(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013099541
(43)【国際公開日】20130704
【発行日】20150430
(54)【発明の名称】蓄電デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/72 20130101AFI20150403BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20150403BHJP
   H01G 11/28 20130101ALI20150403BHJP
   H01G 11/70 20130101ALI20150403BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20150403BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20150403BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20150403BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20150403BHJP
【FI】
   !H01G11/72
   !H01G11/10
   !H01G11/28
   !H01G11/70
   !H01G11/84
   !H01M10/04 Z
   !H01M4/02 Z
   !H01M4/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
【出願番号】2013551558
(21)【国際出願番号】JP2012081473
(22)【国際出願日】20121205
(31)【優先権主張番号】2011286120
(32)【優先日】20111227
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(72)【発明者】
【氏名】堀川 景司
【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号 株式会社村田製作所内
【テーマコード(参考)】
5E078
5H028
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA01
5E078AA03
5E078AA10
5E078AA13
5E078AA15
5E078AB02
5E078AB06
5E078AB12
5E078BA04
5E078BA13
5E078BA26
5E078BA44
5E078BA53
5E078BB33
5E078DA02
5E078DA17
5E078FA07
5E078FA13
5E078FA21
5E078HA02
5E078HA06
5E078HA07
5E078HA13
5E078HA25
5E078JA03
5E078JA06
5E078JA08
5E078LA06
5E078LA07
5H028AA05
5H028BB05
5H028BB14
5H028CC08
5H028EE06
5H028EE10
5H050AA19
5H050GA07
5H050GA12
5H050GA26
(57)【要約】
高い耐熱性を有し、多層化が容易で、小型化に有利な蓄電デバイス及びその製造方法を提供する。
正極又は負極の一方の第1極と他方の第2極との間にセパレータ層が設けられてなる積層体と、電解質と、前記積層体と前記電解質を収納するパッケージと、を有してなる蓄電デバイスであって、第1極集電体電極と、その第1極集電体電極の一方の主面に設けられた第1極活物質層と、前記一方の主面の少なくとも一部を覆うセパレータ層と、が一体化されてなる第1極複合シートを少なくとも2つ含んでなり、前記少なくとも2つの第1極複合シートの一方の第1極複合シートの第1極集電体電極の他方の主面と、他方の第1極複合シートの第1極集電体電極の他方の主面と、が対向して接合層を介して接合されており、前記接合層が、主鎖中にイミド結合を有する高分子を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極又は負極の一方の第1極と他方の第2極との間にセパレータ層が設けられてなる積層体と、電解質と、前記積層体と前記電解質を収納するパッケージと、を有してなる蓄電デバイスであって、
第1極集電体電極と、その第1極集電体電極の一方の主面に設けられた第1極活物質層と、前記一方の主面の少なくとも一部を覆うセパレータ層と、が一体化されてなる第1極複合シートを少なくとも2つ含んでなり、
前記少なくとも2つの第1極複合シートの一方の第1極複合シートの第1極集電体電極の他方の主面と、他方の第1極複合シートの第1極集電体電極の他方の主面と、が対向して接合層を介して接合されており、
前記接合層が、主鎖中にイミド結合を有する高分子を含むこと
を特徴とする蓄電デバイス。
【請求項2】
前記接合層が、主鎖中にシロキサン結合を有する高分子を含むこと
を特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
正極又は負極の一方の第1極と他方の第2極との間にセパレータ層が設けられてなる積層体と、電解質と、前記積層体と前記電解質を収納するパッケージと、を有してなる蓄電デバイスの製造方法であって、
主鎖中にイミド結合を有する高分子を含む接合用樹脂層を準備する工程と、
前記接合用樹脂層の一方の主面に、第1の第1極集電体電極の一方の主面を対向して配する工程と、
前記第1の第1極集電体電極と、その第1の第1極集電体電極の他方の主面に設けられた第1極活物質層と、前記他方の主面の少なくとも一部を覆うセパレータ層と、が一体化されてなる第1極複合シートを作製する工程と、
前記第1の第1極集電体電極の一方の主面と、第2の第1極集電体電極の一方の主面と、を前記接合用樹脂層を介して接合する工程と
を含むことを特徴とする蓄電デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記接合用樹脂層が、主鎖中にシロキサン結合を有する高分子を含むこと
を特徴とする請求項3に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】
前記接合用樹脂層と前記第1の第1極集電体電極が接合された層を基材上に形成し、その後、前記基材を剥離する工程を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、比較的大容量が得られる小型・軽量のバッテリとして、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスが広く用いられている。
【0003】
この蓄電デバイスは、例えば、特許文献1に開示されているように、アルミニウム箔からなる集電体電極の両面に分極性電極層を塗布することで電極を形成し、セパレータを介して積層することにより製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−123988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術は、電極とセパレータが接合により固定されて一体化されていないため、電極とセパレータの配置が安定せず、多層化が難しいという問題があった。
【0006】
また、集電体電極を薄くして小型化を図ろうとした場合、集電体電極の強度が低下するため、例えば集電体電極の両面に活物質層を形成することが容易ではないなど、取り扱いが困難になるという問題があった。
【0007】
さらに、集電体電極に外部応力が加わった場合、容易に形状が変形し、集電体電極が破れ、蓄電デバイスの抵抗値の上昇や容量低下を招くという問題があった。
【0008】
