(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013042581
(43)【国際公開日】20130328
【発行日】20150730
(54)【発明の名称】新規シアロ糖鎖の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 15/04 20060101AFI20150703BHJP
   C07H 15/26 20060101ALI20150703BHJP
   C12P 19/02 20060101ALI20150703BHJP
   C12N 11/00 20060101ALI20150703BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20150703BHJP
   C12M 1/40 20060101ALI20150703BHJP
【FI】
   !C07H15/04CSP
   !C07H15/04 A
   !C07H15/26
   !C12P19/02
   !C12N11/00
   !C12N9/10
   !C12M1/40 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】51
【出願番号】2013534668
(21)【国際出願番号】JP2012073181
(22)【国際出願日】20120911
(31)【優先権主張番号】2011204579
(32)【優先日】20110920
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2011287308
(32)【優先日】20111228
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名 第84回日本生化学会大会 主催者名 日本生化学会 会期 2011年9月21日〜2011年9月24日 公開日 2011年9月23日
(71)【出願人】
【識別番号】504145283
【氏名又は名称】国立大学法人 和歌山大学
【住所又は居所】和歌山県和歌山市栄谷930番地
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 真範
【住所又は居所】和歌山県和歌山市栄谷930番地 国立大学法人和歌山大学内
【テーマコード(参考)】
4B029
4B033
4B050
4B064
4C057
【Fターム(参考)】
4B029AA21
4B029AA27
4B029BB16
4B033NA25
4B033NB44
4B033NB62
4B033NC03
4B033ND02
4B033NE05
4B033NH09
4B033NK10
4B050CC07
4B050DD02
4B050GG02
4B050KK07
4B050KK08
4B050KK11
4B050KK13
4B050LL05
4B064AF02
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4B064BJ09
4B064BJ10
4B064CA36
4B064CB30
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4B064CD12
4B064CD15
4B064CE10
4B064CE11
4B064DA01
4C057AA17
4C057BB02
4C057BB04
4C057CC03
4C057CC04
4C057DD01
4C057JJ12
4C057JJ55
(57)【要約】
新規シアロ糖鎖、該シアロ糖鎖の製造方法、及び該シアロ糖鎖の製造装置を提供する。
アルキニル基で水酸基を置換した糖(以下、アルキニル基導入糖と示すこともある)と、特定のシアル酸供与体とを、シアル酸導入酵素の存在下で反応させることにより、簡便且つ効率的に、新規シアロ糖鎖を大量に製造することができる
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(5);
【化1】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、nは1〜10の整数である]
で表される化合物。
【請求項2】
一般式(5)において、Xがラクトースの還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
一般式(7a);
【化2】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、nは1〜10の整数であり、Rは有機基を示す]
、又は一般式(7b);
【化3】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、nは1〜10の整数であり、Rは有機基を示す]
で表される化合物。
【請求項4】
一般式(5);
【化4】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、nは1〜10の整数である]
で表される化合物の製造方法であって、
シアル酸供与体と、
一般式(3);
【化5】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、nは1〜10の整数である]
で表される化合物とを、
シアル酸導入酵素の存在下で反応させることを特徴とする製造方法。
【請求項5】
一般式(5);
【化6】
[式中、X、R、R10、及びnは前記に同じ]
で表される化合物の請求項4に記載の製造方法であって、
(工程1)一般式(1);
【化7】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、Xの左側が非還元末端側を示し、Xの右側が還元末端側を示す]
で表される化合物と、
一般式(2);
【化8】
[式中、nは1〜10の整数である]
で表される化合物とを、
グリコシダーゼの存在下で反応させ、一般式(3);
【化9】
[式中、X及びnは前記に同じ]
で表される化合物を得る工程、及び
(工程2)シアル酸供与体と、
一般式(3);
【化10】
[式中、X及びnは前記に同じ]
で表される化合物とを、
シアル酸導入酵素の存在下で反応させる工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項6】
前記シアル酸導入酵素が担体に固定化されたシアル酸導入酵素である請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記シアル酸導入酵素がシアリダーゼであり、
前記シアル酸供与体が、一般式(4);
【化11】
[式中、Rは同一又は異なって置換基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、mは1〜3の整数である。]
で表される化合物及びコロミン酸からなる群から選択される少なくとも1種である
請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記シアリダーゼがVibrio属に属する生物に由来する請求項7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記シアル酸導入酵素がシアリルトランスフェラーゼであり、
前記シアル酸供与体が一般式(8);
【化12】
[式中、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示す。]
で表される化合物である
請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
供給口及び排出口を有する、担体に固定化されたシアリダーゼを含むカラム(以下、カラムCと示す)を備えることを特徴とする装置。
【請求項11】
(A)カラムC、
(B)供給口及び排出口を有する逆相カラム(以下、カラムDと示す)、及び
(C)供給口及び排出口を有するイオン交換カラム(以下、カラムEと示す)を備え、
カラムCの排出口とカラムDの供給口が流路dで連結され、
カラムDの排出口とカラムEの供給口が流路eで連結され、
流路dは流路切替え装置d’を備え、
流路eは流路切替え装置e’を備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規シアロ糖鎖、その製造方法、及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シアロ糖鎖は、シアル酸をその非還元末端にもつ糖鎖の総称であり、糖脂質、ガングリオシドや様々な糖タンパク質糖鎖の重要な構成成分である。シアロ糖鎖の機能は多岐にわたり、細胞間認識、分化、及び増殖などの生命活動において必須の現象を司ると共に、ガン化、ウィルスの感染などにも関係している。例えば、ガン関連糖鎖抗原において、シアロ糖鎖が多く存在することが解明されており、またインフルエンザウィルスが宿主細胞表面に発現されているシアリルガラクトース部分(シアル酸とガラクトースが結合した2糖)を足場として感染することが解明されている。
【0003】
このように、シアロ糖鎖は多様な現象に関わっているが故に、その応用範囲も非常に多分野に及び得る。そこで、多分野において利用できる構造を有するシアロ糖鎖の開発が求められている。
【0004】
また、通常、シアロ糖鎖の製造・精製方法は複雑であるため、シアロ糖鎖の製造・精製においては、極めて高度な技術、高価な機器及び試薬、並びに有害な試薬を必要とする。そこで、簡便且つ効率的に、シアロ糖鎖を大量に製造する方法の開発が求められている。
【0005】
シアロ糖鎖の製造例としては、ラクトースとシアル酸を、Arthrobacter ureafaciens由来のノイラミニダーゼの存在下で反応させて製造した例が知られている(非特許文献1)。しかしながら、この製造例は、簡便且つ効率的にシアロ糖鎖を製造するには不十分な点がある。具体例としては、シアロ糖鎖中のシアル酸が結合する、ラクトース中の非還元末端が異なる、複数のシアロ糖鎖が製造される点である。また、この製造例によって製造されたシアロ糖鎖は、単にシアル酸とラクトースを連結したものであり、多分野に応用することが困難である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Biosci. Biotech. Biochem., 56(10), 1557-1561, 1992
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、新規シアロ糖鎖、該シアロ糖鎖の製造方法、及び該シアロ糖鎖の製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アルキニル基で水酸基を置換した糖(以下、「アルキニル基導入糖」と示すこともある)と、特定のシアル酸供与体とを、シアル酸導入酵素の存在下で反応させることにより、簡便且つ効率的に、シアロ糖鎖を大量に製造することができることを見出した。
【0009】
さらに、上記製造方法によって製造されたシアロ糖(以下、アルキニル基導入シアロ糖鎖と示すこともある)は、多分野において非常に容易に利用できることを見出した。
【0010】
また更に、シアル酸導入酵素を固定化した担体を含むカラムを使用することによって、アルキニル基導入シアロ糖鎖をより容易に製造できることを見出した。
【0011】
即ち、本発明は、下記の構成を包含するものである。
【0012】
項1.一般式(5);
【0013】
【化1】
【0014】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、nは1〜10の整数である]
で表される化合物。
【0015】
項2.一般式(5)において、Xがラクトースの還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基である項1に記載の化合物。
【0016】
項3.一般式(7a);
【0017】
【化2】
【0018】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、nは1〜10の整数であり、Rは有機基を示す]
、又は一般式(7b);
【0019】
【化3】
【0020】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、nは1〜10の整数であり、Rは有機基を示す]
で表される化合物。
【0021】
項4.一般式(5);
【0022】
【化4】
【0023】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、nは1〜10の整数である]
