(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013098930
(43)【国際公開日】20130704
【発行日】20150430
(54)【発明の名称】積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20150403BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20150403BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20150403BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20150403BHJP
   C09J 133/02 20060101ALI20150403BHJP
   C09J 133/08 20060101ALI20150403BHJP
   C09J 133/10 20060101ALI20150403BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20150403BHJP
   C09J 133/26 20060101ALI20150403BHJP
   C09J 135/00 20060101ALI20150403BHJP
【FI】
   !B32B27/30 Z
   !B32B17/10
   !C09J201/00
   !C09J133/00
   !C09J133/02
   !C09J133/08
   !C09J133/10
   !C09J133/14
   !C09J133/26
   !C09J135/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】2013551070
(21)【国際出願番号】JP2011080157
(22)【国際出願日】20111227
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝大門1丁目13番9号
(74)【代理人】
【識別番号】100081086
【弁理士】
【氏名又は名称】大家 邦久
(74)【代理人】
【識別番号】100121050
【弁理士】
【氏名又は名称】林 篤史
(72)【発明者】
【氏名】門脇 靖
【住所又は居所】東京都港区芝大門一丁目13番9号 昭和電工株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 和史
【住所又は居所】東京都港区芝大門一丁目13番9号 昭和電工株式会社内
【テーマコード(参考)】
4F100
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AG00B
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4J040MA10
4J040MB09
4J040NA17
(57)【要約】
光学用部材として好適な表面硬度と耐衝撃性に優れた透明積層体を提供する。
少なくとも一層のアリルエステル樹脂層を含み、該アリルエステル樹脂層の少なくとも一面が接着剤層を介して他の樹脂層またはガラス層と積層してなり、総厚が0.1mm〜1mmで、全光線透過率が85%以上の積層体。接着剤層としてはアクリレート系材料を含む層が好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一層のアリルエステル樹脂層を含み、前記アリルエステル樹脂層の少なくとも一面が接着剤層を介して他の樹脂層またはガラス層と積層されてなることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記他の樹脂層が、アリルエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィン系ポリマー、トリアセチルセルロース、ポリイミド、ポリアラミド、ポリエーテルスルホン、シロキサン系ポリマー、フッ素系ポリマー、非晶性ポリオレフィン、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂及びウレタンアクリレート樹脂から選択される請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記他の樹脂層が、アリルエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、及びシロキサン系ポリマーから選択される請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記ガラスが、ソーダライムガラス、ほう珪酸ガラス、または石英ガラスからなるフロート板ガラス、強化ガラス、または耐熱ガラスである請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記強化ガラスが、コーニングディスプレイテクノロジー社のゴリラ(Gorilla)ガラスである請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記接着剤層が、アクリレート系材料を含む請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
前記アクリレート系材料が、主成分のアクリル酸アルキルエステル(モノマー)と、アルキル基の炭素数が3以下のアルキル(メタ)アクリレートと、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート及びグリシジルアクリレートから選択される少なくとも1種とを共重合してなるものである請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
全光線透過率が85%以上である請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
【請求項9】
総厚が0.1mm〜1mmである請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関する。さらに詳しく言えば光学用部材として好適な透明性と表面硬度を有し、耐衝撃性に優れた積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル等の表示素子用基板としてガラスが用いられてきたが、軽量、割れにくい等の特徴によりプラスチック基板への代替が検討されており、その特性に応じてさまざまな厚みのプラスチック基板が提案されている。特に、ガラス基板の代替としては厚さ0.1mm〜1mmで剛性(高硬度、高弾性率)を有するプラスチック基材が求められている。
