(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013099762
(43)【国際公開日】20130704
【発行日】20150507
(54)【発明の名称】副腎皮質刺激ホルモンと結合する分子およびその利用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20150410BHJP
   C12Q 1/68 20060101ALI20150410BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20150410BHJP
【FI】
   !C12N15/00 A
   !C12Q1/68ZNA
   !G01N33/53 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
【出願番号】2013551661
(21)【国際出願番号】JP2012083097
(22)【国際出願日】20121220
(31)【優先権主張番号】2011289028
(32)【優先日】20111228
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 克法
【住所又は居所】神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5番1号 シスメックス株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】加畑 博幸
【住所又は居所】神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5番1号 シスメックス株式会社内
【テーマコード(参考)】
4B024
4B063
【Fターム(参考)】
4B024AA11
4B024CA01
4B024CA09
4B024CA11
4B024HA11
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ03
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4B063QQ94
4B063QR32
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4B063QR63
4B063QR72
4B063QS15
4B063QS36
4B063QS39
4B063QX01
(57)【要約】
本発明は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)と高い親和性で結合する分子に関する。また、本発明は、ACTHを検出および/または精製するための上記の分子の利用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)、(b)及び(c)のいずれか一つで表される、修飾塩基を含む核酸配列を有するACTH結合分子。
(a)X1TTX2X3TX3TX4GX4GAX5TX2X1TX6C
(b)AX5X7GTX2X6CX3TX4GTX2X3TX6CTX8
(c)X6CTX2AX5TX2X9AX1TX7GX6CAX5TX2
[ただし、X1〜X9は、それぞれ下記の式で表される修飾塩基を示す。式中、Pはリン酸基を示す。]
【化1】
【請求項2】
付加配列をさらに有する請求項1に記載のACTH結合分子。
【請求項3】
リンカーをさらに有する請求項1に記載のACTH結合分子。
【請求項4】
前記リンカーが、直鎖状合成高分子および直鎖状天然高分子から選択される少なくとも1つである請求項3に記載のACTH結合分子。
【請求項5】
前記直鎖状合成高分子が、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアセトアミドから選択される少なくとも1つである請求項4に記載のACTH結合分子。
【請求項6】
前記直鎖状天然高分子が、核酸、多糖およびタンパク質から選択される少なくとも1つである請求項4に記載のACTH結合分子。
【請求項7】
請求項1に記載のACTH結合分子を連結させた担体。
【請求項8】
請求項1に記載のACTH結合分子を含む、ACTH検出用試薬。
【請求項9】
試料と、請求項1〜6のいずれか1項に記載のACTH結合分子または請求項7に記載の担体とを混合する工程と、
前記工程で得られた混合物において、ACTH結合分子とACTHとの結合を解析することによりACTHを検出する工程と
を含む、ACTHの検出方法。
【請求項10】
前記検出工程におけるACTH結合分子とACTHとの結合の解析が、前記混合物に光を照射して光学的情報を得ることにより行われる請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光学的情報が、反射光の波長、蛍光強度または吸光度である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