で表される化合物の製造方法であって、
シアル酸供与体と、
一般式(3);
【0024】
【化5】
【0025】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、nは1〜10の整数である]
で表される化合物とを、
シアル酸導入酵素の存在下で反応させることを特徴とする製造方法。
【0026】
項5.一般式(5);
【0027】
【化6】
【0028】
[式中、X、R、R10、及びnは前記に同じ]
で表される化合物の項4に記載の製造方法であって、
(工程1)一般式(1);
【0029】
【化7】
【0030】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示す]
で表される化合物と、
一般式(2);
【0031】
【化8】
【0032】
[式中、nは1〜10の整数である]
で表される化合物とを、
グリコシダーゼの存在下で反応させ、一般式(3);
【0033】
【化9】
【0034】
[式中、X及びnは前記に同じ]
で表される化合物を得る工程、及び
(工程2)シアル酸供与体と、
一般式(3);
【0035】
【化10】
【0036】
[式中、X及びnは前記に同じ]
で表される化合物とを、
シアル酸導入酵素の存在下で反応させる工程を含むことを特徴とする製造方法。
【0037】
項6.前記シアル酸導入酵素が担体に固定化されたシアル酸導入酵素である項4又は5に記載の製造方法。
【0038】
項7.前記シアル酸導入酵素がシアリダーゼであり、
前記シアル酸供与体が、一般式(4);
【0039】
【化11】
【0040】
[式中、Rは同一又は異なって置換基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、mは1〜3の整数である。]
で表される化合物及びコロミン酸からなる群から選択される少なくとも1種である
項4〜6のいずれかに記載の製造方法。
【0041】
項8.前記シアリダーゼがVibrio属に属する生物に由来する項7に記載の製造方法。
【0042】
項9.前記シアル酸導入酵素がシアリルトランスフェラーゼであり、
前記シアル酸供与体が一般式(8);
【0043】
【化12】
【0044】
[式中、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示す。]
で表される化合物である
項4〜6のいずれかに記載の製造方法。
【0045】
項10.供給口及び排出口を有する、担体に固定化されたグリコシダーゼを含むカラム(以下、カラムAと示す)を備えることを特徴とする装置。
【0046】
項11.(A)カラムA、及び
(B)供給口及び排出口を有する逆相カラム(以下、カラムBと示す)を備え、
カラムAの排出口とカラムBの供給口が流路bで連結され、
流路bは流路切替え装置b’を備えることを特徴とする項10に記載の装置。
【0047】
項12.一般式(3);
【0048】
【化13】
【0049】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、nは1〜10の整数である]
で表される化合物の製造装置である項10又は11に記載の装置。
【0050】
項13.供給口及び排出口を有する、担体に固定化されたシアル酸導入酵素を含むカラムを備えることを特徴とする装置。
【0051】
項14.前記シアル酸導入酵素がシアリダーゼである項13に記載の装置。
【0052】
項15.前記シアル酸導入酵素がシアリルトランスフェラーゼである項13に記載の装置。
【0053】
項16.(C)供給口及び排出口を有する、担体に固定化されたシアル酸導入酵素を含むカラム(以下、カラムCと示す)、
(D)供給口及び排出口を有する逆相カラム(以下、カラムDと示す)、及び
(E)供給口及び排出口を有するイオン交換カラム(以下、カラムEと示す)を備え、
カラムCの排出口とカラムDの供給口が流路dで連結され、
カラムDの排出口とカラムEの供給口が流路eで連結され、
流路dは流路切替え装置d’を備え、
流路eは流路切替え装置e’を備えることを特徴とする項13に記載の装置。
【0054】
項17.前記シアル酸導入酵素がシアリダーゼである項16に記載の装置。
【0055】
項18.前記シアル酸導入酵素がシアリルトランスフェラーゼである項16に記載の装置。
【0056】
項19.項10に記載の装置(以下、装置1と示す)、及び項13〜15のいずれかに記載の装置(以下、装置2と示す)を備え、
装置1の排出口と装置2の供給口が流路cで連結されていることを特徴とする装置。
【0057】
項20.項11に記載の装置(以下、装置1aと示す)、及び項16〜18のいずれかに記載の装置(以下、装置2aと示す)を備え、
装置1aの排出口と装置2aの供給口が流路cで連結され、
流路cは流路切替え装置c’を備えることを特徴とする装置。
【0058】
項21.一般式(5);
【0059】
【化14】
【0060】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、nは1〜10の整数である]
で表される化合物の製造装置である項13〜20のいずれかに記載の装置。
【0061】
項22.項10に記載の装置(以下、装置1と示す)を用いた、一般式(3);
【0062】
【化15】
【0063】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、nは1〜10の整数である]
で表される化合物の製造方法であって、
(工程a)一般式(1);
【0064】
【化16】
【0065】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示す]
で表される化合物、及び
一般式(2);
【0066】
【化17】
【0067】
[式中、nは1〜10の整数である]
で表される化合物を
カラムAの供給口からカラムAに導入してカラムA内で反応させる工程
を含むことを特徴とする製造方法。
【0068】
項23.項11に記載の装置(装置1a)を用いた、一般式(3);
【0069】
【化18】
【0070】
[式中、X及びnは前記に同じ]
で表される化合物の項22に記載の製造方法であって、
(工程a)一般式(1);
【0071】
【化19】
【0072】
[式中、Xは前記に同じ]
で表される化合物、及び
一般式(2);
【0073】
【化20】
【0074】
[式中、n前記に同じ]
で表される化合物を
カラムAの供給口からカラムA内に導入してカラムA内で反応させる工程、
(工程b)カラムA中の反応物を、カラムBの供給口に導入する工程、並びに
(工程c)カラムBから一般式(3)で表される化合物を精製する工程
を含むことを特徴とする製造方法。
【0075】
項24.項13に記載の装置(以下、装置2と示す)を用いた、一般式(5);
【0076】
【化21】
【0077】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、nは1〜10の整数である]
で表される化合物の製造方法であって、
(工程d)シアル酸供与体、及び
一般式(3);
【0078】
【化22】
【0079】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、nは1〜10の整数である]
で表される化合物を、
カラムCの供給口からカラムC内に導入してカラムC内で反応させる工程
を含むことを特徴とする製造方法。
【0080】
項25.項14に記載の装置を用いた、一般式(5)で表される化合物の項24に記載の製造方法であって、前記シアル酸供与体が一般式(4);
【0081】
【化23】
【0082】
[式中、Rは同一又は異なって置換基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、mは1〜3の整数である。]
で表される化合物及びコロミン酸からなる群から選択される少なくとも1種である製造方法。
【0083】
項26.項15に記載の装置を用いた、一般式(5)で表される化合物の項24に記載の製造方法であって、前記シアル酸供与体が一般式(8);
【0084】
【化24】
【0085】
[式中、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示す。]
で表される化合物である製造方法。
【0086】
項27.項16に記載の装置(以下、装置2aと示す)を用いた、一般式(5);
【0087】
【化25】
【0088】
[式中、X、R、R10、及びnは前記に同じ]
で表される化合物の項24に記載の製造方法であって、
(工程d)シアル酸供与体、及び
一般式(3);
【0089】
【化26】
【0090】
[式中、X及びnは前記に同じ]
で表される化合物を、
装置2中のカラムCの供給口に導入して反応させる工程、
(工程e)カラムC中の反応物を、カラムDの供給口に導入する工程、
(工程f)カラムD中の内容物を、カラムEの供給口に導入する工程
(工程g)カラムEから一般式(5)で表される化合物を精製する工程
を含むことを特徴とする製造方法。
【0091】
項28.項17に記載の装置を用いた、一般式(5)で表される化合物の項27に記載の製造方法であって、前記シアル酸供与体が一般式(4);
【0092】
【化27】
【0093】
[式中、Rは同一又は異なって置換基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、mは1〜3の整数である。]
で表される化合物及びコロミン酸からなる群から選択される少なくとも1種である製造方法。
【0094】
項29.項18に記載の装置を用いた、一般式(5)で表される化合物の項27に記載の製造方法であって、前記シアル酸供与体が一般式(8);
【0095】
【化28】
【0096】
[式中、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示す。]
で表される化合物である製造方法。
【発明の効果】
【0097】
本発明によれば、新規シアロ糖鎖、該シアロ糖鎖の製造方法、及び該シアロ糖鎖の製造装置を提供することができる。
【0098】
本発明の新規シアロ糖鎖は、一般式(5)で表されるように、糖がアルキニル基で置換されている。従って、このアルキニル基を介して、多分野、例えば生化学分野や医療分野等において利用し得る様々な素材又はプローブなどに連結することができる。
【0099】
また、本発明の製造方法は、一般式(3)で表される、アルキニル基で水酸基が置換された糖と、特定のシアル酸供与体とを、シアル酸導入酵素の存在下で反応させることにより、保護及び脱保護等の複雑な工程を要さず、且つ高価な試薬類や危険な試薬類を使用することなく、簡便且つ効率的に、シアロ糖鎖を大量に製造することができる。
【0100】
更に、担体に固定化されたシアル酸導入酵素を含むカラムを使用することにより、より容易に、且つ低コストで、シアロ糖鎖を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】装置1aの該略図を示す。
【図2】装置2aの該略図を示す。
【図3】装置3aの該略図を示す。
【図4】実施例7で製造した装置(装置1aに相当)の該略図を示す。
【図5】実施例8で製造した装置(装置2aに相当)の該略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0102】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0103】
1.シアロ糖鎖、及び有機基を連結したシアロ糖鎖
本発明の化合物は、一般式(5);
【0104】
【化29】
【0105】
[式中、Xは単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示し、Rは水素、又はアミノ基をアシル化する基を示し、R10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示し、nは1〜10の整数である]
で表される化合物である。
【0106】
Xは、単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる糖残基を示す。
【0107】
は水素、又はアミノ基をアシル化する基を示す。Rとして具体的には、水素、アセチル基、グリコリル基、レブリノイル基、クロロアセチル基、ブロモアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、ピバロイル基、又はトロック基等を挙げることができる。これらの中でもアセチル基、又はグリコリル基が好ましく挙げられ、アセチル基がより好ましく挙げられる。
