(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013105209
(43)【国際公開日】20130718
【発行日】20150511
(54)【発明の名称】光生体計測装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20150414BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20150414BHJP
【FI】
   !A61B10/00 E
   !A61B5/14 322
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】2013553117
(21)【国際出願番号】JP2012050223
(22)【国際出願日】20120110
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【住所又は居所】京都府京都市中京区西ノ京桑原町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100114030
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 義雄
(72)【発明者】
【氏名】石川 亮宏
【住所又は居所】京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会社島津製作所内
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KX01
(57)【要約】
光生体計測装置1であって、脳表面画像24bの所定の位置が入力装置22で指定されることにより、脳表面画像24bの所定の位置を測定点mと定める測定点決定部34と、測定点mに基づいて、頭皮表面画像24aの特定の位置を推定点sと定めるとともに、推定点sの画像表示を行う推定点決定部35と、推定点sと、被験者の基準点に対応する頭皮表面画像24aの基準点との頭皮表面に沿った最短経路を示す経路画像L1、L2を、頭皮表面画像上24aに表示する位置誘導部38とを備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示が行われる表示装置と、入力操作される入力装置とを備える光生体計測装置であって、
頭皮表面と脳表面との位置関係を示す3次元形態画像データに基づいて画像表示された脳表面画像の所定の位置が前記入力装置で指定されることにより、当該脳表面画像の所定の位置を測定点と定める測定点決定部と、
前記測定点に基づいて、前記3次元形態画像データに基づいて画像表示された頭皮表面画像の特定の位置を推定点と定めるとともに、当該頭皮表面画像上に推定点の画像表示を行う推定点決定部と、
前記推定点と、前記被験者の基準点に対応する頭皮表面画像の基準点との頭皮表面に沿った最短経路を示す経路画像を、前記頭皮表面画像上に表示する位置誘導部とを備えることを特徴とする光生体計測装置。
【請求項2】
頭皮表面と脳表面とを含む被験者を示す形態映像データに基づいて、頭皮表面を示す形態映像データを抽出することにより、頭皮表面形態画像データを取得するとともに、脳表面を示す形態映像データを抽出することにより、脳表面形態画像データを取得する形態画像データ取得部と、
前記頭皮表面形態画像データと脳表面形態画像データとを合成することにより、前記3次元形態画像データを作成する形態画像作成部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の光生体計測装置。
【請求項3】
前記位置誘導部は、前記推定点と、前記被験者の基準点に対応する頭皮表面画像の基準点との頭皮表面に沿った最短距離を表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光生体計測装置。
【請求項4】
前記被験者の基準点は、前記被験者の鼻根、頭頂、右耳介前点又は左耳介前点であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光生体計測装置。
【請求項5】
前記推定点決定部は、前記測定点から最短の距離にある前記頭皮表面画像の特定の位置を推定点と定めることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光生体計測装置。
【請求項6】
前記頭皮表面に配置される少なくとも一つの送光プローブと、前記頭皮表面に配置される少なくとも一つの受光プローブとを有する測定プローブを備え、
