(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013099009
(43)【国際公開日】20130704
【発行日】20150430
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20060101AFI20150403BHJP
   H01M 8/00 20060101ALI20150403BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20150403BHJP
   H01M 8/10 20060101ALN20150403BHJP
【FI】
   !H01M8/04 P
   !H01M8/00 A
   !B60L11/18 G
   !H01M8/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
【出願番号】2013551142
(21)【国際出願番号】JP2011080465
(22)【国際出願日】20111228
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 晃太
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】田野 裕
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】金子 智彦
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【テーマコード(参考)】
5H026
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
5H026AA06
5H125AA01
5H125AC07
5H125AC12
5H125BB05
5H125BB07
5H125BB09
5H125CD04
5H125EE26
5H127AA06
5H127AB04
5H127AB29
5H127BA02
5H127BA28
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127CC07
5H127DA05
5H127DB53
5H127DB99
5H127DC89
5H127DC96
5H127FF03
5H127FF04
(57)【要約】
負荷への電力供給源として燃料電池及び二次電池を備えた燃料電池システムであって、通常運転時は、第1の制御部が第1のコンバータ(燃料電池側昇圧コンバータ)に燃料電池の出力電圧を制御させると共に、第2の制御部が第2のコンバータ(二次電池側昇圧コンバータ)に第1の負荷側への出力電圧を制御させる一方で、二次電池の異常発生時は、第1の制御部が第1のコンバータにその出力電圧を制御させると共に、第2の制御部が前記第2のコンバータに第2の負荷側への出力電圧を制御させるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷への電力供給源として燃料電池及び二次電池を備えた燃料電池システムであって、
前記燃料電池と第1の負荷とを接続する燃料電池電力供給経路と、
前記燃料電池電力供給経路上に設けられ、前記燃料電池の出力を昇圧可能な第1のコンバータと、
前記二次電池を前記第1のコンバータよりも前記第1の負荷側に位置する前記燃料電池電力供給経路上の第1の接続点に接続する第1の二次電池電力供給経路と、
前記第1の二次電池電力供給経路上に設けられ、前記二次電池の出力を昇圧可能な第2のコンバータと、
第2の負荷を前記第2のコンバータと前記二次電池との間に位置する前記第1の二次電池電力供給経路上の第2の接続点に接続する第2の二次電池電力供給経路と、
前記第1のコンバータを制御する第1の制御部と、
前記第2のコンバータを制御する第2の制御部と、
を備え、
通常運転時は、前記第1の制御部が前記第1のコンバータに前記燃料電池の出力電圧を制御させると共に、前記第2の制御部が前記第2のコンバータに前記第1の負荷側への出力電圧を制御させ、
前記二次電池の異常発生時は、前記第1の制御部が前記第1のコンバータにその出力電圧を制御させると共に、前記第2の制御部が前記第2のコンバータに前記第2の負荷側への出力電圧を制御させる燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムであって、
前記二次電池の異常発生時は、前記第1のコンバータの出力電圧が当該燃料電池システムの要求出力に合うように制御されると共に、前記第2のコンバータの前記第2の負荷側への出力電圧が一定電圧に制御される燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料電池システムであって、
前記二次電池の異常発生時は、前記第1のコンバータの出力電圧が一定電圧に制御されると共に、前記第2のコンバータの前記第2の負荷側への出力電圧が前記第2の負荷の要求出力に合うように制御される燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記第1の二次電池電力供給経路上の前記二次電池と前記第2の接続点との間に回路遮断部を備え、
