(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014049788
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】電極用ペーストの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20160725BHJP
【FI】
   !H01M4/04 A
   !H01M4/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
【出願番号】2014537960
(21)【国際出願番号】JP2012074946
(22)【国際出願日】20120927
(11)【特許番号】5936089
(45)【特許公報発行日】20160615
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】榎原 勝志
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA08
5H050GA01
5H050GA10
5H050GA12
5H050GA27
5H050GA29
5H050HA12
5H050HA15
5H050HA20
(57)【要約】
【課題】製造した電極用ペーストから、容易かつ確実に気泡を除去することができる電極用ペーストの製造方法および該製造方法により生成された電極用ペーストを用いて製造される二次電池を提供する。
【解決手段】脱泡タンク6に電極用ペースト8を導入しつつ、脱泡タンク6の内部を真空引きして、電極用ペースト8に含まれる気泡を真空脱泡する工程を備える電極用ペーストの製造方法であって、電極用ペースト8に含まれる気泡を真空脱泡する工程において、脱泡タンク6に導入する電極用ペースト8の流量(供給流量Q)を調整して、脱泡タンク6における電極用ペースト8の液面の上昇速度(液面上昇速度V)を、電極用ペースト8における気泡の上昇速度(基準気泡上昇速度VGa)に比して小さくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱泡タンクに電極用ペーストを導入しつつ、前記脱泡タンクの内部を真空引きして、前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する工程を備える電極用ペーストの製造方法であって、
前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する前記工程において、
前記脱泡タンクに導入する前記電極用ペーストの流量を調整して、
前記脱泡タンクにおける前記電極用ペーストの液面の上昇速度を、
前記電極用ペーストにおける気泡の上昇速度に比して小さくする、
ことを特徴とする電極用ペーストの製造方法。
【請求項2】
前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する前記工程は、
二軸押出混練機とモーノポンプを備える電極用ペーストの製造システムを用いて、
前記二軸押出混練機の排出口と前記モーノポンプの吸込口を接続し、かつ、
前記モーノポンプの吐出口を脱泡タンクに接続するとともに、真空ポンプの吸込口を前記脱泡タンクに接続し、
前記モーノポンプにおけるロータとステータの接触部において形成する気密ラインを境界として、該気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系を密閉回路に構成し、
前記真空ポンプにより、前記脱泡タンクから真空排気をして、前記気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系を真空状態に維持しつつ、
前記モーノポンプにより前記脱泡タンクに前記電極用ペーストを移送して、
前記気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系の内部および前記脱泡タンクの内部において、前記電極用ペーストを連続的に真空脱泡処理することにより、実施される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極用ペーストの製造方法。
【請求項3】
前記モーノポンプは、
該モーノポンプが有するモータ軸の軸封部により遠い側の接続口を前記吸込口とし、
前記モータ軸の軸封部により近い側の接続口を前記吸込口とする、
ことを特徴とする請求項2に記載の電極用ペーストの製造方法。
【請求項4】
前記請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された電極用ペーストの製造方法により製造された前記電極用ペーストを用いて製造された、
ことを特徴とする二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極用ペーストの製造方法および当該製造方法により製造された電極用ペーストを用いて製造される二次電池の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、良質な(即ち、均質な)電極用ペーストを生成するために、二軸押出混練機を用いて電極用ペーストを生成する技術が知られており、例えば、以下に示す特許文献1にその技術が開示され、公知となっている。
【0003】
特許文献1に開示されている従来技術では、中空のバレルと、バレルの内部に形成された混練室に互いに所定の間隔を空けて平行に設けられる二つの回転軸を具備する混練機(即ち、二軸押出混練機)であって、混練室において、粉体が供給される粉体投入部よりも、粉体の搬送方向における下流側に、結着剤が供給される結着剤投入部を配置し、粉体投入部と結着剤投入部の間には、回転軸に設けられ、粉体を圧縮するスペーサを具備する粉体処理部を配置している。
このような二軸押出混練機を用いて、電極合剤(電極用ペースト)を生成することによって、良質な(即ち、均質な)ペーストの生成を可能にしている。
【0004】
従来、特許文献1に示すような二軸押出混練機を用いて電極用ペーストの製造を行う場合、二軸押出混練機の内部は気密性がない(即ち、開放回路になっている)ため、二軸押出混練機から排出された電極用ペーストは、真空脱泡処理するための密閉回路(脱泡タンク)に導入する前に、生成された電極用ペーストの全量を一旦タンクで受けてバッチ処理する必要があった。
このため、二軸押出混練機を用いて電極用ペーストを生成する場合、バッチ処理を行う分だけ生成時間が長くなるため、二軸押出混練機を用いた場合には、電極用ペーストの生成に要する時間の短縮を図ることが困難であった。
【0005】
本願出願人らは、二軸押出混練機とモーノポンプを組み合わせた電極用ペースト製造システムに係る技術を特願2012−151920(本願出願時には未公開)において開示している。
斯かる特願2012−151920において開示された電極用ペースト製造システムを用いることにより、二軸押出混練機で生成された電極用ペーストをバッチ処理する必要がなくなり、脱泡タンクへ移送する配管経路中において、連続的に真空脱泡を行うことを可能にして、電極用ペーストの製造に要する時間の短縮を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−224435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特願2012−151920において開示された電極用ペースト製造システムで製造した電極用ペーストは、その後脱泡タンクにおいて脱泡処理を行う。
しかしながら、電極用ペーストに対する脱泡処理方法の如何によっては、脱泡処理に時間を要してしまい、特願2012−151920において開示された電極用ペースト製造システムを使用しても、電極用ペーストの製造に要する時間を思うように短縮できないという問題があった。
また、脱泡処理方法の如何によっては、電極用ペースト中の気泡を十分に除去することができず、気泡が含まれている部分を除いた電極用ペーストを使用することになるため、電極用ペーストの歩留まりを、思うように改善できないという問題もあった。
