(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013105516
(43)【国際公開日】20130718
【発行日】20150511
(54)【発明の名称】電子機器及び電子機器の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20150414BHJP
【FI】
   !G06F3/041 360Z
   !G06F3/041 380D
   !G06F3/041 330P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】2013553273
(21)【国際出願番号】JP2013000111
(22)【国際出願日】20130111
(31)【優先権主張番号】2012005511
(32)【優先日】20120113
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【住所又は居所】京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 教志
【住所又は居所】京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地 京セラ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】三宅 崇之
【住所又は居所】京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地 京セラ株式会社内
【テーマコード(参考)】
5B068
5B087
【Fターム(参考)】
5B068AA05
5B068BB36
5B068DE03
5B087AA09
5B087AC02
5B087AC05
5B087CC43
(57)【要約】
パネル10に接触している接触物に触感を呈示する触感呈示部30と、パネル10に対する押圧に基づくデータと当該データに対応するデータ閾値とに基づいて触感呈示部30を制御する制御部50と、を備え、制御部50は、触感呈示部30が触感を呈示した後、パネル10に対する押圧に基づくデータに応じてデータ閾値を変更する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに接触している接触物に触感を呈示する触感呈示部と、
前記パネルに対する押圧に基づくデータと当該データに対応するデータ閾値とに基づいて前記触感呈示部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記触感呈示部が触感を呈示した後、前記パネルに対する押圧に基づくデータに応じて前記データ閾値を変更する、ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記触感呈示部が触感を呈示した後、所定時間経過した時点の前記パネルに対する押圧に基づくデータに応じて前記データ閾値を変更する、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
パネルに接触している接触物に触感を呈示する触感呈示部を、前記パネルに対する押圧に基づくデータと当該データに対応するデータ閾値とに基づいて制御部により制御する電子機器の制御方法であって、
前記触感呈示部に触感を呈示させるステップと、
その後、前記パネルに対する押圧に基づくデータに応じて、次に前記触感呈示部に触感を呈示させるための前記データ閾値を変更するステップと、
を含む、ことを特徴とする電子機器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2012年1月13日に日本国に特許出願された特願2012−5511の優先権を主張するものであり、この先の出願の開示全体をここに参照のために取り込む。
【技術分野】
【0002】
本発明は、電子機器及び電子機器の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
近年、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PC(パーソナルコンピュータ)、電子書籍端末、ATM(現金自動預け払い機)、自動券売機、自動販売機、プリンタ、コピー機、FAX(ファクシミリ)等の電子機器において、操作者がパネルを操作した際に、操作者に触感を呈示する触感呈示機能が搭載されつつある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4633167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、触感呈示機能を向上でき、操作者に違和感を与えることなく適切に触感を呈示できる電子機器及び電子機器の制御方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明に係る電子機器は、
パネルに接触している接触物に触感を呈示する触感呈示部と、
