(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013108696
(43)【国際公開日】20130725
【発行日】20150511
(54)【発明の名称】導電ペーストおよび導電パターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/20 20060101AFI20150414BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20150414BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20150414BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20150414BHJP
   C09D 5/24 20060101ALI20150414BHJP
   C09D 201/08 20060101ALI20150414BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20150414BHJP
【FI】
   !H01B1/20 A
   !H01B1/00 D
   !H01B1/00 H
   !H01B13/00 503C
   !H01B13/00 503D
   !H05K3/12 610B
   !C09D5/24
   !C09D201/08
   !C09D7/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】2013509328
(21)【国際出願番号】JP2013050250
(22)【国際出願日】20130110
(31)【優先権主張番号】2012008657
(32)【優先日】20120119
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2012235385
(32)【優先日】20121025
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目1番1号
(72)【発明者】
【氏名】水口 創
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社 滋賀事業場内
(72)【発明者】
【氏名】草野 一孝
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社 滋賀事業場内
【テーマコード(参考)】
4J038
5E343
5G301
5G323
【Fターム(参考)】
4J038FA01
4J038GA01
4J038GA06
4J038HA026
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5E343AA33
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5G323CA01
(57)【要約】
本発明は、酸価の高い化合物を含むにも関わらずITOとの接続信頼性が高く、かつ微細パターニングも可能な、導電パターンを得るのに好適な導電ペーストおよび導電パターンの製造方法を得ることを目的とする。本発明は、無機材料からなる芯材表面をアンチモン含有化合物で被覆してなる複合粒子(A)、酸価が30〜250mgKOH/gの範囲である化合物(B)および導電性フィラー(C)を含むことを特徴とする導電ペーストを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機材料からなる芯材表面をアンチモン含有化合物で被覆してなる複合粒子(A)、酸価が30〜250mgKOH/gの範囲である化合物(B)、導電性フィラー(C)を含むことを特徴とする導電ペースト。
【請求項2】
前記化合物(B)が不飽和二重結合を有することを特徴とする請求項1に記載の導電ペースト。
【請求項3】
光重合開始剤(D)を含むことを特徴とする請求項1または2記載の導電ペースト。
【請求項4】
前記アンチモン含有化合物がアンチモンドープ酸化スズであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電ペースト。
【請求項5】
前記複合粒子(A)の芯材が、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銅、カーボン、金、白金、タングステン及びチタンからなる群から選ばれる金属化合物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電ペースト。
【請求項6】
前記複合粒子(A)の芯材が、酸化チタン、硫酸バリウム、二酸化ケイ素及びカーボンからなる群から選ばれる金属化合物からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電ペースト。
【請求項7】
前記複合粒子(A)のアスペクト比が1.5〜50であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の導電ペースト。
【請求項8】
前記複合粒子(A)のアスペクト比が10〜50であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の導電ペースト。
【請求項9】
前記複合粒子(A)を0.5〜2重量%および導電性フィラー(C)を70〜90重量%含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の導電ペースト。
【請求項10】