【0108】
10は同一又は異なって水素又は水酸基の保護基を示す。R10として具体的には、水素、硫酸基、又はリン酸基等を挙げることができる。これらの中でも水素、又は硫酸基が好ましく挙げられ、水素がより好ましく挙げられる。
【0109】
nは1〜10の整数である。好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、さらに好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
【0110】
単糖としては、特に限定されず、公知の単糖を採用することができる。例えば、七炭糖、六炭糖、五炭糖、四炭糖、又は三炭糖等が挙げられ、これらの中でも六炭糖が好ましく挙げられる。六炭糖としては、ガラクトース、グルコース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フルクトース、アロース、タロース、グロース、アルトロース、イドース、プシコース、ソルボース、又はタガトースが挙げられ、これらの中でも、ガラクトース、グルコース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミンが好ましく挙げられ、ガラクトース又はグルコースがさらに好ましく挙げられる。これらはD体又はL体のいずれでもよい。また、これらは一部の水酸基が還元されて水素原子に置換されていてもよいし、一部の水酸基が公知の保護基で保護されていても、硫酸基等の官能基で置換されていてもよい。
【0111】
オリゴ糖は、2分子以上の単糖がグリコシド結合により1分子に連結された糖である。オリゴ糖を構成する単糖の分子数としては、例えば2〜20が挙げられ、好ましくは2〜10が挙げられ、より好ましくは2〜5が挙げられ、更に好ましくは2〜3が挙げられる。オリゴ糖を構成する単糖の種類としては、特に限定されず、上記に示した単糖を採用することができる。またオリゴ糖を構成する単糖の組み合わせも特に限定されない。オリゴ糖の具体例としては、構成する単糖の分子数が2であるオリゴ糖(例えばラクトース、Galβ(1→3)GalNAc、Galβ(1→4)GlcNAc、Galβ(1→6)GlcNAc、スクロース、マルトース、トレハロース、ツラノース、又はセロビオース等)、構成する単糖の分子数が3であるオリゴ糖(例えばラフィノース、メレジトース、又はマルトトリオース等)、構成する単糖の分子数が4であるオリゴ糖(例えばアカルボース、又はスタキオース)、構成する単糖の分子数が5以上であるオリゴ糖が挙げられ、これらの中でも構成する単糖の分子数が2であるオリゴ糖が好ましく挙げられ、ラクトース、Galβ(1→3)GalNAc、Galβ(1→4)GlcNAc、又はGalβ(1→6)GlcNAcがより好ましく挙げられ、ラクトースが更に好ましく挙げられる。
【0112】
糖残基とは、上記に示した単糖又はオリゴ糖の還元末端の水酸基から水酸基を除き、非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる、2価の基である。
【0113】
※1で示される炭素原子は、Xの非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる酸素原子と結合している炭素原子であり、※2で示される酸素原子は、Xのアノマー性炭素原子と結合している酸素原子である。
【0114】
※1で示される炭素原子と結合している、Xの水素が除かれた非還元末端としては、たとえば6位又は3位が挙げられ、6位が好ましく挙げられる。
【0115】
このような糖残基の具体例としては、
一般式(8a);
【0116】
【化30】
【0117】
[式中、Rは水酸基、又はアセチルアミノ基を示す。]
で表される糖残基、
一般式(8b);
【0118】
【化31】
【0119】
[式中、Rは水酸基、又はアセチルアミノ基を示す。]
で表される糖残基、
一般式(8c);
【0120】
【化32】
【0121】
[式中、Rは水酸基、又はアセチルアミノ基を示す。]
で表される糖残基、又は
一般式(8d);
【0122】
【化33】
【0123】
[式中、Rは水酸基、又はアセチルアミノ基を示す。]
で表される糖残基、
などを挙げることができる。
【0124】
一般式(8a)及び(8b)において、(3)及び(6)は、異なって水素又は一般式(5)における※1で示される炭素原子との結合部位を示す。好ましくは(3)が水素を示し、(6)が一般式(5)における※1で示される炭素原子との結合部位を示す。
【0125】
一般式(8c)において、(3)、(6)、及び(6’)の内の1つは一般式(5)における※1で示される炭素原子との結合部位を示し、他の2つは水素原子を示す。例えば、(3)が一般式(5)における※1で示される炭素原子との結合部位を示す場合、(6)及び(6’)は水素原子を示す。好ましくは(3)及び(6’)が水素を示し、(6)が一般式(5)における※1で示される炭素原子との結合部位を示す。
【0126】
一般式(8d)において、(3)、(6)、及び(6’)の内の1つは一般式(5)における※1で示される炭素原子との結合部位を示し、他の2つは水素原子を示す。例えば、(3)が一般式(5)における※1で示される炭素原子との結合部位を示す場合、(6)及び(6’)は水素原子を示す。好ましくは(3)及び(6’)が水素を示し、(6)が一般式(5)における※1で示される炭素原子との結合部位を示す。
【0127】
一般式(8a)、(8b)、(8c)、及び(8d)において、(※2)は、一般式(5)における※2で示される炭素原子との結合部位を示す。
【0128】
一般式(5)中、X、R、R10、及びnの組み合わせとしては、
例えば、Xがラクトース、Galβ(1→3)GalNAc、Galβ(1→4)GlcNAc、Galβ(1→6)GlcNAc、ガラクトース、グルコース、N−アセチルグルコサミン、又はN−アセチルガラクトサミンであり、Rがアセチル基、又はグリコリル基であり、R10が同一又は異なって水素、又は硫酸基であり、nが1〜3であるという組み合わせが挙げられ、
好ましくは、Xがラクトース、ガラクトース、又はグルコースであり、Rがアセチル基、であり、R10が水素であり、nが1であるという組み合わせが挙げられる。
【0129】
また、一般式(5)中、X、R、R10、及びnの別の組み合わせとしては、
例えば、Xが一般式(8a)で表される糖残基、一般式(8b)で表される糖残基、一般式(8c)で表される糖残基、又は一般式(8d)で表される糖残基であり、一般式(8a)及び一般式(8b)において(3)が水素を示し、且つ(6)が一般式(5)における※1で示される炭素原子との結合部位を示し、一般式(8c)及び一般式(8d)において(3)及び(6’)が水素を示し、且つ(6)が一般式(5)における※1で示される炭素原子との結合部位を示し、Rがアセチル基、又はグリコリル基であり、R10が同一又は異なって水素、又は硫酸基(好ましくは全て水素)であり、nが1〜3であるという組み合わせが挙げられる。
【0130】
さらに、本発明の化合物、すなわち一般式(5)で表される化合物の、他の好ましい態様として、一般式(5’);
【0131】
【化34】
【0132】
[式中、X’は単結合、又はXから単糖を除いて得られる基を示し、R、R10、及びnは前記に同じである]
で表される化合物が挙げられる。
【0133】
X’は、単結合、又はXから単糖を除いて得られる基を示す。
【0134】
※3で示される炭素原子は、Xの非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる酸素原子と結合している炭素原子である。
【0135】
一般式(5’)で表される化合物は、シアル酸の2番目の炭素(一般式(5’)中、「2」で示される炭素)と、ガラクトースの6番目の炭素(一般式(5’)中、「6」で示される炭素)とが、グリコシド結合によって連結している構造、すなわちNeu5Acα(2→6)Galという構造を有している。ここで、ヒトインフルエンザウィルスは、ヒトの細胞膜の外側に存在している、Neu5Acα(2→6)Gal構造を有するシアロ糖鎖と特異的に結合することが知られている。従って、Neu5Acα(2→6)Gal構造を有する一般式(5’)で表される化合物は、ヒトインフルエンザウィルスと特異的に結合するという性質を有する点で優れている。
【0136】
上記した一般式(5)で表される化合物はアルキニル基を有している。アルキニル基は、アジド基と1,3‐双極子付加環化反応することにより、テトラゾール環を形成することが知られている。そして、この性質を利用して、アルキニル基を有する一般式(5)で表される化合物と、アジド基を有する化合物とを、テトラゾール環を介して容易に連結させることができる。このように、一般式(5)で表される化合物は、アジド基を有する化合物であればどのような化合物とも連結させることができる。
【0137】
一般式(5’)中、X’、R、R10、及びnの組み合わせとしては、
例えば、X’がグルコース、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン、又はN−アセチルガラクトサミンであり、Rがアセチル基、又はグリコリル基であり、R10が同一又は異なって水素、又は硫酸基であり、nが1〜3であるという組み合わせが挙げられ、
好ましくは、Xがグルコースであり、Rがアセチル基、であり、R10が水素であり、nが1であるという組み合わせが挙げられる。
【0138】
また、一般式(5’)中、X’、R、R10、及びnの別の組み合わせとしては、
例えば、X’が一般式(8a)で表される糖残基、又は一般式(8b)で表される糖残基であり、一般式(8a)及び一般式(8b)において(3)が水素を示し、且つ(6)が一般式(5)における※1で示される炭素原子との結合部位を示し、Rがアセチル基、又はグリコリル基であり、R10が水素、又は硫酸基(好ましくは全て水素)であり、nが1〜3であるという組み合わせが挙げられる
有機基と連結した一般式(5)で表される化合物としては、例えば一般式(7a);
【0139】
【化35】
【0140】
[式中、Rは有機基を示し、X、R、R10、及びnは前記に同じである]
、又は一般式(7b);
【0141】
【化36】
【0142】
[式中、Rは有機基を示し、X、R、R10、及びnは前記に同じである]
で表される化合物が挙げられる。
【0143】
※4で示される酸素原子は、Xのアノマー性炭素原子と結合している酸素原子である。
【0144】
で示される有機基は、有機化合物から1つの水素が除かれた基であれば特に限定されない。有機化合物としては、アジド基を有するものであれば特に限定されず、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素、合成高分子、天然高分子等が挙げられる。
【0145】
置換基を有していてもよい炭化水素としては、直鎖又は分枝鎖のいずれでも挙げることができ、例えば炭素数1〜40、好ましくは炭素数5〜30、より好ましくは炭素数8〜25、さらに好ましくは炭素数10〜20の置換基を有していてもよい炭化水素が挙げられる。炭化水素としては、例えば、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、鎖式炭化水素、環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素芳香族炭化水素等が挙げられる。置換基としては、例えば、アルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、フェニル基、ナフチル基、アラアルキル基、ベンジル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、メトキシ基、又はエトキシ基等が挙げられる。
【0146】
合成高分子としては、ポリエチレングリコール、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、シリコンゴム、シリコンオイル、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、又はポリエチレンテレフタラートビスコース繊維、銅アンモニア繊維、アセテート繊維、プロミックス繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニリデン系合成繊維、ポリ塩化ビニル系合成繊維、ポリエステル系合成繊維、ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポリエチレン系合成繊維、ポリプロピレン系合成繊維、ポリウレタン系合成繊維、ポリクラール系合成繊維、炭素繊維等が挙げられる。