前記パネルに対する押圧に基づくデータと当該データに対応するデータ閾値とに基づいて前記触感呈示部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記触感呈示部が触感を呈示した後、前記パネルに対する押圧に基づくデータに応じて前記データ閾値を変更する、ことを特徴とするものである。
【0007】
前記制御部は、前記触感呈示部が触感を呈示した後、所定時間経過した時点の前記パネルに対する押圧に基づくデータに応じて前記データ閾値を変更する、ことを特徴とするものである。
【0008】
さらに、上記目的を達成する本発明に係る電子機器の制御方法は、
パネルに接触している接触物に触感を呈示する触感呈示部を、前記パネルに対する押圧に基づくデータと当該データに対応するデータ閾値とに基づいて制御部により制御する電子機器の制御方法であって、
前記触感呈示部に触感を呈示させるステップと、
その後、前記パネルに対する押圧に基づくデータに応じて、次に前記触感呈示部に触感を呈示させるための前記データ閾値を変更するステップと、
を含む、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、触感呈示機能を向上でき、操作者に違和感を与えることなく適切に触感を呈示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の圧電素子に関する具体的な部分回路図である。
【図3】図1の電子機器の実装構造の一例を示す図である。
【図4】圧電素子を触感呈示素子及び押圧検出素子として共用する場合の基本的な判定アルゴリズムを説明するための図である。
【図5】図4の基本的な判定アルゴリズムによる圧電素子の出力電圧の具体的変化を示す図である。
【図6】図4の基本的な判定アルゴリズムにおいて、圧電素子の電荷放電処理後の電圧値に基づいてリリース閾値電圧を設定した場合の圧電素子の出力電圧の具体的変化の一例を示す図である。
【図7】図1の押下/リリース判定部において算出するベクトルを説明する概要図である。
【図8】「通常押下/リリース」の押下パターンにおける圧電素子の出力電圧の変化を示す図である。
【図9】図1の押下/リリース判定部におけるベクトル判定部分の具体的なソースコードの一例を示す図である。
【図10】「ホールド」の押下パターンにおける圧電素子の出力電圧の変化を示す図である。
【図11】図1の押下/リリース判定部における基準値の変更部分の具体的なソースコードの一例を示す図である。
【図12】図1の押下/リリース判定部におけるリリース閾値ベクトルの変更部分の具体的なソースコードの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器の概略構成を示すブロック図である。図1に示す電子機器1は、パネル10、表示部20、触感呈示部30、記憶部40、制御部50を備える。制御部50は、押下/リリース判定部51、触感制御部52を備える。
【0013】
パネル10は、通常は表示部20の前面に配置され、表示部20に表示されたオブジェクトに対する接触物(例えば、指またはスタイラスペン)による接触、または接触の解除を、パネル10の操作面において検出する。また、パネル10は、操作面に対する接触物の接触を検出し、検出した接触の位置に応じた信号を制御部50に供給する。このパネル10は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式などの公知の方式で構成される。
【0014】
表示部20は、例えば、液晶表示パネル(LCD)や有機EL表示パネルなどを用いて構成され、制御部50により制御されて、文字、画像、映像などのオブジェクトを表示する。
【0015】
触感呈示部30は、例えば圧電素子31により構成される。圧電素子31は、パネル10の操作面とは反対側の裏面に配設され、触感制御部52から印加される駆動信号(駆動電圧)に応じて所定の振動パターンによる振動を発生させる。これにより、圧電素子31は、タッチパネル10の操作面に接触している接触物に対して所定の触感を呈示する。
【0016】
また、パネル10に対する押圧に基づいて圧電素子31から得られる出力電圧(アナログデータ)は、押下/リリース判定部51に供給される。つまり、本実施の形態に係る電子機器1は、圧電素子31を触感呈示素子及び押圧検出素子(加速度センサとしての押圧検出素子。つまり、押圧が加わる速度又は加速度に応じて電圧を出力する素子)として共用している。
【0017】
記憶部40は、電子機器1の動作プログラムや各種の閾値を不揮発的に記憶するとともに、各種の演算結果等を不揮発的又は揮発的に記憶する。
【0018】
制御部50は、電子機器1の全体の動作を制御するもので、パネル10から入力される情報に基づいて実行する処理を決定する。押下/リリース判定部51は、パネル10に対する押圧に基づく圧電素子31の出力電圧を取得し、その取得した出力電圧に基づいて押下又はリリースを判定して、その判定結果を触感制御部52に供給する。
【0019】
触感制御部52は、押下/リリース判定部51からの判定結果に基づいて、圧電素子31に所定の駆動信号を印加する。これにより、圧電素子31は、パネル10の操作面に接触している接触物に対して所定の触感を呈示する。
