(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013100067
(43)【国際公開日】20130704
【発行日】20150511
(54)【発明の名称】電子機器用カバーガラス及びその製造方法、並びに電子機器用タッチセンサモジュール
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20150414BHJP
【FI】
   !G06F3/041 460
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
【出願番号】2013551799
(21)【国際出願番号】JP2012083915
(22)【国際出願日】20121227
(31)【優先権主張番号】2011284827
(32)【優先日】20111227
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区中落合2丁目7番5号
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和明
【住所又は居所】東京都新宿区中落合2丁目7番5号 HOYA株式会社内
(57)【要約】
電子機器の薄型化を図るとともに、表示装置と組み合わせる際の構造設計を容易にし、さらには電子機器の製造コストを低減することができる電子機器用カバーガラス及びその製造方法、並びに電子機器用タッチセンサモジュールが提供される。電子機器用カバーガラスは、電子機器の表示画面を保護するためのものであり、一対の主表面を有し、前記一対の主表面のうち一方の主表面側には、板厚方向外側に突出し、利用者の操作を検出するためのセンサ基材が嵌まるためのフレーム部が設けられたガラス基板を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の表示画面を保護するための電子機器用カバーガラスであって、
一対の主表面を有し、前記一対の主表面のうち一方の主表面側には、板厚方向外側に突出し、利用者の操作を検出するためのセンサ基材が嵌まるための空間を形成するフレーム部が設けられたガラス基板を有する、
ことを特徴とする電子機器用カバーガラス。
【請求項2】
前記フレーム部は、前記センサ基材の位置合わせのために前記センサ基材の外周形状に対応するように形成されている請求項1に記載の電子機器用カバーガラス。
【請求項3】
前記フレーム部の内壁面は、板厚方向に対して傾斜するように形成されている、請求項1又は請求項2に記載の電子機器用カバーガラス。
【請求項4】
前記フレーム部の先端面と内壁面との間には、介在面が設けられている、請求項1〜3の何れか1項に記載の電子機器用カバーガラス。
【請求項5】
前記センサ基材が前記フレーム部内に嵌まった状態で、前記フレーム部の先端面と前記センサ基材の表面とが同一平面をなすように、前記フレーム部の突出高さが決められている、請求項1〜4の何れか1項に記載の電子機器用カバーガラス。
【請求項6】
光を遮蔽するための遮蔽部が前記フレーム部の先端面に形成され、前記センサ基材が前記フレーム部内に嵌まった状態で、前記遮蔽部の表面と前記センサ基板の表面とが前記一方の主表面と同一平面をなすように、前記フレーム部の突出高さが決められている、請求項1〜4の何れか1項に記載の電子機器用カバーガラス。
【請求項7】
前記センサ基材とともに電子機器用の表示モジュールの少なくとも一部が前記フレーム部内に嵌まるように、前記フレーム部の突出高さが決められている請求項1〜4の何れか1項に記載の電子機器用カバーガラス。
【請求項8】
前記フレーム部は、前記ガラス基板と同一材料により形成され、前記ガラス基板と一体的に構成されている請求項1〜7の何れか1項に記載の電子機器用カバーガラス。
【請求項9】
電子機器に設けられ、利用者の操作に応じた電気信号を生成するための電子機器用タッチセンサモジュールであって、
請求項1〜8の何れか1項に記載の電子機器用カバーガラスと、
前記フレーム部内に嵌まるように前記電子機器用カバーガラスに設けられた前記センサ基材と
を有することを特徴とする電子機器用タッチセンサモジュール。
【請求項10】
電子機器の内部構成部品の保護用に電子機器の外装の少なくとも一部に用いられる電子機器用カバーガラスであって、
一対の主表面を有し、前記一対の主表面のうち一方の主表面側には、板厚方向外側に突出し、前記内部構成部品の少なくとも一部が嵌まるための空間を形成するフレーム部が設けられたガラス基板を有する、
ことを特徴とする電子機器用カバーガラス。
【請求項11】
電子機器の表示画面を保護するための電子機器用カバーガラスの製造方法であって、
ガラス基板の一対の主表面のうち一方の主表面側に、板厚方向外側に突出し、利用者の操作を検出するためのセンサ基材が嵌まるための空間を形成するフレーム部を形成する
ことを特徴とする電子機器用カバーガラスの製造方法。
【請求項12】
前記ガラス基板の一方の主表面側からエッチング処理を施すことにより前記フレーム部を形成する、請求項11に記載の電子機器用カバーガラスの製造方法。
【請求項13】
ダイレクトプレス法によってガラス基板の一対の主表面とともに前記フレーム部を形成する、請求項11に記載の電子機器用カバーガラスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルスティルカメラ、ビデオカメラ、またはスレートPC(Personal Computer)等の携帯機器を含む電子機器の表示画面や回路基板等を保護するための電子機器用カバーガラス及びその製造方法、並びに電子機器用タッチセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器を含む電子機器の表示画面や回路基板等の内部構成部品を保護することを主目的として、電子機器用カバーガラスが用いられている。近年、携帯機器の薄型化や高機能化の要請に加え、様々な形状の携帯機器の筐体及び表示画面に対応すべく、様々な電子機器用カバーガラスが作製されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、静電容量方式のタッチパネルに用いられる電子機器用カバーガラスとしての携帯機器用カバーガラスが開示されている。この携帯機器用カバーガラスは、化学強化ガラス等から構成されており、携帯電話機やPDA等の入力機能付き電気光学装置の表示装置を保護するように設けられている。タッチパネルは、携帯機器用カバーガラスと、透明導電膜が形成された透明基板からなるセンサ基板とを有しており、利用者の操作に応じた電気信号を生成するための携帯機器用タッチセンサモジュールとして機能するように構成されている。また、センサ基板の上面には、入力位置検出用電極が形成されており、携帯機器用カバーガラスは、センサ基板上に接着剤を介して積層されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−216042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の携帯機器用カバーガラスは、センサ基板上に接着剤を介して積層されているので、タッチパネルの厚さは、携帯機器用カバーガラス及びセンサ基板のそれぞれの板厚が単に加えられることにより増大する。したがって、このタッチパネルを用いた場合、携帯機器の薄型化を図ることが困難になるおそれがある。
