(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013099468
(43)【国際公開日】20130704
【発行日】20150430
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20150403BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20150403BHJP
   G01J 9/00 20060101ALI20150403BHJP
【FI】
   !G01N21/956 A
   !G01N21/84 E
   !G01J9/00
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】27
【出願番号】2013551531
(21)【国際出願番号】JP2012079886
(22)【国際出願日】20121119
(31)【優先権主張番号】2011284707
(32)【優先日】20111227
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
【住所又は居所】東京都港区西新橋一丁目24番14号
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】谷口 浩一
【住所又は居所】日本国東京都港区西新橋一丁目24番14号 株式会社 日立ハイテクノロジーズ内
(72)【発明者】
【氏名】志村 啓
【住所又は居所】日本国東京都港区西新橋一丁目24番14号 株式会社 日立ハイテクノロジーズ内
(72)【発明者】
【氏名】宇都 幸雄
【住所又は居所】日本国東京都港区西新橋一丁目24番14号 株式会社 日立ハイテクノロジーズ内
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AA73
2G051AB01
2G051AB02
2G051AC21
2G051BB01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB05
2G051CB06
2G051CC07
2G051CC09
2G051CC11
2G051DA07
2G051DA08
2G051EA12
2G051EB01
2G051ED21
(57)【要約】
微細な欠陥を検出しようとした場合、前述した照明領域の短軸方向の幅は短い方が望ましい。従来技術では、光をなんらかの方法で集束することで照明領域を形成する訳であるが、より幅の狭い照明領域を形成するのは容易ではない。それは、集束を担う光学素子自体が有する種々の収差や、光路に存在するその他の光学素子の収差、組み付け誤差等が線状照明の形成に望ましくない影響を与えるからである。従来技術では、この点に関する配慮が十分ではなかった。
本発明は、光の波面を変更するシステムを有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を照明するための光を反射し、前記光の波面を変更する波面変更部と、
前記波面変更部で反射した光を集束することで前記試料上に線状の照明領域を形成する照明領域形成部と、有し、
前記波面変更部は、反射面と前記反射面の状態を変更する駆動部とを有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置において、
前記波面変更部は、検査に不所望な要因が重畳した波面とは光学的に逆の波面を有する光を前記照明領域形成部へ入射させることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検査装置において、
前記光学的に逆の波面とは、前記検査に不所望な要因が重畳した波面とは逆の位相を有する波面であることを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検査装置において、
前記照明領域の幅は検査のための合焦領域の幅以下であることを特徴とする検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検査装置において、
前記試料の法線に対して傾斜した光軸を有する斜方検出光学系を有し、
前記合焦領域とは、前記斜方検出光学系の合焦面と前記試料の表面とが交差する領域であることを特徴とする検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検査装置において、
前記波面変更部で反射した光の波面の状態を得る波面センサを有し、
前記波面変更部は前記波面センサの情報の情報を用いて、前記照明領域形成部に入射する光の波面を実質的に無収差状態の波面へと変更し、
前記波面変更部は、前記無収差状態の波面を前記検査に不所望な要因が重畳した波面とは逆の位相を有する波面へと変更することを特徴とする検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の検査装置において、
前記無収差状態の波面を前記検査に不所望な要因が重畳した波面とは逆の位相を有する波面へと変更するためデータを作成する処理部を有することを特徴とする検査装置。
【請求項8】
請求項5に記載の検査装置において、
前記駆動部は、前記反射面の裏面に配置され、前記裏面を押圧する複数の圧電素子であることを特徴とする検査装置。
【請求項9】
請求項5に記載の検査装置において、
前記駆動部は、前記反射面の裏面に配置され、前記裏面を押圧する複数の静電アクチュエータであることを特徴とする検査装置。
【請求項10】
請求項5に記載の検査装置において、
前記駆動部は、第1の空間分解能で駆動する第1のアクチュエータ、及び前記第1の空間分解能より高い第2の空間分解能で駆動する第2のアクチュエータを有することを特徴とする検査装置。
【請求項11】
請求項1に記載の検査装置において、
前記照明領域形成部は、前記試料に対する仰角を変更して前記照明領域を形成し、
前記波面変更部は、前記仰角の変更に応じて前記試料に照明するための光の波面を変更することを特徴とする検査装置。
【請求項12】
請求項1に記載の検査装置において、
前記照明領域形成部は、前記試料に対して異なる2つの仰角から第1の光、及び第2の光を前記基板へ収束し、
前記第1の光の波面は前記波面変更部によって第1の波面へ変更され、前記照明領域形成部へ入射し、
前記第2の光の波面は前記波面変更部によって第2の波面へ変更され、前記照明領域形成部へ入射することを特徴とする検査装置。
【請求項13】
請求項1に記載の検査装置において、
前記波面変更部は、前記試料上のパターンの高さに応じて、前記光の波面を変更することを特徴とする検査装置。
【請求項14】
請求項1に記載の検査装置において、
環境計測部を有し、
