(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013099011
(43)【国際公開日】20130704
【発行日】20150430
(54)【発明の名称】減速因子推定装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/12 20120101AFI20150403BHJP
   B60W 40/13 20120101ALI20150403BHJP
   B60T 1/16 20060101ALI20150403BHJP
【FI】
   !B60W40/12
   !B60W40/13
   !B60T1/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
【出願番号】2013551144
(21)【国際出願番号】JP2011080475
(22)【国際出願日】20111228
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100117075
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 剣太
(72)【発明者】
【氏名】山王堂 真也
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大竹 宏忠
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA49
3D241CD10
3D241CD12
3D241CE04
3D241CE09
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3D241DB12Z
3D241DB46A
3D241DB46Z
(57)【要約】
車両(2)の減速因子を推定する減速因子推定装置(1)は、車両(2)の駆動力を取得する駆動力取得部(62)と、車両(2)の速度を取得する速度取得部(60)と、車両(2)の加速度を取得する加速度取得部(61)と、取得された駆動力と速度と加速度との関係に基づいて複数の減速因子を推定する減速因子推定部(63、64、65、66)と、を有し、減速因子推定部(63、64、65、66)は、車両(2)の走行状態に基づいて、推定する減速因子の種類を切り換える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の減速因子を推定する減速因子推定装置であって、
前記車両の駆動力を取得する駆動力取得部と、
前記車両の速度を取得する速度取得部と、
前記車両の加速度を取得する加速度取得部と、
取得された駆動力と速度と加速度との関係に基づいて複数の減速因子を推定する減速因子推定部と、を有し、
前記減速因子推定部は、前記車両の走行状態に基づいて、推定する前記減速因子の種類を切り換えることを特徴とする減速因子推定装置。
【請求項2】
前記減速因子推定部は、前記車速及び前記加速度に基づいて、推定する減速因子の種類を換えることを特徴とする請求項1に記載の減速因子推定装置。
【請求項3】
前記減速因子は、車両重量を含み、
前記減速因子推定部は、前記車速がしきい値未満で前記加速度がしきい値より大きい場合、前記推定する減速因子を車両重量とすることを特徴とする請求項1または2に記載の減速因子推定装置。
【請求項4】
前記減速因子は、空気抵抗係数を含み、
前記減速因子推定部は、前記車速がしきい値より大きく、前記加速度がしきい値未満である場合、前記推定する減速因子を空気抵抗係数とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の減速因子推定装置。
【請求項5】
前記減速因子は、ロードロードを含み、
前記減速因子推定部は、前記車速がしきい値未満で前記加速度がしきい値未満である場合、前記推定する減速因子をロードロードとすることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の減速因子推定装置。
【請求項6】
車両の減速因子を推定する減速因子推定装置であって、
前記車両の駆動力を取得する駆動力取得部と、
前記車両の速度を取得する速度取得部と、
前記車両の加速度を取得する加速度取得部と、
取得された駆動力と速度と加速度との関係に基づいて減速因子を推定する減速因子推定部と、を有し、
前記減速因子は、空気抵抗係数を含み、
前記減速因子推定部は、前記車両の走行状態が設定した条件を満たす場合、前記空気抵抗係数を推定することを特徴とする減速因子推定装置。
【請求項7】
前記車両の走行状態が設定した条件は、前記車速がしきい値より大きいことを含む請求項6に記載の減速因子推定装置。
【請求項8】
前記車両の走行状態が設定した条件は、前記加速度がしきい値以下であることを含む請求項6または7に記載の減速因子推定装置。
【請求項9】
車両の減速因子を推定する減速因子推定装置であって、
前記車両の駆動力を取得する駆動力取得部と、
前記車両の速度を取得する速度取得部と、
前記車両の加速度を取得する加速度取得部と、
取得された駆動力と速度と加速度との関係に基づいて減速因子を推定する減速因子推定部と、を有し、
前記減速因子は、ロードロードを含み、
前記減速因子推定部は、前記車両の走行状態が設定した条件を満たす場合、前記ロードロードを推定することを特徴とする減速因子推定装置。
【請求項10】
前記車両の走行状態が設定した条件は、前記車速がしきい値未満であることを含む請求項9に記載の減速因子推定装置。
【請求項11】
前記車両の走行状態が設定した条件は、前記加速度がしきい値より大きいことを含む請求項9または10に記載の減速因子推定装置。
【請求項12】
前記減速因子は、車両重量と、空気抵抗係数と、ロードロードと、を含み、
前記減速因子推定部は、運動方程式を用いて減速因子と駆動力と速度と加速度との関係を解析し、前記推定する減速因子を推定することを特徴とする請求項1から11に記載の減速因子推定装置。
【請求項13】
前記減速因子推定部は、運動方程式の前記推定する減速因子以外の減速因子に設定値を用いることを特徴とする請求項12に記載の減速因子推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速因子推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載され、車両の走行を支援する走行支援装置が知られている。この走行支援装置は、車両の走行を支援するために、車両の各種特性に基づいて車両の挙動を判定する。ここで、車両の各種特性は、走行時の条件により変動ものがある。このように変動する車両の特性を検出する装置としては、例えば、特許文献1から特許文献3に記載されている装置がある。特許文献1には、車両の走行エネルギを演算するシステムが記載されている。このシステムは、推定した走行速度と車両に関するパラメータと道路に関するパラメータに基づいて、勾配抵抗、空気抵抗、加速抵抗及び転がり抵抗を算出して走行エネルギを求めている。また、特許文献2および3には、車両の重量を推定する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−016465号公報
【特許文献2】特開2007−271282号公報
【特許文献3】特開2002−81989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車両の特性には、減速に関連する特性、つまり走行の際に走行の抵抗となる特性がある。車両は、これらの減速因子を算出し、その算出結果に基づいて、各種制御を行うことで車両を適切に制御することができる。車両の減速因子の中には、走行時の条件により変動するものがある。このような走行時の条件に応じて変動する車両の減速因子としては、特許文献1に記載されている空気抵抗、転がり抵抗や、特許文献2および3に記載されている車両重量がある。特許文献1から3では各種条件を算出することで、各減速因子を推定しているが、推定した減速因子と実際の減速因子とがずれてしまい、推定の精度が低くなってしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、より高い精度で減速因子を推定することができる減速因子推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車両の減速因子を推定する減速因子推定装置であって、前記車両の駆動力を取得する駆動力取得部と、前記車両の速度を取得する速度取得部と、前記車両の加速度を取得する加速度取得部と、取得された駆動力と速度と加速度との関係に基づいて複数の減速因子を推定する減速因子推定部と、を有し、前記減速因子推定部は、前記車両の走行状態に基づいて、推定する前記減速因子の種類を切り換えることを特徴とする。
