(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013108592
(43)【国際公開日】20130725
【発行日】20150511
(54)【発明の名称】超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20150414BHJP
【FI】
   !A61B8/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
【出願番号】2013554239
(21)【国際出願番号】JP2013000047
(22)【国際出願日】20130110
(31)【優先権主張番号】2012008858
(32)【優先日】20120119
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番2号
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 洋一
【住所又は居所】東京都港区西新橋2−38−5 パナソニックヘルスケア株式会社内
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601BB16
4C601DD01
4C601DD14
4C601EE09
4C601EE11
4C601GA26
4C601GB04
4C601JC09
4C601JC37
4C601KK31
(57)【要約】
頸動脈の血管壁の特性を計測する超音波診断装置であって、頸動脈に対し超音波の送受信行う送受信処理部と、複数位置における頸動脈の断面の受信信号に基づき、頸動脈の長軸方向と垂直な短軸断面を示す複数の短軸断面画像を生成する短軸断面画像生成部と、複数の短軸断面画像のうち、内頸動脈及び外頸動脈の短軸断面が含まれる特定短軸断面画像を選択する短軸断面画像選択部と、特定短軸断面画像における、内頸動脈及び外頸動脈の短軸断面の座標位置に基づき、頸動脈の短軸断面と平行な平面内における探触子の頸動脈に対する相対角度を算出する相対角度算出部とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波探触子が接続可能に構成され、頸動脈の血管壁の特性を計測する超音波診断装置であって、
前記超音波探触子を駆動し、前記頸動脈の断面と直交する方向の異なる複数の位置において前記断面に対して超音波を送信するための送信信号を供給する送信処理と、前記超音波探触子が受信した前記頸動脈からの反射超音波に基づき、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号を生成する受信処理とを行う送受信処理部と、
前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号に基づき、前記頸動脈の長軸方向と垂直な短軸断面を示す複数の短軸断面画像を生成する短軸断面画像生成部と、
前記複数の短軸断面画像のうち、内頸動脈及び外頸動脈の短軸断面が含まれる特定短軸断面画像を選択する短軸断面画像選択部と、
前記特定短軸断面画像における、前記内頸動脈及び前記外頸動脈の短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する相対角度算出部と、
を備えた超音波診断装置。
【請求項2】
前記短軸断面画像選択部は、さらに総頸動脈又は総頸動脈球部の短軸断面が含まれる第2特定短軸断面画像を選択し、
前記相対角度算出部は、さらに前記第2特定短軸断面画像における前記総頸動脈又は前記総頸動脈球部の短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する
請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記相対角度算出部で算出された前記相対角度を、操作者に報知する報知手段をさらに備えた、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記相対角度算出部は、前記内頸動脈及び前記外頸動脈の短軸断面の中心座標の位置、又は前記内頸動脈、前記外頸動脈及び前記総頸動脈若しくは前記総頸動脈球部の短軸断面の中心座標の位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の相対角度を算出する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記短軸断面画像選択部は、総頸動脈分岐部が含まれる短軸断面画像を基準に特定短軸断面画像又は第2特定短軸断面画像を選択する、請求項1〜4のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記短軸断面画像選択部は、前記複数の短軸断面画像に存在する前記頸動脈の短軸断面の数に基づき前記総頸動脈分岐部が含まれる短軸断面画像を特定する、請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記相対角度が適切か否かを判定する相対角度判定部を備えた、請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記相対角度判定部は、予め設定された基準角度を保持し、前記相対角度算出部で算出された相対角度と前記基準角度とのズレが閾値の範囲内であれば、前記相対角度が適切であると判定する、請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記報知手段は、前記相対角度判定部における判定結果を前記操作者に報知する、請求項7または8に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記相対角度判定部が、前記相対角度は適切であると判定した場合に、前記総頸動脈分岐部が含まれる短軸断面画像を基準にIMTを計測するための計測範囲を規定するROIを決定するROI決定部と、
前記ROIに含まれる断面の受信信号か前記頸動脈の血管壁の特性としてIMTを測定するIMT計測部と、
をさらに備えた請求項7又は8の何れかに記載の超音波診断装置。
【請求項11】
超音波探触子が接続可能に構成され、頸動脈の血管壁の特性を計測する超音波診断装置であって、
前記超音波探触子を駆動し、前記頸動脈の断面と直交する方向の異なる複数の位置において前記断面に対して超音波を送信するための送信信号を供給する送信処理と、前記超音波探触子が受信した前記頸動脈からの反射超音波に基づき、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号を生成する受信処理とを行う送受信処理部と、
前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号に基づき、前記頸動脈の長軸方向と垂直な短軸断面を示す複数の短軸断面画像を生成する短軸断面画像生成部と、
前記複数の短軸断面画像のうち、内頸動脈及び外頸動脈の短軸断面が含まれる特定短軸断面画像と、総頸動脈又は総頸動脈球部の短軸断面が含まれる第2特定短軸断面画像とを選択する短軸断面画像選択部と、
前記特定短軸断面画像及び前記第2特定短軸断面画像における、前記内頸動脈及び前記総頸動脈、前記内頸動脈及び前記総頸動脈球部、前記外頸動脈及び前記総頸動脈、又は前記外頸動脈及び前記総頸動脈球部の何れかの短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する相対角度算出部と、
を備えた超音波診断装置。
【請求項12】
前記相対角度算出部で算出された前記相対角度を、操作者に報知する報知手段をさらに備えた、請求項11に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記相対角度算出部は、前記内頸動脈及び前記総頸動脈若しくは前記総頸動脈球部の短軸断面の中心座標の位置、又は前記外頸動脈及び前記総頸動脈若しくは前記総頸動脈球部の短軸断面の中心座標の位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の相対角度を算出する、請求項11〜12のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記短軸断面画像選択部は、総頸動脈分岐部が含まれる短軸断面画像を基準に特定短軸断面画像又は第2特定短軸断面画像を選択する、請求項11〜13のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項15】
前記相対角度が適切か否かを判定する相対角度判定部をさらに備え、
前記相対角度判定部が、前記相対角度は適切であると判定した場合に、前記総頸動脈分岐部が含まれる短軸断面画像を基準にIMTを計測するための計測範囲を規定するROIを決定するROI決定部と、
前記ROIに含まれる断面の受信信号か前記頸動脈の血管壁の特性としてIMTを測定するIMT計測部と、
をさらに備えた請求項14に記載の超音波診断装置。
【請求項16】
超音波探触子が接続可能に構成され、頸動脈の血管壁の特性を計測する超音波診断装置の制御方法であって、
前記超音波探触子を駆動し、前記頸動脈の断面と直交する方向の異なる複数の位置において前記断面に対して超音波を送信するための送信信号を供給する送信処理と、前記超音波探触子が受信した前記頸動脈からの反射超音波に基づき、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号を生成する受信処理とを行う第1の工程と、
前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号に基づき、前記頸動脈の長軸方向と垂直な短軸断面を示す複数の短軸断面画像を生成する第2の工程と、
前記複数の短軸断面画像のうち、内頸動脈及び外頸動脈の短軸断面が含まれる特定短軸断面画像を選択する第3の工程と、
前記特定短軸断面画像における、前記内頸動脈及び前記外頸動脈の短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する第4の工程と、
を含む超音波診断装置の制御方法。
【請求項17】
前記第3の工程では、さらに総頸動脈又は総頸動脈球部の短軸断面が含まれる第2特定短軸断面画像を選択し、
前記第4の工程では、さらに前記第2特定短軸断面画像における前記総頸動脈又は前記総頸動脈球部の短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する、
