(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013098935
(43)【国際公開日】20130704
【発行日】20150430
(54)【発明の名称】エンコーダ及びサーボモータ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20150403BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20150403BHJP
【FI】
   !G01D5/347 110X
   !G01D5/245 110X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
【出願番号】2013551074
(21)【国際出願番号】JP2011080198
(22)【国際出願日】20111227
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
【住所又は居所】福岡県北九州市八幡西区黒崎城石2番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100104503
【弁理士】
【氏名又は名称】益田 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100191112
【弁理士】
【氏名又は名称】益田 弘之
(72)【発明者】
【氏名】古川 大介
【住所又は居所】福岡県北九州市八幡西区黒崎城石2番1号 株式会社安川電機内
【テーマコード(参考)】
2F077
2F103
【Fターム(参考)】
2F077AA21
2F077NN02
2F077NN23
2F077NN30
2F077UU26
2F077WW03
2F077WW04
2F103BA10
2F103BA20
2F103BA21
2F103BA22
2F103BA34
2F103CA02
2F103CA03
2F103DA01
2F103DA13
2F103EA12
2F103EB06
2F103GA01
2F103GA02
2F103GA12
2F103GA15
(57)【要約】
【課題】信頼性を維持しつつ十分に小型化することが可能なエンコーダ及びこれを備え得たサーボモータを提供すること。
【解決手段】シャフトSHにハブHBを介して固定され、複数のスリットが形成された円板状のディスク111と、ディスク111の一方側に配置された3つの基板112A〜112Cと、一端が基板112Cに接続された配線部材118と、ディスク111、基板112A〜112C、及び配線部材118を備えたエンコーダ本体110を覆う導電性のカバー120と、カバー120の内部において、少なくとも配線部材118とカバー120との間に設けられた絶縁材131と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体に固定され、複数のスリットが形成された円板状のディスクと、
前記ディスクの一方側に配置された少なくとも1つの基板と、
少なくとも一端が前記基板に接続された配線部材と、
前記ディスク、前記基板、及び前記配線部材を備えたエンコーダ本体を覆う導電性のカバーと、
前記カバーの内部において、少なくとも前記配線部材と前記カバーとの間に設けられた絶縁材と、を有する、エンコーダ。
【請求項2】
前記エンコーダ本体は、
前記ディスクの前記スリットに光を出射する発光素子と、
前記発光素子から出射され前記スリットの作用を受けた光を受光する受光素子と、を備え、
前記配線部材は、
前記一端が前記基板に接続されると共に他端が前記発光素子に接続され、前記発光素子への電力の供給に用いられる、請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
前記配線部材は、可撓性を備える、請求項1又は2に記載のエンコーダ。
【請求項4】
前記絶縁材は、
主として前記配線部材と前記カバーとの間に設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項5】
前記絶縁材は、
前記配線部材と前記カバーとの間、及び、前記基板の周囲を囲むように前記基板と前記カバーとの間に設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項6】
前記絶縁材は、
前記カバーの内周面全体を覆うように設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項7】
前記発光素子及び前記受光素子は、
前記ディスクを挟んでその両側に配置され、