そこで、本発明では、多層化が容易で、小型化に有利な蓄電デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る蓄電デバイスは、正極又は負極の一方の第1極と他方の第2極との間にセパレータ層が設けられてなる積層体と、電解質と、前記積層体と前記電解質を収納するパッケージと、を有してなる蓄電デバイスであって、第1極集電体電極と、その第1極集電体電極の一方の主面に設けられた第1極活物質層と、前記一方の主面の少なくとも一部を覆うセパレータ層と、が一体化されてなる第1極複合シートを少なくとも2つ含んでなり、前記少なくとも2つの第1極複合シートの一方の第1極複合シートの第1極集電体電極の他方の主面と、他方の第1極複合シートの第1極集電体電極の他方の主面と、が対向して接合層を介して接合されており、前記接合層が、主鎖中にイミド結合を有する高分子を含んでいることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の蓄電デバイスは、前記接合層が、主鎖中にシロキサン結合を有する高分子を含んでいることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る蓄電デバイスの製造方法は、正極又は負極の一方の第1極と他方の第2極との間にセパレータ層が設けられてなる積層体と、電解質と、前記積層体と前記電解質を収納するパッケージと、を有してなる蓄電デバイスの製造方法であって、主鎖中にイミド結合を有する高分子を含む接合用樹脂層を準備する工程と、前記接合用樹脂層の一方の主面に、第1の第1極集電体電極の一方の主面を対向して配する工程と、前記第1の第1極集電体電極と、その第1の第1極集電体電極の他方の主面に設けられた第1極活物質層と、前記他方の主面の少なくとも一部を覆うセパレータ層と、が一体化されてなる第1極複合シートを作製する工程と、前記第1の第1極集電体電極の一方の主面と、第2の第1極集電体電極の一方の主面と、を前記接合用樹脂層を介して接合する工程とを含むことを特徴としている。
【0012】
また、本発明の蓄電デバイスの製造方法は、前記接合用樹脂層が、主鎖中にシロキサン結合を有する高分子を含んでいることが好ましい。
【0013】
また、本発明の蓄電デバイスの製造方法は、前記接合用樹脂層と前記第1の第1極集電体電極が接合された層を基材上に形成し、その後、前記基材を剥離する工程を含んでいることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、高い耐熱性を有し、多層化が容易で、小型化に有利な蓄電デバイス及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る蓄電デバイスの製造方法の工程フロー図である。
【図2】本発明の一実施形態の蓄電デバイスの製造方法において、基材フィルム100上に正極21を形成する工程を示しており、(1)は、離型層101と接合用樹脂層121を備えた基材フィルム100の断面図であり、(2)は接合用樹脂層121上に正極集電体膜102を形成した断面図であり、(3)は、正極集電体膜102上にレジストパターンR102を形成した断面図であり、(4)は、正極集電体膜102がエッチングされた断面図であり、(5)は、レジストパターンR102を除去した断面図であり、(6a)は、正極集電体電極21a上に正極活物質層21bを形成した断面図であり、(6b)は、(6a)の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態の蓄電デバイスの製造方法において、正極21上にセパレータ層42を形成して正極複合シート20Aを作製する工程と、負極集電体電極31aと負極活物質層31bを形成する工程とを示しており、(7a)は、正極集電体電極21aと接合用樹脂層121の上にセパレータ層42を形成した断面図であり、(7b)は、(7a)の平面図であり、(8a)は、基材フィルム上に負極31を形成した平面図である。
【図4】本発明の一実施形態の蓄電デバイスの製造方法において、正極・負極一体化シート50Aを形成する工程を示しており、(8b)は、図3(8a)の断面図であり、(9)は、負極複合シート30Aの断面図であり、(10)は、正極複合シート20Aと負極複合シート30Aを対向して配置した断面図であり、(11)は、正極複合シート20Aと負極複合シート30Aのセパレータ層42間を接合した正極・負極一体化シート50Aの断面図であり、(12)は、正極・負極一体化シート50Aの正極側の基材フィルム100を剥離した断面図である。
【図5】本発明の一実施形態の蓄電デバイスの製造方法において、正極・負極一体化シートを積層する工程を示しており、(13)は、2つの正極・負極一体化シート50Aを対向して配置した断面図であり、(14)は、2つの正極・負極一体化シートを積層した断面図であり、(15)は、その一方の基材フィルム100を剥離した断面図であり、(16)は、積層された正極・負極一体化シート50Aにさらに別の正極・負極一体化シート50Aを配置した断面図である。
【図6】(17)は、本発明の一実施形態の蓄電デバイスの製造方法において、積層された正極・負極一体化シート50Aにさらに別の正極・負極一体化シート50Aを積層した断面図である。
【図7】本発明の一実施形態の正極・負極一体化シート50Aが積層された電気化学素子用積層シートLB1の断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る電気化学素子用積層ブロック1に正極端子電極21tと負極端子電極31tとを形成した電気化学素子の一部断面斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る電気化学素子用積層ブロック1を含む蓄電デバイスの例として示す、電気二重層キャパシタ80Aの断面図である。
【図10】本発明の実施例1に係る電気二重層キャパシタのリフロー耐熱性を評価するための、リフロー時の温度プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。
(1)蓄電デバイス
図8は、本実施形態に係る蓄電デバイスに用いる電気化学素子用積層ブロック1を示す斜視図である。
【0017】
図9は、電気化学素子用積層ブロック1を含む蓄電デバイスの例として示す、電気二重層キャパシタ80Aの断面図である。
【0018】
なお、図8では、電気化学素子用積層ブロック1の前面(ハッチングにより示した面)は、正極21(正極集電体層21cと正極活物質層21b)と負極31(負極集電体層31cと負極活物質層31b)の配置の概略を理解できるように断面を示しているが、実際は、後述する製造方法において詳細を示すように、接着性を有するセパレータ層42により覆われており、このセパレータ層42に設けられた切れ込み25(図3(7b)参照)を介して、電解質が電気化学素子用積層ブロック1内の蓄電ユニットに供給される。すなわち、切れ込み25は、電解質を電気化学素子用積層ブロック1内に導入することができる電解質誘導路として機能する。
【0019】
また、電気化学素子用積層ブロック1の後面(前面に平行な面)も同様に、図示しないセパレータ層42により覆われており、この後面を覆うセパレータ層42にも切れ込み25を設けてよい。
【0020】
後述するように電気化学素子用積層ブロック1を正極パッケージ電極及び負極パッケージ電極を備えたパッケージ内に電解質とともに収納することで例えば電気二重層キャパシタ、リチウムイオン二次電池またはリチウムイオンキャパシタのような蓄電デバイスを形成することができる。
【0021】
電気化学素子用積層ブロック1は、正極活物質層21bと負極活物質層31bとが対向している1組の正極21(正極集電体層21cと正極活物質層21b)と負極31(負極集電体層31cと負極活物質層31b)および当該正極と当該負極の間に配置され、当該正極の表面の一部および当該負極の表面の一部と接着しているセパレータ層42(図8では詳細部の記載を省略)とを有する蓄電ユニットが複数積層した積層体を有する。
【0022】
後述するように、本発明においては、少なくとも1つの正極集電体層21c(または、少なくとも1つの負極集電体層31c)は、2つの正極集電体電極(または、2つの負極集電体電極)の主面同士が、主鎖中にイミド結合を有する高分子を含む接合層を介して接合されることで形成されている。
【0023】
イミド結合は、芳香族同士が結合して共役構造を持つため、強固な分子構造を有する。また、極性の高いイミド結合が強い分子間力を持つため、分子鎖間の結合も強く、高い機械的強度、高耐熱性を有する接合層が得られる。
【0024】
また、本発明においては、前記接合層が主鎖中にシロキサン結合を有する高分子を含んでいることが好ましい。シロキサン結合中のSi−O間の結合は結合エネルギーが高く、高耐熱性を有する。また、シロキサン結合の回転障壁が低く、Si−O間の結合が比較的自由に回転できるため柔軟性を有し、これにより高い接着性を有するものと推測される。
【0025】
セパレータ層42は、電解質を内部に誘導できる電解質誘導路を正極活物質層21bと負極活物質層31bとの間に形成している。
【0026】
従って、パッケージ内に電気化学素子用積層ブロック1を配置し、電解質をパッケージ内に供給することで、容易に電解質を蓄電ユニット内に供給(注液)することができる。
【0027】
この結果、蓄電ユニットの積層時の熱等の影響による電解液の変質、揮発等の問題を防止することができる。
【0028】
また、電解質の注液を積層体形成後に行えることから蓄電ユニットの積層時に蓄電ユニットを電解質を含んだ状態でハンドリングする必要がなく、工程が簡略化され、効率的である。
【0029】
