(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013100006
(43)【国際公開日】20130704
【発行日】20150511
(54)【発明の名称】熱安定性が向上したアマドリアーゼ、その遺伝子および組換えDNAならびに熱安定性が向上したアマドリアーゼの製造法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20150414BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20150414BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20150414BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20150414BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20150414BHJP
   C12N 9/06 20060101ALI20150414BHJP
   C12Q 1/26 20060101ALI20150414BHJP
【FI】
   !C12N15/00 AZNA
   !C12N1/15
   !C12N1/19
   !C12N1/21
   !C12N5/00 101
   !C12N9/06 B
   !C12Q1/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】40
【出願番号】2013551768
(21)【国際出願番号】JP2012083779
(22)【国際出願日】20121227
(31)【優先権主張番号】2011287651
(32)【優先日】20111228
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
【住所又は居所】千葉県野田市野田250番地
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100119079
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 佐保子
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141357
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 音哉
(72)【発明者】
【氏名】鉞 陽介
【住所又は居所】千葉県野田市野田250番地 キッコーマン株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】一柳 敦
【住所又は居所】千葉県野田市野田250番地 キッコーマン株式会社内
【テーマコード(参考)】
4B024
4B050
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B024AA03
4B024AA11
4B024BA08
4B024DA06
4B024EA04
4B050CC04
4B050DD03
4B050EE03
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4B063QQ03
4B063QQ79
4B063QR03
4B063QR43
4B063QR49
4B063QR57
4B063QR66
4B063QX01
4B065AA01X
4B065AA26X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BB03
4B065BB19
4B065BB28
4B065BB37
4B065BC03
4B065BD01
4B065BD15
4B065CA28
4B065CA46
(57)【要約】
従来知られたアマドリアーゼよりも優れた耐熱性を有するアマドリアーゼを提供する。
配列番号1に示すコニオカエタ(Coniochaeta)属由来のアマドリアーゼのカルボキシル末端からの3アミノ酸残基、151位、43位、53位、267位、350位、185位、196位、299位、および323位よりなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置で1つまたはそれ以上のアミノ酸残基の置換または欠失を有するアマドリアーゼを提供する。
常温流通や長距離輸送、酵素センサーの製造等に供し、より過酷な温度条件にさらされた場合でも保存安定性に優れた酵素および糖化ヘモグロビン測定キットを提供できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に示すアミノ酸配列に1または数個のアミノ酸の欠失、挿入、付加および置換のうちの1以上が導入されたアミノ酸配列を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列の以下の(a)から(j):
(a)カルボキシル末端からの3アミノ酸残基;
(b)151位のアラニン;
(c)43位のフェニルアラニン;
(d)53位のヒスチジン;
(e)267位のフェニルアラニン;
(f)350位のスレオニン;
(g)185位のアラニン;
(h)196位のグルタミン酸;
(i)299位のセリン;
(j)323位のバリン
よりなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置で1つまたはそれ以上のアミノ酸残基の置換または欠失を有し、前記置換を行う前のアマドリアーゼと比較して、pH7.0において55℃、30分間の熱処理後の残存活性(%)が向上しているアマドリアーゼ。
【請求項2】
配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸が、
(k)カルボキシル末端からの3アミノ酸残基が欠失しているか、
以下の(l)から(t):
(l)151位のアラニンがシステインに置換されている;
(m)43位のフェニルアラニンがチロシンに置換されている;
(n)53位のヒスチジンがアスパラギン、チロシンに置換されている;
(o)267位のフェニルアラニンがチロシンに置換されている;
(p)350位のスレオニンがアラニンに置換されている;
(q)185位のアラニンがセリンに置換されている;
(r)196位のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換されている;
(s)299位のセリンがスレオニンに置換されている;又は
(t)323位のバリンがグルタミン酸に置換されている;
のいずれかに記載されるアミノ酸残基へと置換されており、前記置換または欠失を有する位置以外の位置で数個のアミノ酸の欠失、挿入、付加および置換のうちの1以上が導入されたアミノ酸配列を有し、前記置換または欠失を有する前のアマドリアーゼと比較して、pH7.0において55℃、30分間の熱処理後の残存活性(%)が向上しているアマドリアーゼ。
【請求項3】
配列番号1に示すアミノ酸配列において、以下の(u)から(ae):
(u)151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換および299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換;
(v)43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換および151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換;
(w)43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失;
(x)151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、196位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸のアスパラギン酸への置換および299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換;
(y)151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失;
(z)43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換、350位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸のアラニンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失;
(aa)43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失;
(ab)43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換および350位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸のアラニンへの置換;
(ac)151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、196位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸のアスパラギン酸への置換、299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換および323位のバリンに対応する位置のアミノ酸のグルタミン酸への置換;
(ad)151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、196位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸のアスパラギン酸への置換、299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失;
(ae)43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、350位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸のアラニンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失
よりなる群から選択されるアミノ酸残基の置換または欠失を有し、前記置換または欠失を有する位置以外の位置で数個のアミノ酸の欠失、挿入、付加および置換のうちの1以上が導入されたアミノ酸配列を有し、前記置換または欠失を有する前のアマドリアーゼと比較して、pH7.0において60℃、30分間の熱処理後の残存活性(%)が向上しているアマドリアーゼ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のアミノ酸配列をコードするアマドリアーゼ遺伝子。
【請求項5】
請求項4記載のアマドリアーゼ遺伝子を含む組換えベクター。
【請求項6】
請求項5記載の組換えベクターを含む宿主細胞。
【請求項7】
以下の工程:
(i)請求項5記載の宿主細胞を培養する工程;
(ii)宿主細胞に含まれるアマドリアーゼ遺伝子を発現させる工程;及び
(iii)培養物からアマドリアーゼを単離する工程
を含む、アマドリアーゼを製造する方法。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかに記載のアマドリアーゼを含む、糖化タンパク質の測定に用いるためのキット。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれかに記載のアマドリアーゼを含む、糖化ヘモグロビンの測定に用いるためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病の診断用酵素として、また、糖尿病マーカーの測定キットに有利に利用され得る耐熱性に優れたアマドリアーゼ、その遺伝子および組換え体DNAならびに耐熱性に優れたアマドリアーゼの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖化タンパク質は、グルコースなどのアルドース(アルデヒド基を潜在的に有する単糖およびその誘導体)のアルデヒド基と、タンパク質のアミノ基が非酵素的に共有結合を形成し、アマドリ転移することにより生成したものである。タンパク質のアミノ基としてはアミノ末端のαアミノ基、タンパク質中のリジン残基側鎖のεアミノ基が挙げられる。生体内で生じる糖化タンパク質としては血液中のヘモグロビンが糖化された糖化ヘモグロビン、アルブミンが糖化された糖化アルブミンなどが知られている。
【0003】
これら生体内で生じる糖化タンパク質の中でも、糖尿病の臨床診断分野において、糖尿病患者の診断や症状管理のための重要な血糖コントロールマーカーとして、糖化ヘモグロビン(HbA1c)が注目されている。血液中のHbA1c濃度は過去の一定期間の平均血糖値を反映しており、その測定値は糖尿病の症状の診断や管理において重要な指標となっている。
【0004】
このHbA1cを迅速かつ簡便に測定する方法として、アマドリアーゼを用いる酵素的方法、すなわち、HbA1cをプロテアーゼ等で分解し、そのβ鎖アミノ末端より遊離させたα−フルクトシルバリルヒスチジン(以降「αFVH」と表す。)もしくはα−フルクトシルバリン(以降「αFV」と表す。)を定量する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜7参照。)。実際には、HbA1cからαFVを切り出す方法では、夾雑物等による影響が大きく、正確な測定値が得られないという課題があり、より正確な測定値を得る目的から、特に現在ではαFVHを測る方法が主流となっている。
【0005】
アマドリアーゼは、酸素の存在下で、イミノ2酢酸もしくはその誘導体(「アマドリ化合物」ともいう)を酸化して、グリオキシル酸またはα−ケトアルデヒド、アミノ酸またはペプチドおよび過酸化水素を生成する反応を触媒する。
【0006】
アマドリアーゼは、細菌、酵母、真菌から見出されているが、特にHbA1cの測定に有用である、αFVHおよび/またはαFVに対する酵素活性を有するアマドリアーゼとしては、例えば、コニオカエタ(Coniochaeta)属、ユーペニシリウム(Eupenicillium)属、ピレノケータ(Pyrenochaeta)属、アルスリニウム(Arthrinium)属、カーブラリア(Curvularia)属、ネオコスモスポラ(Neocosmospora)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、フェオスフェリア(Phaeosphaeria)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、エメリセラ(Emericella)属、ウロクラディウム(Ulocladium)属、ペニシリウム(Penicillium)属、フザリウム(Fusarium)属、アカエトミエラ(Achaetomiella)属、アカエトミウム(Achaetomium)属、シエラビア(Thielavia)属、カエトミウム(Chaetomium)属、ゲラシノスポラ(Gelasinospora)属、ミクロアスカス(Microascus)属、レプトスフェリア(Leptosphaeria)属、オフィオボラス(Ophiobolus)属、プレオスポラ(Pleospora)属、コニオケチジウム(Coniochaetidium)属、ピチア(Pichia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属由来のアマドリアーゼが報告されている(例えば、特許文献1、6〜15、非特許文献1〜11参照。)。なお、上記報告例の中で、アマドリアーゼは、文献によってはケトアミンオキシダーゼやフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、フルクトシルペプチドオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼ等の表現で記載されている場合もある。
【0007】
アマドリアーゼを糖尿病の臨床診断用酵素としてキット試薬に処方する上で要望される性質のひとつに、良好な熱安定性が挙げられる。