請求項16記載の超音波診断装置の制御方法。
【請求項18】
前記相対角度を操作者に報知する第5の工程をさらに含む、請求項16または17に記載の超音波診断装置の制御方法。
【請求項19】
前記第3の工程において、総頸動脈分岐部が含まれる短軸断面画像を基準に特定短軸断面画像又は第2特定短軸断面画像を選択し、
前記相対角度が適切であると判定した場合に、前記総頸動脈分岐部が含まれる短軸断面画像を基準にIMTを計測するための計測範囲を規定するROIを決定する第6の工程と、
前記ROIに含まれる断面の受信信号か前記頸動脈の血管壁の特性としてIMTを測定する第7の工程と、
をさらに含む請求項16または17に記載の超音波診断装置の制御方法。
【請求項20】
超音波探触子が接続可能に構成され、頸動脈の血管壁の特性を計測する超音波診断装置の制御方法であって、
前記超音波探触子を駆動し、前記頸動脈の断面と直交する方向の異なる複数の位置において前記断面に対して超音波を送信するための送信信号を供給する送信処理と、前記超音波探触子が受信した前記頸動脈からの反射超音波に基づき、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号を生成する受信処理とを行う第1の工程と、
前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号に基づき、前記頸動脈の長軸方向と垂直な短軸断面を示す複数の短軸断面画像を生成する第2の工程と、
前記複数の短軸断面画像のうち、内頸動脈及び外頸動脈の短軸断面が含まれる特定短軸断面画像と、総頸動脈又は総頸動脈球部の短軸断面が含まれる第2特定短軸断面画像とを選択する第3の工程と、
前記特定短軸断面画像及び前記第2特定短軸断面画像における、前記内頸動脈及び前記総頸動脈、前記内頸動脈及び前記総頸動脈球部、前記外頸動脈及び前記総頸動脈、又は前記外頸動脈及び前記総頸動脈球部の何れかの短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する第4の工程と
を含む超音波診断装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法に関し、特に、動脈硬化を早期に発見するための頸動脈の診断技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、脳梗塞や心筋梗塞などの虚血性疾患のような循環器系疾患に罹る患者が増加している。これらの疾患を予防するには、動脈硬化の兆候を早期に発見し治療を行うことが重要である。
【0003】
動脈硬化を判定する指標として、頸動脈における内膜中膜複合体の厚さ(Intima−Media Thickness:以下、IMTと省略する。)の計測が注目されている。このIMTは、頸動脈における初期の粥状硬化を知る重要な指標である。
【0004】
図14は、頸動脈の血管の伸長した方向における断面(以下、「長軸断面」と称する)を示した断面図である。血管は、血管壁201と血管内腔204からなる。血管壁201は、内側から外側に向けて、内膜202、中膜203、外膜205から構成される。内中膜206は、内膜202と中膜203の複合体であり、IMTは内中膜206の厚さを指す。超音波診断装置を用いて、血管内腔204と外膜205との間に内中膜206を視認することができる。
【0005】
IMTの計測方法として、非侵襲的かつ簡便に実施できるという理由で、超音波検査を用いる。このIMTの計測において、頸動脈を計測対象とした理由は頸動脈が動脈硬化の好発部位であるということの他、頸動脈は皮膚表面から2〜3cmと比較的浅く超音波による計測が容易に行えるからである。そして、通常、血管の長軸方向の超音波診断画像である2次元画像に基づきIMTの計測が行われる。具体的には、図14における血管内腔204と内膜202との境界(以後、「内腔内膜境界207」とする。)および中膜203と外膜205との境界(以後、「中膜外膜境界208」とする。)を検出することで、IMTを計測できる。
【0006】
図15は、頸動脈の血管の長軸方向における構造を示した斜視図である。頸動脈は、図15に示すように、頸動脈である血管は、中枢側に位置する総頸動脈213(Common Carotid Artery:以下、CCAと略す。)、末梢側に位置する内頸動脈215(Internal Carotid Artery:以下、ICAと略す。)および外頸動脈216(External Carotid Artery:以下、ECAと略す。)とから構成される。そして、CCA213とICA215およびECA216との間には総頸動脈球部214(Bulb of the Common Carotid Artery:以下、Bulbと略す。)がある。また、Bulb214からICA215とECA216とに分岐する部分に、総頸動脈分岐部217(Bifurcation of the Common Carotid Artery:以下、Bifと略す。)がある。
【0007】
図16は、頸動脈の血管の長軸断面方向の2次元画像を示す模式図である。IMT計測範囲212を超音波診断装置によって計測する場合、図16に示すように、皮膚表面から相対的に遠い血管壁(以下、遠位壁209と称する)又は、近い血管壁(以下、近位壁210と称する)を跨ぐように関心領域(Region of interest:以下、ROI211と略する)を決定する。図16においては、遠位壁209にROI211を決定した例を示している。そして、ROI211内の血管壁をIMT計測範囲212として規定し、このIMT計測範囲212で計測されるIMTの最大厚(maxIMT)や平均厚(meanIMT)をIMT値として計測する。このIMT計測範囲212としては、非特許文献1では、図15に示すようにCCA213とBulb214との境界219(以下、CCA−Bulb境界219とする。)を起点としてCCA側に向けて1cmの範囲をIMT計測範囲212として推奨している。
【0008】
そして、このIMT計測範囲212を規定するROI211を決定する煩雑な操作を軽減し、より簡便にIMT計測を行うための各種方法が提案されている。例えば、非特許文献2では、CCA213とBulb214とのCCA−Bulb境界219たる変曲点を検出し、この変曲点を基準としてIMT計測範囲を設定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Journal of the American Society of Echocardiography February 2008(93〜111頁)
【非特許文献2】早期動脈硬化研究会、“maxIMTの計測”、[online]、平成22年9月9日、[平成23年10月5日検索]、インターネット<URL:http://www.imt−ca.com/contents/e08.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
IMT計測はその疾病の性質上、定期的にIMT計測を行う必要であり、正確な診断を行うためには毎回同一の位置でIMT計測を行うことが望ましい。
【0011】
図17は、超音波診断装置を用いて頸動脈の血管壁の特性を計測するときの、被検体の頸動脈付近の皮膚に超音波探触子を当てた状態を示した模式図である。同一の測定位置で正確な診断を行うためには、被検体の頸動脈方向に沿った適切な位置に、超音波探触子を当てる必要である。さらに、被検体の頸動脈を中心とした超音波探触子の角度についても所定の適切な角度で超音波探触子を皮膚に当てる必要である。頸動脈を中心とした超音波探触子の角度が変動すると、IMT計測の際、頸動脈の血管壁の長軸方向と垂直な断面(以後、「短軸断面」とする)において、同一の位置に超音波を照射することが困難となるからである。
【0012】
ここで、「短軸断面」とは、頸動脈の長軸方向に対して垂直方向であって、探触子からの超音波を送受信する方向(以下、「深さ方向」とする。)と、頸動脈の長軸方向および深さ方向に対し垂直な方向(以下、「短軸方向」とする。)とで構成される平面に存する血管断面のことをいう。
【0013】
図18は、超音波探触子と頸動脈の血管の位置関係を短軸方向から見た模式断面図であり、(a)は、超音波探触子の中心軸と頸動脈の血管中心が一致した状態を、(b)は超音波探触子の中心軸と頸動脈の血管中心の角度がズレた状態を示す。図17(a)に示すように、超音波探触子2が、頸動脈の中心軸220の真上にあり、頸動脈に向けて垂直に超音波が照射される場合には、皮膚表面と垂直な長軸断面の遠位壁である正規の測定位置にてIMT測定を行うことができる。他方、図18(b)に示すように、超音波探触子2が、頸動脈の中心軸220から例えば右方にズレた位置にあり、頸動脈に斜めに超音波が照射される場合には、皮膚表面と垂直な長軸断面の遠位壁から左方に離れた血管壁の部分にてIMT測定を行うこととなる。このように、被検体の頸動脈を中心とした超音波探触子の角度が変動すると測定位置のズレが発生し、血管壁の同じ位置にてIMT計測を行うことができない。
【0014】
上述の非特許文献2は、頸動脈の長軸断面において血管壁の所定の位置にIMT計測範囲を決定するための方法であって、頸動脈の短軸断面において血管壁の適切な位置にIMT計測範囲を決定する方法ではない。そのため非特許文献2の方法では、少なくとも短軸方向断面においては毎回同一の位置にIMT計測範囲を設定することはできず、当該方法は常に正確な診断を行う方法としては不十分である。
【0015】
さらに、頸動脈は被検体によってその位置や形状が異なる。また、被検体が同一であっても、例えば、首の上下方向、左右方向の曲がり具合等、首の状態によって頸動脈の位置が変動する。これらの変動要因を考慮し、頸動脈の短軸断面において血管壁の所定の位置にIMT計測範囲を決定する方法を確立することが必要である。