さらに、電解質がより短い時間で蓄電ユニット内に到達するため、電解質の注液が容易であるという利点を有する。
【0030】
なお、これは、電気化学素子用積層ブロック1を用いた蓄電デバイスの製造において、電解質の電気化学素子用積層ブロック1への注液を蓄電ユニットの積層後に限定するものではない。蓄電ユニットの積層前および/または蓄電ユニットの積層中に注液しておいてもよいし、蓄電ユニットの積層後に追加で注液してもよい。
【0031】
上述のようにセパレータ層42は、当該正極の表面の一部もしくは当該負極の表面の一部と接着できる、またはセパレータ層42同士で接着できるように接着性を有している。
【0032】
セパレータ層42としては熱可塑性樹脂(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)及びその六フッ化プロピレンとの共重合体、ポリエチレンオキサイドなど)および、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミドなどの熱硬化性樹脂を使用することができる。
【0033】
これらの中で、熱可塑性樹脂はガラス転移温度または融点まで加熱することによって軟らかくなるため、加熱又は加熱しながら圧着することで被接着物である正極活物質層21b、負極活物質層31b、正極集電体層21cもしくは負極集電体層31cまたはセパレータ層との接触面積が大きくなり、強い接着強度(接合強度)が得られるため好ましい。
【0034】
また、熱可塑性樹脂であるPVDFを用いた場合、耐熱性及び耐溶剤性に優れる。
【0035】
一方、熱硬化性樹脂は耐熱性が高く、結着力が強く、化学的安定性に優れ、熱可塑性樹脂と比較して高強度であるため、積層体の強度が向上する。
【0036】
セパレータ層42を上述の被接着物に接着する方法としては、例えばセパレータ層42を設けた各電極を圧着または加熱することが挙げられ、圧着または加熱することにより被接着物(正極、負極等)に接着されて一体化する。また圧着時に加熱することにより、より強固に接着することができる。
【0037】
セパレータ層42を設けた各電極を積層して積層体を作製する際、積層体においては、電極の逐次積層時は、加熱などにより仮接着を行うことで仮積層体を形成し、仮積層体に加熱などにより本接着を施す。
【0038】
このようにすると、積層時に、正極と負極間の位置を精度よく逐次積層することが可能になる。
【0039】
また、本接着は、積層体が複数個まとめて仮接着された積層集合体に施してもよいし、仮接着された積層集合体を個片化した後に、積層体毎に行ってもよい。
【0040】
セパレータ層42は、粒子状絶縁体を含んでもよい。セパレータ層42に粒子状絶縁体を含むことにより、セパレータ層42の強度を向上することができ、積層時の潰れを抑制し、電極間ショートを防ぐことができる。
【0041】
セパレータ層42は充分な接着性を確保し、かつ電気化学素子用積層ブロック1トの形状を堅固に維持するために、好ましくは1250sec/100cc以上の透気度を有する。
【0042】
なお、透気度とは、気体の透過しやすさを表すのに用いる尺度であり、日本工業規格(JIS)のP 8117に準拠した方法により、デジタル型王研式透気度試験機(例えば、旭精工株式会社製「EG01−5−1MR」)を使用し、シリンダー圧0.25MPa、測定圧0.05MPa、測定内部径30mmの条件で測定できる。
【0043】
透気度の値が大きいと気体を通し難く、これは同時に電解液のような液体も通し難いことを示している。
【0044】
次に、図9を用いて、電気化学素子用積層ブロック1を含む電気二重層キャパシタ80Aについて説明する。
【0045】
電気化学素子用積層ブロック1は、パッケージベース部11bとパッケージ蓋部11aからなるパッケージ内に配置されている。パッケージベース部11bとパッケージ蓋部11aは例えば液晶ポリマーのような耐熱樹脂により形成され得る。
【0046】
パッケージベース部11bには、例えばアルミニウムのような金属より成る正極パッケージ電極122bと負極パッケージ電極132bとが分離して配置されている。
【0047】
複数の正極集電体層21cと電気的に接続している電気化学素子用積層ブロック1の正極端子電極21tと、正極パッケージ電極122bとが、導電性接着剤122aにより電気的に接続されている。同様に、複数の負極集電体層31cと電気的に接続している電気化学素子用積層ブロック1の負極端子電極31tと、負極パッケージ電極132bとが、導電性接着剤132aにより電気的に接続されている。
【0048】
パッケージベース部11bとパッケージ蓋部11aからなるパッケージ内に電解質が配置されている。
【0049】
この電解質をパッケージ内に電気化学素子用積層ブロック1を配置した後に供給した場合、上述のように、切れ込み25を介して電解質が蓄電ユニット内に到達する。
【0050】
以上の本実施形態に係る蓄電デバイスにおいては、集電体層がセパレータ層と一体化されているため、セパレータ層により集電体層の強度が補強される。これにより、例えば集電体層を薄くして小型化を図った場合でも、外部応力による集電体層の変形を抑制でき、集電体層の破れや抵抗値の上昇、容量の低下などを抑制できる。
【0051】
(2)製造方法
次に、本実施形態に係る蓄電デバイス(電気化学素子用積層ブロック1)の製造方法を説明する。
【0052】
図1は、本実施形態に係る蓄電デバイス(電気化学素子用積層ブロック1)の製造方法の工程フロー図である。以下、図1の工程フローにしたがって各工程を説明する。
【0053】
i)正極複合シート20A作製
<ステップPS1>
まず、図2(1)に示すように、例えば、表面にシリコーン系の離型層101が形成されたポリエチレンナフタレートからなる基材フィルム100を準備する。
【0054】
基材フィルムそのものが離型性を有するものは離型性付与処理をすることなく用いることができる。
【0055】
基材フィルムが離型性を有しないもの、又はより離型性を高めるために、離型層101を形成する等、離型性付与処理をして使用することが好ましい。
【0056】
基材フィルム100としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン、フッ素樹脂、セルロースアセテートなどのプラスチックフィルムをはじめ、セロハン、紙なども用いることができる。
【0057】
離型性付与処理法としては、たとえばシリコーン樹脂、ワックス、界面活性剤、金属酸化物、フッ素樹脂などを基材フィルム上にコーティングする方法が挙げられる。
【0058】
離型層101としては、その他にたとえばニトロセルロース、硬質ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂の1種または2種以上を主体とするものが適宜用いられ、それらの離型性付与処理法としては、基材フィルム上にたとえばグラビア方式によりコーティングして形成することが挙げられる。
【0059】
さらに、基材フィルム100(または離型層101)の上に接合用樹脂層121を形成する。接合用樹脂層121としては、ポリイミドとシリコーンの混合樹脂やシロキサン変性ポリイミドの前駆体等が用いられ、例えば、これらを溶媒に溶解した接合用樹脂層スラリーを離型性が付与された基材フィルム上にグラビア方式によりコーティングし、乾燥することで形成される。
【0060】
<ステップPS2>
次に、図2(2)に示すように、接合用樹脂層121上に、正極集電体膜102を例えば蒸着により形成する。
【0061】
このように、表面が平滑な接合用樹脂層121上に正極集電体膜102を形成することで、高い連続性を有し、薄膜でありながら低抵抗の正極集電体膜102を得ることが容易となり、その結果、蓄電デバイスの小型低背化を効果的に進めることができる。
【0062】
また、正極集電体膜102の形成方法としては蒸着の他、スパッタリングや塗布など公知の技術を用いることができる。蒸着やスパッタリングは、膜の連続性が良いため低抵抗で、膜厚が薄い集電体膜の形成が容易であり、蓄電デバイスの小型低背化が容易となる。
【0063】
<ステップPS3>
図2(3)に示すように正極集電体膜102上に、複数のレジストパターンR102を所定の間隔で印刷して、乾燥させる。このレジストパターンR102は、例えば、マトリクス状に配置され、後に形成される正極集電体電極21aと同様の矩形形状にそれぞれ形成される。
【0064】
次に、図2(4)に示すように、レジストパターンR102をエッチングマスクとして、正極集電体膜102をエッチングした後、図2(5)に示すように、レジストパターンR102を剥離する。以上のようにして、矩形形状の正極集電体電極21aを形成する。
【0065】
