(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013108393
(43)【国際公開日】20130725
【発行日】20150511
(54)【発明の名称】ビーム位置モニタ装置及び粒子線治療装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/29 20060101AFI20150414BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20150414BHJP
【FI】
   !G01T1/29 C
   !A61N5/10 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】2012516402
(21)【国際出願番号】JP2012051195
(22)【国際出願日】20120120
(11)【特許番号】5438826
(45)【特許公報発行日】20140312
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(72)【発明者】
【氏名】本田 泰三
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】原田 久
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】蒲 越虎
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌広
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】花川 和之
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大谷 利宏
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】片寄 雅
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】山田 由希子
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
【テーマコード(参考)】
2G088
2G188
4C082
【Fターム(参考)】
2G088EE29
2G088FF12
2G088FF14
2G088GG03
2G088JJ05
2G088JJ32
2G088KK35
2G088MM09
2G188AA01
2G188AA27
2G188BB01
2G188BB12
2G188BB14
2G188CC03
2G188DD03
2G188DD05
2G188DD33
2G188DD34
2G188DD35
2G188EE06
2G188EE25
2G188EE27
2G188EE29
2G188EE31
2G188EE39
2G188FF05
2G188FF23
2G188GG09
4C082AC04
4C082AE01
4C082AN10
4C082AP01
4C082AR13
(57)【要約】
荷電粒子ビームの照射に伴って発生する放射線の影響がある場合でも、荷電粒子ビームの照射位置の取得間隔を短くすることを目的とする。
ビーム位置モニタ装置(30)は、複数の位置モニタ(4)と、これらから出力される複数の信号に基づいて荷電粒子ビーム(1)の状態を演算処理するビームデータ処理装置(11)とを備え、ビームデータ処理装置(11)は、位置モニタ(4)から出力される複数の信号のAD変換器処理を実行するチャネルデータ変換部(21)を複数有し、AD変換器処理された電圧情報に基づいて、ビーム(1)のビーム位置を計算する位置サイズ処理部(23)を位置モニタ(4)毎に有し、ビーム(1)が照射対象(15)に照射されている間に、複数の信号を対応する位置モニタ(4)毎にタイミングをずらしてAD変換器処理を実行するように、複数のチャネルデータ変換部(21)を制御する統括制御部(40)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速器により加速され、走査電磁石で走査された荷電粒子ビームの状態を演算処理するビーム位置モニタ装置であって、
前記荷電粒子ビームの通過位置を複数の検出チャネルにより検出する複数の位置モニタと、複数の前記位置モニタから出力される複数のアナログ信号に基づいて前記荷電粒子ビームの状態を演算処理するビームデータ処理装置と、を備え、
前記ビームデータ処理装置は、
前記位置モニタから出力される複数のアナログ信号を、前記アナログ信号毎にデジタル信号に変換するAD変換器処理を実行するチャネルデータ変換部を複数有し、
複数の前記チャネルデータ変換部により処理された複数の電圧情報に基づいて、前記位置モニタにおける前記荷電粒子ビームの通過位置であるビーム位置を計算する位置サイズ処理部を前記位置モニタ毎に有し、
前記荷電粒子ビームが照射対象に照射されている間に、前記AD変換器処理を前記位置モニタ毎にタイミングをずらして実行するように、複数の前記チャネルデータ変換部を制御する統括制御部を有することを特徴とするビーム位置モニタ装置。
【請求項2】
前記統括制御部は、前記荷電粒子ビームを前記目標位置に走査する前記走査電磁石への指令の設定が完了したことを示すスポット間移動完了信号を受信する度に、複数の前記チャネルデータ変換部を前記位置モニタ毎に対応してグループ化されたデータ変換部グループの複数のうち前記AD変換器処理を実行していない一つのデータ変換部グループに対して前記AD変換器処理を開始する処理開始信号を出力し、前記処理開始信号を出力してから所定の開始遅延時間が経過した後に、前記AD変換器処理を実行していない他のデータ変換部グループに対して前記AD変換器処理を開始する処理開始信号を出力することを特徴とする請求項1記載のビーム位置モニタ装置。
【請求項3】
前記ビームデータ処理装置は、前記位置サイズ処理部により計算された前記ビーム位置が許容範囲にあるかを前記荷電粒子ビームの目標位置及び位置許容値に基づいて判定し、前記ビーム位置が許容範囲にないと判定した場合に位置異常信号を生成する異常判定処理部を前記位置モニタ毎に有することを特徴とする請求項1または2に記載のビーム位置モニタ装置。
【請求項4】
前記位置モニタは2つ設けられ、
前記統括制御部は、2つの前記データ変換部グループに対して交互に前記AD変換器処理を開始する処理開始信号を出力することを特徴とする請求項2または3に記載のビーム位置モニタ装置。
【請求項5】
前記位置サイズ処理部は、複数の前記チャネルデータ変換部により処理された複数の前記電圧情報に基づいて、前記位置モニタを通過する前記荷電粒子ビームのビームサイズを計算し、
前記異常判定処理部は、前記荷電粒子ビームの目標ビームサイズ及びサイズ許容値に基づいて前記ビームサイズが許容範囲にあるかを判定し、前記ビームサイズが許容範囲にないと判定した場合にサイズ異常信号を生成することを特徴とする請求項3または4に記載のビーム位置モニタ装置。
【請求項6】
荷電粒子ビームを発生させ、この荷電粒子ビームを加速器で加速させるビーム発生装置と、前記加速器により加速された荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送系と、前記ビーム輸送系で輸送された荷電粒子ビームを照射対象に照射する粒子線照射装置と、を備え、
前記粒子線照射装置は、前記照射対象に照射する荷電粒子ビームを走査する走査電磁石と、前記走査電磁石で走査された荷電粒子ビームの状態を演算処理するビーム位置モニタ装置を有し、
