(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013100008
(43)【国際公開日】20130704
【発行日】20150511
(54)【発明の名称】NdFeB系焼結磁石及び該NdFeB系焼結磁石の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20150414BHJP
   H01F 1/08 20060101ALI20150414BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20150414BHJP
   B22F 3/00 20060101ALI20150414BHJP
   C22C 28/00 20060101ALN20150414BHJP
   C22C 38/00 20060101ALN20150414BHJP
【FI】
   !H01F1/04 H
   !H01F1/08 B
   !H01F41/02 G
   !B22F3/00 F
   !C22C28/00 A
   !C22C38/00 303D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】2013536351
(21)【国際出願番号】JP2012083786
(22)【国際出願日】20121227
(11)【特許番号】5400255
(45)【特許公報発行日】20140129
(31)【優先権主張番号】2011286864
(32)【優先日】20111227
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】591044544
【氏名又は名称】インターメタリックス株式会社
【住所又は居所】岐阜県中津川市茄子川1642番地144
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐川 眞人
【住所又は居所】京都府京都市西京区御陵大原1番地36 インターメタリックス株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】溝口 徹彦
【住所又は居所】京都府京都市西京区御陵大原1番地36 インターメタリックス株式会社内
【テーマコード(参考)】
4K018
5E040
5E062
【Fターム(参考)】
4K018AA27
4K018BA18
4K018BB04
4K018BD01
4K018CA04
4K018DA13
4K018KA45
5E040AA04
5E040BD01
5E040CA01
5E040HB11
5E040HB17
5E040NN06
5E062CD04
5E062CG02
5E062CG03
(57)【要約】
粒界拡散法の基材として使用したとき、希土類リッチ相を通してRHが拡散しやすく、さらに基材そのものの保磁力、最大エネルギー積及び角型比の高いNdFeB系焼結磁石及び該NdFeB系焼結磁石の製造方法を提供する。本発明に係るNdFeB系焼結磁石は、NdFeB系焼結磁石中の主相粒子の平均粒径が4.5μm以下、前記NdFeB系焼結磁石全体の炭素含有率が1000ppm以下、前記NdFeB系焼結磁石中の粒界三重点における希土類リッチ相の体積の総計に対する、該希土類リッチ相中の炭素リッチ相の体積の総計の比率が50%以下、であることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)NdFeB系焼結磁石中の主相粒子の平均粒径が4.5μm以下、
b)前記NdFeB系焼結磁石全体の炭素含有率が1000ppm以下、
c)前記NdFeB系焼結磁石中の粒界三重点における希土類リッチ相の体積の総計に対する、該希土類リッチ相中の炭素リッチ相の体積の総計の比率が50%以下、
であることを特徴とするNdFeB系焼結磁石。
【請求項2】
請求項1に記載のNdFeB系焼結磁石を製造するための方法であって、
a)NdFeB系合金に水素を吸蔵させることにより該NdFeB系合金を粗解砕する水素解砕工程と、
b)粗解砕されたNdFeB系合金を、レーザ回折法で測定される粒度分布の中央値D50で3.2μm以下になるように微粉砕する微粉砕工程と、
c)前記NdFeB系合金の微粉末を充填容器に充填し、その後、充填容器に充填したまま該微粉末の配向及び焼結を行うプレスなし磁石製造工程と、
を有し、
前記水素解砕工程において吸蔵された水素を脱離させるための脱水素加熱を行うことなく、前記微粉砕工程と前記プレスなし磁石製造工程を行い、
前記水素解砕工程から前記プレスなし磁石製造工程までを無酸素雰囲気下で行う、
