(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014049786
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】ブラジャー
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/12 20060101AFI20160725BHJP
   A41C 3/10 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !A41C3/12 C
   !A41C3/10 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
【出願番号】2012556313
(21)【国際出願番号】JP2012074942
(22)【国際出願日】20120927
(11)【特許番号】5484603
(45)【特許公報発行日】20140507
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】512248530
【氏名又は名称】山本 みどり
【住所又は居所】広島県東広島市西条朝日町6−6
(71)【出願人】
【識別番号】512248437
【氏名又は名称】山本 真衣
【住所又は居所】広島県東広島市西条朝日町6−6
(71)【出願人】
【識別番号】512248448
【氏名又は名称】山本 早紀
【住所又は居所】広島県東広島市西条朝日町6−6
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】山本 みどり
【住所又は居所】広島県東広島市西条朝日町6−6
(72)【発明者】
【氏名】山本 真衣
【住所又は居所】広島県東広島市西条朝日町6−6
(72)【発明者】
【氏名】山本 早紀
【住所又は居所】広島県東広島市西条朝日町6−6
【テーマコード(参考)】
3B131
【Fターム(参考)】
3B131AA18
3B131AB06
3B131AB07
3B131BA01
3B131BA02
3B131BA04
3B131BA41
3B131BB07
3B131BB15
(57)【要約】
ブラジャー(1)は左右どちらか一方の乳房に当接する第1カップ部(22)と、第1カップ部(22)から側方に延伸された第1バンド部(21)とを有する主部(2)と、補整パッドを収納可能に構成された第2カップ部(32)と、第2カップ部(32)から側方に延伸された第2バンド部(31)とを有する従部(3)とを備える。第2バンド部(31)が第1バンド部(21)の上に重なるように主部(2)と従部(3)とを左右一対として組み合わせ、主部(2)と従部(3)との間に空間を形成しうるように従部(3)が主部(2)に支持される。このようなブラジャーであれば、乳癌治療のために乳房やリンパ節を切除した後の胸や腋窩への圧迫感や痛みを低減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右どちらか一方の乳房に当接する第1カップ部と、該第1カップ部から側方に延伸された第1バンド部とを有する主部と、
補整パッドを収納可能に構成された第2カップ部と、該第2カップ部から側方に延伸された第2バンド部とを有する従部とを備え、
前記第2バンド部が前記第1バンド部の上に重なるように前記主部と前記従部とを左右一対として組み合わせ、
前記主部と前記従部との間に空間が形成されるように前記従部が前記主部に支持されていることを特徴とするブラジャー。
【請求項2】
前記第2バンド部の前記第1カップ部側の一端が、前記第1バンド部の所定の位置において前記第1バンド部に連結されており、
前記第2バンド部の他端が、前記第1バンド部の前記第2カップ部側の一端に連結されていることを特徴とする、請求項1に記載のブラジャー。
【請求項3】
前記第2バンド部の前記第1カップ部側の前記一端から前記他端までの長さが、前記第1バンド部の前記所定の位置から前記第2カップ部側の前記一端までの長さよりも長いことを特徴とする、請求項2に記載のブラジャー。
【請求項4】
前記第2バンド部が、前記他端側においてバンド長さ調節機構を備えていることを特徴とする、請求項3に記載のブラジャー。
【請求項5】
前記第1バンド部の前記所定の位置が、前記第1カップ部よりも前記第1バンド部の前記他端寄りの位置であることを特徴とする、請求項2に記載のブラジャー。
【請求項6】
前記主部が、前記第1カップ部から上方に延伸されて、背面において前記第1バンド部と一体化される第1肩紐部を更に有し、