【0006】
そこで、電子機器用カバーガラス及びセンサ基板の板厚をそれぞれ小さくしてタッチパネルの厚さを小さくすることにより、携帯機器の薄型化を図ることが考えられる。しかしながら、この場合には、板厚を小さくしたことによって電子機器用カバーガラスの強度が低下するため、表示装置を保護するという電子機器用カバーガラスの機能を果たすことができないおそれがある。
したがって、電子機器用カバーガラスをセンサ基板上に積層した場合、電子機器の薄型化を十分に図ることが困難であった。
【0007】
また、特許文献1に記載の技術では、入力位置検出用電極とフレキシブル配線基板とを電気的に接続するための配線がセンサ基板に設けられている。この配線を外部から遮蔽するために、携帯機器用カバーガラスの主表面の周縁には、遮光性を有する遮光部が設けられている。遮光部が設けられることによって、携帯機器用カバーガラスは、主表面の面積がセンサ基板の主表面の面積より大きくなるように形成されている。
【0008】
ここで、電子機器用カバーガラスをセンサ基板上に積層することにより構成されたタッチパネルは、主表面の面積の相違によって凸形状に形成される。この場合、センサ基板の外周には空隙が形成される。この空隙は、タッチパネルを表示装置と組み合わせる場合に構造設計が困難になる等の影響がある。
【0009】
上記の空隙の影響を回避するためには、例えば、接着剤等で構成された接着層をセンサ基板の外周に設けることによって空隙を埋める必要がある。しかしながら、接着層等を設けた場合には、部品点数及び製造工程が増加するため、タッチパネルの製造コストが嵩み、ひいては携帯機器を含む電子機器の製造コストが嵩む。したがって、電子機器用カバーガラスをセンサ基板上に積層した場合、携帯機器の製造コストが嵩むという問題も生じていた。
【0010】
そこで、本発明は、電子機器の薄型化を図るとともに、表示装置と組み合わせる際の構造設計を容易にし、さらには電子機器の製造コストを低減することができる電子機器用カバーガラス及びその製造方法、並びに電子機器用タッチセンサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様は、携帯機器の表示画面を保護するための携帯機器用カバーガラスである。
前記携帯機器用カバーガラスは、
板厚方向に対向する一対の主表面を有し、前記一対の主表面のうち一方の主表面には、透明導電膜が形成された透明基板と嵌合するための凹部が形成されたガラス基板を有している。
【0012】
上記携帯機器用カバーガラスにおいて、前記凹部の側面部は、前記一方の主表面から前記凹部の底面部に向かって前記底面部の中央部方向に傾斜するように形成されている、ことが好ましい。
【0013】
上記携帯機器用カバーガラスにおいて、前記一方の主表面と前記凹部の側面部との間には、介在面が設けられている、ことが好ましい。
【0014】
上記携帯機器用カバーガラスにおいて、前記凹部は、前記透明基板が前記凹部と嵌合したとき、前記透明基板の表面であって、前記ガラス基板とは反対の表面が、前記一方の主表面と同一平面をなすように形成されている、ことが好ましい。
【0015】
また、上記携帯機器用カバーガラスにおいて、光を遮蔽するための遮蔽部を前記一方の主表面に備え、前記凹部は、前記透明基板が前記凹部と嵌合したとき、前記透明基板の表面であって、前記ガラス基板とは反対の表面が、前記遮蔽部の表面であって、前記ガラス基板とは反対の表面と同一平面をなすように形成されている、ことが好ましい。
【0016】
本発明の他の態様は、携帯機器に設けられ、利用者の操作に応じた電気信号を生成するための携帯機器用タッチセンサモジュールである。
前記携帯機器用タッチセンサモジュールは、
上述した携帯機器用カバーガラスと、
前記透明基板と、を有し、
前記透明基板は前記凹部に嵌合され、
前記透明導電膜は、前記ガラス基板の前記一対の主表面のうち他方の主表面に対する利用者の操作に応じた電気信号を生成するための透明電極として用いられる。
【0017】
本発明の他の態様は、携帯機器の表示部を保護するための携帯機器用カバーガラスの製造方法である。
前記製造方法は、
板厚方向に対向する一対の主表面を有するガラス基板に、透明導電膜が形成された透明基板と嵌合するための凹部を形成する工程であって、前記一対の主表面のうち一方の主表面に前記凹部を形成する工程を有している。
【0018】
上記携帯機器用カバーガラスの製造方法において、前記凹部を形成する工程では、前記凹部をエッチングによって形成する、ことが好ましい。
【0019】
本発明の他の態様は、電子機器の表示画面を保護するための携帯機器用カバーガラスである。
前記電子機器用カバーガラスは、
電子機器の表示画面を保護するための電子機器用カバーガラスであって、
一対の主表面を有し、前記一対の主表面のうち一方の主表面側には、板厚方向外側に突出し、利用者の操作を検出するためのセンサ基材が嵌まるための空間を形成するフレーム部が設けられたガラス基板を有する。
【0020】
本発明の他の態様は、電子機器用タッチセンサモジュールである。
前記電子機器用タッチセンサモジュールは、
電子機器に設けられ、利用者の操作に応じた電気信号を生成するための電子機器用タッチセンサモジュールであって、
上述の電子機器用カバーガラスと、
前記フレーム部内に嵌まるように前記電子機器用カバーガラスに設けられた前記センサ基材と
を有する。
【0021】
本発明の他の態様は、電子機器の内部構成部品の保護用に電子機器の外装の少なくとも一部に用いられる電子機器用カバーガラスである。
前記電子機器用カバーガラスは、
一対の主表面を有し、前記一対の主表面のうち一方の主表面側には、板厚方向外側に突出し、前記内部構成部品の少なくとも一部が嵌まるための空間を形成するフレーム部が設けられたガラス基板を有する。
【0022】