【0008】
本発明は、斯かる現状の課題を鑑みてなされたものであり、製造した電極用ペーストから、容易かつ確実に気泡を除去することができる電極用ペーストの製造方法および該製造方法により生成された電極用ペーストを用いて製造される二次電池を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、第一の発明は、脱泡タンクに電極用ペーストを導入しつつ、前記脱泡タンクの内部を真空引きして、前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する工程を備える電極用ペーストの製造方法であって、前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する前記工程において、前記脱泡タンクに導入する前記電極用ペーストの流量を調整して、前記脱泡タンクにおける前記電極用ペーストの液面の上昇速度を、前記電極用ペーストにおける気泡の上昇速度に比して小さくするものである。
【0011】
第二の発明は、前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する前記工程は、二軸押出混練機とモーノポンプを備える電極用ペーストの製造システムを用いて、前記二軸押出混練機の排出口と前記モーノポンプの吸込口を接続し、かつ、前記モーノポンプの吐出口を脱泡タンクに接続するとともに、真空ポンプの吸込口を前記脱泡タンクに接続し、前記モーノポンプにおけるロータとステータの接触部において形成する気密ラインを境界として、該気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系を密閉回路に構成し、前記真空ポンプにより、前記脱泡タンクから真空排気をして、前記気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系を真空状態に維持しつつ、前記モーノポンプにより前記脱泡タンクに前記電極用ペーストを移送して、前記気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系の内部および前記脱泡タンクの内部において、前記電極用ペーストを連続的に真空脱泡処理することにより、実施されるものである。
【0012】
第三の発明は、前記モーノポンプは、該モーノポンプが有するモータ軸の軸封部により遠い側の接続口を前記吸込口とし、前記モータ軸の軸封部により近い側の接続口を前記吸込口とするものである。
【0013】
第四の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された電極用ペーストの製造方法により製造された前記電極用ペーストを用いて製造されたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
第一の発明および第二の発明は、電極用ペーストに含まれる気泡を確実に除去することができる。
【0016】
第三の発明は、簡易な構成の電極用ペーストの製造システムによって、電極用ペーストに含まれる気泡をより確実に除去することができる。
【0017】
第四の発明は、気泡が確実に除去された電極用ペーストを使用することにより、透け等の不良が少ない品質のよい電極体を製造することができ、またこれにより、二次電池の性能向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る電極用ペースト製造システムの全体構成を示す模式図。
【図2】本発明に係る電極用ペースト製造システムに備えられるモーノポンプを示す模式図。
【図3】本発明に係る電極用ペースト製造システムを用いた場合における電極用ペーストを製造する工程の流れを示す模式図。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る電極用ペースト製造システムにおける脱泡状況を示す模式図。
【図5】従来の電極用ペースト製造システムを用いた場合における電極用ペーストを製造する工程の流れを示す模式図。
【図6】本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法における電極用ペーストに含まれた気泡の除去状況を示す図、(a)脱泡タンクへの電極用ペーストの導入状況を示す断面模式図、(b)電極用ペーストの液面上昇速度と該電極用ペーストに含まれる気泡の気泡上昇速度との関係を説明するための模式図。
【図7】本発明の第二の実施形態に係る電極用ペースト製造システムの全体構成を示す模式図。
【図8】本発明の第二の実施形態に係る電極用ペースト製造システムにおけるモーノポンプの配置状況を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の第一の実施形態に係る電極用ペーストの製造システムの全体構成について、図1から図5を用いて説明をする。
図1に示す如く、本発明の第一の実施形態に係る電極用ペースト製造システム1は、電極用ペースト8を製造するためのシステムであり、二軸押出混練機2、バッファタンク3、モーノポンプ4、脱泡タンク6、真空ポンプ7等を備える構成としている。
そして、電極用ペースト製造システム1を使用して電極用ペースト8を製造することにより、本発明に係る電極用ペーストの製造方法を実現することができる。
【0020】
二軸押出混練機2は、複数種類の粉体や液体を混練するのに用いられる装置であり、中空のバレル(図示せず)と、バレルの内部に形成された混練室(図示せず)において、互いに所定の間隔を空けて平行に設けられる二つの回転軸(図示せず)を備えている。
そして、二軸押出混練機2は、混練室に粉体(活物質や増粘材)や液体(溶媒)が供給され、粉体および液体を圧縮等しながら搬送し、また混練途中で、追加の液体(溶媒)や粉体(結着剤)を混練室に供給しつつ、さらに圧縮等しながら搬送して、各粉体および液体を混練して、電極用ペースト8を生成するものである(図3参照)。
【0021】
バッファタンク3は、二軸押出混練機2で生成された電極用ペースト8を、モーノポンプ4に導入する手前で、一時的に貯溜するためのタンクであり、二軸押出混練機2から排出される電極用ペースト8の排出量の変動を吸収する役割を果たすものである。
このためバッファタンク3は、二軸押出混練機2からの電極用ペースト8の排出量とモーノポンプ4による電極用ペースト8の供給量が一致するように制御等している場合には、省略することも可能である。
【0022】
モーノポンプ4は、回転容積式一軸偏心ねじポンプに分類されるポンプであり、二軸押出混練機2で生成された電極用ペースト8を、脱泡タンク6に向けて移送するための手段として用いている。
【0023】
図2に示すように、モーノポンプ4は、ケーシング4aの内部において、ロータ4bおよびステータ4cを有する構造のポンプである。
ロータ4bは、所定のひねり角度を持ちながら略螺旋状に湾曲する金属製の棒状体であり、いずれの箇所においても、その断面形状が真円になるように構成されている。
また、ステータ4cは、ロータ4bを挿入するための空隙部が形成されている弾性を有する材料(例えば、EPDM)からなる部材である。
【0024】
そして、ステータ4cの空隙部中にロータ4bが差し込まれると、該ステータ4cとロータ4bの間には接線によってシールされた螺旋状の隙間が形成され、この隙間が密閉空間たる複数の独立したキャビティ4d・4d・・・を形成するように構成されている。
また換言すると、モーノポンプ4では、ロータ4bとステータ4cが接触する部位で、該モーノポンプ4の一次側と二次側の気密性を確保する気密ラインを形成する構成としている。
【0025】
また、モーノポンプ4のケーシング4aには、該ケーシング4aの内部に向けて電極用ペースト8を導入するための吸込口4eと、該ケーシング4aから電極用ペースト8を排出するための吐出口4fを備えている。
そして図1に示す如く、モーノポンプ4は、吸込口4e側がバッファタンク3に接続されており、また、吐出口4f側が、配管5によって脱泡タンク6に接続されている。