【0147】
天然高分子としては、タンパク質、核酸、脂質、糖類、木綿、麻、リンネル、絹、毛等が挙げられる。なお、タンパク質及び核酸には、公知の遺伝子工学的手法により人工的に合成されたものも含まれる。例えば、宿主細胞に外来性DNAを導入し、該DNAから宿主細胞内で発現させたタンパク質等が挙げられる。
【0148】
で示される有機基の具体例としては、例えば一般式(9);
【0149】
【化37】
【0150】
[式中、qは1〜40の整数である]
で表される基が挙げられる。一般式(9)で表される基は、直鎖又は分枝鎖でもよい。
【0151】
qは、好ましくは5〜30、より好ましくは8〜25であり、更に好ましくは10〜20である。
【0152】
一般式(9)の好ましい態様としては、例えば一般式(9a);
【0153】
【化38】
【0154】
[式中、rは1〜39の整数である]
で表される基が挙げられる。
【0155】
rは、好ましくは4〜29、より好ましくは7〜24であり、更に好ましくは9〜19である。
【0156】
で示される有機基の別の具体例としては、例えば一般式(10);
【0157】
【化39】
【0158】
[式中、Wは式(11a);
【0159】
【化40】
【0160】
(式中、Rは置換基を示し、uは1〜3の整数である)
で表される基、式(11b);
【0161】
【化41】
【0162】
(式中、R及びuは前記に同じ)
で表される基、又は式(11c);
【0163】
【化42】
【0164】
(式中、vは1〜8の整数である)
で表される基であり、sは1〜4の整数であり、tは1〜30の整数であり、Rは置換基である。]
で表される基が挙げられる。
【0165】
は置換基であり、例えばメチル基、アセチル基、エチル基、アリル基、フェニル基、ベンゾイル基、ベンジル基、アシル系保護基、エーテル系保護基、メタクリル基が挙げられる。
【0166】
は置換基であり、例えばメチル基若しくはエチル基などのアルキル基、ヒドロキシ基、メトキシル基、又はエトキシル基が挙げられる。
【0167】
sは1〜4の整数であり、好ましくは2〜3の整数である。
【0168】
tは1〜30の整数であり、好ましくは4〜20、より好ましくは8〜16である。
【0169】
uは1〜3の整数である。
【0170】
vは1〜8の整数であり、好ましくは1〜3である。
【0171】
上記した一般式(7a)又は(7b)で表される化合物は、有機基の種類に従って、非常に多分野において利用することが出来る。例えば、生化学分野、又は医療分野等、より具体的には糖鎖ワクチン、モノクローナル抗体の作成、ドラッグデリバリーシステム、TLC/virus binding assay、分子間相互作用解析、空気洗浄機フィルター、又はマスク等に利用することができる。
【0172】
有機基が、ナイロン、_ビスコース繊維、銅アンモニア繊維、アセテート繊維、プロミックス繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニリデン系合成繊維、ポリ塩化ビニル系合成繊維、ポリエステル系合成繊維、ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポリエチレン系合成繊維、ポリプロピレン系合成繊維、ポリウレタン系合成繊維、ポリクラール系合成繊維、炭素繊維、木綿、麻、リンネル、絹、若しくは毛から1つの水素が除かれた基、又は一般式(10)で表される基のように、繊維状の素材の材料となる基である場合は、例えばシアロ糖鎖に結合する性質を有する物質(例えば、インフルエンザウィルスなどのウィルス)を除去することを目的とした、空気洗浄フィルター又はマスク等に利用することができる。また、有機基が適当な有機化合物から一つの水素が除かれた基である場合にも、シアロ糖鎖を連結した有機基を繊維に付着させ(具体的には例えばシアロ糖鎖を連結した有機基を含む水溶液を、繊維に吹き付け、その後乾燥する)ことにより、シアロ等差が付着した空気洗浄フィルターやマスク等)を製造することができる。
【0173】
有機基が、一般式(9)で表される化合物のように、炭化水素基である場合は、例えば炭化水素基付加によるシアロ糖鎖の免疫原性向上を利用して、糖鎖ワクチン、モノクローナル抗体の作成等に利用することができる。
【0174】
一般式(7a)及び(7b)中、X、R、R10、n、及びRの組み合わせとしては、
例えば、Xがラクトース、Galβ(1→3)GalNAc、Galβ(1→4)GlcNAc、Galβ(1→6)GlcNAc、ガラクトース、グルコース、N−アセチルグルコサミン、又はN−アセチルガラクトサミンであり、Rがアセチル基、又はグリコリル基であり、R10が同一又は異なって水素、又は硫酸基であり、nが1〜3であり、Rが炭化水素、合成高分子、又は天然高分子1つの水素が除かれた基であるという組み合わせが挙げられ、
好ましくは、Xがラクトース、ガラクトース、又はグルコースであり、Rがアセチル基、であり、R10が水素であり、nが1であり、Rがナイロン、_ビスコース繊維、銅アンモニア繊維、アセテート繊維、プロミックス繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニリデン系合成繊維、ポリ塩化ビニル系合成繊維、ポリエステル系合成繊維、ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポリエチレン系合成繊維、ポリプロピレン系合成繊維、ポリウレタン系合成繊維、ポリクラール系合成繊維、炭素繊維、木綿、麻、リンネル、絹、若しくは毛から1つの水素が除かれた基であるという組み合わせが挙げられる。
【0175】
2.シアロ糖鎖、及び有機基を連結したシアロ糖鎖の製造方法
本発明のシアロ糖鎖、及び有機基を連結したシアロ糖鎖は、例えば下記反応式に示される、工程1、工程2、及び工程3によって製造することができる。
【0176】
【化43】
【0177】
[式中、X、n、R、R、及びR10は前記に同じである]
以下に、工程1〜3について説明する。
【0178】
2‐1.工程1((1)+(2)→(3))
工程1は、一般式(3)で表される化合物の製造方法であって、一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)で表される化合物とを、グリコシダーゼの存在下で反応させる工程である。
【0179】
※5で示される水素原子は、Xの非還元末端の水酸基から水素を除いて得られる酸素原子と結合している水素原子であり、※6で示される酸素原子は、Xのアノマー性炭素原子と結合している酸素原子である。
【0180】
グリコシダーゼとして使用し得るものとしては、特に限定されず、エキソ型またはエンド型を問わず公知のグリコシダーゼが挙げられ、好ましくはエキソ型のグリコシダーゼが挙げられる。例えば、セルラーゼ、グルコシダーゼ、ラクターゼ、アミラーゼ、キチナーゼ、スクラーゼ、キシラナーゼ、マルターゼ、インベルターゼ、又はヒアルロニダーゼ等が挙げられる。
【0181】
グリコシダーゼは、一般式(1)で表される化合物において、※6で示される酸素原子が結合するアノマー性炭素原子を有する糖残基の種類によって選択される。なお、Xが単糖残基である場合は、Xを認識する酵素を選択する。具体例としては、一般式(1)で表される化合物において、末端がグルコース残基である場合は、※6で示される酸素原子が結合するアノマー性炭素原子を有する糖残基はグルコース残基であるから、グルコース残基を認識するグリコシダーゼ、例えばセルラーゼ、又はグルコシダーゼ等、好ましくはセルラーゼを選択する。また、別の具体例としては、還元末端側の糖残基がガラクトース残基の場合はガラクトシダーゼを選択し、マンノース残基の場合はマンノシダーゼを選択し、キシロース残基の場合はキシラナーゼを選択し、N−アセチルグルコサミン残基の場合はN−アセチルグルコサミニダーゼを選択し、N−アセチルガラクトサミン残基の場合はN−アセチルガラクトサミニダーゼを選択し、N−アセチルラクトサミン残基の場合はセルラーゼを選択する。
【0182】
Xがオリゴ糖の場合、グリコシダーゼを作用させることにより糖鎖の途中で切断が起こらないように、還元末端側以外の糖は、該糖を含まないことが好ましい。
【0183】
グリコシダーゼは、担体に固定化されたグリコシダーゼであることが好ましい。グリコシダーゼを担体に固定化する方法は、公知の方法を採用することができる。担体は、グリコシダーゼを固定化できる限りにおいて特に限定されず、例えばグリコシダーゼに含まれるアミノ基とアミド結合できるカルボキシル基を有する担体が挙げられる。具体例としては、カルボキシル基をN‐ヒドロキシスクシンイミド(NHS)でエステル化したセファロース(担体)の活性化エステル基と、グリコシダーゼのアミノ基とをアミド結合させることにより、担体にグリコシダーゼを固定化することができる。また、他の具体例としては、担体を臭化シアンで活性化して、グリコシダーゼのアミノ基とアミド結合させる固定化方法等が挙げられる。
【0184】
反応は、適当な溶媒中で行う。溶媒としては、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物を溶解させることができ、且つグリコシダーゼが失活しない溶媒であれば特に限定されない。このような溶媒としては、例えば、水、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、トリス緩衝液、及び/又はリン酸緩衝生理食塩水などが挙げられ、好ましくは酢酸緩衝液が挙げられる。
【0185】
反応温度は、グリコシダーゼが失活しない温度であれば特に限定されず、グリコシダーゼの反応至適温度に従って適宜選択される。例えば、5℃〜70℃、好ましくは30〜50℃、より好ましくは34〜40℃が挙げられる。
【0186】
反応時間は、グリコシダーゼ活性が十分に発揮できる限り特に限定されない。例えば、1〜100時間、好ましくは50〜80時間、より好ましくは65〜75時間が挙げられる。
【0187】
反応pHは、グリコシダーゼの活性が十分に発揮される限り特に限定されない。例えば、pH3〜10、好ましくはpH4〜6、より好ましくはpH4.5〜5.5が挙げられる。
【0188】
反応における、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物のモル比は、グリコシダーゼによる反応が起こる限り特に限定されないが、例えば、一般式(1)で表される化合物1モル対して、一般式(2)で表される化合物0.1〜100、好ましくは1〜50、より好ましくは3〜30、さらに好ましくは5〜15モルが挙げられる。
【0189】
上記反応は、担体に固定化されたグリコシダーゼの存在下で行うことが好ましい。この場合は、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物が、担体に固定化されたグリコシダーゼと接触できる状態にし、カラムを適当な温度条件下に置くことによって反応を行えばよい。
【0190】
担体に固定化されているグリコシダーゼの量としては、担体1mLに対して0.1-10 mg好ましくは、0.5-3 mgが挙げられる。
【0191】
上記反応後、反応によって得られた、一般式(3)で表される化合物を含む溶液を、さらに精製工程に供してもよい。精製手段は、公知の方法(分液、蒸留、クロマトグラフィー、再結晶等)を採用できる。
【0192】
上記工程1により、簡便且つ効率的に、一般式(3)で表される化合物を大量に製造することができる。
【0193】
このようにして得られた一般式(3)で表される化合物は、下記工程2において使用することができる。
【0194】
2‐2.工程2((3)+シアル酸供与体→(5))
工程2は、一般式(5)で表される化合物の製造方法であって、一般式(3)で表される化合物と、シアル酸供与体とを、シアル酸導入酵素の存在下で反応させる工程である。
【0195】
シアル酸導入酵素は糖にシアル酸を導入することができる酵素、換言すると糖とシアル酸との結合を促進する酵素である。より具体的には、糖の非還元末端にシアル酸を結合させることができる酵素である。シアル酸導入酵素としてはシアリダーゼ又はシアリルトランスフェラーゼが挙げられ、好ましくはシアリダーゼが挙げられる。
【0196】