前記従部が、前記第2カップ部から上方に延伸されて、背面において前記第2バンド部と一体化される第2肩紐部を更に有することを特徴とする、請求項1に記載のブラジャー。
【請求項7】
前記第1肩紐部及び前記第2肩紐部が肩紐長さ調節機構をそれぞれ備えていることを特徴とする、請求項6に記載のブラジャー。
【請求項8】
前記第1バンド部と前記第2バンド部とを前記第1カップ部及び前記第2カップ部の近傍で部分的に接合する接合部材を備えることを特徴とする、請求項1に記載のブラジャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラジャーに関し、特に、片側の乳房を手術によって摘出した乳癌患者に好適な乳癌患者用ブラジャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乳癌は乳腺等の乳房組織に発生する悪性腫瘍である。乳癌に罹患するリスクは年齢と共に増加し、日本人女性の場合、生涯で乳癌に罹患する確率は25〜30人に1人程度であるといわれている。症状としては、乳房のしこりや隆起、乳房の陥凹、乳汁分泌、血性乳汁等が知られている。
【0003】
乳癌の治療は原則的には外科的切除であり、抗癌剤や抗エストロゲン剤などを用いた化学療法や放射線療法が併用されることも多い。外科手術には、腫瘤のみを摘出する乳房温存手術と、乳房を一部ないし完全に切除する乳房切除手術とがある。腫瘤の大きさによって切除範囲が選択されるため、大きな腫瘤や、胸壁や皮膚へと直接浸潤している程度に進行している場合には広範囲の切除が必要となる。
【0004】
再発防止のためには出来る限りの腫瘤摘出が望まれるが、さらに、悪性腫瘍のリンパ行性転移に対する処置として、乳房切除手術の際には腋窩リンパ節の切除が行われる。リンパ節にまで癌が転移していなくとも少なくとも第一リンパ節が切除され、仮に第一リンパ節にまで転移が進んでいれば第三リンパ節まで切除していくというように、転移が進むほど奥に切除していくこととなる。
【0005】
ところで、一般的に女性が胸部に着用する下着であるブラジャーは、乳房を支えることを主目的とし、バストの形状を整形すると共に形が崩れることを防ぐために広く使用されている。様々な色やデザイン、素材、機能を有する多種多様なブラジャーが商品化されているが、上述のように乳癌治療のために乳房を切除する手術を受けた女性に向けた乳癌患者用ブラジャーも提供されている。
【0006】
乳癌患者用ブラジャーにおいては、バストの膨らみを復元することも大きな目的の一つとなる。バストの膨らみを復元するためには、例えば特許文献1や特許文献2に示されたブラジャーのように、切除した乳房側のカップに設けたポケットに、シリコンやウレタン、布、綿、ビーズ、小豆などの素材を用いたパッドを挿入して装着するものが多数提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平7−33918号公報
【特許文献2】実用新案登録第3118227号公報
【特許文献3】実用新案登録第3109767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
疑似的に乳房を作り出すパッドを用いた従来のブラジャーは、使用上いくつかの問題点があった。例えば、シリコン製のパッドを用いて生身の乳房と同じような大きさ及び重さを実現した場合、実際にブラジャーを装着してみると生身の胸よりも大きく重く感じるとともに非常に肩がこり易くなる。また、形を維持するためにある程度の堅さを持つパッドを使用した場合、切除後の胸や腋窩に当該パッドが当たるとあばら骨や傷跡が痛むことがある。
【0009】
一方で、肩こりやパッドが当たることによる痛みを防止するために、軽い布製パッドや綿を詰めたパッドを用いた場合、ブラジャーを着用して動いているうちに、そのパッドの軽さに起因して切除した乳房側のカップがずり上がってきてしまい、左右のバストトップの位置が大きくずれてしまうという問題がある。また、切除した乳房側のカップがずり上がるということは、すなわちブラジャーのカップの下部に位置するバンド部(ゴム)も一緒にずり上がってくるということであるが、このようにバンド部がずり上がってくると切除後の胸や腋窩の傷跡に当たり、非常に強い痛みを生じるという問題もある。
【0010】
