DNA又はRNA、あるいはヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド)、糖質(例、モノサッカリド、オリゴサッカリド又はポリサッカリド)、脂質が挙げられる。
【0039】
金属材料としては、例えば、金属及び金属化合物が挙げられる。金属としては、例えば、チタン、クロム、亜鉛、鉛、マンガン、カルシウム、銅、カルシウム、ゲルマニウム、アルミニウム、ガリウム、カドミウム、鉄、コバルト、金、銀、プラチナ、パラジウム、ハフニウム、テルルが挙げられる。金属化合物としては、例えば、金属の酸化物、硫化物、炭酸化物、砒化物、塩化物、フッ化物及びヨウ化物、並びに金属間化合物が挙げられる。金属の酸化物としては、種々の酸化物が挙げられる。
【0040】
このような酸化物についてチタンの酸化物(酸化チタン)を例として説明すると、チタンの酸化物としては、例えば、一酸化チタン(CAS番号12137−20−1)、二酸化チタン(CAS番号13463−67−7)、二酸化チタン(アナタース、アナターゼ:CAS番号1317−70−0)、二酸化チタン(ルチル:1317−80−2)、三酸化二チタン(CAS番号1344−54−3)が挙げられる。より具体的には、金属化合物としては、上述したようなチタンの酸化物、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化マンガン、ゼオライト、炭酸カルシウム、酸化銅、酸化マンガンカルシウム、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、チタンジルコン酸鉛、砒化ガリウム、硫化亜鉛、硫化鉛、硫化カドミウム、白金鉄、白金コバルト、カドミウムテルルが挙げられる。
【0041】
金属材料としては、多孔質構造体の製造方法に用いられる融合タンパク質(融合タンパク質多量体)の析出作用により析出し得る金属材料を用いることが好ましい。(詳細は後述する。)
【0042】
シリコン材料としては、例えば、シリコン又はシリコン化合物が挙げられる。シリコン化合物としては、例えば、シリコンの酸化物(例、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO2))、炭化ケイ素(SiC)、シラン(SiH)、シリコーンゴムが挙げられる。
【0043】
第2の標的材料は、多孔質構造体10を色素増感太陽電池の機能性材料として用いる場合には、酸化チタン、酸化亜鉛が好ましい。
第2の標的材料である酸化チタン、酸化亜鉛の結晶構造は、特に限定されない。
【0044】
酸化チタンを第2の標的材料として含む多孔質構造体10を色素増感太陽電池に適用する場合には、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものが好ましく、光に対する活性という観点から、アナターゼ型酸化チタンがより好ましい。なお、酸化チタンの結晶構造は、例えば、X線回折法、ラマン分光分析法等により測定することができる。
【0045】
多孔質構造体10が色素増感太陽電池に適用される場合には、第2の標的材料である酸化チタンの平均粒子径は、増感色素を吸着しやすく、光を効率的に吸収させるという観点から、10nm〜100nmが好ましく、10nm〜20nmがより好ましい。
【0046】
また多孔質構造体10が色素増感太陽電池に適用される場合であって、第2の標的材料として酸化亜鉛を用いる場合には、酸化亜鉛の平均粒子径は、増感色素を吸着しやすく、光を効率的に吸収させるという観点から、20nm〜500nmが好ましい。
なお、平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡(SEM)観察等により測定することができる。
【0047】
多孔質構造体10が含み得る第2の標的材料は、1種類のみならず、2種類以上であってもよい。
【0048】
多孔質構造体10を、例えば、蓄電池の機能性材料として用いる場合には、電気的特性の観点から、第2の標的材料としてニッケル、鉄、カドミウム、リチウム、これらと化合物(ニッケル化合物、鉄化合物など)を形成できる金属を用い得る。
【0049】
多孔質構造体10を、例えば、キャパシタの機能性材料として用いる場合には、電気的特性の観点から、第2の標的材料としてチタン及びその化合物、タンタル及びその化合物、アルミニウム及びその化合物などを用い得る。
【0050】
多孔質構造体10を、例えば、透明電極の機能性材料として用いる場合には、電気的特性の観点から、第2の標的材料としてインジウムスズ酸化物(ITO)、亜鉛スズ酸化物(ZTO)、フッ素ドープされたスズ酸化物(FTO)などを用い得る。
【0051】
多孔質構造体10を、例えば、燃料電池の機能性材料として用いる場合には、電気的特性、触媒活性の観点から、第2の標的材料として白金やその化合物などを用い得る。
【0052】
凝集体30は、第1の標的材料20に被着して、第1の標的材料20の周囲を取り囲むように位置している。凝集体30の外形は多孔質構造体10の外形と一致している。すなわち、凝集体30(多孔質構造体10)は、第1の標的材料20を芯とする長尺のロッド状の形状を有している。
【0053】
凝集体30の厚さT1、すなわち多孔質構造体10の長尺方向に直交する方向の第1の標的材料20と凝集体30との界面から凝集体30(多孔質構造体10)の表面までの距離は、多孔質構造体10が用いられるデバイス(例、蓄電池、触媒体)、多孔質構造体10に求められる特性などを考慮して、任意好適な距離(厚さT1)とすることができる。凝集体30の厚さT1は、5nm〜1000nmであることが好ましく、10nm〜100nmであることがより好ましい。
【0054】
多孔質構造体10を特に太陽電池の機能性材料として用いる場合には、凝集体30の厚さT1は、好ましくは5nm〜500nmであり、より好ましくはキャリアの再結合を防止する観点から10nm〜100nmである。
【0055】
したがって、多孔質構造体10のアスペクト比(長尺方向の平均長さL1/長尺方向に直交する方向の径の平均長さD1)は、1〜10000程度であることが好ましい。
【0056】
凝集体30は、複数の第1の空孔部32を有している。複数の第1の空孔部32は、第1の標的材料20寄りに偏在している。すなわち、複数の第1の空孔部32は、第1の標的材料20の近傍に特異的に位置している。複数の第1の空孔部32は、複数の第1の空孔部32それぞれの第1の標的材料20の表面からの距離S1(第1の標的材料20の表面に対して直交して第1の空孔部32の中心を通る方向における、第1の標的材料20の表面と第1の空孔部32の輪郭との距離)が、いずれも、同一距離(等距離)だけとなる離間するように位置しており、かつ第1の標的材料20を取り囲むように配列している。
【0057】
本明細書において「同一」とは、実質的に同一であることを意味しており、本質的な機能を損なわない程度の微差であって、不可避的に生じ得る意図しない微差を含み得ることを意味する。
【0058】
ここで「同一距離」とは、距離が実質的に同一であることを意味しており、多孔質構造体10の機能を損なわない程度の距離の差であって、例えば製造工程において不可避的に生じる程度の距離の差が、第1の空孔部32それぞれについての距離S1を比較した場合に現れたとしても許容されることを意味する。
【0059】
第1の空孔部32は、略球形の形状を有している。複数の第1の空孔部32は、いずれもほぼ同一の形状及び径(直径)D3を有している。第1の空孔部32の形状及び径D3は、多孔質構造体10の製造工程で用いられる融合タンパク質多量体の形状等に由来している(詳細は後述する)。第1の空孔部32の径D3は、その形状を例えば球とみた場合の直径が、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡で測定した場合に5nm〜15nmの範囲内程度である。
【0060】
複数の第1の空孔部32は、通常、凝集体30の厚み内に存在する。しかしながら、複数の第1の空孔部32の全部又は一部が、凝集体30の表面及び第1の標的材料20の表面のうちの少なくとも一方に開口していてもよい。
【0061】
第1の空孔部32と第1の標的材料20との距離S1、すなわち多孔質構造体10の長尺方向に直交する方向での第1の空孔部32と、第1の標的材料20と凝集体30との界面までの距離S1は、多孔質構造体10に求められる特性を考慮して、任意好適な距離とすることができる。距離S1は、導電性などの電気的特性、第1の標的材料20との密着性などを考慮すると、例えば1nm〜500nmであることが好ましく、5nm〜100nmであることがより好ましい。
【0062】
距離S1は、多孔質構造体10を特に色素増感太陽電池に適用する場合には、光照射により生成したキャリアの寿命と移動距離とを考慮すると、1nm〜500nmであることが好ましく、5nm〜100nmであることがより好ましい。
【0063】
凝集体30は、複数の第2の空孔部34を有している。複数の第2の空孔部34は、凝集体30に散在している。すなわち、複数の第2の空孔部34は、凝集体30の全体にランダムに散在している。
【0064】
複数の第2の空孔部34の形状は一様でなく、略球形、ロッド状等種々の形状を有し得る。複数の第2の空孔部34のサイズ(径、長さ)も一様ではなく不均一である。第2の空孔部34と第1の空孔部32とは、第2の空孔部34は、その輪郭の形状、サイズが不均一であって、凝集体30の全体に散在しているのに対して、第1の空孔部32は、その輪郭の形状がほぼ同一である略球形であって、かつ第1の空孔部32のすべてが第1の標的材料20の表面からほぼ等距離の位置に特異的に偏在していることで区別され得る。
【0065】
第2の空孔部34と第1の空孔部32とは、例えば、電子顕微鏡(SEM)観察等により区別することができる。
【0066】
複数の第2の空孔部34は、通常、凝集体30の厚み内に存在する。しかしながら、複数の第2の空孔部34のうちの一部分が、凝集体30の表面及び第1の標的材料20の表面のうちの少なくとも一方に至るように開口していてもよい。また、第2の空孔部34は、第1の空孔部32と連通していてもよい。
【0067】
実施形態1の多孔質構造体10は、凝集体30に複数の第1の空孔部32を有している。よって多孔質構造体10の表面積を、第1の空孔部32により、特に多孔質構造体10の厚み内において極めて大きくすることができる。
【0068】
このような多孔質構造体10を特に色素増感太陽電池の機能性材料として用いれば、特に多孔質構造体10の厚み内において、第1の空孔部32により多量の増感色素を坦持させることができる。よって色素増感太陽電池の光電変換効率をより向上させることができる。
【0069】
例えば、凝集体30が酸化チタン、酸化亜鉛で構成され、第1の標的材料20がCNTである多孔質構造体10を特に色素増感太陽電池の機能性材料として用いた場合には、入射された光に基づいて増感色素を坦持した多孔質構造体10で分離された多量の電子は再結合することなく速やかにCNTに伝達され、さらにCNTにより速やかに外部へ取り出すことができる。
【0070】
(2)多孔質構造体の実施形態2
図1Cを参照して、多孔質構造体の実施形態2について説明する。図1Cは、図1Bと同様に多孔質構造体の切断端面を示す概略的な図である。
【0071】
図1Cに示されるように、実施形態2の多孔質構造体10は、第1の空孔部32に配置されており、第2の標的材料とは異なっていてもよい金属粒子36をさらに含む。
金属粒子36は、第1の空孔部32を画成する凝集体30の壁面に接合していてもよいし、壁面から離間していてもよい。
【0072】
さらに多孔質構造体10が含む金属粒子36の全部又は一部は、金属薄膜36aとして薄膜とされていてもよい。金属薄膜36aは、凝集体30のうちの第1の空孔部32を画成する壁面の一部又は全部を覆っていてもよい。
【0073】
多孔質構造体10は、第1の標的材料20、第2の標的材料からなる多孔性のスポンジ状である凝集体30を有している。凝集体30は、複数の第1の空孔部32、複数の第2の空孔部34を有している。これら金属粒子36以外の構成要素については、(1)多孔質構造体の実施形態1において既に説明したとおりであるので詳細な説明は省略する。
【0074】
金属粒子36は、好ましくは酸化鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、リン、ウラン、ベリリウム、アルミニウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、パラジウム、クロム、銅、銀、ガドリウム錯体、白金コバルト、酸化シリコン、酸化コバルト、酸化インジウム、白金、金、硫化金、セレン化亜鉛、及びカドミウムセレンからなる群から選択される金属ナノ粒子である。多孔質構造体10に用い得る金属粒子36は特に限定されず、多孔質構造体10に求められる特性を考慮して、任意好適な金属粒子36を選択し得る。
【0075】
実施形態2の多孔質構造体10を、例えば、太陽電池の機能性材料として用いる場合には、光吸収能力のある金属粒子36として量子ドット、すなわちカドミウムセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛などを用い得る。多孔質構造体10を、例えば、半導体メモリの機能性材料として用いる場合には、荷電状態を変化させることができる金属粒子36としてニッケル、コバルト、酸化鉄を用い得る。
多孔質構造体10が含み得る金属粒子36は、1種類のみならず、2種類以上であってもよい。
【0076】
実施形態2の多孔質構造体10は、凝集体30が複数の第1の空孔部32に金属粒子36を有している。よって実施形態1の多孔質構造体10により得られる既に説明した作用効果に加え、金属粒子36により、多孔質構造体10の機能をより高めたり、多孔質構造体10に可視光吸収能、赤外光吸収能、電荷保持能などの新たな機能を付加したりすることができる。
【0077】
実施形態2の多孔質構造体10を特に量子ドット型太陽電池の機能性材料として用いれば、広波長領域に吸収を有する電極を得ることができる。よって光電変換効率をより向上させることができる。
【0078】
(3)多孔質構造体の実施形態3
図1Dを参照して、多孔質構造体の実施形態3について説明する。図1Dは、図1Bと同様に多孔質構造体の切断端面を示す概略的な図である。
【0079】
図1Dに示されるように、実施形態3の多孔質構造体10は、第1の標的材料20を有しておらず、既に説明した実施形態1にかかる多孔質構造体10において、第1の標的材料20が存在していた領域が第3の空孔部38となっている。
すなわち、多孔質構造体10は、第2の標的材料からなる多孔性のスポンジ状の形状である凝集体30を有している。凝集体30は、複数の第1の空孔部32、複数の第2の空孔部34を有している。
これら第3の空孔部38以外の構成要素については、既に説明したとおりであるので同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0080】
第3の空孔部38は、多孔質構造体10の長尺方向と直交する方向の多孔質構造体10の径のほぼ中心に芯状に位置しており、かつ多孔質構造体10の長尺方向に延在する棒状の形状を有している。
第3の空孔部38の径D2及びアスペクト比は、特に限定されない。第3の空孔部38は、径D2が1nm〜20nmであることが好ましく、5nm〜10nmであることが特に好ましく、長尺方向の平均長さが10nm〜100μmであることが好ましく、50nm〜20μmであることが特に好ましい。第3の空孔部38の長尺方向の長さL2及び径D2は、例えば、電子顕微鏡による観察で測定することができる。
【0081】
実施形態3の多孔質構造体10は、凝集体30が第1の空孔部32及び第2の空孔部34に加えて第3の空孔部38を有している。よって実施形態3の多孔質構造体10によれば、多孔質構造体10の表面積をさらに増大させることができる。また、実施形態3の多孔質構造体10によれば、光の透過性をより向上させることができるため、例えば透明電極の導電性材料として用いることができる。実施形態3の多孔質構造体10を特に燃料電池や太陽電池の電極の機能性材料として用いれば、光の透過性がより向上した多孔質電極とすることができる。よって触媒活性や光電変換効率をより向上させることができる。
【0082】
(4)多孔質構造体の実施形態4
図1Eを参照して、多孔質構造体の実施形態4について説明する。図1Eは、図1Bと同様に多孔質構造体の切断端面を示す概略的な図である。
【0083】
図1Eに示されるように、実施形態4の多孔質構造体10は、実施形態3の多孔質構造体10と同様に、第1の標的材料20を有しておらず、実施形態1の多孔質構造体10において第1の標的材料20が存在していた領域が第3の空孔部38となっている。
【0084】
また、実施形態4の多孔質構造体10は、実施形態2の多孔質構造体10と同様に、第1の空孔部32に配置されており、第2の標的材料とは異なる金属粒子36をさらに含む。
【0085】
第3の空孔部38については実施形態3で、金属粒子36については実施形態2で、それぞれ既に説明したとおりであるのでこれらの詳細な説明は省略する。
【0086】
実施形態4の多孔質構造体10は、凝集体30が第3の空孔部38に加えて、第1の空孔部32に金属粒子36を有している。よって実施形態4の多孔質構造体10を特に半導体メモリやキャパシタの機能性材料として用いれば、半導体メモリの記憶容量をより増加させたり、キャパシタの電気容量をより増大させたりすることができる。
【0087】
2.多孔質構造体の利用の態様
多孔質構造体10は、触媒、抗菌材料、脱臭材料、防汚材料として用い得る。また、多孔質構造体10は、例えば色素増感太陽電池などの太陽電池、燃料電池、水素発生装置、メモリ素子、キャパシタ、トランジスタなどの電子デバイス(電子素子)の機能層の機能性材料として用いることができる。具体的には太陽電池の電極の材料、例えば色素増感太陽電池の光電変換層(光電極)の機能性材料、キャパシタの誘電体層の機能性材料、トランジスタの半導体層の機能性材料、さらにはこれらの電子デバイスの電極(透明電極)の機能性材料としても有用である。
【0088】
既に説明した実施形態にかかる多孔質構造体10は、上記電子デバイスの機能性の構造の主要な成分として用い得る。また、多孔質構造体10は、機能性の構造における付加的な(補助的な)成分としても用い得る。
【0089】
多孔質構造体を太陽電池の電極の材料として用いる場合には、例えば、層として形成される電極に含まれる成分として用いることができ、又は例えば、電極に接合(接着)させる、すなわち電気的に接続するなどして、電極上に配置して用いることができる。
【0090】
多孔質構造体10を、例えば色素増感太陽電池における光電変換層の機能性材料として用いる場合には、光電変換層は多孔質構造体10を、成分として0.1重量%〜100重量%程度含み得る。
【0091】
また多孔質構造体10を、例えば抗菌材料や脱臭材料、防汚材料における光触媒の機能性材料として用いる場合には、光触媒層は多孔質構造体10を、成分として0.1重量%〜100重量%程度含み得る。
【0092】
多孔質構造体10を付加的な成分として用いる場合には、共存する主成分は、第2の標的材料、第2の標的材料の前駆体とは異なっていてもよい。
【0093】
3.多孔質構造体の製造方法
次に上述した多孔質構造体10の製造方法について説明する。なお、既に説明した構成要素については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
多孔質構造体10の製造方法は、第1の標的材料20に、該第1の標的材料20に結合し得る第1のペプチド部分、第2の標的材料に結合し得る第2のペプチド部分、及び内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分を含む融合タンパク質からなる、内腔を有する融合タンパク質多量体を結合させ、さらに前記融合タンパク質多量体に前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体を結合させて、前記融合タンパク質多量体に前記第1の標的材料20と前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体とが結合した複合体を調製する工程と、前記複合体を焼成して前記融合タンパク質多量体を消滅させて、前記第1の標的材料20の周囲を取り囲むように位置して前記第1の標的材料20に被着しており、前記第1の標的材料20寄りに偏在する複数の第1の空孔部32、及び散在する複数の第2の空孔部34を備える凝集体30を形成する工程とを含む。
【0094】
まず、第1の標的材料20及び融合タンパク質多量体を用意する。第1の標的材料20は任意好適な種々の材料を市場より入手して用い得る。
多孔質構造体10の製造方法に用いられる融合タンパク質多量体を構成する融合タンパク質は、内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分、並びに第1の標的材料20に結合し得る第1のペプチド部分及び第2の標的材料に結合し得る第2のペプチド部分を含み得る。
多孔質構造体10の製造方法に用いられる融合タンパク質多量体を構成する融合タンパク質の具体的な構成及び製造方法について以下に説明する。
【0095】
用語「内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分」とは、内部に空間を有する多量体を、ポリペプチド部分の会合によって形成する能力を有するポリペプチド部分をいう。このようなポリペプチド部分としては、幾つかのタンパク質が知られている。例えば、このようなポリペプチド部分としては、内腔を有する24量体を形成し得るフェリチン、及び内腔を有する多量体を形成し得るフェリチン様タンパク質が挙げられる。内腔を有する多量体を形成し得るフェリチン様タンパク質としては、例えば、内腔を有する12量体を形成し得るDpsが挙げられる。
【0096】
内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分は、微生物、植物及び動物等の任意の生物に由来する、天然に生じるタンパク質であってよく、又は天然に生じるタンパク質の変異体であってもよい。以下、内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分を、単にポリペプチド部分と称する場合がある。
【0097】
一実施形態では、内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分は、Dpsである。本発明で用いられる用語「Dps(DNA−binding protein from starved cells)」とは、内腔を有する12量体を形成し得るタンパク質をいう。用語「Dps」には、天然に生じるDps又はその変異体が含まれる。天然に生じるDpsの変異体としては、天然に生じるDpsと同様に、12量体を形成したときに、そのN末端部及びC末端部が12量体の表面に露出し得るものが好ましい。なお、Dpsは、それが由来する細菌の種類によってはNapA、バクテリオフェリチン、Dlp又はMrgAと呼称される場合があり、また、Dpsには、DpsA、DpsB、Dps1、Dps2等のサブタイプが知られている(T.Haikarainen and A.C.Papageorgion, Cell.Mol.Life Sci.,2010 vol.67,p.341を参照)。したがって、本発明では、用語「Dps」は、これらの別名で呼称されるタンパク質も含むものとする。
【0098】
Dpsを産生し得る微生物は、特に限定されない。Dpsを産生し得る微生物としては、例えば、リステリア(Listeria)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、バチルス(Bacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ビブリオ(Vibrio)属、エスケリシア(Escherichia)属、ブルセラ(Brucella)属、ボレリア(Borrelia)属、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属、カンピロバクター(Campylobacter)属、サーモシネココッカス(Thermosynechococcus)属、デイノコッカス(Deinococcus)属、及びコリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する細菌が挙げられる。
【0099】