前記化合物(B)のガラス転移温度が−10〜60℃の範囲内であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の導電ペースト。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の導電ペーストを基板上に塗布し、露光し、現像した後に100℃以上300℃以下の温度でキュアすることを特徴とする導電パターンの製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の導電パターンと、ITOとが接触した周囲配線を備えることを特徴とするタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電パターンを形成するための導電ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、樹脂を含む有機成分中にAgなどの導電性フィラーを分散させた導電ペーストが透明性タッチパネルの周囲配線、回路基板用の配線、メンブレンスイッチなどに用いられている(例えば特許文献1、2参照)。しかし、これら導電ペーストはスクリーン印刷により配線を形成しているため、滲み、版詰まりなどを起こしやすいという問題から狭ピッチの配線を形成することができないという課題があった。そこで樹脂を含む有機成分に感光性を付与させ、基板にペーストを塗布後、露光、現像工程を経ることで狭ピッチの配線を形成できるという技術が提案されている(例えば特許文献3、4参照)。しかし、これら感光性ペーストをタッチパネルの周囲配線用として用いる場合、酸化インジウムスズ(以下、ITO)との接続信頼性が得られないといった課題があった。導電ペーストにおいてITOとの接続信頼性を高める方法として導電ペースト中にアンチモンドープされた酸化スズ微粉末を添加する技術が提案されている(例えば特許文献5参照)。
【0003】
しかし、感光性を付与させたアルカリ可溶性の有機成分は、一般的に酸価が高いためアンチモンドープされた酸化スズ微粉末を添加しても酸化スズが腐食され、ITOとの接続信頼性は得られず、密着性の低下や残渣が発生するといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−207567号公報
【特許文献2】特開2011−246498号公報
【特許文献3】国際公開第04/061006号
【特許文献4】特開2003−162921号公報
【特許文献5】特開2009−295325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は上述の問題を解決し、酸価の高い化合物を含むにも関わらずITOとの接続信頼性が高く、かつ微細パターニングも可能な、導電パターンを得るのに好適な導電ペーストおよび導電パターンの製造方法を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は無機材料からなる芯材表面をアンチモン含有化合物で被覆してなる複合粒子(A)、酸価が30〜250mgKOH/gの範囲である化合物(B)、および導電性フィラー(C)を含むことを特徴とする導電ペースト、およびこれを基板上に塗布し、乾燥し、露光し、現像した後に100℃以上300℃以下の温度でキュアすることを特徴とする導電パターンの製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導電ペーストが酸価の高い化合物を含むにも関わらず、良好なITOとの接続信頼性を得ることができる。また、本発明の好ましい構成によれば、リジッド基板上だけでなく、フレキシブル基板上にも狭ピッチの配線を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例の比抵抗率評価に用いたフォトマスクの透光パターンを示した模式図である。
【図2】実施例の屈曲性試験に用いたサンプルを模式的に示したものである。
【図3】実施例のITOとの接続信頼性評価に用いたフォトマスクの透光パターンを示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の導電ペーストは無機材料からなる芯材表面にアンチモン含有化合物を被覆してなる複合粒子(A)、酸価が30〜250mgKOH/gの範囲である化合物(B)、および導電性フィラー(C)を含むものである。
【0010】
本発明の導電ペーストは基板上に塗布し、必要に応じ乾燥させて溶媒を除去した後、露光、現像、100℃以上300℃以下の温度でのキュア工程を経ることで基板上に所望の導電パターンを得ることができる。本発明のペーストを用いて得られた導電パターンは有機成分と無機成分の複合物となっており、導電性フィラー同士がキュア時の硬化収縮により互いに接触することで導電性が発現する。
【0011】
本発明の導電ペーストに含まれる、無機材料からなる芯材表面にアンチモン含有化合物を被覆してなる複合粒子(A)とは、無機材料からなる芯材表面にアンチモン含有化合物が1nm以上の厚みで被覆されている粒子のことをいう。アンチモン含有化合物としては硫化アンチモン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸鉛、アンチモン化インジウム、アンチモンドープ酸化スズなどが挙げられる。芯材を形成する無機材料としては酸化チタン、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化ルテニウム、酸化インジウム、酸化銅、カーボン、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、鉛(Pb)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、チタン(Ti)などが挙げられる。