【0003】
PET(Poly(ethylene terephthalate))やPEN(Poly(ethylene naphthalate))等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、非晶性ポリオレフィン(非晶PO)などの熱可塑性の透明プラスチックフィルムは、軽量、割れにくい、曲げられるといった優れた性質を有する。これらのプラスチックフィルムは表面硬度が低く、傷つきやすいため、ハードコート層を設けることが行われている。しかし、プラスチックフィルム自体の表面硬度が低いとハードコート層を設けても、十分な表面硬度が得られない傾向があり、表面硬度の高いプラスチック基板が望まれている。
【0004】
硬化型樹脂フィルムは架橋構造を有するため、表面硬度を高くすることができる。例えば、特許文献1(特開2001−114850号公報)には多官能アクリレートを硬化させた鉛筆硬度がH〜5Hの硬化物が記載されている。このような多官能アクリレートの基材は、表面硬度は高くなるが、体積収縮率が比較的大きく、また機械物性である耐衝撃性は十分ではない。耐衝撃性が低いと割れやすくなるため、表示装置用の部材としては好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−114850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光学用部材として好適な表面硬度と耐衝撃性に優れた透明積層体を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の基材を含む積層構造とすることにより目的を達成しうることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[9]の事項を含む。
[1]少なくとも一層のアリルエステル樹脂層を含み、前記アリルエステル樹脂層の少なくとも一面が接着剤層を介して他の樹脂層またはガラス層と積層されてなることを特徴とする積層体。
[2]前記他の樹脂層が、アリルエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィン系ポリマー、トリアセチルセルロース、ポリイミド、ポリアラミド、ポリエーテルスルホン、シロキサン系ポリマー、フッ素系ポリマー、非晶性ポリオレフィン、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂及びウレタンアクリレート樹脂から選択される前項1に記載の積層体。
[3]前記他の樹脂層が、アリルエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、及びシロキサン系ポリマーから選択される前項2に記載の積層体。
[4]前記ガラスが、ソーダライムガラス、ほう珪酸ガラス、または石英ガラスからなるフロート板ガラス、強化ガラス、または耐熱ガラスである前項1に記載の積層体。
[5]前記強化ガラスが、コーニングディスプレイテクノロジー社のゴリラ(Gorilla)ガラスである前項4に記載の積層体。
[6]前記接着剤層が、アクリレート系材料を含む前項1〜5のいずれかに記載の積層体。
[7]前記アクリレート系材料が、主成分のアクリル酸アルキルエステル(モノマー)と、アルキル基の炭素数が3以下のアルキル(メタ)アクリレートと、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート及びグリシジルアクリレートから選択される少なくとも1種とを共重合してなるものである前項6に記載の積層体。
[8]全光線透過率が85%以上である前項1〜7のいずれかに記載の積層体。
[9]総厚が0.1mm〜1mmである前項1〜8のいずれかに記載の積層体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ディスプレイ基板、太陽電池基板等の光学用途に好適な表面硬度と耐衝撃性に優れた透明な部材を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明の積層体は、少なくとも一層のアリルエステル樹脂層を含み、該アリルエステル樹脂層の少なくとも一面が接着剤層を介して他の樹脂層またはガラス層と積層されていることを特徴とする。
【0010】
[アリルエステル樹脂]
本発明における必須成分であるアリルエステル樹脂層を構成するアリルエステル樹脂は熱硬化性樹脂の一種である。
一般的に、「アリルエステル樹脂」というと硬化する前のプレポリマー(オリゴマーや添加剤、モノマーを含む)を指す場合とその硬化物を指す場合の二通りの場合があるが、本明細書中では「アリルエステル樹脂」は硬化物を示し、「アリルエステル樹脂組成物」は硬化前のプレポリマーを示すものとする。
【0011】
[アリルエステル樹脂組成物]
本発明において用いられるアリルエステル樹脂組成物はアリル基またはメタリル基(以降、あわせて(メタ)アリル基と言う場合がある。)とエステル構造を有する化合物を主な硬化成分として含有する組成物である。
【0012】
(メタ)アリル基とエステル構造を有する化合物は、(1)(メタ)アリル基及び水酸基を含む化合物(ここではアリルアルコールと総称する)とカルボキシル基を含む化合物とのエステル化反応、(2)(メタ)アリル基及びカルボキシル基を含む化合物と水酸基を含む化合物とのエステル化反応、または(3)アリルアルコールとジカルボン酸からなるエステル化合物と多価アルコールとのエステル交換反応により得ることができる。カルボキシル基を含む化合物がジカルボン酸とジオールとのポリエステルオリゴマーである場合には、末端のみアリルアルコールとのエステルとすることもできる。
【0013】
(メタ)アリルアルコールとジカルボン酸からなるエステル化合物の具体例としては、下記一般式(1)
【化1】
(R1及びR2は、それぞれ独立してアリル基またはメタリル基のいずれかの基を表し、A1はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基を表す。)で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が挙げられる。この化合物は後述のアリルエステルオリゴマーの原料となるほか、反応性希釈剤(反応性モノマー)として本発明のアリルエステル樹脂組成物に含まれていてもよい。一般式(1)中のA1は後述の一般式(2)、一般式(3)におけるA2、A3と同様のものが好ましい。