リステリア属に属する細菌としては、例えば、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)が挙げられる。スタフィロコッカス属に属する細菌としては、例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus Aureus)が挙げられる。バチルス属に属する細菌としては、例えば、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)が挙げられる。ストレプトコッカス属に属する細菌としては、例えば、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス スイス(Streptococcus suis)が挙げられる。ビブリオ属に属する細菌としては、例えば、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)が挙げられる。エスケリシア属に属する細菌としては、例えば、エスケリシア・コリ(Escherichia coli)が挙げられる。ブルセラ属に属する細菌としては、例えば、ブルセラ・メリテンシス(Brucella Melitensis)が挙げられる。ボレリア属に属する細菌としては、例えば、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia Burgdorferi)が挙げられる。マイコバクテリウム属に属する細菌としては、例えば、マイコバクテリウム・スメグマティス(Mycobacterium smegmatis)が挙げられる。カンピロバクター属に属する細菌としては、例えば、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)が挙げられる。サーモシネココッカス属に属する細菌としては、例えば、サーモシネココッカス・エロンガタス(Thermosynechococcus Elongatus)が挙げられる。デイノコッカス属に属する細菌としては、例えば、デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus Radiodurans)が挙げられる。コリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する細菌としては、例えば、コリネバクテリウム・グルミカム(Corynebacterium glutamicum)が挙げられる。
【0100】
好ましい実施形態では、Dpsは、リステリア・イノキュア、エスケリシア・コリ又はコリネバクテリウム・グルミカムに由来するDpsのアミノ酸配列に対して70%以上の類似性パーセントを示すアミノ酸配列からなるタンパク質であり得る。リステリア・イノキュア、エスケリシア・コリ又はコリネバクテリウム・グルミカムに由来するDpsのアミノ酸配列に対する、Dpsのアミノ酸配列の類似性パーセントは、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらにより好ましくは85%以上、最も好ましくは90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上であり得る。
【0101】
Dpsは、二次構造として、5箇所のα−ヘリックス部分を有する(A.Ilari et al.,Nat.Struct.Biol.,2000,Vol.7,p.38.、R.A.Grant et al.Nat.Struct Biol.1998,Vol 5,p.294.及びR.R.Crichton et al.,2010,Vol.1800,p.706.を参照)。Dpsの機能の保持の観点からは、上記二次構造の維持が重要である。
【0102】
したがって、例えば、リステリア・イノキュア、エスケリシア・コリ又はコリネバクテリウム・グルミカムに由来するDpsのアミノ酸配列に対して70%以上の類似性パーセントを示すアミノ酸配列からなるタンパク質を作製する場合、上記二次構造が維持されるように、部位特異的変異誘発法等の周知の変異導入法により所望の変異が導入され得る。リステリア・イノキュアに由来するDpsを例に挙げて、配列番号4のアミノ酸配列のアミノ酸残基の位置と、上記二次構造等との間の関係を、N末端側から具体的に説明すると、以下のとおりである:(i)1〜8位のアミノ酸残基(12量体表面上に露出しているN末端領域);(ii)9〜33位のアミノ酸残基(α−ヘリックス);(iii)39〜66位のアミノ酸残基(α−ヘリックス);(iv)75〜81位のアミノ酸残基(α−ヘリックス);(v)95〜122位のアミノ酸残基(α−ヘリックス);(vi)126〜149位のアミノ酸残基(α−ヘリックス);(vii)150〜156位のアミノ酸残基(12量体表面上に露出しているC末端領域)。ここで、内腔を有する多量体を形成する能力の保持には、上記(i)〜(vii)のうち、(ii)〜(vi)が重要であり得る。DpsのN末端部の12量体表面上への露出には、DpsのN末端部に隣接するα−ヘリックスが12量体の外側に向いている必要があることから、(i)及び(ii)、特に(ii)が重要であり得る。DpsのC末端部の12量体表面上への露出には、DpsのC末端部に隣接するα−ヘリックスが12量体の外側に向いている必要があることから、(vi)及び(vii)、特に(vi)が重要であり得る。
【0103】
したがって、上述した重要な領域中に存在するアミノ酸残基を変異させる場合には、保存的アミノ酸置換が好ましい。一方、上述した重要な領域以外の領域中に存在するアミノ酸残基を変異させる場合には、任意の変異が導入され得る。当業者は、これらの指針に基づき、天然に生じるDpsに対して、その機能が保持されるような所望の変異を導入することにより、天然に生じるDpsの変異体を容易に作製できる。
【0104】
アミノ酸配列において変異を導入すべきアミノ酸残基の位置は、上述したとおり当業者に明らかであるが、配列アライメントをさらに参考にして、天然に生じるDpsの変異体を作製してもよい。具体的には、当業者は、1)複数のDpsのアミノ酸配列(例、配列番号4で表されるアミノ酸配列、及び他のDpsのアミノ酸配列)を比較し、2)相対的に保存されている領域、及び相対的に保存されていない領域を明らかにし、次いで、3)相対的に保存されている領域及び相対的に保存されていない領域から、それぞれ、機能に重要な役割を果たし得る領域及び機能に重要な役割を果たし得ない領域を予測できるので、構造と機能との相関性を認識できる。したがって、当業者は、上述した二次構造情報単独でも、Dpsのアミノ酸配列において変異を導入すべき位置を特定でき、また、二次構造情報及び配列アライメント情報を併用して、Dpsのアミノ酸配列において変異を導入すべきアミノ酸残基の位置を特定できる。
【0105】
一実施形態では、リステリア・イノキュア、エスケリシア・コリ又はコリネバクテリウム・グルミカムに由来するDpsのアミノ酸配列に対して70%以上の類似性パーセントを示すアミノ酸配列からなるタンパク質は、リステリア・イノキュア、エスケリシア・コリ又はコリネバクテリウム・グルミカムに由来するDpsのアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基の変異(例、欠失、置換、付加及び挿入)を含むアミノ酸配列からなり、かつDpsの機能を保持するタンパク質であり得る。1個又は数個のアミノ酸残基の変異は、アミノ酸配列中の1つの領域に導入されてもよいが、複数の異なる領域に導入されてもよい。Dpsのアミノ酸残基の変異に関する用語「1個又は数個」が示す数は、例えば、1個〜50個、好ましくは1個〜30個、より好ましくは1個〜20個、さらにより好ましくは1個〜10個、特に好ましくは1個、2個、3個、4個又は5個である。
【0106】
アミノ酸残基が置換により変異される場合、アミノ酸残基の置換は、保存的置換であってもよい。本明細書中で用いられる場合、用語「保存的置換」とは、所定のアミノ酸残基を、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換することをいう。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で周知である。例えば、このようなファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電性極性側鎖を有するアミノ酸(例、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β位分岐側鎖を有するアミノ酸(例、スレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖を有するアミノ酸(例、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)、ヒドロキシル基(例、アルコール性、フェノール性)含有側鎖を有するアミノ酸(例、セリン、スレオニン、チロシン)、及び硫黄含有側鎖を有するアミノ酸(例、システイン、メチオニン)が挙げられる。アミノ酸の保存的置換は、好ましくは、アスパラギン酸とグルタミン酸との間での置換、アルギニンとリジンとヒスチジンとの間での置換、トリプトファンとフェニルアラニンとの間での置換、フェニルアラニンとバリンとの間での置換、ロイシンとイソロイシンとアラニンとの間での置換、及びグリシンとアラニンとの間での置換であってもよい。
【0107】
別の実施形態では、リステリア・イノキュア、エスケリシア・コリ又はコリネバクテリウム・グルミカムに由来するDpsのアミノ酸配列に対して70%以上の類似性パーセントを示すアミノ酸配列からなるタンパク質は、配列番号3又は配列番号28で表されるヌクレオチド配列に対して相補的なヌクレオチド配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされ、かつDpsの機能を保持するタンパク質であってもよい。「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。このような条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性(例、同一性又は類似性)が高いポリヌクレオチド同士、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%、特に好ましくは98%以上の相同性を有するポリヌクレオチド同士がハイブリダイズし、それより低い相同性を示すポリヌクレオチド同士がハイブリダイズしない条件である。具体的には、このような条件としては、6×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中、約45℃でのハイブリダイゼーション、続いて、0.2×SSC、0.1%SDS中、50℃〜65℃での1又は2回以上の洗浄が挙げられる。
【0108】
特定の実施形態では、Dpsは、リステリア・イノキュア、エスケリシア・コリ又はコリネバクテリウム・グルミカムに由来するDpsのアミノ酸配列に対して70%以上の同一性パーセントを示すアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよい。Dpsのアミノ酸配列の同一性パーセントは、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらにより好ましくは85%以上、最も好ましくは90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上であってもよい。
【0109】
アミノ酸配列及びヌクレオチド配列の相同性(例、同一性又は類似性)は、例えばKarlin及びAltschulによるアルゴリズムBLAST(Pro.Natl.Acad.Sci.USA,90,5873(1993))、PearsonによるFASTA(MethodsEnzymol.,183,63(1990))を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTP、BLASTNとよばれるプログラムが開発されているので(http://www.ncbi.nlm.nih.gov参照)、これらのプログラムをデフォルト設定で用いて、アミノ酸配列及びヌクレオチド配列の相同性を計算してもよい。また、アミノ酸配列の相同性としては、例えば、Lipman−Pearson法を採用している株式会社ゼネティックスのソフトウェアGENETYX Ver7.0.9を使用し、ORFにコードされるポリペプチド部分全長を用いて、Unit Size to Compare=2の設定でSimilarityをpercentage計算させた際の数値を用いてもよい。アミノ酸配列及びヌクレオチド配列の相同性として、これらの計算で導き出される値のうち、最も低い値を採用してもよい。
【0110】
用語「第1の標的材料に結合し得る第1のペプチド部分」及び「第2の標的材料に結合し得る第2のペプチド部分」とは、任意の標的材料に対して親和性を有するペプチドを有し、かつ当該標的材料に対して結合できる部分をいう。第1のペプチド部分及び第2のペプチド部分は、同じであっても、互いに異なっていてもよい。種々の標的材料に対して親和性を有する種々のペプチドが知られているので、本発明では、このようなペプチドを有する部分を、上記ペプチド部分として用いることができる。以下、第1のペプチド部分及び第2のペプチド部分を、単に、標的材料に結合し得るペプチド部分と称する場合がある。表現「標的材料に結合し得るペプチド部分」は、用語「第1の標的材料に結合し得る第1のペプチド部分」及び「第2の標的材料に結合し得る第2のペプチド部分」を包括する表現であり、また、これらの表現は交換可能に使用される。標的材料に結合し得るペプチド部分は、任意の標的材料に対して親和性を有する1個のペプチドのみを有していてもよいし、あるいは任意の標的材料に対して親和性を有する同種又は異種の複数(例、2個、3個、4個、5個又は6個等の数個)のペプチドを有していてもよい。例えば、標的材料に結合し得るペプチド部分が、任意の標的材料に対して親和性を有する異種の複数のペプチドを有する場合、当該ペプチド部分としては、カーボンナノ材料と結合し得るP1ペプチド(配列番号13)と、チタン材料又はシリコン材料に結合し得るR5ペプチド(配列番号15)との融合ペプチドであるP1R5ペプチド(SSKKSGSYSGSKGSKRRILGGGGHSSYWYAFNNKT(配列番号21))を用いることができる(例、M.J.Pender et al.,Nano Lett.,2006,vol.6,No.1,p.40−44を参照)。標的材料に結合し得るペプチド部分が上記のような複数のペプチドを有する場合、複数のペプチドは、当該ペプチド部分中に任意の順序で融合され得る。融合は、アミド結合を介して達成され得る。融合は、直接的なアミド結合、あるいは1個のアミノ酸残基(例、メチオニン)又は数個(例えば2個〜50個、好ましくは2個〜30個、より好ましくは2個〜20個、さらにより好ましくは2個〜15個又は2個〜10個、最も好ましくは2個、3個、4個又は5個)のアミノ酸残基からなるペプチド(ペプチドリンカー)が介在したアミド結合により達成され得る。種々のペプチドリンカーが知られているので、このようなペプチドリンカーを使用することができる。
【0111】
標的材料に結合し得るペプチド部分は、上述したような標的材料に対して親和性を有する限り特に限定されない。標的材料に対して親和性を有する種々のペプチドが知られており、また、開発されている。例えば、生体材料及び無機材料又は有機材料の複合体を作製することを目的として、無機材料又は有機材料に対して結合し得るペプチドが、ファージを用いたスクリーニング等の手法により開発されている。このような手法により開発されたペプチドとしては、例えば、チタン及びチタンの酸化物並びに銀(K.Sano et al.,Langmuir,2004,vol.21,p.3090.、国際公開第2005/010031号)、金(S.Brown,Nat.Biotechnol.,1997,vol.15.p.269.)、酸化亜鉛(K.Kjaergaard et al.,Appl.Environ.Microbiol.,2000,vol.66.p.10.、Umetsu et al.,Adv.Mater.,17,2571−2575(2005))、酸化ゲルマニウム(M.B.Dickerson et al.,Chem.Commun.,2004,vol.15.p.1776.)、硫化亜鉛及び硫化カドミウム(C.E.Flynn et al.,J.Mater.Chem.,2003,vol.13.p.2414.)等の金属材料に結合し得るペプチド;シリコン及びシリコンの酸化物(H.Chen et al.,Anal. Chem.,2006,vol.78,,p.4872、M.J.Pender et al.,Nano Lett.,2006,vol.6,No.1,p.40−44、K.Sano et al.,Langmuir,2004,vol.21,p.3090.、国際公開第2005/010031号)等のシリコン材料に結合し得るペプチド;カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホン(CNH)等の炭素材料に結合し得るペプチド(S.Wang et al.,Nat.Mater.,2003,vol.2,p.196.及び特開2004−121154号公報);ならびに疎水性有機ポリマー等のポリマーに結合し得るペプチド(特開2008−133194号公報)が挙げられる。したがって、本発明でも、標的材料に結合し得るペプチド部分として、このようなペプチドを使用することができる。
【0112】
なお、金属に結合し得るペプチドは、金属の析出(mineralization)作用を有し得ること、及び金属化合物に結合し得るペプチドは、金属化合物の析出作用を有し得ることが知られている(K.Sano et al.,Langmuir,2004,vol.21,p.3090.、M.Umetsu et al.,Adv.Mater.,2005,vol.17,p.2571.)。したがって、標的材料に結合し得るペプチド部分として、金属材料(金属又は金属化合物)に結合し得るペプチドを用いる場合、金属材料に結合し得るペプチドは、このような析出作用を有し得る。
【0113】
ポリペプチド部分、並びに第1及び第2のペプチド部分の融合は、アミド結合を介して達成され得る。融合は、直接的なアミド結合、あるいは1個のアミノ酸残基(例、メチオニン)又は数個(例えば2個〜50個、好ましくは2個〜30個、より好ましくは2個〜20個、さらにより好ましくは2個〜15個又は2個〜10個、最も好ましくは2個、3個、4個又は5個)のアミノ酸残基からなるペプチド(ペプチドリンカー)が介在したアミド結合により達成され得る。種々のペプチドリンカーが知られているので、このようなペプチドリンカーを使用することができる。
【0114】
融合タンパク質において、ポリペプチド部分、ならびに第1及び第2のペプチド部分が融合する順序は、特に限定されず、1)ポリペプチド部分のN末端部及びC末端部がそれぞれ第1及び第2のペプチド部分のC末端部及びN末端部(又はN末端部及びC末端部)と融合していてもよいし、あるいは2)ポリペプチド部分のN末端部が第1のペプチド部分のC末端部と融合し、かつ当該第1のペプチド部分のN末端部が第2のペプチド部分のC末端部とさらに融合していてもよく、又は3)ポリペプチド部分のC末端部が第1のペプチド部分のN末端部と融合し、かつ当該第1のペプチド部分のC末端部が第2のペプチド部分のN末端部とさらに融合していてもよい。例えば、ポリペプチド部分としてフェリチンを用いる場合、フェリチンはそのN末端部が多量体の表面上に露出され、そのC末端部は表面上に露出しないことから、好ましくは、フェリチンは、上記2)の順序で融合される。一方、ポリペプチド部分としてDpsを用いる場合、DpsはN末端部及びC末端部の両方が多量体の表面上に露出し得ることから、Dpsは、上記1)〜3)のいずれかの順序で融合され得る。
【0115】
好ましい実施形態では、融合タンパク質は、ポリペプチド部分のN末端側及びC末端側にそれぞれ第1及び第2のペプチド部分(それぞれ、1個又は複数個)を有し得る。換言すれば、第1のペプチド部分のC末端部は、ポリペプチド部分のN末端部と融合され、かつ、第2のペプチド部分のN末端部は、ポリペプチド部分のC末端部と融合される。
【0116】
第1のペプチド部分は、翻訳開始コドンによりコードされるメチオニン、又はメチオニンをN末端に含む部分を、第1のペプチド部分のN末端側に有するように設計され得る。このような設計により、融合タンパク質の翻訳が促進され得る。メチオニンをN末端に含むペプチド部分は、数個(例えば2個〜50個、好ましくは2個〜30個、より好ましくは2個〜20個、さらにより好ましくは2個〜15個又は2個〜10個、最も好ましくは2個、3個、4個又は5個)のアミノ酸残基からなるペプチドであり得る。
【0117】
好ましい実施形態では、融合タンパク質は、第1及び第2のペプチド部分が異なる標的材料に結合し得る。第1及び第2のペプチド部分が結合する標的材料の組合せとしては、例えば、無機材料と有機材料との組合せ、2種の無機材料の組合せ、2種の有機材料の組合せが挙げられる。より具体的には、このような組合せとしては、金属材料とシリコン材料との組合せ、金属材料と炭素材料との組合せ、シリコン材料と炭素材料との組合せ、2種の金属材料の組合せ、2種のシリコン材料の組合せ、2種の炭素材料の組合せが挙げられる。したがって、第1及び第2のペプチド部分の組合せは、上述したような標的材料に結合し得るペプチド部分の組合せであり得る。
【0118】
より好ましい実施形態では、融合タンパク質は、第1及び第2のペプチド部分の一方が炭素材料に結合し、かつ、他方が金属材料又はシリコン材料に結合し得る。換言すれば、本発明の融合タンパク質は、第1のペプチド部分として、炭素材料に結合し得るペプチド部分を有し、かつ、第2のペプチド部分として、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分を有するか、あるいは、第1のペプチド部分として、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分を有し、かつ、第2のペプチド部分として、炭素材料に結合し得るペプチド部分を有する。
【0119】
炭素材料に結合し得るペプチド部分としては、カーボンナノチューブ(CNT)又はカーボンナノホン(CNH)等のカーボンナノ材料に結合し得るペプチド部分が好ましい。このようなペプチド部分としては、例えば、後述する実施例及び特開2004−121154号公報に開示される、配列番号5のヌクレオチド配列によりコードされるDYFSSPYYEQLF(配列番号6)、M.J.Pender et al.,Nano Lett.,2006,vol.6,No.1,p.40−44に開示されるHSSYWYAFNNKT(配列番号13)、ならびに特開2004−121154号公報に開示されるYDPFHII(配列番号14)、又はそれらの変異ペプチド(例、1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸残基の保存的置換等の変異)、あるいはこのようなアミノ酸配列を1個又は複数有するペプチドが挙げられる。
【0120】
金属材料に結合し得るペプチド部分としては、チタン又はチタン化合物(例、酸化チタン)等のチタン材料に結合し得るペプチド部分、および亜鉛または亜鉛化合物(例、酸化亜鉛)等の亜鉛材料に結合し得るペプチド部分が好ましい。チタン材料に結合し得るペプチド部分としては、例えば、後述する実施例及び国際公開第2006/126595号に開示されるRKLPDA(配列番号8)、M.J.Pender et al.,Nano Lett.,2006,vol.6,No.1,p.40−44に開示されるSSKKSGSYSGSKGSKRRIL(配列番号15)、ならびに国際公開第2006/126595号に開示されるRKLPDAPGMHTW(配列番号16)及びRALPDA(配列番号17)、又はそれらの変異ペプチド(例、1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸残基の保存的置換等の変異)、あるいはこのようなアミノ酸配列を1個又は複数個有するペプチドが挙げられる。亜鉛材料に結合し得るペプチド部分としては、例えば、後述する実施例およびUmetsu et al.,Adv.Mater.,17,2571−2575(2005)に開示されるEAHVMHKVAPRPGGGSC(配列番号30)、又はそれらの変異ペプチド(例、1個、2個、3個、4個または5個のアミノ酸残基の保存的置換等の変異)、あるいはこのようなアミノ酸配列を1個または複数個有するペプチドが挙げられる。
【0121】
シリコン材料に結合し得るペプチド部分としては、シリコン又はシリコン化合物(例、シリコンの酸化物)に結合し得るペプチド部分が好ましい。このようなペプチド部分としては、例えば、後述する実施例及び国際公開第2006/126595号に開示されるRKLPDA(配列番号8)、M.J.Pender et al.,Nano Lett.,2006,vol.6,No.1,p.40−44に開示されるSSKKSGSYSGSKGSKRRIL(配列番号15)、ならびに国際公開第2006/126595号に開示されるMSPHPHPRHHHT(配列番号18)、TGRRRRLSCRLL(配列番号19)、及びKPSHHHHHTGAN(配列番号20)、又はそれらの変異ペプチド(例、1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸残基の保存的置換等の変異)、あるいはこのようなアミノ酸配列を1個又は複数個有するペプチドが挙げられる。