また、該配管5上には、電極用ペースト8に含まれる異物を除去するためのフィルタ5a・5aを設けている。
【0026】
さらに図2に示す如く、モーノポンプ4において、ロータ4bは、ユニバーサルジョイント4gを介して、モータ(図示せず)の軸に固設された回転軸4hに連結されており、モータを作動させることにより、ロータ4bをステータ4c内で回転させることができる構成としている。
【0027】
そして、ロータ4bがステータ4c内で回転するとき、吸込口4eからケーシング4a内に導入された電極用ペースト8が、移送方向において最も上流側の(端部が開放されている)キャビティ4dに吸い込まれ、さらに、ロータ4bがステータ4c内で回転すると、各キャビティ4d・4d・・・がモーノポンプ4の吐出口4f側へと移動する。
即ち、モーノポンプ4では、各キャビティ4d・4d・・・内に吸い込まれた電極用ペースト8が、吐出口4fの方向へと連続的に移送され、最終的に、吐出口4fから排出される。
尚、モーノポンプ4は、モータ(図示せず)の回転方向を反転させることにより、吸込口4e側を吐出口とし、吐出口4f側を吸込口として使用することも可能である。
【0028】
このようにモーノポンプ4では、ロータ4bおよびステータ4cの隙間として独立した複数のキャビティ4d・4d・・・が形成されており、各キャビティ4d・4d・・・間は、ロータ4bおよびステータ4cの接触位置(接線位置)において気密性が確保されている。
【0029】
このため、電極用ペースト製造システム1では、モーノポンプ4における気密ライン(即ち、ロータ4bとステータ4cの接触位置)を境界として、当該気密ラインよりも一次側の配管系を、二軸押出混練機2およびバッファタンク3と連通する開放回路としながら、当該気密ラインよりも二次側の配管系を、密閉回路とすることができる。
【0030】
図4に示す如く、脱泡タンク6は、電極用ペースト8を貯溜するための容器であって、該脱泡タンク6内を減圧(例えば、−90kPa程度)し、電極用ペースト8中に混在している気泡を膨張させることによって、当該気泡を浮上、破泡させることで除去するための設備である。
【0031】
また真空ポンプ7は、脱泡タンク6に接続されており、該脱泡タンク6内を真空引きするための設備であり、脱泡タンク6内の真空度を−90kPa程度にまで到達させることができる能力を有している。
また、電極用ペースト製造システム1では、脱泡タンク6からモーノポンプ4に至る配管経路を密閉回路としているため、フィルタ5a・5aの二次側における真空度(図1に示す圧力P1)を−90kPa程度とすることができ、また、フィルタ5a・5aの一次側における真空度(図1に示す圧力P2)を−35kPa程度とすることができる。
【0032】
図5に示す如く、従来の電極用ペースト製造システム51を使用した場合、二軸押出混練機2で生成した電極用ペースト8をバッファタンク3で受け、バッファタンク3からモーノポンプ4で、脱泡タンク6に移送する。
このように、モーノポンプ4で脱泡タンク6に生成された電極用ペースト8を移送するとき、脱泡タンク6で電極用ペースト8の全量を一旦貯溜してから(即ち、バッチ処理してから)、真空ポンプ7により脱泡タンク6の内部を真空引きして、電極用ペースト8を真空脱泡処理して、気泡を除去する構成としている。
【0033】
一方、図3に示す如く、電極用ペースト製造システム1を使用した場合、モーノポンプ4における気密ラインよりも二次側の配管系を密閉回路としているため、脱泡タンク6に向けて移送する電極用ペースト8を、モーノポンプ4から脱泡タンク6に至る経路(配管5)上で、バッチ処理することなく連続的に真空脱泡処理することができる。
【0034】
また、図4に示す如く、脱泡タンク6では、該脱泡タンク6に電極用ペースト8を導入する開口部であって、配管5に連通する導入口6cを形成している。
そして導入口6cは、脱泡タンク6における略円柱状の部位である胴部6aの上方に形成しており、導入口6cから脱泡タンク6内に導入された電極用ペースト8が、鉛直な内壁面となっている胴部6aの内壁面6bに沿って下方に向けて流れて、底部6dにおいて貯溜されるように構成している。
尚、ここでいう「上方」とは、胴部6aよりも上の部位と、胴部6aにおける上部を含む概念であり、導入口6cから脱泡タンク6内に導入された電極用ペースト8を、内壁面6bに沿って流下させることができる位置であればよい。
【0035】
次に、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法における、電極用ペーストに含まれる気泡の除去方法について、図6を用いて説明をする。
図6(a)に示す如く、導入口6cから脱泡タンク6に導入された電極用ペースト8は、胴部6aの内壁面6bを流下していき、脱泡タンク6の底部6dに貯溜されていく。
このとき、脱泡タンク6の底部6dに貯溜される電極用ペースト8は、導入口6cから供給される電極用ペースト8の流量(以下、供給流量Qと記載する)に応じて、所定の速度で液面が上昇していく。
尚以下では、電極用ペースト8の液面の上昇速度のことを液面上昇速度Vと呼び、液面上昇速度Vは、脱泡タンク6の胴部6aの内部空間の水平方向における断面積をAとするとき、以下に示す数式1により求めることができる。
【0036】
【数1】
【0037】
単位時間あたりに供給される電極用ペースト8は、液面において、その供給流量Qに応じた所定の厚みの薄膜を形成する。
電池用ペースト8のように比重が大きいペースト中に気泡が混入している場合、減圧環境下では密度差が大きくなって、供給直後のペーストと既に気泡が除去されているペーストが二層に分離するため、安定的に薄膜が形成される。
そして、その薄膜を構成する電極用ペースト8に含まれる気泡は、所定の速度で、液面に向けて上昇していく。
尚以下では、電極用ペースト8における気泡の上昇速度のことを気泡上昇速度Vと呼ぶ。
【0038】
気泡上昇速度Vは、厚みTの薄膜において、その最下部から最上部まで気泡が上昇するのに要した時間をtとするとき、V=T/tで表される。
そして、気泡上昇速度Vは、ストークスの式に基づき、以下に示す数式2によって算出することができる。
尚、数式2中に示すrは気泡の半径であり、また、数式2中のρは電極用ペースト8の密度であり、ρは気泡の密度であり、ηは電極用ペースト8の粘度である。
【0039】
【数2】
【0040】
また、本実施形態に係る電極用ペーストの製造方法では、電極用ペースト8から除去すべき気泡の半径rの最小値を基準半径rとして規定している。
即ち、本実施形態で示す電極用ペースト8においては、基準半径r以上の大きさの気泡は除去すべきであり、基準半径r未満の大きさの気泡が含まれることは許容している。
そして、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法では、液面上昇速度Vを、大きさが基準半径rである気泡の気泡上昇速度V(以下、基準気泡上昇速度VGaと呼ぶ)に比して小さくする(即ち、液面上昇速度V<基準気泡上昇速度VGa)構成としている。
【0041】
具体的には、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法では、液面上昇速度Vを基準気泡上昇速度VGaに比して小さくするために、モーノポンプ4のモータの回転数をインバータ制御して、脱泡タンク6に対する電極用ペースト8の供給流量Qを調整する構成としている。
【0042】
液面上昇速度Vが基準気泡上昇速度VGaに比して小さいと、図6(b)に示すように、電極用ペースト8に含まれる気泡を、貯溜された電極用ペースト8の上に次の電極用ペースト8による薄膜が形成される前に、気液界面まで浮上させることができる。
気液界面まで浮上し液面に出現した気泡は、該気液界面において、界面活性剤による表面張力では気泡を維持することができない大きさにまで膨張して、容易かつ確実に破泡されるため、電極用ペースト8に含まれていた基準半径r以上の大きさの気泡が、該電極用ペースト8中から確実に除去される。
【0043】
