(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013105524
(43)【国際公開日】20130718
【発行日】20150511
(54)【発明の名称】シーラント用樹脂組成物、積層フィルムおよび包装袋
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/10 20060101AFI20150414BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20150414BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20150414BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20150414BHJP
【FI】
   !C09K3/10 Z
   !C09K3/10 R
   !B65D30/02
   !B65D65/40 D
   !B65D81/24 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】2013553278
(21)【国際出願番号】JP2013050019
(22)【国際出願日】20130107
(31)【優先権主張番号】2012003221
(32)【優先日】20120111
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目23番7号
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目23番7号 藤森工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 甲介
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目23番7号 藤森工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】稲田 正和
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目23番7号 藤森工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】吉田 美帆子
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目23番7号 藤森工業株式会社内
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
3E086
4H017
【Fターム(参考)】
3E064BA24
3E064BB03
3E064BC18
3E067AB01
3E067AB26
3E067AB81
3E067BA12A
3E067CA04
3E067CA24
3E067EA06
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD02
3E086AA23
3E086AC07
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA15
3E086BB02
3E086BB05
3E086BB15
3E086BB51
3E086CA01
3E086CA11
3E086CA28
3E086CA35
4H017AA04
4H017AB07
4H017AC01
4H017AC02
4H017AC07
4H017AC11
4H017AC16
4H017AD06
4H017AE04
(57)【要約】
内容物に含まれる有機成分に対する非吸着性と、ヒートシールを向上することが可能なシーラント用樹脂組成物、積層フィルムおよび包装袋を提供することを目的とし、シクロオレフィンポリマー(COP)とシクロオレフィンコポリマー(COC)とを含有するシーラント用樹脂組成物であって、その配合比は、シクロオレフィンポリマー(COP)10〜95重量%、シクロオレフィンコポリマー(COC)5〜90重量%であるシーラント用樹脂組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロオレフィンポリマーとシクロオレフィンコポリマーとを含有するシーラント用樹脂組成物であって、シクロオレフィンポリマー10〜95重量%と、シクロオレフィンコポリマー5〜90重量%とを含有することを特徴とするシーラント用樹脂組成物。
【請求項2】
前記シクロオレフィンポリマーは、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィンの重合体またはその水素添加物であり、
前記シクロオレフィンコポリマーは、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィンと非環状オレフィンとの重合体またはその水素添加物であることを特徴とする請求項1に記載のシーラント用樹脂組成物。
【請求項3】
基材と、積層フィルムの一方の最表面となるシーラント層とを含む複数の層を有する積層フィルムにおいて、
前記シーラント層が、請求項1または2に記載のシーラント用樹脂組成物を含有することを特徴とする積層フィルム。
【請求項4】
請求項3に記載の積層フィルムで形成され、前記シーラント層をヒートシールしてなるヒートシール部を有することを特徴とする包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低分子量の有機化合物に対する非吸着性およびバリア性に優れ、かつ安定したヒートシールが可能なシーラント用樹脂組成物、積層フィルムおよび包装袋に関する。