前記波面変更部は、前記環境計測部の計測結果に応じて、前記光の波面を変更することを特徴とする検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の欠陥を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、半導体基板(ウェハ)表面の異物(広義の意味では欠陥と表現されることもある)は、配線の絶縁不良や短絡等の不良原因になり、キャパシタの絶縁不良やゲート酸化膜などの破壊の原因にもなる。異物には、搬送装置の可動部から発生したもの、人体から発生したもの、プロセスガスを用いる処理装置内で反応生成されたもの、薬品や材料に混入していたものなどが含まれる。そして、これらの異物が種々の原因によりウェハ上に付着する。また、液晶表示素子の製造工程でも、パターン上に異物が混入すると、液晶表示素子は表示素子として使えないものになってしまう。さらに、プリント基板の製造工程でも状況は同じであって、異物の混入はパターンの短絡、接触不良の原因となる。よって、ウェハ等の基板上の異物を検出し、製造工程へフィードバックすることは歩留まりを管理する上で重要である。
【0003】
このような基板上の異物等の欠陥を検出するのが所謂検査装置である。検査装置は、鏡面ウェハを検査する表面検査装置と、回路パターンが形成されたウェハを検査するパターン付きウェハ検査装置に大別される。特に、回路パターンが形成されたウェハを検査するパターン付きウェハ検査装置としては、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3が知られている。特許文献1乃至3では基板上に長軸方向と短軸方向に2次元的な広がりを持った照明領域を形成している。その他の検査装置に関する従来技術としては、特許文献4、及び特許文献5が知られている。また、基板を照明する技術としては、特許文献6も知られている。その他の技術としては、特許文献7、及び特許文献8が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7098055号公報
【特許文献2】米国特許第6608676号公報
【特許文献3】米国公開特許公報2009/0059216号公報
【特許文献4】特開2011−69769号公報
【特許文献5】特開2008−58111号公報
【特許文献6】特開平8−304732号公報
【特許文献7】米国特許第7535561号公報
【特許文献8】特開平4−350613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
微細な欠陥を検出しようとした場合、前述した照明領域の短軸方向の幅は短い方が望ましい。従来技術では、光をなんらかの方法で集束することで照明領域を形成する訳であるが、より幅の狭い照明領域を形成するのは容易ではない。それは設計上排除しきれない収差や、集束を担う光学素子自体が有する加工精度に起因した波面収差等が線状照明の形成に望ましくない影響を与えるからである。従来技術では、この点に関する配慮が十分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光の波面を変更するシステムを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来よりも高感度な検査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】斜方検出系の焦点深度以下の照明幅が必要とされる理由を説明する図。
【図2】斜方検出系の焦点深度以下の照明幅が必要とされる理由を説明する図(続き)。
【図3】実施例1の欠陥検査装置の概略構成図。
【図4】照明系300について詳細に説明する図。
【図5】デフォーマブルミラー309の正面図。
【図6】デフォーマブルミラー309の断面図。
【図7】静電アクチュエータを使用したデフォーマブルミラーを説明する図。
【図8】照明整形の手順を説明する図(その1)。
【図9】照明整形の手順を説明する図(その2)。
【図10】照明整形の手順を説明する図(その3)。
【図11】照明整形の手順を説明するフローチャート。
【図12】実施例2を説明する図。
【図13】実施例3を説明する図。
【図14】実施例4を説明する図。
【図15】実施例5を説明する図。
【図16】実施例6を説明する図。
【図17】実施例7を説明する図。
【図18】実施例8を説明する図。
【図19】実施例9を説明する図。
【図20】実施例10を説明する図(その1)。
【図21】実施例10を説明する図(その2)。
【図22】実施例10を説明する図(その3)。
【図23】実施例11を説明する図。
【図24】実施例11を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0010】
実施例1を説明するに当たり、まず短軸の幅が短い照明領域が必要となる理由を説明する。図1および図2は、欠陥検査装置において、斜方検出系を使用する場合に、斜方検出系の焦点深度以下の照明幅が必要とされる理由を示したものである。
【0011】
図1は斜方検出系100を用いた検査装置において、後述する照明領域209が後述する合焦領域202と同等あるいはそれより狭い幅に整形された場合の正常な結像関係を示す図である。合焦面103は斜方検出系100の物側における合焦面およびその焦点深度内におさまる領域を示す。合焦領域202は合焦面103と、後述する被検査対象200の表面との交差する領域である。図1において、照明系300からの照明光301は合焦領域202と同程度あるいはそれ以下の幅の線状に整形され、合焦領域202に照射されている。このとき、デフォーカス領域203に整形された照明光は当たらず、合焦領域202からの散乱光201のみが発生し、対物レンズ、空間フィルタ、結像レンズ等を有する斜方検出光学系101によって結像され、結像位置104に結像された像は1次元センサ102上によって受光される。この状態で被検査対象200を走査することにより合焦した画像を取得可能となる。
【0012】
図2は斜方検出系100を用いた検査装置において、照明領域209が合焦領域202より広い場合の結像関係を示す図である。図2の場合、照明系300からの照明光301は被検査対象200上に照明領域209を形成する。図2において、合焦領域202よりも照明領域209が大きい場合、デフォーカス領域203も同時に照明されることになる。この場合、前述した合焦領域202からの散乱光201と同時に、デフォーカス領域203に存在する異物あるいはパターン207からも散乱光208が発生し、1次元センサ102上でデフォーカスした状態で受光される。これにより、検出画像の像質が劣化する。
【0013】
これが、斜方検出系100を用いる場合、合焦領域202と同程度あるいはそれ以下の幅の線状の照明を用いることが望ましい理由である。
【0014】
次に、本実施例の欠陥検査装置について説明する。図3(a)は本実施例の欠陥検査装置の概略構成図である。図3(a)において、欠陥検査装置1000は、照明系300と、斜方検出系100と、上方検出系800と、被検査対象200をその上に配置して、照明光により走査するためのステージ400と、1次元センサ102(時間遅延積分型センサ(TDIセンサ)、電荷結合素子等)と、1次元センサ802と、1次元センサ102、802によって取得される画像を処理し、欠陥検出を行うための演算処理系700と、2次元センサ107と、2次元センサ807と、2次元センサ107、807によって取得される画像を表示するための表示装置701と、光学分岐要素106と、斜方検出系100の合焦位置の検出に使用する基準チップ205(標準的な回路パターンが形成されたチップ)と、を備えている。基準チップ205はステージ400上に配置されている。なお、基準チップとしては、基板上にポリスチレンラテックスの球が鏡面基板へ付着された標準粒子を用いても良い。