【0012】
無機材料からなる芯材表面にアンチモン含有化合物を被覆してなる複合粒子(A)の体積平均粒子径は0.03〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1〜6μmである。体積平均粒子径が0.03μm以上であると分散性および分散安定性が高く、凝集物の発生を抑制することができるため添加量に対してITOとの接続信頼性の効果が十分に得られるため好ましい。また体積平均粒子径が6μm以下であれば印刷後の回路パターンの表面平滑度、パターン精度、寸法精度が向上するため好ましい。なお、体積平均粒子径は、コールターカウンター法、光子相関法およびレーザー回折法などにより求めることができる。
【0013】
無機材料からなる芯材表面にアンチモン含有化合物を被覆してなる複合粒子(A)のアスペクト比は1.5〜50の範囲であるとタップ密度が低くなり、低添加量でITOとの接続信頼性を高めることができるが、アスペクト比が10〜50の範囲であることがより好ましい。
【0014】
無機材料からなる芯材表面にアンチモン含有化合物を被覆してなる複合粒子(A)の添加量としては、導電ペースト中の全固形分に対し、0.1〜20重量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。0.1重量%以上とすることにより、ITOとの接触確率が向上し、ITOとの接続信頼性が特に高くなるので好ましい。また、20重量%以下にすることで導電パターンの導電性に影響を小さくすることができるため好ましい。なお、全固形分とは導電ペーストから溶剤を除いたものである。
【0015】
本発明の導電ペーストに含まれる、酸価が30〜250mgKOH/gの範囲内である化合物(B)とは、分子内にカルボキシル基を少なくとも一つ以上有する化合物のことをいい、1種または2種以上使用することができる。
【0016】
化合物(B)の具体例としてはアクリル系共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。
【0017】
アクリル系共重合体とは、共重合成分に少なくともアクリル系モノマーを含む共重合体であり、アクリル系モノマーの具体例としては炭素−炭素二重結合を有するすべての化合物が使用可能であるが、好ましくはメチルアクリレート、アクリル酸、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、i−プロパンアクリレート、グリシジルアクリレート、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレートなどのアクリル系モノマーおよびこれらのアクリレートをメタクリレートに代えたものやスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどのスチレン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールF−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレート、そして、エチレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、グリセリンジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ビスフェノールFのアクリル酸付加物、クレゾールノボラックのアクリル酸付加物などのエポキシアクリレートモノマー、または上記化合物のアクリル基を1部または全てメタクリル基に代えた化合物などが挙げられる。
【0018】
アクリル系共重合体へのアルカリ可溶性の付与は、モノマーとして不飽和カルボン酸などの不飽和酸を用いることにより達成される。不飽和酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸ビニル、またはこれらの酸無水物などが挙げられる。これらを分子鎖に付与することにより、ポリマーの酸価を調整することができる。
【0019】
また、上述の不飽和カルボン酸などの不飽和酸をモノマーとして用いて得られたアクリルポリマー中の不飽和酸の一部と、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和酸と反応する基と不飽和二重結合を有する基の両方を有する化合物を反応させることにより得られる、側鎖に反応性の不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性ポリマーを作製することができる。
【0020】
本発明の導電ペーストに含まれる化合物(B)の酸価はアルカリ可溶性という観点から30〜250mgKOH/gである必要があり、酸価が30mgKOH/g以上であると可溶部分の現像液に対する溶解性が低下することがなく、酸価が250mgKOH/g以下であると現像許容幅を広くすることができる。なお、酸価の測定は、JIS−K0070(1992)に準拠して求める。
【0021】
本発明の導電ペーストに含まれる化合物(B)のガラス転移温度は−10〜60℃であることが好ましく、10〜50℃であることがより好ましい。Tgが−10℃以上であると乾燥膜のタック性を抑制することができ、さらに10℃以上であると特に温度変化に対する形状安定性が高くなる。また、Tgが60℃以下であると室温において屈曲性を発現し、さらに50℃以下であると屈曲時の内部応力を緩和することができ、特にクラックの発生を抑制することができる。
【0022】