本願は、2012年1月11日に、日本に出願された特願2012−003221号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来のポリオレフィン系樹脂をシーラントとした包装フィルムは低分子量の有機化合物に対する非吸着性およびバリア性が劣り、飲食物や化粧品等の香気成分が吸着して風味が変化したり、化粧品や薬剤等の微量な有効成分が浸透あるいは吸着して効能が低下したりする欠点がある。また、包装フィルムに対する影響としては、内容品に含まれる香味成分やアルコール類、界面活性剤などの有機成分が浸透することにより、包装フィルム内部の接着剤層やアンカー剤層、印刷層等に悪影響を及ぼして層間のラミネート強度を低下させ、デラミネーション(剥離)を起こすおそれがあるという問題もある。
【0003】
特許文献1には、シクロオレフィンコポリマー(COC)を特定のエチレン−α−オレフィン共重合体にブレンドした樹脂組成物が記載されている。
特許文献2には、ガラス転移点の低い環状オレフィン系樹脂(A)と、ガラス転移点の高い環状オレフィン系樹脂(B)とを、特定の配合割合範囲でブレンドした溶融押出用環状オレフィン系樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−291364号公報
【特許文献2】特開2010−31253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の場合、エチレン−α−オレフィン共重合体がベース樹脂(主成分となる樹脂)であるため、包装フィルムを袋としたときに内容物に含まれる上記有機成分がシーラントに吸着しやすいという問題がある。
特許文献2の場合、実施例で用いられるものはTOPAS(登録商標)社のシクロオレフィンコポリマー(COC)同士をブレンドするものであり、包装フィルムを袋としたときに内容物に含まれる上記有機成分がシーラントに吸着しやすいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、内容物に含まれる有機成分に対する非吸着性と、ヒートシールとを向上することが可能なシーラント用樹脂組成物、積層フィルムおよび包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、シクロオレフィンポリマー(以下、COPと略記することがある)とシクロオレフィンコポリマー(以下、COCと略記することがある)とを含有するシーラント用樹脂組成物であって、シクロオレフィンポリマー10〜95重量%と、シクロオレフィンコポリマー5〜90重量%とを含有することを特徴とするシーラント用樹脂組成物を提供する。
前記COPは、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィンの重合体またはその水素添加物である。前記COCは、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィンと非環状オレフィンとの重合体またはその水素添加物であることが好ましい。
また、本発明は、基材と、積層フィルムの一方の最表面となるシーラント層とを含む複数の層を有する積層フィルムにおいて、前記シーラント層が、前記シーラント用樹脂組成物を含有することを特徴とする積層フィルムを提供する。
また、本発明は、前記積層フィルムからなり、前記シーラント層をヒートシールしてなるヒートシール部を有することを特徴とする包装袋を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内容物に含まれる有機成分に対する非吸着性と、ヒートシール性とを向上することが可能なシーラント用樹脂組成物、積層フィルムおよび包装袋を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好適な実施形態に基づき、本発明を説明する。
本形態例のシーラント用樹脂組成物は、シクロオレフィンポリマー(COP)とシクロオレフィンコポリマー(COC)とを含有するシーラント用樹脂組成物であって、COP10〜95重量%と、COC5〜90重量%とを含有する。
【0010】
また、本形態例の積層フィルムは、基材とシーラント層と、必要に応じて他の中間層とを積層した構成である。すなわち、積層フィルムの一方の最表面となるシーラント層と基材と、必要に応じて他の中間層、接着剤層またはアンカー剤層などとの複数の層を有する。
ここで、シーラント層とは、ヒートシールに用いられる層であり、包装材料としては内容品に接する最内層に配置されるものである。該シーラント層が、本形態例のシーラント用樹脂組成物で形成されている。
基材または他の中間層と、シーラント層との積層は、接着剤層又はアンカー剤層を介しても良いし、基材に直接積層されていても良い。前記中間層としては、補強層、ガスバリア層、遮光層、印刷層など、適宜、一層または複数層を選択することができる。
【0011】
本発明のシーラント用樹脂組成物に用いられるシクロオレフィンポリマーは、例えば環状オレフィンの単独重合体もしくは2種以上の環状オレフィンの共重合体またはその水素添加物であり、通常COP(Cycloolefin polymer)と称されるものである。前記COPは、好ましくは非結晶性の重合体であり、より好ましくは、メタセシス等による環状オレフィンの開環重合体またはその水素添加物である。前記COPは、COC等に比べて脂環式構造を含有する比率が高く、非吸着性に優れるため、好ましい。
例えば、COPは以下の化学式(1)で表される構造を有する。