【0015】
演算処理系700は、2次元センサ107によって取得される基準チップ205の画像500を処理し、斜方検出系100の合焦認識位置502の検出、およびステージ400や照明系300の制御を行う。また、実際の検査の際には、演算処理系700は斜方検出光学系100、及び上方検出系800の少なくとも1つから得られた被検査対象200上のチップの画像(検査画像)と参照画像(検査画像で撮像されたチップと隣接するチップの画像)とを比較し、比較した結果に対して閾値処理を施すことで被検査対象200上の欠陥の検出を行う。この欠陥検出の動作は上述したステージ400によるXY方向への走査動作に同期して行われるものである。なお、検査画像と参照画像との比較、及び閾値処理は、いわゆるダイ単位で行われる場合もあれば、いわゆるセル単位で行われる場合もある。さらに、本実施例のように複数の検出光学系を有する検査装置であれば、上述した検査画像と参照画像との比較や閾値処理は、検出光学系毎に行われる場合もある。また、欠陥検出は、検出光学系毎に行われた後に、さらにいわゆる特徴量を使用し、特徴量を統合して処理することで行われる場合もある。また、これらの処理は演算処理系700とは別途処理系を設けて行っても良い。また、ステージ400および照明系300の制御は別途制御部を設けて行っても良い。
【0016】
欠陥検査装置1000の座標系は、Z軸を被検査対象200の上面の法線204の方向、X軸を被検査対象200の走査方向、Y軸をX軸、Z軸に対して直交する方向として規定される。
【0017】
ステージ400は、X軸、Y軸、Z軸、シータ軸の4軸方向へ動くことが可能である。
【0018】
斜方検出系100は、対物レンズ105および結像レンズ109から構成される検出光学系101と、1次元センサ(TDIセンサあるいは1次元CCDセンサ)102と、光学分岐要素106と、2次元センサ107とを備えている。斜方検出系100は、主に法線204に対して斜方へ散乱する散乱光201を検出する。
【0019】
1次元センサ102がTDIセンサであり、2次元センサと同様の撮像が可能な場合は、光学分岐要素106と、2次元センサ107は無くとも良い。また、対物レンズ15と結像レンズ109との間に形成されるフーリエ変換面上に、被検査対象200の繰返しパターンによる回折光を遮断し、繰り返しパターンを除去するための空間フィルタを挿入しても良い。
【0020】
1次元センサ102は、センサ長手方向(走査方向に直交する方向)が、斜方検出光学系101によって被検査対象のY軸の向きが投影されるのと同じ向きに対して略平行に配置される。また、1次元センサ102の受光面は斜方検出光学系100の光軸108に対して略垂直に配置される。
【0021】
検出系移動部120は、斜方検出系100を移動させることができる。
【0022】
上方検出系800は、対物レンズ805および結像レンズ809から構成される上方検出光学系801と、1次元センサ(TDIセンサあるいは1次元CCDセンサ)802と、光学分岐要素806と、2次元センサ807とを備えている。上方検出系800は、法線204の方向に散乱する散乱光804を検出する。1次元センサ802がTDIセンサであり、2次元センサと同様の撮像が可能な場合には、光学分岐要素806と、2次元センサ807は無くとも良い。また、対物レンズ805と結像レンズ809との間に形成されるフーリエ変換面上に、被検査対象200の繰り返しパターンによる回折光を遮断し、繰り返しパターンを除去するための空間フィルタを挿入しても良い。
【0023】
基準チップ205は、斜方検出系100の合焦位置検出時に検査位置に配置され、検査動作時には検査動作を阻害しない位置に退避可能に配置する。たとえば、ステージ400に対して、被検査対象200と同じ水平面内に取り付けられており、斜方検出系100の合焦位置の検出時にステージ400の移動によって所定の位置に移動される。また、基準チップ205は照明形状901の観察時に後述する照明観察系370の視野に配置される。
【0024】
光学分岐要素106はハーフミラーあるいはプリズムなどでよい。あるいは、光学分岐要素106は合焦位置の検出時に光路を切り替え、散乱光201を2次元センサ107に導くために光路上に出し入れされるミラーであってもよい。同様に、光学分岐要素806はハーフミラーあるいはプリズムなどでよい。あるいは、被検査対象200あるいは基準チップ205の観察時および照明光301の観察時に光路を切り替え、散乱光を2次元センサ807に導くために光路上に出し入れされるミラーであってもよい。
【0025】
本実施例では、被検査対象200を照明する照明系300は、照明系移動部350により被検査対象200に対して移動される構成となっている。
【0026】
ここで、照明系300、被検査対象200、及び斜方検出系100との関係は幾つかバリエーションが考えられる。1つのバリエーションは図3(b)のように表現される。図3(b)では、照明系300は、ステージ400のY走査方向から照明光301を収束し、被検査対象200状に線状の照明領域を形成する。この場合、照明領域の長手方向はステージ400のY走査方向と一致している。また、図3(b)の場合では、斜方検出光学系100は2つ配置されており、この2つの斜方検出光学系100は、ステージ400のY走査方向に関して対称であり、かつ被検査対象200の法線と入射光軸とによって決定される入射面に対して対称に配置される。もう1つのバリエーションは図3(c)にように表現される。図3(c)では、照明系300は、照明系300からの光の光軸を被検査対象200状に投影した投影線とステージ400のY走査方向とがある方位角θを形成する方向から照明301光を収束する。図3(c)の場合は、2つの斜方検出系100はステージ400のY走査方向に関して対称ではあるが、入射面に関しては非対称となる。
【0027】
本実施例の欠陥検査装置では、上方検出系800と斜方検出系100とは、同時に被検査対象200を検査可能な構造となっている。例えば、被検査対象200の同じ位置を検査可能となるように斜方検出系100を被検査対象に対して相対的に移動させる斜方検出系移動部120を有する。なお、斜方検出系移動部120のような駆動機構は上方検出系800側に備えても良いし、上方検出系800、及び斜方検出系100双方に備えてもよい。
【0028】
次に、照明系300について図4を用いて詳細に説明する。図4は、本実施例での照明系300および照明観察系370を説明する図である。照明系300は、光源からの照明光308の波面306を任意の波面307に整形し反射させるデフォーマブルミラー309と、反射要素であるミラー312と光路分岐要素または光路切替要素313と、反射要素であるミラー314と、光路分岐要素または切替要素313により反射あるいは分岐された入射光308の波面307を計測するための波面センサ305と、波面センサ305により計測された波面からデフォーマブルミラー309を駆動するためのデータを生成する制御手段341と、制御手段341からのデータによってデフォーマブルミラー309を駆動する駆動手段342と、照明光を線状に整形するための照明整形要素303と、を有する。本実施例では、このような照明系300を経由した照明光321を被検査対象200に対して照射する。なお、制御要素341と駆動要素342は別々に具備してもよいし、一つの要素として具備しても構わない。なお、ここで波面とは、例えば、光の光軸に対して交差する面、より具体的には光の光軸と垂直な面と表現することができる。