前記受光素子は、
前記発光素子から出射され前記スリットを透過した光を受光する、請求項2〜6のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項8】
シャフトを回転させるモータと、
前記シャフトの位置を検出するエンコーダと、を備え、
前記エンコーダは、
前記シャフトに直接的又は間接的に固定され、複数のスリットが形成された円板状のディスクと、
前記ディスクの一方側に配置された少なくとも1つの基板と、
少なくとも一端が前記基板に接続された配線部材と、
前記ディスク、前記基板、及び前記配線部材を備えたエンコーダ本体を覆う導電性のカバーと、
少なくとも前記配線部材と前記カバーとの間に設けられた絶縁材と、を有する、サーボモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、エンコーダ及びこれを備えたサーボモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学式のエンコーダとして、例えば特許文献1に記載のものが知られている。このエンコーダは、ディスクの両側に配置された発光素子及び受光素子、電子部品が実装された基板等を含むエンコーダ本体と、このエンコーダ本体を覆うカバーを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4400185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のサーボモータの小型化に伴い、エンコーダに対しても小型化が要請されている。エンコーダを小型化するには、エンコーダ本体とカバーとの隙間を小さくする必要がある。一方で、エンコーダ本体を覆うカバーは、電磁的に遮蔽するため導電性材料で形成されるため、エンコーダ本体とカバーとの間に絶縁距離を確保する必要がある。したがって、エンコーダの小型化が制約を受けるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、信頼性を維持しつつ十分に小型化することが可能なエンコーダ及びこれを備え得たサーボモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、回転体に固定され、複数のスリットが形成された円板状のディスクと、
上記ディスクの一方側に配置された少なくとも1つの基板と、
少なくとも一端が上記基板に接続された配線部材と、
上記ディスク、上記基板、及び上記配線部材を備えたエンコーダ本体を覆う導電性のカバーと、
上記カバーの内部において、少なくとも上記配線部材と上記カバーとの間に設けられた絶縁材と、を有するエンコーダが提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、シャフトを回転させるモータと、
上記シャフトの位置を検出するエンコーダと、を備え、
上記エンコーダは、
上記シャフトに直接的又は間接的に固定され、複数のスリットが形成された円板状のディスクと、
上記ディスクの一方側に配置された少なくとも1つの基板と、
少なくとも一端が上記基板に接続された配線部材と、
上記ディスク、上記基板、及び上記配線部材を備えたエンコーダ本体を覆う導電性のカバーと、
少なくとも上記配線部材と上記カバーとの間に設けられた絶縁材と、を有するサーボモータが適用される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、エンコーダの信頼性を維持しつつ十分に小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るエンコーダを備えたサーボモータ及びこのサーボモータを備えたサーボシステムの概略構成について説明するための説明図である。
【図2】本実施形態に係るエンコーダの概略構成について説明するための説明図である。
【図3】絶縁材を基板の周囲に設ける変形例に係るエンコーダの概略構成について説明するための説明図である。
【図4】絶縁材をカバーの内周面全体に設ける変形例に係るエンコーダの概略構成について説明するための説明図である。
【図5】可撓性を有しない配線部材を用いる変形例に係るエンコーダの概略構成について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<1.サーボモータ及びサーボシステム>
