(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013105375
(43)【国際公開日】20130718
【発行日】20150511
(54)【発明の名称】ドライブトレインの試験システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/02 20060101AFI20150414BHJP
【FI】
   !G01M13/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】2013553215
(21)【国際出願番号】JP2012081858
(22)【国際出願日】20121207
(11)【特許番号】5561444
(45)【特許公報発行日】20140730
(31)【優先権主張番号】2012005553
(32)【優先日】20120113
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
【住所又は居所】東京都品川区大崎2丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】菅家 正康
【住所又は居所】東京都品川区大崎2丁目1番1号 株式会社明電舎内
(72)【発明者】
【氏名】秋山 岳夫
【住所又は居所】東京都品川区大崎2丁目1番1号 株式会社明電舎内
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AB02
2G024BA11
2G024CA12
2G024DA05
2G024DA09
2G024EA01
2G024EA13
(57)【要約】
エンジンを模したモータを大径化することなく大きな駆動トルクを発生させることができるドライブトレインの試験システムを提供すること。
ドライブトレインの試験システム1は、加振周波数の交流成分を含むトルク指令に応じて発生させた駆動トルクを、ドライブトレインの一部を構成するワークWの入力軸S1に入力することにより、このワークWの性能を評価する。このシステム1は、第1モータ2aと、その駆動軸の一端側で第1モータ2aの駆動軸に連結され、他端側でワークWの入力軸S1に連結された第2モータ2bと、ワーク−第2モータ間の軸に作用するトルクを検出するトルクメータ6と、トルクメータ6の検出値に基づいて、ねじり共振が抑制されるように、トルク指令を第1モータ2aに対する第1トルク指令と第2モータ2bに対する第2トルク指令とに分担する共振抑制回路5と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加振周波数の交流成分を含むトルク指令に応じて発生させた駆動トルクを、ドライブトレインの一部を構成するワークの入力軸に入力することにより、当該ワークの性能を評価するドライブトレインの試験システムであって、
第1モータと、
その駆動軸の一端側で前記第1モータの駆動軸に連結され、他端側で前記ワークの入力軸に連結された第2モータと、
前記ワークおよび前記第2モータ間の軸に作用するトルクを検出する軸トルク検出手段と、
前記軸トルク検出手段の検出値に基づいて、前記第1モータ、前記第2モータ、および前記ワークを連結する軸のねじり共振が抑制されるように、前記トルク指令を前記第1モータに対する第1トルク指令と前記第2モータに対する第2トルク指令とに分担する共振抑制回路と、を備えることを特徴とするドライブトレインの試験システム。
【請求項2】
前記第1モータの慣性モーメント、前記第2モータの慣性モーメント、前記ワークの慣性モーメント、前記第1モータおよび前記第2モータを連結するねじり軸のばね定数、並びに前記第2モータおよび前記ワークを連結するねじり軸のばね定数で特徴付けられた伝達関数を有する3慣性系の機械系モデルをノミナルプラントとした一般化プラントを定義し、
前記共振抑制回路は、前記一般化プラントにH∞制御またはμ設計法と呼称される制御系設計方法を適用して設計されることを特徴とする請求項1に記載のドライブトレインの試験システム。
【請求項3】
前記共振抑制回路により算出された第1トルク指令に応じた電力を前記第1モータに供給する第1インバータと、
前記共振抑制回路により算出された第2トルク指令に応じた電力を前記第2モータに供給する第2インバータと、をさらに備え、
前記一般化プラントは、前記第1インバータの制御誤差と、前記第2インバータの制御誤差と、前記軸トルク検出手段の検出誤差と、を外乱として含み、
前記一般化プラントは、重み付けされたトルク指令と第1トルク指令および第2トルク指令の総和との差分に重み付けしたものと、前記軸トルク検出手段の特性を有する伝達関数の出力に重み付けしたものと、を制御量として含むことを特徴とする請求項2に記載のドライブトレインの試験システム。
【請求項4】
前記一般化プラントは、前記ノミナルプラントから出力された前記第1モータおよび前記第2モータ間の軸トルクに重み付けしたものを制御量として含むことを特徴とする請求項3に記載のドライブトレインの試験システム。
【請求項5】
前記トルク指令を前記ワークおよび前記第2モータ間の軸トルクに対する軸トルク指令と定義し、
前記共振抑制回路は、前記軸トルク検出手段の検出値が前記軸トルク指令になるように、前記第1および第2トルク指令を決定することを特徴とする請求項2に記載のドライブトレインの試験システム。