前記送光プローブは、前記頭皮表面に光を出射するとともに、前記受光プローブは、前記頭皮表面から放出される光を検出することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光生体計測装置。
【請求項7】
前記形態映像データを取得する形態映像データ取得部を備え、
前記形態映像データ取得部は、核磁気共鳴画像診断装置により作成された形態映像データを取得することを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載の光生体計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光生体計測装置に関し、さらに詳細には非侵襲で脳活動を測定する光生体計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、脳の活動状況を観察するために、光を用いて簡便に非侵襲で測定する光脳機能イメージング装置が開発されている。このような光脳機能イメージング装置では、被験者の頭皮表面上に配置した送光プローブにより、異なる3種類の波長λ、λ、λ(例えば、780nmと805nmと830nm)の近赤外光を脳に照射するとともに、頭皮表面上に配置した受光プローブにより、脳から放出された各波長λ、λ、λの近赤外光の強度(受光量情報)A(λ)、A(λ)、A(λ)をそれぞれ検出する。
そして、このようにして得られた受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)から、脳血流中のオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[oxyHb]と、デオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[deoxyHb]とを求めるために、例えば、Modified Beer Lambert則を用いて関係式(1)(2)(3)に示す連立方程式を作成して、この連立方程式を解いている(例えば、非特許文献1参照)。さらには、オキシヘモグロビンの濃度・光路長積[oxyHb]と、デオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[deoxyHb]とから総ヘモグロビンの濃度・光路長積([oxyHb]+[deoxyHb])を算出している。
A(λ)=E(λ)×[oxyHb]+E(λ)×[deoxyHb]・・・(1)
A(λ)=E(λ)×[oxyHb]+E(λ)×[deoxyHb]・・・(2)
A(λ)=E(λ)×[oxyHb]+E(λ)×[deoxyHb]・・・(3)
なお、E(λm)は、波長λmの光におけるオキシヘモグロビンの吸光度係数であり、E(λm)は、波長λmの光におけるデオキシヘモグロビンの吸光度係数である。
【0003】
ここで、送光プローブと受光プローブとの間の距離(チャンネル)と、測定部位との関係について説明する。図6は、一対の送光プローブ及び受光プローブと、測定部位との関係を示す断面図である。
送光プローブ12が被験者の頭皮表面の送光点tに押し当てられるとともに、受光プローブ13が被験者の頭皮表面の受光点rに押し当てられる。そして、送光プローブ12から光を照射させるとともに、受光プローブ13に頭皮表面から放出される光を入射させる。このとき、光は、頭皮表面の送光点tから照射された光のうちで、バナナ形状(測定領域)を通過した光が、頭皮表面の受光点rに到達する。これにより、測定領域の中でも、特に送光点tと受光点rとを被験者の頭皮表面に沿って最短距離で結んだ線の中点sから、送光点tと受光点rとを被験者の頭皮表面に沿って最短距離で結んだ線の距離の半分の深さである被験者の測定部位mに関する受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)が得られるとしている。
【0004】
ところが、医師や検査技師等は、測定部位mは脳の部位であるが、脳の外側に頭皮が存在するので、脳の位置を確認しながら、送光プローブ12及び受光プローブ13の配置位置を決めることはできない。
そのため、医師や検査技師等は、脳の位置を基準にして送光プローブ12及び受光プローブ13の配置位置を決めるのではなく、頭皮表面に設定された基準点を基にして送光プローブ12及び受光プローブ13の配置位置を決めている。なお、頭皮表面に設定された基準点としては、例えば、国際10−20法が発表されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、ヒトの脳の形状は、実際には歪んでおり、非対称であることが多い。ヒトの脳が左右非対称であるにもかかわらず、送光プローブ12及び受光プローブ13の配置位置を頭皮表面に対して均等な位置に配置して脳活動を測定すると、測定したい脳の部位の脳活動が測定されないという問題が生じた。