前記ビーム位置モニタ装置は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のビーム位置モニタ装置であることを特徴とする粒子線治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用や研究用に用いられる粒子線治療装置に関し、特にスポットスキャニングやラスタースキャニングといった走査型の粒子線治療装置における粒子線ビームの位置やサイズのデータ処理に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に粒子線治療装置は、荷電粒子ビームを発生するビーム発生装置と、ビーム発生装置につながれ、発生した荷電粒子ビームを加速する加速器と、加速器で設定されたエネルギーまで加速された後に出射される荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送系と、ビーム輸送系の下流に設置され、荷電粒子ビームを照射対象に照射するための粒子線照射装置とを備える。粒子線照射装置には大別すると、荷電粒子ビームを散乱体で散乱拡大し、拡大した荷電粒子ビームを照射対象の形状にあわせて照射野を形成するブロード照射方式と、照射対象の形状に合わせるように、細いペンシル状のビームを走査して照射野形成するスキャニング照射方式(スポットスキャニング、ラスタースキャニング等)とがある。
【0003】
ブロード照射方式は、コリメータやボーラスを用いて患部形状に合う照射野を形成する。患部形状に合う照射野を形成し、正常組織への不要な照射を防いでおり、最も汎用的に用いられている、優れた照射方式である。しかし、患者ごとにボーラスを製作したり、患部に合わせてコリメータを変形させたりする必要がある。
【0004】
一方、スキャニング照射方式は、コリメータやボーラスが不要といった自由度の高い照射方式である。しかし、患部以外の正常組織への照射を防ぐこれら部品を用いないため、ブロード照射方式以上に高いビーム照射位置精度が要求される。
【0005】
特許文献1には、照射位置を変えるときに荷電粒子ビームを停止させないラスタースキャニング照射方式において、荷電粒子ビームの走査途中で収集された電荷と走査完了時に収集された電荷とが正確に区別されないことが主因となってビーム位置測定の精度が低下するという問題を解決することを目的とした粒子線治療装置のビーム位置モニタが開示されている。特許文献1のビーム位置モニタは、荷電粒子ビームの電離作用で生じる収集電荷を収集する収集電極(位置モニタのセンサ部に相当する)と、収集電荷を利用してビーム位置を特定するためのビーム位置演算を行う信号処理回路を備える。信号処理回路は、収集電極における電流出力をI/V変換した電圧信号を生成するI/V変換器と、この電圧信号の入力を受けて収集電荷に関するデジタル信号を生成するデジタル信号生成回路と、停止照射点(スポットスキャニング照射方式の照射スポットに相当する)から次の停止照射点に走査される荷電粒子ビームが非走査状態(停止照射点に停留している状態)で生成される信号をタイミング信号として受信するタイミング信号送受信部と、タイミング信号送受信部がタイミング信号を受信したタイミングで、デジタル信号生成回路により生成された収集電荷に関するデジタル信号の入力を受けて、入力を受けた収集電荷に関するデジタル信号を用いてビーム位置演算を行うビーム位置演算部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−60523号公報(0008段から0011段、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スキャニング照射方式の粒子線治療装置では、高いビーム照射位置精度が要求さるので、ビーム位置モニタ装置により頻繁にビーム位置の確認を行うことが必要である。ビーム位置モニタ装置は、例えば、荷電粒子ビームの通過位置を複数の検出チャネルにより検出する位置モニタと、位置モニタから出力される複数のアナログ信号に基づいて位置モニタにおける荷電粒子ビームの通過位置であるビーム位置を計算するビームデータ処理装置を備える。ビームデータ処理装置は位置モニタの近くに設置される。ビームデータ処理装置を構成する電子デバイスは、荷電粒子ビームの照射に伴って発生する放射線の影響で誤動作しないようにするために、動作速度を個別に高速化することには限界がある。
【0008】
特許文献1に開示された発明においては、荷電粒子ビームが走査されていない非走査状態で生成される信号のタイミングで、被検体に設定された停止照射点において荷電粒子ビームが走査停止して照射された照射位置データを1回のみ取得することはできるものの、これは照射位置データの取得間隔が、照射位置データの処理時間に比べて長い場合に可能である。上述したように、特許文献1のビーム位置モニタも荷電粒子ビームの照射に伴って発生する放射線の影響を受けるので、放射線の影響で誤動作を防ぐために、電子デバイスの動作速度を個別に高速化できず、照射位置データの取得間隔を短縮することはできない。
【0009】
照射位置データの取得間隔が照射位置データの処理時間に比べて短い場合には、特許文献1のビーム位置モニタは、適切な工夫がないので停止照射点における照射位置データの取得を続けることはできない問題があった。このため、停止照射点で必ずビーム位置データを取得する場合には、停止照射点における照射位置データの取得を続けることができるような走査パターンによる照射方法により粒子線治療を行うしかなく、同一の停止照射点における複数回のデータ取得により高精度で安全性をより高めた荷電粒子ビームの照射を行うことや、停止照射点における照射時間を短縮することにより粒子線治療における1回の治療時間の短縮を行うことはできなかった。
【0010】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、荷電粒子ビームの照射に伴って発生する放射線の影響がある場合でも、荷電粒子ビームの照射位置の取得間隔を短くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のビーム位置モニタ装置は、荷電粒子ビームの通過位置を複数の検出チャネルにより検出する複数の位置モニタと、複数の位置モニタから出力される複数のアナログ信号に基づいて荷電粒子ビームの状態を演算処理するビームデータ処理装置と、を備える。ビームデータ処理装置は、複数のチャネルデータ変換部と、複数の位置モニタ毎に処理を行う複数の位置サイズ処理部と、統括制御部とを有する。チャネルデータ変換部は、位置モニタから出力される複数のアナログ信号を、アナログ信号毎にデジタル信号に変換するAD変換器処理を実行する。位置サイズ処理部は、複数のチャネルデータ変換部により処理された複数の電圧情報に基づいて、位置モニタにおける荷電粒子ビームの通過位置であるビーム位置を計算する。統括制御部は、荷電粒子ビームが照射対象に照射されている間に、AD変換器処理を位置モニタ毎にタイミングをずらして実行するように、複数のチャネルデータ変換部を制御する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のビーム位置モニタ装置によれば、統括制御部により複数のアナログ信号を対応する位置モニタ毎にタイミングをずらしてAD変換器処理を実行するように、複数のチャネルデータ変換部を制御するので、荷電粒子ビームの照射に伴って発生する放射線の影響がある場合でも、荷電粒子ビームの照射位置を短い取得間隔で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1によるビーム位置モニタ装置の構成を示す図である。
【図2】図1のビーム位置モニタ装置を備えた粒子線照射装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1による粒子線治療装置の概略構成図である。
【図4】図1のビーム位置モニタ装置の動作を説明するタイミング図である。
【図5】図1の位置サイズ処理部の動作を説明するフローチャートである。