本発明の他の態様は、電子機器の表示画面を保護するための電子機器用カバーガラスの製造方法である。
前記電子機器用カバーガラスの製造方法は、
ガラス基板の一対の主表面のうち一方の主表面側に、板厚方向外側に突出し、利用者の操作を検出するためのセンサ基材が嵌まるための空間を形成するフレーム部を形成する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、携帯機器の薄型化を図るとともに、表示装置と組み合わせる際の構造設計を容易にし、さらには携帯機器の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の携帯機器用カバーガラスの斜視図。
【図2】携帯機器用カバーガラスの平面図。
【図3】携帯機器用カバーガラスの底面図。
【図4A】携帯機器用カバーガラスの要部拡大断面図。
【図4B】図4Aに示した携帯機器用カバーガラスの変形例を示す要部拡大断面図。
【図4C】図4Aに示した携帯機器用カバーガラスの変形例を示す要部拡大断面図。
【図5A】携帯機器用タッチセンサモジュールの断面図。
【図5B】携帯機器用タッチセンサモジュールの断面図。
【図6A】携帯機器用タッチセンサモジュールの断面図。
【図6B】図6Aに示した携帯機器用タッチセンサモジュールの変形例を示す断面図。
【図7】図6Aに示した携帯機器用タッチセンサモジュールの変形例を示す断面図。
【図8】携帯機器用タッチセンサモジュールの変形例を示す断面図。
【図9】ガラス基板にエッチングを利用して溝を形成する工程を順に示す断面図。
【図10A】実施形態の携帯機器用タッチセンサモジュールを含む表示装置の概略構成を説明する図。
【図10B】周知技術の携帯機器用タッチセンサモジュールを含む表示装置の概略構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(1)本実施形態の携帯機器用カバーガラス
本実施形態の携帯機器用カバーガラス(以下、カバーガラスという)の構成について図1〜図3、及び図4A〜図4Cを参照して説明する。図1は本実施形態のカバーガラスの斜視図、図2はカバーガラスの平面図、図3はカバーガラスの底面図、図4Aは携帯機器用カバーガラスの要部拡大断面図(図2のIV−IV線に沿う断面図)、図4B,図4Cは図4Aに示した携帯機器用カバーガラスの変形例を示す要部拡大断面図である。
【0026】
本実施形態のカバーガラスは、例えば、表示画面に対する操作入力(タッチパネル機能としての操作入力)が可能な携帯型電子機器、特に携帯電話機、PDA、デジタルスティルカメラ、ビデオカメラ、またはスレートPC等の携帯機器の表示画面や回路基板等を保護するために用いられる。このため、本実施形態のカバーガラスは、落下あるいは表示画面への操作入力に対する仕様を満足させるべく、薄く且つ高い強度を有するガラスである必要があることから、イオン交換処理による化学強化がなされている。
【0027】
図1〜図3、及び図4A〜図4Cに示すように、本実施形態のカバーガラス10は板状に形成されており、カバーガラス10を構成するガラス基板11の主表面は、例えば、長手方向の寸法が8〜16cm、短手方向の寸法が4〜8cmの略矩形状に形成されている。なお、ガラス基板11の主表面の形状は、略矩形状あるいは矩形状に限られず、各種携帯機器の形状や構造等に応じて適宜変更してもよい。また、カバーガラス10には、携帯機器に設けられたスピーカからの音声出力、又はマイクへの音声入力等のために、カバーガラス10の板厚方向に貫通する孔が設けられてもよい。
【0028】
ガラス基板11の板厚Tは特に限定されないが、カバーガラス10を利用する各種携帯機器の重量増大の抑制や、携帯機器の薄型化の観点から、通常は、1mm以下であることが好ましく、0.7mm以下であることがより好ましい。なお、板厚Tの下限値は、カバーガラス10の機械的強度を確保する観点から、0.2mm以上とすることが好ましい。
【0029】
ガラス基板11は、携帯機器の表示画面に取り付け可能に形成されている。また、ガラス基板11は、携帯機器の表示画面に取り付けられたときに携帯機器の外側に面する第1主表面11aと、携帯機器の表示画面に取り付けられたときに携帯機器の表示画面に面する第2主表面11bとを有している。各主表面11a,11bはガラス基板11の板厚方向(図4A〜図4Cにおいて上下方向)に対向している。また、ガラス基板11の第2主表面11bには、後述するタッチセンサ20と嵌合するための凹部12が形成されている。
【0030】
凹部12の形状は、第2主表面11bから第1主表面11aに向かって窪む形状である。また、凹部12は、側面部12aと底面部12bとを有している。側面部12aは、第2主表面11bと底面部12bとの間に設けられている。また、側面部12aは、ガラス基板11の板厚方向に沿って配置されている。底面部12bは、第2主表面11bと平行な平面をなすように形成されている。凹部12は、ガラス基板11の外周端面から、第2主表面11bの面方向内側に向かって間隔(好ましくは2mm以上の間隔)をおいて配置されている。即ち、第2主表面11bには、外周縁部と凹部12とが形成されている。
【0031】
なお、凹部12の寸法について、好適な範囲としては、次の通りである。凹部12における開口面(第2主表面11bと同一平面をなす部分)の大きさは、長手方向24〜154mm、短手方向9〜74mmである。また、凹部12における底面部12bの大きさは、長手方向24〜154mm、短手方向9〜7mmである。さらに、凹部12の深さは、0.1〜0.3mmである。
【0032】
ここで、ガラス基板11の断面をみたとき、図4A〜図4Cに示すように、側面部12aは、第2主表面11bから底面部12bに向かって、板厚方向に対して傾斜(例えば、底面部12bの中央部方向に傾斜)するように形成されていることが好ましい。すなわち、ガラス基板11の断面をみたとき、側面部12aと底面部12bとの延長面同士のなす角が鈍角であることが好ましい。具体的に説明すると、例えば、側面部12aと底面部12bとの延長面同士のなす角が鋭角や直角である場合には、後述する遮蔽部13や接着剤14を凹部12に積層する際に、側面部12a及び底面部12b間の境界と、遮蔽部13や接着剤14との間に空隙が生じ易くなる。この場合、外部からの入射光が空隙内の空気によって反射されることにより、携帯機器の表示画面が見難くなる等の問題が生じる。そこで、側面部12a及び底面部12bを上記のように構成することにより、空隙が形成されるのを防ぐことができる。
【0033】
