(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013103146
(43)【国際公開日】20130711
【発行日】20150511
(54)【発明の名称】アミノ酸骨格を有する一本鎖核酸分子
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20150414BHJP
   C07C 237/08 20060101ALI20150414BHJP
   C07F 9/24 20060101ALI20150414BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20150414BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20150414BHJP
   A61K 47/48 20060101ALI20150414BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20150414BHJP
【FI】
   !C12N15/00 GZNA
   !C07C237/08
   !C07F9/24 Z
   !A61K48/00
   !A61K31/7105
   !A61K47/48
   !A61P29/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】89
【出願番号】2013552434
(21)【国際出願番号】JP2012084247
(22)【国際出願日】20121229
(31)【優先権主張番号】2012001711
(32)【優先日】20120107
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2012026745
(32)【優先日】20120209
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】310015086
【氏名又は名称】株式会社ボナック
【住所又は居所】福岡県久留米市合川町1488番地4
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100122688
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】大木 忠明
【住所又は居所】福岡県久留米市合川町1488−4 福岡バイオファクトリー4F 株式会社ボナック内
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寛
【住所又は居所】兵庫県伊丹市中央3−2−5−201
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 智洋
【住所又は居所】福岡県久留米市合川町1488−4 福岡バイオファクトリー4F 株式会社ボナック内
(72)【発明者】
【氏名】青木 絵里子
【住所又は居所】福岡県久留米市合川町1488−4 福岡バイオファクトリー4F 株式会社ボナック内
【テーマコード(参考)】
4B024
4C076
4C084
4C086
4H006
4H050
【Fターム(参考)】
4B024AA01
4B024BA80
4B024CA11
4B024DA03
4B024GA11
4B024HA17
4C076AA95
4C076CC04
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4C076EE23
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4C086EA16
4C086MA01
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4C086NA14
4C086ZB11
4H006AA03
4H006AB46
4H006AB99
4H006AC53
4H006BP10
4H006BV22
4H050AA03
4H050AB46
4H050AB99
(57)【要約】
本発明は、容易且つ効率よく製造が可能であり、遺伝子の発現を抑制可能な新たな核酸分子の提供を目的とする。
標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む一本鎖核酸分子であって、領域(X)、リンカー領域(Lx)および領域(Xc)を含み、前記領域(Xc)と前記領域(Xc)との間に、前記リンカー領域(Lx)が連結され、前記領域(Xc)が、前記領域(X)と相補的であり、前記領域(X)および前記領域(Xc)の少なくとも一方が、前記発現抑制配列を含み、前記リンカー領域(Lx)が、アミノ酸から誘導される原子団を含むことを特徴とする分子とする。この一本鎖核酸分子によれば、前記標的遺伝子の発現を抑制できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む一本鎖核酸分子であって、
領域(X)、リンカー領域(Lx)および領域(Xc)を含み、
前記領域(X)と前記領域(Xc)との間に、前記リンカー領域(Lx)が連結され、
前記領域(Xc)が、前記領域(X)と相補的であり、
前記領域(X)および前記領域(Xc)の少なくとも一方が、前記発現抑制配列を含み、
前記リンカー領域(Lx)が、アミノ酸から誘導される原子団を含むことを特徴とする一本鎖核酸分子。
【請求項2】
前記リンカー領域(Lx)が、下記式(I)で表わされる、請求項1記載の一本鎖核酸分子。
【化I】
前記式(I)中、
およびXは、それぞれ独立して、H、O、SまたはNHであり;
およびYは、それぞれ独立して、単結合、CH、NH、OまたはSであり;
は、n個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、もしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
は、m個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SHもしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基または保護基であり;
mは、0〜30の範囲の整数であり;
nは、0〜30の範囲の整数であり;
前記領域(Xc)および前記領域(X)は、それぞれ、−OR−または−OR−を介して、前記リンカー領域(Lx)に結合し、
ここで、RおよびRは、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、RおよびRは、それぞれ独立して、ヌクレオチド残基または前記構造(I)であり、
Aは、任意の原子団であり、ただし、下記式(Ia)は、前記アミノ酸であり、かつ、下記式(Ia)は、ペプチド以外のアミノ酸である。
【化Ia】
【請求項3】
前記式(I)中、
Aが、鎖式原子団、脂環式原子団、および芳香族性原子団からなる群から選択される少なくとも一つを含み、前記各原子団は、さらに置換基または保護基を有していても有していなくても良い、請求項2記載の一本鎖核酸分子。
【請求項4】
前記アミノ酸が、天然アミノ酸または人工アミノ酸である請求項1から3のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項5】
前記アミノ酸が、タンパク質を構成するアミノ酸である請求項1から3のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項6】
前記アミノ酸が、グリシン、α−アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、ヒドロキシリシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、チロシン、バリン、トリプトファン、β−アラニン、1−アミノ−2−カルボキシシクロペンタン、またはアミノ安息香酸であり、さらに置換基または保護基を有していても有していなくても良い、請求項1から3のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項7】
前記領域(X)の塩基数(X)および前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)が、下記式(3)または式(5)の条件を満たす、請求項1から6のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
X>Xc ・・・(3)
X=Xc ・・・(5)
【請求項8】
前記領域(X)の塩基数(X)および前記5’側領域(Xc)の塩基数(Xc)が、下記式(11)の条件を満たす、請求項7記載の一本鎖核酸分子。
X−Xc=1、2または3 ・・・(11)
【請求項9】
前記領域(Xc)の塩基数(Xc)が、19塩基〜30塩基である、請求項1から8のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項10】
さらに、領域(Y)および領域(Yc)を有し、
前記領域(Yc)が、前記領域(Y)と相補的であり、
前記領域(X)と前記領域(Y)とが連結して、内部領域(Z)を形成している、請求項1から9のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項11】
さらに、リンカー領域(Ly)を有し、
前記領域(Y)と前記領域(Yc)との間に、前記リンカー(Ly)が連結している、請求項10記載の一本鎖核酸分子。
【請求項12】
前記リンカー領域(Ly)が、下記式(I)で表わされる、請求項11記載の一本鎖核酸分子。
【化I】
前記式(I)中、
およびXは、それぞれ独立して、H、O、SまたはNHであり;
およびYは、それぞれ独立して、単結合、CH、NH、OまたはSであり;
は、n個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、もしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
は、m個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SHもしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基または保護基であり;
mは、0〜30の範囲の整数であり;
nは、0〜30の範囲の整数であり;
前記領域(Yc)および前記領域(Y)は、それぞれ、−OR−または−OR−を介して、前記リンカー領域(Ly)に結合し、
ここで、RおよびRは、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、RおよびRは、それぞれ独立して、ヌクレオチド残基または前記構造(I)であり、
Aは、任意の原子団であり、ただし、下記式(Ia)は、ペプチドではないアミノ酸であり、
【化Ia】
前記リンカー領域(Lx)が、前記式(I)で表される場合、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)中のA、X、X、Y、Y、L、L、RおよびRは、それぞれ、同一でも異なっていても良い。
【請求項13】
前記領域(Xc)および前記領域(X)と、前記リンカー領域(Lx)の前記式(I)の構造との結合、ならびに、
前記領域(Yc)および前記領域(Y)と、前記リンカー領域(Ly)の前記式(I)の構造との結合が、それぞれ、下記(1)〜(4)のいずれか一つの条件を満たす、請求項12記載の一本鎖核酸分子。
条件(1)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
条件(2)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
条件(3)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
条件(4)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
【請求項14】
前記式(I)において、Lは、前記ポリエーテル鎖であり、前記ポリエーテル鎖が、ポリエチレングリコールである、請求項2から13のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項15】
前記式(I)において、Lの原子個数(n)とLの原子個数(m)との合計(m+n)が、0〜30の範囲である、請求項2から14のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項16】
前記式(I)の構造が、下記式(I−1)〜(I−4)のいずれか一つであり、下記式において、nは、0〜30の整数、mは、0〜30の整数である、請求項2から15のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【化I-1】
【化I-2】
【化I-3】
【化I-4】
【請求項17】
前記式(I−1)において、n=11およびm=12である、請求項16記載の一本鎖核酸分子。
【請求項18】
前記式(I−1)において、n=5およびm=4である、請求項16記載の一本鎖核酸分子。
【請求項19】
前記式(I−4)において、n=5およびm=4である、請求項16記載の一本鎖核酸分子。
【請求項20】
前記領域(X)の塩基数(X)、前記領域(Y)の塩基数(Y)、前記領域(Xc)の塩基数(Xc)および前記領域(Yc)の塩基数(Yc)が、下記式(2)の条件を満たす、請求項7から19のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
Z≧Xc+Yc ・・・(2)
【請求項21】
前記領域(X)の塩基数(X)、前記(Xc)の塩基数(Xc)、前記領域(Y)の塩基数(Y)および前記領域(Yc)の塩基数(Yc)が、下記(a)〜(d)のいずれかの条件を満たす、請求項7から20のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
(a)下記式(3)および(4)の条件を満たす。
X>Xc ・・・(3)
Y=Yc ・・・(4)
(b)下記式(5)および(6)の条件を満たす。
X=Xc ・・・(5)
Y>Yc ・・・(6)
(c)下記式(7)および(8)の条件を満たす。
X>Xc ・・・(7)
Y>Yc ・・・(8)
(d)下記式(9)および(10)の条件を満たす。
X=Xc ・・・(9)
Y=Yc ・・・(10)
【請求項22】
前記(a)〜(d)において、前記領域(X)の塩基数(X)と前記領域(Xc)の塩基数(Xc)の差、前記領域(Y)の塩基数(Y)と前記領域(Yc)の塩基数(Yc)の差が、下記条件を満たす、請求項21記載の一本鎖核酸分子。
(a)下記式(11)および(12)の条件を満たす。
X−Xc=1、2または3 ・・・(11)
Y−Yc=0 ・・・(12)
(b)下記式(13)および(14)の条件を満たす。
X−Xc=0 ・・・(13)
Y−Yc=1、2または3 ・・・(14)
(c)下記式(15)および(16)の条件を満たす。
X−Xc=1、2または3 ・・・(15)
Y−Yc=1、2または3 ・・・(16)
(d)下記式(17)および(18)の条件を満たす。
X−Xc=0 ・・・(17)
Y−Yc=0 ・・・(18)
【請求項23】
前記領域(Xc)の塩基数(Xc)が、1〜11塩基である、請求項7から22のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項24】
前記領域(Xc)の塩基数(Xc)が、1〜7塩基である、請求項23記載の一本鎖核酸分子。
【請求項25】
前記領域(Xc)の塩基数(Xc)が、1〜3塩基である、請求項23記載の一本鎖核酸分子。
【請求項26】
前記領域(Yc)の塩基数(Yc)が、1〜11塩基である、請求項7から25のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項27】
前記領域(Yc)の塩基数(Yc)が、1〜7塩基である、請求項26記載の一本鎖核酸分子。
【請求項28】
前記領域(Yc)の塩基数(Yc)が、1〜3塩基である、請求項26記載の一本鎖核酸分子。
【請求項29】
少なくとも1つの修飾された残基を含む、請求項1から28のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項30】
標識物質を含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項31】
安定同位体を含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項32】
RNA分子である、請求項1から31のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項33】
前記一本鎖核酸分子において、塩基数の合計が、50塩基以上である、請求項1から32のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項34】
前記遺伝子の発現抑制が、RNA干渉による発現抑制である、請求項1から33のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子。
【請求項35】
標的遺伝子の発現を抑制するための組成物であって、
請求項1から34のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子を含むことを特徴とする、発現抑制用組成物。
【請求項36】
請求項1から34のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子を含むことを特徴とする、薬学的組成物。
【請求項37】
炎症治療用である、請求項36記載の薬学組成物。
【請求項38】
標的遺伝子の発現を抑制する方法であって、
請求項1から34のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子を使用することを特徴とする発現抑制方法。
【請求項39】
前記一本鎖核酸分子を、細胞、組織または器官に投与する工程を含む、請求項38記載の発現抑制方法。
【請求項40】
前記一本鎖核酸分子を、in vivoまたはin vitroで投与する、請求項39記載の発現抑制方法。
【請求項41】
前記遺伝子の発現抑制が、RNA干渉による発現抑制である、請求項38から40のいずれか一項に記載の発現抑制方法。
【請求項42】
標的遺伝子の発現を抑制するRNA干渉を誘導する方法であって、
請求項1から34のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子を使用することを特徴とする発現誘導方法。
【請求項43】
標的遺伝子の発現抑制のための、請求項1から34のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子の使用。
【請求項44】
RNA干渉の誘導のための、請求項1から34のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子の使用。
【請求項45】
疾患の治療に使用するための核酸分子であって、
前記核酸分子は、請求項1から34のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子であり、
前記一本鎖核酸分子が、前記発現抑制配列として、前記疾患の原因となる遺伝子の発現を抑制する配列を有することを特徴とする一本鎖核酸分子。
【請求項46】
核酸分子合成用のモノマーであって、
下記式(II)の構造を有することを特徴とするモノマー。
【化II】
前記式中、
およびXは、それぞれ独立して、H、O、SまたはNHであり;
およびYは、それぞれ独立して、単結合、CH、NH、OまたはSであり;
11およびR21は、それぞれ独立して、H、保護基またはリン酸保護基であり;
は、n個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、もしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、OR11に結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
は、m個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SHもしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、OR21に結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基または保護基であり;
mは、0〜30の範囲の整数であり;
nは、0〜30の範囲の整数であり;
Aは、任意の原子団であり、ただし、下記式(Ia)は、ペプチドでないアミノ酸である。
【化Ia】
【請求項47】
前記式(II)の構造が、下記式(II−1)〜式(II−4)のいずれか一つであり、下記式において、nは、0〜30の整数、mは、0〜30の整数である、請求項46記載のモノマー。
【化II-1】
【化II-2】
【化II-3】
【化II-4】
前記式(II−4)中、
101は、R11およびR21と独立して、H、保護基またはリン酸保護基である。
【請求項48】
前記式(II−1)において、n=11およびm=12である、請求項47記載のモノマー。
【請求項49】
前記式(II−1)において、n=5およびm=4である、請求項47記載のモノマー。
【請求項50】
前記式(II−4)において、n=5およびm=4である、請求項47記載のモノマー。
【請求項51】
前記式(II)において、Lは、前記ポリエーテル鎖であり、前記ポリエーテル鎖が、ポリエチレングリコールである、請求項46から50のいずれか一項に記載のモノマー。
【請求項52】
前記式(II)において、Lの原子個数(n)とLの原子個数(m)との合計(m+n)が、0〜30の範囲である、請求項46から51のいずれか一項に記載のモノマー。
【請求項53】
標識物質を含む、請求項46から52のいずれか一項に記載のモノマー。
【請求項54】
安定同位体を含む、請求項46から53のいずれか一項に記載のモノマー。
【請求項55】
自動核酸合成用である、請求項46から54のいずれか一項に記載のモノマー。
【請求項56】
核酸分子の製造方法であって、
請求項46から55のいずれか一項に記載のモノマーを使用することを特徴とする製造方法。
【請求項57】
前記核酸分子が、請求項1から34のいずれか一項に記載の一本鎖核酸分子である請求項56記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子発現を抑制する一本鎖核酸分子に関し、より詳細には、アミノ酸骨格を有する一本鎖核酸分子、それを含む組成物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子の発現を抑制する技術として、例えば、RNA干渉(RNAi)が知られている(非特許文献1)。RNA干渉による遺伝子の発現抑制は、例えば、短い二本鎖のRNA分子を細胞等に投与することによって、実施されるのが一般的である。前記二本鎖のRNA分子は、通常、siRNA(small interfering RNA)と呼ばれる。この他に、環状のRNA分子であって、分子内アニールにより、部分的に二重鎖を形成したRNA分子によっても、遺伝子の発現が抑制できることが報告されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Fireら、Nature、1998 Feb 19;391(6669):806−11
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国公開公報2004−058886
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記各手法では、遺伝子の発現抑制を誘導するRNA分子は、以下のような問題がある。
【0006】
まず、前記siRNAを製造する場合、センス鎖およびアンチセンス鎖を別々に合成した上で、最後にこれらの鎖をハイブリダイズする工程が必要である。このため、製造効率が悪いという問題がある。また、前記siRNAを細胞に投与する際、一本鎖RNAへの解離を抑制した状態で、細胞に投与する必要があるため、その取り扱い条件の設定にも労力を要する。つぎに、環状のRNA分子の場合、その合成が困難という問題がある。
【0007】
また、これらのRNA分子は、基本的にヌクレオチド残基から構成されている。そして、前記RNA分子に、なんらかの機能や標識を付与する場合、例えば、ヌクレオチド残基の構成要素である、塩基、糖残基またはリン酸基に修飾を施すしかないのが現状である。このため、RNA干渉を利用した医薬品等の開発において、遺伝子発現の抑制機能を維持した状態で、さらなる機能や標識を付与するための改変が、極めて困難である。
【0008】
そこで、本発明は、容易且つ効率よく製造が可能であり、遺伝子の発現を抑制可能な新たな核酸分子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の核酸分子は、標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む一本鎖核酸分子であって、領域(X)、リンカー領域(Lx)および領域(Xc)を含み、前記領域(X)と前記領域(Xc)との間に、前記リンカー領域(Lx)が連結され、前記領域(Xc)が、前記領域(X)と相補的であり、前記領域(X)および前記領域(Xc)の少なくとも一方が、前記発現抑制配列を含み、前記リンカー領域(Lx)が、アミノ酸から誘導される原子団を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の第1の組成物は、標的遺伝子の発現を抑制するための組成物であって、前記本発明の一本鎖核酸分子を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の組成物は、薬学的組成物であって、前記本発明の一本鎖核酸分子を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の発現抑制方法は、標的遺伝子の発現を抑制する方法であって、前記本発明の一本鎖核酸分子を使用することを特徴とする。
【0013】
本発明の発現誘導方法は、標的遺伝子の発現を抑制するRNA干渉を誘導する方法であって、前記本発明の一本鎖核酸分子を使用することを特徴とする。
【0014】
本発明の疾患の治療方法は、前記本発明の一本鎖核酸分子を、患者に投与する工程を含み、前記一本鎖核酸分子が、前記発現抑制配列として、前記疾患の原因となる遺伝子の発現を抑制する配列を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一本鎖核酸分子は、遺伝子の発現抑制が可能であり、かつ、環状ではないため、その合成が容易であり、また、一本鎖であるため、二本鎖のアニール工程が無く、効率良く製造可能である。また、前記リンカー領域が前記非ヌクレオチド残基を含むため、例えば、従来のようなヌクレオチド残基の改変に限られず、例えば、前記リンカー領域における修飾等の改変も可能となる。
【0016】
なお、本発明の一本鎖核酸分子の構造が、遺伝子の発現を抑制可能であることを見出したのは、本発明者が初めてである。本発明の一本鎖核酸分子の遺伝子の発現抑制効果は、RNA干渉と同様の現象によるものと推測されるが、本発明における遺伝子発現抑制は、RNA干渉に制限および限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一本鎖核酸分子の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の一本鎖核酸分子のその他の例を示す模式図である。