本発明の導電ペーストに含まれる化合物(B)のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)測定によって求めることもできるが、共重合成分であるモノマーの共重合比率およびそれぞれのモノマーのホモポリマーのガラス転移温度を用いて下記の式(1)により算出できる。本発明では算出可能なものについてはこの値を用い、ホモポリマーのガラス転移温度が既知でないものが含まれる場合についてはDSC測定結果より求めた。
【0023】
【数1】
【0024】
ここで、Tgはポリマーのガラス転移温度(単位:K)、T1、T2、T3・・・はモノマー1、モノマー2、モノマー3・・・のホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)、W1、W2、W3・・・はモノマー1、モノマー2、モノマー3・・・の重量基準の共重合比率である。
【0025】
本発明の導電ペーストは、上述の酸価が30〜250mgKOH/gの範囲である化合物(B)を一種または二種以上を混合して含むことができ、また、酸価が30〜250mgKOH/gの範囲である化合物(B)以外に、酸価が30mgKOH/g未満または250mgKOH/gより大きな感光性成分と併用してもよい。
【0026】
化合物(B)が、不飽和二重結合を有する感光性の化合物である場合には、基板上に塗布した導電ペーストを露光及び現像するフォトリソ法を用いてより微細パターニングが可能となるため、好ましい。この場合、本発明の導電ペーストは、紫外線などの短波長の光を吸収して分解し、ラジカルを生じる化合物や水素引き抜き反応を起こしてラジカルを生じる光重合開始剤(D)を含むことが好ましい。具体例としては、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、エタノン、1−[9−エチル−6−2(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4’−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない
光重合開始剤(D)の添加量としては、酸価が30〜250mgKOH/gの範囲内である化合物(B)100重量部に対し、好ましくは0.05〜30重量部の範囲で添加され、より好ましくは、5〜20重量部である。化合物(B)100重量部に対する光重合開始剤(D)の添加量を5重量部以上とすることにより、特に露光部の硬化密度が増加し、現像後の残膜率を高くすることができる。また、化合物(B)100重量部に対する光重合開始剤(D)の添加量を20重量部以下とすることで、特に光重合開始剤(D)による塗布膜上部での過剰な光吸収を抑制し、導電パターンが逆テーパー形状となり基材との接着性が低下することを抑制することができる。
【0027】
本発明の導電ペーストは光重合開始剤(D)と共に増感剤を添加して感度を向上させたり、反応に有効な波長範囲を拡大したりすることができる。
【0028】
増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニルビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。増感剤を本発明の導電ペーストに添加する場合、その添加量は酸価が30〜250mgKOH/gの範囲内である化合物(B)100重量部に対して通常0.05〜10重量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量部である。化合物(B)100重量部に対する添加量を0.1重量部以上とすることにより光感度を向上させる効果が十分に発揮されやすく、化合物(B)100重量部に対する添加量を10重量部以下とすることにより、特に塗布膜上部での過剰な光吸収が起こり、導電パターンが逆テーパー形状となり、基材との接着性が低下することを抑制することができる。
【0029】
本発明の導電ペーストに含まれる導電性フィラー(C)はAg、Au、Cu、Pt、Pb、Sn、Ni、Al、W、Mo、酸化ルテニウム、Cr、Ti、およびインジウムの少なくとも1種を含むことが好ましく、これらの導電性フィラーを単独、合金、あるいは混合粉末として用いることができる。また、上述の成分で絶縁性粒子または導電性粒子の表面を被膜した導電性粒子も同様に用いることができる。中でも導電性の観点からAg、CuおよびAuが好ましく、コスト、安定性の観点からAgがより好ましい。
【0030】
導電性フィラー(C)の体積平均粒子径は0.1〜10μmが好ましく、より好ましくは0.5〜6μmである。体積平均粒子径が0.5μm以上であると導電性フィラー同士の接触確率が向上し、作製される導電パターンの比抵抗値、および断線確率を低くすることができ、且つ露光時の紫外線が膜中をスムーズに透過することができ、微細パターニングが容易となる。また体積平均粒子径が6μm以下であれば印刷後の回路パターンの表面平滑度、パターン精度、寸法精度が向上する。なお、体積平均粒子径は、コールターカウンター法により求めることができる。
【0031】
導電性フィラー(C)の添加量としては導電ペースト中の全固形分に対し、70〜95重量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは80〜90重量%である。80重量%以上とすることにより、特にキュア時の硬化収縮における導電性フィラー同士の接触確率が向上し、作製される導電パターンの比抵抗値、および断線確率を低くすることができる。また、90重量%以下とすることにより、特に露光時の紫外線が膜中をスムーズに透過することができ、微細なパターニングが容易となる。
【0032】