また、脳の解剖学的構造には個人差がある。つまり、脳の形状がヒトによって違っている場合も多いため、国際10−20法に基づいて測定された脳活動データを複数のヒトで比較することができなかった。
【0006】
そこで、送光プローブ12及び受光プローブ13等を配置するために、頭皮表面と脳表面との位置関係を示す3次元形態画像の画像表示を行うことができる光生体計測装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。図7は、頭皮表面と脳表面との位置関係を示す3次元形態画像を示す図である。このような光生体計測装置は、頭皮表面画像と脳表面画像との位置関係を示す3次元形態画像の画像表示を行う形態画像表示手段と、脳表面画像の所定の位置が指定されることにより、脳表面画像の所定の位置を測定点mと定める測定点決定手段と、測定点mに基づいて、頭皮表面画像の特定の位置を推定点sと定めるとともに、推定点sの画像表示を行う推定点決定手段とを備える。
このような光生体計測装置によれば、医師や検査技師等は頭皮表面画像と脳表面画像との位置関係を示す3次元形態画像の画像表示を観察しながら、被験者の頭皮表面に送光プローブ12及び受光プローブ13等を正確に配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−315827号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Factors affecting the accuracy of near-infrared spectroscopy concentration calculations for focal changes in oxygenation parameters, NeuroImage 18, 865-879, 2003
【非特許文献2】“Three-dimensional probabilistic anatomical cranio-cerebral correlation via the international 10-20 system oriented for transcranial functional brain mapping” (NeuroImage 21 (2004) 99-111)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したような光生体計測装置では、頭皮表面画像上に推定点の画像表示が行われるが、実際の被験者の頭皮表面には目印がないため、推定点sに対応する被験者の頭皮表面の位置を正確に判断することが困難であった。その結果、被験者の頭皮表面に送光プローブ12及び受光プローブ13等を正確に配置することができず、測定点mに関する受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)を得られないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本件発明者は、上記課題を解決するために、推定点sに対応する被験者の頭皮表面の位置を正確に判断する方法について検討を行った。そこで、国際10−20法等によって頭皮表面に設定された基準点を利用することを見出した。
【0011】
すなわち、本発明の光生体計測装置は、画像表示が行われる表示装置と、入力操作される入力装置とを備える光生体計測装置であって、頭皮表面と脳表面との位置関係を示す3次元形態画像データに基づいて画像表示された脳表面画像の所定の位置が前記入力装置で指定されることにより、当該脳表面画像の所定の位置を測定点と定める測定点決定部と、前記測定点に基づいて、前記3次元形態画像データに基づいて画像表示された頭皮表面画像の特定の位置を推定点と定めるとともに、当該頭皮表面画像上に推定点の画像表示を行う推定点決定部と、前記推定点と、前記被験者の基準点に対応する頭皮表面画像の基準点との頭皮表面に沿った最短経路を示す経路画像を、前記頭皮表面画像上に表示する位置誘導部とを備えるようにしている。
【0012】
ここで、「頭皮表面と脳表面との位置関係を示す3次元形態画像データ」とは、核磁気共鳴画像診断装置(以下、MRIと略す)やCT画像等により作成された被験者の映像データから、頭皮表面及び脳表面を示す映像データを抽出することにより作成された3次元形態画像データのことをいう(図7参照)。
また、「基準点」とは、国際10−20法等によって定義された点等のことをいい、例えば、鼻根(Nasion=Nz)、後頭結節(Inion=Iz)、左右両耳介前点(AL,AR)等が挙げられる。