【図3】本発明の一本鎖核酸分子のその他の例を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の実施例におけるGAPDH遺伝子発現量の相対値を示すグラフである。
【図5】図5は、参考例で使用したssRNAを示す図である。
【図6】図6は、参考例におけるGAPDH遺伝子発現量の相対値を示すグラフである。
【図7】図7は、参考例におけるTGF−β1遺伝子発現量の相対値を示すグラフである。
【図8】図8は、参考例におけるLAMA遺伝子の発現量の相対値を示すグラフである。
【図9】図9は、参考例におけるLMNA遺伝子の発現量の相対値を示すグラフである。
【図10】図10は、参考例で使用したssRNAを示す図である。
【図11】図11は、参考例におけるGAPDH遺伝子発現量の相対値を示すグラフである。
【図12】図12は、本発明の実施例におけるホタルルシフェラーゼ安定発現乳癌細胞株MCF−7(pGL3 Luc)が保持するホタルルシフェラーゼ遺伝子の発現抑制効果(ルシフェラーゼの相対活性)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で使用する用語は、特に言及しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味で用いることができる。
【0019】
1.ssPN分子
本発明の一本鎖核酸分子は、前述のように、標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む一本鎖核酸分子であって、領域(X)、リンカー領域(Lx)および領域(Xc)を含み、前記領域(X)と前記領域(Xc)との間に、前記リンカー領域(Lx)が連結され、前記領域(Xc)が、前記領域(X)と相補的であり、前記領域(X)および前記領域(Xc)の少なくとも一方が、前記発現抑制配列を含み、前記リンカー領域(Lx)が、アミノ酸から誘導される原子団を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明において、「標的遺伝子の発現抑制」は、例えば、前記標的遺伝子の発現を阻害することを意味する。前記抑制のメカニズムは、特に制限されず、例えば、ダウンレギュレーションまたはサイレンシングでもよい。前記標的遺伝子の発現抑制は、例えば、前記標的遺伝子からの転写産物の生成量の減少、前記転写産物の活性の減少、前記標的遺伝子からの翻訳産物の生成量の減少、または前記翻訳産物の活性の減少等によって確認できる。前記タンパク質は、例えば、成熟タンパク質、または、プロセシングもしくは翻訳後修飾を受ける前の前駆体タンパク質等があげられる。
【0021】
本発明の一本鎖核酸分子は、以下、本発明の「ssPN分子」ともいう。本発明のssPN分子は、例えば、in vivoまたはin vitroにおいて、標的遺伝子の発現抑制に使用できることから、「標的遺伝子の発現抑制用ssPN分子」または「標的遺伝子の発現抑制剤」ともいう。また、本発明のssPN分子は、例えば、RNA干渉により、前記標的遺伝子の発現を抑制できることから、「RNA干渉用ssNP分子」、「RNA干渉誘導用ssPN分子」または「RNA干渉剤もしくはRNA干渉誘導剤」ともいう。また、本発明は、例えば、インターフェロン誘導等の副作用を抑制できる。
【0022】
本発明のssPN分子は、その5’末端と3’末端とが未連結であり、線状一本鎖核酸分子ということもできる。
【0023】
本発明のssPN分子において、前記発現抑制配列は、例えば、本発明のssPN分子が、in vivoまたはin vitroで細胞内に導入された場合に、前記標的遺伝子の発現を抑制する活性を示す配列である。前記発現抑制配列は、特に制限されず、目的の標的遺伝子の種類に応じて、適宜設定できる。前記発現抑制配列は、例えば、siRNAによるRNA干渉に関与する配列を適宜適用できる。RNA干渉は、一般に、長い二本鎖RNA(dsRNA)が、細胞内において、Dicerにより、3’末端が突出した19〜21塩基対程度の二本鎖RNA(siRNA:small interfering RNA)に切断され、その一方の一本鎖RNAが標的mRNAに結合して、前記mRNA分解することにより、前記mRNAの翻訳を抑制する現象である。前記標的mRNAに結合する前記siRNAにおける一本鎖RNAの配列は、例えば、標的遺伝子の種類に応じて様々な種類が報告されている。本発明は、例えば、前記siRNAの一本鎖RNAの配列を、前記発現抑制配列として使用できる。
【0024】
なお、本発明は、前記標的遺伝子に対する前記発現抑制配列の配列情報がポイントではなく、前記発現抑制配列による前記標的遺伝子の発現抑制活性を、例えば、細胞内で機能させるための核酸分子の構造に関する。したがって、本発明においては、例えば、出願時において公知となっている前記siRNAの一本鎖RNA配列の他、将来的に明らかとなる配列に関しても、前記発現抑制配列として利用できる。
【0025】
前記発現抑制配列は、例えば、前記標的遺伝子の所定領域に対して、90%以上の相補性を有していることが好ましく、より好ましくは95%であり、さらに好ましくは98%であり、特に好ましくは100%である。このような相補性を満たすことにより、例えば、オフターゲットを十分に軽減できる。
【0026】
具体例として、標的遺伝子がGAPDH遺伝子の場合、前記発現抑制配列は、例えば、配列番号5に示す19塩基長の配列が使用できる。標的遺伝子がTGF−β1の場合、前記発現抑制配列は、例えば、配列番号15に示す21塩基長の配列が使用でき、標的遺伝子がLAMA1遺伝子の場合、前記発現抑制配列は、例えば、配列番号16に示す19塩基長の配列が使用でき、標的遺伝子がLMNA遺伝子の場合、例えば、配列番号17に示す19塩基長の配列が使用できる。
5’−GUUGUCAUACUUCUCAUGG−3’ (配列番号5)
5’−AAAGUCAAUGUACAGCUGCUU−3’ (配列番号15)
5’−AUUGUAACGAGACAAACAC−3’ (配列番号16)
5’−UUGCGCUUUUUGGUGACGC−3’ (配列番号17)
【0027】
本発明のssPN分子による前記標的遺伝子の発現の抑制は、例えば、RNA干渉が生じることによると推測される。なお、本発明は、このメカニズムにより限定されない。本発明のssPN分子は、例えば、いわゆるsiRNAのように、二本の一本鎖RNAからなるdsRNAとして、細胞等へ導入するものではなく、また、細胞内において、前記発現抑制配列の切り出しは、必ずしも必須ではない。このため、本発明のssPN分子は、例えば、RNA干渉様の機能を有するということもできる。
【0028】
本発明のssPN分子は、例えば、生体内におけるインターフェロン誘導等の副作用を抑制でき、ヌクレアーゼ耐性に優れる。
【0029】
前記リンカー領域は、例えば、前記非ヌクレオチド構造からなる非ヌクレオチド残基のみを含んでもよいし、前記非ヌクレオチド構造からなる非ヌクレオチド残基と、ヌクレオチド残基とを含んでもよい。
【0030】
前記リンカー領域において、前記「アミノ酸から誘導される原子団」は、特に限定されないが、例えば、下記式(IA)で表される原子団である。
【化IA】
【0031】
前記式(IA)中、例えば、
は、H、O、SまたはNHであり、
原子団Aは、任意であり、ただし、ペプチド結合を含まないものとする。
【0032】
本発明のssPN分子において、前記リンカー領域は、例えば、下記式(I)で表わされる。
【化I】
【0033】
前記式(I)中、例えば、
およびXは、それぞれ独立して、H、O、SまたはNHであり;
およびYは、それぞれ独立して、単結合、CH、NH、OまたはSであり;
は、n個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、もしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
は、m個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SHもしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基または保護基であり;
mは、0〜30の範囲の整数であり;
nは、0〜30の範囲の整数であり;
前記領域(Xc)および前記領域(X)は、それぞれ、−OR−または−OR−を介して、前記リンカー領域(Lx)に結合し、
ここで、RおよびRは、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、RおよびRは、それぞれ独立して、ヌクレオチド残基または前記構造(I)であり、
Aは、任意の原子団であり、ただし、下記式(Ia)は、前記アミノ酸であり、かつ、下記式(Ia)は、ペプチド以外のアミノ酸である。
【化Ia】
【0034】
前記式(I)中、XおよびXは、例えば、それぞれ独立して、H、O、SまたはNHである。前記式(I)中において、XがHであるとは、Xが、Xの結合する炭素原子とともに、CH(メチレン基)を形成することを意味する。Xについても同様である。
【0035】
前記式(I)中、YおよびYは、それぞれ独立して、単結合、CH、NH、OまたはSである。
【0036】
前記式(I)中、Lは、n個の炭素原子を有するアルキレン鎖である。前記アルキレン炭素原子上の水素原子は、例えば、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、もしくはSRで置換されてもよいし、置換されていなくてもよい。または、Lは、前記アルキレン鎖の1つ以上の炭素原子が酸素原子で置換されたポリエーテル鎖でもよい。前記ポリエーテル鎖は、例えば、ポリエチレングリコールである。なお、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接しない。つまり、例えば、YがOの場合、その酸素原子とLの酸素原子は隣接せず、ORの酸素原子とLの酸素原子は隣接しない。
【0037】
前記式(I)中、Lは、m個の炭素原子を有するアルキレン鎖である。前記アルキレン炭素原子上の水素原子は、例えば、OH、OR、NH、NHR、NR、SHもしくはSRで置換されてもよいし、置換されていなくてもよい。または、Lは、前記アルキレン鎖の1つ以上の炭素原子が酸素原子で置換されたポリエーテル鎖でもよい。なお、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、ORに結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接しない。つまり、例えば、YがOの場合、その酸素原子とLの酸素原子は隣接せず、ORの酸素原子とLの酸素原子は隣接しない。
【0038】
のnおよびLのmは、特に制限されず、それぞれ、下限は、例えば、0であり、上限も、特に制限されない。nおよびmは、例えば、前記リンカー領域(Lx)の所望の長さに応じて、適宜設定できる。nおよびmは、例えば、製造コストおよび収率等の点から、それぞれ、0〜30が好ましく、より好ましくは0〜20であり、さらに好ましくは0〜15である。nとmは、同じでもよいし(n=m)、異なってもよい。n+mは、例えば、0〜30であり、好ましくは0〜20であり、より好ましくは0〜15である。
【0039】
、R、RおよびRは、例えば、それぞれ独立して、置換基または保護基であり、同一でも異なってもよい。前記置換基は、例えば、ヒドロキシ、カルボキシ、スルホ、ハロゲン、ハロゲン化アルキル(ハロアルキル、例:CF、CHCF、CHCCl)、ニトロ、ニトロソ、シアノ、アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル)、アルケニル(例:ビニル)、アルキニル(例:エチニル)、シクロアルキル(例:シクロプロピル、アダマンチル)、シクロアルキルアルキル(例:シクロヘキシルメチル、アダマンチルメチル)、シクロアルケニル(例:シクロプロペニル)、シクリルアルキル、ヒドロキシアルキル(例:ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル)、アルコキシアルキル(例:メトキシメチル、エトキシメチル、エトキシエチル)、アリール(例:フェニル、ナフチル)、アリールアルキル(例:ベンジル、フェネチル)、アルキルアリール(例、p−メチルフェニル)、ヘテロアリール(例:ピリジル、フリル)、ヘテロアリールアルキル(例:ピリジルメチル)、ヘテロシクリル(例:ピペリジル)、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキル(例:モルホリルメチル)、アルコキシ(例:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)、ハロゲン化アルコキシ(例:OCF)、アルケニルオキシ(例:ビニルオキシ、アリルオキシ)、アリールオキシ(例:フェニルオキシ)、アルキルオキシカルボニル(例:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル)、アリールアルキルオキシ(例:ベンジルオキシ)、アミノ[アルキルアミノ(例:メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ)、アシルアミノ(例:アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、アリールアルキルアミノ(例:ベンジルアミノ、トリチルアミノ)、ヒドロキシアミノ]、アミノアルキル(例:アミノメチル)、アルキルアミノアルキル(例:ジエチルアミノメチル)、カルバモイル、スルファモイル、オキソ、シリル、シリルオキシアルキル等があげられる。これらの置換基は、1または複数のさらなる置換基またはさらなる保護基で置換されていても良い。前記さらなる置換基は、特に限定されないが、例えば、上記例示に係る置換基でも良い。前記さらなる保護基は、特に限定されないが、例えば、下記例示に係る保護基でも良い。以下において同様である。
【0040】
前記保護基(または、前記さらなる保護基)は、例えば、反応性の高い官能基を不活性に変換する官能基であり、公知の保護基等があげられる。前記保護基は、例えば、文献(J. F. W. McOmie, 「Protecting Groups in Organic Chemistry」 Prenum Press, London and New York, 1973)の記載を援用できる。前記保護基は、特に制限されず、例えば、tert−ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、ビス(2−アセトキシエチルオキシ)メチル基(ACE)、トリイソプロピルシリルオキシメチル基(TOM)、1−(2−シアノエトキシ)エチル基(CEE)、2−シアノエトキシメチル基(CEM)およびトリルスルフォニルエトキシメチル基(TEM)、ジメトキシトリチル基(DMTr)等があげられる。RがORの場合、前記保護基は、特に制限されず、例えば、TBDMS基、ACE基、TOM基、CEE基、CEM基およびTEM基等があげられる。この他にも、後述する化学式(P1)および(P2)のシリル含有基もあげられる。以下において同様である。
【0041】
前記式(I)において、水素原子は、例えば、それぞれ独立して、Cl、Br、FおよびI等のハロゲンに置換されてもよい。
【0042】
前記領域(Xc)および前記領域(X)は、例えば、それぞれ、−OR−または−OR−を介して、前記リンカー領域(Lx)に結合する。ここで、RおよびRは、存在しても存在しなくてもよい。RおよびRが存在する場合、RおよびRは、それぞれ独立して、ヌクレオチド残基または前記式(I)の構造である。Rおよび/またはRが前記ヌクレオチド残基の場合、前記リンカー領域(Lx)は、例えば、ヌクレオチド残基Rおよび/またはRを除く前記式(I)の構造からなる前記非ヌクレオチド残基と、前記ヌクレオチド残基とから形成される。Rおよび/またはRが前記式(I)の構造の場合、前記リンカー領域(Xc)は、例えば、前記式(I)の構造からなる前記非ヌクレオチド残基が、2つ以上連結された構造となる。前記式(I)の構造は、例えば、1個、2個、3個または4個含んでもよい。このように、前記構造を複数含む場合、前記(I)の構造は、例えば、直接連結されてもよいし、前記ヌクレオチド残基を介して結合してもよい。他方、RおよびRが存在しない場合、前記リンカー領域(Lx)は、例えば、前記式(I)の構造からなる前記非ヌクレオチド残基のみから形成される。
【0043】
前記領域(Xc)および前記領域(X)と、−OR−および−OR−との結合の組合せは、特に制限されず、例えば、以下のいずれかの条件があげられる。
条件(1)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
条件(2)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
【0044】
本発明のssPN分子において、前記式(I)中の原子団Aは、特に限定されず、任意であり、ただし、前述のとおり、下記式(Ia)が、ペプチドでないアミノ酸である。
【化Ia】
【0045】
前記式(I)、(IA)または(Ia)中の原子団Aは、例えば、鎖式原子団、脂環式原子団、および芳香族性原子団からなる群から選択される少なくとも一つを含んでいても含んでいなくても良い。前記鎖式原子団は、特に限定されないが、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、シリル、シリルオキシアルキル等が挙げられる。前記脂環式原子団は、特に限定されないが、例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクリルアルキル等が挙げられる。前記芳香族性原子団は、特に限定されないが、例えば、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、縮環系アリール、縮環系アリールアルキル、縮環系アルキルアリール等が挙げられる。また、前記式(I)、(IA)または(Ia)中の原子団Aにおいて、前記各原子団は、さらに置換基または保護基を有していても有していなくても良い。前記置換基または保護基は、複数の場合は同一でも異なってもよい。前記置換基としては、例えば、前記R、R、RおよびRで例示した置換基が挙げられ、より具体的には、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、カルボキシ、スルホ、ニトロ、カルバモイル、スルファモイル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクリルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、シリル、シリルオキシアルキル、ピロールイル、イミダゾリル、等があげられる。前記保護基は、例えば、前記R、R、RおよびRで例示した保護基と同様である。
【0046】
本発明において、「アミノ酸」は、分子中にアミノ基およびカルボキシ基をそれぞれ1つ以上含む任意の有機化合物をいう。また、「ペプチド」は、2分子以上のアミノ酸がペプチド結合により結合した構造の有機化合物をいう。前記ペプチド結合は、酸アミド構造でも良いし、酸イミド構造でも良い。また、前記式(Ia)で表すアミノ酸分子中にアミノ基が複数存在する場合は、前記式(Ia)中に明示しているアミノ基は、いずれのアミノ基であっても良い。また、前記式(Ia)で表すアミノ酸分子中にカルボキシ基が複数存在する場合は、前記式(Ia)中に明示しているカルボキシ基は、いずれのカルボキシ基であっても良い。
【0047】
本発明の一本鎖核酸の前記リンカー領域において、前記アミノ酸は、例えば、天然アミノ酸でも良いし、人工アミノ酸であっても良い。なお、本発明において、「天然アミノ酸」は、天然に存在する構造のアミノ酸またはその光学異性体をいう。前記天然アミノ酸の製造方法は特に限定されず、例えば、天然から抽出しても良いし、合成しても良い。また、本発明において、「人工アミノ酸」は、天然に存在しない構造のアミノ酸をいう。すなわち、前記人工アミノ酸は、アミノ酸すなわちアミノ基を含むカルボン酸誘導体(分子中にアミノ基およびカルボキシ基をそれぞれ1つ以上含む有機化合物)であって、天然に存在しない構造のカルボン酸誘導体をいう。前記人工アミノ酸は、例えば、ヘテロ環を含まないことが好ましい。前記アミノ酸は、例えば、タンパク質を構成するアミノ酸であっても良い。前記アミノ酸は、例えば、グリシン、α−アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、ヒドロキシリシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、チロシン、バリン、トリプトファン、β−アラニン、1−アミノ−2−カルボキシシクロペンタン、またはアミノ安息香酸であっても良く、さらに置換基または保護基を有していても有していなくても良い。前記置換基としては、例えば、前記R、R、RおよびRで例示した置換基が挙げられ、より具体的には、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、カルボキシ、スルホ、ニトロ、カルバモイル、スルファモイル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクリルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、シリル、シリルオキシアルキル、ピロールイル、イミダゾリル、等があげられる。前記保護基は、例えば、前記R、R、RおよびRで例示した保護基と同様である。また、前記式(Ia)のペプチドでないアミノ酸に、光学異性体、幾何異性体、立体異性体等の異性体が存在する場合は、いずれの異性体でも良い。
【0048】
本発明のssPN分子において、前記リンカー領域(Lx)および後述のリンカー領域(Ly)は、例えば、ピロリジン骨格を含む非ヌクレオチド構造およびピペリジン骨格を含む非ヌクレオチド構造を、いずれも含まない。前記ピロリジン骨格としては、例えば、ピロリジンの5員環を構成する炭素が、1個以上、置換されたピロリジン誘導体の骨格も挙げられ、置換される炭素は、例えば、C−2の炭素以外の炭素原子が挙げられる。前記炭素は、例えば、窒素、酸素または硫黄で置換される場合もある。前記ピロリジン骨格は、例えば、ピロリジンの5員環内に、例えば、炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含む場合もある。前記ピロリジン骨格において、ピロリジンの5員環を構成する炭素および窒素は、例えば、水素が結合する場合もあるし、前述のような置換基が結合する場合もある。前記リンカー領域(Lx)は、例えば、前記ピロリジン骨格のいずれの原子を介して、前記領域(X)および前記領域(Xc)と結合することも可能である。前記領域(X)および前記領域(Xc)と結合する前記ピロリジン骨格の原子は、例えば、前記5員環のいずれか1個の炭素原子と窒素であり、より具体的には、例えば、前記5員環の2位の炭素(C−2)と窒素である。前記ピロリジン骨格としては、例えば、プロリン骨格、プロリノール骨格等があげられる。前記ピペリジン骨格は、例えば、ピペリジンの6員環を構成する炭素が、1個以上、置換されたピペリジン誘導体の骨格が挙げられ、置換される場合、例えば、C−2の炭素以外の炭素原子である。前記炭素は、例えば、窒素、酸素または硫黄で置換される場合もある。前記ピペリジン骨格は、例えば、ピペリジンの6員環内に、例えば、炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含む場合もある。前記ピペリジン骨格において、ピペリジンの6員環を構成する炭素および窒素は、例えば、水素基が結合する場合もあるし、後述するような置換基が結合する場合もある。前記リンカー領域(Lx)は、例えば、前記ピペリジン骨格のいずれの原子を介して、前記領域(X)および前記領域(Xc)と結合することも可能である。前記領域(X)および前記領域(Xc)と結合する前記ピペリジン骨格の原子は、例えば、前記6員環のいずれか1個の炭素原子と窒素であり、より具体的には、例えば、前記6員環の2位の炭素(C−2)と窒素である。
【0049】
前記ピロリジン骨格を含む非ヌクレオチド構造または前記ピペリジン骨格を含む非ヌクレオチド構造は、例えば、下記式(Ib)で表わされる構造が挙げられる。本発明のssPN分子において、前記リンカー領域(Lx)および後述のリンカー領域(Ly)は、例えば、ピロリジン骨格を含む非ヌクレオチド構造およびピペリジン骨格を含む非ヌクレオチド構造を、いずれも含まない。
【化Ib】
【0050】
前記式(Ib)中、例えば、X、X、Y、Y、L、L、RおよびRは、前記式(I)と同様である。
は、環A上のC−3、C−4、C−5またはC−6に結合する水素原子または置換基である。Rが前記置換基の場合、置換基Rは、1でも複数でも、存在しなくてもよく、複数の場合、同一でも異なってもよい。置換基Rは、例えば、ハロゲン、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、SRまたはオキソ基(=O)等である。RおよびRは、例えば、それぞれ独立して、置換基または保護基であり、同一でも異なってもよい。
lは、1または2であり;l=1の場合、環Aは、5員環であり、例えば、前記ピロリジン骨格である。前記ピロリジン骨格は、例えば、プロリン骨格、プロリノール骨格等があげられ、これらの二価の構造が例示できる。l=2の場合、環Aは、6員環であり、例えば、前記ピペリジン骨格である。環Aは、環A上のC−2以外の1個の炭素原子が、窒素、酸素または硫黄で置換されてもよい。また、環Aは、環A内に、炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含んでもよい。環Aは、例えば、L型およびD型のいずれでもよい。環Aは、前記環A上のC−2以外の1個の炭素原子が、窒素、酸素、硫黄で置換されてもよく、前記環A内に、炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含んでもよい。
【0051】
前記式(I)の構造は、例えば、下記式(I−1)〜(I−4)が例示でき、下記式において、nおよびmは、前記式(I)と同じである。
【化I-1】
【化I-2】
【化I-3】
【化I-4】
【0052】
前記式(I−1)〜(I−4)において、nおよびmは、特に制限されず、前述の通りである。具体例として、前記式(I−1)において、n=11およびm=12があげられる。その構造を、下記式(I−1a)に示す。別の具体例として、前記式(I−1)において、n=5およびm=4があげられる。その構造を、下記式(I−1b)に示す。さらに別の具体例として、前記式(I−4)において、n=5およびm=4があげられる。その構造を、下記式(I−4a)に示す。
【化I-1a】
【化I-1b】
【化I-4a】
【0053】
本発明のssPN分子において、前記領域(Xc)は、前記領域(X)と相補的である。このため、本発明のssPN分子において、前記領域(Xc)が前記領域(X)に向かって折り返し、前記領域(Xc)と前記領域(X)とが、自己アニーリングによって、二重鎖を形成可能である。本発明のssPN分子は、このように、分子内で二重鎖を形成可能であり、例えば、従来のRNA干渉に使用するsiRNAのように、分離した2本の一本鎖RNAがアニーリングによって二本鎖RNAを形成するものとは、明らかに異なる構造である。
【0054】