試料と、請求項7に記載の担体とを混合する工程と、
前記工程で得られた混合物から、担体に連結したACTH結合分子とACTHとの複合体を取得する工程と
を含む、ACTHの精製方法。
【請求項13】
前記試料が生体試料である請求項9又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記生体試料が、血液、血漿、血清または体液である請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)と高い親和性で結合する分子に関する。また、本発明は、ACTHを検出および/または精製するための上記の分子の利用に関する。
【背景技術】
【0002】
血液中には様々なペプチドが含まれているが、その中には、特定の病態にある生体において健常時とは異なる血中濃度を示すペプチドも存在する。そのようなペプチドは、臨床検査の分野において疾患のマーカーとして注目されている。例えば、下垂体ホルモンの分泌低下により生じるシモンズ病、シーハン症候群などの臨床検査においては、抗原抗体反応を利用したACTHの検出用キットが用いられている。
【0003】
しかしながら、抗原抗体反応に利用する抗体の作製はきわめて煩雑であり、さらに抗体の品質管理が難しいという問題がある。
【0004】
近年、抗原抗体反応を利用した方法にかわる新たなペプチド検出法として、標的ペプチドと特異的に結合する核酸分子であるアプタマーを利用した検出法がある。例えば、特許文献1には、標的タンパク質と高い親和性で結合できる、修飾ヌクレオチドを含むアプタマーの製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2003/078623号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当該技術において、種々のタンパク質又はポリペプチドを特異的に認識するアプタマーが開発されているが、ACTHと高い親和性で結合できる分子については未だ見出されていない。
そこで、本発明は、抗体とは異なる分子であって、ACTHと高い親和性で結合する分子を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような分子を用いてACTHを検出および/または精製するための試薬および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
よって、本発明は、下記の(a)、(b)及び(c)のいずれか一つで表される、修飾塩基を含む核酸配列を有するACTH結合分子を提供する。
(a)X1TTX2X3TX3TX4GX4GAX5TX2X1TX6C
(b)AX5X7GTX2X6CX3TX4GTX2X3TX6CTX8
(c)X6CTX2AX5TX2X9AX1TX7GX6CAX5TX2
[ただし、X1〜X9は、それぞれ下記の式で表される修飾塩基を示す。式中、Pはリン酸基を示す。]
【0008】
【化1】
【0009】
また、本発明は、上記のACTH結合分子またはこれを連結させた担体を用いてACTHを検出する方法および精製する方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ACTHと高い親和性で結合する分子が提供される。また、本発明によれば、このような分子を用いて、試料中のACTHを検出および/または精製することを可能にする試薬および方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】1A、1Bおよび1Cは、ACTHペプチドを含む試料溶液と、ACTHペプチドおよび本発明のACTH結合分子を含む試料溶液とについて測定した蛍光スペクトルである。
【図2】2A、2Bおよび2Cは、ACTH結合分子の濃度をX軸とし、規格化した蛍光強度をY軸とする座標上に、各試料のデータをプロットして得たグラフである。
【図3】3A、3Bおよび3Cは、ACTHペプチドと本発明のACTH結合分子との相互作用を反射干渉分光法(RIfS)により測定し、得られた波長シフト量を、経過時間をX軸とし、波長シフト量をY軸とする座標上にプロットして得たグラフである。
【図4】4種類のペプチド溶液をそれぞれ添加した後の波長シフト量の変化を示すグラフである。
【図5】ACTHペプチドおよび本発明のACTH結合分子を含む試料溶液にITIH4ペプチドを添加した溶液について測定した蛍光強度を、ITIH4ペプチドの濃度をX軸とし、蛍光強度をY軸とする座標上にプロットして得たグラフである。
【図6】ACTHペプチドおよび本発明のACTH結合分子を含む試料溶液にITIH4ペプチドを添加した溶液について測定した蛍光強度を規格化し、このデータを、ITIH4ペプチドの濃度をX軸とし、規格化した蛍光強度をY軸とする座標上にプロットして得たグラフである。
【図7】血清試料中のACTHペプチドとACTH結合分子との相互作用をRIfSにより測定し、得られた波長シフト量を、経過時間をX軸とし、波長シフト量をY軸とする座標上にプロットして得たグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1]ACTH結合分子