【請求項6】
前記第1モータの慣性モーメント、前記第2モータの慣性モーメント、前記ワークの慣性モーメント、前記第1モータおよび前記第2モータを連結するねじり軸のばね定数、並びに前記第2モータおよび前記ワークを連結するねじり軸のばね定数で特徴付けられた伝達関数を有する3慣性系の機械系モデルをノミナルプラントとした一般化プラントを定義し、
前記共振抑制回路は、前記一般化プラントにH∞制御またはμ設計法と呼称される制御系設計方法を適用して設計されることを特徴とする請求項5に記載のドライブトレインの試験システム。
【請求項7】
前記共振抑制回路により算出された第1トルク指令に応じた電力を前記第1モータに供給する第1インバータと、
前記共振抑制回路により算出された第2トルク指令に応じた電力を前記第2モータに供給する第2インバータと、をさらに備え、
前記一般化プラントは、前記第1インバータの制御誤差と、前記第2インバータの制御誤差と、前記軸トルク指令と、前記軸トルク検出手段の検出誤差と、を外乱として含み、
前記一般化プラントは、重み付けされた軸トルク指令と前記軸トルク検出手段の特性を有する伝達関数の出力に重み付けしたものとの偏差を、コントローラに入力される観測量として含むことを特徴とする請求項6に記載のドライブトレインの試験システム。
【請求項8】
前記一般化プラントは、前記ノミナルプラントから出力された前記第1モータおよび前記第2モータ間の軸トルクに重み付けしたものを制御量として含むことを特徴とする請求項7に記載のドライブトレインの試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブトレインの試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライブトレインとは、エンジンで発生したエネルギーを駆動輪に伝達するための複数の装置の総称をいい、エンジン、クラッチ、トランスミッション、ドライブシャフト、プロペラシャフト、デファレンシャルギヤ、および駆動輪などで構成される。ドライブトレインの性能評価試験では、実際にエンジンでトランスミッションを駆動し続けることにより、その耐久性能や品質などが評価される。近年では、このようなドライブトレインの試験を行うシステムとして、ワークに入力する駆動トルクを、実エンジンの代わりにモータで発生させるものが提案されている。
【0003】
図7は、ドライブトレインの試験システム101の構成を模式的に示す図である。図7では、FR駆動方式のドライブトレインを供試体とした例について説明する。
ドライブトレインの一部を構成するワーク102の入力軸にはエンジンを模したモータ103の駆動軸が連結され、ワーク102の出力軸であるプロペラシャフト104にはワーク102の変速出力を吸収するための負荷に相当する動力計105が接続される。試験システム101には、ワーク102の入力軸に作用する軸トルクを検出するトルクメータ106と、ワーク102の出力軸に作用する軸トルクを検出するトルクメータ107とが設けられており、これらメータ106、107の検出値に基づいて、モータ103で発生させる駆動トルクおよび動力計105で発生させる吸収トルクが制御される。
【0004】
また、実エンジンでは各気筒における燃焼工程に起因して周期的なトルク変動が生じるところ、図7に示すようなモータを利用した試験システム101においても、一定の駆動トルクを発生させるための直流成分に正弦波による交流成分を合算することにより、モータで発生する駆動トルクを擬似的に変動させ、試験の再現性を向上したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−71520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで近年では、より幅広い車種への対応や試験の再現性の向上のため、以上のような試験システムに対し、より大きな駆動トルクを発生させることが望まれている。このような要望に対しては、モータをより大径のものに変更することが考えられるものの、以下で説明するように、試験システムのレイアウト上の制約からモータの大径化は困難である。
【0007】
図8は、上記図7の試験システム101において、供試体をFF駆動方式のドライブトレインに変更したものである。
図8に示すように、FF駆動方式のドライブトレインでは、クラッチ、デファレンシャルギヤ、およびトランスミッションなどで構成されたワーク108に対し、出力軸であるドライブシャフト109は両側へ延在しているため、ドライブシャフト109や、ドライブシャフト109の両端に接続される動力計110,111およびトルクメータ112,113などを設ける位置を確保すると、モータ103の大径化には限界がある。