実際の測定条件は個々に異なるが、公知の文献中に各種アマドリアーゼの熱安定性に関する開示がみられる:Aspergillus terreus GP1株由来の真核型アマドリアーゼは、45℃、10分間の熱処理で約40%の残存活性を示す(例えば、非特許文献4参照。)。Fusarium oxysporum S−1F4株由来の真核型アマドリアーゼの45℃、5分間の熱処理後における残存活性は約10%である(例えば、非特許文献12参照。)。また、Coniochaetidium savoryi ATCC36547株由来の真核型アマドリアーゼは、37℃、10分間の熱処理で80%の残存活性を示している(例えば、特許文献9参照。)。Arthrinium sp. TO6株、Pyrenochaeta sp. YH807株、Leptosphaeria nodorum NBRC7480株、Pleospora herbarum NBRC32012株、Ophiobolus herpotrichus NBRC6158株由来の各真核型アマドリアーゼは、40℃、30分間の熱処理後に80%の残存活性を示している(例えば、特許文献9参照。)。Neocosmospora vasinfecta NBRC7590株由来の真核型アマドリアーゼは、45℃、30分間の熱処理で80%の残存活性を示している(例えば、特許文献9参照。)。Curvularia clavata YH923株由来の真核型アマドリアーゼは、50℃、30分間の熱処理で80%の残存活性を示している(例えば、特許文献9参照。)。カルボキシル末端領域の34〜39アミノ酸残基を欠損させたCryptococcus neoformas由来アマドリアーゼは、45℃、10分間の熱処理で40%の残存活性を示している(例えば、特許文献12参照。)。Eupenicillium terrenum ATCC 18547株またはConiochaeta sp. NISL9330株由来のアマドリアーゼは、45℃、10分間の熱処理で80%以上の残存活性を示している(例えば、特許文献8参照。)。
【0008】
上述のようなアマドリアーゼタンパク質の数個のアミノ酸を置換することにより熱安定性をさらに向上させた耐熱性アマドリアーゼも提案されている。具体的には、変異型Coniochaeta sp. NISL 9330株由来アマドリアーゼおよび変異型Eupenicillium terrenum ATCC18547株由来アマドリアーゼ、変異型Aspergillus nidulans株由来アマドリアーゼ、変異型Phaeosphaeria nodorum株由来アマドリアーゼが報告されている(例えば、特許文献16、17参照。)。中でも、特許文献16において開示されている大腸菌JM109(pKK223−3−CFP−T9)株が生産する変異型アマドリアーゼ(以降「CFP−T9」と表す。)は、従来のアマドリアーゼと比較して非常に優れた熱安定性を示し、50℃、60分間の熱処理においても100%の残存活性を維持することが示されている。また、特許文献17において開示されているPhaeosphaeria nodorum株由来変異型アマドリアーゼIE353−F282Yは、50℃、10分間の熱処理において92%の残存活性を維持することが示されている。
【0009】
しかしながら、常温流通や長距離輸送等、酵素が処方されたキットがより過酷な温度条件にさらされることを想定した場合、あるいは、製造工程において加熱処理等を施すことが想定される酵素センサーとしての用途等を考えた場合には、これまでに提案されたアマドリアーゼよりも、さらに優れた耐熱性、少しでも向上した耐熱性を有する酵素に対する強いニーズが依然として存在する。そのような耐熱性酵素は、酵素およびキットの流通において、また、センサー等の用途開発において、多大に貢献することが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2004/104203号
【特許文献2】国際公開第2005/49857号
【特許文献3】特開2001−95598号公報
【特許文献4】特公平05−33997号公報
【特許文献5】特開平11−127895号公報
【特許文献6】国際公開第97/13872号
【特許文献7】特開2011−229526号公報
【特許文献8】特許第4231668号公報
【特許文献9】特開2004−275013号公報
【特許文献10】特開2004−275063号公報
【特許文献11】特開2010−35469号公報
【特許文献12】特開2010−57474号公報
【特許文献13】国際公開第2010/41715号
【特許文献14】国際公開第2010/41419号
【特許文献15】国際公開第2011/15325号
【特許文献16】国際公開第2007/125779号
【特許文献17】特開2010−115189号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Biochem. Biophys. Res. Commun. 311, 104−11, 2003
【非特許文献2】Biotechnol. Bioeng. 106, 358−66, 2010
【非特許文献3】J. Biosci. Bioeng. 102, 241−3, 2006
【非特許文献4】Eur. J. Biochem. 242, 499−505, 1996
【非特許文献5】Arch.Microbiol.178,344−50,2002
【非特許文献6】Mar.Biotechnol.6,625−32,2004
【非特許文献7】Biosci. Biotechnol. Biochem.59, 487−91,1995
【非特許文献8】Appl. Microbiol. Biotechnol. 74, 813−819, 2007
【非特許文献9】Biosci. Biotechnol. Biochem. 66, 1256−61, 2002
【非特許文献10】Biosci. Biotechnol. Biochem. 66, 2323−29, 2002
【非特許文献11】Biotechnol. Letters 27, 27−32,2005
【非特許文献12】Biosci. Biotechnol. Biochem. 59, 487−91, 1995
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、従来のアマドリアーゼより熱安定性が優れたアマドリアーゼを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前記課題解決のため、先に出願人が見出した上述のCFP−T9をベースにさらなる耐熱性向上変異体の取得を試み、鋭意研究を重ねた結果、特定のアミノ酸残基の置換および/または欠失を導入することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)配列番号1に示すアミノ酸配列に1または数個のアミノ酸の欠失、挿入、付加および置換のうちの1以上が導入されたアミノ酸配列を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列の以下の(a)から(j):
(a)カルボキシル末端からの3アミノ酸残基;
(b)151位のアラニン;
(c)43位のフェニルアラニン;
(d)53位のヒスチジン;
(e)267位のフェニルアラニン;
(f)350位のスレオニン;
(g)185位のアラニン;
(h)196位のグルタミン酸;
(i)299位のセリン;
(j)323位のバリン
よりなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置で1つまたはそれ以上のアミノ酸残基の置換または欠失を有し、前記置換を行う前のアマドリアーゼと比較して、pH7.0において55℃、30分間の熱処理後の残存活性(%)が向上しているアマドリアーゼ。
(2)配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸が、
(k)カルボキシル末端からの3アミノ酸残基が欠失しているか、
以下の(l)から(t):
(l)151位のアラニンがシステインに置換されている;
(m)43位のフェニルアラニンがチロシンに置換されている;
(n)53位のヒスチジンがアスパラギン、チロシンに置換されている;
(o)267位のフェニルアラニンがチロシンに置換されている;
(p)350位のスレオニンがアラニンに置換されている;
(q)185位のアラニンがセリンに置換されている;
(r)196位のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換されている;
(s)299位のセリンがスレオニンに置換されている;又は
(t)323位のバリンがグルタミン酸に置換されている;
のいずれかに記載されるアミノ酸残基へと置換されており、前記置換または欠失を有する位置以外の位置で数個のアミノ酸の欠失、挿入、付加および置換のうちの1以上が導入されたアミノ酸配列を有し、前記置換または欠失を有する前のアマドリアーゼと比較して、pH7.0において55℃、30分間の熱処理後の残存活性が向上しているアマドリアーゼ。
(3)配列番号1に示すアミノ酸配列において、以下の(u)から(ae):
(u)151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換および299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換;
(v)43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換および151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換;
(w)43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失;
(x)151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、196位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸のアスパラギン酸への置換および299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換;
(y)151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失;
(z)43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換、350位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸のアラニンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失;
(aa)43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失;
(ab)43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換および350位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸のアラニンへの置換;
(ac)151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、196位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸のアスパラギン酸への置換、299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換および323位のバリンに対応する位置のアミノ酸のグルタミン酸への置換;
(ad)151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、196位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸のアスパラギン酸への置換、299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失;
(ae)43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、350位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸のアラニンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失よりなる群から選択されるアミノ酸残基の置換または欠失を有し、前記置換または欠失を有する位置以外の位置で数個のアミノ酸の欠失、挿入、付加および置換のうちの1以上が導入されたアミノ酸配列を有し、前記置換を行う前のアマドリアーゼと比較して、pH7.0において60℃、30分間の熱処理後の残存活性(%)が向上しているアマドリアーゼ。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のアミノ酸配列をコードするアマドリアーゼ遺伝子。
(5)上記(4)記載のアマドリアーゼ遺伝子を含む組換えベクター。
(6)上記(5)記載の組換えベクターを含む宿主細胞。
(7)以下の工程:
(i)上記(6)記載の宿主細胞を培養する工程;
(ii)宿主細胞に含まれるアマドリアーゼ遺伝子を発現させる工程;
(iii)培養物からアマドリアーゼを単離する工程
を含むアマドリアーゼを製造する方法。
(8)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のアマドリアーゼを含む、糖化タンパク質の測定に用いるためのキット。
(9)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のアマドリアーゼを含む、糖化ヘモグロビンの測定に用いるためのキット。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、糖尿病の診断用酵素として、また、糖尿病マーカーの測定キットに有利に利用され得る熱安定性の優れたアマドリアーゼおよびそれをコードする遺伝子等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、各種公知のアマドリアーゼのアミノ酸配列のアライメントである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
(アマドリアーゼ)
アマドリアーゼは、ケトアミンオキシダーゼ、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、フルクトシルペプチドオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼ等とも称され、酸素の存在下で、イミノ2酢酸またはその誘導体(アマドリ化合物)を酸化して、グリオキシル酸またはα−ケトアルデヒド、アミノ酸またはペプチドおよび過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素のことをいう。アマドリアーゼは、自然界に広く分布しており、微生物や、動物または植物起源の酵素を探索することにより、得ることができる。微生物においては、例えば、糸状菌、酵母または細菌等から得ることができる。
【0018】
本発明のアマドリアーゼの一態様は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するConiochaeta属由来のアマドリアーゼに基づき作製された、熱安定性が向上したアマドリアーゼの変異体である。このような変異体の例としては、配列番号1と高い配列同一性(例えば、75%以上、好ましくは、80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、最も好ましくは99%以上)を有するアミノ酸配列を有するアマドリアーゼおよび配列番号1のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が改変もしくは変異、または、欠失、置換、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を有するアマドリアーゼを挙げることができる。なお、請求の範囲に記載された、熱安定性および/またはアミノ酸配列に関する条件を満たす限り、例えば、Eupenicillium属、Pyrenochaeta属、Arthrinium属、Curvularia属、Neocosmospora属、Cryptococcus属、Phaeosphaeria属、Aspergillus属、Emericella属、Ulocladium属、Penicillium属、Fusarium属、Achaetomiella属、Achaetomium属、Thielavia属、Chaetomium属、Gelasinospora属、Microascus属、Leptosphaeria属、Ophiobolus属、Pleospora属、Coniochaetidium属、Pichia属、Corynebacterium属、Agrobacterium属、Arthrobacter属のような、他の生物種に由来するアマドリアーゼに基づき作製されたものでもよい。