本明細書において、ACTH結合分子とは、ACTHに対して親和性を有し、ACTHと特異的に結合できる機能性分子を意味する。
本発明のACTH結合分子は、上記の(a)、(b)及び(c)のいずれか一つで表される、修飾塩基を含む核酸配列を有し、且つACTHに対して親和性を有する。
【0013】
ACTHは、39アミノ酸からなるホルモンであり、脳の下垂体から分泌され、副腎皮質に作用して副腎皮質ホルモンの分泌を促進する。
本発明の実施形態において、ACTHは、生体内で産生される天然のACTHのほか、ACTHをコードする遺伝子が導入された哺乳動物細胞、昆虫細胞、大腸菌などの細胞により産生されたペプチドであってもよいし、化学合成によって製造されたペプチドであってもよい。また、ACTHは生物種の間でアミノ酸配列の相同性が高いので、ACTHの由来は、ACTHを産生する生物種であれば特に限定されず、哺乳類(例えば、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ウサギ)、鳥類(例えばダチョウ)、魚類(例えばホシザメ)などが挙げられる。
【0014】
本発明の実施形態において、ACTH結合分子の標的となるACTHは、全長のペプチドであってもよいし、その断片であってもよい。断片としては、少なくともACTHの1〜24位のアミノ酸配列からなるペプチドが好ましい。
【0015】
本発明のACTH結合分子に含まれる修飾塩基は、ヌクレオシド(またはヌクレオチド)を構成するアデニン、グアニンおよびシトシンのアミノ基に置換基を導入した塩基である。置換基の導入方法は特に限定されず、当該技術において公知の方法により行うことができる。例えば、下記の式で示される方法などが挙げられる。
【0016】
【化2】
【0017】
上記の式において、Rは、−(CH2)3COOH、−CH2CH2CH(CH3)2、−CH2OH、−CHNH2CH2NH2または下記の式(1)〜(4)のいずれかで示される基である。
【0018】
【化3】
【0019】
本発明の実施形態において、ACTH結合分子は、上記の修飾塩基および通常の塩基を有するヌクレオシドを含むポリヌクレオチドを合成することにより製造できる。そのような合成方法は特に限定されず、当該技術において公知の方法により行うことができる。そのような方法としては、例えば、ホスホロアミダイト法、ジエステル法、トリエステル法、ホスファイト法、チオホスファイト法、H−ホスホネート法などが挙げられる。また、市販のDNA自動合成装置を用いてもよい。
【0020】
本発明の実施形態において、ACTH結合分子は、DNAであってもよいし、RNAであってもよい。したがって、本発明のACTH結合分子の核酸配列において、チミン(T)をウラシル(U)に置換した分子も本発明の範囲に含まれる。
本発明の実施形態において、ACTH結合分子の構造は、ACTHとの結合を妨げない構造であれば特に限定されないが、好ましくは鎖状構造である。
【0021】
本発明の実施形態において、ACTH結合分子は付加配列を有していてもよい。すなわち、ACTH結合分子は、そのような配列を、上記の(a)、(b)及び(c)のいずれか一つで表される核酸配列の一端または両端に付加することができる。付加配列は、ACTH結合分子とACTHとの結合を妨げない限り、特に限定されないが、例えばACTH結合分子をPCR法などにより増幅するための核酸配列であってもよいし、ACTH結合分子の構造を安定化させるための核酸配列であってもよい。ACTH結合分子を増幅するための核酸配列は、用いるプライマーの配列に応じて適宜設定できる。また、ACTH結合分子の構造を安定化させるための核酸配列としては、例えば、上記の(a)、(b)及び(c)のいずれか一つで表される核酸配列の両端に付加させた場合に、分子内で15〜35塩基対の相補的塩基対を形成できる配列が挙げられる。
【0022】
上記の付加配列の長さは特に限定されないが、通常100 mer以下、好ましくは80 mer以下である。なお、付加配列は、上記の(a)、(b)及び(c)のいずれか一つで表される核酸配列のポリヌクレオチドの合成の際に付加することができる。
【0023】
本発明の実施形態において、ACTH結合分子はリンカーを有していてもよい。すなわち、ACTH結合分子は、そのようなリンカーを、上記の(a)、(b)及び(c)のいずれか一つで表される核酸配列の一端または両端に付加することができる。リンカーは、ACTH結合分子とACTHとの結合を妨げない限り、特に限定されないが、ACTH結合分子を担体に結合させるためのリンカーが好ましい。そのようなリンカーとしては、直鎖状合成高分子および直鎖状天然高分子などの鎖状の分子が好ましい。ACTH結合物質とACTHとの結合には静電的相互作用が寄与しているので、上記の高分子としては、ACTH結合物質とACTHとの結合を阻害しない非イオン性の高分子を用いることが好ましい。
【0024】