【0016】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、頸動脈の短軸断面における血管壁の所定の位置にIMT計測範囲を決定する超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係る超音波診断装置は、超音波探触子が接続可能に構成され、頸動脈の血管壁の特性を計測する超音波診断装置であって、前記超音波探触子を駆動し、前記頸動脈の断面と直交する方向の異なる複数の位置において前記断面に対して超音波を送信するための送信信号を供給する送信処理と、前記超音波探触子が受信した前記頸動脈からの反射超音波に基づき、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号を生成する受信処理とを行う送受信処理部と、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号に基づき、前記頸動脈の長軸方向と垂直な短軸断面を示す複数の短軸断面画像を生成する短軸断面画像生成部と、前記複数の短軸断面画像のうち、内頸動脈及び外頸動脈の短軸断面が含まれる特定短軸断面画像を選択する短軸断面画像選択部と、前記特定短軸断面画像における、前記内頸動脈及び前記外頸動脈の短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する相対角度算出部とを備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る超音波診断装置の制御方法は、超音波探触子が接続可能に構成され、頸動脈の血管壁の特性を計測する超音波診断装置の制御方法であって、前記超音波探触子を駆動し、前記頸動脈の断面と直交する方向の異なる複数の位置において前記断面に対して超音波を送信するための送信信号を供給する送信処理と、前記超音波探触子が受信した前記頸動脈からの反射超音波に基づき、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号を生成する受信処理とを行う第1の工程と、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号に基づき、前記頸動脈の長軸方向と垂直な短軸断面を示す複数の短軸断面画像を生成する第2の工程と、前記複数の短軸断面画像のうち、内頸動脈及び外頸動脈の短軸断面が含まれる特定短軸断面画像を選択する第3の工程と、前記特定短軸断面画像における、前記内頸動脈及び前記外頸動脈の短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する第4の工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記構成によって、首筋の皮膚表面に当接した超音波探触子の頸動脈の短軸断面と平行な平面内における角度を適切に測定し管理することができる。そのため、短軸断面において毎回同一の位置に計測範囲を決定できる。それゆえ、IMT計測等の頸動脈における血管壁の特性計測を、毎回、正確に実施することができ、正確な診断を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態1に係る超音波診断装置1の機能構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る超音波診断装置1において超音波探触子2を頸動脈の長軸方向と垂直にスキャンする状態を示す模式図である。
【図3】実施の形態1に係る超音波診断装置1において取得した短軸断面画像300を含む受信信号のフレームを表す図である。
【図4】実施の形態1に係る超音波診断装置1における短軸断面画像選択部10の機能構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態1に係る超音波診断装置1における相対角度算出部11の機能構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態1に係る超音波診断装置1の動作を示すフローチャートである。
【図7】(a)は、頸動脈を順方向(矢印方向)に沿った異なる複数の位置を示す模式図、(b)は、(a)中の(A)〜(D)の位置で得られた頸動脈の2次元画像を示す模式断面図である。
【図8】実施の形態1に係る超音波診断装置1における頸動脈の短軸断面と平行な平面内における探触子の頸動脈に対する相対角度の算出方法の一例を示す模式断面図である。
【図9】実施の形態2に係る超音波診断装置1Aの機能構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態2に係る超音波診断装置1Aにおける短軸断面画像選択部10Aの機能構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態2に係る超音波診断装置1Aにおける相対角度算出部11Aの機能構成を示すブロック図である。
【図12】実施の形態2に係る超音波診断装置1Aの動作を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態2に係る超音波診断装置1Aにおける頸動脈の短軸断面と平行な平面内における探触子の頸動脈に対する相対角度の算出方法の一例を示す模式断面図である。
【図14】頸動脈の血管の長軸方向における断面を示した断面図である。
【図15】頸動脈の血管の長軸方向における構造を示した斜視図である。
【図16】頸動脈の血管の長軸断面方向の2次元画像を示す模式図である。
【図17】超音波診断装置を用いて頸動脈の血管壁の特性を計測するときの、被検体の頸動脈付近の皮膚に超音波探触子を当てた状態を示す模式図である。
【図18】超音波探触子と頸動脈の血管の位置関係を短軸方向から見た模式断面図であり、(a)は、超音波探触子の中心軸と頸動脈の血管中心が一致した状態を、(b)は超音波探触子の中心軸と頸動脈の血管中心の角度がズレた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態に係る超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法について、図面を参照しながら説明する。
≪本発明を実施するための形態の概要≫
本発明を実施するための形態である超音波診断装置は、超音波探触子が接続可能に構成され、頸動脈の血管壁の特性を計測する超音波診断装置であって、前記超音波探触子を駆動し、前記頸動脈の断面と直交する方向の異なる複数の位置において前記断面に対して超音波を送信するための送信信号を供給する送信処理と、前記超音波探触子が受信した前記頸動脈からの反射超音波に基づき、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号を生成する受信処理とを行う送受信処理部と、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号に基づき、前記頸動脈の長軸方向と垂直な短軸断面を示す複数の短軸断面画像を生成する短軸断面画像生成部と、前記複数の短軸断面画像のうち、内頸動脈及び外頸動脈の短軸断面が含まれる特定短軸断面画像を選択する短軸断面画像選択部と、前記特定短軸断面画像における、前記内頸動脈及び前記外頸動脈の短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する相対角度算出部とを備えたことを特徴とする。
【0022】
また、別の態様では、前記短軸断面画像選択部は、さらに総頸動脈又は総頸動脈球部の短軸断面が含まれる第2特定短軸断面画像を選択し、前記相対角度算出部は、さらに前記第2特定短軸断面画像における前記総頸動脈又は前記総頸動脈球部の短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する構成であってもよい。
【0023】
また、別の態様では、前記相対角度算出部で算出された前記相対角度を、操作者に報知する報知手段をさらに備えた構成であってもよい。
【0024】
また、別の態様では、前記相対角度算出部は、前記内頸動脈及び前記外頸動脈の短軸断面の中心座標の位置、又は前記内頸動脈、前記外頸動脈及び前記総頸動脈若しくは前記総頸動脈球部の短軸断面の中心座標の位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の相対角度を算出する構成であってもよい。
【0025】
また、別の態様では、前記短軸断面画像選択部は、総頸動脈分岐部が含まれる短軸断面画像を基準に特定短軸断面画像又は第2特定短軸断面画像を選択する構成であってもよい。
【0026】
また、別の態様では、前記短軸断面画像選択部は、前記複数の短軸断面画像に存在する前記頸動脈の短軸断面の数に基づき前記総頸動脈分岐部が含まれる短軸断面画像を特定する構成であってもよい。
【0027】
また、別の態様では、前記相対角度が適切か否かを判定する相対角度判定部を備えた構成であってもよい。
【0028】
また、別の態様では、前記相対角度判定部は、予め設定された基準角度を保持し、前記相対角度算出部で算出された相対角度と前記基準角度とのズレが閾値の範囲内であれば、前記相対角度が適切であると判定する構成であってもよい。
【0029】
また、別の態様では、前記報知手段は、前記相対角度判定部における判定結果を前記操作者に報知する構成であってもよい。
【0030】
また、別の態様では、前記相対角度判定部が、前記相対角度は適切であると判定した場合に、前記総頸動脈分岐部が含まれる短軸断面画像を基準にIMTを計測するための計測範囲を規定するROIを決定するROI決定部と、前記ROIに含まれる断面の受信信号か前記頸動脈の血管壁の特性としてIMTを測定するIMT計測部とをさらに備えた構成であってもよい。
【0031】
また、別の態様では、超音波探触子が接続可能に構成され、頸動脈の血管壁の特性を計測する超音波診断装置であって、前記超音波探触子を駆動し、前記頸動脈の断面と直交する方向の異なる複数の位置において前記断面に対して超音波を送信するための送信信号を供給する送信処理と、前記超音波探触子が受信した前記頸動脈からの反射超音波に基づき、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号を生成する受信処理とを行う送受信処理部と、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号に基づき、前記頸動脈の長軸方向と垂直な短軸断面を示す複数の短軸断面画像を生成する短軸断面画像生成部と、前記複数の短軸断面画像のうち、内頸動脈及び外頸動脈の短軸断面が含まれる特定短軸断面画像と、総頸動脈又は総頸動脈球部の短軸断面が含まれる第2特定短軸断面画像とを選択する短軸断面画像選択部と、前記特定短軸断面画像及び前記第2特定短軸断面画像における、前記内頸動脈及び前記総頸動脈、前記内頸動脈及び前記総頸動脈球部、前記外頸動脈及び前記総頸動脈、又は前記外頸動脈及び前記総頸動脈球部の何れかの短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する相対角度算出部とを備えた構成であってもよい。
