(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2013108903
(43)【国際公開日】20130725
【発行日】20150511
(54)【発明の名称】基地局及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/16 20090101AFI20150414BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20150414BHJP
【FI】
   !H04W28/16
   !H04W16/28 150
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】46
【出願番号】2013554367
(21)【国際出願番号】JP2013051001
(22)【国際出願日】20130118
(31)【優先権主張番号】61/588,473
(32)【優先日】20120119
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【住所又は居所】京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】守田 空悟
【住所又は居所】京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地 京セラ株式会社内
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB04
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE24
(57)【要約】
CoMP協働セットとユーザ端末との通信を行う移動通信システムにおける基地局は、周辺基地局との間の伝送遅延を取得する取得部と、前記取得部により取得された伝送遅延が閾値未満である場合に、前記周辺基地局を前記CoMP協働セットに含めるべき基地局として登録する登録部と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CoMP協働セットとユーザ端末との通信を行う移動通信システムにおける基地局であって、
周辺基地局との間の伝送遅延を取得する取得部と、
前記取得部により取得された伝送遅延が閾値未満である場合に、前記周辺基地局を前記CoMP協働セットに含めるべき基地局として登録する登録部と、
を有することを特徴とする基地局。
【請求項2】
前記登録部は、前記取得部により取得された伝送遅延が前記閾値以上である場合に、前記周辺基地局を前記CoMP協働セットに含めるべき基地局から除外することを特徴とする請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記登録部は、前記CoMP協働セットで使用するCoMPの種別に応じて、前記閾値を設定することを特徴とする請求項1に記載の基地局。
【請求項4】
前記取得部は、自基地局から前記周辺基地局に向かう方向の第1の伝送遅延と、前記周辺基地局から自基地局に向かう方向の第2の伝送遅延と、を取得し、
前記登録部は、前記第1の伝送遅延及び前記第2の伝送遅延の両方が前記閾値未満である場合に、前記周辺基地局を前記CoMP協働セットに含めるべき基地局として登録することを特徴とする請求項1に記載の基地局。
【請求項5】
CoMP協働セットとユーザ端末との通信を行うための通信制御方法であって、
基地局が、周辺基地局との間の伝送遅延を取得するステップAと、
前記基地局が、前記ステップAで取得された伝送遅延が閾値未満である場合に、前記周辺基地局を前記CoMP協働セットに含めるべき基地局として登録するステップBと、
を有することを特徴とする通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CoMPをサポートする基地局及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、リリース11以降において、CoMP(Coordinated Multi−Point)の標準化が進められる予定である(非特許文献1参照)。
【0003】
CoMPは、同一の場所に配置されたアンテナ群を1つの「ポイント」と位置付け、複数のポイントが協調してユーザ端末との通信を行うものである。1つの時間・周波数リソースを用いてユーザ端末との協調通信を行うポイント群は、CoMP協働セット(CoMP cooperating set)と称される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TR 36.819 V11.0.0 (2011−09)
【発明の概要】
【0005】
上述したCoMPは、CoMP協働セットにおける複数のポイントのそれぞれが、同じ通信リソースを1つのユーザ端末に割り当てるものである。ここで通信リソースとは、時間・周波数リソースやMCS(Modulation and Coding Scheme)である。
【0006】
しかしながら、CoMP協働セットを異なる基地局で構成する場合、ユーザ端末に割り当てるべき通信リソースを、基地局間のネゴシエーションで決定する必要がある。ここで、基地局間の伝送遅延に起因して当該ネゴシエーションに長時間を要すると、動的なリソース割り当てが実現できなくなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、CoMP協働セットを適切に構成できる基地局及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明に係る基地局は、CoMP協働セットとユーザ端末との通信を行う移動通信システムにおける基地局であって、周辺基地局との間の伝送遅延を取得する取得部と、前記取得部により取得された伝送遅延が閾値未満である場合に、前記周辺基地局を前記CoMP協働セットに含めるべき基地局として登録する登録部と、を有することを特徴とする。
【0009】
上述した特徴において、前記登録部は、前記取得部により取得された伝送遅延が前記閾値以上である場合に、前記周辺基地局を前記CoMP協働セットに含めるべき基地局から除外してもよい。
【0010】
上述した特徴において、前記登録部は、前記CoMP協働セットで使用するCoMPの種別に応じて、前記閾値を設定してもよい。
【0011】
上述した特徴において、前記取得部は、自基地局から前記周辺基地局に向かう方向の第1の伝送遅延と、前記周辺基地局から自基地局に向かう方向の第2の伝送遅延と、を取得し、前記登録部は、前記第1の伝送遅延及び前記第2の伝送遅延の両方が前記閾値未満である場合に、前記周辺基地局を前記CoMP協働セットに含めるべき基地局として登録してもよい。
【0012】
本発明に係る通信制御方法は、CoMP協働セットとユーザ端末との通信を行うための通信制御方法であって、基地局が、周辺基地局との間の伝送遅延を取得するステップAと、前記基地局が、前記ステップAで取得された伝送遅延が閾値未満である場合に、前記周辺基地局を前記CoMP協働セットに含めるべき基地局として登録するステップBと、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】LTEシステムの構成を示す。
【図2】LTEシステムで使用される無線フレームの構成を示す。
【図3】ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルを示す。
【図4】制御プレーンの無線インターフェイスプロトコルを示す。
【図5】各レイヤの処理を下りリンクを例に示す。
【図6】各レイヤでのデータフローを示す。
【図7】タイミングアドバンス値を説明するための図である。
【図8】タイミングアドバンス値を説明するためのタイムチャートである。
【図9】UEのブロック図である。
【図10】eNBのブロック図である。
【図11】JT型CoMPを説明するための図である。
【図12】JR型CoMPを説明するための図である。
【図13】CoMP通信の開始・継続・終了の制御フローを示す。
【図14】CoMP協働セットの設定動作フローを示す。
【図15】X2計測メッセージを示す。
【図16】CoMP協働セット情報の一例を示す。
【図17】アンカeNB切替えシーケンスを示す。
【図18】eNB追加シーケンスのパターン1を示す。
【図19】eNB追加シーケンスのパターン2を示す。
【図20】下りリンクのサブフレーム構成を示す。
【図21】CoMP協働セットに含まれる各eNBが割当て候補の帯域を通知し合う様子を示す。
【図22】帯域割当情報の一例を示す。
【図23】eNBにおける帯域割当処理の一例を示す。
【図24】帯域割当判定処理の一例を示す。
【図25】JT型CoMPシーケンスを示す。
【図26】JT型CoMPシーケンスを示す。
【図27】JR型CoMPシーケンスを示す。
【図28】JT型CoMPにおけるシーケンスを示す。
【図29】最大再送回数に達してもHARQ再送が完了しないケースでのシーケンスを示す。
【図30】MACレイヤでのHARQ再送を説明するための図である。
【図31】JT型CoMPのシーケンスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。本実施形態に係る移動通信システムは、リリース10以降の3GPP規格(すなわち、LTE Advanced)に基づいて構成される。
【0015】
以下、(1)実施形態の概要、(2)LTEシステムの概要、(3)UE及びeNBの構成、(4)CoMPの概要、(5)全体制御フロー、(6)CoMP協働セット、(7)CoMP通信制御、(8)その他の実施形態の順に説明する。
【0016】
(1)実施形態の概要
本実施形態に係るeNBは、CoMP協働セットとUEとの通信を行う移動通信システムにおけるeNBである。eNBは、周辺eNBとの間の伝送遅延を取得する取得部と、前記取得部により取得された伝送遅延が閾値未満である場合に、前記周辺eNBを前記CoMP協働セットに含めるべきeNBとして登録する登録部と、を有する。
【0017】
(2)LTEシステムの概要
LTEシステムの概要について、(2.1)LTEシステムの全体構成、(2.2)フレーム構成及び物理チャネル構成、(2.3)プロトコルスタック、(2.4)タイミングアドバンスの順に説明する。
【0018】
(2.1)LTEシステムの全体構成
図1は、LTEシステム1の構成を示す。
【0019】
図1に示すように、LTEシステム1は、UE(User Equipment)と、E−UTRAN(Evolved−UMTS Terrestrial Radio Access Network)と、EPC(Evolved Packet Core)と、を有する。
【0020】
UEは、移動型の無線通信装置であり、ユーザ端末に相当する。
【0021】
E−UTRANは、複数のeNB(evolved Node−B)からなる。eNBは、UEとの無線通信を行う固定型の無線通信装置であり、基地局に相当する。eNBのそれぞれは、1又は複数のセルを構成する。eNBは、例えば、無線リソース管理(RRM)機能と、ユーザデータのルーティング機能と、モビリティ制御及びスケジューリングのための測定制御機能と、を有する。
【0022】
EPCは、MME(Mobility Management Entity)及びS−GW(Serving−Gateway)を含む。EPCは、コアネットワークに相当する。MMEは、UEに対する各種モビリティ制御等を行うネットワークエンティティであり、制御局に相当する。S−GWは、ユーザデータの転送制御を行うネットワークエンティティであり、交換局に相当する。
【0023】
eNBは、X2インターフェイスを介して相互に連結される。また、eNBは、S1インターフェイスを介してMME及びS−GWと連結される。
【0024】
(2.2)フレーム構成及び物理チャネル構成
図2は、LTEシステム1で使用される無線フレームの構成を示す。LTEシステム1は、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)、上りリンクにはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)を採用する。
【0025】
図2に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成され、各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各シンボルの先頭には、サイクリックプレフィックス(CP)と呼ばれるガード区間が設けられる。
【0026】
(2.2.1)下りリンク
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボル(詳細には、3又は4シンボルまで)の区間は、主に物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)として使用される制御領域である。また、各サブフレームの残りの区間は、主に物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)として使用されるデータ領域である。
【0027】
PDCCHは、制御信号を搬送する。制御信号は、例えば、上りリンクSI(Scheduling Information)、下りリンクSI、TPCビットである。上りリンクSIは上りリンク無線リソースの割当てを示し、下りリンクSIは、下りリンク無線リソースの割当てを示す。TPCビットは、上りリンクの送信電力の増減を指示する信号である。これらの制御信号は、下りリンク制御情報(DCI)と称される。
【0028】
PDSCHは、制御信号及び/又はユーザデータを搬送する。例えば、下りリンクのデータ領域は、ユーザデータにのみ割当てられてもよく、ユーザデータ及び制御信号が多重されるように割当てられてもよい。
【0029】
なお、PDSCHを介して送信される制御信号としては、タイミングアドバンス値が挙げられる。タイミングアドバンス値は、UEの送信タイミング補正値であり、UEから送信される上りリンク信号に基づいてeNBによって決定される。タイミングアドバンス値の詳細については後述する。
【0030】
また、物理HARQ通知チャネル(PHICH)を介して、確認応答(ACK)/否定確認応答(NACK)が搬送される。ACK/NACKは、上りリンクの物理チャネル(例えば、PUSCH)を介して送信される信号の復号に成功したか否かを示す。
【0031】
(2.2.2)上りリンク