【0014】
アリルエステル樹脂組成物の主な硬化成分である(メタ)アリル基とエステル構造を有する化合物としては、アリル基及び/またはメタリル基を末端基とし、多価アルコールとジカルボン酸とから形成されたエステル構造を有するアリルエステル化合物(以下、これを「アリルエステルオリゴマー」と記載することがある。)であることが好ましい。アリルエステル樹脂組成物には上記化合物以外の成分として、後述する硬化剤、反応性モノマー、添加剤、その他ラジカル反応性の樹脂成分等を含有してもよい。
【0015】
[アリルエステルオリゴマー]
本発明において用いられるアリルエステル樹脂組成物の主成分は、下記一般式(2)で示される基を末端基として有し、かつ下記一般式(3)で示される構造を構成単位として有するアリルエステルオリゴマーであることが好ましい。
【化2】
(式中、R3はアリル基またはメタリル基を表し、A2はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基を表す。)
【化3】
(式中、A3はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された一種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに上記一般式(2)で示される基を末端基とし、上記一般式(3)で示される構造を構成単位とする分岐構造を有することができる。)
【0016】
上記アリルエステルオリゴマーにおいて、前記一般式(2)で示される末端基の数は少なくとも2個以上であるが、前記一般式(3)のXが分岐構造を有する場合には3個以上となる。この場合、各末端基のR3も複数個存在することになるが、これらの各R3は必ずしも同じ種類でなくてもよく、ある末端はアリル基、他の末端はメタリル基という構造であっても構わない。また、全てのR3がアリル基またはメタリル基でなければならないということはなく、硬化性を損なわない範囲で、その一部はメチル基またはエチル基等の非重合性基であってもよい。A2で示される構造についても同様に、各末端基で異なっていてもよい。例えば、ある末端のA2はベンゼン環、他方はシクロヘキサン環という構造であってもよい。
【0017】
一般式(2)におけるA2はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基である。ジカルボン酸に由来する部分はA2に隣接するカルボニル構造で示されている。したがって、A2の部分はベンゼン骨格やシクロヘキサン骨格を示す。
【0018】
2構造を誘導するジカルボン酸としては特に制限はないが、原料の入手しやすさの点からは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−m,m’−ジカルボン酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、p−フェニレンジ酢酸、p−カルボキシフェニル酢酸、メチルテレフタル酸、テトラクロルフタル酸が好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましい。中でも分子内に芳香環を有さない1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を用いることが耐光性の点で好ましく、高い透明性が求められる用途には1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を用いることが好ましい。
【0019】
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水エンディック酸、無水クロレンド酸等の(反応時において)非環状のジカルボン酸を使用してもよい。
【0020】
一般式(3)で示される構造単位は、アリルエステルオリゴマー中に少なくとも1つは必要であるが、この構造が繰り返されることによりアリルエステルオリゴマー全体の分子量がある程度大きくなった方が適切な粘度が得られるので作業性が向上し、硬化物の靭性も向上するので好ましい。しかし、分子量が大きくなりすぎると架橋点間分子量が大きくなりすぎるため、ガラス転移温度(Tg)が低下し、耐熱性が低下するおそれもある。用途に応じて適切な分子量に調整することが大切である。アリルエステルオリゴマーの重量平均分子量は500〜200,000が好ましく、1,000〜100,000がさらに好ましい。
【0021】
また、一般式(3)におけるA3はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基であり、その定義及び好ましい化合物の例は一般式(2)におけるA2と同様である。
【0022】
一般式(3)中のXは、多価アルコールから誘導された一種以上の有機残基を表す。多価アルコールとは2個以上の水酸基を有する化合物であり、X自体は、多価アルコールの水酸基以外の骨格部分を示す。多価アルコール中の水酸基は少なくとも2個が結合していればよいため、原料となる多価アルコールが3価以上、すなわち、水酸基が3個以上のときは、未反応の水酸基が残っていてもよい。
【0023】
多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、イソシアヌル酸のエチレンオキシド3モル付加体、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド3モル付加体、D−ソルビトール及び水素化ビスフェノールA等が挙げられる。これらの化合物の製造方法としては特に制限はないが、例えば特公平6−74239号公報(US4959451)に挙げられる方法で製造することができる。
【0024】
アリルエステルオリゴマー中の一般式(3)で示される構造単位としては、同一の構造単位が繰り返されていてもよいが、異なる構造単位が含まれていてもよい。つまり、アリルエステルオリゴマーは共重合タイプであってもよい。この場合、一つのアリルエステルオリゴマーには数種類のXが存在することになる。例えば、Xの一つがプロピレングリコール由来の残基、もう一つのXがトリメチロールプロパン由来の残基であるというような構造でもよい。この場合、アリルエステルオリゴマーはトリメチロールプロパン残基の部分で枝分かれすることになる。A3も同様にいくつかの種類が存在してもよい。以下にR3がアリル基、A2及びA3がイソフタル酸由来の残基、Xがプロピレングリコールとトリメチロールプロパンの場合の構造式を示す。