【0032】
また、本発明に係る超音波診断装置の制御方法は、超音波探触子が接続可能に構成され、頸動脈の血管壁の特性を計測する超音波診断装置の制御方法であって、前記超音波探触子を駆動し、前記頸動脈の断面と直交する方向の異なる複数の位置において前記断面に対して超音波を送信するための送信信号を供給する送信処理と、前記超音波探触子が受信した前記頸動脈からの反射超音波に基づき、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号を生成する受信処理とを行う第1の工程と、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号に基づき、前記頸動脈の長軸方向と垂直な短軸断面を示す複数の短軸断面画像を生成する第2の工程と、前記複数の短軸断面画像のうち、内頸動脈及び外頸動脈の短軸断面が含まれる特定短軸断面画像を選択する第3の工程と、前記特定短軸断面画像における、前記内頸動脈及び前記外頸動脈の短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する第4の工程とを含むことを特徴とする。
【0033】
また、別の態様では、前記第3の工程では、さらに総頸動脈又は総頸動脈球部の短軸断面が含まれる第2特定短軸断面画像を選択し、前記第4の工程では、さらに前記第2特定短軸断面画像における前記総頸動脈又は前記総頸動脈球部の短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する構成であってもよい。
【0034】
また、別の態様では、前記相対角度を操作者に報知する第5の工程をさらに含む構成であってもよい。
【0035】
また、別の態様では、前記第3の工程において、総頸動脈分岐部が含まれる短軸断面画像を基準に特定短軸断面画像又は第2特定短軸断面画像を選択し、前記相対角度が適切であると判定した場合に、前記総頸動脈分岐部が含まれる短軸断面画像を基準にIMTを計測するための計測範囲を規定するROIを決定する第6の工程と、前記ROIに含まれる断面の受信信号か前記頸動脈の血管壁の特性としてIMTを測定する第7の工程とをさらに含む構成であってもよい。
【0036】
また、別の態様では、超音波探触子が接続可能に構成され、頸動脈の血管壁の特性を計測する超音波診断装置の制御方法であって、前記超音波探触子を駆動し、前記頸動脈の断面と直交する方向の異なる複数の位置において前記断面に対して超音波を送信するための送信信号を供給する送信処理と、前記超音波探触子が受信した前記頸動脈からの反射超音波に基づき、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号を生成する受信処理とを行う第1の工程と、前記複数位置における前記頸動脈の断面の受信信号に基づき、前記頸動脈の長軸方向と垂直な短軸断面を示す複数の短軸断面画像を生成する第2の工程と、前記複数の短軸断面画像のうち、内頸動脈及び外頸動脈の短軸断面が含まれる特定短軸断面画像と、総頸動脈又は総頸動脈球部の短軸断面が含まれる第2特定短軸断面画像とを選択する第3の工程と、前記特定短軸断面画像及び前記第2特定短軸断面画像における、前記内頸動脈及び前記総頸動脈、前記内頸動脈及び前記総頸動脈球部、前記外頸動脈及び前記総頸動脈、又は前記外頸動脈及び前記総頸動脈球部の何れかの短軸断面の座標位置に基づき、前記頸動脈の短軸断面と平行な平面内における前記探触子の前記頸動脈に対する相対角度を算出する第4の工程とを含む構成であってもよい。
【0037】
以下に、本発明の超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
≪実施の形態1≫
以下、実施の形態1に係る超音波診断装置について、図面を参照しながら説明する。
<構成について>
(全体構成)
図1は、実施の形態1に係る超音波診断装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0038】
超音波診断装置1は、被験体に向けて超音波を送受信する超音波探触子2に電気的に接続可能に構成されている。図1は、超音波診断装置1に超音波探触子2が接続された状態を示す。超音波診断装置1は、制御器400を備える。制御器400は、送受信処理部3、長軸断面画像生成部4、長軸断面画像保持部5、短軸断面画像生成部6、短軸断面画像保持部7を備える。さらに、輪郭抽出部8、3次元Volumeデータ保持部9、短軸断面画像選択部10、相対角度算出部11、相対角度判定部12、ROI決定部13、IMT計測部14および表示制御部15を備える。それぞれのブロックは制御部(不図示)によって制御されている。そして、表示制御部15は、表示器16と接続した構成となっている。
(超音波探触子2)
超音波探触子2は、図2に示すように複数の圧電素子が列状に多数配列された振動子列を有する。さらに、配列方向と直交する方向(以下、揺動方向とする。)にこの振動子列が機械的に揺動可能に構成された、いわゆる揺動探触子である。
【0039】
超音波探触子2は、後述の送受信処理部3から供給されたパルス状または連続波の電気信号である送信信号をパルス状または連続波の超音波に変換し、振動子列を被検体の皮膚表面に接触させた状態で被検体の皮膚表面から頸動脈に向けて超音波ビームを照射する。その際、頸動脈の長軸断面の2次元画像を取得するために、振動子列が頸動脈に沿い頸動脈の長軸方向に沿うように超音波探触子2を配置し、超音波ビームを発射する。そして、超音波探触子2は、被検体からの反射超音波である超音波エコー信号を受信し、振動子列によりエコー信号を電気信号に変換して、この電気信号を送受信処理部3に供給する。これにより、送受信処理部3は、頸動脈の長軸断面の2次元画像を生成するための受信信号を取得する。
【0040】
さらに、超音波探触子2は、図2に示すように振動子列を配列方向と直交する方向に揺動させて、頸動脈の短軸断面の2次元画像を生成するための超音波エコー信号を取得する。具体的には、超音波探触子2は振動子が搖動させた各位置での頸動脈の長軸断面の2次元画像を生成するための超音波エコー信号を取得する。その際、超音波探触子の各振動子の間隔と、超音波探触子の搖動方向において頸動脈の長軸断面の2次元画像を取得する間隔は略同一が望ましい。例えば、振動子の配列方向において各振動子の間隔が、0.25mmとすると、仮にフレームレートが20フレーム/secの超音波診断装置の場合、例えば、4から6mm/sec、好ましくは約5mm/secの速度で探触子列の搖動を行う。これにより、0.2から0.3mm間隔、好ましくは約0.25mm間隔の頸動脈の長軸断面の2次元画像を取得することができる。
【0041】
以上、説明したように、超音波探触子2は、その配列方向が頸動脈の長軸方向に沿うように皮膚表面に当接され、その状態で超音波ビームが送信される。そして、振動子列の揺動に対応して、それぞれの揺動位置で取得される超音波エコー信号を受信し、電気信号へと変換し、この電気信号が送受信処理部3に供給される。
(送受信処理部3)
送受信処理部3は、超音波探触子2に超音波ビームを送信させるためのパルス状または連続波の電気信号を生成し、送信信号として超音波探触子2へ供給する送信処理を行う。
【0042】
送受信処理部3は、超音波探触子2から受信した電気信号を増幅してA/D変換を行い、受信信号を生成する受信処理を行う。この受信信号は、例えば、振動子列に沿った方向と振動子列から離れる深さ方向からなる複数の信号からなり、各信号はエコー信号の振幅から変換された電気信号をA/D変換したデジタル信号である。
【0043】
ここでは、頸動脈の短軸方向における複数の搖動位置において取得した、複数フレームの長軸断面の受信信号が生成される。
(長軸断面画像生成部4)
長軸断面画像生成部4は、送受信処理部3からの複数フレームの長軸断面の受信信号に基づき、超音波探触子2の振動子の揺動位置のうち、所定の搖動位置における振動子毎の受信信号に基づき頸動脈の長軸断面画像を生成する。この長軸断面画像は、主に受信信号に対し直交座標系に対応するように座標変換を施した画像信号である。
【0044】
実施の形態1では、図2に示す振動子の揺動範囲の中心位置における頸動脈の長軸断面画像を生成する構成としている。ここで、中心位置とは、送受信処理部3において長軸断面の受信信号を取得した揺動方向における複数の位置のうち中央にある位置である。中心位置において送受信処理部3にて長軸断面の受信信号を取得していない場合には平均化又は補間処理を行う。すなわち、長軸断面の受信信号を取得した位置のうち中心位置近傍の複数の搖動位置での受信信号を用いて、これらを平均化又は補間処理することにより中心位置における頸動脈の長軸断面画像を生成する。また、揺動方向における複数の位置での頸動脈の長軸断面画像を選択する構成であってもよい。
(長軸断面画像保持部5)
長軸断面画像生成部4で生成した長軸断面画像は、長軸断面画像保持部5に保存される。上述の揺動方向における複数の位置での頸動脈の長軸断面画像を生成する構成では、長軸断面画像は取得された順に長軸断面画像保持部5に保存される。
(短軸断面画像生成部6)
短軸断面画像生成部6は、送受信処理部3からの受信信号に基づき、単一の振動子に対応した各揺動位置毎の受信信号から頸動脈の短軸断面画像300を生成する。この短軸断面画像300は、主に受信信号に対し直交座標系に対応するように座標変換を施した画像信号である。そして、この処理を振動子毎に行い、振動子列方向において、一方の端部の振動子から他方の端部の振動子まで連続した複数フレームの短軸断面画像300を生成する。
(短軸断面画像保持部7)
図3は、実施の形態1に係る超音波診断装置1において取得した短軸断面画像300を含む受信信号のフレームを表す図である。短軸断面画像保持部7は、複数フレームの短軸断面画像300を、例えば、探触子列における一方の端部の振動子で生成された短軸断面画像300から順にフレームナンバーを付して記憶する。
(輪郭抽出部8)
輪郭抽出部8は、短軸断面画像保持部7にて記憶された複数フレームの短軸断面画像300を、例えばエッジ検出処理のような一般的な画像処理手法を用いることで、頸動脈の血管壁部分の輪郭部分を抽出する。
(3次元Volumeデータ保持部9)