直鎖状合成高分子としては、例えば、炭素数1〜700のアルキル基、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール(部分鹸化ポリ酢酸ビニルを含む)、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドまたはアクリルアミド誘導体のポリマー、ポリビニルアセトアミドおよびポリビニルホルムアミドなどが挙げられる。これらの中でも特に、親水性が高く、入手および合成も容易な点から、ポリエチレングリコールが好ましい。また、ACTH結合物質とACTHとの結合を阻害しにくいという観点から、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアセトアミドが好ましい。
直鎖状天然高分子としては、例えば、核酸、多糖、および親水性ポリペプチドなどのタンパク質などが挙げられる。なお、リンカーは、当該技術において公知の方法によってACTH結合分子に付加することができる。
【0025】
本発明の実施形態において、ACTH結合分子は、当該技術において公知の担体に連結させて用いることができる。したがって、本発明のACTH結合分子を連結させた担体も、本発明の範囲に含まれる。
【0026】
担体の材質としては、例えば、多糖類、プラスチック、ガラスなどが挙げられる。担体の形状としては、例えば、ビーズ、ゲルなどが挙げられる。担体の具体例としては、セファロースビーズ、アガロースビーズ、磁性ビーズ、ガラスビーズ、シリコーンゲルなどが挙げられる。これらの担体は、カラムに充填して用いることもできる。また、マルチウェルプレート、マイクロアレイ用基板などを担体として用いてもよい。
【0027】
ACTH結合分子と担体とは、直接連結されていてもよいし、上記したリンカー等の他の物質を介して間接的に連結されていてもよい。また、ACTH結合分子の担体への連結は、当該技術において公知の方法により行うことができる。例えば、本発明のACTH結合分子にビオチンを付加し、担体にアビジンまたはストレプトアビジンを付加することにより、ビオチンとアビジンまたはストレプトアビジンとの結合を解して、ACTH結合分子と担体とを連結させることができる。
このような本発明のACTH結合分子を連結させた担体は、例えば、試料中のACTHを検出および/または精製するためのバイオセンサーとして用いることができる。
【0028】
本発明のACTH結合分子はACTHと高い親和性で結合できるので、本発明の実施形態においては、ACTH結合分子およびこれを連結させた担体を、ACTH検出用試薬として利用可能である。そのような検出用試薬として本発明のACTH結合分子を用いる場合、ACTH結合分子を、酵素、色素、蛍光物質、放射性同位元素などの当該技術において公知の標識物質で標識してもよい。このような物質で標識されたACTH結合分子と、ACTHを含む可能性のある試料とを混合した後、標識に由来するシグナルに基づいて、ACTH結合分子と結合したACTHを検出することができる。
【0029】
また、本発明の別の実施形態においては、本発明のACTH結合分子およびこれを連結させた担体を、ACTHの分泌の亢進が関与すると考えられている疾患の予防もしくは治療のための薬剤、またはACTH阻害剤として利用可能である。ACTH結合分子をそのような薬剤または試薬として用いる場合は、例えばACTH結合分子を水、生理食塩水または適切な緩衝液に溶解して適切な濃度の溶液とし、これを対象に適切な経路で投与するか、生細胞の培養培地に添加すればよい。
【0030】
[2]ACTHの検出方法および精製方法
本発明は、上記のACTH結合分子を用いる、試料中のACTHを検出する方法および精製する方法を提供する。
【0031】
本発明のACTHの検出方法は、試料と、本発明のACTH結合分子またはこれを連結させた担体とを混合する工程と、この工程で得られた混合物において、ACTH結合分子とACTHとの結合を解析することによりACTHを検出する工程とを含む。
【0032】
本発明の実施形態において、試料は、ACTHを含む可能性のある試料であれば特に限定されないが、好ましくはACTHを含む可能性のある液体試料である。また、試料は生体試料であってもよい。そのような生体試料としては、例えば、血液、血漿、血清、体液などが挙げられる。このような試料と、本発明のACTH結合分子またはこれを連結させた担体とを混合させる条件は特に限定されず、当業者が適宜設定できる。例えば、試料が液体試料である場合、ACTH結合分子の添加量は、終濃度で表して1〜500 nM、好ましくは5〜100 nMであればよい。また、混合の際の温度および時間は20〜37℃で30秒〜5分程度であればよい。
【0033】
本発明の好ましい実施形態において、検出工程におけるACTH結合分子とACTHとの結合の解析は、上記の混合工程で得られた混合物に光を照射して光学的情報を得ることにより行われる。そのような光学的情報としては、例えば、反射光の波長、蛍光強度、吸光度などが挙げられる。