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、RおよびRは互いに同一または異種の炭素数1〜20の有機基または水素原子を示し、また、RとRは互いに環を形成していてもよい。nは1以上の整数を示す。)
【0014】
本発明のシーラント用樹脂組成物に用いられるシクロオレフィンコポリマーは、例えば1種もしくは2種以上の環状オレフィンと1種もしくは2種以上の非環状オレフィンとの共重合体またはその水素添加物であり、通常COC(Cycloolefin copolymer)と称されるものである。前記COCは、好ましくは非結晶性の重合体であり、より好ましくは、環状オレフィンとエチレンとの共重合体またはその水素添加物である。
例えば、COCは下記化学式(2)で表される構造を有することができる。
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、RおよびRは互いに同一または異種の炭素数1〜20の有機基または水素原子を示し、また、RとRは互いに環を形成していてもよい。Rは炭素数1〜20の有機基または水素原子を示す。mおよびpはそれぞれ1以上の整数を示す。)
【0017】
上記炭素数1〜20の有機基として、より具体的には、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、t−オクチル(1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル)、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等のシクロアルキル基;1−メチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル等のアルキルシクロアルキル基;アリル、プロペニル、ブテニル、2−ブテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル等のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ビフェニル基、フェノキシフェニル基、クロロフェニル基、スルホフェニル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等のアラルキル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種を単独で、あるいは2種以上を併用しても良い。
【0018】
前記COPおよび前記COCの構成モノマーとして使用される環状オレフィンとしては、例えば、炭素原子数が3〜20のシクロアルカンを有するビニルシクロアルカンおよびその誘導体、炭素原子数が3〜20のモノシクロアルケンおよびその誘導体、またはノルボルネン骨格を有する環状オレフィン(ノルボルネン系モノマー)が好ましい。
ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、下記化学式(3)に示すように、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)およびその誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセンおよびその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンおよびその誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセンおよびその誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセンおよびその誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセンおよびその誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセンおよびその誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセンおよびその誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセンおよびその誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセンおよびその誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセンおよびその誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセンおよびその誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]−5−ペンタコセンおよびその誘導体等が挙げられる。誘導体としては、置換基として上記炭素数1〜20の有機基(R、R)を1つまたは2つ以上有するものや、ノルボルナジエンのように不飽和結合を2以上有するもの等が挙げられる。
【0019】
【化3】
【0020】
前記COCの構成モノマーとして使用される非環状オレフィンとしては、例えば、エチレンや、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィン、3−デセンや3−ドデセン等が挙げられる。
【0021】
前記COPは、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィンの重合体またはその水素添加物であることが好ましく、前記COCは、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィンと非環状オレフィンとの重合体またはその水素添加物であることが好ましい。