また、「測定点」とは、入力装置等を用いて脳表面画像上で指定された任意の位置のことをいい、例えば、運動野、体性感覚野、視覚野、聴覚野、運動性言語中枢等が挙げられる。
また、「推定点」とは、測定点に基づいて頭皮表面画像上で決定される位置のことをいい、例えば、測定点から最短の距離にある頭皮表面画像の位置や、球体の半径を拡大し球体によりえぐられる頭皮表面の重心座標等が挙げられる。
本発明の光生体計測装置によれば、脳表面画像上で測定点が指定されることにより、頭皮表面画像上で推定点を決定すると、推定点と、被験者の基準点に対応する頭皮表面画像の基準点との頭皮表面に沿った最短経路を示す経路画像を、頭皮表面画像上に表示する。これにより、医師や検査技師等は被験者の基準点からの経路画像を参考にしながら、推定点に対応する被験者の頭皮表面の位置を判断することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の光生体計測装置によれば、推定点に対応する被験者の頭皮表面の位置を正確に判断することができるため、送光プローブ及び受光プローブ等を正確に配置することができる。
【0014】
(その他の課題を解決するための手段及び効果)
また、本発明の光生体計測装置は、頭皮表面と脳表面とを含む被験者を示す形態映像データに基づいて、頭皮表面を示す形態映像データを抽出することにより、頭皮表面形態画像データを取得するとともに、脳表面を示す形態映像データを抽出することにより、脳表面形態画像データを取得する形態画像データ取得部と、前記頭皮表面形態画像データと脳表面形態画像データとを合成することにより、前記3次元形態画像データを作成する形態画像作成部とを備えるようにしてもよい。
以上のように、本発明の光生体計測装置によれば、頭皮表面と脳表面との位置関係を示す3次元形態画像データを作成するので、正確な頭皮表面と脳表面との位置関係を示すことができる。
また、本発明の光生体計測装置は、前記位置誘導部は、前記推定点と、前記被験者の基準点に対応する頭皮表面画像の基準点との頭皮表面に沿った最短距離を表示するようにしてもよい。
以上のように、本発明の光生体計測装置によれば、推定点と基準点との最短距離が表示されるので、推定点に対応する被験者の頭皮表面の位置をより正確に判断することができる。
【0015】
また、本発明の光生体計測装置は、前記被験者の基準点は、前記被験者の鼻根、頭頂、右耳介前点又は左耳介前点であるようにしてもよい。
また、本発明の光生体計測装置は、前記推定点決定部は、前記測定点から最短の距離にある前記頭皮表面画像の特定の位置を推定点と定めるようにしてもよい。
【0016】
そして、本発明の光生体計測装置は、前記頭皮表面に配置される少なくとも一つの送光プローブと、前記頭皮表面に配置される少なくとも一つの受光プローブとを有する測定プローブを備え、前記送光プローブは、前記頭皮表面に光を出射するとともに、前記受光プローブは、前記頭皮表面から放出される光を検出するようにしてもよい。
本発明の光生体計測装置によれば、測定プローブにより、脳の解剖学的構造の個人差にかかわらず、測定したい脳の部位の脳活動を測定することができる。
さらに、本発明の光生体計測装置は、前記形態映像データを取得する形態映像データ取得部を備え、前記形態映像データ取得部は、核磁気共鳴画像診断装置により作成された形態映像データを取得するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態である光生体計測装置の構成を示すブロック図。
【図2】生体計測装置により得られた画像が表示されたモニタ画面の一例を示す図。
【図3】生体計測装置により得られた画像が表示されたモニタ画面の一例を示す図。
【図4】MRIにより得られた3方向の2次元画像を示す図。
【図5】本発明に係る生体計測装置による検査方法の一例について説明するフローチャート。
【図6】一対の送光プローブ及び受光プローブと、測定部位との関係を示す断面図。
【図7】頭皮表面と脳表面との位置関係を示す3次元形態画像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態である光生体計測装置の構成を示すブロック図である。
光生体計測装置1は、核磁気共鳴画像診断装置(以下、MRIと略す)2と、測定プローブ11と、光生体計測装置1全体の制御を行う制御系(コンピュータ)20とにより構成される。
図2及び図3は、生体計測装置1により得られる画像が画像表示されたモニタ画面23aの一例を示す図である。図2では、モニタ画面23aには頭皮表面画像24aと脳表面画像24bとの位置関係を示す3次元形態画像24dの画像表示が行われている。また、ポインタ24cと測定点mと推定点sとの画像表示が行われている。なお、頭皮表面画像24aは、半透明で画像表示されている。図3は、頭皮表面画像24aを示す3次元形態画像24dの画像表示が行われている。また、経路画像L1、L2の画像表示が行われている。