まず、図1を参照しつつ、本実施形態に係るエンコーダを備えたサーボモータ及びこのサーボモータを備えたサーボシステムの構成の概略について説明する。図1に示すように、本実施形態に係るサーボシステムSは、サーボモータSMと、制御装置CTとを有する。サーボモータSMは、エンコーダ100と、モータMとを有する。モータMは、エンコーダ100を含まない動力発生源の一例である。このモータM単体をサーボモータという場合もあるが、本実施形態では、エンコーダ100を含む構成をサーボモータSMということにする。モータMは、シャフトSHを有し、このシャフトSHを回転軸心AX周りに回転させることにより、回転力を出力する。
【0012】
なお、モータMは、例えば位置データ等のようなエンコーダ100が検出するデータに基づいて制御されるモータであれば特に限定されるものではない。また、モータMは、動力源として電気を使用する電動式モータである場合に限られるものではなく、例えば、油圧式モータ、エア式モータ、蒸気式モータ等の他の動力源を使用したモータであってもよい。ただし、説明の便宜上、以下ではモータMが電動式モータである場合について説明する。
【0013】
エンコーダ100は、モータMのシャフトSHの回転力出力端とは反対側の端部に連結される。そして、エンコーダ100は、シャフトSHの位置(角度)を検出することにより、モータM(測定対象の一例)の位置(回転角度ともいう)を検出し、その位置を表す位置データを出力する。なお、エンコーダ100は、モータMの位置に加えて又は代えて、モータMの速度(回転速度、角速度等ともいう。)及びモータMの加速度a(回転加速度、角加速度等ともいう。)の少なくとも一方を検出してもよい。この場合、モータMの速度及び加速度は、例えば、位置を時間で1又は2階微分したり検出信号を所定時間の間カウントするなどの処理により検出することが可能である。
【0014】
なお、エンコーダ100の配置位置は、本実施形態に示す例に特に限定されるものではない。例えば、エンコーダ100は、シャフトSHの出力端側に直接連結されるように配置されてもよく、また、減速機や回転方向変換機、ブレーキなどの他の機構を介してシャフトSH等に連結されてもよい。
【0015】
制御装置CTは、エンコーダ100から出力される位置データを取得して、当該位置データに基づいて、モータMの回転を制御する。従って、モータMとして電動式モータが使用される本実施形態では、制御装置CTは、位置データに基づいて、モータMに印加する電流又は電圧等を制御することにより、モータMの回転を制御する。更に、制御装置CTは、上位制御装置(図示せず)から上位制御信号を取得して、当該上位制御信号に表された位置等を実現可能な回転力がモータMのシャフトSHから出力されるように、モータMを制御することも可能である。なお、モータMが、油圧式、エア式、蒸気式などの他の動力源を使用する場合には、制御装置CTは、それらの動力源の供給を制御することにより、モータMの回転を制御することが可能である。
【0016】
<2.エンコーダ>
次に、図2を参照しつつ、本実施形態に係るエンコーダの構成について説明する。図2に示すように、エンコーダ100は、エンコーダ本体110と、このエンコーダ本体110を覆うカバー120とを有している。カバー120は、エンコーダ本体110を電磁的に遮蔽するために導電性材料で形成されている。このカバー120は、モータMのブラケット10側に開口すると共にモータMと反対側が閉塞された、有底筒型の形状を有している。
【0017】
エンコーダ本体110は、シャフトSHの出力端とは反対側の端部に設けられたハブHB(回転体の一例)に固定され、図示しない複数のスリットが形成された円板状のディスク111と、ディスク111のモータMとは反対側(一方側の一例)に配置された3つ(少なくとも1つの一例)の基板112A〜112Cとを有している。これら基板112A〜112Cは、連結部材113により回転軸心AX方向に積層されて固定されており、さらに一体化された基板112A〜112Cは図示しない支持部材を介してモータMのブラケット10に支持されている。基板112のうち、モータMと反対側に配置された基板112Cには、制御装置CTとの通信機能を有する通信素子114が搭載されている。この通信素子114が、カバー120を貫通して設けたリード線115を介して制御装置CTに接続されている。なお、各基板112A〜112Cには、通信素子114以外にも複数の電子部品が搭載されているが、図2等では図示を省略する。
【0018】
なお、本実施形態では3つの基板112が積層された場合を一例として説明するが、積層せずに1枚の基板としてもよく、また積層数を3以外としてもよい。積層数を小さくすることでエンコーダ100を軸方向に小型化でき、積層数を増やすことでエンコーダ100を半径方向に小型化することが可能である。
【0019】