シアリダーゼとしては特に限定されず、エキソ型またはエンド型を問わず公知のシアリダーゼが挙げられ、好ましくはエキソ型のシアリダーゼが挙げられる。また、シアリダーゼとしては、種々の生物由来のシアリダーゼを使用することができる。例えば、Vibrio属に属する生物、Arthrobacter属に属する生物、又はClostridiumに属する生物由来のシアリダーゼが挙げられ、好ましくはVibrio属に属する生物由来のシアリダーゼが挙げられ、より好ましくはVibrio cholerae由来のシアリダーゼが挙げられる。
【0197】
シアリルトランスフェラーゼとしては特に限定されず、公知のシアリルトランスフェラーゼを用いることができる。好ましくはα(2−6)シアリルトランスフェラーゼ、又はα(2−3)シアリルトランスフェラーゼが挙げられる。また、シアリルトランスフェラーゼとしては、種々の生物由来、例えば牛由来、鶏由来、豚由来、マウス由来等のシアリルトランスフェラーゼを用いることができる。
【0198】
シアル酸導入酵素は、担体に固定化されたシアル酸導入酵素であることが好ましい。シアル酸導入酵素を担体に固定化する方法は、上記したグリコシダーゼを担体に固定化する場合と同様である。
【0199】
シアル酸供与体は、シアル酸骨格を有する化合物であり、例えば一般式(4):
【0200】
【化44】
【0201】
[式中、Rは同一又は異なって置換基を示し、mは1〜3の整数であり、R及びR10は前記に同じである。]
で表される化合物、コロミン酸、一般式(8):
【0202】
【化45】
【0203】
[式中、R及びR10は前記に同じである。]
で表される化合物、又は一般式(12):
【0204】
【化46】
【0205】
[式中、R及びR10は前記に同じである。]
が挙げられる。
【0206】
は同一又は異なって置換基を示す。置換基としては、特に限定されず、公知の置換基を採用することができる。例えば、ニトロ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ基、アルコキシ基、又は低級アルキル基(炭素数1〜6)が挙げられ、ニトロ基、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素がより好ましく挙げられる。
【0207】
mは置換されているRの数を表しており、1〜3の整数であり、好ましくは1である。
【0208】
の置換位置は、ベンゼン環に結合している酸素原子に対して、パラ、オルト、又はメタのいずれでもよいが、好ましくはパラである。
【0209】
一般式(4)中、R、m、Rの置換位置、R及びR10の組み合わせとしては、
例えば、Rがニトロ基、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり、mが1であり、Rの置換位置がベンゼン環に結合している酸素原子に対してパラであり、Rがアセチル基、又はグリコリル基であり、R10が同一又は異なって水素、又は硫酸基であるという組み合わせが挙げられ、
好ましくは、Rがニトロ基であり、mが1であり、Rの置換位置がベンゼン環に結合している酸素原子に対してパラであり、Rがアセチル基であり、R10が水素であるという組み合わせが挙げられる。 一般式(8)中、R及びR10の組み合わせとしては、
例えば、Rがアセチル基、又はグリコリル基であり、R10が同一又は異なって水素、又は硫酸基であるという組み合わせが挙げられ、
好ましくは、Rがアセチル基であり、R10が水素であるという組み合わせが挙げられる。
【0210】
一般式(12)中、R及びR10の組み合わせとしては、
例えば、Rがアセチル基、又はグリコリル基であり、R10が同一又は異なって水素、又は硫酸基であるという組み合わせが挙げられ、
好ましくは、Rがアセチル基であり、R10が水素であるという組み合わせが挙げられる。
【0211】
コロミン酸は、シアル酸又はその塩が重合した高分子化合物であり、特に限定されるものではない。シアル酸としては、ノイラミン酸のアミノ基やヒドロキシ基が置換された物質を広く採用することができる。具体的なシアル酸としては、N−アセチルノイラミン酸、N−グライコリルノイラミン酸等が挙げられる。シアル酸の塩としては、特に限定されず、例えば、シアル酸ナトリウム、シアル酸カリウムが挙げられる。コロミン酸の具体例としては、下記式;
【0212】
【化47】
【0213】
[式中、wは50〜100である]
に示すコロミン酸ナトリウムが挙げられる。
【0214】
用いるシアル酸導入酵素とシアル酸供与体の組み合わせとして好ましい組み合わせは、シアリダーゼと一般式(4)で表される化合物及びコロミン酸からなる群から選択される少なくとも1種との組み合わせ、又はシアリルトランスフェラーゼと一般式(8)で表される化合物との組み合わせが挙げられ、より好ましい組み合わせとしては、シアリダーゼと一般式(4)で表される化合物及びコロミン酸からなる群から選択される少なくとも1種との組み合わせが挙げられる。
【0215】
反応は、適当な溶媒中で行う。溶媒としては、一般式(3)で表される化合物、並びにシアル酸供与体を溶解させることができ、且つシアル酸導入酵素が失活しない溶媒であれば特に限定されない。溶媒は、工程1と同様のものを使用できる。
【0216】
反応温度は、シアル酸導入酵素が失活しない温度であれば特に限定されず、シアル酸導入酵素の反応至適温度に従って適宜選択される。例えば、5〜60℃、好ましくは20〜40℃、より好ましくは27〜33℃が挙げられる。
【0217】
反応時間は、シアル酸導入酵素活性が十分に発揮できる限り特に限定されない。例えば、1〜48時間、好ましくは12〜36時間、より好ましくは20〜28時間が挙げられる。
【0218】
反応pHは、シアル酸導入酵素の活性が十分に発揮される限り特に限定されない。例えば、pH3〜10、好ましくはpH4〜8、より好ましくはpH5〜6が挙げられる。
【0219】
反応における、一般式(3)で表される化合物と、シアル酸供与体とのモル比は、による反応が起こる限り特に限定されないが、例えば、一般式(3)で表される化合物のモル数1モルに対して、シアル酸供与体に含まれるシアル酸残基(シアル酸から2つの水酸基を除いて得られる基)0.1モル〜3モル、好ましくは0.1モル〜1モル、より好ましくは0.15〜0.25モルが挙げられる。
【0220】
上記反応は、担体に固定化されたシアル酸導入酵素の存在下で行うことが好ましい。この場合は、一般式(3)で表される化合物、並びにシアル酸供与体が、担体に固定化されたシアル酸導入酵素と接触できる状態にし、カラムを適当な温度条件下に置くことによって反応を行えばよい。この反応は、バッチ処理でもよいし、連続処理でもよい。
【0221】
担体に固定化されたシアル酸導入酵素の存在下で反応を行うことによって、反応終了後シアル酸導入酵素の分離を、担体を遠心分離などにより除くことにより、容易に行うことができ、且つシアル酸導入酵素の安定性が向上し、担体に固定化されたシアル酸導入酵素を再利用することが出来る。このように、担体に固定化されたシアル酸導入酵素を用いることにより、一般式(5)で表される化合物の製造がより簡便且つ効率的に、低コストで行うことができる。
【0222】
担体に固定化されているシアル酸導入酵素の量としては、担体1mLに対して0.01mg〜10mg好ましく挙げられる範囲は0.1〜3mgが挙げられる。
【0223】
上記反応後、反応によって得られた、一般式(5)で表される化合物を含む溶液を、さらに精製工程に供してもよい。精製手段は、公知の方法(分液、蒸留、クロマトグラフィー、再結晶等)を採用できる。
【0224】
上記工程2のように、糖と、シアル酸骨格を有する化合物との縮合反応おいて、糖として一般式(3)で示される化合物を採用し、シアル酸導入酵素の存在下で反応を行うことにより、簡便且つ効率的に、一般式(5)で表される化合物を大量に製造することができる。
【0225】
一般式(5)で表される化合物に包含される、一般式(5’)で表される化合物は、一般式(3’);
【0226】
【化48】
【0227】
[式中、X’及びnは前記に同じ]
で表される化合物と、シアル酸供与体とを用いて、一般式(5)で表される化合物と同様に製造することができる。
【0228】
一般式(3’)で表される化合物を用いることにより、シアル酸の2番目の炭素(一般式(5’)中、「2」で示される炭素)と、ガラクトースの6番目の炭素(一般式(5’)中、「6」で示される炭素)とが連結した、一般式(5’)で表される化合物を、効率的に製造することができる。
【0229】
2‐3.工程3((5)+(6)→(7a)及び(7b))
工程3は、一般式(7a)及び(7b)で表される化合物の製造方法であって、一般式(5)で表される化合物と、一般式(6)で表される化合物とを反応させる工程である。
【0230】
※4で示される酸素原子は、Xのアノマー性炭素原子と結合している酸素原子である。
【0231】
一般式(6)で表される化合物は、公知の方法で製造することができる。
【0232】
反応は、1,3‐双極子付加反応である。反応は溶媒存在下でも非存在下でも行うことができるが、溶媒存在下で行う場合、溶媒は、反応に悪影響を与えない限り特に限定されない。例えば、蒸留水、メタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及び/又はジメチルスルフォキシドを使用することができる。好ましくは適当な触媒の存在下で反応を行うことが好ましい。触媒としては、例えば銅(I)触媒が挙げられる。銅(I)触媒を使用する場合は、例えば、硫酸銅などの2価の銅と、還元剤(例えばアスコルビン酸ナトリウム)を系内に導入し、一価の銅を反応させる方法が挙げられる。
【0233】
反応温度は、溶媒の沸点以下であれば特に限定されないが、例えば15〜80℃、好ましくは20〜40℃、より好ましくは27〜33℃が挙げられる。
【0234】
反応時間は、特に限定されないが、例えば、1〜24時間、好ましくは6〜20時間、より好ましくは10〜14時間が挙げられる。
【0235】
反応における、一般式(5)で表される化合物と、一般式(6)で表される化合物とのモル比は、特に限定されないが、例えば、一般式(5)で表される化合物1モルに対して、一般式(6)で表される化合物1モル〜5モル、好ましくは1モル〜3モル、より好ましくは1.25〜1.75モルが挙げられる。
【0236】
上記反応後、反応によって得られた、一般式(5)で表される化合物を含む溶液を、さらに精製工程に供してもよい。精製手段は、公知の方法(分液、蒸留、クロマトグラフィー、再結晶等)を採用できる。
【0237】
3.製造装置
本発明は、装置1(供給口及び排出口を有する、担体に固定化されたグリコシダーゼを含むカラム(以下、カラムAと示す)を備えることを特徴とする装置)、装置2(供給口及び排出口を有する、担体に固定化されたシアル酸導入酵素を含むカラム(以下、カラムCと示す)を備えることを特徴とする装置)、及び装置3(装置1及び装置2を備え、装置1の排出口と装置2の供給口が流路cで連結されていることを特徴とする装置)を提供する。以下に具体的に説明する。
【0238】
3‐1.装置1
装置1は、必須の構成として、供給口及び排出口を有する、担体に固定化されたグリコシダーゼを含むカラム(カラムA)を備えることを特徴とする装置である。従って、装置1は、グリコシダーゼの存在下で反応を行う、前述工程1による一般式(3)で表される化合物の製造に適している。すなわち、装置1は、好ましくは一般式(3)で表される化合物の製造用装置である。
【0239】
カラムAの供給口側には、流路切替え装置a’、例えば三方コック、又はインジェクターが備えられていてもよい。
【0240】
さらに、装置1は、供給口及び排出口を有する逆相カラム(以下、カラムBと示す)を備えていることが好ましい。また、カラムAの排出口とカラムBの供給口は、流路bで連結されていることが好ましく、流路bは、流路切替え装置b’を備えることがより好ましい。カラムB及び流路切替え装置b’を備える装置1を、装置1aと示す(図1)。
【0241】
流路切替え装置b’は、流路bにおける流路を、カラムA側(図1中、「1」側)、カラムB側(図1中、「2」側)、装置1a外側(図1中、「3」側)の三方向に切替えできる機能、すなわち、3側の流路を閉じて1側の流路と2側の流路をつなぐ機能、2側の流路を閉じて1側の流路と3側の流路をつなぐ機能、及び1側の流路を閉じて2側の流路と3側の流路をつなぐ機能を有している。
【0242】
流路b及びカラムBの排出口側には、流路切替え装置b’以外にも、種々の検出器、例えば吸光度検出器、旋光度検出器、又は蛍光検出器等が備えられていてもよい。
【0243】