尚、脱泡タンク6に導入された電極用ペースト8は、胴部6aの内壁面6bにおいて薄膜を形成しながら流下していくため、減圧状態におかれた内壁面6bにおける該薄膜においても破泡が促進され、脱泡タンク6の底部6dに貯溜されていく前の時点でも、電極用ペースト8から気泡が除去される。
【0044】
尚、本実施形態において、図6(a)で示す脱泡タンク6は、胴部6aの水平断面における断面積が一定である場合を例示しているが、本実施形態に係る電極用ペーストの製造方法に用いる脱泡タンク6の形状をこれに限定するものではなく、例えば、図1、図3および図4に示す腕状の底部を有し、胴部6aの断面積が一定でない形状を有する構成であってもよい。
このような断面積が一定でない脱泡タンク6を用いる場合、液面高さと断面積との関係を予め知得しておくとともに、該脱泡タンク6に導入される電極用ペースト8の液面高さを図示しない液面センサ等で検出し、液面高さに従って、電極用ペースト8の供給流量Qを制御する構成とすることも可能である。
そして、液面高さに応じて電極用ペースト8に供給流量Qを制御することにより、液面上昇速度Vを基準気泡上昇速度VGaに比して大きい値に維持する構成としてもよい。
【0045】
尚、本実施形態では、脱泡タンク6に対して電極用ペースト8を供給するための手段がモーノポンプ4である場合を例示しているが、本実施形態に係る電極用ペースト製造システム1における電極用ペースト8の供給手段の構成をこれに限定するものではない。
本実施形態に係る電極用ペースト製造システム1における電極用ペースト8の供給手段としては、例えば、脱泡タンク6内の真空度を高めて、バッファタンク3に貯溜される電極用ペースト8を吸引して脱泡タンク6内に導入する構成としてもよい。
またこの場合、脱泡タンク6内に電極用ペースト8を導入する配管の途中に流量調整弁を設けて、該流量調整弁の開度や脱泡タンク6内の真空度を調整することによって、脱泡タンク6内に導入する電極用ペースト8の供給流量Qを調整する構成としてもよい。
【0046】
即ち、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法は、脱泡タンク6に電極用ペースト8を導入しつつ、脱泡タンク6の内部を真空引きして、電極用ペースト8に含まれる気泡を真空脱泡する工程を備えるものであって、電極用ペースト8に含まれる気泡を真空脱泡する工程において、脱泡タンク6に導入する電極用ペースト8の流量(供給流量Q)を調整して、脱泡タンク6における電極用ペースト8の液面の上昇速度(液面上昇速度V)を、電極用ペースト8における気泡の上昇速度(基準気泡上昇速度VGa)に比して小さくするものである。
【0047】
また、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法において、電極用ペースト8に含まれる気泡を真空脱泡する工程は、二軸押出混練機2とモーノポンプ4を備える電極用ペースト製造システム1を用いて、二軸押出混練機2の排出口とモーノポンプ4の吸込口4eを接続し、かつ、モーノポンプ4の吐出口4fを脱泡タンク6に接続するとともに、真空ポンプ7の吸込口を脱泡タンク6に接続し、モーノポンプ4におけるロータ4bとステータ4cの接触部において形成する気密ラインを境界として、該気密ラインより脱泡タンク6側の配管系(配管5)を密閉回路に構成し、真空ポンプ7により、脱泡タンク6から真空排気をして、前記気密ラインより脱泡タンク6側の配管系(配管5)を真空状態に維持しつつ、モーノポンプ4により脱泡タンク6に電極用ペースト8を移送して、前記気密ラインより脱泡タンク6側の配管系(配管5)の内部および脱泡タンク6の内部において、電極用ペースト8を連続的に真空脱泡処理することにより、実施されるものである。
このような構成により、電極用ペースト8に含まれる気泡を確実に除去することができる。
【0048】
次に、本発明の第二の実施形態に係る電極用ペーストの製造システムの構成について、図7および図8を用いて説明をする。
図7および図8に示す如く、本発明の第二の実施形態に係る電極用ペースト製造システム11では、本発明の第一の実施形態に係る電極用ペースト製造システム1に対して、モーノポンプ4の接続方向を逆向きにする構成としている。
【0049】
即ち、電極用ペースト製造システム1において吸込口4eとして使用していたモーノポンプ4の一方の接続口を、電極用ペースト8の移送方向における下流側に配置し(即ち、吐出口として使用し)、吐出口4fとして使用していた他方の接続口を、電極用ペースト8の移送方向における上流側に配置する(即ち、吸込口として使用する)構成としている。
【0050】
そして、モーノポンプ4をこのような配置として、モータ(図示せず)の回転方向を逆向きにすることで、モーノポンプ4によって電極用ペースト8を移送しつつ、モーノポンプ4のモータ(図示せず)側のケーシング4aの内部を真空引きすることができ、さらに、回転軸4hの軸封部からケーシング4a内に空気を導入することができる構成としている。
【0051】
真空引きされている配管5の内部に空気が導入されると、脱泡タンク6内に供給される電極用ペースト8を、配管5内を流動する空気により付勢して飛散させることができ、脱泡タンク6の底部6dに貯溜された電極用ペースト8の液面に、飛散した電極用ペースト8を衝突させて、液面に浮上している気泡をより確実に破泡することができる。
【0052】
脱泡タンク6内に破泡を促進させるための空気を導入するためには、配管5に空気を導入するためのバルブ等を用いる構成も採用しうるが、電極用ペースト製造システム11では、モーノポンプ4の配置方向を逆向きにするだけで、バルブ等を別途備えることなく、簡易に空気を導入することが可能になる。
【0053】
即ち、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法において、モーノポンプ4は、該モーノポンプ4が有するモータ軸の軸封部により遠い側の接続口(吐出口4f)を吸込口とし、モータ軸の軸封部により近い側の接続口(吸込口4e)を吸込口とするものである。
このような構成により、簡易な構成の電極用ペースト製造システム11によって、電極用ペースト8に含まれる気泡をより確実に除去することができる。
【0054】
次に、本発明の各実施形態に係る電極用ペースト製造システム1・11を用いて製造した電極用ペーストについて、説明をする。
これまでに説明をした各電極用ペースト製造システム1・11を用いて製造した電極用ペースト8では、電極用ペースト8に含まれる気泡が従来に比して確実に除去されているため、その電極用ペースト8を金属箔に塗工したときに生じる不良(透け)が低減されている。
このため、電極用ペースト製造システム1・11を用いて製造した電極用ペースト8から二次電池を製造することによって、二次電池の内部不良を低減することができ、二次電池の信頼性向上等の品質改善に寄与することができる。
【0055】
また、各電極用ペースト製造システム1・11を用いて製造した電極用ペースト8では、脱泡タンク6の内部に貯溜された状態において、全体にわたって気泡が除去されており、上澄みを除去する必要がなく、生成された全ての電極用ペースト8を使用することができるため、電極用ペースト8の歩留まりが、従来に比して改善されている。
このため、電極用ペースト製造システム1・11を用いて製造した電極用ペースト8から二次電池を製造することによって、二次電池のコスト低減に寄与することができる。
【0056】
即ち、本発明の一実施形態に係る二次電池は、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法により製造された電極用ペースト8を用いて製造されたものである。
このように、気泡が確実に除去された電極用ペースト8を使用することにより、透け等の不良が少ない品質のよい電極体を製造することができ、またこれにより、二次電池の性能向上に寄与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、二次電池を製造するための電極用ペーストのみならず、ペースト中の気泡を除去する必要があるペーストの製造方法として広く適用することが可能であり、例えば、ペースト状の食品、化学製品、薬品等を製造するための技術として応用することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 電極用ペースト製造システム