また、図4A,図4Bに示すように、第2主表面11bと側面部12aとの間には、介在面12cが設けられていることが好ましい。介在面12cは、第2主表面11bと側面部12aとの間の境界を面取りすることにより形成されてもよい。介在面12cは、ガラス基板11の断面(図2のIV-IV線に沿う断面)をみたとき、図4Aに示すように直線状に形成されてもよいし、図4Bに示すように曲線状に形成されてもよい。介在面12cが設けられていることにより、ガラス基板11の表面が、第2主表面11bから側面部12aに亘って滑らかに傾斜する。このため、タッチセンサ20を凹部12に容易に嵌合させることができる。
【0034】
なお、図4Cに示すように、ガラス基板11には、遮蔽部(塗装部)13が設けられてもよい。遮蔽部13は、第2主表面11b、側面部12a及び底面部12bの周縁部のそれぞれに積層して設けられており、第1主表面11aからガラス基板11の板厚方向に入射された光を遮蔽する。遮蔽部13の厚さは、携帯機器の薄型化の観点から、3〜50μmであることが好ましい。
【0035】
遮蔽部13は、後述する印刷工程において塗料を多層に積層することにより形成されると好ましい。塗料を多層に積層してなる印刷層の印刷内容は問わないが、多層構造を有する印刷層を形成する場合の代表的な例(第1層がネガ印刷の例)を挙げると、第1層は外周の額縁部分を印刷する層で、当該第1層には機器のモデル、社名のロゴ、各種センサーホールなどが抜き形状となっている。
【0036】
第2層は社名のロゴやモデル名を指定の色で印刷する層、第3層はロゴやモデル名の印刷部の遮光性ならびに額縁印刷部分のピンホールを消すための裏打ち層、第4層にも裏打ち層、第5層は明度センサーホール部分に印刷する透過率調整用のフィルターインク、第6層は筐体に接着する、あるいは後述するセンサ用ガラス基板21を取り付ける際の位置合わせ用ガイドラインといった構成がある。
【0037】
本実施形態のガラス基板11の各主表面11a,11bのそれぞれには、後述する化学強化によって所定厚さの圧縮応力層が形成されている。この圧縮応力層は、ガラス基板11を構成するガラス材料に元々含まれるアルカリ金属の一部を、よりイオン半径の大きなアルカリ金属に置換した変質層である。例えば、本実施形態のガラス基板11を構成するガラス材料に含まれるナトリウムイオンがカリウムイオンに置換される。
【0038】
また、本実施形態のガラス基板11は、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス等で構成されていることが好ましい。中でも、ガラス基板11は、SiOとAlと、LiOおよびNaOから選択される少なくとも1種のアルカリ金属酸化物と、を含むアルミノシリケートガラスで構成されていることが好ましい。
【0039】
(2)実施形態の電子機器用タッチセンサモジュールとしての携帯機器用タッチセンサモジュール
次に、本実施形態の電子機器用タッチセンサモジュールとしての携帯機器用タッチセンサモジュール30(以下、モジュール30という)の構成について図5A及び図5Bを参照して説明する。図5A,図5Bはそれぞれ本実施形態のモジュールの断面図である。
本実施形態のモジュール30は、静電容量結合方式のタッチパネルとして機能し、例えば、ガラス基板11の第1主表面11aが押圧されることにより変化した容量変化を、抵抗値、電圧、電流等の変化により検出するようになっている。また、本実施形態のモジュール30は、カバーガラス10と、タッチセンサ20とを有している。
【0040】
タッチセンサ20は、センサ基材としてのセンサ用ガラス基板21と、透明導電膜22とを有し、カバーガラス10と携帯機器の表示画面との間に介在して、携帯機器の表示画面に対する操作入力を検出するように構成されている。センサ用ガラス基板21は、携帯機器の表示画面に取り付け可能な板状に形成されており、センサ用ガラス基板21の主表面は、例えば、長手方向の寸法が2〜15cm、短手方向の寸法が0.5〜7cmの略矩形状に形成されている。ここでは、センサ基材の一例としてセンサ用ガラス基板21を用いて説明するが、センサ基材としては、例えばフィルムや、アクリル板等であってもよい。
【0041】
センサ用ガラス基板21は、携帯機器の表示画面に取り付けられたときに携帯機器の外側に面する第1主表面21aと、携帯機器の表示画面に取り付けられたときに携帯機器の表示画面に面する第2主表面21bとを有している。各主表面21a,21bはセンサ用ガラス基板21の板厚方向(図5A及び図5Bにおいて上下方向)に対向している。また、センサ用ガラス基板21の板厚T1は、携帯機器の薄型化の観点から、0.5mm以下であることが好ましく、0.4mm以下であることがより好ましい。なお、センサ用ガラス基板21は、透明基板の一例である。
【0042】
透明導電膜22は、カバーガラス10の第1主表面11aに対する利用者の操作に応じた電気信号を生成するための透明電極として用いられる。透明導電膜22は、第1主表面21a上に設けられ、第1主表面21aに対して平行な平面をなすように形成されている。ここで、第1主表面21aに対して平行な平面をなすようにとは、透明導電膜22が、その内部で断線が生じない程度の屈曲部分を含む構成を有していることをいう。
【0043】
また、透明導電膜22は、センサ用ガラス基板21の第1主表面21aに沿って所定の厚みをもって配置されている。ここで、所定の厚みとは、例えば、透明導電膜22がスパッタ法により成膜される場合には100nm以下であり、透明導電膜22が印刷法により成膜される場合には、透明樹脂を含めて1000nm以下である。
【0044】
さらに、透明導電膜22は、カバーガラス10が携帯機器の表示画面に取り付けられたときに、ガラス基板11の第1主表面11aに対する携帯機器の利用者の操作(例えば、携帯機器の利用者が指等で第1主表面11aを押圧する等)に応じた電気信号を生成する。透明導電膜22は、生成した電気信号を、例えば、FPC(フレキシブルプリント基板)に電気的に接続するためのランドあるいは信号配線用の金属パターン等の接続部(図示省略)に出力する。
【0045】
透明導電膜22には、例えば、複数の透明電極をなすように、格子状等の間隙が形成された任意のパターンが形成されていてもよい。また、透明導電膜22は、センサ用ガラス基板21の板厚方向に多層に配置されてもよい。
【0046】
透明導電膜22から出力された電気信号は、接続部を介して位置検出回路(図示省略)に送信される。位置検出回路は、ガラス基板11の第1主表面11aが押圧されることにより変化した抵抗値、電圧、電流等に基づき、押圧位置を検出する。
【0047】
