(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013108770
(43)【国際公開日】20130725
【発行日】20150511
(54)【発明の名称】研磨用組成物、その製造方法、希釈用原液、シリコン基板の製造方法、及びシリコン基板
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20150414BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20150414BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20150414BHJP
【FI】
   !C09K3/14 550C
   !H01L21/304 622D
   !B24B37/00 H
   !C09K3/14 550Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】2013554299
(21)【国際出願番号】JP2013050627
(22)【国際出願日】20130116
(31)【優先権主張番号】2012006372
(32)【優先日】20120116
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000236702
【氏名又は名称】株式会社フジミインコーポレーテッド
【住所又は居所】愛知県清須市西枇杷島町地領二丁目1番地1
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】土屋 公亮
【住所又は居所】愛知県清須市西枇杷島町地領二丁目1番地1 株式会社 フジミインコーポレーテッド 内
(72)【発明者】
【氏名】森 嘉男
【住所又は居所】愛知県清須市西枇杷島町地領二丁目1番地1 株式会社 フジミインコーポレーテッド 内
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 修平
【住所又は居所】愛知県清須市西枇杷島町地領二丁目1番地1 株式会社 フジミインコーポレーテッド 内
(72)【発明者】
【氏名】高見 信一郎
【住所又は居所】愛知県清須市西枇杷島町地領二丁目1番地1 株式会社 フジミインコーポレーテッド 内
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
研磨用組成物は、砥粒を含有する希釈用原液を希釈する工程を経ることにより得られる。希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径をR1とし、研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径をR2とした場合、比率R2/R1は1.2以下である。研磨用組成物は、シリコン基板を製造するべくシリコン基板原料を研磨する用途で使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥粒を含有する希釈用原液を希釈する工程を経て得られる研磨用組成物であって、
前記希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径をR1とし、前記研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径をR2とした場合、
比率R2/R1が1.2以下であることを特徴とする研磨用組成物。
【請求項2】
前記希釈用原液の希釈は2倍以上100倍以下の希釈率で行われる請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
前記希釈用原液を希釈する工程で得られる希釈液をろ過する工程をさらに経て得られる請求項1又は請求項2に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
前記希釈液をろ過する工程で使用されるフィルターの目開きが0.05μm以上50μm以下である請求項3に記載の研磨用組成物。
【請求項5】
前記希釈液をろ過する工程のろ過速度が吸引圧50kPaにおいて0.005mL/(分・mm)以上10mL/(分・mm)以下である請求項3又は請求項4に記載の研磨用組成物。
【請求項6】
シリコン基板原料を研磨する用途に用いられる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
【請求項7】
砥粒を含有する希釈用原液を希釈する工程を経て研磨用組成物を製造する方法であって、
前記希釈用原液を希釈する工程は、前記希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径をR1とし、前記研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径をR2とした場合、比率R2/R1が1.2以下となるように行われることを特徴とする研磨用組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いてシリコン基板原料を研磨する工程を含むことを特徴とするシリコン基板の製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いてシリコン基板原料を研磨して得られることを特徴とするシリコン基板。
【請求項10】
研磨用組成物を調製するために水で2倍以上100倍以下に希釈して使用される希釈用原液であって、