ことを特徴とするNdFeB系焼結磁石の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒界拡散法の基材に適したNdFeB系(ネオジム・鉄・硼素)焼結磁石及び該NdFeB系焼結磁石の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NdFeB系焼結磁石は、1982年に佐川(本発明者の一人)らによって見出されたものであるが、それまでの永久磁石をはるかに凌駕する特性を有し、Nd(希土類の一種)、鉄及び硼素という比較的豊富で廉価な原料から製造することができるという特長を有する。そのため、NdFeB系焼結磁石はハイブリッド自動車や電気自動車の駆動用モータ、電動補助型自転車用モータ、産業用モータ、ハードディスク等のボイスコイルモータ、高級スピーカー、ヘッドホン、永久磁石式磁気共鳴診断装置等、様々な製品に使用されている。これらの用途に使用されるNdFeB系焼結磁石は高い保磁力HcJ、高い最大エネルギー積(BH)max及び高い角型比SQを有することが要求される。ここで角型比SQは、横軸を磁界、縦軸を磁化とするグラフの第1象限から第2象限を横切る磁化曲線において磁界ゼロに対応する磁化の値が10%低下したときの磁界の絶対値Hkを保磁力HcJで除した値Hk/HcJで定義される。
【0003】
NdFeB系焼結磁石の保磁力を高めるための方法として、出発合金を作製する段階でDy及び/又はTb (以下、「Dy及び/又はTb」を「RH」とする)を添加する方法(一合金法)がある。また、RHを含まない主相系合金とRHを添加した粒界相系合金の2種類の出発合金の粉末を作製し、これらを互いに混合して焼結させる方法(二合金法)がある。更に、NdFeB系焼結磁石を作製した後、それを基材として表面に塗布や蒸着等によりRHを付着させ、加熱することにより、基材表面から基材中の粒界を通じて該基材内部にRHを拡散させる方法(粒界拡散法)がある(特許文献1)。
【0004】
上記の方法によりNdFeB系焼結磁石の保磁力を高めることができるが、その一方で、焼結磁石中の主相粒子内にRHが存在すると、最大エネルギー積が低下することが知られている。一合金法では、出発合金粉末の段階で主相粒子内にRHが含まれるため、それを基に作製した焼結磁石においても主相粒子内にRHを含んでしまう。そのため、一合金法によって作製された焼結磁石は、保磁力は向上するものの最大エネルギー積が低下してしまう。
【0005】
これに対し、二合金法では、RHの多くを主相粒子間の粒界に存在させることができる。そのため、一合金法に比べて最大エネルギー積の低下を抑えることが可能となる。また、一合金法に比べてレアメタルであるRHの使用量を減らすことができる。
【0006】
粒界拡散法では、加熱により液化した基材内の粒界を通じて、基材表面に付着させたRHをその内部に拡散させる。そのため、粒界中のRHの拡散速度は、粒界から主相粒子内部への拡散速度よりもずっと速く、RHは速やかに基材内の深くまで供給される。それに対し、主相粒子は固体のままであるため、粒界から主相粒子内への拡散速度は遅い。この拡散速度の差を利用して、熱処理温度と時間を調整することにより、基材中の主相粒子の表面(粒界)にごく近い領域においてのみRHの濃度が高く、主相粒子の内部ではRHの濃度が低いという理想的な状態を実現することができる。これにより、保磁力を高めつつ、二合金法よりも最大エネルギー積(BH)maxの低下を抑えることが可能となる。また、レアメタルであるRHの使用量を二合金法よりも抑えることができる。
【0007】
一方、NdFeB系焼結磁石を製造するための方法として、プレス有り磁石製造方法とプレスなし磁石製造方法がある。プレス有り磁石製造方法は、出発合金の微粉末(以下、「合金粉末」とする)を金型に充填し、合金粉末にプレス機で圧力を加えつつ磁界を印加することにより、圧縮成形体の作製と該圧縮成形体の配向処理を同時に行い、金型から取り出した圧縮成形体を加熱して焼結させるというものである。プレスなし磁石製造方法は、所定の充填容器に充填した合金粉末を、圧縮成形することなく、該充填容器に充填したままの状態で、配向させ、焼結させるというものである。
プレス有り磁石製造方法では、圧縮成形体を作製するために大型のプレス機が必要となるため、密閉空間内で行うことが難しいのに対し、プレスなし磁石製造工程ではプレス機を用いないことから、密閉空間内で充填から焼結までの作業を行うことができるという特長がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開WO2006/043348号公報
【特許文献2】国際公開WO2011/004894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