【0008】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、エンジンを模したモータを大径化することなく大きな駆動トルクを発生させることができるドライブトレインの試験システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するため本発明は、加振周波数の交流成分を含むトルク指令に応じて発生させた駆動トルクを、ドライブトレインの一部を構成するワーク(例えば、後述のワークW)の入力軸(例えば、後述の入力軸S1)に入力することにより、当該ワークの性能を評価するドライブトレインの試験システム(例えば、後述の試験システム1)を提供する。この試験システムは、第1モータ(例えば、後述の第1モータ2a)と、その駆動軸の一端側で前記第1モータの駆動軸に連結され、他端側で前記ワークの入力軸に連結された第2モータ(例えば、後述の第2モータ2b)と、前記ワークおよび前記第2モータ間の軸に作用するトルクを検出する軸トルク検出手段(例えば、後述のトルクメータ6)と、前記軸トルク検出手段の検出値に基づいて、前記第1モータ、前記第2モータ、および前記ワークを連結する軸のねじり共振が抑制されるように、前記トルク指令を前記第1モータに対する第1トルク指令と前記第2モータに対する第2トルク指令とに分担する共振抑制回路(例えば、後述の共振抑制回路5)と、を備えることを特徴とする。
【0010】
(1)の発明では、第1モータと第2モータとの2つのモータの駆動軸を連結する。すなわち、ワークの入力軸に入力する駆動トルクを発生するモータを、2つのモータを直列に接続したいわゆるタンデム構成とすることにより、個々のモータを大径化することなく大きな駆動トルクを発生することができる。このため、より幅広い車種に対して試験を行うことができるとともに、試験の再現性も向上できる。
【0011】
ところで、図7に示す従来の試験システム101において、ワーク102を単一の慣性モーメントで特徴付けられた剛体として捉えると、試験システム101における制御対象は、モータ103の慣性モーメントJMOTOR[kgm]と、ワーク102の慣性モーメントJWORK[kgm]と、これらモータ103およびワーク102を連結するねじり弾性軸のばね定数Ktm[Nm/rad]との3つのパラメータで特徴付けられた2慣性系とみなすことができる(図9参照)。この2慣性系は、モータ103およびワーク102間の軸のねじり振動において、下記式(1)で示される共振周波数f[Hz]が存在することは周知である。
【数1】
【0012】
この式(1)で示す共振周波数frは、実エンジンを模してモータで発生させるトルク変動の周波数(加振周波数)の帯域よりも十分に低いため、従来の試験システム101では、加振周波数でトルクを変動させたとしても、このようなねじり共振の存在が課題として顕在化することはなかった。
【0013】
しかしながら本発明のように、第1モータと第2モータのタンデム構成とし制御対象が従来の2慣性系から3慣性系になることにより、ワークおよび第2モータ間並びに第1モータおよび第2モータ間の軸のねじり振動における共振周波数が、上記加振周波数の帯域内あるいはその近傍に存在するようになってしまうため、共振時の機械系の保護という新たな課題が生じる。これに対し(1)の発明では、モータをタンデム構成とすることで顕在化するねじり共振の課題を考慮し、ワークおよび第2モータ間の軸トルクの検出に基づいて、ねじり共振が抑制されるように、加振周波数の交流成分を含むトルク指令を、第1モータに対する第1トルク指令と第2モータに対する第2トルク指令とに分担する共振抑制回路を設けた。これにより、大きな駆動トルクを発生させながらかつ共振から機械系を保護することが可能となる。
【0014】
(2)この場合、前記第1モータの慣性モーメント(J1)、前記第2モータの慣性モーメント(J2)、前記ワークの慣性モーメント(J3)、前記第1モータおよび前記第2モータを連結するねじり軸のばね定数(K12)、並びに前記第2モータおよび前記ワークを連結するねじり軸のばね定数(K23)で特徴付けられた伝達関数を有する3慣性系の機械系モデルをノミナルプラント(例えば、後述のノミナルプラントP)とした一般化プラント(例えば、後述の一般化プラント7,7A)を定義し、前記共振抑制回路は、前記一般化プラントにH∞制御またはμ設計法と呼称される制御系設計方法を適用して設計されることが好ましい。
【0015】
H∞制御やμ設計法などのロバスト制御理論に基づくコントローラの設計方法では、設計用のモデルとしてノミナルプラントを選定し、このノミナルプラントと実際の制御対象との差である不確かさの範囲を見積もり、この範囲内の変動を含むようなモデル集合に対し、ロバスト安定性が保障されかつ所望の制御目的が達成されるようにコントローラを設計する方法である。(2)の発明では、上述のようなねじり共振が生じ得る3慣性系の機械モデルをノミナルプラントとした一般化プラントに対し、H∞制御またはμ設計法を適用して共振抑制回路を設計することにより、ワークおよび第2モータ間並びに第1モータおよび第2モータ間のねじり共振が抑制されるように第1モータと第2モータとに適切にトルクを分担させることができる。
【0016】
(3)この場合、前記共振抑制回路により算出された第1トルク指令に応じた電力を前記第1モータに供給する第1インバータ(例えば、後述の第1インバータ3a)と、前記共振抑制回路により算出された第2トルク指令に応じた電力を前記第2モータに供給する第2インバータ(例えば、後述の第2インバータ3b)と、をさらに備え、前記一般化プラントは、前記第1インバータの制御誤差(w1)と、前記第2インバータの制御誤差(w2)と、前記軸トルク検出手段の検出誤差(w5)と、を外乱として含み、前記一般化プラントは、重み付けされたトルク指令と第1トルク指令および第2トルク指令の総和との差分に重み付けしたもの(z1)と、前記軸トルク検出手段の特性を有する伝達関数(Gtm(s))の出力に重み付けしたもの(z4)と、を制御量として含むことが好ましい。