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)として使用される制御領域である。また、各サブフレームにおける周波数方向の中央部は、主に物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)として使用されるデータ領域である。
【0032】
PUCCHは、制御信号を搬送する。制御信号は、例えば、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、RI(Rank Indicator)、SR(Scheduling Request)、ACK/NACKなどである。
【0033】
CQIは、下りリンクのチャネル品質を示し、下りリンク伝送に使用すべき推奨変調方式及び符号化速度の決定等に使用される。PMIは、下りリンクの伝送の為に使用することが望ましいプリコーダマトリックスを示す。RIは、下りリンクの伝送に使用可能なレイヤ数(ストリーム数)を示す。SRは、上りリンク無線リソース(リソースブロック)の割当てを要求する信号である。ACK/NACKは、下りリンクの物理チャネル(例えば、PDSCH)を介して送信される信号の復号に成功したか否かを示す。
【0034】
PUSCHは、制御信号及び/又はユーザデータを搬送する物理チャネルである。例えば、上りリンクのデータ領域は、ユーザデータにのみ割当てられてもよく、ユーザデータ及び制御信号が多重されるように割当てられてもよい。
【0035】
(2.3)プロトコルスタック
図3は、ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルを示し、図4は、制御プレーンの無線インターフェイスプロトコルを示す。ユーザプレーンは、ユーザデータ伝送のためのプロトコルスタックであり、制御プレーンは、制御信号伝送のためのプロトコルスタックである。図5は、各レイヤの処理を下りリンクを例に示す。図6は、各レイヤでのデータフローを示す。
【0036】
無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルのレイヤ1〜レイヤ3に区分される。レイヤ1は物理(PHY)レイヤである。レイヤ2は、MAC(Media Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、を含む。レイヤ3は、RRC(Radio Resource Control)レイヤを含む。
【0037】
物理レイヤは、データ符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。物理レイヤは、上述した物理チャネルを用いて上位レイヤに伝送サービスを提供する。UEの物理レイヤとeNBの物理レイヤとの間では、物理チャネルを介してデータが伝送される。物理レイヤは、トランスポートチャネルを介してMACレイヤと連結される。
【0038】
MACレイヤは、データの優先制御、及びハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理などを行う。UEのMACレイヤとeNBのMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータが伝送される。また、MACレイヤは、論理チャネルとトランスポートチャネルと間のマッピングを行う。eNBのMACレイヤは、上下リンクのトランスポートフォーマット及びリソースブロックを決定するMACスケジューラを含む。トランスポートフォーマットは、トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS)、及びアンテナマッピングを含む。MACレイヤは、論理チャネルを介してRLCレイヤと連結される。
【0039】
RLCレイヤは、PDCPレイヤからRLC SDU(Service Data Unit)の形式でデータを受け取る。UEのRLCレイヤとeNBのRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータが伝送される。RLCレイヤは、MACレイヤ及び物理レイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。なお、上位レイヤのPDUはその下位レイヤのSDUに対応する。よって、RLC SDUは、PDCP PDU(Protocol Data Unit)と呼ばれることもある。RLC PDU長は、伝送レート最適化及び動的スケジューリングの状況に応じて変化する。このため、サブフレームで送られるペイロード長(トランスポートブロックサイズ)は可変である。よって、RLCレイヤは、RLC PDU長に応じてRLC SDU(PDCP PDU)を分割及び結合する。
【0040】
RLCレイヤには3つのモードがある。詳細には、RLCレイヤは、アプリケーションからの要求に応じて、透過モード(TM)、非確認応答モード(UM)、及び確認応答モード(AM)の何れかで動作する。TMモードでは、RLCレイヤはバイパスされる。UMモードは、データ分割・結合は行うが、ARQ再送は行わない。AMモードは、データ分割・組み立てを行うだけでなく、RLC PDUの伝送失敗時のARQ再送も行う。MACレイヤでのHARQとRLCレイヤでのARQとで二重に再送を行うことで、より高い信頼性を得ることができる。
【0041】
RLCレイヤは、無線ベアラを介してPDCPレイヤと連結される。
【0042】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。ヘッダ圧縮は、不必要な制御情報を含んでいるIPパケットヘッダサイズを減らす。UEのPDCPレイヤとeNBのPDCPレイヤとの間では、無線ベアラを介してデータが伝送される。
【0043】
RRCレイヤは、制御プレーンでのみ定義される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UEのRRCとeNBのRRCとの間にRRC接続(RRC Connection)がある場合、UEはRRC接続(RRC Connected)状態であり、そうでない場合、UEはRRCアイドル(RRC Idle)状態である。
【0044】
RRCレイヤの上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)レイヤは、セッション管理及びモビリティ管理などを行う。
【0045】
(2.4)タイミングアドバンス
上りリンクにおいて、eNBから遠くに位置するUEは、eNBの受信タイミングに合うように、データ送信タイミングを早める必要がある。このため、eNBは、UEから受信する上りリンク信号のタイミングを測定することにより、UEのデータ送信タイミングを調整(補正)するためのタイミングアドバンス値を生成する。そして、eNBは、当該タイミングアドバンス値をTA MCE(Timing Advance Command Mac Control Element)としてUEに通知する。
【0046】
タイミングアドバンス値は、UEの現在の送信タイミングを基準として、UEが送信を開始するタイミングのオフセット値である。UEが移動する可能性があるため、eNBは定期的な更新とともにUEにタイミングアドバンス値を送信する。
【0047】
また、UEがある期間、何も送信しないのであれば、UEに対するタイミングアドバンス値は不確実になる。従って、調整されていないUE送信を回避するために、eNBおよびUEの両方に、タイミングアドバンス値の有効期間を定めるタイマ(「Time Alignment Timer」と称される)があり、UEが上りリンクで同期外れに陥ったかを判定する。
【0048】
図7及び図8は、タイミングアドバンス値を説明するための図である。図7及び図8は、UEが移動する状況を示す。
【0049】
図7に示すように、UEがeNBに近づく状況においては、eNBは、UEの送信タイミングを遅らせるように、UEの現在の送信タイミングに対して負のオフセット値をタイミングアドバンス値として生成する。そして、eNBは、当該タイミングアドバンス値(TA MCE)をUEに通知する。UEは、当該タイミングアドバンス値(TA MCE)を受信すると、当該タイミングアドバンス値(TA MCE)に従って送信タイミングを遅らせる。
【0050】
図8に示すように、UEがeNBから遠ざかる状況においては、eNBは、UEの送信タイミングを早めるように、UEの現在の送信タイミングに対して正のオフセット値をタイミングアドバンス値として生成する。そして、eNBは、当該タイミングアドバンス値(TA MCE)をUEに通知する。UEは、当該タイミングアドバンス値(TA MCE)を受信すると、当該タイミングアドバンス値(TA MCE)に従って送信タイミングを早める。
【0051】
(3)UE及びeNBの構成
次に、(3.1)UEの構成、(3.2)eNBの構成を説明する。
【0052】
(3.1)UEの構成
図9は、UEのブロック図である。
【0053】
図9に示すように、UEは、アンテナ110と、無線送受信機120と、制御部130と、を有する。UEは、ユーザインターフェイス及びバッテリをさらに有していてもよい。
【0054】
アンテナ110及び無線送受信機120は、無線信号の送受信に用いられる。
【0055】
制御部130は、上述した各レイヤでの処理を行う。制御部130は、プロセッサ131及びメモリ132を含む。プロセッサ131は、メモリ132に記憶されているプログラムを実行することで、上述した各レイヤでの処理を行う。
【0056】
また、プロセッサ131は、CoMP通信に関するUEでの制御(詳細については後述)を行う。メモリ132は、CoMP通信に関するUEでの制御に使用される情報を記憶する。
【0057】
(3.2)eNBの構成
図10は、eNBのブロック図である。
【0058】
図10に示すように、eNBは、アンテナ210と、無線送受信機220と、ネットワーク通信部230と、制御部240と、を有する。
【0059】
アンテナ210及び無線送受信機220は、無線信号の送受信に用いられる。ネットワーク通信部230は、X2インターフェイス上及びS1インターフェイス上で通信を行う。
【0060】
制御部240は、上述した各レイヤでの処理を行う。制御部240は、プロセッサ241及びメモリ242を含む。プロセッサ241は、メモリ242に記憶されているプログラムを実行することで、上述した各レイヤでの処理を行う。
【0061】
また、プロセッサ241は、CoMP通信に関するeNBでの制御(詳細については後述)を行う。メモリ242は、CoMP通信に関するeNBでの制御に使用される情報を記憶する。
【0062】
(4)CoMPの概要
CoMPは、同一の場所に配置されたアンテナ群を1つの「ポイント」と位置付け、複数のポイントが協調してUEとの通信を行うものである。UEとの協調通信を行うポイント群は、CoMP協働セットと称される。
【0063】
CoMPの一種として、UEに対して通信すべきデータをCoMP協働セットにおける複数のポイントで利用可能な方式であるJP(Joint Processing)がある。下りリンクでのJPの一種として、CoMP協働セットにおける複数のポイントがUEへ同時にデータを送信するJT(Joint Transmission)がある。上りリンクでのJPの一種として、CoMP協働セットにおける複数のポイントがUEから同一のデータを受信するJR(Joint Reception)がある。
【0064】
その他、下りリンクでのJPの一種であって、無線状態の最も良好なポイントのみが送信を行うDCS(Dynamic Cell Selection)がある。また、上りリンク及び下りリンクのそれぞれについて、一つのポイントのみがデータを保有し、複数ポイント間で協調してスケジューリング・リソース割当てを行うCS(Coordinated Scheduling)がある。さらに、主に下りリンクについて、一つのポイントのみがデータを保有し、複数ポイント間で協調してビームフォーミングを行うCB(Coordinated Beamforming)がある。
【0065】
以下においては、CoMP協働セットにおけるポイントをeNBで構成し、主にJP型(JT、JR)CoMPを行うケースを説明する。
【0066】
図11は、JT型CoMPを説明するための図である。図11において、UE100は、各eNBのカバレッジエリア端部(すなわち、境界領域)に位置している。
【0067】
図11に示すように、CoMP協働セットはeNB200〜eNB204からなる。eNB200は、eNB200〜eNB204を代表してS−GWからのUE100宛てのデータを受信するアンカeNBである。アンカeNB200は、下りリンクCoMP通信の制御を行う主基地局に相当する。また、アンカeNB200は、CoMP協働セットを管理するCoMP管理装置に相当する。その他のeNB(eNB201〜eNB204)は、従基地局に相当する。
【0068】
第1に、アンカeNB200は、S−GWからのデータを受信し、eNB201〜eNB204に対し、X2インターフェイス上でデータを転送する。
【0069】
第2に、eNB200〜eNB204のそれぞれは、UE100に対し、同一の通信リソース(同一の時間・周波数リソース及び同一のMCS)を用いて無線インターフェイス上でデータを送信する。
【0070】
第3に、UE100は、eNB200〜eNB204から送信されたデータを受信する。このように、UE100がカバレッジエリア端部に位置する場合、複数のeNBからのデータを同一の通信リソースで受信することによって合成利得が得られるため、通信品質が改善する。
【0071】
図12は、JR型CoMPを説明するための図である。図12において、UE100は、各eNBのカバレッジエリア端部(すなわち、境界領域)に位置している。
【0072】
図12に示すように、CoMP協働セットに含まれるeNB200〜eNB204のうちのeNB200は、eNB200〜eNB204を代表してEPC(詳細には、S−GW)へのデータ送信を行うアンカeNBである。アンカeNB200は、上りリンクCoMP通信の制御を行う主基地局に相当する。その他のeNB(eNB201〜eNB204)は、従基地局に相当する。
【0073】
第1に、UE100は、所定の通信リソースを用いて無線インターフェイス上でデータを送信する。
【0074】
第2に、eNB200〜eNB204のそれぞれは、当該所定の通信リソースで受信を行う。eNB201〜eNB204のそれぞれは、受信したデータの復号(詳細には、物理レイヤでの復号)を行うことなく、ベースバンド信号の状態でUE100からのデータをX2インターフェイス上でアンカeNB200に転送する。なお、ベースバンド信号の状態で転送する方式以外に、復号後のデータを転送する方式もある。