粒界拡散法では、蒸着・塗布等により基材表面に付着させるRHの基材内への拡散のしやすさ、拡散させることのできる基材表面からの深さ等は、粒界の状態の影響を大きく受ける。本発明者は、粒界中に存在する希土類リッチ相(主相粒子より希土類元素の比率の高い相)が粒界拡散法によりRHを拡散させる際の主要な通路となること、基材表面から十分な深さにまでRHを拡散させるためには、基材の粒界において、希土類リッチ相が途中で途切れることなく繋がっていることが望ましいことを見出した(特許文献2)。
【0010】
その後、本発明者が更に実験を行ったところ、次のことを見出した。NdFeB系焼結磁石の製造では、合金粉末の粒子間の摩擦を小さくし、配向を行う際に粒子を回転しやすくする等の理由から、合金粉末に有機系潤滑剤を添加するが、これには炭素が含まれている。この炭素のほとんどは焼結時に酸化してNdFeB系焼結磁石の外部に放出されるが、一部はNdFeB系焼結磁石中に残留する。そのうち粒界三重点(3つ以上の主相粒子により囲まれる粒界部分)に残留した炭素は、互いに凝集し、希土類リッチ相の中に炭素リッチ相(NdFeB系焼結磁石全体の平均よりも炭素濃度が高い相)を形成する。上記のように、粒界に存在する希土類リッチ相は、RHをNdFeB系焼結磁石の内部に拡散させる際の主要な通路となるが、希土類リッチ相中の炭素リッチ相はRHの拡散通路を塞ぐ堰のような役割を果たし、RHの粒界経由の拡散を阻害する。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、粒界拡散法の基材として使用したとき、希土類リッチ相を通してRHが拡散しやすく、より高い保磁力が得られるNdFeB系焼結磁石及び該NdFeB系焼結磁石の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために成された本発明に係るNdFeB系焼結磁石は、
a)NdFeB系焼結磁石中の主相粒子の平均粒径が4.5μm以下、
b)前記NdFeB系焼結磁石全体の炭素含有率が1000ppm以下、
c)前記NdFeB系焼結磁石中の粒界三重点における希土類リッチ相の体積の総計に対する、該希土類リッチ相中の炭素リッチ相の体積の総計の比率が50%以下、
であることを特徴とする。
【0013】
本発明者は、様々な実験の結果、NdFeB系焼結磁石が上記の条件を満たすとき、該NdFeB系焼結磁石を基材として粒界拡散法を適用した際に希土類リッチ相を通してRHが基材内部に拡散しやすくなることを見出した。
【0014】
本発明に係るNdFeB系焼結磁石では、主相粒子の平均粒径が4.5μm以下となるように製造することにより、基材そのものの保磁力を高くした。また、NdFeB系焼結磁石中の炭素の含有量を1000ppm以下に抑え、炭素リッチ相の体積比率(上記の「粒界三重点における希土類リッチ相の体積の総計に対する、該希土類リッチ相中の炭素リッチ相の体積の総計の比率」のこと)が50%以下に留まるように製造することにより、希土類リッチ相の通路が炭素リッチ相によって完全に塞がれることを防いだ。その結果、RHが途中で堰き止められることなく、希土類リッチ相を通してRHを基材内部にまで拡散させることが可能となる。
【0015】
また、本発明に係るNdFeB系焼結磁石は、粒界拡散法を適用する前の状態でも、高い保磁力が得られると共に、最大エネルギー積及び角型比についても、従来のNdFeB系焼結磁石より高くなることが実験により示されている。この実験結果については後述する。
【0016】
また、上記のNdFeB系焼結磁石を製造するための本発明に係るNdFeB系焼結磁石の製造方法は、
上記NdFeB系焼結磁石を製造するための方法であって、
a)NdFeB系合金に水素を吸蔵させることにより該NdFeB系合金を粗解砕する水素解砕工程と、
b)粗解砕されたNdFeB系合金を、レーザ回折法で測定される粒度分布の中央値D50で3.2μm以下になるように微粉砕する微粉砕工程と、
c)前記NdFeB系合金の微粉末を充填容器に充填し、その後、充填容器に充填したまま該微粉末の配向及び焼結を行うプレスなし磁石製造工程と、
を有し、
前記水素解砕工程において吸蔵された水素を脱離させるための脱水素加熱を行うことなく、前記微粉砕工程と前記プレスなし磁石製造工程を行い、
前記水素解砕工程から前記プレスなし磁石製造工程までを無酸素雰囲気下で行う、
ことを特徴とする。
【0017】