また、エンコーダ本体110は、ディスク111のスリットに光を出射する発光素子116と、発光素子116から出射されスリットを透過しつつその作用を受けた光を受光する受光素子117と、配線部材118とを有している。発光素子116と受光素子117は、ディスク111を挟んでその両側に配置されており、エンコーダ100はいわゆる透過型エンコーダとして構成されている。
【0020】
発光素子116は、例えばLED(Light Emitting Diode)と光学レンズ等で構成され、LEDから発せられた光を光学レンズで例えば平行光としてディスク111に出射する。なお、発光素子116としては、ディスク111のスリットに光を照射可能な光源であれば特に限定されるものではない。この発光素子116は、図示しない支持部材を介して基板112又はモータMのブラケット10に支持されている。
【0021】
受光素子117は、基板112のうちディスク111に対向して配置された基板112Aに設けられている。受光素子117としては、例えばフォトダイオードを使用することができる。但し、受光素子としては、フォトダイオードに限られるものではなく、発光素子116から発せられた光を受光して電気信号に変換可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0022】
配線部材118は、一端が基板112Cに接続されると共に他端が発光素子116に接続されており、発光素子116へ電力を供給するために用いられる。この配線部材118は可撓性を備えており、柔軟に撓ませることが可能である。配線部材118としては、例えばフレキシブル基板やワイヤハーネス、リード線等を使用することができるが、これに限定されるものではなく、基板112と発光素子116を接続し、発光素子116へ電力供給可能なものであればよい。なお、配線部材118の両端は、基板112Cや発光素子116に対し半田等を用いて直接的に接続されてもよいし、コネクタ等を介して接続されてもよい。コネクタ等で接続する場合には、配線部材118はコネクタ部分を含むものとする。
【0023】
カバー120の内面には、配線部材118とカバー120とが近接する位置にだけ、絶縁材131が設けられている。具体的には、配線部材118が基板112Cと発光素子116との間で回転軸心AX方向に略沿って引き回される範囲全体に、絶縁材131が設けられている。絶縁材131としては、例えば絶縁シート、絶縁テープ、あるいは絶縁性の塗料等を用いることが可能である。なお、図2に示す例では絶縁材131をカバー120の内面に設けているが、例えば絶縁テープを配線部材118の周囲に巻き付ける等、配線部材118側に設けてもよい。すなわち、絶縁材が少なくとも配線部材118とカバー120との間に位置しさえすればよい。また、絶縁材131の設置範囲は、図2に示す例に限定されるものではなく、配線部材118とカバー120とが最も近接する部分(配線部材118が回転軸心AX方向に略沿って引き回される範囲の中央部分)に限定してもよいし、基板112C及び発光素子116との接続部分の周辺を含むようにさらに回転軸心AX方向に広げてもよい。
【0024】
なお、本実施形態ではディスク111をハブHBを介してシャフトSHに間接的に固定するようにしたが、シャフトSHに直接的に固定してもよいし、例えばモータMのシャフトSHに連結されたエンコーダのシャフト(図示省略)に固定してもよい。
【0025】
<3.本実施形態による効果の例>
以上説明した本実施形態のエンコーダ100のように、エンコーダ本体110とこれを覆うカバー120とを有するエンコーダを小型化する場合、エンコーダ本体110とカバー120との隙間を小さくする必要がある。その一方で、カバー120は導電性材料で形成されるため、エンコーダ本体110とカバー120との間の絶縁距離を確保する必要がある。十分な絶縁距離をとることで、エンコーダ100の機能に影響を及ぼすノイズを減らすことができるからである。
【0026】
ここで、カバー120の内部に何らかの配線部材(本実施形態では配線部材118)が設けられる場合、配線部材はディスク111や基板112等を回避するためにエンコーダ本体110の外周側をカバー120と近接(あるいは接触)して引き回される可能性が高い。このため、配線部材に電流が流れた際に、導電性のカバー120との間に浮遊容量が生じて電圧が誘起され(いわゆる静電結合)、これがノイズ等の原因となってエンコーダ100の機能向上の妨げとなるおそれがある。したがって、本実施形態のように少なくとも配線部材118とカバー120との間に絶縁材131を設けることで、配線部材118とカバー120との隙間が小さくても上記静電結合の発生を防止でき、エンコーダ100の機能に影響を及ぼすことなくエンコーダ100を小型化することが可能となる。その結果、エンコーダ100の信頼性を維持しつつ十分に小型化することができる。