【0017】
(3)の発明によれば、一般化プラントにおいて、トルク指令と第1トルク指令および第2トルク指令の総和との差分と、軸トルク検出手段の特性を有する伝達関数の出力とを制御量とし、第1インバータの制御誤差、第2インバータの制御誤差、および軸トルク検出手段の検出誤差を外乱とすることにより、これら誤差の上記制御量への影響を抑制することができる。すなわち、実システムにおいて生じる上記誤差のトルク分担や共振抑制制御の影響を抑制することができる。
【0018】
(4)この場合、前記一般化プラントは、前記ノミナルプラントから出力された前記第1モータおよび前記第2モータ間の軸トルク(K12.T)に重み付けしたもの(z5)を制御量として含むことが好ましい。
【0019】
(4)の発明によれば、一般化プラントにおいて第2モータと第1モータとの間の軸トルクを制御量とし、これを明示的に評価できるようにすることにより、より共振抑制効果の高い共振抑制回路を設計することができる。
【0020】
(5)この場合、前記トルク指令を前記ワークおよび前記第2モータ間の軸トルクに対する軸トルク指令と定義し、前記共振抑制回路は、前記軸トルク検出手段の検出値が前記軸トルク指令になるように、前記第1および第2トルク指令を決定することが好ましい。
【0021】
(5)の発明では、軸トルク検出手段の検出値がトルク指令になるように第1および第2トルク指令を決定することにより、(1)の発明で説明した共振抑制効果を伴った軸トルク制御を行うことができる。
【0022】
(6)この場合、前記第1モータの慣性モーメント(J1)、前記第2モータの慣性モーメント(J2)、前記ワークの慣性モーメント(J3)、前記第1モータおよび前記第2モータを連結するねじり軸のばね定数(K12)、並びに前記第2モータおよび前記ワークを連結するねじり軸のばね定数(K23)で特徴付けられた伝達関数を有する3慣性系の機械系モデルをノミナルプラント(例えば、後述のノミナルプラントP)とした一般化プラント(例えば、後述の一般化プラント7B,7C)を定義し、前記共振抑制回路は、前記一般化プラントにH∞制御またはμ設計法と呼称される制御系設計方法を適用して設計されることが好ましい。
【0023】
(6)の発明によれば、上記(2)の発明と同等の効果を奏する。
【0024】
(7)この場合、前記試験システムは、前記共振抑制回路により算出された第1トルク指令に応じた電力を前記第1モータに供給する第1インバータ(例えば、後述の第1インバータ3a)と、前記共振抑制回路により算出された第2トルク指令に応じた電力を前記第2モータに供給する第2インバータ(例えば、後述の第2インバータ3b)と、をさらに備え、前記一般化プラント(7B,7C)は、前記第1インバータの制御誤差(w1)と、前記第2インバータの制御誤差(w2)と、前記軸トルク指令と、前記軸トルク検出手段の検出誤差(w5)と、を外乱として含み、前記一般化プラントは、重み付けされた軸トルク指令と前記軸トルク検出手段の特性を有する伝達関数の出力に重み付けしたものとの偏差(c_in1)を、コントローラ(K´)に入力される観測量として含むことが好ましい。
【0025】
(7)の発明によれば、上記(3)の発明とほぼ同等の効果に加えて、軸トルク検出手段の出力値が軸トルク指令になるような軸トルク制御が可能なコントローラを構成できる。
【0026】
(8)この場合、前記一般化プラント(7B,7C)は、前記ノミナルプラントから出力された前記第1モータおよび前記第2モータ間の軸トルク(K12.T)に重み付けしたもの(z5)を制御量として含むことが好ましい。
【0027】
(8)の発明によれば、上記(4)の発明と同等の効果を奏する。
【発明の効果】
【0028】
本発明のドライブトレインの試験システムによれば、2つのモータをタンデム構成とすることでレイアウト上の制約を受けることなく大きな駆動トルクを発生させることができる。また、これら2つのモータに対しては、タンデム構成とすることで顕在化するねじれ共振を抑制するようにトルク指令を分担することにより、共振から機械系を保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係るドライブトレインの試験システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1の一般化プラントの構成を示すブロック図である。
【図3】上記実施例のノミナルプラントの構成を示すブロック図である。
【図4】実施例2の一般化プラントの構成を示すブロック図である。
【図5】トルク指令からワーク−第2モータ間の軸トルクへの周波数応答(実施例2)を示すボード線図である。
【図6】トルク指令から第1モータ−第2モータ間の軸トルクへの周波数応答(実施例2)を示すボード線図である。
【図7】FR駆動方式のドライブトレインの従来の試験システムの構成を示す図である。
【図8】FF駆動方式のドライブトレインの従来の試験システムの構成を示す図である。
【図9】2慣性系の機械系モデルの構成を示す図である。
【図10】実施例3の一般化プラントの構成を示すブロック図である。
【図11】実施例4の一般化プラントの構成を示すブロック図である。