本発明の導電ペーストは溶剤を含有してもよい。溶剤としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。溶剤は1種を単独で用いたり、2種以上を混合して用いたりすることができる。溶剤はペースト作製後、粘度調整を目的に後から添加してもかまわない。
【0033】
本発明の導電ペーストは、その所望の特性を損なわない範囲であれば可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤、顔料などの添加剤を配合することもできる。
【0034】
可塑剤の具体例としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。レベリング剤の具体例としては特殊ビニル系重合物、特殊アクリル系重合物などが挙げられる。
【0035】
シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0036】
本発明の導電ペーストは分散機、混練機などを用いて作製される。これらの具体例としては三本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
次に本発明の導電ペーストを用いた導電パターンの製造方法について説明する。導電パターンを作製するためには本発明のペーストを基板上に塗布し、導電ペーストが溶剤を含む場合は必要に応じ加熱して溶剤を揮発させて乾燥する。その後パターン形成用マスクを介し、露光し、現像工程を経ることで基板上に所望のパターンを形成する。そして100℃以上300℃以下の温度でキュアして導電パターンを作製する。
【0038】
本発明で用いる基板は、例えば、PETフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、アラミドフィルム、エポキシ樹脂基板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板、ガラス基板、シリコンウエハー、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板、加飾層形成基板、絶縁層形成基板などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明の導電ペーストを基板に塗布する方法としてはスピナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーターなどの方法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が、0.1〜50μmの範囲内になるように塗布される。
【0040】
次に導電ペーストが溶剤を含む場合は、必要に応じ基板上に塗布した塗布膜から溶剤を除去する。溶剤を除去する方法としては、オーブン、ホットプレート、赤外線などによる加熱乾燥や真空乾燥などが挙げられる。加熱乾燥は50℃から180℃の範囲で1分から数時間行うのが好ましい。
【0041】
必要に応じ溶剤を除去した後の塗布膜上に、フォトリソグラフィー法によりパターン加工を行う。露光に用いられる光源としては水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いるのが好ましい。
【0042】
露光後、現像液を用いて未露光部を除去することによって、所望のパターンが得られる。アルカリ現像を行う場合の現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらの水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは複数種添加したものを現像液として用いてもよい。また、これらのアルカリ水溶液に界面活性剤を添加したものを現像液として使用することもできる。有機現像を行う場合の現像液としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの極性溶媒を単独あるいは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、水、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどと組み合わせた混合溶液が使用できる。
【0043】
現像は、基板を静置または回転させながら上記の現像液を塗布膜面にスプレーする、基板を現像液中に浸漬する、あるいは浸漬しながら超音波をかけるなどの方法によって行うことができる。
【0044】
現像後、水によるリンス処理を施してもよい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしてもよい。
【0045】
次に導電性を発現させるためにペースト組成物膜をキュアする。キュアする方法としては、オーブン、イナートオーブン、ホットプレート、赤外線などによる加熱乾燥や真空乾燥などが挙げられる。キュア温度は100〜300℃の範囲が好ましく、より好ましくは120〜180℃である。加熱温度を120℃以上にすることで樹脂の体積収縮量を大きくでき、比抵抗率が小さくなる。また、本発明の導電ペーストは180℃以下の比較的低温のキュアで高い導電性を得ることができるため、耐熱性が低い基板上や、耐熱性の低い材料と併用して用いることができる。このようにキュア工程を経て導電パターンを作製することができる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。各実施例および比較例で用いた材料および評価方法は以下の通りである。
【0047】
<アスペクト比の測定方法>
複合粒子(A)のアスペクト比はSEMもしくはTEM画像から100個の粒子のアスペクト比を求め、その平均値とした。
【0048】
<パターニング性の評価方法>