【0075】
第3に、アンカeNB200は、eNB201〜eNB204からのデータを受信する。アンカeNB200は、自身がUE100から受信したデータ及びeNB201〜eNB204から受信したデータを合成した上で復号する。そして、アンカeNB200は、復号後のデータをS1インターフェイス上でS−GWに転送する。
【0076】
このように、複数のeNBが受信したデータを合成することで、合成利得が得られるため、通信品質が改善する。
【0077】
なお、以下においては、CoMP通信に使用される周波数リソース(リソースブロック)、時間リソース(サブフレーム)、及び変調方式(MCS)を併せて「帯域」と称する。
【0078】
(5)全体制御フロー
図13は、全体制御フロー、詳細には、CoMP通信の開始・継続・終了の制御フローを示す。本フローは、アンカeNBとして動作するeNB200によって定期的に実行される。ただし、CoMP通信を開始する前においては、本フローは、UEのサービングセルを構成するeNB200によって定期的に実行される。
【0079】
図13に示すように、ステップS100において、eNB200は、UE100からの測定報告(Measurement Report)を受信する。測定報告は、UEが各eNB(あるいは各セル)から受信した参照信号の信号レベル(詳細には、電力レベル)の情報を含む。
【0080】
ステップS101において、eNB200は、ステップS100で受信した測定報告に基づいて、eNB200に対応する信号レベルと他のeNBに対応する信号レベルとの差を算出する。
【0081】
CoMP通信中でない場合(ステップS102;No)、ステップS103において、eNB200は、他のeNBに対応する信号レベルの方が高く、且つステップS101で算出した信号レベル差が閾値Pth0よりも大きいか否かを確認する。他のeNBに対応する信号レベルの方が高く、且つステップS101で算出した信号レベル差が閾値Pth0よりも大きい場合(ステップS103;Yes)、処理をステップS109に進め、そうでなければ(ステップS103;No)、処理をステップS104に進める。
【0082】
ステップS109において、eNB200は、当該他のeNBへのハンドオーバシーケンスを開始する。これにより、UE200は、当該他のeNBへのハンドオーバを行う。なお、ハンドオーバシーケンスは、現行仕様通りのシーケンスを適用できる。
【0083】
これに対し、ステップS104において、eNB200は、ステップS101で算出した信号レベル差が閾値Pth1の範囲内であるか否かを確認する。ここで、Pth1はPth0よりも小さい値である。ステップS101で算出した信号レベル差が閾値Pth1の範囲内である場合(ステップS104;Yes)、処理をステップS106に進め、そうでなければ(ステップS104;No)、処理をステップS105に進める。
【0084】
ステップS105において、eNB200は、境界領域の滞留時間を0に更新する。これは、ステップS104がNoの場合、信号レベル差が比較的大きく、UE100が境界領域に位置すると見なせないからである。
【0085】
これに対し、ステップS106において、eNB200は、境界領域の滞留時間に1を加算する。その後、処理をステップS107に進める。
【0086】
ステップS107において、eNB200は、境界領域の滞留時間が閾値Tth0を超えたか否かを確認する。境界領域の滞留時間が閾値Tth0を超えている場合(ステップS107;Yes)、処理をステップS108に進める。境界領域の滞留時間が閾値Tth0を超えている場合には、UE100が境界領域に留まっていると見なされる。
【0087】
ステップS108において、eNB200は、CoMP通信を開始すると判断する。CoMP通信を開始する際には、eNB200は、CoMP協働セットの設定処理(詳細については後述)を行う。
【0088】
一方、CoMP通信中である場合(ステップS102;Yes)、ステップS110において、eNB200は、ステップS101で算出した信号レベル差が閾値Pth3の範囲内であるか否かを確認する。ステップS101で算出した信号レベル差が閾値Pth3の範囲内である場合(ステップS110;Yes)、処理をステップS114に進め、そうでなければ(ステップS110;No)、処理をステップS111に進める。
【0089】
ステップS114においては、eNB200は、CoMP通信を継続すると判断する。
【0090】
なお、eNB200は、CoMP通信を実行中に、UE100からの測定報告に基づいて、CoMP協働セットに新たにeNBを追加してもよい。eNB追加シーケンスの詳細については後述する。
【0091】
ステップS111において、eNB200は、ステップS101で算出した信号レベル差が閾値Pth2の範囲内であるか否かを確認する。ここで、Pth2はPth3よりも大きい値である。ステップS101で算出した信号レベル差が閾値Pth2の範囲内である場合(ステップS111;Yes)、処理をステップS113に進め、そうでなければ(ステップS111;No)、処理をステップS112に進める。
【0092】
ステップS113において、eNB200は、アンカeNBをeNB200から当該他のeNBへ切替えるためのアンカ切替えシーケンスを開始する。アンカ切替えシーケンスの詳細については後述する。
【0093】
これに対し、ステップS112において、eNB200は、CoMP通信を終了すると判断し、CoMP通信を終了する処理を行う。
【0094】
(6)CoMP協働セット
次に、CoMP協働セットについて、(6.1)CoMP協働セット設定動作、(6.2)アンカeNB切替えシーケンス、(6.3)eNB追加シーケンスの順に説明する。
【0095】
(6.1)CoMP協働セット設定動作
CoMP協働セットを異なるeNBで構成する場合、UEに割当てるべき帯域を、eNB間のネゴシエーションで決定する必要がある。ここで、eNB間の伝送遅延(すなわち、X2インターフェイスでの伝送遅延)に起因して当該ネゴシエーションに長時間を要すると、動的な帯域割当てが実現できなくなる。そこで、本実施形態では、動的な帯域割当てを実現すべく、以下のような構成をとる。
【0096】
本実施形態に係るeNBは、周辺eNBとの間の伝送遅延を取得する取得手段(ネットワーク通信部230及びプロセッサ241)と、取得手段により取得された伝送遅延が閾値未満である場合に、当該周辺eNBをCoMP協働セットに含めるべきeNBとして登録する登録手段(プロセッサ241及びメモリ242)と、を有する。また、登録手段は、取得手段により取得された伝送遅延が閾値以上である場合に、当該周辺eNBをCoMP協働セットに含めるべきeNBから除外する。
【0097】
また、CoMP協働セットを異なるeNBで構成する場合、各eNBが全てのCoMP種別をサポートしているとは限らない。一方で、CoMP協働セットにおいて各eNBが使用するCoMPの種別は統一されている必要がある。そこで、本実施形態では、サポートするCoMP種別が統一されたCoMP協働セットを容易に構成すべく、以下のような構成をとる。
【0098】
本実施形態に係るeNBは、CoMPをサポートするeNBであって、周辺eNBがサポートするCoMP種別の通知を当該周辺eNBから受信する受信手段(ネットワーク通信部230)と、受信手段が受信した通知に基づいて、周辺eNBの情報を当該周辺eNBがサポートするCoMP種別と関連付けて記憶する記憶手段(プロセッサ241及びメモリ242)と、を有する。
【0099】
図14は、CoMP協働セットの設定動作フローを示す。本フローは、アンカeNBとして動作するeNB200によってCoMP通信開始時に実行される。ただし、CoMP通信開始後、定期的に本フローを実行してもよい。図15は、本フローにおいて使用されるX2計測メッセージを示す。
【0100】
図14に示すように、ステップS200において、eNB200は、周辺の他のeNB(周辺eNB)それぞれに対する処理ループを開始する。周辺eNBとは、eNB200に設定されているネイバーリストに識別子が含まれるeNB(すなわち、隣接eNB)であってもよく、eNB200との間にX2インターフェイスが確立されているeNBであってもよい。
【0101】
ステップS201において、eNB200は、周辺eNBi(i=0〜n)に対し、X2インターフェイス上でX2計測メッセージ1を送信する。ここで“i”の初期値は0であり、ループ毎に1が加算される。なお、“i”が“n”に達すると、当該ループを抜ける。
【0102】
図15に示すように、X2計測メッセージ1は、当該X2計測メッセージ1を送信した際の時間情報(以下、「タイムスタンプT0」と称する)を含む。
【0103】
X2計測メッセージ1を受信した周辺eNBiは、後述する各種の情報を含んだX2計測メッセージ2を、X2インターフェイス上でeNB200に送信する。
【0104】
ステップS202において、eNB200は、周辺eNBiから送信されたX2計測メッセージ2を受信する。eNB200は、周辺eNBiからX2計測メッセージ2を受信した際の時間情報(以下、「タイムスタンプT3」と称する)を取得する。
【0105】
図15に示すように、X2計測メッセージ2は、周辺eNBiが受信したX2計測メッセージ1に含まれていたタイムスタンプT0と、周辺eNBiがX2計測メッセージ1を受信した際の時間情報(以下、「タイムスタンプT2」と称する)と、周辺eNBiがX2計測メッセージ2を送信した際の時間情報(以下、「タイムスタンプT1」と称する)と、周辺eNBiがサポートする下りリンクCoMPの種別(以下、「DL対応CoMP種別」と称する)と、周辺eNBiがサポートする上りリンクCoMPの種別(以下、「UL対応CoMP種別」と称する)と、を含む。図15では、周辺eNBiがサポートするDL CoMPの種別として、JT、DCS、CS、CBを例示している。また、周辺eNBiがサポートするUL CoMPの種別として、JR、CSを例示している。
【0106】
ステップS203において、eNB200は、上述したタイムスタンプT0〜T3に基づいて、eNB200から周辺eNBiに向かう方向(送信方法)の伝送遅延Tsndと、周辺eNBiからeNB200に向かう方向(受信方法)の伝送遅延Trecと、を算出する。詳細には、eNB200は、X2計測メッセージ2に含まれるタイムスタンプT0と、X2計測メッセージ2に含まれるタイムスタンプT2と、の差分を伝送遅延Tsndとして算出する。また、eNB200は、X2計測メッセージ2に含まれるタイムスタンプT1と、自ら取得したタイムスタンプT3と、の差分を伝送遅延Trecとして算出する。
【0107】
ステップS204において、eNB200は、eNB200が使用を予定しているCoMP種別(すなわち、eNB200がサポートするCoMP種別)に応じて、閾値Thを設定する。例えば、JP型に属するJT、JR、DCSは、CoMP協働セットに含まれる各eNB間で高速な通信が要求されるため、条件を厳しくした閾値Thを設定する。これに対し、CS、CBは、複数のeNBが同時に送信又は受信を行うものではなく、JP型に比べてeNB間で高速な通信が要求されないため、CoMP協働セットに含められるeNBを増やすべく、条件を緩くした閾値Th(すなわち、JP型での閾値よりも大きい値)を設定する。
【0108】
ステップS205において、eNB200は、ステップS203で算出した伝送遅延Tsnd及び伝送遅延Trecのそれぞれを、ステップS204で設定した閾値Thと比較する。伝送遅延Tsnd及び伝送遅延Trecの両方が閾値Thよりも小さい場合(ステップS205;Yes)、処理をステップS209に進め、そうでなければ、処理をステップS206に進める。
【0109】
ステップS209において、eNB200は、X2計測メッセージ2に含まれるDL対応CoMP種別が、DL対応CoMP種別「有り」を示すか否か(すなわち、周辺eNBiが下りリンクCoMPをサポートしているか否か)を確認する。周辺eNBiが下りリンクCoMPをサポートしている場合(ステップS209;Yes)、ステップS210において、eNB200は、周辺eNBiを下りリンクCoMPのCoMP協働セットに含めるべきeNBとして登録する。
【0110】
次に、ステップS211において、eNB200は、X2計測メッセージ2に含まれるUL対応CoMP種別が、UL対応CoMP種別「有り」を示すか否か(すなわち、周辺eNBiが上りリンクCoMPをサポートしているか否か)を確認する。周辺eNBiが上りリンクCoMPをサポートしている場合(ステップS211;Yes)、ステップS212において、eNB200は、周辺eNBiを上りリンクCoMPのCoMP協働セットに含めるべきeNBとして登録する。
【0111】
ステップS206において、全ての周辺eNBに対する処理が終了したと判断すると、ループを抜ける。
【0112】
ステップS207において、eNB200は、CoMP協働セットに含めるべき各eNBに対し、当該CoMP協働セットに関するCoMP協働セット情報をX2インターフェイス上で送信する。CoMP協働セット情報を受信したeNBは、受信したCoMP協働セット情報を記憶する。
【0113】
ステップS208において、eNB200は、CoMP協働セット情報をUE100に送信する。
【0114】
なお、詳細については後述するが、CoMP通信中において、CoMP協働セットに含まれるeNBを変更(追加・除外、又はアンカeNB変更)する場合や、CoMP協働セットに適用される通信設定を変更する場合、アンカeNBは、CoMP協働セット情報を変更し、変更後のCoMP協働セット情報をX2インターフェイス上で送信する。変更後のCoMP協働セット情報を受信したeNBは、変更後のCoMP協働セット情報に更新する。
【0115】
図16は、CoMP協働セット情報の一例を示す。CoMP通信を行う各eNB及びUEは、当該CoMP通信に関するCoMP協働セット情報を記憶する。
【0116】
図16の例は、上りリンクCoMP通信のみを行うCoMP協働セットに関するCoMP協働セット情報と、下りリンクCoMP通信のみを行うCoMP協働セットに関するCoMP協働セット情報と、上り・下り両方のCoMP通信を行うCoMP協働セットに関するCoMP協働セット情報と、を示す。
【0117】
ここでは、eNBが、UE1と上りリンクCoMP通信のみを行い、UE2と下りリンクCoMP通信のみを行い、UE3と上り・下り両方のCoMP通信を行うようなケースを想定している。