光学的情報として反射光の波長を得る場合、白色光を上記の混合物に照射して、反射光の波長変化を反射干渉分光法(Reflectometric Interference Spectroscopy:RIfS)により経時的に測定することが好ましい。ここで、RIfSとは、基板上の流路にサンプルを注入して、該基板上で分子を相互作用させ、ここに白色光を照射して基板からの反射光の干渉効果を波長変化量として測定することにより、分子間相互作用を検出する方法である。
【0034】
光学的情報として反射光の波長を得る場合、別の好ましい方法として、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)の原理を利用する方法が挙げられる。ここで、SPRの原理を利用する方法とは、分子などが固定化された基板に対して、流路のない面(すなわち、分子などが固定化されていない面)へ特定の波長の光を全反射するように照射することにより得られる反射光を検出し、該反射光の反射角度の変化を解析することにより、基板上に固定化されている物質の量の変化を測定する方法である。例えば、ACTH結合分子を固定化した基板上の流路にACTHを注入し、流路のない面へ特定の波長の光を全反射するように照射することにより得られる反射光を検出し、該反射光の反射角度の変化を解析することで、ACTH結合分子にACTHが結合したことで生じる質量変化を検出することができる。
【0035】
光学的情報として蛍光強度を得る場合、当該技術において公知の蛍光物質であらかじめ標識した本発明のACTH結合分子が用いられる。標識されたACTH結合分子と試料との混合物に、標識された蛍光物質を励起させる光を照射して、標識に由来するシグナルを取得することにより、ACTH結合分子と結合したACTHを検出することができる。
また、光学的情報として吸光度を得る場合、ペルオキシダーゼなどの化学発光酵素による化学発光を利用する方法が好ましい。化学発光を利用する方法としては、ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)法と同様の方法を使用できる。例えば、ACTH結合分子を固定化した基板上にACTHを結合した後、酵素標識を行ない、さらに酵素反応を行なわせることで色原性基質を色素に変化させる。そして、当該色素の呈色を比色計で測定することにより得られる吸光度を解析することで、ACTH結合分子と結合したACTHを検出することができる。
本発明の結合分子を用いることにより、抗原抗体反応を利用する場合と比較して容易、短時間、かつ低コストでACTHを検出することができる。
【0036】
本発明のACTHの精製方法は、試料と、本発明のACTH結合分子を連結させた担体とを混合する工程と、この工程で得られた混合物から、担体に連結したACTH結合分子とACTHとの複合体を取得する工程とを含む。
【0037】
この精製方法において、試料と担体とを混合する工程は、上記の本発明のACTHの検出方法において述べたことと同様である。
得られた混合物から、担体に連結したACTH結合分子とACTHとの複合体を取得する手段は特に限定されない。例えば、試料が液体であり、担体がビーズである場合は、遠心分離により、担体に連結したACTH結合分子とACTHとの複合体を取得できる。あるいは、本発明のACTH結合分子を連結させた担体を充填させたカラムに、試料を通過させることにより、該試料中のACTHと、担体に連結したACTH結合分子との複合体を取得できる。
【0038】
上記の複合体からACTHを遊離させる方法は当該技術において公知である。例えば、得られた複合体に高塩濃度の溶液を添加して混合することにより、該複合体からACTHを遊離させることができる。
本発明の結合分子を用いることにより、抗原抗体反応を利用する場合と比較して容易、短時間、かつ低コストでACTHを精製することができる。
【0039】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0040】
実施例1: ACTH結合分子の作製
(1-1)ACTHペプチド
ACTH結合分子の標的となるACTHペプチドとして、ACTHの1〜24位のアミノ酸配列からなるペプチドのN末端に、リンカーとして「Biotin-PEG4-DDDDK-」を付加して合成したペプチド(株式会社バイオロジカ製)を用いた。なお、当該リンカーにおいて、「DDDDK」は、エンテロキナーゼの切断サイトとなるアミノ酸配列であり、「Biotin-PEG4」は、後述する親和性クロマトグラフィーで用いるレジンに、上記のペプチドを固定化するためのタグである。
【0041】
(1-2)ACTH結合分子のスクリーニング
ACTH結合分子のスクリーニングは、SELEX(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment)法により行った。まず、アデニン、グアニンおよびシトシンのアミノ基を、以下に示す方法により置換して、9種類の修飾塩基を含むヌクレオシドを合成した。
【0042】
【化4】
【0043】