前記のとおり、NdFeB系焼結磁石の製造方法としてプレス有り磁石製造方法とプレスなし磁石製造方法があるが、このプレス有り磁石製造方法では、水素を脱離するための脱水素加熱を次の2つの理由から行っていた。第1の理由は、水素化合物を含む合金粉末は酸化しやすく、製造後の磁石の磁気特性が低下するためである。第2の理由は、プレス機によって圧縮成形体を作製した後に、自然に又は焼結の際の加熱によって水素が脱離し、分子及び気体となって完全に焼結される前の圧縮成形体内部で膨張し、圧縮成形体を壊すことがあるためである。
また、プレスなし磁石製造方法でも上記の第1の理由から脱水素加熱が行われていた。
【0018】
本発明者は、より磁気特性の高いNdFeB系焼結磁石を製造するために、各工程の見直しを行った。その結果、合金粉末が水素化合物を含んでいると、配向を行う前(合金粉末を充填容器に充填する際など)に合金粉末に添加される潤滑剤を通じて混入する炭素が、該水素化合物と焼結の際に反応し、CH4ガスとなって除去されることを見出した。そのため、粒界拡散処理前の焼結体において、炭素含有量及び希土類リッチ相中の炭素リッチ相の体積が減少し、粒界拡散処理の際、炭素リッチ相に阻害されることなく、粒界中の希土類リッチ相を通じて、RHを焼結体内部の十分な深さにまで拡散させることが可能となる。本発明の製造方法によって製造されたNdFeB系焼結磁石では、炭素含有率及び炭素リッチ相の体積比率を、それぞれ1000ppm以下、50%以下という非常に低いレベルにまで抑えることができる。
【0019】
また、プレスなし磁石製造工程では、出発合金の粉砕から焼結までの一連の工程を密閉空間内でを行うことができるため、本発明ではそこを無酸素雰囲気とすることにより、水素化合物を含む合金粉末の酸化を防止した。また、プレスなし磁石製造工程では充填容器に充填したまま焼結を行うため、圧縮成形体が壊れるという問題も生じない。
【0020】
NdFeB系焼結磁石においては、合金粉末の粒径を小さくするほど保磁力を高めることができることが知られている。一方、粒径の小さい合金粉末粒子は酸化しやすく、それによって磁気特性が低下したり、発火等の事故が生じたりするおそれがある。
本発明に係るNdFeB系焼結磁石の製造方法では、上記の通り、NdFeB系合金の粉砕から焼結までの工程をすべて無酸素雰囲気下で行うため、合金粉末の平均粒径を3.2μm以下という非常に小さなものとしても、酸化による磁気特性の低下や事故の発生を抑えることができる。これにより、高い保磁力を有するNdFeB系焼結磁石を製造することができる。
【0021】
また、合金粉末の平均粒径を3.2μm以下にすることで、焼結後の磁石中の主相粒子の平均粒径を4.5μm以下にすることができる。
【0022】
さらに、脱水素加熱には、通常、数時間程度の時間を要するが、本発明のNdFeB系焼結磁石の製造方法ではこれを行わないため、脱水素加熱に要する時間を省略することができる。すなわち、製造工程の簡略化と製造時間の短縮と製造コストの削減を行うことができる。
また、実験の結果、本発明に係るNdFeB系焼結磁石の製造方法では、微粉砕工程における出発合金の粉砕速度を従来よりも高くすることができること、プレスなし工程中の焼結処理において、最適な焼結温度を従来よりも5〜20℃程度下げることができることが分かった。粉砕速度が高くなることは製造時間の短縮に、最適焼結温度が低くなることはエネルギーの節約や充填容器の長寿命化に、それぞれ繋がる。
【0023】
本発明者が、脱水素加熱を行わないことによって、合金粉末粒子にどのような影響が生じるか詳細に検討したところ、脱水素加熱を行った場合と比較して、合金粉末粒子の異方性が低下していることが分かった。しかしながら、それによって、配向の際の粉末粒子同士の反発による乱れが減少し、焼結後のNdFeB系焼結磁石の配向度が向上するという効果が得られることが分かった。また、合金粉末粒子と反応している水素は、焼結の際の加熱によって炭素と反応して脱離するため、合金粉末粒子と水素が反応していることによる異方性の低下は、焼結後の磁石の磁気特性に影響を及ぼさないことも分かった。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るNdFeB系焼結磁石では、粒界拡散法によりRHが内部に拡散しやすい性質を有しているため、粒界拡散法の基材としても好適に用いることができる。また、本発明に係るNdFeB系焼結磁石の製造方法では、粒界拡散法の基材として好適なNdFeB系焼結磁石を製造することができる他、製造工程の簡略化、製造時間の短縮、製造コストの削減等の様々な効果を得ることができる。さらに、配向の際の粉末粒子同士の反発による乱れを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るNdFeB系焼結磁石の製造方法の一実施例を示すフローチャート。
【図2】比較例のNdFeB系焼結磁石の製造方法を示すフローチャート。