前記希釈用原液は砥粒を含有し、前記希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径をR1とし、前記研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径をR2とした場合、比率R2/R1が1.2以下であることを特徴とする希釈用原液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨用組成物、その製造方法、研磨用組成物を調製するための希釈用原液、研磨用組成物を用いたシリコン基板の製造方法、及び研磨用組成物を用いて製造されるシリコン基板に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばシリコン基板の研磨には、砥粒等を含有する研磨用組成物が用いられている(特許文献1参照)。研磨対象物を研磨して得られる研磨製品の品質を安定させるためには、研磨用組成物中の凝集物を低減することが重要である。この点、特許文献2には、砥粒の分散性を高める技術が開示されている。しかしながら、研磨製品の品質向上のためには未だ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−518668号公報
【特許文献2】特開2001−15461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、砥粒を含有する希釈用原液を希釈したときに凝集物が生じることに着目してなされたものであり、本発明の目的は、高品質の研磨製品の製造に有用な研磨用組成物、その製造方法、及び希釈用原液を提供することにある。また、本発明の別の目的は、高品質のシリコン基板を容易に得ることが可能なシリコン基板の製造方法、及び高品質のシリコン基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様では、砥粒を含有する希釈用原液を希釈する工程を経て得られる研磨用組成物であって、前記希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径をR1とし、前記研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径をR2とした場合、比率R2/R1が1.2以下である研磨用組成物が提供される。
【0006】
前記希釈用原液の希釈は2倍以上100倍以下の希釈率で行われることが好ましい。
【0007】
前記研磨用組成物は、前記希釈用原液を希釈する工程で得られる希釈液をろ過する工程をさらに経て得られることが好ましい。
【0008】
前記希釈液をろ過する工程で使用されるフィルターの目開きは0.05μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0009】
前記希釈液をろ過する工程のろ過速度は吸引圧50kPaにおいて0.005mL/(分・mm)以上10mL/(分・mm)以下であることが好ましい。
【0010】
前記研磨用組成物は、シリコン基板原料を研磨する用途に用いられることが好ましい。
【0011】
本発明の別の態様では、砥粒を含有する希釈用原液を希釈する工程を経て研磨用組成物を製造する方法であって、前記希釈用原液を希釈する工程は、前記希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径をR1とし、前記研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径をR2とした場合、比率R2/R1が1.2以下となるように行われる研磨用組成物の製造方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の態様では、前記研磨用組成物を用いてシリコン基板原料を研磨する工程を含むシリコン基板の製造方法が提供される。
【0013】
本発明のさらに別の態様では、前記研磨用組成物を用いてシリコン基板原料を研磨して得られるシリコン基板が提供される。
【0014】
本発明のさらに別の態様では、研磨用組成物を調製するために水で2倍以上100倍以下に希釈して使用される希釈用原液であって、前記希釈用原液は砥粒を含有し、前記希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径をR1とし、前記研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径をR2とした場合、比率R2/R1が1.2以下である希釈用原液が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高品質のシリコン基板などの研磨製品を容易に提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
【0017】
本実施形態の研磨用組成物は、希釈用原液を希釈して希釈液を得る希釈工程と、希釈液をろ過するろ過工程を経て製造される。希釈用原液は砥粒及び水を含有する。
【0018】
希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径をR1とし、研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径をR2とした場合、比率R2/R1は1.2以下である。本実施形態の研磨用組成物は、シリコン基板原料を研磨する用途に用いられる。
【0019】
