(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013098969
(43)【国際公開日】20130704
【発行日】20150430
(54)【発明の名称】電極の製造方法及び非水電解質電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20150403BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20150403BHJP
【FI】
   !H01M4/139
   !H01M4/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】2013551107
(21)【国際出願番号】JP2011080316
(22)【国際出願日】20111227
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】森島 秀明
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社東芝内
(72)【発明者】
【氏名】植松 育生
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社東芝内
(72)【発明者】
【氏名】中畑 政臣
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社東芝内
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 毅
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社東芝内
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA15
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB03
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA04
(57)【要約】
実施形態によれば、集電体の第1の面へのスラリーの塗布、集電体の第2の面へのスラリーの塗布、及び乾燥を含む電極の製造方法が提供される。集電体の第1の面に、活物質を含むスラリーを、スラリー塗布部とスラリー未塗布部とが集電体の搬送方向と直交する方向に交互に配置されるように塗布する。次いで、外周面に形成された複数の環状突起部を有するバックアップロールに集電体を搬送し、集電体のスラリー未塗布部を環状突起部上に配置し、環状突起部上に配置された部分を除く集電体の第2の面に活物質を含むスラリーを塗布することにより、スラリー塗布部を形成する。次いで、集電体の第1の面及び第2の面のスラリー塗布部を乾燥させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体の第1の面に、活物質を含むスラリーを、スラリー塗布部とスラリー未塗布部とが前記集電体の搬送方向と直交する方向に交互に配置されるように塗布する工程と、
外周面に形成された複数の環状突起部を有するバックアップロールに前記集電体を搬送し、前記集電体の前記スラリー未塗布部を前記環状突起部上に配置し、前記環状突起部上に配置された部分を除く前記集電体の第2の面に活物質を含むスラリーを塗布することにより、スラリー塗布部を形成する工程と、
前記集電体の前記第1の面及び前記第2の面の前記スラリー塗布部を乾燥させる工程と
を備える電極の製造方法。
【請求項2】
前記バックアップロールが下記(1)式を満たす請求項1記載の電極の製造方法。
0.1≦(r−R)≦10 (1)
但し、rは前記環状突起部の外径(mm)で、Rは前記環状突起部の内径(mm)である。
【請求項3】
前記バックアップロールが下記(2)式を満たす請求項2記載の電極の製造方法。
5≦h≦50 (2)
但し、hは前記環状突起部の幅(mm)である。
【請求項4】
前記集電体は、前記バックアップロールの前記環状突起部と下記(3)式を満たすように接する請求項2記載の電極の製造方法。
0.01≦θ≦0.5 (3)
但し、θは、前記バックアップロールの前記環状突起部に前記集電体が接している部分の円弧の長さに対応する円周角(ラジアン)である。
【請求項5】
前記乾燥工程は、外周面に形成された複数の環状突起部を有するサポートロールによって前記集電体を搬送しながら行われ、前記サポートロールの前記環状突起部に前記第1の面又は前記第2の面の前記スラリー未塗布部が接している請求項3または4記載の電極の製造方法。
【請求項6】
正極、負極及び非水電解質を備える非水電解質電池の製造方法であって、
前記正極及び前記負極のうち少なくとも一方の電極を、請求項1〜5いずれか1項記載の方法で製造する非水電解質電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電極の製造方法及び非水電解質電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド電気自動車用の電源、また太陽光や風力などの自然エネルギーを使った発電機用の蓄電装置として、非水電解質電池が注目されている。これら用途の非水電解質電池は、携帯電話やノート型PCなどの電子機器が主用途の非水電解質電池に比べて必要とされる電気容量が大きいため、電池内部の蓄電素子である電極も長い方が望ましい。
【0003】