本発明のssPN分子は、例えば、前記領域(Xc)のみが折り返して前記領域(X)と二重鎖を形成してもよいし、さらに、他の領域において新たな二重鎖を形成してもよい。以下、前者のssPN分子、すなわち、二重鎖形成が1カ所である分子を「第1のssPN分子」といい、後者のssPN分子、すなわち、二重鎖形成が2カ所である分子を「第2のssPN分子」という。以下に、前記第1のssPN分子および前記第2のssPN分子について、例示するが、本発明は、これには制限されない。
【0055】
(1)第1のssPN分子
前記第1のssPN分子は、例えば、前記領域(X)、前記領域(Xc)および前記リンカー領域(Lx)からなる分子である。
【0056】
前記第1のssPN分子は、例えば、5’側から3’側にかけて、前記領域(Xc)、前記リンカー領域(Lx)および前記領域(X)を、前記順序で有してもよいし、3’側から5’側にかけて、前記領域(Xc)、前記リンカー領域(Lx)および前記領域(X)を、前記順序で有してもよい。
【0057】
前記第1のssPN分子において、前記領域(Xc)は、前記領域(X)に相補的である。ここで、前記領域(Xc)は、前記領域(X)の全領域またはその部分領域に対して相補的な配列を有していればよく、好ましくは、前記領域(X)の全領域またはその部分領域に相補的な配列を含む、または、前記相補的な配列からなる。前記領域(Xc)は、前記領域(X)の相補的な前記全領域または相補的な前記部分領域に対して、例えば、完全に相補的でもよいし、1もしくは数塩基が非相補的であってもよいが、完全に相補的であることが好ましい。前記1塩基若しくは数塩基は、例えば、1〜3塩基、好ましくは1塩基または2塩基である。
【0058】
前記第1のssPN分子において、前記発現抑制配列は、前述のように、前記領域(Xc)および前記領域(X)の少なくとも一方に含まれる。前記第1のssPN分子は、前記発現抑制配列を、例えば、1つ有してもよいし、2つ以上有してもよい。
【0059】
後者の場合、前記第1のssPN分子は、例えば、同じ標的遺伝子に対する同じ発現抑制配列を2つ以上有してもよいし、同じ標的に対する異なる発現抑制配列を2つ以上有してもよいし、異なる標的遺伝子に対する異なる発現抑制配列を2つ以上有してもよい。前記第1のssPN分子が、2つ以上の前記発現抑制配列を有する場合、各発現抑制配列の配置箇所は、特に制限されず、前記領域(X)および前記領域(Xc)のいずれか一領域でもよいし、異なる領域であってもよい。前記第1のssPN分子が、異なる標的遺伝子に対する前記発現抑制配列を2つ以上有する場合、例えば、前記第1のssPN分子によって、2種類以上の異なる標的遺伝子の発現を抑制可能である。
【0060】
前記第1のssPN分子の一例を、図1の模式図に示す。図1(A)は、一例として、前記ssPN分子について、各領域の順序の概略を示す模式図であり、図1(B)は、前記ssPN分子が、前記分子内において二重鎖を形成している状態を示す模式図である。図1(B)に示すように、前記ssPN分子は、前記領域(Xc)と前記領域(X)との間で、二重鎖が形成され、前記Lx領域が、その長さに応じてループ構造をとる。図1は、あくまでも、前記領域の連結順序および二重鎖を形成する各領域の位置関係を示すものであり、例えば、各領域の長さ、前記リンカー領域(Lx)の形状等は、これに制限されない。
【0061】
前記第1のssPN分子において、前記領域(Xc)および前記領域(X)の塩基数は、特に制限されない。以下に各領域の長さを例示するが、本発明は、これには制限されない。本発明において、「塩基数」は、例えば、「長さ」を意味し、「塩基長」ということもできる。本発明において、塩基数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものであり、具体例として、「1〜4塩基」との記載は、「1、2、3、4塩基」の全ての開示を意味する(以下、同様)。
【0062】
前記領域(Xc)は、例えば、前記領域(X)の全領域に完全に相補的でもよい。この場合、前記領域(Xc)は、例えば、前記領域(X)の5’末端から3’末端の全領域に相補的な塩基配列からなることを意味し、すなわち、前記領域(Xc)と前記領域(X)とが、同じ塩基長であり、且つ、前記領域(Xc)の全ての塩基が、前記領域(X)の全ての塩基と相補的であることを意味する。
【0063】
また、前記領域(Xc)は、例えば、前記領域(X)の部分領域に完全に相補的でもよい。この場合、前記領域(Xc)は、例えば、前記領域(X)の部分領域に相補的な塩基配列からなることを意味し、すなわち、前記領域(Xc)は、前記領域(X)よりも、1塩基以上短い塩基長の塩基配列からなり、前記領域(Xc)の全ての塩基が、前記領域(X)の前記部分領域の全ての塩基と相補的であることを意味する。前記領域(X)の前記部分領域は、例えば、前記領域(X)における、前記領域(Xc)側の末端の塩基(1番目の塩基)から連続する塩基配列からなる領域であることが好ましい。
【0064】
前記第1のssPN分子において、前記領域(X)の塩基数(X)と前記領域(Xc)の塩基数(Xc)との関係は、例えば、下記(3)または(5)の条件を満たし、前者の場合、具体的には、例えば、下記(11)の条件を満たす。
X>Xc ・・・(3)
X−Xc=1〜10、好ましくは1、2または3、
より好ましくは1または2 ・・・(11)
X=Xc ・・・(5)
【0065】
前記領域(X)および/または前記領域(Xc)が前記発現抑制配列を含む場合、前記領域は、例えば、前記発現抑制配列のみから構成される領域でもよいし、前記発現抑制配列を含む領域でもよい。前記発現抑制配列の塩基数は、例えば、19〜30塩基であり、好ましくは、19、20または21塩基である。前記発現抑制配列を含む領域は、例えば、前記発現抑制配列の5’側および/または3’側に、さらに付加配列を有してもよい。前記付加配列の塩基数は、例えば、1〜31塩基であり、好ましくは、1〜21塩基であり、より好ましくは、1〜11塩基である。
【0066】
前記領域(X)の塩基数は、特に制限されない。前記領域(X)が、前記発現抑制配列を含む場合、その下限は、例えば、19塩基である。その上限は、例えば、50塩基であり、好ましくは30塩基であり、より好ましくは25塩基である。前記領域(X)の塩基数の具体例は、例えば、19塩基〜50塩基であり、好ましくは、19塩基〜30塩基、より好ましくは19塩基〜25塩基である。
【0067】
前記領域(Xc)の塩基数は、特に制限されない。その下限は、例えば、19塩基であり、好ましくは20塩基であり、より好ましくは21塩基である。その上限は、例えば、50塩基であり、より好ましくは40塩基であり、さらに好ましくは30塩基である。
【0068】
前記ssPN分子において、前記リンカー領域(Lx)の長さは、特に制限されない。前記リンカー領域(Lx)は、例えば、前記領域(X)と前記領域(Xc)とが二重鎖を形成可能な長さであることが好ましい。前記リンカー領域(Lx)が、前記非ヌクレオチド残基の他に、前記ヌクレオチド残基を含む場合、前記リンカー領域(Lx)の塩基数は、その下限が、例えば、1塩基であり、好ましくは2塩基であり、より好ましくは3塩基であり、その上限が、例えば、100塩基であり、好ましくは80塩基であり、より好ましくは50塩基である。
【0069】
前記第1のssPN分子の全長は、特に制限されない。前記第1のssPN分子において、前記塩基数の合計(全長の塩基数)は、下限が、例えば、38塩基であり、好ましくは42塩基であり、より好ましくは50塩基であり、さらに好ましくは51塩基であり、特に好ましくは52塩基であり、その上限は、例えば、300塩基であり、好ましくは200塩基であり、より好ましくは150塩基であり、さらに好ましくは100塩基であり、特に好ましくは80塩基である。前記第1のssPN分子において、前記リンカー領域(Lx)を除く塩基数の合計は、下限が、例えば、38塩基であり、好ましくは42塩基であり、より好ましくは50塩基であり、さらに好ましくは51塩基であり、特に好ましくは52塩基であり、上限が、例えば、300塩基であり、好ましくは200塩基であり、より好ましくは150塩基であり、さらに好ましくは100塩基であり、特に好ましくは80塩基である。
【0070】
(2)第2のssPN分子
前記第2のssPN分子は、例えば、前記領域(X)、前記リンカー領域(Lx)および前記領域(Xc)の他に、さらに、領域(Y)および前記領域(Y)に相補的な領域(Yc)を有する分子である。前記第2のssPN分子において、前記領域(X)と前記領域(Y)とが連結して、内部領域(Z)を形成している。なお、特に示さない限り、前記第2のssPN分子は、前記第1のssPN分子の記載を援用できる。
【0071】
前記第2のssPN分子は、例えば、5’側から3’側にかけて、前記領域(Xc)、前記リンカー領域(Lx)、前記領域(X)、前記領域(Y)および前記領域(Yc)を、前記順序で有してもよい。この場合、前記領域(Xc)を、5’側領域(Xc)、前記内部領域(Z)中の前記領域(X)を、内部5’側領域(X)、前記内部領域(Z)中の前記領域(Y)を、内部3’領域(Y)、前記領域(Yc)を、3’側領域(Yc)ともいう。また、前記第2のssPN分子は、例えば、3’側から5’側にかけて、前記領域(Xc)、前記リンカー領域(Lx)、前記領域(X)、前記領域(Y)および前記領域(Yc)を、前記順序で有してもよい。この場合、前記領域(Xc)を、3’側領域(Xc)、前記内部領域(Z)中の前記領域(X)を、内部3’側領域(X)、前記内部領域(Z)中の前記領域(Y)を、内部5’領域(Y)、前記領域(Yc)を、5’側領域(Yc)ともいう。
【0072】
前記内部領域(Z)は、前述のように、例えば、前記領域(X)と前記領域(Y)とが連結されている。前記領域(X)と前記領域(Y)は、例えば、直接的に連結され、その間に介在配列を有していない。前記内部領域(Z)は、前記領域(Xc)および前記領域(Yc)との配列関係を示すために、「前記領域(X)と前記領域(Y)が連結して構成される」と定義するものであって、前記内部領域(Z)において、前記領域(X)と前記領域(Y)とが、前記ssPN分子の使用において、別個の独立した領域であることを限定するものではない。すなわち、例えば、前記内部領域(Z)が、前記発現抑制配列を有する場合、前記内部領域(Z)において、前記領域(X)と前記領域(Y)とにわたって、前記発現抑制配列が配置されてもよい。
【0073】
前記第2のssPN分子において、前記領域(Xc)は、前記領域(X)に相補的である。ここで、前記領域(Xc)は、前記領域(X)の全領域またはその部分領域に対して相補的な配列を有していればよく、好ましくは、前記領域(X)の全領域またはその部分領域に相補的な配列を含む、または、前記相補的な配列からなる。前記領域(Xc)は、前記領域(X)の相補的な前記全領域または相補的な前記部分領域に対して、例えば、完全に相補的でもよいし、1もしくは数塩基が非相補的であってもよいが、完全に相補的であることが好ましい。前記1塩基若しくは数塩基は、例えば、1〜3塩基、好ましくは1塩基または2塩基である。
【0074】
前記第2のssPN分子において、前記領域(Yc)は、前記領域(Y)に相補的である。ここで、前記領域(Yc)は、前記領域(Y)の全領域またはその部分領域に相補的な配列を有していればよく、好ましくは、前記領域(Y)の全領域またはその部分領域に対して相補的な配列を含む、または、前記相補的な配列からなる。前記領域(Yc)は、前記領域(Y)の相補的な前記全領域または相補的な前記部分領域に対して、例えば、完全に相補的でもよいし、1もしくは数塩基が非相補的であってもよいが、完全に相補的であることが好ましい。前記1塩基若しくは数塩基は、例えば、1〜3塩基、好ましくは1塩基または2塩基である。
【0075】
前記第2のssPN分子において、前記発現抑制配列は、例えば、前記領域(X)と前記領域(Y)とから形成される前記内部領域(Z)および前記領域(Xc)の少なくとも一つに含まれ、さらに、前記領域(Yc)に含まれてもよい。前記内部領域(Z)が前記発現抑制配列を有する場合、例えば、前記領域(X)および前記領域(Y)のいずれに前記発現抑制配列を有してもよく、また、前記領域(X)と前記領域(Y)とにわたって、前記発現抑制配列を有してもよい。前記第2のssPN分子は、前記発現抑制配列を、例えば、1つ有してもよいし、2つ以上有してもよい。
【0076】
前記第2のssPN分子が、2つ以上の前記発現抑制配列を有する場合、各発現抑制配列の配置箇所は、特に制限されず、前記内部領域(Z)および前記領域(Xc)のいずれか一方でもよいし、前記内部領域(Z)および前記領域(Xc)のいずれか一方と、さらに他の異なる領域であってもよい。
【0077】
前記第2のssPN分子において、前記領域(Yc)と前記領域(Y)とは、例えば、直接連結してもよいし、間接的に連結してもよい。前者の場合、直接的な連結は、例えば、ホスホジエステル結合による連結等があげられる。後者の場合、例えば、前記領域(Yc)と前記領域(Y)との間に、リンカー領域(Ly)を有し、前記リンカー領域(Ly)を介して、前記領域(Yc)と前記領域(Y)とが連結している形態等があげられる。
【0078】
前記第2のssPN分子が前記リンカー領域(Ly)を有する場合、前記リンカー領域(Ly)は、例えば、前記ヌクレオチド残基からなるリンカーでもよいし、前述した、ピロリジン骨格およびピペリジン骨格の少なくとも一方を含む非ヌクレオチド構造を有するリンカーでもよい。後者の場合、前記リンカー領域(Ly)は、例えば、前記式(I)で表わすことができ、前記リンカー領域(Lx)における前記式(I)の説明を全て援用できる。また、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)が、いずれも前記式(I)で表される場合、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)中のA、X、X、Y、Y、L、L、RおよびRは、それぞれ、同一でも異なっていても良い。
【0079】
前記領域(Yc)および前記領域(Y)は、例えば、それぞれ、−OR−または−OR−を介して、前記リンカー領域(Ly)に結合する。ここで、RおよびRは、前述のリンカー領域(Lx)と同様に、存在しても存在しなくてもよい。
【0080】
前記領域(Xc)および前記領域(X)、ならびに、前記領域(Yc)および前記(Y)と、前記−OR−および−OR−との結合の組合せは、特に制限されず、例えば、以下のいずれかの条件があげられる。
条件(1)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
条件(2)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
条件(3)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
条件(4)
前記領域(Xc)は、−OR−を介して、前記領域(X)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合し、
前記領域(Yc)は、−OR−を介して、前記領域(Y)は、−OR−を介して、前記式(I)の構造と結合する。
【0081】
前記第2のssPN分子について、前記リンカー領域(Ly)を有するssPN分子の一例を、図2の模式図に示す。図2(A)は、一例として、前記ssPN分子について、5’側から3’側に向かって、各領域の順序の概略を示す模式図であり、図2(B)は、前記ssPN分子が、前記分子内において二重鎖を形成している状態を示す模式図である。図2(B)に示すように、前記ssPN分子は、前記領域(Xc)と前記領域(X)との間、前記領域(Y)と前記領域(Yc)との間で、二重鎖が形成され、前記Lx領域および前記Ly領域が、その長さに応じてループ構造をとる。図2は、あくまでも、各領域の連結順番および二重鎖を形成する各領域の位置関係を示すものであり、例えば、各領域の長さ、リンカー領域の形状等は、これに制限されない。また、図2は、前記領域(Xc)を5’側に示したが、これには制限されず、前記領域(Xc)が、3’側に位置してもよい。
【0082】
前記第2のssPN分子において、前記領域(Xc)、前記領域(X)、前記領域(Y)および前記領域(Yc)の塩基数は、特に制限されない。各領域の長さを以下に例示するが、本発明は、これには制限されない。
【0083】
前記領域(Xc)は、前述のように、例えば、前記領域(X)の全領域に相補的でもよい。この場合、前記領域(Xc)は、例えば、前記領域(X)と同じ塩基長であり、前記領域(X)の全領域に相補的な塩基配列からなることが好ましい。前記領域(Xc)は、より好ましくは、前記領域(X)と同じ塩基長であり、且つ、前記領域(Xc)の全ての塩基が、前記領域(X)の全ての塩基と相補的である、つまり、例えば、完全に相補的である。なお、これには制限されず、例えば、前述のように、1もしくは数塩基が非相補的であってもよい。
【0084】
また、前記領域(Xc)は、前述のように、例えば、前記領域(X)の部分領域に相補的でもよい。この場合、前記領域(Xc)は、例えば、前記領域(X)の部分領域と同じ塩基長であり、すなわち、前記領域(X)よりも、1塩基以上短い塩基長の塩基配列からなることが好ましい。前記領域(Xc)は、より好ましくは、前記領域(X)の前記部分領域と同じ塩基長であり、且つ、前記領域(Xc)の全ての塩基が、前記領域(X)の前記部分領域の全ての塩基と相補的である、つまり、例えば、完全に相補的である。前記領域(X)の前記部分領域は、例えば、前記領域(X)における、前記領域(Xc)側の末端の塩基(1番目の塩基)から連続する塩基配列からなる領域であることが好ましい。
【0085】
前記領域(Yc)は、前述のように、例えば、前記領域(Y)の全領域に相補的でもよい。この場合、前記領域(Yc)は、例えば、前記領域(Y)と同じ塩基長であり、前記領域(Y)の全領域に相補的な塩基配列からなることが好ましい。前記領域(Yc)は、より好ましくは、前記領域(Y)と同じ塩基長であり、且つ、前記領域(Yc)の全ての塩基が、前記領域(Y)の全ての塩基と相補的である、つまり、例えば、完全に相補的である。なお、これには制限されず、例えば、前述のように、1もしくは数塩基が非相補的であってもよい。
【0086】
また、前記領域(Yc)は、前述のように、例えば、前記領域(Y)の部分領域に相補的でもよい。この場合、前記領域(Yc)は、例えば、前記領域(Y)の部分領域と同じ塩基長であり、すなわち、前記領域(Y)よりも、1塩基以上短い塩基長の塩基配列からなることが好ましい。前記領域(Yc)は、より好ましくは、前記領域(Y)の前記部分領域と同じ塩基長であり、且つ、前記領域(Yc)の全ての塩基が、前記領域(Y)の前記部分領域の全ての塩基と相補的である、つまり、例えば、完全に相補である。前記領域(Y)の前記部分領域は、例えば、前記領域(Y)における、前記領域(Yc)側の末端の塩基(1番目の塩基)から連続する塩基配列からなる領域であることが好ましい。
【0087】
前記第2のssPN分子において、前記内部領域(Z)の塩基数(Z)と、前記領域(X)の塩基数(X)および前記領域(Y)の塩基数(Y)との関係、前記内部領域(Z)の塩基数(Z)と、前記領域(X)の塩基数(X)および前記領域(Xc)の塩基数(Xc)との関係は、例えば、下記式(1)および(2)の条件を満たす。
Z=X+Y ・・・(1)
Z≧Xc+Yc ・・・(2)
【0088】
前記第2のssPN分子において、前記領域(X)の塩基数(X)と前記領域(Y)の塩基数(Y)の関係は、特に制限されず、例えば、下記式のいずれの条件を満たす。
X=Y ・・・(19)
X<Y ・・・(20)
X>Y ・・・(21)
【0089】
第2のssPN分子において、前記領域(X)の塩基数(X)、前記領域(Xc)の塩基数(Xc)、前記領域(Y)の塩基数(Y)および前記領域(Yc)の塩基数(Yc)の関係は、例えば、下記(a)〜(d)のいずれかの条件を満たす。
(a)下記式(3)および(4)の条件を満たす。
X>Xc ・・・(3)
Y=Yc ・・・(4)
(b)下記式(5)および(6)の条件を満たす。
X=Xc ・・・(5)
Y>Yc ・・・(6)
(c)下記式(7)および(8)の条件を満たす。
X>Xc ・・・(7)
Y>Yc ・・・(8)
(d)下記式(9)および(10)の条件を満たす。
X=Xc ・・・(9)
Y=Yc ・・・(10)
【0090】
前記(a)〜(d)において、前記領域(X)の塩基数(X)と前記領域(Xc)の塩基数(Xc)の差、前記領域(Y)の塩基数(Y)と前記領域(Yc)の塩基数(Yc)の差は、例えば、下記条件を満たすことが好ましい。
(a)下記式(11)および(12)の条件を満たす。
X−Xc=1〜10、好ましくは1、2、3または4、
より好ましくは1、2または3
・・・(11)
Y−Yc=0 ・・・(12)
(b)下記式(13)および(14)の条件を満たす。
X−Xc=0 ・・・(13)
Y−Yc=1〜10、好ましくは1、2、3または4、
より好ましくは1、2または3 ・・・(14)
(c)下記式(15)および(16)の条件を満たす。
X−Xc=1〜10、好ましくは、1、2または3、
より好ましくは1または2 ・・・(15)
Y−Yc=1〜10、好ましくは、1、2または3、
より好ましくは1または2 ・・・(16)
(d)下記式(17)および(18)の条件を満たす。
X−Xc=0 ・・・(17)
Y−Yc=0 ・・・(18)
【0091】
前記(a)〜(d)の第2のssPN分子について、それぞれの構造の一例を、図3の模式図に示す。図3は、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)を含むssPN分子であり、(A)は、前記(a)のssPN分子、(B)は、前記(b)のssPN分子、(C)は、前記(c)のssPN分子、(D)は、前記(d)のssPN分子の例である。図3において、点線は、自己アニーリングにより二重鎖を形成している状態を示す。図3のssPN分子は、前記領域(X)の塩基数(X)と前記領域(Y)の塩基数(Y)を、前記式(20)の「X<Y」と表わしたが、これには制限されず、前述のように、前記式(19)の「X=Y」でも、前記式(21)の「X>Y」でもよい。また、図3は、あくまでも前記領域(X)と前記領域(Xc)との関係、前記領域(Y)と前記領域(Yc)との関係を示す模式図であり、例えば、各領域の長さ、形状、リンカー領域(Ly)の有無等は、これには制限されない。
【0092】
前記(a)〜(c)のssPN分子は、例えば、前記領域(Xc)と前記領域(X)、および、前記領域(Yc)と前記領域(Y)が、それぞれ二重鎖を形成することによって、前記内部領域(Z)において、前記領域(Xc)および前記領域(Yc)のいずれともアライメントしない塩基を有する構造であり、二重鎖を形成しない塩基を有する構造ともいえる。前記内部領域(Z)において、前記アライメントしない塩基(二重鎖を形成しない塩基ともいう)を、以下、「フリー塩基」という。図3において、前記フリー塩基の領域を、「F」で示す。前記領域(F)の塩基数は、特に制限されない。前記領域(F)の塩基数(F)は、例えば、前記(a)のssPN分子の場合、「X−Xc」の塩基数であり、前記(b)のssPN分子の場合、「Y−Yc」の塩基数であり、前記(c)のssPN分子の場合、「X−Xc」の塩基数と「Y−Yc」の塩基数との合計数である。
【0093】
他方、前記(d)のssPN分子は、例えば、前記内部領域(Z)の全領域が、前記領域(Xc)および前記領域(Yc)とアライメントする構造であり、前記内部領域(Z)の全領域が二重鎖を形成する構造ともいえる。なお、前記(d)のssPN分子において、前記領域(Xc)の5’末端と前記領域(Yc)の3’末端は、未連結である。
【0094】
前記領域(Xc)、前記領域(Yc)、および前記内部領域(Z)における前記フリー塩基(F)の塩基数の合計は、前記内部領域(Z)の塩基数となる。このため、前記領域(Xc)および前記領域(Yc)の長さは、例えば、前記内部領域(Z)の長さ、前記フリー塩基の数およびその位置に応じて、適宜決定できる。
【0095】
前記内部領域(Z)の塩基数は、例えば、19塩基以上である。前記塩基数の下限は、例えば、19塩基であり、好ましくは20塩基であり、より好ましくは21塩基である。前記塩基数の上限は、例えば、50塩基であり、好ましくは40塩基であり、より好ましくは30塩基である。前記内部領域(Z)の塩基数の具体例は、例えば、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、27塩基、28塩基、29塩基、または、30塩基である。前記内部領域(Z)が、前記発現抑制配列を有する場合、例えば、この条件が好ましい。
【0096】
前記内部領域(Z)が前記発現抑制配列を含む場合、前記内部領域(Z)は、例えば、前記発現抑制配列のみから構成される領域でもよいし、前記発現抑制配列を含む領域でもよい。前記発現抑制配列の塩基数は、例えば、19〜30塩基であり、好ましくは、19、20または21塩基である。前記内部領域(Z)が前記発現抑制配列を含む場合、前記発現抑制配列の5’側および/または3’側に、さらに付加配列を有してもよい。前記付加配列の塩基数は、例えば、1〜31塩基であり、好ましくは、1〜21塩基であり、より好ましくは、1〜11塩基であり、さらに好ましくは、1〜7塩基である。
【0097】
前記領域(Xc)の塩基数は、例えば、1〜29塩基であり、好ましくは1〜11塩基であり、好ましくは1〜7塩基であり、より好ましくは1〜4塩基であり、さらに好ましくは1塩基、2塩基、3塩基である。前記内部領域(Z)または前記領域(Yc)が前記発現抑制配列を含む場合、例えば、このような塩基数が好ましい。具体例として、前記内部領域(Z)の塩基数が、19〜30塩基(例えば、19塩基)の場合、前記領域(Xc)の塩基数は、例えば、1〜11塩基であり、好ましくは1〜7塩基であり、より好ましくは1〜4塩基であり、さらに好ましくは1塩基、2塩基、3塩基である。
【0098】
前記領域(Xc)が前記発現抑制配列を含む場合、前記領域(Xc)は、例えば、前記発現抑制配列のみから構成される領域でもよいし、前記発現抑制配列を含む領域でもよい。前記発現抑制配列の長さは、例えば、前述の通りである。前記領域(Xc)が前記発現抑制配列を含む場合、前記発現抑制配列の5’側および/または3’側に、さらに付加配列を有してもよい。前記付加配列の塩基数は、例えば、1〜11塩基であり、好ましくは、1〜7塩基である。
【0099】
前記領域(Yc)の塩基数は、例えば、1〜29塩基であり、好ましくは1〜11塩基であり、好ましくは1〜7塩基であり、より好ましくは1〜4塩基であり、さらに好ましくは1塩基、2塩基、3塩基である。前記内部領域(Z)または前記領域(Xc)が前記発現抑制配列を含む場合、例えば、このような塩基数が好ましい。具体例として、前記内部領域(Z)の塩基数が、19〜30塩基(例えば、19塩基)の場合、前記領域(Yc)の塩基数は、例えば、1〜11塩基であり、好ましくは1〜7塩基であり、より好ましくは1塩基、2塩基、3塩基または4塩基であり、さらに好ましくは1塩基、2塩基、3塩基である。
【0100】
前記領域(Yc)が前記発現抑制配列を含む場合、前記領域(Yc)は、例えば、前記発現抑制配列のみから構成される領域でもよいし、前記発現抑制配列を含む領域でもよい。前記発現抑制配列の長さは、例えば、前述の通りである。前記領域(Yc)が前記発現抑制配列を含む場合、前記発現抑制配列の5’側および/または3’側に、さらに付加配列を有してもよい。前記付加配列の塩基数は、例えば、1〜11塩基であり、好ましくは、1〜7塩基である。
【0101】
前述のように、前記内部領域(Z)、前記領域(Xc)および前記領域(Yc)の塩基数は、例えば、前記式(2)の「Z≧Xc+Yc」で表わすことができる。具体例として、「Xc+Yc」の塩基数は、例えば、前記内部領域(Z)と同じ、または、前記内部領域(Z)より小さい。後者の場合、「Z−(Xc+Yc)」は、例えば、1〜10、好ましくは1〜4、より好ましくは1、2または3である。前記「Z−(Xc+Yc)」は、例えば、前記内部領域(Z)におけるフリーの領域(F)の塩基数(F)に相当する。