砥粒は、研磨対象となる面を機械的に研磨する働きを有する。砥粒の具体例としては、シリカ、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニアなどの金属酸化物からなる粒子、炭化ケイ素、炭酸カルシウム、ダイヤモンドなどからなる粒子が挙げられる。砥粒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
砥粒はシリカ粒子であることが好ましい。シリカ粒子の例としてはコロイダルシリカ、フュームドシリカ等が挙げられ、中でもコロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカ又はフュームドシリカを使用した場合、特にコロイダルシリカを使用した場合には、研磨用組成物を用いた研磨によってシリコン基板の表面に発生するスクラッチが減少する。
【0021】
砥粒の平均一次粒子径は5nm以上であることが好ましく、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上である。砥粒の平均一次粒子径の増大につれて、シリコン基板の研磨速度が向上する。
【0022】
また、砥粒の平均一次粒子径は100nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは40nm以下である。砥粒の平均一次粒子径の減少につれて、研磨用組成物の分散安定性が向上する。
【0023】
砥粒の平均一次粒子径の値は、例えば、BET法により測定される比表面積から算出される。砥粒の比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の“Flow SorbII 2300”を用いて行うことができる。
【0024】
研磨用組成物中における砥粒の含有量は、0.01質量%以上であることが好ましい。砥粒の含有量の増加につれて、研磨対象となる面に対する研磨速度等の表面加工性能が向上する。
【0025】
また、研磨用組成物中における砥粒の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。砥粒の含有量の減少につれて、研磨用組成物の分散安定性が向上し、かつ、研磨された面の砥粒の残渣が低減する傾向となる。
【0026】
希釈用原液中の水は、希釈用原液中の他の成分の分散媒又は溶媒となる。他の成分の働きが阻害されることを極力回避するため、例えば遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下である水を使用することが好ましい。例えば、イオン交換樹脂を用いる不純物イオンの除去、フィルターによる異物の除去、蒸留等の操作によって水の純度を高めることができる。具体的には、例えば、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水等を用いることが好ましい。
【0027】
研磨用組成物のpHは8〜12の範囲が好ましく、より好ましくは9〜11の範囲である。研磨用組成物のpHが8〜12の範囲の場合、実用上、好ましい研磨速度が得られ易い。
【0028】
希釈用原液は、必要に応じて、水溶性高分子又は塩基性化合物をさらに含有してもよい。
【0029】
水溶性高分子は、研磨される面の濡れ性を高める働きを有する。水溶性高分子としては、分子中に、カチオン基、アニオン基及びノニオン基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するものを使用することができる。水溶性高分子は、分子中に水酸基、カルボキシル基、アシルオキシ基、スルホ基、第四級窒素構造、複素環構造、ビニル構造、ポリオキシアルキレン構造等を含んでもよい。
【0030】
水溶性高分子の具体例としては、セルロース誘導体、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)等のイミン誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンを構造の一部に含む共重合体、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルカプロラクタムを構造の一部に含む共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレン構造を有する重合体、これらのジブロック型やトリブロック型、ランダム型、交互型といった複数種の構造を有する重合体、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
【0031】
水溶性高分子は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
水溶性高分子は、親水性を与える働きが良好であることから、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、又はポリオキシアルキレン構造を有する重合体が好適である。セルロース誘導体の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。セルロース誘導体の中でも、研磨された面に濡れ性を与える能力が高く、良好な洗浄性を有する点から、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0033】
水溶性高分子の重量平均分子量は、ポリエチレンオキサイド換算で、300以上であることが好ましく、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは10000以上、一層好ましくは100000以上、最も好ましくは200000以上である。水溶性高分子の重量平均分子量の増加につれて、研磨される面の親水性が高まる傾向となる。