【0118】
CoMP協働セット情報は、UEのC−RNTI(Cell−Radio Network Temporary Identity)を含む。C−RNTIは、セル固有無線ネットワーク一時識別子と称される一時的なUE識別子である。詳細については後述するが、CoMP協働セットへのeNB追加時にC−RNTIが変更されることがある。この場合、CoMP協働セット情報は、変更前及び変更後のそれぞれのC−RNTIを含む。
【0119】
CoMP協働セット情報は、CoMP協働セットに含まれる各eNBのeNB識別子(あるいはセル識別子)と、CoMP協働セットに含まれるアンカeNBのeNB識別子(あるいはセル識別子)と、を含む。
【0120】
CoMP協働セット情報は、下りリンクについてのHARQ初送割当て周期と、上りリンクについてのHARQ初送割当て周期と、を含む。HARQ初送割当て周期の詳細については後述する。
【0121】
CoMP協働セット情報は、E−PDCCH(Evolved−PDCCH)のリソースブロックの情報(例えば、リソースブロック番号)を含む。E−PDCCHの詳細については後述する。
【0122】
CoMP協働セット情報は、UEへの割当てタイミングを示す情報を含む。図16における「オフセット(SFN,subframe)」の表記は、「Current Time(= SFN×10+subframe ) modulo 割当周期」 = 「オフセット(=SFN×10+subframe) modulo 割当周期」を満たす場合に割り当てることを意味する。 以上説明したように、eNB200は、周辺eNBとの間の伝送遅延を取得し、取得した伝送遅延が閾値未満である場合に、当該周辺eNBをCoMP協働セットに含めるべきeNBとして登録する。また、取得した伝送遅延が閾値以上である場合に、当該周辺eNBをCoMP協働セットに含めるべきeNBから除外する。これにより、X2インターフェイスでの伝送遅延が大きい周辺eNBをCoMP協働セットに含めるべきeNBから除外できるため、動的な帯域割当てが実現できる。
【0123】
本実施形態では、eNB200は、自eNBから周辺eNBに向かう方向(送信方向)の伝送遅延Tsndと、当該周辺eNBから自eNBに向かう方向(受信方向)の伝送遅延Trecと、を取得し、伝送遅延Tsnd及び伝送遅延Trecの両方が閾値未満である場合に、当該周辺eNBをCoMP協働セットに含めるべきeNBとして登録する。これにより、送信方向及び受信方向の両方向で遅延が小さいことを確認した上でCoMP通信を開始できる。
【0124】
本実施形態では、eNB200は、CoMP協働セットで使用するCoMPの種別に応じて、伝送遅延Tsnd及び伝送遅延Trecと比較すべき閾値を設定する。CoMPの種別毎に、要求される伝送遅延条件を満たすことができる。
【0125】
本実施形態では、eNB200は、周辺eNBがサポートするCoMP種別の通知を受信し、受信した通知に基づいて周辺eNBの情報を当該周辺eNBがサポートするCoMP種別と関連付けて記憶する。詳細には、同一のCoMP種別をサポートする周辺eNBの情報をグループ化して記憶する。これにより、eNB200は、周辺eNBそれぞれについて、サポートするCoMP種別毎にグループ化して管理できるため、サポートするCoMP種別が統一されたCoMP協働セットを容易に構成できる。
【0126】
本実施形態では、下りリンクCoMPのみを行うCoMP協働セットと、上りリンクCoMPのみを行うCoMP協働セットと、上下両リンクでCoMPを行うCoMP協働セットと、を個別に管理できるため、1つのeNBが複数種類のCoMP通信を行うことができる。また、UEは、下りリンクCoMPのみを行うCoMP協働セットと、上りリンクCoMPのみを行うCoMP協働セットと、上下両リンクでCoMPを行うCoMP協働セットと、を異ならせることができる。
【0127】
(6.2)アンカeNB切替えシーケンス
次に、アンカeNB切替えシーケンスを説明する。UEの移動に追従するためには、CoMP協働セットに含まれるeNB間でアンカeNBを適宜切替えることが望ましい。本実施形態では、アンカeNBは、UEからの測定報告に基づいて、CoMP協働セットに含まれる他のeNBに対して、CoMP協働セットにおける新たなアンカeNBになるよう要求するアンカ切替え要求を送信する。当該他のeNBは、アンカeNBからのアンカ切替え要求を許容する場合に、アンカ切替え要求に対する肯定応答をアンカeNBに送信した後、新たなアンカeNBに切替わる。そして、当該他のeNBは、新たなアンカeNBに切替わった後、CoMP協働セットに含まれる他のeNBに対して、自eNBが新たなアンカeNBとなったことを通知する。
【0128】
図17は、アンカeNB切替えシーケンスを示す。ここでは、eNB200〜eNB203で構成されたCoMP協働セットとUE100とがJT型CoMPを実行中に、アンカeNBをeNB200からeNB201に切替える一例を説明する。
【0129】
図17に示すように、ステップS1001において、eNB200は、S−GWからのパケットデータを受信する。詳細については後述するが、eNB200は、PDCPレイヤにてパケットデータをPDCP PDUに変換するとともに、PDCP PDUにシーケンス番号を付加する。
【0130】
ステップS1002において、eNB200は、シーケンス番号が付加されたPDCP PDUをX2インターフェイス上でeNB201〜eNB203に転送する。
【0131】
ステップS1003において、eNB200〜eNB203のそれぞれは、割当て候補の帯域に関する帯域割当情報を、CoMP協働セットに含まれる他のeNBとX2インターフェイス上で送受信し、UE100に割当てる帯域を決定する。帯域割当情報の詳細については後述する。
【0132】
ステップS1004において、eNB200〜eNB203のそれぞれは、ステップS1003で決定した帯域をUE100に割当てて、同一のデータをUE100に送信する。
【0133】
ステップS1005において、UE100は、測定報告を送信する。eNB200〜eNB203のそれぞれは、測定報告を受信する。
【0134】
ステップS1006において、eNB200は、測定報告に基づいて、アンカeNBをeNB201に切替えることを決定する。
【0135】
ステップS1007において、eNB200は、新たなアンカeNBになるよう要求するアンカ切替え要求をX2インターフェイス上でeNB201に送信する。
【0136】
ステップS1008において、eNB201は、eNB200からのアンカ切替え要求を許容すると判断し、その旨のアンカ切替え応答をX2インターフェイス上でeNB200に送信する。
【0137】
ステップS1009において、eNB200は、UE100に対して未送信のデータをフォワーディングするために、UE100との送受信の状況を示すSN Status転送メッセージをX2インターフェイス上でeNB201に送信する。
【0138】
ステップS1010において、eNB200は、UE100に対して未送信のデータをX2インターフェイス上でeNB201に転送(フォワーディング)する。
【0139】
ステップS1011において、eNB201は、データ経路(パス)をeNB201に切替えるためのパス切替え要求をS1インターフェイス上でMMEに送信する。
【0140】
ステップS1012において、MMEは、eNB201からのパス切替え要求に応じて、ベアラ変更要求をS−GWに送信する。S−GWは、MMEからのベアラ変更要求に応じて、データ経路(パス)をeNB200からeNB201に切替える処理を開始する。
【0141】
ステップS1013において、S−GWは、eNB200へのデータ転送を終了することを示すEnd MarkerをS1インターフェイス上でeNB200に送信する。
【0142】
ステップS1014において、S−GWは、パケットデータをS1インターフェイス上でeNB201に送信する。
【0143】
ステップS1015において、eNB200は、eNB201へのデータ転送(フォワーディング)を終了することを示すEnd MarkerをX2インターフェイス上でeNB201に送信する。
【0144】
ステップS1016において、S−GWは、ステップS1012で受信したベアラ変更要求に対する応答であるベアラ変更応答をMMEに送信する。
【0145】
ステップS1017において、MMEは、ステップS1011で受信したパス切替え要求に対する肯定応答であるパス切替え応答をS1インターフェイス上でeNB201に送信する。
【0146】
ステップS1018において、eNB201は、アンカeNBの切替え完了をX2インターフェイス上でeNB200に通知する。これ以降、eNB201は新たなアンカeNBとして動作する。新たなアンカeNBに切替わったeNB201は、自eNBで記憶しているCoMP協働セット情報に対し、自eNBをアンカeNBとするように更新を行う。
【0147】
ステップS1019において、eNB201は、更新後のCoMP協働セット情報をX2インターフェイス上でeNB200、eNB202、及びeNB203に送信する。さらに、eNB201は、更新後のCoMP協働セット情報をUEに通知してもよい。eNB200、eNB202、及びeNB203は、更新後のCoMP協働セット情報を受信すると、当該更新後のCoMP協働セット情報を記憶する。
【0148】
ステップS1020において、eNB201は、ステップS1014でS−GWから受信したパケットデータを変換して得られたPDCP PDUを、X2インターフェイス上でeNB200、eNB202、及びeNB203に転送する。
【0149】
以上説明したように、eNB200は、UEからの測定報告に基づいて、CoMP協働セットに含まれる他のeNB201に対して、CoMP協働セットにおける新たなアンカeNBになるよう要求するアンカ切替え要求を送信する。eNB201は、eNB200からのアンカ切替え要求を許容する場合に、アンカ切替え要求に対する肯定応答であるアンカ切替え応答をeNB200に送信した後、新たなアンカeNBに切替わる。これにより、CoMP通信を中止することなく、アンカeNBを切替えることができる。
【0150】
本実施形態では、eNB201は、新たなアンカeNBに切替わった後、自eNBが新たなアンカeNBとなった旨を、CoMP協働セットに含まれるeNB200、eNB202、及びeNB203に通知する。これにより、CoMP通信中にアンカeNBを切替えても、CoMP協働セットに含まれる各eNBが新たなアンカeNBを把握できる。
【0151】
(6.3)eNB追加シーケンス
CoMP協働セットを異なるeNBで構成する場合、UEの移動に対応するために、CoMP協働セットに適宜新たなeNBを追加することが望ましい。しかしながら、当該新たなeNBが、当該CoMP協働セットで使用するC−RNTIを既に使用中である場合が想定される。C−RNTIはUEとの無線通信の制御に必要であり、同一eNB(同一セル)で同一のC−RNTIを複数のUEに割当てることはできないため、当該新たなeNBを当該CoMP協働セットに追加することが困難である。
【0152】
そこで、本実施形態では、アンカeNBは、CoMP協働セットに新たなeNBを追加するために、CoMP協働セットに含まれていない他のeNBに対して、CoMP協働セットに加わるよう要求するためのCoMP追加要求を送信する。また、CoMP追加要求を送信する際に、UEとの通信に使用しているC−RNTIを当該他のeNBに送信する。
【0153】
なお、eNBを追加するにあたり、(6.1)で説明したCoMP協働セット設定動作を行うことが好ましいが、以下のシーケンスでは当該動作の説明は省略する。
【0154】
(6.3.1)eNB追加パターン1
図18は、eNB追加シーケンスのパターン1を示す。ここでは、eNB200〜eNB202で構成されたCoMP協働セットとUE100とがJT型CoMPを実行中に、eNB203を当該CoMP協働セットに追加する一例を説明する。また、eNB203は、UE100に割当てられたC−RNTIと同一のC−RNTIを、eNB203に接続するUEに割当てている。
【0155】
図18に示すように、ステップS2001において、アンカeNBとして動作しているeNB200は、S−GWからのパケットデータを受信する。eNB200は、PDCPレイヤにてパケットデータをPDCP PDUに変換するとともに、PDCP PDUにシーケンス番号を付加する。
【0156】
ステップS2002において、eNB200は、シーケンス番号が付加されたPDCP PDUをX2インターフェイス上でeNB201及びeNB202に転送する。
【0157】
ステップS2003において、eNB200〜eNB202のそれぞれは、割当て候補の帯域に関する帯域割当情報を、CoMP協働セットに含まれる他のeNBとX2インターフェイス上で送受信し、UE100に割当てる帯域を決定する。
【0158】
ステップS2004において、eNB200〜eNB202のそれぞれは、ステップS2003で決定した帯域をUE100に割当てて、同一のデータをUE100に送信する。
【0159】
ステップS2005において、UE100は、測定報告を送信する。eNB200〜eNB202のそれぞれは、測定報告を受信する。
【0160】
ステップS2006において、eNB200は、測定報告に基づいて、eNB203をCoMP協働セットに追加することを決定する。例えば、eNB200は、今回受信した測定報告に、前回までの測定報告には含まれていなかったeNB(セル)についての信号レベルが含まれており、且つ、当該信号レベルがCoMP通信に適している値であれば、当該eNBをCoMP協働セットに追加すると決定する。
【0161】
ステップS2007において、eNB200は、CoMP協働セットに加わるよう要求するためのCoMP追加要求をX2インターフェイス上でeNB203に送信する。eNB200は、UE100とのCoMP通信に使用しているC−RNTIをCoMP追加要求に含めて送信する。
【0162】
ステップS2008において、eNB203は、eNB200から受信したCoMP追加要求に基づいて、eNB200が属するCoMP協働セットで使用中のC−RNTIと同一のC−RNTIを使用しているか否かを判定する。詳細には、eNB203は、受信したCoMP追加要求に含まれるC−RNTIが、eNB203で使用中(割当て済み)のC−RNTIの何れかと一致するか否かを判定する。ここでは、eNB203は、同一のC−RNTIを使用していると判定する。
【0163】