【0020】
図2は、図1の圧電素子31に関する具体的な部分回路図である。圧電素子31の一方の電極(正極)及び他方の電極(負極)は、触感制御部52に接続される。また、圧電素子31の正極及び負極は、切替スイッチ61,62及びコンデンサ71,72を経てADC(アナログデジタルコンバータ)80に接続される。そして、ADC80の出力(押圧に基づくデータ(ADC値、デジタルデータ))は押下/リリース判定部51に入力される。
【0021】
触感制御部52は、ステップアップコンバータ521,522、正極電圧制御回路523及び負極電圧制御回路524を備える。ステップアップコンバータ521及び522は、入力電圧を昇圧して、所定の電圧を生成する。正極電圧制御回路523は、ステップアップコンバータ521で生成された電圧を入力して、制御部50の制御のもとに正極用駆動信号を生成する。生成された正極用駆動信号は、圧電素子31の正極に印加される。また、負極電圧制御回路524は、ステップアップコンバータ522で生成された電圧を入力して、制御部50の制御のもとに負極用駆動信号を生成する。生成された負極用駆動信号は、圧電素子31の負極に印加される。
【0022】
そして、制御部50は、圧電素子31を押圧検出素子として機能させる場合、切替スイッチ61,62をオンとする。これにより、圧電素子31の出力電圧は、コンデンサ71,72を経てADC80によりADC値に変換されて、押下/リリース判定部51に供給される。ここで、圧電素子31の出力電圧は、直流成分がコンデンサ71,72によりカットされて、交流成分(変動分)のみがADC80に供給される。ADC80は、例えば1.5V程度の中間電位を有しており、この中間電位を基準値(基準電圧)としてADC80の入力側(コンデンサ71,72側)の電位が変動する。
【0023】
また、制御部50は、圧電素子31を触感呈示素子として機能させる場合、切替スイッチ61,62をオフとして、圧電素子31に印加される駆動信号がADC80に入力されないようにする。この状態で、制御部50は、押下/リリース判定部51による判定結果に応じて、触感制御部52により、圧電素子31の正極側に正極用駆動信号を印加し、圧電素子31の負極側に負極用駆動信号を印加して、圧電素子31を振動させる。
【0024】
ここで、圧電素子31に印加する正極用駆動信号及び負極用駆動信号は、圧電素子31が脱分極状態にならないように、正極用駆動信号の最小電圧を負極用駆動信号の最大電圧以上とする。例えば、圧電素子31の耐電圧が40Vの場合、制御部50は、中間電位を20Vとして、触感制御部52のステップアップコンバータ521により、例えば3.6Vの入力電圧を昇圧して40Vの出力電圧を生成させ、ステップアップコンバータ522により、3.6Vの入力電圧を昇圧して20Vの出力電圧を生成させる。
【0025】
そして、制御部50は、正極電圧制御回路523により、振幅が20V〜40Vで、周期が例えば1/2周期の正弦波の正極用駆動信号を生成させて、該生成された正極用駆動信号を圧電素子31の正極に印加させる。また、制御部50は、負極電圧制御回路524により、振幅が0V〜20Vの1/2周期の逆位相の正弦波の負極用駆動信号を生成させて、該生成された負極用駆動信号を圧電素子31の負極に印加させる。これにより、圧電素子31は、パネル10の操作面に接触している接触物に対して所定の触感を呈示する。なお、触感制御部52は、圧電素子31が脱分極を発生しない範囲内であれば、正極に対して負極よりも低い電圧を印加することも可能である。
【0026】
図3は、図1に示した電子機器1の実装構造の一例を示すものである。図3(a)は外観斜視図である。図3(b)は図3(a)のB−B線概略断面図である。図3(c)は要部平面図である。図3に例示する電子機器1は、いわゆるスマートフォンと称されるものである。表示部20は、筐体11内に収納保持される。表示部20上には、弾性部材からなるインシュレータ12を介して、パネル10が保持される。パネル10は、図3(c)に仮想線で示す表示部20の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ12を介して表示部20上に保持される。
【0027】
また、筐体11には、表示部20の表示領域から外れたパネル10の表面領域を覆うようにアッパカバー13が設けられる。アッパカバー13とパネル10との間には、弾性部材からなるインシュレータ14が配設される。
【0028】
なお、図3に示すパネル10は、操作面(表面)10aを有する表面部材が、例えば透明フィルムやガラスで構成され、裏面10bを有する裏面部材がガラスやアクリルで構成されている。パネル10は、操作面10aが押圧されると、押圧部分が押圧力に応じて微少量撓む(歪む)、または構造体そのものが微少量撓む構造のものが用いられる。
【0029】
パネル10の裏面10b上には、対向する2つの辺の近傍に、パネル10を振動させるための圧電振動子31がそれぞれ接着などにより設けられる。2個の圧電振動子31は並列に、又は独立して駆動される。これにより、パネル10が振動して、操作面10aが振動する。なお、図3(c)は、図3(b)に示した筐体11、アッパカバー13及びインシュレータ14の図示を省略している。