【0034】
また、水溶性高分子の重量平均分子量は、2000000未満であることが好ましく、より好ましくは1500000未満、さらに好ましくは1000000未満、最も好ましくは500000未満である。水溶性高分子の重量平均分子量の減少につれて、研磨用組成物の安定性がより保たれる。
【0035】
研磨用組成物中における水溶性高分子の含有量は、0.002質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.004質量%以上、さらに好ましくは0.006質量%以上である。研磨用組成物中における水溶性高分子の含有量の増加につれて、研磨される面の濡れ性がより高まる傾向となる。
【0036】
また、研磨用組成物中における水溶性高分子の含有量は、0.5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.2質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。研磨用組成物中における水溶性高分子の含有量の減少につれて、研磨用組成物の分散安定性が向上され易くなる傾向となる。
【0037】
塩基性化合物は、研磨対象となる面を化学的に研磨する働き、及び研磨用組成物の分散安定性を向上させる働きを有する。
【0038】
塩基性化合物の具体例としては、アルカリ金属の水酸化物又は塩、水酸化第四級アンモニウム又はその塩、アンモニア、アミン等が挙げられる。アルカリ金属の具体例としては、カリウム、ナトリウム等が挙げられる。塩の具体例としては、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、酢酸塩等が挙げられる。第四級アンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物又は塩の具体例としては、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム等が挙げられる。水酸化第四級アンモニウム又はその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、グアニジン等が挙げられる。塩基性化合物は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
塩基性化合物は、アンモニア、アンモニウム塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属塩、及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。中でも、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも一種がより好ましく、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、及び水酸化テトラエチルアンモニウムから選ばれる少なくとも一種がさらに好ましく、一層好ましくはアンモニア及び水酸化テトラメチルアンモニウムの少なくとも一方であり、最も好ましくはアンモニアである。
【0040】
研磨用組成物中における塩基性化合物の含有量は、0.001質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.002質量%以上、さらに好ましくは0.003質量%以上である。研磨用組成物中における塩基性化合物の含有量の増加につれて、研磨対象となる面を化学的に研磨する働き、及び研磨用組成物の分散安定性を向上させる働きが高まる傾向となる。
【0041】
また、研磨用組成物中における塩基性化合物の含有量は、1.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下である。研磨用組成物中における塩基性化合物の含有量の減少につれて、研磨された面の平滑性が向上する傾向となる。
【0042】
希釈用原液は、例えば界面活性剤、有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、キレート剤等をさらに含有してもよい。
【0043】
界面活性剤は、研磨された面の荒れを抑制する働きを有する。これにより、研磨された面のヘイズレベルを低減することが容易となる。特に、研磨用組成物が塩基性化合物を含有する場合、塩基性化合物によるケミカルエッチングにより、研磨された面に荒れが生じ易くなる傾向があるため、界面活性剤を塩基性化合物と併用することはそれを抑えるのに有効である。
【0044】
界面活性剤の重量平均分子量は300未満でもよい。界面活性剤はイオン性又はノニオン性のいずれでもよく、中でもノニオン性界面活性剤が好適に用いられる。ノニオン性界面活性剤は起泡性が低いため、調製時や使用時の研磨用組成物の取り扱いが容易となる。また、イオン性の界面活性剤を用いた場合よりもノニオン性界面活性剤を用いた場合の方が、研磨用組成物のpH調整が容易である。
【0045】