【0122】
特定の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号2、配列番号27又は配列番号32で表されるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を示すアミノ酸配列からなる、又はそれを含むタンパク質であってもよい。配列番号2、配列番号27又は配列番号32で表されるアミノ酸配列に対する、融合タンパク質のアミノ酸配列の同一性パーセントは、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、さらにより好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上又は99%以上であってもよい。
【0123】
融合タンパク質は、融合タンパク質を発現する形質転換体から得ることができる。この形質転換体は、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む融合タンパク質の発現ベクターを作製し、次いで、この発現ベクターを宿主に導入することにより作製することができる。融合タンパク質を発現させるための宿主としては、例えば、エスケリシア・コリ(Escherichia coli)等のエスケリシア属細菌、コリネバクテリウム属細菌、及びバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)をはじめとする種々の原核細胞、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピヒア・スティピティス(Pichia stipitis)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)をはじめとする種々の真核細胞が挙げられる。
【0124】
形質転換される宿主としてE.coliについて詳述すると、E.coliとしては、例えば、E.coli K12株亜種のE.coli JM109株、DH5α株、HB101株、BL21(DE3)株が挙げられる。形質転換方法、及び形質転換体を選別する方法は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition, Cold Spring Harbor press (2001/01/15)などにも記載されている。以下、形質転換されたE.coliを作製し、これを用いて融合タンパク質を製造する方法を、一例としてより具体的に説明する。
【0125】
融合タンパク質をコードするDNAを発現させるプロモータとしては、通常E.coliにおける異種タンパク質生産に用いられるプロモータを使用することができ、例えば、T7プロモータ、lacプロモータ、trpプロモータ、trcプロモータ、tacプロモータ、ラムダファージのPRプロモータ、PLプロモータ、T5プロモータ等の強力なプロモータが挙げられる。ベクターとしては、例えば、pUC19、pUC18、pBR322、pHSG299、pHSG298、pHSG399、pHSG398、RSF1010、pACYC177、pACYC184、pMW119、pMW118、pMW219、pMW218、pQE30及びその誘導体が挙げられる。
【0126】
また、融合タンパク質をコードする遺伝子の下流に、転写終結配列であるターミネータを連結してもよい。このようなターミネータとしては、例えば、T7ターミネータ、fdファージターミネータ、T4ターミネータ、テトラサイクリン耐性遺伝子のターミネータ、大腸菌trpA遺伝子のターミネータが挙げられる。
【0127】
融合タンパク質をコードする遺伝子をE.coliに導入するためのベクターとしては、いわゆるマルチコピー型のものが好ましく、ColE1由来の複製開始点を有するプラスミド、例えばpUC系のプラスミド、pBR322系のプラスミドあるいはその誘導体が挙げられる。ここで、「誘導体」とは、塩基の置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位などによってプラスミドに改変を施したものを意味する。なお、ここでいう「改変」とは、変異剤、UV照射などによる変異処理、あるいは自然変異などによる改変をも含む。
【0128】
ベクターは、形質転換体の選別のため、アンピシリン耐性遺伝子等のマーカーを有することが好ましい。このようなプラスミドとして、強力なプロモータを持つ発現ベクターが市販されている(例、pUC系(タカラバイオ社製)、pPROK系(クローンテック製)、pKK233−2(クローンテック製))。
【0129】
得られた発現ベクターを用いてE.coliを形質転換し、得られたE.coliを培養すると、融合タンパク質が発現される。
【0130】
培地としては、例えば、M9−カザミノ酸培地、LB培地など、大腸菌を培養するために通常用いる培地が挙げられる。培養及び生産誘導等の条件は、用いたベクターのマーカー、プロモータ、宿主菌等の種類に応じて適宜選択することができる。
【0131】
融合タンパク質を回収するには、以下の方法などがある。融合タンパク質は、融合タンパク質を産生する形質転換体を回収した後、形質転換体を破砕(例、ソニケーション、ホモジナイゼーション)あるいは溶解(例、リゾチーム処理)することにより、破砕物及び溶解物として得ることができる。このような破砕物及び溶解物を、抽出、沈澱、濾過、カラムクロマトグラフィー等の手法に供することにより、精製タンパク質、粗精製タンパク質、又は融合タンパク質含有画分として得ることができる。
【0132】
融合タンパク質の作製に用いることができる、上述したような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、及び当該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、並びに当該発現ベクターを含む形質転換体について説明する。
【0133】
融合タンパク質の作製に用いることができるポリヌクレオチド(単にポリヌクレオチドという場合がある)は、内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分をコードするポリヌクレオチド部分、並びに第1の標的材料に結合し得る第1のペプチド部分をコードする第1のポリヌクレオチド部分及び第2の標的材料に結合し得る第2のペプチド部分をコードする第2のポリヌクレオチド部分を含み得る。ポリヌクレオチドは、融合タンパク質をコードするので、融合タンパク質に関する上述した説明に基づいて、種々の観点から特定することができる。
【0134】
特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号26又は配列番号31で表されるヌクレオチド配列に対して90%以上の同一性を示すヌクレオチド配列からなる、又はそれを含むポリヌクレオチドであってもよい。配列番号1配列番号26又は配列番号31で表されるヌクレオチド配列に対する、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列の同一性パーセントは、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、さらにより好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上又は99%以上であってもよい。
【0135】
融合タンパク質多量体について説明する。融合タンパク質多量体は、内腔を有し得る。融合タンパク質多量体を構成する融合タンパク質は、上述したとおりである。融合タンパク質多量体は、融合タンパク質を発現させることで、自律的に形成され得る。融合タンパク質多量体を構成する単量体単位の数は、融合タンパク質におけるポリペプチド部分の種類により決定され得る。好ましくは、融合タンパク質多量体は、内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分としてDpsを有し得ることから、12量体であり得る。
【0136】
融合タンパク質多量体は、単量体単位として、単一の融合タンパク質から構成されるホモ多量体であってもよいが、異なる複数の種類(例、2種、3種、4種、5種又は6種)の融合タンパク質から構成されるヘテロ多量体であってもよい。融合タンパク質多量体では、多量体形成の観点から、融合タンパク質多量体を構成する融合タンパク質中のポリペプチド部分は単一のポリペプチド部分であることが好ましいが、第1のペプチド部分及び第2のペプチド部分は、融合タンパク質多量体を構成する融合タンパク質間で異なるものであってもよい。例えば、融合タンパク質多量体が2種の融合タンパク質から構成され、かつ当該融合タンパク質中のポリペプチド部分がそのN末端側及びC末端側にそれぞれ融合されたペプチド部分を有する場合、2種の融合タンパク質の組合せとしては、以下の例が挙げられる:
(i)第1のペプチド部分(a)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(b)と、第1のペプチド部分(c)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(d)との組合せ;
(ii)第1のペプチド部分(a)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(b)と、第1のペプチド部分(a)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(c)との組合せ;
(iii)第1のペプチド部分(a)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(b)と、第1のペプチド部分(c)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(b)との組合せ;
(iv)第1のペプチド部分(a)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(b)と、第1のペプチド部分(c)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(a)との組合せ;
(v)第1のペプチド部分(a)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(a)と、第1のペプチド部分(b)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(c)との組合せ;
(vi)第1のペプチド部分(a)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(b)と、第1のペプチド部分(b)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(a)との組合せ;
(vii)第1のペプチド部分(a)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(a)と、第1のペプチド部分(a)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(b)との組合せ;ならびに
(viii)第1のペプチド部分(a)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(a)と、第1のペプチド部分(b)−ポリペプチド部分−第2のペプチド部分(a)との組合せ。
〔ここで、a〜dは、異なるペプチド部分(例、異なる標的材料に結合し得るペプチド部分)であることを示す。(i)は、4種のペプチド部分を利用する態様であり、(ii)〜(v)は、3種のペプチド部分を利用する態様であり、(vi)〜(viii)は、2種のペプチド部分を利用する態様である。〕
【0137】
具体的には、融合タンパク質多量体が2種の融合タンパク質から構成され、かつ、ペプチド部分として、炭素材料に結合し得るペプチド部分、及び金属材料(例、チタン又はチタン化合物、亜鉛又は亜鉛化合物)又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分を少なくとも用いる場合には、融合タンパク質多量体を利用して作製されるデバイスの電気的特性等を変化させる観点から、2種の融合タンパク質の組合せとしては、以下の例が挙げられる:
(i−1)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分と、第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−第2の他の材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(i−2)金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分と、第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第2の他の材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(i−3)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第2の他の材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(i−4)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分と、第2の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(i−5)第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第2の他の材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(i−6)第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第2の他の材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(ii−1)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分と炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(ii−2)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分と、炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(ii−3)金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(ii−4)金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(ii−5)第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分と、第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(ii−6)第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分と、第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(iii−1)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分と、第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(iii−2)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(iii−3)金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分と、第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(iii−4)金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分と、炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(iii−5)第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分と、炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(iii−6)第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(iv−1)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分と、第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(iv−2)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(iv−3)金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分と、第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(iv−4)金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分と、炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(iv−5)第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分と、炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(iv−6)第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(v−1)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(v−2)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分と、第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(v−3)金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分と、炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(v−4)金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分と、第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(v−5)第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(v−6)第1の他の材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−第1の他の材料に結合し得るペプチド部分と、炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(vi)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(vii−1)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分と、炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(vii−2)金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;
(viii−1)炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分と、金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−炭素材料に結合し得るペプチド部分との組合せ;ならびに
(viii−2)金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分と、炭素材料に結合し得るペプチド部分−ポリペプチド部分−金属材料又はシリコン材料に結合し得るペプチド部分。
【0138】
異なる複数の種類の融合タンパク質から構成される融合タンパク質多量体は、例えば、異なる種類の融合タンパク質を発現する複数のベクター、又は異なる種類の融合タンパク質を発現する単一のベクター(例、ポリシストロニックmRNAを発現し得るベクター)を、単一の宿主細胞に導入し、次いで、異なる種類の融合タンパク質を単一の宿主細胞中で発現させることにより、得ることができる。このような融合タンパク質多量体はまた、単一の融合タンパク質から構成される第1の融合タンパク質多量体と、単一の融合タンパク質(第1の融合タンパク質多量体を構成する融合タンパク質とは異なる)から構成される第2の単量体とを、同一の媒体(例、緩衝液)中で共存させ、放置することにより、得ることができる。融合タンパク質の単量体は、例えば、融合タンパク質多量体を、低pHの緩衝液下に放置することにより調製することができる。詳細については、例えば、B.Zheng et al.,Nanotechnology,2010,vol.21,p.445602を参照のこと。
【0139】
融合タンパク質多量体は、その内腔中に物質を含んでいてもよい。物質は、錯体又は粒子(例、ナノ粒子、磁性粒子)のような形態で、融合タンパク質多量体中に内包されていてもよい。当業者は、融合タンパク質多量体の内腔のサイズ、及び融合タンパク質多量体における物質の取り込みに関与し得る領域(例、C末端の領域:R.M.Kramer et al.,2004,J.Am.Chem.Soc.,vol.126,p.13282を参照)中のアミノ酸残基の電荷特性等を考慮することにより、融合タンパク質多量体に内包され得る物質を適切に選択できる。例えば、ポリペプチド部分としてDpsを有する融合タンパク質多量体の場合、Dpsは、40nm〜60nm(直径約5nm)程度の内腔を有する。
【0140】
したがって、このような融合タンパク質多量体に内包され得る物質のサイズ(体積)は、例えば60nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは20nm以下、さらにより好ましくは10nm以下、最も好ましくは5nm以下であり得る。
【0141】
また、融合タンパク質多量体における物質の取り込みに関与し得る領域中の電荷特性(例、正又は負に荷電し得る側鎖を有するアミノ酸残基の種類及び数)を変化させることにより、融合タンパク質多量体の内腔中への物質の取り込みをより促進できることが報告されているので(例、R.M.Kramer et al.,2004,J.Am.Chem.Soc.,vol.126,p.13282を参照)、本発明においても、電荷特性が変化された領域を有する融合タンパク質多量体を用いることができる。融合タンパク質多量体の内腔に内包され得る物質としては、例えば、上述した標的材料と同様の無機材料が挙げられる。具体的には、融合タンパク質多量体に内包され得る物質としては、上述したような金属材料、シリコン材料が挙げられる。融合タンパク質多量体に内包され得る物質としては、第2の標的材料とは異なる金属粒子(金属ナノ粒子)とするのが好ましい。より具体的には、このような物質としては、酸化鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、リン、ウラン、ベリリウム、アルミニウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、パラジウム、クロム、銅、銀、ガドリウム錯体、白金コバルト、酸化シリコン、酸化コバルト、酸化インジウム、白金、金、硫化金、セレン化亜鉛、カドミウムセレンが挙げられる。
【0142】
融合タンパク質多量体の内腔中への物質の内包は、周知の方法により行うことができ、例えば、フェリチン又はDps等のフェリチン様タンパク質の多量体の内腔中への物質の内包方法(例、I.Yamashita et al.,Chem.,lett.,2005.vol.33,p.1158を参照)と同様にして行うことができる。具体的には、HEPES緩衝液等の緩衝液中に、融合タンパク質多量体(又は融合タンパク質)及び内包されるべき物質を共存させ、次いで適切な温度(例、0℃〜37℃)で放置することにより、多量体の内腔中に物質を内包させることができる。