以上のように構成されたタッチセンサ20は、図5Aに示すように、ガラス基板11の凹部12に対してガラス基板11の板厚方向に嵌合する。この場合、図5Bに示すように、センサ用ガラス基板21の第1主表面21aは、凹部12の底面部12bに面するように配置され、センサ用ガラス基板21の第2主表面21bは、第2主表面11bと同じ方向(図5Bにおいて下方)に面するように配置される。また、タッチセンサ20と凹部12との間には、例えばゲル状の接着剤14が介在してもよい。
【0048】
ここで、本実施形態のカバーガラス10には、タッチセンサ20と嵌合する凹部12が形成されているので、本実施形態のモジュール30の厚さT2は、例えば、カバーガラス10をタッチセンサ20上に積層したときのモジュールの厚さ(T+T1)よりも小さい。したがって、本実施形態のカバーガラス10を用いることにより、モジュール30の厚さが増大するのを抑制することができる。
【0049】
また、センサ用ガラス基板21のうち、タッチセンサ20が凹部12に嵌合したときにガラス基板11の第2主表面11bから外部に突出する部分の外周に形成される空隙Sのサイズは、例えば、カバーガラス10をタッチセンサ20上に積層した場合にセンサ用ガラス基板21の外周に形成される空隙のサイズよりも小さい。したがって、モジュール30を携帯機器の表示装置と組み合わせる場合に構造設計が困難になる等の影響を低減することができる。
【0050】
さらに、センサ用ガラス基板21の外周に形成される空隙のサイズを小さくできることにより、空隙を埋めるための接着剤等をセンサ用ガラス基板21の外周に設ける必要をほぼなくすことができる。これにより、部品点数及び製造工程の増加を抑制することができ、モジュール30の製造コストを低減することができる。
【0051】
なお、凹部12は、図6Aに示すように、センサ用ガラス基板21が凹部12と嵌合したとき、センサ用ガラス基板21の第2主表面21b(ガラス基板11に面する第1主表面21aとは反対の表面)が、ガラス基板11の第2主表面11bと同一平面をなすように形成されている、ことが好ましい。例えば、接着剤14を用いない場合には、凹部12の深さを、センサ用ガラス基板21の板厚と同じサイズに形成してもよい。これにより、センサ用ガラス基板21の外周に形成される空隙のサイズを極めて小さくすることができる。ここで、同一平面をなすとは、ガラス基板11の板厚方向におけるガラス基板11の第2主表面11bとセンサ用ガラス基板21の第2主表面21bとの各平面間の段差が200μm以下に形成されていることをいう。この段差は、ガラス基板11の第2主表面11bが、センサ用ガラス基板21の第2主表面21bよりもガラス基板11の板厚方向に突出することで形成されてもよいし、センサ用ガラス基板21の第2主表面21bが、ガラス基板11の第2主表面11bよりもガラス基板11の板厚方向に突出することで形成されてもよい。なお、各平面間の段差は、100μm以下に形成されていることがより好ましい。
【0052】
また、ガラス基板11の第2主表面11bに遮蔽部13を設けた場合には、凹部12は、図6Bに示すように、センサ用ガラス基板21が凹部12と嵌合したとき、センサ用ガラス基板21の第2主表面21bが、遮蔽部13の表面であって、ガラス基板11とは反対の表面(図6Bにおいて下方の表面)である遮蔽部表面13aと同一平面をなすように形成されていることが好ましい。この場合においても、センサ用ガラス基板21の外周に形成される空隙のサイズを極めて小さくすることができる。
【0053】
なお、遮蔽部13は、図7に示すように、ガラス基板11の第1主表面11a側に設けられてもよい。この場合、遮蔽部13は、第1主表面11aの周縁部上に接着剤14を介して設けられる。また、遮蔽部13及び接着剤14の上面に、例えば、ポリエステルを積層してなる飛散防止フィルム(ASF:anti-scattering film)等のフィルム15を設けてもよい。
【0054】
ここで、これまでに説明したカバーガラス及びタッチセンサモジュールについては、前述と同様の図1〜7に基づき、それぞれ次のような構成のカバーガラス及びタッチセンサモジュールとしても表現することができる。
図1〜3及び図4A〜図4Cにおいて、ガラス基板11は、一対の主表面11a,12bを有している。ガラス基板11の主表面12b側には、主表面12bに対して板厚方向外側に突出し、利用者の操作を検出するためのセンサ基材が嵌まるための平面視四角形状の空間を形成するフレーム部11cが設けられている。フレーム部11cは、ガラス基板11と同一材料により形成され、ガラス基板11と一体的に構成されている。フレーム部11cは、先端面11bと、板厚方向に対して傾斜するように形成された内壁面12aと、先端面11b及び内壁面12a間に介在する介在面12cとを有している。このようなフレーム部11cが設けられたガラス基板11を有するカバーガラスは、センサ基板21の一方の主表面と外周の側壁面とを保護する構成である。
【0055】
ここで、フレーム部11cは、図8に示すように、センサ用基板21の位置決め用としてセンサ用基板21の外周形状に対応するように形成されていてもよい。つまり、フレーム部11cの内壁面12aが、フレーム部11cに設けられるセンサ用基板21の外周面を囲むように形成されている。なお、図8に示す構成の場合、フレーム部11cの内壁面12aが、センサ用基板21の外周面の少なくとも一部と接していてもよい。このような構成の場合、センサ用基板21をガラス基板11のフレーム部11c内に嵌める際のセンサ用基板21の位置合わせを容易に行うことができ、センサモジュールの製造効率を向上させることができる。
【0056】
また、図6Aに示すように、センサ用ガラス基板21がフレーム部11c内に嵌まった状態で、フレーム部11cの先端面11bとセンサ用ガラス基板21の表面とが同一平面をなすように、フレーム部11cの突出高さが決められている。さらに、図6Bに示すように、フレーム部11cの先端面11bに遮蔽部13が形成されている場合にあっては、センサ用ガラス基板21がフレーム部11c内に嵌まった状態で、遮蔽部表面13aとセンサ用ガラス基板21の表面とが同一平面をなすように、フレーム部11cの突出高さが決められている。
【0057】
(3)実施形態のカバーガラスの製造方法
次に、本実施形態のカバーガラス10の製造方法を説明する。本実施形態のカバーガラス10の製造方法は、板状ガラス作製工程と、形状加工工程と、化学強化工程と、印刷工程と、を有する。
(3−1)板状ガラス作製工程