ステップS2009において、eNB203は、CoMP追加要求に対する応答であるCoMP追加応答をX2インターフェイス上でeNB200に送信する。eNB203は、同一のC−RNTIを使用中である旨の情報をCoMP追加応答に含めて送信する。
【0164】
ステップS2010において、eNB200は、同一のC−RNTIを使用中である旨の情報がCoMP追加応答に含まれていることに応じて、未使用(未割当て)のC−RNTIを通知するよう要求するための未使用C−RNTI要求を、X2インターフェイス上でeNB201〜eNB203に送信する。
【0165】
ステップS2011において、eNB201〜eNB203のそれぞれは、未使用C−RNTI要求に応じて、自eNBで未使用のC−RNTIを抽出し、自eNBで未使用のC−RNTIを含む未使用C−RNTI応答をX2インターフェイス上でeNB200に送信する。
【0166】
ステップS2012において、eNB200は、自eNBで未使用のC−RNTIと、未使用C−RNTI応答に含まれる未使用のC−RNTI(eNB201〜eNB203のそれぞれで未使用のC−RNTI)と、のうち、共通するC−RNTIを選択し、選択したC−RNTIを、UE100とのCoMP通信に使用する新たなC−RNTIとして決定する。
【0167】
ここで、共通するC−RNTIが存在しない場合には、eNB200は、UE100からの測定報告に基づいて、CoMP協働セットから除外するeNBを選択し、残るeNBのそれぞれで未使用のC−RNTIの中から共通するC−RNTIを選択すればよい。
【0168】
新たなC−RNTIを決定したeNB200は、自eNBで記憶しているCoMP協働セット情報に対し、新たなC−RNTIが含まれるように更新を行うとともに、CoMP協働セットにeNB203が追加されるように更新を行う。
【0169】
ステップS2013において、eNB200は、更新後のCoMP協働セット情報をX2インターフェイス上でeNB201〜eNB203に送信する。eNB201〜eNB203は、更新後のCoMP協働セット情報を受信すると、当該更新後のCoMP協働セット情報を記憶する。
【0170】
ステップS2014において、eNB200〜eNB203は、更新後のCoMP協働セット情報をUE100に送信する。UE100は、更新後のCoMP協働セット情報に含まれる変更後C−RNTIが割当てられたことを認識し、以降は変更後C−RNTIを使用する。
【0171】
ステップS2015において、eNB200は、S−GWからのパケットデータを受信する。
【0172】
ステップS2016において、eNB200は、PDCP PDUをX2インターフェイス上でeNB201〜eNB203に転送する。
【0173】
ステップS2017において、eNB200〜eNB203のそれぞれは、割当て候補の帯域に関する帯域割当情報を、CoMP協働セットに含まれる他のeNBとX2インターフェイス上で送受信し、UE100に割当てる帯域を決定する。
【0174】
ステップS2018において、eNB200〜eNB202のそれぞれは、ステップS2017で決定した帯域をUE100に割当てて、同一のデータをUE100に送信する。
【0175】
また、本シーケンスでは、eNB203が同一のC−RNTIを使用中(割当て済み)である一例を説明したが、eNB203が同一のC−RNTIを使用中でない場合は、ステップS2010〜ステップS2012は行われない。
【0176】
このように、eNB200は、CoMP協働セットに含まれていないeNB203に対して、UE100とのCoMP通信に使用しているC−RNTIをCoMP追加要求に含めて送信する。eNB203は、eNB200からのCoMP追加要求を受信した後、CoMP追加要求に含まれるC−RNTIを使用中であるか否かをeNB200に通知する。eNB200は、eNB203が同一のC−RNTIを使用中である場合に、未使用のC−RNTIを通知するようeNB201〜eNB203に要求する。eNB201〜eNB203は、eNB200からの要求に応じて、自eNBで未使用のC−RNTIをeNB200に通知する。eNB200は、eNB201〜eNB203からの通知に応じて、eNB200〜eNB203で未使用のC−RNTIの中から共通のC−RNTIをCoMP通信に使用する新たなC−RNTIを決定する。これにより、CoMP協働セットで使用するC−RNTIを既に使用中のeNB203を当該CoMP協働セットに追加できる。
【0177】
eNB200は、新たに使用するC−RNTIを決定した後、CoMP協働セットに含まれる他のeNBに対して、当該新たに使用するC−RNTIを通知する。これにより、CoMP通信中にC−RNTIを変更しても、CoMP協働セットに含まれる各eNBが新たなC−RNTIを把握できる。
【0178】
(6.3.2)eNB追加パターン2
図19は、eNB追加シーケンスのパターン2を示す。本パターンの初期状態は、上述した動作パターン1と同じである。また、図19におけるステップS2101〜ステップS2105は、上述したステップS2001〜ステップS2005と同じであるため、説明を省略する。
【0179】
図19に示すように、ステップS2106において、eNB200は、測定報告に基づいて、eNB203をCoMP協働セットに追加することを決定する。
【0180】
ステップS2107において、eNB200は、CoMP協働セットに加わるよう要求するためのCoMP追加要求をX2インターフェイス上でeNB203に送信する。eNB200は、UE100とのCoMP通信に使用しているC−RNTIをCoMP追加要求に含めて送信する。
【0181】
ステップS2108において、eNB203は、eNB200から受信したCoMP追加要求に基づいて、eNB200が属するCoMP協働セットで使用中のC−RNTIと同一のC−RNTIを使用しているか否かを判定する。そして、eNB203は、同一のC−RNTIを使用していると判定した場合に、当該同一のC−RNTIを他のC−RNTIに変更する。
【0182】
ステップS2109において、eNB203は、CoMP追加要求に対する応答であるCoMP追加応答をX2インターフェイス上でeNB200に送信する。
【0183】
CoMP追加応答を受信したeNB200は、自eNBで記憶しているCoMP協働セット情報に対し、CoMP協働セットにeNB203が追加されるように更新を行う。
【0184】
ステップS2110において、eNB200は、更新後のCoMP協働セット情報をX2インターフェイス上でeNB201〜eNB203に送信する。eNB201〜eNB203は、更新後のCoMP協働セット情報を受信すると、当該更新後のCoMP協働セット情報を記憶する。
【0185】
ステップS2111において、eNB200〜eNB203は、更新後のCoMP協働セット情報をUE100に送信する。
【0186】
以降のシーケンスは、上述したパターン1と同じである。
【0187】
このように、eNB200は、CoMP協働セットに含まれていないeNB203に対して、UE100とのCoMP通信に使用しているC−RNTIをCoMP追加要求に含めて送信する。eNB203は、eNB200からのCoMP追加要求を受信した際に、CoMP追加要求に含まれるC−RNTIと同一のC−RNTIを使用中である場合に、当該同一のC−RNTIを他のC−RNTIに変更する。これにより、CoMP協働セットで使用するC−RNTIを既に使用中のeNB203であっても当該CoMP協働セットに追加できる。
【0188】
(7)CoMP通信制御
次に、CoMP通信制御について、(7.1)E−PDCCH、(7.2)帯域割当制御及びタイミングアドバンス制御、(7.3)データ同期及び再送制御の順に説明する。
【0189】
(7.1)E−PDCCH
UEは、通常、eNBからPDCCH上で送信される下りリンク制御情報(DCI)を受信し、当該DCIに含まれるリソース割当て情報であるSI(Scheduling Information)などに基づいてeNBとの通信を行う。ここで、PDCCHとして使用される時間・周波数リソース(PDCCHリソース)は、eNBとUEとの間の通信状態などに応じて変化する。
【0190】
しかしながら、CoMP協働セットを異なるeNBで構成する場合、CoMP協働セットに含まれる各eNBは、UEに対するPDCCHリソースの割当てを個別に行うため、同一のPDCCHリソースをUEに割当てることが困難であり、PDCCH領域(制御領域)に対してJT型のCoMPを適用することが困難である。また、CoMP協働セットに含まれる各eNBがPDCCHリソースをUEに割当てると、PDCCHリソースの消費量が大きくなる。そこで、本実施形態では、CoMP通信を行う場合でもDCIを適切に伝送すべく、以下の構成をとる。
【0191】
本実施形態に係るLTEシステム1は、DCIを送信するための制御領域と下りリンクユーザデータを送信するためのデータ領域とを含む下りリンクフレーム構成を用いて通信を行う。UEとのCoMP通信を行う複数のeNBのそれぞれは、UEとのCoMP通信を行う場合に、DCIを、制御領域に代えてデータ領域で送信する送信手段(プロセッサ241及び無線送受信機220)を含む。
【0192】
なお、DCIは、上りリンクSI(Scheduling Information)及び下りリンクSIを含む。さらに、DCIは、CoMP用の付加情報を含んでもよい。送上りリンクSIは、上りリンクの割当てリソースブロック及び割当てMCSを示す。下りリンクSIは、下りリンクの割当てリソースブロック及び割当てMCSを示す。
【0193】
図20は、下りリンクのサブフレーム構成を示す。
【0194】
図20に示すように、下りリンクサブフレームは2個の連続的な下りスロットを含む。下りリンクサブフレーム内の前半スロットの先頭から最大3(又は4)OFDMシンボルの区間は、主にPDCCHとして使用される時間・周波数リソースからなる制御領域である。下りサブフレームの残りOFDMシンボル区間は、主にPDSCHとして使用される時間・周波数リソースからなるデータ領域である。
【0195】
本実施形態では、eNBは、UEとのCoMP通信を行う場合に、DCIを、制御領域に代えてデータ領域で送信する。また、eNBは、DCIをデータ領域で送信する際に、当該データ領域における特定のリソースブロック(RB)を用いてDCIを送信する。このように、データ領域における特定のリソースブロックは、PDCCHと同様にDCIの伝送に使用される。
【0196】
このような新たなPDCCHを「E−PDCCH(Evolved−PDCCH)」と称する。上述したように、CoMP協働セットに含まれる各eNBは、E−PDCCHとして同一のリソースブロックを使用する。本実施形態では、E−PDCCHとして使用されるリソースブロックは、アンカeNBによって決定される。
【0197】
ただし、DCIは、本来、データ領域に割当てたリソースブロックをUEに通知する情報であるため、DCIをデータ領域で伝送すると、データ領域に割当てたリソースブロックをUEに通知できない。
【0198】
このため、eNBは、E−PDCCHとして使用するリソースブロックを示す情報をブロードキャストで送信する。例えば、下りリンク帯域幅の中央の6リソースブロックにマッピングされるシステム情報ブロック(SIB)に対し、E−PDCCHとして使用するリソースブロックを示す情報を含めることができる。
【0199】
あるいは、eNBは、UEに対してCoMP協働セット情報を通知する際に、E−PDCCHとして使用するリソースブロック(固定)を示す情報をCoMP協働セット情報に含めることで通知してもよい。
【0200】
さらに、DCIのデータ量はユーザデータに比べて少ないため、1つのリソースブロックで1UE分のみのDCIを伝送するとリソースの無駄になり得る。このため、eNBは、E−PDCCH用に、複数のUEに1つのリソースブロックを割当て、複数のUEに対応する複数のDCIを異なる拡散符号で符号化することで符号分割多重する。これにより、リソース利用効率を改善できる。
【0201】
一方、UEは、SIB又はCoMP協働セット情報を受信することにより、自UEに割当てられたE−PDCCH用のリソースブロックを特定した後、E−PDCCHにより伝送されるDCIを受信する。ここで、DCIは、UE用の拡散符号で符号化されている。UE用の拡散符号についても、E−PDCCHの割当情報と同様に、SIB又はCoMP協働セット情報によりUEに通知できる。
【0202】
UEは、符号化されたDCIを受信する受信手段(無線送受信機120)と、受信手段が受信したDCIを、自UE用の拡散符号で復号する復号手段(プロセッサ131)と、を有し、復号手段は、復号に成功した場合に、当該復号されたDCIを自端末宛てのDCIとして認識する。
【0203】
以上説明したように、UEとのCoMP通信を行う複数のeNBのそれぞれは、UEとのCoMP通信を行う場合に、DCIを制御領域に代えてデータ領域で送信することで、CoMP通信を行う場合でもDCIを適切に伝送できる。
【0204】
(7.2)帯域割当制御及びタイミングアドバンス制御
(7.2.1)帯域割当制御
上述したように、CoMP協働セットを異なるeNBで構成する場合、UEに割当てるべき帯域をeNB間のネゴシエーションで決定する必要がある。ここで帯域とは、周波数リソース(リソースブロック)、時間リソース(サブフレーム)、及び変調方式(MCS)を意味する。また、帯域とは、上述したDCIのための帯域(E−PDCCHの帯域)ではなく、ユーザデータを伝送するための帯域(PDSCHの帯域及び/又はPUSCHの帯域)である。
【0205】
eNB間の伝送遅延に起因してeNB間のネゴシエーションに長時間を要すると、適切な帯域割当てができなくなる。そこで、本実施形態は、CoMPにおいてUEに割当てるべき帯域を決定するために要する時間を短縮すべく、以下の構成をとる。
【0206】
本実施形態では、CoMP協働セットに含まれる複数のeNBそれぞれは、自eNBにおけるUEへの割当て候補の帯域を、CoMP協働セットに含まれる他のeNBへ通知する通知手段(ネットワーク通信部230及びプロセッサ241)と、CoMP協働セットに含まれる他のeNBから、当該他のeNBにおけるUEへの割当て候補の帯域の通知を受信する受信手段(ネットワーク通信部230)と、受信手段で受信した通知に基づいて、複数のeNBのそれぞれにおける割当て候補の帯域の中から、UEに割当てる帯域を選択する選択手段(プロセッサ241)と、を有する。
【0207】