3次元Volumeデータ保持部9は、輪郭抽出部8で得られた短軸断面画像300の輪郭部分をフレーム毎に記憶する。以後、これら輪郭抽出された複数フレームの短軸断面画像300のデータの集合群を3次元Volumeデータという。
(短軸断面画像選択部10)
短軸断面画像選択部10では、Bif217の位置に相当するフレームの短軸断面画像300を特定し選択する。この短軸断面画像選択部10は、図4に示すように血管位置検出部100、血管断面数割出部101及びフレーム選択部102から構成される。
【0045】
[血管位置検出部100]
血管位置検出部100は、3次元Volumeデータにおけるそれぞれの短軸断面画像300に対し、短軸断面画における血管の座標位置を特定する。例えば、輪郭部分の短軸断面における血管壁の座標位置を検出する。さらに、それぞれの輪郭部分の長軸方向における座標位置を、短軸断面画像300を取得した振動子の探触子列における位置から特定する。
【0046】
[血管断面数割出部101]
血管断面数割出部101は、3次元Volumeデータにおいて、環状の輪郭部分の数として表される頸動脈の断面数を割出す。
【0047】
[フレーム選択部102]
フレーム選択部102は、3次元Volumeデータのうち、Bif217の位置に相当するフレームの短軸断面画像300を特定し選択する。Bif217とは、Bulb214からICA215とECA216とに分岐する部分をいう。血管断面数割出部101にて割り出した頸動脈の断面数が1から2に変化する短軸断面画像300が含まれるフレームを、Bif217の位置に相当する短軸断面画像300のフレームとして選択する。
(相対角度算出部11)
相対角度算出部11は、図5に示すように中心座標検出部110および角度算出部111から構成される。
【0048】
[中心座標検出部110]
中心座標検出部110は、短軸断面画像選択部10で特定し選択されたフレームの短軸断面画像300において、ICAおよびECAの中心座標の位置を検出する。すなわち、ICAおよびECAそれぞれに相当する輪郭部分から、それぞれの中心座標の位置を検出する。中心座標の検出は、例えば、輪郭部分の重心を算出する方法等、公知の方法を用いることができる。
【0049】
[角度算出部111]
角度算出部111は、中心座標検出部110で検出された短軸断面画像300におけるICA215およびECA216の2つの中心座標から、短軸断面画像300に含まれるICA215およびECA216の、短軸断面画像300のフレームに対する相対角度を算出する。短軸断面画像300のフレームは超音波探触子2を基準に設定されている。そのため、短軸断面画像300に含まれるICA215およびECA216の、短軸断面画像300のフレームに対する角度を算出することで、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での超音波探触子2の角度を算出することができる。
(相対角度判定部12)
相対角度判定部12は、角度算出部111で算出された相対角度に基づき、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での超音波探触子2の角度が、適切に配置されているか否かを判定する。この判定では、初診でのIMT計測では角度算出部111で算出された相対角度と、予め設定された推奨角度からなる基準角度とを対比し、その結果が所定の閾値の角度内であれば、超音波探触子2が適切な角度で配置されていると判断する。さらに、第2回目以降のIMT計測では、過去の計測時に記憶したときの超音波探触子2の相対角度からなる基準角度とを対比し、その結果が所定の閾値の角度内であれば、超音波探触子2が適切な角度で配置されていると判断する。
【0050】
これにより、初診でのIMT測定時では、被検体によって異なる頸動脈の位置や形状にかかわらず、頸動脈の短軸断面において血管壁の所定の位置にIMT計測範囲を決定することができる。また、定期的なIMT計測においても、計測時の首の上下、左右方向の曲がり具合等、首の状態等の変動要因によらず、毎回同一の位置でIMT計測を行うことができ、正確な診断を行うことができる。
(表示制御部15、表示器16)
この角度算出部111で算出された相対角度および相対角度判定部12で判定された判定結果は、表示制御部15を介して表示器16に表示される。操作者は、相対角度が基準角度に対してズレが生じている場合には、その表示器16の表示を確認しながら、基準角度に合うように超音波探触子2の角度を調節する。
【0051】
なお、実施の形態1では、表示器16にて、算出された相対角度および判定結果を表示する構成としたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、操作者に算出された相対角度や判定結果を知らせる構成であればよく、例えば、基準角度と現在の角度の差を表示器16に表示したり、表示器16以外に、音、音声、警告灯等で報知する手段等を用いてもよい。
(ROI決定部13)
相対角度判定部12において、超音波探触子2が適切な角度で配置されたと判定された場合、ROI決定部13は相対角度判定部12からの判定信号を受けてIMT計測を実施するために、長軸断面画像保持部5に記憶された長軸断面画像を用いてROI211を決定する。
【0052】
具体的には、ROI決定部13は、短軸断面画像選択部10で検出したBif217の位置に基づき、IMT計測を行う範囲を規定するROI211を決定する。すなわち、ROI決定部13は、短軸断面画像選択部10で検出したBif217の位置に基づき、長軸断面画像保持部5に記憶された長軸断面画像において、予め決定したIMT計測範囲212に対応する位置を選択する。例えば、非特許文献2の方法に基づき、図12に示すように長軸断面画像上の内腔内膜境界と中膜外膜境界とを検出し、血管壁を跨ぐようにROI211を決定する。
【0053】
なお、本実施の形態では、超音波探触子2が適切な角度で配置されたと判定されると、自動的にROIを決定してIMT計測を行う構成とした。しかしながら、操作者が、表示器16に表示される超音波探触子2が適切な角度で配置されたとの判定結果を見てROIを手動で決定する構成としてもよい。
(IMT計測部14)
IMT計測部14は、ROI211内のIMTを計算し、max(最大)IMTやmean(平均)IMTを、IMT値として算出する。そして、算出されたIMT値を、表示制御部15を介して表示器16に表示する。
【0054】
すなわち、IMT計測部14は、長軸断面画像保持部5に記憶された長軸断面画像においてROI決定部13で選択された範囲にてIMT計測を行う。上述のとおり、血管壁201は、内側から外側に向けて、内膜202、中膜203、外膜205から構成され、IMTは内膜202と中膜203の複合体である内中膜206の厚さである。IMT計測部14において、長軸断面画像保持部5に記憶された長軸断面画像上の血管内腔204と外膜205との間に内中膜206を検出することによりIMTを測定する。
【0055】
具体的には、長軸断面画像保持部5に記憶された長軸断面画像のうちROI211に含まれる信号に基づき、IMT計測部14において、ROI211内の血管壁の内腔内膜境界207と中膜外膜境界208の位置とを検出する。そして、内腔内膜境界207と中膜外膜境界208の位置との間隔をIMTとして計測する。
【0056】
ここで、IMTとして計測するために内腔内膜境界207と中膜外膜境界208の位置とを検出する方法については、公知方法等に基づく。例えば、IMT計測部14は、長軸断面画像の信号強度波形に基づき、例えば、WO2007/108359号公報に記載された方法を用いることで、内腔内膜境界207と中膜外膜境界208とを検出することが出来る。
【0057】
そして、これらIMT計測の結果を、表示器16に表示する。また、短軸断面画像300のフレーム毎の輪郭部分をフレーム順に繋ぎ合わせて頸動脈の3次元画像を構築し、この3次元画像にIMT計測を行ったIMT計測範囲212を3次元画像とともに表示すれば、操作者により分かりやすく使い勝手がよい情報表示ができる。
<動作について>
以上の構成からなる超音波診断装置1の動作をフローチャートを用いて説明する。図6は、実施の形態1に係る超音波診断装置1の動作を示すフローチャートである。
(ステップ1(S01))
ステップ1(S01)では、超音波探触子2を振動子の配列方向が頸動脈の長軸方向に沿うように首筋の皮膚表面に当接した状態で、送受信処理部3は、超音波の送受信処理を行い、超音波探触子2からの電気信号に基づき受信信号を生成する。超音波探触子2の振動子列を頸動脈の短軸方向に搖動させ、頸動脈の短軸方向における複数の搖動位置においてエコー信号を取得する。この複数フレームの長軸断面のエコー信号に基づく電気信号から、複数フレームの長軸断面の受信信号を生成する。
(ステップ2(S02))
ステップ2(S02)では、長軸断面画像生成部4が、ステップ1(S01)で取得した複数フレームの長軸断面の受信信号に基づき、超音波探触子2の振動子の揺動位置のうち、所定の搖動位置における振動子毎の受信信号に基づき頸動脈の長軸断面画像を生成する。ここでは、振動子列の揺動範囲の中心位置における頸動脈の長軸断面画像を生成する構成としている。
(ステップ3(S03))
ステップ3(S03)では、長軸断面画像生成部4がステップ1(S01)で生成した長軸断面画像を、制御器400が長軸断面画像保持部5に保存する。
(ステップ4(S04)
ステップ4(S04)では、短軸断面画像生成部6が、ステップ1(S01)で生成した受信信号から、1つの振動子の揺動位置毎の受信信号から頸動脈の短軸断面画像300を生成する。すなわち、振動子毎に対応した短軸断面画像300のフレームを複数生成する。この処理を振動子毎に行い、振動子列方向において、一方の端部の振動子から他方の端部の振動子まで連続した複数フレームの短軸断面画像300を生成する。そして、図3に示すように、これら複数フレームの短軸断面画像300を、一方の端部の振動子で生成された短軸断面画像300から順にフレームナンバーを付して短軸断面画像保持部7に保存する。
(ステップ5(S05))
ステップ5(S05)では、輪郭抽出部8が、短軸断面画像保持部7で記憶された複数フレームの短軸断面画像300に対し、例えば、例えばエッジ検出処理のような一般的な画像処理手法によって、頸動脈の輪郭部分を抽出する。そして、これらフレーム毎に輪郭抽出された短軸断面画像300を、3次元Volumeデータとして3次元Volumeデータ保持部9に保存する。
【0058】
(ステップ6(S06)