【0143】
融合タンパク質多量体は、内腔中に物質を含む場合、異なる複数の種類(例、2種、3種、4種、5種又は6種)の物質を含む、異なる複数の種類の多量体のセットとして提供されてもよい。例えば、融合タンパク質多量体が2種の物質を含む2種の多量体のセットとして提供される場合、このようなセットは、各々別々に調製された、第1の物質を内包する第1の融合タンパク質多量体と、第2の物質(第1の物質とは異なる)を内包する第2の融合タンパク質多量体とを、組み合せることにより、得ることができる。上述したような融合タンパク質の多様なパターンと、内包物質の多様なパターンとを適宜組み合せることにより、非常に多様性に富む融合タンパク質多量体を得ることができる。
上述した融合タンパク質多量体は、好適に多孔質構造体10の製造方法に用いることができる。
【0144】
以下、製造工程について具体的に説明する。
(1)融合タンパク質多量体に第1の標的材料と第2の標的材料とが結合された複合体を調製する工程
まず、融合タンパク質多量体を準備する。融合タンパク質多量体が、図1C及び図1Eを参照して既に説明した金属粒子36をさらに有する場合には、この段階で融合タンパク質多量体の内腔に金属粒子36を内包させておく。
【0145】
既に説明したとおり、例えばHEPES緩衝液等の緩衝液中に、融合タンパク質多量体(又は融合タンパク質)及び内包されるべき物質を共存させ、次いで適切な温度(例、0℃〜37℃)で放置することにより、融合タンパク質多量体の内腔に金属粒子36を内包させることができる。
【0146】
次に、融合タンパク質多量体と第1の標的材料20とを結合させて、融合タンパク質多量体と第1の標的材料20とが結合した結合体を得る。融合タンパク質多量体と第1の標的材料20との結合は、選択された第1の標的材料20に適した工程により実施することができる。
【0147】
この工程は、例えば、複数種類の異なる第2の標的材料に結合する融合タンパク質多量体を用いて実施することもできる。
【0148】
融合タンパク質多量体と第1の標的材料20との結合は、例えば水や緩衝液中で融合タンパク質多量体と第1の標的材料20とを混合することにより行うことができる。
【0149】
融合タンパク質多量体と第1の標的材料20とを結合させるために用いられ得る緩衝液としては、例えばリン酸緩衝液、グッド緩衝液が挙げられる。
【0150】
緩衝液の水素イオン濃度指数(pH)は、選択された材料に応じて任意好適な範囲に調整することができる。第1の標的材料20として、特にCNTを用いる場合には、融合タンパク質多量体と第1の標的材料20との結合性をより良好にできるので、pHを6〜9程度の範囲とするのが好ましく、6〜7程度の範囲とするのがより好ましい。
【0151】
結合に用いられる緩衝液は、例えば融合タンパク質多量体の表面電荷や親水度を変化させることを目的として、塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸アンモニウムのような成分をさらに含み得る。
【0152】
なお、第1の標的材料20として例えばCNTなどのナノ材料を用いる場合には、融合タンパク質多量体のタンパク質成分が分散剤として機能するため、界面活性剤などのその他の成分の添加を不要とすることもできる。
【0153】
また、混合及び結合を促進するために、例えば超音波処理、攪拌などのさらなる処理を実施してもよい。
【0154】
第1の標的材料20が例えばCNTである場合には、CNTと融合タンパク質多量体とを好適な濃度で含む水や緩衝液を調製し、さらに超音波処理して結合させることにより、融合タンパク質多量体と第1の標的材料20とを結合させることができる。
【0155】
次いで、第1の標的材料20が結合した融合タンパク質多量体に、さらに第2の標的材料を結合させる。
第1の標的材料20が結合した融合タンパク質多量体へのさらなる第2の標的材料の結合は、選択された第2の標的材料に適した工程により行うことができる。
【0156】
融合タンパク質多量体への第2の標的材料の結合は、例えば水、エタノール水溶液、緩衝液中で第1の標的材料20が結合した融合タンパク質多量体と第2の標的材料とを混合して結合させることにより行うことができる。
融合タンパク質多量体に第2の標的材料を結合させるために用いられ得る緩衝液としては、例えばリン酸緩衝液、グッド緩衝液が挙げられる。
【0157】
第2の標的材料の融合タンパク質多量体への結合は、選択された材料、融合タンパク質多量体の触媒活性などを勘案してpHなどの条件を任意好適な範囲に調整して実施すればよい。第2の標的材料及びその前駆体として特に金属を用いる場合には、融合タンパク質多量体の触媒活性がより高くなる条件で実施することが好ましい。
【0158】
第2の標的材料の融合タンパク質多量体への結合に用いられる緩衝液は、例えば融合タンパク質多量体、第2の標的材料の電荷状態を調整したり、第2の標的材料の分散性を調整したりすることを目的として、NaCl、ポリエチレングリコール、tween(登録商標)20などの他の成分をさらに含み得る。
また、混合及び結合を促進するために、超音波処理、攪拌、加熱、冷却などのさらなる処理を実施してもよい。
【0159】
第1の標的材料20が例えばCNTである場合には、CNTと融合タンパク質多量体とが結合した結合体を好適な濃度で含む水や緩衝液に、第2の標的材料を加えて結合させることにより、さらに第2の標的材料を結合させ、融合タンパク質多量体に第1の標的材料20と第2の標的材料とが結合された複合体を得ることができる。
【0160】
この工程では、第2の標的物質の代わりに、第2の標的物質の前駆体を用いて実施することもできる。第2の標的物質の前駆体とは、選択された前駆体が、例えばタンパク質(融合タンパク質多量体)、機能性ペプチド、酸などの触媒によって第2の標的物質になり得る物質や、焼成(加熱処理)等の任意好適な処理を行うことにより、第2の標的物質になり得る物質をいう。
【0161】
第2の標的物質が例えば酸化チタンである場合には、第2の標的物質の前駆体として、例えばチタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシド(Titanium(IV) bis(ammonium lactato)dihydroxide)、チタニウム2−エチルヘキシルオキシド(Titanium(IV) 2−ethylhexyloxide)、チタンエトキシド(Titanium ethoxide)、チタンイソプロポキシド(Titanium isopropoxide)、チタンブトシキド(Titanium n−butoxide)等を用いることができる。
【0162】
第2の標的材料の前駆体であるチタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシド、チタンエトキシド、チタニウム2−エチルヘキシルオキシド、チタンイソプロポキシドやチタンブトシキドは、タンパク質、機能性ペプチドなどの生体分子との相互作用、酸処理、加熱処理により第2の標的材料である酸化チタンとなり得る。
【0163】
以上の工程により、融合タンパク質多量体に結合した第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体、内腔(及び内腔に内包された金属粒子36)が第1の標的材料20の表面から所定の距離に、融合タンパク質多量体により固定されることとなる。すなわち、複数の融合タンパク質多量体が有する内腔(金属粒子36)それぞれは、第1の標的材料20の表面から実質的に等距離(図1B〜図1Eにおける、距離S1に相当する。)離間した位置に固定される。
【0164】
距離S1の調整は、例えば(1)第2の標的材料の析出条件(反応時間、pHなど)を調整する、(2)第1の標的材料20と結合する結合ペプチドの長さ、及び/又はこの結合ペプチドと内腔を画成し得るポリペプチド部分との間のリンカーの長さを変更する(融合タンパク質の種類を変更する)、(3)まず第1段階として融合タンパク質等を用いて第2の標的材料を第1の標的材料20の周囲に析出させた後(この段階で析出した第2の標的材料は第1の空孔部32を画成せずともよい。)、さらに第2段階として第2の標的材料に結合でき、かつ内腔を画成し得る融合タンパク質を析出した第2の標的材料に結合させ、はじめに析出した第2の標的材料の周囲に内腔を画成し得る融合タンパク質を内包する新たな第2の標的材料を析出させることにより行うことができる。
【0165】
形成される凝集体30の厚さT1を増大させるために、融合タンパク質多量体に第2の標的材料を結合させる工程において、第2の標的材料の前駆体及び/又は第2の標的材料自体を水や緩衝液などの溶媒に混合して例えばペースト状の組成物にして供給し、第2の標的材料の前駆体及び/又は第2の標的材料自体を第1の標的材料20の周囲に析出させてもよい。
【0166】
融合タンパク質(融合タンパク質多量体)のうち、第2の標的材料として例えば金属に結合し得るペプチド部分は、既に説明したとおり、金属の析出(mineralization)作用を有し得ること、及び金属化合物に結合し得るペプチド部分は、金属化合物の析出作用を有し得ることが知られている。
【0167】
したがって、第2の標的材料に結合し得るペプチド部分として、金属材料(金属又は金属化合物)に結合し得る既に説明した構成のペプチド部分を用いれば、金属材料に結合し得るペプチド部分は、当該ペプチド部分の周辺近傍に金属材料を析出させる析出作用を有し得る。
【0168】
第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体が金属材料である場合には、第2の標的材料の前駆体及び/又は第2の標的材料自体をさらに供給することで析出させ、後述の焼成工程を実施することにより厚さT1を増大させることができる。
【0169】
このような析出作用を有する融合タンパク質(融合タンパク質多量体)を用いるため、析出のためのさらなる手段を必要とせず、より簡易な工程で多孔質構造体、ひいては多孔質構造体を含む機能性の構造を形成することができる。
【0170】
この析出は、従来公知の任意好適な条件で実施することができる。第2の標的材料及び/又は第2の標的材料の前駆体を析出させるにあたり、例えば反応時間、第2の標的材料及び/又は第2の標的材料の前駆体の濃度などを調整することにより凝集体30の厚さT1を制御することができる。
【0171】
なお、金属材料(金属又は金属化合物)に結合し得る既に説明した構成のペプチド部分を用いれば、金属材料である第2の標的材料を常温(20℃程度)で第1の標的材料20の周囲に析出させることにより、凝集体30を形成することができる。
【0172】
(2)複合体を焼成して凝集体を形成する工程
次に、得られた複合体を焼成(加熱処理)して融合タンパク質多量体を消滅させる。この工程により、第1の標的材料20の周囲を取り囲むように位置して第1の標的材料20に被着している第2の標的材料を含む凝集体30が形成される。
【0173】
複合体を焼成して凝集体30を形成するにあたり、公知の任意好適な方法を使用することができる。具体的には、例えば、凝集体30が形成されるべき領域に、複合体を含有する水や緩衝液を含む組成物である塗工液(溶液、懸濁液)を塗布して成膜し、形成された膜を焼成する方法が挙げられる。複合体を含有する塗工液を得るための緩衝液としては、例えば酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、グリシン緩衝液が挙げられる。
【0174】
成膜に用いられる塗工液は、例えば凝集体30の厚さT1を制御するために、追加的に複合体を構成していない第2の標的材料及び/又は第2の標的材料の前駆体をさらに含む組成物として構成されていてもよい。また、成膜に用いられる塗工液は、例えば複合体をより効果的に分散させることを目的として、tween(登録商標)20のような界面活性剤を成分としてさらに含み得る。
【0175】
複合体の焼成は、凝集体30が形成されるべき領域、第2の標的物質の種類等により、温度、時間、雰囲気等を適宜調整して実施することができる。
【0176】
複合体の焼成は、例えば、大気下又は不活性ガス雰囲気下、50℃〜800℃程度、10秒間〜12時間程度の条件で行うことができる。複合体の焼成は、単一の温度で1回又は温度を変化させて2回以上行うこともできる。
【0177】
上述した第2の標的材料の前駆体であるチタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシドは、例えば450℃〜600℃程度の温度で焼成することにより目的とする主としてアナターゼ型粒子である酸化チタンとなり得る。
【0178】
この工程により、融合タンパク質多量体が消滅して、第1の標的材料20寄りに偏在する複数の第1の空孔部32、及び複数の第2の空孔部34が形成される。すなわち、複数の第1の空孔部32(及び金属粒子36)が、複数の第1の空孔部32それぞれの第1の標的材料20の表面からの距離S1(図1B〜図1E参照。)がいずれも実質的に同一となるように、かつ第1の標的材料20を取り囲むように配列される。
【0179】
第2の空孔部34のサイズ、形状は、例えば供給される第2の標的材料及び/又は第2の標的材料の前駆体の粒径、焼成温度、焼成時間を適宜変更することにより調整し得る。また、例えば鋳型として界面活性剤を添加したり、水熱処理を実施したりすることにより、第2の空孔部34のサイズをより微小化する方向に調整し得る。
【0180】
また、図1C及び図1Eを参照して既に説明した第1の空孔部32に金属粒子36を備える構成の多孔質構造体10を製造する場合には、選択された金属粒子36の融点以上の温度で加熱処理を行って、金属粒子36を溶融させ、凝集体30のうちの第1の空孔部32を画成する壁面の一部又は全部を覆っていてもよい金属薄膜36aとしてもよい。
金属薄膜36aを形成するにあたり、例えば、銀の粒子を金属薄膜36aとする場合には、150℃〜300℃程度の温度で加熱処理すればよい。
【0181】
さらに、第1の標的材料20をこの焼成工程により消滅させ、図1D及び図1Eを参照して既に説明した、第1の標的材料20の代わりに第3の空孔部38を有する多孔質構造体10とし得る。例えば、第1の標的材料20がCNTであり、第2の標的材料が酸化チタンである場合には、焼成工程を600℃〜700℃程度で実施することにより、CNTを消滅させて、第3の空孔部38を有する主としてアナターゼ型の第2の標的材料の粒子を含む凝集体30を形成し得る。
【0182】
以上の工程により形成された多孔質構造体10は、例えばエタノールなどの媒質に溶解させるか、又は懸濁させることにより単体とし保存することができ、また次工程に用い得る。
【0183】
以上の工程により、多孔質構造体10が製造される。また、金属粒子36を融合タンパク質多量体に内包させた場合には、第1の空孔部32に金属粒子36をさらに含む多孔質構造体10が製造される。
【0184】
以下に既に説明した多孔質構造体10を機能性材料として用いた機能性の構造を有する電子デバイス及びその製造方法の例として、色素増感太陽電池の構成及びその製造方法を説明する。
【0185】
4.色素増感太陽電池の構成
(1)色素増感太陽電池の実施形態1
図2Aを参照して、色素増感太陽電池の実施形態1について説明する。図2Aは、色素増感太陽電池の切断端面を示す概略的な図である。
【0186】
図2Aに示されるように、実施形態1にかかる色素増感太陽電池100は、第1の基板52と、第1の基板52上に設けられている透明電極62と、この透明電極62上に設けられている光電変換層70を有している。光電変換層70は、透明電極62と組み合わされて光電極を構成する。
【0187】
光電変換層70は、既に説明した多孔質構造体10を機能性材料として含んでいる。この実施形態1で用いられる多孔質構造体10としては、第1の標的材料20として例えばCNTが用いられ、第2の標的材料、すなわち凝集体30の材料として例えば酸化チタンが用いられている多孔質構造体10が好ましい。多孔質構造体10の表面には多数の増感色素40が坦持されている。
【0188】
色素増感太陽電池100は、第2の基板54と、第2の基板54上に設けられている対向電極64とを有している。対向電極64は、光電変換層70、すなわち光電極と対向するように配置されている。
【0189】
光電変換層70と対向電極64とは離間するように配置され、光電変換層70と対向電極64との間に挟まれる空隙には電解液80が満たされている。電解液80は、透明電極62と対向電極64とに接してこの空隙、すなわち電解液を取り囲むように設けられる封止部90により封止されている。すなわち、この空隙は、光電変換層70が設けられた第1の基板52と、対向電極64が設けられた第2の基板54と、封止部90とにより画成される。
【0190】
第1の基板52及び第2の基板54としては、色素増感太陽電池100全体を支持し得ることを条件として特に限定されない。第1の基板52及び第2の基板54としては、例えば、ガラス;ポリイミド、PET、PEN、PES、テフロン(登録商標)等の耐熱性の高分子フィルム;ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム板等の金属、セラミック等を単独又は積層構造で用いることができる。第1の基板52は、光を入射させる側であるので、透明又は半透明であることが好ましく、高い透明性を有することがより好ましい。
【0191】
透明電極62の材料としては、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)、亜鉛スズ酸化物(ZTO)、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)、SnO、In、ZnOが挙げられる。
【0192】
透明電極62の材料自体は透明でなくてもよい。透明電極62は、例えば不透明な材料を用いた多孔性の層とし、透明電極62全体として透光性の構造として構成してもよい。
また、色素増感太陽電池100においては、透明電極62の代わりに、Chem. Mat. 20[15](2008)4974−4979に記載されているような不透明な材料を用いて、光が入射する側の基板から離間するように形成される電極を備える、いわゆるBCE(back contact electrode)構造を採用することもできる。
【0193】
透明電極62は、これらの材料からなる単層又は複数の層が積層された積層層により形成し得る。
【0194】
透明電極62が予め形成されている第1の基板52を市場より入手して用いてもよい。
【0195】
光電変換層70の厚さは、特に限定されない。光電変換層70の厚さは、光の透過性、変換効率等をより良好にするため、例えば0.5μm〜20μm程度とするが好ましい。
【0196】
増感色素40は、吸収波長が可視光領域及び赤外光領域にあるものであって、多孔質構造体10に強固に吸着させるために、増感色素40の分子中に例えばカルボン酸基、カルボン酸無水基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基等のインターロック基を有するものが好ましく、なかでもカルボン酸基及びカルボン酸無水基を有するものがより好ましい。インターロック基とは、励起状態の増感色素40と多孔質構造体10との間の電子の移動を容易にする電気的結合を提供する基である。
【0197】
増感色素40としては、例えばルテニウムビピリジン色素、アゾ色素、キノン色素、キノンイミン色素、キナクリドン色素、スクアリリウム色素、シアニン色素、メロシアニン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、ポリフィリン色素、フタロシアニン色素、べリレン色素、インジゴ色素、ナフタロシアニン色素等が挙げられる。
【0198】
対向電極64は、既に説明した透明電極62と同じ材料を用いて形成することができる。対向電極64の材料は、具体的には、金属(例、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)、導電性金属酸化物(例、ITO、SnO)が挙げられる。対向電極64の厚さは、3nm〜10μm程度が好ましく、材料が特に金属の場合には、5μm程度以下が好ましく、3μm程度以下がより好ましい。
【0199】
電解液80としては、例えば、アセトニトリルとエチレンカーボネートとの混合溶媒(体積比=1:4)に、ヨウ化リチウムとヨウ素を溶解させた液体を用い得る。
【0200】
色素増感太陽電池100は、例えばスーパーストレート型、サブストレート型のいずれの型の色素増感太陽電池としても構成することができる。
【0201】
(2)色素増感太陽電池の実施形態2
図2Bを参照して、色素増感太陽電池の実施形態2について説明する。図2Bは、色素増感太陽電池の切断端面を示す概略的な図である。なお、色素増感太陽電池の実施形態1と同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0202】
図2Bに示されるように、実施形態2にかかる色素増感太陽電池100は、第1の基板52と、第1の基板52上に設けられている透明電極62と、この透明電極62上に設けられている光電変換層70を有している。光電変換層70は、透明電極62と組み合わされて光電極を構成する。
【0203】
光電変換層70は、既に説明した多孔質構造体10を機能性材料として含んでいる。この実施形態2で用いられる多孔質構造体10としては、第1の標的材料20として例えばCNTが用いられ、第2の標的材料、すなわち凝集体30の材料として例えば酸化チタンが用いられている多孔質構造体10が好ましい。
【0204】
色素増感太陽電池100は、第2の基板54と、第2の基板54上に設けられている対向電極64とを有している。対向電極64は、光電変換層70と対向するように配置されている。
【0205】
実施形態2では、複数の多孔質構造体10が、その長尺方向の一端が透明電極62に固定されて配列されている。複数の多孔質構造体10は、その長尺方向と第1の基板52の厚み方向とが略平行となるように、かつ互いに略平行に対向電極64に向かって延在している。
【0206】
複数の多孔質構造体10の配列の態様は特に限定されない。複数の多孔質構造体10は、例えばマトリクス状に複数の多孔質構造体10同士が互いに等間隔となるように配列し得る。多孔質構造体10それぞれの表面(空孔部)には多数の増感色素40が坦持されている。
【0207】
光電変換層70と対向電極64とは離間するように配置されている。光電変換層70と対向電極64との間に挟まれて存在する空隙には電解液80が満たされている。電解液80が満たされた空隙は、透明電極62と対向電極64とに接してこの空隙を取り囲むように設けられる封止部90により封止されている。
【0208】
5.色素増感太陽電池の製造方法
色素増感太陽電池の製造方法例について、図3A、図3B、図3C及び図3Dを参照して説明する。図3A、図3B、図3C及び図3Dは、色素増感太陽電池の製造工程を示す概略的な図である。
【0209】
5.1.色素増感太陽電池の製造方法例1
色素増感太陽電池100の製造方法例1は、透明電極62を備えた基板を準備する工程と、第1の標的材料20に、第1の標的材料20に結合し得る第1のペプチド部分、第2の標的材料に結合し得る第2のペプチド部分、及び内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分を含む融合タンパク質からなる、前記内腔を有する融合タンパク質多量体を結合させて結合体とし、該結合体と前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体とを結合させて複合体を得る工程と、前記複合体を含む材料を、前記透明電極62上に載せる工程と、前記透明電極上の前記材料を焼成し、前記融合タンパク質多量体を消滅させて、第2の標的材料を含み、前記第1の標的材料20の周囲を取り囲むように位置して前記第1の標的材料20に被着しており、前記第1の標的材料20寄りに偏在する複数の第1の空孔部32、及び散在する複数の第2の空孔部34を備える凝集体30を有する多孔質構造体10を含む構造を、前記透明電極62上に形成する工程と、前記多孔質構造体に増感色素を坦持させて光電極を形成する工程と、前記光電極を備える基板と、対向電極64とを電解液を注入して封止する工程とを含む。
【0210】
(1)透明電極を備えた基板を準備する工程
まず、透明電極62を備えた第1の基板52を準備する。この工程は、上述したように透明電極62が予め形成された基板を市場にて入手し得る。また、既に説明したように、市場にて入手し得る第1の基板52上に、透明電極62をスパッタ法、真空蒸着法等によって成膜することにより形成してもよい。
【0211】