【図12】軸トルク指令からワーク−第2モータ間の軸トルクへの周波数応答(実施例2)を示すボード線図である。
【図13】軸トルク指令から第1モータ−第2モータ間の軸トルクへの周波数応答(実施例2)を示すボード線図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係るドライブトレインの試験システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態のドライブトレインの試験システム1の構成を示すブロック図である。なお図1には、上記図8を参照して説明したFF駆動方式のドライブトレインを試供体として試験システム1を適用した例を示すが、本発明はこれに限るものではない。
【0031】
試験システム1は、直列に接続された第1モータ2aおよび第2モータ2bと、これらモータ2a、2bに対し電力を供給する第1インバータ3aおよび第2インバータ3bと、単一のトルク指令を各モータ2a、2bに対するトルク指令に分担する共振抑制回路5と、トルクメータ6と、を備える。
【0032】
第1モータ2aおよび第2モータ2bは、各々の駆動軸を互いに同軸に連結し、ワークWの出力軸であるドライブシャフトS2の近傍に平行に設けられる。第1モータ2aの駆動軸は第2モータ2bの駆動軸の反ワーク側に同軸に連結されており、第2モータ2bの駆動軸のワーク側はワークWの入力軸S1に同軸に連結されている。すなわち、ワークWの入力軸S1には、これら2つのモータ2a、2bで発生したトルクを合算した駆動トルクが入力される。また、ワークWのドライブシャフトS2の両端には、図8を参照して説明した従来の試験システムと同様に、変速出力を吸収するための吸収トルクを発生する動力計(図示せず)がそれぞれ接続される。
【0033】
第1インバータ3aは、共振抑制回路5から入力された後述の第1トルク指令に応じたモータトルクを第1モータ2aで発生させるべく、図示しない電源から供給された電力を第1モータ2aに供給する。第2インバータ3bは、共振抑制回路5から入力された後述の第2トルク指令に応じたモータトルクを第2モータ2bで発生させるべく、図示しない電源から供給された電力を第2モータ2bに供給する。
【0034】
トルクメータ6は、ワークWの入力軸S1、すなわちワークWおよび第1モータ2a間の軸に作用するトルクを、例えば軸のねじれ方向の歪み量から検出し、検出値に略比例した信号を共振抑制回路5に送信する。
【0035】
共振抑制回路5は、トルクメータ6の検出値をフィードバックとして、第1モータ2a、第2モータ2b、およびワークWを連結する軸で生じ得るねじり共振が抑制されるように、図示しない演算装置により算出されたトルク指令を第1トルク指令と第2トルク指令とに分担する。このトルク指令は、タンデム構成された2つのモータ2a、2bで発生させるべき駆動トルクに対する指令に相当し、ベーストルクに相当する直流成分に、エンジンのトルク脈動を模した所定の加振周波数の交流成分を重畳して構成される。
【0036】
この共振抑制回路5としては、トルク分担の演算やねじり共振の抑制などの上記制御目的が達成されるようにH∞制御やμ設計法と呼称される制御系設計方法を利用して設計されたコントローラを、電子計算機に実装して構成されたものが好ましく用いられる。その具体例については、後の実施例1、2において説明する。
【0037】
以上のような構成により、試験システム1では、エンジンのトルク脈動を模した変動を含む駆動トルクをタンデム構成としたモータ2a、2bで発生し、この駆動トルクをワークWの入力軸S1に入力することにより、このワークWの耐久性能や品質などが評価される。
【実施例1】
【0038】
次に、上記実施形態の実施例1について説明する。上記実施形態において説明したように、2つのモータへのトルク分担の役割を担う共振抑制回路5は、H∞制御またはμ設計法などの制御系設計方法を利用して設計されたコントローラが好ましく用いられる。これらロバスト制御理論に基づくコントローラの設計は、ノミナルプラントの選定と、各種周波数重み関数の設定と、一般化プラントの設定と、設定した一般化プラントに基づくコントローラの計算と、の主に4つのステップで構成される。これら4つのステップにおいて、特に重み関数および一般化プラントの設定は、コントローラに制御仕様を反映させるための最も重要なステップとなっている。
【0039】
図2は、本実施例の一般化プラント7の構成を示すブロック図である。
図2において、5つの入力信号w1,w2,w3,w4,w5はそれぞれ一般化プラント7における外乱を示し、4つの出力信号z1,z2,z3,z4はそれぞれ一般化プラント7における制御量を示す。また、2つの出力信号c_out1,c_out2はそれぞれコントローラKからノミナルプラントPに入力される制御入力に相当し、2つの入力信号c_in1,c_in2はそれぞれコントローラKに入力される観測量に相当する。
【0040】
5つの外乱w1,…,w5は、上記実施形態で説明した実システム1において大きな影響を及ぼすと考えられるパラメータと、目標追従特性を持たせたいパラメータとを想定し、具体的には以下のように定義される。