【0007】
また、前記減速因子推定部は、前記車速及び前記加速度に基づいて、推定する減速因子の種類を換えることが好ましい。
【0008】
また、前記減速因子は、車両重量を含み、前記減速因子推定部は、前記車速がしきい値未満で前記加速度がしきい値より大きい場合、前記推定する減速因子を車両重量とすることが好ましい。
【0009】
また、前記減速因子は、空気抵抗係数を含み、前記減速因子推定部は、前記車速がしきい値より大きく前記加速度がしきい値未満である場合、前記推定する減速因子を空気抵抗係数とすることが好ましい。
【0010】
また、前記減速因子は、ロードロードを含み、前記減速因子推定部は、前記車速がしきい値未満で前記加速度がしきい値未満である場合、前記推定する減速因子をロードロードとすることが好ましい。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、車両の減速因子を推定する減速因子推定装置であって、前記車両の駆動力を取得する駆動力取得部と、前記車両の速度を取得する速度取得部と、前記車両の加速度を取得する加速度取得部と、取得された駆動力と速度と加速度との関係に基づいて減速因子を推定する減速因子推定部と、を有し、前記減速因子は、空気抵抗係数を含み、前記減速因子推定部は、前記車両の走行状態が設定した条件を満たす場合、前記空気抵抗係数を推定することを特徴とする。
【0012】
また、前記車両の走行状態が設定した条件は、前記車速がしきい値より大きいことが好ましい。
【0013】
また、前記車両の走行状態が設定した条件は、前記加速度がしきい値以下であることが好ましい。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、車両の減速因子を推定する減速因子推定装置であって、前記車両の駆動力を取得する駆動力取得部と、前記車両の速度を取得する速度取得部と、前記車両の加速度を取得する加速度取得部と、取得された駆動力と速度と加速度との関係に基づいて減速因子を推定する減速因子推定部と、を有し、前記減速因子は、ロードロードを含み、前記減速因子推定部は、前記車両の走行状態が設定した条件を満たす場合、前記ロードロードを推定することを特徴とする。
【0015】
また、前記車両の走行状態が設定した条件は、前記車速がしきい値未満であることが好ましい。
【0016】
また、前記車両の走行状態が設定した条件は、前記加速度がしきい値より大きいことが好ましい。
【0017】
また、前記減速因子は、車両重量と、空気抵抗係数と、ロードロードと、を含み、前記減速因子推定部は、運動方程式を用いて減速因子と駆動力と速度と加速度との関係を解析し、前記推定する減速因子を推定することが好ましい。
【0018】
また、前記減速因子推定部は、運動方程式の前記推定する減速因子以外の減速因子に設定値を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る減速因子推定装置は、高い精度で減速因子を推定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、車両制御システムを表す概略構成図である。
【図2】図2は、ECU及び減速因子推定装置の概略構成の一例を表すブロック図である。
【図3】図3は、車両に作用する力を模式的に示す説明図である。
【図4】図4は、推定する減速因子と速度と加速度との関係を示す説明図である。
【図5】図5は、ECUによる制御の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、車両重量の算出結果と時間の関係を示す説明図である。
【図7】図7は、空気抵抗係数の算出結果と時間の関係を示す説明図である。
【図8】図8は、ロードロードの算出結果と時間の関係を示す説明図である。
【図9】図9は、駆動力の算出結果と時間の関係を示す説明図である。
【図10】図10は、駆動力の算出結果と時間の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0022】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る車両制御システムを表す概略構成図であり、図2は、ECU及び減速因子推定装置の概略構成の一例を表すブロック図である。
【0023】
本実施形態の減速因子推定装置1は、図1に示すように、車両2に搭載される車両制御システム3に適用される。減速因子推定装置1は、ECU(Electronic Control Unit)50を備える。そして、減速因子推定装置1は、状況に応じてECU50で各種演算を行うことで、減速因子を推定する。なお、本実施形態の車両2は、ECU50により減速因子推定装置1で推定した減速因子を用いて走行状態を推定し、その結果に基づいてHMI装置(支援装置)4や駆動源(エンジン5、MG6)等を制御し種々の走行支援を実行することで、車両2の走行を支援する。
【0024】
本実施形態の車両制御システム3は、エンジン5とMG6とを組み合わせて、車両2の駆動輪を回転駆動させるための走行用駆動源とする、いわゆるハイブリッドシステムでもある。すなわち、車両2は、エンジン5に加えてMG6を走行用駆動源として備えたハイブリッド車両である。車両2は、エンジン5を可及的に効率の良い状態で運転する一方、動力やエンジンブレーキ力の過不足を回転電機であるMG6で補い、さらには減速時にエネルギの回生をおこなうことにより、燃費の向上を図るように構成されたものである。
【0025】
具体的には、車両制御システム3は、HMI装置4、内燃機関としてのエンジン5、電動機としてのモータジェネレータ(以下、「MG」という場合がある。)6、変速機7、ブレーキ装置8、バッテリ9等を含む。また、車両制御システム3は、車速センサ10、加速度センサ11、ヨーレートセンサ12、アクセルセンサ13、ブレーキセンサ14、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)装置(以下、「GPS」という場合がある。)15、無線通信装置16、データベース(以下、「DB」という場合がある。)17等を含む。
【0026】
HMI装置4は、車両2の運転を支援する情報である運転支援情報を出力可能な支援装置であり、運転者に対する運転支援情報の提供等を行う装置である。HMI装置4は、車載機器であって、例えば、車両2の車室内に設けられたディスプレイ装置(視覚情報表示装置)やスピーカ(音出力装置)等を有する。HMI装置4は、既存の装置、例えば、ナビゲーションシステムのディスプレイ装置やスピーカ等が流用されてもよい。HMI装置4は、燃費向上を実現できるように、音声情報、視覚情報(図形情報、文字情報)等によって情報提供を行い、運転者の運転操作を誘導する。HMI装置4は、こうした情報提供により運転者の運転操作による目標値の実現を支援する。HMI装置4は、ECU50に電気的に接続されこのECU50により制御される。なお、HMI装置4は、例えば、ハンドル振動、座席振動、ペダル反力などの触覚情報を出力する触覚情報出力装置等を含んで構成されてもよい。
【0027】
車両制御システム3は、車両2の走行を実現する種々のアクチュエータとして、エンジン5、MG6、変速機7、ブレーキ装置8、バッテリ9等を搭載している。
【0028】
エンジン5は、運転者による加速要求操作、例えば、アクセルペダルの踏み込み操作に応じて、車両2の車輪に駆動力を作用させるものである。エンジン5は、車両2の駆動輪に作用させる走行用の動力として、燃料を消費して機関トルクとしてのエンジントルクを発生させる。エンジン5は、要は、燃料を燃焼して生じる熱エネルギをトルクなどの機械的エネルギの形で出力する熱機関であって、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、LPGエンジンなどがその一例である。エンジン5は、例えば、不図示の燃料噴射装置、点火装置、及びスロットル弁装置などを備えており、これらの装置は、ECU50に電気的に接続されこのECU50により制御される。エンジン5は、ECU50によって出力トルクが制御される。なお、エンジン5が発生させる動力は、MG6における発電に用いてもよい。