【図6】図1の異常判定処理部の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるビーム位置モニタ装置の構成を示す図である。図2は本発明の実施の形態1によるビーム位置モニタ装置を備えた粒子線照射装置の構成を示す図であり、図3は本発明の実施の形態1による粒子線治療装置の概略構成図である。図3において、粒子線治療装置51は、ビーム発生装置52と、ビーム輸送系59と、粒子線照射装置58a、58bとを備える。ビーム発生装置52は、イオン源(図示せず)と、前段加速器53と、シンクロトロン54とを有する。粒子線照射装置58bは回転ガントリ(図示せず)に設置される。粒子線照射装置58aは回転ガントリを有しない治療室に設置される。ビーム輸送系59の役割はシンクロトロン54と粒子線照射装置58a、58bの連絡にある。ビーム輸送系59の一部は回転ガントリ(図示せず)に設置され、その部分には複数の偏向電磁石55a、55b、55cを有する。
【0015】
イオン源で発生した陽子線等の粒子線である荷電粒子ビームは、前段加速器53で加速され、加速器であるシンクロトロン54に入射される。荷電粒子ビームは、所定のエネルギーまで加速される。シンクロトロン54から出射された荷電粒子ビームは、ビーム輸送系59を経て粒子線照射装置58a、58bに輸送される。粒子線照射装置58a、58bは荷電粒子ビームを照射対象15(図2参照)に照射する。なお、粒子線照射装置58a、58bのそれぞれについて、共通な説明は符号の区別をせずに粒子線照射装置58として説明する。
【0016】
ビーム発生装置52で発生され、所定のエネルギーまで加速された荷電粒子ビーム1は、ビーム輸送系59を経由し、粒子線照射装置58へと導かれる。図2において、粒子線照射装置58は、荷電粒子ビーム1に垂直な方向であるX方向及びY方向に荷電粒子ビーム1を走査するX方向走査電磁石2及びY方向走査電磁石3と、位置モニタ4a及び位置モニタ4bと、線量モニタ5と、線量データ変換器6と、ビームデータ処理装置11と、走査電磁石電源7と、粒子線照射装置58を制御する照射管理装置8とを備える。照射管理装置8は、照射制御計算機9と照射制御装置10とを備える。線量データ変換器6は、トリガ生成部12と、スポットカウンタ13と、スポット間カウンタ14とを備える。位置モニタ4a、位置モニタ4b、ビームデータ処理装置11は、ビーム位置モニタ装置30を構成する。なお、荷電粒子ビーム1の進行方向はZ方向である。位置モニタ4a、4bのそれぞれの共通な説明は、適宜、符号の区別をせずに位置モニタ4として説明する。
【0017】
X方向走査電磁石2は荷電粒子ビーム1をX方向に走査する走査電磁石であり、Y方向走査電磁石3は荷電粒子ビーム1をY方向に走査する走査電磁石である。位置モニタ4a及び位置モニタ4bは、X方向走査電磁石2及びY方向走査電磁石3で走査された荷電粒子ビーム1が通過するビームにおける通過位置(重心位置)やサイズを検出する。適宜、位置モニタ4aを主位置モニタと呼び、位置モニタ4bを副位置モニタと呼ぶことにする。線量モニタ5は、荷電粒子ビーム1の線量を検出する。照射管理装置8は、図示しない治療計画装置で作成された治療計画データに基づいて、照射対象15における荷電粒子ビーム1の照射位置を制御し、線量モニタ5で測定され、線量データ変換器6でデジタルデータに変換された線量が目標線量に達すると荷電粒子ビーム1を停止する。走査電磁石電源7は、照射管理装置8から出力されたX方向走査電磁石2及びY方向走査電磁石3への制御入力(指令)に基づいてX方向走査電磁石2及びY方向走査電磁石3の設定電流を変化させる。
【0018】
ここでは、粒子線照射装置58のスキャニング照射方式を、荷電粒子ビーム1の照射位置を変えるときに荷電粒子ビーム1を停止させないが、スポットスキャニング照射方式のようにビーム照射位置がスポット位置間を次々と移動していく方式として説明する。スポットカウンタ13は、荷電粒子ビーム1のビーム照射位置が停留している間の照射線量を計測するものである。スポット間カウンタ14は、荷電粒子ビーム1のビーム照射位置が移動している間の照射線量を計測するものである。トリガ生成部12は、ビーム照射位置における荷電粒子ビーム1の線量が目標照射線量に達した場合に、線量満了信号sigbを生成するものである。
【0019】
図1において、ビーム位置モニタ装置30は、位置モニタ4a、位置モニタ4b、ビームデータ処理装置11を備える。位置モニタ4a、位置モニタ4bは、例えば同じ構成である。ビームデータ処理装置11は、データ処理部22と統括制御部40とを備える。データ処理部22は、主位置モニタである位置モニタ4aのデータ処理部と、副位置モニタである位置モニタ4bのデータ処理部とを備える。位置モニタ4aのデータ処理部は、位置モニタ4aのXチャネル信号を処理するXデータ処理部16mと、位置モニタ4aのYチャネル信号を処理するYデータ処理部17mとを備える。位置モニタ4bのデータ処理部は、位置モニタ4bのXチャネル信号を処理するXデータ処理部16sと、位置モニタ4bのYチャネル信号を処理するYデータ処理部17sとを備える。
【0020】
Xデータ処理部16mはXチャネル信号線18aを介して位置モニタ4aに接続され、Yデータ処理部17mはYチャネル信号線19aを介して位置モニタ4aに接続される。Xデータ処理部16sはXチャネル信号線18bを介して位置モニタ4bに接続され、Yデータ処理部17sはYチャネル信号線19bを介して位置モニタ4bに接続される。Xチャネル信号線18a、Xチャネル信号線18b、Yチャネル信号線19a及びYチャネル信号線19bは、複数のチャネルデータ変換部21a乃至21nの個数分の信号線を含む。Xデータ処理部16m、Xデータ処理部16s、Yデータ処理部17m、Yデータ処理部17sは、それぞれ同じ構成である。Xデータ処理部16m、Xデータ処理部16sのそれぞれについて、共通な説明は符号の区別をせずにXデータ処理部16として説明する。同様に、Yデータ処理部17m、Yデータ処理部17sのそれぞれについて、共通な説明は符号の区別をせずにYデータ処理部17として説明する。
【0021】
Xデータ処理部16mを例に、説明する。Xデータ処理部16mは、位置モニタ4aの複数のXチャネル信号数に対応する複数のチャネルデータ変換部21a乃至21nと、ID受信部34と、位置サイズ処理部23と、異常判定処理部24と、データメモリ25とを備える。なお、図1において、チャネルデータ変換部21は2つのみ示し、2つのチャネルデータ変換部21a、21nの間を複数の点を表示し、途中のチャネルデータ変換部21を省略した。また、Xチャネル信号線18a、Xチャネル信号線18b、Yチャネル信号線19a及びYチャネル信号線19bは、図が複雑にならないように、それぞれ図1において太線1本で示した。なお、Xデータ処理部16mの複数のチャネルデータ変換部21a乃至21n及びYデータ処理部17mの複数のチャネルデータ変換部21a乃至21nは、主位置モニタ4aに対応してグループ化されたデータ変換部グループを構成する。また、Xデータ処理部16sの複数のチャネルデータ変換部21a乃至21n及びYデータ処理部17sの複数のチャネルデータ変換部21a乃至21nは、副位置モニタ4bに対応してグループ化されたデータ変換部グループを構成する。
【0022】
位置モニタ4a、4bは、メッシュ状にセンサ部が張り巡らされており、多数の検出チャネル(X方向、Y方向の各チャネル)を有している。これら多数のチャネルはアナログ信号として電流信号を出力する。位置モニタ4aのXch(Xチャネル)のアナログ信号は、それぞれXデータ処理部16mにおける位置モニタ4aのチャネルデータ変換部21aから21nに接続され、Ych(Yチャネル)のアナログ信号は、それぞれYデータ処理部17mにおける位置モニタ4aのチャネルデータ変換部21aから21nに接続される。Xchは粒子線照射装置58のX方向に対応し、Ychは粒子線照射装置58のY方向に対応する。
【0023】
チャネルデータ変換部21aは、位置モニタ4aから出力される電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換器31と、変換された電圧信号をデジタル信号に変換するAD変換処理を行う複数のAD変換器33とを備える。ID受信部34は、スポットID(SID)の識別データであるIDデータとIDデータを確定するためのストローブ信号sbm(sbs)を統括制御部40から受けて、位置サイズ処理部23にスポットIDを送信し、異常判定処理部24にスポットIDを送信する。なお、スポットIDの符号はSIDを用いるが、スポットIDと符号のSIDを連続して表記する場合に、混乱しないようにスポットアイディーSIDと表記することにする。