COPとしては市販品を用いることができ、例えば日本ゼオン株式会社製のゼオネックス、ゼオノアを好適に用いることができる。COCとしても市販品を用いることができ、例えば三井化学株式会社製のアペル、ポリプラスチックス株式会社製のTOPASを好適に用いることができる。
【0022】
本発明の積層フィルムで用いられるシーラント層は、前記シーラント用樹脂組成物を用いて形成されている。該樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤等が挙げられる。
前記シーラント用樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、40℃より高いことが好ましい。ガラス転移温度が40℃以下の場合、得られるシーラント層の非吸着性が低下する。また、ブレンド前のCOPのTgが50〜140℃であることが好ましく、COCのTgも50〜140℃であることが好ましい。
【0023】
本発明においては、COPとCOCとの配合比は、両者の合計を100重量%として、COP10〜95重量%、COC5〜90重量%である。これにより、非吸着性は優れるがシール強度は低いCOPと、シール強度は優れるが非吸着性はCOPよりも低いCOCとに比べて、シール強度および非吸着性が共に良好なシーラント材が得られる。また、上記配合比とすることで、COPやCOCが単独である場合に比べて、引張伸度が著しく向上するという、驚くべき効果を確認することができた。引張伸度は、値が大きいほどフィルムが伸びやすく柔軟であることを意味する。
【0024】
積層フィルムの基材としては、耐熱性や強度などの機械的特性、印刷適性に優れた延伸フィルムが好ましく、具体的には、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(O−PET)フィルム、2軸延伸ナイロン(O−Ny)フィルム、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム等を挙げることができる。前記基材の厚さは通常10〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。
【0025】
シーラント層の内側には、シーラント層を基材または他のフィルムと接着するため、アンカー剤層または接着剤層が介在されることが好ましい。シーラント層を押出ラミネート法で形成する場合には、シーラント層の内側に接するアンカー剤層が形成される。基材としてO−PETを用いる場合にはアンカー剤層を用いなくとも良い。予め単層フィルムとして作製したシーラント層をドライラミネート法によって基材または他のフィルムと接着する場合には、シーラント層の内側に接する接着剤層が形成される。また、共押出法を用いる場合は酸変性ポリオレフィンなどの接着性樹脂を用いても良い。
前記アンカー剤層を構成するアンカー剤としては、ポリウレタン系、ポリエーテル系、アルキルチタネート(有機チタン化合物)系等、一般的に押出ラミネート法に使用されるアンカー剤が使用でき、積層フィルムの用途に合わせて選択可能である。
前記接着剤層を構成する接着剤としては、ポリウレタン系、ポリエーテル系等、一般的にドライラミネート法に使用される接着剤を使用でき、積層フィルムの用途に合わせて選択可能である。
【0026】
前記シーラント層の内側のアンカー剤層または接着剤層と前記基材との間には、中間層としてガスバリア層や補強層などが存在していても構わない。
補強層は積層フィルムの強度特性を補完する役割であって、補強層を構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(O−PET)、2軸延伸ナイロン(O−Ny)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等を挙げることができる。補強層の厚みは、通常5〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。
【0027】
ガスバリア層は、酸素や水蒸気等のガスが積層フィルムを透過することを遮断するためガスバリア性を付与する機能を有する。このようなガスバリア層としては、金属箔、アルミニウムや無機酸化物の蒸着層、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、塩化ビニリデン等のガスバリア性樹脂層が挙げられる。なお、バリア層を補強層として共用しても構わない。これらのガスバリア層は、基材または補強層を構成するフィルムの片面に設けることができ、一般には基材とシーラント層との間の中間層として設けられる。無機酸化物蒸着層の場合は、基材よりも外側の最外層(積層フィルムにおいてシーラント層の反対側の最表層)としても利用できる。
ガスバリア層の厚みは、金属箔またはガスバリア性樹脂層による場合は通常5〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。ガスバリア層として金属蒸着層または無機酸化物蒸着層を用いる場合には、これより薄くすることができる。
【0028】
本発明の積層フィルムを製造する方法としては、特に限定されることなく、押出ラミネート法、ドライラミネート法、共押出法またはこれらの併用により、積層フィルムを構成する各層を適宜積層すればよい。
本形態例の積層フィルムにおいて、シーラント層の厚さは、包装材料の用途にも依存し、特に限定されるものではないが、通常は5〜150μm程度であり、好ましくは15〜80μmである。
【0029】