【0029】
MG6は、運転者による加速要求操作、例えば、アクセルペダルの踏み込み操作に応じて、車両2の車輪に駆動力を作用させるものである。MG6は、車両2の駆動輪に作用させる走行用の動力として、電気エネルギを機械的な動力に変換してモータトルクを発生させる。MG6は、固定子であるステータと回転子であるロータとを備えた、いわゆる回転電機である。MG6は、電気エネルギを機械的動力に変換して出力する電動機であると共に、機械的動力を電気エネルギに変換して回収する発電機でもある。すなわち、MG6は、電力の供給により駆動し電気エネルギを機械エネルギに変換して出力する電動機としての機能(力行機能)と、機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機としての機能(回生機能)とを兼ね備えている。MG6は、直流電流と交流電流との変換を行うインバータ等を介してECU50に電気的に接続されこのECU50により制御される。MG6は、ECU50によってインバータを介して出力トルク及び発電量が制御される。
【0030】
変速機7は、エンジン5やMG6による回転出力を変速して車両2の駆動輪側に伝達する動力伝達装置である。変速機7は、いわゆる手動変速機(MT)であってもよいし、有段自動変速機(AT)、無段自動変速機(CVT)、マルチモードマニュアルトランスミッション(MMT)、シーケンシャルマニュアルトランスミッション(SMT)、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)などのいわゆる自動変速機であってもよい。ここでは、変速機7は、例えば、遊星歯車機構等を用いた無段変速機であるものとして説明する。変速機7は、変速機アクチュエータ等がECU50に電気的に接続されこのECU50により制御される。
【0031】
ブレーキ装置8は、運転者による制動要求操作、例えば、ブレーキペダルの踏み込み操作に応じて、車両2の車輪に制動力を作用させるものである。ブレーキ装置8は、例えば、ブレーキパッドやブレーキディスク等の摩擦要素間に所定の摩擦力(摩擦抵抗力)を発生させることで車両2の車体に回転可能に支持された車輪に制動力を付与する。これにより、ブレーキ装置8は、車両2の車輪の路面との接地面に制動力を発生させ、車両2を制動することができる。ブレーキ装置8は、ブレーキアクチュエータ等がECU50に電気的に接続されこのECU50により制御される。
【0032】
バッテリ9は、電力を蓄えること(蓄電)、及び、蓄えた電力を放電することが可能な蓄電装置である。バッテリ9は、ECU50と電気的に接続されており、種々の情報に関する信号をECU50に出力する。本実施形態のバッテリ9は、充電状態の情報として、SOC(State of Charge)を検出し、ECU50に出力する。
【0033】
MG6は、電動機として機能する場合、このバッテリ9に蓄えられた電力がインバータを介して供給され、供給された電力を車両2の走行用の動力に変換して出力する。また、MG6は、発電機として機能する場合、入力される動力によって駆動されて発電し、発電した電力を、インバータを介してバッテリ9に充電する。このとき、MG6は、ロータに生じる回転抵抗により、ロータの回転を制動(回生制動)することができる。この結果、MG6は、回生制動時には、電力の回生によりロータに負のモータトルクであるモータ回生トルクを発生させることができ、結果的に、車両2の駆動輪に制動力を付与することができる。つまり、この車両制御システム3は、車両2の駆動輪からMG6に機械的動力が入力され、これにより、MG6が回生により発電することで、車両2の運動エネルギを電気エネルギとして回収することができる。そして、車両制御システム3は、これに伴ってMG6のロータに生じる機械的動力(負のモータトルク)を駆動輪に伝達することで、MG6により回生制動を行うことができる。この場合、この車両制御システム3は、MG6による回生量(発電量)が相対的に小さくされると、発生する制動力が相対的に小さくなり、車両2に作用する減速度が相対的に小さくなる。一方、この車両制御システム3は、MG6による回生量(発電量)が相対的に大きくされると、発生する制動力が相対的に大きくなり、車両2に作用する減速度が相対的に大きくなる。
【0034】
車速センサ10、加速度センサ11、ヨーレートセンサ12、アクセルセンサ13、ブレーキセンサ14は、車両2の走行状態や運転者による車両2に対する入力(ドライバ入力)、すなわち、運転者による車両2に対する実際の操作に関する状態量や物理量を検出する状態検出装置である。車速センサ10は、車両2の車両速度(以下、「車速」という場合がある。)を検出する。加速度センサ11は、車両2の加速度を検出する。なお、本実施形態の加速度センサ11は、少なくとも車両2の前後方向の加速度を検出する。ヨーレートセンサ12は、車両のヨーレートを検出する。アクセルセンサ13は、運転者によるアクセルペダルの操作量(踏み込み量)であるアクセル開度を検出する。ブレーキセンサ14は、運転者によるブレーキペダルの操作量(踏み込み量)、例えば、マスタシリンダ圧等を検出する。車速センサ10、アクセルセンサ13、ブレーキセンサ14は、ECU50と電気的に接続されており、検出信号をECU50に出力する。
【0035】
GPS装置15は、車両2の現在の位置を検出する装置である。GPS装置15は、GPS衛星が出力するGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて、車両2の位置情報であるGPS情報(X座標;X,Y座標;Y)を測位・演算する。GPS装置15は、ECU50と電気的に接続されており、GPS情報に関する信号をECU50に出力する。
【0036】
無線通信装置16は、無線通信を利用して車両2の走行に関する先読み情報を取得する先読み情報取得装置である。無線通信装置16は、例えば、路側に設置された光ビーコン等の路車間通信機器(路側機)、他の車両に車載された車車間通信機器、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ等を介するインターネット等の通信インフラを利用して情報のやりとりを行う装置等から無線通信を利用して先読み情報を取得する。無線通信装置16は、先読み情報として、例えば、先行車両情報、後続車両情報、信号情報、工事・交通規制情報、渋滞情報、緊急車両情報、事故履歴データベースに関する情報等を取得する。例えば、信号情報は、車両2の走行方向前方の信号機の位置情報、青信号、黄信号、赤信号の点灯サイクルや信号変化タイミング等の信号サイクル情報等を含む。無線通信装置16は、ECU50と電気的に接続されており、先読み情報に関する信号をECU50に出力する。
【0037】
データベース17は、種々の情報を記憶するものである。データベース17は、道路情報を含む地図情報、車両2の実際の走行で得られる種々の情報や学習情報、無線通信装置16が取得する先読み情報等を記憶する。例えば、道路情報は、道路勾配情報、路面状態情報、道路形状情報、制限車速情報、道路曲率(カーブ)情報、一時停止情報、停止線位置情報等を含む。データベース17に記憶されている情報は、ECU50によって適宜参照され、必要な情報が読み出される。なお、このデータベース17は、ここでは車両2に車載するものとして図示しているが、これに限らず、車両2の車外の情報センタ等に設けられ、無線通信等を介して、ECU50によって適宜参照され、必要な情報が読み出される構成であってもよい。本実施形態のデータベース17は、学習情報として、停止線等の基準停止位置が設けられている信号機や交差点等で車両2が停止した位置(実停止位置)の情報を蓄積している。データベース17は、実停止位置の情報を基準停止位置毎に蓄積している。
【0038】