選択手段は、複数のeNBで共通の選択規則に従って、複数のeNBのそれぞれにおける割当て候補の帯域の中から、UEに割当てる帯域を選択する。このように、CoMP協働セットに含まれる各eNBが、割当て候補の帯域を通知し合い、これら割当て候補の帯域の中から、予め定められた選択規則に従ってUEに割当てる帯域を選択する。これにより、片方向の通知のみで帯域を決定できるため、帯域決定に要する時間を短縮できる。
【0208】
共通の選択規則としては、以下の選択規則1、2の何れかが使用できる。
【0209】
選択規則1:通知手段は、UEの送信タイミングを調整するためのタイミングアドバンス値を生成し、当該生成したタイミングアドバンス値をCoMP協働セットに含まれる他のeNBへ通知する。受信手段は、CoMP協働セットに含まれる他のeNBから、当該他のeNBで生成されたタイミングアドバンス値を受信する。選択規則1において、共通の選択規則とは、複数のeNBのうち、UEの送信タイミングを遅らせる度合いが最も大きいタイミングアドバンス値(すなわち、値が最も小さいタイミングアドバンス値)を生成したeNBにおける割当て候補の帯域を、UEに割当てる帯域として選択する規則である。UEの送信タイミングを遅らせる度合いが最も大きいタイミングアドバンス値は、後述するように、UEに通知すべきタイミングアドバンス値として選択される。よって、選択規則1では、タイミングアドバンス値に基づく選択規則としている。
【0210】
選択規則2:通知手段は、自eNBがUEに対して適用すべきMCSを選択し、当該選択したMCSをCoMP協働セットに含まれる他のeNBへ通知する。受信手段は、CoMP協働セットに含まれる他のeNBから、当該他のeNBとUEとの間のMCSを受信する。選択規則2において、共通の選択規則とは、複数のeNBのうち、最も伝送レートの高いMCS(すなわち、エラー耐性の低いMCS)を選択したeNBにおける割当て候補の帯域を、UEに割当てる帯域として選択する規則である。CoMP通信を行うことによって、UEの通信品質の改善が見込まれることから、伝送レートの高いMCSを選択することで、UEのスループットを高めることができる。
【0211】
さらに、複数のeNBのうち、割当て候補のリソースブロック数が最も少ないeNBにおける割当て候補の帯域を、UEに割当てる帯域として選択するという選択規則としてもよい。
【0212】
図21は、CoMP協働セットに含まれる各eNBが割当て候補の帯域を通知し合う様子を示す。
【0213】
図21に示すように、CoMP協働セットに含まれるeNB200〜eNB204のそれぞれは、CoMP協働セットにおける自eNB以外の全eNBに対し、割当て候補の帯域を示す帯域割当情報をX2インターフェイス上で送信する。eNB200〜eNB204のそれぞれは、CoMP協働セットにおける自eNB以外の全eNBからの帯域割当情報を受信する。そして、eNB200〜eNB204のそれぞれは、自eNBにおける割当て候補の帯域と、他の各eNBにおける割当て候補の帯域と、の中から、上述した選択規則に従って、UEに割当てる帯域を選択する。
【0214】
図22は、帯域割当情報の一例を示す。
【0215】
図22に示すように、帯域割当情報は、対象となるUEの識別子と、送信元eNBの識別子と、割当て候補の時間(送信予定時間)と、割当て候補のリソースブロックと、割当て候補の変調方式(MCS)と、送信対象データの識別子と、タイミングアドバンス値と、を含む。
【0216】
対象となるUEの識別子は、上述したC−RNTIである。送信元eNBの識別子は、当該帯域割当情報を送信したeNBの識別子である。割当て候補の時間(タイミング)は、当該送信元eNBにおける割当て候補のサブフレームを示し、例えばサブフレーム番号で表現される。あるいは、割当て候補の時間(タイミング)は、SFN+サブフレーム番号で表現される。割当て候補のリソースブロックは、当該送信元eNBにおける割当て候補のリソースブロックを示し、例えばリソースブロック番号で表現される。
【0217】
送信対象データの識別子は、eNB間で送信データの同一性を担保する(同期を取る)ためのものであり、本実施形態ではPDCD PDUのシーケンス番号である。PDCD PDUのシーケンス番号は、アンカeNBによって付加される。PDCD PDUにシーケンス番号を付加する処理の詳細については後述する。
【0218】
タイミングアドバンス値は、当該送信元eNBにおいて生成されたタイミングアドバンス値である。
【0219】
図23は、CoMP協働セットに含まれるeNBにおける帯域割当処理の一例を示す。
【0220】
図23に示すように、ステップS300において、eNBは、UEがCoMP対象であるか否かを確認する。UEがCoMP対象である場合(ステップS300;Yes)、処理をステップS303に進め、そうでなければ(ステップS300;No)、処理をステップS301に進める。
【0221】
ステップS301において、eNBは、UEに割当てる帯域を決定するための計算を行う。CoMP非対象UEに対しては、当該UEから送信されるCQI及び/又はSRSなどに基づき、例えばプロポーショナルフェアネス(PF)などの通常のスケジューリングアルゴリズムに従って、割当て帯域が決定される。
【0222】
ステップS302において、eNBは、ステップS301で決定した帯域を示すDCIをPDCCH上でUEに送信する。
【0223】
一方、ステップS303において、eNBは、CoMP対象UEへの帯域割当を優先すべく、CoMP用に当該UEの予約帯域(割当て候補の帯域)を確保する。
【0224】
ステップS304において、eNBは、ステップS303の結果を保存する。
【0225】
ステップS305において、eNBは、ステップS302でUEのために確保した帯域(すなわち、割当て候補の帯域)を示す帯域割当情報(図22参照)を、当該UEとのCoMP通信を行うCoMP協働セットに含まれる他のeNBに対してX2インターフェイス上で送信する。
【0226】
ステップS306において、eNBは、帯域割当判定処理のタイミングまでの時間を計時するためのタイマを起動する。
【0227】
図24は、帯域割当判定処理の一例を示す。
【0228】
図24に示すように、ステップS400において、eNBは、ステップS306で起動したタイマが満了したか否かを確認する。当該タイマが満了した場合(ステップS400;Yes)、処理をステップS401に進める。
【0229】
ステップS401において、eNBは、当該UEとのCoMP通信を行うCoMP協働セットに含まれる他の全てのeNBからの帯域割当情報を受信したか否かを確認する。当該他の全てのeNBからの帯域割当情報を受信した場合(ステップS401;Yes)、処理をステップS404に進め、そうでなければ(ステップS401;No)、処理をステップS402に進める。
【0230】
ステップS404において、eNBは、ステップS304で保存した割当て候補の帯域と、CoMP協働セットに含まれる他のeNBそれぞれの割当て候補の帯域と、のうち、上述した選択規則に従ってUEへの割当て帯域を決定する。
【0231】
ステップS405において、eNBは、ステップS404で決定した割当て帯域を示すDCIをE−PDCCH上でUEに送信するとともに、当該割当て帯域を用いてユーザデータをUEに送信(又は受信)する。
【0232】
一方、ステップS402において、eNBは、CoMP協働セットに含まれる他のeNBのうち少なくとも1つのeNBから帯域割当情報を受信せずにタイムアウトしたことになる。eNBは、ステップS304で保存した割当て候補の帯域と、受信した帯域割当情報によって示される割当て候補の帯域と、のうち、上述した選択規則に従って帯域を決定する。ここでは、CoMP協働セットに含まれる他のeNBのうち少なくとも1つのeNBから帯域割当情報を受信していないため、CoMP協働セットで統一すべき帯域とは異なる帯域が選択されている可能性がある。
【0233】
ステップS403において、eNBは、ステップS404で決定した帯域を割当禁止として予約し、当該帯域を用いたユーザデータの送信(又は受信)を中止する。これにより、CoMP協働セットで統一すべき帯域とは異なる帯域でeNBがデータ送信(又は受信)を行うことによる悪影響の発生を防止できる。
【0234】
図25は、JT型CoMPシーケンスを示す。ここでは、eNB200〜eNB204で構成されたCoMP協働セットとUE100とがJT型CoMPを実行しており、eNB204がアンカeNBとして動作している一例を説明する。
【0235】
図25に示すように、ステップS3001において、アンカeNBとして動作しているeNB204は、S−GWからのパケットデータ(ユーザデータ)を受信する。
【0236】
ステップS3002において、eNB204は、PDCPレイヤにてパケットデータをシーケンス番号付きのPDCP PDUに変換し、PDCP PDUをX2インターフェイス上でeNB200〜eNB203に転送する。
【0237】
ステップS3003において、eNB204は、帯域割当情報1を生成し、生成した帯域割当情報1をX2インターフェイス上でeNB200〜eNB203に転送する。
【0238】
ステップS3004において、eNB203は、帯域割当情報2を生成し、生成した帯域割当情報2をX2インターフェイス上でeNB200、eNB201、eNB202、及びeNB204に転送する。
【0239】
ステップS3005において、eNB202は、帯域割当情報3を生成し、生成した帯域割当情報3をX2インターフェイス上でeNB200、eNB201、eNB203、及びeNB204に転送する。
【0240】
ステップS3006において、eNB201は、帯域割当情報4を生成し、生成した帯域割当情報4をX2インターフェイス上でeNB200、eNB202、eNB203、及びeNB204に転送する。
【0241】
ステップS3007において、eNB200は、帯域割当情報5を生成し、生成した帯域割当情報5をX2インターフェイス上でeNB201〜eNB204に転送する。
【0242】
ステップS3008において、eNB200〜eNB204のそれぞれは、自eNBの帯域割当情報と他の各eNBからの帯域割当情報とに基づいて、UE100への割当て帯域を決定する。
【0243】
ステップS3009において、eNB200〜eNB204のそれぞれは、ステップS3008で決定した割当て帯域でユーザデータをUE100に送信する。
【0244】
以上説明したように、CoMP協働セットに含まれる各eNBが、割当て候補の帯域を通知し合い、これらの割当て候補の帯域の中から、予め定められた選択規則に従ってUEに割当てる帯域を選択することで、片方向の通知のみで帯域を決定できるため、帯域決定に要する時間を短縮できる。
【0245】
また、本実施形態では、複数のeNBのそれぞれは、自eNBにおけるUEへの割当て候補の帯域を、CoMP協働セットに含まれる他のeNBへ通知する通知手段(ネットワーク通信部230及びプロセッサ241)と、CoMP協働セットに含まれる他のeNBから、当該他のeNBにおけるUEへの割当て候補の帯域の通知を受信する受信手段(ネットワーク通信部230)と、受信手段の受信状況に応じて、割当て候補の帯域を割当て禁止に設定する禁止手段(プロセッサ241)と、を有する。禁止手段は、受信手段がCoMP協働セットに含まれる少なくとも一部の他のeNBから通知を受信しない場合に、複数のeNBのそれぞれにおける割当て候補の帯域のうち、自eNBで把握している割当て候補の帯域を割当て禁止に設定する。複数のeNBのそれぞれは、複数のeNBで共通の選択規則に従って、複数のeNBのそれぞれにおける割当て候補の帯域の中から、UEに割当てる帯域を選択する選択手段(プロセッサ241)をさらに有する。禁止手段は、選択規則に従って選択される割当て候補の帯域を、割当て禁止に設定する。
【0246】
これにより、CoMP協働セットに含まれる基地局間で帯域割当情報を送受信する際に、eNB間通信路の輻輳などに起因して帯域割当情報が正常に送受信されない場合であっても、CoMP協働セットにおいて一部のeNBがUEに対して誤った割当てを行ってしまうことを防止できる。
【0247】
(7.2.2)タイミングアドバンス制御
JR型CoMPにおいて、UEから同一のデータを複数のeNBが受信する場合、適切なタイミングアドバンス値がeNB毎に異なる。このため、タイミングアドバンス値を適切に設定することは困難である。そこで、本実施形態では、タイミングアドバンス値を適切に設定すべく、以下の構成をとる。
【0248】
本実施形態では、CoMP協働セットに含まれる複数のeNBそれぞれは、UEのデータ送信タイミングを調整するためのタイミングアドバンス値を生成し、CoMP協働セットに含まれる他のeNBに対して、当該生成したタイミングアドバンス値を送信する送信手段(プロセッサ241及びネットワーク通信部230)と、CoMP協働セットに含まれる他のeNBから、当該他のeNBにおいて生成されたタイミングアドバンス値を受信する受信手段(ネットワーク通信部230)と、受信手段で受信した通知に基づいて、複数のeNBのそれぞれにおけるタイミングアドバンス値の中から選択したタイミングアドバンス値を、UEに通知する通知手段(プロセッサ241及び無線送受信機220)と、を有する。本実施形態では、複数のeNBのそれぞれにおけるタイミングアドバンス値のうち、データ送信タイミングを遅らせる度合いが最も大きいタイミングアドバンス値を選択する。
【0249】
上述したように、LTEシステム1では、遅延波に対処できるよう各シンボルにCPが設けられているため、eNBの受信タイミングよりも遅れて到来した上りリンク信号(上りリンクデータ)であってもCP長の範囲内であれば復調が可能である。これに対し、eNBの受信タイミングよりも先に到来した上りリンク信号は復調困難である。このため、データ送信タイミングを遅らせる度合いが最も大きいタイミングアドバンス値を選択することで、タイミングアドバンス値を適切に設定できる。
【0250】
本実施形態では、各eNBが送受信する帯域割当情報(図22参照)は、タイミングアドバンス値を含む。よって、上述した帯域割当判定処理において、タイミングアドバンス値の選択も行うことができる。
【0251】
例えば、図24に示すステップS404において、eNBは、自eNBで生成したタイミングアドバンス値と、CoMP協働セットに含まれる他のeNBそれぞれのタイミングアドバンス値と、のうち、タイミングアドバンス値の選択規則に従って、UEに通知するタイミングアドバンス値を決定する。これにより、片方向の通知のみでタイミングアドバンス値を決定できるため、タイミングアドバンス値決定に要する時間を短縮できる。
【0252】