2 二軸押出混練機
4 モーノポンプ
6 脱泡タンク
7 真空ポンプ
8 電極用ペースト
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】

【手続補正書】
【提出日】20150323
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱泡タンクに電極用ペーストを導入しつつ、前記脱泡タンクの内部を真空引きして、前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する工程を備える電極用ペーストの製造方法であって、
前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する前記工程において、
前記脱泡タンクに導入する前記電極用ペーストの流量を調整して、
前記脱泡タンクにおける前記電極用ペーストの液面の上昇速度を、
前記電極用ペーストにおける気泡の上昇速度に比して小さくする、
ことを特徴とする電極用ペーストの製造方法。
【請求項2】
前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する前記工程は、
二軸押出混練機とモーノポンプを備える電極用ペーストの製造システムを用いて、
前記二軸押出混練機の排出口と前記モーノポンプの吸込口を接続し、かつ、
前記モーノポンプの吐出口を脱泡タンクに接続するとともに、真空ポンプの吸込口を前記脱泡タンクに接続し、
前記モーノポンプにおけるロータとステータの接触部において形成する気密ラインを境界として、該気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系を密閉回路に構成し、
前記真空ポンプにより、前記脱泡タンクから真空排気をして、前記気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系を真空状態に維持しつつ、
前記モーノポンプにより前記脱泡タンクに前記電極用ペーストを移送して、
前記気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系の内部および前記脱泡タンクの内部において、前記電極用ペーストを連続的に真空脱泡処理することにより、実施される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極用ペーストの製造方法。
【請求項3】
前記モーノポンプは、
該モーノポンプが有するモータ軸の軸封部により遠い側の接続口を前記吸込口とし、
前記モータ軸の軸封部により近い側の接続口を前記吐出口とする、
ことを特徴とする請求項2に記載の電極用ペーストの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極用ペーストの製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、良質な(即ち、均質な)電極用ペーストを生成するために、二軸押出混練機を用いて電極用ペーストを生成する技術が知られており、例えば、以下に示す特許文献1にその技術が開示され、公知となっている。
【0003】
特許文献1に開示されている従来技術では、中空のバレルと、バレルの内部に形成された混練室に互いに所定の間隔を空けて平行に設けられる二つの回転軸を具備する混練機(即ち、二軸押出混練機)であって、混練室において、粉体が供給される粉体投入部よりも、粉体の搬送方向における下流側に、結着剤が供給される結着剤投入部を配置し、粉体投入部と結着剤投入部の間には、回転軸に設けられ、粉体を圧縮するスペーサを具備する粉体処理部を配置している。
このような二軸押出混練機を用いて、電極合剤(電極用ペースト)を生成することによって、良質な(即ち、均質な)ペーストの生成を可能にしている。
【0004】
従来、特許文献1に示すような二軸押出混練機を用いて電極用ペーストの製造を行う場合、二軸押出混練機の内部は気密性がない(即ち、開放回路になっている)ため、二軸押出混練機から排出された電極用ペーストは、真空脱泡処理するための密閉回路(脱泡タンク)に導入する前に、生成された電極用ペーストの全量を一旦タンクで受けてバッチ処理する必要があった。
このため、二軸押出混練機を用いて電極用ペーストを生成する場合、バッチ処理を行う分だけ生成時間が長くなるため、二軸押出混練機を用いた場合には、電極用ペーストの生成に要する時間の短縮を図ることが困難であった。
【0005】
本願出願人らは、二軸押出混練機とモーノポンプを組み合わせた電極用ペースト製造システムに係る技術を特願2012−151920(本願出願時には未公開)において開示している。
斯かる特願2012−151920において開示された電極用ペースト製造システムを用いることにより、二軸押出混練機で生成された電極用ペーストをバッチ処理する必要がなくなり、脱泡タンクへ移送する配管経路中において、連続的に真空脱泡を行うことを可能にして、電極用ペーストの製造に要する時間の短縮を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−224435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特願2012−151920において開示された電極用ペースト製造システムで製造した電極用ペーストは、その後脱泡タンクにおいて脱泡処理を行う。
しかしながら、電極用ペーストに対する脱泡処理方法の如何によっては、脱泡処理に時間を要してしまい、特願2012−151920において開示された電極用ペースト製造システムを使用しても、電極用ペーストの製造に要する時間を思うように短縮できないという問題があった。
また、脱泡処理方法の如何によっては、電極用ペースト中の気泡を十分に除去することができず、気泡が含まれている部分を除いた電極用ペーストを使用することになるため、電極用ペーストの歩留まりを、思うように改善できないという問題もあった。
【0008】
本発明は、斯かる現状の課題を鑑みてなされたものであり、製造した電極用ペーストから、容易かつ確実に気泡を除去することができる電極用ペーストの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、第一の発明は、脱泡タンクに電極用ペーストを導入しつつ、前記脱泡タンクの内部を真空引きして、前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する工程を備える電極用ペーストの製造方法であって、前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する前記工程において、前記脱泡タンクに導入する前記電極用ペーストの流量を調整して、前記脱泡タンクにおける前記電極用ペーストの液面の上昇速度を、前記電極用ペーストにおける気泡の上昇速度に比して小さくするものである。
【0011】
第二の発明は、前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する前記工程は、二軸押出混練機とモーノポンプを備える電極用ペーストの製造システムを用いて、前記二軸押出混練機の排出口と前記モーノポンプの吸込口を接続し、かつ、前記モーノポンプの吐出口を脱泡タンクに接続するとともに、真空ポンプの吸込口を前記脱泡タンクに接続し、前記モーノポンプにおけるロータとステータの接触部において形成する気密ラインを境界として、該気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系を密閉回路に構成し、前記真空ポンプにより、前記脱泡タンクから真空排気をして、前記気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系を真空状態に維持しつつ、前記モーノポンプにより前記脱泡タンクに前記電極用ペーストを移送して、前記気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系の内部および前記脱泡タンクの内部において、前記電極用ペーストを連続的に真空脱泡処理することにより、実施されるものである。