装置1を用いて、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物を、カラムAの供給口からカラムAに導入してカラムA内で反応させる工程(以下、工程aと示す)を行うことによって、一般式(3)で表される化合物を製造することができる。この場合、カラムA内では、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物が、カラムAに含まれる、担体に固定化されたグリコシダーゼの存在下で反応することにより、上述工程1が行われる。従って、工程aの反応温度等の条件は、上述工程1と同様に設定することができる。カラムA内の反応生成物、すなわち一般式(3)で表される化合物を含む反応生成物は、適当な溶媒、例えば工程(a)の反応を行った溶媒で溶出することにより、カラムAから溶出することができる。
【0244】
さらに、工程aによる、一般式(3)で表される化合物を含む反応生成物を、カラムAの排出口側に連結されたカラム(例えばカラムB)によって精製することが好ましい。例えば、工程aに続いて、カラムA中の反応物をカラムBの供給口に導入する工程(以下、工程bと示す)、及びカラムBから一般式(3)で表される化合物を精製する工程(以下、工程cと示す)を行うことにより、精製を行うことが好ましい。
【0245】
カラムA中の反応物をカラムBの供給口に導入する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。例えば、カラムAの供給口から、溶媒(好ましくは、工程(a)の反応を行った溶媒が例示される)を供給することにより、カラムA内に存在する、工程(a)による反応溶液を、カラムAの排出口から押出し、カラムAの排出口に流路bを介して連結されているカラムBの供給口に導入する方法が挙げられる。
【0246】
カラムBから一般式(3)で表される化合物を精製する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って、溶媒の種類及び混合比を変えて、必要なものを精製することができる。例えば、カラムAの供給口から、又はカラムBの供給口から、好ましくは装置1の外側から流路切替え装置b’を介して、溶媒をカラムB内に通すことにより、カラムB内に存在している一般式(3)で表される化合物を溶出し、該化合物が含まれる画分を分画することにより行われる。この際に使用する溶媒としては、一般式(3)で表される化合物をカラムBから溶出することができる限り特に限定されないが、例えば水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、及び/又はテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0247】
この際、カラムB中には、主に、未反応の一般式(1)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物が存在している。そして、溶媒として水を使用した場合、未反応の一般式(1)で表される化合物が先に溶出され、その後に一般式(3)で表される化合物が溶出される。
【0248】
装置1を用いて得られた、一般式(3)で表される化合物は、更に、公知の精製手段(クロマトグラフィー等)、乾燥工程(凍結乾燥等)に供してもよい。
【0249】
このように、装置1を用いることにより、一般式(3)で表される化合物を、簡便且つ効率的に、大量に製造することができるという優れた効果が奏される。具体的には、担体に固定化されたグリコシダーゼを含むカラム(カラムA)を用いることにより、グリコシダーゼの酵素活性の低下が起こりにくくなり、酵素を再利用することが出来る点、及びカラムAを用いることにより、反応後の酵素の除去が必要なくなる点において優れている。さらにカラムBを採用した場合は、反応後の精製が極めて容易に行うことができる点、及びカラムBによる精製で得られた一般式(1)で表される化合物を、再度、一般式(3)で表される化合物の製造に再利用できる点において優れている。
【0250】
3‐2.装置2
装置2は、必須の構成として、供給口及び排出口を有する、担体に固定化されたシアル酸導入酵素を含むカラム(カラムC)を備えることを特徴とする装置である。従って、装置2は、シアル酸導入酵素の存在下で反応を行う、前述工程2による一般式(5)で表される化合物の製造に適している。すなわち、装置2は、好ましくは一般式(5)で表される化合物の製造用装置である。
【0251】
カラムCの供給口側には、流路切替え装置c’、例えば三方コック、又はインジェクターが備えられていてもよい。
【0252】
装置2は、供給口及び排出口を有する逆相カラム(以下、カラムDと示す)、及び/又は供給口及び排出口を有するイオン交換カラム(以下、カラムEと示す)を備えていることが好ましい。また、カラムCの排出口とカラムDの供給口は、流路dで連結されていることが好ましく、流路dは、流路切替え装置d’を備えることがより好ましい。さらに、カラムDの排出口とカラムEの供給口は、流路eで連結されていることが好ましく、流路eは流路切替え装置e’を備えることがより好ましい。カラムD、カラムE、流路切替え装置d’、及び流路切替え装置e’を備える装置2を、装置2aと示す(図2)。
【0253】
流路切替え装置d’は、流路dにおける流路を、カラムC側(図2中、「4」側)、カラムD側(図2中、「5」側)、装置2a外側(図2中、「6」側)の三方向に切替えできる機能、すなわち、6側の流路を閉じて4側の流路と5側の流路をつなぐ機能、5側の流路を閉じて4側の流路と6側の流路をつなぐ機能、及び4側の流路を閉じて5側の流路と6側の流路をつなぐ機能を有している。
【0254】
流路切替え装置e’は、流路eにおける流路を、カラムD側(図2中、「7」側)、カラムE側(図2中、「8」側)、装置2a外側(図2中、「9」側)の三方向に切替えできる機能、すなわち、9側の流路を閉じて7側の流路と8側の流路をつなぐ機能、8側の流路を閉じて7側の流路と9側の流路をつなぐ機能、及び7側の流路を閉じて8側の流路と9側の流路をつなぐ機能を有している。
【0255】
カラムCの供給口側には、流路切替え装置c、例えばインジェクターが備えられていてもよい。また、流路d、流路e、及びカラムEの排出口側には、種々の検出器、例えば吸光度検出器、旋光度検出器、又は蛍光検出器等が備えられていてもよい。
【0256】
装置2を用いて、一般式(3)で表される化合物、並びにシアル酸供与体を、カラムCの供給口からカラムCに導入してカラムC内で反応させる工程(以下、工程dと示す)を行うことによって、一般式(5)で表される化合物を製造することができる。この場合、カラムC内では、一般式(3)で表される化合物及びシアル酸供与体が、カラムCに含まれる、担体に固定化されたシアル酸導入酵素の存在下で反応することにより、上述工程2が行われる。従って、工程dの反応温度等の条件は、上述工程1と同様に設定することができる。カラムC内の反応生成物、すなわち一般式(5)で表される化合物を含む反応生成物は、適当な溶媒、例えば工程(d)の反応を行った溶媒で溶出することにより、カラムCから溶出することができる。
【0257】
さらに、工程dによる、一般式(5)で表される化合物を含む反応生成物を、カラムAの排出口側に連結されたカラム(例えばカラムD、又はカラムE)によって精製することが好ましい。例えば、工程dに続いて、カラムC中の反応物をカラムDの供給口に導入する工程(以下、工程eと示す)、カラムD中の内容物をカラムEの供給口に導入する工程(以下、工程fと示す)、及びカラムEから一般式(5)で示される化合物を精製する工程(以下、工程gと示す)を行うことにより、精製を行うことが好ましい。
【0258】
カラムC中の反応物をカラムDの供給口に導入する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。例えば、カラムCの供給口から、溶媒(好ましくは、工程(d)の反応を行った溶媒が例示される)を供給することにより、カラムC内に存在する、工程(d)による反応溶液を、カラムCの排出口から押出し、カラムCの排出口に流路dを介して連結されているカラムDの供給口に導入する方法が挙げられる。
【0259】
カラムD中の内容物をカラムEの供給口に導入する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。例えば、カラムDの供給口から、溶媒(例えば、水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、及び/又はテトラヒドロフランを供給することにより、カラムD内に存在する、工程(d)による内容物を、カラムDから溶出し、カラムDの排出口に流路eを介して連結されているカラムEの供給口に導入する方法が挙げられる。カラムDを用いて精製することにより、未反応の一般式(3)で表される化合物、及び一般式(5)で表される化合物を、一般式(4)で表される化合物を使用した場合に生じるパラニトロフェノールと分離することができる(パラニトロフェノールはカラムD内に残る)。
【0260】
カラムEから一般式(5)で表される化合物を精製する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って、溶媒の種類及び混合比を変えて、必要なものを精製することができる。公知の方法を採用することができる。例えば、カラムCの供給口から、カラムDの供給口から、又はカラムBの供給口から、好ましくは装置2の外側から流路切替え装置e’を介して、溶媒をカラムE内に通すことにより、カラムE内に存在している一般式(E)で表される化合物を溶出し、該化合物が含まれる画分を分画することにより行われる。この際に使用する溶媒としては、一般式(5)で表される化合物をカラムEら溶出することができる限り特に限定されないが、例えば塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、及び/又は塩化カルシウム水溶液等が挙げられる。これらの溶媒を使用する場合は、その塩濃度は例えば0.5〜2M程度に設定することが好ましい。
【0261】
好ましくは、水をカラムE内に導入することにより、カラムE内の一般式(3)で表される化合物を溶出し、その後、上記溶媒で溶出することにより一般式(5)で表される化合物を精製するとよい。得られた一般式(3)で表される化合物は、再度、一般式(5)で表される化合物の製造に再利用できる
装置1を用いて得られた、一般式(5)で表される化合物は、更に、公知の精製手段(クロマトグラフィー等)、乾燥工程(凍結乾燥等)に供してもよい。
【0262】
このように、装置2を用いることにより、一般式(5)で表される化合物を、簡便且つ効率的に、大量に製造することができるという優れた効果が奏される。具体的には、担体に固定化されたシアル酸導入酵素を含むカラム(カラムC)を用いることにより、シアル酸導入酵素の酵素活性の低下が起こりにくくなり、酵素を再利用することが出来る点、及びカラムCを用いることにより、反応後の酵素の除去が必要なくなる点において優れている。さらにカラムD及び/又はカラムEを採用した場合は、反応後の精製が極めて容易に行うことができる点、及びカラムEによる精製で得られた一般式(3)で表される化合物を、再度、一般式(3)で表される化合物の製造に再利用できる点において優れている。
【0263】
3‐3.装置3
装置3は、前述のように、装置1及び装置2を備え、装置1の排出口と装置2の供給口が流路cで連結されていることを特徴とする装置(以下、装置3と示す)である。従って、装置3は、一般式(5)で表される化合物の製造に適している。すなわち、装置3は、好ましくは一般式(5)で表される化合物の製造用装置である。
【0264】
装置1の排出口とは、装置1の最も排出口側に備えられるカラム又は装置の排出口を意味し、例えば装置1がカラムAのみからなる場合は、装置1の排出口はカラムAの排出口であり、装置1が、カラムA、カラムB、及び流路切替え装置b’を備える装置1aである場合は、装置1の排出口はカラムBの排出口を意味する。
【0265】
装置2の供給口とは、装置2の最も供給口側に備えられるカラム、すなわちカラムCの供給口を意味する。
【0266】
流路cは、流路切替え装置c’、例えば三方コックを備えることが好ましい。
【0267】
装置3としては、装置1a及び装置2aを備えることが好ましい。
【0268】
装置1a、装置2a、及び流路切替え装置c’を備える装置3を、装置3aと示す(図3)。
【0269】
流路切替え装置c’は、流路cにおける流路を、カラムB側(図3中、「10」側)、カラムC側(図3中、「11」側)、装置3a外側(図3中、「12」側)の三方向に切替えできる機能、すなわち、12側の流路を閉じて10側の流路と11側の流路をつなぐ機能、11側の流路を閉じて10側の流路と12側の流路をつなぐ機能、及び10側の流路を閉じて11側の流路と12側の流路をつなぐ機能を有している。