【0030】
ここで、パネル10に対する接触物の押下/リリースの判定アルゴリズムについて検討する。図4は、圧電素子31を触感呈示素子及び押圧検出素子として共用する場合の基本的な判定アルゴリズムを説明するための図である。図4(a)は圧電素子31の放電タイミングを示すタイミングチャートである。図4(b)は圧電素子31の駆動タイミングを示すタイミングチャートである。図4(c)はADC80の入力側に供給される圧電素子31の出力電圧を示す図である。この判定アルゴリズムでは、先ず、制御部50は、圧電素子31を押圧検出素子として機能させる。そして、押下/リリース判定部51において、操作者によるパネル10への接触物の押圧に基づく圧電素子31の出力電圧が閾値電圧(R)に達して押下と判定されると、制御部50は圧電素子31を触感呈示素子として機能させる。これにより触感制御部52は、圧電素子31を駆動して、操作者に触感を呈示する。そして、圧電素子31の駆動後、制御部50は、圧電素子31の出力電圧を基準電圧に戻すために、圧電素子31の電荷を放電回路にて放電する処理を実行(電荷放電処理)する。
【0031】
その後、制御部50は、圧電素子31を押圧検出素子として機能させる。そして、操作者がパネル10から接触物を離す動作(リリース)により、圧電素子31の出力電圧は、基準電圧からマイナス方向へと変化する。押下/リリース判定部51において、圧電素子31の出力電圧が、閾値電圧(R)に達してリリースと判定されると、制御部50は、圧電素子31を触感呈示素子として機能させて、触感制御部52により圧電素子31を駆動させる。これにより、圧電素子31は操作者に触感を呈示する。そして、圧電素子31の駆動後、制御部50は、圧電素子31の出力電圧を基準電圧に戻すために、圧電素子31の電荷放電処理を実行して、次の判定動作に備える。
【0032】
図5は、図4に示した基本的な判定アルゴリズムによる圧電素子31の出力電圧の具体的変化を示す図である。ここでは、基準電圧を1.6Vとしている。基本的な判定アルゴリズムでは、例えば、押下したことを判定するための閾値電圧(以下、押下閾値電圧)と、リリースしたことを判定するための閾値電圧(以下、リリース閾値電圧)とをそれぞれ設定する。そして、押下/リリース判定部51は、取得した出力電圧値(ADC値)が押下閾値電圧(データ閾値)を上回っていれば押下と判定し、リリース閾値電圧(データ閾値)を下回っていればリリースと判定する。この場合、リリース閾値電圧は、基準電圧より低く設定されることが想定される。
【0033】
ところが、圧電素子31は、押圧検出素子として機能する場合、押下の加速度(押圧加速度)を検出することになる。この場合、圧電素子31の撓み具合に変化がないと、圧電素子31は、撓みによって蓄積された電荷を自然放電するという特徴を有している。そのため、指等の接触物をパネル10からリリースする際に、接触物を素早くパネル10から離すのではなく、ゆっくり離す、いわゆる「ゆっくり離し」の押下パターンの場合は、圧電素子31から基準電圧よりも低い電圧が検出されない場合がある。その結果、出力電圧がリリース閾値電圧に達する前に接触物がパネル10から離れていても、押下状態が維持されたままであると判定される場合がある。
【0034】
このような不都合を解決する方法として、リリース閾値電圧を、圧電素子31の電荷放電処理後(触感呈示部が触感を呈示した後)の電圧値に基づいて設定することが想定される。このようにすれば、接触物をパネル10からゆっくり離した場合でも、リリースを判定することが可能である。図6は、この場合の圧電素子31の出力電圧の具体的変化の一例を示す図である。図6では、リリース閾値電圧が基準電圧よりも高く設定された場合を例示しているが、基準電圧よりも低く設定される場合もある。なお、ここでは、基準電圧を1.5Vとしている。なお、図6では、後述するように、押圧/リリース判定部51は、取得した出力電圧値がリリース閾値電圧を下回り、かつ、出力した出力電圧値の変化量(マイナスの変化量)の絶対値がリリース閾値ベクトルの絶対値(変化量閾値)を満たす(上回る)と、「リリース」と判定している。
【0035】
また、発明者らは、鋭意実験検討することにより、押下/リリースにおいて、圧電素子31の出力電圧は、図6に示した波形を毎回取るのではなく、操作者の押下状況等によって、毎回波形が大きく変動することを見出した。例えば、発明者らは、電荷放電処理後に初めて検出される電圧値や電荷放電処理後に検出される電圧の変化量、変化の向き(プラスの変化、又は、マイナスの変化)が、電荷放電処理毎に異なるものになることを見出した。そのため、押下/リリースの正確な判定が困難になる場合がある。
【0036】