【0024】
位置サイズ処理部23は、複数のチャネルデータ変換部21a乃至21nによりAD変換処理された電圧Viを受信し、各電圧Viに基づいて重心計算のようにビーム位置Pを計算する。また、位置サイズ処理部23は、各電圧Viに基づいて標準偏差計算のようにビームサイズSを計算する。ビームサイズSは、1次元のガウス分布の1σに相当する長さである。Xデータ処理部16の位置サイズ処理部23は、X方向におけるビーム位置Px及びビームサイズSxを計算し、Yデータ処理部17の位置サイズ処理部23は、Y方向におけるビーム位置Py及びビームサイズSyを計算する。位置サイズ処理部23は、計算したビーム位置P及びビームサイズSをデータメモリ25に保存する。Xデータ処理部16のデータメモリ25にビーム位置Px及びビームサイズSxが保存され、Yデータ処理部17のデータメモリ25にビーム位置Py及びビームサイズSyが保存される。
【0025】
異常判定処理部24は、荷電粒子ビーム1の照射前に照射制御装置10から受信したプリセットデータPDに基づいて、ビーム位置P及びビームサイズSに異常があるがどうか、すなわちビーム位置P及びビームサイズSが許容できるか否かを判定する。なお、プリセットデータPDはXデータ処理部16m、Xデータ処理部16s、Yデータ処理部17m、Yデータ処理部17sで異なっており、それぞれに対応するプリセットデータPD、すなわちプリセットデータPDxm、PDxs、PDym、PDysが用意されている。プリセットデータの符号は、総括的にPDを用い、区別して説明する場合にPDxm、PDxs、PDym、PDysを用いる。他の符号におけるxm、xs、ym、ysについても同様とする。
【0026】
異常判定処理部24は、ビーム位置Pが許容できないと判定した場合に、位置異常信号sige1を照射制御装置10に出力する。また、異常判定処理部24は、ビームサイズSが許容できないと判定した場合に、サイズ異常信号sige2を照射制御装置10に出力する。Xデータ処理部16mの異常判定処理部24は、位置異常信号sige1xm及びサイズ異常信号sige2xmを出力し、Yデータ処理部17mの異常判定処理部24は、位置異常信号sige1ym及びサイズ異常信号sige2ymを出力する。同様に、Xデータ処理部16sの異常判定処理部24は、位置異常信号sige1xs及びサイズ異常信号sige2xsを出力し、Yデータ処理部17sの異常判定処理部24は、位置異常信号sige1ys及びサイズ異常信号sige2ysを出力する。
【0027】
統括制御部40は、照射制御装置10からIDデータであるスポットアイディーSID、スポット間移動完了信号siga、線量満了信号sigbを受信し、Xデータ処理部16m、Xデータ処理部16s、Yデータ処理部17m及びYデータ処理部17sに、処理を行うための信号を送信する。統括制御部40は、Xデータ処理部16m、Xデータ処理部16s、Yデータ処理部17m及びYデータ処理部17sに、スポットアイディーSIDを送信する。統括制御部40は、Xデータ処理部16m及びYデータ処理部17mに、スポットアイディーSIDを確定するためのIDストローブsbmと処理開始を指示する処理開始信号sigcmを送信する。また、統括制御部40は、Xデータ処理部16s及びYデータ処理部17sに、スポットアイディーSIDを確定するためのIDストローブsbsと処理開始を指示する処理開始信号sigcsを送信する。
【0028】
Xデータ処理部16及びYデータ処理部17の位置サイズ処理部23は、荷電粒子ビーム1の照射完了後にそれぞれビーム位置P及びビームサイズSの実績データdata1を、実績データ線29を介して照射制御計算機9に出力する。なお、実績データdata1には、後述するように位置異常やビームサイズ異常を示す情報を含んでいる。Xデータ処理部16mの位置サイズ処理部23は照射制御計算機9に実績データ線29を介して実績データdata1xmを出力し、Xデータ処理部16sの位置サイズ処理部23は照射制御計算機9に実績データ線29を介して実績データdata1xsを出力する。Yデータ処理部17mの位置サイズ処理部23は照射制御計算機9に実績データ線29を介して実績データdata1ymを出力し、Yデータ処理部17sの位置サイズ処理部23は照射制御計算機9に実績データ線29を介して実績データdata1ysを出力する。実績データ線29は、図が複雑にならないように、太線1本で示した。
【0029】
実施の形態1のビーム位置モニタ装置30のビームデータ処理装置11は、位置モニタ4a及び位置モニタ4bからの電流信号を交互に処理することで、荷電粒子ビーム1の照射に伴って発生する放射線の影響がある場合でも、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSの取得間隔を短くすることができる。また、ビームデータ処理装置11は、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSの取得間隔が短いので、照射スポットにおいて荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを複数回のデータ取得ができる。したがって、例えば照射スポットにおいて荷電粒子ビーム1の照射中に荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常が発生した場合にも荷電粒子ビーム1の照射位置であるビーム位置Pや、荷電粒子ビーム1のビームサイズSを検出し、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常を示す異常検出信号を生成することができる。位置異常信号sige1は、荷電粒子ビーム1の位置異常を示す異常検出信号である。サイズ異常信号sige2は、荷電粒子ビーム1のサイズ異常を示す異常検出信号である。ビーム位置モニタ装置30の動作を、タイミング図を用いて説明する。
【0030】
図4はビーム位置モニタ装置の動作を説明するタイミング図である。図4のタイミング図は、荷電粒子ビーム1の停留状態において2回、荷電粒子ビーム1のデータを収集する例であり、停留状態において位置モニタ4aと位置モニタ4bから交互にデータを収集する例である。位置モニタ4aの処理開始を指示する処理開始信号sigcmと位置モニタ4bの処理開始を指示する処理開始信号sigcsは、同一周期のパルス信号であり、処理開始信号sigcmと処理開始信号sigcsとの立ち上がり時間の差は周期の1/4とした例である。処理開始信号sigcmと処理開始信号sigcsの周期及び立ち上がり時間差は、治療計画と連携して決定する。
【0031】
測定1、測定2は、それぞれのAD変換処理とビーム位置P及びビームサイズSの計算のタイミングを示している。adcを付した期間はAD変換処理の期間を示しており、cを付した期間はビーム位置P及びビームサイズSの計算期間を示している。AD変換処理を開始させるトリガ信号は、処理開始信号sigcmと処理開始信号sigcsである。荷電粒子ビーム1の照射を開始する前に、予め照射管理装置8の照射制御装置10から、全てのスポットアイディーSIDが統括制御部40に送信されている。
【0032】
照射管理装置8の照射制御装置10から、粒子線治療装置51の各装置にスキャン開始指令sigs1が送信され、荷電粒子ビーム1の照射が開始される。統括制御部40はスキャン開始指令sigs1が送信されるとIDデータとして初めのスポットアイディーSID(図4の0001)をID受信部34に送信する。
【0033】