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシアルキレン重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレン付加物等が挙げられ、さらに具体的には、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンプロピルエーテル、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンペンチルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミド、ポリオキシエチレンオレイルアミド、ポリオキシエチレンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジオレイン酸エステル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルチミン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0046】
界面活性剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
有機酸及びその塩、並びに無機酸及びその塩は、研磨された面の親水性を向上させる働きを有する。
【0048】
有機酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸、安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、有機スルホン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。有機酸塩の具体例としては、上記した有機酸のナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、又はアンモニウム塩が挙げられる。
【0049】
無機酸の具体例としては、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸等が挙げられる。無機酸塩の具体例としては、上記した無機酸のナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、又はアンモニウム塩が挙げられる。
【0050】
有機酸塩及び無機酸塩の中でも、研磨製品の金属汚染を抑制するためにはアンモニウム塩が好ましい。
【0051】
有機酸及びその塩、並びに無機酸及びその塩はそれぞれ、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
キレート剤は、研磨製品の金属汚染を抑制する働きを有する。キレート剤の具体例としては、アミノカルボン酸系キレート剤、及び有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが挙げられる。有機ホスホン酸系キレート剤の具体例としては、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等が挙げられる。
【0053】
希釈用原液の原料の混合には、例えば翼式攪拌機、超音波分散機、ホモミキサー等の周知の混合装置を用いることができる。原料はすべて同時に混合してもよいし、あるいは任意の順序で混合してもよい。
【0054】
希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径R1は、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。平均二次粒子径R1が小さくなるにつれて、研磨対象となる面の研磨精度を高めることが容易となる。平均二次粒子径R1の値は、動的光散乱法により測定することができる。
【0055】
希釈工程において希釈用原液を希釈するために使用される水は、希釈用原液中の水として先に説明したもののいずれであってもよい。希釈用原液の希釈は、上述したような混合装置で希釈用原液を撹拌しながら水を徐々に添加する方法で行うことが好ましい。あるいは、希釈用原液に水を添加した後に、上述したような混合装置を使って撹拌してもよい。
【0056】
希釈工程における希釈率Dは、体積換算で2倍以上であることが好ましく、より好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上である。希釈率Dが高くなるにつれて、希釈用原液の輸送コストを削減することができ、また、希釈用原液の保管に必要なスペースを小さくできる。
【0057】
また、希釈工程における希釈率Dは、体積換算で100倍以下であることが好ましく、より好ましくは50倍以下、さらに好ましくは30倍以下である。希釈率Dが低くなるにつれて、希釈用原液を希釈して得られる希釈液や、その希釈液をろ過して得られる研磨用組成物の安定性を確保することが容易となる。
【0058】
希釈工程で希釈用原液を希釈して得られた希釈液は、ろ過工程に供される。ろ過工程は、希釈液中に含まれる砥粒の凝集物の除去を目的として行われる。ろ過工程におけるろ過は、常圧状態で行う自然ろ過であってもよいし、吸引ろ過、加圧ろ過、又は遠心ろ過でもよい。
【0059】
ろ過工程で用いるフィルターは、目開きを基準に選択されることが好ましい。フィルターの目開きは0.05μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上である。フィルターの目開きの拡大につれて、実用的なろ過速度が得られ易くなる。
【0060】
また、フィルターの目開きは50μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。フィルターの目開きの縮小につれて、高品質のシリコン基板の製造に有用な研磨用組成物を得ることがさらに容易となる。
【0061】
なお、フィルターの目開きは、フィルターメーカーにより公称目開きとして提示されている。