ステップ6(S06)では、血管位置検出部100が、3次元Volumeデータ保持部9に保存された短軸断面画像300に対し、血管の座標位置を特定する。例えば、画像スキャンにより輪郭部分の短軸断面における血管壁の座標位置を検出し、その輪郭部分がフレーム内の位置を特定する。さらに、それぞれの輪郭部分の長軸方向における座標位置も特定する。長軸方向の座標位置は、短軸断面画像300を取得した探触子列を構成する振動子の位置から定まる。
【0059】
(ステップ7(S07))
ステップ7(S07)では、血管断面数割出部101が、短軸断面画像300のフレーム毎に、フレームに含まれる血管断面数を割出す。ここで割出される血管断面数は、原則、CCAにおいて得られたフレームでは1つであり、ICAおよびECAで得られたフレームでは2つである。
(ステップ8(S08))
ステップ8(S08)では、フレーム選択部102が、血管断面数割出部101で割出された血管断面数に基づきBif217を検出し、Bif217が含まれる短軸断面画像300のフレームを選択する。Bif217は、Bulb214からICA215およびECA216にわたって分岐する部分である。したがって、CCA213からICA215およびECA216に向けて、1つの短軸断面から2つの短軸断面に移行するフレームを選択することにより、Bif217に相当する短軸断面画像300のフレームを選択することができる。
【0060】
図7(a)は、頸動脈を順方向(矢印方向)に沿った異なる複数の位置を示す模式図、(b)は、(a)中の(A)〜(D)の位置で得られた頸動脈の2次元画像を示す模式断面図である。図7(b)に示す短軸断面画像300のうち、短軸断面画像(A)はCCA213にて、短軸断面画像(B)はBif217近傍のBulb214にて、短軸断面画像(C)はBif217にて、そして、短軸断面画像(D)はICA215及びECA216にて取得した血管の短軸断面画像300を示す。
【0061】
上述のとおり、Bif217は、CCA213、Bulb214から、ICA215とECA216とに分岐する部分である。そのため、図7(b)中の(C)に示されるICA215の輪郭とECA216の輪郭とが接し、1つの短軸断面画像300の輪郭として現れる位置をBif217と特定することができる。したがって、(C)に示される短軸断面画像300のフレームを、Bif217が含まれる短軸断面画像300のフレームとして選択する。
【0062】
なお、実施の形態1では、フレーム選択部102にてBif217に相当する位置のフレームを選択する構成を示したが、必ずしもBif217に相当する位置のフレームを選択する構成に限定する必要はない。例えば、Bif217からICA215、ECA216側に向けて所定数離れたフレームを選択する構成であってもよい。
【0063】
また、図7(b)に示す短軸断面画像(B)のように、Bif217近傍であって、Bif217からBulb214側のフレームであって、ICA215とECA216との断面が、一部つながっているフレームを選択してもよい。すなわち、後述するステップ9(S09)において、相対角度算出部11がICA215とECA216の2つの断面あるいは、それに相当する断面の2つの中心座標が得られるフレームであればよい。
【0064】
したがって、フレーム選択部102で選択するICA215とECA216の2つの短軸断面を含むフレームには、ICA215とECA216とが独立して2つの短軸断面が得られるフレームに加え、ICA215とECA216との短軸断面がつながっているがICA215とECA216の中心座標を特定できるフレームを含む。
(ステップ9(S09))
ステップ9(S09)では、相対角度算出部11が、フレーム選択部102で選択されたフレームの2つの短軸断面画像300のそれぞれの中心座標を検出する。図8は、実施の形態1に係る超音波診断装置1における頸動脈の短軸断面と平行な平面内での探触子の頸動脈に対する相対角度の算出方法の一例を示す模式断面図である。図8は、フレーム選択部102で選択されたBif217が含まれる短軸断面画像300のフレームの一例であり、Y軸は、振動子列の揺動範囲の中心位置における超音波探触子2からの超音波を送受信する深さ方向、X軸はY軸と直交する方向を示している。
【0065】
図8に示すように、ステップ9(S09)では、中心座標検出部110が、フレーム内のX軸、Y軸に基づき、ICA215およびECA216それぞれの短軸断面画像300の中心座標301および302を検出する。なお、ここでいう中心座標とは、それぞれの輪郭部分の重心(輪郭部分の各座標位置の平均値に相当する座標位置)や、それぞれの輪郭部分のX、Y座標のそれぞれの上限、下限の座標の中心位置を意味する。
(ステップ10(S10))
ステップ10(S10)では、角度算出部111が、頸動脈に対する超音波探触子2の相対角度を算出する。図8に示すように、角度算出部111が、この2つの中心座標301および302を結ぶ線のX軸に対する角度θを算出する。これにより、振動子列の揺動範囲の中心位置における超音波探触子2からの超音波を送受信するY軸方向及びY軸と直交するX軸方向を基準として、超音波探触子2がどのような角度を向いているかを算出することができる。すなわち、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での超音波探触子2の相対角度を算出できる。
(ステップ11(S11))
ステップ11(S11)では、相対角度判定部12は、ステップ10(S10)で算出した角度が適切な相対角度であるか否かを判定する。判定は、以下のように行う。
【0066】
被験者に対して初診でのIMT計測では、ステップ10(S10)で角度算出部111が算出した相対角度と、予め設定された推奨角度からなる基準角度とを対比し、相対角度が所定の閾値の範囲内であるか否かを判定する。閾値の範囲内であれば、超音波探触子2が適切な角度で配置されていると判断する。
【0067】
被験者に対して2回目以降のIMT計測では、ステップ10(S10)で角度算出部111が算出した相対角度と、過去の計測時に記憶したときの超音波探触子2の相対角度からなる基準角度とを対比し、相対角度が所定の閾値の範囲内であるか否かを判定する。その結果、相対角度が所定の閾値の角度内であれば、超音波探触子2が過去測定時と同様の角度で配置されていると判断する。
【0068】
この判定結果は、表示制御部15を介して、表示器16に表示される。すなわち、操作者は、首筋表面に配置された超音波探触子2の短軸断面と平行な平面内での相対角度の実測値と、相対角度判定部12で判定された判定結果とを、表示器16にてリアルタイムに確認することができる。
【0069】
超音波探触子2が適切な角度で配置されていなければ、ステップ1(S01)に戻り、操作者は表示器16に表示された判定結果に基づき、操作者は、表示器16を確認しながら、超音波探触子2が適切な角度となるように超音波探触子2の角度を調節する。ステップ1(S01)〜ステップ11(S11)のステップを、超音波探触子2が適切な角度となるまで繰り返し行う。
【0070】
超音波探触子2の角度が適切な角度となれば、ステップ12(S12)に移行する。ステップ12(S12)への移行は、制御器400により自動で行われる。しかしながら、操作者が、表示器16を確認して手動で行うこともできる。
(ステップ12(S12))
ステップ11(S11)にて超音波探触子2が適切な角度で配置されると、ステップ12(S12)では、ROI決定部13が、ステップ8(S08)で検出されたBif217に基づきIMT計測範囲212を決定する。すなわち、ROI決定部13は、Bif217の位置に基づき、長軸断面画像保持部5に記憶された長軸断面画像において、予め決定したIMT計測範囲212に対応する位置を選択することにより、IMT計測を行う範囲を規定するROI211を決定する。例えば、非特許文献2の方法に基づき、図12に示すように長軸断面画像上の内腔内膜境界と中膜外膜境界とを検出し、血管壁を跨ぐようにROI211を決定する。
【0071】
本実施の形態では、ステップ12(S12)では、ステップ11(S11)において、超音波探触子2が適切な角度で配置されたと判定されると、自動的にROIを決定してIMT計測を行う構成としている。しかしながら、操作者が、表示器16に表示される超音波探触子2が適切な角度で配置されたとの判定結果を見てROIを手動で決定できる構成とすることもできる。
(ステップ13(S13))
ステップ13(S13)では、IMT計測部14は、ステップ3(S03)にて長軸断面画像保持部5で記憶された長軸断面画像に基づき、IMT計測を行う。そして、その計測結果は、表示制御部15を介して表示器16に表示される。具体的には、IMT計測部14は、長軸断面画像保持部5で記憶された長軸断面画像におけるROI決定部13で決定された範囲においてIMT計測を行う。例えば、IMT計測範囲212内の、最大厚(maxIMT)や平均厚(meanIMT)といった測定結果を用い、IMT値を確定し、IMT測定が完了する。
<効果>
以上の構成により、本実施の形態に係る超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法では、ICA215およびECA216の2つの短軸断面を含む短軸断面画像300に基づき、頸動脈に対する超音波探触子2の相対角度を算出する。さらに、算出された角度が適切な相対角度であるか否かを判定し、判定結果を操作者に報知する。また、算出された相対角度が適切な角度である場合にIMT測定を行う。
【0072】
これにより、頸動脈の短軸断面における血管壁の適切な位置にIMT計測範囲を決定することができる。具体的には、初診時のIMT測定では、被検体によって異なる頸動脈の位置や形状にかかわらず、頸動脈の短軸断面において血管壁の所定の位置にIMT計測範囲を決定することができる。また、定期的なIMT計測においても、計測時の首の上下、左右方向の曲がり具合等、首の状態等の変動要因によらず、毎回同一の位置でIMT計測を行うことができ、正確な診断を行うことができる。
【0073】
また、現在の頸動脈の短軸断面と平行な平面内における超音波探触の角度と本来あるべき適切な角度とを表示部で表示し操作者に知らせることができる。それゆえ、操作者はこの報知手段に基づき、リアルタイムで探触子を適切な角度へと調節することができる。従来、頸動脈の短軸断面の血管壁のIMT計測範囲は熟練者でなければ決定が難しく測定精度を高めるためには検査に時間を要したが、本実施の形態によれば、リアルタイムで探触子を適切な角度へと調節することができるために、簡便にIMT計測を行うことができる。