このようなカップのずり上がりを防止するために、例えば特許文献3に示すように股下にくぐらせたループ状のバンドを有するブラジャーや、ブラジャーの下辺にガードルやショーツ、スラックスのベルト等に連結させるテープを備えることも提案されている。しかしながら、このようにブラジャーの動きを上からも下からも拘束すると、手を挙げるとブラジャーの肩紐が肩に食い込んでしまうなど、自由な動きが阻害されてしまうという不都合がある。
【0011】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、乳癌治療のために乳房やリンパ節を切除した後の胸や腋窩への圧迫感や痛みを低減することができる、乳癌患者に好適なブラジャーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、左右どちらか一方の乳房に当接する第1カップ部と、該第1カップ部から側方に延伸された第1バンド部とを有する主部と、補整パッドを収納可能に構成された第2カップ部と、該第2カップ部から側方に延伸された第2バンド部とを有する従部とを備え、前記第2バンド部が前記第1バンド部の上に重なるように前記主部と前記従部とを左右一対として組み合わせ、前記主部と前記従部との間に空間が形成されるように前記従部が前記主部に支持されていることを特徴とするブラジャーを提供する(発明1)。
【0013】
上記発明(発明1)によれば、第1カップ部と第1バンド部とを有する主部は健常な乳房を保持するためのブラジャーとして用いられるとともに、第2カップ部と第2バンド部とを有する従部は切除手術を行った側の胸部において疑似的に乳房を作り出す役割を果たすが、第2バンド部が第1バンド部の上に重なるように主部と従部とが組み合わされており、かつ、主部と従部との間に空間が形成されていることにより、従部によって切除手術を行った側の胸部に与える押圧力が小さくなる。結果、切除手術を行った側の胸部への圧迫感や痛みが低減される。
【0014】
上記発明(発明1)においては、前記第2バンド部の前記第1カップ部側の一端が、前記第1バンド部の所定の位置において前記第1バンド部に連結されており、前記第2バンド部の他端が、前記第1バンド部の前記第2カップ部側の一端に連結されていることが好ましい(発明2)。
【0015】
上記発明(発明2)のように第1バンド部と第2バンド部とを連結することにより、第2バンド部が第1バンド部の上に重なるように主部と従部とが組み合わされる。ブラジャー着用時には、主部においては健常側の乳房を保持するために第1カップ部を上方に引き上げる力が働くが、このように第1バンド部と第2バンド部とが連結されていれば、主部と従部とが構造的にほぼ独立し、それぞれに働く力が相互に伝わりにくくなるため、主部は健常側の乳房をしっかりと保持する役割を果たしつつ、従部に対して第2カップ部を上方に引き上げる力が働くことはなくなる。そのため、軽いパッドを第2カップ部に用いた場合であっても、ブラジャーを着用して動いているうちに第2カップ部がずり上がってきてしまうこともない。
【0016】
上記発明(発明2)においては、前記第2バンド部の前記第1カップ部側の前記一端から前記他端までの長さが、前記第1バンド部の前記所定の位置から前記第2カップ部側の前記一端までの長さよりも長いことが好ましい(発明3)。
【0017】
上記発明(発明3)によれば、第2バンド部が第1バンド部の上に重なるように主部と従部とを組み合わせた際に、主部と従部との間に容易に空間を形成することができる。
【0018】
上記発明(発明3)においては、前記第2バンド部が、前記他端側においてバンド長さ調節機構を備えていることが好ましい(発明4)。
【0019】
上記発明(発明4)によれば、ブラジャーを装着する人の体型や体格に合わせて適切なサイズの空間を主部と従部との間に形成することができる。
【0020】
また、上記発明(発明2)においては、前記第1バンド部の前記所定の位置が、前記第1カップ部よりも前記第1バンド部の前記他端寄りの位置であることが好ましい(発明5)。
【0021】
上記発明(発明5)によれば、第2バンド部が第1カップ部よりも遠い位置において第1バンド部に連結されることになるため、ブラジャー着用時に、第1カップ部を上方に引き上げる力が働いても、その力が第2バンド部を介して従部に伝達することはなく、結果として第2カップ部が上方にずれ上がることを防止することができる。また、ブラジャー着用時に、第1バンド部よりも第2バンド部の位置を下側に位置させることができるため、左右のバストトップの高さ位置のバランスを取り易くなる。
【0022】