【0020】
MRI2は、図4に示すような3方向の2次元画像を示す形態映像データを作成するものである。なお、形態映像データは、頭皮表面と脳表面とを含む被験者を示すものである。また、形態映像データは、MR信号の強度情報や位相情報等の数値を有する複数のピクセルから構成される。
測定プローブ11は、送光プローブ12と受光プローブ13とを有する。送光プローブ12は、コンピュータ20から入力された駆動信号により光を出射する。受光プローブ13は、光を検出することにより、受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)をコンピュータ20に出力する。
【0021】
コンピュータ20においては、CPU21を備え、さらに形態映像データや頭皮表面形態画像データや脳表面形態画像データや脳活動データ等を記憶するメモリ25と、モニタ画面23a等を有する表示装置23と、入力装置22であるキーボード22aやマウス22bとが連結されている。また、CPU21が処理する機能をブロック化して説明すると、形態映像データ取得部31と、形態画像データ取得部32と、形態画像作成部33と、測定点決定部34と、推定点決定部35と、ポインタ表示制御部36と、位置誘導部38と、脳活動データ取得部37とを有する。
【0022】
ポインタ表示制御部36は、モニタ画面23aにポインタ24cの画像表示を行うとともに、マウス22bから出力された入力信号に基づいて、モニタ画面23aに画像表示されたポインタ24cを移動したり、ポインタ24cで位置を指定したりする制御を行う。
形態映像データ取得部31は、MRI2により作成された形態映像データを取得するとともに、形態映像データをメモリ25に記憶させる制御を行う。
【0023】
形態画像データ取得部32は、メモリ25に記憶された形態映像データに基づいて、頭皮表面を示す形態映像データを抽出することにより、頭皮表面形態画像データを取得し、かつ、脳表面を示す形態映像データを抽出することにより、脳表面形態画像データを取得するとともに、頭皮表面形態画像データと脳表面形態画像データとをメモリ25に記憶させる制御を行う。
上述した抽出する方法としては、例えば、MRI信号の強度情報や位相情報等の数値を有する複数のピクセルを用いることにより、領域拡張法、領域併合法、ヒューリスティック法等の画像領域分割方法、境界要素を連結して領域を抽出する方法、閉曲線を変形させて領域を抽出する方法等を利用する方法等が挙げられる。このように形態映像データを抽出することにより、頭皮表面形態画像データ及び脳表面形態画像データを取得するので、鮮明な画像データを取得することができる。
【0024】
形態画像作成部33は、メモリ25に記憶された頭皮表面形態画像データと脳表面形態画像データとを合成することにより、頭皮表面画像24aと脳表面画像24bとの位置関係を示す3次元形態画像24dを作成して、3次元形態画像24dの画像表示をモニタ画面23aに行う制御を行う。このとき、頭皮表面画像24aと脳表面画像24bとを重ねて表示するときには、頭皮表面画像24aは半透明で画像表示される。なお、形態映像データに基づいて、頭皮表面形態画像データと脳表面形態画像データとを合成することにより、3次元形態画像24dは頭皮表面と脳表面との位置関係を正確に示すことができる。
【0025】
測定点決定部34は、モニタ画面23aに画像表示された脳表面画像24bの所定の位置がポインタ24cで指定されることにより、脳表面画像24bの所定の位置を測定点mと定めるとともに、脳表面画像24b上に測定点mの画像表示をモニタ画面23aに行う制御を行う。
推定点決定部35は、測定点mに基づいて、モニタ画面23aに画像表示された頭皮表面画像24aの特定の位置を推定点sと定めるとともに、頭皮表面画像24a上に推定点sの画像表示をモニタ画面23aに行う制御を行う。このとき、推定点決定部35は、例えば、測定点mから最短の距離にある頭皮表面画像24aの特定の位置を推定点sと定める。なお、推定点決定部35は、球体の半径を拡大し球体によりえぐられる頭皮表面の重心座標を推定点sと定めてもよい。
【0026】
位置誘導部38は、モニタ画面23aに画像表示された頭皮表面画像24aの2箇所の所定の位置がポインタ24cで指定されることにより、頭皮表面画像24aの2箇所の所定の位置をそれぞれ基準点O1、O2と定めるとともに、推定点sと基準点O1との頭皮表面に沿った最短経路を示す経路画像L1と、推定点sと基準点O2との頭皮表面に沿った最短経路を示す経路画像L2との画像表示をモニタ画面23aに行う制御を行う。