ECU50は、車両制御システム3の全体の制御を統括的に行う制御ユニットであり、例えば、CPU、ROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路として構成されている。ECU50は、車速センサ10、加速度センサ11、ヨーレートセンサ12、アクセルセンサ13及びブレーキセンサ14が検出した検出結果、GPS装置15が取得したGPS情報、無線通信装置16が取得した先読み情報、データベース17に記憶されている種々の情報、各部の駆動信号、制御指令等に対応した電気信号が入力される。ECU50は、入力されたこれらの電気信号等に応じて、HMI装置4、エンジン5、MG6、変速機7、ブレーキ装置8、バッテリ9等を制御する。ECU50は、例えば、アクセル開度、車速等に基づいてエンジン5の駆動制御、MG6の駆動制御、変速機7の変速制御、ブレーキ装置8の制動制御などを実行する。また、ECU50は、例えば、運転状態に応じてエンジン5とMG6とを併用又は選択使用することで、車両2において様々な車両走行(走行モード)を実現することができる。
【0039】
また、ECU50は、例えば、アクセルセンサ13による検出結果に基づいて、運転者による車両2に対する加速要求操作であるアクセル操作のON/OFFとアクセル開度を検出することができる。同様に、ECU50は、例えば、ブレーキセンサ14による検出結果に基づいて、運転者による車両2に対する制動要求操作であるブレーキ操作のON/OFFを検出することができる。なお、運転者によるアクセル操作がOFFである状態とは、運転者が車両2に対する加速要求操作を解除した状態であり、運転者によるアクセル操作がONである状態とは、運転者が車両2に対する加速要求操作を行っている状態である。同様に、運転者によるブレーキ操作がOFFである状態とは、運転者が車両2に対する制動要求操作を解除した状態であり、運転者によるブレーキ操作がONである状態とは、運転者が車両2に対する制動要求操作を行っている状態である。また、ECU50は、アクセル開度に基づいてドライバ要求パワーを検出する。
【0040】
以下、図2のブロック図を参照して、ECU50の概略構成の一例を説明する。ECU50は、図2に示すように、車両特性演算部51と、記憶部52と、走行支援制御部53と、を有する。車両特性演算部51と記憶部52とは、減速因子推定装置1に含まれる。減速因子推定装置1は、ECU50に加え、車両状態を検出する各種センサや、周囲の情報を供給する各種情報取得部を含んでいてもよい。減速因子推定装置1は、車両状態を検出する各種センサや、周囲の情報を供給する各種情報取得部を含まず、車両状態を検出する各種センサや、周囲の情報を供給する各種情報取得部から情報を取得する通信部を取得部として含んでもよい。ここで、ECU50の車両特性演算部51と、走行支援制御部53とは、車内ネットワークとして構築されたCAN(Control Area Network)56を介して、エンジン制御ECU、MG制御ECU、変速機制御ECU、ブレーキ制御ECU、バッテリ制御ECU等の各種アクチュエータを制御するアクチュエータECUやセンサ類に接続される。車両特性演算部51と、走行支援制御部53とは、CAN56を介して各種アクチュエータの制御値やセンサの検出値を車両情報として取得する。
【0041】
車両特性演算部51は、車両2の各種特性、本実施形態では、車両2の減速因子を演算する。具体的には、車両特性演算部51は、CAN56を介して各種情報を取得し、取得した情報を解析することで車両2の減速因子を推定する。
【0042】
車両特性演算部51は、車速演算部(速度取得部)60と、加速度演算部(加速度取得部)61と、駆動力演算部(駆動力取得部)62と、車重演算部63と、空気抵抗演算部64と、ロードロード演算部65と、推定処理制御部66と、を有する。減速因子推定装置1は、車両特性演算部51の車重演算部63と、空気抵抗演算部64と、ロードロード演算部65と、推定処理制御部66とを含む構成が、減速因子推定部となる。車速演算部60と加速度演算部61と駆動力演算部62とは、減速因子の推定に用いる各種パラメータを取得する。
【0043】
車速演算部60は、車両2の車速を取得する演算部である。車速演算部60は、CAN56を介して車速センサ10の検出値を取得することで、車両2の車速を取得することができる。なお、車速演算部60は、取得した車速センサ10の検出値をそのまま車両2の車速として取得してもよいし、車速センサ10の検出値を演算処理して車両2の車速を取得してもよい。
【0044】
加速度演算部61は、車両2の加速度を取得する演算部である。加速度演算部61は、CAN56を介して加速度センサ11の検出値を取得することで、車両2の加速度を取得することができる。なお、加速度演算部61は、取得した加速度センサ11の検出値をそのまま車両2の車速として取得してもよいし、加速度センサ11の検出値を演算処理して車両2の車速を取得してもよい。また、加速度演算部61は、加速度センサ11の検出値を用いずに加速度を算出してもよい。例えば、加速度演算部61は、車速センサ10で検出した車速を微分して加速度を取得してもよい。
【0045】
駆動力演算部62は、車両2の駆動力を取得する演算部である。駆動力演算部62は、CAN56を介してエンジン5、MG6の駆動条件の検出値を取得し、検出値を演算することで、車両2の駆動力を取得することができる。例えば、駆動力演算部62は、エンジンの回転数、MG6の出力等を各種条件に基づいて演算することで、算出することができる。また、駆動力演算部62は、減速時でかつ運転者がブレーキ操作を行っていないときのエンジン5、MG6で発生する負荷(エンジンブレーキ、回生ブレーキ)の値を取得し、演算することで駆動力を取得してもよい。また、駆動力演算部62は、CAN56を介してアクセルセンサ13の検出値、つまりアクセル開度を取得し、取得したアクセル開度から車両2の駆動力を取得してもよい。
【0046】
車重演算部63は、車両重量を推定する演算部である。空気抵抗演算部64は、空気抵抗係数を推定する演算部である。ロードロード演算部65は、ロードロードを推定する演算部である。車重演算部63と、空気抵抗演算部64と、ロードロード演算部65と、で実行する演算については後述する。ここで、ロードロード(走行抵抗)とは、駆動源から路面までの間で生じる抵抗であり、タイヤと路面との間で発生する路面抵抗や、駆動源で発生した駆動力を伝達する駆動系で発生する抵抗(メカロス)等が含まれる。このように、本実施形態の車両特性演算部51は、車重演算部63、空気抵抗演算部64、ロードロード演算部65で推定される車両重量と空気抵抗係数とロードロードとが減速因子となる。
【0047】
推定処理制御部66は、車両特性演算部51の各部の処理を制御する。推定処理制御部66は、車速演算部60で取得した車速と、加速度演算部61で取得した加速度とに基づいて、車重演算部63は、車両重量を推定する処理を実行するか否か、空気抵抗演算部64で空気抵抗係数を推定する処理を実行するか否か、ロードロード演算部65でロードロードを推定する処理を実行するか否かを決定し、決定に基づいて各種減速因子の推定処理を実行させる。この点についても後述する。
【0048】
次に、記憶部52は、車両特性演算部51で算出された値や、各種演算に必要な値を記憶する。記憶部52は、少なくとも現状算出されている減速因子の推定値を記憶する。なお、本実施形態では記憶部52をECU50内に設けたが、必要な情報をデータベース17に記憶させるようにしてもよい。
【0049】
次に、走行支援制御部53、例えば、ITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)対応の演算部であり、インフラ協調やNAVI協調を行うための演算部を有する。走行支援制御部53は、いわゆる先読み情報を活用する先読み情報エコ運転支援処理を実行する。すなわち、車両制御システム3は、先読み情報を活用して、走行支援制御部53が燃費向上効果の高い運転を行うことで、エコ運転(エコドライブ)を支援する。これにより、車両制御システム3は、燃料の消費を抑制して燃費の向上を図ることができる。走行支援制御部53は、運転者によるエコ運転を支援する目的で、HMI装置4に運転支援情報を出力し運転者による操作を誘導支援する。また、走行支援制御部53は、走行支援として、走行停止時のエンジンのON/OFFの切り替えを行う。
【0050】
走行支援制御部53は、CAN56を介して取得した各種情報、例えば、GPS装置15で取得した位置情報、無線通信装置16で取得した通過する信号機の信号サイクル等に基づいて、今後、車両2が走行する経路の情報を取得する。また、走行支援制御部53は、CAN56を介して現在の走行状態(車速、バッテリの残量等)を取得する。走行支援制御部53は、今後車両2が走行する経路の情報と現在の走行状態と、減速因子推定装置1で算出した各減速因子と、を用いることで、走行支援を実行することができる。