【0102】
前記第2のssPN分子において、前記リンカー領域(Lx)および前記リンカー領域(Ly)の長さは、特に制限されない。前記リンカー領域(Lx)は、前述の通りである。前記リンカー領域(Ly)の構成単位が塩基を含む場合、前記リンカー領域(Ly)の塩基数は、その下限が、例えば、1塩基であり、好ましくは2塩基であり、より好ましくは3塩基であり、その上限が、例えば、100塩基であり、好ましくは80塩基であり、より好ましくは50塩基である。前記各リンカー領域の塩基数は、具体例として、例えば、1〜50塩基、1〜30塩基、1〜20塩基、1〜10塩基、1〜7塩基、1〜4塩基等が例示できるが、これには制限されない。
【0103】
前記リンカー領域(Ly)は、例えば、前記リンカー領域(Lx)と同じでもよいし、異なってもよい。
【0104】
前記第2のssPN分子の全長は、特に制限されない。前記第2のssPN分子において、前記塩基数の合計(全長の塩基数)は、下限が、例えば、38塩基であり、好ましくは42塩基であり、より好ましくは50塩基であり、さらに好ましくは51塩基であり、特に好ましくは52塩基であり、その上限は、例えば、300塩基であり、好ましくは200塩基であり、より好ましくは150塩基であり、さらに好ましくは100塩基であり、特に好ましくは80塩基である。前記第2のssPN分子において、前記リンカー領域(Lx)およびリンカー領域(Ly)を除く塩基数の合計は、下限が、例えば、38塩基であり、好ましくは42塩基であり、より好ましくは50塩基であり、さらに好ましくは51塩基であり、特に好ましくは52塩基であり、上限が、例えば、300塩基であり、好ましくは200塩基であり、より好ましくは150塩基であり、さらに好ましくは100塩基であり、特に好ましくは80塩基である。
【0105】
本発明のssPN分子は、前述のように、前記リンカー領域(Lx)が、前記非ヌクレオチド構造を有していればよく、その他の構成単位は、特に制限されない。前記構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基等があげられる。前記ヌクレオチド残基は、例えば、リボヌクレオチド残基およびデオキシリボヌクレオチド残基等があげられる。前記ヌクレオチド残基は、例えば、修飾されていない非修飾ヌクレオチド残基および修飾された修飾ヌクレオチド残基等があげられる。本発明のssPN分子は、例えば、前記修飾ヌクレオチド残基を含むことによって、ヌクレアーゼ耐性を向上し、安定性を向上可能である。また、本発明のssPN分子は、例えば、前記ヌクレオチド残基の他に、さらに、非ヌクレオチド残基を含んでもよい。
【0106】
前記領域(Xc)、前記領域(X)、前記領域(Y)および前記領域(Yc)の構成単位は、それぞれ、前記ヌクレオチド残基が好ましい。前記各領域は、例えば、下記(1)〜(3)の残基で構成される。
(1)非修飾ヌクレオチド残基
(2)修飾ヌクレオチド残基
(3)非修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
【0107】
前記リンカー領域(Lx)は、例えば、前記非ヌクレオチド残基のみから構成されてもよいし、前記非ヌクレオチド残基と前記ヌクレオチド残基から構成されてもよい。前記リンカー領域(Lx)は、例えば、下記(4)〜(7)の残基で構成される。
(4)非ヌクレオチド残基
(5)非ヌクレオチド残基および非修飾ヌクレオチド残基
(6)非ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
(7)非ヌクレオチド残基、非修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
【0108】
前記リンカー領域(Ly)の構成単位は、特に制限されず、例えば、前述のように、前記ヌクレオチド残基および前記非ヌクレオチド残基等があげられる。前記リンカー領域は、例えば、前記ヌクレオチド残基のみから構成されてもよいし、前記非ヌクレオチド残基のみから構成されてもよいし、前記ヌクレオチド残基と前記非ヌクレオチド残基から構成されてもよい。前記リンカー領域は、例えば、下記(1)〜(7)の残基で構成される。
(1)非修飾ヌクレオチド残基
(2)修飾ヌクレオチド残基
(3)非修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
(4)非ヌクレオチド残基
(5)非ヌクレオチド残基および非修飾ヌクレオチド残基
(6)非ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
(7)非ヌクレオチド残基、非修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基
【0109】
本発明のssPN分子は、例えば、前記リンカー領域(Lx)を除き、前記ヌクレオチド残基のみから構成される分子、前記ヌクレオチド残基の他に前記非ヌクレオチド残基を含む分子等があげられる。本発明のssPN分子において、前記ヌクレオチド残基は、前述のように、例えば、前記非修飾ヌクレオチド残基のみでもよいし、前記修飾ヌクレオチド残基のみでもよいし、前記非修飾ヌクレオチド残基および前記修飾ヌクレオチド残基の両方であってもよい。前記ssPN分子が、前記非修飾ヌクレオチド残基と前記修飾ヌクレオチド残基を含む場合、前記修飾ヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1〜5個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。本発明のssPN分子が、前記非ヌクレオチド残基を含む場合、前記非ヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1または2個である。
【0110】
本発明のssPN分子において、前記ヌクレオチド残基は、例えば、リボヌクレオチド残基が好ましい。この場合、本発明のssPN分子は、例えば、「ssRNA分子」、または「P−ssRNA分子」ともいう。前記ssRNA分子は、例えば、前記リンカー領域(Lx)を除き、前記リボヌクレオチド残基のみから構成される分子、前記リボヌクレオチド残基の他に前記非ヌクレオチド残基を含む分子等があげられる。前記ssRNA分子において、前記リボヌクレオチド残基は、前述のように、例えば、前記非修飾リボヌクレオチド残基のみでもよいし、前記修飾リボヌクレオチド残基のみでもよいし、前記非修飾リボヌクレオチド残基および前記修飾リボヌクレオチド残基の両方を含んでもよい。
【0111】
前記ssRNA分子が、例えば、前記非修飾リボヌクレオチド残基の他に前記修飾リボヌクレオチド残基を含む場合、前記修飾リボヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1〜5個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。前記非修飾リボヌクレオチド残基に対する前記修飾リボヌクレオチド残基は、例えば、リボース残基がデオキシリボース残基に置換された前記デオキシリボヌクレオチド残基等があげられる。前記ssRNA分子が、例えば、前記非修飾リボヌクレオチド残基の他に前記デオキシリボヌクレオチド残基を含む場合、前記デオキシリボヌクレオチド残基の個数は、特に制限されず、例えば、「1もしくは数個」であり、具体的には、例えば、1〜5個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
【0112】
本発明のssPN分子は、例えば、標識物質を含み、前記標識物質で標識化されてもよい。前記標識物質は、特に制限されず、例えば、蛍光物質、色素、同位体等があげられる。前記標識物質は、例えば、ピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy3色素、Cy5色素等の蛍光団があげられ、前記色素は、例えば、Alexa488等のAlexa色素等があげられる。前記同位体は、例えば、安定同位体および放射性同位体があげられ、好ましくは安定同位体である。前記安定同位体は、例えば、被ばくの危険性が少なく、専用の施設も不要であることから取り扱い性に優れ、また、コストも低減できる。また、前記安定同位体は、例えば、標識した化合物の物性変化がなく、トレーサーとしての性質にも優れる。前記安定同位体は、特に制限されず、例えば、H、13C、15N、17O、18O、33S、34Sおよび36S等があげられる。
【0113】
本発明のssPN分子は、前述のように、例えば、前記非ヌクレオチド構造に前記標識物質を導入することが好ましく、前記リンカー領域(Lx)の前記非ヌクレオチド残基に前記標識物質を導入することが好ましい。前記非ヌクレオチド残基への標識物質の導入は、例えば、簡便かつ安価に行うことができる。
【0114】
本発明のssPN分子は、前述のように、前記標的遺伝子の発現を抑制ができる。このため、本発明のssPN分子は、例えば、遺伝子が原因となる疾患の治療剤として使用できる。前記発現抑制配列として、前記疾患の原因となる遺伝子の発現を抑制する配列を含む前記ssPN分子であれば、例えば、前記標的遺伝子の発現抑制により、前記疾患を治療できる。本発明において、「治療」は、例えば、前記疾患の予防、疾患の改善、予後の改善の意味を含み、いずれでもよい。
【0115】
本発明のssPN分子の使用方法は、特に制限されず、例えば、前記標的遺伝子を有する投与対象に、前記ssPN分子を投与すればよい。
【0116】
前記投与対象は、例えば、細胞、組織または器官等があげられる。前記投与対象は、例えば、ヒト、ヒトを除く非ヒト哺乳類等の非ヒト動物等があげられる。前記投与は、例えば、in vivoでもin vitroでもよい。前記細胞は、特に制限されず、例えば、HeLa細胞、293細胞、NIH3T3細胞、COS細胞等の各種培養細胞、ES細胞、造血幹細胞等の幹細胞、初代培養細胞等の生体から単離した細胞等があげられる。
【0117】
本発明において、発現抑制の対象となる前記標的遺伝子は、特に制限されず、所望の遺伝子を設定でき、前記遺伝子に応じて、前記発現抑制配列を適宜設計すればよい。
【0118】
本発明のssPN分子の具体例を以下に示すが、本発明はこれには何ら制限されない。前記ssPN分子の塩基配列は、例えば、前記標的遺伝子がGAPDH遺伝子の場合、配列番号4および18の塩基配列が例示でき、前記塩基配列において、例えば、1もしくは数個の欠失、置換および/または付加された塩基配列でもよく、また、前記標的遺伝子がTGF−β1の場合、例えば、配列番号19〜23の塩基配列が例示でき、前記塩基配列において、例えば、1もしくは数個の欠失、置換および/または付加された塩基配列でもよい。なお、下記配列番号4および18の配列において、下線部GUUGUCAUACUUCUCAUGG(配列番号5)が、GAPDH遺伝子の発現抑制に関する領域である。また、下記配列番号19〜23において、「*」は、フリー塩基を表す。また、下記配列番号4および18〜23において、LxおよびLyの構造は、特に限定されないが、例えば、後述の実施例に示す構造(Lg)でもよい。
【化SEQ4】
(配列番号18)
5’-CCAUGAGAAGUAUGACAACAGCC-Lx-GGCUGUUGUCAUACUUCUCAUGGUU-3’
【化SEQ19-22】
【化SEQ23】
【0119】
本発明のssPN分子の使用に関しては、後述する本発明の組成物、発現抑制方法および治療方法等の記載を援用できる。
【0120】
本発明のssPN分子は、前述のように標的遺伝子の発現を抑制可能であることから、例えば、医薬品、診断薬および農薬、ならびに、医学、生命科学等の研究ツールとして有用である。
【0121】
本発明において、「アルキル」は、例えば、直鎖状または分枝状のアルキル基を含む。前記アルキルの炭素数は、特に制限されず、例えば、1〜30であり、好ましくは、1〜6または1〜4である。前記アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ぺンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル等があげられる。好ましくは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ぺンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル等があげられる。
【0122】
本発明において、「アルケニル」は、例えば、直鎖状または分枝状のアルケニルを含む。前記アルケニルは、前記アルキルにおいて、1個または複数の二重結合を有するもの等があげられる。前記アルケニルの炭素数は、特に制限されず、例えば、前記アルキルと同様であり、好ましくは2〜8である。前記アルケニルは、例えば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1,3−ブタジエニル、3−メチル−2−ブテニル等があげられる。
【0123】
本発明において、「アルキニル」は、例えば、直鎖状または分枝状のアルキニルを含む。前記アルキニルは、前記アルキルにおいて、1個または複数の三重結合を有するもの等があげられる。前記アルキニルの炭素数は、特に制限されず、例えば、前記アルキルと同様であり、好ましくは2〜8である。前記アルキニルは、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル等があげられる。前記アルキニルは、例えば、さらに、1個または複数の二重結合を有してもよい。
【0124】
本発明において、「アリール」は、例えば、単環芳香族炭化水素基および多環芳香族炭化水素基を含む。前記単環芳香族炭化水素基は、例えば、フェニル等があげられる。前記多環芳香族炭化水素基は、例えば、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル等があげられる。好ましくは、例えば、フェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチル等のナフチル等があげられる。
【0125】
本発明において、「ヘテロアリール」は、例えば、単環芳香族複素環式基および縮合芳香族複素環式基を含む。前記ヘテロアリールは、例えば、フリル(例:2−フリル、3−フリル)、チエニル(例:2−チエニル、3−チエニル)、ピロリル(例:1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、イミダゾリル(例:1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、ピラゾリル(例:1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、トリアゾリル(例:1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−4−イル)、テトラゾリル(例:1−テトラゾリル、2−テトラゾリル、5−テトラゾリル)、オキサゾリル(例:2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソキサゾリル(例:3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル)、チアゾリル(例:2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、チアジアゾリル、イソチアゾリル(例:3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル)、ピリジル(例:2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリダジニル(例:3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピリミジニル(例:2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル)、フラザニル(例:3−フラザニル)、ピラジニル(例:2−ピラジニル)、オキサジアゾリル(例:1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)、ベンゾフリル(例:2−ベンゾ[b]フリル、−ベンゾ[b]フリル、4−ベンゾ[b]フリル、5−ベンゾ[b]フリル、6−ベンゾ[b]フリル、7−ベンゾ[b]フリル)、ベンゾチエニル(例:2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル、4−ベンゾ[b]チエニル、5−ベンゾ[b]チエニル、6−ベンゾ[b]チエニル、7−ベンゾ[b]チエニル)、ベンズイミダゾリル(例:1−ベンゾイミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、4−ベンゾイミダゾリル、5−ベンゾイミダゾリル)、ジベンゾフリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノキサリ二ル(例:2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、6−キノキサリニル)、シンノリニル(例:3−シンノリニル、4−シンノリニル、5−シンノリニル、6−シンノリニル、7−シンノリニル、8−シンノリニル)、キナゾリ二ル(例:2−キナゾリニル、4−キナゾリニル、5−キナゾリニル、6−キナゾリニル、7−キナゾリニル、8−キナゾリニル)、キノリル(例:2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、8−キノリル)、フタラジニル(例:1−フタラジニル、5−フタラジニル、6−フタラジニル)、イソキノリル(例:1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、8−イソキノリル)、プリル、プテリジニル(例:2−プテリジニル、4−プテリジニル、6−プテリジニル、7−プテリジニル)、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル(例:1−アクリジニル、2−アクリジニル、3−アクリジニル、4−アクリジニル、9−アクリジニル)、インドリル(例:1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル)、イソインドリル、フェナジニル(例:1−フェナジニル、2−フェナジニル)またはフェノチアジニル(例:1−フェノチアジニル、2−フェノチアジニル、3−フェノチアジニル、4−フェノチアジニル)等があげられる。
【0126】
本発明において、「シクロアルキル」は、例えば、環状飽和炭化水素基であり、炭素数は、例えば、3〜15である。前記シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、橋かけ環式炭化水素基、スピロ炭化水素基等があげられ、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、橋かけ環式炭化水素基等があげられる。
【0127】
本発明において、「橋かけ環式炭化水素基」は、例えば、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチルおよびビシクロ[3.2.1]オクチル、トリシクロ[2.2.1.0]ヘプチル、ビシクロ[3.3.1]ノナン、1−アダマンチル、2−アダマンチル等があげられる。
【0128】
本発明において、「スピロ炭化水素基」は、例えば、スピロ[3.4]オクチル等があげられる。
【0129】
本発明において、「シクロアルケニル」は、例えば、環状の不飽和脂肪族炭化水素基を包み、炭素数は、例えば、3〜7個である。前記基は、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル等があげられ、好ましくは、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等である。前記シクロアルケニルは、例えば、環中に不飽和結合を有する橋かけ環式炭化水素基およびスピロ炭化水素基も含む。
【0130】
本発明において、「アリールアルキル」は、例えば、ベンジル、2−フェネチル、およびナフタレニルメチル等があげられ、「シクロアルキルアルキル」または「シクリルアルキル」は、例えば、シクロヘキシルメチル、アダマンチルメチル等があげられ、「ヒドロキシアルキル」は、例えば、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチル等があげられる。
【0131】
本発明において、「アルコキシ」は、例えば、前記アルキル−O−基を含み、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、およびn−ブトキシ等があげられ、「アルコキシアルキル」は、例えば、メトキシメチル等があげられ、「アミノアルキル」は、例えば、2−アミノエチル等があげられる。
【0132】
本発明において、「ヘテロシクリル」は、例えば、1−ピロリニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、ピロリジノン、1−イミダゾリニル、2−イミダゾリニル、4−イミダゾリニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、イミダゾリジノン、1−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、4−ピラゾリニル、1−ピラゾリジニル、3−ピラゾリジニル、4−ピラゾリジニル、ピペリジノン、ピペリジノ、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、ピペラジノン、2−モルホリニル、3−モルホリニル、モルホリノ、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル等があげられる。
【0133】
本発明において、「ヘテロシクリルアルキル」は、例えば、ピペリジニルメチル、ピペラジニルメチル等があげられ、「ヘテロシクリルアルケニル」は、例えば、2−ピペリジニルエテニル等があげられ、「ヘテロアリールアルキル」は、例えば、ピリジルメチルおよびキノリン−3−イルメチル等があげられる。
【0134】
本発明において、「シリル」は、式RSi−で表される基を含み、Rは、独立して、前記アルキル、アリールおよびシクロアルキルから選択でき、例えば、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基等があげられ、「シリルオキシ」は、例えば、トリメチルシリルオキシ基等があげられ、「シリルオキシアルキル」は、例えば、トリメチルシリルオキシメチル等があげられる。
【0135】
本発明において、「アルキレン」は、例えば、メチレン、エチレン、およびプロピレン等があげられる。
【0136】
本発明において、前述した各種基は、置換されてもよい。前記置換基は、例えば、ヒドロキシ、カルボキシ、スルホ、ハロゲン、ハロゲン化アルキル(ハロアルキル、例:CF、CHCF、CHCCl)、ニトロ、ニトロソ、シアノ、アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル)、アルケニル(例:ビニル)、アルキニル(例:エチニル)、シクロアルキル(例:シクロプロピル、アダマンチル)、シクロアルキルアルキル(例:シクロヘキシルメチル、アダマンチルメチル)、シクロアルケニル(例:シクロプロペニル)、シクリルアルキル、ヒドロキシアルキル(例:ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル)、アルコキシアルキル(例:メトキシメチル、エトキシメチル、エトキシエチル)、アリール(例:フェニル、ナフチル)、アリールアルキル(例:ベンジル、フェネチル)、アルキルアリール(例、p−メチルフェニル)、ヘテロアリール(例:ピリジル、フリル)、ヘテロアリールアルキル(例:ピリジルメチル)、ヘテロシクリル(例:ピペリジル)、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキル(例:モルホリルメチル)、アルコキシ(例:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)、ハロゲン化アルコキシ(例:OCF)、アルケニルオキシ(例:ビニルオキシ、アリルオキシ)、アリールオキシ(例:フェニルオキシ)、アルキルオキシカルボニル(例:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル)、アリールアルキルオキシ(例:ベンジルオキシ)、アミノ[アルキルアミノ(例:メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ)、アシルアミノ(例:アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、アリールアルキルアミノ(例:ベンジルアミノ、トリチルアミノ)、ヒドロキシアミノ]、アミノアルキル(例:アミノメチル)、アルキルアミノアルキル(例:ジエチルアミノメチル)、カルバモイル、スルファモイル、オキソ、シリル、シリルオキシアルキル等があげられる。
【0137】
2.ヌクレオチド残基
前記ヌクレオチド残基は、例えば、構成要素として、糖、塩基およびリン酸を含む。前記ヌクレオチド残基は、前述のように、例えば、リボヌクレオチド残基およびデオキシリボヌクレオチド残基等があげられる。前記リボヌクレオチド残基は、例えば、糖としてリボース残基を有し、塩基として、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)およびU(ウラシル)を有し、前記デオキシリボース残基は、例えば、糖としてデオキシリボース残基を有し、塩基として、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)およびチミン(T)を有する。
【0138】
前記ヌクレオチド残基は、未修飾ヌクレオチド残基および修飾ヌクレオチド残基等があげられる。前記未修飾ヌクレオチド残基は、前記各構成要素が、例えば、天然に存在するものと同一または実質的に同一であり、好ましくは、人体において天然に存在するものと同一または実質的に同一である。
【0139】
前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、前記未修飾ヌクレオチド残基を修飾したヌクレオチド残基である。前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、前記未修飾ヌクレオチド残基の構成要素のいずれが修飾されてもよい。本発明において、「修飾」は、例えば、前記構成要素の置換、付加および/または欠失、前記構成要素における原子および/または官能基の置換、付加および/または欠失であり、「改変」ということができる。前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、天然に存在するヌクレオチド残基、人工的に修飾したヌクレオチド残基等があげられる。前記天然由来の修飾ヌクレオチド残基は、例えば、リンバックら(Limbach et al.、1994、Summary:the modified nucleosides of RNA、Nucleic Acids Res.22:2183〜2196)を参照できる。また、前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、前記ヌクレオチド残基の代替物の残基であってもよい。
【0140】