【化4】
【0025】
[硬化剤]
本発明において用いられるアリルエステル樹脂組成物には硬化剤を使用してもよい。使用できる硬化剤としては特に制限はなく、一般に重合性樹脂の硬化剤として用いられているものを用いることができる。中でも、アリル基の重合開始の点からラジカル重合開始剤を添加することが望ましい。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、光重合開始剤、アゾ化合物等が挙げられる。
【0026】
有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル等の公知のものが使用可能であり、その具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルクミルパーオキサイド、p−メチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド及び2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキシン−3等が挙げられる。
【0027】
また、上記の光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0028】
アゾ化合物としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。
【0029】
これらのラジカル重合開始剤は1種でもよく、2種以上を混合ないし組み合わせて用いてもよい。
【0030】
硬化剤の配合量には特に制限はないが、アリルエステル樹脂組成物中のラジカル重合成分100質量部に対し、0.1〜10質量部配合することが好ましく、0.5〜5質量部配合することがより好ましい。硬化剤の配合量が0.1質量部より少ないと充分な硬化速度が得ることが困難であり、また配合量が10質量部を超えると、最終的な硬化物がもろくなり、機械強度が低下する場合がある。
【0031】
[反応性モノマー]
本発明において用いられるアリルエステル樹脂組成物には、硬化反応速度のコントロール、粘度調整(作業性の改善)、架橋密度の向上、機能付加等を目的として、反応性モノマー(反応性希釈剤)を加えることもできる。反応性モノマーとしては特に制限はなく、種々のものが使用できるが、アリルエステルオリゴマーと反応させるためにはビニル基、アリル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマーが好ましい。例えば、不飽和脂肪酸エステル、芳香族ビニル化合物、飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、架橋性多官能モノマー等が挙げられる。中でも、架橋性多官能性モノマーを使用すれば、硬化物の架橋密度を制御することもできる。これら反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示す。
【0032】
不飽和脂肪酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、フルオロフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート及びビフェニル(メタ)アクリレート等のアクリル酸芳香族エステル;
フルオロメチル(メタ)アクリレート及びクロロメチル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート;
さらに、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、及びα−シアノアクリル酸エステル等が挙げられる。
【0033】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン及びビニルトルエン等を挙げることができる。
【0034】
飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び安息香酸ビニル等を挙げることができる。
【0035】
架橋性多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエステルジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−ω−(メタ)アクリロイロキシピリエトキシ)フェニル)プロパン等のジ(メタ)アクリレート;
フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジメタリル、テレフタル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,4−キシレンジカルボン酸アリル及び4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸ジアリル類;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル及びジビニルベンゼン等の二官能の架橋性モノマー;トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストーリルトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート及びジアリルクロレンデート等の三官能の架橋性モノマー;さらにペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート等の四官能の架橋性モノマー等が挙げられる。
【0036】
上記の反応性モノマーは、1種単独で、または2種以上混合または組み合わせて用いることができる。これらの反応性モノマーの樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5質量部〜100質量部であることが特に好ましい。反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、粘度低下効果が小さく、作業性が悪化したり、また、反応性モノマーとして多官能性モノマーを使用した場合には、架橋密度が低くなり耐熱性が不十分になることがある。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の優れた透明性が発現されなかったり、アリルエステル樹脂由来の機械強度が低下する場合がある。
【0037】
[ラジカル反応性の樹脂成分]