そこで、本実施の形態に係る電子機器1においては、リリース閾値電圧だけでなく、押下閾値電圧も圧電素子31の電荷放電処理後の電圧値(押下/リリース判定部51によって取得されるADC値)に基づいて設定する。押下閾値電圧(複数の押下閾値電圧を設け、パネル10に対する押圧が大きくなるに従い、複数の押下閾値電圧に基づき複数段階の入力を受け付けることが可能な場合は、例えば、2段階目の押圧閾値電圧)は、例えば、触感呈示動作が所定時間以上実行されず、出力電圧が基準値にあれば、基準値より所定電圧高い初期閾値電圧に設定される。また、触感呈示動作が実行された場合は、押下閾値電圧は、直前の触感呈示後から所定時間内では、当該所定時間内における出力電圧に基づいて設定する。この場合、例えば、押下閾値電圧は、触感呈示部が触感を呈示してから(触感呈示処理を開始してから、又は触感呈示処理を終了してから)、又は電荷放電処理をしてから(電荷放電処理を開始してから、又は電荷放電処理を終了してから)、特定時間経過した時点の出力電圧に所定電圧を加えた値に設定される。なお、この場合、当該特定時間が経過する前には、押下閾値電圧は設定されず、押下/リリース判定部51によってどのようなADC値が取得されようとも、「押下」と判定しないようにしてもよい。また、押下閾値電圧は、例えば、直前の押下に対する触感呈示後(又は触感呈示後の電荷放電処理後)の出力電圧(押下/リリース判定部51により初めて検出される出力電圧(ADC値))に基づいて、当該出力電圧より所定電圧高い電圧値に設定されてもよい。
【0037】
次に、リリース閾値電圧は、例えば、触感呈示部が触感を呈示してから(触感呈示処理を開始してから、又は触感呈示処理を終了してから)、又は電荷放電処理をしてから(電荷放電処理を開始してから、又は電荷放電処理を終了してから)、特定時間経過した時点の出力電圧に所定電圧を減じた値に設定される。また、リリース閾値電圧は、直前の触感呈示後(又は触感呈示後の電荷放電処理後)の出力電圧(押下/リリース判定部51により初めて検出される出力電圧値(ADC値))に基づいて、当該出力電圧より所定電圧低い電圧値に設定されてもよい。このように、押下閾値電圧及びリリース閾値電圧は、触感呈示部が触感呈示するごとに変更して設定される。
【0038】
なお、上述したとおり、圧電素子31は、撓みによって蓄積された電荷を自然放電する特徴を有しているため、接触物がパネル10を押下した後、パネル10から離されたとしても、圧電素子31から基準電圧よりも低い出力電圧が検出されない場合がある。よって、リリース閾値電圧が、上述したとおり、上記特定時間経過した時点等の出力電圧に所定電圧を減じた値に設定すると、基準電圧よりも低い電圧になる場合には、予め定められた電圧(例えば、基準電圧よりも所定電圧高い電圧)に設定してもよい。
【0039】
なお、上述したとおり、押下/リリースにおいて、圧電素子31の出力電圧は、図6に示した波形を毎回取るのではなく、操作者の押下状況等によって、毎回波形が大きく変動する。よって、電子機器1は、操作者の意図せず圧電素子31の出力電圧が押下閾値電圧を上回る、またはリリース閾値電圧を下回るというおそれを低減させるために、電荷放電処理後(触感呈示後)の出力電圧の変化量に基づいて、押下閾値電圧及びリリース閾値電圧を設定してもよい。例えば、押下閾値電圧が、前記特定時間経過した時点の出力電圧に所定電圧を加えた値に設定される場合、電荷放電処理後の出力電圧の変化量の絶対値が大きい場合には当該所定電圧を大きな値とし、電荷放電処理後の出力電圧の変化量の絶対値が小さい場合に当該所定電圧を小さな値としてもよい。同様に、リリース閾値電圧が、前記特定時間経過した時点の出力電圧に所定電圧を減じた値に設定される場合、電荷放電処理後の出力電圧の変化量の絶対値が大きい場合には、当該所定電圧を大きな値とし、電荷放電処理後の出力電圧の変化量の絶対値が小さい場合には、当該所定電圧を小さな値としてもよい。
【0040】
更に、本実施の形態に係る電子機器1においては、押下閾値電圧及びリリース閾値電圧のみ、つまり、圧電素子31の出力電圧値に直接対応する固定の閾値電圧(データ閾値)のみを用いるのではなく、出力電圧の変化に対応する閾値ベクトルも用いる。そのため、押下/リリース判定部51では、ADC80からのADC値を取得するとともに、取得されるADC値から、図7に概要図を示すように、ADC値の時間的な変化量及び該変化量の極性を示すベクトルを算出する。
【0041】
そして、押下/リリース判定部51は、取得したADC値と記憶部40に記憶されているデータ閾値である押下閾値電圧及びリリース閾値電圧とを比較すると共に、算出したベクトルと記憶部40に記憶されている押下閾値ベクトル及びリリース閾値ベクトルとを比較する。
【0042】
その結果、算出したベクトルが、変化量の増加を示すプラス方向ベクトルで、その絶対値(変化量)が押下閾値ベクトルの絶対値(変化量閾値)を、例えば2ms毎に行われる押下/リリース判定処理において所定回数満たし(例えば、プラス方向ベクトルの絶対値が押下閾値ベクトルの絶対値より大きい場合、満たすと判定される。)、かつ、取得したADC値が押下閾値電圧を満たした場合、押下/リリース判定部51は、「押下」と判定する。また、算出したベクトルが、変化量の減少を示すマイナス方向ベクトルで、その絶対値(変化量)がリリース閾値ベクトルの絶対値(変化量閾値)を、例えば2ms毎に行われる押下/リリース判定処理において所定回数満たし(例えば、マイナス方向ベクトルの絶対値がリリース閾値ベクトルの絶対値より大きい場合、満たすと判定される。)、かつ、取得したADC値がリリース閾値電圧を満たした場合、押下/リリース判定部51は、「リリース」と判定する。この押下/リリース判定部51での押下/リリースの判定結果は、触感制御部52に供給される。