【0019】
熱安定性が改変されたアマドリアーゼの変異体(改変体)は、アマドリアーゼのアミノ酸配列において少なくとも1つのアミノ酸残基を置換する、または付加する、または欠失させることによって得ることができる。
熱安定性の向上をもたらすアミノ酸の置換として、配列番号1に示すアミノ酸配列における以下の位置のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸の置換が挙げられる。
(1)カルボキシル末端からの3アミノ酸残基の欠失。
(2)151位のアラニンの置換、例えば、システインへの置換。
(3)43位のフェニルアラニンの置換、例えば、チロシンへの置換。
(4)53位のヒスチジンの置換、例えば、アスパラギン、チロシンへの置換。
(5)267位のフェニルアラニンの置換、例えば、チロシンへの置換。
(6)350位のスレオニンの置換、例えば、アラニンへの置換。
(7)185位のアラニンの置換、例えば、セリンへの置換。
(8)196位のグルタミン酸の置換、例えば、アスパラギン酸への置換。
(9)299位のセリンの置換、例えば、スレオニンへの置換。
(10)323位のバリンの置換、例えば、グルタミン酸への置換。
【0020】
熱安定性が向上したアマドリアーゼの変異体は、上記アミノ酸置換や欠失を少なくとも1つ有していればよく、複数のアミノ酸置換または欠失を有していてもよい。例えば、上記アミノ酸置換または欠失の1、2、3、4、5、6、7、8、9または10を有している。
その中でも、以下のアミノ酸の位置に対応するアミノ酸の置換または欠失を有している変異体が好ましい。
(11)151位のアラニンの置換および299位のセリンの置換、例えば、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換および299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換を有する変異体。
(12)43位のフェニルアラニンの置換および151位のアラニンの置換、例えば、43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換および151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換を有する変異体。
(13)43位のフェニルアラニンの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基の欠失、例えば、43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失を有する変異体。
(14)151位のアラニンの置換、196位のグルタミン酸の置換および299位のセリンの置換、例えば、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、196位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸のアスパラギン酸への置換および299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換を有する変異体。
(15)151位のアラニンの置換、299位のセリンの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基の欠失、例えば、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失を有する変異体。
(16)43位のフェニルアラニンの置換、350位のスレオニンの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基の欠失、例えば、43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換、350位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸のアラニンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失を有する変異体。
(17)43位のフェニルアラニンの置換、151位のアラニンの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基の欠失、例えば、43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失を有する変異体。
(18)43位のフェニルアラニンの置換、151位のアラニンの置換および350位のスレオニンの置換、例えば、43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換および350位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸のアラニンへの置換を有する変異体。
(19)151位のアラニンの置換、196位のグルタミン酸の置換、299位のセリンの置換および323位のバリンの置換、例えば、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、196位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸のアスパラギン酸への置換、299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換および323位のバリンに対応する位置のアミノ酸のグルタミン酸への置換を有する変異体。
(20)151位のアラニンの置換、196位のグルタミン酸の置換、299位のセリンの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基の欠失、例えば、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、196位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸のアスパラギン酸への置換、299位のセリンに対応する位置のアミノ酸のスレオニンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失を有する変異体。
(21)43位のフェニルアラニンの置換、151位のアラニンの置換、350位のスレオニンの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基の欠失、例えば、43位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸のチロシンへの置換、151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換、350位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸のアラニンへの置換およびカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基の欠失。
【0021】
本発明の熱安定性の優れたアマドリアーゼ変異体は、配列番号1に示すアミノ酸配列において、上記の熱安定性の向上をもたらすアミノ酸の置換を有し、それらの置換アミノ酸以外の位置で、さらに1または数個(例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個、特に好ましくは1個)のアミノ酸が欠失、挿入、付加および/または置換されたアミノ酸配列からなり、アマドリアーゼ活性を有し、熱安定性が向上したアマドリアーゼ変異体を包含する。さらに、上記の熱安定性の向上をもたらすアミノ酸の置換変異、基質特異性等、熱安定性以外の性質を向上させるアミノ酸の置換変異を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列における前記置換したアミノ酸以外のアミノ酸を除いた部分のアミノ酸配列に対して、90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、アマドリアーゼ活性を有し、熱安定性が改変されたアマドリアーゼ変異体を包含する。
【0022】
なお、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するアマドリアーゼは、特許文献16においてpKK223−3−CFP−T9と称する組換え体プラスミドを保持する大腸菌が生産するConiochaeta属由来のアマドリアーゼ(CFP−T9)であり、先に出願人が見出した熱安定性の優れた改変型アマドリアーゼである。このCFP−T9は、天然型のConiochaeta属由来のアマドリアーゼに対し、184位、265位、272位、302位および388位に人為的な変異を順次導入することにより獲得した5重変異体である。
【0023】
CFP−T9は、既存の各種アマドリアーゼと比較して非常に高い耐熱性を有しているため、出願人は、さらに優れた耐熱性を有するアマドリアーゼを取得するための改変元酵素の例としてCFP−T9が好適であると考え、これを用いて変異点の探索を開始した。このような新規な変異点に関する情報は、各種のアマドリアーゼに耐熱性を付与するための手引きとなる価値を有する。CFP−T9のように既に多数の耐熱性向上等に関する変異点を具備した特定の変異体に追加的に導入される場合であれ、特段に人為的な変異を導入していない天然型酵素に対して導入される場合であれ、変異を導入する前と比較してその耐熱性が向上している限り、本発明の変異を導入した際に熱安定性が向上した改変後のアマドリアーゼは、本発明に包含される。
【0024】
上記のアミノ酸置換において、アミノ酸の位置は配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列における位置を表しているが、他の生物種由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列においては、配列番号1に示されるアミノ酸配列における位置に対応する位置のアミノ酸が置換されている。「対応する位置」の意味については後述する。
【0025】
(アマドリアーゼをコードする遺伝子の取得)
これらのアマドリアーゼをコードする本発明の遺伝子(以下、単に「アマドリアーゼ遺伝子」ともいう。)を得るには、通常一般的に用いられている遺伝子のクローニング方法が用いられる。例えば、アマドリアーゼ生産能を有する微生物菌体や種々の細胞から常法、例えば、Current Protocols in Molecular Biology (WILEY Interscience,1989)記載の方法により、染色体DNAまたはmRNAを抽出することができる。さらにmRNAを鋳型としてcDNAを合成することができる。このようにして得られた染色体DNAまたはcDNAを用いて、染色体DNAまたはcDNAのライブラリーを作製することができる。
【0026】
次いで、上記アマドリアーゼのアミノ酸配列に基づき、適当なプローブDNAを合成して、これを用いて染色体DNAまたはcDNAのライブラリーからアマドリアーゼ遺伝子を選抜する方法、あるいは、上記アミノ酸配列に基づき、適当なプライマーDNAを作製して、5’RACE法や3’RACE法などの適当なポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)により、アマドリアーゼをコードする目的の遺伝子断片を含むDNAを増幅させ、これらのDNA断片を連結させて、目的のアマドリアーゼ遺伝子の全長を含むDNAを得ることができる。
【0027】
このようにして得られたアマドリアーゼをコードする遺伝子の好ましい一例として、Coniochaeta属由来のアマドリアーゼ遺伝子(特許文献8、16)の例などが挙げられる。
【0028】
これらのアマドリアーゼ遺伝子は、常法通り各種ベクターに連結されていることが、取扱い上好ましい。例えば、Coniochaeta sp. NISL 9330株由来のアマドリアーゼ遺伝子をコードするDNAがpKK223−3 Vector(アマシャム・バイオテク社製)に挿入された組換え体プラスミドpKK223−3−CFP(特許文献8)が挙げられる。
【0029】
(ベクター)
本発明において用いることのできるベクターとしては、上記プラスミドに限定されることなくそれ以外の、例えば、バクテリオファージ、コスミド等の当業者に公知の任意のベクターを用いることができる。具体的には、例えば、pBluescriptII SK+(STRATAGENE社製)等が好ましい。
【0030】
(アマドリアーゼ遺伝子の変異処理)
アマドリアーゼ遺伝子の変異処理は、企図する変異形態に応じた、公知の任意の方法で行うことができる。すなわち、アマドリアーゼ遺伝子あるいは当該遺伝子の組み込まれた組換え体DNAと変異原となる薬剤とを接触・作用させる方法;紫外線照射法;遺伝子工学的手法;またはタンパク質工学的手法を駆使する方法等を広く用いることができる。
上記変異処理に用いられる変異原となる薬剤としては、例えば、ヒドロキシルアミン、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、亜硝酸、亜硫酸、ヒドラジン、蟻酸または5−ブロモウラシル等を挙げることができる。
上記接触・作用の諸条件は、用いる薬剤の種類等に応じた条件をとることが可能であり、現実に所望の変異をアマドリアーゼ遺伝子において惹起することができる限り特に限定されない。通常、好ましくは0.5〜12Mの上記薬剤濃度において、20〜80℃の反応温度下で10分間以上、好ましくは10〜180分間接触・作用させることで、所望の変異を惹起可能である。紫外線照射を行う場合においても、上記の通り常法に従い行うことができる(現代化学、p24〜30、1989年6月号)。
【0031】
タンパク質工学的手法を駆使する方法としては、一般的に、Site−Specific Mutagenesisとして知られる手法を用いることができる。例えば、Kramer法 (Nucleic Acids Res.,12,9441(1984):Methods Enzymol.,154,350(1987):Gene,37,73(1985))、Eckstein法(Nucleic Acids Res.,13,8749(1985):Nucleic Acids Res.,13,8765(1985):Nucleic Acids Res,14,9679(1986))、Kunkel法(Proc. Natl. Acid. Sci. U.S.A.,82,488(1985):Methods Enzymol.,154,367(1987))等が挙げられる。DNA中の塩基配列を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(Transformer Mutagenesis Kit;Clonetech社, EXOIII/Mung Bean Deletion Kit;Stratagene製, Quick Change Site Directed Mutagenesis Kit;Stratagene製など)の利用が挙げられる。
【0032】
また、一般的なPCR法(ポリメラーゼチェインリアクション、Polymerase Chain Reaction)として知られる手法を用いることもできる(Technique,1,11(1989))。なお、上記遺伝子改変法の他に、有機合成法または酵素合成法により、直接所望の改変アマドリアーゼ遺伝子を合成することもできる。
【0033】
上記方法により得られるアマドリアーゼ遺伝子のDNA塩基配列の決定もしくは確認を行う場合には、例えば、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)等を用いることにより行うことができる。
【0034】
(形質転換・形質導入)