照射制御装置10は、ビーム発生装置52にビームオン指令sigs2を送信する。荷電粒子ビーム1はビーム発生装置52からビーム輸送系59を経由し、粒子線照射装置58へと導かれる。照射制御装置10は、X方向走査電磁石2及びY方向走査電磁石3に送信した初めのスポットアイディーSID(図4の0001)に対応する指令の設定完了信号を走査電磁石電源7から受信すると、初めのスポットアイディーSID(図4の0001)に対応するX方向走査電磁石2及びY方向走査電磁石3への指令の設定が完了したことを示すスポット間移動完了信号sigaをビーム位置モニタ装置30の統括制御部40に送信する(図4の時刻t1)。
【0034】
統括制御部40は、スポット間移動完了信号sigaを受信すると、Xデータ処理部16m及びYデータ処理部17mのチャネルデータ変換部21aから21nに処理開始信号sigcmを送信し、Xデータ処理部16m及びYデータ処理部17mのID受信部34にIDストローブsbmを送信し、Xデータ処理部16s及びYデータ処理部17sのID受信部34にIDストローブsbsを送信する(スポット初期データ取集指示手順)。
【0035】
ID受信部34は、IDストローブsbm、sbsを受けるとその立ち上がりタイミングでIDデータを取り込む。ID受信部34は、位置サイズ処理部23に取り込んだスポットアイディーSIDを送信し、異常判定処理部24にスポットアイディーSIDを送信する。図4の最初のIDストローブsbm、sbsでは、IDデータとしてスポットアイディーSID(図4の0001)を取り込む。ID受信部34は、位置サイズ処理部23に取り込んだスポットアイディーSIDを送信し、異常判定処理部24にスポットアイディーSIDを送信する。ビームデータ処理装置11の異常判定処理部24は、スポットアイディーSIDを受信すると、予め取り込んでいるプリセットデータPDxm、PDym、PDxs、PDysにおけるスポットアイディーSIDに対応するデータを取得する。
【0036】
プリセットデータPDには、ビーム位置P(Px,Py)の異常判定を行うための目標位置Pd(Pdx,Pdy)及び位置許容値APと、ビームサイズS(Sx,Sy)の異常判定を行うための目標ビームサイズSd(Sdx,Sdy)及びサイズ許容値ASが含まれる。なお、主位置モニタ4aのデータを処理するXデータ処理部16m及びYデータ処理部17mに対するプリセットデータPDxm、PDymには、目標位置Pd(Pdxm,Pdym)及び位置許容値APmと、目標ビームサイズSd(Sdxm,Sdym)及びサイズ許容値ASmである。副位置モニタ4bのデータを処理するXデータ処理部16s及びYデータ処理部17sに対するプリセットデータPDxs、PDysには、目標位置Pd(Pdxs,Pdys)及び位置許容値APsと、目標ビームサイズSd(Sdxs,Sdys)及びサイズ許容値ASsである。
【0037】
Xデータ処理部16m及びYデータ処理部17mの各AD変換器33は統括制御部40から処理開始信号sigcmを受けると、図4の測定1に示すように、処理開始信号sigcmの立ち上がりからモニタ内の状態移行時間である計測遅延時間T2の後に、AD変換処理を開始する。このように、遅れて到着する粒子を考慮して、AD変換処理開始を遅らせている(スポット初期データ取集手順)。
【0038】
統括制御部40は、時刻t1から処理開始信号sigcmと処理開始信号sigcsとの立ち上がり時間の差に相当する所定の時間(開始遅延時間)が経過すると、すなわち時刻t2にてXデータ処理部16s及びYデータ処理部17sのチャネルデータ変換部21aから21nに処理開始信号sigcsを送信する(スポット中間データ取集指示手順)。Xデータ処理部16s及びYデータ処理部17sの各AD変換器33は統括制御部40から処理開始信号sigcsを受けると、図4の測定2に示すように、処理開始信号sigcsの立ち上がりからモニタ内の状態移行時間である計測遅延時間T2の後に、AD変換処理を開始する(スポット中間データ取集手順)。
【0039】
チャネルデータ変換部21aから21nの各AD変換器33は、AD変換処理が終了すると位置サイズ処理部23にビームデータを送信する。位置サイズ処理部23は、チャネルデータ変換部21aから21nにて収集されたビームデータに基づいてビーム位置P及びビームサイズSを計算する(位置サイズ計算手順)。
【0040】
異常判定処理部24は、位置サイズ処理部23からビーム位置P及びビームサイズSを受信し、プリセットデータPDに基づいて、ビーム位置P及びビームサイズSが許容できるか否かを判定する。異常判定処理部24は、ビーム位置P及びビームサイズSが許容できる場合には判定処理を終了する。異常判定処理部24は、ビーム位置P及びビームサイズSが許容できない場合の動作は後述する。
【0041】
線量データ変換器6のトリガ生成部12は、荷電粒子ビーム1の線量が当該スポットアイディーSIDに対応する照射スポットにおける目標線量が線量満了になった場合に、照射制御装置10に線量満了信号を送信する。照射制御装置10は、線量満了信号を受信すると、X方向走査電磁石2及びY方向走査電磁石3に次のスポットアイディーSID(図4の0002)に対応する指令を送信するともに、統括制御部40に線量満了信号sigbを出力する(図4の時刻t3)。
【0042】
統括制御部40は、線量満了信号sigbを受信すると、所定時間後にIDデータとしてスポットアイディーSID(図4の0002)をID受信部34に送信する(IDデータ送信手順)。
【0043】
図4のカウンタ1及び2は、それぞれスポットカウンタ13及びスポット間カウンタ14のカウント期間(線量計測期間)を示している。各波形の上側(状態1)はカウント中を示し、各波形の下側(状態0)はカウント停止中を示す。図4の走査状態は、荷電粒子ビーム1の走査状態を示している。走査状態の上側(状態1)は照射スポットに停留中を示し、走査状態の下側(状態0)は次の照射スポットへ移動中を示す。スポットカウンタ13は、荷電粒子ビーム1が次の照射スポットへの走査が開始されても、スポット遅延時間T1が経過するまで計測する。このスポット遅延時間T1は、X方向走査電磁石2及びY方向走査電磁石3に対する次の照射スポットへの走査制御が開始されるまでの制御遅れに相当する。
【0044】
照射制御装置10は、時刻t5にてX方向走査電磁石2及びY方向走査電磁石3に送信した次のスポットアイディーSID(図4の0002)に対応する指令の設定完了信号を走査電磁石電源7から受信すると、次のスポットアイディーSID(図4の0002)に対応するX方向走査電磁石2及びY方向走査電磁石3への指令の設定が完了したことを示すスポット間移動完了信号sigaをビーム位置モニタ装置30の統括制御部40に送信する。
【0045】
統括制御部40は、スポット間移動完了信号sigaを受信すると、スポット初期データ取集指示手順を実行する。Xデータ処理部16m及びYデータ処理部17mの各AD変換器33は統括制御部40から処理開始信号sigcmを受けると、スポット初期データ取集手順を実行する。
【0046】
統括制御部40は、時刻t5から処理開始信号sigcmと処理開始信号sigcsとの立ち上がり時間の差に相当する所定の時間(開始遅延時間)が経過すると、すなわち時刻t6にてスポット中間データ取集指示手順を実行する。Xデータ処理部16s及びYデータ処理部17sの各AD変換器33は統括制御部40から処理開始信号sigcsを受けると、スポット中間データ取集手順を実行する。荷電粒子ビーム1の線量が当該スポットアイディーSIDに対応する照射スポットにおける目標線量が線量満了になり、照射制御装置10は、線量データ変換器6のトリガ生成部12から線量満了信号を受信すると、X方向走査電磁石2及びY方向走査電磁石3に次のスポットアイディーSIDに対応する指令を送信するともに、統括制御部40に線量満了信号sigbを出力する(図4の時刻t7)。
【0047】
時刻t5にてスポット初期データ取集指示手順で指示されたスポットID(図4の0002)に対するAD変換処理を、チャネルデータ変換部21aから21nの各AD変換器33は実行し、AD変換処理が終了すると位置サイズ処理部23にビームデータを送信する。位置サイズ処理部23は、位置サイズ処理部23はチャネルデータ変換部21aから21nにて収集されたビームデータに基づいてビーム位置P及びビームサイズSを計算する(位置サイズ計算手順)。