マスキング方法としてはスクリーン印刷によりレジストを印刷する方法の他、グラビア印刷によるレジストの印刷、塗布型レジストを用いたフォトリソ、ドライフィルムレジストを用いたフォトリソなどを用いてもよい。コストが安いことを重視するのであれば、スクリーン印刷、グラビア印刷が好ましく、精度を重視するのであれば、フォトリソが好ましい。
【0066】
また、集電体電極を形成する方法として、集電体膜をエッチングする方法の他に、離型層が形成された基材フィルム上にメタルマスクを用いて直接集電体膜を蒸着する方法やオイルマスクを用いて直接集電体膜を蒸着してプラズマアッシング処理を行う方法などを用いてもよい。
【0067】
また、正極集電体電極21aが表面に酸化膜を形成するような場合は、正極集電体電極21aを形成した後、正極集電体電極21aの酸化膜を除去する工程を含むことが好ましい。正極集電体電極21aの酸化膜の除去は、例えば、アルミニウム(Al)により正極集電体電極21aを形成した場合には、フッ酸と硫酸の混酸に通して、アルミニウム表面の酸化膜を除去することができる。
【0068】
<ステップPS4>
図2(6a)(6b)に示すように、正極集電体電極21a上の2箇所に、正極活物質層21bを形成する。
【0069】
正極活物質層21bは、正極集電体電極21a上に、例えば、活物質スラリーをスクリーン印刷することにより形成することができ、例えば、正極集電体電極21aの長手方向に直交する中心線L1に対して対称に、中心線L1から所定の間隔を開けて形成される。正極活物質層21bにおいて、中心線L1を挟んで対向する内側側面を除く側面はそれぞれ、正極集電体電極21aの外周に一致するように形成することが好ましい。
【0070】
<ステップPS5>
次に、図3の(7a)(7b)に示すように、正極活物質層21bを取り囲むように接合用樹脂層121および正極集電体電極21a上にセパレータ層42を形成する。この際、(7b)に示すように、正極活物質層21bに接するように切れ込み25をセパレータ層42に設ける。切れ込み25は、(7b)においてセパレータ層42を貫通している。
【0071】
上述したように、図8には図示しないが、電気化学素子用積層ブロック1の前面(図8においてハッチングを施した面)は、セパレータ層42により覆われている。同様に、電気化学素子用積層ブロック1の後面(前面に平行な面)もセパレータ層42により覆われている。
【0072】
後述するステップMS3までに、図3の7(b)において縦方向に複数ならぶ蓄電ユニット(正極活物質層21bと負極活物質層31bとが対向している1組の正極(正極集電体電極21aと正極活物質層21b)と負極(負極集電体電極31aと負極活物質層31b)および当該正極と当該負極の間に配置され、当該正極の一部および当該負極の一部と接着しているセパレータ層42とを合わせて「蓄電ユニット」と呼ぶ場合がある。)または蓄電ユニットを得るための中間品を縦方向に1つずつ切り離す際に、例えば、図3(7b)のC1、C2線およびC3線に相当する部位で切り離すことにより、電気化学素子用積層ブロック1の前面および後面をそれぞれセパレータ層42により覆うことができる。
【0073】
電気化学素子用積層ブロック1の前面および後面を覆うセパレータ層42は、それぞれ切れ込み25を有している。そして、切れ込み25が電解質誘導路として機能するため、電解質がこの切れ込み25を通って、電気化学素子用積層ブロック1に入ることができる。
【0074】
また、電気化学素子用積層ブロック1のそれぞれの蓄電ユニットで発生したガスを、それぞれの蓄電ユニットの電解質誘導路を通過させることにより、蓄電ユニットの外部(電気化学素子用積層ブロック1の外部)に排出できる。
【0075】
以上のステップPS1〜ステップPS5の工程を経て、正極複合シート20Aが作製される。
【0076】
<ステップPS6>
ステップPS6では、ステップPS1〜ステップPS5を繰り返して、必要な枚数の正極複合シート20Aを作製する。
【0077】
ii)負極複合シート30A作製
図1に示すように、正極複合シート20Aを製造する際のステップPS1〜ステップPS6と同様のステップNS1〜ステップNS6にしたがって、負極複合シート30Aを作製する。
【0078】
負極複合シート30Aにおいて、負極集電体電極31aは、その長手方向に直交する中心線L2が、図3(8a)および図4(8b)に示すように、正極複合シート20Aにおける正極集電体電極21aの中心線L1の中央に位置するように配置され、負極活物質層31bはそれぞれ中心線L2に対して対称に、かつ正極活物質層21bに重なるような位置に形成される。
【0079】
また、ステップNS2〜NS4において、ステップPS2〜ステップPS4における正極集電体膜102、正極集電体電極21a、正極活物質層21bに代えてそれぞれ負極集電体膜、負極集電体電極31a、負極活物質層31bを形成するが、蓄電デバイスとして電気二重層キャパシタを作製する際には、正極集電体膜102と負極集電体膜、正極集電体電極21aと負極集電体電極31a及び正極活物質層21bと負極活物質層31bとはそれぞれ同様のものを用いることができる。
【0080】
なお、正極集電体電極21aと負極集電体電極31aの形状及び面積は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、正極活物質層21bと負極活物質層31bの形状及び面積は同一であってもよいし、異なっていてもよい。正極21や負極31の位置ずれを考慮して、正極21又は負極31の一方の面積を大きくして、正極21や負極31が位置ずれしたような場合でも正極21と負極31の対向面積が変化しないようにでき、電気二重層キャパシタの抵抗や容量の変化を抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態において、正極と負極に共通する事項を、特に両者を区別することなく説明するときには、正極複合シート20A及び負極複合シート30Aは複合シートといい、正極集電体電極21a及び負極集電体電極31aは単に集電体電極といい、正極活物質層21b及び負極活物質層31bは単に活物質層という場合がある。
【0082】
本実施形態で示したように、集電体電極上に活物質層を塗工するようにした場合には、活物質層中のバインダが活物質層/集電体電極の界面付近に堆積するため、活物質層/集電体電極間の結着力を高くできる。
【0083】
また、本実施形態で示したように、高い連続性を有し、薄膜化された集電体電極上に活物質層を塗工するようにすると、より一層の小型低背化が可能になる。
【0084】
また、活物質層上に集電体電極を形成するようにすると、集電体電極のエッチングや集電体電極の酸化膜の除去が困難となるが、本実施形態では、集電体電極上に活物質層を形成するようにしているので、集電体電極のエッチングや集電体電極の酸化膜の除去後に活物質層を形成することが可能となり、エッチングや酸化膜の除去が容易となる。
【0085】
iii)正極・負極一体化シートの作製及び積層
<ステップMS1>
まず、図4(10)に示すように、正極複合シート20Aと負極複合シート30Aをセパレータ層42が形成されている面が対向するように配置して、正極複合シート20Aと負極複合シート30Aの両側から、例えば、図示しない加圧板により均等に加圧して加熱することにより、図4(11)に示すように、セパレータ層42間を接合する。以上のようにして、正極・負極一体化シート50Aが作製される。
【0086】
このとき、例えば、加圧板の温度は80℃とし、加圧の圧力は20MPa、加圧時間は30秒に設定する。
【0087】
このようにセパレータ層42間を接合することにより作製された正極・負極一体化シート50Aは、その貼り合わせ面の両側の正極複合シート20Aと負極複合シート30Aとがほぼ同等の熱に対する伸縮特性を有しているので、接合後の反りが抑えられ、以下の製造工程における取り扱いが容易になる。
【0088】
また、正極複合シート20Aと負極複合シート30Aが接合され正極・負極一体化シート50Aとされているため、正極複合シート20Aと負極複合シート30Aが薄層化されたような場合でも、正極複合シート20Aと負極複合シート30Aを破壊することなく、正規の配列・所定の位置を保持したままハンドリングすることが更に容易となり、デバイスの更なる小型低背化が可能となる。
【0089】
そして、正極・負極一体化シート50A内には、横方向に複数の蓄電ユニットが整列して形成されている。
【0090】
なお、本実施形態で示すように、正極・負極一体化シート50Aにおいて、正極活物質層21bと負極活物質層31bとの間に形成される空隙は、切れ込み25を通じて正極・負極一体化シート50Aの外部と連通していることが好ましい。これにより、正極複合シート20Aと負極複合シート30Aを接合して正極・負極一体化シート50Aを作製する際に、気体(空気など)が余分に正極複合シート20Aと負極複合シート30Aとの間に封止され、正極・負極一体化シート50Aが膨れて形状が変形するのを防止することができる。