上記の式において、Rは、−(CH2)3COOH、−CH2CH2CH(CH3)2、−CH2OH、−CHNH2CH2NH2または下記の式(1)〜(4)のいずれかで示される基である。
【0044】
【化5】
【0045】
得られた修飾ヌクレオシドを含むヌクレオシドを用いて、DNA自動合成装置により、固定配列1(35 mer:配列番号1)−ランダムオリゴヌクレオチド配列(20 mer)−固定配列2(33 mer:配列番号2)からなるオリゴヌクレオチドを含むランダムライブラリを作製した。なお、固定配列1および2の配列は以下のとおりである。
固定配列1:GAAGGTGAAG GTCGGCTGAA GCATTAGACC TAAGC
固定配列2:GCTTAGGTCT AATGCACCAT CATCACCATC TTC
【0046】
そして、(1-1)で合成したACTHペプチドを固定化したレジンを用いて、ランダムライブラリについて親和性クロマトグラフィーを行った。その結果、75種類のACTH結合分子の候補を得た。これらの候補に対してSPR法(表面プラズモン共鳴)による1次スクリーニングを実施して、ACTHペプチドとの親和性の高い12種類のACTH結合分子の候補を得た。さらに、これらの12種類に対して蛍光滴定法による2次スクリーニングを実施して、ACTHペプチドとの親和性が高かった3種類のACTH結合分子を得た。得られたACTH結合分子をそれぞれanti-SYS2-001、anti-SYS2-002およびanti-SYS2-021と称する。各ACTH結合分子の配列を、以下に示す。
anti-SYS2-001:X1TTX2X3TX3TX4GX4GAX5TX2X1TX6C
anti-SYS2-002:AX5X7GTX2X6CX3TX4GTX2X3TX6CTX8
anti-SYS2-021:X6CTX2AX5TX2X9AX1TX7GX6CAX5TX2
[ただし、X1〜X9は、それぞれ下記の式で表される修飾塩基を示す。式中、Pはリン酸基を示す。]
【0047】
【化6】
【0048】
実施例2: ACTH結合分子とACTHペプチドとの結合の検出と解離平衡定数(KD)の算出
(2-1)蛍光標識ACTHペプチド
ACTH結合分子の標的となるACTHペプチドとして、ACTHの1〜24位のアミノ酸配列からなるペプチドを、赤色蛍光色素のテトラメチルローダミン(TMR)で標識したTMR-ACTHペプチド(株式会社バイオロジカ製)を用いた。
【0049】
(2-2)蛍光スペクトル測定および蛍光滴定法による測定
(2-1)で合成したTMR-ACTHペプチドを終濃度800 nMとなるように0.5×トリス緩衝食塩水(TBS)(20 mM Tris-HCl(pH7.4)、150 mM NaCl)に溶解して、試料溶液Aを得た。また、実施例1で得たanti-SYS2-001およびTMR-ACTHペプチドを終濃度がそれぞれ1600 nMおよび800 nMとなるように0.5×TBSに溶解して、試料溶液Bを得た。anti-SYS2-002およびanti-SYS2-021についても、試料溶液Bと同様にして、TMR-ACTHペプチドとともに0.5×TBSに溶解して、試料溶液CおよびDを得た。
試料溶液A〜Dのそれぞれについて、励起波長540 nmおよび蛍光波長550〜650 nmでの蛍光スペクトルを日立蛍光光度計F-7000(FL)(日立ハイテク)により測定した。得られた蛍光スペクトルを図1に示す。
【0050】
次に、試料溶液B、CおよびDのぞれぞれと、試料溶液Aとを混合して、ACTH結合分子の濃度を0〜800 nMに調整した。得られた各溶液について、励起波長540 nmおよび蛍光波長 580 nmでの蛍光強度を測定した。得られた蛍光強度を規格化した後、ACTH結合分子の濃度(nM)をX軸とし、規格化した蛍光強度をY軸とする座標上に、各溶液についてのデータをプロットした。得られたグラフについて、カレイダグラフ(ヒューリンクス社)を用いて、下記の式(I)に対するカーブフィッティングを行って、ACTH結合分子とACTHペプチドとの結合のKD値を算出した。この解析結果を図2に示す。
【0051】
【数1】
(式(I)中、aは定数を示し、bはヒル係数を示す。)
【0052】
図1より、TMR-ACTHペプチドの蛍光がACTH結合分子の添加により消沈されたことがわかった。したがって、TMR-ACTHペプチドと本発明のACTH結合分子とが結合していると考えられる。
また、図2より、ACTH結合分子とTMR-ACTHペプチドとの結合の親和性を示すKD値については、anti-SYS2-001が1.1×10-9 M、anti-SYS2-002が1.1×10-9 M、anti-SYS2-021が6.1×10-10 Mであることがわかった。ここで、特許文献1に示されるアプタマーのKD値は1.0×10-7 〜1.0×10-9 Mであるので、本発明のACTH結合分子は、ACTHペプチドに対して、従来技術のアプタマーと同程度かそれ以上の親和性を有することがわかった。
【0053】
実施例3: 反射干渉分光法(RIfS)によるACTH結合分子とACTHペプチドとの結合および解離の検出
(3-1)ペプチド