【0074】
<実施の形態2>
実施の形態1に係る超音波診断装置1は、短軸断面画像選択部10において、Bifに相当するフレームの短軸断面画像300を選択し、相対角度算出部11においてICA215およびECA216に基づき、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での探触子の相対角度を求める構成を示した。実施の形態2に係る超音波診断装置1Aは、より精度を高い相対角度を算出するために、ICA215とECA216の短軸断面を含む短軸断面画像300に加え、Bulb214あるいはCCA213の短軸断面を含む短軸断面画像300に基づき探触子の相対角度を求める点に特徴がある。
【0075】
<構成について>
(全体構成)
以下、実施の形態2に係る超音波診断装置1Aの具体的な構成について説明する。図9は、実施の形態2に係る超音波診断装置1Aの機能構成を示すブロック図である。実施の形態2に係る超音波診断装置1Aは、図9に示すように、制御器400Aにおける短軸断面画像選択部10Aおよび相対角度算出部11Aの構成が、図1に示した実施の形態1に係る超音波診断装置1と相違する。それ以外の構成は、図1に示した各構成要素と同じであり、説明を省略する。以下、実施の形態2に係る超音波診断装置の具体的な構成について図1に基づき説明する。
(短軸断面画像選択部10A)
図10は、実施の形態2に係る超音波診断装置1Aにおける短軸断面画像選択部10Aの機能構成を示すブロック図である。短軸断面画像選択部10Aは、図10に示すように、実施の形態1同様、血管位置検出部100、血管断面数割出部101およびフレーム選択部102Aから構成される。血管位置検出部100および血管断面数割出部101は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。フレーム選択部102Aは、3次元Volumeデータから2つのフレームを選択する。一つは、実施の形態1と同様、Bif217の位置に相当するフレームである。もう一つは、Bif217からCCA213側に所定数離れたフレームである。
(中心座標相対角度算出部11A)
図11は、実施の形態2に係る超音波診断装置1Aにおける相対角度算出部11Aの機能構成を示すブロック図である。中心座標相対角度算出部11Aは、実施の形態1と同様に、中心座標検出部110Aおよび角度算出部111Aから構成される。
【0076】
中心座標検出部110Aは、短軸断面画像選択部10Aで選択された2つのフレームの短軸断面画像300において、それぞれの輪郭部分の中心座標の位置を検出する。すなわち、中心座標検出部110Aは、一方のフレームでは、ICA215およびECA216の輪郭部分の中心座標を、もう一方のフレームでは、CCA213あるいはBulb214の輪郭部分から、それぞれの中心座標を検出する。
【0077】
角度算出部111Aは、中心座標検出部110Aで検出された3つの中心座標に基づき、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での超音波探触子2の頸動脈に対する相対角度を算出する。
【0078】
<動作について>
以上の構成からなる超音波診断装置1Aの動作をフローチャートを用いて説明する。図12は、実施の形態2に係る超音波診断装置1Aの動作を示すフローチャートである。
【0079】
(ステップ1(S01)からステップ7(S07)まで)
超音波の送受信処理を行うステップ1(S01)から、生成した短軸断面画像300のフレームから各フレームにおける血管断面数を割出すステップ7(S07)までは、実施の形態1に係る超音波診断装置1と同様であるため説明を省略する。
【0080】
(ステップ8A(S08A))
ステップ8A(S08A)では、フレーム選択部102Aが、血管断面数割出部101で割出された血管断面数に基づきBif217を検出し、超音波探触子2の頸動脈に対する相対角度を演算するための2つのフレームを選択する。
【0081】
まず、実施の形態1と同様、Bif217を検出する。そして、Bif217に相当するフレーム(以下、基準フレームとする。)からICA215及びECA216方向側(以下、末梢方向とする。)に向かって所定数離れたフレームと、CCA213方向側(以下、中枢方向とする。)に向かって所定数離れたフレームとを選択する。
【0082】
この2つのフレームを選択する場合、フレーム選択部102Aは、末梢方向側においては、実施の形態1と同様、ICA215およびECA216の短軸断面が得られるフレームを選択する。また、中枢方向側においては、フレーム選択部102Aは、CCA213又はBulb214の短軸断面が得られるフレームを選択する。
【0083】
(ステップ9A(S09A))
ステップ9A(S09A)では、相対角度算出部11Aが、フレーム選択部102Aで選択された2つのフレーム内のICA215、ECA216およびCCA213の短軸断面のそれぞれの中心座標を検出する。中心座標の検出方法は、実施の形態1と同様である。
【0084】
(ステップ10A(S10A))
ステップ10A(S10A)では、ステップ9A(S09A)で検出されたICA215、ECA216およびCCA213の短軸断面のそれぞれの中心座標から、角度算出部111Aにおいて、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での探触子の頸動脈に対する相対角度を算出する。超音波探触子2の相対角度算出の一例を、図面を用いて説明する。
【0085】
図13は、実施の形態2に係る超音波診断装置1Aにおける頸動脈の短軸断面と平行な平面内での探触子の頸動脈に対する相対角度の算出方法の一例を示す模式断面図である。フレーム選択部102で選択された2つのフレーム内のICA215、ECA216およびCCA213のX、Y座標状の位置を示す。ここでは、説明を容易にするため、ICA215、ECA216およびCCA213の短軸断面を同一平面上に示している。図8と同様に、Y軸は、振動子列の揺動範囲の中心位置における超音波探触子2からの超音波を送受信する深さ方向、X軸はY軸と直交する方向を示している。
【0086】
ステップ10A(S10A)では、まず、CCA213の中心座標303およびICA215の中心座標301を結ぶ線と、CCA213の中心座標303およびECA216の中心座標302を結ぶ線とで形成される角度θ1を算出する。そして、CCA213の中心座標303からθ1の2等分線を基準線304として設定する。次いで、この基準線304とY軸とから導き出される角度を算出するθ2を算出する。この角度θ2が、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での超音波探触子2の相対角度となる。これにより、振動子列の揺動範囲の中心位置における超音波探触子2からの超音波を送受信するY軸方向及びY軸と直交するX軸方向を基準として、超音波探触子2がどのような角度を向いているかを算出することができる。すなわち、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での超音波探触子2の相対角度を算出できる。
【0087】
このように、本実施の形態では、短軸断面画像300を含む所定数離れた複数のフレームから抽出した、ICA215、ECA216およびCCA213の3つの短軸断面の中心座標に基づき、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での探触子の相対角度を算出する。これにより、Bif217を含む単一の短軸断面画像300のフレームを用いて相対角度を検出する実施の形態1に示した構成よりも、精度よく相対角度を算出することができる。
【0088】
(ステップ11A(S11A))
ステップ11A(S11A)では、相対角度判定部12は、予め設定された角度や過去の計測時に記憶した超音波探触子2の相対角度を基準角度として、相対角度判定部12は、ステップ10A(S10A)で算出された角度が適切な相対角度であるか否かを判定する。判定方法は、実施の形態1に係る超音波診断装置1と同様であり説明を省略する。ステップ11A(S11A)では、基準角度が、ICA215、ECA216およびCCA213の3つの短軸断面の中心座標に基づき算出した、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での探触子の相対角度である点が、実施の形態1と相違する。
【0089】
そして、この判定結果は、表示制御部15を介して、表示器16に表示される。適切な角度で超音波探触子2が配置されれば、ステップ12(S12)に移行し、適切な角度で超音波探触子2が配置されていなければ、ステップ1(S01)に戻り、操作者は表示器16に表示された判定結果に基づき、適切な角度で配置できるように超音波探触子2の角度を調節する。
【0090】
(ステップ12(S12)、ステップ13(S13))
ステップ12(S12)では、ステップ11A(S11A)で超音波探触子2が適切な角度で配置されると、ROI決定部13はIMT計測範囲212を決定する。ステップ13(S13)では、IMT計測部14は、ステップ3(S03)にて長軸断面画像保持部5で記憶された長軸断面画像に基づきIMT計測を行う。そして、その計測結果は、表示制御部15を介して表示器16に表示される。ステップ12(S12)、ステップ13(S13)は、実施の形態1に係る超音波診断装置1と同様であるため、説明を省略する。
<効果>
以上の構成により、実施の形態2に係る超音波診断装置1Aでは、短軸断面画像300を含む所定数離れた複数のフレームから抽出した、ICA215、ECA216およびCCA213の3つの短軸断面の中心座標に基づき、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での探触子の相対角度を算出することで、実施の形態1よりもさらに精度よく相対角度が算出できる。上述したように、非特許文献1では、図15に示すようにCCA−Bulb境界219を起点としてCCA側に向けて1cmの範囲をIMT計測範囲212として推奨している。これに対し、CCA−Bulb境界219を挟んだ位置にあるICA215、ECA216およびCCA213からなる3つの短軸断面画像300から、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での探触子の頸動脈に対する相対角度を求める構成により、CCA−Bulb境界219を挟むことで、より、CCA−Bulb境界219に近い相対角度を、実施の形態1よりも、高い精度で算出することができる。