【0091】
セパレータ層間を接合した後、負極複合シート30A側又は正極複合シート20A側の基材フィルム100のいずれか一方を剥離する。
【0092】
例えば、正極側の基材フィルム100を剥離するときには、図4(12)に示すように、図示しない吸引盤に、正極・負極一体化シート50Aの負極側を接触させて吸引して、正極・負極一体化シート50Aを持ち上げて、正極側の基材フィルム100を剥離する。
【0093】
正極側の基材フィルム100を剥離しようとする場合、基材フィルム100と正極複合シート20A間の接合力よりも強い接合力を正極複合シート20Aと負極複合シート30A間で確保する必要があるが、両者の接合力の差は、基材フィルム100と正極複合シート20Aの間に離型層がある場合は、比較的容易に実現できる。
【0094】
一方、基材フィルム100と正極複合シート20Aの間(すなわち、基材フィルム100と接合用樹脂層121との間)に離型層がない場合は、上記接合力の差は、例えば、高温・高圧で正極複合シート20Aと負極複合シート30Aを接合することにより実現できる。しかしながら、高温・高圧下での接合では、活物質層やセパレータ層の空隙が潰れてしまうことがないように、また、正極複合シート20Aや負極複合シート30Aの形状が変形してしまうことがないように留意する必要がある。
【0095】
また、集電体電極を接合用樹脂層121上に蒸着により形成した場合などは、基材フィルムへの熱ダメージおよび蒸着粒子の運動エネルギーによるめり込みのため、基材フィルムとの密着力がより強くなり、離型層がないと剥離が困難となることがある。したがって、本発明では、基材フィルムへのダメージを防止できる厚みの離型層を形成しておくことが好ましい。
【0096】
負極側の基材フィルム100を剥離するときには、正極・負極一体化シート50Aの正極側を吸引盤に接触させて吸引して、正極・負極一体化シート50Aを持ち上げて、負極側の基材フィルム100を剥離する。
【0097】
このようにして、正極複合シート20A側又は負極複合シート30A側のいずれか一方に基材フィルム100が接合された、正極・負極一体化シート50Aを必要枚数作製する。
【0098】
iv)正極・負極一体化シートの積層
<ステップMS2>
最初の積層は、例えば、図5(13)に示すように、負極側が吸引盤に吸引された正極・負極一体化シート50Aの下に、負極複合シート30A側に基材フィルム100が接合された正極・負極一体化シート50Aを、基材フィルム100が下になるように配置した後、図5(14)に示すように、その2枚の正極・負極一体化シート50Aを接触させて、図示しない加圧板により全面を均等に加圧して接合する。
【0099】
このとき、例えば、加圧板の温度は200℃とし、加圧の圧力は5MPa、加圧時間は10秒に設定する。
【0100】
なお、図8に示すような上下最外層にセパレータ層が配置された電気化学素子用積層ブロック1を作製する場合には、基材フィルム上に例えば、所定の厚み(例えば、6μm)のセパレータ層のみが形成されたセパレータ層用シートを用い、最初の積層は、そのセパレータ層用シートのセパレータ層の上に正極・負極一体化シート50Aを積層するようにする。
【0101】
次に、図5(15)に示すように、吸引盤に吸引された正極・負極一体化シート50Aの負極側の基材フィルム100を剥離する。
【0102】
そして、その負極側の基材フィルム100が剥離された正極・負極一体化シート50Aの上に、図5(16)に示すように、負極側の基材フィルム100が剥離された別の正極・負極一体化シート50Aを、負極側が対向するように配置して、図6(17)に示すように、負極側同士を接合する。
【0103】
次に、積層された別の正極・負極一体化シート50Aの正極側の基材フィルム100を剥離して、その上に、正極側の基材フィルム100が剥離された正極・負極一体化シート50Aを正極側が対向するように配置して、正極側同士をそれぞれの接合用樹脂層121を互いに接着させることにより接合する。
【0104】
以降、ステップMS1及びステップMS2を必要回数繰り返して、図7に示すような、正極・負極一体化シート50Aが積層された電気化学素子用積層シートLB1を作製する。
【0105】
尚、図8に示すような最外層にセパレータ層が配置された電気化学素子用積層ブロック1を作製する場合には、最初の積層に用いたものと同じ、セパレータ層のみが形成されたセパレータ層用シートを用い、積層の最後にそのセパレータ層用シートのセパレータ層を対向させて接合する。
【0106】
そして、接合用樹脂層121に熱硬化性樹脂の前駆体が含まれる場合は、得られた電気化学素子用積層シートLB1を例えば150℃で30分加熱して、樹脂を熱硬化させることで、接合層123が得られる。熱硬化のための加熱の条件は、接合用樹脂層121に含まれる熱硬化性樹脂の前駆体成分に応じて適宜選択される。
【0107】
接合用樹脂層121が熱可塑性樹脂等の場合は、熱硬化のための加熱は必要ないことは言うまでもない。
【0108】
なお、以上の工程により作製される電気化学素子用積層ブロック1では、図7に示すように、最外層の正極集電体電極21a及び負極集電体電極31aは1層であり、正極集電体電極21a又は負極集電体電極31aが2層重ねられてなる内側の集電体電極より薄くなるが、図8では、作図上の制約により、全ての正極集電体層及び負極集電体層を同じ厚さに描いている。
【0109】
しかしながら、本発明では、例えば、集電体電極や活物質層の厚さを形成場所によらず同一にしてもよいし、形成場所や製造方法に応じて適宜変更することも可能である。
【0110】
<ステップMS3>
次に、電気化学素子用積層シートLB1の上下最外層に配置されている基材フィルム100を剥がした後、電気化学素子用積層シートLB1を裁断線D1に沿って裁断して、積層体である電気化学素子用積層ブロック1を作製する。
【0111】
すなわち、縦方向に積層した蓄電ユニットが横方向に複数整列している状態から単一の積層した蓄電ユニットに裁断することにより積層体である電気化学素子用積層ブロック1を作製する。
【0112】
尚、このステップでは、電気化学素子用積層シートLB1を裁断した後、基材フィルム100を剥離するようにしてもよい。
【0113】
以上の工程により作製される、積層体である電気化学素子用積層ブロック1では、2つの正極集電体電極21aの主面同士が接合層123を介して接合されることで正極集電体層21cが形成され、2つの負極集電体電極31aの主面同士が接合層123を介して接合されることで負極集電体層31cが形成されている。
【0114】
<ステップMS4>
そして、図8に示すように、裁断された電気化学素子用積層ブロック1の裁断面のうち、正極集電体層21cが露出された側面に正極端子電極21tを形成し、負極集電体層31cが露出された側面に負極端子電極31tを形成する。
【0115】
ここで、正極端子電極21t及び負極端子電極31tは、電気化学素子用積層ブロック1の側面に、例えば、スパッタリングによりアルミニウムを付着させることにより形成することができる。
【0116】
正極端子電極21t及び負極端子電極31tは、スパッタリングの他、蒸着、イオンプレーティング、溶射、コールドスプレー、めっきなどにより電気化学素子用積層ブロック1の側面に直接導電皮膜を形成することで作製してもよい。
【0117】
また、正極端子電極21t及び負極端子電極31tは、電気化学素子用積層ブロック1の側面に直接導電性接着剤をディッピングにより塗布するようにして形成してもよい。
【0118】
正極端子電極21tまたは負極端子電極31tが形成される電気化学素子用積層ブロック1の側面には、電解質誘導路が露出していない方が好ましい。電解質誘導路が露出している場合、正極端子電極21tまたは負極端子電極31tが蓄電ユニット内部に入り込んで、正極または負極と短絡する場合があるからである。
【0119】
側面に正極端子電極21t及び負極端子電極31tが形成された電気化学素子用積層ブロック1は、図9に例示するように、正極パッケージ電極122b及び負極パッケージ電極132bを備えたパッケージ内に電解質とともに収納され、例えば、電気二重層キャパシタ80Aのような蓄電デバイスが作製される。
【0120】
パッケージ内に電気化学素子用積層ブロック1を収納する際、例えば、正極端子電極21t及び負極端子電極31t上に、導電性粒子として金を含有する導電性接着剤122a、132aをディッピングにより塗布し、導電性接着剤122a及び導電性接着剤132aが、それぞれ正極パッケージ電極122b及び負極パッケージ電極132bに接続されるように、電気化学素子用積層ブロック1を配置する。
【0121】