前記ヌクレオチド残基の修飾は、例えば、リボース−リン酸骨格(以下、リボリン酸骨格)の修飾等があげられる。
【0141】
前記リボリン酸骨格において、例えば、リボース残基を修飾できる。前記リボース残基は、例えば、2’位炭素を修飾でき、具体的には、例えば、2’位炭素に結合する水酸基を、水素またはフルオロ等に置換できる。前記2’位炭素の水酸基を水素に置換することで、リボース残基をデオキシリボース残基に置換できる。前記リボース残基は、例えば、立体異性体に置換でき、例えば、アラビノース残基に置換してもよい。
【0142】
前記リボリン酸骨格は、例えば、非リボース残基および/または非リン酸を有する非リボリン酸骨格に置換してもよい。前記非リボリン酸骨格は、例えば、前記リボリン酸骨格の非荷電体等があげられる。前記非リボリン酸骨格に置換された、前記ヌクレオチド残基の代替物は、例えば、モルホリノ、シクロブチル、ピロリジン等があげられる。前記代替物は、この他に、例えば、人工核酸モノマー残基等があげられる。具体例として、例えば、PNA(ペプチド核酸)、LNA(Locked Nucleic Acid)、ENA(2’−O,4’−C−Ethylenebridged Nucleic Acids)等があげられ、好ましくはPNAである。
【0143】
前記リボリン酸骨格において、例えば、リン酸基を修飾できる。前記リボリン酸骨格において、糖残基に最も近いリン酸基は、αリン酸基と呼ばれる。前記αリン酸基は、負に荷電し、その電荷は、糖残基に非結合の2つの酸素原子にわたって、均一に分布している。前記αリン酸基における4つの酸素原子のうち、ヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合において、糖残基と非結合である2つの酸素原子は、以下、「非結合(non−linking)酸素」ともいう。他方、前記ヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合において、糖残基と結合している2つの酸素原子は、以下、「結合(linking)酸素」という。前記αリン酸基は、例えば、非荷電となる修飾、または、前記非結合原子における電荷分布が非対称型となる修飾を行うことが好ましい。
【0144】
前記リン酸基は、例えば、前記非結合酸素を置換してもよい。前記酸素は、例えば、S(硫黄)、Se(セレン)、B(ホウ素)、C(炭素)、H(水素)、N(窒素)およびOR(Rは、例えば、アルキル基またはアリール基)のいずれかの原子で置換でき、好ましくは、Sで置換される。前記非結合酸素は、例えば、両方が置換されていることが好ましく、より好ましくは、両方がSで置換される。前記修飾リン酸基は、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、ホスホネート水素、ホスホロアミデート、アルキルまたはアリールホスホネート、およびホスホトリエステル等があげられ、中でも、前記2つの非結合酸素が両方ともSで置換されているホスホロジチオエートが好ましい。
【0145】
前記リン酸基は、例えば、前記結合酸素を置換してもよい。前記酸素は、例えば、S(硫黄)、C(炭素)およびN(窒素)のいずれかの原子で置換されても良い。前記修飾リン酸基は、例えば、Nで置換した架橋ホスホロアミデート、Sで置換した架橋ホスホロチオエート、およびCで置換した架橋メチレンホスホネート等があげられる。前記結合酸素の置換は、例えば、本発明のssPN分子の5’末端ヌクレオチド残基および3’末端ヌクレオチド残基の少なくとも一方において行うことが好ましく、5’側の場合、Cによる置換が好ましく、3’側の場合、Nによる置換が好ましい。
【0146】
前記リン酸基は、例えば、前記リン非含有のリンカーに置換してもよい。前記リンカーは、例えば、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキサイドリンカー、スルホネート、スルホンアミド、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ、およびメチレンオキシメチルイミノ等を含み、好ましくは、メチレンカルボニルアミノ基およびメチレンメチルイミノ基を含む。
【0147】
本発明のssPN分子は、例えば、3’末端および5’末端の少なくとも一方のヌクレオチド残基が修飾されてもよい。前記修飾は、例えば、3’末端および5’末端のいずれか一方でもよいし、両方でもよい。前記修飾は、例えば、前述の通りであり、好ましくは、末端のリン酸基に行うことが好ましい。前記リン酸基は、例えば、全体を修飾してもよいし、前記リン酸基における1つ以上の原子を修飾してもよい。前者の場合、例えば、リン酸基全体の置換でもよいし、欠失でもよい。
【0148】
前記末端のヌクレオチド残基の修飾は、例えば、他の分子の付加等があげられる。前記他の分子は、例えば、前述のような標識物質、保護基等の機能性分子等があげられる。前記保護基は、例えば、S(硫黄)、Si(ケイ素)、B(ホウ素)、エステル含有基等があげられる。前記標識物質等の機能性分子は、例えば、本発明のssPN分子の検出等に利用できる。
【0149】
前記他の分子は、例えば、前記ヌクレオチド残基のリン酸基に付加してもよいし、スペーサーを介して、前記リン酸基または前記糖残基に付加してもよい。前記スペーサーの末端原子は、例えば、前記リン酸基の前記結合酸素、または、糖残基のO、N、SもしくはCに、付加または置換できる。前記糖残基の結合部位は、例えば、3’位のCもしくは5’位のC、またはこれらに結合する原子が好ましい。前記スペーサーは、例えば、前記PNA等のヌクレオチド代替物の末端原子に、付加または置換することもできる。
【0150】
前記スペーサーは、特に制限されず、例えば、−(CH−、−(CHN−、−(CHO−、−(CHS−、O(CHCHO)CHCHOH、無塩基糖、アミド、カルボキシ、アミン、オキシアミン、オキシイミン、チオエーテル、ジスルフィド、チオ尿素、スルホンアミド、およびモルホリノ等、ならびに、ビオチン試薬およびフルオレセイン試薬等を含んでもよい。前記式において、nは、正の整数であり、n=3または6が好ましい。
【0151】
前記末端に付加する分子は、これらの他に、例えば、色素、インターカレート剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、ソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サッフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性担体(例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コール酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)およびペプチド複合体(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、リン酸、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG−40K)、MPEG、[MPEG]、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射線標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン−イミダゾール複合体、テトラアザマクロ環のEu3+複合体)等があげられる。
【0152】
本発明のssPN分子は、前記5’末端が、例えば、リン酸基またはリン酸基アナログで修飾されてもよい。前記リン酸化は、例えば、5’一リン酸((HO)2(O)P-O-5’)、5’二リン酸((HO)2(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’三リン酸((HO)2(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’−グアノシンキャップ(7−メチル化または非メチル化、7m-G-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’−アデノシンキャップ(Appp)、任意の修飾または非修飾ヌクレオチドキャップ構造(N-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’一チオリン酸(ホスホロチオエート:(HO)2(S)P-O-5’)、5’一ジチオリン酸(ホスホロジチオエート:(HO)(HS)(S)P-O-5’)、5’−ホスホロチオール酸((HO)2(O)P-S-5’)、硫黄置換の一リン酸、二リン酸および三リン酸(例えば、5’−α−チオ三リン酸、5’−γ−チオ三リン酸等)、5’−ホスホルアミデート((HO)2(O)P-NH-5’、(HO)(NH2)(O)P-O-5’)、5’−アルキルホスホン酸(例えば、RP(OH)(O)-O-5’、(OH)2(O)P-5’-CH2、Rはアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル等))、5’−アルキルエーテルホスホン酸(例えば、RP(OH)(O)-O-5’、Rはアルキルエーテル(例えば、メトキシメチル、エトキシメチル等))等があげられる。
【0153】
前記ヌクレオチド残基において、前記塩基は、特に制限されない。前記塩基は、例えば、天然の塩基でもよいし、非天然の塩基でもよい。前記塩基は、例えば、天然由来でもよいし、合成品でもよい。前記塩基は、例えば、一般的な塩基、その修飾アナログ等が使用できる。
【0154】
前記塩基は、例えば、アデニンおよびグアニン等のプリン塩基、シトシン、ウラシルおよびチミン等のピリミジン塩基等があげられる。前記塩基は、この他に、イノシン、チミン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌバラリン(nubularine)、イソグアニシン(isoguanisine)、ツベルシジン(tubercidine)等があげられる。前記塩基は、例えば、2−アミノアデニン、6−メチル化プリン等のアルキル誘導体;2−プロピル化プリン等のアルキル誘導体;5−ハロウラシルおよび5−ハロシトシン;5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシン;6−アゾウラシル、6−アゾシトシンおよび6−アゾチミン;5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、5−ハロウラシル、5−(2−アミノプロピル)ウラシル、5−アミノアリルウラシル;8−ハロ化、アミノ化、チオール化、チオアルキル化、ヒドロキシル化および他の8−置換プリン;5−トリフルオロメチル化および他の5−置換ピリミジン;7−メチルグアニン;5−置換ピリミジン;6−アザピリミジン;N−2、N−6、およびO−6置換プリン(2−アミノプロピルアデニンを含む);5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシン;ジヒドロウラシル;3−デアザ−5−アザシトシン;2−アミノプリン;5−アルキルウラシル;7−アルキルグアニン;5−アルキルシトシン;7−デアザアデニン;N6,N6−ジメチルアデニン;2,6−ジアミノプリン;5−アミノ−アリル−ウラシル;N3−メチルウラシル;置換1,2,4−トリアゾール;2−ピリジノン;5−ニトロインドール;3−ニトロピロール;5−メトキシウラシル;ウラシル−5−オキシ酢酸;5−メトキシカルボニルメチルウラシル;5−メチル−2−チオウラシル;5−メトキシカルボニルメチル−2−チオウラシル;5−メチルアミノメチル−2−チオウラシル;3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウラシル;3−メチルシトシン;5−メチルシトシン;N−アセチルシトシン;2−チオシトシン;N6−メチルアデニン;N6−イソペンチルアデニン;2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン;N−メチルグアニン;O−アルキル化塩基等があげられる。また、プリンおよびピリミジンは、例えば、米国特許第3,687,808号、「Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering」、858〜859頁、クロシュビッツ ジェー アイ(Kroschwitz J.I.)編、John Wiley & Sons、1990、およびイングリッシュら(Englischら)、Angewandte Chemie、International Edition、1991、30巻、p.613に開示されるものが含まれる。
【0155】
前記修飾ヌクレオチド残基は、これらの他に、例えば、塩基を欠失する残基、すなわち、無塩基のリボリン酸骨格を含んでもよい。また、前記修飾ヌクレオチド残基は、例えば、米国仮出願第60/465,665号(出願日:2003年4月25日)、および国際出願第PCT/US04/07070号(出願日:2004年3月8日)に記載される残基が使用でき、本発明は、これらの文献を援用できる。
【0156】
3.本発明のssPN分子の合成方法
本発明のssPN分子の合成方法は、特に制限されず、従来公知の方法が採用できる。前記合成方法は、例えば、遺伝子工学的手法による合成法、化学合成法等があげられる。遺伝子工学的手法は、例えば、インビトロ転写合成法、ベクターを用いる方法、PCRカセットによる方法等があげられる。前記ベクターは、特に制限されず、プラスミド等の非ウイルスベクター、ウイルスベクター等があげられる。これに限定されない。前記化学合成法は、特に制限されず、例えば、ホスホロアミダイト法およびH−ホスホネート法等があげられる。前記化学合成法は、例えば、市販の自動核酸合成機を使用可能である。前記化学合成法は、一般に、アミダイトが使用される。前記アミダイトは、特に制限されず、市販のアミダイトとして、例えば、RNA Phosphoramidites(2’−O−TBDMSi、商品名、三千里製薬)、ACEアミダイト、TOMアミダイト、CEEアミダイト、CEMアミダイト、TEMアミダイト等があげられる。本発明のssPN分子については、例えば、前記式(I)で表わされるリンカー領域の合成の際、後述する本発明のモノマーを使用することが好ましい。
【0157】
4.組成物
本発明の発現抑制用組成物は、前述のように、標的遺伝子の発現を抑制するための組成物であり、前記本発明のssPN分子を含むことを特徴とする。本発明の組成物は、前記本発明のssPN分子を含むことが特徴であり、その他の構成は、何ら制限されない。本発明の発現抑制用組成物は、例えば、発現抑制用試薬ということもできる。
【0158】
本発明によれば、例えば、前記標的遺伝子が存在する対象に投与することで、前記標的遺伝子の発現抑制を行うことができる。
【0159】
また、本発明の薬学的組成物は、前述のように、前記本発明のssPN分子を含むことを特徴とする。本発明の組成物は、前記本発明のssPN分子を含むことが特徴であり、その他の構成は何ら制限されない。本発明の薬学的組成物は、例えば、医薬品ということもできる。
【0160】
本発明によれば、例えば、遺伝子が原因となる疾患の患者に投与することで、前記遺伝子の発現を抑制し、前記疾患を治療することができる。本発明において、「治療」は、前述のように、例えば、前記疾患の予防、疾患の改善、予後の改善の意味を含み、いずれでもよい。
【0161】
本発明において、治療の対象となる疾患は、特に制限されず、例えば、遺伝子の発現が原因となる疾患等があげられる。前記疾患の種類に応じて、その疾患の原因となる遺伝子を前記標的遺伝子に設定し、さらに、前記標的遺伝子に応じて、前記発現抑制配列を適宜設定すればよい。
【0162】
具体例として、前記標的遺伝子を前記TGF−β1遺伝子に設定し、前記遺伝子に対する発現抑制配列を前記ssPN分子に配置すれば、例えば、炎症性疾患、具体的には、急性肺傷害等の治療に使用できる。
【0163】
本発明の発現抑制用組成物および薬学的組成物(以下、組成物という)の使用方法は、特に制限されず、例えば、前記標的遺伝子を有する投与対象に、前記ssPN分子を投与すればよい。
【0164】
前記投与対象は、例えば、細胞、組織または器官等があげられる。前記投与対象は、例えば、ヒト、ヒトを除く非ヒト哺乳類等の非ヒト動物等があげられる。前記投与は、例えば、in vivoでもin vitroでもよい。前記細胞は、特に制限されず、例えば、HeLa細胞、293細胞、NIH3T3細胞、COS細胞等の各種培養細胞、ES細胞、造血幹細胞等の幹細胞、初代培養細胞等の生体から単離した細胞等があげられる。
【0165】
前記投与方法は、特に制限されず、例えば、投与対象に応じて適宜決定できる。前記投与対象が培養細胞の場合、例えば、トランスフェクション試薬を使用する方法、エレクトロポレーション法等があげられる。前記投与がin vivoの場合、例えば、経口投与でもよいし、非経口投与でもよい。前記非経口投与は、例えば、注射、皮下投与、局所投与等があげられる。
【0166】
本発明の組成物は、例えば、本発明のssPN分子のみを含んでもよいし、さらにその他の添加物を含んでもよい。前記添加物は、特に制限されず、例えば、薬学的に許容された添加物が好ましい。前記添加物の種類は、特に制限されず、例えば、投与対象の種類に応じて適宜選択できる。
【0167】
本発明の組成物において、前記ssPN分子は、例えば、前記添加物と複合体を形成してもよい。前記添加物は、例えば、複合化剤ということもできる。前記複合体により、例えば、前記ssPN分子を効率よくデリバリーできる。前記ssPN分子と前記複合化剤との結合は、特に制限されず、例えば、非共有結合等があげられる。前記複合体は、例えば、包接複合体等があげられる。
【0168】
前記複合化剤は、特に制限されず、ポリマー、シクロデキストリン、アダマンチン等があげられる。前記シクロデキストリンは、例えば、線状シクロデキストリンコポリマー、線状酸化シクロデキストリンコポリマー等があげられる。
【0169】
前記添加剤は、この他に、例えば、担体、標的細胞への結合物質、縮合剤、融合剤等があげられる。
【0170】
前記担体は、例えば、高分子が好ましく、より好ましくは、生体高分子である。前記担体は、例えば、生分解性が好ましい。前記担体は、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)、グロブリン等のタンパク質;例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、ヒアルロン酸等の糖質;脂質等があげられる。前記担体は、例えば、合成ポリアミノ酸等の合成ポリマーも使用できる。前記ポリアミノ酸は、例えば、ポリリシン(PLL)、ポリL−アスパラギン酸、ポリL−グルタミン酸、スチレン−マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル−マレイン酸無水物コポリマー、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2−エチルアクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミドポリマー、又はポリホスファジン(polyphosphazine)等があげられる。
【0171】
前記結合物質は、例えば、甲状腺刺激ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタントプロテインA、ムチン糖質、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、葉酸塩、ビタミンB12、ビオチン、ネプロキシン(Neproxin)、RGDペプチド、RDGペプチド擬似体等があげられる。
【0172】
前記融合剤および縮合剤は、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)等のポリアミノ鎖等があげられる。PEIは、例えば、直鎖状および分岐状のいずれでもよく、また、合成物および天然物のいずれでもよい。前記PEIは、例えば、アルキル置換されてもよいし、脂質置換されてもよい。また、前記融合剤は、この他に、例えば、ポリヒスチジン、ポリイミダゾール、ポリピリジン、ポリプロピレンイミン、メリチン、ポリアセタール物質(例えば、カチオン性ポリアセタール等)等が使用できる。前記融合剤は、例えば、αらせん構造を有してもよい。前記融合剤は、例えば、メリチン等の膜崩壊剤でもよい。
【0173】
本発明の組成物は、例えば、前記複合体の形成等について、米国特許第6,509,323号、米国特許公報第2003/0008818号、PCT/US04/07070号等を援用できる。
【0174】
前記添加剤は、この他に、例えば、両親媒性分子等があげられる。前記両親媒性分子は、例えば、疎水性領域および親水性領域を有する分子である。前記分子は、例えば、ポリマーが好ましい。前記ポリマーは、例えば、二次構造を有するポリマーであり、反復性の二次構造を有するポリマーが好ましい。具体例としては、例えば、ポリペプチドが好ましく、より好ましくは、αらせん状ポリペプチド等である。
【0175】
前記両親媒性ポリマーは、例えば、2つ以上の両親媒性サブユニットを有するポリマーでもよい。前記サブユニットは、例えば、少なくとも1つの親水性基および1つの疎水性基を有する環状構造を有するサブユニット等があげられる。前記サブユニットは、例えば、コール酸等のステロイド、芳香族構造等を有してもよい。前記ポリマーは、例えば、芳香族サブユニット等の環状構造サブユニットとアミノ酸の両方を有してもよい。
【0176】
5.発現抑制方法
本発明の発現抑制方法は、前述のように、標的遺伝子の発現を抑制する方法であって、前記本発明のssPN分子を使用することを特徴とする。本発明の発現抑制方法は、前記本発明のssPN分子を使用することが特徴であって、その他の工程および条件は、何ら制限されない。
【0177】
本発明の発現抑制方法において、前記遺伝子の発現抑制のメカニズムは、特に制限されず、例えば、RNA干渉による発現抑制等があげられる。ここで、本発明の発現抑制方法は、例えば、前記標的遺伝子の発現を抑制するRNA干渉を誘導する方法であり、前記本発明のssPN分子を使用することを特徴とする発現誘導方法ともいえる。
【0178】
本発明の発現抑制方法は、例えば、前記標的遺伝子が存在する対象に、前記ssPN分子を投与する工程を含む。前記投与工程により、例えば、前記投与対象に前記ssPN分子を接触させる。前記投与対象は、例えば、細胞、組織または器官等があげられる。前記投与対象は、例えば、ヒト、ヒトを除く非ヒト哺乳類等の非ヒト動物等があげられる。前記投与は、例えば、in vivoでもin vitroでもよい。
【0179】
本発明の発現抑制方法は、例えば、前記ssPN分子を単独で投与してもよいし、前記ssPN分子を含む前記本発明の組成物を投与してもよい。前記投与方法は、特に制限されず、例えば、投与対象の種類の種類に応じて適宜選択できる。
【0180】
6.治療方法
本発明の疾患の治療方法は、前述のように、前記本発明のssPN分子を、患者に投与する工程を含み、前記ssPN分子が、前記発現抑制配列として、前記疾患の原因となる遺伝子の発現を抑制する配列を有することを特徴とする。本発明の治療方法は、前記本発明のssPN分子を使用することが特徴であって、その他の工程および条件は、何ら制限されない。本発明の治療方法は、例えば、前記本発明の発現抑制方法を援用できる。
【0181】
7.ssPN分子の使用
本発明の使用は、前記標的遺伝子の発現抑制のための、前記本発明のssPN分子の使用である。また、本発明の使用は、RNA干渉の誘導のための、前記本発明のssPN分子の使用である。
【0182】
本発明の核酸分子は、疾患の治療に使用するための核酸分子であって、前記核酸分子は、前記本発明のssPN分子であり、前記ssPN分子が、前記発現抑制配列として、前記疾患の原因となる遺伝子の発現を抑制する配列を有することを特徴とする。
【0183】
8.モノマー
本発明のモノマーは、核酸合成用のモノマーであって、下記式(II)の構造を有することを特徴とする。本発明のモノマーは、特に示さない限り、前記本発明のssPN分子の説明を援用できる。
【化II】
【0184】
本発明のモノマーを用いれば、例えば、前記本発明のssPN分子の合成において、前記式(I)で表わされるリンカー領域(Lx)およびリンカー領域(Ly)を容易に合成できる。本発明のモノマーは、例えば、自動核酸合成用のアミダイトとして使用でき、例えば、一般的な核酸自動合成装置に適用可能である。前記合成方法は、例えば、ホスホロアミダイト法、および、H−ホスホネート法等があげられる。
【0185】
前記式中、
およびXは、それぞれ独立して、H、O、SまたはNHであり;
およびYは、それぞれ独立して、単結合、CH、NH、OまたはSであり;
11およびR21は、それぞれ独立して、H、保護基またはリン酸保護基であり;
は、n個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SH、もしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、OR11に結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
は、m個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、アルキレン炭素原子上の水素原子は、OH、OR、NH、NHR、NR、SHもしくはSRで置換されても置換されていなくてもよく、または、
は、前記アルキレン鎖の一つ以上の炭素原子が、酸素原子で置換されたポリエーテル鎖であり、
ただし、Yが、NH、OまたはSの場合、Yに結合するLの原子は炭素であり、OR21に結合するLの原子は炭素であり、酸素原子同士は隣接せず;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基または保護基であり;
mは、0〜30の範囲の整数であり;
nは、0〜30の範囲の整数であり;
Aは、任意の原子団であり、ただし、下記式(Ia)は、ペプチドでないアミノ酸である。
【化Ia】
【0186】
前記式(II)において、前記式(I)と同一箇所は、前記式(I)の説明を援用できる。具体的に、前記式(II)において、例えば、X、X、Y、Y、L、L、m、nおよび環Aは、前記式(I)の説明を全て援用できる。
【0187】
前記式(II)において、R11およびR21は、前述のように、それぞれ独立して、H、保護基またはリン酸保護基である。
【0188】
前記保護基は、例えば、前記式(I)における説明と同様であり、具体例として、例えば、群Iから選択できる。前記群Iは、例えば、ジメトキシトリチル(DMTr)基、TBDMS基、ACE基、TOM基、CEE基、CEM基、TEM基、および、下記式(P1)または(P2)に示すシリル含有基があげられ、中でも、DMtr基および前記シリル含有基のいずれかであることが好ましい。
【化P1-P2】
【0189】
前記リン酸保護基は、例えば、下記式で表わすことができる。
−P(OR)(NR
前記式において、Rは、水素原子または任意の置換基である。置換基Rは、例えば、炭化水素基が好ましく、前記炭化水素基は、電子吸引基で置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。置換基Rは、例えば、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、シリル、シリルオキシアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールアルキル、および、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクリルアルキル等の炭化水素等があげられ、さらに、電子吸引基で置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。置換基Rは、具体的には、例えば、β−シアノエチル基、ニトロフェニルエチル基、メチル基等があげられる。