【0048】
異常判定処理部24は、位置サイズ処理部23からビーム位置P及びビームサイズSを受信し、プリセットデータPDに基づいて、ビーム位置P及びビームサイズSが許容できるか否かを判定する。例えば、異常判定処理部24は、測定1の2回目の計算結果に対してビーム位置Pが許容できないと判定し、位置異常信号sige1を照射制御装置10に出力する(図4の時刻t8)。照射制御装置10は、位置異常信号sige1を受信し、インターロック作動時間T3の経過後にビームオン指令sigs2を解除する。ここで、ビームオン指令sigs2を解除することは、ビームをオフにする指令を出すことに相当する。ビーム発生装置52は、ビームオン指令sigs2の解除信号を受けて、荷電粒子ビーム1を停止する。
【0049】
位置サイズ処理部23の動作を、フローチャートを用いて説明する。図5は、位置サイズ処理部の動作を説明するフローチャートである。ステップST01にて、位置サイズ処理部23は、スポットアイディーSIDを受信する。ステップST02にて、各チャネルデータ変換部21からAD変換処理された電圧Viを受信する。ステップST03にて、各電圧Viを所定の割合wiに変換する。割合wiは、ビーム位置Pを重心計算のように計算する際の重みに相当する。
【0050】
ステップST04にて、位置サイズ処理部23は、ビーム位置P(Px,Py)を式(1)、式(2)を用いて、重心計算のように計算する。Xデータ処理部16の位置サイズ処理部23はビーム位置Pxを計算し、Yデータ処理部17の位置サイズ処理部23はビーム位置Pyを計算する。
Px=Σ(wix×Xi)/Σwix ・・・(1)
Py=Σ(wiy×Yi)/Σwiy ・・・(2)
ここで、Xiは位置モニタ4のXチャネルiのX座標であり、Yiは位置モニタ4のYチャネルiのY座標である。wixはXチャネルiの電圧Viから変換された上記割合であり、wiyはYチャネルiの電圧Viから変換された上記割合である。
【0051】
ステップST04にて、ビーム位置P(Px,Py)の計算が完了したら、位置サイズ処理部23は計算したビーム位置P(Px,Py)を異常判定処理部24に送信する。ステップST05にて、位置サイズ処理部23は、スポットアイディーSIDに対応付けてビーム位置P(Px,Py)をデータメモリ25に保存する。なお、主位置モニタである位置モニタ4aに対応する位置データはP(Pxm,Pym)であり、副位置モニタである位置モニタ4bに対応する位置データはP(Pxs,Pys)である。
【0052】
ステップST06にて、位置サイズ処理部23は、ビームサイズS(Sx,Sy)を式(3)、式(4)を用いて、標準偏差計算のように計算する。
Sx=sqr(Σwix×(Xi−Px))/Σwix) ・・・(3)
Sy=sqr(Σwiy×(Yi−Py))/Σwiy) ・・・(4)
ここで、sqrはルート計算する関数である。nは、Xチャネル及びYチャネルにおける計算対象の総計である。
【0053】
ステップST06にて、ビームサイズS(Sx,Sy)の計算が完了したら、位置サイズ処理部23は計算したビームサイズS(Sx,Sy)を異常判定処理部24に送信する。ステップST07にて、位置サイズ処理部23は、スポットアイディーSIDに対応付けてビームサイズS(Sx,Sy)をデータメモリ25に保存する。なお、主位置モニタである位置モニタ4aに対応するビームサイズはS(Sxm,Sym)であり、副位置モニタである位置モニタ4bに対応するビームサイズはS(Sxs,Sys)である。
【0054】
異常判定処理部24の動作を、フローチャートを用いて説明する。図6は、異常判定処理部の動作を説明するフローチャートである。ステップST11にて、異常判定処理部24は、スポットアイディーSIDを受信する。ステップST12にて、異常判定処理部24は、スポットアイディーSIDに対応する位置許容値AP及びサイズ許容値ASをプリセットデータPDから取得する。ステップST13にて、異常判定処理部24は、位置サイズ処理部23からビーム位置P(Px,Py)を受信する。なお、Xデータ処理部16m、Xデータ処理部16s、Yデータ処理部17m、Yデータ処理部17sの異常判定処理部24は、位置サイズ処理部23からそれぞれビーム位置Pxm、Pxs、Pym、Pysを受信する。
【0055】
ステップST14にて、異常判定処理部24は、位置異常があるかどうかを判定する。すなわち、ビーム位置P(Px,Py)と目標位置Pd(Pdx,Pdy)との差ΔP(ΔPx,ΔPy)の絶対値が、位置許容値APより大きいかを判定する。差ΔPの絶対値が位置許容値APより大きい場合は、位置異常信号sige1を照射制御装置10に送信する。Xデータ処理部16mの異常判定処理部24は、担当するデータの判定を行い、位置異常信号sige1xmを照射制御装置10に送信し、Yデータ処理部17mの異常判定処理部24は、担当するデータの判定を行い、位置異常信号sige1ymを照射制御装置10に送信する。同様に、Xデータ処理部16sの異常判定処理部24は、担当するデータの判定を行い、位置異常信号sige1xsを照射制御装置10に送信し、Yデータ処理部17sの異常判定処理部24は、担当するデータの判定を行い、位置異常信号sige1ysを照射制御装置10に送信する。
【0056】
ステップST15にて、位置サイズ処理部23からビームサイズS(Sx,Sy)を受信する。ステップST16にて、異常判定処理部24は、ビームサイズ異常があるかどうかを判定する。すなわち、ビームサイズS(Sx,Sy)と目標ビームサイズSd(Sdx,Sdy)との差ΔS(ΔSx,ΔSy)の絶対値が、サイズ許容値ASより大きいかを判定する。差ΔSの絶対値がサイズ許容値ASより大きい場合は、サイズ異常信号sige2を照射制御装置10に送信する。Xデータ処理部16mの異常判定処理部24は、担当するデータの判定を行い、サイズ異常信号sige2xmを照射制御装置10に送信し、Yデータ処理部17mの異常判定処理部24は、担当するデータの判定を行い、サイズ異常信号sige2ymを照射制御装置10に送信する。同様に、Xデータ処理部16sの異常判定処理部24は、担当するデータの判定を行い、サイズ異常信号sige2xsを照射制御装置10に送信し、Yデータ処理部17sの異常判定処理部24は、担当するデータの判定を行い、サイズ異常信号sige2ysを照射制御装置10に送信する。
【0057】
ステップST17にて、異常判定処理部24は、位置異常やビームサイズ異常があると判定した場合は、スポットアイディーSIDに対応付けて位置異常やビームサイズ異常を示す情報をデータメモリ25に保存する。
【0058】
実施の形態1のビーム位置モニタ装置30は、荷電粒子ビーム1の照射に伴って発生する放射線の影響がある場合でも、従来とは異なり、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを短い取得間隔で得ることができる。また、ビーム位置モニタ装置30は、照射位置データの取得間隔が照射位置データの処理時間に比べて短い場合でも、停止照射点における照射位置データの取得を続けることができる。ビーム位置モニタ装置30は、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを短い取得間隔で得られるので、従来とは異なり、同一の停止照射点における複数回のデータ取得や、照射スポットにおける照射時間を短縮することにより粒子線治療における1回の治療時間の短縮を行うことができる。
【0059】