準備した透明電極62を備えた第1の基板52に対して、加熱処理、その他の表面処理などの任意好適な処理工程を行ってもよい。例えば透明電極62を備えた第1の基板52を70℃から80℃に加熱された40mMの四塩化チタン水溶液に30分間程度浸漬した後、水やエタノールで洗浄し、乾燥させる工程を実施するのが好ましい。かかる工程を実施することにより、光電変換効率をより向上させることができる。
【0212】
(2)複合体を含む材料を、透明電極上に載せる工程
次に、第1の標的材料20と、この第1の標的材料20に結合し得る第1のペプチド部分、第2の標的材料に結合し得る第2のペプチド部分、及び内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分を含む融合タンパク質からなる、既に説明したとおりの工程により調製された、内腔を有する融合タンパク質多量体を準備する。
【0213】
第1の標的材料(例、CNT)に融合タンパク質多量体を結合させて結合体とし、この結合体と第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体(例、酸化チタンの前駆体であるチタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシド)とを混合して結合させることで、第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体と、融合タンパク質多量体と、第1の標的材料(例、CNT)との複合体とし、この複合体を含む、例えばペースト状の材料を、透明電極62上に載せる。例えば、複合体、第2の標的材料及び/又は第2の標的材料の前駆体、加えて必要に応じて添加される分散媒などが混合されたペースト状の材料を、従来公知の塗布法などの任意好適な工程によって、第1の基板52上に塗布成膜すればよい。
【0214】
第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体と融合タンパク質多量体と第1の標的材料との複合体の終濃度は、好ましくは1重量%未満とするのがよい。複合体の終濃度は、より好ましくは0.06重量%から0.5重量%の範囲としてもよく、さらに好ましくは0.1重量%から0.3重量%の範囲としてもよく、さらにより好ましくは0.15重量%から0.25重量%の範囲としてもよく、特に好ましくは0.15重量%から0.2重量%の範囲としてもよい。
ここで「複合体の終濃度」とは、第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体と融合タンパク質多量体と第1の標的材料との複合体と、上記ペースト状の材料中の第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体とのみにおける第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体と融合タンパク質多量体と第1の標的材料との複合体の濃度を意味しており、上記ペースト状の材料から溶媒を除去した場合に残存する固形物中の複合体の濃度、換言すると焼成工程により形成された凝集体において、この焼成工程により複合体が消滅しなかったと仮定したときに凝集体に含まれる複合体の割合を意味する。
複合体の終濃度を上記範囲内とすれば、形成された色素増感太陽電池の電気的特性をより向上させ、ひいては光電変換効率をより向上させ得る。
【0215】
(3)多孔質構造体を含む構造を、透明電極上に形成する工程
既に説明した多孔質構造体10の製造工程と同様にして、例えば透明電極62上に成膜された材料の層を焼成して融合タンパク質多量体を消滅させる。またこの焼成により、第2の標的材料の前駆体を用いる場合には、第2の標的材料の前駆体を第2の標的材料とする、例えば塗布された酸化チタンの前駆体であるチタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシドを焼成することにより、酸化チタンとすることができる。またチタンブトキシドを第2の標的材料の前駆体として用いてこれを焼成することにより、第2の標的材料である酸化チタンとすることもできる。さらには第2の標的材料の前駆体として水酸化亜鉛や硫酸亜鉛を用いて同様に焼成することにより第2の標的材料である酸化亜鉛とすることもできる。
【0216】
この工程により、第1の標的材料20の周囲を取り囲むように位置して第1の標的材料20に被着している凝集体30を有する多孔質構造体10、すなわち多孔質構造体10を含む層構造(光電変換層)を、透明電極62上に形成することができる。
【0217】
ここで、上記工程(2)及び(3)の変形例につき説明する。この変形例は、予め形成した多孔質構造体10を含む材料を、透明電極62を備えた第1の基板52上に供給して、多孔質構造体10を含む構造を形成する例である。
【0218】
まず例えば既に説明した通り形成され単離された多孔質構造体10を準備する。次に多孔質構造体10、第2の標的材料及び/又は第2の標的材料の前駆体を含む材料を、透明電極62上に載せる。この工程は、例えば多孔質構造体10と、第2の標的材料及び/又は第2の標的材料の前駆体と、エタノールなどの媒質とを混合して透明電極62上に塗布成膜する工程とすることができる。この成膜工程は、多孔質構造体10と、第2の標的材料及び/又は第2の標的材料の前駆体に加えて分散媒などの成分を含むペーストとを混合して、得られた混合物を塗布成膜する工程とすることもできる。
【0219】
次いで成膜された多孔質構造体10を含む膜構造を加熱処理する。この加熱処理工程は、例えば温度を120℃程度とし、5分間程度実施する乾燥工程とすることができる。
【0220】
加熱処理工程として、この乾燥工程の後に、焼成工程をさらに実施してもよい。例えば第2の標的材料の前駆体を用いた場合には、この焼成工程を第2の標的材料の前駆体を第2の標的材料とする工程とすることができる。この焼成工程は、例えば温度を500℃程度とし、30分間程度焼成する工程として実施することができる。
以上の工程により、多孔質構造体10を含む構造(例、光電変換層などの層構造)を透明電極62上に形成することができる。
【0221】
(4)多孔質構造体に増感色素を坦持させて光電極を形成する工程
図3Aに示されるように、次いで、形成された多孔質構造体10を含む層70Xに、既に説明した増感色素40を吸着させる。この工程は、例えば多孔質構造体10を含む層70Xを、増感色素40を溶解、分散させた液体に浸漬するか、又はこの液体を多孔質構造体10を含む層に塗布する工程として実施し得る。
【0222】
増感色素40を溶解、分散させる溶媒は、特に限定されない。溶媒としては、例えばエタノール、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム、ヘキサン、ベンゼン、酢酸エチル等が挙げられる。
【0223】
多孔質構造体10を含む層70Xを、増感色素40が溶解、分散した液体に浸漬する場合の液体及び雰囲気の温度及び圧力は特に限定されない。増感色素40の吸着は、例えば室温程度、かつ大気圧下で行うことができる。浸漬時間は、使用する増感色素40、溶媒の種類、溶液の濃度等により適宜調整することができる。
図3Bに示されるように、以上の工程により、多孔質構造体10に増感色素40が吸着した光電変換層70を得ることができる。このようにして、透明電極62と光電変換層70とが接合されて一体的に構成される光電極が第1の基板52上に形成される。
【0224】
(5)光電極と、対向電極とを電解液を注入して封止する工程
次に、対向電極64が形成された第2の基板54を準備する。対向電極64と光電変換層70とが離間して対向するようにこれらを重ね合わせて配置する。
【0225】
次いで、光電変換層70と対向電極64との間に挟まれる空隙には電解液80を注入して電解液80で満たす。
図3Cに示されるように、まず、光電変換層70と対向電極64との間に挟まれる空隙を画成するように、封止材料90Xを設ける。封止材料90Xは、電解液80が空隙に注入可能であるように、例えば注入口を残して透明電極62と対向電極64とに接してこの空隙を取り囲むように設けられる。封止材料90Xは、光電変換層70側に予め設けておくことができ、また対向電極64側に予め設けておいて、光電変換層70と対向電極64とを対向させて貼り合わせることができる。封止材料90Xとしては、従来公知の可塑性の紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等を含む接着材を用い得る。
【0226】
図3Dに示されるように、次に、電解液80を、光電変換層70(第1の基板52)と対向電極64(第2の基板54)と封止材料90Xが画成する空隙に注入することにより、空隙を電解液80で満たす。次いで電解液80を注入するのに用いた注入口を例えば封止材料90Xで塞いで、紫外線照射処理、加熱処理などの選択された材料に応じた任意好適な処理で処理して封止材料90Xを封止部90とし、光電変換層70と対向電極64との間に挟まれる領域(空隙)を電解液80で満たして封止部90により封止する。すなわち光電変換層70と対向電極64とを封止部90により電解液80で満たされた領域に封止する。
以上の工程により色素増感太陽電池が製造される。
【0227】
5.2.色素増感太陽電池の製造方法例2
製造方法例2は、図2Bを参照して説明した構成を有する色素増感太陽電池の製造方法である。
【0228】
色素増感太陽電池100の製造方法例2は、透明電極62を備えた基板を準備する工程と、前記透明電極62上に、第1の標的材料20である1以上のCNTを前記基板の厚み方向に延在するように配列させる工程と、前記CNTに、該CNTに結合し得る第1のペプチド部分、第2の標的材料の前駆体に結合し得る第2のペプチド部分、及び内腔を有する多量体を形成し得るポリペプチド部分を含む融合タンパク質からなり、前記内腔を有する融合タンパク質多量体を結合させて結合体とし、該結合体と前記第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体とを結合させて複合体とする工程と、前記複合体を焼成して前記融合タンパク質多量体を消滅させ、前記第2の標的材料を含み、前記CNTの周囲を取り囲むように位置して前記CNTに被着しており、前記CNT寄りに偏在する複数の第1の空孔部32、及び散在する複数の第2の空孔部34を備える凝集体30を有する多孔質構造体10を、前記透明電極62上に形成する工程と、前記多孔質構造体10に増感色素40を坦持させて光電極を形成する工程と、前記光電極と、対向電極64とを電解液80を注入して封止する工程とを含む。
【0229】
製造方法例2は、製造方法例1における(2)複合体を含む材料を、透明電極上に載せる工程のみが異なり、製造方法例1における工程(2)の代わりに、工程(2’−1)及び(2’−2)が実施される。
以下、製造方法例2において実施される工程(2’−1)及び(2’−2)についてのみ説明して、製造方法例1と同様である工程については詳細な説明を省略する。
【0230】
(2’−1)透明電極上に、1以上のCNTを基板の厚み方向に延在するように配列させる工程
この工程は、例えば特開2001−181842号公報が開示するCNTの製造方法に基づいて実施し得る。
【0231】
この工程は、例えば、(i)CNTの懸濁液をセラミックフィルタに流して、フィルタの表面にCNTを配列させ、配列したCNTを透明電極62上に転写する工程、(ii)内腔を有するタンパク質に無機材料を保持させて、無機材料を保持した複数のタンパク質を透明電極62上に配列させた後、タンパク質を除去して透明電極62上に残存する無機材料を種としてCNTを成長させる工程、又は(iii)基板上に無機材料を吸着させ、無機材料を種としてカーボンナノチューブを成長させてカーボンナノチューブ配列基板を得て、カーボンナノチューブ配列基板のカーボンナノチューブを透明電極62上に転写する工程として、実施し得る。
【0232】
CNTを透明電極上に形成する工程として、上記(iii)工程について説明する。まず種となる無機材料(例えば、鉄ナノ粒子)をタンパク質多量体となったときにその内腔に保持できるタンパク質を用意する。このようなタンパク質としては、例えばチタン結合性ペプチド(minTBP−1)を融合させたフェリチンタンパク質(TBF)を用いることができる。
【0233】
次に、タンパク質多量体(無機材料内包性タンパク質)に無機材料を保持させる。具体的には、TBF多量体の内腔に酸化鉄ナノ粒子を内包させる例が挙げられる。
【0234】
続いて、種となる無機材料をCNTを設けるべき領域内に配置する。すなわち、基板上に無機材料を吸着させる。
【0235】
この工程は、シリコン酸化膜が設けられた基板を用いて、無機材料内包性タンパク質をシリコン酸化膜上に配列させて吸着させる工程とすることが好ましい。この工程は、例えば、まずシリコン酸化膜が設けられた基板のうちのシリコン酸化膜上に、無機材料を内腔に内包したタンパク質多量体を吸着させる。具体的には、酸化鉄ナノ粒子を内包したTBF多量体の溶液(緩衝液)をシリコン酸化膜上に載せることにより吸着させる例が挙げられる。
【0236】
次いで、シリコン酸化膜上に無機材料のみを残存させる。具体的には、例えばUV−O処理することで、タンパク質成分のみを除去して、無機材料のみがシリコン酸化膜の表面に吸着している基板を得ることができる。この工程は必要に応じて行えばよく、酸化鉄ナノ粒子を内包したTBF多量体が吸着した基板からタンパク質成分のみを除去することなく、そのまま後述するCNTを成長させる工程を行うことができる。
【0237】
次に、シリコン酸化膜上でCNTを成長させて(合成して)、シリコン酸化膜の表面からCNTが林立しているCNTフォレストを形成する。
【0238】
このCNTフォレストの形成は、下記のとおり行うことができる。まず、無機材料、あるいは無機材料を内包したTBF多量体がシリコン酸化膜の表面に吸着している基板を真空中で加熱処理する。この加熱処理は、例えば500℃〜800℃の範囲、好ましくは600℃〜700℃の範囲の温度で行うことができる。
【0239】
次いで、加熱された基板を水素ガス(H)雰囲気下で静置(放置)する。この工程は、水素流量を好ましくは10sccm〜200sccmの範囲とし、反応圧力を例えば60Pa〜1.5kPa(1500Pa)の範囲、好ましくは200Pa〜1.5kPaの範囲として行うことができる。この工程によりシリコン酸化膜に吸着している無機材料が活性化される。
【0240】
続いて、活性化された無機材料が吸着しているシリコン酸化膜を備える基板を、例えばアセチレンガス(C)/水素ガス混合雰囲気下で、所定時間、静置(放置)することで、シリコン酸化膜上でCNTを成長させることにより、CNTフォレストを形成することによりカーボンナノチューブ配列基板を得る。
【0241】
この工程は、水素流量を好ましくは10sccm〜200sccmの範囲とし、アセチレン流量を例えば10sccm〜200sccmの範囲、好ましくは10sccm〜50sccmの範囲とし、反応圧力を例えば60Pa〜1.5kPaの範囲、好ましくは200Pa〜1.5kPaの範囲とし、アセチレンの分圧を例えば19Pa〜400Paの範囲、好ましくは19Pa〜350Paの範囲とし、反応温度を例えば500℃〜800℃の範囲、好ましくは600℃〜700℃の範囲として行うことができる。
【0242】
なお、CNTフォレストを形成するにあたり、上記(ii)工程を実施する場合には、例えば、無機材料の透明電極62への吸着工程までを上記(iii)工程の条件と同様にして行い、無機材料、あるいは無機材料を内包したTBF多量体が透明電極62の表面に吸着している透明電極62を備える基板を500℃〜600℃の範囲で加熱することによりCNTフォレストを形成することができる。
【0243】
次に、形成されたカーボンナノチューブ配列基板のカーボンナノチューブを透明電極62上に転写する。この工程は、例えばSci. Rep. 2:368 doi:10.1038/srep00368(2012)に記載されている方法、すなわちドライトランスファー法により行うことができる。
具体的には、まずカーボンナノチューブ配列基板に対してHOエッチングを行うことにより、カーボンナノチューブ配列基板上の無機材料(触媒粒子)と合成されたカーボンナノチューブとの化学的な結合力を弱めておく。次にカーボンナノチューブ配列基板のCNTフォレストを透明電極62と対向させる。次いでCNTフォレストと透明電極62とが接触するように、カーボンナノチューブ配列基板と透明電極62が形成された基板とを重ね合わせる。次にカーボンナノチューブ配列基板のCNTフォレストが形成されている側とは反対側の面から押圧(プレス)して透明電極62にカーボンナノチューブ配列基板を押しつける。以上の工程によりCNTフォレストを透明電極62上に転写することができる。
【0244】
上述の基板上に無機材料を吸着させる工程は、サイズの異なる2種以上の無機材料内包性タンパク質を基板上に配列させて吸着させる工程とすることが好ましい。ここで「サイズ」とは、無機材料内包性タンパク質が有する内腔の径を意味する。
【0245】
無機材料内包性タンパク質の内腔の径は、一般に4nmから20nm程度の範囲内であるので、この範囲内で互いに異なるサイズを有する2種以上の無機材料内包性タンパク質を組み合わせることが好ましい。無機材料内包性タンパク質のサイズは少なくとも2種が相互に異なってさえいればよく、サイズの差には特に制限はないが、2種以上の無機材料内包性タンパク質の組み合わせとしては、少なくとも1種の無機材料内包性タンパク質のサイズが、その他の少なくとも1種の無機材料内包性タンパク質のサイズの2倍程度のサイズとなるような組み合わせとすることが好ましい。2種以上の無機材料内包性タンパク質の好ましい組み合わせとしては、例えばTBF多量体及びCDT多量体の組み合わせが挙げられる。
【0246】
単層CNT(SWNT)を含むCNTフォレストを合成するためには、サイズの異なる2種以上の無機材料内包性タンパク質を用いて、これらがいずれもシリコン酸化膜の表面に吸着している基板を真空中で加熱処理することが好ましい。
【0247】
この加熱処理は、例えば500℃〜800℃の範囲、好ましくは600℃〜700℃の範囲の温度で行うことができる。
【0248】
例えばサイズの異なる2種の無機材料内包性タンパク質を用いる場合には、シリコン酸化膜の表面に吸着しているサイズの異なる2種のタンパク質多量体(例えばTBF多量体、CDT多量体)の量比(サイズのより小さなタンパク質/サイズのより大きなタンパク質)を、好ましくは0.5から2.0の範囲として行うことができる。
【0249】
次いで、加熱されたシリコン酸化膜を水素ガス(H)雰囲気下で静置(放置)する。この工程は、水素流量を好ましくは10sccm〜200sccmの範囲とし、反応圧力を例えば60Pa〜1.5kPa(1500Pa)の範囲、好ましくは200Pa〜1.5kPaの範囲として行うことができる。この工程によりシリコン酸化膜に吸着している無機材料が活性化される。
【0250】
続いて、活性化された無機材料が吸着しているシリコン酸化膜を備える基板を、例えばアセチレンガス(C)/水素ガス混合雰囲気下で、所定時間、静置(放置)することで、シリコン酸化膜上でCNTを成長させることにより、CNTフォレストを形成する。
【0251】
この工程は、水素流量を好ましくは10sccm〜200sccmの範囲とし、アセチレン流量を例えば10sccm〜200sccmの範囲、好ましくは10sccm〜50sccmの範囲とし、反応圧力を例えば60Pa〜1.5kPaの範囲、好ましくは200Pa〜1.5kPaの範囲とし、アセチレンの分圧を例えば19Pa〜400Paの範囲、好ましくは19Pa〜350Paの範囲とし、反応温度を例えば500℃〜800℃の範囲、好ましくは600℃〜700℃の範囲として行うことができる。
【0252】
上記の工程において、例えばTBF多量体のみを用いた場合には、形成されるCNTが径がより大きく、かつ後の工程でタンパク質が被着しにくいMulti−Walled CNTが主として形成されてしまう。また例えばCDT多量体のみを用いた場合には、形成されるCNTはSingle−Walled CNTとなるものの、基板上におけるCNTの密度が低下してしまう。
【0253】
しかしながら、このようにサイズの異なる2種以上の無機材料内包性タンパク質、例えばサイズがより大きなTBF多量体及びサイズがより小さいCDT多量体の2種類を混合して用いることにより、後の工程でタンパク質が被着し易い径の小さいSWNTを主として含む、より密度の高いCNTフォレストを形成することができる。
【0254】
(2’−2)CNTに融合タンパク質多量体を結合させた結合体とし、この結合体と第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体とを結合させて複合体を得る工程
この工程は、まず融合タンパク質多量体を例えば緩衝液と混合して液状(ペースト状)の材料とし、成長したCNTが配列されている透明電極62上に、例えば塗布法などによりこの液状の材料を供給して、融合タンパク質多量体をCNTに結合させて結合体とし、さらに第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体を、分散媒などと混合して液状とし、例えば塗布法などにより供給して、CNTに結合した融合タンパク質多量体に第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体を結合させて複合体とし、さらに必要に応じてCNTの周りに第2の標的材料又は第2の標的材料の前駆体を析出させる工程として実施し得る。
【0255】
次に、既に説明した多孔質構造体10の製造工程と同様にして成膜された膜構造を乾燥させ、次いで焼成することにより融合タンパク質多量体を消滅させる。この工程により、第1の標的材料20の周囲を取り囲むように位置して第1の標的材料20に被着している凝集体30を有する多孔質構造体10を形成することができる。
【0256】
引き続き、製造方法例1において既に説明した工程(4)及び工程(5)を同様にして実施することにより、図2Bを参照して既に説明した構成を有する色素増感太陽電池が製造される。
【実施例】
【0257】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。これらの実施例により本発明はなんら限定されない。
実施例1:融合タンパク質CNHBP−Dps−TBP(CDT)発現用株の作製例
N末端にカーボンナノホン結合ペプチド(以下、CNHBPと表記する。アミノ酸配列:DYFSSPYYEQLF(配列番号6)からなる。国際公開第2006/068250号を参照)が融合され、C末端に酸化チタン結合ペプチド(以下、TBPと表記する。配列番号7のヌクレオチド配列でコードされるアミノ酸配列:RKLPDA(配列番号8)からなる。国際公開第2005/010031号を参照)が融合されたListeria innocuaの金属内包性タンパク質Dps(以下、CNHBP−Dps−TBPあるいはCDTと表記する。配列番号1)を下記の手順により構築した。
【0258】
はじめに、合成DNA(配列番号9、配列番号10)の混合溶液を、98℃で30秒熱した後、速やかに4℃にすることでアニールさせた。その合成DNA溶液とL.innocuaのDps遺伝子が搭載されたpET20(K.Iwahori et al.,Chem.lett.,2007,vol.19,p.3105を参照)を各々制限酵素NdeIで完全消化した。
【0259】
得られたDNA産物をT4 DNAリガーゼ(タカラバイオ社、日本)でライゲーションし、N末端にCNHBPが融合されたDps(以下、CNHBP−Dpsと表記し、CDと略す場合がある)をコードする遺伝子が搭載されたプラスミドpET20−CDを得た。続いて、pET20−CDを鋳型DNA、配列番号11及び配列番号12のヌクレオチド配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCRを行った。
【0260】
得られたPCR産物をWizard SV Gel and PCR Clean−Up System(Promega社、USA)で精製し、制限酵素DpnIとBamHIとで消化した。制限酵素で消化されたPCR産物を、T4 DNAリガーゼ(Promega社、USA)を用いてセルフライゲーションさせた。
【0261】
セルフライゲーションされたPCR産物をE.coli JM109(タカラバイオ社、日本)に形質転換し、N末端にカーボンナノホン結合ペプチドが融合され、C末端にチタン結合ペプチドが融合されたDps(CDT)をコードする遺伝子が搭載された発現プラスミド(pET20−CDT)を保持したJM109を構築した。その形質転換株から、Wizard Plus Minipreps System(Promega社、USA)を用いて、pET20−CDTを精製した。最後にBL21(DE3)(invitorogen社、USA)をpET20−CDTで形質転換し、タンパク質発現用株BL21(DE3)/pET20−CDTとした。
【0262】
実施例2:融合タンパク質CDTの調製例