【0190】
およびRは、それぞれ、水素原子または任意の置換基であり、同一でも異なっていてもよい。置換基RおよびRは、例えば、炭化水素基が好ましく、前記炭化水素基は、さらに任意の置換基で置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。前記炭化水素基は、例えば、前述した前記Rでの列挙と同様であり、好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基である。この場合、−NRは、具体的には、例えば、ジイソプロピルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等があげられる。または、置換基RおよびRが一体となって、それらが結合する窒素原子とともに(すなわち、−NRが一体となって)、窒素含有環(例えば、ピペリジル基、モルホリノ基等)を形成してもよい。
【0191】
前記リン酸保護基の具体例としては、例えば、下記群IIから選択できる。群IIは、例えば、−P(OCH2CH2CN)(N(i-Pr)2)、−P(OCH3)(N(i-Pr)2)等があげられる。前記式において、i-Prは、イソプロピルを示す。
【0192】
前記式(II)において、例えば、RおよびRは、いずれか一方が、Hまたは保護基であり、他方が、Hまたはリン酸保護基である。例えば、Rが、前記保護基の場合、Rは、Hまたは前記リン酸保護基が好ましく、具体的には、Rが、前記群Iから選択される場合、Rは、Hまたは前記群IIから選択されることが好ましい。また、例えば、Rが、前記リン酸保護基の場合、Rは、Hまたは前記保護基が好ましく、具体的には、Rが、前記群IIから選択される場合、Rは、Hまたは前記群Iから選択されることが好ましい。
【0193】
前記式(II)の構造は、例えば、下記式(II−1)〜式(II−4)が例示でき、下記式において、nおよびmは、前記式(II)と同じである。
【化II-1】
【化II-2】
【化II-3】
【化II-4】
前記式(II−4)中、
101は、R11およびR21と独立して、H、保護基またはリン酸保護基である。R101における前記保護基および前記リン酸保護基は、特に限定されないが、例えば、R11およびR21と同様でもよく、または、Tfa(トリフルオロアセチル基)等のぺルフルオロアルカノイル基、もしくはFmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基)等であってもよい。
【0194】
前記式(II−1)〜(II−4)において、nおよびmは、特に制限されず、前述の通りである。具体例として、前記式(II−1)において、n=11およびm=12があげられる。その構造を、下記式(II−1a)に示す。別の具体例として、前記式(II−1)において、n=5およびm=4があげられる。その構造を、下記式(II−1b)に示す。さらに別の具体例として、前記式(II−4)において、n=5およびm=4があげられる。その構造を、下記式(II−4a)に示す。
【化II-1a】
【化II-1b】
【化II-4a】
【0195】
本発明のモノマーの製造方法は特に限定されないが、例えば、下記スキーム1のように、前記アミノ酸(Ia)のアミノ基が保護基R31で保護された化合物(Ib)から、縮合反応により下記化合物(Ic)を製造し、さらに(Ic)から(IIa)を製造し、(IIa)を(II)に変換しても良い。ただし、下記スキーム1は例示であって、本発明は、これに制限されない。なお、下記化学式(Ib)および(Ic)において、保護基R31は、例えば、Fmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基)、Z(ベンジルオキシカルボニル)またはBOC(t-ブトキシカルボニル)等が挙げられる。下記化学式(Ib)、(Ic)および(IIa)において、Y、Y、L、L、R11およびR21は、前記式(II)と同様である。なお、下記化合物(IIa)は、前記式(II)において、XがO、XがOの化合物である。下記式(II)におけるカルボニル酸素は、適宜、前記式(II)におけるXおよびXに変換しても良いし、変換する必要がなければ、下記化合物(IIa)を、そのまま化合物(II)として用いても良い。
【0196】
【化S1】
【0197】
本発明のモノマーおよびその製造方法を、下記スキーム2にさらに具体的に例示する。ただし、下記スキーム2は例示であり、本発明は、これに限定されない。なお、下記スキーム2中、「Fmoc」は、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基を表し、「iPr」は、イソプロピル基を表し、「Tr」は、トリチル基すなわちトリフェニルメチル基を表し、「ODMTr」は、4,4’−ジメトキシトリチルオキシ基を表す。以下において同様である。
【0198】
【化S2】
【0199】
本発明のモノマーは、例えば、前記標識物質を含むことが好ましく、中でも、前記安定同位体を含むことが好ましい。前記標識物質は、前述の通りである。
【0200】
本発明のモノマーが、前記安定同位体等の同位体を含む場合、例えば、簡便に、前記本発明のssPN分子に前記同位体を導入できる。同位体を有する前記モノマーは、例えば、前記同位体を導入したアミノ酸(Ia)の原料から、合成可能である。本発明において、同位体を導入したアミノ酸(Ia)の入手方法は特に限定されず、例えば、適宜な方法で製造しても良いし、市販品を入手可能であればそれを用いても良い。
【0201】
安定同位体が導入されたアミノ酸として、例えば、重水素(D)が導入されたアミノ酸は、例えば、下記スキーム3に示すように、アミノ酸(Ia)をLiAlDで処理し、さらに、生じたOH基を酸化することで製造できる。
【化S3】
【0202】
他の安定同位体が導入されたアミノ酸として、例えば、重酸素(18O)が導入されたアミノ酸は、例えば、下記式に示すように、塩基性条件下で、アミノ酸(Ia)のメチルエステルをH18Oと反応させることにより製造できる。
【化S4】
【0203】
その他、重窒素(15N)または重炭素(13C)導入等が導入されたアミノ酸(Ia)の製造方法も、特に限定されず、適宜な方法で製造することができる。
【0204】
このようにして、安定同位体が導入されたモノマーが合成可能であり、また、前記モノマーを合成用アミダイトとして使用することによって、安定同位体が前記リンカー領域に導入された核酸分子を合成可能である。
【0205】
以下に実施例等により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0206】
(実施例A1)
下記スキーム5に従い、ドデカン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシドデカンアミドホスホロアミダイト(6)を合成した。なお、化合物(6)は、前記本発明のモノマーの一例である。また、下記スキーム5中の「Gly」は、下記式で表される構造を表し、すなわち、グリシンから、アミノ基の水素1原子およびカルボキシ基のOHを除いた構造の原子団である。以下、「Gly」は、特に断らない限り、下記式の構造を表す。また、下記スキーム5において、GlyのNH側は、Fmocまたはカルボニル炭素に結合し、Glyのカルボニル炭素(CO)側は、OHまたはN原子に結合している。

(Gly)
―HN−CH−CO−
【0207】
【化S5】
【0208】
(1)12−トリフルオロアセトアミドドデカノール(化合物1)
12−アミノドデカノール(4.81g, 23.9mmol)およびトリフルオロ酢酸エチル(6.79g, 47.8mmol)のエタノール溶液(100mL)を室温下に終夜撹拌した。その反応混合物を減圧下に濃縮することにより、無色シロップ状の12−トリフルオロアセトアミドドデカノール(1)(6.98g, q.)を得た。
【0209】
(2)12−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ドデカンアミン(化合物2)
化合物1(3.00g, 10.08mmol)に対し無水ピリジンを用いて3回共沸乾燥した。その共沸残渣に4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(4.32g, 12.1mmol)および無水ピリジン(50mL)を加え、室温下に終夜撹拌した。得られた反応混合物にメタノール(10mL)を加え室温で30分撹拌した後、減圧下に室温で溶媒を約30mLになるまで留去した。その後、ジクロロメタン(200mL)を加え、飽和重曹水で3回洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去した。このようにして得られた未精製の残渣のメタノール溶液(100mL)に、水酸化ナトリウム(2.02g, 50.40mmol)を加え室温で終夜撹拌した。その反応混合物を、減圧下に約30mLまで濃縮し、水(100mL)およびジクロロメタン(200mL)を加え、有機層を分取した。分取した有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、乾燥剤(硫酸ナトリウム)をろ別し溶媒を減圧下に留去した。生成した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(展開溶媒:ジクロロメタン−メタノール(95:5)+0.05%ピリジン)に付し、12−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ドデカンアミン(2)(5.19g, q.)を得た。以下に、12−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ドデカンアミン(2)の機器分析値を示す。
【0210】
12−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ドデカンアミン(2);
H−NMR(CDCl):δ=7.45−7.43(2H,m),7.34−7.25(6H,m),7.21−7.20(1H,m),6.83−6.79(4H,m),3.78(6H,s), 3.04−3.01(2H,t,J=6.3Hz),2.70−2.67(2H,t,J=6.8Hz),1.61−1.54(6H,m),1.33−1.24(14H,m).
【0211】
(3)Fmoc−グリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシドデカンアミド(化合物3)
Fmoc−グリシン(Fmoc−Gly−OH、和光純薬工業株式会社から購入)(2.00g, 6.73mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.66g, 8.07mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(2.31g, 16.14mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(70mL)に化合物2(4.07g, 8.07mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(30mL)をアルゴン雰囲気下に室温で加え、アルゴン雰囲気下に室温で終夜撹拌した。生成した沈殿をろ別し、ろ液を減圧下に35℃で濃縮した。得られた残渣にジクロロメタン(200mL)を加え、飽和重曹水で3回洗浄した。有機層を分取し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(展開溶媒:ジクロロメタン−メタノール(95:5)+0.05%ピリジン)に付し、無色シロップ状のFmoc−グリシルグリシン−4,4’−ジメトキキシトリチルオキシブチルドデカンアミド(3)(5.88g, q.)を得た。
【0212】
(4)グリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシドデカンアミド(化合物4)
化合物3(5.88g, 6.73mmol)にN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)およびピペリジン(4.8mL)を室温で加え、室温で終夜撹拌した。反応混合物を減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(展開溶媒:ジクロロメタン−メタノール(9:1)+0.05%ピリジン)に付し、グリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシドデカンアミド(4)(3.44g, 91%)を得た。以下に、グリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシドデカンアミド(4)の機器分析値を示す。
【0213】
グリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシドデカンアミド(4);
H−NMR(CDCl):δ=7.47−7.44(2H,m),7.33−7.26(6H,m),7.21−7.20(1H,m),6.83−6.80(4H,m),3.79(6H,s), 3.34(2H,s),3.30−3.25(2H,t,J=6.6Hz),3.06−3.02(2H,t,J=6.3Hz),1.64−1.50(6H,m),1.38−1.25(14H,m).
【0214】
(5)ヒドロキシドデカン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシドデカンアミド(化合物5)
化合物4(3.15g, 5.62mmol)を無水ピリジンで3回共沸乾燥後、アルゴン雰囲気下に12−ヒドロキシドデカン酸(3.41g, 6.74mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.29g, 6.74mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(2.06g, 13.48mmol)、および無水ジクロロメタン(50mL)を室温で加え、10分間撹拌した。このようにして得た混合物にトリエチルアミン(2.05g, 20.22mmol)を加え、アルゴン雰囲気下に室温で終夜撹拌した。得られた反応混合物にジクロロメタン(200mL)を加え飽和重曹水で3回、更に飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を分取し硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(展開溶媒:ジクロロメタン−メタノール(95:5)+0.05%ピリジン)に付し、無色シロップ状のヒドロキシドデカンアミドグリシン−4,4’−ジメトキキシトリチルオキシドデカンアミド(5)(2.97g, 70%)を得た。以下に、ヒドロキシドデカンアミドグリシン−4,4’−ジメトキキシトリチルオキシドデカンアミド(5)の機器分析値を示す。
【0215】
ヒドロキシドデカンアミドグリシン−4,4’−ジメトキキシトリチルオキシドデカンアミド(5);
H−NMR(CDCl):δ=7.42−7.40(2H,m),7.33−7.26(6H,m),7.22−7.21(1H,m),6.83−6.80(4H,m),3.84(2H,s),3.79(6H,s),3.64−3.61(2H,t,J=6.3Hz),3.26−3.24(2H,t,J=6.1Hz),3.08−3.06(2H,t,J=5.6Hz),2.28−2.24(2H,t,J=6.8Hz),1.69−1.52(12H,m),1.44−1.39(26H,m).
【0216】
(6)ドデカン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシドデカンアミドホスホロアミダイト(化合物6)
化合物5(2.78g, 3.76mmol)を無水ピリジンで3回共沸乾燥した。つぎに、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(772mg, 4.51mmol)を加え、減圧下に脱気してアルゴンガスを充填し、無水アセトニトリル(3mL)を加えた。さらに、2−シアノエトキシ−N,N,N’,N’−テトライソプロピルホスホロジアミダイト(1.36g, 4.51mmol)の無水アセトニトリルジクロロメタン溶液(3mL)を加え、混合物をアルゴン雰囲気下、室温で4時間撹拌した。得られた反応混合物にジクロロメタン(150mL)を加え、飽和重曹水で2回、更に飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を分取し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去した。残渣をアミノシリカを用いたカラムクロマトグラフ(展開溶媒:n−ヘキサン−アセトン(7:3)+0.05%ピリジン)に付し、ドデカン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシドデカンアミドホスホロアミダイト(6)(2.72g, 77%, HPLC98.5%)を得た。以下に、ドデカン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシドデカンアミドホスホロアミダイト(6)の機器分析値を示す。
【0217】
ドデカン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシドデカンアミドホスホロアミダイト(6);
H−NMR(CDCl): δ=7.41−7.49(m, 2H), 7.26−7.30(m, 6H), 7.17−7.19(m, 1H), 6.80−6,83(m, 4H), 6.46−6.62(m, 2H), 4.07−4.29(m, 2H), 3.89(d, J=5.4Hz, 2H), 3.75−3.87(m, 4H), 3.67 (s, 6H), 3.47−3.70(m, 4H), 3.20−3.26(m, 2H), 3.02(t, J=6.4Hz, 2H, CH), 2.63(t, 6.4Hz, 2H, CH), 1.56−1.63(m, 6H), 1.47−1.51(m, 2H), 1.24−1.33(m, 26H), 1.13−1.20(m, 12H):
P−NMR(CDCl): δ=146.62.
【0218】
(実施例B1)RNAの固相合成
本発明のリンカーを有するRNA(本発明の一本鎖核酸分子)を合成した。RNAは、ホスホロアミダイト法に基づき、核酸合成機(商品名ABI Expedite(登録商標) 8909 Nucleic Acid Synthesis System、アプライドバイオシステムズ)により、3’側から5’側に向かって合成した。前記合成には、RNAアミダイトとして、RNA Phosphoramidites(2’−O−TBDMSi、商品名、三千里製薬)を用いた(以下、同様)。前記アミダイトの脱保護は、定法に従い、合成したRNAは、HPLCにより精製した。以下の実施例において、RNAの合成は、特に示さない限り、同様に行った。
【0219】
具体的には、前記スキーム5の前記化合物(6)を本発明のモノマーとして用い、本実施例のRNA(Ex)として、リンカー領域(Lx)および(Ly)の構造が、それぞれ下記化学式Lgで表される一本鎖RNA(ssRNA)を合成した。

(Lg[LxまたはLyの構造])
−O(CH11CO−Gly−NH(CH12O−
【0220】
まず、下記配列番号1に示す配列のRNAを合成した。そして、前記RNAの5’末端に、前記化合物6を連結した。つぎに、前記配列番号1に示すRNAの5’側に、前記化合物6を介して、下記配列番号2に示す配列のRNAを連結した。さらに、前記配列番号2に示すRNAの5’末端に、前記化合物6を連結した。さらに、前記配列番号2に示すRNAの5’側に、前記化合物6を介して、下記配列番号3に示す配列のRNAを連結し、実施例のssRNAを合成した。

5’-GAA-3’(配列番号1)
5’-GGCUGUUGUCAUACUUCUCAUGGUUC-3’(配列番号2)
5’-CAUGAGAAGUAUGACAACAGCC-3’(配列番号3)
【0221】
上記のようにして合成した実施例のssRNAを、以下、PK−0054という。前記PK−0054は、下記配列番号4に示すように、5’側から、前記配列番号3のRNA、前記配列番号2のRNA、および前記配列番号1のRNAが前記順序で配列され、前記配列番号3のRNA(Xcに該当する)と前記配列番号2のRNA(内部領域Zに該当する)とがリンカーLx(前記構造Lg)を介して連結され、前記配列番号2のRNA(内部領域Zに該当する)と前記配列番号1のRNA(Ycに該当する)とがリンカーLy(前記構造Lg)を介して連結されている構造である。また、下記配列に示すように、前記配列番号2のRNA配列と、前記配列番号1および3のRNA配列は、相補的な配列を有している。このため、前記PK−0054は、下記式に示すように、自己アニーリングしてステム構造をとっている。なお、下記配列において、下線部GUUGUCAUACUUCUCAUGG(配列番号5)が、GAPDH遺伝子の発現抑制に関与する領域である。
【化SEQ4】
PK−0054の発現抑制領域(配列番号5)
5’-GUUGUCAUACUUCUCAUGG-3’
【化PK-0054】
【0222】
一方、前記配列番号2のRNAに代えて、下記配列番号6のRNAを用い、前記配列番号3のRNAに代えて、下記配列番号7のRNAを用いること以外はPK−0054と同様にして、実施例の他のssRNAを合成した。これを、以下、PK−0055という。

5’-GAA-3’(配列番号1)
5’-GGCUUUCACUUAUCGUUGAUGGCUUC-3’(配列番号6)
5’-CCAUCAACGAUAAGUGAAAGCC-3’(配列番号7)
【0223】
前記PK−0055は、下記配列番号8に示すように、5’側から、前記配列番号7のRNA、前記配列番号6のRNA、および前記配列番号1のRNAが前記順序で配列され、前記配列番号7のRNA(Xcに該当する)と前記配列番号6のRNA(内部領域Zに該当する)とがリンカーLx(前記構造Lg)を介して連結され、前記配列番号6のRNA(内部領域Zに該当する)と前記配列番号1のRNA(Ycに該当する)とがリンカーLy(前記構造Lg)を介して連結されている構造である。また、下記配列に示すように、前記配列番号6のRNA配列と、前記配列番号1および7のRNA配列は、相補的な配列を有している。このため、前記PK−0055は、下記式に示すように、自己アニーリングしてステム構造をとっている。
【化SEQ8】
【化PK-0055】
【0224】
(実施例A2)
下記スキーム6に従い、ブタン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミドホスホロアミダイト(11)を合成した。なお、化合物(11)は、前記本発明のモノマーの一例である。また、化合物(11)は、化合物(6)(スキーム5、実施例A1)において、 −CO−Gly−NH− の両端に直接結合したメチレン鎖の炭素数を変えた化合物に相当する。
【0225】
【化S6】
【0226】
(1)Fmoc−グリシン−ブタンアミド(化合物7)
Fmoc−グリシン(4.00g, 13.45mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(3.33g, 16.15mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(4.94g, 32.29mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(100mL)に4−アミノブタノール(1.44g, 16.15mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(30mL)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で終夜撹拌した。生成した沈殿をろ別し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣にジクロロメタン(200mL)を加え、飽和重曹水で3回洗浄した。更に飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(展開溶媒:ジクロロメタン−メタノール(95:5)に付し、Fmoc−グリシン−ブタンアミド(7)(4.30g, 87%)を得た。以下に、Fmoc−グリシン−ブタンアミド(7)の機器分析値を示す。
【0227】
Fmoc−グリシン−ブタンアミド(7);
H−NMR(CDCl):δ=7.78−7.76(2H,d,J=7.3Hz),7.65−7.63(2H,d,J=7.3Hz),7.42−7.41(2H,t,J=7.6Hz),7.34−7.30(2H,td,J=7.6,1.1Hz),4.42−4.40(2H,d,J=7.3Hz),4.25−4.22(1H,t,J=6.8Hz),3.83(2H,s),3.60−3.55(2H,m),3.30−3.25(2H,m),1.61−1.55(4H,m).
【0228】
(2)Fmoc−グリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミド(化合物8)
化合物7(4.20g, 11.40mmol)に対し無水ピリジンを用いて3回共沸乾燥した。その共沸残渣に4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(5.80g, 17.10mmol)および無水ピリジン(80mL)を加え、室温下で終夜撹拌した。得られた反応混合物にメタノール(20mL)を加え室温で30分撹拌した後、減圧下で溶媒を留去した。その後、ジクロロメタン(200mL)を加え、飽和重曹水で3回洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。未精製のFmoc−グリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミド(8)(11.40g)を得た。
【0229】
(3)グリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミド(化合物9)
未精製の化合物8(11.40g, 16.99mmol)にN,N−ジメチルホルムアミド(45mL)およびピペリジン(11.7mL)を室温で加え、室温で終夜撹拌した。反応混合物を減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(展開溶媒:ジクロロメタン−メタノール(9:1)+0.05%ピリジン)に付し、グリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミド(9)(4.90g, 96%、 2steps)を得た。以下に、グリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミド(9)の機器分析値を示す。
【0230】
グリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミド(9);
H−NMR(CDCl):δ=7.44−7.42(2H,m),7.33−7.26(6H,m),7.21−7.20(1H,m),6.83−6.80(4H,m),3.79(6H,s), 3.49(2H,s),3.30−3.28(2H,t,J=6.3Hz),3.09−3.06(2H,t,J=5.9Hz),1.61−1.55(4H,m).