【0043】
ここで、押下/リリース判定部51によるベクトルの算出及び押下/リリース判定処理は、例えば、40μs程度の間にADC値を10回取得してそれらの平均値を算出し、その平均値を用いて、例えば2ms毎に実行される。また、押下判定に用いる押下閾値ベクトルの絶対値は、リリース判定に用いるリリース閾値ベクトルの絶対値よりも大きく設定される。つまり、押下の際は、力を入れ続ければ物理的に不可能になるまでADC値は上昇し続けるが、リリースの際は接触物を離すと、それ以上はADC値を下降させることは不可能である。そのため、リリース閾値ベクトルの絶対値を、押下閾値ベクトルの絶対値と同じ値にすると、リリース残り(接触物を離しても、リリース振動がでない現象)が発生し易くなる。そこで、リリース閾値ベクトルは、条件を緩くして(例えば、押下閾値ベクトルの絶対値よりリリース閾値ベクトルの絶対値を小さくする)、リリースを判定し易いようにしている。また、リリース閾値ベクトルは、リリース閾値電圧が基準値に近い値に設定された場合は、基準値から遠い値に設定された場合と比較して絶対値を小さくして、リリースを判定し易いようにしてもよい。
【0044】
また、押下閾値ベクトルは、押下閾値電圧が基準値から遠い値に設定された場合は、基準値から近い値に設定された場合と比較して絶対値を小さくしてもよい。圧電素子31は、押圧されて歪むことにより電圧を出力するものであるが、圧電素子31が歪む量が大きくなるにつれて、弾性力が大きくなり歪みにくくなってしまう。したがって、圧電素子31においては、歪み量が多くなり出力電圧が大きい場合には、更に出力電圧を変化させるには、出力電圧が小さい場合と比べて大きな力が必要となってしまう。したがって、上述したとおり、押下閾値ベクトルを押下閾値電圧が基準値から遠い値に設定された場合は、基準値から近い値に設定された場合と比較して絶対値を小さくすることにより、押下閾値電圧が基準値から遠い値であったとしても、近い値であったとしても、ユーザは操作性よく操作することができる。
【0045】
また、押下/リリース判定部51が、上述のように、所定時間間隔ごと押下/リリース判定処理を行い、圧電素子31の出力電圧(ADC値)のベクトルの絶対値が押下/リリース閾値ベクトルの絶対値より大きいと所定の回数連続して判定した場合、「押下/リリース」と判定するような場合、押下/リリース閾値ベクトルの絶対値は、押下/リリース判定処理を行うごとに徐々に小さくしていってもよい。圧電素子31は、撓みによって蓄積された電荷を自然放電するという特徴を有しているので、撓んだ状態を維持していたとしても出力電圧は時間の経過に従って小さくなる。このように時間の経過とともに出力電圧が小さくなることを考慮して、押下/リリース閾値ベクトルの絶対値は、押下/リリース判定処理を行うごとに徐々に小さくしていくとよい。
【0046】
触感制御部52では、押下/リリース判定部51からの判定結果に応じて、圧電素子31に所定の駆動信号を印加する。これにより、パネル10を押圧している操作者に触感が呈示される。
【0047】
ところで、操作者によるパネル10の押下パターンとしては、例えば、「通常押下/リリース」、「連打」、「ホールド」、及び「ゆっくり離し」の4つのパターンが挙げられる。「連打」は、短い時間で連続的に押下とリリースとを繰り返す押し方である。「ホールド」は、押下後、直ぐにリリースするのではなく、暫く押したままの状態を維持した後、リリースを行う押し方で、いわゆる長押しと称される押し方である。「ゆっくり離し」は、上述したようにリリースを行う際に接触物を素早くパネル10から離すのではなく、ゆっくりと離す押し方である。「通常押下/リリース」は、上記の3つのパターンに属さない一般的なボタンの押し方で、パネル10を押下して直ちにリリースする押下パターンある。
【0048】
「通常押下/リリース」の場合、上述したように、押下/リリース判定部51からの判定結果に応じて、触感制御部52により圧電素子31を駆動すると、圧電素子31の出力電圧は、例えば、図8に示すように変化する。なお、図8では、便宜上、縦軸をADC80によるADC値で表している。ADC値は、最小で「0」、最大で「65520」であり、基準値(基準電圧1.5V)は、中央の「32760」近辺である。
【0049】
図8から明らかなように、「通常押下/リリース」の場合は、例えば、押下振動後の圧電素子31の電荷放電後に、ADC値が基準値以下から急上昇する。また、リリース振動直後の圧電素子31の電荷放電後には、例えば、ADC値は急上昇し、その後ゆっくりと基準値を少し超えた値に向かって上昇する。そのため、押下閾値ベクトルの絶対値を固定的に設定すると、押下/リリースの触感呈示後のベクトルが押下閾値ベクトルを満たして押下と誤判定されるおそれがある。
【0050】
そこで、本実施の形態に係る電子機器1においては、圧電素子31により押下/リリースの触感を呈示した後、更に、押下/リリース判定部51において、押下/リリースを判定するための閾値ベクトルを変化させるように制御する。具体的には、図8に示したような出力電圧波形において、触感呈示後の急上昇の電圧変化を押下と判定しないように、触感呈示後のベクトルの算出開始直後は、押下閾値ベクトルの絶対値を大きくし、その後は、時間の経過とともに絶対値を小さくする。