w1は、第1インバータによる第1モータのモータトルクの制御誤差とする。すなわち、w1は、重み関数Gw1(s)で重み付けられた後、第1インバータの応答特性を示す伝達関数Ginv1(s)の出力と合算され、第1モータのトルクJ1.TとしてノミナルプラントPに入力される。
w2は、第2インバータによる第2モータのモータトルクの制御誤差とする。すなわち、w2は、重み関数Gw2(s)で重み付けられた後、第2インバータの応答特性を示す伝達関数Ginv2(s)の出力と合算され、第2モータのトルクJ2.TとしてノミナルプラントPに入力される。
w3は、トルク指令とする。すなわち、w3は、重み関数Gw3(s)で重み付けられた後、観測量c_in1としてコントローラKに入力される。
w4は、その出力軸を介してワークに入力されるトルクとする。すなわち、w4は、重み関数Gw4(s)で重み付けられた後、ワークのトルクJ3.TとしてノミナルプラントPに入力される。
w5は、トルクメータの検出誤差とする。すなわち、w5は、重み関数Gw5(s)で重み付けられた後、トルクメータの応答特性を示す伝達関数Gtm(s)からの出力と合算され、観測量c_in2としてコントローラKに入力される。
【0041】
コントローラKは、トルク指令として入力された観測量c_in1と、トルクメータの検出値として入力された観測量c_in2とに基づいて、制御入力c_out1,c_out2を出力する。
制御入力c_out1は、第1トルク指令として第1インバータの特性を有する伝達関数Ginv1(s)をかけた後、上述のように重み付けされた外乱w1と合算して、第1モータのトルクJT.1としてノミナルプラントPに入力される。
制御入力c_out2は、第2トルク指令として第2インバータの特性を有する伝達関数Ginv2(s)をかけた後、上述のように重み付けされた外乱w2と合算して、第2モータのトルクJT.2としてノミナルプラントPに入力される。
【0042】
ノミナルプラントPは、第1モータのトルクJT.1、第2モータのトルクJT.2、およびワークのトルクJT.3が入力されると、第1モータの角速度J1.w、第2モータの角速度J2.w、ワークの角速度J3.w、第1モータ−第2モータ間の軸のねじれトルクK12.T、および第2モータ−ワーク間の軸のねじれトルクK23.Tを出力する。なお、本実施例の一般化プラント7では、ノミナルプラントPの出力のうち、第2モータ−ワーク間の軸のねじれトルクK23.Tのみ用いるが、本発明はこれに限るものではない。
【0043】
図3は、ノミナルプラントPの構成を示すブロック図である。
ノミナルプラントPは、第1モータの慣性モーメントJ1[kgm]、第2モータの慣性モーメントJ2[kgm]、ワークの慣性モーメントJ3[kgm]、第1モータおよび第2モータを連結するねじり軸のばね定数K12[Nm/rad]、並びに第2モータおよびワークを連結するねじり軸のばね定数K23[Nm/rad]で特徴付けられた伝達関数“1/J1・s”,“1/J2・s”,“1/J3・s”,“K12/s”および“K23/s”を組み合わせて、図3に示すように、3慣性系の機械系モデルで表現される。
【0044】
図2に戻って、4つの制御量z1,…,z4は、ねじり共振が抑制されるように第1モータと第2モータに適切にトルクを分担するという制御目的を想定し、具体的には以下のように定義される。
z1は、重み付けされたトルク指令と、第1トルク指令および第2トルク指令の総和との差分に重み付けしたもので定義される。より具体的には、コントローラKの観測量c_in1から、コントローラKの2つの制御入力c_out1およびc_out2を減算したものに、重み関数Gz1(s)で重み付けしたものを、制御量z1とする。
z2は、重み付けされた第1トルク指令で定義される。より具体的には、コントローラKの制御入力c_out1に、重み関数Gz2(s)で重み付けしたものを、制御量z2とする。
z3は、重み付けされた第2トルク指令で定義される。より具体的には、コントローラKの制御入力c_out2に、重み関数Gz3(s)で重み付けしたものを、制御量z3とする。
z4は、重み付けされた伝達関数Gtm(s)の出力で定義される。より具体的には、ノミナルプラントPから出力されたトルクK23.Tにトルクメータの応答特性を示す伝達関数Gtm(s)をかけたものに、重み関数Gz4(s)で重み付けしたものを、制御量z4とする。
【0045】
以上のような一般化プラント7において、重み関数Gw1(s),…,Gw5(s)並びにGz1(s),…,Gz4(s)は、以下のように定められる。
第1インバータの制御誤差w1に対する重み関数Gw1(s)は、例えば、所定の定数に設定される。
第2インバータの制御誤差w2に対する重み関数Gw2(s)は、例えば、所定の定数に設定される。
トルク指令w3に対する重み関数Gw3(s)は、例えば、所定の定数に設定される。
ワークのトルクw4に対する重み関数Gw4(s)は、例えば、所定の定数に設定される。
トルクメータの検出誤差w5に対する重み関数Gw5(s)は、例えば、所定の定数に設定される。
トルク指令と分担トルク総和との差分z1に対する重み関数Gz1(s)は、例えば、所定の定数、または低域でゲインが高くなるように設定される。
第1トルク指令z2に対する重み関数Gz2(s)は、例えば、所定の定数、または高域でゲインが高くなるように設定される。
第2トルク指令z3に対する重み関数Gz3(s)は、例えば、所定の定数、または高域でゲインが高くなるように設定される。