実施の形態1のビーム位置モニタ装置30は、荷電粒子ビーム1が照射スポットに停留している際に、複数回、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを検出することができるので、ビームデータ処理装置11は、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを検出する度に、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常があるかどうかを判定することができる。したがって、ビーム位置モニタ装置30は、荷電粒子ビーム1が照射スポットに停留している際に、複数回、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを検出し、検出の度に荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常があるかどうかを判定するので、荷電粒子ビーム1が照射スポットに停留して照射中に、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常が発生した場合にも、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常を示す異常検出信号を生成することができる。
【0060】
実施の形態1のビーム位置モニタ装置30は、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常が発生した場合に、位置異常を示す位置異常信号sige1(sige1xm、sige1xs、sige1ym、sige1ys)やサイズ異常を示すサイズ異常信号sige2(sige2xm、sige2xs、sige2ym、sige2ys)を照射管理装置8の照射制御装置10に送信する。照射制御装置10は、荷電粒子ビーム1の照射中に荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常が発生した場合に、それぞれ位置異常信号sige1やサイズ異常信号sige2をビーム位置モニタ装置30から受信して、緊急停止処理であるインターロック処理を行うことができる。
【0061】
実施の形態1のビーム位置モニタ装置30は、複数の位置モニタ4a、4bと位置モニタ4a、4bからの電流信号を処理するデータ処理部22と統括制御部40を備え、複数の位置モニタ4a、4bからの電流信号を交互に処理するように、すなわち図4の測定1及び測定2に示したように、一方のチャネルデータ変換部21a乃至21nがデータ処理中でも他方のチャネルデータ変換部21a乃至21nがデータ処理を行うように構成したので、1回のAD変換処理に時間がかかる場合でも、1つの照射スポットにおけるデータ収集、AD変換処理を、複数回行うことができる。また、ビーム位置モニタ装置30は、複数の位置モニタ4a、4bからの電流信号を交互に処理するようにしたので、AD変換器33の処理時間に制約を受けた粒子線治療の治療計画を作成しなくてもよく、1回の治療照射がより短時間に終了するような治療計画を作成することができる。すなわち、治療時間を短くすることができる。
【0062】
実施の形態1の粒子線照射装置58は、ビーム位置モニタ装置30を備えるので、荷電粒子ビーム1の照射に伴って発生する放射線の影響がある場合でも、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを短い取得間隔で得ることができる。また、粒子線照射装置58は、照射位置データの取得間隔が照射位置データの処理時間に比べて短い場合でも、停止照射点における照射位置データの取得を続けることができる。粒子線照射装置58は、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを短い取得間隔で得られるので、同一の停止照射点における複数回のデータ取得により高精度で安全性をより高めた荷電粒子ビームの照射を行うことや、照射スポットにおける照射時間を短縮することにより粒子線治療における1回の治療時間の短縮を行うことができる。
【0063】
実施の形態1の粒子線照射装置58は、ビーム位置モニタ装置30を備えるので、荷電粒子ビーム1が照射スポットに停留している際に、複数回、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを検出し、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを検出する度に、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常があるかどうかを判定することができる。したがって、粒子線照射装置58は、荷電粒子ビーム1が照射スポットに停留している際に、複数回、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを検出し、検出の度に荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常があるかどうかを判定するので、荷電粒子ビーム1が照射スポットに停留して照射中に、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常が発生した場合にも、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常を示す異常検出信号を生成することができる。
【0064】
実施の形態1の粒子線照射装置58は、ビーム位置モニタ装置30を備えるので、荷電粒子ビーム1の照射中に荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常が発生した場合に、それぞれ位置異常信号sige1やサイズ異常信号sige2をビーム位置モニタ装置30から受信して、緊急停止処理であるインターロック処理を行うことができる。したがって、粒子線照射装置58は、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常が発生して場合に、短時間で荷電粒子ビーム1の照射を停止することができる。
【0065】
実施の形態1の粒子線治療装置51は、ビーム位置モニタ装置30を備えるので、荷電粒子ビーム1の照射に伴って発生する放射線の影響がある場合でも、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを短い取得間隔で得ることができる。また、粒子線治療装置51は、照射位置データの取得間隔が照射位置データの処理時間に比べて短い場合でも、停止照射点における照射位置データの取得を続けることができる。粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを短い取得間隔で得られるので、同一の停止照射点における複数回のデータ取得により高精度で安全性をより高めた荷電粒子ビームの照射を行うことや、照射スポットにおける照射時間を短縮することにより粒子線治療における1回の治療時間の短縮を行うことができる。
【0066】
実施の形態1の粒子線治療装置51は、ビーム位置モニタ装置30を備えるので、荷電粒子ビーム1が照射スポットに停留している際に、複数回、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを検出し、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを検出する度に、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常があるかどうかを判定することができる。したがって、粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム1が照射スポットに停留している際に、複数回、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを検出し、検出の度に荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常があるかどうかを判定するので、荷電粒子ビーム1が照射スポットに停留して照射中に、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常が発生した場合にも、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常を示す異常検出信号を生成することができる。