上記発明(発明1)においては、前記主部が、前記第1カップ部から上方に延伸されて、背面において前記第1バンド部と一体化される第1肩紐部を更に有し、前記従部が、前記第2カップ部から上方に延伸されて、背面において前記第2バンド部と一体化される第2肩紐部を更に有していてもよい(発明6)。
【0023】
上記発明(発明6)によれば、第1カップ部から伸びる第1肩紐部は第1バンド部に、第2カップ部からの伸びる第2肩紐部は第2バンド部に一体化されており、主部と従部とを構造的にほぼ独立させることができる。また、主部において、健常な乳房の残る側には第1肩紐部があるため、健常側の乳房を保持する第1カップ部を上に引き上げる力は適正に生じるものの、切除手術を行った側には肩紐がないため、切除手術を行った側の胸部の下に位置する第1バンド部がずり上がってあばらや傷跡に当たることはない。一方、従部においては、第2肩紐部によって第2カップ部を上方から吊り下げることにより、第1カップ部の位置に合わせて第2カップ部の高さを適正な位置に保持することができ、ブラジャー着用時に、左右のバストトップの高さ位置のバランスを取り易くなる。
【0024】
上記発明(発明6)においては、前記第1肩紐部及び前記第2肩紐部が肩紐長さ調節機構をそれぞれ備えていることが好ましい(発明7)。
【0025】
上記発明(発明7)によれば、ブラジャーを装着する人の体格に合わせて、第1カップ部の位置に合わせて第2カップ部の高さを適正な位置に保持することができ、また、ブラジャー着用時に左右のバストトップの高さ位置のバランスを取り易くなる。
【0026】
上記発明(発明1)においては、前記第1バンド部と前記第2バンド部とを、前記第1カップ部及び前記第2カップ部の近傍で部分的に接合する接合部材を備えることが好ましい(発明8)。
【0027】
上記発明(発明8)によれば、ブラジャー着用時に、健常側の乳房を保持する第1カップ部の位置に合わせて、左右のバストトップの高さ位置やバランスを確認しながら適切な位置に第2カップ部が配置されるように、第1バンド部と第2バンド部とを接合させることができる。なお、接合部材は第1バンド部と第2バンド部とを着脱自在に接合できるものであればよく、例えば、面ファスナやホック、ボタン、スナップ等が挙げられる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る乳癌患者用ブラジャーによれば、乳癌治療のために乳房やリンパ節を切除した後の胸や腋窩への圧迫感や痛みを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るブラジャーの構造を示す概要図である。
【図2】同実施形態に係るブラジャーの右胸用パーツ(主部)の構造を示す概要図である。
【図3】同実施形態に係るブラジャーの左胸用パーツ(従部)の構造を示す概要図である。
【図4】同実施形態に係るブラジャーの右胸用パーツのみを装着した状態を示す斜視図である。
【図5】同実施形態に係るブラジャーを装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るブラジャーの構造を示す概要図であり、図2は同実施形態に係るブラジャーの右胸用パーツ(主部)の構造を示す概要図であり、図3は同実施形態に係るブラジャーの左胸用パーツ(従部)の構造を示す概要図であり、図4は同実施形態に係るブラジャーの右胸用パーツのみを装着した状態を示す斜視図であり、図5は同実施形態に係るブラジャーを装着した状態を示す斜視図である。
【0031】
図1に示すように、本実施形態に係るブラジャー1は、健常な乳房を保持するための機能を有する右胸用パーツ2と、切除手術を行った左側の胸部において疑似的に乳房を作り出す役割を果たす左胸用パーツ3とを組み合わせて一つのブラジャーとなる構造を有している。ブラジャー1においては、右胸用パーツ2の上に左胸用パーツ3が重なるように組み合わされている。
【0032】
なお、本実施形態に係るブラジャーは左胸の乳房を切除した乳癌患者用のブラジャーであるが、左右を対称に入れ替えたブラジャー、すなわち右側乳房を切除した乳癌患者用のブラジャーも当然に本願発明の範囲に含まれる。右胸切除患者用のブラジャーであれば、本実施形態に係るブラジャー1とは逆に、右胸用パーツが切除手術を行った左側の胸部において疑似的に乳房を作り出す役割を果たし、左胸用パーツが健常な乳房を保持するための機能を有することとなるとともに、左胸用パーツの上に右胸用パーツが重なるように左右一対に組み合わされることになる。
【0033】