本発明において用いられるアリルエステル樹脂組成物は、諸物性を改良する目的でラジカル反応性の樹脂成分を含んでいてもよい。これら樹脂成分としては不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。
【0038】
不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコールと不飽和多塩基酸(及び必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物を、必要に応じてスチレン等の重合性不飽和化合物に溶解したもので、例えば「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社,1988年発行,第16頁〜第18頁及び第29頁〜第37頁などに記載されている樹脂を挙げることができる。この不飽和ポリエステル樹脂は、公知の方法で製造することができる。
【0039】
ビニルエステル樹脂はエポキシ(メタ)アクリレートとも呼ばれ、一般にエポキシ樹脂に代表されるエポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸などの重合性不飽和基を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂、またはカルボキシル基を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレート等の分子内にエポキシ基を持つ重合性不飽和化合物のエポキシ基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂を指す。詳しくは「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社,1988年発行,第336頁〜第357頁などに記載されており、その製造は、公知の方法により行うことができる。
【0040】
ビニルエステル樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールFアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ノボラック型ポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。
【0041】
上記のラジカル反応性の樹脂成分は、1種単独で、または2種以上混合または組み合わせて用いることができる。これらのラジカル反応性の樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5質量部〜100質量部であることが特に好ましい。反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、ラジカル反応性の樹脂成分由来の機械強度向上などの効果が小さく、作業性が悪化したり、成形性が悪化したりするため好ましくない。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の耐熱性が現れない場合があり好ましくない。
【0042】
[添加剤]
本発明において用いられるアリルエステル樹脂組成物には、硬度、強度、成形性、耐久性、耐水性を改良する目的で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、滑剤、撥水剤、難燃剤、低収縮剤、架橋助剤などの添加剤を必要に応じて添加することができる。
【0043】
酸化防止剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ラジカル連鎖禁止剤であるフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。フェノール系酸化防止剤としては2,6−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
【0044】
滑剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪族炭化水素系滑剤などが好ましく、金属石鹸系滑剤が特に好ましい。金属石鹸系滑剤としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらは複合体として用いられても良い。
【0045】
上記紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が好ましく、特に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0046】
これらの添加剤は上述した具体例に制限されるものではなく、本発明の目的、または効果を阻害しない範囲であらゆるものを添加することができる。
【0047】
[溶媒]
アリルエステル樹脂組成物を硬化する際、硬化方法により粘度を低下させる必要があれば、溶剤を使用しても構わない。粘度調整に使用することのできる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、エチルアルコール、(イソ)プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。ただし、アリルエステル樹脂組成物中に溶媒を含有させる場合は後で溶媒の除去が必要となるので、粘度は前述の反応性モノマーで調整することが好ましい。
【0048】
[アリルエステル樹脂組成物の粘度]
本発明のアリルエステル樹脂組成物の粘度は特に限定されないが、成形する際の方法に適した粘度であることが好ましい。例えば、キャスト成形においては、25℃における粘度が0.01(Pa・s)〜1,000(Ps・s)の範囲であることが好ましい。粘度が0.01(Pa・s)より低い、または、1,000(Pa・s)より高いと作業性が悪くなる。当該硬化性樹脂の粘度の測定方法は、JIS K6901に準拠した方法で測定することができる。
【0049】
[積層体]
次に積層体について詳細に説明する。適応
積層体を光学用の部材として表示装置に使用する場合は、全光線透過率が少なくとも85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。85%未満だと、視認性が悪くなる。積層体の構成層は何層であっても透過率が損なわなければ特に限定はないが、積層体の少なくとも一つは前記アリルエステル樹脂からなるフィルムである。アリルエステル樹脂は高い透明性、耐熱性を有する材料であるため、それに例えば表面硬度、弾性率等機械強度の高いフィルムを積層することにより、熱による変形等がなく且つ機械強度の高いディスプレイ用部材を得ることができる。