PETフィルム上に導電ペーストを乾燥厚みが10μmになるように塗布、90℃の乾燥オーブンで5分間乾燥し、一定のラインアンドスペース(L/S)で配列する直線群を1つのユニットとし、L/Sの値が異なる9種類のユニットを有する透光パターンを有するフォトマスクを介して露光、現像、そして130℃で1時間キュアすることによって導電パターンを得た。各ユニットのL/Sの値は500/500、250/250、100/100、50/50、40/40、30/30、25/25、20/20、15/15とした(それぞれライン幅(μm)/間隔(μm)を表す)。パターンを光学顕微鏡により観察し、パターン間に残渣がなく、かつパターン剥がれのない最小のL/Sの値を持つパターンを確認し、この最小のL/Sの値を現像可能なL/Sとした。
【0049】
<比抵抗率の評価方法>
PETフィルム上に導電ペーストを乾燥厚みが10μmになるように塗布、90℃の乾燥オーブンで10分間乾燥し、図1に示すパターンの透光部Aを有するフォトマスクを介して露光し、現像そして130℃で1時間乾燥オーブンでキュアすることによって比抵抗率測定用導電性パターンを得た。導電性パターンのライン幅は0.400mm、ライン長さは80mmである。得られたパターンの端部を表面抵抗計でつなぎ、表面抵抗値を測定し、下記の計算式に当てはめて比抵抗率を算出した。なお膜厚の測定は触針式段差計“サーフコム(登録商標)1400”(商品名、(株)東京精密製)を用いて行った。膜厚の測定はランダムに3箇所の位置にて測り、その3点の平均値を膜厚とした。測長は1mm、走査速度は0.3mm/sとした。線幅はパターンを光学顕微鏡でランダムに3箇所の位置を観察し、画像データを解析して得られた3点の平均値を線幅とした。
比抵抗率=表面抵抗値×膜厚×線幅/ライン長
<屈曲性の評価方法>
図2は屈曲性試験に用いたサンプルを模式的に示したものである。縦10mm、横100mmの長方形のPETフィルム(厚み40μm)上に導電ペーストを乾燥厚みが10μmになるように塗布し、90℃の乾燥オーブンで10分間乾燥し、図1に示すパターンの透光部Aを有するフォトマスクを、透光部がサンプル中央になるように配置して露光し、現像、130℃で1時間乾燥オーブンでキュアして導電パターンを形成し、テスターを用いて抵抗値を測定した。その後導電パターンが内側、外側と交互になるように曲げてサンプル短辺Bとサンプル短辺Cを接触させ、元に戻す屈曲動作を100回繰り返した後、再度テスターで抵抗値を測定した。その結果抵抗値の変化量が20%以下であること、且つ導電パターンにクラック、剥がれ、断線などがないものを○とし、そうでないものを×とした。
【0050】
<ITOとの接続信頼性評価方法>
PETフィルムにITOが全面スパッタされた透明導電フィルム上に導電ペーストを乾燥厚みが10μmになるように塗布し、90℃の乾燥オーブンで10分間乾燥し、図3に示すパターンの透光部Aを有するフォトマスクを介して露光し、現像そして130℃で1時間乾燥オーブンでキュアすることによってITOとの接続信頼性評価サンプルを得た。導電性パターンのライン幅は100μm、ライン間は5mm、端子部は直径2mmの円形である。得られたサンプルの端子部をテスターでつなぎ、初期抵抗を測定した後、85℃、85%RHの恒温恒湿槽“LU−113”(商品名、エスペック(株))に500h投入した。その後、取り出したサンプルの端子部を再度テスターでつなぎ抵抗値を測定し、下記式を用いて抵抗変化率を算出し、1.3以下のものを○、1.3より大きいものは×とした。
抵抗変化率=抵抗値(500h後)/初期抵抗値
実施例、比較例で用いた材料は以下の通りである。
・無機粒子表面にアンチモン含有化合物が被覆されている粒子(A)
ET−300W(商品名、石原産業株式会社製、酸化チタンからなる芯材をアンチモンドープ酸化スズで被覆した複合粒子、アスペクト比1.1、体積平均粒子径0.03〜0.06μm)
ET−500W(商品名、石原産業株式会社製、酸化チタンからなる芯材をアンチモンドープ酸化スズで被覆した複合粒子、アスペクト比1.1、体積平均粒子径0.2〜0.3μm)
FT−1000(商品名、石原産業株式会社製、酸化チタンからなる芯材をアンチモンドープ酸化スズで被覆した複合粒子、アスペクト比12.9、体積平均粒子径0.18μm)
パストラン(登録商標)4410(商品名、三井金属鉱業株式会社製、硫酸バリウムからなる芯材をアンチモンドープ酸化スズで被覆した複合粒子、アスペクト比1.2、体積平均粒子径0.1μm)
・酸価が30〜250mgKOH/gの範囲内である化合物(B)
KAYARAD(登録商標) ASP−010(商品名、日本化薬株式会社製、不飽和二重結合を有さないアクリル系共重合物、酸価46mgKOH/g、ガラス転移温度60℃(DSC測定))
Curalite(登録商標) 2300(商品名、Perstorp社製、ポリエステル系樹脂、酸価229mgKOH/g、ガラス転移温度45℃(DSC測定))
(合成例1)酸価が30〜250mgKOH/gの範囲内である化合物 B−1
エチルアクリレート(EA)/メタクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHMA)/スチレン(St)/アクリル酸(AA)の共重合体(共重合比率:20重量部/40重量部/20重量部/15重量部)にグリシジルメタクリレート(GMA)を5重量部付加反応させたもの