【0051】
走行支援制御部53は、状況に応じてエンジン5を制御し種々の走行支援を実行することで、燃費向上効果が高く、かつ、運転者にとって快適な走行の支援を行う。具体的には、走行支援制御部53は、信号機や交差点等の停止位置の情報を取得し、走行方向に停止する必要があるかを判定する。走行支援制御部53は、車両2を停止させると判定した場合、信号機や交差点等にある停止線の位置の情報から目標停止位置を特定し、走行中の車両2の走行速度、対象の目標停止位置までの距離および運転者の操作で入力されるドライバ要求パワーに基づいて、エンジン5のON/OFFを制御する。
【0052】
また、走行支援制御部53は、状況に応じてHMI装置4を制御し、種々の運転支援情報を出力することで、運転者に対して燃費向上効果の高い運転を促す支援を行う。走行支援制御部53は、走行中の車両2の目標走行状態量をもとに、HMI装置4から種々の運転支援情報を出力させることで、運転者に対して推奨の運転動作、典型的には変化を伴う運転動作を促す誘導支援を行う。ここで、目標走行状態量とは、典型的には、走行中の車両2において所定の地点または所定のタイミングでの車両2の目標の走行状態量である。走行支援制御部53は、所定の地点または所定のタイミングでの目標走行状態量をもとにHMI装置4を制御し、このHMI装置4から運転支援情報を出力させ、運転者に対して推奨の運転動作を促す支援を行うことで、所定の地点、タイミングで車両2の走行状態量が目標走行状態量となるように運転支援を行う。
【0053】
次に、図3から図10を用いて、減速因子推定装置1の処理の一例を説明する。まず、減速因子推定装置1で推定する減速因子について説明する。図3は、車両に作用する力を模式的に示す説明図である。走行時の車両2に作用する力を、運動方程式に当てはめると下記式1となる。
【0054】
【数1】
【0055】
ここで、Fは、駆動力であり、Gxは、加速度であり、Mは、車両重量(車重)であり、Kは、空気抵抗係数であり、Vxは、車速であり、RLは、ロードロードである。なお、上記式の各パラメータは、車両2が前方に車速Vxで走行している場合、図3の矢印方向が正の向きとなる。また、走行時の車両2は、基本的に駆動源から駆動力Fが発生すると、車両2の駆動力Fの方向とは反対側の方向、つまり減速させるように空気抵抗とロードロードが発生する。このため、基本的にKとRLの値は負の値となる。また、重量Mは、重くなるほど加速度が小さくなる。
【0056】
減速因子推定装置1は、上位式1の5つの項のうち、4つの項を決定することで残りの1つの項の値を算出することができる。ここで、上記式の項のうち、加速度Gx、車速Vx、駆動力Fは、車両の各検出値から取得することで、または、車両の各検出値を演算することで取得することができる項である。このため、減速因子推定装置1は、車両重量M、空気抵抗係数K、ロードロードRLのうち、2つの減速因子の値を決定することで、残りの1つの減速因子の値を推定することができる。
【0057】
ここで、本実施形態の減速因子推定装置1の推定処理制御部66は、加速度Gxと車速Vxとに基づいて、推定する減速因子の項を決定する。つまり、推定処理制御部66は、加速度Gxと車速Vxが所定の条件を満たす場合、条件を満たす減速因子の推定処理を行う。従って、推定処理制御部66は、加速度Gxと車速Vが減速因子の推定の条件を満たさない場合、当該減速因子の推定処理を行わない。
【0058】
図4は、推定する減速因子と速度と加速度との関係を示す説明図である。ここで、図4は縦軸が加速度Gx[m/s]であり、横軸が車速Vx[km/h]である。また、加速度Ga、速度Vaは、しきい値である。一例としては、加速度Gaを1.0とし、速度Vaを50.0とすることができる。
【0059】
推定処理制御部66は、加速度GxがGaより大きく、車速VxがVa未満である場合、減速因子のうち、車両重量M1を推定する。ここで、M1は、推定した車両重量である。車両重量M1は、下記式2で算出する。
【0060】
【数2】
【0061】
加速度GxがGaより大きく、車速VxがVa未満である場合、加速度Gxの項に対してVxの項が小さくなるため、上記式のVxの項の影響力が小さくなる。また、加速度GxがGaより大きいため、相対的にRLの影響力も小さくなる。このため、推定処理制御部66は、加速度GxがGaより大きく、車速VxがVa未満である場合、他の減速因子の誤差の影響を少なくしつつ、車両重量M1を推定することができる。KとRLは、記憶部52から読み出した現状算出されている推定値(前回値)である。
【0062】
次に、推定処理制御部66は、加速度GxがGa未満であり、車速VxがVaよりも大きい場合、減速因子のうち、空気抵抗係数K1を推定する。ここで、K1は、推定した空気抵抗係数である。空気抵抗係数K1は、下記式3で算出する。
【0063】
【数3】
【0064】
加速度GxがGa未満であり、車速VxがVaより大きい場合、Vxの項に対して上記式のGxの項の影響力が小さくなる。また、車速VxがVaより大きいため、相対的にRLの影響力も小さくなる。このため、推定処理制御部66は、加速度GxがGa未満であり、車速VxがVaより大きい場合、他の減速因子の誤差の影響を少なくしつつ、空気抵抗係数K1を推定することができる。MとRLは、記憶部52から読み出した現状算出されている推定値(前回値)である。
【0065】
次に、推定処理制御部66は、加速度GxがGa未満、車速VxがVa未満である場合、減速因子のうち、ロードロードRL1を推定する。ここで、RL1は、推定したロードロードである。ロードロードRL1は、下記式4で算出する。
【0066】
【数4】
【0067】
加速度GxがGa未満であり、車速VxがVa未満である場合、Vxの項とGxの項の両方ともFに対する影響力が小さくなる。このため、推定処理制御部66は、加速度GxがGa未満であり、車速VxがVa未満である場合、他の減速因子の誤差の影響を少なくしつつ、ロードロードRL1を推定することができる。MとKは、記憶部52から読み出した現状算出されている推定値(前回値)である。
【0068】
次に、図5を用いて、推定処理制御部66による処理手順の一例を説明する。図5は、ECU50による制御の一例を示すフローチャートである。推定処理制御部66は、車両特性演算部51の各部で算出した値と、CAN56から取得した車両2の状態に基づいて、各種処理判定を行い、車両特性演算部51の各部の動作を制御することで、図5に示す処理を実行することができる。
【0069】
推定処理制御部66は、ステップS12として、推定条件が成立しているかを判定する。ここで、推定条件は、シフトポジション、車速、ヨーレートに基づいて判定する。なお、シフトポジションは、CAN56を介して変速機7の状態を検出することで取得することができる。推定処理制御部66は、シフトポジションがドライブで、車速Vxが0より大きく(0<V)かつヨーレートYRがしきい値未満(YR<しきい値)の全ての条件を満たしている場合、推定条件が成立していると判定する。つまり、推定処理制御部66は、駆動源の駆動力が伝達される状態で、車両2が動いており、かつ、しきい値以上曲がっていない場合、推定条件が成立すると判定する。推定処理制御部66は、ステップS12で推定条件が成立していない(No)と判定した場合、本処理を終了する。
【0070】
推定処理制御部66は、ステップS12で推定条件が成立している(Yes)と判定した場合、ステップS14として車速Vx<しきい値であるか、つまり車速Vxがしきい値(例えば速度Va)より小さいかを判定する。推定処理制御部66は、ステップS14でVx<しきい値である(Yes)と判定した場合、ステップS16に進み、Vx<しきい値でない(No)、つまりVx≧しきい値であると判定した場合、ステップS28に進む。
【0071】
推定処理制御部66は、ステップS14でYesと判定した場合、ステップS16として、加速度Gx<しきい値、つまり加速度Gxがしきい値(例えば加速度Ga)より小さいかを判定する。推定処理制御部66は、ステップS16で加速度Gx<しきい値である(Yes)と判定した場合、ステップS18に進み、加速度Gx<しきい値ではない(No)、つまり加速度Gx≧しきい値であると判定した場合、ステップS24に進む。