【0062】
ろ過工程のろ過速度は、吸引圧50kPaにおいて、0.005mL/(分・mm)以上であることが好ましく、より好ましくは0.010mL/(分・mm)以上、さらに好ましくは0.015mL/(分・mm)以上である。ろ過工程のろ過速度が大きくなるにつれて、ろ過工程は効率化する。
【0063】
また、ろ過工程のろ過速度は、吸引圧50kPaにおいて、10mL/(分・mm)以下であることが好ましく、より好ましくは8mL/(分・mm)以下、さらに好ましくは5mL/(分・mm)以下である。ろ過工程のろ過速度が小さくなるにつれて、異物の除去効率が高まり、結果として高品質のシリコン基板の製造に有用な研磨用組成物を得ることがさらに容易となる。
【0064】
フィルターに希釈用原液の供給を開始してからフィルターが目詰まりするまでにフィルターを通過する希釈用原液の量であるフィルターのろ過容量は、0.1mL/mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.2mL/mm以上、さらに好ましくは0.3mL/mm以上である。フィルターのろ過容量が大きくなるにつれて、ろ過工程のランニングコストを削減できる。
【0065】
また、フィルターのろ過容量は、10mL/mm以下であることが好ましく、より好ましくは8mL/mm以下、さらに好ましくは5mL/mm以下である。フィルターのろ過容量が小さくなるにつれて、異物の除去効率が高まり、結果としてろ過工程は効率化する。
【0066】
なお、本明細書中において、フィルターの目詰まりとは、異物や凝集物等がフィルター上に多量に捕獲されることにより実質的に希釈液のろ過ができなくなった状態、より具体的には、吸引圧50kPaでのろ過速度が0.005mL/(分・mm)以下となった状態をいう。
【0067】
フィルターの材質は、水系溶媒中の粒子除去に適した材質であれば特に限定されない。フィルターの材質の具体例としては、セルロース、ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート等が挙げられる。ろ過精度の観点からはナイロン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホンが好適であり、さらにフィルターライフの観点も考慮するとポリプロピレンがより好適である。
【0068】
フィルターは、例えばメンブレンフィルター又はデプスフィルターであってもよい。フィルターの形状は特に限定されず、例えば平膜状、プリーツ状、中空糸状であってもよい。
【0069】
研磨用組成物は、ろ過工程で得られるろ液、すなわちろ過後の希釈液からなる。
【0070】
希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径R1に対する研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径R2の比率R2/R1は1.2以下であり、好ましくは1.15以下、より好ましくは1.1以下である。比率R2/R1が低くなるにつれて、高品質のシリコン基板の製造に有用な研磨用組成物を得ることが容易となる。
【0071】
また、比率R2/R1は0.5以上であることが好ましく、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上である。比率R2/R1が高くなるにつれて、実用的な研磨速度を有する研磨用組成物が得られ易くなる。
【0072】
なお、研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径R2の値は、希釈用原液中での平均二次粒子径R1と同様に、動的光散乱法により測定することができる。
【0073】
次に、研磨用組成物を用いたシリコン基板の製造方法について、研磨用組成物の作用とともに説明する。
【0074】
研磨用組成物は、シリコンインゴットから切り出されたシリコン基板原料を研磨対象としたラッピング加工、ポリッシング加工等の研磨工程に用いることができる。具体的には、研磨対象となる面に研磨用組成物を供給しながら研磨パッドを押し付けて、シリコン基板原料及び研磨パッドを回転させる。
【0075】
希釈用原液中に含まれる凝集物の量は、希釈工程を経ることによって増加する傾向がある。研磨用組成物中に凝集物が多く含まれていると、シリコン基板原料やシリコン基板に対して悪影響を及ぼすおそれがある。この点、本実施形態の研磨用組成物は、希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径R1に対する研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径R2の比率R2/R1が1.2以下である。すなわち、希釈工程を経ることによって起こる砥粒の凝集が抑制されている。そのため、シリコン基板原料やシリコン基板は、研磨用組成物中の凝集物による悪影響を受け難い。
【0076】
研磨工程後のシリコン基板をリンスしてさらに乾燥することで、研磨製品のシリコン基板が得られる。
【0077】
本実施形態の研磨用組成物は、それが上述した砥粒、水溶性高分子、及び水を含有する場合でかつシリコン基板原料の最終研磨に使用される場合に特に利用価値が高い。こうした研磨用組成物の場合、水溶性高分子によって研磨用組成物中の砥粒の間で橋かけ凝集が起こるおそれがある。この橋かけ凝集は希釈用原液を水で希釈する希釈工程で発生し易い傾向にあり、希釈工程で生じた橋かけ凝集物は研磨用組成物中で再分散しないまま残ることが多い。最終研磨後のシリコン基板上に橋かけ凝集物が残留した場合、LPD(Light Point Defect)と呼ばれる表面欠陥を招くおそれがある。この点、本実施形態の研磨用組成物によれば、研磨用組成物中の砥粒の凝集が抑制されているため、最終研磨後のシリコン基板上に凝集物が残留するのを抑制することができる。