【0051】
図9は、この場合の押下/リリース判定部51におけるベクトル判定部分の具体的なソースコードの一例を示す図である。図9に示す変数は、以下の通りである。
「pre_ave_power」・・・一つ前のベクトル判定時に取得したADC値。
「ave_power」・・・今回のベクトル判定で取得したADC値。
「rel_vect」・・・リリース閾値ベクトルの絶対値。
「tilt」・・・ベクトルの方向[TILT_NONE・・・変化なし、TILT_MINUS・・・マイナス方向、TILT_PLUS・・・プラス方向]。
「vect_pow」・・・押下直後に値「100」が代入され、「0」になるまでの間、ベクトル判定のたびに「1」ずつ減少する。
「user_calibration.a_fn」・・・パネル10の接触位置に応じた面内補正用の値。
「up_times」・・・プラス方向のベクトルが連続で発生した回数。
【0052】
図9において、「else if ( pre_ave_power >= (ave_power + rel_vect) )」は、マイナス方向ベクトルの判定箇所を示している。また、「else if ( pre_ave_power <= (ave_power - 0x3 * vect_pow - (user_calibration.a_fn * 2 / up_times)))」の部分は、プラス方向ベクトルの判定箇所を示しており、「vect_pow」により、触感呈示直後の急上昇の電圧変化を押下と誤判定することを防いでいる。
【0053】
また、押下パターンが「ホールド」の場合、圧電素子31の出力電圧は、例えば、図10に示すように変化する。この場合の出力電圧変化は、基本的には「通常押下/リリース」の場合と同様であるが、押下後に押下力を維持している間も、ADC値は緩やかに下降する。そのため、リリース閾値ベクトルを固定的に設定すると、リリースされたと誤判定される場合がある。
【0054】
更に、リリース振動後、例えば、ADC値は一旦下降し、基準値より大幅に低い値から、遅い速度でゆっくりと基準値に戻る。そのため、特に、パネル10の同一領域で2段以上の多段の押下/リリース処理を行う場合は、次の押下の際に、ADC値が押下閾値電圧に達するまでに要するADC値の幅が通常よりも広くなって、押下に必要な力が大きくなり、操作者に違和感を与えることになる。
【0055】
そこで、本実施の形態に係る電子機器1においては、押下/リリース判定部51において、押下パターンが「ホールド」の場合、更に、触感呈示後のリリース閾値ベクトルの絶対値を時間の経過とともに大きくする。この場合の実際のソースコードは、図9の「else if ( pre_ave_power >= (ave_power + rel_vect) )」の部分であり、「rel_vect」がホールド時の下降をリリースとみなさないようにした値となる。なお、圧電素子31の電圧下降率は、パネル10の押下位置によって異なるため、「ser_calibration.a_fn」により押下位置に応じて「rel_vect」の値を変化させる。
【0056】
更に、押下/リリース判定部51は、押下閾値電圧を圧電素子31の電荷放電処理後の電圧値に基づいて設定変更するにあたって、リリース触感呈示から所定時間経過した時点、つまりリリース触感呈示後のADC値の取得開始から所定時間経過した時点でのADC値を基準値として設定する。そして、押下/リリース判定部51は、設定した基準値に合わせて、基準値との差が一定値となるように押下閾値電圧を変更する。
【0057】
図11は、この場合の押下/リリース判定部51における基準値の変更部分の具体的なソースコードの一例を示す図である。また、図12は、リリース閾値ベクトルの変更部分の具体的なソースコードの一例を示す図である。図11及び図12において、新たに示す変数は、以下の通りである。
「getV」・・・取得したADC値。
「base_getV」・・・基準となるADC値(基準値)。押下閾値電圧はこの基準値からの差によって変動する。初期値は「0xFFFF」である。
「update_times」・・・触感呈示後から押下/リリース判定を行った回数。押下/リリース判定は、2msに一回行われる。
「down_thresh」・・・マイナス方向ベクトルが連続で何回検出されたらリリースとみなすかを決定する値。
【0058】
図11は、リリース触感呈示後のADC値の取得開始から16ms後のADC値が基準値に設定される場合を示している。また、図12は、押下からの時間(update_timesの値)が一定以上になると「ホールド」とみなされて、リリース閾値ベクトルの値(rel_vect)が時間の経過ととともに大きくなっていく場合を示している。また、図12において、「user_calibration.a_fn」の値が「12」未満の位置は、パネル10の隅などの電圧の検出が良好ではない位置を表しており、このような位置では、パネル10の中央と比較して、基準電圧への戻りが早く、下降率が高いため、リリース閾値ベクトルの値が大きく設定されている。また、パネル10の隅などの電圧の検出が良好ではない位置では、パネル10の中央と比較して、押下閾値ベクトルの値が小さく設定されていてもよい。