BL21(DE3)/pET20−CDTを5mLのLB培地(100mg/L(アンピシリンを含む))にて37℃で培養した。培養を開始して18時間後に、培養液を新しいLB培地(100mg/L(アンピシリンを含む))3Lに植菌し、BMS−10/05(ABLE社、日本)を用いて37℃で24時間振とう培養した。得られた菌体を遠心分離(5000rpm、5分間)により回収して、−80℃で保存した。冷凍保存された菌体の半分の量(6g)を50mM TrisHCl緩衝液(pH8.0) 40mLで懸濁した。次に、その懸濁液にDigital Sonifier 450(Branson社、USA)を用いて1秒間隔の超音波パルス(200W、Duty 45%)処理を12分間行うことで、菌体を破砕した。破砕された菌体を含む溶液を15000rpmで15分間、遠心分離(JA−20、Beckmancoulter社、USA)して、上清画分を回収した。回収された上清画分を60℃で20分間加熱し、加熱後に速やかに氷上で冷却した。冷却された上清画分を17000rpmで10分間、遠心分離(JA−20)し、再度、上清画分を回収(約20mL)した。その上清画分をディスクフィルター(Millex GP 0.22μm、Millipore社、USA)で滅菌した。そして、滅菌された上清画分をAmicon−Ultra−15(NMWL.50000、Millipore社、USA)で液量が10mLになるまで限外ろ過濃縮し、タンパク質溶液を得た。
【0263】
次に、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて、得られたタンパク質溶液から目的タンパク質であるCDT画分を精製した。すなわち、Tris−HCl緩衝液(150mM NaClを含む50mM Tris−HCl溶液(pH8.0))で平衡化したHiPrep 26/60 Sephacryl S−300 High resolutionカラム(GE healthcare社、USA)にタンパク質溶液10mLを注入し、流速1.4mL/分で分離精製を行い、CDTに相当するフラクションを回収した。
【0264】
次いで、得られたタンパク質溶液を限外ろ過濃縮し、タンパク質溶液の緩衝液を50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に置換した。そのタンパク質溶液10mLを、50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)で平衡化されたHiLoard 26/10 Q−Sepharose High Performanceカラム(GE healthcare社、USA)に注入した。そして、流速4.0mL/分、0mMから500mM NaClを含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)で塩濃度勾配をかけることで、分離精製を行い、CDT画分を精製してCDTを得た。得られたCDTを用いて以下の実施例を実施した。
【0265】
実施例3:CNT/CDT複合体の調製例
CNTとCDTとのナノ複合体を形成するために、CNTとCDTとを含むリン酸カリウム緩衝液[50mM リン酸カリウム(pH6.0)、0.5mg/mLのCDT、及び0.3mg/mL CNT(Sigma社、519308, carbon nanotube, single walled)を各々終濃度で含む]を調製した。CDTを含むリン酸カリウム緩衝液に、Digital Sonifier 450(Branson社、USA)を用いて、氷上で、3秒間隔で1秒間の超音波パルス(200W、Duty 20%)を合計5分間加えた。超音波処理されたCDT−CNT混合溶液を遠心分離(15000rpm、5分間)し、多数のCDTがCNTに結合したCNT/CDT複合体を得た。
結果を図4に示す。図4は、CNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体の透過型電子顕微鏡像を示す図である。撮影は、複合体を3%リンタングステン酸で染色して行った。結果として、CNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとが複合体を形成していることがわかった。
【0266】
実施例4:CNT/CDT/Ti複合体の調製例
得られたCNT/CDT複合体溶液に、終濃度2.5重量%となるようにチタン前駆体Titanium(IV) bis(ammonium lactato)dihydroxide(SIGMA社、388165)を加え、室温(24℃)で放置した。そして、反応を開始して30分後と反応を開始して15時間後のサンプルとを遠心分離(15000rpm、5分間)して、沈殿を回収した。得られた沈殿を水で3回洗浄し、最後に水に懸濁した。得られたサンプルを、透過型電子顕微鏡(JEM3100−FEF、300kV)にて、無染色で電子顕微鏡解析した。反応を開始して15時間後のサンプルについての電子顕微鏡解析の結果を図5に示す。図5は、CNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体にチタン前駆体を添加して得られた黒い析出物の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【0267】
結果として、黒い構造体を観察することができた。得られたサンプル(黒い構造体)を、透過型電子顕微鏡(JEM3100−FEF、300kV)を用いて、エネルギー分散型X線分析(EDS)による組成分析を行った。結果を図6に示す。図6は、図5に示されるBox004及びBox005の領域それぞれをEDS解析した場合に得られるピークを示す図である。
【0268】
結果として、図5にBox004として示される領域の黒い構造体にはチタン原子が含まれることがわかった。他方、図5にBox005として示される黒い構造体のない領域ではチタン原子のピークは観察されなかった。
【0269】
また、Box004及びBox005の両方で銅由来のピークが観察された。これは電子顕微鏡観察時にサンプルが載せられている銅製グリッドの成分が検出されたものと考えられる。
【0270】
よって、チタン前駆体が添加されたCNT/CDTナノ複合体溶液を観察したときに見られる灰色の領域はチタン原子を含むことがわかった。
続いて、チタン前駆体が添加されたCNT/CDTナノ複合体溶液に含まれる構造物を、3%リンタングステン酸(PTA)染色し、透過型電子顕微鏡(JEM2200−FS、200kV)を使って、高倍率でTEM解析した。結果を図7に示す。図7は、CNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体にチタン前駆体を添加して得られた黒い析出物の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【0271】
結果として、長尺方向の長さが1μm、長尺方向に直交する方向の直径が50nmから100nmの範囲のロッド状の構造体を確認することができた。
【0272】
図8は、CNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体にチタン前駆体を添加して得られた黒い析出物の透過型電子顕微鏡像を示す図である。図8に示されるように、得られた透過型電子顕微鏡像において、電子密度が濃く、黒く見えるチタンを含有する領域の内部には、直径5nm程度のCNTを観察することができた。また、CNTの周囲には直径9nm程度の球状のタンパク質CDTを観察することができた。また、この複合体での、CDTとCNTの距離(S1)は1nmから10nmであった。
【0273】
対照として、CNTのみを含む溶液にチタン前駆体を加えて同様に反応させた。すなわち、終濃度50mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に終濃度3mg/mg CNT(Sigma社、519308, carbon nanotube, single walled)を加えた。その溶液に氷上でDigital Sonifier 450(Branson社、USA)を用いて1秒間隔で超音波(200W、Duty 20%)処理し、3秒間超音波を停止するサイクルで、超音波処理する時間が計5分間となるようにした。ここで超音波処理後に遠心分離をしてしまうとCNTがすべて沈殿してしまう危険があるため、遠心分離は行わなかった。超音波処理されたCNTのみの溶液に、終濃度2.5重量%となるようにチタン前駆体Titanium(IV) bis(ammonium lactato)dihydroxideを加え、室温(24℃)で放置した。反応を開始して15時間後のサンプルを遠心分離(15000rpm、5分間)し、沈殿を回収した。その沈殿を水で3回洗浄して、最後に水に懸濁した。得られた懸濁液を、3%PTA染色して透過型電子顕微鏡(JEM2200−FS、200kV)を用いて、電子顕微鏡解析した。結果を図9に示す。図9は、CNTが分散した溶液にチタン前駆体を添加して得られた黒い析出物の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【0274】
結果として、CNTのみが分散した溶液では、図7で見られたCNTの周囲に特異的に存在するチタン原子に由来する黒い領域は観察されなかった。
すなわち、CNTと結合したCDTのチタン析出活性を利用することで、CNT/CDTの複合体(ナノ複合体)の周囲をチタンで被膜し、CNT/CDT/Tiの複合体(ナノ複合体)が合成できることがわかった。
【0275】
実施例5:金属粒子を内包した融合タンパク質CDTとCNTとの結合
はじめに、CDT多量体の内腔中に酸化鉄ナノ粒子を形成した。すなわち、CDTを含むHEPES緩衝液(80mM HEPES−NaOH(pH7.5)、0.5mg/mL CDT、1mM 硫酸アンモニウム鉄を各々終濃度で含む)を1mL調製し、4℃で3時間放置した。放置後、遠心分離(15000rpm、5分間)して、タンパク質を含む上清を回収した。そして、その上清をAmicon−Ultra−15(NMWL.50000、Millipore社、USA)で限外ろ過濃縮し、酸化鉄ナノ粒子を内腔に持つCDT多量体(Fe−CDT)溶液の緩衝液を水に置換してタンパク質溶液を得た。そのタンパク質溶液を用いて、酸化鉄ナノ粒子を内腔に持つCDT多量体とCNTとを含むリン酸カリウム緩衝液(50mM リン酸カリウム(pH6.0)、0.3mg/mLのFe−CDT、0.3mg/mL CNTを各々終濃度で含む)を調製した。調製された溶液に、Digital Sonifier 450(Branson社、USA)を用いて氷上で、3秒間隔で1秒間の超音波パルス処理(200W、Duty 20%)を合計5分間行った。超音波パルス処理されたFe−CDT−CNT混合溶液を遠心分離(15000rpm、5分間)して、多数のCDT多量体がCNTに結合したCNT/Fe−CDT複合体を得た。結果を図10に示す。図10は、酸化鉄ナノ粒子を内腔に持つCNHBP−Dps−TBP(CDT多量体)とCNTとの複合体の透過型電子顕微鏡像を示す図である。透過型電子顕微鏡像は、サンプルを3%TPA染色して撮影された。
【0276】
結果として、酸化鉄ナノ粒子を内腔に持つCNHBP−Dps−TBP(CDT多量体)とCNTとの複合体(CNT/Fe−CDT複合体)が得られていることが確認できた。
【0277】
実施例6:CNT/Fe−CDT/Ti複合体の調製例
得られたCNT/Fe−CDT複合体溶液に、終濃度が2.5重量%となるようにチタン前駆体Titanium(IV) bis(ammonium lactato)dihydroxide(SIGMA Aldrich社、388165)を加え、室温(24℃)で放置した。反応を開始して30分後と15時間後のサンプルを遠心分離(15000rpm、5分間)して、沈殿を回収した。その沈殿を水で3回洗浄して、最後に水に懸濁することでCNT/Fe−CDT/Ti水溶液を得た。
【0278】
図11は、酸化鉄ナノ粒子を内腔に持つCNHBP−Dps−TBP(CDT多量体)とCNTとの複合体にチタン前駆体を添加して得られた黒い析出物の透過型電子顕微鏡像を示す図である。CNT/Fe−CDT/Ti水溶液を無染色でTEM解析したところ、図11に示されるように、黒いロッド状の構造体の中に、酸化鉄ナノ粒子を内腔に内包したCDT多量体を観察することができた。また、この複合体での、CDTとCNTの距離(S1)は1nmであった。
【0279】
この黒いロッド状の構造体は、EDS解析の結果からチタンを含有するものと推測できた。このTEM像から、CDT多量体により増大したと考えられる、チタンナノロッド構造体の表面積について解析した。すなわち、図11のTEM像から、長尺方向の長さが102nmであり、長尺方向と直交する方向の直径が31nmであるチタンナノロッド構造体の中に64個のCDT多量体が内包されていると推定できた。チタンナノロッド構造体の表面積は、1.1×10(nm)である。そして、直径9nmであるCDT多量体の表面積は、254(nm)であることから、CDT多量体64個分の表面積の合計は1.6×10(nm)である。すなわち、今回観察されたCDT多量体を内包するチタンナノロッド構造体の長尺方向の長さ100nm当りの表面積は2.6×10(nm)であり、CDT多量体が内包されていない場合の同様のチタンナノロッド構造体の長尺方向の長さ100nm当りの表面積である1.1×10(nm)よりも2.4倍大きいことが推定できた。
【0280】
また、CDT多量体に内包された酸化鉄ナノ粒子をチタン膜に導入することができたことから、CDT多量体に内包させ得ると予測されるニッケル、コバルト、マンガン、リン、ウラン、ベリリウム、アルミニウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、パラジウム、クロム、銅、銀、ガドリウム錯体、白金コバルト、酸化シリコン、酸化コバルト、酸化インジウム、白金、金、硫化金、セレン化亜鉛、カドミウムセレンなどの金属ナノ粒子のCNTを被膜するチタン膜、酸化チタン膜への導入が期待される。
【0281】
続いて、CNT/Fe−CDT/Ti水溶液10μLを、UV/オゾン処理(115℃、5分間、1ml/min)された、厚さが10nmのSiO膜で被膜されているシリコン基板に載せ、450℃で30分間加熱した。その後、室温で放置して冷却し、走査型電子顕微鏡(SEM)で解析した。結果を図12に示す。図12は、酸化チタンで被膜されたCNHBP−Dps−TBP(CDT多量体)とCNTとの複合体を加熱して得られた構造体の走査型電子顕微鏡像を示す図である。
結果として、繊維状に観察されるCNTの周囲を粒子状の構造体、膜状の構造体が覆っている様子が観察された。また、EDSによる分析から、CNTを被膜している構造体が酸化チタンにより構成されていることが示唆された。
【0282】
実施例7:CNT/TiO複合体の調製例
はじめに、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に終濃度0.3mg/mL CDT及び0.3mg/mL CNT(Sigma社、519308, carbon nanotube, single walled)を加えた。得られた溶液40mLに氷上でDigital Sonifier 450(Branson社、USA)を用いて、1秒間超音波(200W、25%)処理して、3秒間超音波を停止するサイクルで、超音波処理する時間が計5分間となるように処理した。超音波処理には直径10mmの太い素子を用いた。超音波処理後、容量50mLのチューブに溶液を移し変え、8500rpm、10分間遠心分離することで、CDT多量体と結合しなかったCNTを除去した。その溶液に、終濃度が2.5重量%となるようにTitanium(IV) bis(ammonium lactato)dihydroxide(SIGMA社、388165)を加え、室温で2時間放置した。ここで、凝集体の沈殿が観察された。その後、容量50mLの遠沈管で8500rpmで、10分間遠心分離して、沈殿を回収することで、CNT/CDT/Ti複合体を精製した。さらに、水を40mL加え、遠心分離することで洗浄し、最後に水を0.8mL加え、容量1.5mLのマイクロチューブに移した。得られたCNT/CDT/Ti複合体を含む溶液200μLを、石英ボードに載せ、450℃から800℃の範囲で(500℃、600℃、700℃及び800℃の各温度で)、30分間加熱した(昇温速度50℃/分)。
【0283】
各温度で焼成された黒い粉体を3%PTA染色し、TEM解析した。結果を図12に示す。図13A、図13B、図13C及び図13Dは、酸化チタンで被膜されたCNHBP−Dps−TBP(CDT多量体)とCNTとの複合体を加熱して得られた構造体の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【0284】
図13Aに示されるように500℃で焼成した場合には、多数の線状の構造体を観察することができた。図13Bに示されるように600℃で焼成した場合には、線状の構造体はほとんど観察できなかった。図13C及び図13Dに示されるように700℃以上で焼成した場合には線状の構造体はまったく観察できなかった。
【0285】
さらに、得られた黒い粉体の結晶状態を調べるために、450℃で加熱された黒い粉体をX線回折(XRD)により解析した。結果を図14に示す。図14は、酸化チタンで被膜されたCNHBP−Dps−TBP(CDT)とCNTとの複合体を450℃で焼成して得られた構造体のXRD分析の結果を示す図である。
【0286】
図14に示されるように、アナターゼ型TiO結晶の(101)面、(200)面に特有のピークを観察することができた。
【0287】
しかしながら、アナターゼ型TiO結晶以外のピークも観察されたことから、TiOが混合していると推定された。同様にして、500℃、600℃で焼成された黒い粉体についてもXRD解析したところ、同様のピークパターンを示した。よって、少なくとも600℃以下で焼成された黒い粉体には、光触媒活性を持つアナターゼ型TiO結晶が含まれていることが示唆された。
【0288】
実施例8:光電変換素子(色素増感太陽電池)の製造例1
実施例4で得られたCNT/CDT/Ti複合体を光電変換素子(色素増感太陽電池)の光電変換層の材料として用い、色素増感太陽電池の特性に与える影響を評価した。色素増感太陽電池の作製は、SOLARONIX社のプロトコール(David Martineau、Dye Solar Cells for Real、02.09.2010参照)を下記の通り改変して行った。
【0289】
はじめに、上記方法にて、CNT(SWNT)/CDT/Tiを反応溶液1ml分合成し、水で洗浄後、エタノール溶液に懸濁した。そのCNT(SWNT)/CDT/Ti複合体を酸化チタンペースト(Ti−Nanoxide D、SOLARONIX社)に練りこみ、色素増感太陽電池の材料とした。光電変換層を形成するために、25mm×25mm角にカットされた透明電極基板であるFTO基板(fluorine−doped tin oxide、SOLARONIX社)の両端に、5mmにカットされ2重に貼り合わされたメンディングテープ(3M社、厚さ100μm程度)をそれぞれ貼り付けた。テープ同士間の距離は10mmとした。
【0290】
テープ同士の間にCNT(SWNT)/CDT/Ti複合体を含有する酸化チタンペーストを載せ、スライドガラスを用いて平らに伸ばし、30℃で30分間放置することで、酸化チタンペーストを乾燥させた。酸化チタンペーストを載せた基板を焼成炉にいれ、450℃で30分間焼成した。昇温速度は、90℃/minとして行った。焼成後に自然冷却で100℃以下に冷却した。焼成された基板に、0.2g/L ルテニウム(Ru)増感色素溶液(N719、無水エタノール溶解液、SOLARONIX社)を1mLつけ、室温で24時間放置した。24時間放置することで赤く染まった部分をエタノールで洗い、ドライヤーで乾燥させて光電極とした。
【0291】
フッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜の表面を厚さ50nmの白金(Pt)でコーティングしたPt電極(対向電極)と、上記光電極を備えた構造体とを用いて色素増感太陽電池を作製した。
【0292】
封止材として封止シート(SX1170−25、SOLARONIX社)を用い、ホットプレートを用いて、120℃で5分間加熱した。さらに、完全に封止されていない接着面に、エポキシ系接着剤であるアラルダイトラピッド(昭和高分子社)をつけ、30℃で2時間放置することで密封した。最後にヨウ素電解液(SOLARONIX社)を入れて色素増感太陽電池を得た。
【0293】
製造された色素増感太陽電池に、キセノンランプで100mW/cmの強さの光を照射して評価を行った。結果を図15に示す。図15は、色素増感太陽電池の電流−電圧特性を示すグラフである。なお、電流―電圧特性の測定時の遅延時間は0秒で行った。図15から明らかな通り、多孔質構造体を用いた色素増感太陽電池の電流―電圧特性は、極めて良好であった。
【0294】
色素増感太陽電池の特性として、太陽電池において、照射光による入射エネルギーのうち、電力に変換された割合である光電変換効率(η(%))、電流が流れていないときの電圧である開放電圧(Voc(V))、電圧0V時に計測される電流密度である短絡電流密度(Jsc(mA/cm))及び光電変換効率ηについての関係式:光電変換効率η=Jsc×Voc×FFにおけるフィルファクター(FF)を評価した。結果を表1に示す。
【0295】
表1から明らかな通り、酸化チタンペーストのみで形成された光電極を備える色素増感太陽電池(デバイス2(−))では、短絡電流密度が12mA/cmであったのに対し、CNT(SWNT)/CDT/Ti複合体を練りこんだ酸化チタンペーストを光電極の機能性材料として用いた色素増感太陽電池(デバイス1(+))では、短絡電流密度が15mA/cmであり、CNT(SWNT)/CDT/Ti複合体を電極の機能性材料として用いたことにより、電流量が25%増加していた。さらに、光電変換効率ηは、CNT(SWNT)/CDT/Ti複合体を練りこんだ酸化チタンペーストを光電極の機能性材料として用いることで1.4倍向上していた。
【0296】
【表1】
【0297】
実施例9:光電変換素子(色素増感太陽電池)の製造例2
実施例4で得られたCNT/CDT/Ti複合体を光電変換素子(色素増感太陽電池)の光電変換層の材料として用い、色素増感太陽電池の特性に与える影響を評価した。色素増感太陽電池の作製はSOLARONIX社のプロトコールを下記の通り改変して行った。
【0298】
はじめに、CNT(SWNT)/CDT/Tiを大量に合成するために、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に終濃度0.3mg/mLのCDT1及び0.3Mg/mLのCNT(SWNT、Sigma社、519308−250MG、carbon nanotube、single walled)を加えた。得られた溶液50mLに対し、氷上でDigital Sonifier 450 (Branson社、USA)を使い1秒間超音波(200W、25%)をかけ、3秒間超音波を停止するサイクルで、超音波を与える時間が計5分間となるように超音波処理した。超音波処理には直径10mmの太い素子を用いた。
【0299】
超音波処理後、50mLのチューブに溶液を移し変え、8500rpmで10分間遠心分離することで、CDT1と結合しなかったCNT(SWNT)を除去した。その溶液に、終濃度2.5重量%となるようにTi[BALDH](Sigma Aldrich)を加え、室温で2時間放置した。その後、50mLの遠沈管で8500rpm、10分間遠心分離し、沈殿を回収することで、CNT(SWNT)/CDT1/Ti複合体を精製した。さらに、水を40mL加え、50mLの遠沈管で8500rpmで30分間遠心分離することで洗浄した。その沈殿に水を1mL加え、1.5mLマイクロチューブに移し、15000rpmで20分間遠心分離した。その沈殿を300μLのエタノールに分散させることでCNT(SWNT)/CDT1/Ti複合体を得た。この操作を2回実施し、合計100mLの反応溶液からCNT(SWNT)/CDT1/Ti複合体を得た。得られた複合体を含む溶液200μLを、石英ボードに載せ450℃で30分間加熱処理(昇温速度50℃/分)することでCNT(SWNT)/TiO複合体を得た。得られたCNT(SWNT)/TiO複合体は各々エタノール100μLに再懸濁し、回収した。
【0300】
得られたCNT(SWNT)/TiO複合体を酸化チタンペースト(Ti−Nanoxide D、SOLARONIX社)に、終濃度0.5g/L(デバイス4)あるいは5g/L(デバイス5)となるように練りこみ、色素増感太陽電池の材料とした。光電変換層を形成するために、25mm×25mm角にカットされた透明電極基板であるFTO基板(fluorine−doped tin oxide、SOLARONIX社)の両端に、5mmにカットされ2重に貼り合わされたメンディングテープ(3M社、厚さ100μm程度)をそれぞれ貼り付けた。テープ同士間の距離は5mmとした。