そして、ステップS405において、eNBは、ステップS404で決定したタイミングアドバンス値をPDSCH上でUEに送信する。ここで、eNBは、UEに割当てるPDSCHリソースに空きがある場合に、当該空きPDSCHリソースを用いて、タイミングアドバンス値(TA MCE)をUEに通知する。をUEに通知する。PDSCHリソースに空きがある場合とは、選択されたリソースブロック且つ選択されたMCSで送信を行う場合の帯域幅が、送信すべきデータに比べて大きいことを意味する。
【0253】
なお、JT型CoMPを行う場合、CoMP協働セットに含まれる全NBが同じ下りリンクデータを同一の帯域で送信する必要があるが、協調送信する下りリンクデータがないタイミングにおいては、CoMP協働セットに含まれる全NBが協調してタイミングアドバンス値(TA MCE)を送信してもよく、アンカeNBが単独でタイミングアドバンス値(TA MCE)を送信してもよい。
【0254】
ただし、CoMP協働セットに含まれる各eNBは、CoMP協働セットに含まれる他のeNBの全てから常にタイミングアドバンス値を得られるとは限らないため、他のeNB毎にタイミングアドバンス値を保持し、新たにタイミングアドバンス値を受信する度に更新する。詳細には、CoMP協働セットに含まれる各eNBは、受信手段(ネットワーク通信部230)が受信したタイミングアドバンス値を記憶するための記憶手段(メモリ242)と、受信手段がタイミングアドバンス値を受信する度に、当該受信したタイミングアドバンス値によって、記憶手段に記憶されているタイミングアドバンス値を更新する更新手段(プロセッサ241)と、をさらに有し、通知手段(プロセッサ241及び無線送受信機220)は、記憶手段に記憶されているタイミングアドバンス値の中から、UEに通知するタイミングアドバンス値を選択し、当該選択したタイミングアドバンス値をUEに通知する。
【0255】
また、タイミングアドバンス値は、UEのTime Alignment Timer(第1のタイマ)が満了する前に当該UEに通知する必要がある。また、各eNBは、UEのTime Alignment Timerに対応するTime Alignment Timerを有している。JT型CoMPを行う場合、アンカeNBは、UEのTime Alignment Timerが満了間近であることを検出すると、CoMP協働セットに含まれる他のeNBに対して、他の下りリンクデータと同様にユーザデータとしてタイミングアドバンス値(TA MCE)をX2インターフェイス上で送信し、他の下りリンクデータと同様に協調する全eNBにて協調送信しても良い。
【0256】
(7.2.3)異常時シーケンス
(7.2.3.1)パターン1
特定のeNB間において帯域割当情報の送受信タイムアウトが頻発(あるいは連続)する場合、当該特定のeNB間の通信経路上で輻輳が生じているといった虞がある。本実施形態では、このような場合に適切に対処するために、以下のような構成をとる。
【0257】
本実施形態では、CoMP協働セットに含まれる複数のeNBそれぞれは、CoMP協働セットに含まれる他のeNBから、当該他のeNBにおけるUEへのリソース割当てに関する情報を受信する受信手段(ネットワーク通信部230)と、受信手段がCoMP協働セットに含まれる他の特定のeNBから通知を正常に受信しない場合に、他の特定のeNBに関する情報を、CoMP協働セットを管理するCoMP管理装置(アンカeNB)に報告する報告手段(プロセッサ241及びネットワーク通信部230)と、を有する。CoMP管理装置は、当該他の特定のeNB及び/又は報告を行ったeNBをCoMP協働セットから除外する。例えば、CoMP管理装置は、UEが当該他の特定のeNBから受信する信号の電力レベルと、UEが報告を行ったeNBから受信する信号の電力レベルと、を取得し、当該他の特定のeNB及び報告を行ったeNBのうち、対応する電力レベルが相対的に低い方のeNBをCoMP協働セットから除外する。
【0258】
図26は、JT型CoMPシーケンスを示す。ここでは、eNB200〜eNB204で構成されたCoMP協働セットとUE100とがJT型CoMPを実行しており、eNB204がアンカeNBとして動作している一例を説明する。
【0259】
図26に示すように、ステップS3101において、アンカeNBとして動作しているeNB204は、S−GWからのパケットデータ(ユーザデータ)を受信する。
【0260】
ステップS3102において、eNB204は、PDCPレイヤにてパケットデータをシーケンス番号付きのPDCP PDUに変換し、PDCP PDUをX2インターフェイス上でeNB200〜eNB203に転送する。
【0261】
ステップS3103において、eNB204は、帯域割当情報1を生成し、生成した帯域割当情報1をX2インターフェイス上でeNB200〜eNB203に転送する。
【0262】
ステップS3104において、eNB203は、帯域割当情報2を生成し、生成した帯域割当情報2をX2インターフェイス上でeNB200、eNB201、eNB202、及びeNB204に転送する。ここで、eNB203からeNB201への帯域割当情報2は、規定時間内に到達しなかったとする。
【0263】
ステップS3105において、eNB202は、帯域割当情報3を生成し、生成した帯域割当情報3をX2インターフェイス上でeNB200、eNB201、eNB203、及びeNB204に転送する。
【0264】
ステップS3106において、eNB201は、帯域割当情報4を生成し、生成した帯域割当情報4をX2インターフェイス上でeNB200、eNB202、eNB203、及びeNB204に転送する。
【0265】
ステップS3107において、eNB200は、帯域割当情報5を生成し、生成した帯域割当情報5をX2インターフェイス上でeNB201〜eNB204に転送する。
【0266】
ステップS3108において、eNB200〜eNB204のそれぞれは、自eNBの帯域割当情報と他の各eNBからの帯域割当情報とに基づいて、UE100への割当て帯域を決定する。ただし、eNB201は、eNB203からの帯域割当情報2が規定時間内に到達しなかったことから、上述したように割当て禁止帯域を決定する。
【0267】
ステップS3109において、eNB201は、eNB203からの帯域割当情報を受信しなかったことを示す帯域割当受信情報をX2インターフェイス上でeNB204に送信する。帯域割当受信情報は、eNB201の識別子(あるいはセル識別子)及びeNB203の識別子(あるいはセル識別子)を含む。
【0268】
ステップS3110において、eNB200、eNB202、eNB203、及びeNB204のそれぞれは、ステップS3108で決定した割当て帯域でユーザデータをUE100に送信する。
【0269】
ステップS3111において、eNB204は、ステップS3109で受信した帯域割当情報に基づいて、CoMP協働セットから除外するeNBを決定する。例えば、eNB204は、UE100からの測定報告に基づいて、UE100がeNB201から受信する信号の電力レベルと、UE100がeNB203から受信する信号の電力レベルと、を取得し、eNB201及びeNB203のうち、対応する電力レベルが相対的に低い方のeNBをCoMP協働セットから除外する。CoMP協働セットから除外されたeNBは、その後はCoMP通信に対する干渉源となり得るため、UE100へ与える干渉レベルが低くなると見込まれるeNBを除外することとしている。ここでは、eNB204は、eNB201を除外すると決定したとする。eNB204は、eNB201を除外すると決定すると、eNB201の除外を反映させるように、上述したCoMP協働セット情報を更新する。
【0270】
ステップS3112において、eNB204は、更新後のCoMP協働セット情報をeNB200〜eNB203(及びUE100)に送信する。更新後のCoMP協働セット情報を受信したeNB201は、自身がCoMP協働セットから除外されたことを認識し、以降はCoMP通信には参加しない。
【0271】
以上説明したように、本実施形態によれば、特定のeNB間において帯域割当情報の送受信タイムアウトが頻発(あるいは連続)する場合にも、適切な対処をおこなうことができる。なお、本シーケンスでは、JT型CoMPを例に説明したが、JR型CoMP等の他のCoMP種別にも適用できる。
【0272】
(7.2.3.2)パターン2
JR型CoMPにおいて、他のeNBからの帯域割当情報を受信しない特定のeNBは、上述したように、割当て禁止帯域を決定し、UE100からの上りリンクデータを受信しない。この場合、アンカeNBは、当該特定のeNBが上りリンクデータを受信しないにもかかわらず当該特定のeNBからのデータ転送を待つことになり、通信遅延が大きくなってしまう。
【0273】
そこで、本実施形態では、JR型CoMPにおいて一部のeNBがUEからのデータを受信しない場合に適切に対処すべく、以下の構成をとる。
【0274】
本実施形態では、CoMP協働セットに含まれる複数のeNBそれぞれは、CoMP協働セットに含まれる他のeNBから、当該他のeNBにおけるUEへの割当て候補の通信リソースを示す帯域割当情報を受信する帯域割当情報受信手段(ネットワーク通信部230)と、帯域割当情報受信手段における受信状況に基づいて、CoMP協働セットに含まれる他のeNB(アンカeNB)に対して、帯域割当情報の受信成否に関する情報を送信する送信手段(プロセッサ241及びネットワーク通信部230)と、を有する。送信手段は、帯域割当情報受信手段がCoMP協働セットに含まれる少なくとも一部の他のeNBから帯域割当情報を受信しない場合に、CoMP協働セットに含まれる他のeNB(アンカeNB)に対してエラー情報を送信する。これに対し、送信手段は、帯域割当情報受信手段がCoMP協働セットに含まれる他のeNBから帯域割当情報を受信した場合に、当該他のeNB(アンカeNB)に対して肯定応答情報を送信する。
【0275】
また、複数のeNBのそれぞれは、帯域割当情報受信手段が受信した帯域割当情報に基づいて、UEからのデータを受信するデータ受信手段(無線送受信機220及びプロセッサ241)をさらに有し、帯域割当情報受信手段がCoMP協働セットに含まれる一部の他のeNBから帯域割当情報を受信しない場合、データ受信手段は、当該UEからのデータ受信を中止する。
【0276】
図27は、JR型CoMPシーケンスを示す。ここでは、eNB200〜eNB203で構成されたCoMP協働セットとUE100とがJR型CoMPを実行しており、eNB200がアンカeNBとして動作している一例を説明する。
【0277】
図27に示すように、ステップS3201において、eNB203は、帯域割当情報1を生成し、生成した帯域割当情報1をX2インターフェイス上でeNB200〜eNB202に転送する。
【0278】
ステップS3202において、eNB202は、帯域割当情報2を生成し、生成した帯域割当情報2をX2インターフェイス上でeNB200、eNB201、及びeNB203に転送する。ここで、eNB202からeNB201への帯域割当情報2は、規定時間内に到達しなかったとする。
【0279】
ステップS3203において、eNB201は、帯域割当情報3を生成し、生成した帯域割当情報3をX2インターフェイス上でeNB200、eNB202、及びeNB203に転送する。
【0280】
ステップS3204において、eNB200は、帯域割当情報4を生成し、生成した帯域割当情報4をX2インターフェイス上でeNB202〜eNB203に転送する。
【0281】
ステップS3205において、eNB203は、全ての帯域割当情報を規定時間内に受信したことを示す帯域割当受信情報(ACK)をX2インターフェイス上でeNB200に送信する。帯域割当受信情報は、送信元eNBの識別子(あるいはセル識別子)を含む。
【0282】
ステップS3206において、eNB202は、全ての帯域割当情報を規定時間内に受信したことを示す帯域割当受信情報(ACK)をX2インターフェイス上でeNB200に送信する。
【0283】
ステップS3207において、eNB201は、少なくとも一部の帯域割当情報を規定時間内に受信しなかったこと(及び/又は上りリンクデータの受信を中止すること)を示す帯域割当受信情報(NACK)をX2インターフェイス上でeNB200に送信する。
【0284】
ステップS3208において、eNB200〜eNB203のそれぞれは、自eNBの帯域割当情報と他の各eNBからの帯域割当情報とに基づいて、UE100への割当て帯域を決定する。ただし、eNB201は、eNB202からの帯域割当情報2が規定時間内に到達しなかったことから、上述したように割当て禁止帯域を決定する。ステップS3208で決定された割当て帯域は、E−PDCCH上でUE100に通知される。
【0285】
ステップS3209において、UE100は、割当て帯域を用いて上りリンクデータを送信する。eNB200、eNB202、及びeNB203のそれぞれは、当該上りリンクデータを受信する。これに対し、eNB201は、当該上りリンクデータを受信しない(ステップS3210)。
【0286】
ステップS3211において、eNB203は、UE100から受信した上りリンクデータを、ベースバンド信号の状態(復号前の状態)で、X2インターフェイス上でeNB200に転送する。
【0287】
ステップS3212において、eNB202は、UE100から受信した上りリンクデータを、ベースバンド信号の状態(復号前の状態)で、X2インターフェイス上でeNB200に転送する。
【0288】
なお、eNB200は、ステップS3207で受信した帯域割当受信情報(NACK)に基づいて、eNB201からのデータ転送が無いことを把握している。
【0289】
ステップS3213において、eNB200は、自eNBがUE100から受信した上りリンクデータと、eNB202から転送された上りリンクデータと、eNB201から転送された上りリンクデータと、を合成した上で復号する。
【0290】
ステップS3214において、eNB200は、IPパケットの状態で復号後のデータをS1インターフェイス上でS−GWに転送する。
【0291】
以上説明したように、本実施形態によれば、アンカeNBは、特定のeNBが上りリンクデータを受信しないにもかかわらず当該特定のeNBからのデータ転送を待つことを防止できるため、通信遅延が大きくなることを回避できる。
【0292】
(7.3)データ同期及び再送制御
次に、JT型CoMPにおけるデータ同期及び再送制御を説明する。
【0293】
(7.3.1)データ同期及びARQ再送