【0067】
実施の形態1の粒子線治療装置51は、ビーム位置モニタ装置30を備えるので、荷電粒子ビーム1の照射中に、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常が発生した場合に、それぞれ位置異常信号sige1やサイズ異常信号sige2をビームデータ処理装置11から受信して、緊急停止処理であるインターロック処理を行うことができる。したがって、粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム1の位置異常やサイズ異常が発生して場合に、短時間で荷電粒子ビーム1の照射を停止することができる。
【0068】
以上のように実施の形態1のビーム位置モニタ装置30によれば、荷電粒子ビーム1の通過位置を複数の検出チャネルにより検出する複数の位置モニタ4と、複数の位置モニタ4から出力される複数のアナログ信号に基づいて荷電粒子ビーム1の状態を演算処理するビームデータ処理装置11と、を備え、ビームデータ処理装置11は、位置モニタ4から出力される複数のアナログ信号を、アナログ信号毎にデジタル信号に変換するAD変換器処理を実行するチャネルデータ変換部21を複数有し、複数のチャネルデータ変換部21により処理された複数の電圧情報に基づいて、位置モニタ4における荷電粒子ビーム1の通過位置であるビーム位置Pを計算する位置サイズ処理部23を位置モニタ4毎に有し、荷電粒子ビーム1が照射対象15に照射されている間に、AD変換器処理を位置モニタ4毎にタイミングをずらして実行するように、複数のチャネルデータ変換部21を制御する統括制御部40を有するので、統括制御部40により複数のアナログ信号を対応する位置モニタ4毎にタイミングをずらしてAD変換器処理を実行するように、複数のチャネルデータ変換部21を制御することにより、荷電粒子ビーム1の照射に伴って発生する放射線の影響がある場合でも、荷電粒子ビーム1の照射位置Pを短い取得間隔で得ることができる。
【0069】
実施の形態1の粒子線治療装置51は、荷電粒子ビーム1を発生させ、この荷電粒子ビーム1を加速器54で加速させるビーム発生装置52と、加速器54により加速された荷電粒子ビーム1を輸送するビーム輸送系59と、ビーム輸送系59で輸送された荷電粒子ビーム1を照射対象15に照射する粒子線照射装置58と、を備え、粒子線照射装置58は、照射対象15に照射する荷電粒子ビーム1を走査する走査電磁石2、3と、走査電磁石2、3で走査された荷電粒子ビーム1の状態を演算処理するビーム位置モニタ装置30を有する。実施の形態1の粒子線治療装置51によれば、粒子線照射装置58のビーム位置モニタ装置30は荷電粒子ビーム1の通過位置を複数の検出チャネルにより検出する複数の位置モニタ4と、複数の位置モニタ4から出力される複数のアナログ信号に基づいて荷電粒子ビーム1の状態を演算処理するビームデータ処理装置11と、を備え、ビームデータ処理装置11は、位置モニタ4から出力される複数のアナログ信号を、アナログ信号毎にデジタル信号に変換するAD変換器処理を実行するチャネルデータ変換部21を複数有し、複数のチャネルデータ変換部21により処理された複数の電圧情報に基づいて、位置モニタ4における荷電粒子ビーム1の通過位置であるビーム位置Pを計算する位置サイズ処理部23を位置モニタ4毎に有し、荷電粒子ビーム1が照射対象15に照射されている間に、AD変換器処理を位置モニタ4毎にタイミングをずらして実行するように、複数のチャネルデータ変換部21を制御する統括制御部40を有するので、統括制御部40により複数のアナログ信号を対応する位置モニタ4毎にタイミングをずらしてAD変換器処理を実行するように、複数のチャネルデータ変換部21を制御することにより、荷電粒子ビーム1の照射に伴って発生する放射線の影響がある場合でも、荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを短い取得間隔で得ることができ、粒子線治療において照射位置Pを高頻度で取得することができる。
【0070】
なお、位置許容値AP及びサイズ許容値ASについて、主位置モニタ4aと副位置モニタ4bとで異なる許容値を使う例で説明したが、主位置モニタ4a及び副位置モニタ4bにおいて荷電粒子ビーム1が平行ビームと仮定できる場合には、主位置モニタ4aと副位置モニタ4bとで同一の許容値を用いても構わない。位置モニタ4の数が2つの場合で説明したが、3つ以上ある場合でよい。位置モニタ4の数が2つの場合には、ビーム位置モニタ装置30が最も小型にできるメリットがある。また、位置モニタ4の数が2つにすると、少なくとも2つの位置モニタ4を備えることが義務付けされている場合に、この2つの位置モニタ4を有効に利用できるメリットがある。
【0071】
また、ビーム位置モニタ装置30の動作を荷電粒子ビーム1の停留状態において2回、荷電粒子ビーム1のデータを収集する例で説明したが、停留状態におけるデータ取集数が多数であっても構わない。通常の粒子線治療では、停留状態における照射時間はスポット移動の時間よりも長い。このような場合でも、位置モニタ4a及び位置モニタ4bからの電流信号を交互に処理することで、照射スポットにおいて荷電粒子ビーム1の照射位置PやビームサイズSを複数回のデータ取得ができる。
【0072】
位置モニタ4aの処理開始を指示する処理開始信号sigcmと位置モニタ4bの処理開始を指示する処理開始信号sigcsの周期は、次のように設定すると、停留状態におけるデータ取集数が多数であっても、治療計画の作成が容易になり、治療計画を決定する際の候補を多数作成でき、最適な治療計画を容易に決定することができる。例えば、AD変換器33のAD変換処理時間を基に、同一のAD変換器33のAD変換処理時間が重複しないようにタイミング図上に並べられるように基本周期を設定したりする。
【0073】
また、異常判定処理部24にて計算するビーム位置P(Px,Py)と目標位置Pd(Pdx,Pdy)との差ΔP(ΔPx,ΔPy)を、位置フィードバック情報として照射制御装置10に送信することもできる。照射制御装置10は、位置フィードバック情報に基づいて荷電粒子ビーム1の位置の制御を行ってもよい。このようにすることで、位置異常判定に至らない位置ずれを補正することができる。
【0074】
また、図5のフローチャートにおいて、ビーム位置Pを計算してからビームサイズSを計算する例で説明したが、2つの演算部によりビーム位置P及びビームサイズSを並列処理するようにしてもよい。この場合、図6のフローチャートにおいて、ビーム位置P及びビームサイズSのうち早く到達したデータの判定(位置異常判定、サイズ異常判定)を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…荷電粒子ビーム、2…X方向走査電磁石、3…Y方向走査電磁石、4、4a、4b…位置モニタ、11…ビームデータ処理装置、15…照射対象、21、21a、21n…チャネルデータ変換部、23…位置サイズ処理部、24…異常判定処理部、30…ビーム位置モニタ装置、40…統括制御部、51…粒子線治療装置、52…ビーム発生装置、54…シンクロトロン、58、58a、58b…粒子線照射装置、59…ビーム輸送系、P、Px、Py、Pxm、Pym、Pxs、Pys…ビーム位置、Pd、Pdx、Pdy、Pdxm、Pdym、Pdxs、Pdys…目標位置、AP、APm、APs…位置許容値、S、Sx、Sy、Sxm、Sym、Sxs、Sys…ビームサイズ、Sd、Sdx、Sdy、Sdxm、Sdym、Sdxs、Sdys…目標ビームサイズ、AS、ASm、ASs…サイズ許容値、siga…スポット間移動完了信号、sigb…線量満了信号、sigcm、sigcs…処理開始信号、sige1、sige1xm、sige1xs、sige1ym、sige1ys…位置異常信号、sige2、sige2xm、sige2xs、sige2ym、sige2ys…サイズ異常信号。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【国際調査報告】