【0078】
研磨用組成物をシリコン基板原料の最終研磨に使用する場合には、研磨用組成物中に含まれる0.7μm以上の大きさの粗大粒子の数はできるだけ少ないことが望ましい。具体的には、研磨用組成物中に含まれる0.7μm以上の粗大粒子の数は、1mL当たり4000個以下であることが好ましく、より好ましくは1mL当たり2000個以下、さらに好ましくは1mL当たり1500個以下である。研磨用組成物中の粗大粒子の数は希釈用原液を希釈後にろ過することで低減することができる。
【0079】
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
【0080】
(1)本実施形態の研磨用組成物の場合、希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径R1に対する研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径R2の比率R2/R1が1.2以下である。すなわち、希釈工程を経ることによって起こる砥粒の凝集が抑制されている。そのため、研磨用組成物を用いて製造される研磨製品は、研磨用組成物中の凝集物による悪影響を受け難い。従って、高品質の研磨製品を得ることが容易となる。
【0081】
(2)研磨用組成物が希釈用原液を2倍以上100倍以下に希釈することで得られるものである場合、希釈用原液の輸送コストの削減することができ、また、希釈用原液の保管に必要なスペースを小さくできる。さらには、希釈液や研磨用組成物の安定性を確保することが容易となる。
【0082】
(3)研磨用組成物が希釈用原液を希釈後にろ過することで得られるものである場合、比率R2/R1を1.2以下とすることが容易である。
【0083】
(4)ろ過工程で使用されるフィルターの目開きが0.05μm以上50μm以下である場合、実用的なろ過速度が得られ易いとともに、高品質の研磨製品の製造に有用な研磨用組成物を得ることがさらに容易となる。
【0084】
(5)ろ過工程のろ過速度が吸引圧50kPaにおいて0.005mL/(分・mm)以上10mL/(分・mm)以下である場合、ろ過工程が効率化するとともに、高品質の研磨製品の製造に有用な研磨用組成物を得ることがさらに容易となる。
【0085】
(6)シリコン基板原料を研磨する用途で本実施形態の研磨用組成物を使用した場合には、高品質のシリコン基板を得ることが容易である。
【0086】
(7)本実施形態の研磨用組成物の製造方法によれば、希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径R1に対する研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径R2の比率R2/R1が1.2以下となるように希釈用原液の希釈が行われるため、高品質の研磨製品の製造に有用な研磨用組成物を得ることができる。
【0087】
(8)本実施形態の研磨用組成物を用いてシリコン基板原料を研磨する工程を含むシリコン基板の製造方法によれば、高品質のシリコン基板を容易に得ることができる。
【0088】
(9)本実施形態の研磨用組成物を用いてシリコン基板原料を研磨して得られるシリコン基板は、研磨用組成物中の異物や凝集物といった粗大粒子が原因で生じるLPDが少なく高品質である。
【0089】
(10)本実施形態の研磨用組成物は、上記(1)で述べたように、高品質の研磨製品の製造に有用である。したがって、研磨用組成物を調製するために使用される希釈用原液もまた、高品質の研磨製品の製造に有用であるといえる。
【0090】
なお、前記実施形態は次のように変更されてもよい。
【0091】
・研磨用組成物は、防腐剤、防カビ剤等の公知の添加剤を必要に応じてさらに含有してもよい。防腐剤及び防カビ剤の具体例としては、イソチアゾリン系化合物、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0092】
・研磨用組成物の製造方法は、異物を含んでいる可能性の低い原料や凝集を起こすの可能性の低い原料を、希釈用原液を希釈して得られる希釈液に添加する工程をさらに含んでもよい。
【0093】
・希釈液をろ過するろ過工程を省略してもよい。
【0094】
・ろ過工程は、一段階で行ってもよいし、複数の段階に分けて行ってもよい。ろ過工程を複数の段階に分けて行う場合は、各段階で使用されるフィルターは同じ種類であってもよいし、例えば目開きや材質の異なるフィルターを各段階で用いてもよい。各段階で目開きの異なるフィルターを使用する場合は、前段階から後段階に向かうにつれて、使用されるフィルターの目開きが細かくなることが好ましい。
【0095】
・ろ過工程は、バッチ式ろ過で行ってもよいし、循環式ろ過で行ってもよい。
【0096】
・研磨用組成物の製造方法は、希釈用原液をろ過する工程や、あるいは希釈用原液の調製前に研磨用組成物の原料をろ過する工程をさらに含んでもよい。
【0097】
・前記砥粒の形状は、球形であってもよいし、中央にくびれを有する繭型形状、複数の突起を表面に有する金平糖形状、ラグビーボール形状等の非球形であってもよい。
【0098】
・研磨用組成物を用いた研磨で使用される研磨パッドは、特に限定されないが、不織布タイプ、スウェードタイプ、砥粒を含むもの、砥粒を含まないもののいずれでもよい。