【0050】
積層体を構成する層として、アリルエステル樹脂からなるフィルム以外の材料からなる層(以下、他の層ということがある。)を用いる場合は、透明性であることが必要であり、このようなフィルムとして例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィン系ポリマー(例えば、日本ゼオン株式会社のZEONEX(登録商標))、トリアセチルセルロース、ポリイミド(例えば、三菱ガス化学株式会社ネオプリムL)、ポリアラミド(例えば東レ株式会社ミクトロン(登録商標))、ポリエーテルスルホン(例えば、住友化学株式会社スミカエクセル PES)、シロキサン系ポリマー(例えば、新日鐵化学株式会社シルプラス(登録商標))、フッ素系ポリマー(例えば住友3M株式会社ダイニオン(登録商標)PTFE)、非晶性ポリオレフィン(例えば、三井化学株式会社アペル(登録商標))、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などが挙げられる。なお、これらの樹脂フィルム以外に積層フィルムの構成層としてガラスを積層することもできる。ガラスの種類としてはソーダライムガラス、ほう珪酸ガラス、石英ガラスなどを加工したフロート板ガラス、強化ガラス、耐熱ガラスなどの形態を挙げることができるが、中でもコーニングディスプレイテクノロジー社のゴリラ(Gorilla)ガラスは透明性、平滑性が優れておりディスプレイ用の貼り合わせガラスとして好適である。
【0051】
また、本発明で使用される各層には透明性を損なわない範囲で、フィルムへの機能性付与のために、ハードコート、ガスバリアコート、反射防止膜、導電性膜が付いていても構わない。
【0052】
アリルエステル樹脂フィルムと他の層を積層させるには接着層を介在させる。該接着層を設ける方法としては、予めシート状に形成された接着層を貼り付ける方法と、フィルムの表面に、直接、接着剤を塗布することで接着層を形成する方法の二つに大別することができる。
【0053】
前者の場合における「予めシート状に形成された接着層を貼り付ける方法」とは、例えば、透明フィルムと同じ大きさの離型フィルムの表面に接着剤が塗布され、離型フィルムの一方の面にシート状に形成された接着剤層を透明フィルムに貼り付ける方法である。上記の方法において、接着剤の塗布手段としては、従来公知の塗布手段を用いることができる。具体的には、スプレー法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などが挙げられる。また、乾燥が必要な場合は、手段としては、加熱乾燥、送風乾燥など、従来公知の手段を用いることができる。
【0054】
[接着剤]
接着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコーン系の接着剤を使用することができるが、透明性、耐久性の観点から、アクリル系の接着剤が好ましい。かかるアクリル系の接着剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル(モノマー)を主成分とし、凝集力を向上させるために、アルキル基の炭素数が3以下の短鎖アルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となりうるアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどと、を共重合したものを用いることが好ましい。主成分と、短鎖成分と、架橋点を付加するための成分と、の混合比率、種類を、適宜、調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
【0055】
上記接着剤と併用される架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ樹脂系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、キレート系架橋剤が挙げられるが、この中でも、イソシアネート系架橋剤がより好ましい。かかるイソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4−4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、またこれらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、またイソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート類を使用することができる。
【0056】
本発明の積層体はアリルエステル樹脂層(第一の樹脂層)の少なくとも一面に接着剤層を介して他の樹脂層(第二の樹脂層)が積層された構造である。すなわち、アリルエステル樹脂層の片面に他の樹脂層(第二の樹脂層)が積層された構造はアリルエステル樹脂層/第一の接着剤層/第二の樹脂層となる。ここで、第二の樹脂層は、「積層体」の項に記載した「他の層」のいずれかから選択することができるが、アリルエステル樹脂層とすることもできる。アリルエステル樹脂層の両面に接着剤層を介して他の樹脂層(第二及び第三の樹脂層)が積層された構造は第二の樹脂層/第一の接着剤層/アリルエステル樹脂層/第二の接着剤層/第三の樹脂層となる。積層フィルム中にアリルエステル樹脂層を2層以上含む構造とすることもできる。例えば、第二の樹脂層/第一の接着剤層/第一のアリルエステル樹脂層/第二の接着剤層/第二のアリルエステル樹脂層/第三の接着剤層/第三の樹脂層となる構造が挙げられる。ここで、第二、第三の樹脂層は前記の「他の層」のいずれかから選択することができるが、アリルエステル樹脂層とすることもできる。第二の樹脂層と第三の樹脂層は同一材料でもよいし、異なる材料であってもよい。また、第一の接着剤層、第二の接着剤層、第三の接着剤層は上記接着剤のいずれかから選択することができる。これらの接着剤層は同一でもよいし、異なってもよい。積層体の反りの抑制の点で積層構造を表裏対称の構成とすることが好ましい。
【0057】
積層体の総厚は0.1mm〜1mmが好ましい。0.1mm未満では基材としての剛性が劣り、1mmを超えると部材としての薄さ、軽さのメリットがなくなる。
【0058】
接着剤層の厚さは0.1μm〜300μm、好ましくは10μm〜200μmである。0.1μm未満では積層体の耐衝撃性が不十分な傾向であり、300μmを超えると、表面硬度が低下する場合がある。
【0059】