トルクメータの検出値z4に対する重み関数Gz4(s)は、例えば、所定の定数に設定される。
【0046】
なお、各重み関数の具体的な値は、所望の制御目的が達成されるように調整される。また、第1インバータの伝達関数Ginv1(s)、第2インバータの伝達関数Ginv2(s)、およびトルクメータの伝達関数Gtm(s)には、システム同定により定められたものが用いられる。
【0047】
以上のように構成された一般化プラント7に基づいて、コントローラKの状態方程式を特徴付ける複数のパラメータは、Riccati方程式に基づく方法、LMI(線形行列不等式)に基づく手法、D−Kイタレーションに基づく手法などの従来周知の手法を適用することで算出される。
【実施例2】
【0048】
次に、上記実施形態の実施例2について説明する。
図4は、本実施例の一般化プラント7Aの構成を示すブロック図である。本実施例の一般化プラントは、ノミナルプラントPから出力された第2モータ−第1モータ間の軸トルクの値K12.Tに伝達関数Gz5(s)で重み付けしたものを制御量z5としてさらに含む点において、実施例1の一般化プラント7と異なる。
【0049】
次に、本実施例の一般化プラントに基づいて設計された共振抑制回路の効果について説明する。
図5は、トルク指令からワーク−第2モータ間の軸トルクへの周波数応答を示すボード線図である。
図6は、トルク指令から第1モータ−第2モータ間の軸トルクへの周波数応答を示すボード線図である。これら図5、6において、太線は、共振抑制制御のある試験システムの例、より具体的には本実施例の一般化プラントに基づいて設計されたコントローラを、共振抑制回路に適用した試験システムの例を示す。細線は、共振抑制制御の無い試験システムの例、より具体的には一定の割合で第1モータと第2モータとにトルクを分担した試験システムの例を示す。
【0050】
図5に示すように、共振抑制制御の無いシステムでは、150〜200[Hz]の間においてワーク−第2モータ間の軸トルクにねじり共振が発生するところ、本発明のシステムによればこのような共振は抑制されることが検証された。また、図6に示すように、共振抑制制御の無いシステムでは、150〜250[Hz]の間に共振および反共振が発生するところ、本発明のシステムによればこのような共振および反共振はともに抑制されることが検証された。
【0051】
本実施例によれば、ワーク−第2モータ間の軸トルクに加え、第2モータ−第1モータ間の軸トルクを制御量として明示的に評価できるように一般化プラント7Aを構成することにより、実施例1と比較して第2モータ−第1モータ間の共振特性を加味した共振抑制回路を設計することができる。
【0052】
なお図5、6は、実施例2による共振抑制効果を示すものであるが、これは実施例1に共振抑制効果がないことを示すものではなく、実施例1も図5、6と同質の共振抑制効果を奏する。特に、ねじり振動は軸の長手方向に伝播するため、実施例2の一般化プラントのように第2モータ−第1モータ間の軸トルクを制御量として評価せずとも、すなわち上記実施例1でも、図6に示すような第2モータ−第1モータ間のねじり振動を抑制する効果を奏する。
【0053】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態に係るドライブトレインの試験システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において上記第1実施形態と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
本実施形態の試験システムは、共振抑制回路の構成が、上述の第1実施形態の共振抑制回路5(図1参照)と異なる。より具体的には、トルク指令をワークW及び第2モータ2b間の軸トルクに対する軸トルク指令と定義し、本実施形態の共振抑制回路は、上述の共振抑制機能に加えて、トルクメータ6の検出値が軸トルク指令になるように第1トルク指令および第2トルク指令を決定する軸トルク制御機能をさらに備える。以下、このような軸トルク制御機能をさらに備えたコントローラの具体例について、実施例3、4として説明する。
【実施例3】
【0054】
図10は、本実施例の一般化プラント7Bの構成を示すブロック図である。
図10において、5つの入力信号w1,w2,w3,w4,w5はそれぞれ一般化プラント7Bにおける外乱を示し、3つの出力信号z1,z2,z3はそれぞれ一般化プラント7における制御量を示す。また、2つの出力信号c_out1,c_out2はそれぞれコントローラKからノミナルプラントPに入力される制御入力に相当し、2つの入力信号c_in1,c_in2はそれぞれコントローラK´に入力される観測量に相当する。
【0055】
w1は、第1インバータによる第1モータのモータトルクの制御誤差とする。すなわち、w1は、重み関数Gw1(s)で重み付けられた後、第1インバータの応答特性を示す伝達関数Ginv1(s)の出力と合算され、第1モータのトルクJ1.TとしてノミナルプラントPに入力される。
w2は、第2インバータによる第2モータのモータトルクの制御誤差とする。すなわち、w2は、重み関数Gw2(s)で重み付けられた後、第2インバータの応答特性を示す伝達関数Ginv2(s)の出力と合算され、第2モータのトルクJ2.TとしてノミナルプラントPに入力される。