【0027】
また、本実施形態によれば、次のような効果を得る。すなわち、エンコーダ100に対しては、例えばエンコーダ100と制御装置CTとを接続するリード線115がモータMの動力線(図示省略)と近接して配置される等によって、リード線115を経由してノイズが侵入する可能性がある。このノイズが基板112Cを介して配線部材118に伝わり、配線部材118からカバー120へ静電結合等により影響を与え、エンコーダ100の機能向上の妨げとなるおそれがある。そこで、本実施形態のように絶縁材131を設けることによって、上述した配線部材118とカバー120との間の相互作用を防止でき、エンコーダ100のノイズに対する耐性を向上することができる。
【0028】
また、本実施形態では特に、配線部材118は発光素子116に電力を供給するために用いられる。このような用途に用いられる配線部材118とカバー120とが近接(あるいは接触)して配置された場合、エンコーダ100の機能向上の妨げとなるおそれがある。その原因としては、発光素子116への電力供給時に流される電流が配線部材118からカバー120へ静電結合等により影響を与え、カバー120から基板112等に更に影響を与えることに起因するものと考えられる。また、配線部材118とカバー120との間に静電結合に基づく放電が生じ、発光素子116への電力供給が不安定となることも考えられる。そこで、本実施形態のように絶縁材131を設けることによって、上述した配線部材118とカバー120との間の相互作用を防止し、発光素子116への電力供給を安定化させることができる。
【0029】
また、本実施形態では特に、配線部材118が可撓性を備えるため、カバー120内部での引き回しが容易となる。また、配線部材118によって接続される基板112と発光素子116との間の距離が固定されないため、エンコーダ100の設計の自由度を高めることができる。さらに、可撓性を備えた配線部材118を用いる結果、撓み等によって配線部材118がカバー120と近接(あるいは接触)する可能性が高まるため、配線部材118とカバー120との間に絶縁材131を設けることが非常に有効となる。
【0030】
また、本実施形態では特に、絶縁材131を主として配線部材118とカバー120との間に設ける。これにより、エンコーダ100の機能向上の妨げとなる最大の原因と考えられる箇所に重点的に絶縁材131を設けることが可能となり、効率的に配線部材118とカバー120との間の相互作用を防止できる。また、絶縁材131の使用量を節減できると共に、絶縁材131を設けるための工数を削減することができる。
【0031】
また、本実施形態では特に、エンコーダ100をいわゆる透過型エンコーダとして構成する。この場合、受光素子117が基板112A上に設けられ、発光素子116が基板112から離間して配置された構成となるため、基板112Cと発光素子116とを接続する配線部材118の引き回し距離は比較的長くなる。その結果、撓み等によって配線部材118がカバー120と近接(あるいは接触)して配置される可能性が高くなるため、絶縁材131を設けることが非常に有効となる。
【0032】
<4.変形例等>
以上、添付図面を参照しながら一実施の形態について説明した。しかしながら、技術的思想の範囲は、ここで説明した実施の形態に限定されないことは言うまでもない。実施形態の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、様々な変更や修正、組み合わせなどを行うことに想到できることは明らかである。従って、これらの変更や修正、組み合わせなどの後の技術も、当然に技術的思想の範囲に属するものである。以下、そのような変形例を順を追って説明する。なお、以下の説明において前述の実施形態と同様の部分には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0033】
(4−1.絶縁材を基板の周囲に設ける場合)
上記実施形態では、絶縁材131を配線部材118とカバー120との間にだけ設けるようにしたが、例えば図3に示すように、これに加えて、絶縁材132を基板112の周囲を囲むように基板112とカバー120との間に設けてもよい。図3に示す例では、基板112A〜112Cが回転軸心AX方向に沿って積層される範囲全体に、絶縁材132が設けられている。絶縁材132としては、前述の絶縁材131と同様に、例えば絶縁シート、絶縁テープ、あるいは絶縁性の塗料等を用いることが可能である。なお、図3に示す例では絶縁材132をカバー120の内面に設けているが、例えば絶縁テープを基板112の周囲に巻き付ける等、基板112側に設けてもよい。すなわち、絶縁材が基板112とカバー120との間に位置しさえすればよい。