本発明の透明積層体は光学材料として好適であり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル等の表示装置部材や照明部材等、特に携帯ウインドウ、タッチパネル用カバー、タッチパネル基板、透明プリント基板、3D用眼鏡等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0060】
以下、合成例、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載により限定されるものではない。
実施例及び比較例に記載の積層体の全光線透過率、鉛筆硬度、耐衝撃性については、以下の方法により測定した。
[全光線透過率]
全光線透過率は、東京電色社製全自動ヘーズメーターTC−H3DPKを使用し、JIS K7361−1に準拠して測定した。測定サンプル数は5であり、最大、最初の2つを除いた3つの平均値を求めた。
[鉛筆硬度]
鉛筆硬度はJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆先端の負荷荷重を750gで測定した。
[耐衝撃性]
耐衝撃性はJIS K7211に準拠し、落球として質量130gの鋼球を使用し、80mm×80mm角型試験片を用い測定した。強度は50%破壊高さで示す。
【0061】
合成例1:オリゴマー(1)の合成
蒸留装置のついた2リットルの三つ口フラスコに、ジアリルテレフタレート1625g、プロピレングリコール167g、ジブチル錫オキサイド0.813gを仕込み、窒素気流下、180℃で生成してくるアルコールを留去しながら加熱した。留去したアルコールが約170gになったところで反応系内を徐々に、約4時間かけて6.6kPaまで減圧し、アルコールの留出速度を速めた。留出液が殆ど出なくなったところで、反応系内を0.5kPaに減圧し、さらに1時間反応させた後、反応物を冷却した。以下、これにより得られた反応物を「オリゴマー(1)」とする。
【化5】
【0062】
実施例1:
合成例1で調製したオリゴマー(1)100質量部に対し、ペンタエリストールテトラアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルA−TMMT」)10質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア184」)3質量部を加え十分撹拌しアリルエステル樹脂組成物(2)を得た。この組成物(2)をガラス基板上にバーコーターで塗布して、UV(アイグラフィックス株式会社ECS−4011GX−S、メタルハライドランプ使用)照射量1200mJ/cm2にてUV硬化し、厚さ0.2mmのアリルエステル樹脂フィルムを作製した。
このアリルエステル樹脂フィルム(フィルムA)にアクリレート系の高透明接着剤転写テープである8146−4(商品名:住友スリーエム社製、厚み:100μm)を用いて貼付した。剥離フィルムを剥がした後、同じ厚さのアリルエステル樹脂フィルム(フィルムB)を貼合わせ約0.5mm厚の透明積層積層体を得た。得られた積層積層体を前記評価方法に基づき特性を測定した結果、透過率は91%、鉛筆硬度3H、落球衝撃高さ60cmであった。
【0063】
実施例2:
フィルムBを厚さ約0.2mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社ルミラーT60)に代えた以外は実施例1と同様にして約0.5mm厚の透明積層積層体を得た。得られた積層積層体を前記評価方法に基づき特性を測定した結果、透過率は90%、アリルエステル樹脂フィルム側(フィルムA)面の鉛筆硬度3H、落球衝撃高さ80cmであった。
【0064】
実施例3:
フィルムBを厚さ0.2mmのポリカーボネートフィルム(帝人化成株式会社パンライト)に代えた以外は実施例1と同様にして約0.5mm厚の透明積層体を得た。得られた積層体を前記評価方法に基づき特性を測定した結果、透過率は90%、アリルエステル樹脂フィルム側(フィルムA)面の鉛筆硬度3H、落球衝撃高さ70cmであった。
【0065】
実施例4:
フィルムBを厚さ0.2mmのポリメチルメタクリレートフィルム(三菱レイヨン株式会社アクリプレン)に代えた以外は実施例1と同様にして約0.5mm厚の透明積層体を得た。得られた積層体を前記評価方法に基づき特性を測定した結果、透過率は90%、アリルエステル樹脂フィルム側(フィルムA)面の鉛筆硬度3H、落球衝撃高さ65cmであった。
【0066】
実施例5:
フィルムBを厚さ0.2mmのシロキサン系ポリマーフィルム(新日鐵化学株式会社シルプラスJ100)に代えた以外は実施例1と同様にして約0.5mm厚の透明積層体を得た。得られた積層体を前記評価方法に基づき特性を測定した結果、透過率は89%、アリルエステル樹脂フィルム側(フィルムA)面の鉛筆硬度3H、落球衝撃高さ55cmであった。
【0067】
実施例6:
フィルムBを厚さ0.2mmのフロート板ガラスに代えた以外は実施例1と同様にして約0.5mm厚の透明積層体を得た。得られた積層体を前記評価方法に基づき特性を測定した結果、透過率は89%、アリルエステル樹脂フィルム側(フィルムA)面の鉛筆硬度3H、落球衝撃高さ45cmであった。
【0068】
比較例1:
実施例1のアリルエステル樹脂組成物(2)を用いて実施例1と同様のUV硬化方法により、0.5mmのアリルエステル樹脂フィルム(単層)を得た。得られたフィルムを前記評価方法に基づき特性を測定した結果、このフィルムの透過率は91%、鉛筆硬度3H、落球衝撃高さ40であった。
【0069】
実施例1で得られた積層体と比較例1で得られた単層フィルムはいずれも部材の厚みは0.5mmである。両者の透過率及び鉛筆硬度は同レベルであるが、落球衝撃高さが比較例1に比べて実施例1は高くなっている。このことから、アリルエステル樹脂組成物フィルム同士の積層であっても単層の場合に比べて透過率及び鉛筆硬度を保持しながら耐衝撃性を向上することができることが示唆された。

【手続補正書】
【提出日】20140725
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(2)
【化1】
(式中、R3はアリル基またはメタリル基を表し、A2はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基を表す。)
で示される基を末端基として有し、かつ一般式(3)
【化2】