【0301】
テープ同士の間に各濃度でCNT(SWNT)/TiO複合体を含有する酸化チタンペーストをそれぞれ載せ、スライドガラスを用いて平らに伸ばし、30℃で30分間放置することで、酸化チタンペーストを乾燥させた。酸化チタンペーストを載せた基板を焼成炉にいれ、450℃で30分間焼成した。昇温速度は、90℃/minとして行った。焼成後に自然冷却で100℃以下に冷却した。焼成された基板に、0.2g/Lのルテニウム(Ru)増感色素溶液(N719、無水エタノール溶解液、SOLARONIX社)を1mLつけ、室温で24時間放置した。24時間放置することで赤く染まった電極基板をエタノールで洗い、酸化チタン表面に吸着しなかった色素を除去し、室温で10分以上放置することで乾燥させて光電極とした。
【0302】
フッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜の表面を厚さ50nmの白金(Pt)でコーティングしたPt電極(対向電極)と、上記光電極を備えた構造体とを用いて色素増感太陽電池を作製した。
【0303】
封止材として封止シート(SX1170−25、SOLARONIX社)を用い、ホットプレートを用いて、120℃で5分間加熱した。さらに、完全に封止されていない接着面に、エポキシ系接着剤であるアラルダイトラピッド(昭和高分子社)をつけ、60℃で1時間放置することで密封した。最後にヨウ素電解液(SOLARONIX社)を入れて色素増感太陽電池を得た。
【0304】
製造された色素増感太陽電池に、キセノンランプで100mW/cmの強さの光を照射して評価を行った。結果を図16に示す。図16は、色素増感太陽電池の電流−電圧特性を示すグラフである。また、電流―電圧特性を測定する際の遅延時間は100m秒で行った。図16から明らかな通り、多孔質構造体を用いた色素増感太陽電池の電流―電圧特性は、極めて良好であった。
【0305】
製造された色素増感太陽電池(デバイス4及びデバイス5)及び対照として光電極にCNT(SWNT)/TiO複合体を含有しない色素増感太陽電池(デバイス3)の特性として、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、フィルファクターFF及び光電変換効率η(%)を評価した。結果を表2に示す。すなわち、CNT(SWNT)/TiO複合体を0.5g/Lの濃度で含有する酸化チタンペーストで作製された電極を用いた場合、変換効率は4.7%にまで向上していた。
【0306】
【表2】
【0307】
実施例10:光電変換素子(色素増感太陽電池)の製造例3
実施例4で得られたCNT/CDT/Ti複合体を光電変換素子(色素増感太陽電池)の光電変換層の材料として用い、色素増感太陽電池の特性に与える影響を評価した。色素増感太陽電池の作製方法はSOLARONIX社のプロトコールを改変して行った。
【0308】
はじめに、CNT(SWNT)/CDT/Tiを大量に合成するために、50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に終濃度0.3mg/mLのCDT1及び0.3mg/mLのCNT(SWNT、Sigma社、519308−250MG carbon nanotube, single walled)を加えた。得られた溶液50mLに氷上でDigital Sonifier 450 (Branson社、USA)を使い1秒間超音波(200W、25%)をかけ、3秒間超音波を停止するサイクルで、超音波を与える時間が計5分間となるように与えた。超音波処理には直径10mmの太い素子を用いた。
【0309】
超音波処理後、50mLのチューブに溶液を移し変え、8500rpmで1分間遠心分離することで、CDT1と結合しなかったCNT(SWNT)を除去した。その溶液に、終濃度2.5重量%となるようにTi[BALDH](Sigma Aldrich)を加え、室温で2時間放置した。その後、50mLの遠沈管で8500rpmで10分間遠心分離し、沈殿を回収することで、CNT(SWNT)/CDT1/Ti複合体を精製した。さらに、水を40mL加え、50mLの遠沈管で8500rpm、30分間遠心分離することで洗浄した。その沈殿に水を1mL加え、1.5mLマイクロチューブに移し、15000rpmで20分間遠心分離した。その沈殿を300μLのエタノールに分散させることでCNT(SWNT)/CDT1/Ti複合体を得た。この操作を2回実施し、合計100mLの反応溶液からCNT(SWNT)/CDT1/Ti複合体を得た。得られた複合体を含む溶液200μLを、石英ボードに載せ450℃で30分間加熱(昇温速度50℃/分)することでCNT(SWNT)/TiO複合体を得た。得られたCNT(SWNT)/TiO複合体は各々エタノール100μLに再懸濁し、回収した。
【0310】
得られたCNT(SWNT)/TiO複合体を酸化チタンペースト(Ti−Nanoxide D、SOLARONIX社)に、終濃度0.5g/Lとなるように練りこみ、色素増感太陽電池(デバイス7)の材料とした。光電変換層を形成するために、25mm×25mm角にカットされた透明電極基板であるFTO基板(fluorine−doped tin oxide、SOLARONIX社)を80℃に加熱された40mMの四塩化チタン水溶液に30分間浸けた。その基板を水とエタノールとで順次洗浄し、その両端に5mmにカットされ2重に貼り合わされたメンディングテープ(3M社、厚さ100μm程度)をそれぞれ貼り付けた。テープ同士間の距離は5mmとした。
【0311】
テープ同士の間に各濃度でCNT(SWNT)/TiO複合体を含有する酸化チタンペーストをそれぞれ載せ、スライドガラスを用いて平らに伸ばし、120℃で5分間放置することで、酸化チタンペーストを乾燥させた。酸化チタンペーストを載せた基板を焼成炉にいれ、500℃で30分間焼成した。昇温速度は、90℃/minとして行った。焼成後に自然冷却で100℃以下に冷却した。焼成された基板に、0.2g/Lのルテニウム(Ru)増感色素溶液(N719、無水エタノール溶解液、SOLARONIX社)を1mLつけ、室温で24時間放置した。24時間放置することで赤く染まった電極基板をエタノールで洗い、酸化チタン表面に吸着しなかった色素を除去し、室温で10分間以上乾燥させて光電極とした。
【0312】
フッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜の表面を厚さ50nmの白金(Pt)でコーティングしたPt電極(対向電極)と、上記光電極を備えた構造体とを用いて色素増感太陽電池を作製した。
【0313】
封止材として封止シート(SX1170−25、SOLARONIX社)を用い、ホットプレートを用いて、120℃で5分間加熱した。さらに、完全に封止されていない接着面に、エポキシ系接着剤であるアラルダイトラピッド(昭和高分子社)をつけ、60℃で1時間放置することで密封した。最後にヨウ素電解液(SOLARONIX社)を入れて色素増感太陽電池を得た。
【0314】
製造された色素増感太陽電池に、キセノンランプで100mW/cmの強さの光を照射して電流−電圧特性について評価を行った。結果を図17に示す。図17は、色素増感太陽電池の電流−電圧特性を示すグラフである。なお、電流―電圧特性を測定する際の遅延時間は100m秒で行った。図17から明らかな通り、多孔質構造体を用いた色素増感太陽電池の電流―電圧特性は、極めて良好であった。
【0315】
製造された色素増感太陽電池(デバイス7)及び対照として光電極にCNT(SWNT)/TiO複合体を含有しない色素増感太陽電池(デバイス6)の特性として、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、フィルファクターFF及び光電変換効率η(%)を評価した。結果を表3に示す。すなわち、CNT(SWNT)/TiO複合体を0.5g/Lの濃度で含有する酸化チタンペーストで作製された電極を用いた場合、光電変換効率は5.8%にまで向上していた。
【0316】
【表3】
【0317】
実施例11:光電変換素子(色素増感太陽電池)の製造例3
実施例4で得られたCNT/CDT/Ti複合体を光電変換素子(色素増感太陽電池)の光電変換層の材料として用い、色素増感太陽電池の特性に与える影響を評価した。色素増感太陽電池の作製方法はSOLARONIX社のプロトコールを改変して行った。
【0318】
はじめに、上記実施例と同様の方法にて、CNT(SWNT)/CDT/Tiを反応溶液1mL分合成し、水で洗浄後、エタノール溶液に懸濁した。そのCNT(SWNT)/CDT/Ti複合体の終濃度が0.2重量%となるように酸化チタンペースト(Ti−Nanoxide D、SOLARONIX社)に練りこみ(酸化チタン:10重量%から14重量%、複合体:0.02重量%から0.03重量%)、色素増感太陽電池の材料とした。光電変換層を形成するために、25mmx25mmにカットされた透明電極基板であるFTO基板(fluorine−doped tin oxide、SOLARONIX社)を40mM 四塩化チタン水溶液に80℃で30分間つけ、そのFTO基板の両端に、5mmにカットされ2重に貼り合わされたメンディングテープ(3M社、厚さ100μm程度)をそれぞれ貼り付けた。テープ同士間の距離は5mmとした。
【0319】
テープ同士の間に上記CNT(SWNT)/CDT/Ti複合体を含有する酸化チタンペーストを載せ、スライドガラスを用いて平らに伸ばし、30℃で30分間放置することで、酸化チタンペーストを乾燥させた。酸化チタンペーストを載せた基板を焼成炉にいれ、450℃で30分間焼成した。昇温速度は、90℃/minとして行った。焼成後に自然冷却して100℃以下に冷却した。冷却後、FTO基板上の酸化チタン部分を5mmx10mm角にカットし、その基板を0.2g/L ルテニウム(Ru)増感色素溶液(N719、無水エタノール溶解液、SOLARONIX社)に1mLつけ、室温で24時間放置した。24時間放置することで赤く染まった電極基板をエタノールで洗い、酸化チタン表面に吸着しなかった色素を除去し、室温で乾燥させて光電極とした(デバイス8に対応している)。
【0320】
また、対照として、酸化処理により合成されたCNT/酸化チタン複合体を0.2重量%含有する酸化チタン電極で光電極を作製し(デバイス9に対応している)、0.2重量%でCNTを含有する酸化チタン電極で光電極を作製し(デバイス10に対応している)、CNTを含有しない酸化チタン電極で光電極を作製した(デバイス11に対応している)。酸化処理によるCNT/酸化チタン複合体の合成は参考文献(W.Wang et al.(2005) Journal of Molecular Catalysis A: Chemical,235,194−199.)の方法を参考にした。すなわち、エタノール200mL中に、チタンブトキシド溶液34mL(0.1mol)を加え、室温で30分間攪拌した。その後、硝酸(35重量%)を28mL加え、続いてCNTを適当量添加し、ゲル状になるまで一晩室温にて攪拌した。その後、沈殿物を遠心して回収し、80℃で一晩放置することで乾燥させてCNT/酸化チタン複合体を得た。
【0321】
フッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜の表面を厚さ50nmの白金(Pt)でコーティングしたPt電極(対向電極)と、上記光電極それぞれを備えた構造体とを用いて色素増感太陽電池を作製した。
【0322】
封止材として封止シート(SX1170−25、SOLARONIX社)を用い、ホットプレートを用いて、120℃で5分間加熱した。さらに、完全に封止されていない接着面に、エポキシ系接着剤であるアラルダイトラピッド(昭和高分子社)をつけ、30℃で2時間放置することで密封した。最後にヨウ素電解液(SOLARONIX社)を入れて色素増感太陽電池を得た。
【0323】
製造された色素増感太陽電池(デバイス8からデバイス11)に、キセノンランプで100mW/cmの強さの光を照射して評価を行った。結果を図24に示す。図24は、色素増感太陽電池の電流−電圧特性を示すグラフである。なお、電流―電圧特性を測定する際の遅延時間は100m秒で行った。図24から明らかな通り、酸化チタンペーストのみで形成された光電極を備える色素増感太陽電池(デバイス11)の電流―電圧特性よりも、ナノ素材を含有する酸化チタンペーストで形成された光電極を備える色素増感太陽電池(デバイス8、デバイス9、およびデバイス10)の電流―電圧特性は、良好であった。特に、CDT1を用いて合成されたCNTと酸化チタンとの複合体を電極の機能性材料として用いた色素増感太陽電池(デバイス8)の電流―電圧特性は、極めて良好であった。
【0324】
色素増感太陽電池の特性として、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、フィルファクターFF及び光電変換効率η(%)を評価した。結果を表4に示す。
【0325】
表4から明らかな通り、酸化チタンペーストのみで形成された光電極を備える色素増感太陽電池(デバイス11)よりも、ナノ素材を含有する酸化チタンペーストで形成された光電極を備える色素増感太陽電池(デバイス8、デバイス9、およびデバイス10)では、大きな短絡電流密度が計測された。特に、CNT(SWNT)/CDT/Ti複合体を電極の機能性材料として用いることで、短絡電流量は180%増加していた。さらに、CDT1を用いて合成されたCNTと酸化チタンとの複合体を電極の機能性材料として用いた色素増感太陽電池(デバイス8)の短絡電流密度は、CNT単独で電極の機能性材料として用いた色素増感太陽電池(デバイス10)の短絡電流密度や酸化処理により合成されたCNTと酸化チタンの複合体を電極の機能性材料として用いた色素増感太陽電池(デバイス9)の短絡電流密度よりも大きかった。
【0326】
続いて、デバイス8とデバイス10についてインピーダンス測定を行った。測定にはポテンショスタット/ガルバノメーター SP−50(Bio−Logic社)を用いた。測定は、周波数500mHzから10kHzまで変化させ、変化の前後における電流値、電圧値の応答の位相から各抵抗成分を求めた。
【0327】
結果として、デバイス8における基板のシート抵抗は18Ωであり、デバイス10における基板のシート抵抗は35Ωであった。そして光電極と色素、電解質界面の抵抗は10Ωと15Ωであった。すなわち、CNT(SWNT)/CDT/Ti複合体を電極の機能性材料として用いることで、シート抵抗成分が59%、光電極と色素、電解質界面の抵抗は33%低減されており、酸化チタン電極の導電性が改善されることが分かった。
【0328】
まず、CNTが酸化チタン電極に導入されることで短絡電流密度が向上した理由として、CNTが発生したキャリアの通り道となり、キャリアが再結合し電流量が低下する前に導電膜(FTO電極)に移動できたためと考えられた。また、CDT1処理や酸化処理によりCNTと酸化チタンとの複合体を形成させることで、CNTと酸化チタンとを密着させることができ、CNTおよび酸化チタン間の抵抗が低くなったと考えられた。そのため、無処理のCNTを酸化チタンペースト内に導入した場合よりも、酸化チタン周囲で発生したキャリアが効率よくCNTへと移動したと考えられた。酸処理により合成されたCNT/酸化チタン複合体では、酸によりCNTの構造が一部破壊され、CNT内のキャリアの移動が阻害されると考えられている。しかし、CDT1を用いればCNTの構造を傷つけることなくCNTと酸化チタンの複合体を合成することができる。さらに、CDT1由来の空孔により表面積が向上し、より多くの色素を担持できたと考えられた。そのため、酸処理により合成されたCNT/酸化チタン複合体よりも、CDT1を用いて合成されたCNT/酸化チタン複合体の方が、発生するキャリアの量が多く、さらにCNT内のキャリアの移動速度も維持されており、大きな短絡電流が観察されたと考えられた。
【0329】
短絡電流密度が向上した結果、CNT(SWNT)/CDT/Ti複合体を練りこんだ酸化チタンペーストを光電極の機能性材料として用いた色素増感太陽電池(デバイス8)での光電変換効率ηは、CNTを含有しない酸化チタンペーストを光電極の機能性材料として用いた色素増感太陽電池(デバイス11)での光電変換効率ηの2.2倍向上していた。そして、作製された色素増感太陽電池のうち、CNT(SWNT)/CDT/Ti複合体を練りこんだ酸化チタンペーストを光電極の機能性材料として用いた色素増感太陽電池でもっとも高い光電変換効率が計測された。すなわち、CDT1を用いて、緩やかな条件で合成されたCNTと酸化チタンの複合体を用いることで、太陽電池の性能を向上させうることがわかった。
【0330】
なお、FTO基板の四塩化チタン処理やCNT(SWNT)/CDT/Ti複合体を終濃度0.2重量%にて酸化チタン電極に練り込むことにより、実施例8で製造された色素増感太陽電池に比べ、短絡電流密度や光電変換効率ηの向上が認められることも確認された。
【0331】
【表4】
【0332】
実施例12:光電変換素子(色素増感太陽電池)の製造例4
実施例4で得られたCNT/CDT/Ti複合体を光電変換素子(色素増感太陽電池)の光電変換層の材料として用い、色素増感太陽電池の特性に与える影響を評価した。色素増感太陽電池の作製方法はSOLARONIX社のプロトコールを改変して行った。
【0333】
はじめに、上記実施例と同様の方法にて、CNT(SWNT)/CDT1/Tiを合成し、水で洗浄後、エタノール溶液に懸濁した。そのCNT(SWNT)/CDT/Ti複合体を終濃度0.1重量%から1重量%、具体的にはCNT(SWNT)/CDT/Ti複合体の終濃度が0.1重量%(デバイス13に対応している)、0.15重量%(デバイス14に対応している)、0.2重量%(デバイス15に対応している)、0.25重量%(デバイス16に対応している)、0.3重量%(デバイス17に対応している)、0.5重量%(デバイス18に対応している)、1.0重量%(デバイス19に対応している)、5.0重量%(デバイス20に対応している)及び0.06重量%(デバイス21に対応している)となるように酸化チタンペースト(Ti−Nanoxide D、SOLARONIX社)にそれぞれ練りこみ、色素増感太陽電池の材料とした。なお対照として、CNT(SWNT)/CDT1/Ti複合体を含有しない酸化チタンペーストも用いた(デバイス12に対応している)。光電変換層を形成するために、25mmx25mmにカットされた透明電極基板であるFTO基板(fluorine−doped tin oxide、SOLARONIX社)を40mM 四塩化チタン水溶液に80℃で30分間つけ、そのFTO基板の両端に、5mmにカットされ2重に貼り合わされたメンディングテープ(3M社、厚さ100μm程度)をそれぞれ貼り付けた。テープ同士間の距離は5mmとした。
【0334】
テープ同士の間に上記各濃度でCNT(SWNT)/CDT1/Ti複合体を含有する酸化チタンペーストを載せ、スライドガラスを用いて平らに伸ばし、30℃で30分間放置することで、酸化チタンペーストを乾燥させた。酸化チタンペーストを載せた基板を焼成炉にいれ、450℃で30分間焼成した。昇温速度は、90℃/minとして行った。焼成後に自然冷却して100℃以下に冷却した。冷却後、FTO基板上の酸化チタン部分を5mmx10mm角にカットし、その基板を0.2g/L ルテニウム(Ru)増感色素溶液(N719、無水エタノール溶解液、SOLARONIX社)に1mLつけ、室温で24時間放置した。24時間放置することで赤く染まった電極基板をエタノールで洗い、酸化チタン表面に吸着しなかった色素を除去し、室温で乾燥させて光電極とした。
【0335】
フッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜の表面を厚さ50nmの白金(Pt)でコーティングしたPt電極(対向電極)と、上記光電極を備えた構造体とを用いて色素増感太陽電池を作製した。
【0336】
封止材として封止シート(SX1170−25、SOLARONIX社)を用い、ホットプレートを用いて、120℃で5分間加熱した。さらに、完全に封止されていない接着面に、エポキシ系接着剤であるアラルダイトラピッド(昭和高分子社)をつけ、30℃で2時間放置することで密封した。最後にヨウ素電解液(SOLARONIX社)を入れて色素増感太陽電池を得た。
【0337】
製造された色素増感太陽電池(デバイス12からデバイス21)に、キセノンランプで100mW/cmの強さの光を照射して評価を行った。デバイス12、デバイス13、デバイス15、デバイス17、及びデバイス18の評価結果を図25に示す。図25は、色素増感太陽電池の電流−電圧特性を示すグラフである。なお、電流―電圧特性を測定する際の遅延時間は100m秒で行った。図25から明らかな通り、終濃度0.1重量%から0.5重量%の濃度でCNT(SWNT)/CDT1/Ti複合体を添加して形成された酸化チタン電極を用いた色素増感太陽電池の電流―電圧特性は、良好であった。
色素増感太陽電池の特性として、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、フィルファクターFF及び光電変換効率η(%)を評価した。結果を表5に示す。
【0338】
表5から明らかな通り、終濃度0.06重量%から0.5重量%の濃度でCNT(SWNT)/CDT1/Ti複合体を添加して形成された酸化チタン電極を用いた色素増感太陽電池(デバイス13、デバイス14、デバイス15、デバイス16、デバイス17、デバイス18およびデバイス19)では、光電変換効率の向上が観察された。特に、終濃度0.2重量%のCNT(SWNT)/CDT/Ti複合体を含有する酸化チタンペーストを用いた色素増感太陽電池(デバイス15)の場合、もっとも高い光電変換効率6.6%が測定された。
このように、CNT(SWNT)/CDT1/Ti複合体を所定量添加して酸化チタン電極を形成することで、色素増感太陽電池の性能を向上させうることがわかった。
【0339】
【表5】
【0340】
実施例13:融合タンパク質CcDTの調製例
(1)CcDT発現用株の作製
CDTと同様の性質を有する変異蛋白質をCorynebacterium glutamicum由来のDpsを用いて構築した。
Corynebacterium glutamicumのゲノムDNAを鋳型として、および配列番号24および配列番号25のヌクレオチド配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCRを行った。
【0341】
得られたPCR産物をWizard SV Gel and PCR Clean−Up System(Promega社、USA)で精製し、制限酵素NdeIそしてEcoRIで消化した。
【0342】
他方で、pET20bプラスミド(Merck社、ドイツ)を制限酵素NdeIそしてBamHIで消化した。
【0343】
制限酵素で消化された、PCR産物及びプラスミドを、T4 DNAリガーゼ(Promega社、USA)を用いて結合させた。その結合させたDNAでE.coli JM109(タカラバイオ社、日本)を形質転換し、N末端にカーボンナノホン結合ペプチド(CNHBP)、C末端にチタン結合ペプチド(TBP)が融合されたCorynebacterium glutamicum由来のDps(CcDT、配列番号28および配列番号29)をコードする遺伝子が搭載された発現プラスミド(pET20−CcDT)を保持したJM109を構築した。
【0344】
その形質転換株からWizard Plus Minipreps System(Promega社、USA)を使いpET20−CcDTを精製した。最後にBL21(DE3)(invitorogen社、USA)をpET20−CDTで形質転換し、タンパク質発現用株BL21(DE3)/pET20−CcDTとした。
【0345】
(2)CcDTの精製
CcDTタンパク質を得るために、BL21(DE3)/pET20−CcDTを1mLのLB培地(100mg/L アンピシリンを含む)にて37℃で培養した。培養開始18時間後、その培養液を新しいLB培地(100mg/L アンピシリンを含む)100mLに植菌し、容量500mLフラスコを用いて37℃で24時間振とう培養した。得られた菌体を遠心分離(6000rpm、5分間)により回収し、50mM TrisHCl緩衝液(pH8.0) 5mLで懸濁した。その懸濁液を超音波処理して、菌体を破砕した。破砕された菌体を含む溶液を6000rpmで15分間、遠心分離し、上清画分を回収した。回収された上清画分を60℃で20分間加熱し、加熱処理終了後に速やかに氷上で冷却した。冷却された上清画分を6000rpmで15分間、遠心分離し、再度、上清を回収(約5mL)した。回収された上清をディスクフィルター(Millex GP 0.22μm、Millipore社、USA)で滅菌した。そして、滅菌された溶液をAmicon−Ultra−15(NMWL.50000、Millipore社、USA)で限外ろ過濃縮し、タンパク質が溶解している緩衝液をTrisHCl緩衝液(50mM TrisHCl溶液、pH8.0)に置換してタンパク質溶液2.5mLを得た。