【0072】
推定処理制御部66は、ステップS16でYesと判定した場合、ステップS18として非制動中であるかを判定する。つまり、ブレーキセンサ14でブレーキ操作を検出しているか否かを判定する。推定処理制御部66は、ステップS18で非制動中ではない(No)、つまり、ブレーキセンサでブレーキ操作を検出していると判定した場合、本処理を終了する。つまり、推定処理制御部66は、ブレーキ動作実行中である場合、推定を行わずに本処理を終了する。推定処理制御部66は、ステップS18で非制動中である(Yes)、つまり、ブレーキセンサでブレーキ操作を検出していないと判定した場合、ステップS20として車両重量M1の推定を行う。ここで、車両重量M1の推定は、車重円残部63で上述した式を用いて実行される。推定処理制御部66は、ステップS20で車両重量M1を推定したら、ステップS22として推定した車両重量M1を記憶部52に記憶して、本処理を終了する。
【0073】
推定処理制御部66は、ステップS16でNoと判定した場合、ステップS24として、ロードロードRL1の推定を行う。ここで、ロードロードRL1の推定は、ロードロード演算部65で上述した式を用いて実行される。推定処理制御部66は、ステップS24でロードロードRL1を推定したら、ステップS26として、ロードロードRL1を記憶部52に記憶して、本処理を終了する。
【0074】
推定処理制御部66は、ステップS14でNoと判定した場合、ステップS28として、加速度Gx<しきい値、つまり加速度Gxがしきい値(例えば加速度Ga)より小さいかを判定する。推定処理制御部66は、ステップS28で加速度Gx<しきい値ではない(No)、つまり加速度Gx≧しきい値であると判定した場合、本処理を終了する。
【0075】
推定処理制御部66は、ステップS28で加速度Gx<しきい値である(Yes)と判定した場合、ステップS30として、空気抵抗係数K1の推定を行う。ここで、空気抵抗係数K1の推定は、空気抵抗演算部64で上述した式を用いて実行される。推定処理制御部66は、ステップS30で空気抵抗係数K1を推定したら、ステップS32として、空気抵抗係数R1を記憶部52に記憶して、本処理を終了する。
【0076】
減速因子推定装置1は、車速Vxと加速度Gxに基づいて推定する減速要因を切り換えることで、推定の対象である車両重量M1、空気抵抗係数K1、ロードロードRL1のそれぞれを、他の減速因子の影響が少ない状態で算出することができる。これにより、減速因子推定装置1は、各減速要因をより高い精度で算出することができる。減速因子推定装置1は、推定の対象である車両重量M1、空気抵抗係数K1、ロードロードRL1の推定時に、他の減速因子に誤差が含まれている場合でもその影響を小さくすることができる。これにより、減速要因の推定時に他の減速因子の影響で誤差が含まれる可能性を低減することができる。
【0077】
また、減速因子推定装置1は、車速Vxと加速度Gxに基づいて推定する減速要因を切り換えることで、車両重量M1、空気抵抗係数K1、ロードロードRL1の推定値に、他の減速因子の影響が大きい状態で、算出された値が含まれることを抑制することができる。これによっても減速要因の推定時に他の減速因子の影響で誤差が含まれる可能性を低減することができ、減速要因の推定の精度を高くすることができる。
【0078】
ここで、減速因子推定装置1は、減速要因の推定を実行した場合、算出した推定値を過去の推定値を加味して補正推定値を算出することが好ましい。また、減速因子推定装置1は、補正推定値を走行支援制御部53等の他の装置で使用する際の減速要因の値として用いることが好ましい。例えば、車両重量M1は、下記式5を用いて、補正推定値を算出することが好ましい。
【0079】
【数5】
【0080】
M1_Fは、補正推定値であり、M1n−1は、前回の推定値であり、M1は、今回の推定値である。また、kkは、重み付け係数である。なお、車両重量の補正推定値M1_Fを算出する場合、フィルタ時定数を短周期のフィルタとすることが好ましい。一例としては、周期が60sのフィルタ時定数を用いることが好ましい。
【0081】
図6に算出したM1とM1_Fとの関係を示す。図6は、車両重量の算出結果と時間の関係を示す説明図である。なお、図6に示す例は、M1を1800kgとした場合の例である。減速因子推定装置1は、図6に示すように、前回の推定値を用いて今回の推定値を補正した補正推定値M1_Fを算出することで、より精度の高い推定値を算出することができる。
【0082】
次に、空気抵抗係数K1は、下記式6を用いて、補正推定値K1_Fを算出することが好ましい。
【0083】
【数6】
【0084】
K1_Fは、補正推定値であり、K1n−1は、前回の推定値であり、K1は、今回の推定値である。また、kkは、重み付け係数である。なお、空気抵抗係数の補正推定値K1_Fを算出する場合、フィルタ時定数を長周期のフィルタとすることが好ましい。一例としては、周期が600sのフィルタ時定数を用いることが好ましい。
【0085】
図7に算出したK1とK1_Fとの関係を示す。図7は、空気抵抗係数の算出結果と時間の関係を示す説明図である。減速因子推定装置1は、図7に示すように、前回の推定値を用いて今回の推定値を補正した補正推定値K1_Fを算出することで、より精度の高い推定値を算出することができる。
【0086】
次に、ロードロードRL1は、下記式7を用いて、補正推定値を算出することが好ましい。
【0087】
【数7】
【0088】
RL1_Fは、補正推定値であり、RL1n−1は、前回の推定値であり、RL1は、今回の推定値である。また、kkは、重み付け係数である。なお、空気抵抗係数の補正推定値RL1_Fを算出する場合、フィルタ時定数を中周期のフィルタとすることが好ましい。一例としては、周期が300sのフィルタ時定数を用いることが好ましい。
【0089】
図8に算出したRL1とRL1_Fとの関係を示す。図8は、ロードロードの算出結果と時間の関係を示す説明図である。減速因子推定装置1は、図8に示すように、前回の推定値を用いて今回の推定値を補正した補正推定値RL1_Fを算出することで、より精度の高い推定値を算出することができる。
【0090】
減速因子推定装置1は、図6から図8および上記式5から式7に示すように、推定値を補正することで、より高い精度の推定値を算出することができる。また、補正値を算出する際、減速因子毎に使用するフィルタ時定数を異なる時定数とすることで、より高い精度の推定値を算出することができる。
【0091】
減速因子推定装置1は、車両重量の推定値を補正する場合、短周期のフィルタを用いてフィルタ処理をすることで、車両重量の変動要因に対応した補正を行うことができる。具体的には、乗車人数や積載荷物の移動等、短期間で発生する変動に対応して補正を行うことができる。
【0092】
減速因子推定装置1は、空気抵抗係数の推定値を補正する場合、長周期のフィルタを用いてフィルタ処理をすることで、空気抵抗係数の変動要因に対応した補正を行うことができる。具体的には、エアロパーツ等の車外装備品の交換等、長期間で発生する変動、つまり一度変更されると長期間大きな動きがない変動に対応して補正を行うことができる。
【0093】
次に、上述した減速因子を加味した運動方程式を用いて駆動力を算出した場合について説明する。図9は、駆動力の算出結果と時間の関係を示す説明図である。図9は、縦軸を駆動力[N]とし、横軸を時間[s]とする。また、図9には、計測により算出した駆動力(車両駆動力)Fと、式1の右辺に各値を代入して算出した駆動力(Gx・M+K・V+RL)と、を示す。ここで、図9に示すGx・M+K・V+RLは、Mを標準車重とし、Kを標準空気抵抗係数とし、RLを標準ロードロードとし、Gxを加速度センサ11の検出値とし、Vを車速センサ10の検出値として算出した。ここで、標準空気抵抗係数Kは、空気密度ρ×前面投影面積S×空気抵抗係数cdで算出した。また、標準ロードロードRLは、タイヤの転がり抵抗Rrと車両メカロスMrから算出した。つまり、図9は、減速要因を一定にした状態、つまりほぼ正確な減速要因の値で駆動力を算出している。
【0094】