【図3】本実施例のNdFeB系焼結磁石の製造方法における水素解砕工程の温度履歴を示すグラフ。
【図4】比較例のNdFeB系焼結磁石の製造方法における水素解砕工程の温度履歴を示すグラフ。
【図5】本実施例のNdFeB系焼結磁石の製造方法により製造された本発明に係るNdFeB系焼結磁石の一実施例の、磁石表面におけるオージェ電子分光法によるマッピング画像。
【図6】比較例のNdFeB系焼結磁石の製造方法により製造されたNdFeB系焼結磁石の表面におけるオージェ電子分光法によるマッピング画像。
【図7】本実施例のNdFeB系焼結磁石の表面におけるオージェ電子分光法によるマッピング画像。
【図8】比較例のNdFeB系焼結磁石の製造方法により製造されたNdFeB系焼結磁石の表面におけるオージェ電子分光法によるマッピング画像。
【図9】本実施例のNdFeB系焼結磁石の光学顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るNdFeB系焼結磁石及びその製造方法の実施例を説明する。
【実施例】
【0027】
本実施例及び比較例のNdFeB系焼結磁石を製造する方法について図1及び図2のフローチャートを用いて説明する。
【0028】
本実施例のNdFeB系焼結磁石の製造方法は、図1に示すように、ストリップキャスト法により予め作製されたNdFeB系合金に水素を吸蔵させることにより、粗解砕する水素解砕工程(ステップA1)と、水素解砕工程で水素解砕された後に脱水素加熱されなかったNdFeB系合金に0.05〜0.1wt%のカプリル酸メチル等の潤滑剤を混合させ、ジェットミル装置を用いて窒素ガス気流中で、レーザ回折法で測定した粒度分布の中央値(D50)で3.2μm以下になるように微粉砕する微粉砕工程(ステップA2)と、微粉砕された合金粉末に0.05〜0.15wt%のラウリン酸メチル等の潤滑剤を混合し、モールド(充填容器)内に3.0〜3.5g/cm3の密度で充填する充填工程(ステップA3)と、モールド内の合金粉末を室温で磁界中配向させる配向工程(ステップA4)と、配向されたモールド内の合金粉末を焼結させる焼結工程(ステップA5)と、を有する。
なお、ステップA3〜A5の工程はプレスなし工程により行われる。また、ステップA1〜A5の工程は、一貫して無酸素雰囲気下で行われる。
【0029】
比較例のNdFeB系焼結磁石の製造方法は、図2に示すように、水素解砕工程(ステップB1)において、NdFeB系合金に水素を吸蔵させた後、該水素を脱離させるための脱水素加熱を行っている点と、配向工程(ステップB4)において、磁界中配向の前後又は途中で合金粉末を加熱する昇温配向を行っている点を除いては、図1のフローチャートと同じである。
なお、昇温配向とは、配向工程の際に合金粉末を加熱することにより、合金粉末の各粒子の保磁力を低下させ、配向後の粒子間の反発を抑える方法のことである。この方法により、製造後のNdFeB系焼結磁石の配向度を向上させることができる。
【0030】
本実施例と比較例のNdFeB系焼結磁石の製造方法の違いを、まず、水素解砕工程の温度履歴を用いて説明する。図3は、本実施例のNdFeB系焼結磁石の製造方法における水素解砕工程(ステップA1)の温度履歴、図4は、比較例のNdFeB系焼結磁石の製造方法における水素解砕工程(ステップB1)の温度履歴である。
【0031】
図4は、脱水素加熱を行う一般的な水素解砕工程の温度履歴である。水素解砕工程では、NdFeB系合金の薄片に水素を吸蔵させる。この水素吸蔵過程は発熱反応なのでNdFeB系合金は200〜300℃程度まで温度上昇する。その後、真空脱気しつつ室温まで自然に冷却させる。この間に、合金内に吸蔵された水素が膨張し、合金内部で多数のひび割れ(クラック)が生じて解砕される。この過程で、水素の一部は合金と反応する。この合金と反応した水素を脱離させるために500℃程度まで加熱し、それから室温まで自然に冷却させる。図4の例では、水素を脱離するのに要する時間を含め、水素解砕工程に約1400分の時間が必要となる。
一方、本実施例のNdFeB系焼結磁石の製造方法では脱水素加熱を行わない。そのため、図3に示すように、発熱に伴う温度上昇後、真空脱気しつつ室温まで冷却させる時間を多少長めに取っても、約400分で水素解砕工程を終了することができる。従って、図4の例と比べると、約1000分(16.7時間)ほど製造時間を短縮することができる。
【0032】
このように、本実施例のNdFeB系焼結磁石の製造方法では、製造工程の簡略化と、製造時間の大幅な短縮を行うことが可能となる。
【0033】
また、表1に示す組成番号1〜4の各組成の合金に対して、本実施例のNdFeB系焼結磁石の製造方法と比較例のNdFeB系焼結磁石の製造方法を適用した結果を表2に示す。