窒素雰囲気の反応容器中にジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート150gを仕込みオイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、エチルアクリレート20g、メタクリル酸2−エチルヘキシル40g、スチレン20g、アクリル酸15g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.8gおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10gからなる混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、ハイドロキノンモノメチルエーテル1gを添加して重合反応を停止した。引き続きグリシジルメタクリレート5g、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド1gおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10gからなる混合物を0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで化合物B−1を得た。得られた化合物B−1の酸価は103mgKOH/g、式(1)より求めたガラス転移温度は21.7℃であった。
(合成例2)酸価が30〜250mgKOH/gの範囲である化合物 B−2
エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートFA−324A(製品名、日立化成工業株式会社製)/EA/AAの共重合体(共重合比率:50重量部/10重量部/15重量部)にグリシジルメタクリレート(GMA)を5重量部付加反応させたもの
窒素雰囲気の反応容器中にジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート150gを仕込みオイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートFA−324Aを50g、エチルアクリレート20g、アクリル酸15g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.8gおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10gからなる混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、ハイドロキノンモノメチルエーテル1gを添加して重合反応を停止した。引き続きグリシジルメタクリレート5g、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド1gおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10gからなる混合物を0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで化合物B−2を得た。得られた化合物B−2の酸価は96mgKOH/g、式(1)より求めたガラス転移温度は19.9℃であった。
(合成例3)エポキシエステル3000A(共栄社化学(株)製、分子量:476.7、ビスフェノールA骨格を有する)/メタクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHMA)/スチレン(St)/アクリル酸(AA)の共重合体(共重合比率:20重量部/40重量部/20重量部/15重量部)にグリシジルメタクリレート(GMA)を5重量部付加反応させたもの
窒素雰囲気の反応容器中にジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート150gを仕込みオイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、エポキシエステル3000A20g、メタクリル酸2−エチルヘキシル40g、スチレン20g、アクリル酸15g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.8gおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10gからなる混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、ハイドロキノンモノメチルエーテル1gを添加して重合反応を停止した。引き続きグリシジルメタクリレート5g、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド1gおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10gからなる混合物を0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで化合物B−3を得た。得られた化合物B−3の酸価は98mgKOH/g、DSC測定から得られたガラス転移温度は43.2℃であった。
(合成例4)エポキシエステル70PA(共栄社化学(株)製、分子量:332.4、脂肪鎖型エポキシアクリレート)/メタクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHMA)/スチレン(St)/アクリル酸(AA)の共重合体(共重合比率:20重量部/40重量部/20重量部/15重量部)にグリシジルメタクリレート(GMA)を5重量部付加反応させたもの