ACTHペプチドとして、ACTHの1〜24アミノ酸配列からなるACTHペプチド(株式会社バイオロジカ製)を用いた。また、Villanueva Jらの報告(J clin Invest 116(1), 271-284, 2006)において疾患マーカーとされているペプチドの中から、アミノ酸残基数が25残基程度のペプチドであり、且つ等電点が酸性(pI値が5.5未満)、中性(pI値が5.5〜8.5)または塩基性(pI値が8.5より大きい)のペプチドを用いた(株式会社バイオロジカ製)。これら4種類のペプチドについての情報を、以下の表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
(3-2)ACTH結合分子とACTHペプチドとの結合および解離の検出
NeutrAvidin(シグマ社)を終濃度0.1μMとなるように0.5×TBSに溶解し、NeutrAvidin溶液(0.1μM)を調製した。実施例1で得た3種類のACTH結合分子をそれぞれ純水に溶解して50μMの溶液とし、これらをさらに純水で100倍希釈して各ACTH結合分子の溶液(0.5μM)を調製した。上記の4種類のペプチドの凍結乾燥粉末を終濃度17μMとなるように0.5×TBSにそれぞれ溶解して、各ペプチドの溶液(17μM)を調製した。
【0056】
あらかじめビオチンで修飾した窒化シリコンチップ(コニカミノルタオプト株式会社製)を分子間相互作用測定装置Mi-Affinity(コニカミノルタオプト株式会社製)にセットし、該チップ上に形成される流路を0.5×TBSで置換した。その後、上記のNeutrAvidin溶液、ACTH結合分子の溶液およびペプチド溶液を、この順番でそれぞれ100μLを流路へ注入した。なお、各溶液の注入は、NeutrAvidin溶液が経過時間0 secのとき、ACTH結合分子の溶液が1800 secのとき、ペプチドの溶液が3600 secのときに行われた。そして、RIfSによる測定で得られる波長シフト量(nm)の経時変化を観察した。経過時間(sec)をX軸とし、波長シフト量(nm)をY軸とする座標上に、測定により得られた波長シフト量をプロットした。
得られたグラフ(以下、「センサグラム」という)のうち、ペプチド溶液としてACTHペプチド溶液を用いたときのセンサグラムを、図3に示す。また、anti-SYS2-001について、4種類のペプチド溶液をそれぞれ添加した後(すなわち、経過時間3600 sec以降)の波長シフト量の変化を、図4に示す。なお、図3および4において、▽はACTHペプチドとACTH結合分子との結合を示すピークを指し、▼は両者の解離を示すピークを指す。
【0057】
図3より、全てのセンサグラムにおいて、0 secから900 secでビオチン修飾SiNチップへのNeutrAvidinの結合が観察され、1800 secから2700 secでNeutrAvidinへのACTH結合分子の結合が見られた。また、3600 secでACTHペプチドの溶液を注入したところ、ACTHペプチドとACTH結合分子との結合および解離を示すピークが観察された。したがって、これら3種類のACTH結合分子を固定化したチップを用いたRIfS測定により、ACTHを検出できることがわかった。なお、anti-SYS2-021のセンサグラムにおいて、測定時にノイズが発生しているが、ACTHとの結合および解離のピークが認められるので、ACTHを検出できるという結果に影響はない。
また、図4より、ペプチドとACTH結合分子との結合および解離のピークを観察できたのはACTHでのみであり、その他のペプチドではそのようなピークは観察できなかった。このことから、本発明のACTH結合分子はACTHペプチドと特異的に結合することがわかった。
【0058】
実施例4: 競合阻害を利用したACTH結合分子と標的ペプチドとの特異性の検討
分子量および等電点がACTHペプチドと近いペプチドであるITIH4ペプチドを競合阻害物質として用いて、本発明のACTH結合分子の標的ペプチドへの特異性を検討した。
(4-1)試料の調製
測定用試料として、試料溶液E、FおよびGを次のとおり調製した。試料溶液Eは、ACTH結合分子(anti-SYS2-002)およびTMR-ACTHペプチドを、終濃度がそれぞれ800 nMとなるように0.5×TBSに溶解して得た。試料溶液Fは、TMR-ACTHペプチドを、終濃度が800 nMとなるように0.5×TBSに溶解して得た。試料溶液Gは、ITIH4ペプチドを、終濃度が1,000μMとなるように0.5×TBSに溶解して得た。
【0059】
(4-2)試料の測定
試料溶液Eについて、励起波長540 nmおよび蛍光波長580 nmでの蛍光強度を、日立蛍光光度計F-7000(FL)(日立ハイテク)により測定した。測定後、試料溶液Eに試料溶液Gを少量添加してよく混和して、得られた混合液について蛍光強度を測定した。そして、この混合液にさらに試料溶液Gを添加して混和し、再び蛍光強度を測定した。この操作を繰り返し行って、得られた蛍光強度を、ITIH4ペプチドの濃度をX軸とし、蛍光強度をY軸とする座標上にプロットした。また、試料溶液Fについても同様の操作を行って、蛍光強度を座標にプロットした。得られたグラフを、図5に示す。