【0231】
(4)ヒドロキシヘキサン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミド(化合物10)
化合物9(4.80g, 10.70mmol)を無水ピリジンで3回共沸乾燥後、アルゴン雰囲気下で6−ヒドロキシヘキサン酸(1.70g, 12.84mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.46g, 12.84mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(3.93g, 25.69mmol)、および無水ジクロロメタン(60mL)を室温で加え、10分間撹拌した。このようにして得た混合物にトリエチルアミン(3.90g, 38.53mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で終夜撹拌した。得られた反応混合物にジクロロメタン(200mL)を加え飽和重曹水で3回、更に飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を分取し硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(展開溶媒:ジクロロメタン−メタノール(95:5)+0.05%ピリジン)に付し、ヒドロキシヘキサン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミド(10)(4.80g, 80%)を得た。以下に、ヒドロキシヘキサン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミド(10)の機器分析値を示す。
【0232】
ヒドロキシヘキサン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミド(10);
H−NMR(CDCl):δ=7.43−7.40(2H,m),7.33−7.26(6H,m),7.22−7.20(1H,m),6.83−6.80(4H,m),3.85(2H,s),3.78(6H,s),3.63−3.60(2H,t,J=6.3Hz),3.26−3.23(2H,t,J=6.1Hz),3.07−3.05(2H,t,J=5.6Hz),2.26−2.22(2H,t,J=7.3Hz),1.68−1.52(8H,m),1.41−1.36(2H,m).
【0233】
(5)ヒドロキシヘキサン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミドホスホロアミダイト(化合物11)
化合物10(4.70g, 8.35mmol)を無水ピリジンで3回共沸乾燥した。つぎに、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(1.72g, 10.02mmol)を加え、減圧下で脱気してアルゴンガスを充填し、無水アセトニトリル(5mL)を加えた。さらに、2−シアノエトキシ−N,N,N’,N’−テトライソプロピルホスホロジアミダイト(3.02g, 10.02mmol)の無水アセトニトリルジクロロメタン混合溶液(1:1)(4mL)を加え、混合物をアルゴン雰囲気下、室温で4時間撹拌した。得られた反応混合物にジクロロメタン(150mL)を加え、飽和重曹水で2回、更に飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を分取し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。アミノシリカを用いたカラムクロマトグラフ(展開溶媒:n−ヘキサン−アセトン(3:2)+0.1%トリエチルアミン)に残渣を付し、ヒドロキシヘキサン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミドホスホロアミダイト(11)(4.50g, 71%, HPLC98.2%)を得た。以下に、ヒドロキシヘキサン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミドホスホロアミダイト(11)の機器分析値を示す。
【0234】
ヒドロキシヘキサン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミドホスホロアミダイト(11);
H−NMR(CDCl):δ=7.43−7.40(2H,m),7.33−7.26(6H,m),7.22−7.20(1H,m),6.83−6.80(4H,m),3.85−3.81(4H,s),3.78(6H,s),3.63−3.61(2H,t,J=6.3Hz),3.26−3.23(2H,t,J=6.1Hz),3.05−2.97(4H,m),2.64−2.62(2H,t,J=6.4Hz),2.25−2.23(2H,t,J=7.3Hz),1.68−1.52(8H,m),1.40−1.38(2H,m),1.13−1.20(12H,m).
31P−NMR(CDCl): δ=146.57.
【0235】
(実施例A3)
下記スキーム7に従い、リシン誘導体であるモノマー(11)を合成した。なお、下記スキーム7中、「Tfa」は、トリフルオロアセチル基を表す。
【化S7】
【0236】
(1)化合物(13)の合成
6−ヒドロキシヘキサン酸(化合物12)(6g, 15.1mmol)のピリジン溶液(124mL)に4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(20g, 1.3eq.)およびジメチルアミノピリジン(0.5g, 0.1eq.)を加え、室温にて20時間撹拌した。反応終了後メタノール(10mL)を加えて10分間撹拌し、溶媒留去した。反応液を酢酸エチルで希釈し、TEAA緩衝液(pH8−9)で3回洗浄、飽和食塩水で1回洗浄後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下溶媒留去した。薄黄色油状物質である化合物(13)31g(ピリジン含有)を得た。
【0237】
(2)化合物(15)の合成
化合物14(2.7g, 7.9mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.9g, 1.2eq.)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(2.6g, 2.4eq.)のアセトニトリル溶液(45mL)に、4−アミノ−1−ブタノール(0.86g, 1.2eq.)のアセトニトリル溶液(5mL)を加えて室温で16時間撹拌した。反応終了後沈殿物を濾取し、濾液をエバポレーターにて溶媒留去した。得られた残渣にジクロロメタンを加え、酢酸緩衝液(pH4)で3回、飽和重曹水で3回洗浄後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール=10/1)により精製し、白色固体である化合物(15)2.8g(収率85%)を得た。以下に、化合物(15)の機器分析値を示す。
【0238】
化合物(15);
H−NMR(400MHz, CDCl) δ:7.07(br, 1H), 6.72(t, J=5.6Hz, 1H), 4.03(m, 1H), 3.66(d, J=4.9Hz, 2H), 3.37(dd, J=12.9, 6.3Hz, 2H), 3.29(dd, J=12.4, 6.3Hz, 2H), 1.83(s, 2H), 1.66−1.60(m, 6H), 1.44(s, 9H), 1.41−1.37(m, 2H)
【0239】
(3)化合物(16)の合成
化合物15(2.5g, 6.1mmol)を塩酸/テトラヒドロフラン溶液(4M, 45mL)中で室温にて2時間撹拌した。反応終了後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をエタノールに溶かし、トルエンを加えて共沸した。溶媒留去後、白色固体である化合物(16)1.9gを得た。以下に、化合物(16)の機器分析値を示す。
【0240】
化合物(16);
H−NMR(400MHz, CDOD) δ: 3.85−3.81(m, 1H), 3.59−3.56(m, 2H), 3.32−3.20(m, 2H), 1.94−1.80(m, 2H), 1.66−1.58(m, 6H), 1.46−1.40(m, 2H)
【0241】
(4)化合物(17)の合成
化合物13(ピリジン含有, 24g, 35.5mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(8.8g, 1.2eq.)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(7.2g, 1.5eq.)の溶液(150mL)にトリエチルアミン(4.5mL, 0.9eq.)を加え、さらに化合物16(10g, 0.9eq.)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(30mL)を加えて室温で20時間撹拌した。反応終了後沈殿物を濾取し、濾液をエバポレーターにて溶媒留去した。得られた残渣にジクロロメタンを加え、飽和重曹水で3回洗浄後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール=20/1+0.05%ピリジン)により精製し、薄黄色固体の化合物(17)16g(収率70%)を得た。以下に、化合物(17)の機器分析値を示す。
【0242】
化合物(17);
H−NMR(400MHz, CDCl) δ: 7.43−7.40(m, 2H), 7.32−7.26(m, 6H), 7.21−7.17(m, 1H), 6.81(d, J=8.8Hz, 4H), 4.39−4.37(m, 1H), 3.78(s, 6H), 3.64−3.61(m, 2H), 3.33−3.22(m, 4H), 3.03(t, J=6.6Hz, 2H), 2.19(t, J=7.6Hz, 2H), 1.79−1.54(m, 12H), 1.40−1.34(m, 4H)
【0243】
(5)化合物(18)の合成
アセトニトリルにて共沸乾燥した化合物(17)(1.26g, 1.73mmol)の無水アセトニトリル溶液(3.5mL)に、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(394mg, 1.3eq.)、2−シアノエトキシ−N,N,N’,N’−テトライソプロピルホスホロジアミダイト(700mg, 1.3eq.)を加え、室温にて2.5時間撹拌した。ジクロロメタンを加えて飽和重曹水および飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウム乾燥後、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(アミノシリカ、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/3)し、白色固体の化合物(18)1.3g(収率78%)を得た。以下に、化合物(18)の機器分析値を示す。
【0244】
化合物(18);
H−NMR(400MHz, CDCl) δ: 7.43−7.41(m, 2H), 7.32−7.17(m, 7H), 6.81(dt, J=9.3, 2.9Hz, 4H), 4.42−4.37(m, 1H), 3.78(s, 6H), 3.88−3.54(m, 6H), 3.32−3.20(m, 4H), 3.03(t, J=6.3Hz, 2H), 2.19(t, J=7.6Hz, 2H), 1.83−1.53(m, 12H), 1.42−1.31(m, 4H), 1.28−1.24(m, 2H), 1.18−1.16(m, 12H)
31P−NMR(162MHz, CDCl)δ: 146.9
【0245】
(実施例B3)RNAの固相合成
前記スキーム5の前記化合物(6)に代えて前記スキーム7の前記化合物(18)を本発明のモノマーとして用いること、前記配列番号1のRNAに代えてグアノシンを用いること、前記配列番号2のRNAに代えて下記配列番号63のRNAを用いること、および、前記配列番号3のRNAに代えて下記配列番号64のRNAを用いること以外は前記実施例B1と同様にして本実施例のRNAの固相合成を行った。なお、このようにして合成した本実施例のRNAは、リンカー領域(Lx)および(Ly)の構造が、それぞれ下記化学式Llで表される一本鎖RNA(ssRNA)である。なお、本実施例のRNAにおけるリンカー領域(Lx)(下記化学式Llで表される)を、以下において、前記実施例B1におけるリンカー領域(Lx)(前記化学式Lgで表される)と区別するために「Lx’」という。同様に、本実施例のRNAにおけるリンカー領域(Ly)(下記化学式Llで表される)を、以下において、前記実施例B1におけるリンカー領域(Ly)(前記化学式Lgで表される)と区別するために「Ly’」という。

5’-GGAAUCGAAGUACUCAGCGUAAGUUC-3’(配列番号63)
5’-ACUUACGCUGAGUACUUCGAUUCC-3’(配列番号64)

(Ll[Lx’またはLy’の構造])
−O(CHCO−Lys−NH(CHO−
【0246】
なお、前記リンカーの構造L1中、「Lys」は、下記化学式で表される構造である。
【化Lys】
よって、前記リンカーの構造L1は、下記化学式で表される。
【化Ll】
【0247】
上記のようにして合成した実施例のssRNAを、以下、PK−0100という。前記PK−0100は、下記配列番号65に示すように、5’側から、前記配列番号64のRNA、前記配列番号63のRNA、およびグアノシンが前記順序で配列され、前記配列番号64のRNA(Xcに該当する)と前記配列番号63のRNA(内部領域Zに該当する)とがリンカーLx’(前記構造Ll)を介して連結され、前記配列番号63のRNA(内部領域Zに該当する)とグアノシン(Ycに該当する)とがリンカーLy’(前記構造Ll)を介して連結されている構造である。また、下記配列に示すように、前記配列番号63のRNA配列と、グアノシンおよび前記配列番号64のRNA配列は、相補的な配列を有している。このため、前記PK−0100は、下記式に示すように、自己アニーリングしてステム構造をとっている。
【化SEQ65】
【化PK-0100】
【0248】
(参考例A1)
下記スキーム8に従い、プロリン骨格を含む一本鎖核酸の合成原料であるモノマーを製造した。
【0249】
【化S8】
【0250】
(1)Fmoc−ヒドロキシアミド−L−プロリン(化合物104)
前記スキーム8の開始原料である化合物102(Fmoc−L−プロリン)は、東京化成工業株式会社から購入した。この化合物102(10.00g、29.64mmol)、4−アミノ−1−ブタノール(3.18g、35.56mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(10.90g、70.72mmol)を混合し、前記混合物に対し、減圧下で脱気し、アルゴンガスを充填した。前記混合物に、無水アセトニトリル(140mL)を室温で加え、さらに、ジシクロヘキシルカルボジイミド(7.34g、35.56mmol)の無水アセトニトリル溶液(70mL)を添加した後、アルゴン雰囲気下、室温で15時間撹拌した。反応終了後、生成した沈殿をろ別し、回収したろ液について、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣にジクロロメタン(200mL)を加え、飽和重曹水(200mL)で洗浄した。そして、有機層を回収し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、前記有機層をろ過した。得られたろ液について、減圧下で溶媒を留去し、その残渣にジエチルエーテル(200mL)を加え、粉末化した。生じた粉末を濾取することにより、無色粉末状の化合物104(10.34g、収率84%)を得た。以下に、前記化合物104の機器分析結果を示す。
【0251】
Fmoc−ヒドロキシアミド−L−プロリン(104);
H−NMR(CDCl): δ7.76−7.83(m,2H,Ar−H)、7.50−7.63(m,2H,Ar−H)、7.38−7.43 (m,2H,Ar−H)、7.28−7.33(m,2H,Ar−H),4.40−4.46(m,1H,CH),4.15−4.31(m,2H,CH),3.67−3.73(m,2H,CH)、3.35−3.52(m,2H,CH)、3.18−3.30(m,2H,CH)、2.20−2.50(m,4H)、1.81−2.03(m,3H)、1.47−1.54(m,2H);
MS(FAB+): m/z409(M+H).
【0252】
(2)Fmoc−t−ブチル−ジメチルシロキシアミド−L−プロリン(化合物118)
Fmoc−ヒドロキシアミド−L−プロリン(化合物104)(2.00g、30mmol)、t−ブチル−ジメチルシリルクロリド(1.11g、35mmol)およびイミダゾール(10.90g、71mmol)を混合した。前記混合物に対し、減圧下に脱気し、アルゴンガスを充填した。前記混合物に、無水アセトニトリル(20mL)を室温で加え、アルゴン雰囲気下、室温で終夜撹拌した。反応終了後、前記混合物にジクロロメタン(150mL)を加え、水で3回洗浄し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を回収し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、前記有機層をろ過した。得られたろ液について、減圧下で溶媒を留去し、その残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 CHCl:CHOH=95:5)に供し、無色シロップ状の化合物118(2.35g、収率92%)を得た。以下に、前記化合物118の機器分析結果を示す。
【0253】
Fmoc−t−ブチル−ジメチルシロキシアミド−L−プロリン(118);
H−NMR(CDCl): δ7.76−7.78(m,2H,Ar−H)、7.50−7.63(m,2H,Ar−H)、7.38−7.42(m,2H,Ar−H)、7.29−7.34(m,2H,Ar−H),4.10−4.46(m,4H,CH),3.47−3.59(m,4H,CH)、3.20−3.26(m,2H,CH)、1.85−1.95(m,2H)、1.42−1.55(m,6H)、0.96(s,9H,t−Bu)、0.02(s,6H,SiCH);
MS(FAB+): m/z 523(M+H).
【0254】
(3)t−ブチル−ジメチルシロキシアミド−L−プロリン(化合物119)
上記により得られた前記Fmoc−t−ブチル−ジメチルシロキシアミド−L−プロリン(化合物118)(1.18g、2.5mmol)に対し、無水アセトニトリル(5mL)およびピペリジン(2.4mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応終了後、前記混合物にアセトニトリル(50mL)を加え、不溶物をろ別した。得られたろ液について、減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 CHCl:CHOH=9:1)に供し、無色シロップ状の化合物119(0.61g、収率90%)を得た。以下に、前記化合物119の機器分析結果を示す。
【0255】
t−ブチル−ジメチルシロキシアミド−L−プロリン(119);
H−NMR(CDCl): δ3.71(dd,1H,J=9.0Hz,5.2Hz,CH)、3.61−3.64(m,2H,CH)、3.22−3.28(m,2H,CH)、2.98−3.04(m,1H,CH)、2.86−2.91(m,1H,CH)、2.08−2.17(m,1H,CH)、1.86−1.93(m,1H,CH)、1.66−1.75(m,2H,CH)、1.52−1.57(m,4H)、0.89(s,9H,t−Bu)、0.05(s,6H,SiCH);
MS(FAB+); m/z 301(M+H).
【0256】
(4)t−ブチル−ジメチルシロキシアミドヒドロキシアミド−L−プロリン(化合物120)
上記により得られた前記t−ブチル−ジメチルシロキシアミド−L−プロリン(化合物119)(550mg、1.8mmol)、6−ヒドロキシヘキサン酸(300mg、2.3mmol)、EDC(434mg、2.3mmol)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(695mg、4.5mmol)の無水ジクロロメタン溶液(20mL)を混合した。前記混合物に、アルゴン雰囲気下、室温で、トリエチルアミン(689mg、6.8mmol)を加え、その後、アルゴン雰囲気下、室温で、終夜撹拌した。前記混合液を飽和食塩水で洗浄した。有機層を回収し、前記を硫酸ナトリウムで乾燥した後、前記有機層をろ過した。得られたろ液について、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 CHCl:CHOH=9:1)に供し、無色シロップ状の化合物120(696mg、収率92%)を得た。以下に、前記化合物120の機器分析結果を示す。
【0257】
t−ブチル−ジメチルシロキシアミドヒドロキシアミド−L−プロリン(120);
H−NMR(CDCl):δ4.54(d,1H,CH)、3.58−3.67(m,5H)、3.52−3.56(m,1H,CH),3.32−3.39(m,1H),3.20−3.25(m,2H)、2.40−2.43(m,1H,CH)、2.33(t,J=7.3Hz,2H,CH)、2.05−2.25(m,2H)、1.93−2.03(m,1H,CH)、1.75−1.85(m,1H,CH)、1.50−1.73(m,8H)、1.37−1.46(m,2H,CH)、0.87(s,9H,t−Bu)、0.04(s,6H,SiCH);
MS(FAB+): m/z 415(M+1).
【0258】
(5)DMTr−ヒドロキシジアミド−L−プロリン(化合物121)
上記により得られた前記t−ブチル−ジメチルシロキシアミドヒドロキシアミド−L−プロリン(化合物120)(640mg、1.54mmol)を無水ピリジン(1mL)と混合し、室温で共沸乾燥した。得られた残留物に、4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(657mg、1.85mmol)、DMAP(2mg)および無水ピリジン(5mL)を加え、室温で4時間撹拌した後、メタノール(1mL)を加え、30分室温で撹拌した。前記混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和重曹水で洗浄した。有機層を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、前記有機層をろ過した。得られたろ液について、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣に、無水アセトニトリル(5mL)および1mol/Lテトラブチルアンモニウムフルオリド含有テトラヒドロフラン溶液(1.42mL、テトラブチルアンモニウムフルオリド1.42mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応終了後、前記混合物に酢酸エチル(100mL)を加え、水で洗浄した後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、前記有機層をろ過した。得られたろ液について、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 CHCl:CHOH=95:5、0.05%ピリジン含有)に供し、無色シロップ状の化合物121(680mg、収率73%)を得た。以下に、前記化合物121の機器分析結果を示す。
【0259】
DMTr−ヒドロキシジアミド−L−プロリン(121);
H−NMR(CDCl): δ7.41−7.44(m,2H,Ar−H)、7.26−7.33(m,4H,Ar−H)、7.18−7.21(m,2H,Ar−H)、7.17−7.21(m,1H,Ar−H)、6.80−6.84(m,4H,Ar−H)、4.51−4.53(d,6.8Hz,1H,CH)、3.79(s,6H,OCH)、3.61(dd,2H,J=11Hz,5.4Hz,CH)、3.50−3.54(m,1H,CH)、3.36−3.43(m,1H,CH),3.20−3.26(m,2H,CH),3.05(t,J=6.4Hz,2H,CH)、2.38−2.45(m,1H,CH)、2.30(t,J=7.8Hz,2H,CH)、2.05−2.25(m,1H,CH)、1.92−2.00(m,1H,CH)、1.75−1.83(m,1H,CH)、1.52−1.67(m,8H)、1.35−1.45(m,2H,CH);
MS(FAB+): m/z 602(M)、303(DMTr).
【0260】
(6)DMTr−ジアミド−L−プロリンアミダイトタイプB(化合物122)
上記により得られた前記DMTr−ヒドロキシジアミド−L−プロリン(化合物121)(637mg、1.06mmol)を無水アセトニトリルと混合し、室温で共沸乾燥した。得られた残留物に、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(201mg、1.16mmol)を加え、減圧下で脱気し、アルゴンガスを充填した。前記混合物に対し、無水アセトニトリル(1mL)を加え、さらに、2−シアノエトキシ−N,N,N’,N’−テトライソプロピルホスホロジアミダイト(350mg、1.16mmol)の無水アセトニトリル溶液(1mL)を加えた。この混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で4時間撹拌した。前記混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和重曹水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、前記有機層をろ過した。得られたろ液について、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣を、充填剤としてアミノシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:アセトン=7:3)に供し、無色シロップ状の化合物122(680mg、純度95%、収率76%)を得た。以下に、前記化合物122の機器分析結果を示す。
【0261】
DMTr−ジアミド−L−プロリンアミダイト(122);
H−NMR(CDCl): δ7.41−7.43(m,2H,Ar−H)、7.25−7.32(m,4H,Ar−H)、7.17−7.22(m,2H,Ar−H)、6.80−6.83(m,4H,Ar−H)、4.53(d,J=7.8Hz,1H,CH)、3.75−3.93(m,3H)、3.79(s,6H,OCH)、3.46−3.68(m,5H)、3.34−3.41(m,1H,CH)、3.10−3.31(m,1H,CH)、3.05(t,J=6.3Hz,2H,CH)、2.62(t,J=6.3Hz,2H,CH)、2.39−2.46(m,1H,CH)、2.29(t,7.3Hz,2H,CH)、2.03−2.19(m,1H,CH)、1.90−2.00(m,1H,CH)、1.70−1.83(m,1H,CH)、1.51−1.71(m,8H)、1.35−1.45(m,2H,CH)、1.18(d,J=6.4 Hz,6H, CH)、1.16(d,J=6.4Hz,6H,CH);
P−NMR (CHCN) δ146.90;
MS(FAB+): m/z 803(M+1)、303(DMTr).