上述した基準点としては、例えば、鼻根画像、頭頂画像、右耳介前点画像、左耳介前点画像等が挙げられる。また、上述した経路画像L1、L2を作成する方法としては、例えば、推定点sと基準点とを含む平面の頭部断面を再構成し、推定点sと基準点との間の外層ピクセルの距離を算出する方法や、推定点sと基準点とを通る直線の中点の頭皮表面での対応点を求め、さらに対応点と推定点s(基準点)とを通る直線の中点の頭皮表面での対応点を求め、これを繰り返して経路とする方法等が挙げられる。
【0027】
脳活動データ取得部37は、入力装置22から出力された入力信号に基づいて、脳活動データを取得する駆動信号を送光プローブ12に出力するとともに、受光プローブ13から受光量情報A(λ)、A(λ)、A(λ)が入力されることにより、メモリ25に脳活動データを記憶させる制御を行う。よって、脳活動データにより、例えば、オキシヘモグロビンの濃度・光路長積[oxyHb]と、デオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[deoxyHb]と、総ヘモグロビンの濃度・光路長積([oxyHb]+[deoxyHb])とを求める。
【0028】
ここで、本発明の生体計測装置1により、脳の部位の脳活動を測定する検査方法について説明する。図5は、生体計測装置1による検査方法の一例について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS101の処理において、MRI2から、頭皮表面と脳表面とを含む被験者を示す形態映像データを取得するとともに、形態映像データをメモリ25に記憶させる(図4参照)。このとき、形態映像データは、別に設けられたMRIから記憶媒体等を用いてメモリ25に記憶されるようにしてもよい。
【0029】
次に、ステップS102の処理において、メモリ25に記憶された形態映像データに基づいて、頭皮表面を示す形態映像データを抽出することにより、頭皮表面形態画像データを取得するとともに、頭皮表面形態画像データをメモリ25に記憶させる。このとき、例えば、サーフェースレンダリング法により頭皮表面を示す形態映像データを抽出する(図7(a)参照)。
次に、ステップS103の処理において、メモリ25に記憶された形態映像データに基づいて、脳表面を示す形態映像データを抽出することにより、脳表面形態画像データを取得するとともに、脳表面形態画像データをメモリ25に記憶させる。このとき、例えば、ボリュームレンダリング法により脳表面を示す形態映像データを抽出する(図7(b)参照)。
【0030】
次に、ステップS104の処理において、メモリ25に記憶された頭皮表面形態画像データと脳表面形態画像データとを合成させることにより、頭皮表面画像24aと脳表面画像24bとの位置関係を示す3次元形態画像24dを作成して、3次元形態画像24dの画像表示をモニタ画面23aに行わせる(図7(c)参照)。
次に、ステップS105の処理において、モニタ画面23aに画像表示された脳表面画像24bの所定の位置をポインタ24cで指定することにより、脳表面画像24bの所定の位置を測定点mと定める。このとき、モニタ画面23aに測定点mの画像表示を行わせる(図2参照)。所定の位置としては、例えば、運動野、体性感覚野、視覚野、聴覚野、運動性言語中枢等が挙げられる。つまり、所定の位置の脳活動を測定できることになる。
次に、ステップS106の処理において、測定点mに基づいて、モニタ画面23aに画像表示された頭皮表面画像24aの特定の位置を推定点sと定めさせる。このとき、モニタ画面23aに推定点sの画像表示を行わせる(図2参照)。
【0031】
次に、ステップS107の処理において、モニタ画面23aに画像表示された頭皮表面画像24aの2箇所の所定の位置をポインタ24cで指定することにより、頭皮表面画像24aの2箇所の所定の位置をそれぞれ基準点O1、O2と定めさせる。
次に、ステップS108の処理において、推定点sと基準点O1との頭皮表面に沿った最短経路を示す経路画像L1と、推定点sと基準点O2との頭皮表面に沿った最短経路を示す経路画像L2との画像表示を行わせる(図3参照)。
【0032】
次に、ステップS109の処理において、送光プローブ12の一端12aが配置される位置と受光プローブ13の一端13aが配置される位置とを頭皮表面に沿って最短距離で結んだ線の中点が、推定点sに対応する頭皮表面の位置と同一の位置となるように、被験者に1個の送光プローブ12と1個の受光プローブ13とを配置する。つまり、図3に示される画像表示されたモニタ画面23aを参考にしながら測定プローブ11を配置する。