【0029】
より具体的に説明する。光源からの平坦な波面306を有する照明光308はデフォーマブルミラー308に入射し、反射する。デフォーマブルミラー308によって反射された光の波面は実質的に平坦な波面306からうねりを有する波面307へ変化している。デフォーマブルミラー308によって反射された光は、反射要素314によって反射され、光路分岐要素または切替要素313に入射する。この際、波面307のうねりは、照明整形要素303の収差の逆位相を表現している。光路分岐要素または切替要素313によって分岐された光は波面センサ305によってその波面を観察される。波面センサ305によって観察された波面は制御要素341に入力される。光路分岐要素または切替要素313を通過した光は反射要素312によって反射され、照明整形要素303に入射する。照明整形要素303は矢印3002の方向(紙面垂直方向)に光を収束する。矢印3002と直交する矢印3001の方向については、照明整形要素303は光を集束せずに平行光のまま光を照明する。その結果、基準チップ205上には、矢印3002の方向に対して集束され(短い軸を有し)、矢印3001の方向に長い軸を有する実質的に線状の照明領域が形成される。なお、本実施例では、モータ等の何らかの駆動手段で反射要素312を矢印3004の方向に回転させ、照明整形要素を矢印3003の方向(照明光軸に平行な方向)に移動させることで、基準チップ205(もちろん被検査対象200であっても良い)に照明する仰角を変更することも可能である。なお、照明仰角を変更する方法は他にもあり、それら他の方法は実施例3乃至6によって説明される。
【0030】
照明整形要素303の例としては、シリンドリカルレンズ、シリンドリカルミラー、回折光学素子、それらとレンズ等の光学素子との組み合わせ等が考えられる。また、シリンドリカルレンズ、シリンドリカルミラーの配置の一例としては、その主要面が被検査対象200の表面に対して平行となるよう配置することが挙げられる。照明整形要素303を使用した照明方法としては、被検査対象200の法線と入射光軸とによって決定される入射面と交差するよう線状照明を形成する方法や、入射面内に線状照明を形成する方法が挙がられる。照明整形要素303は被検査対象200上に線状照明を形成できれば様々な方式を採用できる。
【0031】
照明整形要素303では、入射した光を収束し、照明光321を生成する。照明光321を調整する場合は、照明光321は基準チップ205へ照明される。基準チップ上には照明光321により線状の照明領域が形成される。基準チップからの散乱光(回折光であっても良い)は対物レンズ、結像レンズ、一次元センサ(2次元でも良いし、いわゆるビームプロファイルラでも良い)を有する照明観察系370によって結像、及び検出される。検出された像は、制御要素341へ入力される。制御要素341では、波面センサ305で観察された波面、及び照明観察系370によって観察された像を使用して、デフォーマブルミラー309を駆動するデータを作成する(候補となるデータを保存したデータベースから読み出しても良い)。制御要素341によって作成されたデータは駆動要素342によってデフォーマブルミラー309を駆動するための信号に変化される。デフォーマブルミラー309は制御要素341からのデータによって駆動する。その結果、波面307は任意の波面に変更され、照明光321によって形成される線状照明の形状も変更されることになる。
【0032】
次に、本実施例のデフォーマブルミラー309について図5、図6、及び図7を用いて詳細に説明する。図5は本実施例のデフォーマブルミラー309の正面図である。図5に示すように、本実施例のデフォーマブルミラー309は2次元的な広がりを持つ反射基板3091と、反射基板3091の裏面に配置された複数のアクチュエータ3092を有する。図6は、本実施例のデフォーマブルミラー309の断面図である。アクチュエータ3091は、反射基板3091の裏面を押すことが可能である。この動作により、反射基板3091の反射面の状態(例えば、凹凸の状態)を任意に変更することが可能となり、反射基板3091から入射し、反射する光の波面を任意に変更することが可能となる。アクチュエータ3092の具体例としては伸縮可能な圧電素子、リニアアクチュエータ等が考えられる。なお、アクチュエータ3092が圧電素子である場合は、圧電素子を駆動するための電源も有することになる。
【0033】
また、デフォーマブルミラー309の構造は他にも考えられる。図7は静電アクチュエータを使用したデフォーマブルミラーを説明する図である。図7(a)では、反射基板3091の裏面に静電アクチュエータ3093を複数配置している。これらのアクチュエータは、MEMSプロセスなどにより形成してもよい。また、アクチュエータの配置は、格子状あるいは放射状など任意の配置でよい。静電アクチュエータ3093はストロークが小さく、空間分解能が高いのでデフォーマブルミラー309の高精度の駆動に有効である。さらに、図7(b)に示すような図6の方式と図7の方式とを組み合わせたハイブリッド方式も考えられる。図7(b)に示すハイブリッド方式では、反射基板3091の裏面に静電アクチュエータ3093を複数配置する。さらにハイブリッド方式では、反射基板3091の裏面と対向するよう配置された基板3094をその裏面から押圧するアクチュエータ3092を有する。ハイブリッド方式では、ストロークが大きく、空間分解能の低いリニアアクチュエータ3092で粗く駆動(粗動)する。そして、ストロークが小さく、空間分解能が高い静電アクチュエータ3093でリニアアクチュエータ3092よりも小さな動作を行う。ハイブリッド方式では駆動できる範囲がより広くなる。
【0034】
なお、波面センサ305はシャックハルトマン型センサあるいは曲率センサなど、波面センサ305に入射できる波面の形状を計測できるものであればよい。
【0035】
つぎに、本実施例での照明整形の手順を図8乃至図11を用いて説明する。まず、図8(a)において、制御要素341は、波面センサ305から波面(例えば、第1の状態の波面と表現することができる)の情報を得る(図11のステップ1101)。波面センサ305からの情報を用いて、デフォーマブルミラー309を照明整形手段303へ入射する光の波面8001が概略無収差状態となるよう駆動する(図11のステップ1102)。
【0036】
この後、波面8001となった入射光308が照明整形手段303により線状に整形され基準チップ205に照射される。このときの照明形状901を照明観察系307によって観察する(図11のステップ1103)。このように光の波面8001を概略無収差状態として、照明形状901を観察することで、図8(b)に示すような設計上排除しきれない収差8010や、図8(c)に示す照明整形手段303が有する加工精度に起因した波面収差8020等、光の収束に不所望な要因の状態を得ることができる。なお、図8(d)に示すように照明整形手段303がシリンドリカルレンズ8030であれば、特に照明領域8040の長手方向両端で形状が乱れることが考えられる。
【0037】