なお、表2の結果は、いずれも微粉砕後の合金粉末の粒径が、レーザ回折法のD50で2.82μmになるように調整した場合のものである。また、微粉砕工程に用いるジェットミル装置には、ホソカワミクロン製100AFG型ジェットミル装置を用いた。磁気特性の測定には、日本電磁測器株式会社製のパルス磁化測定装置(商品名:パルスBHカーブトレーサPBH-1000)を用いた。
また、表2の脱水素無し、昇温配向無しの結果が、本実施例のNdFeB系焼結磁石の製造方法を、脱水素有り、昇温配向有りの結果が、比較例のNdFeB系焼結磁石の製造方法を、それぞれ示している。
【表1】
【表2】
【0034】
表2に示すように、脱水素加熱を行わなかった場合、いずれの組成の合金を用いた場合でも、微粉砕工程における合金の粉砕速度が脱水素加熱を行った場合よりも向上する。これは、脱水素加熱を行った場合では、水素吸蔵によって脆化した合金中の組織が、脱水素加熱によって靭性を多少回復するのに対し、脱水素加熱を行わなかった場合では、合金組織が脆化したままであるためと考えられる。このように脱水素加熱を行わない本実施例の製造方法では、脱水素加熱を行う従来の製造方法と比較して、製造時間が短縮されるという効果も得られる。
【0035】
また、本実施例の製造方法では、昇温配向を行わなかったにもかかわらず、昇温配向を行った比較例の製造方法とほぼ同程度且つ95%以上の高い配向度Br/Jsが得られている。本発明者が詳細に検討したところ、脱水素加熱を行わなかった場合では合金粉末粒子の磁気異方性(すなわち粒子毎の保磁力)が低下していることが分かった。各粒子の保磁力が低い場合、合金粉末を配向させた後、印加磁界の減少と共に各粒子内に逆磁区が発生し、多磁区化する。これにより各粒子の磁化が減少するため、隣接粒子間の磁気的相互作用による配向度の劣化が緩和され、高い配向度が得られる。これは昇温配向によって、製造後のNdFeB系焼結磁石の配向度が高くなることと同じ原理である。
【0036】
すなわち、本実施例のNdFeB系焼結磁石の製造方法では、昇温配向を行うことなく、昇温配向と同様に高い配向度が得られるため、製造工程の簡略化と製造時間の短縮を行うことができる。
【0037】
表2に記載の焼結温度は、各組成及び各製造方法において、焼結体の密度がNdFeB系焼結磁石の理論密度に最も近くなるようにしたときの温度を示したものである。表2に示すように、焼結温度は、本実施例の方が、比較例よりも低くなる傾向になることが分かった。焼結温度が低くなるということは、NdFeB系焼結磁石を製造する際のエネルギー消費が低くなること、すなわちエネルギーの節約(省エネ)に繋がる。また、合金粉末と共に加熱するモールドの寿命が延びるという効果もある。
【0038】
さらに、本実施例の製造方法で製造されたNdFeB系焼結磁石は、比較例の製造方法で製造されたNdFeB系焼結磁石より、保磁力HcJが高く得られることも表1の結果より分かった。
【0039】
続いて、本実施例の製造方法により製造したNdFeB系焼結磁石と、比較例の製造方法により製造したNdFeB系焼結磁石の微細組織を調べるために、オージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy; AES)により測定を行った。測定装置は、日本電子株式会社製のオージェマイクロプローブ(商品名:JAMP-9500F)である。
【0040】
オージェ電子分光法の原理について簡単に説明する。オージェ電子分光法は、被測定物の表面に電子線を照射し、電子が照射された原子と該電子の相互作用により生じるオージェ電子のエネルギー分布を測定する手法である。オージェ電子は、各元素に固有のエネルギー値を有しているため、オージェ電子のエネルギー分布を測定することで、被測定物の表面(より具体的には表面から数nmの深さ)に存在する元素の同定(定性分析)を行うことができる。また、ピーク強度比から元素を定量(定量分析)することができる。
さらに、被測定物の表面をイオンスパッタ(例えばArイオンによるスパッタ)していくことで、被測定物の深さ方向の元素分布を調べることができる。
【0041】
実際の分析方法は以下のとおりである。サンプル表面の汚れを取り除くため、実際の測定前にArスパッタリング用の角度(水平面に対して30度)に傾け、2〜3分間サンプル表面をスパッタリングする。次に、C、Oが検出できる粒界三重点中のNdリッチ相を数点選んでオージェスペクトルを取得し、これを基に検出用の閾値を決定する(ROI設定)。その取得条件は、電圧20kV、電流2×10-8A、(水平面に対して)角度55度であった。続いて、上記と同一条件にて本測定を行いNd、Cについてのオージェ像を取得する。