【0012】
第三の発明は、前記モーノポンプは、該モーノポンプが有するモータ軸の軸封部により遠い側の接続口を前記吸込口とし、前記モータ軸の軸封部により近い側の接続口を前記吐出口とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
第一の発明および第二の発明は、電極用ペーストに含まれる気泡を確実に除去することができる。
【0015】
第三の発明は、簡易な構成の電極用ペーストの製造システムによって、電極用ペーストに含まれる気泡をより確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る電極用ペースト製造システムの全体構成を示す模式図。
【図2】本発明に係る電極用ペースト製造システムに備えられるモーノポンプを示す模式図。
【図3】本発明に係る電極用ペースト製造システムを用いた場合における電極用ペーストを製造する工程の流れを示す模式図。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る電極用ペースト製造システムにおける脱泡状況を示す模式図。
【図5】従来の電極用ペースト製造システムを用いた場合における電極用ペーストを製造する工程の流れを示す模式図。
【図6】本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法における電極用ペーストに含まれた気泡の除去状況を示す図、(a)脱泡タンクへの電極用ペーストの導入状況を示す断面模式図、(b)電極用ペーストの液面上昇速度と該電極用ペーストに含まれる気泡の気泡上昇速度との関係を説明するための模式図。
【図7】本発明の第二の実施形態に係る電極用ペースト製造システムの全体構成を示す模式図。
【図8】本発明の第二の実施形態に係る電極用ペースト製造システムにおけるモーノポンプの配置状況を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の第一の実施形態に係る電極用ペーストの製造システムの全体構成について、図1から図5を用いて説明をする。
図1に示す如く、本発明の第一の実施形態に係る電極用ペースト製造システム1は、電極用ペースト8を製造するためのシステムであり、二軸押出混練機2、バッファタンク3、モーノポンプ4、脱泡タンク6、真空ポンプ7等を備える構成としている。
そして、電極用ペースト製造システム1を使用して電極用ペースト8を製造することにより、本発明に係る電極用ペーストの製造方法を実現することができる。
【0018】
二軸押出混練機2は、複数種類の粉体や液体を混練するのに用いられる装置であり、中空のバレル(図示せず)と、バレルの内部に形成された混練室(図示せず)において、互いに所定の間隔を空けて平行に設けられる二つの回転軸(図示せず)を備えている。
そして、二軸押出混練機2は、混練室に粉体(活物質や増粘材)や液体(溶媒)が供給され、粉体および液体を圧縮等しながら搬送し、また混練途中で、追加の液体(溶媒)や粉体(結着剤)を混練室に供給しつつ、さらに圧縮等しながら搬送して、各粉体および液体を混練して、電極用ペースト8を生成するものである(図3参照)。
【0019】
バッファタンク3は、二軸押出混練機2で生成された電極用ペースト8を、モーノポンプ4に導入する手前で、一時的に貯溜するためのタンクであり、二軸押出混練機2から排出される電極用ペースト8の排出量の変動を吸収する役割を果たすものである。
このためバッファタンク3は、二軸押出混練機2からの電極用ペースト8の排出量とモーノポンプ4による電極用ペースト8の供給量が一致するように制御等している場合には、省略することも可能である。
【0020】
モーノポンプ4は、回転容積式一軸偏心ねじポンプに分類されるポンプであり、二軸押出混練機2で生成された電極用ペースト8を、脱泡タンク6に向けて移送するための手段として用いている。
【0021】
図2に示すように、モーノポンプ4は、ケーシング4aの内部において、ロータ4bおよびステータ4cを有する構造のポンプである。
ロータ4bは、所定のひねり角度を持ちながら略螺旋状に湾曲する金属製の棒状体であり、いずれの箇所においても、その断面形状が真円になるように構成されている。
また、ステータ4cは、ロータ4bを挿入するための空隙部が形成されている弾性を有する材料(例えば、EPDM)からなる部材である。
【0022】
そして、ステータ4cの空隙部中にロータ4bが差し込まれると、該ステータ4cとロータ4bの間には接線によってシールされた螺旋状の隙間が形成され、この隙間が密閉空間たる複数の独立したキャビティ4d・4d・・・を形成するように構成されている。
また換言すると、モーノポンプ4では、ロータ4bとステータ4cが接触する部位で、該モーノポンプ4の一次側と二次側の気密性を確保する気密ラインを形成する構成としている。
【0023】
また、モーノポンプ4のケーシング4aには、該ケーシング4aの内部に向けて電極用ペースト8を導入するための吸込口4eと、該ケーシング4aから電極用ペースト8を排出するための吐出口4fを備えている。
そして図1に示す如く、モーノポンプ4は、吸込口4e側がバッファタンク3に接続されており、また、吐出口4f側が、配管5によって脱泡タンク6に接続されている。
また、該配管5上には、電極用ペースト8に含まれる異物を除去するためのフィルタ5a・5aを設けている。
【0024】
さらに図2に示す如く、モーノポンプ4において、ロータ4bは、ユニバーサルジョイント4gを介して、モータ(図示せず)の軸に固設された回転軸4hに連結されており、モータを作動させることにより、ロータ4bをステータ4c内で回転させることができる構成としている。
【0025】
そして、ロータ4bがステータ4c内で回転するとき、吸込口4eからケーシング4a内に導入された電極用ペースト8が、移送方向において最も上流側の(端部が開放されている)キャビティ4dに吸い込まれ、さらに、ロータ4bがステータ4c内で回転すると、各キャビティ4d・4d・・・がモーノポンプ4の吐出口4f側へと移動する。
即ち、モーノポンプ4では、各キャビティ4d・4d・・・内に吸い込まれた電極用ペースト8が、吐出口4fの方向へと連続的に移送され、最終的に、吐出口4fから排出される。
尚、モーノポンプ4は、モータ(図示せず)の回転方向を反転させることにより、吸込口4e側を吐出口とし、吐出口4f側を吸込口として使用することも可能である。
【0026】
このようにモーノポンプ4では、ロータ4bおよびステータ4cの隙間として独立した複数のキャビティ4d・4d・・・が形成されており、各キャビティ4d・4d・・・間は、ロータ4bおよびステータ4cの接触位置(接線位置)において気密性が確保されている。
【0027】
このため、電極用ペースト製造システム1では、モーノポンプ4における気密ライン(即ち、ロータ4bとステータ4cの接触位置)を境界として、当該気密ラインよりも一次側の配管系を、二軸押出混練機2およびバッファタンク3と連通する開放回路としながら、当該気密ラインよりも二次側の配管系を、密閉回路とすることができる。
【0028】
図4に示す如く、脱泡タンク6は、電極用ペースト8を貯溜するための容器であって、該脱泡タンク6内を減圧(例えば、−90kPa程度)し、電極用ペースト8中に混在している気泡を膨張させることによって、当該気泡を浮上、破泡させることで除去するための設備である。
【0029】
また真空ポンプ7は、脱泡タンク6に接続されており、該脱泡タンク6内を真空引きするための設備であり、脱泡タンク6内の真空度を−90kPa程度にまで到達させることができる能力を有している。