前記回路遮断部が前記二次電池の異常発生時に遮断される燃料電池システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記二次電池の異常発生を検知する異常検知部と、
前記異常検知部によって前記二次電池の異常発生が検知された場合に、前記回路遮断部を強制的に遮断させる第3の制御部と、を備える燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷への電力供給源として燃料電池及び二次電池を備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料電池と二次電池の2つを電力供給源とする燃料電池システムや、そのような燃料電池システムを搭載した燃料電池車両が知られている。例えば、特許文献1の燃料電池システムは、負荷に対して並列に接続された燃料電池用のコンバータと二次電池用のコンバータの2つのコンバータを備えており、負荷に安定して電力を供給するために、これら2つのコンバータを協調動作させている。
【0003】
この種の燃料電池システムにおいては、燃料電池用のコンバータに動作不良が発生して燃料電池からの出力が減少すると、その減少分を補うために二次電池からの出力が増大することになり、かかる場合において、二次電池の放電量が許容量を超えてしまうと、過放電に伴う不具合を招く虞がある。
【0004】
このような不具合に対して、特許文献1には、燃料電池用のコンバータが動作不良であると判定した場合に、インバータから負荷に供給される出力電力の上限を燃料電池用のコンバータの出力電力以下に制限することで、二次電池からの過放電を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−135258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、燃料電池用のコンバータと二次電池用のコンバータを備えた燃料電池システムにおいては、負荷の変動に対してバッファ的な役割を果たす二次電池用のコンバータがインバータへの入力電圧を制御するように構成されているため、二次電池に故障等の異常が発生して、二次電池とインバータとの間の電源経路が遮断されてしまうと、インバータへの入力電圧を制御することができなくなり、燃料電池のみで負荷を安定的に運転させることが困難になる。
【0007】
その一例として、燃料電池システムを搭載した燃料電池車両においては、燃料電池のみで駆動モータを安定的に運転させることによって自力で退避場所へ移動することが困難となる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、二次電池の異常発生時においても燃料電池のみによる負荷の安定運転が可能な燃料電池システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池システムは、
負荷への電力供給源として燃料電池及び二次電池を備えた燃料電池システムであって、
前記燃料電池と第1の負荷とを接続する燃料電池電力供給経路と、
前記燃料電池電力供給経路上に設けられ、前記燃料電池の出力を昇圧可能な第1のコンバータと、
前記二次電池を前記第1のコンバータよりも前記第1の負荷側に位置する前記燃料電池電力供給経路上の第1の接続点に接続する第1の二次電池電力供給経路と、
前記第1の二次電池電力供給経路上に設けられ、前記二次電池の出力を昇圧可能な第2のコンバータと、
第2の負荷を前記第2のコンバータと前記二次電池との間に位置する前記第1の二次電池電力供給経路上の第2の接続点に接続する第2の二次電池電力供給経路と、
前記第1のコンバータを制御する第1の制御部と、
前記第2のコンバータを制御する第2の制御部と、
を備え、
通常運転時は、前記第1の制御部が前記第1のコンバータに前記燃料電池の出力電圧を制御させると共に、前記第2の制御部が前記第2のコンバータに前記第1の負荷側への出力電圧を制御させ、
前記二次電池の異常発生時は、前記第1の制御部が前記第1のコンバータにその出力電圧を制御させると共に、前記第2の制御部が前記第2のコンバータに前記第2の負荷側への出力電圧を制御させるものである。
【0010】
このような構成の燃料電池システムによれば、二次電池の異常発生時には、燃料電池のみからでも2つのコンバータを制御して第1の負荷及び第2の負荷への安定的な電力供給が可能となる。
【0011】
上記の構成において、
前記二次電池の異常発生時は、前記第1のコンバータの出力電圧が当該燃料電池システムの要求出力に合うように制御されると共に、前記第2のコンバータの前記第2の負荷側への出力電圧が一定電圧に制御されてもよい。
【0012】
上記の構成において、
前記二次電池の異常発生時は、前記第1のコンバータの出力電圧が一定電圧に制御されると共に、前記第2のコンバータの前記第2の負荷側への出力電圧が前記第2の負荷の要求出力に合うように制御されてもよい。
【0013】
上記の構成において、
前記第1の二次電池電力供給経路上の前記二次電池と前記第2の接続点との間に回路遮断部を備え、
前記回路遮断部が前記二次電池の異常発生時に遮断されるように構成されていてもよい。