図9は、基準チップ205を物体面に配置し、照明整形手段303と、照明形状902をモデル化し、像面を入射波面904とした光学的シミュレータモデルである。制御要素341では、図9のモデルに従って基準チップ205上に、照明形状901に基づく光源モデル902を光源として配置し、光源モデル902からの光を照明整形要素303の理論モデル903に入射させ、理論モデル903透過後の波面904を計算する(図11のステップ1104)。
【0038】
そして、制御要素341は、図10(a)に示すように波面センサ305によって観察された無収差状態の波面8001を理論モデル903透過後の波面904(光の収束に不所望な要因が重畳した波面)に対して逆位相の波面へ変更するデータを作成する(図11のステップ1105)。デフォーマブルミラー309はこのデータに基づき駆動し(図11のステップ1106)、照明整形手段303に入射する光の波面を概略無収差状態の波面8001を理論モデル903透過後の波面904に対して逆位相の波面1001(例えば、第2の状態の波面と表現することができる)へ変更する。波面1001の光は照明整形手段303を経由して、基準チップ205上に線状照明として照明される。基準チップ205上の照明形状1002は、照明観察系370によって観察される(図11のステップ1107)。制御要素341は、図8の照明形状901を観察した結果と、照明形状1002を観察した結果とを比較し、所望の状態(例えば、図1で説明したような線状照明が合焦領域と同等あるいはそれより狭い幅に整形された状態)であることを確認したら(図11のステップ1108)、照明領域の整形は終了となる(図11のステップ1109)。例えば、図10(b)に示すようにデフォーマブルミラー309を反射した光を収束する照明整形手段303がシリンドリカルレンズ8030であれば、特にシリンドリカルレンズ8030が照明光321を収束することで被検査対象200状に形成される照明領域8040は、その長手方向両端で形状は乱れずに所望の線状照明を形成できているはずである。なお、所望の状態とならなければ、所望の形状となるまで図11のステップ1106を繰り返せばよい。また、図11のステップ1105に戻りデータの作成を再度行っても良い。図11のステップ実際の検査はこの照明の整形が終了した後行われる(図11のステップ1110)。つまり、ステップ1103で光の収束に不所望な要因の状態を得ることができたのだから、照明整形手段303には、その不所望な要因が重畳した波面とは光学的に逆の波面(例えば、不所望な要因が重畳した波面とは逆の位相を有する波面と表現することもできる)を有する光を入射させてやれば、所望の線状照明が形成できるであろうということである。
【0039】
これにより、設計上排除しきれない収差や、集束を担う光学素子自体が有する加工精度に起因した波面収差等による収差の影響を低減することができ、照明形状905を検査に好適な状態(例えば、図1で説明したような線状照明が合焦領域と同等あるいはそれより狭い幅に整形された)に近づけることができる。本実施例によれば、照明光の波面収差を低減でき、照明領域の線幅の微細化が可能となり、斜方検出系による欠陥検査感度を向上させることが可能となる。
【0040】
なお、上述した照明整形は制御部341によって自動的に調整される例を説明したが、作業者が制御部341の動作を各種の表示装置・入力装置を使用して手動で行うよう構成しても良い。また、上記照明整形の手順の一部を制御部341が行い、他の一部を作業者が行うように構成してもよい。また、観察光学系370の機能は、上方検出系800、及び斜方検出系100の少なくとも1つに持たせても良い。
【実施例2】
【0041】
次に実施例2について説明する。実施例2では、実施例1と異なる部分について主に説明する。実施例1では、波面を変更するシステムの一例であるデフォーマブルミラー309と、線状照明を形成する機能を有する照明整形要素303とを有していた。これは、例えば、波面を変更する機能と線状照明を形成する機能とはそれぞれ別の光学システム、光学素子が担当していると表現することもできる。本実施例は、波面を変更する機能と線状照明を形成する機能とを実質的に1つの光学システムが担当することを特徴とする。
【0042】
より具体的に本実施例を説明する。図12は本実施例を説明する図である。本実施例では、実施例1の照明整形要素303の代わりに、デフォーマブルミラー309自体に照明整形の機能(言い換えるなら、線状照明を形成する機能)を持たせる。すなわち、たとえば図12に示すように、反射要素601の裏面に配置された複数のアクチュエータ3092を駆動し、反射要素601がシリンドリカルミラーの反射面を形成するようにする。この場合、本実施例のデフォーマブルミラー309は波面を変更する機能と線状照明を形成する機能を有するデフォーマブルシリンドリカルミラーであると表現することができる。このような、デフォーマブルミラー309は、短波長の光を使用して線状照明を形成する際には特に有効である。また、本実施例のデフォーマブルミラー309を照明系の光路に複数配置しても良い。また、複数のデフォーマブルミラー309、及びミラー等の反射光学素子を用いて全反射照明光学系を構成しても良い。なお、本実施例のデフォーマブルミラー309についても、図7(b)に示すハイブリッド型としても良い。
【実施例3】
【0043】
次に実施例3について説明する。被検査対象上の様々な欠陥をより高感度に検出しようとした場合、最適な照明条件(例えば、被検査対象に対する方位角、仰角、波長、偏光状態)は欠陥の種類により異なる場合もある。本実施例は、この点に考慮したものであり、本実施例は、照明条件を変更するための照明条件変更システムを有し、照明条件の変化に応じてデフォーマブルミラーは光の波面を変更することを特徴とする。本実施例では、実施例1と異なる部分について主に説明する。
【0044】
図13は本実施例を説明する図である。本実施例では、デフォーマブルミラー309から照明整形要素303までに至る光路の間に、第1の仰角1205で被検査対象200上に線状照明を形成するための第1仰角照明系1201と、第1の仰角1205よりも低い第2の仰角1206で被検査対象200上に線状照明を形成するための第2仰角照明系1202を有する。また、本実施例では、第1仰角照明系1201と第2仰角照明系1202との間に、デフォーマブルミラー309で反射した光を選択的に第1仰角照明系1201、又は第2仰角照明系1202へ導光するためのミラー等の反射要素1203を有する。ミラーは矢印1204の方向へ移動できる。第1仰角照明系1201は、反射要素1203で反射した光を波面センサ305へ導光するための光路分岐要素または光路切替要素313と、光路分岐要素または光路切替要素313を経由した光を照明整形要素303へ導光するミラー等の反射要素312と、を有する。第2仰角照明系1202は、反射要素1203で反射した光を波面センサ305へ導光するための光路分岐要素または光路切替要素323と、光路分岐要素または光路切替要素313を経由した光を照明光311ミラー等の反射要素322と、を有する。
【0045】
本実施例では、反射要素1203が第1仰角照明系1201に光を導光する場合は、デフォーマブルミラー309は、照明光311により形成される線状照明が第1の仰角1205で合焦領域と同等あるいはそれより狭い幅に整形されるよう反射波面307を調整する。また、反射要素1203が第2仰角照明系1202に光を導光する場合は、デフォーマブルミラー309は、照明光321により形成される線状照明が第2の仰角1206で合焦領域と同等あるいはそれより狭い幅に整形されるよう反射波面307を調整する。