また、電極用ペースト製造システム1では、脱泡タンク6からモーノポンプ4に至る配管経路を密閉回路としているため、フィルタ5a・5aの二次側における真空度(図1に示す圧力P1)を−90kPa程度とすることができ、また、フィルタ5a・5aの一次側における真空度(図1に示す圧力P2)を−35kPa程度とすることができる。
【0030】
図5に示す如く、従来の電極用ペースト製造システム51を使用した場合、二軸押出混練機2で生成した電極用ペースト8をバッファタンク3で受け、バッファタンク3からモーノポンプ4で、脱泡タンク6に移送する。
このように、モーノポンプ4で脱泡タンク6に生成された電極用ペースト8を移送するとき、脱泡タンク6で電極用ペースト8の全量を一旦貯溜してから(即ち、バッチ処理してから)、真空ポンプ7により脱泡タンク6の内部を真空引きして、電極用ペースト8を真空脱泡処理して、気泡を除去する構成としている。
【0031】
一方、図3に示す如く、電極用ペースト製造システム1を使用した場合、モーノポンプ4における気密ラインよりも二次側の配管系を密閉回路としているため、脱泡タンク6に向けて移送する電極用ペースト8を、モーノポンプ4から脱泡タンク6に至る経路(配管5)上で、バッチ処理することなく連続的に真空脱泡処理することができる。
【0032】
また、図4に示す如く、脱泡タンク6では、該脱泡タンク6に電極用ペースト8を導入する開口部であって、配管5に連通する導入口6cを形成している。
そして導入口6cは、脱泡タンク6における略円柱状の部位である胴部6aの上方に形成しており、導入口6cから脱泡タンク6内に導入された電極用ペースト8が、鉛直な内壁面となっている胴部6aの内壁面6bに沿って下方に向けて流れて、底部6dにおいて貯溜されるように構成している。
尚、ここでいう「上方」とは、胴部6aよりも上の部位と、胴部6aにおける上部を含む概念であり、導入口6cから脱泡タンク6内に導入された電極用ペースト8を、内壁面6bに沿って流下させることができる位置であればよい。
【0033】
次に、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法における、電極用ペーストに含まれる気泡の除去方法について、図6を用いて説明をする。
図6(a)に示す如く、導入口6cから脱泡タンク6に導入された電極用ペースト8は、胴部6aの内壁面6bを流下していき、脱泡タンク6の底部6dに貯溜されていく。
このとき、脱泡タンク6の底部6dに貯溜される電極用ペースト8は、導入口6cから供給される電極用ペースト8の流量(以下、供給流量Qと記載する)に応じて、所定の速度で液面が上昇していく。
尚以下では、電極用ペースト8の液面の上昇速度のことを液面上昇速度Vと呼び、液面上昇速度Vは、脱泡タンク6の胴部6aの内部空間の水平方向における断面積をAとするとき、以下に示す数式1により求めることができる。
【0034】
【数1】
【0035】
単位時間あたりに供給される電極用ペースト8は、液面において、その供給流量Qに応じた所定の厚みの薄膜を形成する。
電池用ペースト8のように比重が大きいペースト中に気泡が混入している場合、減圧環境下では密度差が大きくなって、供給直後のペーストと既に気泡が除去されているペーストが二層に分離するため、安定的に薄膜が形成される。
そして、その薄膜を構成する電極用ペースト8に含まれる気泡は、所定の速度で、液面に向けて上昇していく。
尚以下では、電極用ペースト8における気泡の上昇速度のことを気泡上昇速度Vと呼ぶ。
【0036】
気泡上昇速度Vは、厚みTの薄膜において、その最下部から最上部まで気泡が上昇するのに要した時間をtとするとき、V=T/tで表される。
そして、気泡上昇速度Vは、ストークスの式に基づき、以下に示す数式2によって算出することができる。
尚、数式2中に示すrは気泡の半径であり、また、数式2中のρは電極用ペースト8の密度であり、ρは気泡の密度であり、ηは電極用ペースト8の粘度である。
【0037】
【数2】
【0038】
また、本実施形態に係る電極用ペーストの製造方法では、電極用ペースト8から除去すべき気泡の半径rの最小値を基準半径rとして規定している。
即ち、本実施形態で示す電極用ペースト8においては、基準半径r以上の大きさの気泡は除去すべきであり、基準半径r未満の大きさの気泡が含まれることは許容している。
そして、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法では、液面上昇速度Vを、大きさが基準半径rである気泡の気泡上昇速度V(以下、基準気泡上昇速度VGaと呼ぶ)に比して小さくする(即ち、液面上昇速度V<基準気泡上昇速度VGa)構成としている。
【0039】
具体的には、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法では、液面上昇速度Vを基準気泡上昇速度VGaに比して小さくするために、モーノポンプ4のモータの回転数をインバータ制御して、脱泡タンク6に対する電極用ペースト8の供給流量Qを調整する構成としている。
【0040】
液面上昇速度Vが基準気泡上昇速度VGaに比して小さいと、図6(b)に示すように、電極用ペースト8に含まれる気泡を、貯溜された電極用ペースト8の上に次の電極用ペースト8による薄膜が形成される前に、気液界面まで浮上させることができる。
気液界面まで浮上し液面に出現した気泡は、該気液界面において、界面活性剤による表面張力では気泡を維持することができない大きさにまで膨張して、容易かつ確実に破泡されるため、電極用ペースト8に含まれていた基準半径r以上の大きさの気泡が、該電極用ペースト8中から確実に除去される。
【0041】
尚、脱泡タンク6に導入された電極用ペースト8は、胴部6aの内壁面6bにおいて薄膜を形成しながら流下していくため、減圧状態におかれた内壁面6bにおける該薄膜においても破泡が促進され、脱泡タンク6の底部6dに貯溜されていく前の時点でも、電極用ペースト8から気泡が除去される。
【0042】
尚、本実施形態において、図6(a)で示す脱泡タンク6は、胴部6aの水平断面における断面積が一定である場合を例示しているが、本実施形態に係る電極用ペーストの製造方法に用いる脱泡タンク6の形状をこれに限定するものではなく、例えば、図1、図3および図4に示す腕状の底部を有し、胴部6aの断面積が一定でない形状を有する構成であってもよい。
このような断面積が一定でない脱泡タンク6を用いる場合、液面高さと断面積との関係を予め知得しておくとともに、該脱泡タンク6に導入される電極用ペースト8の液面高さを図示しない液面センサ等で検出し、液面高さに従って、電極用ペースト8の供給流量Qを制御する構成とすることも可能である。
そして、液面高さに応じて電極用ペースト8に供給流量Qを制御することにより、液面上昇速度Vを基準気泡上昇速度VGaに比して大きい値に維持する構成としてもよい。
【0043】
尚、本実施形態では、脱泡タンク6に対して電極用ペースト8を供給するための手段がモーノポンプ4である場合を例示しているが、本実施形態に係る電極用ペースト製造システム1における電極用ペースト8の供給手段の構成をこれに限定するものではない。
本実施形態に係る電極用ペースト製造システム1における電極用ペースト8の供給手段としては、例えば、脱泡タンク6内の真空度を高めて、バッファタンク3に貯溜される電極用ペースト8を吸引して脱泡タンク6内に導入する構成としてもよい。
またこの場合、脱泡タンク6内に電極用ペースト8を導入する配管の途中に流量調整弁を設けて、該流量調整弁の開度や脱泡タンク6内の真空度を調整することによって、脱泡タンク6内に導入する電極用ペースト8の供給流量Qを調整する構成としてもよい。
【0044】
即ち、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法は、脱泡タンク6に電極用ペースト8を導入しつつ、脱泡タンク6の内部を真空引きして、電極用ペースト8に含まれる気泡を真空脱泡する工程を備えるものであって、電極用ペースト8に含まれる気泡を真空脱泡する工程において、脱泡タンク6に導入する電極用ペースト8の流量(供給流量Q)を調整して、脱泡タンク6における電極用ペースト8の液面の上昇速度(液面上昇速度V)を、電極用ペースト8における気泡の上昇速度(基準気泡上昇速度Va)に比して小さくするものである。