≪変形例≫
以上、実施の形態に係る超音波診断装置について説明したが、例示した超音波診断装置を以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施の形態で示した通りの超音波診断装置に限られないことは勿論である。
【0091】
(1)実施の形態1及び実施の形態2に係る超音波診断装置では、超音波探触子2に、図2に示すような揺動探触子を用い、次のような構成とした。すなわち、頸動脈の長軸断面と直交する方向の異なる複数の位置においてこの長軸断面に対して超音波を送信するための送信信号を供給する送信処理と、超音波探触子2が受信した頸動脈からの反射超音波に基づき、複数位置における頸動脈の長軸断面の受信信号を生成する受信処理とを行う送受信処理部3を備える構成とした。
【0092】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、頸動脈の長軸断面と短軸断面の超音波エコー信号を取得できる構成であれば、他の構成であってもよい。
【0093】
例えば、2次元に振動子を配列した2次元振配列動子を有する探触子を用い、一方の振動子の配列方向に配列された振動子を頸動脈の長軸方向に沿うように皮膚表面に当接させた状態で、もう一方の配列方向に超音波ビームを順次走査すれば、頸動脈の長軸断面と短軸断面の超音波エコー信号を取得できる。
【0094】
あるいは、頸動脈の短軸断面と直交する方向の異なる複数の位置においてこの短軸断面に対して超音波を送信するための送信信号を供給する送信処理と、超音波探触子2が受信した頸動脈からの反射超音波に基づき、複数位置における頸動脈の短軸断面の受信信号を生成する受信処理とを行う送受信処理部3を備える構成としてもよい。
【0095】
(2)実施の形態1及び実施の形態2に係る超音波診断装置では、ROI決定部13およびIMT計測部14において、長軸断面画像生成部4で生成した長軸断面画像に基づきIMT計測を行う構成を示した。しかしながら、実際には長軸断面画像を用いず送受信処理部3で生成した受信信号からIMT計測を行う構成であってもよい。受信信号に基づきIMT計測を行う場合は、図1に示す長軸断面画像生成部4の構成は不要となる。長軸断面画像保持部5は長軸断面画像を生成するための受信信号を記憶する構成となる。また、これに伴い、図5のステップ2(S02)は不要となり、ステップ3(S03)は長軸断面画像を生成するための受信信号を保存するステップとなる。
【0096】
(3)実施の形態1に係る超音波診断装置1では、ICA215とECA216の2つの短軸断面画像300から、実施の形態2に係る超音波診断装置1Aでは、ICA215又はECA216およびCCA213の3つの短軸断面画像300から、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での探触子の頸動脈に対する相対角度を求める構成を示した。しかしながら、ICA215、ECA216およびCCA213の2つの短軸断面画像300のうち、少なくとも2つの短軸断面画像300であれば、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での探触子の頸動脈に対する相対角度を算出することができる。したがって、実施の形態2のように2つのフレームの短軸断面画像300を選択し、CCAの中心座標とICAあるいはECAの一方の中心座標とで相対角度を求める構成であってもよい。上述したように、非特許文献1では、図15に示すようにCCA−Bulb境界219を起点としてCCA213側に向けて1cmの範囲をIMT計測範囲212として推奨している。これに対し、CCA−Bulb境界219を挟んだ位置にあるICA215又はECA216およびCCA213からなる2つの短軸断面画像300から、頸動脈の短軸断面と平行な平面内での探触子の頸動脈に対する相対角度を求める構成により、CCA−Bulb境界219を挟むことで、より、CCA−Bulb境界219に近い相対角度を精度よく算出することができる。
【0097】
したがって、本変形例に係る超音波診断装置は、超音波探触子を駆動し、頸動脈の断面と直交する方向の異なる複数の位置において断面に対して超音波を送信するための送信信号を供給する送信処理と、超音波探触子が受信した頸動脈からの反射超音波に基づき、複数位置における頸動脈の断面の受信信号を生成する受信処理とを行う送受信処理部と、複数位置における頸動脈の断面の受信信号に基づき、頸動脈の長軸方向と垂直な短軸断面を示す複数の短軸断面画像を生成する短軸断面画像生成部と、複数の短軸断面画像のうち、内頸動脈及び外頸動脈の短軸断面が含まれる特定短軸断面画像と、総頸動脈又は総頸動脈球部の短軸断面が含まれる第2特定短軸断面画像とを選択する短軸断面画像選択部と、特定短軸断面画像及び第2特定短軸断面画像における、内頸動脈及び総頸動脈、内頸動脈及び総頸動脈球部、外頸動脈及び総頸動脈、又は外頸動脈及び総頸動脈球部の何れかの短軸断面の座標位置に基づき、頸動脈の短軸断面と平行な平面内における探触子の頸動脈に対する相対角度を算出する相対角度算出部とを備えた構成であればよい。
(4)実施の形態1及び実施の形態2に係る超音波診断装置におけるIMT計測部14は、頸動脈の長軸断面画像において、ROI決定部13で決定されたROI211に含まれる部分からIMTを測定する構成とした。しかしながら、ROI決定部13で選択されたROI211に含まれる複数のフレームに対応する短軸断面画像を短軸断面画像保持部7から取得し、当該短軸断面画像に基づきそれぞれのフレーム毎にIMT計測を行う構成としても良い。短軸方向から血管の断面を示した血管の断層像からIMTを測定する方法については、例えば、WO2012/105162号公報等に記載の方法に基づく。実施の形態1及び実施の形態2に係る超音波診断装置と同様に、Bif217を検出しBif217に基づきROI211を決定し、振動子列と血管中心とのズレの影響を受けることなく、血管の中心近傍を含む短軸画像からIMTを計測することができる。
(5)実施の形態1及び実施の形態2に係る超音波診断装置では、ROIに含まれる断面の受信信号か頸動脈の血管壁の特性としてIMTを測定する構成とした。しかしながら、本発明はこれに限定されず、頸動脈の血管壁の特性として、他の性状を測定する構成であってもよい。頸動脈の血管壁の特性として、例えば、粘弾性特性といった頸動脈の性状特性の計測にも用いることができる。粘弾性特性の例としては、頸動脈の弾性値、ひずみ量、粘度が挙げられる。
【0098】
また、頸動脈の血管壁の特性として、例えば、脳梗塞の要因である頸動脈プラークの有無や厚みを測定する場合にも、本発明は有効である。頸動脈の短軸方向断面におけるプラークの測定位置を特定し、毎回同じ位置において、プラークの大きさの推移を見ることができる。
【0099】
さらに、頸動脈の血管壁の特性として、拍動に起因したIMT測定値の時間的な変化を測定することにより血管壁の弾性率を測定する場合にも、本発明は有効である。毎回同じ測定位置において測定し、検査の精度を向上することができる。
≪まとめ≫
以上のように、実施の形態に係る超音波診断装置では、短軸断面画像300に基づき、頸動脈の短軸断面と平行な平面内における頸動脈に対する超音波探触子の相対角度を算出する。さらに、算出された角度が適切な相対角度であるか否かを判定し判定結果を操作者に報知する。また、算出された相対角度が適切な場合にIMT測定に進む。これにより、頸動脈の短軸断面における血管壁の適切な位置にIMT計測範囲を決定することができ、毎回同一の位置でIMT計測を行うことができ、正確な診断を行うことができる。また、熟練者でなくとも簡便な操作でIMTを迅速に測定することができる。
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない工程については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0100】
また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0101】
さらに、超音波診断装置においては基板上に回路部品、リード線等の部材も存在するが、電気的配線、電気回路について照明装置等の技術分野における通常の知識に基づいて様々な態様を実施可能であり、本発明の説明として直接的には無関係のため、説明を省略している。尚、上記示した各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、頸動脈の血管壁の特性を計測する際、首筋の皮膚表面に当接した超音波探触子の頸動脈の短軸断面と平行な平面内における角度を適切に測定し管理することができ、熟練者でなくとも簡便な操作で迅速に血管壁の特性を正確に計測できる。そのため、超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法等に、広く活用することが可能である。
【符号の説明】
【0103】
1、1A 超音波診断装置
2 超音波探触子
3 送受信処理部
4 長軸断面画像生成部
5 長軸断面画像保持部
6 短軸断面画像生成部
7 短軸断面画像保持部
8 輪郭抽出部
9 3次元Volumeデータ保持部
10、10A 短軸断面画像選択部
11、11A 相対角度算出部
12 相対角度判定部
13 ROI決定部
14 IMT計測部
15 表示制御部
16 表示器
100 血管位置検出部
101 血管断面数割出部
102、102A フレーム選択部
110、110A 中心座標検出部
111、111A 角度算出部
201 血管壁
202 内膜
203 中膜
204 血管内腔
205 外膜
206 内中膜
207 内腔内膜境界
208 中膜外膜境界
209 後位壁
210 前位壁
211 関心領域(ROI)
212 IMT計測範囲
213 総頸動脈(CCA)
214 総頸動脈球部(Bulb)
215 内頸動脈(ICA)
216 外頸動脈(ECA)
217 総頸動脈分岐部(Bif)
219 CCA−Bulb境界
300 短軸断面画像
301、302、303 中心座標
304 基準線
400、400A 制御器
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【国際調査報告】