次に、ステップS110の処理において、送光プローブ12の一端12aから光を出射させるとともに、受光プローブ13の一端13aに、頭皮表面から放出される光を検出させる。このとき、光は、頭皮表面の送光点tから、脳表面画像24bの測定点mに対応する脳の位置を通って頭皮表面の受光点rまで移動することになる(図6参照)。よって、脳表面画像24bの測定点mに対応する脳の位置のオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[oxyHb]と、デオキシヘモグロビンの濃度・光路長積[deoxyHb]と、総ヘモグロビンの濃度・光路長積([oxyHb]+[deoxyHb])とを求めることになる。
そして、ステップS110の処理が終了したときには、本フローチャートを終了させる。
【0033】
以上のように、生体計測装置1によれば、推定点sに対応する被験者の頭皮表面の位置を正確に判断することができるため、送光プローブ12及び受光プローブ13を正確に配置することができる。
【0034】
<他の実施形態>
(1)上述したX線検査装置1では、1個の送光プローブ12と1個の受光プローブ13とを有する測定プローブ11を備える構成を示したが、測定プローブ11の代わりに、格子状の多数の送光プローブ及び受光プローブを有する測定プローブを備える構成としてもよい。
このときには、送光プローブが配置される位置と受光プローブが配置される位置とを頭皮表面に沿って最短距離で結んだ線の中点が、できる限り複数の推定点と同一の位置となるように配置させることになる。
(2)上述したX線検査装置1では、MRIを備える構成を示したが、MRIの代わりに、CT等を備える構成としてもよい。
【0035】
(3)上述したX線検査装置1では、推定点sと基準点O1との頭皮表面に沿った最短経路を示す経路画像L1と、推定点sと基準点O2との頭皮表面に沿った最短経路を示す経路画像L2との画像表示を行う構成を示したが、さらに推定点sと基準点O1との頭皮表面に沿った最短距離を示す数値と、推定点sと基準点O2との頭皮表面に沿った最短距離を示す数値との画像表示を行う構成としてもよい。
(4)上述したX線検査装置1では、位置誘導部38は、頭皮表面画像24aの2箇所の所定の位置がポインタ24cで指定されることにより、頭皮表面画像24aの2箇所の所定の位置をそれぞれ基準点O1、O2と定める構成を示したが、国際10−20法等によって定義された点のうちで推定点sの近傍となる2(もしくは3)つの点を自動検出して選択することにより、頭皮表面画像の2(もしくは3)箇所の所定の位置をそれぞれ基準点と定める構成としてもよい。
例えば、位置誘導部は、3次元形態画像データから正規化パターン認識法による特徴点検出装置により基準点(例えば、国際10−20法等によって定義された点)を自動的に抽出し、抽出された複数の基準点とターゲットの点(推定点s)との距離をそれぞれ算出する。このように算出された距離の小さい基準点を2個もしくは3個、自動的に選択する。
これにより、医師や検査技師等が基準点をポインタで指定する必要をなくすことができる。
(5)上述したX線検査装置1では、位置誘導部38は、頭皮表面画像24aの2箇所の所定の位置がポインタ24cで指定されることにより、頭皮表面画像24aの2箇所の所定の位置をそれぞれ基準点O1、O2と定める構成を示したが、常に鼻根(Nasion=Nz)、後頭結節(Inion=Iz)、左右両耳介前点(AL,AR)を基準点と定める構成としてもよい。
これにより、医師や検査技師等が基準点をポインタで指定する必要をなくすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、非侵襲で脳活動を測定する光生体計測装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1: 光生体計測装置
2: MRI
11: 測定プローブ
12: 送光プローブ
13: 受光プローブ
22: 入力装置
23: 表示装置
31: 形態映像データ取得部
32: 形態画像データ取得部
33: 形態画像作成部
34: 測定点決定部
35: 推定点決定部
38: 位置誘導部
t: 送光点
r: 受光点
m: 測定点
s: 推定点
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】

【手続補正書】
【提出日】20150127
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示が行われる表示装置と、入力操作される入力装置とを備える光生体計測装置であって、
被験者の頭皮表面と当該被験者の脳表面との位置関係を示す3次元形態画像データに基づいて画像表示された脳表面画像の所定の位置が前記入力装置で指定されることにより、当該脳表面画像の所定の位置を測定点と定める測定点決定部と、