【0270】
流路cには、種々の検出器、例えば吸光度検出器、旋光度検出器、又は蛍光検出器等が備えられていてもよい。
【0271】
上記「3‐1.装置1」に記載のように装置1を用いることにより、一般式(3)で表される化合物を得て、上記「3‐2.装置2」に記載のように装置2を用いることにより、一般式(5)で表される化合物を製造することができる。例えば、装置3に包含される装置3aを用いて、上述工程(a)〜(g)を行うことによって、一般式(5)で表される化合物を製造することができる。
【0272】
このように、装置3を用いることにより、装置1及び装置2をそれぞれ単独で用いるよりも簡便且つ効率的に、一般式(5)で表される化合物を大量に製造することができるという優れた効果が奏される。
【実施例】
【0273】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0274】
実施例1.担体に固定化されたセルラーゼを含むカラムの調製
下記ステップ(1)〜(10)により、HiTrap NHS-activated HPカラム(GEヘルスケア バイオサイエンス株式会社製)中の担体に、セルラーゼ(和光社製、商品名:Cellulase、Aspergillus niger由来)を固定化した。
【0275】
(1)氷冷した1mM HCl (5 mL)をシリンジポンプを用いて流速0.5 ml/minにてカラムに通じた。
【0276】
(2) 1.8 U(ユニット)のセルラーゼ溶液 [50 mM 酢酸ナトリウムバッファー、pH = 5 (1 mL)にセルラーゼを溶解したもの] をシリンジポンプを用いて流速0.5 ml/minにてカラムに通じた。次にカラムを4℃で12時間放置した。
【0277】
(3) 0.2 M炭酸水素ナトリウム溶液、0.5 M NaCl含有、pH = 8.3 (3 mL) シリンジポンプを用いて流速0.5 ml/minにてカラムに通じた。
【0278】
(4) 0.5 Mモノエタノールアミン溶液、0.5 M NaCl含有、pH = 8.3 (6 mL) シリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。
【0279】
(5) 0.1 M 酢酸ナトリウムバッファー、0.5 M NaCl含有、pH = 4 (6 mL) シリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。
【0280】
(6) 0.5 Mモノエタノールアミン溶液、0.5 M NaCl含有、pH = 8.3 (6 mL) シリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。そのあとカラムを4℃で4時間放置した。
【0281】
(7) 0.1 M 酢酸ナトリウムバッファー、0.5 M NaCl含有、pH = 4 (6 mL) シリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。
【0282】
(8) 0.5 Mモノエタノールアミン溶液、0.5 M NaCl含有、pH = 8.3 (6 mL) シリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。
【0283】
(9) 0.1 M 酢酸ナトリウムバッファー、0.5 M NaCl含有、pH = 4 (6 mL) シリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。
【0284】
(10) 50 mM 酢酸ナトリウムバッファー、pH = 5 (2 mL) をシリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。
【0285】
以上のステップ(1)〜(10)で得られたカラムを、「担体に固定化されたセルラーゼを含むカラム」として、「実施例3.プロパルギル基導入ラクトースの製造」及び「実施例7.アルキニル基導入糖製造装置の製造」において使用した。
【0286】
実施例2.担体に固定化されたシアリダーゼを含むカラムの調製
下記のステップ(11)〜(20)により、HiTrap NHS-activated HPカラム(GEヘルスケア バイオサイエンス株式会社製)中の担体に、シアリダーゼ(Roche社製、Vibrio cholerae Acylneuraminyl hydrolase)を固定化した。
【0287】
(11) 氷冷した1mM HCl (5 mL)をシリンジポンプを用いて流速0.5 ml/minにてカラムに通じた。
【0288】
(12) 1U(ユニット)のシアリダーゼ溶液(市販調整済みのもの)(1 mL)をシリンジポンプを用いて流速0.5 ml/minにてカラムに通じた。次にカラムを4℃で12時間放置した。
【0289】
(13) 0.2 M炭酸水素ナトリウム溶液、0.5 M NaCl含有、pH = 8.3 (3 mL) シリンジポンプを用いて流速0.5 ml/minにてカラムに通じた。
【0290】
(14) 0.5 Mモノエタノールアミン溶液、0.5 M NaCl含有、pH = 8.3 (6 mL) シリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。
【0291】
(15) 0.1 M 酢酸ナトリウムバッファー、0.5 M NaCl含有、pH = 4 (6 mL) シリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。
【0292】
(16) 0.5 Mモノエタノールアミン溶液、0.5 M NaCl含有、pH = 8.3 (6 mL) シリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。そのあとカラムを4℃で4時間放置した。
【0293】
(17) 0.1 M 酢酸ナトリウムバッファー、0.5 M NaCl含有、pH = 4 (6 mL) シリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。
【0294】
(18) 0.5 Mモノエタノールアミン溶液、0.5 M NaCl含有、pH = 8.3 (6 mL) シリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。
【0295】
(19) 0.1 M 酢酸ナトリウムバッファー、0.5 M NaCl含有、pH = 4 (6 mL) シリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。
【0296】
(20) 100 mM 酢酸ナトリウムバッファー、0.5 mM, CaCl2含有, pH = 5.5 (2 mL) をシリンジポンプを用いて流速1 ml/minにてカラムに通じた。
【0297】
以上のステップ(11)〜(20)で得られたカラムを、「担体に固定化されたシアリダーゼを含むカラム」として、「実施例4.プロパルギル基導入シアリルラクトースの製造」及び「実施例8.アルキニル基導入シアロ糖製造装置の製造」において使用した。
【0298】
実施例3.プロパルギル基導入ラクトースの製造
下記反応式に従って、プロパルギル基導入ラクトース(化合物3)を製造した。詳細を以下に説明する。
【0299】
【化49】
【0300】
ラクトース(化合物1)(1 M, 500 μL)、プロパルギルアルコール(化合物2)(250 μL)、及び酢酸ナトリウムバッファー(50 mM, pH = 5.0, 250 μL)の混合溶液を、実施例1で製造した担体に固定化されたセルラーゼを含むカラムへ通じた。
【0301】
カラムの両端をキャップし、カラムを37℃に加温した恒温槽に入れ、70時間インキュベートした。
【0302】
次いで酢酸ナトリウムバッファー(50 mM, pH = 5.0) (2 mL)をカラムに通液して反応液をカラムより流出させた。
【0303】
その反応液を逆相カラム(BONDESIL-C18, L= 6 cm)に供し水で溶出することにより化合物3(49.5 mg)を得た。NMRデータを下記に示す。
【0304】
1H-NMR (D2O)δ4.96 (d, 1 H, J = 3.6 Hz), 4.54 (d, 1 H, J = 8.4 Hz), 4.34 (s, 2 H), 4.32 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 3.86 (d, 1 H, J= 11.6 Hz), 3.69‐3.52 (m, 4 H), 3.42 (dd, 1 H, J = 8.4, J = 9.2 Hz), 3.22 (br-t, 1 H), 2.78 (s, 1 H)。
【0305】
実施例4.プロパルギル基導入シアリルラクトースの製造
下記反応式に従って、プロパルギル基導入シアリルラクトース(化合物5)を製造した。詳細を以下に説明する。
【0306】
【化50】
【0307】
化合物3 (101 mg, 0.26 mmol)とVolker Eschenfelderらの文献(Cabohydr. Res. 162, 294-297, 1987)に従って調製したパラニトロフェニルシアル酸(化合物4)(15.7 mg 0.05 mmol) もしくはコロミン酸(10 mg)(平均重合度:100)を、酢酸ナトリウムバッファー(100 mM 酢酸ナトリウムバッファー、0.5 mM, CaCl2含有, pH = 5.5, 1 mL)に溶解し、その混合溶液をシアリダーゼを固定化したカラムへ通じた。
【0308】
カラムの両端をキャップし、カラムを30℃に加温した恒温槽に入れ、24時間インキュベートした。
【0309】
次いで100 mM 酢酸ナトリウムバッファー、0.5 mM, CaCl2含有, pH = 5.5 (2 mL)をカラムに通液して反応液をカラムより流出させた。
【0310】
その反応液を逆相カートリッジカラムSep pack C18に供し、水画分(4 mL)にて未反応の化合物3、シアル酸、及び化合物5を混合物として得た(※コロミン酸をドナーとして用いた場合、この逆相カラムのステップは省いた)。
【0311】
ついでその水画分をイオン交換カートリッジカラム(アクロセップQ Ceramic Hyper DF)に供し水画分(5 mL)にて化合物3を回収し、2 M NaCl画分(1 mL)にてシアル酸と目的とした化合物5を混合物として得た。NMRデータを下記に示す。
【0312】
1H-NMR (D2O)δ 4.35 (s, 2 H), 4.32 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 2.68 (d, 1 H), 2.50 (dd, 1 H, J = 4.4, J = 12.4 Hz), 1.44 (t, 1 H, J = 12.4 Hz)。
【0313】
実施例5.ポリエチレングリコールを導入したプロパルギル基導入シアリルラクトースの製造
下記反応式に従ってポリエチレングリコールを導入したプロパルギル基導入シアリルラクトース(化合物7a)を製造した。詳細を以下に説明する。
【0314】
【化51】
【0315】
K. B. Sharplessらの文献(Angew. Chem.. Int. Ed. 41, 2596-2599, 2002)に従い、窒素気流下において化合物5の水溶液(50 μL)に、M. Yamaguchiらの文献(Tetrahedron Lett. 47, 7455-7458, 2006)に従って調製した化合物6a(30 μL; 90 μM in DMSO)、10 mM硫酸銅水溶液(50 μL)、10 mMアスコルビン酸ナトリウム水溶液(50 μL)を順に加え、30℃にて12時間インキュベートした。
【0316】
反応液を減圧濃縮し、その残渣を蒸留水に溶解し、逆相カートリッジカラムSep pack C18に供し、水(2 mL)を用いてシアル酸、未反応の化合物5を溶出させて除去した後、溶出溶媒として水:メタノール=1:1の混合溶媒(2 mL)を用いて目的とした化合物7aを含む溶出液を得、これを減圧濃縮することにより目的化合物7aを得た。NMRデータを下記に示す。
【0317】
1H-NMR (D2O)データ δ 8.30 (s, 1 H), 8.18 (d, 1 H), 7.90 (d, 2 H, J = 8.8 Hz), 7.04 (d, 2 H, J = 8.8 Hz), 4.31 (m), 3.73 (m), 3.58 (m), 3.49-3.43 (m), 3.18 (s), 2.50 (dd, 1 H, J = 4.8, J = 12.4 Hz), 1.83 (s, 3 H), 1.54 (t, 1 H, J = 12.4 Hz)。