【0042】
今回の分析では、表1の組成番号2の合金に対して本実施例と比較例の製造方法により製造されたNdFeB系焼結磁石の表面10を走査し、NdとCのオージェ像をそれぞれ取得した(図5及び図6)。なお、NdはNdFeB系焼結磁石表面のほぼ全域にわたって存在するが(図5(a)及び図6(a))、画像処理によって濃度がNdFeB系焼結磁石全体の平均値よりも高い領域11をNdリッチな粒界三重点領域として抽出した(図5(b)及び図6(b))。また、Cリッチな領域12を、図5(c)及び図6(c)の画像より抽出した(図5(d)及び図6(d))。
【0043】
以上のように抽出したNdリッチな粒界三重点領域11の面積及び該Ndリッチな粒界三重点領域11中のCリッチな領域12内の面積合計をそれぞれ求め、これらを両部分の体積と定義し、両者の比率C/Ndを算出した。以上を、複数の視野で行った。
【0044】
図7及び図8に、組成番号2に対応する本実施例と比較例のNdFeB系焼結磁石の表面を24μm×24μmの小領域に区分し、各小領域のNdとCの分布及びC/Ndを分析した結果を、それぞれ示す(なお、図7及び図8には代表的な3つの小領域のみ示している)。
本実施例のNdFeB系焼結磁石では、殆どの小領域において、20%以下の低いC/Ndが得られた。一部の小領域で50%のC/Ndを示す分布が見られたが、50%を超えるC/Ndを示す小領域はなかった。また、領域全体(全ての小領域を合わせた領域)でのC/Ndは26.5%であった。
一方、比較例のNdFeB系焼結磁石では、ほぼ全ての小領域で90%以上という高いC/Ndが得られた。また、領域全体のC/Ndは93.1%であった。
【0045】
なお、希土類リッチ相中に存在する炭素は、炭素単体で又は炭素化合物として存在する。炭素化合物としては、希土類炭化物が多く存在する。
【0046】
NdFeB系焼結磁石中の炭素含有率は、製造方法毎にほぼ同じ値となる。表1の組成番号3に対応するNdFeB系焼結磁石に対して炭素含有率をLECO社製CS-230型炭素・硫黄分析装置により測定したところ、比較例の製造方法で約1100ppm、本実施例の製造方法で約800ppmであった。また、本実施例の製造方法により製造された上記各NdFeB系焼結磁石の顕微鏡写真を複数の視野から撮り(図9の顕微鏡写真はそのうちの一枚である)、画像解析装置(ニレコ社製LUZEX AP)にて粒度分布測定を行ったところ、主相粒子の平均粒径は2.6〜2.9μmの範囲内で得られていた。
【0047】
以下、(i)NdFeB系焼結磁石の主相粒子の平均粒径が4.5μm以下、(ii)該NdFeB系焼結磁石中の炭素含有率が1000ppm以下、(iii)Ndリッチな粒界三重点領域の体積に対するCリッチな領域の体積比率が50%以下のNdFeB系焼結磁石を「本実施例のNdFeB系焼結磁石」と呼びことにする。また、上記(i)〜(iii)の特徴の一部又は全てを有さないNdFeB系焼結磁石を「比較例のNdFeB系焼結磁石」と呼ぶ。
【0048】
次に、本実施例のNdFeB系焼結磁石と、比較例のNdFeB系焼結磁石の磁気特性及び、粒界拡散法の基材として適用した後の磁気特性を、表3及び表4に示す。
表3の実施例1〜4は、上記(i)〜(iii)の特徴を有する、それぞれ組成番号1〜4の合金に対して本実施例の製造方法により製造した、厚さ方向が磁化方向である縦7mm×横7mm×厚さ3mmのNdFeB系焼結磁石である。また、表3の比較例1〜4は、上記(ii)及び(iii)の特徴を有さない、それぞれ組成番号1〜4の合金から比較例の製造方法により製造した実施例1〜4と同じ大きさのNdFeB系焼結磁石である。これら実施例1〜4及び比較例1〜4のNdFeB系焼結磁石は、後述する粒界拡散法の基材として使用される。
【表3】
なお、表中のBrは残留磁束密度(磁化曲線(J-H曲線)又は減磁曲線(B-H曲線)の磁場Hが0のときの磁化J又は磁束密度Bの大きさ)、Jsは飽和磁化(磁化Jの最大値)、HcBは減磁曲線によって定義される保磁力、HcJは磁化曲線によって定義される保磁力、(BH)maxは最大エネルギー積(減磁曲線における磁束密度Bと磁場Hの積の極大値)、Br/Jsは配向度、SQは角型比を示している。これらの数値が大きいほど、良い磁石特性が得られていることを意味する。
【0049】
表3に示すように、同じ組成では、本実施例のNdFeB系焼結磁石の方が、比較例のNdFeB系焼結磁石よりも高い保磁力HcJが得られている。また、配向度Br/Jsはほぼ同じであるが、角型比SQについては、本実施例のNdFeB系焼結磁石は、比較例のNdFeB系焼結磁石に比べて極めて高い数値が得られている。
【0050】