【0045】
また、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法において、電極用ペースト8に含まれる気泡を真空脱泡する工程は、二軸押出混練機2とモーノポンプ4を備える電極用ペースト製造システム1を用いて、二軸押出混練機2の排出口とモーノポンプ4の吸込口4eを接続し、かつ、モーノポンプ4の吐出口4fを脱泡タンク6に接続するとともに、真空ポンプ7の吸込口を脱泡タンク6に接続し、モーノポンプ4におけるロータ4bとステータ4cの接触部において形成する気密ラインを境界として、該気密ラインより脱泡タンク6側の配管系(配管5)を密閉回路に構成し、真空ポンプ7により、脱泡タンク6から真空排気をして、前記気密ラインより脱泡タンク6側の配管系(配管5)を真空状態に維持しつつ、モーノポンプ4により脱泡タンク6に電極用ペースト8を移送して、前記気密ラインより脱泡タンク6側の配管系(配管5)の内部および脱泡タンク6の内部において、電極用ペースト8を連続的に真空脱泡処理することにより、実施されるものである。
このような構成により、電極用ペースト8に含まれる気泡を確実に除去することができる。
【0046】
次に、本発明の第二の実施形態に係る電極用ペーストの製造システムの構成について、図7および図8を用いて説明をする。
図7および図8に示す如く、本発明の第二の実施形態に係る電極用ペースト製造システム11では、本発明の第一の実施形態に係る電極用ペースト製造システム1に対して、モーノポンプ4の接続方向を逆向きにする構成としている。
【0047】
即ち、電極用ペースト製造システム1において吸込口4eとして使用していたモーノポンプ4の一方の接続口を、電極用ペースト8の移送方向における下流側に配置し(即ち、吐出口として使用し)、吐出口4fとして使用していた他方の接続口を、電極用ペースト8の移送方向における上流側に配置する(即ち、吸込口として使用する)構成としている。
【0048】
そして、モーノポンプ4をこのような配置として、モータ(図示せず)の回転方向を逆向きにすることで、モーノポンプ4によって電極用ペースト8を移送しつつ、モーノポンプ4のモータ(図示せず)側のケーシング4aの内部を真空引きすることができ、さらに、回転軸4hの軸封部からケーシング4a内に空気を導入することができる構成としている。
【0049】
真空引きされている配管5の内部に空気が導入されると、脱泡タンク6内に供給される電極用ペースト8を、配管5内を流動する空気により付勢して飛散させることができ、脱泡タンク6の底部6dに貯溜された電極用ペースト8の液面に、飛散した電極用ペースト8を衝突させて、液面に浮上している気泡をより確実に破泡することができる。
【0050】
脱泡タンク6内に破泡を促進させるための空気を導入するためには、配管5に空気を導入するためのバルブ等を用いる構成も採用しうるが、電極用ペースト製造システム11では、モーノポンプ4の配置方向を逆向きにするだけで、バルブ等を別途備えることなく、簡易に空気を導入することが可能になる。
【0051】
即ち、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法において、モーノポンプ4は、該モーノポンプ4が有するモータ軸の軸封部により遠い側の接続口(吐出口4f)を吸込口とし、モータ軸の軸封部により近い側の接続口(吸込口4e)を吐出口とするものである。
このような構成により、簡易な構成の電極用ペースト製造システム11によって、電極用ペースト8に含まれる気泡をより確実に除去することができる。
【0052】
次に、本発明の各実施形態に係る電極用ペースト製造システム1・11を用いて製造した電極用ペーストについて、説明をする。
これまでに説明をした各電極用ペースト製造システム1・11を用いて製造した電極用ペースト8では、電極用ペースト8に含まれる気泡が従来に比して確実に除去されているため、その電極用ペースト8を金属箔に塗工したときに生じる不良(透け)が低減されている。
このため、電極用ペースト製造システム1・11を用いて製造した電極用ペースト8から二次電池を製造することによって、二次電池の内部不良を低減することができ、二次電池の信頼性向上等の品質改善に寄与することができる。
【0053】
また、各電極用ペースト製造システム1・11を用いて製造した電極用ペースト8では、脱泡タンク6の内部に貯溜された状態において、全体にわたって気泡が除去されており、上澄みを除去する必要がなく、生成された全ての電極用ペースト8を使用することができるため、電極用ペースト8の歩留まりが、従来に比して改善されている。
このため、電極用ペースト製造システム1・11を用いて製造した電極用ペースト8から二次電池を製造することによって、二次電池のコスト低減に寄与することができる。
【0054】
即ち、本発明の一実施形態に係る二次電池は、本発明の一実施形態に係る電極用ペーストの製造方法により製造された電極用ペースト8を用いて製造されたものである。
このように、気泡が確実に除去された電極用ペースト8を使用することにより、透け等の不良が少ない品質のよい電極体を製造することができ、またこれにより、二次電池の性能向上に寄与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、二次電池を製造するための電極用ペーストのみならず、ペースト中の気泡を除去する必要があるペーストの製造方法として広く適用することが可能であり、例えば、ペースト状の食品、化学製品、薬品等を製造するための技術として応用することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 電極用ペースト製造システム
2 二軸押出混練機
4 モーノポンプ
6 脱泡タンク
7 真空ポンプ
8 電極用ペースト

【手続補正書】
【提出日】20160324
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱泡タンクに電極用ペーストを導入しつつ、前記脱泡タンクの内部を真空引きして、前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する工程を備える電極用ペーストの製造方法であって、
前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する前記工程は、
二軸押出混練機とモーノポンプを備える電極用ペーストの製造システムを用いて、
前記二軸押出混練機の排出口と前記モーノポンプの吸込口を接続し、かつ、
前記モーノポンプの吐出口を脱泡タンクに接続するとともに、真空ポンプの吸込口を前記脱泡タンクに接続し、
前記モーノポンプにおけるロータとステータの接触部において形成する気密ラインを境界として、該気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系を密閉回路に構成し、
前記真空ポンプにより、前記脱泡タンクから真空排気をして、前記気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系を真空状態に維持しつつ、
前記モーノポンプにより前記脱泡タンクに前記電極用ペーストを移送して、
前記気密ラインより前記脱泡タンク側の配管系の内部および前記脱泡タンクの内部において、前記電極用ペーストを連続的に真空脱泡処理することにより、実施され、
ここで、前記電極用ペーストに含まれる気泡を真空脱泡する前記工程において、
前記脱泡タンクに導入する前記電極用ペーストの流量を調整して、
前記脱泡タンクにおける前記電極用ペーストの液面の上昇速度を、
前記電極用ペーストにおける気泡の上昇速度に比して小さくする、
ことを特徴とする電極用ペーストの製造方法。
【請求項2】
前記モーノポンプは、
該モーノポンプが有するモータ軸の軸封部により遠い側の接続口を前記吸込口とし、
前記モータ軸の軸封部により近い側の接続口を前記吸込口とする、
ことを特徴とする請求項に記載の電極用ペーストの製造方法。

【国際調査報告】