【0318】
製造例1.アジド基を有する脂質の製造
下記反応式に従ってアジド基を有する脂質(化合物6a)を製造した。詳細を以下に説明する。
【0319】
【化52】
【0320】
l-テトラデカノール (1 g, 4.66 mmol)をピリジン(3 mL)に溶解した。そこにp-トルエンスルホニルクロリド(1.3 g, 6.82 mmol)を添加し室温にて4時間撹拌しながら反応を行った。
【0321】
その後反応液をクロロホルムで抽出し、2 Mの塩酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥してから減圧濃縮した。
【0322】
得られたシラップをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、溶出溶媒として酢酸エチル:ヘキサン=1:10にて精製し、パラトルエンスルホニルテトラデカノール(1.7 g, 収率99 %)を得た。
【0323】
次いで、得られたパラトルエンスルホニルテトラデカノール(1.7 g, 4.61 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(3 mL)に溶解した。
【0324】
そこにアジ化ナトリウム(1.4 g, 21.5 mmol)を室温にて添加し、40℃にて24時間撹拌しながら反応を行った。
【0325】
その後反応液をクロロホルムで抽出し、蒸留水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥してから減圧濃縮した。
【0326】
得られたシラップをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、溶出溶媒として酢酸エチル:ヘキサン=1:10にて精製し、化合物6b(1.1 g)を定量的に得た。NMRデータを下記に示す。
【0327】
1H-NMR (CDCl3) δ3.25 (t), 1.63-1.56 (m), 1.37-1.26 (m), 0.88 (t)。
【0328】
実施例6.アジド基を有する脂質を導入したプロパルギル基導入シアリルラクトースの製造
下記反応式に従ってアジド基を有する脂質を導入したプロパルギル基導入シアリルラクトース(化合物7b)を製造した。詳細を以下に説明する。
【0329】
【化53】
【0330】
K. B. Sharplessらの文献(Angew. Chem.. Int. Ed. 41, 2596-2599, 2002)に従い、窒素気流下において化合物5水溶液(50 μL)に、化合物6b(30 μL; 90 μM in DMSO)、10 mM硫酸銅水溶液(50 μL)、10 mMアスコルビン酸ナトリウム水溶液(50 μL)を順に加え、30℃にて12時間インキュベートした。
【0331】
反応液を減圧濃縮し、その残渣を蒸留水に溶解し、逆相カートリッジカラムSep pack C18に供し、水(2 mL)を用いてシアル酸、未反応の化合物5を溶出させて除去した後、溶出溶媒として水:メタノール=1:1の混合溶媒(2 mL)を用いて目的とした化合物7bを含む溶出液を得、これを減圧濃縮することにより目的化合物7bを得た。
【0332】
1H-NMR (DMSO-D6) δ8.22(s, 1 H), 4.77 (d, 1 H, J =5.6 Hz), 4.59 (d, 1 H, J = 5.2 Hz), 4.22 (t, 1 H), 4.16 (d, 1 H, J = 5.6 Hz), 3.98 (m), 3.66-3.38 (m), 2.18 (dd, 1 H, J = 4.8, J =12.0 Hz), 1.87 (s, 3 H), 1.37 (t, 1 H, J= 12.0 Hz), 1.01 (m), 0.81 (t, 3 H, J = 8.8 Hz)。
【0333】
実施例7.装置の製造(1)
実施例3において製造された化合物3に代表される、一般式(3);
【0334】
【化54】
【0335】
[式中、X及びnは前記に同じ]
で表される化合物の製造に適した装置を製造した。この装置の全体像を示した図4を参照して、詳細を以下に示す。
【0336】
実施例1で製造された、担体に固定化されたセルラーゼを含むカラム(セルラーゼ固定化カラムA)の供給口側(上流側)に三方コックaを、排出口側(下流側)に三方コックbを取り付けた。
【0337】
更に、三方コックbの下流側に逆相カラム(BONDESIL-C18, L= 6 cm)(逆相カラムB)を取り付けた。
【0338】
実施例8.装置の製造(2)
実施例4において製造された、化合物5に代表される、一般式(5);
【0339】
【化55】
【0340】
[式中、X及びnは前記に同じ]
で表される化合物の製造に適した装置を製造した。この装置の全体像を示した図5を参照して、詳細を以下に示す。
【0341】
実施例2で製造された、担体に固定化されたシアリダーゼを含むカラム(シアリダーゼ固定化カラムC)の供給口側(上流側)に三方コックcを、排出口側(下流側)に三方コックdを取り付けた。
【0342】
そして、三方コックdの下流側に逆相カートリッジカラム(Sep pack C18)2つ(上流側から逆相カラムD1、逆相カラムD2と示す)連結したもの(逆相カラムD1と逆相カラムD2を連結したものを逆相カラムDと示す)を取り付けた。
【0343】
さらに、逆相カラムD2の下流側に三方コックeを取り付けた。
【0344】
そしてさらに、三方コックeの下流側にイオン交換カートリッジカラム(アクロセップQ Ceramic Hyper DF)(イオン交換カラムE)を取り付けた。
【0345】
実施例9.アルキニル基導入糖製造装置1を使用した、プロパルギル基導入ラクトース(化合物3)の製造
下記反応式に従って、プロパルギル基導入ラクトース(化合物3)を、実施例7で製造した装置(図4)を用いて製造した。詳細を以下に説明する。
【0346】
【化56】
【0347】
ラクトース(化合物1)水溶液(1 M, 500 μL)、プロパルギルアルコール(化合物2)(250 μL)、及び酢酸ナトリウムバッファー(50 mM, pH = 5.0, 250 μL)の混合溶液をシリンジを用いて三方コックaを介してセルラーゼ固定化カラムAに通じた。
【0348】
その際、セルラーゼ固定化カラムAの排出口から溶出してくる溶液が、三方コックbを通じて逆相カラムBを通らずに装置外に排出されるように、三方コックbの流路を装置外に通じておいた。
【0349】
セルラーゼ固定化カラムAの供給口及び排出口を閉じて、セルラーゼ固定化カラムA部分を37℃に加温した恒温槽に入れ、70時間インキュベートした(カラム内での糖転移反応の実施)。
【0350】
三方コックaから酢酸ナトリウムバッファー(50 mM, pH = 5.0)を2 mL通じた。この時の溶出液は反応物をカラム内から押し出す役割と、セルラーゼが安定化するバッファーでカラム内を置換する意味をもつ。
【0351】
その際、セルラーゼ固定化カラムAカラムから溶出されてくる溶液が逆相カラムBへ導入されるように、三方コックbの流路を逆相カラムBに通じておいた。
【0352】
三方コックbより逆相カラムBへ蒸留水(6 mL)を通じ、未反応のラクトース(化合物1)とプロパルギル基導入ラクトース(化合物3)を分離する。通じた蒸留水の前半(3 mL)で未反応のラクトース(化合物1)が溶出された。これは減圧濃縮の後に次回の反応に再利用できる。後半の(3 mL)でプロパルギル基導入ラクトース(化合物3)が回収された。化合物3の水溶液を減圧濃縮した。
【0353】
目的物回収後、逆相カラムは三方コックから順に、水:メタノール=1:1溶液(5 mL)、メタノール(5 mL)、蒸留水(5 mL)を順に通じ再生して次回の反応に備えることができる。
【0354】
NMRデータ:1H-NMR (D2O) δ4.96 (d, 1 H, J = 3.6 Hz), 4.54 (d, 1 H, J = 8.4 Hz), 4.34 (s, 2 H), 4.32 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 3.86 (d, 1 H, J= 11.6 Hz), 3.69‐3.52 (m, 4 H), 3.42 (dd, 1 H, J = 8.4, J = 9.2 Hz), 3.22 (br-t, 1 H), 2.78 (s, 1 H)。
【0355】
実施例10.アルキニル基導入シアロ糖鎖製造装置2を使用した、プロパルギル基導入シアリルラクトース(化合物5)の製造
下記反応式に従って、プロパルギル基導入シアリルラクトース(化合物5)を、実施例8で製造した装置(図5)を用いて製造した。詳細を以下に説明する。
【0356】
【化57】
【0357】
化合物3 (101 mg, 0.26 mmol)とパラニトロフェノールシアル酸(化合物4)(15.7 mg 0.05 mmol)もしくは下記式で表されるコロミン酸ナトリウム(10 mg)(平均重合度:100)を酢酸ナトリウムバッファー(100 mM 酢酸ナトリウムバッファー、0.5 mM, CaCl2含有, pH = 5.5, 1 mL)に溶解しシリンジを用いて三方コックcを介してシアリダーゼ固定化カラムCに通じる。その際、シアリダーゼ固定化カラムCの排出口から溶出してくる溶液が、三方コックdを通じて逆相カラムDを通らずに装置外に排出されるように、三方コックdの流路を装置外に通じておいた。
【0358】
シアリダーゼ固定化カラムCの供給口及び排出口を閉じて、三方コックc及び三方コックdの流路をシアリダーゼ固定化カラムC側に向け、シアリダーゼ固定化カラムC部分を30℃に加温した恒温槽に入れ、24時間インキュベートした。(カラム内での糖転移反応の実施)
三方コックcから100 mM 酢酸ナトリウムバッファー、0.5 mM, CaCl2含有, pH = 5.5 (2 mL)を通じた。この時の溶出液は反応物をカラム内から押し出す役割と、シアリダーゼが安定化するバッファーでカラム内を置換する意味をもつ。その際、シアリダーゼ固定化カラムCから溶出されてくる溶液が逆相カラムDへ導入されるように、三方コックdの流路を逆相カラムDに通じておいた。
【0359】
三方コックdより逆相カラムDへ蒸留水(3 mL)を通じ、糖鎖を疎水性成分(反応の際に遊離したパラニトロフェノール)から分離した(※コロミン酸をドナーとして用いた場合は逆相カラムのステップは省くことができる)。通じた蒸留水 (3 mL)で目的物を含む糖鎖は逆相カラムDから完全に溶出された。その際この溶出液が次に連結されているイオン交換カラムEへ直接流れ込むように逆相カラムの下方に設置した三方コックeの流路をイオン交換カラムEに通じておいた。
【0360】
三方コックdから順に、水:メタノール=1:1溶液(10 mL)、メタノール(10 mL)、蒸留水(10 mL)を順に通じ逆相カラムDを再生して次回の反応に備えることができる。その際、逆相カラムDから溶出される溶液が全て三方コックeより装置外へ排出されるように、三方コックeの流路を装置外に通じておいた。
【0361】
三方コックeよりイオン交換カラムEへ蒸留水(5 mL)を通じ、化合物3を回収した。これは、減圧濃縮の後、次回の反応に再利用できる。ついで、三方コックeよりイオン交換カラムEへ2 Mの塩化ナトリウム水溶液(2 mL)を通じ、プロパルギル基導入シアリルラクトース(化合物5)と遊離のシアル酸を混合物として得た。
【0362】
イオン交換カラムは、三方コックeより蒸留水(10 mL)を通じることにより、再生して次回の反応に備えることができる。
【0363】
NMRデータ:1H-NMR (D2O) δ4.35 (s, 2 H), 4.32 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 2.68 (d, 1 H), 2.50 (dd, 1 H, J = 4.4, J = 12.4 Hz), 1.44 (t, 1 H, J = 12.4 Hz)。
【0364】
実施例11.シアリルトランスフェラーゼとCMP−シアル酸を用いた、プロパルギル基導入シアリルラクトース(化合物5)の製造
シアリダーゼに代えてシアリルトランスフェラーゼを用い、パラニトロフェノールシアル酸及びコロミン酸ナトリウムに代えてCMP−シアル酸を用いて、上記実施例と同様に製造する。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【国際調査報告】