長い電極を効率良く製造するため、様々な工夫がなされている。非水電解質電池の電極は一般的に集電体の両面に活物質含有層を持つ。活物質含有層の形成は、例えば、以下のようにして行われる。まず、活物質を含む電極材料を有機溶媒や水などに分散させ、塗液を調製する。得られた塗液を集電体上に塗布した後、乾燥炉で有機溶媒または水を蒸発させて塗液を乾燥させる。このような塗布と乾燥の工程を一組として先ず集電体の片方の面に活物質含有層を形成し、しかる後に別のもう一面に同様の塗布と乾燥工程で活物質含有層を形成する。
【0004】
このような表と裏の両面に活物質含有層の形成を行うには、同一の塗布・乾燥装置を2回使うことによって達成することもできるが、1つの電極を作るのに、フープ状に巻かれた集電体を捲き出しつつ、集電体にスラリーを塗布した後、スラリーを乾燥させ、ひきつづき、スラリー塗布済みの集電体を巻き取った後、これを装置から取り外すという一連の操作を2回繰返す必要があり、作業が効率的とは言えなかった。
【0005】
これを解決する手段として同一の塗布・乾燥装置を2台直列に配置してそこを集電体が1回通過する間に、1台目の装置で片面の塗布と乾燥を行い、連続して2台目の装置でもう片方の面の塗布と乾燥を行う装置も存在した。この装置により、1面目の塗布・乾燥の後に行っていた巻取り・取り外し・捲き出し側への再取り付けの作業を省略することができるため、その分作業効率を向上することが可能である。
【0006】
しかしながら、この場合には1つの電極を製造するのに、塗布と乾燥を行うための全長が50mから100mにも達する装置が2台分必要であるため、製造装置の単位設置空間あたりの生産効率が低下する。更に、非水電解質電池は寿命特性や安全性の観点から水分の混入や金属異物の混入を極力減らす必要があり、製造空間は一般的に低露点のドライルームであることとクリーン環境を保つ必要がある。従って、製造設備の設置空間の増大は、巨大な空間の環境を維持するための費用も増大させる欠点がある。
【0007】
そこで更に発展した方法として、集電体の両面に塗布を行い、その後一度に乾燥炉で乾燥させる方法が考案されている。この方法によれば、乾燥装置の前段で表と裏の塗工を行い、その後、1つの乾燥装置で表と裏を同時に乾燥することができるため、作業の効率化を達成しつつ、装置の設置空間の増大を抑制できる利点がある。
【0008】
しかし、このような集電体の表と裏に塗布を行いその後同時に乾燥する方法には次のような問題がある。それは、集電体の表と裏を塗布した場合、乾燥する前には塗布面を直接支持できないことである。
【0009】
非水電解質電池の集電体には、例えば、アルミニウムや銅などの厚さ10〜30μm程度の薄い金属箔が使用される。これを塗工工程から乾燥工程へと至る間に下面から支えない場合、集電体の送り方向に加わる搬送に必要な張力によって生じる斜めシワが発生する。集電体に斜めシワがあると、集電体に塗液を塗布した際にシワと同じ周期で塗布量にムラが発生する。
【0010】
このような塗布量にムラのある電極を使って急速な充電放電を行うと、塗布量の多い部分と少ない部分の電流密度に差が生じ、比較的早く劣化する部分ができる。そして、電極の一部が劣化してその機能を十分に果せなくなると、他の残りの部分に電流が集中してその劣化も早まることになる。このような悪循環が発生すると、比較的塗布量が均一な電極と比べて全体の劣化が早まってしまうという問題が起こる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−313327号公報
【特許文献2】特開平4−061959号公報
【特許文献3】特開2007−029789号公報
【特許文献4】特開2003−272612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、集電体へのスラリー塗布量の均一性が向上され、かつ作業効率に優れる電極の製造方法及び非水電解質電池の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態によれば、集電体の第1の面へのスラリーの塗布、集電体の第2の面へのスラリーの塗布、及び乾燥を含む電極の製造方法が提供される。集電体の第1の面に、活物質を含むスラリーを、スラリー塗布部とスラリー未塗布部とが集電体の搬送方向と直交する方向に交互に配置されるように塗布する。次いで、外周面に形成された複数の環状突起部を有するバックアップロールに集電体を搬送し、集電体のスラリー未塗布部を環状突起部上に配置し、環状突起部上に配置された部分を除く集電体の第2の面に活物質を含むスラリーを塗布することにより、スラリー塗布部を形成する。次いで、集電体の第1の面及び第2の面のスラリー塗布部を乾燥させる。
【0014】
また、実施形態によれば、正極、負極及び非水電解質を備える非水電解質電池の製造方法が提供される。正極及び前記負極のうち少なくとも一方の電極が、実施形態に係る方法で製造される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施形態の方法で用いる塗工装置及び乾燥装置の概略図である。
【図2】図2は、図1に示す塗工装置のバックアップロールの一例を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2のバックアップロールを端部側から見た平面図である。
【図4】図4は、図1のバックアップロールにより搬送される集電体を示す斜視図である。
【図5】図5は、図1の乾燥装置を示す概略図である。
【図6】図6は、片面にスラリーが塗布された集電体を示す斜視図である。
【図7】図7は、両面にスラリーが塗布された集電体を示す斜視図である。
【図8】図8は、実施形態の方法で製造された電極を示す斜視図である。
【図9】図9は、実施形態の方法で製造される電池を示す展開斜視図である。
【図10】図10は、図9に示す電池で用いられる電極群の部分展開斜視図である。
【図11】図11は、実施例1の方法で製造された電極の塗布量の分布を示す図である。