【0059】
以上のように本実施の形態に係る電子機器1によると、圧電素子31の出力電圧(ADC値)を取得すると共に、出力電圧の時間的な変化量及び該変化量の極性を示すベクトルを算出するので、操作者が押下/リリースした接触物の変動による出力電圧の波形を認識することができる。したがって、ベクトルと閾値ベクトルとの比較により、押下状態及びリリース状態を識別できるので、触感を呈示する押下/リリースを確実に判定することができる。
【0060】
しかも、押下パターンに応じて、触感呈示後の閾値ベクトルを時間とともに変化させるので、「通常押下/リリース」の押下パターンにおいて、触感呈示後のプラス方向ベクトルの絶対値の急上昇を、「押下」と誤判定するのを防止することができる。また、「ホールド」の押下パターンにおいて、押下力のホールド状態を「リリース」と誤判定するのを防止することができる。
【0061】
さらに、触感呈示から数ms後のADC値を基準値として設定し、その設定した基準値に合わせて押下閾値電圧を変化させるので、押下に必要な力を比較的均一にすることができる。したがって、触感呈示機能を向上でき、操作者に違和感を与えることなく適切に触感を呈示することができる。
【0062】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、押下/リリース判定部51によるADC値と閾値電圧との比較において、ADC値が押下閾値電圧を満たすとは、ADC値が押下閾値電圧に達した際であってもよいし、ADC値が押下閾値電圧を超えた際でもよいし、押下/リリース判定部51により押下閾値電圧が検出された際でもよい。また、ADC値がリリース閾値電圧を満たすとは、ADC値がリリース閾値電圧に達した際であってもよいし、ADC値がリリース押下閾値電圧を下回った際でもよいし、押下/リリース判定部51によりリリース閾値電圧が検出された際でもよい。同様に、ベクトルが閾値ベクトルを満たした際とは、ベクトルの絶対値が閾値ベクトルの絶対値に達した際であってもよいし、ベクトルの絶対値が閾値ベクトルの絶対値を超えた際でもよいし、押下/リリース判定部51により閾値ベクトルが算出された際でもよい。
【0063】
また、押下/リリースの判定処理は、ADC値から算出したベクトル及び閾値ベクトルを用いることなく、ADC値及び閾値電圧を用いて行うようにしてもよい。
【0064】
また、パネル10及び表示部20は、両機能を共通の基板に持たせるなどにより、一体化された装置によって構成されてもよい。このような装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオードなどの複数の光電変換素子を規則的に混在させたものがある。かかる装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置をタッチ入力するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、その反射光を周辺の光電変換素子が受光することにより、タッチ位置を検出することができる。
【0065】
さらに、上述した実施の形態では、パネル10を用いて操作面10aに対する接触を検出したが、圧電素子31の出力電圧が、所定の押圧荷重に対応する基準電圧を満たした場合に、接触がなされたものと判定することもできる。
【0066】
また、パネル10に対する押圧に基づくデータを取得する押圧検出素子は、触感呈示素子と共用することなく、独立して設けることもできる。したがって、この場合は、押圧検出素子として、圧電素子や歪ゲージを用いて出力電圧のベクトルを検出したり、パネル10の接触面積のベクトルを検出したり、することもできる。また、触感呈示素子として、振動モータ(偏心モータ)を用い、該振動モータを振動させることにより、パネル10のタッチ面10aを間接的に振動させるように構成することもできる。
【0067】
また、上述した実施の形態では、基準値(基準電圧)を1.5V又は1.6Vとして説示したが、本発明はこれに限定されず、基準値は0Vであってもよい。また、上述した実施の形態では、押圧に基づくデータとして、デジタルデータであるADC値を用いて説示したが、本発明はこれに限定されず、押圧に基づくデータは、アナログデータである出力電圧であってもよく、本発明に係る処理は、データ閾値も含めてすべてアナログデータで処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 電子機器
10 パネル
20 表示部
30 触感呈示部
31 圧電素子
40 記憶部
50 制御部
51 押下/リリース判定部
52 触感制御部
61,62 切替スイッチ
71,72 コンデンサ
80 ADC(アナログデジタルコンバータ)
521,522 ステップアップコンバータ
523 正極電圧制御回路
524 負極電圧制御回路
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【国際調査報告】