【0262】
(参考例B1)RNAの固相合成
前記スキーム5の前記化合物6(本発明のモノマー)に代えて前記化合物122を用い、リンカー領域(Lx)および(Ly)に相当する部分の構造を、前記Lgに代えて下記Lpとする以外は前記実施例B1のPK―0054と同様にして、一本鎖RNA(ssRNA)を合成した。
【化Lp】
【0263】
上記のようにして合成したssRNAを、以下、PK−0004という。前記PK−0004は、下記配列番号9に示すように、5’側から、前記配列番号3のRNA、前記配列番号2のRNA、および前記配列番号1のRNAが前記順序で配列され、各RNAが、前記構造Lpを介して連結されている構造である。また、前記実施例B1でも説明したように、前記配列番号2のRNA配列と、前記配列番号1および3のRNA配列は、相補的な配列を有している。このため、前記PK−0004は、下記式に示すように、自己アニーリングしてステム構造をとっている。なお、前記PK−0054と同じく、下線部GUUGUCAUACUUCUCAUGG(配列番号5)が、GAPDH遺伝子の発現抑制に関与する領域である。

5’-GAA-3’(配列番号1)
5’-GGCUGUUGUCAUACUUCUCAUGGUUC-3’(配列番号2)
5’-CAUGAGAAGUAUGACAACAGCC-3’(配列番号3)

Ex:PK−0004(配列番号9)
5’-CAUGAGAAGUAUGACAACAGCC-Lp-GGCUGUUGUCAUACUUCUCAUGGUUC-Lp-GAA-3’

PK−0004の発現抑制領域(配列番号5)
5’-GUUGUCAUACUUCUCAUGG-3’
【化PK-0004】
【0264】
一方、前記配列番号2のRNAに代えて、下記配列番号6のRNAを用い、前記配列番号3のRNAに代えて、下記配列番号7のRNAを用いること以外はPK−0004と同様にして、参考例の他のssRNAを合成した。これを、以下、PK−0003という。

5’-GAA-3’(配列番号1)
5’-GGCUUUCACUUAUCGUUGAUGGCUUC-3’(配列番号6)
5’-CCAUCAACGAUAAGUGAAAGCC-3’(配列番号7)
【0265】
前記PK−0003は、下記配列番号10に示すように、5’側から、前記配列番号7のRNA、前記配列番号6のRNA、および前記配列番号1のRNAが前記順序で配列され、各RNAが、前記構造Lpを介して連結されている構造である。また、前記実施例B1のPK−0055と同様に、前記配列番号6のRNA配列と、前記配列番号1および7のRNA配列は、相補的な配列を有している。このため、前記PK−0003は、下記式に示すように、自己アニーリングしてステム構造をとっている。

PK−0003(配列番号10)
5’-CCAUCAACGAUAAGUGAAAGCC-Lp-GGCUUUCACUUAUCGUUGAUGGCUUC-Lp-GAA-3’
【化PK-0003】
【0266】
(参考例B2)
前記スキーム7の前記化合物18(本発明のモノマー)に代えて前記化合物22を用い、リンカー領域(Lx)および(Ly)に相当する部分の構造を、前記Llに代えて前記Lp(前記参考例B1)とする以外は前記実施例B3のPK―0100と同様にして、一本鎖RNA(ssRNA)を合成した。
【0267】
上記のようにして合成したssRNAを、以下、PK−0071という。前記PK−0061は、下記配列番号66に示すように、5’側から、前記配列番号64のRNA、前記配列番号63のRNA、およびグアノシンが前記順序で配列され、各RNAおよびグアノシンが、前記構造Lpを介して連結されている構造である。また、前記実施例B3でも説明したように、前記配列番号63のRNA配列と、グアノシンおよび前記配列番号64のRNA配列は、相補的な配列を有している。このため、前記PK−0071は、下記式に示すように、自己アニーリングしてステム構造をとっている。

5’-GGAAUCGAAGUACUCAGCGUAAGUUC-3’(配列番号63)
5’-ACUUACGCUGAGUACUUCGAUUCC-3’(配列番号64)

Ex:PK−0071(配列番号66)
5’-ACUUACGCUGAGUACUUCGAUUCC-Lp-GGAAUCGAAGUACUCAGCGUAAGUUC-Lp-G-3’
【化PK-0071】
【0268】
(実施例C1)HCT116細胞におけるGAPDH遺伝子の発現抑制効果
本発明のRNAを用いて、in vitroにおけるGAPDH遺伝子の発現抑制を確認した。
【0269】
(1)材料および方法
実施例のRNA(Ex)として、前記実施例B1のssRNA(PK−0054およびPK−0055)を使用した。また、参考例のRNAとして、前記参考例B1のssRNA(PK−0004およびPK−0003)も使用した。前記各RNAを、所望の濃度(10μmol/L)となるように、注射用蒸留水(大塚製薬、以下同様)に溶解し、RNA溶液を調製した。
【0270】
細胞は、HCT116細胞(DSファーマバイオメディカル)を使用し、培地は、10 %FBSを含むMcCoy’s 5A(Invitrogen)培地を使用し、培養条件は、37℃、5% CO下とした。
【0271】
まず、HCT116細胞を、前記培地中で培養し、その培養液を、24穴プレートに、400μLずつ、2×10細胞/ウェルとなるように分注した。さらに、前記ウェル中の細胞を24時間培養した後、前記RNAを、トランスフェクション試薬Lipofectamine2000(Invitrogen)を用い、前記トランスフェクション試薬の添付プロトコールに従って、トランスフェクションした。具体的には、前記ウェルあたりの組成を以下のように設定し、トランスフェクションを行った。なお、前記ウェルにおいて、前記RNAの最終濃度は、1nmol/L、5nmol/L、25nmol/Lとした。
【表1】
【0272】
トランスフェクション後、前記ウェル中の細胞を48時間培養した後、RNeasy Mini Kit(Qiagen、オランダ)を用い、添付のプロトコールに従って、RNAを回収した。次に、逆転写酵素(商品名SuperScript III、Invitrogen)を用い、添付のプロトコールに従って、前記RNAからcDNAを合成した。そして、以下に示すように、合成した前記cDNAを鋳型としてPCRを行い、GAPDH遺伝子の発現量および内部標準であるβ−アクチン遺伝子の発現量を測定した。前記GAPDH遺伝子の発現量は、前記β−アクチン遺伝子の発現量により補正した。
【0273】
前記PCRは、試薬としてLightCycler FastStart DNA Master SYBR Green I(商品名、Roche)、機器としてLight Cycler DX400(商品名、Roche)を用いた(以下、同様)。前記GAPDH遺伝子およびβ−アクチン遺伝子の増幅には、それぞれ、以下のプライマーセットを使用した。
GAPDH遺伝子用PCRプライマーセット
5’-GGAGAAGGCTGGGGCTCATTTGC-3’(配列番号11)
5’-TGGCCAGGGGTGCTAAGCAGTTG-3’(配列番号12)
β−アクチン遺伝子用プライマーセット
5’-GCCACGGCTGCTTCCAGCTCCTC-3’(配列番号13)
5’-AGGTCTTTGCGGATGTCCACGTCAC-3’(配列番号14)
【0274】
なお、コントロール1として、前記(B)液100μLのみを添加した細胞についても、遺伝子発現量を測定した(−)。また、コントロール2として、トランスフェクションにおいて、前記RNA溶液を未添加とし、前記(A)1.5μLと前記(B)とを合計100μL添加した以外は、同様にして処理した細胞についても、遺伝子発現量を測定した(mock)。
【0275】
補正後のGAPDH遺伝子発現量について、コントロール(−)の細胞の発現量を1として、各RNAを導入した細胞の発現量の相対値を求めた。
【0276】
(2)結果
これらの結果を、図4に示す。図4は、GAPDH遺伝子発現量の相対値を示すグラフであり、縦軸は、相対遺伝子発現量である。
【0277】
図4に示すように、PK−0004およびPK−0054は、ヒトGAPDHを標的とした配列を組み込んでいるために、発現抑制効果を示した。これに対し、PK−0003およびPK−0055は、配列が異なるために、PK−0004およびPK−0054と比較して発現抑制効果が低かった。すなわち、これらのRNAは、標的塩基配列に対する反応特異性に優れていた。
【0278】
また、PK−0054は、ssRNA(一本鎖RNA)であるために、siRNA(二本鎖RNA)と比較して、容易にかつ効率良く製造が可能であり、かつ、取り扱い易さにも優れていた。
【0279】
さらに、実施例のssRNAであるPK−0054は、参考例のssRNAであるPK−0004とも同等の発現抑制効果を示した。また、合成の出発原料が、PK−0004ではL−プロリンであるのに対し、PK−0054ではグリシンであり、PK−0054の方が原料がはるかに安価で入手しやすいため、製造の簡便さとコストにおいて圧倒的に有利である。
【0280】
(実施例C2)ホタルルシフェラーゼ遺伝子の発現抑制効果
本発明のRNAを用いて、in vitroにおけるホタルルシフェラーゼ遺伝子の発現抑制を確認した。
【0281】
(1)材料および方法
実施例のRNA(Ex)として、前記実施例B3のssRNA(PK−1000)を使用した。また、参考例のRNAとして、前記参考例B2のssRNA(PK−0071)も使用した。前記各RNAを、所望の濃度(10μmol/L)となるように、注射用蒸留水(大塚製薬、以下同様)に溶解し、RNA溶液を調製した。
【0282】
細胞は、ホタルルシフェラーゼ安定発現乳癌細胞株MCF−7(pGL3 Luc)を使用し、培地は、10% RPMI 1640(Invitrogen)+10% FCSを使用し、培養条件は、37℃、5% CO下とした。
【0283】
ホタルルシフェラーゼ安定発現乳癌細胞株MCF−7(pGL3 Luc)の培養は、より具体的には、以下のようにして行った。
[1] 前記細胞を培地中で培養し、その培養液を96穴プレートに50μLずつ1×10細胞/ウェルとなるように分注した。
[2] つぎに、ウェル中の前記細胞に対し、トランスフェクション試薬Lipofectamine 2000(Invitrogen)を用い、添付プロトコールに従ってRNAサンプルをトランスフェクションした。具体的には、ウェルあたり前記RNAサンプルと前記トランスフェクション試薬との複合体50μLを添加し、全量を100μL、前記RNAサンプルの最終濃度を0.1、1、または10nmol/Lとした。コントロール1として、前記RNAサンプルおよび前記トランスフェクション試薬を添加していない細胞(−)、コントロール2として、トランスフェクションにおいて前記RNAサンプルを未添加とし、前記トランスフェクション試薬のみを添加した細胞(mock)を用意した。
[3] さらに、前記トランスフェクション後、24時間培養した。
【0284】
ルシフェラーゼ活性測定は、以下のようにして行った。このルシフェラーゼ活性測定は、すなわち、ホタルルシフェラーゼ安定発現乳癌細胞株MCF−7(pGL3 Luc)が保持するホタルルシフェラーゼ遺伝子の発現抑制効果の測定である。
[1] まず、Steady−Glo(商品名) Luciferase Assay System(Promega)を用い、添付のプロトコールに従ってルシフェラーゼによる発光強度をマルチラベルリーダーARVO X2(PerkinElmer)で測定した。
[2] 前記[1]のルシフェラーゼ活性測定結果は、RNAサンプルおよびトランスフェクション試薬を添加していない細胞(−)(前記コントロール1、非添加細胞群)を1とした相対活性で表した。
【0285】
(2)結果
これらの結果を、図12に示す。図12は、ルシフェラーゼ活性の相対値を示すグラフである。
【0286】
図12に示すように、実施例のssRNAであるPK−0100によれば、ルシフェラーゼの相対活性を約0.7〜約0.3まで低減させることができた。すなわち、PK−0100は、ホタルルシフェラーゼ安定発現乳癌細胞株MCF−7(pGL3 Luc)が保持するホタルルシフェラーゼ遺伝子に対し、優れた発現抑制効果を示した。また、PK−0100は、参考例のssRNAであるPK−0071に対しても同等以上の発現抑制効果を示した。
【0287】
(参考例1)
フリー塩基の位置が異なるssRNAを使用して、in vitroにおけるGAPDH遺伝子の発現抑制を確認した。
【0288】
(1)材料および方法
RNAとして、図5に示すssRNAを使用した。図5において、右端の番号は、配列番号を示す。図5において、5’側から、小文字下線の領域は、前記領域(Xc)、大文字下線の領域は、前記内部領域(Z)、小文字下線の領域は、前記領域(Yc)を示す。前記Xcと前記Zとの間が、リンカー領域(Lx)であり、前記Zと前記Ycとの間が、リンカー領域(Ly)である。また、「Xc/Yc」は、前記領域(Xc)の塩基長(Xc)と、前記領域(Yc)の塩基長(Yc)との比を示す。図5において、「*」は、フリー塩基を示す。
【0289】
各ssRNAは、いずれも、内部領域(Z)の塩基長を26塩基、リンカー領域(Lx)の塩基長を7塩基、リンカー領域(Ly)の塩基長を4塩基とした。また、NK−0036およびNK−0040は、前記領域(Xc)と前記領域(Yc)との合計塩基数(Xc+Yc)を26塩基とし、それ以外は、前記領域(Xc)と前記領域(Yc)との合計塩基数(Xc+Yc)を25塩基とした。そして、この条件の下、前記領域(Xc)および前記領域(Yc)の塩基長を変化させた。これによって、NK−0036およびNK−0040は、フリー塩基を有さない分子とした。また、これら以外の各ssRNAは、前記内部領域(Z)における、二重鎖を形成しないフリー塩基を全て1塩基とし、且つ、前記内部領域(Z)における前記フリー塩基の位置を3’側から5’側に変動させた。
【0290】
前記RNAを使用した以外は、前記実施例C1と同様にして、HCT116細胞へのトランスフェクション、培養、RNA回収、cDNA合成およびPCRを行い、GAPDH遺伝子の相対的発現量を測定した。トランスフェクション時のRNA濃度は、10nmol/Lとした。
【0291】
(2)結果および考察
これらの結果を、図6に示す。図6は、終濃度10nmol/LのRNAを使用した場合におけるGAPDH遺伝子発現量の相対値を示すグラフである。図6に示すように、前記5’側領域(Xc)および前記3’側領域(Yc)の長さを変化させたいずれのssRNAについても、GAPDH遺伝子の発現抑制が確認できた。
【0292】
特に、前記領域(Xc)の塩基長と前記領域(Yc)の塩基長の差が大きくなるに従って、相対的に遺伝子の発現量が低下し、発現抑制活性が増加したことが確認された。すなわち、前記内部領域(Z)におけるフリー塩基の位置を、前記内部領域の中央よりも、5’側または3’側に配置するほど、前記発現抑制活性を向上できることがわかった。
【0293】
(参考例2)
フリー塩基の位置が異なるssRNAを使用して、in vitroにおけるTGF−β1遺伝子の発現抑制効果を確認した。
【0294】
(1)材料および方法
RNAとして、以下に示すssRNAを使用した。下記配列において、「*」は、フリー塩基を示す。
【化SEQ42-45】
【0295】
(1.2)遺伝子の発現抑制
凍結保存した前記RNAを、20μmol/Lとなるように、注射用蒸留水に溶解し、RNA溶液を調製した。そして、前記RNA溶液を使用した以外は、前記実施例C1と同様にして、Hepal−6細胞への前記ssRNAのトランスフェクション、RNA回収、cDNA合成およびPCRを行い。TGF−β1遺伝子の相対的発現量を測定した。トランスフェクション時のRNA濃度は、1nmol/Lとした。
【0296】
(2)結果
これらの結果を、図7に示す。図7は、TGF−β1遺伝子発現量の相対値を示すグラフである。図7に示すように、いずれのssRNAも、遺伝子発現抑制活性を示した。また、フリー塩基の位置を、前記内部領域(Z)における3’末端から2番目および3番目としたNK−0055およびNK−0062は、フリー塩基の位置を、前記内部領域(Z)における3’末端から4番目および5番目としたNK−0033およびNK−0061よりも、高い発現抑制活性を示した。この結果は、異なる遺伝子をターゲットとする前記参考例1と同様の挙動であった。
【0297】
(参考例3)
フリー塩基の位置が異なるssRNAを使用して、in vitroにおけるLAMA1遺伝子の発現抑制を確認した。
【0298】
(1)材料および方法
RNAとして、以下に示すssRNAを使用した。下記配列において、「*」は、フリー塩基を示す。
【化SEQ46-47】
【0299】
前記RNAを使用した以外は、前記実施例C1と同様にして、293細胞へのトランスフェクションを行い、前記細胞を48時間培養した。トランスフェクション時のRNA濃度は、10nmol/Lとした。そして、プライマーとして、以下のLAMA1遺伝子用プライマーセットを使用した以外は、前記実施例C1と同様にして、RNA回収、cDNA合成およびPCRを行い、LAMA1遺伝子の発現量および内部標準であるβ−アクチン遺伝子の発現量を測定した。前記LAMA1遺伝子の発現量は、内部標準であるβ−アクチン遺伝子の発現量により補正した。
LAMA1遺伝子用プライマーセット
5’-AAAGCTGCCAATGCCCCTCGACC-3’(配列番号48)
5’-TAGGTGGGTGGCCCTCGTCTTG-3’(配列番号49)
【0300】
また、前記実施例C1と同様にして、コントロール1(−)およびコントロール2(mock)に関しても、発現量を測定した。そして、補正後のLAMA1遺伝子発現量について、コントロール(−)の細胞の発現量を1として、各RNAを導入した細胞の発現量の相対値を求めた。
【0301】
(2)結果
これらの結果を、図8に示す。図8は、293細胞におけるLAMA1遺伝子の発現量の相対値を示すグラフである。図8に示すように、いずれのssRNAも、遺伝子発現抑制活性を示した。また、フリー塩基の位置を、前記内部領域(Z)における3’末端から2番目としたNK−0064は、フリー塩基の位置を、前記内部領域(Z)における3’末端から4番目としたNK−0043よりも、高い発現抑制活性を示した。この結果は、異なる遺伝子をターゲットとする前記参考例1および参考例2と同様の挙動であった。
【0302】
(参考例4)
フリー塩基の位置が異なるssRNAを用いて、in vitroにおけるLMNA遺伝子の発現抑制を確認した。
【0303】
(1)材料および方法
RNAとして、以下に示すssRNAを使用した。下記配列において、「*」は、フリー塩基を示す。
【化SEQ50-51】
【0304】
前記RNAを使用した以外は、前記実施例C1と同様にして、A549細胞へのトランスフェクションを行い、前記細胞を48時間培養した。トランスフェクション時のRNA濃度は、3nmol/Lとした。そして、プライマーとして、以下のLMNA遺伝子用プライマーセットを使用した以外は、前記実施例C1と同様にして、RNA回収、cDNA合成およびPCRを行い、LMNA遺伝子の発現量および内部標準であるβ−アクチン遺伝子の発現量を測定した。前記LMNA遺伝子の発現量は、内部標準であるβ−アクチン遺伝子の発現量により補正した。
LMNA遺伝子用プライマーセット
5’-CTGGACATCAAGCTGGCCCTGGAC-3’(配列番号52)
5’-CACCAGCTTGCGCATGGCCACTTC-3’(配列番号53)
【0305】
また、前記実施例C1と同様にして、コントロール1(−)およびコントロール2(mock)に関しても、発現量を測定した。そして、補正後のLMNA遺伝子発現量について、コントロール(−)の細胞の発現量を1として、各RNAを導入した細胞の発現量の相対値を求めた。
【0306】
(2)結果
これらの結果を、図9に示す。図9は、A549細胞におけるLMNA遺伝子の発現量の相対値を示すグラフである。図9に示すように、いずれのssRNAも、遺伝子発現抑制活性を示した。また、フリー塩基の位置を、前記内部領域(Z)における3’末端から2番目としたNK−0066は、フリー塩基の位置を、前記内部領域(Z)における3’末端から4番目としたNK−0063よりも、高い発現抑制活性を示した。この結果は、異なる遺伝子をターゲットとする前記参考例1〜参考例3と同様の挙動であった。
【0307】
参考例1〜参考例4の結果から、例えば、フリー塩基の位置に関しては、標的遺伝子の種類ならびにそれに対する発現抑制配列にかかわらず、同様の挙動を示すことは明らかである。そして、前記実施例C1においては、これらの参考例と同様の挙動を示していることは、前述の通りである。
【0308】
(参考例5)
前記内部5’側領域(X)、前記5’側領域(Xc)、前記内部3’側領域(Y)および前記3’側領域(Yc)の各長さを変化させたssRNAを用いて、in vitroにおけるGAPDH遺伝子の発現抑制を確認した。
【0309】
(1)材料および方法
RNAとして、図10に示すssRNAを使用した。図10において、右端の番号は、配列番号を示す。図10において、5’側から、小文字下線の領域は、前記領域(Xc)、大文字下線の領域は、前記内部領域(Z)、小文字下線の領域は、前記領域(Yc)を示す。また、「Xc+Yc/X+Y」は、前記領域(Xc)と前記領域(Yc)の塩基長の合計と、前記領域(X)と前記領域(Y)の塩基長の合計との比を示す。図10において、「*」は、フリー塩基を示す。
【0310】
各ssRNAは、いずれも、リンカー領域(Lx)の塩基長を7塩基、リンカー領域(Ly)の塩基長を4塩基、前記領域(Yc)の塩基長を1塩基とし、前記内部領域(Z)の3’側から2番目の塩基を、フリー塩基とした。そして、前記内部領域(Z)の塩基長と前記領域(Xc)の塩基長を変動させた。
【0311】
特に示さない限りは、前記実施例C1と同様にして、前記RNAについて、HCT116細胞へのトランスフェクション、培養、RNA回収、cDNA合成およびPCRを行い、GAPDH遺伝子の発現量の相対値を算出した。前記トランスフェクションの条件は、前記ウェルあたりの組成を下記表2と同様とした。
【表2】
【0312】
(2)結果および考察
これらの結果を、図11に示す。図11は、終濃度1nmol/LのRNAを使用した場合におけるGAPDH遺伝子発現量の相対値を示すグラフである。図11に示すように、前記領域(X)、前記領域(Xc)、前記領域(Y)および前記領域(Yc)の長さを変化させたいずれのssRNAについても、GAPDH遺伝子の発現抑制が確認できた。
【0313】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0314】
本発明のssPN分子によれば、遺伝子の発現抑制が可能であり、かつ、環状ではないため、その合成が容易であり、また、一本鎖であるため、二本鎖のアニール工程が無く、効率良く製造可能である。また、前記リンカー領域が前記非ヌクレオチド残基を含むため、例えば、従来のようなヌクレオチド残基の改変に限られず、例えば、前記リンカー領域における修飾等の改変も可能となる。このように、本発明のssPN分子は、前述のように標的遺伝子の発現を抑制可能であることから、例えば、医薬品、診断薬および農薬、ならびに、医学、生命科学等の研究ツールとして有用である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【配列表】
2013103146000001.app

【手続補正書】
【提出日】20140605
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0179
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0179】
本発明の発現抑制方法は、例えば、前記ssPN分子を単独で投与してもよいし、前記ssPN分子を含む前記本発明の組成物を投与してもよい。前記投与方法は、特に制限されず、例えば、投与対象の種類に応じて適宜選択できる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0281
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0281】
(1)材料および方法
実施例のRNA(Ex)として、前記実施例B3のssRNA(PK−0100)を使用した。また、参考例のRNAとして、前記参考例B2のssRNA(PK−0071)も使用した。前記各RNAを、所望の濃度(10μmol/L)となるように、注射用蒸留水(大塚製薬、以下同様)に溶解し、RNA溶液を調製した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0282
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0282】
細胞は、ホタルルシフェラーゼ安定発現乳癌細胞株MCF−7(pGL3 Luc)を使用し、培地は、RPMI 1640(Invitrogen)+10% FCSを使用し、培養条件は、37℃、5% CO下とした。
【国際調査報告】