【0014】
かかる構成の燃料電池システムにおいて、二次電池の異常発生に伴い回路遮断部が作動して回路が遮断されると、二次電池から第1の負荷及び第2の負荷へ電力が供給されなくなる。
しかしながら、このような場合であっても、第1のコンバータの制御対象電圧が変更され、通常は燃料電池の出力電圧(言い換えれば、第1のコンバータの入力電圧)を制御している第1のコンバータがその出力電圧を制御することになる。
【0015】
同時に、第2のコンバータの制御対象電圧も変更され、通常は第1の負荷側への出力電圧(言い換えれば、第2のコンバータの出力電圧)を制御している第2のコンバータが第2の負荷側への出力電圧を制御することになる。
【0016】
上記構成において、
前記二次電池の異常発生を検知する異常検知部と、
前記異常検知部によって前記二次電池の異常発生が検知された場合に、前記回路遮断部を強制的に遮断させる第3の制御部と、を備えてもよい。
【0017】
かかる構成の燃料電池システムにおいては、二次電池の異常発生が検知された場合に、即座に二次電池を燃料電池システムから切り離し、燃料電池のみでの安定的な運転が実施可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の燃料電池システムによれば、二次電池の異常発生時においても燃料電池のみによる負荷の安定運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。
【図2】二次電池20の異常発生検知時における制御部30の一制御例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0020】
11 燃料電池システム
12 燃料電池
13、14 駆動モータ(第1の負荷)
15 FC昇圧コンバータ(第1のコンバータ)
20 二次電池
21 リレー(回路遮断部)
22 バッテリ昇圧コンバータ(第2のコンバータ)
25、26 補機モータ(第2の負荷)
30 制御部(第1の制御部、第2の制御部、第3の制御部、異常検知部)
A、C 電力供給経路(燃料電池電力供給経路)
B 電力供給経路(第1の二次電池電力供給経路)
D 電力供給経路(第2の二次電池電力供給経路)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る燃料電池システムの一実施形態について説明する。本実施形態では、本発明に係る燃料電池システムを燃料電池車両(FCHV;Fuel Cell Hybrid Vehicle)の車載発電システムとして用いた場合について説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の燃料電池システム11は、負荷への電力供給源として、燃料電池12及び二次電池20を備えている。
【0023】
燃料電池12は、例えば、高分子電解質形燃料電池であり、多数の単セルを積層したスタック構造となっている。単セルは、イオン交換膜からなる電解質の一方の面に空気極を有し、他方の面に燃料極を有し、さらに空気極および燃料極を両側から挟み込むように一対のセパレータを有する構造となっている。そして、一方のセパレータの水素ガス流路に燃料ガスとしての水素ガスが供給され、他方のセパレータの酸化ガス流路に酸化ガスとしての空気が供給され、これらのガスが電気化学反応することで電力が発生する。
【0024】
燃料電池12と車両を走行させるための駆動モータ(第1の負荷)13とは、電力供給経路(燃料電池電力供給経路)Aを介して接続されている。この電力供給経路Aには、燃料電池12側から順に、FC昇圧コンバータ(第1のコンバータ)15及び駆動インバータ16が設けられている。
【0025】
FC昇圧コンバータ15は直流の電圧変換器であり、燃料電池12から入力された直流電圧を調整して駆動インバータ16側へ出力する。駆動モータ13は例えば三相交流モータであり、駆動インバータ16は直流電流を三相交流に変換して駆動モータ13に供給する。
【0026】
電力供給経路Aには、電力供給経路(第1の二次電池電力供給経路)Bが接続されている。電力供給経路Aと電力供給経路Bとの接続点Xは、FC昇圧コンバータ15と駆動インバータ16との間に位置する。電力供給経路Bの一端には二次電池20が接続されており、二次電池20と接続点Xとの間には、二次電池20側から順にリレー(回路遮断部)21及びバッテリ昇圧コンバータ(第2のコンバータ)22が設けられている。
【0027】
二次電池20は、制御部30からの制御信号に基づいて、燃料電池12の出力電力の余剰分や駆動モータ13の回生電力を充電したり、駆動モータ13,14の駆動に必要な電力に対して燃料電池12の出力電力では不足する場合にその不足分の電力を補給したり、後述する補機モータ25,26に電力を供給することが可能になっている。
【0028】
バッテリ昇圧コンバータ22は直流の電圧変換器であり、二次電池20から入力された直流電圧を調整して駆動モータ13,14側へ出力する機能と、燃料電池12または駆動モータ13から入力された直流電圧を調整して二次電池20及び/又は補機モータ25,26に出力する機能と、を有する。このようなバッテリ昇圧コンバータ22の機能により、二次電池20の充放電が実現される。