そして、電気化学素子用積層ブロック1が配置されたパッケージを例えば、170℃で10分加熱して、導電性接着剤122a、132aを硬化させて、電気化学素子用積層ブロック1をパッケージ電極122b、132bに固定するとともに、正極端子電極21t及び負極端子電極31tをそれぞれ正極パッケージ電極122b及び負極パッケージ電極132bに電気的に接続する。
【0122】
導電性粒子としては、金の他にカーボン、銀、銅、アルミニウムなどが用途によって用いられる。
【0123】
そしてパッケージ内に入れられた、電気化学素子用積層ブロック1は上述のように前面および後面に切れ込み25を有し、かつここ個々の蓄電ユニットが電解質誘導路を有することから、電解質が迅速に蓄電ユニット内で正極活物質層21aと負極活物質層31bとの間に供給される。
【0124】
以上の本実施形態に係る電気化学素子用積層ブロック1の製造方法は、基材フィルム100上に正極複合シート20A又は負極複合シート30Aを作製して、その正極複合シート20A又は負極複合シート30Aを基材フィルム100から剥がす工程を含んでいる。これにより、連続した1つのセパレータ層にパターニングされた複数の正極集電体電極21aと、正極活物質層21bとを一体化して作製することが可能になる。
【0125】
同様に、連続した1つのセパレータ層にパターニングされた複数の負極集電体電極31aと負極活物質層31bとを一体化して作製することが可能になる。
【0126】
したがって、本実施形態の製造方法では、多数の電気化学素子用積層ブロック1を一括して作製することができ、電気二重層キャパシタを個別に1つずつハンドリングする従来の方法に比較して生産性を向上させることができる。
【0127】
また、本実施形態の製造方法では、複数のパターニングされた正極集電体電極21a又は負極集電体電極31aが連続した1つのセパレータ層42で一体化されているため、電極の取り扱いが容易となる。また、積層されるまで、正極複合シート20A及び負極複合シート30Aが基材フィルム100に支持されているので、さらに電極の取り扱いが容易となる。
【0128】
したがって、例えば、正極集電体電極21a又は負極集電体電極31aを薄くしてもそれらの電極の取り扱いが容易である。したがって、より小型の電気化学素子用積層ブロック1を作製することができる。
【0129】
また、本実施形態の製造方法によれば、パターニングされた複数の正極集電体電極21a及び/又は負極集電体電極31aと、複数の正極活物質層21b及び/又は負極活物質層31bとがセパレータ層42と一体化されているので、電気化学素子用積層ブロック1を小型化しても、製造過程におけるハンドリングが容易となり、より小さい電気化学素子用積層ブロック1を製造することが可能になる。
【0130】
さらに、本実施形態の製造方法では、隣接する正極21と負極31とがセパレータ層42に接合されて固定されているため、製造過程及び製品化後における正極21と負極31の位置ずれが防止できる。
【0131】
これにより、製造過程におけるシートの取り扱い及び多層化が容易となり、製品化後における容量変化等の特性変化を抑えることができる。
【0132】
また、本実施形態の製造方法では、一方の表面に活物質層が形成された集電体電極の他方の表面同士を向かい合わせて配置しているので、集電体電極の両面に活物質層が形成された状態を容易に実現でき、体積容量比率の高い電気化学素子用積層ブロック1を作製することが可能になる。
【0133】
すなわち、従来の製造方法では、集電体箔の両面に活物質層を形成することは、ハンドリング上容易ではなく、困難である。
【0134】
なお、本実施形態においては、正極複合シート20Aと負極複合シート30Aのセパレータ層42間を接合することで正極・負極一体化シート50Aを作製し、該正極・負極一体化シート50Aを積層することで電気化学素子用積層シートLB1を作製した。しかし、電気化学素子用積層シートの作製方法はこれに限るものではなく、次の様にして作製してもよい。
【0135】
例えば、基材フィルム100が剥離された2つの正極複合シート20Aの基材フィルムが剥離された面間を正極集電体電極21a同士を対向させて接合して、正極・正極一体化シートを作製する。同様に、基材フィルム100が剥離された2つの負極複合シート30Aの基材フィルムが剥離された面間を負極集電体電極31a同士を対向させて接合して、負極・負極一体化シートを作製する。これら正極・正極一体化シートと負極・負極一体化シートとをそれぞれのセパレータ層42同士を対向させて接合することで積層シートを作製する。この積層シートの正極・正極一体化シート側に、別の負極・負極一体化シートをセパレータ層42同士を対向させて接合する。この積層工程を必要回数繰り返して、電気化学素子用積層シートを作製する。
【0136】
なお、本実施形態においては、正極活物質層21bおよび負極活物質層31b上にセパレータ層42よりも透気度の低い多孔性絶縁層を形成してもよく、この場合は漏れ電流をより確実に抑制できる。
【実施例1】
【0137】
実施例1では、前記実施形態の製造方法にしたがって、電気二重層キャパシタを作製した。なお、静電容量の設計値は480mFとした。
【0138】
〔試料の作製〕
(試料番号1)
まず、基材フィルム100として、表面にシリコーン系の離型層101が形成された基材PENフィルムを準備した。この表面に、シロキサン変性ポリイミドの前駆体(30wt%)をメチルプロキシトールアセテート(70wt%)に溶解させて作製した接合層用スラリーをグラビア方式により印刷し、100℃で30秒間乾燥させて、厚みが2μmの接合用樹脂層121を形成した。
【0139】
次に、正極集電体膜102として真空蒸着法により膜厚500nmのAl膜を接合用樹脂層121の表面に形成した。アルミニウム膜の成膜条件は、真空度3×10−4Pa、電流値800mA、成膜レート30Å/秒、基材冷却温度−10℃とした。
【0140】
アルミニウム膜102が形成された基材PENフィルム100に、スクリーン印刷により、20mm×10mmの矩形パターンを隣接パターン間距離8mmで縦5列、横10列に配列したレジストパターンR102を印刷した後、100℃の熱風炉中で15分間乾燥させた。
【0141】
レジストパターンR102が印刷された基材PENフィルム100を、45℃の塩化第二鉄水溶液槽中に30秒間浸漬して、レジストによりマスキングされている部分以外のアルミニウム膜をウェットエッチングして除去することにより、正極集電体電極21aとして正極集電体アルミニウム電極を形成した。その後、水洗シャワーにて基材表面に残った塩化第二鉄水溶液を除去した。
【0142】
なお、試料番号1では、安価な塩化第二鉄を用いたが、その他、塩酸、硫酸、硝酸またはその混酸を用いることもできるし、フッ酸塩系中性水溶液を用いることもできる。
【0143】
正極集電体電極21aが形成された基材PENフィルム100を、酢酸ブチルシャワーに通して、レジストを剥離した。その後、60℃の熱風炉中で基材表面に残った酢酸ブチルを蒸発させた。
【0144】
レジスト剥離には、酢酸ブチル以外に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、アミン系溶剤などの有機溶剤を用いることもできる。
【0145】
次に、活性炭(BET比表面積1668m2/g、平均細孔直径1.83nm、平均粒径D50=1.26μm)を29.0g、カーボンブラック(東海カーボン株式会社製トーカブラック(登録商標)#3855、BET比表面積90m2/g)を2.7g、カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業株式会社製CMC2260)を3.0g、38.8重量%のポリアクリレート樹脂水溶液を2.0g、脱イオン水を286g秤量して混合し、活性炭ペーストを作製した。
【0146】
作製した活性炭ペーストを使用して、1つの大きさが20mm×10mmの矩形の正極集電体電極21a上にスクリーン印刷により、それぞれ6mm×10mm矩形形状の2つの活物質層パターンを図2(6a)に示す配置で印刷した後、80℃の熱風炉中で20分間乾燥させることで厚さ4μmの正極活物質層21bを形成した。
【0147】
次に、160gのPVDF−HFP(ポリフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体)と640gのNMP(1−メチル−2−ピロリドン)溶媒を混合し、NMP中に20質量%PVDF−HFPが存在するバインダ溶液を作製した。
【0148】
その後、25gの粉体状のアルミナ(D50=0.3μm)を25gのNMP中に分散させたものに、上記バインダ溶液を236g加え、混合することでセパレータ層用スラリーを得た。
【0149】
このセパレータ層用スラリーを用いて、図3の(7a)、(7b)に示す正極複合シート20Aを50枚作製した。形成したセパレータ層42の厚さ(接合用樹脂層121の表面からセパレータ層42の表面までの距離)は15μmであった。