w3は、軸トルク指令とする。w3は、重み関数Gw3(s)で重み付けられる。
w4は、ワークの発生トルクとする。すなわち、w4は、重み関数Gw4(s)で重み付けられた後、ワークのトルクJ3.TとしてノミナルプラントPに入力される。
w5は、トルクメータの検出誤差とする。w5は、重み関数Gw5(s)で重み付けられる。
【0056】
コントローラK´は、観測量c_in1,c_in2に基づいて、制御入力c_out1,c_out2を出力する。
観測量c_in2は、検出誤差を含むトルクメータの出力、より具体的にはトルクメータの応答特性を示す伝達関数Gtm(s)からの出力に、Gw5(s)で重み付けされたトルクメータの検出誤差w5を加えたものとする。
また、コントローラK´に軸トルク制御機能を付与するため、観測量c_in1は、Gw3(s)で重み付けされた軸トルク指令と上記観測量c_in2との偏差とする。
【0057】
制御入力c_out1は、第1トルク指令として第1インバータの特性を有する伝達関数Ginv1(s)をかけた後、上述のように重み付けされた外乱w1と合算して、第1モータのトルクJT.1としてノミナルプラントPに入力される。
制御入力c_out2は、第2トルク指令として第2インバータの特性を有する伝達関数Ginv2(s)をかけた後、上述のように重み付けされた外乱w2と合算して、第2モータのトルクJT.2としてノミナルプラントPに入力される。
【0058】
3つの制御量z1,…,z3は、ねじり共振が抑制されるように第1モータと第2モータに適切にトルクを分担するという制御目的を想定し、具体的には以下のように定義される。
z1は、重み付けされた第1トルク指令で定義される。より具体的には、コントローラKの制御入力c_out1に、重み関数Gz1(s)で重み付けしたものを、制御量z1とする。
z2は、重み付けされた第2トルク指令で定義される。より具体的には、コントローラKの制御入力c_out2に、重み関数Gz2(s)で重み付けしたものを、制御量z2とする。
z3は、重み付けされた伝達関数Gtm(s)の出力で定義される。より具体的には、ノミナルプラントPから出力されたトルクK23.Tにトルクメータの応答特性を示す伝達関数Gtm(s)をかけたものに、重み関数Gz3(s)で重み付けしたものを、制御量z3とする。
【0059】
以上のような一般化プラント7Bにおいて、重み関数Gw1(s),…,Gw5(s)並びにGz1(s),…,Gz3(s)は、以下のように定められる。
第1インバータの制御誤差w1に対する重み関数Gw1(s)は、例えば、所定の定数に設定される。
第2インバータの制御誤差w2に対する重み関数Gw2(s)は、例えば、所定の定数に設定される。
軸トルク指令w3に対する重み関数Gw3(s)は、例えば、所定の定数に設定される。
軸トルクw4に対する重み関数Gw4(s)は、例えば、所定の定数に設定される。
トルクメータの検出誤差w5に対する重み関数Gw5(s)は、例えば、所定の定数に設定される。
第1トルク指令z1に対する重み関数Gz1(s)は、例えば、所定の定数、または高域でゲインが高くなるように設定される。
第2トルク指令z2に対する重み関数Gz2(s)は、例えば、所定の定数、または高域でゲインが高くなるように設定される。
トルクメータの検出値z3に対する重み関数Gz3(s)は、例えば、所定の定数に設定される。
【実施例4】
【0060】
次に、上記実施形態の実施例4について説明する。
図11は、本実施例の一般化プラント7Cの構成を示すブロック図である。本実施例の一般化プラントは、ノミナルプラントPから出力された第2モータ−第1モータ間の軸トルクの値K12.Tに伝達関数Gz4(s)で重み付けしたものを制御量z4としてさらに含む点において、実施例3の一般化プラント7Bと異なる。
【0061】
次に、本実施例の一般化プラントに基づいて設計された共振抑制回路の効果について説明する。
図12は、軸トルク指令からワーク−第2モータ間の軸トルクへの周波数応答を示すボード線図である。図13は、軸トルク指令から第1モータ−第2モータ間の軸トルクへの周波数応答を示すボード線図である。これら図12、13に示すように、本発明のシステムによれば、約200[Hz]近傍に存在していた共振は抑制されること検証された。
【0062】
また、本実施例によれば、ワーク−第2モータ間の軸トルクに加え、第2モータ−第1モータ間の軸トルクを制御量として明示的に評価できるように一般化プラント7Cを構成することにより、実施例3と比較して第2モータ−第1モータ間の共振特性を加味した共振抑制回路を設計することができる。なお図12、13は、実施例4による共振抑制効果を示すものであるが、これは実施例3に共振抑制効果がないことを示すものではない。実施例2において説明したのと同様の理由により、実施例3も図12、13と同質の共振抑制効果を奏する。
【符号の説明】
【0063】
1…ドライブトレインの試験システム
2a、2b…第1モータ、第2モータ
3a、3b…第1インバータ、第2インバータ
5…共振抑制回路
6…トルクメータ
W…ワーク
S1…入力軸
S2…ドライブシャフト
7、7A、7B、7C…一般化プラント
P…ノミナルプラント
K、K´…コントローラ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【国際調査報告】