上述の如くして得られたアマドリアーゼ遺伝子を、常法により、バクテリオファージ、コスミド、または原核細胞もしくは真核細胞の形質転換に用いられるプラスミド等のベクターに組み込み、各々のベクターに対応する宿主を常法により、形質転換または形質導入をすることができる。例えば、得られた組換え体DNAを用いて、任意の宿主、例えば、エッシェリシア属に属する微生物、具体例としては大腸菌K−12株、好ましくは大腸菌JM109株、大腸菌DH5α株(ともにタカラバイオ社製)や大腸菌B株、好ましくは大腸菌SHuffle株(NEW ENGLAND BioLabs社製)、大腸菌BL21株(ニッポンジーン社製)等を形質転換またはそれらに形質導入してそれぞれの菌株を得ることができる。
【0035】
取得した形質転換体から、熱安定性が向上したアマドリアーゼの生産株を選抜するためには任意の方法を用いればよいが、例えば、次のような方法を用いることができる。まず、得られた上記形質転換体がコロニーを形成したLB寒天培地から滅菌したビロード生地等で新しい寒天培地にレプリカを数枚とり、培養する。レプリカをとった寒天培地のコロニーが十分な大きさになったら、リゾチームなどの溶菌剤に浸した膜を培地に重ね、37℃で、1時間ほど静置し、溶菌させる。このとき溶菌した粗酵素液が膜に吸着する。
【0036】
上述のように粗酵素液を吸着させた膜を、熱安定性を評価する適当な温度条件、例えば、55℃の条件で30分間静置した後、基質であるフルクトシルバリン、パーオキシダーゼ、TOOS、4−アミノアンチピリンを含む0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に浸した膜と重ね合わせ、紫色の発色の度合を観察する。改変前のアマドリアーゼ生産株についても同様の工程で発色試験を行い、その比較により目的とする形質転換体を選抜する。改変前のアマドリアーゼが顕著に失活するような温度条件を選択して熱処理を行うことにより、改変前のアマドリアーゼ生産株のコロニーの発色度合は低くなる。これと比較して発色度合が高いコロニーを選抜することにより、熱安定性が向上した改変型アマドリアーゼを生産するコロニーを選抜することができる。
【0037】
必要により、上述のようにして得た熱安定が向上したアマドリアーゼを生産する形質転換体を用い、上記に示した改変方法により、さらに変異導入を繰り返すことにより、さらに熱安定性の優れた変異型アマドリアーゼおよびその生産能を有する形質転換体を得ることもできる。
【0038】
例えば、このようにして得られた熱安定性の優れたアマドリアーゼを生産する形質転換体の一例として、pH7.0において55℃、30分間または60℃、30分間の熱処理後の残存活性(%)が向上したアマドリアーゼを生産する微生物としては、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T11)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T12)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T13)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T14)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T15)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T16)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T17)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T18)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T19)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T20)株、(pKK223−3−CFP−T21)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T22)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T23)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T24)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T25)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T26)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T27)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T28)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T29)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T30)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T31)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T32)株を挙げることができる。
【0039】
(アミノ酸配列の相同性)
アミノ酸配列の相同性は、GENETYX−Mac(Software Development社製)のマキシマムマッチングやサーチホモロジー等のプログラムまたはDNASIS Pro(日立ソフト社製)のマキシマムマッチングやマルチプルアライメント等のプログラムにより計算することができる。
【0040】
(アミノ酸に対応する位置の特定)
「アミノ酸に対応する位置」とは、配列番号1に示すConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列の特定の位置のアミノ酸に対応する他の生物種由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列における位置をいう。
「アミノ酸に対応する位置」を特定する方法としては、例えばリップマン−パーソン法等の公知のアルゴリズムを用いてアミノ酸配列を比較し、各アマドリアーゼのアミノ酸配列中に存在する保存アミノ酸残基に最大の相同性を与えることにより行うことができる。アマドリアーゼのアミノ酸配列をこのような方法で整列させることにより、アミノ酸配列中にある挿入、欠失にかかわらず、相同アミノ酸残基の各アマドリアーゼ配列における配列中の位置を決めることが可能である。相同位置は、三次元構造中で同位置に存在すると考えられ、対象となるアマドリアーゼの特異的機能に関して類似した効果を有することが推定できる。
【0041】
図1に種々の公知の生物種由来のアマドリアーゼの配列を例示する。配列番号1で示されるアミノ酸配列を最上段に示す。図1に示される各種配列は、いずれも配列番号1の配列と75%以上の相同性を有し、公知のアルゴリズムを用いて整列させた。図中に、本発明の変異体における変異点を示す。図1からConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列の特定の位置のアミノ酸に対応する他の生物種由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列における位置を知ることができる。図1には、Coniochaeta属由来のアマドリアーゼ(配列番号1)、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ(配列番号16)、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ(配列番号26)、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼ(配列番号27)、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ(配列番号28)、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼ(配列番号29)、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(配列番号30)、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ(配列番号20)、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(配列番号31)、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(配列番号32)およびPenicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(配列番号33)のアミノ酸配列を示してある。
【0042】
(置換箇所に対応する位置)
なお、本発明において、「配列番号1記載のアミノ酸配列の43位のフェニルアラニンに対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの43位のフェニルアラニンに対応するアミノ酸を意味するものである。これにより、上記の「相当する位置のアミノ酸残基」を特定する方法でアミノ酸配列を整列させた図1により特定することができる。
【0043】
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは43位のチロシン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは43位のチロシン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは43位のチロシン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは43位のチロシン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは43位のチロシン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは43位のチロシン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは43位のチロシン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは42位のシステイン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは43位のチロシン、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは43位のチロシンである。
【0044】
また、「配列番号1記載のアマドリアーゼの53位のヒスチジンに対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1記載のアミノ酸配列の53位のヒスチジンに対応するアミノ酸を意味するものである。これも上記の方法でアミノ酸配列を整列させた図1より特定することができる。
【0045】
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは53位のヒスチジン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは53位のアスパラギン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは53位のアスパラギン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは53位のアスパラギン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは53位のアスパラギン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは53位のアスパラギン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは53位のアスパラギン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは52位のチロシン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは53位のアスパラギン、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは53位のチロシンである。
【0046】
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の151位のアラニンに対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの151位のアラニンに対応するアミノ酸を意味するものである。これも上記の方法でアミノ酸配列を整列させた図1より特定することができる。
【0047】
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは151位のグリシン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは151位のアラニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは151位のアラニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは151位のアラニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは151位のアラニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは151位のアラニン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは149位のアラニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは150位のグリシン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは151位のアラニン、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは151位のグリシンである。
【0048】
また、「配列番号1記載のアマドリアーゼの185位のアラニンに対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1記載のアミノ酸配列の185位のアラニンに対応するアミノ酸を意味するものである。これも上記の方法でアミノ酸配列を整列させた図1より特定することができる。
【0049】
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは185位のアラニン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは185位のアラニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは185位のアラニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは185位のアラニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは185位のアラニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは185位のアラニン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは183位のアラニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは184位のアラニン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは185位のアラニン、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは185位のアラニンである。
【0050】
また、「配列番号1記載のアマドリアーゼの196位のグルタミン酸に対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1記載のアミノ酸配列の196位のグルタミン酸に対応するアミノ酸を意味するものである。これも上記の方法でアミノ酸配列を整列させた図1より特定することができる。