右胸用パーツ2及び左胸用パーツ3について、それぞれの構造を以下に詳細説明する。なお、右胸用パーツ2と左胸用パーツ3とは、実際には、後述するように二箇所において縫合されて一体化されているが、説明の都合上、図2及び図3においては右胸用パーツ2と左胸用パーツ3とを分離した形で描いていることに留意されたい。
【0034】
右胸用パーツ2は、図2に示すように、右胸用カップ22と、右胸用カップ22から左右に延びた右胸用バンド21と、右胸用カップ22から上方に延伸されて着用者の背面において右胸用バンド21と一体化される右胸用肩紐23とから構成されている。右胸用カップ22は健常な乳房を覆い、保持するためのものであり、通常使用されるブラジャーのカップと特に変わるところはない。
【0035】
右胸用カップ22のカップの下側には、乳房を下側から支えるためにワイヤ221が縫い込まれている。右胸用カップ22の下部(ワイヤ221に当接する位置)からは左右に右胸用バンド21が延びており、右胸用カップ22の上端部には連結具231を介して右胸用肩紐23が連結されている。
【0036】
右胸用バンド21は、正面視右側のバンド端212に向かって細長く延びており、当該右側に延びる右胸用バンド21上の右胸用カップ22のすぐ脇には、左胸用パーツ3の左胸用カップ32を適切な位置に係止するためのフック状面ファスナ211が縫い付けられている。右胸用バンド21の正面視左側は、右胸の乳房をしっかりと保持できるよう、ある程度幅広に作られており、バンド端213に向かって徐々に幅が縮まっていくテーパー形状となっている。当該左側に延びる右胸用バンド21上の右胸用カップ22のやや左側には、着用者の体側部近傍の肉を胸側へと寄せてホールドするための芯材216が縫い込まれている。また、バンド端213には着用者の背面でブラジャー1を留めるためのカギホック214が縫い付けられている。
【0037】
右胸用肩紐23は、ブラジャー1の着用時に着用者の背面に位置する右胸用バンド21のバンド端213近傍において、右胸用バンド21と一体化されるように縫い付けられている。また、右胸用肩紐23の途中には右胸用肩紐23の長さを調節するためのアジャスタ232が設けられている。
【0038】
左胸用パーツ3は、図3に示すように、左胸用カップ32と、左胸用カップ32から左右に延びた左胸用バンド31と、左胸用カップ32から上方に延伸されて着用者の背面において左胸用バンド31と一体化される左胸用肩紐33とから構成されている。左胸用カップ32は、乳癌治療のために乳房を部分的又は完全に切除した胸側に疑似的に乳房を作り出すべく、補整パッド(図示せず)を収納可能な構造となっている。本実施形態に係る左胸用カップ32に収納される補整パッドは綿製の軽量のパッドを用いているが、これに限られるものではなく、着用者の目的や好みに応じて適当な補整パッドを選択してもよい。
【0039】
左胸用カップ32のカップの下側には、右胸用カップ22とは異なり、ワイヤは縫い込まれていない。これは、左胸には支えるべき乳房がなく、また、ワイヤが傷跡に当たって痛みが生じることがないようにしたことに起因するものである。左胸用カップ32の下部からは左右に左胸用バンド31が延びており、左胸用カップ32の上端部には連結具331を介して左胸用肩紐33が連結されている。
【0040】
左胸用バンド31は、正面視左側のバンド端313に向かっては細長く延びており、当該左側に延びる左胸用バンド31上の左胸用カップ32のすぐ脇には、左胸用カップ32を右胸用カップ22とバランスのとれた位置に係止するために、右胸用パーツ2に設けられたフック状面ファスナ211に着脱可能なループ状面ファスナ311が縫い付けられている。左胸用バンド31の正面視右側はバンド端312に向かって徐々に幅が縮まっていくテーパー形状となっており、バンド端312には、右胸用パーツ2に設けられたカギホック214に対応するホック受け314が縫い付けられている。ホック受け314は着用者の体型に合わせて長さを調整可能なように四連構造となっている。
【0041】
左胸用肩紐33は、ブラジャー1の着用時に着用者の背面に位置する左胸用バンド31のバンド端312近傍において、左胸用バンド31と一体化されるように縫い付けられている。また、左胸用肩紐33の途中には左胸用肩紐33の長さを調節するためのアジャスタ332が設けられている。
【0042】
右胸用パーツ2と左胸用パーツ3とは、図1に示すように、左胸用パーツ3の左胸用バンド31が右胸用パーツ2の右胸用バンド21の上に重なるように左右一対で組み合わせられている。左胸用パーツ3の左胸用バンド31のバンド端313は、右胸用パーツ2の右胸用バンド21の芯材215のすぐ右脇に位置する連結位置216において右胸用バンド21に縫い付けられている。また、左胸用パーツ3の左胸用バンド31に縫い付けられたホック受け314の左端の縫い止まり位置316と右胸用パーツ2の右胸用バンド21のバンド端212とが一体化するように縫い付けられている。