図9に示すように高い精度で算出した減速要因を用いて方程式を用いて算出することで、実際の駆動力と近い値を算出することができる。したがって、本実施形態の減速因子推定装置1は、高い精度で減速要因を推定できることで、実際の値に近い駆動力を算出することができる。減速因子推定装置1は、上記式1の減速要因の項の精度を高くできることで、走行時の駆動力と加速度と速度との関係を正確に算出することができる。これにより、走行支援の際に車両の走行挙動を予測する場合も正確に予測することができる。車両挙動を正確に予測できることで、より適切な走行支援を実行することができる。
【0095】
ここで、減速因子推定装置1は、加速度センサ11の検出値を用いる場合、加速度として、検出値をローパスフィルタで補正した値を用いることが好ましい。つまり下記式8で補正した加速度GxFを用いることが好ましい。
【0096】
【数8】
【0097】
ここで、図10は、駆動力の算出結果と時間の関係を示す説明図である。図10は、縦軸を駆動力[N]とし、横軸を時間[s]とする。また、図10には、計測により算出した駆動力Fと、式1の右辺に各値を代入して算出した駆動力(GxF・M+K・V+RL)とを示す。つまり図10は、式1の右辺に各値を代入して算出した駆動力の加速度として、ローパスフィルタで高周波成分を除去した値を用いている。減速因子推定装置1は、図10に示すように、加速度として、高周波成分を除去した値を用いることで、ノイズ成分が除去された値を用いて、減速要因を推定することができる。これにより、より減速要因の推定の精度をより高精度にすることができる。
【0098】
上記実施形態の減速因子推定装置1は、車両重量と空気抵抗係数とロードロードとの3つの減速要因の全てを推定により算出することで、減速要因をより高い精度で算出することができる。ここで、減速因子推定装置1は、車両重量と空気抵抗係数とロードロードとの3つの減速要因の全てを推定により算出することに限定されない。減速因子推定装置1は、車両重量と空気抵抗係数とロードロードとのうち2つのみを推定するようにしてもよいし、1つのみを推定するようにしてもよい。なお、推定しない場合、予め設定された固定値や、設計値を用いればよい。減速因子推定装置1は、空気抵抗係数とロードロードとのいずれかを走行状態によって推定を行うか行わないかを切り換えることでより高い精度で減速要因を推定することができる。
【0099】
減速因子推定装置1は、走行状態として、加速度と速度とを基準として、各減速要因の推定を行うか否かを判定したが、各減速要因の推定を行うか否かの判定基準はこれに限定されない。減速因子推定装置1は、走行状態として、加速度と速度とのいずれか一方のみを基準として、各減速要因の推定を行うか否かを判定してもよい。減速因子推定装置1は、走行状態として、駆動力を基準として走行支援を行うか否かを判定してもよい。
【0100】
減速因子推定装置1は、1つのしきい値(加速度)を基準として、車両重量の推定を実行するかロードロードの推定を実行するか否かを切り換え、1つのしきい値(加速度)を基準として、空気抵抗係数の推定を実行するかとロードロードとの推定を実行するか否かを切り換えたが、これに限定されない。減速因子推定装置1は、車両重量の推定を実行するかを判定する閾値と、ロードロードの推定を実行するかを判定するしきい値を別々の加速度としてもよい。また、減速因子推定装置1は、空気抵抗係数の推定を実行するかを判定する閾値と、ロードロードの推定を実行するかを判定するしきい値を別々の速度としてもよい。また、減速因子推定装置1は、一部の加速度では、車両重量とロードロードの両方を推定するようにしてもよいし、車両重量とロードロードのいずれも推定しないようにしてもよい。減速因子推定装置1は、一部の速度では、空気抵抗係数とロードロードの両方を推定するようにしてもよいし、空気抵抗係数とロードロードのいずれも推定しないようにしてもよい。
【0101】
減速因子推定装置1は、推定の精度をより高くできるため、車両重量と空気抵抗係数とロードロードとの3つの減速要因のそれぞれを走行状態に応じて、推定を実行するか否かを切り換えることが好ましいが、これに限定されない。減速因子推定装置1は、車両重量と空気抵抗係数とロードロードとの一部の減速要因を走行状態によらず常に推定するようにしてもよい。この場合、一方の減速要因を推定する場合、他方の減速要因には前回値を用い、2つの演算を別々に実行する。
【0102】
なお、上述した実施形態に係る減速因子推定装置1は、上述した実施形態に限定されず、請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る減速因子推定装置1は、以上で説明した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【0103】
以上の説明では、減速因子推定装置1は、アクセルOFF操作やブレーキON操作の誘導の運転支援情報を視覚情報で出力するものとして説明したが、これに限らない。減速因子推定装置1は、例えば、運転支援情報を、音声情報、触覚情報等で出力するものであってもよく、これら音声情報、触覚情報の態様を適宜変化させるように構成してもよい。
【0104】
本実施形態の減速因子推定装置1は、エンジン5とMG(モータジェネレータ)6とを備える車両2、いわゆるハイブリッド車両の走行を支援する場合として説明したが、これに限定されない。減速因子推定装置1は、動力源としてMG6を備えておらず、動力源としてエンジン5のみを備える車両2、いわゆるコンベ車両の走行を支援する場合も同様の支援を行うことができる。また、減速因子推定装置1は、動力源としてエンジン5を備えておらず、動力源としてモータジェネレータのみを備える車両2、いわゆる電気自動車の走行を支援する場合も同様の支援を行うことができる。
【符号の説明】
【0105】
1 減速因子推定装置
2 車両
3 車両制御システム
4 HMI装置(支援装置)
5 エンジン(内燃機関)
6 モータジェネレータ、MG(電動機)
7 変速機
8 ブレーキ装置
9 バッテリ
10 車速センサ
11 加速度センサ
12 ヨーレートセンサ
13 アクセルセンサ
14 ブレーキセンサ
15 GPS装置
16 無線通信装置
17 データベース
50 ECU
51 車両特性演算部
52 記憶部
53 走行支援制御部
56 CAN
60 車速演算部
61 加速度演算部
62 駆動力演算部
63 車重演算部
64 空気抵抗演算部
65 ロードロード演算部
66 推定処理制御部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】

【手続補正書】
【提出日】20150213
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の減速因子を推定する減速因子推定装置であって、
前記車両の駆動力を取得する駆動力取得部と、
前記車両の速度を取得する速度取得部と、
前記車両の加速度を取得する加速度取得部と、
取得された駆動力と速度と加速度との関係に基づいて複数の減速因子を推定する減速因子推定部と、を有し、
前記減速因子推定部は、前記車速及び前記加速度に基づいて、推定する前記減速因子の種類を切り換えることを特徴とする減速因子推定装置。
【請求項2】
前記減速因子は、車両重量を含み、
前記減速因子推定部は、前記車速がしきい値未満で前記加速度がしきい値より大きい場合、前記推定する減速因子を車両重量とすることを特徴とする請求項1に記載の減速因子推定装置。
【請求項3】
前記減速因子は、空気抵抗係数を含み、
前記減速因子推定部は、前記車速がしきい値より大きく、前記加速度がしきい値未満である場合、前記推定する減速因子を空気抵抗係数とすることを特徴とする請求項1または2に記載の減速因子推定装置。
【請求項4】
前記減速因子は、ロードロードを含み、
前記減速因子推定部は、前記車速がしきい値未満で前記加速度がしきい値未満である場合、前記推定する減速因子をロードロードとすることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の減速因子推定装置。
【請求項5】
車両の減速因子を推定する減速因子推定装置であって、
前記車両の駆動力を取得する駆動力取得部と、
前記車両の速度を取得する速度取得部と、
前記車両の加速度を取得する加速度取得部と、
取得された駆動力と速度と加速度との関係に基づいて減速因子を推定する減速因子推定部と、を有し、
前記減速因子は、空気抵抗係数を含み、
前記減速因子推定部は、前記車速または前記加速度の少なくとも一方を含む車両の走行状態が設定した条件を満たす場合、前記空気抵抗係数を推定することを特徴とする減速因子推定装置。