【0034】
前述したように、エンコーダ100の機能向上の妨げとなる原因としては、発光素子116への電力供給時に流される電流が配線部材118からカバー120へ静電結合等により影響を与え、カバー120から基板112等に更に影響を与えることに起因するものと考えられるが、その結果、基板112に搭載された電子部品の動作異常等を招くことも考えられる。そこで本変形例のように、絶縁材を、配線部材118とカバー120との間だけでなく、基板112の周囲を囲むように基板112とカバー120との間に設けることによって、カバー120と基板112との間の相互作用を防止し、基板112に搭載された電子部品の動作異常を防止することができる。その結果、エンコーダ100の信頼性を維持しつつ十分に小型化することができる。
【0035】
なお、図3に示す例では、配線部材118とカバー120との間に位置する絶縁材131と、基板112とカバー120との間に位置する絶縁材132の両方を設けるようにしたが、絶縁材132のみを設けるようにしてもよい。この場合でも、絶縁材132は配線部材118とカバー120との間の領域の少なくとも一部に位置することになり、上記実施形態とほぼ同様の効果を得る。
【0036】
(4−2.絶縁材をカバーの内周面全体に設ける場合)
上記実施形態では、絶縁材131を配線部材118とカバー120との間にだけ設けるようにしたが、例えば図4に示すように、絶縁材133をカバー120の内周面全体を覆うように設けてもよい。絶縁材133としては、前述の絶縁材131,132と同様に、例えば絶縁シート、絶縁テープ、あるいは絶縁性の塗料等を用いることが可能であるが、本変形例ではカバー120の内周面全体に隙間なく絶縁材を設けるために絶縁性塗料を用いるのが好ましい。
【0037】
本変形例によれば、配線部材118や基板112だけでなく、その他の部品を含むエンコーダ本体110全体とカバー120との間の相互作用をより確実に防止することが可能となる。
【0038】
(4−3.可撓性を有しない配線部材を用いる場合)
上記実施形態では、可撓性を有する配線部材を用いる場合を一例として説明したが、これに限定されるものではなく、可撓性を有しない配線部材を用いてもよい。例えば図5に示す例では、配線部材119はプラスティック樹脂等で形成されたハウジングを有しており、所定の剛性を有している。配線部材119は、その両端にオス状のコネクタ部119a,119bを有しており、コネクタ部119aが基板112Cに搭載されたメス状のコネクタ部CN1に、コネクタ部119bが発光素子116に設けられたメス状のコネクタ部CN2に差し込まれる。
【0039】
絶縁部材131は、上記実施形態と同様であり、配線部材119とカバー120とが近接する位置にだけ設けられている。この例では、配線部材119が基板112Cと発光素子116との間で回転軸心AX方向に略沿って引き回される範囲全体に、且つ、コネクタ部119a,119b部分を含むように、絶縁材131が設けられている。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0040】
(4−4.その他)
【0041】
上記実施形態では、配線部材118が発光素子116に電力を供給するために用いられる場合を一例として説明したが、配線部材の用途をこれに限定するものではない。例えば基板同士を接続する配線等、カバー120の内部に設けられ、少なくとも一端が基板112のいずれかに接続された配線部材であれば、その用途に関わらず、当該配線部材とカバー120との間に絶縁材を設ける構成とすることができる。
【0042】
また上記実施形態では、エンコーダ100が透過型エンコーダである場合を一例として説明したが、発光素子116と受光素子117がディスク111の一方側に配置された、いわゆる反射型エンコーダにも適用することができる。この場合、例えば発光素子116と受光素子117の両方を基板112A上に配置し、発光素子116又は基板112Aと基板112Cとを配線部材118で接続する構成とすればよい。
【符号の説明】
【0043】
100 エンコーダ
110 エンコーダ本体
111 ディスク
112A〜C 基板
116 発光素子
117 受光素子
118 配線部材
120 カバー
131 絶縁材
132 絶縁材
133 絶縁材
HB ハブ(回転体の一例)
M モータ
SH シャフト
SM サーボモータ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【国際調査報告】