【0043】
本実施形態に係るブラジャー1においては、左胸用バンド31のバンド端313から縫い止まり位置316までの長さが、右胸用バンド21の連結位置216からバンド端212までの長さよりも長くなっている。これによって、ブラジャー1の着用時には、右胸用パーツ2はしっかりと右胸の乳房をホールドし(図4参照)、その一方で、左胸用パーツ3と右胸用パーツ2との間には空間が生じ、左胸用パーツ3は少し緩みのある状態で装着されるため(図5参照)、切除手術を行った左胸の傷跡近傍に与える押圧力が小さくなる。結果、切除手術を行った左胸の傷跡近傍への圧迫感や痛みが低減されることになる。
【0044】
ブラジャー1着用時には、右胸用パーツ2においては健常な右側の乳房を保持するために右胸用カップ22を上方に引き上げる力が働くが、左胸用バンド31のバンド端313が右胸用バンド21の連結位置216において右胸用バンド21に縫い付けられ、左胸用バンド31の縫い止まり位置316と右胸用バンド21のバンド端212とが一体化するように縫い付けられていることにより、右胸用パーツ2と左胸用パーツ3とが構造的にほぼ独立し、それぞれに働く力が相互に伝わりにくくなる。その結果、右胸用パーツ2は健常な右側の乳房をしっかりと保持する役割を果たしつつ、左胸用パーツ3に対して左胸用カップ32を上方に引き上げる力が働くことはなくなり、そのため、軽い補整パッドを左胸用カップ32において用いた場合でも、ブラジャー1を着用して動いているうちに左胸用カップ32がずり上がってきてしまうこともない。
【0045】
このとき、左胸用バンド31と右胸用バンド21とは縫い止まり位置316及びバンド端212の一点で縫い付けるのではなく、左胸用バンド31の左胸用肩紐33が縫い付けられている縫付開始位置315から縫い止まり位置316までの領域全体において一体化するように縫い付けることもできる。このように左胸用バンド31と右胸用バンド21とを一体化させることにより、ブラジャー1の着用時に左肩を上げたときに、左胸用肩紐33が左胸用カップ32を上に引っ張り上げる力を右胸用バンド21が受け止めるため、左胸用バンド31が上にずり上がることがなくなる。
【0046】
また、左胸用バンド31のバンド端313を右胸用バンド21に縫い付ける位置を連結位置216としていることにより、次のような効果がある。すなわち、左胸用バンド31の右胸寄りバンド端313が右胸用カップ22よりも遠い位置において右胸用バンド21に連結されることになるため、ブラジャー1着用時に、右胸用カップ22を上方に引き上げる力が働いても、その力が左胸用バンド31を介して左胸用パーツ3に伝達することはなく、結果として左胸用カップ32が上方にずれ上がることを防止することができる。また、ブラジャー1着用時に、右胸用バンド21よりも左胸用バンド31の位置を下側に位置させることができるため、左右のバストトップの高さ位置のバランスを取り易くなる。
【0047】
なお、本実施形態においては左胸用バンド31のバンド端313から縫い止まり位置316までを右胸用バンド21の連結位置216からバンド端212までの長さよりも元々長くなるように生地を裁断して左胸用バンド31を縫製しているが、例えば、左胸用バンド31の左胸用カップ32脇の付け根位置317から縫付開始位置315までの間に左胸用バンド31の長さを調節するための部材が設けられていてもよい。左胸用バンド31の長さを調節するための部材としては、面ファスナ等が挙げられる。左胸用バンド31の長さを調節可能とすることにより、着用者の体型や体格に合わせて適切なサイズの空間を右胸用パーツ2と左胸用パーツ3との間に形成することができる。
【0048】
一方、右胸用カップ22から伸びる右胸用肩紐23はそのまま右胸用パーツ2に、左胸用カップ32からの伸びる左胸用肩紐33はそのまま左胸用パーツ3に一体化されていることも、右胸用パーツ2と左胸用パーツ3とを構造的にほぼ独立させることに一役買っている。また、右胸用パーツ2においては、健常な乳房の残る右胸側には右胸用肩紐23があるため、乳房を保持する右胸用カップ22を上に引き上げる力は適正に生じるものの、切除手術を行った左胸側には肩紐がないため、左胸側の下に位置する右胸用バンド21がずり上がってあばらや傷跡に当たることはない。一方、左胸用パーツ3においては、左胸用肩紐33によって左胸用カップ32を上方から吊り下げることにより、右胸用カップ22の位置に合わせて左胸用カップ32の高さを適正な位置に保持することができ、左右のバストトップの高さ位置のバランスを取り易くなる。