【0150】
同様にして、負極複合シート30Aを50枚作製し、準備した。
【0151】
次に、正極複合シート20Aと負極複合シート30Aを、正極複合シート20Aを下にしてセパレータ層42同士を向かい合わせて配置し、両側から全面を均等に加圧板で加圧して接合した。このとき、加圧板の温度は80℃とし、加圧の圧力は20MPa、加圧時間は30秒に設定した。
【0152】
以上のようにして正極・負極一体化シートを更に49枚作製して、正極・負極一体化シート50Aとした。
【0153】
正極・負極一体化シート50Aを、以下のように、適宜、基材PENフィルム100を剥離しながら積層した。
【0154】
まず、吸引盤に1枚の正極・負極一体化シート50Aの負極側を接触させて吸引して、正極・負極一体化シート50Aを持ち上げた後、正極側の基材PENフィルム100を剥離した。
【0155】
その吸引盤に吸引して正極側の基材PENフィルム100を剥離した正極・負極一体化シート50Aの下に、基材PENフィルム100上に8μm厚のセパレータ層42を形成したシートを基材PENフィルム100側が下になるように配置して接合した。このとき、加圧板の温度は80℃とし、加圧の圧力は20MPa、加圧時間は30秒に設定した。
【0156】
そして、吸引盤に吸引されていた正極・負極一体化シート50Aの負極側の基材PENフィルム100を剥離した。
【0157】
次に、吸引盤に別の1枚の正極・負極一体化シート50Aの正極側を接触させて吸引して、正極・負極一体化シートを持ち上げた後、負極側の基材PENフィルム100を剥離した。
【0158】
その負極側の基材PENフィルム100を剥離した上記別の正極・負極一体化シート50Aの下に、基材PENフィルム100上にセパレータ層42のみを形成したシートが接合された正極・負極一体化シート50を配置して互いの接合用樹脂層121同士を接着することにより接合した。このとき、加圧板の温度は200℃とし、加圧の圧力は5MPa、加圧時間は10秒に設定した。
【0159】
接合後、上記別の正極・負極一体化シート50Aの正極側の基材PENフィルム100を剥離した。
【0160】
そして、その正極側の基材PENフィルム100を剥離した別の正極・負極一体化シート50Aの上に、吸引盤に負極側を吸引して正極側の基材PENフィルム100を剥離したさらに別の1枚の正極・負極一体化シート50Aを同様に接合した。このとき、加圧板の温度は200℃とし、加圧の圧力は5MPa、加圧時間は10秒に設定した。
【0161】
以上の工程を繰り返して、基材PENフィルム100上にセパレータ層42のみを形成したシートの上に、50枚の正極・負極一体化シート50Aを積層して、その最上層の基材PENフィルム100を剥離した。
【0162】
最後に、別に準備した基材PENフィルム100上にセパレータ層42のみを形成したシートの基材PENフィルム100側を吸引盤に接触させて吸引して、そのセパレータ層42を上記最上層の基材PENフィルム100を剥離した正極・負極一体化シート50Aの上に接合することで電気化学素子用積層シートを作製した。このとき、加圧板の温度は80℃とし、加圧の圧力は20MPa、加圧時間は30秒に設定した。
【0163】
上記接合はそれぞれ、基材PENフィルム100上でセパレータ層42と正極・負極一体化シート50Aとの間、又は2つの正極・負極一体化シート50Aの間を接触させて全面を均等に加圧板で加圧することにより行った。セパレータ層42と正極・負極一体化シート50Aとの間の接合は、加圧板の温度を80℃とし、加圧の圧力は20MPa、加圧時間は30秒に設定した。2つの正極・負極一体化シート50Aの間の接合は、加圧板の温度を200℃とし、加圧の圧力は5MPa、加圧時間は10秒に設定した。
【0164】
以上のようにして作製した電気化学素子用積層シートLB1を150℃で30分間加熱することで、接合用樹脂層121中の前駆体を重合させ、熱硬化させることで、シロキサン変性ポリイミドの接合層123を得た。
【0165】
以上のようにして作製した電気化学素子用積層シートLB1を、上下に接着している基材PENフィルム100を剥離した後、裁断して、電気二重層キャパシタブロック(電気化学素子用積層ブロック)1を作製した。
【0166】
裁断された電気二重層キャパシタブロック1の側面にスパッタリングによりアルミニウムを付着させることにより正極端子電極21t、負極端子電極31tを形成した。
【0167】
これを、図9に示すように正極パッケージ電極及122bおよび負極パッケージ電極132bを備えたパッケージベース部11bとパッケージ蓋部11aとからなる、液晶ポリマー製のパッケージ内に収納した。パッケージ内に収納する際、正極端子電極21t及び負極端子電極31t上に、それぞれ導電性粒子として金を含有する導電性接着剤122aおよび導電性接着剤132aをディッピングにより塗布して、その導電性接着剤122aおよび導電性接着剤132aが、それぞれ正極パッケージ電極122b及び負極パッケージ電極132bに接続されるように、電気化学素子用積層ブロック1を配置した。
【0168】
これを170℃で10分加熱して、導電性接着剤を硬化させて、電気二重層キャパシタブロック1をパッケージ電極に固定するとともに、端子電極をパッケージ電極に電気的に接続した。
【0169】
以上のようにして、パッケージ内への固定及び電気的接続が完了した後、電解質として90μLの1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートを注液して、レーザ溶接にてパッケージを封止した。
【0170】
これにより試料番号1の電気二重層キャパシタを得た。
【0171】
また、以下のようにして、接合用樹脂層の破断強度測定用試料を作製した。
【0172】
まず、前記試料番号1の電気二重層キャパシタの作製方法と同様にして、基材フィルム上に印刷し、乾燥して形成された厚みが2μmの接合用樹脂層121を得た。
【0173】
この接合用樹脂層121を基材フィルムより剥離し、5mm×10mmの矩形状に裁断し、試料番号1の破断強度測定用試料を作製した。
【0174】
また、以下のようにして、接合層の熱分解開始温度測定用試料を作製した。
【0175】
まず、前記試料番号1の電気二重層キャパシタの作製方法と同様にして、基材フィルム上に印刷し、乾燥して形成された厚みが2μmの接合用樹脂層121を得た。
【0176】
この接合用樹脂層121を基材フィルムより剥離し、150℃で30分間加熱することで、接合用樹脂層121中の前駆体を重合させ、熱硬化させることで、シロキサン変性ポリイミドとし、試料番号1の熱分解開始温度測定用試料を作製した。
【0177】
(試料番号2)
ポリイミドとシリコーンが混合された樹脂を接合層としたこと以外は、試料番号1と同様にして、試料番号2の電気二重層キャパシタ、破断強度測定用試料および熱分解開始温度測定用試料を得た。
【0178】
(試料番号3)
ポリイミドを接合層としたこと以外は、試料番号1と同様にして、試料番号3の電気二重層キャパシタ、破断強度測定用試料および熱分解開始温度測定用試料を得た。
【0179】
(試料番号4)
ポリアミドイミドを接合層としたこと以外は、試料番号1と同様にして、試料番号4の電気二重層キャパシタ、破断強度測定用試料および熱分解開始温度測定用試料を得た。
【0180】
(試料番号5)
シリコーンを接合層としたこと以外は、試料番号1と同様にして、試料番号5の電気二重層キャパシタ、破断強度測定用試料および熱分解開始温度測定用試料を得た。
【0181】
(試料番号6)
ウレタン樹脂を接合層としたこと以外は、試料番号1と同様にして、試料番号6の電気二重層キャパシタ、破断強度測定用試料および熱分解開始温度測定用試料を得た。
【0182】
(試料番号7)
エポキシ樹脂を接合層としたこと以外は、試料番号1と同様にして、試料番号7の電気二重層キャパシタ、破断強度測定用試料および熱分解開始温度測定用試料を得た。
【0183】
(試料番号8)
ポリアクリレートを接合層としたこと以外は、試料番号1と同様にして、試料番号8の電気二重層キャパシタ、破断強度測定用試料および熱分解開始温度測定用試料を得た。
【0184】
(試料番号9)
カルボキシメチルセルロースを接合層としたこと以外は、試料番号1と同様にして、試料番号9の電気二重層キャパシタ、破断強度測定用試料および熱分解開始温度測定用試料を得た。
【0185】
なお、試料番号2〜9では、接合層用スラリーの溶媒などは接合層の成分に応じて適宜選択した。
【0186】
また、接合層が熱硬化性樹脂を有する試料番号2〜7では、熱硬化のための加熱温度や加熱時間などは接合層の成分に応じて適宜選択した。
【0187】
〔試料の評価〕