【0051】
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは196位のアスパラギン酸、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは196位のグリシン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは196位のアスパラギン酸、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは196位のグリシン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは196位のアスパラギン酸、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは196位のアスパラギン酸、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは194位のグリシン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは195位のアラニン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは196位のグリシン、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは196位のアスパラギン酸である。
【0052】
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の267位のフェニルアラニンに対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの267位のフェニルアラニンに対応するアミノ酸を意味するものである。これも上記の方法でアミノ酸配列を整列させた図1より特定することができる。
【0053】
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは267位のフェニルアラニン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは265位のフェニルアラニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは267位のフェニルアラニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは265位のフェニルアラニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは267位のフェニルアラニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは267位のフェニルアラニン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは263位のフェニルアラニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは267位のフェニルアラニン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは265位のフェニルアラニン、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは267位のフェニルアラニンである。
【0054】
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の299位のセリンに対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの299位のセリンに対応するアミノ酸を意味するものである。これも上記の方法でアミノ酸配列を整列させた図1より特定することができる。
【0055】
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは299位のセリン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは297位のアラニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは300位のアラニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは297位のアラニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは299位のアラニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは299位のセリン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは295位のアラニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは299位のアラニン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは297位のアラニン、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは299位のセリンである。
【0056】
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の323位のバリンに対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの323位のバリンに対応するアミノ酸を意味するものである。これも上記の方法でアミノ酸配列を整列させた図1より特定することができる。
【0057】
すなわちEupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは323位のバリン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは321位のアラニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは324位のグルタミン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは321位のリジン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは323位のグルタミン酸、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは323位のアラニン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは319位のバリン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは323位のバリン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは321位のバリン、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは323位のグルタミン酸である。
【0058】
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の350位のスレオニンに対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの350位のスレオニンに対応するアミノ酸を意味するものである。これも上記の方法でアミノ酸配列を整列させた図1より特定することができる。
【0059】
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは350位のスレオニン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは348位のスレオニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは351位のスレオニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは348位のスレオニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは350位のスレオニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは350位のスレオニン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは346位のスレオニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは350位のスレオニン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは348位のスレオニン、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは350位のスレオニンである。
【0060】
(カルボキシル末端の欠失箇所に対応する位置)
「配列番号1記載のアマドリアーゼのカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1記載のアミノ酸配列のカルボキシル末端からの3アミノ酸残基を意味するものである。Coniochaeta属由来のアマドリアーゼにおける、この位置の3残基の配列は、435位のプロリン、436位のリジンおよび437位のロイシンからなり、これらに対応する位置のアミノ酸配列も、上記の方法でアミノ酸配列を整列させた図1より特定することができる。
【0061】
すなわちEupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼではカルボキシル末端の3アミノ酸が435位のアラニン、436位のヒスチジンおよび437位のロイシンからなり、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼではカルボキシル末端の3アミノ酸が438位のアラニン、439位のリジンおよび440位のロイシンからなり、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼではカルボキシル末端の3アミノ酸が450位のヒスチジン、451位のリジンおよび452位のロイシンからなり、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼではカルボキシル末端の3アミノ酸が438位のセリン、439位のリジンおよび440位のロイシンからなり、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼではカルボキシル末端の3アミノ酸が435位のアラニン、436位のアスパラギンおよび437位のロイシンからなり、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼではカルボキシル末端の3アミノ酸が436位のアラニン、437位のリジンおよび438位のメチオニンからなり、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼではカルボキシル末端の3アミノ酸が439位のアラニン、440位のリジンおよび441位のロイシンからなり、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼではカルボキシル末端の3アミノ酸が435位のアラニン、436位のリジンおよび437位のロイシンからなっている。
【0062】
なお、真核生物においては、タンパク質をペルオキシソームへ輸送するためのシグナル配列であり、カルボキシル末端の3アミノ酸から構成されるモチーフである「ペルオキシソーム移行シグナル(Peroxisome Targeting Signal1;PTS1)配列」が知られている。よく知られた公知のPTS1モチーフとしては、(プロリン/セリン/アラニン/システイン)−(リジン/ヒスチジン/アルギニン/アスパラギン)−(ロイシン/メチオニン)配列からなるモチーフがある(例えば、FEBS J., 272, 2362(2005)、Plant Cell Physiol., 38, 759 (1997), Eur. j. Cell Biol.,71, 248 (1996)参照。)。具体的な検証までは行っていないが、この知見に基づけば、熱安定性向上に寄与する本発明の変異箇所のひとつである「配列番号1記載のアミノ酸配列のカルボキシル末端からの3アミノ酸残基に対応する位置」の領域が、アマドリアーゼにおけるいわゆるPTS1モチーフの領域に相当している可能性も示唆され得る。
【0063】
(本発明のアマドリアーゼの生産)
上記のようにして得られた熱安定性の優れたアマドリアーゼの生産能を有する菌株を用いて、当該アマドリアーゼを生産するには、この菌株を通常の固体培養法で培養してもよいが、可能な限り液体培養法を採用して培養するのが好ましい。
【0064】
また、上記菌株を培養する培地としては、例えば、酵母エキス、トリプトン、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーまたは大豆もしくは小麦ふすまの浸出液等の1種以上の窒素源に、塩化ナトリウム、リン酸第1カリウム、リン酸第2カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化第2鉄、硫酸第2鉄または硫酸マンガン等の無機塩類の1種以上を添加し、さらに必要により糖質原料、ビタミン等を適宜添加したものが用いられる。
なお、培地の初発pHは、pH7〜9に調整するのが適当である。
また、培養は任意の条件を用いることができるが、例えば、20〜42℃の培養温度、好ましくは37℃前後の培養温度で4〜24時間、さらに好ましくは37℃前後の培養温度で4〜8時間、通気攪拌深部培養、振盪培養、静置培養等により実施することができる。
【0065】
培養終了後、該培養物よりアマドリアーゼを採取するには、通常の酵素採取手段を用いて得ることができる。例えば、常法により菌体を、超音波破壊処理、磨砕処理等するか、またはリゾチーム等の溶菌酵素を用いて本酵素を抽出するか、またはトルエン等の存在下で振盪もしくは放置して溶菌を行わせ、本酵素を菌体外に排出させることができる。そして、この溶液を濾過、遠心分離等して固形部分を除去し、必要によりストレプトマイシン硫酸塩、プロタミン硫酸塩または硫酸マンガン等により核酸を除去したのち、これに硫安、アルコール、アセトン等を添加して分画し、沈澱物を採取し、アマドリアーゼの粗酵素を得る。
【0066】
(本発明のアマドリアーゼにおける熱安定性の向上)
上記のような手段で得られる本発明のアマドリアーゼは、遺伝子改変等により、そのアミノ酸配列に変異を生じた結果、改変前のものと比較して熱安定性が向上していることを特徴とする。具体的には、改変前のものと比較して、本明細書中に記載の活性測定方法および熱安定性評価方法に記載した反応条件下で、所定の熱処理、例えば、「55℃、30分間」あるいは「60℃、30分間」等の熱処理後の残存活性(%)が、本発明の変異を導入する前と比較して向上していることを特徴とする。
【0067】
残存活性(%)の向上度合は限定されないが、例えば、本発明の変異を導入する前後の残存活性(%)同士の数値比較において3%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、最も好ましくは40%以上向上しているアマドリアーゼが本発明に包含される。あるいは、本発明の変異を導入後の残存活性(%)を本発明の変異を導入前の残存活性(%)で割ることにより得られる値(残存活性比率)が、1より大きい、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは50以上であるアマドリアーゼが本発明に包含される。
【0068】
実際には、測定時の温度条件に加えて、変異導入前のアマドリアーゼの熱安定性の程度によっても相対的な評価結果は異なってくるため、残存活性(%)や残存活性比率数値の大小のみを比較して、各変異体の絶対的な熱安定性を評価することは難しい。本発明のアマドリアーゼの選抜を容易にする意図から変異導入前のアマドリアーゼの残存活性(%)が十分に低く算出される加温条件を選択することにより、一般的には、残存活性(%)の向上度合および残存活性比率が高く算出される傾向を有する。
【0069】