前記測定点に基づいて、前記3次元形態画像データに基づいて画像表示された頭皮表面画像の特定の位置を推定点と定めるとともに、当該頭皮表面画像上に推定点の画像表示を行う推定点決定部と、
前記推定点と、前記被験者の基準点に対応する頭皮表面画像の基準点との頭皮表面に沿った最短経路を示す経路画像を、前記頭皮表面画像上に表示する位置誘導部とを備えることを特徴とする光生体計測装置。
【請求項2】
前記被験者の頭皮表面と前記被験者の脳表面とを含む形態映像データに基づいて、前記被験者の頭皮表面を示す形態映像データを抽出することにより、頭皮表面形態画像データを取得するとともに、前記被験者の脳表面を示す形態映像データを抽出することにより、脳表面形態画像データを取得する形態画像データ取得部と、
前記頭皮表面形態画像データと脳表面形態画像データとを合成することにより、前記3次元形態画像データを作成する形態画像作成部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の光生体計測装置。
【請求項3】
前記位置誘導部は、前記推定点と、前記被験者の基準点に対応する頭皮表面画像の基準点との頭皮表面に沿った最短距離を表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光生体計測装置。
【請求項4】
前記被験者の基準点は、前記被験者の鼻根、頭頂、右耳介前点又は左耳介前点であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光生体計測装置。
【請求項5】
前記推定点決定部は、前記測定点から最短の距離にある前記頭皮表面画像の特定の位置を推定点と定めることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光生体計測装置。
【請求項6】
前記頭皮表面に配置される少なくとも一つの送光プローブと、前記頭皮表面に配置される少なくとも一つの受光プローブとを有する測定プローブを備え、
前記送光プローブは、前記頭皮表面に光を出射するとともに、前記受光プローブは、前記頭皮表面から放出される光を検出することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光生体計測装置。
【請求項7】
前記形態映像データを取得する形態映像データ取得部を備え、
前記形態映像データ取得部は、核磁気共鳴画像診断装置により作成された形態映像データを取得することを特徴とする請求項2に記載の光生体計測装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
すなわち、本発明の光生体計測装置は、画像表示が行われる表示装置と、入力操作される入力装置とを備える光生体計測装置であって、被験者の頭皮表面と当該被験者の脳表面との位置関係を示す3次元形態画像データに基づいて画像表示された脳表面画像の所定の位置が前記入力装置で指定されることにより、当該脳表面画像の所定の位置を測定点と定める測定点決定部と、前記測定点に基づいて、前記3次元形態画像データに基づいて画像表示された頭皮表面画像の特定の位置を推定点と定めるとともに、当該頭皮表面画像上に推定点の画像表示を行う推定点決定部と、前記推定点と、前記被験者の基準点に対応する頭皮表面画像の基準点との頭皮表面に沿った最短経路を示す経路画像を、前記頭皮表面画像上に表示する位置誘導部とを備えるようにしている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
(その他の課題を解決するための手段及び効果)
また、本発明の光生体計測装置は、前記被験者の頭皮表面と前記被験者の脳表面とを含む形態映像データに基づいて、前記被験者の頭皮表面を示す形態映像データを抽出することにより、頭皮表面形態画像データを取得するとともに、前記被験者の脳表面を示す形態映像データを抽出することにより、脳表面形態画像データを取得する形態画像データ取得部と、前記頭皮表面形態画像データと脳表面形態画像データとを合成することにより、前記3次元形態画像データを作成する形態画像作成部とを備えるようにしてもよい。
以上のように、本発明の光生体計測装置によれば、頭皮表面と脳表面との位置関係を示す3次元形態画像データを作成するので、正確な頭皮表面と脳表面との位置関係を示すことができる。
また、本発明の光生体計測装置は、前記位置誘導部は、前記推定点と、前記被験者の基準点に対応する頭皮表面画像の基準点との頭皮表面に沿った最短距離を表示するようにしてもよい。
以上のように、本発明の光生体計測装置によれば、推定点と基準点との最短距離が表示されるので、推定点に対応する被験者の頭皮表面の位置をより正確に判断することができる。
【国際調査報告】