板状ガラス作製工程は、溶融ガラスから板状ガラスを作製する工程であり、例えばフロート法を採ることができる。フロート法は、溶融炉で溶融された溶融ガラスを、溶融錫が貯溜されたフロートバスに供給し、その溶融ガラスをフロートバスの溶融錫上で水平方向に引き出して成形する方法である。フロート法によれば、溶融ガラスをフロートバスの溶融錫上に浮かせることにより、溶融ガラスが自然に広がって安定した厚みになるとともに、この溶融ガラスを水平方向に引き出すことにより、帯状のガラスリボンが成形される。
そして、ガラスリボンは、フロートバスの下流側に設けられた徐冷炉に搬送されて徐冷された後に、所望の大きさの板状ガラスが得られるように切断される。
【0058】
なお、板状ガラスを作製する方法として、フロート法の他にダウンドロー法やプレス法等を用いてもよいが、表面精度の良好な板状ガラスが得られる点及び板状ガラスの大量生産に適している点から、フロート法を用いることが好ましい。
【0059】
(3−2)形状加工工程
次に形状加工工程を行う。形状加工工程は、板状ガラス作製工程で得られた板状ガラスを、カバーガラスの外形に応じた所望の形状のガラス基板に加工する工程である。以下、形状加工工程として、エッチングを利用した方法について説明する。エッチングを利用した形状加工工程は、以下の(a−1)耐エッチング膜形成工程、(a−2)パターニング工程、(a−3)切断工程、を含む。形状加工工程においてエッチングを利用することにより、形状加工工程において機械加工による切断法を用いた場合と比較して、カバーガラスの切断面における微小な傷やクラック等の発生を抑制できることから、この傷やクラック等に起因してカバーガラスの強度が低下することを防ぐことができる。
【0060】
(a−1)耐エッチング膜形成工程
耐エッチング膜形成工程では、板状ガラスの少なくとも一方の面上に、耐エッチング膜を形成する。この耐エッチング膜は、通常、板状ガラスの両面に形成されるが、後の切断工程において、片面のみをエッチング溶液に接触させる場合には、当該片面にのみ耐エッチング膜が形成されていればよい。なお、以下の説明においては、耐エッチング膜が、板状ガラスの両面に形成されることを前提として説明する。
【0061】
耐エッチング膜としては、後のパターニング工程において、パターニング処理により部分的に除去可能であり、かつ、切断工程において用いるエッチング溶液に対しては溶解・除去されない性質を有するものであれば、適宜選択できる。このような耐エッチング膜としては、少なくとも弗酸水溶液に対して難溶性または不溶性を示すレジスト膜を用いることが好ましい。この場合、パターニング工程においては、レジスト膜を、フォトマスクを用いた露光処理と現像液による現像処理とによってパターニング処理し、切断工程においてエッチング溶液を利用して切断を行うことができる。
【0062】
(a−2)パターニング工程
パターニング工程では、少なくとも耐エッチング膜を、パターニングする。これにより、板状ガラスの表面全面を覆う耐エッチング膜のうち、最終的に作製されるガラス基板11の平面方向の形状に対応する領域以外の耐エッチング膜を除去する。耐エッチング膜のパターニング方法としては、代表的には、上述した露光・現像を組み合わせて実施するフォトリソグラフィが利用できる。なお、パターニング工程は、両面に耐エッチング膜が形成された板状ガラスの少なくとも片面に対して実施すればよく、両面に対して実施してもよい。
【0063】
(a−3)切断工程
切断工程では、板状ガラスの、パターニングされた耐エッチング膜が設けられた面を、エッチング溶液に接触させてエッチングすることで、板状ガラスを小片に切断する。エッチング処理は、通常、板状ガラスをエッチング溶液に浸漬させて行う。エッチング溶液としては、少なくとも弗酸を含むものであれば特に限定されないが、必要に応じて、塩酸等のその他の酸や、界面活性剤等の各種の添加剤が添加されていてもよい。
このようにして、所望の形状のガラス基板11が得られる。
【0064】
次に、ガラス基板11に対し、エッチングを利用して凹部12を形成する方法について説明する。図9は、ガラス基板11に対し、エッチングを利用して凹部12を形成する工程を順に示す断面図である。
まず、ガラス基板11の第2主表面11bにレジスト(感光性有機材料)層16を塗布形成し(図9のステップS1参照)、所定の露光、現像を行って、第2主表面11bに凹部12のパターン16aを有するレジストパターン(つまり凹部12を形成する領域のレジスト層が除去されている)を形成する(図9のステップS2参照)。
【0065】
そして、このレジストパターンをマスクとして、ガラス素材を溶解可能なエッチング液(例えばフッ酸を含有する酸性溶液など)を用いてウェットエッチングすることにより、第2主表面11bに凹部12が形成される(図9のステップS3参照)。上記フッ酸を含有する酸性溶液としては、例えば、フッ酸水溶液、フッ酸と塩酸の混合溶液、フッ酸と硫酸の混合溶液、フッ化アンモニウム含有水溶液などが挙げられる。
そして、残ったレジストパターンを剥離し、ガラス基板11を洗浄する(図9のステップS4参照)。
【0066】
またレジストを使用したウェットエッチングによる形状加工では、第2主表面11bと凹部12の側面部12aとの境界に対し丸みを付けた形状の介在面12cを形成してもよい。ここで、上記凹部12の底面部12bと、壁面である側面部12aとの境の曲率半径は、10μm以上であるのが好ましい。
【0067】
介在面12cを、丸みを付けた形状にするためには、ガラス基板11の主表面に、この主表面側が最も重合度が小さくなるようにガラス基板11の板厚方向に重合度勾配を有するレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして上記のウェットエッチングを行う。カバーガラスの主表面側のレジストの重合度が小さいほどガラスとレジストとの密着力が小さくなる。
【0068】
ここで、レジストパターンが、ガラス基板11の板厚方向に重合度勾配を有するようにするためには、例えばレジスト厚、露光量、ポストベーク条件などをコントロールすればよい。これらの条件のコントロールは、使用するレジストの種類や露光光のエネルギーにより適宜変更して行う。このようにガラスとレジストとの間の密着力をコントロールすることにより、レジストとガラス(主表面)との間の界面にエッチング液が浸み込み易くなり、結果的に、上記介在面12cが丸みを付けた形状に形成される。このため、ガラス基板11の凹部12にタッチセンサ20を嵌合する際にチッピング等が発生することを防止できる。
【0069】
このようにして、ガラス基板11の第2主表面11bに凹部12が形成される。エッチングを利用して凹部12を形成した場合、微小な傷やマイクロクラック等が凹部12の側面部12aや底面部12bに発生するのを抑制できるため、カバーガラスの強度を損なうことなく、例えば化学強化処理によって得られるカバーガラスの高い強度を維持することができるので、好ましい。