【図12】図12は、比較例の方法で製造された電極の塗布量の分布を示す図である。
【図13】図13は、比較例の方法で用いる塗工装置及び乾燥装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
発明者らは、乾燥工程に入る前に集電体の両面にスラリーを塗布する製造方法において、集電体の斜めシワの発生の抑制について鋭意研究を続けた結果、次のような知見を得た。
【0018】
即ち、例えばアルミニウムや銅などの薄い金属箔を搬送する場合、搬送の進行方向すなわち長さ方向に張力を加えると金属箔は平面を形成するが、平面状の金属箔はその幅方向からの圧縮応力を支えることが出来ず、搬送装置上の何らかの原因によって生じる極僅かな幅方向圧縮応力によって斜めシワが発生する。一方で、金属箔を平面ではなく横断面からみて蛇行させるように搬送路を設計すると、横方向からの圧縮応力に格段に強くなる。これは、例えば、平面状の薄い金属箔に端面から力を加えると、極小さい力でも金属箔の中央が盛り上がるのに対して、円柱状に捲回した金属箔に円柱軸に平行に力を加えても座屈するまで変形しないことによって確かめることができる。
【0019】
これは、集電体にスラリーを塗布するその瞬間に置いて、集電体が平面ではなく円の一部を構成する形状となるように集電体の搬送経路を設定すれば良いことを示唆する。通常であればこれは円柱状のバックアップロールに集電体を捲きつけることで自然に実現されるのであるが、乾燥前に両面を塗布しようとした場合、第2の面に塗布するその時には第1の面のスラリーは乾燥していない。このため、第1の面を直接、円柱状のバックアップロールで支持することはできない。発明者らは、第2のバックアップロールを改良することによって、塗布の均一性が改善されることを見出したのである。
【0020】
第1の実施形態の電極の製造方法を図1〜図8を参照して説明する。図1に示すように、塗工装置40は、第1のダイヘッド41と第1のバックアップロール42とからなる第1のダイコーター、及び、第2のダイヘッド43と第2のバックアップロール44とからなる第2のダイコーターを有する。第1のダイコーターと第2のダイコーターの間には、搬送用ローラ45が配置されている。長尺状の集電体Cは、第1のダイコーターの次に第2のダイコーターを通過し、その順番でスラリーが塗布されるように搬送される。集電体Cを間に挟んだ一方の空間に第1のダイヘッド41が配置され、かつ他方の空間に第2のダイヘッド43が配置されている。このため、集電体Cが第1のダイコーターを通過することにより第1の面にスラリーが塗布され、集電体Cが第2のダイコーターを通過することにより第2の面にスラリーが塗布される。
【0021】
第1,第2のダイヘッド41,43は、スラリー供給装置(図示しない)からスラリー供給を受ける液溜め部46と、液溜め部46に連通したダイスリット47と、ダイスリット47の先端に設けられた複数のスラリー吐出口48とをそれぞれ有する。スラリー吐出口48の数は、集電体Cに塗布するスラリーの列数に応じて変更することができるため、1つまたは複数にすることができる。図1の場合、スラリー吐出口48の数は、複数である。
【0022】
第1のバックアップロール42は、芯金49と、芯金49を被覆する表層50とを有する。表層50の外周に、突起部が設けられていない。第1のダイヘッド41の複数のスラリー吐出口48は、それぞれ、第1のバックアップロール42の表層50と対向する。
【0023】
図2に示すように、第2のバックアップロール44は、芯金22と、芯金22上に形成された表層23と、表層23の外周面に形成された複数の突起部24とを有する。突起部24は、それぞれ、表層23の外周面を円環状に被覆している。突起部24の間には間隔Wが設けられている。間隔Wは、集電体に塗布するスラリーの幅に応じて変更される。図1に示すように、第2のダイヘッド43の複数のスラリー吐出口48は、それぞれ、第2のバックアップロール44の突起部24間に位置する表層23と対向する。
【0024】
図1に示すように、第2のダイコーターの後段には、乾燥装置としての乾燥炉51が配置されている。乾燥炉51内には、図5に示すように、複数のサポートロール52が配置されている。各サポートロール52は、芯金22と、芯金22上に形成された表層23と、表層23の外周面に形成された複数の突起部24とを有する。突起部24は、それぞれ、表層23の外周面を円環状に被覆している。突起部24の間には間隔Wが設けられている。間隔Wは、集電体上のスラリー塗布部の幅に応じて変更される。
【0025】
スラリーは、例えば、活物質を含む電極材料を有機溶媒または水に分散させてスラリー状にすることにより調製される。活物質は、特に限定されるものではないが、例えば、非水電解質電池の正極活物質あるいは負極活物質を挙げることができる。
【0026】
集電体Cには、例えば、金属または合金からなる箔状のシートを用いることができる。集電体Cは、第1の面と、第1の面の反対側に位置する第2の面とを有する。
【0027】
次いで、塗工工程について説明する。集電体供給装置(図示しない)から長尺状の集電体Cを第1のダイコーターの第1のバックアップロール42上に供給する。スラリー供給装置から液溜め部46に供給されたスラリーは、ダイスリット47を通過した後、スラリー吐出口48を通して集電体Cの第1の面に供給される。図6に示すように、スラリーは、集電体Cの第1の面に、スラリー塗布部Sとスラリー未塗布部Cとが集電体Cの搬送方向Xと直交する方向Aに交互に配置されるように塗布される。
【0028】
集電体Cの第2の面を第1のバックアップロール42の外周面と接触させた状態で、集電体Cの第1の面にスラリーを塗布することによって、集電体Cに発生する斜めシワを少なくすることができる。その結果、集電体Cの第1の面にスラリーを均一に塗布することができる。