続いて、表3の各NdFeB系焼結磁石を基材とし、RHとしてTbを用いて粒界拡散処理を行った後の磁気特性を表4に示す。
【表4】
【0051】
なお、粒界拡散処理(Grain Boundary Diffusion: GBD)は以下のように行った。
まず、Tb:92wt%、Ni:4.3wt%、Al:3.7wt%のTbNiAl合金粉末とシリコーングリースを重量比で80:20の割合で混合した混合物10gにシリコーンオイルを0.07g添加したペーストを基材の両磁極面(7mm×7mmの面)にそれぞれ10mgずつ塗布した。
次に、上記ペーストを塗布した直方体基材を、複数の尖形状の支持部が設けられたモリブデン製のトレイに載せ、直方体基材を該支持部によって支持しつつ、10-4Paの真空中で加熱した。加熱温度と加熱時間はそれぞれ880℃、10時間とした。その後室温付近まで急冷して、次に500℃で2時間加熱して、再度室温まで急冷した。
【0052】
表4に示すように、上記(i)〜(iii)の特徴を有する本実施例の焼結磁石は、そうでない比較例の焼結磁石に比べて、保磁力HcJが大きく向上している。また、表3では本実施例のNdFeB系焼結磁石よりも比較例のNdFeB系焼結磁石の方が、(同じ組成で)最大エネルギー積(BH)maxが高い例もあるが、表4では、全ての例において、本実施例のNdFeB系焼結磁石の方が比較例のNdFeB系焼結磁石よりも最大エネルギー積(BH)maxが高い。すなわち、本実施例のNdFeB系焼結磁石では、比較例のNdFeB系焼結磁石よりも(BH)maxの低下が抑えられている。さらに、角型比SQが極めて高い。
このように本実施例の粒界拡散処理前及び粒界拡散処理後のNdFeB系焼結磁石の磁気特性が高いことの要因は、第一に、NdFeB系焼結磁石中の炭素含有率が低いため、Ndリッチな粒界三重点領域内に炭素リッチな領域が生成されることが抑制されるためと考えられる。第二に、Ndリッチな粒界三重点領域におけるCリッチな領域の量が少ないため、Ndリッチ相の通路を通って、十分な量のRH(本実施例ではTb)が基材内部まで拡散するためであると考えられる。
【0053】
本実施例のNdFeB系焼結磁石はNdリッチ相中の炭素リッチ相の割合が低いため、粒界中のNdリッチ相を通したRHの拡散性が高い。本発明者が実験により確かめたところ、対向する両面にRHを塗布した場合では、それぞれ5mmずつ、計10mmの厚さであっても中心部にまでRHを拡散させることができた。以下の表5は、3mm、6mm、10mmの厚みで製造される、組成番号1、3の合金に対応する本実施例のNdFeB系焼結磁石と、組成番号2の合金に対応する比較例のNdFeB系焼結磁石に粒界拡散処理を行ったときの、粒界拡散前の状態からの保磁力の増分を示したものである。
【表5】
この表に示すように、3mmの厚みでは本実施例のNdFeB系焼結磁石と比較例のNdFeB系焼結磁石の間で大きな差異は見られないが、磁石が厚くなるに従って本実施例のNdFeB系焼結磁石の保磁力の増分が勝ってくる。例えば6mmの厚みにおける保磁力の増分は、本実施例のNdFeB系焼結磁石では3mmの厚みのときとほぼ同等であるが比較例のNdFeB系焼結磁石では大きく低下している。保磁力の増分が大きいことは磁石の中心部にまでRHが拡散していることを示しており、このことから、本実施例の製造方法により製造されるNdFeB系焼結磁石は、厚みのある、高い磁気特性を有する磁石を粒界拡散処理により製造するときの基材としても適していることが分かる。
【符号の説明】
【0054】
10…NdFeB系焼結磁石の表面
11…Ndリッチ相の存在する領域
12…Cが分布する領域
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】

【手続補正書】
【提出日】20130809
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
さらに、本実施例の製造方法で製造されたNdFeB系焼結磁石は、比較例の製造方法で製造されたNdFeB系焼結磁石より、保磁力HcJが高く得られることも表の結果より分かった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
以下、(i)NdFeB系焼結磁石の主相粒子の平均粒径が4.5μm以下、(ii)該NdFeB系焼結磁石中の炭素含有率が1000ppm以下、(iii)Ndリッチな粒界三重点領域の体積に対するCリッチな領域の体積比率が50%以下のNdFeB系焼結磁石を「本実施例のNdFeB系焼結磁石」と呼ことにする。また、上記(i)〜(iii)の特徴の一部又は全てを有さないNdFeB系焼結磁石を「比較例のNdFeB系焼結磁石」と呼ぶ。
【国際調査報告】