【0070】
なお、形状加工工程では、例えばスクライブ加工やレーザ加工等の機械加工によって、板状ガラスの切断あるいは凹部12の形成を行ってもよい。ここで、スクライブとは、板状ガラスあるいはガラス基板11の表面に、超鋼合金製あるいはダイヤモンドからなるスクライバにより所望の形状の切断線(線状のキズ)を設けることをいう。ガラス基板11あるいは凹部12を機械加工によって形成することにより、カバーガラス10の製造効率を向上させることができる。この場合、ガラス基板11の断面をみたときに、側面部12aに沿って伸びる線と底面部12bに沿って伸びる線とのなす角は、85度以上〜90度以下でもよい。この角度は90度を超えないことが望ましい。
【0071】
また、形状加工工程では、第2主表面11bと凹部12の側面部12aとの境界に対してチャンファリング加工を施すことにより、介在面12cを形成してもよい。チャンファリング加工は、ダイヤモンド砥石を用いて面取りを施す形状加工である。介在面12cを平面状に形成する場合、面取り角度は、第2主表面11bに対して例えば10〜40度である。このため、ガラス基板11の凹部12にタッチセンサ20を嵌合する際に、チッピング等が発生することを防止できる。
【0072】
(3−3)化学強化工程
次に、形状加工工程によって得られたガラス基板11に対して化学強化工程を行う。
化学強化工程では、ガラス基板11を複数枚、カセット(ホルダー)に装填し、溶融塩を含む化学強化処理液にカセットを浸漬させる。これにより、ガラス基板11に含まれる1種以上のアルカリ金属を、溶融塩のアルカリ金属との間でイオン交換処理を行い、ガラス基板11の表層部分に圧縮応力層を形成する。
【0073】
溶融塩の組成および温度、ならびに、浸漬時間は、ガラス基板11のガラス組成や、ガラス基板11の表層部分に形成する圧縮応力層の厚み等に応じて適宜選択できるが、ガラス基板11のガラス組成が上述したアルミノシリケートガラスであれば、化学強化処理液の処理温度を通常300℃以上500℃以下とする低温型イオン交換法を利用することが好ましい。これは、イオン交換をガラスの徐冷点以上の温度域で行う高温型イオン交換法では、低温型イオン交換法ほど大きな強度が得られず、また、強化処理中に溶融塩によってガラス表面が浸食され透明性が損なわれやすいため、カバーガラス10に適したガラス基板11が得られにくいことによる。例えば、本実施形態の化学強化工程では、溶融塩の組成および温度、ならびに、浸漬時間は、下記に例示する範囲から選択することが好ましい。
・溶融塩の組成 :硝酸カリウム(KNO3)の単塩、硝酸ナトリウム(NaNO3)の単塩、または、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを任意の重量比で混合した混合塩
・溶融塩の温度 :350℃〜450℃
・浸漬時間 :1時間〜8時間
【0074】
この化学強化工程によって各主表面11a,11bのそれぞれに形成される圧縮応力層の厚さは、40〜80μmである。本実施形態では、ガラス基板11のガラス組成がアルミノシリケートガラスであるため、例えばガラス基板11と同じ板厚のソーダライム系フロートガラスと比較した場合に、形成される圧縮応力層の厚さを大きくすることができる。
なお、化学強化工程によって得られたガラス基板11の機械的強度は、3点抗折強度(3点曲げ強さ)で5000kgf/cm2以上が好ましく、さらに好ましくは、7000kgf/cm2以上、最も好ましくは、10000kgf/cm2以上である。
【0075】
(3−4)印刷工程
次に、化学強化されたガラス基板11に対して、第2主表面11bから凹部12の底面部12bの周縁部に亘る遮蔽部13を形成するための印刷工程を行う。印刷方法は、印刷層を構成する塗料、印刷層の各層の厚さに応じて、例えばスクリーン印刷等の公知の様々な手法を利用することができる。ここで、塗料としては、例えば、カーボンを顔料に用いた各種インク等を用いることができる。
このようにして、本実施形態のカバーガラス10が得られる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態のカバーガラス10によれば、化学強化処理によって形成された圧縮応力層を有することから、機械的強度が向上する。なお、本実施形態のカバーガラス10では、ガラス基板11のうち凹部12が設けられた部分の厚さが小さくなっているが、タッチセンサ20を凹部12に組み込むことにより、カバーガラス10の機械的強度を補うことができる。
【0077】
また、本実施形態のカバーガラス10によれば、タッチセンサ20と嵌合するための凹部12が第2主表面11bに形成されている。これにより、モジュール30の厚さが増大するのを抑制することができるので、携帯機器の薄型化を図ることができる。
【0078】
さらに、本実施形態のカバーガラス10によれば、タッチセンサ20が凹部12に嵌合することにより、タッチセンサ20のうちガラス基板11の第2主表面11bから外部に突出する部分の外周に形成される空隙Sのサイズを小さくすることができる。これにより、モジュール30を携帯機器の表示装置と組み合わせる場合に構造設計を容易にすることができる。
【0079】
また、センサ用ガラス基板21の外周に形成される空隙のサイズを小さくできることにより、空隙を埋めるための接着剤等をセンサ用ガラス基板21の外周に設ける必要をほぼなくすことができる。これにより、部品点数及び製造工程の増加を抑制することができるので、モジュール30の製造コストを低減することができ、ひいては携帯機器の製造コストを低減することができる。
【0080】
なお、本実施形態のカバーガラス10によれば、タッチセンサ20をガラス基板11の凹部12に組み込むように構成されているため、タッチセンサを液晶パネルに組み込む周知の構成(例えば、タッチセンサを液晶の画素の中に構成するインセル構成や、タッチセンサをカラーフィルタ基板と偏光板との間に構成するオンセル構成等)と比較して、タッチセンサ20によって検出可能な領域のサイズを自由に形成することができるという利点がある。この利点につき、図10A及び図10Bを参照して説明する。
図10Aは本実施形態のモジュールを含む表示装置の概略構成を説明する図であり、図10Bは周知技術のモジュールを含む表示装置の概略構成を説明する図である。
【0081】