【0029】
第1のダイコーターで第1の面にスラリーが塗布された集電体Cは、搬送ロール45によって第2のダイコーターの第2のバックアップロール44上に供給される。第2のバックアップロール44の突起部24上には、集電体Cの第1の面のスラリー未塗布部が配置される。また、集電体Cの第1の面のスラリー塗布部は、第2のバックアップロール44の突起部24間に配置されている。集電体Cは、その長手方向(集電体Cの搬送方向)Xに張力が加わった状態で第2のバックアップロール44の突起部24と接する。このため、集電体Cの第1の面のスラリー塗布部は、表層23から浮いた状態になっており、集電体Cのスラリー塗布部と表層23との間に空間が存在する。
【0030】
集電体Cの第2の面には、スラリーが全く塗布されていない。第2の面は、第2のダイヘッド43と対向している。第2のダイヘッド43において、スラリー供給装置から液溜め部46に供給されたスラリーは、ダイスリット47を通過した後、スラリー吐出口48を通して集電体Cの第2の面に供給される。スラリーは、集電体Cの第2の面のうち、突起部24間の表層23上に位置する部分に供給される。よって、図4に示すように、集電体Cの第2の面には、突起部24間に位置する表層23と対応する部分にスラリーが塗布され、スラリー塗布部Sとスラリー未塗布部Cとが集電体Cの搬送方向Xと直交する方向Aに交互に配置される。
【0031】
第2のバックアップロール44の突起部24で集電体Cの第1の面のスラリー未塗布部を支持し、かつ集電体Cの第1の面のスラリー塗布部を第2のバックアップロール44の表層23から浮かせることによって、集電体Cの第2の面にスラリーを塗布する際に集電体Cに斜めシワが発生するのを低減することができる。その結果、集電体Cの第2の面にスラリーを均一に塗布することができる。また、集電体Cの第1の面のスラリー塗布部が第2のバックアップロール44と接触していないため、集電体Cの第1の面のスラリー塗布部を乾燥させる前に第2の面にスラリーを塗布することができる。
【0032】
次いで、スラリー塗布部Sとスラリー未塗布部Cが両面に形成された集電体Cを、乾燥炉51に搬送する。集電体Cは、サポートロール52によって搬送されることで乾燥炉51を通過する。集電体Cは、乾燥炉51に入っても相当距離は表面が濡れており、その表面をロール等で支持することができない。サポートロール52の突起部24に集電体Cの第1の面または第2の面のスラリー未塗布部が接触しているため、集電体Cの搬送を安定化することができる。サポートロール52を使用する代りに、集電体Cに下から風を送ることで集電体Cの表面に直接触れることなく集電体を搬送することが可能である。この場合、集電体Cを浮上させるのに必要な風速の早い風は、スラリー塗布部の表面を急速に乾燥させてしまい、スラリー塗布部表面のヒビ割れ等の不良の原因になる恐れがある。よって、サポートロール52を使用することがより好ましい。
【0033】
上記塗工工程及び乾燥工程によって、図7に示すように、両面に活物質含有層29が複数列形成された集電体Cを得ることができる。その後、活物質含有層29を圧縮するためにプレス成形を施した後、集電体Cと活物質含有層29との境界Zに沿って裁断することにより、図8に示す電極30を得る。得られた電極30では、集電体Cの一方の長辺を除き、活物質含有層29が形成されている。活物質含有層29が非形成の長辺は、集電タブ31として機能する。なお、プレス成形を行う前に裁断を行うことも可能である。
【0034】
なお、スラリー塗工装置は、ダイヘッドを備えるものに限らず、例えば、アプリケーターロールを用いることができる。
【0035】
バックアップロール44は、下記(1)式を満たすことが望ましい。
【0036】
0.1≦(r−R)≦10 (1)
但し、図3に示すように、rは突起部24の外径(mm)で、Rは突起部24の内径(mm)である。Rはバックアップロール44の表層23までの半径と等しい。
【0037】
(r−R)を0.1mm以上にすることによって、バックアップロール44の表層23の外周面と集電体Cのスラリー塗布部との間に十分な隙間を取ることができるため、塗布量の均一性を高くすることができる。しかし、(r−R)が大きくなる程、バックアップロール本体の直径が相対的に細くなり、強度が不足する恐れがある。(r−R)を10mm以下にすることによって、バックアップロール本体の強度を十分なものとすることができる。(r−R)のより好ましい範囲は、0.2≦(r−R)≦5である。
【0038】
バックアップロール44は、下記(2)式を満たすことが望ましい。
【0039】
5≦h≦50 (2)
但し、図1に示すように、hは、バックアップロール44の回転軸Yと平行な、突起部24の幅(mm)である。Hは、バックアップロール44の回転軸Yと平行な方向の長さ(mm)である。
【0040】
hを5mm以上にすることによって、突起部24の集電体を支持する面積を十分に確保することができるため、集電体Cが突起部24に押し付けられる圧力によって突起部24の縁付近の集電体Cにシワや折り目が付くのを抑えることができる。よって、hを5mm以上にすることによって、製造不良を少なくすることができる。但し、hが大きすぎると、塗布できる電極の幅が狭くなってしまい、塗工装置の有効幅が狭くなって生産効率が低下する恐れがあるため、hは50mm以下であることが好ましい。hのより好ましい範囲は、10≦h≦40である。
【0041】
集電体Cは、バックアップロール44の突起部24と下記(3)式を満たすように接することが望ましい。
【0042】
0.01≦θ≦0.5 (3)