【0046】
波面の調整は、実施例1に開示される調整方法を、第1の仰角1205で被検査対象200に線状照明を形成する場合、第2の仰角で被検査対象に線状照明を形成する場合でそれぞれ行い、第1の仰角1205で被検査対象200に線状照明を形成するための第1のデータ、第2の仰角1206で被検査対象200に線状照明を形成するための第2のデータを制御要素341に保存しておいて、検査の際には反射要素1203の移動に応じて、第1のデータ、又は第2のデータを読み出し、読み出したデータでデフォーマブルミラー309を駆動すれば良い。その他の部分は実施例1と同様である。本実施例によれば、照明仰角を変更することが可能となり、より高感度な検査を行うことが可能となる。なお、本実施例については反射要素1203を移動させるのではなく、第1仰角照明系1201の光路上で固定したうえで、新たに反射要素1207を第2仰角照明系1202の光路中から矢印1208で示すように出し入れしても良い。
【実施例4】
【0047】
次に実施例4について図14を用いて説明する。実施例3では照明仰角を変更する例を説明した。本実施例は実質的に同時に複数の仰角から光を照明する実施例である。本実施例では、実施例1、2と異なる部分について主に説明する。
【0048】
本実施例では、実施例3で説明した反射要素1203の代わりに、光路分岐要素1305と、光路分岐要素1305を通過した光を反射する第1のデフォーマブルミラー1303とを有する点が特徴的である。
【0049】
より具体的に説明する。本実施例では、入射波面306の照明光308は第2のデフォーマブルミラー1304によって反射される。第2のデフォーマブルミラー1304によって波面を反射波面307へ変更された光は、光路分岐要素1305へ入射する。光路分岐要素1305を通過した光は、第1のデフォーマブルミラー1303へ入射する。第1のデフォーマブルミラー1303によってさらに波面を変更された光は、第1の仰角1307で被検査対象200上に線状照明を形成するための第1仰角照明系1301へ入射する。光路分岐要素1305によって反射された光は、第1の仰角1307よりも低い第2の仰角1308で被検査対象200上に線状照明を形成するための第2仰角照明系1302へ入射する。第1仰角照明系1301、及び第2仰角照明系1302の構成は実施例3と同様である。
【0050】
ここで、第1のデフォーマブルミラー1303は、照明光311により形成される線状照明が第1の仰角1307で合焦領域と同等あるいはそれより狭い幅に整形されるよう反射波面1309を調整する。第2のデフォーマブルミラー1304は、照明光321により形成される線状照明が第2の仰角1308で合焦領域と同等あるいはそれより狭い幅に整形されるよう反射波面307を調整する。
【0051】
本実施例での線状照明の調整は以下のように行えばよい。(1)まず、シャッター1306で第1仰角照明系1301の光路を遮光し、第2仰角検出系1302内の光路分岐要素または光路切換要素323を経由した光の波面を波面センサ305で観察する。(2)その後は、実施例1に開示される調整方法によって、第2の仰角1308で照明される線状照明が合焦領域と同等あるいはそれより狭い幅に整形されるよう反射波面307を調整する。(3)次に、シャッター1306で第2仰角照明系1302の光路を遮光し、第1仰角検出系1301内の光路分岐要素または光路切換要素313を経由した光の波面を波面センサ305で観察する。(4)次に、実施例1に開示される調整方法によって、第1の仰角1307で照明される線状照明が合焦領域と同等あるいはそれより狭い幅に整形されるよう反射波面1309を調整する。
【0052】
実際の検査の際には、第1の仰角1307で被検査対象200に線状照明を形成するための第1のデータ、第2の仰角1308で被検査対象200に線状照明を形成するための第2のデータを制御要素341に保存しておいて、保存した第1のデータ、及び第2のデータを読み出して、第1のデフォーマブルミラー1303、及び第2のデフォーマブルミラー1304を駆動してやれば良い。
【0053】
本実施例によれば、同時に複数の仰角から被検査対象200を照明することが可能となり、より高感度な検査を行うことが可能となる。
【実施例5】
【0054】
次に実施例5について説明する。図15は実施例5を説明する図である。実施例5では、実施例3で説明した照明整形要素303、及びデフォーマブルミラー309の代わりに、実施例2で説明したデフォーマブルシリンドリカルミラーを使用し、複数の仰角から選択的に被検査対象を照明することを特徴とする。実施例5では、より短波長の光を使用して、より高感度な検査を行うことができる。
【実施例6】
【0055】
次に実施例6について説明する。図16は実施例6を説明する図である。実施例6では、実施例4で説明した照明整形要素303、第1のデフォーマブルミラー1303、及び第2のデフォーマブルミラー1304の代わりに、実施例2で説明したような第1のデフォーマブルシリンドリカルミラー1601、及び第2のデフォーマブルシリンドリカルミラー1602を使用し、複数の仰角から概略同時に被検査対象を照明することを特徴とする。実施例6では、より短波長の光を使用して、より高感度な検査を行うことができる。なお、実施例4乃至7では照明整形要素303は1つである例を説明したが、照明する仰角の方向の数だけ照明整形要素303を設けて、複数の仰角から線状照明を形成するようにしても良い。
【実施例7】
【0056】
次に実施例7について説明する。上述した実施例では、例えば、波面センサ305の光学的な位置は線状照明に近い方が好ましいと表現することもできる。その理由は、線状照明により近い位置で波面を観察した方が、より実際の線状照明が形成される際の波面に近い波面を観察できるからである。本実施例ではこの点に考慮したものである。
【0057】
図17は本実施例を説明する図である。実施例1乃至6では、照明整形要素303よりも前の光路(他の表現としては、被検査対象200側から見て照明整形要素よりも遠い光路)に光学分岐要素あるいは光路切替要素、及び波面センサが配置されていた。本実施例では、図17に示すように、照明整形要素303よりも後ろの光路(他の表現としては、被検査対象200側から見て照明整形要素よりも近い光路)に光学分岐要素あるいは光路切替要素1701、及び波面センサ1702が配置する。線状照明を整形する際は基準チップ205に線状照明を照明し、実施例1に開示する調整方法を行えばよい。
【0058】
本実施例によれば、より実際の線状照明が形成される際の波面に近い波面を観察でき、観察した波面をデフォーマブルミラーの駆動にフィードバックできる。その結果、より幅の狭い線状照明を形成することができる。
【実施例8】
【0059】
次に、実施例8について説明する。波面センサの位置のバリエーションは他にも考えられる。図18は実施例8を説明する図である。本実施例では、実施例1乃至7で説明した基準チップ、光学分岐要素あるいは光路切替要素の代わりに、研磨された鏡面を有する基準鏡面1802、照明光321の入射角に対して正反射位置に配置された波面センサ1801を有する。