【0060】
試料溶液Eの測定により得られた蛍光強度を規格化し、このデータを、ITIH4ペプチドの濃度をX軸とし、規格化した蛍光強度をY軸とする座標上にプロットした。得られたグラフについて、カレイダグラフ(ヒューリンクス社)を用いて、下記の式(II)に対するカーブフィッティングを行って解析した。この解析結果を図6に示す。
【0061】
【数2】
(式(II)中、KiはITIH4ペプチドとACTH結合分子との結合のKD値を示し、KdはACTHペプチドとACTH結合分子との結合のKD値を示す。)
【0062】
図5より、実施例2(図1)で見られたTMR-ACTHとACTH結合分子との結合による蛍光の消沈が、ITIH4ペプチドの添加により解消されていることがわかった。また、ACTH結合分子の非存在下では、蛍光の消沈は解消されていなかった。このことから、ITIH4ペプチドの添加による蛍光の変化(消沈の解消)は、ITIH4ペプチドとACTH結合分子とが相互作用することにより起こると考えられる。すなわち、ITIH4ペプチドがACTH結合分子と結合することにより、ACTH結合分子と結合していたTMR-ACTHが遊離したと考えられる。
【0063】
図6より、Kd値が1.3 nM、Ki値が850 nMと算出された。この結果を用いて、ACTH結合分子のACTHペプチドに対する標的特異性S値を算出した。ここで、標的特異性S値とは、標的及び非標的との解離平衡定数の除算により得られる値(S = Ki/Kd)である。すなわち、この標的特異性S値が大きいほど、標的ペプチドに対する特異性が高いことを示している。
本発明のACTH結合分子(anti-SYS2-002)の標的特異性S値は650と算出された。すなわち、本発明のACTH結合分子は、ACTHペプチドに対して長さ(分子量)が72%、等電点が89%相同であるITIH4ペプチドを、S値650の特異性で識別できることがわかった。ここで、標的特異性に関して、本発明のACTH結合分子と従来のアプタマーとの比較のために、SUSAN E.W.らの報告(RNA、14巻、1037-1047頁、2008年)を参照する。SUSAN E.W.らの抗p65アプタマーは、標的と長さ(分子量)が85%、等電点が91%相同なタンパク質(p50)をS値99の特異性でしか選別できない。したがって、本発明のACTH結合分子は、従来のアプタマーよりも高い標的特異性を有していることが明らかとなった。
【0064】
実施例5: RIfS測定による血清を含む試料中のACTH検出
(5-1)試料溶液の調製
あらかじめ調製しておいたACTHペプチド溶液(5μL、1.36 mM(4mg/mL))、健常者血清(4μL)およびSTバッファー(10 mM Tris-HCl(pH7.4)、100 mM NaCl)(391μL)を混合して、ACTHペプチドを含む血清試料を調製した。また、ACTHペプチド溶液に代えて純水(5μL)を用いて、ACTHペプチドを含まない血清試料を調製した。
【0065】
(5-2)RIfS測定による血清試料中のACTHペプチドの検出
実施例3と同様にして、あらかじめビオチンで修飾した窒化シリコンチップ(コニカミノルタオプト株式会社製)を分子間相互作用測定装置Mi-Affinity(コニカミノルタオプト株式会社製)にセットし、該チップ上に形成される流路を0.5×TBSで置換した。その後、NeutrAvidin溶液(0.1μM)、ACTH結合分子の溶液(0.5μM)および上記した血清試料のいずれかを、この順番でそれぞれ100μL流路へ注入した。なお、各溶液の注入は、NeutrAvidin溶液が経過時間0 secのとき、ACTH結合分子の溶液が1800 secのとき、血清試料が3600 secのときに行われた。そして、RIfSによる測定で得られる波長シフト量(nm)の経時変化を観察した。得られた波長シフト量を3600 secでの波長シフト量でゼロ補正したセンサグラムを、図7に示す。なお、図7において、▽はACTHペプチドとACTH結合分子との結合を示すピークを指し、▼は両者の解離を示すピークを指す。
【0066】
図7より、実施例3と同様に、ACTH結合分子のチップへの結合が見られ、その後ACTHペプチドを含む血清試料を用いた場合のみ、ACTHペプチドとACTH結合分子とが結合し(図7の▽)、そして解離している(図7の▼)様子が観察できた。このことから、本発明のACTH結合分子は、血清のような夾雑物を含む試料であってもACTHペプチドを検出できることがわかった。
【0067】
本出願は、2011年12月28日に出願された日本国特許出願特願2011−289028号に関し、この特許請求の範囲、明細書、図面および要約書の全ては本明細書中に参照として組み込まれる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【配列表】
2013099762000001.app
【国際調査報告】