但し、θは、図3に示すように、バックアップロール44の回転軸Yから見た端面における、バックアップロール44の突起部24に集電体Cが接している部分の円弧(回転軸Yを中心とする)の長さに対応する円周角(ラジアン)である。
【0043】
θを0.01ラジアン以上にすることによって、集電体Cを突起部24に押し付ける圧力を十分なものにすることができるため、集電体Cにスラリーを塗布する際に集電体Cが突起部24から浮き上がるのを抑えることができる。その結果、塗布量のムラを少なくすることができる。また、θを0.5ラジアン以下にすることによって、集電体Cが突起部24に押し付けられる圧力によって突起部24の縁付近の集電体Cにシワや折り目が付くのを抑えることができるため、製造不良を少なくすることができる。θのより好ましい範囲は、0.02≦θ≦0.3である。
【0044】
以上説明した第1の実施形態では、集電体の第1の面に、活物質を含むスラリーを、スラリー塗布部とスラリー未塗布部とが集電体の搬送方向と直交する方向に交互に配置されるように塗布する。次いで、外周面に形成された複数の環状突起部を有するバックアップロールに集電体を搬送し、集電体のスラリー未塗布部を環状突起部上に配置する。環状突起部上に配置された部分を除く集電体の第2の面に、活物質を含むスラリーを塗布することにより、集電体の第1の面のスラリー未塗布部をバックアップロールの環状突起部で支持した状態で第2の面にスラリーを塗布することができるため、集電体に斜めシワが発生するのを抑制することができ、第2の面にスラリーを均一に塗布することができる。また、集電体の第1の面のスラリー塗布部をバックアップロールと接触させずに第2の面にスラリーを塗布することができるため、第1の面及び第2の面双方にスラリーを塗布した後、第1の面及び第2の面のスラリー塗布部を乾燥させることが可能となる。よって、集電体に塗布するスラリーの均一性が向上され、かつ作業効率に優れる電極の製造方法を提供することができる。
【0045】
なお、スラリー塗工装置にバックアップロールを対向させず、スラリー塗工装置よりも前段にバックアップロールを配置すると、バックアップロールによる支持のない集電体にスラリーを塗布することとなるため、塗布の際に集電体に弛みや歪みが生じやすく、塗布量のばらつきが大きくなる。
【0046】
(第2の実施形態)
第2の実施形態によれば、正極と、負極と、非水電解質とを備える電池の製造方法が提供される。正極及び負極のうち少なくとも一方の電極は、第1の実施形態に係る方法で製造される。正極及び負極の製造に用いられるスラリー及び集電体を説明する。
【0047】
正極用スラリーは、正極活物質、導電剤及び結着剤を含む電極材料を適当な溶媒に懸濁させることにより調製される。溶媒としては例えばNメチルエチルピロリドンが挙げられる。正極活物質、導電剤、結着剤の総量と溶媒の重量比は50:50から80:20が望ましい。
【0048】
正極活物質には、一般的なリチウム遷移金属複合酸化物を使用することができる。例えば、LiCoO2、Li1+a(Mn,Ni,Co)1-aO2(0.0<a<0.2)、Li1+bNi1-cMcO2(0.0<b<0.2, 0.0<c<0.4, MはCo, Al, Feから選ばれる1つ以上)、Li1+dMn2-d-eM’eO4(M’はMg, Al, Fe, Co, Niから選ばれる1つ以上)、LiMPO4(MはFe,Co,Ni)などである。
【0049】
導電剤は、集電性能を高め、集電体との接触抵抗を抑えることができる。導電剤には、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等の炭素質物を挙げることができる。
【0050】
結着剤は、正極活物質と導電剤を結着させることができる。結着剤には、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム等が挙げられる。
【0051】
正極活物質、導電剤及び結着剤の配合比については、正極活物質は80重量%以上95重量%以下、正極導電剤は3重量%以上18重量%以下、結着剤は2重量%以上17重量%以下の範囲にすることが好ましい。正極導電剤については、3重量%以上であることにより上述した効果を発揮することができ、18重量%以下であることにより、高温保存下での正極導電剤表面での非水電解質の分解を低減することができる。結着剤については、2重量%以上であることにより十分な電極強度が得られ、17重量%以下であることにより、電極の絶縁体の配合量を減少させ、内部抵抗を減少できる。
【0052】
正極集電体は、アルミニウム箔若しくはMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金箔が好ましい。
【0053】
負極用スラリーは、例えば、負極活物質、導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁させることにより調製される。溶媒としては例えばNメチルエチルピロリドンが挙げられる。負極活物質、導電剤、結着剤の総量と溶媒の重量比は50:50から80:20が望ましい。
【0054】
負極活物質としては、例えばチタン含有金属複合酸化物を使うことができ、リチウムチタン酸化物、酸化物合成時はリチウムを含まないチタン系酸化物などを挙げることができる。
【0055】
リチウムチタン酸化物としては、例えばスピネル構造を有するLi4+xTi512(0≦x≦3)や、ラムステライド構造を有するLi2+yTi37(0≦y≦3)が挙げられる。
【0056】