上記のようにして作製した試料番号1〜9の電気二重層キャパシタを測定試料とし、各試料番号につき、100個の静電容量を測定した。そして、設計値である480mFに対して、静電容量の測定値が±20%以内の測定試料を良品と判断して静電容量良品率を求めた。すなわち、静電容量の測定値が384mF〜576mFの測定試料を良品と判断した。そして、静電容量良品率が90%以上の試料を良(○)と判定し、静電容量良品率が90%未満の試料を不可(×)と判定した。
【0188】
次に、試料番号1〜9の電気二重層キャパシタのリフロー耐熱性を以下の方法により測定した。
【0189】
まず、上記のようにして作製した試料番号1〜9の電気二重層キャパシタの初期静電容量を測定した後、リフロー炉(日本アントム製、HAS−5016)に3回通した。リフロー時の温度プロファイルを図10に示す。リフロー炉のピーク温度は260℃、リフロー炉を1回通過する時間は300秒とした。その後、電気二重層キャパシタの静電容量を再度測定し、前記初期静電容量からの変化率を求めた。前記変化率が20%以下の試料を○と判定し、前記変化率が20%より大きく、50%以下の試料を△と判定し、前記変化率が50%より大きい試料を×と判定した。
【0190】
次に、試料番号1〜9で使用した各接合用樹脂層の破断強度を以下の方法により測定した。
【0191】
すなわち、動的粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製、RSA−3)を用い、上記のようにして作製した試料番号1〜9の各破断強度測定用試料の長手方向両端を6mmのチャック間隔で保持し、0.13mm/sの引張速度、室温にて破断強度を測定した。
【0192】
次に、試料番号1〜9における電気二重層キャパシタの接合層の熱分解開始温度を以下の方法により測定した。
【0193】
すなわち、上記のようにして作製した試料番号1〜9の各熱分解開始温度測定用試料20mgをアルミ容器であるアルミパンに入れ、熱分析装置(島津製作所製、DTG−60)を用いて5℃/分の昇温速度で熱重量分析を行い、熱分解開始温度を測定した。
【0194】
上述のようにして行った評価の結果を表1に示す。
【0195】
【表1】
【0196】
試料番号1〜4および試料番号6において、良好な静電容量良品率が得られた。
【0197】
静電容量の良品と不良品から電気化学素子用積層ブロックを取り出して樹脂固めした後、LT側面を電気化学素子用積層ブロックの幅方向に沿って研磨し、幅方向の1/2の時点における研磨断面を得た。この研磨断面にて、積層された集電体電極を観察したところ、静電容量の不良品は全て、積層された集電体電極の少なくとも1つに破断が確認された。静電容量の良品においては、このような集電体電極の破断は確認されなかった。
【0198】
静電容量良品率が不可(×)と判定された試料番号5および7〜9は、接合用樹脂層の破断強度が5MPa以下と小さかった。このため、接合用樹脂層の基材フィルムからの剥離やシート積層時における加熱しながらの加圧等の工程にて負荷される応力に接合用樹脂層が耐えることができず、破断し易いと考えられる。
【0199】
この結果、接合用樹脂層上に形成されている集電体膜も破断することとなり、静電容量が低下したものと思われる。
【0200】
また、試料番号1〜5および試料番号7、8において、良好なリフロー耐熱性が得られた。
【0201】
リフロー耐熱性が×と判定された試料番号6および9は、接合層の熱分解開始温度が290℃以下と小さかった。このため、リフロー時の熱により接合層が熱分解し、発生したガス等により電気二重層キャパシタの構造が壊れたり、熱分解により発生した分解生成物が電解質中に混入したことにより、電気特性が劣化したものと思われる。
【0202】
一方、接合用樹脂層および接合層が主鎖中にイミド結合を有する高分子を含んでいる試料番号1〜4は、接合用樹脂層の破断強度が高いため、製造工程において負荷される応力に接合用樹脂層および集電体膜が耐えることができ、良好な静電容量良品率が得られたと考えられる。また、接合層の熱分解温度が高いため、高耐熱性を有する電気二重層キャパシタが得られたものと考えられる。
【実施例2】
【0203】
実施例2では、前記実施形態の製造方法にしたがって、電気二重層キャパシタを作製した。ただし、2つの正極・負極一体化シート50Aの間の接合は、加圧板の温度を130℃、加圧の圧力を5MPa、加圧時間を10秒に設定して行った。
【0204】
〔試料の作製〕
(試料番号10)
2つの正極・負極一体化シート50Aの間の接合を、加圧板の温度130℃、加圧の圧力5MPa、加圧時間10秒に設定して行ったこと以外は、試料番号1と同様にして、試料番号10の電気二重層キャパシタを得た。
【0205】
(試料番号11)
2つの正極・負極一体化シート50Aの間の接合を、加圧板の温度130℃、加圧の圧力5MPa、加圧時間10秒に設定して行ったこと以外は、試料番号2と同様にして、試料番号11の電気二重層キャパシタを得た。
【0206】
(試料番号12)
2つの正極・負極一体化シート50Aの間の接合を、加圧板の温度130℃、加圧の圧力5MPa、加圧時間10秒に設定して行ったこと以外は、試料番号3と同様にして電気二重層キャパシタを作製したが、正極・負極一体化シート50A同士を接合できず、電気二重層キャパシタを得ることができなかった。
【0207】
(試料番号13)
2つの正極・負極一体化シート50Aの間の接合を、加圧板の温度130℃、加圧の圧力5MPa、加圧時間10秒に設定して行ったこと以外は、試料番号4と同様にして電気二重層キャパシタを作製したが、正極・負極一体化シート50A同士を接合できず、電気二重層キャパシタを得ることができなかった。
【0208】
(試料番号14)
2つの正極・負極一体化シート50Aの間の接合を、加圧板の温度130℃、加圧の圧力5MPa、加圧時間10秒に設定して行ったこと以外は、試料番号5と同様にして、試料番号14の電気二重層キャパシタを得た。
【0209】
(試料番号15)
2つの正極・負極一体化シート50Aの間の接合を、加圧板の温度130℃、加圧の圧力5MPa、加圧時間10秒に設定して行ったこと以外は、試料番号6と同様にして、試料番号15の電気二重層キャパシタを得た。
【0210】
(試料番号16)
2つの正極・負極一体化シート50Aの間の接合を、加圧板の温度130℃、加圧の圧力5MPa、加圧時間10秒に設定して行ったこと以外は、試料番号7と同様にして電気二重層キャパシタを作製したが、正極・負極一体化シート50A同士を接合できず、電気二重層キャパシタを得ることができなかった。
【0211】
(試料番号17)
2つの正極・負極一体化シート50Aの間の接合を、加圧板の温度130℃、加圧の圧力5MPa、加圧時間10秒に設定して行ったこと以外は、試料番号8と同様にして、試料番号17の電気二重層キャパシタを得た。
【0212】
(試料番号18)
2つの正極・負極一体化シート50Aの間の接合を、加圧板の温度130℃、加圧の圧力5MPa、加圧時間10秒に設定して行ったこと以外は、試料番号9と同様にして電気二重層キャパシタを作製したが、正極・負極一体化シート50A同士を接合できず、電気二重層キャパシタを得ることができなかった。
【0213】
なお、試料番号11〜18では、接合層用スラリーの溶媒などは接合層の成分に応じて適宜選択した。
【0214】
また、接合層が熱硬化性樹脂を有する試料番号11、14および15では、熱硬化のための加熱温度や加熱時間などは接合層の成分に応じて適宜選択した。
【0215】
〔試料の評価〕
接合用樹脂層および接合層が主鎖中にシロキサン結合を有する高分子を含んでいる試料番号10および11は、加圧板の温度が130℃でも接合用樹脂層間を接合し、電気二重層キャパシタを得ることができた。低温での接合は、製造設備の耐熱設計を簡略化でき、コストを低減できる。また、熱により基材フィルムが軟化、変形し、積層精度が低下するのを抑制することができる。また、電極やセパレータ層への熱ダメージを抑制することができる。
【符号の説明】
【0216】
1 電気化学素子用積層ブロック
20A 正極複合シート
21a 正極集電体電極
21b 正極活物質層
21c 正極集電体層
21t 正極端子電極
30A 負極複合シート
31a 負極集電体電極
31b 負極活物質層
31c 負極集電体層
31t 負極端子電極
42 セパレータ層
50A 正極・負極一体化シート
100 基材フィルム
101 離型層
102 正極集電体膜
R102 レジストパターン
121 接合用樹脂層
122a,132a 導電性接着剤
122b 正極パッケージ電極
123 接合層
132b 負極パッケージ電極
LB1 電気化学素子用積層シート
D1 裁断線
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【国際調査報告】