例えば、本発明に包含される、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T11)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T12)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T13)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T14)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T15)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T16)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T17)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T18)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T19)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T20)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T21)株が生産する本発明のアマドリアーゼを、pH7.0において55℃、50分間の熱処理に供したときには、本発明の変異を導入する前のアマドリアーゼであるCFP−T9の残存活性が約53%であるのに対し、55%を上回り、より高いものでは60%を上回り、さらにより高いものでは80%を上回る残存活性を示す。また、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T22)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T23)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T24)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T25)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T26)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T27)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T28)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T29)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T30)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T31)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T32)株が生産する本発明のアマドリアーゼを、pH7.0において60℃、30分間の熱処理に供したときには、本発明の変異を導入する前のアマドリアーゼであるCFP−T9の残存活性が約0.34%であるのに対し、2%を上回り、より高いものでは20%を上回り、さらにより高いものでは30%を上回り、さらにより高いものでは40%を上回り、さらにより高いものでは50%を上回り、さらにより高いものでは60%を上回る残存活性を示す。このように熱安定性が向上したアマドリアーゼは、該酵素含有製品等における保存性が著しく向上し、また、製造工程において熱にさらされた場合にも安定であるため、産業上非常に有利である。
【0070】
(アマドリアーゼ活性の測定方法)
アマドリアーゼの活性の測定方法としては、種々の方法を用いることができるが、一例として、以下に、本発明で用いるアマドリアーゼ活性の測定方法について説明する。
【0071】
(アマドリアーゼ活性の測定方法)
本発明におけるアマドリアーゼの酵素活性の測定方法としては、酵素の反応により生成する過酸化水素量を測定する方法や酵素反応により消費する酸素量を測定する方法などが主な測定方法として挙げられる。以下に、一例として、過酸化水素量を測定する方法について示す。
【0072】
以下、本発明におけるアマドリアーゼの活性測定には、断りのない限り、フルクトシルバリンを基質として用いる。なお、酵素力価は、フルクトシルバリンを基質として測定したとき、1分間に1μmolの過酸化水素を生成する酵素量を1Uと定義する。
フルクトシルバリン等の糖化アミノ酸、およびフルクトシルバリルヒスチジン等の糖化ペプチドは、阪上らの方法に基づき合成、精製することができる(特許文献3参照)。
【0073】
A.試薬の調製
(1)試薬1:POD−4−AA溶液
4.0kUのパーオキシダーゼ(キッコーマン社製)、100mgの4−アミノアンチピリン(東京化成社製)を0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に溶解し、1Lに定容する。
(2)試薬2:TOOS溶液
500mgのTOOS(同仁化学社製)をイオン交換水に溶解し、100mlに定容する。
(3)試薬3:基質溶液(150mM;終濃度 5mM)
フルクトシルバリン417mgをイオン交換水に溶解して10mlに定容する。
【0074】
B.測定法
2.7mlの試薬1,100μlの試薬2、および100μlの酵素液を混和し、37℃で5分間予備加温する。その後、試薬3を100μl加えてよく混ぜた後、分光光度計(U−3010、日立ハイテクノロジーズ社製)により、555nmにおける吸光度を測定する。測定値は、555nmにおける1分後から3分後の1分間あたりの吸光度変化とする。なお対照液は、100μlの試薬3の代わりに100μlのイオン交換水を加える以外は前記と同様に調製する。37℃、1分当たりに生成される過酸化水素のマイクロモル数を酵素液中の活性単位(U)とし、下記の式に従って算出する。
活性(U/ml)= {(ΔAs−ΔA0)×3.0×df}÷(39.2×0.5×0.1)
ΔAs : 反応液の1分間あたりの吸光度変化
ΔA0 : 対照液の1分間あたりの吸光度変化
39.2: 反応により生成されるキノンイミン色素のミリモル吸光係数(mM−1・cm−1
0.5 : 1molの過酸化水素による生成されるキノンイミン色素のmol数
df : 希釈係数
【0075】
(熱安定性測定方法)
アマドリアーゼ粗酵素液、またはアマドリアーゼ精製標品を約0.5U/mlとなるように、10% キシリトールを含む0.1M リン酸緩衝液(pH7.0)で希釈し、55℃にて30分間加温する。上述のB.の方法を用いて加熱前と加熱後のサンプルの酵素活性を測定し、加熱前の活性を100とした場合の残加熱後の活性の割合、すなわち、残存活性(%)を求めることにより、熱安定性を評価する。
【0076】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0077】
(1)組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAの調製
CFP−T9遺伝子(配列番号2)を含む組換え体プラスミドを有する大腸菌JM109(pKK223−3−CFP−T9)株(特許文献16参照)を、LB−amp培地[1%(W/V) バクトトリプトン、0.5%(W/V) ペプトン、0.5%(W/V) NaCl、50μg/ml Ampicilin]100mlに接種して、37℃で20時間振とう培養し、培養物を得た。
この培養物を7,000rpmで、5分間遠心分離することにより集菌して菌体を得た。次いで、この菌体よりQIAGEN tip−100(キアゲン社製)を用いて組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9を抽出して精製し、組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9のDNA100μgを得た。
【0078】
(2)組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAの改変操作
上記組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNA100μgのうち、20μgを用いて、大腸菌XL1−Red(STRATAGENE社製)(増殖の際、プラスミドの複製にエラーを起こしやすく、改変を生じやすい)をD.M.Morrisonの方法(Method in Enzymology,68,326〜331,1979)に従って形質転換し、約15,000株の形質転換株を得た。
【0079】
上記の形質転換体の全コロニーからプラスミドDNAを回収するために、上記形質転換体を生育させた寒天培地上に適量のQIAGEN sol I(キアゲン社製)を加え、スプレッダーを用いてQIAGEN sol Iとともにコロニーを掻き集め、ピペットマンで溶液を回収し、以降は定法に従いプラスミド回収を行って、改変操作を加えた組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9のDNAを100μg得た。そのプラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAの20μgを用いて、D.M.Morrisonの方法(Method in Enzymology,68,326〜331,1979)に従って大腸菌JM109株を形質転換し、約3,000株の改変を受けたプラスミドを保有する形質転換株を得た。
【0080】
(3)熱安定性に優れたアマドリアーゼの探索
まず、得られた上記形質転換体の全てを、ビロード生地を用いて新しいLB−amp寒天培地にレプリカした。レプリカプレート上のコロニーをHybond−N+(Amersham社製)に転写し、BugBuster Protein Extraction Reagent(Novagen社製)に浸した。このHybond−N+を55℃で1時間処理した後、2mM フルクトシルバリン、4U/ml パーオキシダーゼ(キッコーマン社製)、1mg/ml 4−アミノアンチピリン(東京化成社製)、10mg/ml TOOS(同仁化学社製)を含む0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に浸したところ、少数の強い発色を示す株が認められた。
この強い発色に相当するコロニーをマスタープレート上より選択し、2mlのLB−amp培地で液体培養することにより、プラスミドにコードされる改変アマドリアーゼを生産させた。
【0081】
培養後、得られた各菌体を0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)で洗浄、超音波破砕、15,000rpmで10分間遠心分離を行うことにより、各粗酵素液1.5mlを調製した。この粗酵素液を用いて、上記の(熱安定性測定方法)に従い、改変アマドリアーゼにおける残存活性(%)(処理後の活性/未処理の活性)を算出した。
【0082】
一方、改変前のアマドリアーゼ(CFP−T9)を生産する大腸菌JM109(pKK223−3−CFP−T9)株を同様に培養、抽出、熱処理、活性測定に供してを残存活性(%)を算出し、改変アマドリアーゼにおける残存活性(%)と比較することにより、活性残存率が向上した改変された8つのアマドリアーゼとその生産大腸菌を得ることができた。
得られた8株をLB−amp培地2ml中、37℃で18時間振盪培養し、この培養液からQIAGEN tip−100(キアゲン社製)を用いてプラスミドを単離した。該プラスミドをそれぞれpKK223−3−CFP−T11、pKK223−3−CFP−T12、pKK223−3−CFP−T13、pKK223−3−CFP−T14、pKK223−3−CFP−T15、pKK223−3−CFP−T17、pKK223−3−CFP−T18、pKK223−3−CFP−T19と命名し、各プラスミド中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列を、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)を用いて決定した。
その結果、pKK223−3−CFP−T11中には、配列番号1記載のアミノ酸配列の196番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に、pKK223−3−CFP−T12には、配列番号1記載のアミノ酸配列の299番目のセリンがスレオニンに、pKK223−3−CFP−T13には、配列番号1記載のアミノ酸配列の323番目のバリンがグルタミン酸に、pKK223−3−CFP−T14中には、配列番号1記載のアミノ酸配列の43番目のフェニルアラニンがチロシンに、pKK223−3−CFP−T15には、配列番号1記載のアミノ酸配列の53番目のヒスチジンがアスパラギンに、pKK223−3−CFP−T17には、配列番号1記載のアミノ酸配列の185番目のアラニンがセリンに、pKK223−3−CFP−T18には、配列番号1記載のアミノ酸配列の267番目のフェニルアラニンがチロシンに、pKK223−3−CFP−T19には、配列番号1記載のアミノ酸配列の350番目のスレオニンがアラニンに置換する変異が導入されていることが明らかとなった。
【0083】
(53位のヒスチジンの点変異試験)
特許文献17によると配列番号1記載のアミノ酸配列の53位のヒスチジンに対応する位置であるAspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼにおける52位のチロシンをヒスチジンへ置換すると耐熱性が向上すると示されている。そこで、CFP−T9においても同様の効果があるか検証するために、配列番号1記載のアミノ酸配列の53位のヒスチジンをチロシンへ置換したアマドリアーゼの作製を試みた。組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAを鋳型として、CFP−T9の53位のヒスチジンをチロシンに置換することを意図して、配列番号3、4のDNA配列よりなるプライマーを、常法により合成した。次に、上記で得た組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9のDNAを鋳型として、配列番号3、4のプライマー、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
すなわち、10×KOD−Plus−緩衝液を5μl、dNTPが各2mMになるよう調製されたdNTPs混合溶液を5μl、25mMのMgSO溶液を2μl、鋳型となるpKK223−3−CFP−T9 DNAを50ng、上記合成オリゴヌクレオチドをそれぞれ15pmol、KOD−Plus−を1Unit加えて、滅菌水により全量を50μlとした。調製した反応液をサーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用いて、94℃で2分間インキュベートし、続いて、「94℃、15秒」−「50℃、30秒」−「68℃、6分」のサイクルを30回繰り返した。
【0084】
反応液の一部を1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約6,000bpのDNAが特異的に増幅されていることを確認した。こうして得られたDNAを制限酵素DpnI(New England Biolabs社製)で処理し、残存している鋳型DNAを切断した後、大腸菌JM109を形質転換し、LB−amp寒天培地に展開した。生育したコロニーをLB−amp培地に接種して振とう培養し、上記(1)と同様の方法でプラスミドDNAを単離した。該プラスミド中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列を、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)を用いて決定し、配列番号1記載のアミノ酸配列の53位のヒスチジンがチロシンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T16)を得た。
【0085】
(4)公知酵素の構造情報に基づくpKK223−3−CFP−T9 DNAの改変(分子内架橋作製を意図した改変)