例えば、図10Aに示すように、本実施形態のカバーガラス10を用いた場合には、タッチセンサ20と嵌合するように凹部12を形成することにより、タッチセンサ20と液晶パネル40とを分離することができる。このため、タッチセンサ20によって検出可能な領域R1のサイズを、表示画面の表示領域R2のサイズと独立して形成することができる。ここで、領域R1は、ガラス基板11のうち透明導電膜22と重なる部分の領域に対応し、表示領域R2は、ガラス基板11のうち液晶パネル40と重なる部分から遮蔽部13を除いた部分の領域に対応する。
【0082】
これにより、本実施形態では、例えば、領域R1のサイズを表示領域R2のサイズよりも大きく形成する等のように、タッチセンサ20の設計自由度を向上させることができる。したがって、領域R1及び表示領域R2のサイズがそれぞれ異なる複数の携帯機器に対して本実施形態のモジュール30を適用することができるので、モジュール30の汎用性を向上させることができる。
【0083】
一方、図10Bに示すように、タッチセンサを液晶パネル40に組み込む周知の構成とした場合には、領域R2のサイズは、表示領域R1のサイズと同じ大きさになるように形成される。この場合、本実施形態のモジュール30と比較して、タッチセンサの設計自由度を向上させることができない。したがって、タッチセンサを液晶パネル40に組み込む構成とした場合には、領域R1及び表示領域R2のサイズがそれぞれ異なる複数の携帯機器に対してモジュールを適用することができないので、モジュールの汎用性を向上させることができない。
以上のように、本実施形態のカバーガラス10及びモジュール30の利点は明らかである。
【0084】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の携帯機器用カバーガラス及びその製造方法、並びに携帯機器用タッチセンサモジュールは上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのは勿論である。
【0085】
特に、本発明の実施形態では、透明導電膜については、その膜厚や抵抗値等を適宜変更することにより、例えば電磁波シールド膜等のように、携帯機器用カバーガラスの電気的特性を変化させる機能膜として用いることができる。
【0086】
また、上述の実施の形態の構成の変形例として、液晶モジュールや有機ELモジュールなどの表示モジュールの少なくとも一部がセンサ基材とともにガラス基板11のフレーム部11c内に嵌り込む構成であってもよい。即ち、ガラス基板11のフレーム部11c内にセンサ基材とともに表示モジュールの少なくとも一部が嵌り込めるように、フレーム部11cの突出高さを定めてもよい。例えば主表面12bに対するフレーム部11cの突出高さが2〜20mmに設定しても良い。
【0087】
さらに、本発明は、電子機器の筐体背面用のカバーガラスとしても用いることができる。この場合、内部構成部品、例えばカメラモジュールの少なくとも一部(レンズ部分)や、プリント配線基板の少なくとも一部(IC等の突出部分)が嵌め込み可能となるように、フレーム部11cの形状を定めてよい。つまり、フレーム部11cの形状としては、平面視四角形状に限定するものではなく、平面視円状などであってもよい。また、フレーム部11cの内部空間の面積も、嵌め込み対象物に応じて定めることができる。
【0088】
また、上述の実施の形態では、フレーム部11cの形状が平面視四角形状であり、図2に示したように、ガラス基板11の四辺それぞれを繋ぐような構成であった。しかしながら、フレーム部11cの構成は、この例に限定されるものではなく、ガラス基板11の四辺のうち、互いに平行な2辺のみに配置された構成であってもよい。さらに、フレーム部11cの構成として、ガラス基板11とは別の部材のスペーサを用いてもよい。
【0089】
さらに、上述の実施の形態では、凹部12あるいはフレーム部11cを形成する方法として、エッチング加工又は機械加工の例を説明した。しかしながら、国際公開2012/132293に示すような(ダイレクト)プレス法の金型の転写面形状を適宜設定することにより、ガラス基板の外形とともに凹部12あるいはフレーム部11cを形成することもできる。この場合、複雑形状のガラス基板を容易に製造することができ、製造効率を向上させることができる。これに加えて、ガラス基板を厚さ方向に曲げることもでき、電子機器のデザイン性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0090】
10…携帯機器用カバーガラス
11…ガラス基板
11a…第1の主表面
11b…第2の主表面
12…凹部
12a…側面部
12b…底面部
12c…介在面
13…遮蔽部
13a…遮蔽部表面
14…接着剤
15…フィルム
20…タッチセンサ
21…タッチセンサ用ガラス基板
22…透明導電膜
30…携帯機器用タッチセンサモジュール
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】

【手続補正書】
【提出日】20140604
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
光を遮蔽するための遮蔽部が前記フレーム部の先端面に形成され、前記センサ基材が前記フレーム部内に嵌まった状態で、前記遮蔽部の表面と前記センサ基材の表面とが前記一方の主表面と同一平面をなすように、前記フレーム部の突出高さが決められている、請求項1〜4の何れか1項に記載の電子機器用カバーガラス。
素材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
なお、凹部12の寸法について、好適な範囲としては、次の通りである。凹部12における開口面(第2主表面11bと同一平面をなす部分)の大きさは、長手方向24〜154mm、短手方向9〜74mmである。また、凹部12における底面部12bの大きさは、長手方向24〜154mm、短手方向9〜74mmである。さらに、凹部12の深さは、0.1〜0.3mmである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
一方、図10Bに示すように、タッチセンサを液晶パネル40に組み込む周知の構成とした場合には、領域Rのサイズは、表示領域Rのサイズと同じ大きさになるように形成される。この場合、本実施形態のモジュール30と比較して、タッチセンサの設計自由度を向上させることができない。したがって、タッチセンサを液晶パネル40に組み込む構成とした場合には、領域R1及び表示領域R2のサイズがそれぞれ異なる複数の携帯機器に対してモジュールを適用することができないので、モジュールの汎用性を向上させることができない。
【国際調査報告】