【0060】
より具体的に説明する。基準鏡面1802は照明光を反射できるよう研磨されており、図3のステージ400上や被検査対象200上といった任意の位置に配置される。波面センサ1801は基準鏡面1802からの正反射光を検出できるよう正反射位置に配置され、正反射光1803の波面を観察することになる。
【実施例9】
【0061】
次に実施例9について説明する。実施例9では、前述した散乱光や回折光を検出する照明観察系307の代わりに、正反射光を検出する照明観察系1901を有することを特徴とする。本実施例の説明では、主に他の実施例とは異なる部分について説明する。図19は、本実施例を説明する図である。本実施例では、実施例8で説明した基準鏡面1802を使用する。そして、本実施例の検査装置では、基準鏡面1802から反射した正反射光1803を像として検出する照明観察系1901を有する。照明観察系1901は、正反射光1803を結像するレンズ等の結像光学系1903と、結像された反射光像を検出するセンサ1902とを有する。なお、センサ1902は複数の画素を有する場合もある。このようなセンサ1902は、いわゆるビームプロファイラを採用しても良い。そして、照明観察系1901で観察された正反射光像は制御要素341へ送信され、実施例1で説明した照明形状の整形に使用される(より具体的には、図11のステップ1103、ステップ1107、ステップ1108等で使用される)。
【実施例10】
【0062】
次に実施例10について説明する。回路パターンが形成されたウェハを検査する場合、ウェハ上には高さの異なる回路パターンが形成されている場合もある。図20はパターンの形成されたウェハを上方から見た図である。図20において、ある高さを有する高いパターン2030と2030よりも低いパターン2040がウェハ上に形成されていた場合、高いパターン2030、及び低いパターン2040に重複して線状照明2020が照明されるのは、2つのパターンのうち片方のパターンでは正しく合焦し、もう片方のパターンではデフォーカスしてしまうので望ましく無い場合がある。本実施例はこの点に考慮したものであり、パターンの高さに応じて光を収束する光学素子に入射する光の波面を変更することを特徴とする。
【0063】
より具体的に本実施例を説明する。本実施例の説明に当たっては、特に他の実施例と異なる部分について説明する。図21は本実施例の検査装置の特に照明系300を説明する図である。デフォーマブルミラー309を駆動するデータを作成する制御要素341には、被検査対象200上に形成された回路パターンの設計情報を格納した設計情報データベース2110が接続されている。さらに、ステージ400の走査情報(XY方向にどれだけ移動したかを示す情報)は制御要素341に送信される。つまり、線状照明の寸法が既知であれば、ステージ400の走査情報から、被検査対象200のどの場所に線状照明が照明されているか知ることができる。
【0064】
制御要素341では、既知の線状の照明の寸法、設計情報データベース2110からの設計情報、及びステージ400からの走査情報を照合し、どの回路パターンにどれだけ線状照明が照明されているかを判断する。そして、パターンの高さに応じてデフォーマブルミラー309を駆動する。
【0065】
さらに、より具体的に本実施例を説明する。図22は、本実施例をさらに詳細に説明する図である。なお、図22(a)では、より分かりやすく説明するためデフォーマブルミラー309と照明整形手段303との間の光路に配置された構成は省略している。図22(a)では、被検査対象200上のY走査方向に高いパターン2030と高いパターン2030よりも低いパターン2040が形成されているとする。制御部341は、既知の線状の照明の寸法、設計情報データベース2110からの設計情報、及びステージ400からの走査情報を照合し、線状照明が高いパターン2030、及び低いパターン2040双方に重複して照明される否か判断する(この判断は、検査前、検査中いずれのタイミングで行っても良い。)。図22(a)の最初の状態では、線状照明の焦点は低いパターン2040の表面と同じ高さの焦点2050、焦点2200に合焦されているものとする。線状照明が高いパターン2030、及び低いパターン2040に重複して照明されると制御要素341が判断した場合、制御要素341は線状照明内の照明領域のなかで、高いパターン2030と重複する領域については、デフォーマブルミラー309を駆動することで高いパターン2030上の焦点を焦点2050から焦点2060へ変更する。一方、制御要素341は線状照明内の照明領域のなかで、低いパターン2040と重複する領域については、焦点2200に合焦するようにする。このようにすることで、一つの線状照明の中に焦点位置の異なる2つの領域が形成されることになる。そして、図22(b)矢印2080で示す走査は高いパターン2030については焦点2060で、低いパターン2040については焦点2200に合焦した線状照明によって行われる。
【0066】
なお、本実施例では段差2070も考慮される。つまり、段差2070が線状照明の合焦に実質的に影響を与えない程度の段差であれば、上述したような波面の変更は行われず、検査が続行される場合もありうる。さらに、回路パターンによっては、Y走査方向だけでなく、X走査方向に高さの異なるパターンが形成される場合もある。その場合は、X走査方向でのパターン高さに応じて、波面の変更を行えば良い。また、本実施例では、設計情報を用いる例を説明したが、使用するのは設計情報だけでなく事前に実測した照明領域の像や、別途設けたオートフォーカス系等の情報を使用しても良い。上述したように、本実施例は、例えば、パターンの高さに応じて、光を集束するための光学素子に入射する光の波面を変更すると表現することができる。その他の表現としては、パターンの高さに応じて、1つの照明領域の中に複数の焦点を有する照明領域を形成すると表現することもできる。本実施例によれば、パターンの高さが変わった場合でも、感度の良い検査を行うことができる。
【実施例11】
【0067】
次に実施例11について説明する。線状の照明の形成に不所望な影響を与える要因としては、設計上排除しきれない収差や、集束を担う光学素子自体が有する加工精度に起因した波面収差の他にも、装置内の環境、特に照明系の環境(温度、気圧、湿度等)が考えられる。本実施例はこの点に考慮したものであり、装置内の環境、特に照明系の環境(温度、気圧、湿度等)に応じて、光を集束するための光学素子に入射する光の波面を変更することを特徴とする。
【0068】
より具体的に本実施例を説明する。図23は本実施例を説明する図である。本実施例では、照明系300内の環境(例えば、温度、気圧、及び湿度のうち少なくとも1つ)を計測する環境計測部2101を設ける。この環境計測部2101は、照明系300内に複数設けても良い。環境計測部2101の計測結果は、制御要素341に送信され、制御要素341は、この計測結果に応じてデフォーマブルミラー309を駆動する。つまり、デフォーマブルミラー309で反射した光の波面307は環境計測部2102の結果に応じて変更されることになる。
【0069】