【請求項6】
前記車両の走行状態が設定した条件は、前記車速がしきい値より大きいことを含む請求項に記載の減速因子推定装置。
【請求項7】
前記車両の走行状態が設定した条件は、前記加速度がしきい値以下であることを含む請求項6に記載の減速因子推定装置。
【請求項8】
車両の減速因子を推定する減速因子推定装置であって、
前記車両の駆動力を取得する駆動力取得部と、
前記車両の速度を取得する速度取得部と、
前記車両の加速度を取得する加速度取得部と、
取得された駆動力と速度と加速度との関係に基づいて減速因子を推定する減速因子推定部と、を有し、
前記減速因子は、ロードロードを含み、
前記減速因子推定部は、前記車速または前記加速度の少なくとも一方を含む車両の走行状態が設定した条件を満たす場合、前記ロードロードを推定することを特徴とする減速因子推定装置。
【請求項9】
前記車両の走行状態が設定した条件は、前記車速がしきい値未満であることを含む請求項に記載の減速因子推定装置。
【請求項10】
前記車両の走行状態が設定した条件は、前記加速度がしきい値より大きいことを含む請求項9に記載の減速因子推定装置。
【請求項11】
前記減速因子は、車両重量と、空気抵抗係数と、ロードロードと、を含み、
前記減速因子推定部は、運動方程式を用いて減速因子と駆動力と速度と加速度との関係を解析し、前記推定する減速因子を推定することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の減速因子推定装置。
【請求項12】
前記減速因子推定部は、運動方程式の前記推定する減速因子以外の減速因子に設定値を用いることを特徴とする請求項1に記載の減速因子推定装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
従来、車両に搭載され、車両の走行を支援する走行支援装置が知られている。この走行支援装置は、車両の走行を支援するために、車両の各種特性に基づいて車両の挙動を判定する。ここで、車両の各種特性は、走行時の条件により変動するものがある。このように変動する車両の特性を検出する装置としては、例えば、特許文献1から特許文献3に記載されている装置がある。特許文献1には、車両の走行エネルギを演算するシステムが記載されている。このシステムは、推定した走行速度と車両に関するパラメータと道路に関するパラメータに基づいて、勾配抵抗、空気抵抗、加速抵抗及び転がり抵抗を算出して走行エネルギを求めている。また、特許文献2および3には、車両の重量を推定する装置が記載されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車両の減速因子を推定する減速因子推定装置であって、前記車両の駆動力を取得する駆動力取得部と、前記車両の速度を取得する速度取得部と、前記車両の加速度を取得する加速度取得部と、取得された駆動力と速度と加速度との関係に基づいて複数の減速因子を推定する減速因子推定部と、を有し、前記減速因子推定部は、前記車速及び前記加速度に基づいて、推定する前記減速因子の種類を切り換えることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、車両の減速因子を推定する減速因子推定装置であって、前記車両の駆動力を取得する駆動力取得部と、前記車両の速度を取得する速度取得部と、前記車両の加速度を取得する加速度取得部と、取得された駆動力と速度と加速度との関係に基づいて減速因子を推定する減速因子推定部と、を有し、前記減速因子は、空気抵抗係数を含み、前記減速因子推定部は、前記車速または前記加速度の少なくとも一方を含む車両の走行状態が設定した条件を満たす場合、前記空気抵抗係数を推定することを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、車両の減速因子を推定する減速因子推定装置であって、前記車両の駆動力を取得する駆動力取得部と、前記車両の速度を取得する速度取得部と、前記車両の加速度を取得する加速度取得部と、取得された駆動力と速度と加速度との関係に基づいて減速因子を推定する減速因子推定部と、を有し、前記減速因子は、ロードロードを含み、前記減速因子推定部は、前記車速または前記加速度の少なくとも一方を含む車両の走行状態が設定した条件を満たす場合、前記ロードロードを推定することを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
加速度演算部61は、車両2の加速度を取得する演算部である。加速度演算部61は、CAN56を介して加速度センサ11の検出値を取得することで、車両2の加速度を取得することができる。なお、加速度演算部61は、取得した加速度センサ11の検出値をそのまま車両2の加速度として取得してもよいし、加速度センサ11の検出値を演算処理して車両2の加速度を取得してもよい。また、加速度演算部61は、加速度センサ11の検出値を用いずに加速度を算出してもよい。例えば、加速度演算部61は、車速センサ10で検出した車速を微分して加速度を取得してもよい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
減速因子推定装置1は、上式1の5つの項のうち、4つの項を決定することで残りの1つの項の値を算出することができる。ここで、上記式の項のうち、加速度Gx、車速Vx、駆動力Fは、車両の各検出値から取得することで、または、車両の各検出値を演算することで取得することができる項である。このため、減速因子推定装置1は、車両重量M、空気抵抗係数K、ロードロードRLのうち、2つの減速因子の値を決定することで、残りの1つの減速因子の値を推定することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
ここで、本実施形態の減速因子推定装置1の推定処理制御部66は、加速度Gxと車速Vxとに基づいて、推定する減速因子の項を決定する。つまり、推定処理制御部66は、加速度Gxと車速Vxが所定の条件を満たす場合、条件を満たす減速因子の推定処理を行う。従って、推定処理制御部66は、加速度Gxと車速Vが減速因子の推定の条件を満たさない場合、当該減速因子の推定処理を行わない。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
推定処理制御部66は、ステップS16でYesと判定した場合、ステップS18として非制動中であるかを判定する。つまり、ブレーキセンサ14でブレーキ操作を検出しているか否かを判定する。推定処理制御部66は、ステップS18で非制動中ではない(No)、つまり、ブレーキセンサでブレーキ操作を検出していると判定した場合、本処理を終了する。つまり、推定処理制御部66は、ブレーキ動作実行中である場合、推定を行わずに本処理を終了する。推定処理制御部66は、ステップS18で非制動中である(Yes)、つまり、ブレーキセンサでブレーキ操作を検出していないと判定した場合、ステップS20として車両重量M1の推定を行う。ここで、車両重量M1の推定は、車重演算部63で上述した式を用いて実行される。推定処理制御部66は、ステップS20で車両重量M1を推定したら、ステップS22として推定した車両重量M1を記憶部52に記憶して、本処理を終了する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
推定処理制御部66は、ステップS28で加速度Gx<しきい値である(Yes)と判定した場合、ステップS30として、空気抵抗係数K1の推定を行う。ここで、空気抵抗係数K1の推定は、空気抵抗演算部64で上述した式を用いて実行される。推定処理制御部66は、ステップS30で空気抵抗係数K1を推定したら、ステップS32として、空気抵抗係数1を記憶部52に記憶して、本処理を終了する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
RL1_Fは、補正推定値であり、RL1n−1は、前回の推定値であり、RL1は、今回の推定値である。また、kkは、重み付け係数である。なお、ロードロードの補正推定値RL1_Fを算出する場合、フィルタ時定数を中周期のフィルタとすることが好ましい。一例としては、周期が300sのフィルタ時定数を用いることが好ましい。
【国際調査報告】