(式中、A3はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された一種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに上記一般式(2)で示される基を末端基とし、上記一般式(3)で示される構造を構成単位とする分岐構造を有することができる。)
で示される構造を構成単位として有するアリルエステルオリゴマーを含むアリルエステル樹脂組成物を硬化させてなるアリルエステル樹脂層を少なくとも一層含み、
前記アリルエステル樹脂層の少なくとも一面が接着剤層を介して他の樹脂層またはガラス層と積層されてなることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記他の樹脂層が、アリルエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィン系ポリマー、トリアセチルセルロース、ポリイミド、ポリアラミド、ポリエーテルスルホン、シロキサン系ポリマー、フッ素系ポリマー、非晶性ポリオレフィン、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂及びウレタンアクリレート樹脂から選択される請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記他の樹脂層が、アリルエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、及びシロキサン系ポリマーから選択される請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記ガラスが、ソーダライムガラス、ほう珪酸ガラス、または石英ガラスからなるフロート板ガラス、強化ガラス、または耐熱ガラスである請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記強化ガラスが、コーニングディスプレイテクノロジー社のゴリラ(Gorilla)ガラスである請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記接着剤層が、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、及びシリコーン系接着剤から選択される請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
前記接着剤層が、アクリル系接着剤を含む請求項に記載の積層体。
【請求項8】
前記アクリル系接着剤が、主成分のアクリル酸アルキルエステル(モノマー)と、アルキル基の炭素数が3以下のアルキル(メタ)アクリレートと、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート及びグリシジルアクリレートから選択される少なくとも1種とを共重合してなるものである請求項に記載の積層体。
【請求項9】
前記接着剤層が、さらにイソシアネート系架橋剤、エポキシ樹脂系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、及びキレート系架橋剤から選択される架橋剤を含む請求項6〜8のいずれかに記載の積層体。
【請求項10】
全光線透過率が85%以上である請求項1〜のいずれかに記載の積層体。
【請求項11】
総厚が0.1mm〜1mmである請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル等の公知のものが使用可能であり、その具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルクミルパーオキサイド、p−メチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド及び2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキシン−3等が挙げられる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
硬化剤の配合量には特に制限はないが、アリルエステル樹脂組成物中のラジカル重合成分100質量部に対し、0.1〜10質量部配合することが好ましく、0.5〜5質量部配合することがより好ましい。硬化剤の配合量が0.1質量部より少ないと充分な硬化速度得ることが困難であり、また配合量が10質量部を超えると、最終的な硬化物がもろくなり、機械強度が低下する場合がある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
上記のラジカル反応性の樹脂成分は、1種単独で、または2種以上混合または組み合わせて用いることができる。これらのラジカル反応性の樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5質量部〜100質量部であることが特に好ましい。ラジカル反応性の樹脂成分の使用量が1質量部未満であると、ラジカル反応性の樹脂成分由来の機械強度向上などの効果が小さく、作業性が悪化したり、成形性が悪化したりするため好ましくない。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の耐熱性が現れない場合があり好ましくない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
滑剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪族炭化水素系滑剤などが好ましく、金属石鹸系滑剤が特に好ましい。金属石鹸系滑剤としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらは複合体として用いられても良い。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
[積層体]
次に積層体について詳細に説明する
積層体を光学用の部材として表示装置に使用する場合は、全光線透過率が少なくとも85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。85%未満だと、視認性が悪くなる。積層体の構成層は何層であっても透過率が損なわなければ特に限定はないが、積層体の少なくとも一つは前記アリルエステル樹脂からなるフィルムである。アリルエステル樹脂は高い透明性、耐熱性を有する材料であるため、それに例えば表面硬度、弾性率等機械強度の高いフィルムを積層することにより、熱による変形等がなく且つ機械強度の高いディスプレイ用部材を得ることができる。

【国際調査報告】