【0029】
また、このようなバッテリ昇圧コンバータ22の機能により、燃料電池システム11の通常運転時は、駆動インバータ16及び補機インバータ17への入力電圧が制御される一方で、後述するリレー21が何らかの原因で切断され、二次電池20が燃料電池システム11から切り離された状態になった場合(二次電池の異常発生時)には、燃料電池12から補機モータ25,26への給電が可能となる。
【0030】
電力供給経路Bの高電圧側には、電力供給経路(燃料電池電力供給経路)Cが接続されている。電力供給経路Bと電力供給経路Cとの接続点Yは、接続点Xとバッテリ昇圧コンバータ22との間に位置する。電力供給経路Cの一端には、駆動モータ(第1の負荷)14が接続されている。駆動モータ14は、例えば三相交流モータであり、燃料電池12に空気(酸化ガス)を圧送するエアコンプレッサの駆動モータである。駆動モータ14と接続点Yとの間には、補機インバータ17が設けられている。補機インバータ17は、直流電流を三相交流に変換して駆動モータ14に供給する。
【0031】
電力供給経路Bの低電圧側(二次電池20側)には、電力供給経路D(第2の二次電池電力供給経路)が接続されている。電力供給経路Bと電力供給経路Dとの接続点Zは、バッテリ昇圧コンバータ22とリレー21との間に位置する。電力供給経路Dは、二又に分岐しており、その分岐先にはそれぞれ補機インバータ23,24及び補機モータ25,26が設けられている。
【0032】
補機モータ25は、燃料電池12の水素ガス流路から排出された水素オフガスを燃料電池12に還流させるための水素ポンプを駆動するモータである。補機モータ26は、燃料電池12の温調に使用される冷却水を循環させるための冷却水ポンプを駆動するモータである。補機インバータ23,24は、それぞれ直流電流を三相交流に変換して補機モータ25,26に供給する。
【0033】
制御部30は、燃料電池システム11を統合制御するためのコンピュータシステムであり、例えばCPU、RAM、ROM等を有している。制御部30は、各種センサから供給される信号(例えば、アクセル開度を表す信号、車速を表す信号、燃料電池12の出力電流や出力電圧を表す信号等で、図1には一部のみを図示している。)の入力を受けて、駆動モータ13,14及び補機モータ25,26を含む負荷全体の要求電力を算出する。
【0034】
なお、本実施形態の制御部30は、二次電池20あるいはその周辺に設けられたセンサ類から供給される信号に基づいて、二次電池20の故障等の異常の発生を検知することも可能である。つまり、制御部30は、本発明の異常検知部としての機能を兼ね備えている。
【0035】
さらに、制御部30は、二次電池20の異常発生を検知した場合に、リレー21を開いて二次電池20から駆動モータ13,14及び補機モータ25,26への電力供給を遮断する。つまり、制御部30は、本発明の第3の制御部としての機能も兼ね備えている。
【0036】
駆動モータ13,14及び補機モータ25,26以外の負荷としては、車両走行に必要な装置(変速機、車輪制御装置、操舵装置、懸架装置等)で消費される電力や、乗員空間内に配置される装置(空調装置、照明器具、オーディオ等)で消費される電力等がある。
【0037】
制御部30は、燃料電池12と二次電池20の各出力電力の配分を決定し、発電指令値を算出する。より具体的には、制御部30は、燃料電池12及び二次電池20に対する要求電力を算出すると、これらの要求電力が得られるようにFC昇圧コンバータ15及びバッテリ昇圧コンバータ22の動作を制御する。
【0038】
制御部30は、二次電池20に異常が発生していない時を含む通常運転時においては、FC昇圧コンバータ15に燃料電池12の出力電圧を制御させると共に、バッテリ昇圧コンバータ22に駆動モータ13,14側への出力電圧、言い換えれば、駆動インバータ16及び補機インバータ17への入力電圧を制御させるが、二次電池20の異常発生時においては、バッテリ昇圧コンバータ22に補機モータ25,26への出力電圧を制御させると共に、FC昇圧コンバータ15にその出力電圧、言い換えれば、駆動インバータ16及び補機インバータ17への入力電圧が駆動モータ13,14及び補機モータ25,26の駆動出力を含む燃料電池システム11全体の要求出力に合うように制御させる。
【0039】
このように、本実施形態の制御部30は、本発明の第1の制御部の機能と第2の制御部の機能を兼ね備えた一つの制御装置として構成されているが、第1の制御部と第2の制御部がそれぞれ別々の制御装置から構成されていても良いことは勿論である。
【0040】
本実施形態の燃料電池システム11は、二次電池20の故障(異常)を検知した時に、バッテリレス退避走行モードにシステム制御を切り替え、車両運転を継続することができる点に特徴がある。以下、この点に関して制御部30が行なう動作について、図2のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0041】
制御部30は、二次電池20の故障(異常)を検知すると(ステップS1)、二次電池20のリレー21を切断する(ステップS3)。これにより、二次電池20が燃料電池システム11から切り離される。