【0099】
・研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤以上から構成する多剤型であってもよい。
【0100】
・研磨用組成物は、シリコン基板以外の研磨製品、例えば、酸化シリコン基板、プラスチック基板、ガラス基板、石英基板等の製造のために使用されてもよい。その場合も、研磨用組成物中に凝集物が少ないため、高品質の研磨製品を得ることが容易である。研磨用組成物の原料は、研磨用組成物を用いて製造しようとする研磨製品に応じて適宜変更されてもよく、例えば樹脂粒子を砥粒として含んでもよい。
【0101】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0102】
砥粒を含有する希釈用原液を希釈して希釈液を得る工程と、前記希釈液をろ過する工程とを経て研磨用組成物を調製する方法であって、
前記希釈液をろ過する工程は、前記希釈用原液中での砥粒の平均二次粒子径をR1とし、前記研磨用組成物中での砥粒の平均二次粒子径をR2とした場合、比率R2/R1を低減させることを特徴とする研磨用組成物の調製方法。
【実施例】
【0103】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0104】
コロイダルシリカ、水溶性高分子、塩基性化合物、及び有機酸塩をイオン交換水に混合して実施例1〜4及び比較例1の希釈用原液を調製した。各希釈用原液の組成は表1に示すとおりである。
【0105】
使用したコロイダルシリカの平均粒子径を、日機装株式会社製のUPA−UT151を用いた動的光散乱法で測定した。測定された平均粒子径の値を表1の“コロイダルシリカ”欄内の“粒径”欄に示す。
【0106】
表1中の“水溶性高分子”欄内の“HEC”はヒドロキシエチルセルロースを表し、“PVP”はポリビニルピロリドンを表し、“A1”はポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド(PEO−PPO−PEO)トリブロック共重合体を表す。表1中の“有機酸塩”欄内の“B1”は、クエン酸三アンモニウムを表す。
【0107】
各希釈用原液中でのシリカ粒子の平均二次粒子径R1を大塚電子社製のFPAR−100を用いた動的光散乱法により測定した。その結果を表2中の“R1”欄に示す。
【0108】
各希釈用原液を、ホモジナイザーを使って撹拌しながら純水で20倍の体積に希釈して希釈液を得た後、その希釈液をろ過することにより、実施例1〜4及び比較例1の各研磨用組成物を調製した。希釈液のろ過は、表2の“目開き”欄に記載したサイズの目開きを有するフィルターを用いて表3に記載した条件で行い、その結果、表2の“ろ過速度”欄に記載した値のろ過速度が得られた。なお、実施例4及び比較例1の研磨用組成物の調製は、希釈液のろ過を省略して行った。
【0109】
各研磨用組成物中でのシリカ粒子の平均二次粒子径R2を大塚電子社製のFPAR−100を用いた動的光散乱法により測定した。その結果を表2中の“R2”欄に示す。また、平均二次粒子径R1に対する平均二次粒子径R2の比率を表2中の“R2/R1”欄に示す。
【0110】
各研磨用組成物中に含まれる0.7μm以上の大きさの粗大粒子の数を計測した。この計測は、Particle Sizing Systems社製AccuSizerFXを用いて行った。その結果を表2の“LPC(Large Particle Count)”欄に示す。
【0111】
各研磨用組成物を用いて、シリコン基板原料の表面を表4に記載の条件で研磨した。使用したシリコン基板原料は、直径が300mm、伝導型がP型、結晶方位が<100>、抵抗率が0.1Ω・cm以上100Ω・cm未満であり、株式会社フジミインコーポレーテッド製の研磨スラリー(商品名:GLANZOX 1103)を用いて予備研磨したものである。ケーエルエー・テンコール社製のウェーハ検査装置Surfscan SP2を用いて、研磨後のシリコン基板の表面に存在する37nm以上の大きさのパーティクルの個数を計測した。その結果を表2の“パーティクル”欄に示す。
【0112】
実施例1の研磨用組成物を、表5の“フィルター材質”欄及び“フィルター構造”欄に記載の材質及び構造を有する直径が47mmで目開きが0.45μmの各ディスクフィルターを用いて、ろ過差圧5kPaで吸引ろ過した。吸引ろ過を開始してからフィルターが目詰まりするまでにフィルターを通過した研磨用組成物の量が2Lを超える場合にはA、2L以下の場合にはBと評価した結果を表5の“フィルターライフ”欄に示す。また、各フィルターを用いた吸引ろ過の結果得られたろ液中に含まれる0.7μm以上の大きさの粗大粒子の数を、Particle Sizing Systems社製AccuSizerFXを用いて測定した。この粗大粒子の数が200個/mL未満である場合にはA、200個/mL以上である場合にはBと評価した結果を表5の“ろ過精度”欄に示す。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
【表4】
【0117】
【表5】
【0118】
表2に示すように、実施例1〜4の研磨用組成物は、比較例1の研磨用組成物に比べて、LPCの計測値が低かった。さらに、実施例1〜4の研磨用組成物を用いた場合には、比較例1の研磨用組成物を用いた場合に比べて、パーティクルの計測値が低かった。この結果から、比率R2/R1が1.2以下である研磨用組成物は、研磨用組成物中の粗大粒子が研磨製品上に残留することの少ない高品質の研磨製品の製造に有用であることが分かる。
【国際調査報告】