【0346】
得られたタンパク質溶液からCcDTを精製するために、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いた。すなわち、そのタンパク質溶液2.5mLを50mM TrisHCl緩衝液(pH8.0)で平衡化されたHiLoard 26/10 Q−Sepharose High Performanceカラム(GE healthcare社、USA)に注入した。そして、流速4.0mL/分、0mMから500mM NaClを含む50mM TrisHCl緩衝液(pH8.0)で塩濃度勾配をかけることで、分離精製を行い、CcDTを含む画分を回収した。
【0347】
実施例14:CcDT多量体の形成の確認
得られたCcDTを3% PTA(リン・タングステン酸)染色し、透過型電子顕微鏡解析を行った。結果を図18に示す。図18は、得られたCcDTの透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【0348】
図18に示されるように、結果として、CcDTは、CDTと同様に、直径9nm程度であり、内腔を有するカゴ状の多量体を形成していることがわかった。
【0349】
実施例15:融合タンパク質CcDTとカーボンナノチューブとの結合の確認
CcDTとCNTとの結合をQCM法により測定した。はじめに、洗浄液(98%(w/v)硫酸と30%(w/v)過酸化水素水を3対1で混合した溶液)50μLを、測定用の金センサー上に乗せ5分間放置した後、水で洗い流すことでセンサー表面を洗浄した。また、CNTを1mg/mLとなるように1% SDS溶液と混合し、30分間超音波処理調製されたCNT溶液2μLを金電極上にマウントし、室温で自然乾燥した。乾燥後、水で2回洗浄し、結合しなかったCNTを洗い流した。さらに、リン酸緩衝液A(50mMリン酸カリウム緩衝液。0.001%(w/v) tween−20を含む。pH7.0)で1回洗浄した。
【0350】
CNTセンサーを本体(Affinix QN、Initium社)に取り付け、CNTセンサーにリン酸緩衝液Aを滴下し、30分間から1時間室温で放置することで、センサーの周波数値を安定させた。周波数値が安定した後、反応溶液量が500μL、終濃度が1mg/LとなるようにCcDTを添加し、周波数の変化を測定した。結果を図19に示す。図19は、CcDTとCNTとの結合を確認した結果を示すグラフである。
【0351】
図19に示されるように、結果として、CNHBPを有するCcDT(CcDT1:実線)は、CNHBPを有しないDps−TBP(DT:破線)よりも、多くのCNTに結合することが観察できた。すなわち、CcDTは、DTよりも強いCNTへの結合能力を持つことがわかった。このCcDTのCNTへの結合能力はCNHBPによるものであると推測された。
【0352】
実施例16:融合タンパク質CcDTと酸化チタンとの結合の確認
CcDTと酸化チタンの結合をQCM法により測定した。はじめに、洗浄液(98%(w/v)硫酸と30%(w/v)過酸化水素水を3対1で混合した溶液)50μLを、測定用の酸化チタンセンサー上に乗せ5分間放置した後、水で洗い流すことでセンサー表面を洗浄した。その酸化チタンセンサーを本体(Affinix QN、Initium社)に取り付け、酸化チタンセンサーにリン酸緩衝液B(50mM リン酸カリウム緩衝液。pH7.0)を滴下し、30分間から1時間室温で放置することで、センサーの周波数値を安定させた。周波数値が安定した後、反応溶液量が500μL、終濃度が1mg/LとなるようにCcDTを添加し、周波数の変化を測定した。結果を図20に示す。図20は、CcDTと酸化チタンとの結合を確認した結果を示すグラフである。
【0353】
図20に示されるように、結果として、TBPを有するCcDT(CcDT1:実線)は、TBPを有しないCNHBP−Dps(CD:破線)よりも、多くの酸化チタンに結合することが観察できた。すなわち、CcDTは、CDよりも強い酸化チタンへの結合能力を持つことがわかった。このCcDTの酸化チタンへの結合能力はTBPによるものであると推測された。
【0354】
実施例17:融合タンパク質CNHBP−Dps−ZnO1’(CDZ)発現用株の作製
N末端にカーボンナノホン結合ペプチド(CNHBPと表記;アミノ酸配列DYFSSPYYEQLF(配列番号6)からなる。国際公開第2006/068250号を参照)が融合され、C末端に酸化亜鉛結合(析出)ペプチド(ZnO1’と表記;アミノ酸配列EAHVMHKVAPRPGGGSC(配列番号30)からなる。Umetsu et al.,Adv.Mater.,17,2571−2575(2005)を参照)が融合されたListeria innocuaの金属内包性タンパク質Dps(CNHBP−Dps−ZnO1’あるいはCDZと表記、配列番号31及び配列番号32)を下記の手順により構築した。
【0355】
はじめに、pET20−CDTを鋳型DNA、配列番号11のヌクレオチド配列およびtttGGATCCttaAcaACTAccTccAccAggAcGTggAgcAacTttAtgcatTacAtgTgcTtcttctaatggagcttttc(配列番号33)のヌクレオチド配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCRを行った。得られたPCR産物をWizard SV Gel and PCR Clean−Up System(Promega社、USA)で精製し、制限酵素DpnIとBamHIで消化した。制限酵素で消化されたPCR産物を、T4 DNAリガーゼ(Promega社、USA)を用いてセルフライゲーションさせた。セルフライゲーションされたPCR産物をE.coli BL21(DE3)(ニッポンジーン社、日本)に形質転換し、N末端にカーボンナノホン結合ペプチド、C末端に酸化亜鉛結合ペプチドが融合されたDps(CDZ)をコードする遺伝子が搭載された発現プラスミド(pET20−CDZ)を保持したBL21(DE3)を構築した。
【0356】
実施例18:融合タンパク質CDZの精製
BL21(DE3)/pET20−CDZをLB培地(100mg/Lのアンピシリンを含む)100mLに植菌し、容量500mLフラスコを用いて37℃で24時間振とう培養した。得られた菌体を遠心分離(6000rpm、5分間)して回収し、50mM TrisHCl緩衝液(pH8.0) 5mLで懸濁した。その懸濁液を超音波処理して、菌体を破砕した。その溶液を6000rpmで15分間、遠心分離し、上清画分を回収した。回収された溶液を60℃で20分間加熱し、加熱後に速やかに氷上で冷却した。冷却された溶液を6000rpmで15分間、遠心分離し、再度、上清を回収(約5mL)した。その上清をディスクフィルター(Millex GP 0.22μm、Millipore社、USA)で滅菌した。そして、滅菌された溶液をAmicon−Ultra−15(NMWL.50000、Millipore社、USA)で限外ろ過濃縮し、タンパク質が溶解している緩衝液をTrisHCl緩衝液(50mM TrisHCl溶液、pH8.0)に置換してタンパク質溶液2.5mLを得た。
得られたタンパク質溶液からCDZを精製するために、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いた。すなわち、そのタンパク質溶液2.5mLを50mM TrisHCl緩衝液(pH8.0)で平衡化されたHiLoard 26/10 Q−Sepharose High Performanceカラム(GE healthcare社、USA)に注入した。そして、流速4.0mL/分、0mMから500mM NaClを含む50mM TrisHCl緩衝液(pH8.0)で塩濃度勾配をかけることで、分離精製を行い、CDZを含む画分を回収した。さらに、その回収された画分を、Amicon−Ultra−15(NMWL.50000、Millipore社、USA)で限外ろ過濃縮し、タンパク質が溶解している緩衝液を純水に置換してCDZ溶液を得た。
【0357】
実施例19:CDZ多量体の形成の確認
緩衝液が純水置換される前の50mM TrisHCl緩衝液(pH8.0)に溶解したCDZを3% PTA(リン・タングステン酸)染色し、透過型電子顕微鏡で解析を行った。結果を図21に示す。図21は、CDZの透過型電子顕微鏡像を示す図である。その結果、CDZは、CDTと同様に、直径9nm程度の内腔を画成する多量体を形成していることがわかった。
【0358】
実施例20:CDZによる硫酸亜鉛水溶液からの白色沈殿形成促進
はじめに、0.1M 硫酸亜鉛水溶液に、純水に溶解したCDZ、CDTあるいはCDをそれぞれ終濃度が0.1mg/mLとなるように添加した。その溶液を1時間室温で放置した後、600nmの光を用いて濁度を測定した。その結果を図22に示す。図22は、CDZによる硫酸亜鉛水溶液からの白色沈殿の形成を示す図である。CDZが添加された溶液では、白色沈殿の形成が顕著に促進された。この白色沈殿は、水酸化亜鉛あるいは酸化亜鉛と考えられる。一方、タンパク質を加えなかった溶液ではまったく沈殿が生じなかった。以上のことから、CDZは亜鉛化合物を沈殿させる活性があることが示唆された。なお、水酸化亜鉛は125℃程度で加熱されることで酸化亜鉛になることが知られている。
【0359】
実施例21:CDZ中のCNHBPの結合能の確認
CDZのN末端に融合されたカーボンナノホン結合ペプチド(CNHBP)の活性を調べた。リン酸カリウム緩衝液(50mM、pH6.0)に終濃度が0.3mg/mLとなるようにCDZとCNT(Sigma社、519308, carbon nanotube, single walled)とを各々加えた。得られた溶液に、Digital Sonifier 450(Branson社、USA)を用いて、1秒間の超音波パルス(200W、Duty 20%)を3秒間の間隔を空けながら計5分間与える超音波処理を行った。超音波処理されたCDZ−CNT混合溶液を遠心分離(15000rpm、5分間)し、上清に含まれるCDZとCNTとの複合体を3% PTAで染色し、透過型電子顕微鏡(JEM−2200FS、200kV)で観察を行った。結果を図23に示す。図23は、CDZとCNTとが結合した複合体の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【0360】
結果として、N末端にCNHBPを有するCDZを含む溶液では、CNTの周囲にCDZが結合している様子が観察できた。すなわち、CDZはCNTに結合する活性を保持していることがわかった。
【0361】
実施例22:CNTフォレストの形成
林状に並んだCNT(SWNT)/TiO電極の作製を目指し、その基礎となる林状に並んだCNTの合成(CNTフォレストの形成)を試みた。
【0362】
はじめに、CNTフォレストの形成時の触媒として使用される鉄ナノ粒子を、チタン結合性ペプチド(minTBP−1)を融合させたフェリチンタンパク質(TBF,T. Hayashi, et al., (2006) Nano Lett. 6 515.)を用いて調製した。すなわち、精製されたTBFを含むHEPES緩衝液(80mM HEPES−NaOH(pH7.5)、0.5mg/mL TBF、2mM 硫酸アンモニウム鉄を各々終濃度で含む)を1mL調製し、4℃で3時間放置した。放置後、遠心分離(15000rpm、5分間)して、タンパク質を含む上清を回収した。そして、その上清をAmicon−Ultra−15(NMWL.50000、Millipore社、USA)で限外ろ過濃縮し、酸化鉄ナノ粒子を内腔に内包するTBF多量体(Fe−TBF)溶液の緩衝液をTrisHCl緩衝液(50mM、pH8.0)に置換してタンパク質溶液を得た。
【0363】
続いて、TBF多量体により合成された酸化鉄ナノ粒子をシリコン基板に吸着させた。すなわち、ポリシリコンウエハ上に3nmの厚さの酸化シリコン膜がマウントされたシリコン基板を7mm角にカットした。カットされたシリコン基板を、アセトンとメタノールとでそれぞれ2分間超音波洗浄し、最後に水で5回洗浄した。洗浄済みのシリコン基板を窒素ガスで乾燥させた後、10分間UV−O処理した。処理されたシリコン基板にFe−TBF溶液(1.0mg/mL Fe−TBF、50mM TrisHCl緩衝液、pH8.0)を10μL載せ、10分間放置して、Fe−TBFをシリコン基板に吸着させた。遠心してシリコン基板に吸着しなかったFe−TBF溶液を除去し、50分間UV−O処理することで、シリコン基板上に吸着したFe−TBFのうちタンパク質成分のみを除去することにより、酸化鉄ナノ粒子がその表面に吸着したシリコン基板を得た。
【0364】
酸化鉄ナノ粒子がその表面に吸着したシリコン基板をCVD炉(VICインターナショナル社製)に入れ、CNTフォレストを形成した。すなわち、このシリコン基板をCVD炉の石英管の中に入れ、真空中で600℃から650℃に加熱した。加熱されたシリコン基板を水素ガス雰囲気下(水素流量200sccm、反応圧力1.5kPa)に5分間放置することで、シリコン基板上の酸化鉄ナノ粒子を活性化した。続いて、アセチレンガス/水素ガス混合雰囲気下(アセチレン流量10sccm、水素流量200sccm、反応圧力1.5kPa)に20分間放置した。
【0365】
CVD炉で処理されたシリコン基板を無染色でSEM解析したところ、長さ15μm程度のCNTからなるCNTフォレストを確認することができた。結果を図26に示す。図26は、無染色でSEM解析したシリコン基板の写真図である。図26中、両矢印に示される領域がCNTフォレストが形成された領域である。
【0366】
上記条件以外にもCNTフォレストは下記表6に示される条件を用いて、TBF多量体により合成された酸化鉄ナノ粒子を触媒として合成することができた。また、同様の条件を用いて、UV−O処理せずに、シリコン基板上に吸着したFe−TBFのタンパク質成分が除去されていない基板を用いてもCNTフォレストを形成することができた。表6は、CNTフォレストの形成(成長)が確認された条件の例を示す表である。
【0367】
【表6】
【0368】
また、下記表7及び表8に示される条件を用いることでフォレスト状ではないもののシリコン基板上でCNTを合成することができた。表7及び表8は、CNTの合成が確認された条件の例を示す表である。ここでは酸化鉄ナノ粒子が表面に吸着したシリコン基板をCNT合成温度まで加熱した後、CNT合成で使用した圧力、水素ガス流量で5分間放置し、シリコン基板上に吸着した酸化鉄ナノ粒子を活性化した。その後、下記表7及び表8に示される各条件で20分間処理し、シリコン基板上でCNTを成長させた。昇温及び降温はいずれも真空中で実施された。
【0369】
【表7】
【0370】
【表8】
【0371】
実施例23:合成されたCNTとCDTとの複合体の合成
上記の通り得られたCNTフォレストを加工して林状に並んだCNT(SWNT)/TiO電極を得るためには、CDTがCNTフォレストを構成するCNTへ吸着する必要がある。そこで、CNTフォレストが形成されたシリコン基板からCNTを剥離し、得られたCNTの構造を詳細に観察するとともに、CNTとCDTとの複合体の形成を観察した。すなわち、アセチレン流量10sccm、水素流量200sccm、反応圧力1.5kPa、反応温度600℃で処理されたCNTフォレストが形成されたシリコン基板を70%エタノール水溶液に入れ、1分間超音波処理(1s ON/1s OFF、20% Duty)することでCNTをシリコン基板から剥離した。続いて、得られたCNT溶液を用いて定法によりCDTとの複合体の形成を試みた。すなわち、CNTとCDTとを含むリン酸カリウム緩衝液[50mM リン酸カリウム(pH6.0)、0.1mg/mLのCDT、及び0.1mg/mL CNTを各々終濃度で含む]を調製した。CDTを含むリン酸カリウム緩衝液に、Digital Sonifier 450(Branson社、USA)を用いて、氷上で、3秒間隔で1秒間の超音波パルス(200W、Duty 20%)を合計5分間加えた。
【0372】
結果を図27A及び図27Bに示す。図27A及び図27Bは、CDTとCNTとの混合溶液の透過型電子顕微鏡像を示す写真図である。撮影は、サンプルを3%リンタングステン酸で染色して行った。この条件で合成されたCNTは、図27Aに示されるような太いCNTと図27Bに示されるような細いCNTとが混合していることが分かった。また、細いCNTにはCDTが結合できている様子を観察することができた(図27B参照。)。既に説明した方法で合成された柱状のCNTもCDTと複合体を形成できることから、バルク状のCNTと同様に、CDTを用いて柱状のCNTから柱状のCNT(SWNT)/TiO複合体が合成できることが示唆された。
【0373】
実施例24:細いCNTの合成
合成された細いCNTへのCDTの結合が観察されたことから、細いCNTからなるCNTフォレストの形成を試みた。先行研究により、合成されるCNTの太さは触媒として使用される鉄ナノ粒子のサイズに左右されることが指摘されている(M. Kumar and Y. Ando (2010) J. Nanoscience Nanotechnol., 10, 3739,)。そこで、TBFよりも小さな酸化鉄ナノ粒子を内腔に内包できるCDTを用いてCNTフォレストの形成を試みた。すなわち、酸化鉄ナノ粒子を内腔に内包するCDTと酸化鉄ナノ粒子を内腔に内包するTBFを1:0、1:1,1:2、あるいは2:1となるように混合し、タンパク質総量が1mg/mLとなるようにトリス緩衝液(50mM、pH8.0)に懸濁した。続いて、ポリシリコンウエハ上に厚さが3nmの酸化シリコン膜がマウントされたシリコン基板を7mm角にカットした。カットされたシリコン基板を、アセトンとメタノールとでそれぞれ2分間超音波洗浄し、最後に水で5回洗浄した。洗浄されたシリコン基板を窒素ガスで乾燥させた後、10分間UV−O処理した。処理されたシリコン基板に酸化鉄ナノ粒子を内腔に内包するCDTと酸化鉄ナノ粒子を内腔に内包するTBFを含む緩衝液10μLを載せ、10分間放置し、タンパク質をシリコン基板に吸着させた。遠心して、シリコン基板に吸着しなかったタンパク質溶液を除去し、50分間UV−O処理することで、シリコン基板上にあるタンパク質成分のみを除去した。
【0374】
酸化鉄ナノ粒子がその表面に吸着したシリコン基板をCVD炉に入れCNTフォレストの形成を行った。すなわち、このシリコン基板をCVD炉の石英管の中に入れ、真空中で600℃に加熱した。加熱された基板を水素ガス雰囲気下(水素流量200sccm、反応圧力1.5kPa)に5分間放置することで、基板上の酸化鉄ナノ粒子を活性化した。続いて、アセチレンガス/水素ガス混合雰囲気下(アセチレン流量10sccm、水素流量200sccm、反応圧力1.5kPa)に20分間放置した。
【0375】
酸化鉄ナノ粒子を内腔に内包するCDTと酸化鉄ナノ粒子を内腔に内包するTBFとが1:1、1:2あるいは2:1で混合された溶液を用いた場合、CNTフォレストの形成が確認できた。結果を図28に示す。図28は、CDTとTBFとの比を1:1として合成したCNTをSEM解析した写真図である。図28中、両矢印に示される領域がCNTフォレストが形成された領域である。続いて、このCNTフォレストが形成された基板を70%エタノール水溶液に入れ、1分間超音波処理(1s ON/1s OFF、20% Duty)することでCNTをシリコン基板から剥離した。
【0376】
得られたCNTの太さをTEM解析した。結果を図29A、図29B及び図29Cに示す。図29A、図29B及び図29Cに示されるように、図29Aは、CDTとTBFとの比を1:1として合成したCNTの写真図である。図29Bは、CDTとTBFとの比を1:2として合成したCNTの写真図である。図29Cは、CDTとTBFの比を2:1として合成したCNTの写真図である。
【0377】
酸化鉄ナノ粒子を内腔に内包するCDTと酸化鉄ナノ粒子を内腔に内包するTBFとの混合触媒を用いて形成されたCNTフォレストにはいずれも細いCNTが多数含まれていることが分かった。
【0378】
実施例25:CNTへのタンパク質の結合
CDTとTBFとの比を1:2としてシリコン基板上に合成されたCNTに対して、CNHBP−Dps(CD)が結合できるかどうかを調べた。CNHBP−Dpsは、CNHBP−Dps−TBPからチタン結合ペプチドTBPを除去した構造を有しており、下記のように調製した。
【0379】
BL21(DE3)/pET20−CDを5mLのLB培地(100mg/L アンピシリンを含む)にて37℃で培養した。培養開始後18時間で、得られた培養液を新しいLB培地(100mg/L アンピシリンを含む) 3Lに植菌し、BMS−10/05(ABLE社、日本)を用いて37℃で24時間振とう培養した。得られた菌体を遠心分離(5000rpm、5分間)して回収し、−80℃で保存した。冷凍保存された菌体の半分の量(6g)を50mM TrisHCl緩衝液(pH8.0) 40mLで懸濁した。次に、その懸濁液にDigital Sonifier 450(Branson社、USA)を使い、1秒間隔の超音波パルス(200W、Duty 45%)を12分間与えることで、菌体を破砕した。破砕された菌体を含む溶液を15000rpmで15分間、遠心分離(JA−20、Beckmancoulter社、USA)し、上清画分を回収した。回収された上清画分を60℃で20分間加熱し、加熱後は速やかに氷上で冷却した。冷却された上清画分を17000rpmで10分間、遠心分離(JA−20)し、再度、上清を回収(約20mL)した。その上清をディスクフィルター(Millex GP 0.22μm、Millipore社、USA)で滅菌した。そして、滅菌された上清をAmicon−Ultra−15(NMWL.50000、Millipore社、USA)で液量が10mLになるまで限外ろ過濃縮し、タンパク質溶液を得た。その後、そのタンパク質溶液に終濃度0.5MとなるようにNaClを加え、6000rpmで5分間、遠心分離(JA−20)した後、上清を捨て、沈殿物を50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に懸濁した。その作業を3回繰り返すことによりCDを精製した。
【0380】
続いて、CDに金属粒子を内包させるために、CDを含むHEPES緩衝液(80mM HEPES−NaOH(pH7.5)、0.5mg/mL CDT、1mM 硫酸アンモニウム鉄を各々終濃度で含む)を1mL調製し、4℃で3時間放置した。放置後、遠心分離(15000rpm、5分間)し、上清を回収することで酸化鉄ナノ粒子を内腔に内包するCDを含む溶液を得た。得られた溶液をAmicon−Ultra−15(NMWL.50000、Millipore社、USA)で限外ろ過濃縮し、酸化鉄ナノ粒子を内腔に内包するCD多量体(Fe−CD)溶液のうちの緩衝液を水に置換してタンパク質溶液を得た。シリコン基板上に合成されたCNTとFe−CDとの複合体を形成させるために、シリコン基板上に合成されたCNTに、Fe−CDを含む水溶液(30体積% エタノール含有)10μLを加え、10分間室温で放置した。その後、水で洗浄し、デシケーターで乾燥させた。そして、得られた基板をSEM解析した。結果を図30に示す。図30は、形成されたCNTとFe−CDとの複合体をSEM解析した写真図である。
【0381】
図30に示されるように、それぞれ酸化鉄ナノ粒子を内包するCDTとTBFとを1:2の混合比となるように混合することにより形成されたCNTとFe−CDとの複合体が観察できた。ここで、タンパク質は直接的にはSEM解析により観察できないが、鉄ナノ粒子などの金属ナノ粒子を内包するタンパク質を用いて、内部の金属ナノ粒子を観察することで、タンパク質の位置を間接的に観察することができる。特に今回用いたFe−CDでは直径5nm程度の小さなナノ粒子が、白い点となって観察されることが知られている。
【0382】
このことは、CDやCDTに用いられているCNT結合ペプチドが、上記の工程により合成されたCNTを認識できることを示唆している。そして、タンパク質を用いてCNTに金属ナノ粒子を被着させることができることを示唆している。
【符号の説明】
【0383】
10 多孔質構造体
20 第1の標的材料
30 凝集体
32 第1の空孔部
34 第2の空孔部
36 金属粒子
38 第3の空孔部
40 増感色素
52 第1の基板
54 第2の基板
62 透明電極
64 対向電極
70 光電変換層
80 電解液
90 封止部
100 色素増感太陽電池
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図6】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図22】
【図24】
【図25】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図18】
【図21】
【図23】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30】
【配列表】
2013022051000001.app
【国際調査報告】