【0049】
なお、本実施形態においては、左胸用肩紐33の長さが右胸用肩紐23の長さよりも長くなるように形成されており、これにより、左胸用カップ32と右胸用カップ22との間で左右のバストトップの高さ位置のバランスを取る際に、左胸用カップ32の調整範囲が広がるため、より適切な位置に左胸用カップ32を配置することができる。
【0050】
さらに、フック状面ファスナ211及びループ状面ファスナ311が左胸用カップ32の高さを適正な位置に保持するために貢献する。すなわち、ブラジャー1の着用時に、右胸側の乳房を保持する右胸用カップ22の位置に合わせて、左右のバストトップの高さ位置やバランスを確認しながら適切な位置に左胸用カップ32が配置されるように、右胸用バンド21に左胸用バンド31を接合させることができる。なお、本実施形態においては、右胸用バンド21と左胸用バンド31とを接合させるために面ファスナを用いたが、右胸用バンド21と左胸用バンド31とを着脱自在に接合できるものであればこれに限られるものではなく、例えば、ホック、ボタン、スナップ等を用いてもよい。
【0051】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、乳癌治療のために乳房を切除した乳癌患者がブラジャーを着用する際に感じる圧迫感や痛みを低減するために有用である。
【符号の説明】
【0053】
1…ブラジャー
2…右胸用パーツ(主部)
21…右胸用バンド
211…フック状面ファスナ
212,213…バンド端
214…カギホック
215…芯材
216…連結位置
22…右胸用カップ
221…ワイヤ
23…右胸用肩紐
231…連結具
232…アジャスタ
3…左胸用パーツ(従部)
31…左胸用バンド
311…ループ状面ファスナ
312,313…バンド端
314…ホック受け
315…縫付開始位置
316…縫い止まり位置
317…付け根位置
32…左胸用カップ
33…左胸用肩紐
331…連結具
332…アジャスタ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】

【手続補正書】
【提出日】20131010
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右どちらか一方の乳房に当接する第1カップ部と、該第1カップ部から側方に延伸された第1バンド部とを有する主部と、
補整パッドを収納可能に構成された第2カップ部と、該第2カップ部から側方に延伸された第2バンド部とを有する従部とを備え、
前記第2バンド部が前記第1バンド部の上に重なるように前記主部と前記従部とを左右一対として組み合わせ、
前記第2バンド部の前記第1カップ部側の一端が、前記第1バンド部の所定の位置において前記第1バンド部に連結されており、
前記第2バンド部の他端が、前記第1バンド部の前記第2カップ部側の一端に連結されており、
前記主部と前記従部との間に空間が形成されるように前記従部が前記主部に支持されていることを特徴とするブラジャー。
【請求項2】
前記第2バンド部の前記第1カップ部側の前記一端から前記他端までの長さが、前記第1バンド部の前記所定の位置から前記第2カップ部側の前記一端までの長さよりも長いことを特徴とする、請求項に記載のブラジャー。
【請求項3】
前記第2バンド部が、前記他端側においてバンド長さ調節機構を備えていることを特徴とする、請求項に記載のブラジャー。
【請求項4】
前記第1バンド部の前記所定の位置が、前記第1カップ部よりも前記第1バンド部の前記他端寄りの位置であることを特徴とする、請求項に記載のブラジャー。
【請求項5】
前記主部が、前記第1カップ部から上方に延伸されて、背面において前記第1バンド部と一体化される第1肩紐部を更に有し、
前記従部が、前記第2カップ部から上方に延伸されて、背面において前記第2バンド部と一体化される第2肩紐部を更に有することを特徴とする、請求項1に記載のブラジャー。
【請求項6】
前記第1肩紐部及び前記第2肩紐部が肩紐長さ調節機構をそれぞれ備えていることを特徴とする、請求項に記載のブラジャー。
【請求項7】
前記第1バンド部と前記第2バンド部とを前記第1カップ部及び前記第2カップ部の近傍で部分的に接合する接合部材を備えることを特徴とする、請求項1に記載のブラジャー。
【国際調査報告】