JT型CoMPにおいて、CoMP協働セットを異なるeNBで構成する場合、次のような問題がある。CoMP協働セットに含まれる各eNBのレイヤ2において、ユーザデータをPDCPレイヤでPDCP PDUへの変換後に、RLCレイヤでAMモードでのARQを実行する場合、上述したように、RLCレイヤでeNB毎に異なるデータ分割が行われることになる(図5及び図6参照)。その結果、各eNBがUEへ同一のデータを同時に送信することが困難になる。
【0294】
そこで、本実施形態は、CoMP協働セットを異なるeNBで構成する場合でも、各eNBが同時にUEへ同時に同一のデータを送信できるようにすべく、以下の構成をとる。
【0295】
本実施形態では、アンカeNBは、S−GWからのUE宛てのユーザデータを受信する受信手段(ネットワーク通信部230)と、受信手段で受信したユーザデータを、PDCPレイヤにおいて、シーケンス番号が付されたPDCP PDUに変換する変換手段(プロセッサ241)と、変換手段により得られたPDCP PDUを、CoMP協働セットに含まれる他のeNB(従eNB)に送信する送信手段(ネットワーク通信部230及びプロセッサ241)と、を有する。他のeNB(従eNB)は、PDCP PDUを受信すると、PDCP PDUに対して、RLCレイヤでのARQ再送を適用することなく、MACレイヤでの処理を行う。例えば、他のeNB(従eNB)のRLCレイヤにはUMモードが適用される。MACレイヤでの処理は、HARQを含む(図5参照)。
【0296】
また、本実施形態では、従eNBは、UEへのHARQデータ送信を行う送信手段(無線送受信機220及びプロセッサ241)と、HARQデータ送信に失敗した場合に、その旨をアンカeNBに通知する通知手段(ネットワーク通信部230及びプロセッサ241)と、を有する。アンカeNBは、CoMP協働セットからUEへのARQ再送データ(PDCP PDU)を一元管理する管理手段(プロセッサ241及びメモリ242)と、HARQデータ送信に失敗した旨の通知を従eNBから受信する受信手段(ネットワーク通信部230)と、受信手段が受信した通知に応じて、管理手段が管理しているARQ再送データを従eNBに転送する転送手段(ネットワーク通信部230及びメモリ242)と、を有する。従eNBの送信手段は、アンカeNBから転送されたARQ再送データを、HARQを用いてUEに送信する。
【0297】
図28は、JT型CoMPにおけるシーケンスを示す。ここでは、eNB200〜eNB204で構成されたCoMP協働セットとUE100とがJT型CoMPを実行しており、eNB200がアンカeNBとして動作している一例を説明する。
【0298】
図28に示すように、ステップS4001おいて、S−GWは、UE100宛てのユーザデータをS1インターフェイス上でeNB200に送信する。
【0299】
eNB200のPDCPレイヤは、UE100宛てのユーザデータに対してヘッダ圧縮・暗号化を行い、PDCP PDUに変換する(図5及び図6参照)。また、eNB200のPDCPレイヤは、PDCP PDUを識別するためのシーケンス番号を当該PDCP PDUに付加する。さらに、シーケンス番号付きのPDCP PDUを再送のために保存する。
【0300】
ステップS4002において、eNB200は、シーケンス番号付きのPDCP PDUをX2インターフェイス上でeNB201〜eNB204に転送する。
【0301】
そして、eNB200〜eNB204では、RLCレイヤは、シーケンス番号付きのPDCP PDU(RLC SDU)に対してARQを適用すること無くRLC PDUに変換し、MACレイヤは、RLC PDU(MAC SDU)に対してHARQを適用してトランスポートブロックに変換し、物理レイヤは、トランスポートブロックを送信する。ここで、物理レイヤでの送信には、eNB200〜eNB204で同一の帯域(リソースブロック、サブフレーム、MCS)が使用される。
【0302】
また、eNB200〜eNB204それぞれのMACレイヤは、UE100からのACK/NACK(HARQ ACK/NACK)に応じて再送を行う。
【0303】
図29は、最大再送回数に達してもHARQ再送が完了しないケースでのシーケンスを示す。
【0304】
図29に示すように、eNB201〜eNB204は、最大再送回数に達してもHARQ再送が完了しない場合(すなわち、HARQ ACKが得られない場合)、ステップS4011において、データ送信に失敗した旨をX2インターフェイス上でeNB200に通知する。当該通知は、データ送信に失敗したPDCP PDUのシーケンス番号を含む。
【0305】
ステップS4012において、eNB200は、eNB201〜eNB204からの通知に応じて、ARQ再送すべきPDCP PDU(シーケンス番号付き)をX2インターフェイス上でeNB201〜eNB204に転送する。
【0306】
そして、eNB200〜eNB204では、RLCレイヤは、シーケンス番号付きのPDCP PDU(RLC SDU)に対してARQを適用すること無くRLC PDUに変換し、MACレイヤは、RLC PDU(MAC SDU)に対してHARQを適用してトランスポートブロックに変換し、物理レイヤは、トランスポートブロックを送信する。ここで、物理レイヤでの送信には、eNB200〜eNB204で同一の帯域(リソースブロック、サブフレーム、MCS)が使用される。
【0307】
以上説明したように、ARQ再送をアンカeNBが一元管理することで、JT型CoMPにおいて、CoMP協働セットに含まれる各eNBが同時にUEへ同一のデータを送信することが可能になる。
【0308】
(7.3.2.1)HARQ初送割当て周期
eNBは、MACレイヤでのHARQを用いて、UEからのACK(HARQ ACK)が得られるまでデータ再送を繰り返し行う。ここで、初送データの送信処理及び当該初送データに対応する再送処理は「HARQプロセス」と称され、複数のHARQプロセスが並列して実行される。
【0309】
JT型のCoMPにおいて、CoMP協働セットを異なるeNBで構成する場合、HARQ再送のために同一の帯域をUEに割当てるためには、eNB間のネゴシエーションが必要になると考えられる。しかしながら、再送の度にそのようなネゴシエーションを行うと、再送のための処理遅延が長くなってしまうため、HARQ再送を適切に行うことができない。
【0310】
そこで、本実施形態は、下りリンクCoMPにおいてHARQ再送を適切に行うべく、以下の構成をとる。
【0311】
本実施形態では、CoMP協働セットに含まれる複数のeNBそれぞれは、複数のHARQプロセス毎に初送データを送信する初送手段(無線送受信機220及びプロセッサ241)と、複数のHARQプロセス毎に初送データに対応する再送データを送信する再送手段(無線送受信機220、プロセッサ241、メモリ242)と、を有し、初送手段による初送データの送信周期は、HARQ最大再送回数よりも大きい最小の奇数に設定される。
【0312】
また、再送手段による再送データの再送周期を8[TTI(Transmission Time Interval)]に限定する。つまり、割当てられない場合に、次のTTIにシフトすることを禁止する。さらに、再送手段は、初送データと同一のリソースブロック及び同一のMCSを適用して再送データを送信する。
【0313】
図30は、MACレイヤでのHARQ再送を説明するための図である。
【0314】
図30に示すように、各HARQプロセスは、UEからのHARQ NACKに応じて、8[TTI]で再送を行う。
【0315】
これに対し、初送データの送信周期は、9[TTI]である。すなわち、初送周期(9[TTI])は、再送周期(8[TTI])に“1”を加えた値である。よって、再送回数が8回までは初送タイミングと再送タイミングとは重複しないが、再送回数が9回になると、初送タイミングと再送タイミングとは重複することになる。しかし、HARQ最大再送回数は8回であり、初送タイミングと再送タイミングとが重複することはない。本実施形態では、初送周期は、HARQ最大再送回数8よりも大きい最小の奇数である“9”[TTI]に設定されている。
【0316】
このように設定することで、各HARQプロセスの初送タイミングと再送タイミングとが重複しない。
【0317】
また、各HARQプロセスでは、初送時に使用されたリソースブロックと同一のリソースブロックで再送を行い、且つ初送時に使用されたMCSと同一のMCSで再送を行う。このような規則をCoMP協働セットに導入すれば、HARQ再送のためにeNB間のネゴシエーションは不要であり、再送のための処理遅延が長くなることを防止できる。
【0318】
(7.3.2.2)HARQ ACK
eNBは、MACレイヤでのHARQを用いて、UEからのACKが得られるまで再送を繰り返し行う。しかしながら、JT型のCoMPにおいて、CoMP協働セットを異なるeNBで構成する場合、UEがACKを送信しても、CoMP協働セットに含まれる一部のeNBが当該ACKを受信できない可能性がある。UEからのACKを受信できないeNBは、UEへの再送を継続してしまうため、当該再送によって無駄にリソースが消費される問題がある。
【0319】
そこで、本実施形態は、下りリンクCoMPにおいてHARQ再送を適切に行うべく、以下の構成をとる。
【0320】
本実施形態では、CoMP協働セットに含まれる複数のeNBそれぞれは、UEからのHARQ ACKを受信すると、CoMP協働セットに含まれる他のeNBに対して、当該受信したHARQ ACKに関するACK情報を送信する。ACK情報は、HARQ ACKに対応するデータの識別情報を含む。複数のeNBのそれぞれは、HARQ最大再送回数が満了していない場合で、UEからのHARQ ACKを受信していない場合で、且つCoMP協働セットに含まれる他のeNBからのACK情報を受信していない場合に、UEへのHARQ再送を行う。
【0321】
図31は、JT型CoMPのシーケンスを示す。ここでは、eNB200〜eNB203で構成されたCoMP協働セットとUE100とがJT型CoMPを実行しており、eNB200がアンカeNBとして動作している一例を説明する。
【0322】
図31に示すように、ステップS4001において、アンカeNBとして動作しているeNB200は、S−GWからのパケットデータ(ユーザデータ)を受信する。
【0323】
ステップS4002において、eNB200は、PDCPレイヤにてパケットデータをシーケンス番号付きのPDCP PDUに変換し、PDCP PDUをX2インターフェイス上でeNB200〜eNB203に転送する。
【0324】
ステップS4003において、eNB200〜eNB203それぞれは、帯域割当情報を生成し、生成した帯域割当情報をX2インターフェイス上でCoMP協働セットに含まれる他のeNBに転送する。
【0325】
ステップS4004において、eNB200〜eNB203それぞれは、同一の帯域で同一のユーザデータをUE100に送信する。ここで、UE100は、受信したユーザデータの復号に成功したとする。
【0326】
ステップS4005において、UE100は、復号成功を示すHARQ ACKを送信する。eNB200及びeNB201は当該HARQ ACKを受信し、eNB202及びeNB203は当該HARQ ACKの受信に失敗する。
【0327】
ステップS4006において、eNB200及びeNB201は、UE100からのHARQ ACKに関するACK情報を生成し、生成したACK情報をX2インターフェイス上でCoMP協働セットに含まれる他のeNBに転送する。ACK情報は、ユーザデータの識別子(例えば、PDCP PDUシーケンス番号)とHARQ ACKとを含む。図31では、X2インターフェイスの伝送遅延はHARQ再送周期よりも長く、ACK情報の受信前にHARQ再送が開始される一例を示している。
【0328】
ステップS4007において、eNB200及びeNB201は、HARQ ACKを受信していないため、ステップS4004で送信したユーザデータに対応する再送データをUE100に送信する。その後、eNB200及びeNB201は、X2インターフェイス上でACK情報を受信すると、再送処理を中止する。なお、各eNBは、HARQ最大再送回数が満了していない場合で、UEからのHARQ ACKを受信していない場合で、且つCoMP協働セットに含まれる他のeNBからのACK情報を受信していない場合に、UEへのHARQ再送を行う。
【0329】
以上説明したように、本実施形態では、CoMP協働セットに含まれる複数のeNBそれぞれは、UEからのHARQ ACKを受信すると、CoMP協働セットに含まれる他のeNBに対して、当該受信したHARQ ACKに関するACK情報を送信する。これにより、UEからのACKを受信できないeNBであってもUEへの再送を中止することができるため、当該再送によって無駄にリソースが消費されることを防止できる。また、ACKを受信しているeNBが他UEに割当てている一方、ACKと認識していないeNBが再送することは、干渉となり得るため、再送を中止可能とすることで当該干渉を抑制することができる。
【0330】
(8)その他の実施形態
上記のように、本実施形態は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0331】
上述したCoMPに係る制御に関し、上述した説明における「アンカeNB」を「MME」又は「S−GW」と読み替えて、アンカeNBが実行していた制御の少なくとも一部をEPC側(MME又はS−GW)で実行してもよい。この場合、MME又はS−GWは、CoMP協働セットを管理するCoMP管理装置に相当する。
【0332】
また、上述した実施形態では、CoMP協働セットを複数のeNBで構成する一例を説明したが、CoMP協働セットにリレーノード(RN)が含まれていてもよい。RNは、無線によりバックホールを構成する中継局であり、UEからはeNBと同様にセルとして認識される。また、CoMP協働セットにRRH(Remote Radio Head)が含まれていてもよい。RRHは、ベースバンド部から離間して設置され、ベースバンド部と光ファイバ等を介して接続される無線部である。
【0333】
なお、米国仮出願第61/588473号(2012年1月19日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。
【産業上の利用可能性】
【0334】
以上のように、本発明に係る基地局及び通信制御方法は、CoMP協働セットを適切に構成できるため、移動通信分野において有用である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【国際調査報告】