チタン系酸化物としては、TiO2、TiとP、V、Sn、Cu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物などが挙げられる。TiO2はアナターゼ型で熱処理温度が300〜500℃の低結晶性のものが好ましい。TiとP、V、Sn、Cu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物としては、例えば、TiO2−P25、TiO2−V25、TiO2−P25−SnO2、TiO2−P25−MeO(MeはCu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素)などを挙げることができる。この金属複合酸化物は、結晶相とアモルファス相が共存もしくは、アモルファス相単独で存在したミクロ構造であることが好ましい。このようなミクロ構造であることによりサイクル性能が大幅に向上することができる。中でも、リチウムチタン酸化物、TiとP、V、Sn、Cu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物が好ましい。
【0057】
導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
【0058】
結着剤は、負極活物質と導電剤を結着させることができる。結着剤には、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム等が挙げられる。
【0059】
負極活物質、負極導電剤及び結着剤の配合比については、負極活物質は70重量%以上96重量%以下、負極導電剤は2重量%以上28重量%以下、結着剤は2重量%以上28重量%以下の範囲にすることが好ましい。負極導電剤量が2重量%未満であると、負極層の集電性能が低下し、非水電解質二次電池の大電流特性が低下する。また、結着剤量が2重量%未満であると、負極層と負極集電体の結着性が低下し、サイクル特性が低下する。一方、高容量化の観点から、負極導電剤及び結着剤は各々28重量%以下であることが好ましい。
【0060】
負極集電体には、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、銅箔等を挙げることができる。好ましい負極集電体は、1.0Vよりも貴である電位範囲において電気化学的に安定であるアルミニウム箔、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金箔である。
【0061】
第2の実施形態の方法で製造される非水電解質電池の一例を図9、図10に示す。図9に示す電池は、密閉型の角型非水電解質電池である。非水電解質電池は、外装缶1と、蓋2と、正極出力端子3と、負極出力端子4と、電極群5とを備える。図8に示すように、外装缶1は、有底角筒形状をなし、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄あるいはステンレスなどの金属から形成される。
【0062】
図10に示すように、偏平型の電極群5は、正極6と負極7がその間にセパレータ8を介して偏平形状に捲回されたものである。正極6は、例えば金属箔からなる帯状の正極集電体と、正極集電体の集電体露出部からなる正極集電タブ6aと、少なくとも正極集電タブ6aの部分を除いて正極集電体に形成された正極活物質含有層6bとを含む。一方、負極7は、例えば金属箔からなる帯状の負極集電体と、負極集電体の集電体露出部からなる負極集電タブ7aと、少なくとも負極集電タブ7aの部分を除いて負極集電体に形成された負極活物質含有層7bとを含む。
【0063】
このような正極6、セパレータ8及び負極7は、正極集電タブ6aが電極群の捲回軸方向にセパレータ8から突出し、かつ負極集電タブ7aがこれとは反対方向にセパレータ8から突出するよう、正極6及び負極7の位置をずらして捲回されている。このような捲回により、電極群5は、図10に示すように、一方の端面から渦巻状に捲回された正極集電タブ6aが突出し、かつ他方の端面から渦巻状に捲回された負極集電タブ7aが突出している。
【0064】
電解液(図示しない)は、電極群5に含浸されている。矩形板状の蓋2は、外装缶1の開口部に例えばレーザでシーム溶接される。蓋2は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄あるいはステンレスなどの金属から形成される。蓋2と外装缶1は、同じ種類の金属から形成されることが望ましい。
【0065】
図9に示すように、蓋2の外面の中央付近に安全弁9が設けられている。安全弁9は、蓋2の外面に設けられた矩形状の凹部9aと、凹部9a内に設けられたX字状の溝部9bとを有する。溝部9bは、例えば、蓋2を板厚方向にプレス成型することにより形成される。注液口10は、蓋2に開口され、電解液の注液後に封止される。
【0066】
蓋2の外面には、安全弁9を間に挟んだ両側に正負極出力端子3,4が絶縁ガスケット(図示しない)を介してかしめ固定されている。負極活物質に炭素系材料を使用するリチウムイオン二次電池の場合、正極出力端子3には、例えば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金が使用され、負極出力端子4には、例えば、銅、ニッケル、ニッケルメッキされた鉄などの金属が使用される。また、負極活物質にチタン酸リチウムを使用する場合は、上記に加え、負極出力端子4にアルミニウムあるいはアルミニウム合金を使用してもかまわない。
【0067】
正極リード11は、一端が、正極出力端子3にかしめ固定あるいは溶接によって電気的に接続され、かつ他端が正極集電タブ6aに電気的に接続されている。負極リード12は、一端が、負極出力端子4にかしめ固定あるいは溶接によって電気的に接続され、かつ他端が負極集電タブ7aに電気的に接続されている。正負極リード11,12を正負極集電タブ6a,7aに電気的に接続する方法は、特に限定されるものではないが、例えば超音波溶接やレーザ溶接等の溶接が挙げられる。
【0068】