タンパク質の熱安定性を向上させるひとつの手法として、タンパク質分子内に新規のジスルフィド結合を構築させる手法が知られている(例えば、Science 226,555−557,1984参照)。そこで、CFP−T9タンパク質分子内に新たにジスルフィド結合を構築することを意図し、そのための参考情報を得る目的で、既に結晶構造が報告されているタンパク質の中で、CFP−T9と最もアミノ酸配列の相同性が高いAmadoriase IIの立体構造(例えば、J.Biol.Chem. 283,27007−27016,2008参照)を参考にして、CFP−T9の立体構造に関する予測を行うことを試みた。なお、Amadoriase IIとCFP−T9は、アミノ酸配列において34%の同一性を有している。
【0086】
まず、WEB上のマルチプルアライメントプログラムClustalW(http://www.genome.jp/tools/clustalw/)を利用して、CFP−T9(配列番号1)とAmadoriase II(配列番号15)のアミノ酸配列のアラインメントを行い、CFP−T9に含まれる各システイン残基がAmadoriase IIのアミノ酸配列ではどのアミノ酸残基に対応するか同定した。その結果、CFP−T9の97位、200位、234位、235位、280位、347位、349位、360位のシステインに対応するアミノ酸残基は、Amadoriase IIのアミノ酸配列においては、それぞれ、99位のセリン、197位のバリン、231位のロイシン、232位のアルギニン、278位のシステイン、335位のシステイン、337位のシステインおよび348位のアスパラギン酸であった。
【0087】
続いて、Protein Data Bank(http://www.pdb.org/pdb/home/home.do)より、Amadoriase IIの結晶構造情報が記載されたPDBファイル(PDB ID:3DJD)をダウンロードし、立体構造表示ソフトPyMOL 0.99rc6(DeLano Scientific社)にてAmadoriase IIの結晶構造を表示させた。続いて、PyMOL 0.99rc6上で、99位のセリン、197位のバリン、231位のロイシン、232位のアルギニンおよび348位のアスパラギン酸をシステインに置換して表示させ、278位のシステイン、335位のシステイン、337位のシステインも含めた8ヶ所の各システイン残基が分子内ジスルフィド結合を形成する可能性を調査した。その結果、99位のセリン、および148位のグリシンをシステインに置換した場合に、また、348位のアスパラギン酸および358位のロイシンをシステインに置換した場合に、両残基の間にジスルフィド結合が形成される可能性が示唆された。また、148位のグリシンは、先述のCFP−T9とAmadoriase IIのアミノ酸配列のアラインメントの結果より、CFP−T9では151位のアラニンに対応し、358位のロイシンはCFP−T9では370位のロイシンに対応していた。
【0088】
上記の情報を参考に、新規ジスルフィド結合の形成によるCFP−T9の熱安定性向上を狙い、CFP−T9の151位のアラニンをシステインに置換することを意図して、配列番号5、6のDNA配列よりなるプライマーを、常法により合成した。次に、上記で得た組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9のDNAを鋳型として、配列番号5、6のプライマー、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換および生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の151位のアラニンがシステインに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T20)を得た。
【0089】
(5)公知酵素の配列情報に基づくpKK223−3−CFP−T9 DNAの改変(PTS1配列様のカルボキシル末端における3アミノ酸の欠失を意図した改変)
Coniochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列のカルボキシル末端からの3アミノ酸残基の配列は、435位のプロリン、436位のリジンおよび437位のロイシンからなる。公知の情報を参考にすれば、この配列は、真核生物においてタンパク質をペルオキシソームへ輸送するためのシグナル配列であり、カルボキシル末端の3アミノ酸から構成されるモチーフであるPTS1に相当する可能性が示唆される。CFP−T9においてもこの配列が存在しており、この領域がPTS1に相当する可能性も示唆され得る。
【0090】
いわゆるPTS1配列を欠失させることと、生産されるタンパク質の熱安定性が向上することとの直接的な関連性を示す知見はこれまで全く知られていない。一方、もしこのアマドリアーゼのカルボキシル末端領域に存在する配列がアマドリアーゼにおけるシグナル配列であるPTS1配列に相当するものであるとすれば、大腸菌組換え体において発現させるにあたってこのシグナル配列を欠失させた場合でも、アマドリアーゼタンパク質としての発現には何ら悪影響を与えることはないのではないかと予測し、そのような見込みから、この領域を削除した変異体を作製することを試みた。具体的には、配列番号7、8のDNA配列よりなるプライマーを、常法により合成した。次に、上記で得た組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9のDNAを鋳型として、配列番号7、8のプライマー、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換および生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列のカルボキシル末端からの3アミノ酸残基であるプロリン、リジン、ロイシンが欠失された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T21)を得た。
【0091】
上述のようにして得られた各組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T11、pKK223−3−CFP−T12、pKK223−3−CFP−T13、pKK223−3−CFP−T14、pKK223−3−CFP−T15、pKK223−3−CFP−T16、pKK223−3−CFP−T17、pKK223−3−CFP−T18、pKK223−3−CFP−T19、pKK223−3−CFP−T20、pKK223−3−CFP−T21を用いて、大腸菌SHuffle株を形質転換した。
【0092】
(6)各種改変型アマドリアーゼの生産
得られた大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T11)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T12)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T13)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T14)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T15)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T16)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T17)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T18)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T19)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T20)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T21)株を、LB−amp培地で30℃、20時間培養した。その後、各菌体をpH8.0の0.1Mリン酸緩衝液で洗浄、超音波破砕、15,000rpmで10分間遠心分離し、各粗酵素液1.5mlを調製した。
【0093】
(7)各種改変型アマドリアーゼの熱安定性評価
このようにして調製した各粗酵素液をサンプルとし、上記の熱安定性測定法に従って、各種改変型アマドリアーゼの熱安定性評価を行った。結果を表1に示す。表1において、CFP−T9は、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T9)株由来のアマドリアーゼを示す。なお、本実施例では大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T9)株由来のアマドリアーゼであるCFP−T9を変異元酵素としたため、表中に記載の「アミノ酸変異」の記載には、CFP−T9に既に導入済みの各種変異点は含めていない。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
表1に示す通り、本実施例の条件下では、CFP−T9の残存活性は52.6%となった。これに対し、ランダム変異導入により選抜された9つの変異体、すなわち、CFP−T9の196番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に、または299番目のセリンがスレオニンに、または323番目のバリンがグルタミン酸にそれぞれ変異したアマドリアーゼにおいては、残存活性がいずれも56%以上に向上し、顕著なものでは60%以上に向上した。また、表2に示す通り、本実施例の条件下では、CFP−T9の残存活性は52.7%となった。表1と表2においてCFP−T9の残存活性の値が異なるが、測定日が異なるためである。CFP−T9の残存活性に対し、ランダム変異導入により選抜された4つの変異体、すなわち、CFP−T9の43番目のフェニルアラニンがチロシンに、または53番目のヒスチジンがアスパラギンに、または267番目のフェニルアラニンがチロシンに、または350番目のスレオニンがアラニンにそれぞれ変異したアマドリアーゼにおいては、残存活性がいずれも55%以上向上し、顕著なものでは60%以上に向上した。すなわち、これらの各変異点が、アマドリアーゼの熱安定性を向上させる変異点であることが確認された。また、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼにおける52位のチロシンをヒスチジンへ置換すると耐熱性が向上すると示されているが、表2に示した通り、CFP−T9の53位のヒスチジンがチロシンに置換された変異体も耐熱性が向上し、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼの結果と全く逆の知見が得られた。Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼとCFP−T9は、アミノ酸配列において74%の同一性であり、相同位置におけるアミノ酸置換によって、対象となるアマドリアーゼの特異的機能に関して類似した効果を有することが推定できる。しかし、CFP−T9の53位に関しては、この推定が当てはまらず、全く予想しえない事実が示された。
【0097】
また、アマドリアーゼの分子内に新たな架橋作製を形成することによる熱安定性の向上を意図して作製した変異体である、151番目のアラニンがシステインに変異したアマドリアーゼにおいても、残存活性が87%を上回り、顕著な向上がみられた。このデータからは、変異体において実際に分子内架橋が形成され、そのことによってアマドリアーゼタンパク質の熱安定性が非常に向上した可能性が示唆される。
【0098】
今回、発明者らは、幸運にも、実施例に記載するような試みをひとつの手がかりとして、新規な熱安定性向上変異箇所を見出すことができた。しかし、今回発明者らが試みた変異箇所は、公知のアマドリアーゼの構造情報からでは容易に着想し得るものではなかったというべきである。なぜなら、結晶構造が報告されているタンパク質の中で、CFP−T9と最もアミノ酸配列の相同性が高いとしてAmadoriase IIの情報を参考にしたとはいえ、両者は実際のアミノ酸配列としては34%の同一性を有しているに過ぎない。このように同一性の低いタンパク質の情報しか参考にできない場合、同一性の高い公知のタンパク質の立体構造情報を基に予測するようには、立体構造や活性部位近傍に位置するアミノ酸の予測がうまくいかないことが、当業者にとって通常的に理解される。すなわち、当業者にとって、この程度まで同一性が低いタンパク質間において、両者が同様な機能を有するであろうと予測することは通常的でない。現実に、この程度の配列同一性検索によりヒットする各種公知のタンパク質が同じ酵素であるとも到底言い難いことも、周知であるからである。
【0099】
実際、実施例に記載の予測においては、151位以外の変異位置の候補も想定されていた。例えば、370位のロイシンをシステインに置換することによって、360位のシステインと分子内架橋を形成するという方法も、予測において同程度に有望であると見込まれた。しかしながら、このような変異を実際に導入してみても、作製した改変型アマドリアーゼの熱安定性は向上しておらず、むしろ若干低下する傾向さえ示した。このような事実からも、同一性の低い公知酵素の情報からでは、必ずしも容易に本発明のような効果的な変異箇所を予測することは容易ではないということが裏付けられる。
【0100】
さらに、いわゆるPTS1配列に相当する可能性を有する、カルボキシル末端の3アミノ酸を欠失させることにより作製した変異体においても、残存活性(%)が60%を上回り、顕著な向上がみられた。
これまでに、いわゆるPTS1配列に相当する領域を欠失させることにより、生産されるタンパク質の熱安定性を向上させることができるという知見は全く知られていない。従って、今回の結果は、発明者らとしても予測し得ない顕著な効果であり、驚くべき結果であった。アマドリアーゼタンパク質のカルボキシル末端の数アミノ酸が実際にいわゆるPTS1配列に相当し得る領域であるか否かは現状定かではなく、また、この領域を削除することが熱安定性を向上させる具体的な作用機序も現時点では不明であるが、実際に、図1に示す複数のアマドリアーゼをみてもわかるように、アミノ酸としては同一でなくとも、いわゆるPTS1配列モチーフに相当し得るアミノ酸残基の配列を有しているという視点で見た場合、複数のアマドリアーゼにおいてカルボキシル末端の3アミノ酸の削除によって、同様なシグナル配列領域に相当し得る配列が削除され、これにより各種のアマドリアーゼに関しても効果的に熱安定性を付与できる可能性が示唆され得る。
【0101】
本発明のこれらの変異点は、単独変異として有効であるのみならず、既に知られている各種公知の変異と組み合わせ、また、本発明の変異同士を組み合わせることによって、実用上の利点を有する変異体を創出することに貢献することが期待される。
【実施例2】
【0102】
(耐熱性向上型変異の蓄積)
実施例1で見出された11の熱安定性向上変異の知見に基づき、これらを組み合わせて変異を蓄積させることにより、さらに熱安定性を高めたアマドリアーゼを取得することを目的として、多重変異体(2重変異体、3重変異体、4重変異体)の作製による耐熱性向上型変異の蓄積を試みた。
【0103】
具体的には、表3に示す各種組換え体プラスミドDNAを鋳型とし、表3に示す各合成オリゴヌクレオチドをプライマーとする組み合わせで、実施例1と同様の条件下でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換を行い、生育したコロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。これにより、151位のアラニンがシステインに置換され、かつ299位のセリンがスレオニンに置換された二重変異体であるpKK223−3−CFP−T22、151位のアラニンがシステインに置換され、196位のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換され、かつ299位のセリンがスレオニンに置換された三重変異体であるpKK223−3−CFP−T23、151位のアラニンがシステインに置換され、299位のセリンがスレオニンに置換され、かつカルボキシル末端の3アミノ酸残基が欠失した三重変異体であるpKK223−3−CFP−T24、151位のアラニンがシステインに置換され、196位のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換され、299位のセリンがスレオニンに置換され、かつ323位のバリンがグルタミン酸に置換された四重変異体であるpKK223−3−CFP−T25、151位のアラニンがシステインに置換され、196位のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換され、299位のセリンがスレオニンに置換され、かつカルボキシル末端の3アミノ酸残基が欠失した四重変異体であるpKK223−3−CFP−T26を得た。