さらに、具体的に図24のフローチャートを用いて本実施例を説明する。図22のフローチャートでは、ステップ1101からステップ1110までは実施例1・図11で説明した内容と同一である。本実施例では、ステップ1111で、所望の線状照明の形状が得られた際の装置内環境を環境計測部2101で計測し、計測した結果を制御要素341内のメモリに記憶しておく。ステップ1110から検査が開始されると、環境計測部2101は計測結果を定期的に制御要素341へ送信する。制御要素341では、計測結果が許容値以内か否か判断し(ステップ1112)、許容値以内であれば検査を続行する(ステップ1113)。計測結果が許容値以内でないのであれば、制御要素341はデフォーマブルミラー309を駆動し、デフォーマブルミラー309で反射した光の波面307を変更する。より具体的に説明すると、制御要素341は、線状照明が所望の形状となった際の装置内環境に対する変動と波面307の変動との関係を得ておいて、制御要素341はこの関係に基づいてデフォーマブルミラー309を駆動する。本実施例によれば、装置内の環境が変化した場合でも、感度の良い検査を行うことが可能となる。
【0070】
以上、実施例を説明したが、本発明は実施例に限定されない。上述した実施例では、線状照明が合焦領域と同等あるいはそれより狭い幅に整形されるように、線状照明を形成するための光学素子に入射する光の波面を調整する例を説明した。しかし、本発明は、線状照明以外の照明領域を形成する場合に適用しても良い。つまり、所望の照明形状を得るための入力となる光の波面を得ることや、所望の照明形状を得るための入力となる光の波面を変更することは本発明の思想の範囲内である。
【0071】
さらに、上述した波面センサやデフォーマブルミラーは斜方検出系、上方検出系等の検出光学系で採用してもよい。さらに、本発明は鏡面ウェハを検査する表面検査装置へ適用してもよい。また、検査対象はウェハでなくてもよく、本発明は様々な基板の検査装置、対象物に光を照明する光学装置に幅広く適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
100 斜方検出系
101 斜方検出光学系
102、802 1次元センサ
103 合焦位置
104 結像位置
105、805 対物レンズ
106、806 光学分岐要素
107、807 2次元センサ
108 光軸
109、809 結像レンズ
120、350 移動部
200 被検査対象
201、801、808 散乱光
202 合焦領域
203 デフォーカス領域
204 法線
205 基準チップ
300、310、320 照明系
301、308、311、321 照明光
303 照明整形要素
305 波面センサ
306 入射波面
307 反射波面
309 デフォーマブルミラー
312、314、322、601、3091 反射要素
313 光学分岐要素または光路切替要素
323、331 光路分岐要素または切替要素
341 制御要素
342 駆動要素
360 回折光または散乱光
370 照明観察系
400 ステージ
700 演算処理系
701 表示装置
800 上方検出系
901 照明形状
902 光源モデル
903 照明整形要素303の理論モデル
904 波面の理論モデル
1000 欠陥検査装置
3092 アクチュエータ
3093 静電アクチュエータ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】

【手続補正書】
【提出日】20130531
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を照明するための光を反射し、前記光の波面を変更する波面変更部と、
前記波面変更部で反射した光を集束することで前記試料上に線状の照明領域を形成する照明領域形成部と、を有し、
前記波面変更部は、反射面と前記反射面を前記反射面の裏面から押圧する駆動部とを有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置において、
前記波面変更部は、検査に不所望な要因が重畳した波面とは光学的に逆の波面を有する光を前記照明領域形成部へ入射させることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検査装置において、
前記光学的に逆の波面とは、前記検査に不所望な要因が重畳した波面とは逆の位相を有する波面であることを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検査装置において、
前記照明領域の幅は検査のための合焦領域の幅以下であることを特徴とする検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検査装置において、
前記試料の法線に対して傾斜した光軸を有する斜方検出光学系を有し、
前記合焦領域とは、前記斜方検出光学系の合焦面と前記試料の表面とが交差する領域であることを特徴とする検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検査装置において、
前記波面変更部で反射した光の波面の状態を得る波面センサを有し、
前記波面変更部は前記波面センサの情報の情報を用いて、前記照明領域形成部に入射する光の波面を実質的に無収差状態の波面へと変更し、
前記波面変更部は、前記無収差状態の波面を前記検査に不所望な要因が重畳した波面とは逆の位相を有する波面へと変更することを特徴とする検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の検査装置において、
前記無収差状態の波面を前記検査に不所望な要因が重畳した波面とは逆の位相を有する波面へと変更するためデータを作成する処理部を有することを特徴とする検査装置。
【請求項8】
請求項5に記載の検査装置において、
前記駆動部は、前記反射面の裏面に配置され、前記裏面を押圧する複数の圧電素子であることを特徴とする検査装置。
【請求項9】
請求項5に記載の検査装置において、
前記駆動部は、前記反射面の裏面に配置され、前記裏面を押圧する複数の静電アクチュエータであることを特徴とする検査装置。
【請求項10】
請求項5に記載の検査装置において、
前記駆動部は、第1の空間分解能で駆動する第1のアクチュエータ、及び前記第1の空間分解能より高い第2の空間分解能で駆動する第2のアクチュエータを有することを特徴とする検査装置。
【請求項11】
請求項1に記載の検査装置において、
前記照明領域形成部は、前記試料に対する仰角を変更して前記照明領域を形成し、
前記波面変更部は、前記仰角の変更に応じて前記試料に照明するための光の波面を変更することを特徴とする検査装置。
【請求項12】
請求項1に記載の検査装置において、
前記照明領域形成部は、前記試料に対して異なる2つの仰から第1の光、及び第2の光を前記基板へ収束し、
前記第1の光の波面は前記波面変更部によって第1の波面へ変更され、前記照明領域形成部へ入射し、
前記第2の光の波面は前記波面変更部によって第2の波面へ変更され、前記照明領域形成部へ入射することを特徴とする検査装置。
【請求項13】
請求項1に記載の検査装置において、
前記波面変更部は、前記試料上のパターンの高さに応じて、前記光の波面を変更することを特徴とする検査装置。
【請求項14】
請求項1に記載の検査装置において、
環境計測部を有し、
前記波面変更部は、前記環境計測部の計測結果に応じて、前記光の波面を変更することを特徴とする検査装置。
【国際調査報告】