このように、正極出力端子3と正極集電タブ6aとが正極リード11を介して電気的に接続され、負極出力端子4と負極集電タブ7aとが負極リード12を介して電気的に接続されることにより、正負極出力端子3,4から電流を取り出せるようになる。
【0069】
正負極リード11,12の材質は、特に指定しないが、正負極出力端子3,4と同じ材質にすることが望ましい。例えば、出力端子の材質がアルミニウム又はアルミニウム合金の場合は、リードの材質をアルミニウム、アルミニウム合金にすることが好ましい。また、出力端子が銅の場合は、リードの材質を銅などにすることが望ましい。
【0070】
ここで、セパレータ及び非水電解質について説明する。
【0071】
(セパレータ)
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、またはポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含む多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン又はポリプロピレンからなる多孔質フィルムは、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能であり、安全性向上の観点から好ましい。また中でも、セルロースからなる多孔質フィルムは空隙率が同じ厚さの他の材質のセパレータに比べてより多くの電解質を含むことができるために電解質中のLiイオン伝導度が相対的に高くでき、大電流を流す必要のある高出力型の非水電解質電池には最もこのましい。
【0072】
(非水電解質)
非水電解質としては、電解質を有機溶媒に溶解することにより調整される液状非水電解質、液状電解質と高分子材料を複合化したゲル状非水電解質等が挙げられる。
【0073】
液状非水電解質は、電解質を0.5mol/l以上2.5mol/l以下の濃度で有機溶媒に溶解することにより、調製される。
【0074】
電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミトリチウム[LiN(CF3SO22]等のリチウム塩、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPF6が最も好ましい。
【0075】
有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート等の環状カーボネートや、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)等の鎖状カーボネートや、テトラヒドロフラン(THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、ジオキソラン(DOX)等の環状エーテルや、ジメトキシエタン(DME)、ジエトエタン(DEE)等の鎖状エーテルや、γ-ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、スルホラン(SL)等の単独若しくは混合溶媒を挙げることができる。
【0076】
高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等を挙げることができる。
【0077】
なお、非水電解質として、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)、高分子固体電解質、無機固体電解質等を用いてもよい。
【0078】
常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンとアニオンの組合せからなる有機塩の内、常温(15℃〜25℃)で液体として存在しうる化合物を指す。常温溶融塩としては、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質と混合させることで液体となる常温溶融塩、有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩等が挙げられる。なお、一般に、非水電解質電池に用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、有機物カチオンは、一般に、4級アンモニウム骨格を有する。
【0079】
高分子固体電解質は、電解質を高分子材料に溶解し固体化し調製する。
【0080】
無機固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する固体物質である。
【0081】
図9及び図10では、電池の外装部材に外装缶を用いた例を説明したが、外装部材として用いることが可能なものは外装缶に限らず、例えば、ラミネートフィルム製容器を使用することができる。ラミネートフィルムは、金属層と金属層を被覆する樹脂層とからなる多層フィルムである。軽量化のために、金属層はアルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂層は、金属層を補強するためのものであり、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行うことにより成形する。
【0082】
電池の形状は、図9及び図10に示す角型電池に限らず、例えば、扁平型、円筒型、コイン型、ボタン型、シート型、積層型等が挙げられる。なお、無論、携帯用電子機器等に積載される小型電池の他、二輪乃至四輪の自動車等に積載される大型電池にも実施形態の電池は適用可能である。
【0083】
以上説明した第2の実施形態によれば、正極または負極を、第1の実施形態の方法で製造するため、スラリー塗布量の均一性が向上された正極または負極を製造することができる。その結果、大電流で充電放電を繰返した後の容量劣化の少ない非水電解質電池を得ることができる。