そして、上記と同様の条件で大腸菌SHuffle株を形質転換し、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T22)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T23)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T24)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T25)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T26)株を得た。
【0104】
さらに、表4に示す各種組換え体プラスミドDNAを鋳型とし、表4に示す各合成オリゴヌクレオチドをプライマーとする組み合わせで、実施例1と同様の条件下でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換を行い、生育したコロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。これにより、43位のフェニルアラニンがチロシンに置換され、かつ151位のアラニンがシステインに置換された二重変異体であるpKK223−3−CFP−T27、43位のフェニルアラニンがチロシンに置換され、カルボキシル末端の3アミノ酸残基が欠失した二重変異体であるpKK223−3−CFP−T28、43位のフェニルアラニンがチロシンに置換され、350位のスレオニンがアラニンに置換され、かつカルボキシル末端の3アミノ酸残基が欠失した三重変異体であるpKK223−3−CFP−T29、43位のフェニルアラニンがチロシンに置換され、151位のアラニンがシステインに置換され、350位のスレオニンがアラニンに置換された三重変異体であるpKK223−3−CFP−T30、43位のフェニルアラニンがチロシンに置換され、151位のアラニンがシステインに置換され、かつカルボキシル末端の3アミノ酸残基が欠失した三重変異体であるpKK223−3−CFP−T31、43位のフェニルアラニンがチロシンに置換され、151位のアラニンがシステインに置換され、350位のスレオニンがアラニンに置換され、かつカルボキシル末端の3アミノ酸残基が欠失した四重変異体であるpKK223−3−CFP−T32を得た。
そして、上記と同様の条件で大腸菌SHuffle株を形質転換し、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T27)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T28)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T29)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T30)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T31)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T32)株を得た。
【0105】
上記のようにして得られた改変型アマドリアーゼ生産能を有する大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T22)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T23)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T24)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T25)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T26)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T27)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T28)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T29)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T30)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T31)株、大腸菌SHuffle(pKK223−3−CFP−T32)株を、上記の方法で培養して、各種改変型アマドリアーゼの粗酵素液1.5mlを調製した。得られた各粗酵素液をサンプルとし、実施例1に準じた熱安定性測定方法に従って、ただし、加熱条件に関しては、より厳しい加熱条件である60℃、30分間の加熱に変更し、各種改変型アマドリアーゼの熱安定性評価を行った。結果を表3、4に示す。
【0106】
【表3】
【0107】
【表4】
【0108】
表3、4に示す通り、本実施例の条件下では、CFP−T9の残存活性はわずか0.34%、0.36%であり、このように過酷な温度条件下においては、従来のアマドリアーゼの中でも最も優れた熱安定生を有すると考えられるCFP−T9であっても、ほとんど活性を失ってしまうことが確認された。
これに対し、実施例1で確認された各種の単独変異を組み合わせて作製した各種多重変異体においては、残存活性がいずれも顕著に向上していた。具体的には、43位のフェニルアラニンがアラニンに置換され、かつカルボキシル末端の3アミノ酸残基が欠失した二重変異体における残存活性は2.5%であり、CFP−T9と比較して向上した。さらに、この変異に350位のスレオニンがアラニンに置換された三重変異体における残存活性は4.8%であり、CFP−T9と比較してさらに向上した。また、151位のアラニンがシステインに置換されたものにおける残存活性は26%であり、CFP−T9と比較して顕著に向上した。さらに、この変異に別の変異を順次加えて変異を蓄積して得た二重変異体、三重変異体および四重変異体でも、CFP−T9と比較して顕著に残存活性が向上し、これらの多重変異体が、熱安定性が向上したアマドリアーゼの熱安定性を向上させる変異点であることが確認された。
しかも、151位のアラニンがシステインに置換された変異体や43位のフェニルアラニンがアラニンに置換され、かつカルボキシル末端の3アミノ酸残基が欠失した二重変異体に変異を蓄積する都度、得られたさらなる多重変異体の熱安定性は段階的に向上しており、実施例1で確認された本発明の変異点を適宜組み合わせることによって、一層優れた熱安定性を有するアマドリアーゼが作出され得ることが明らかとなった。
【実施例3】
【0109】
(Eupenicillium terrenum由来アマドリアーゼ遺伝子への点変異導入)
配列番号16は熱安定性向上型変異(G184D、N272D、H388Y)を導入したEupenicillium terrenum由来アマドリアーゼのアミノ酸配列であり、配列番号16のアミノ酸配列をコードする遺伝子(配列番号17)を挿入した組換え体プラスミドpUTE100K’−EFP−T5を大腸菌で発現させることにより、Eupenicillium terrenum由来アマドリアーゼの活性が確認されている(特許文献16参照)。
【0110】
Eupenicillium terrenum由来アマドリアーゼに耐熱性向上型変異を導入するために、組換え体プラスミドpUTE100K’−EFP−T5を鋳型にして、配列番号18、19の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、実施例1と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換および生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号16記載のアミノ酸配列の151位のグリシンがシステインに置換されたEupenicillium terrenum由来アマドリアーゼ遺伝子をコードする組換え体プラスミド(pUTE100K’−EFP−T5−G151C)を得た。
そして、実施例1と同様の条件で大腸菌SHuffle株を形質転換し、大腸菌SHuffle(pUTE100K’−EFP−T5−G151C)株を得た。
【実施例4】
【0111】
(点変異を導入したEupenicillium terrenum由来アマドリアーゼの耐熱性改善効果の評価)
上記のようにして得られた改変型アマドリアーゼ生産能を有する大腸菌SHuffle(pUTE100K’−EFP−T5−G151C)株を、実施例1の方法で培養して、各種改変型アマドリアーゼの粗酵素液1.5mlを調製した。得られた各粗酵素液をサンプルとし、実施例1に準じた熱安定性測定方法に従って、各種改変型アマドリアーゼの熱安定性評価を行った。結果を表5に示す。
【0112】
【表5】
【0113】
表5に示す通り、本実施例の条件下では、EFP−T5の残存活性は0.77%となった。これに対し、151位のグリシンがシステインに置換されたアマドリアーゼの残存活性は51.2%であり、EFP−T5と比較して顕著に向上した。よって、配列番号1に示すConiochaeta属由来のアマドリアーゼの151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換は、Eupenicillium terrenum由来アマドリアーゼにおいても耐熱性が改善されたアマドリアーゼの作製に有効な置換であることがわかった。
【実施例5】
【0114】
(Phaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼの大腸菌での発現)
Phaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼを大腸菌で発現させることを試みた。すでに明らかになっているPhaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼのアミノ酸配列を配列番号20に示した(例えば、Biotechnology and Bioengineering,106,358−366,2010参照)。この配列番号20で示した437アミノ酸をコードし、且つ大腸菌発現用にコドンを最適化した、配列番号21で示す1314bpの遺伝子(終止コドンTAAを含む)を、定法である遺伝子断片のPCRによる全合成によりcDNAを全合成することで取得した。このとき、配列番号21の5’末端、3’末端にはそれぞれEcoRIサイトとHindIIIサイトを付加した。また、クローニングした遺伝子配列から予想されるアミノ酸配列全長は図1のPhaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼの配列と一致していることを確認した。
【0115】
続いて、取得した配列番号21の遺伝子を大腸菌で発現させるために、以下の手順を行った。まず、上記で全合成した遺伝子をEcoRIサイトとHindIII(タカラバイオ社製)の2種類の制限酵素で処理し、pKK223−3 Vector(アマシャム・バイオテク社製)のEcoRI−HindIIIサイトに挿入することで、組換え体プラスミドpKK223−3−PnFXを取得し、実施例1と同様の条件でSHuffle株を形質転換し、大腸菌SHuffle(pKK223−3−PnFX)株を得た。
【0116】
上記のようにして得られたPhaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼ生産能を有する大腸菌SHuffle(pKK223−3−PnFX)株を実施例1の方法で培養して、粗酵素液1.5mlを調製した。得られた各粗酵素液をサンプルとし、実施例1に準じた活性測定方法に従ってPhaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼの活性があることを確認した。
【実施例6】
【0117】
(Phaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼ遺伝子への点変異導入)
Phaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼに耐熱性向上型変異を導入するために、組換え体プラスミドpKK223−3−PnFXを鋳型にして、配列番号22、23の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、実施例1と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換および生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号20記載のアミノ酸配列の149位のアラニンがシステインに置換されたPhaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼ遺伝子をコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−PnFX−A149C)を得た。
そして、上記と同様の条件で大腸菌SHuffle株を形質転換し、大腸菌SHuffle(pKK223−3−PnFX−A149C)株を得た。
【0118】
続いて、Phaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼに耐熱性向上型変異を導入するために、組換え体プラスミドpKK223−3−PnFXを鋳型にして、配列番号24、25の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、実施例1と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換および生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号20記載のアミノ酸配列のカルボキシル末端からの3アミノ酸残基であるアラニン、アスパラギン、ロイシンが欠失された改変型フルクトシルペプチドオキシダーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−PnFX−ΔPTS1)を得た。
そして、上記と同様の条件で大腸菌SHuffle株を形質転換し、大腸菌SHuffle(pKK223−3−PnFX−ΔPTS1)株を得た。
【実施例7】
【0119】
(点変異を導入したPhaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼの耐熱性改善効果の評価)
上記のようにして得られた改変型フルクトシルペプチドオキシダーゼ生産能を有する大腸菌SHuffle(pKK223−3−PnFX−A149C)株および大腸菌SHuffle(pKK223−3−PnFX−ΔPTS1)株を、上記の方法で培養して、各種改変型フルクトシルペプチドオキシダーゼの粗酵素液1.5mlを調製した。得られた各粗酵素液をサンプルとし、実施例1に準じた熱安定性測定方法に従って、各種改変型フルクトシルペプチドオキシダーゼの熱安定性評価を行った。結果を表6に示す。
【0120】
【表6】
【0121】
表6に示す通り、本実施例の条件下では、PnFXの残存活性は25.0%となった。これに対し、149位のアラニンがシステインに置換されたフルクトシルペプチドオキシダーゼの残存活性は46.2%、カルボキシル末端の3アミノ酸残基が欠失したフルクトシルペプチドオキシダーゼの残存活性は37.5%であり、PnFXと比較して顕著に向上した。よって、配列番号1に示すConiochaeta属由来のアマドリアーゼの151位のアラニンに対応する位置のアミノ酸のシステインへの置換およびカルボキシル末端の3アミノ酸残基の欠失は、Phaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼにおいても耐熱性が改善されたフルクトシルペプチドオキシダーゼの作製に有効な置換および欠失であることがわかった。
【図1】
【配列表】
2013100006000001.app
【国際調査報告】