窒素雰囲気の反応容器中にジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート150gを仕込みオイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、エポキシエステル70PA20g、メタクリル酸2−エチルヘキシル40g、スチレン20g、アクリル酸15g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.8gおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10gからなる混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、ハイドロキノンモノメチルエーテル1gを添加して重合反応を停止した。引き続きグリシジルメタクリレート5g、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド1gおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10gからなる混合物を0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで化合物B−4を得た。得られた化合物B−4の酸価は96mgKOH/g、DSC測定から得られたガラス転移温度は23.5℃であった。
(合成例5)反応容器にエポキシエステル3000A(共栄社化学(株)製、分子量:476.7、ビスフェノールA骨格を有する)200g、反応用溶媒としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート500g、熱重合禁止剤として2−メチルハイドロキノンを0.5g、カルボキシル基を有するジオール化合物としてジヒドロキシプロピオン酸(分子量:106.1)75g加え、45℃に昇温させた。この溶液にヘキサメチレンジイソシアネート(分子量:168.2)84.1g加え、反応温度が50℃を超えないように徐々に滴下した。滴下終了後、温度を80℃に上昇させ、赤外吸収スペクトル測定法により、2250cm−1付近の吸収がなくなるまで6時間反応させた。この溶液に分子中にグリシジルメタクリレート(分子量:142.2)165g添加後、95℃に昇温し、6時間反応させることで化合物B−5を得た。得られた化合物B−5の51.2重量%の樹脂溶液を得た。得られた化合物B−5の酸価は89mgKOH/g、DSC測定から得られたガラス転移温度は27.2℃であった。
・導電性フィラー(C)
表1に記載の材料、体積平均粒子径のものを用いた。なお、体積平均粒子径は以下の方法により求めた。
・光重合開始剤(D)
IRGACURE(登録商標)369(商品名、チバジャパン株式会社製)
<体積平均粒子径の測定>
HORIBA社製動的光散乱式粒度分布計により、導電性フィラー(C)の体積平均粒子径を測定した。
・モノマー:ライトアクリレートBP−4EA(共栄社化学株式会社製)
・溶剤:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(東京化成工業株式会社製)
・無機粒子を含まないアンチモン含有化合物および導電性酸化スズ粒子
SN−100P(商品名、石原産業株式会社製)
FS−10P(商品名、石原産業株式会社製)
T−1(商品名、三菱マテリアル電子化成株式会社製)
(実施例1)
100mLクリーンボトルに化合物B−1を10.0g、光重合開始剤IRGACURE(登録商標)369(チバジャパン株式会社製)を0.50g、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを5.0gいれ、“あわとり錬太郎”(登録商標;商品名、ARE−310、株式会社シンキー社製)で混合し、樹脂溶液15.5g(固形分67.7重量%)を得た。
【0051】
得られた樹脂溶液10.7gと平均粒子径2μmのAg粒子を50.0g、ET−300W(石原産業株式会社製)を0.87g混ぜ合わせ、3本ローラー“EXAKT M−50”(商品名、EXAKT社製)を用いて混練し、61.6gの導電ペーストを得た。
【0052】
得られたペーストをスクリーン印刷で膜厚100μmのPETフィルム上に塗布し、乾燥オーブンで90℃、10分間の条件で乾燥した。その後、露光装置“PEM−6M”(商品名、ユニオン光学株式会社製)を用いて露光量200mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光を行い、0.25%NaCO溶液で50秒浸漬現像を行い、超純水でリンス後、乾燥オーブンで140℃、30分キュアを行った。パターン加工された導電パターンの膜厚は10μmであった。導電パターンのラインアンドスペース(L/S)パターンを光学顕微鏡により確認したところ、L/Sが20/20μmまでパターン間残渣、パターン剥がれがなく、良好にパターン加工されていることを確認した。そして導電パターンの比抵抗率を測定したところ6.7×10−5Ωcmであった。また屈曲性についても試験後クラックや断線などが生じておらず良好な結果が得られた。ITOとの接続信頼性評価は初期抵抗38.4Ω、85℃85%RH環境下で500h後の抵抗は39.4Ωで変化率は1.03であった。
【0053】
(実施例2〜11)
表1に示す組成の導電ペーストを実施例1と同様の方法で製造し、評価結果を表2に示した。
【0054】
(比較例1〜3)
表1に示す組成の導電ペーストを実施例1と同様の方法で製造し、評価結果を表2に示した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
実施例1〜11の導電ペーストはいずれもパターニング性、接続信頼性に優れたものであったが、比較例1〜3の導電ペーストはいずれもライン/スペースが500μm/500μmのパターンにおいても残渣が発生しパターニング性に劣り、かつ抵抗変化率が高く接続信頼性に劣るものであった。
【符号の説明】
【0058】
A 透光部
B、C サンプル短辺
D 導電パターン
E PETフィルム
【図1】
【図2】
【図3】
【国際調査報告】