【実施例】
【0084】
以下に実施例を説明するが、実施形態の主旨を超えない限り、実施形態は以下に掲載される実施例に限定されるものでない。
【0085】
(実施例1)
正極活物質LiCoO2、正極導電剤としてアセチレンブラックと黒鉛、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)をNメチルエチルピロリドンに分散させて正極スラリーを作った。スラリーを塗布する支持体ともなる正極集電体には厚さ12μm、幅600mmのアルミニウム箔を使った。
【0086】
第1のダイコーターを構成する第1のバックアップロールは半径120mmの円柱状であった。
【0087】
第2のダイコーターを構成する第2のバックアップロールには、芯金と、芯金を被覆する金属製表層と、表層の外周面に形成された環状突起部とを有するものを使用した。環状突起部の内径(表層までの半径)Rが120mmで、環状突起部の外径rが121mmで、(r−R)の値は1mmであった。第2のバックアップロールの全長Hが800mmであった。突起部は4つ設けた。各突起部の幅hは20mmであった。突起部の同士の間隔は総て150mmの等間隔とした。
【0088】
第1のダイヘッドを用いて集電体の第1の面に幅145mmでスラリーを塗工した。次いで、集電体を第2のダイコーターに搬送し、集電体を第2のバックアップロールに抱き角度θが0.2ラジアンとなるように供給した。集電体の第2の面のうち、突起部と重ならない部分、すなわち突起部間に位置する3箇所の表層と重なる部分にそれぞれ幅145mmでスラリーを第2のダイヘッドを用いて塗工した。
【0089】
集電体の第1の面及び第2の面のスラリー塗布部を、図5に示す乾燥炉を用いて乾燥させた。次いで、第1の面及び第2の面の塗布量の分布を調べたところ、図11に示すような分布になっていた。
【0090】
乾燥工程後、プレス成形及び裁断工程を行うことにより、正極を得た。得られた正極と、負極と、非水電解液と、セパレータとをアルミニウム含有ラミネートフィルム製容器に密封して非水電解質電池を製造した。そして、5時間率の電流で1200回の充放電を繰返した。最初の放電容量を100とした時、1200回目の放電容量は82であった。
【0091】
(実施例2〜7)
(r−R)、h及びθの値を下記表1に示すように変更すること以外は、実施例と同じようにして2000mの塗工を行った。最初の放電容量を100とした時、1200回目の放電容量を下記表1に示す。
【0092】
(比較例)
図13に示す塗工装置及び乾燥装置を用いること以外は、実施例1と同様にしてスラリーの塗工を行った。図13に示すように、第2のバックアップロールの代りにサポートロール53を第2のダイコーターの前段に配置した。サポートロール53は、芯金49と、芯金49を被覆する表層50とを有する。表層50の外周に、突起部が設けられていない。サポートロール53の半径は200mmであった。
【0093】
集電体の第1の面及び第2の面のスラリー塗布部を、図5に示す乾燥炉を用いて乾燥させた。次いで、第1の面及び第2の面の塗布量の分布を調べたところ、図12に示すような分布になっていた。図12を実施例1についての塗布量の分布を示す図11の結果と比較すると、比較例の塗布量の分布が実施例1よりも著しく不均一であることがわかる。
【0094】
乾燥工程後、プレス成形及び裁断工程を行うことにより、正極を得た。得られた正極を用いて実施例1と同様にして非水電解質電池を製造した。実施例と同じ条件で充放電を繰り返したところ、最初の放電容量を100とした時、1200回目の放電容量は60であった。実施例に比べて1200回目の放電容量は小さくなっており、劣化がより進んだことがわかる。
【表1】
【0095】
表1から明らかなように、実施例1〜7の方法によると、大電流で充電放電を繰返した後の容量劣化を少なくすることができる。これに対し、バックアップロールの代りにサポートロールを用い比較例によると、大電流で充電放電を繰返した後の容量劣化が実施例1〜7に比して大きかった。
【0096】
以上説明した少なくとも一つの実施形態の電極の製造方法によれば、外周面に形成された複数の環状突起部を有するバックアップロールの環状突起部上に、集電体のスラリー未塗布部を配置し、集電体の第2の面に、環状突起部上に配置された部分を除き、活物質を含むスラリーを塗布するため、集電体に斜めシワが発生するのを少なくすることができ、集電体の第1の面及び第2の面にスラリーを均一に塗布することができる。また、スラリー塗布部の乾燥を集電体の両面同時に行うことができるため、作業効率を高めることができる。よって、作業効率に優れ、かつスラリー塗布量の均一性が向上された電極の製造方法を提供することが可能となる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1…外装缶、2…蓋、3…正極出力端子、4…負極出力端子、5…電極群、6…正極、6a…正極集電タブ、6b…正極活物質含有層、7…負極、7a…負極集電タブ、7b…負極活物質含有層、8…セパレータ、9…安全弁、9a…凹部、9b…溝部、10…注液口、11…正極リード、12…負極リード、22,49…芯金、23,50…表層、24…突起部、C…集電体、S…スラリー塗布部、29…活物質含有層、30…電極、31…集電タブ、40…塗工装置、41…第1のダイヘッド、42…第1のバックアップロール、43…第2のダイヘッド、44…第2のバックアップロール、45…搬送用ローラ、46…液溜め部、47…ダイスリット、48…スラリー吐出口、51…乾燥炉、52…サポートロール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【国際調査報告】