【0042】
次いで、制御部30は、バッテリ昇圧コンバータ22の制御対象を二次電池20側の電圧、言い換えれば、補機インバータ23,24への入力電圧に切り換え、定電圧制御を行う(ステップS5)。このとき、制御部30は、バッテリ昇圧コンバータ22によって制御される二次電池側電圧として、電力供給経路Dに接続されている補機インバータ23,24が最大出力を供給できる電圧、例えば、二次電池20のOCV電圧を指令する。
【0043】
また、FC昇圧コンバータ15の制御対象を駆動インバータ16及び補機インバータ17の入力電圧に切り換え、駆動モータ13,14及び補機モータ25,26の駆動に必要な出力を含む燃料電池システム11全体の要求出力に合わせた電圧制御を行う(ステップS7)。
このとき、制御部30に記憶されて各種の制御に用いられる負荷マップと負荷変動や、駆動モータ13,14の減磁等に起因する消費電力の相違に起因する制御誤差が不可避的に発生している場合がある。
【0044】
そして、かかる場合にその状態を放置しておくと、燃料電池12に供給しているエア流量から計算される許容出力を超える出力が燃料電池12から引き出され、不安定な発電状態を引き起こす虞がある。
【0045】
そこで、上記制御誤差に相当する出力を燃料電池12が出力できるよう、駆動モータ14の回転数を通常運転時よりも上げることにより、燃料電池12に供給するエア流量を増加させる(ステップS9)。このエア流量の増量補正は、システムが発生し得る制御誤差を吸収できる量に設定することで、システム効率を最適化することが可能となる。
【0046】
以上のように制御することで、通常運転時に二次電池20が接続されていた端子の電圧、すなわち、補機インバータ23,24の入力電圧と、駆動インバータ16及び補機インバータ17の入力電圧とが、それぞれ2つのコンバータ(FC昇圧コンバータ15、バッテリ昇圧コンバータ22)により制御され、その結果、燃料電池12の端子電圧(出力電圧)も燃料電池システム11に対する要求電力に応じて決定されることになるため、燃料電池システム11の安定的な運転が可能となり、いわゆる退避走行も可能となる。
【0047】
なお、上述したとおり、二次電池20が燃料電池システム11から切り離された状況下においては、バッテリ昇圧コンバータ22は二次電池20側の電圧、すなわち、補機インバータ23,24への入力電圧を制御する必要があり、このような状況は、接続点Zにおけるキャパシタンスが著しく低下する結果、バッテリ昇圧コンバータ22の制御安定性は通常運転時よりも著しく悪化してしまう。
【0048】
そこで、このような状況においても、バッテリ昇圧コンバータ22による補機インバータ23,24への入力電圧の制御を安定化させるべく、制御部30は、上記実施形態で説明したようなFC昇圧コンバータ15の出力制御を実施する代わりに、駆動インバータ16及び補機インバータ17への入力電圧が一定電圧に固定されるように、FC昇圧コンバータ15の出力電圧を制御するようにしてもよい。
【0049】
具体的には、まず、車両の退避走行に必要な燃料電池システム11全体の要求出力を求め、次に、その要求出力を出力可能な駆動インバータ16及び補機インバータ17への入力電圧を求め、そして、その入力電圧をFC昇圧コンバータ15の目標出力電圧に設定することで、バッテリ昇圧コンバータ22の制御安定性を図ることができる。
【0050】
また、駆動モータ14の応答特性は駆動モータ13の応答特性と比較して遅いため、アクセル要求(アクセルペダルの開度)に合わせて駆動モータ13のトルク制御と駆動モータ14のトルク制御を行う場合には、駆動モータ13の出力の増加速度が駆動モータ14の出力の増加速度よりも速く、燃料電池12が出力可能な出力を超過してしまう可能性がある。
【0051】
このような場合の対策としては、上述したようなエア供給量を増加させる制御も有効であるが、エア供給量を増加させる代わりに、例えば燃料電池12の空気供給路に設けられているエアフロセンサ等の流量計から検知されるエア流量に基づき、燃料電池12が発電可能な出力上限値を求め、その出力上限値を超えない範囲で、アクセル要求に応じた駆動モータ13,14のトルク制御を実施するようにしてもよい。
【0052】
なお、本実施形態では、二次電池20の異常発生が検知された場合に、二次電池20が燃料電池システム11から切り離されてしまうため、かかる場合には、モータ回生を一切禁止するようにしてもよいし、駆動モータ14、補機モータ25,26、その他の補機(例えば、暖房用のヒータ)等によって、回生電力の安定的な消費が可能であると判断できる場合には、その消費可能な範囲内でモータ回生を許容してもよい。かかる場合には、二次電池20が使用できない状況下においても運転の快適性悪化を最小限に抑えることができる。
【0053】
なお、上述した実施形態においては、本発明に係る燃料電池システムを燃料電池車両に搭載した場合について説明したが、燃料電池車両以外の各種移動体(ロボット、船舶、航空機等)にも本発明に係る燃料電池システムを適用することができる。また、本発明に係る燃料電池システムを、建物(住宅、ビル等)用の発電設備として用いられる定置用発電システムに適用することもできる。
【図1】
【図2】
【国際調査報告】