本形態例の積層フィルムは、ヒートシール性と加工適性とがともに優れるので、通常の製袋機や製袋充填機を用いた製袋に適している。
本形態例の包装袋は、上述の積層フィルムの前記シーラント層をヒートシールして得られる。本形態例の包装袋は、低分子量成分の非吸着性およびバリア性にも優れているから、飲食物や化粧品、薬剤等の包装袋として好適に利用できる。包装袋の形態は、三方袋、四方袋、合掌貼り袋、ガゼット袋、自立袋等の包装袋(パウチ)のほか、例えばバッグインボックス用の内袋やドラム缶内装袋などの大型の袋等、特に限定なく適用可能である。
【0030】
本発明の包装袋に注出口を設ける場合、包装袋を構成する積層フィルムのシーラント層と接合して密封性が確保できればどのような注出口でも好適に使用できるが、前記積層フィルムのシーラント層にヒートシール可能な樹脂で注出口を形成し、この注出口と積層フィルムとをヒートシールによって接合することがより好ましい。積層フィルムと注出口とをヒートシールする場合、シーラント層を内側として積層フィルムを重ね合わせた間に注出口を挿入してヒートシールしてもよいし、注出口の一端にフランジ部や舟形形状の融着基部を設け、このフランジ部や融着基部を積層フィルムに設けた穴の周縁や包装袋の開口部内面にヒートシールしてもよい。
【実施例】
【0031】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
【0032】
(シーラント材)
表1および表2に示すように、COPを100〜0重量%、COCを0〜100重量%の範囲で配合した組成により、シーラント材用樹脂組成物を製造した。次いで、得られたシーラント材用樹脂組成物を溶融混練後、押出成形により、所定の厚さのフィルム状に成形する方法によりシーラント材を製造した。
なお、用いたCOPおよびCOCは、次のとおりである。
「COP」・・・シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名ZEONOR(登録商標)1020R)
「COC1」・・・シクロオレフィンコポリマー(ポリプラスチックス株式会社製、商品名TOPAS(登録商標)8007F−04)
「COC2」・・・シクロオレフィンコポリマー(三井化学株式会社製、商品名アペル(登録商標)APL8008T)
【0033】
(積層フィルムの製造)
厚み30μmのシーラント材とPETフィルムおよびAl箔とをドライラミネートにより貼り合わせ、PET12μm/Al箔9μm/シーラント材30μmの層構成を有する積層フィルムを得た。
【0034】
(評価方法)
上記積層フィルムを用いてパウチを作製し、下記に説明する評価を行った。ただし(4)の引張特性は、シーラント材から作製した試験片を評価した。
【0035】
(1)ヒートシール強度
JIS Z 0238に準じて、パウチのヒートシール部のシール強度(N/15mm)を引張速度300mm/min、幅15mmにて測定した。ヒートシール条件は、140℃、160℃、180℃、200℃、220℃のうちのいずれかの温度において、圧力0.2MPaで1秒間加熱および加圧するものである。
【0036】
(2)ヒートシール強度の安定領域
(1)で測定したヒートシール強度が13N/mm以上であり、かつ、各溶着温度の前後20℃のいずれかのシール強度が±1N/15mm以内の範囲に収まる温度範囲を、安定領域と定義した。
【0037】
(3)酢酸α−トコフェロールの残存率
有効成分として酢酸α−トコフェロール(ビタミンEアセテート)を含む市販の化粧水2.5mlをパウチに入れ、パウチの開口部を圧力0.2MPa、時間1秒、温度180℃でヒートシールして密封した。密封したパウチを40℃で1ヶ月ないし3ヶ月保管した後に開封し、化粧水中の酢酸α−トコフェロールの残存量を高速液体クロマトグラフィ法で定量し、前記残存量をもとに有効成分の残存率を算出した。
【0038】
(4)引張特性
シーラント材の引張強度(N/15mm)及び引張伸度(%)は、JIS K 7127「プラスチック−引張特性の試験方法」に規定された測定方法に準じて測定した。試験片の幅は15mm、引張速度は300mm/minとした。引張伸度の掴み具間は50mmとした。
【0039】
評価結果を表1から表4に示す。表1および表2の「ヒートシール強度」の欄において、「ヒートシール強度の安定領域」に含まれるものには、下線を添えた。
【0040】
【表1】
【0041】

【表2】
【0042】
【表3】
【0043】


【表4】
【0044】
以上の結果より、COPとCOCとの配合比(樹脂組成物全体、すなわち、COPとCOCとの合計量を100重量%とする。)が、COP10〜95重量%、COC5〜90重量%である場合(例4〜8および例12〜21)には、シール強度、非吸着性に優れていた。また、COP単独(例1)やCOC単独(例11および例23)に比べて、引張伸度が著しく向上した。COP単独(例1)では、十分なヒートシール温度が得られる温度が200℃以上と高温であり、シール強度の安定領域がみられなかった。
COC1が80重量%以上(例9〜11)では、引張伸度が低く、COC1単独(例11)と同程度であった。さらに、COC1単独(例11)では、180℃程度の低温ではヒートシール強度が良いが、それ以上の温度ではヒートシール強度が下降した。
COC2が95重量%以上(例22)では、ヒートシール強度および引張伸度が低く、COC2単独(例23)と同程度かそれよりも低下した。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、特に、飲食物や化粧品、薬剤等、香料や有効成分を含有する内容品の包装に好適に利用することができる。
【国際調査報告】