(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014049806
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20160725BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20160725BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20160725BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20160725BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !H01L29/06 301G
   !H01L29/06 301V
   !H01L29/06 301R
   !H01L29/91 B
   !H01L29/91 D
   !H01L29/91 F
   !H01L21/265 Z
   !H01L21/265 V
   !H01L21/265 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
【出願番号】2014537975
(21)【国際出願番号】JP2012075004
(22)【国際出願日】20120928
(11)【特許番号】5799176
(45)【特許公報発行日】20151021
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目6番6号
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】松島 宏行
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目6番6号 株式会社日立製作所内
(72)【発明者】
【氏名】手賀 直樹
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目6番6号 株式会社日立製作所内
(72)【発明者】
【氏名】土屋 龍太
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目6番6号 株式会社日立製作所内
(72)【発明者】
【氏名】久本 大
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目6番6号 株式会社日立製作所内
(57)【要約】
再現性高く高耐圧な炭化珪素半導体装置を提供することが目的である。そのため、多重に形成されるFLRリングとして、ライン部からコーナー部に向かうにしたがいリング間距離が徐々に狭くし、前記ライン部から前記コーナー部に向かうにしたがい、ラインの中央の高濃度領域を挟み込む低濃度領域の不純物濃度を薄くする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の炭化珪素基板と、前記炭化珪素基板の表面上に形成された第1導電型の炭化珪素エピタキシャル層と、前記エピタキシャル層上に配置された第1電極と、前記炭化珪素基板の裏面に配置された第2電極とを備えた炭化珪素半導体装置において、
前記エピタキシャル層は平面視領域として、アクティブ領域と、前記アクティブ領域を囲む端部領域とを備え、
前記端部領域は、前記アクティブ領域を前記リング状に囲む平面視形状となる第2導電型の不純物が注入され、前記第1電極に直接接していないリングを多重に備え、
前記リングは、平面視形状で直線状のライン部と、前記ライン部を繋ぐコーナー部とを備え、前記ライン部と前記コーナー部の接続部から前記コーナーの中間に向かうにしたがって前記リング間距離が徐々に狭くなり、
前記リングは、平面視形状で高濃度領域を低濃度領域で挟み込む構造を備え、前記ライン部と前記コーナー部の接続部から前記コーナーの中間に向かうにしたがって前記低濃度領域の不純物濃度が薄くなることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記コーナー部のリング幅は、前記コーナー部の中間に向かって前記コーナー部内側と外側の両方に広がっていることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記リングの間隔がライン部から前記コーナー部に向かって徐々に狭くなっていることを特徴とした炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記リングの高濃度領域の不純物濃度は1×1016〜1×1019cm−3
前記リングの低濃度領域の不純物濃度は1×1015〜1×1018cm−3であることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記リングは前記アクティブ領域より一段低い位置に設けられていることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
炭化珪素基板上のエピタキシャル層に矩形のアクティブ領域と、
前記アクティブ領域を囲み、かつ、電極に直接接していないp型リングを備えた炭化珪素半導体装置の製造方法において、
前記p型リングは、平面視で前記p型リングの一辺に対して傾けた角度、かつ、前記炭化珪素基板平面に対して傾けた角度にイオン注入することを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化珪素半導体装置及びその製造方法に関し、特に高耐圧半導体装置のターミネーション構造に関する。
【背景技術】
【0002】
SiCを用いたパワー半導体装置は、Siを用いたパワー半導体装置と比較して、同耐圧ではオン抵抗の低抵抗化が可能である。これは、SiCの絶縁破壊強度がSiの約10倍であるため、空乏層幅が約10分の1となり、ドリフト層となるエピタキシャル層を薄くできることに起因している。
【0003】
しかしながら、オフ状態において、SiCを用いたパワー半導体装置の最大電界はSiを用いたパワー半導体の10倍であるため、電界を緩和するために用いるターミネーション構造が重要となる。
【0004】
パワー半導体装置の耐圧はドリフト層を構成するエピタキシャル層の厚さと不純物濃度によって決まる。しかしながら、アクティブ領域の周囲にある終端領域では電界集中が生じるため、電界緩和のための構造を設けなければ、設計上の耐圧よりも小さな値で破壊がおきてしまう。
【0005】
そのような電界緩和構造として、一般に、JTE(Junction Termination Extention)構造、FLR(Field Limitting Ring)構造が知られている。
【0006】
上記構造のうち、FLR構造は、基板の導電性と反対の導電性不純物が平面視形状が多重のリング状に注入されたフローティング領域のことである。一般に、FLR構造は、p型リング環数、p型リング間の間隔、p型リングを形成する深さあるいは不純物濃度を調整することで、耐圧が調整できることが知られている。
【0007】
しかしながら、FLR構造において、平面視形状のコーナー部とライン部では、電界集中の度合いが異なるため、コーナー部ではライン部に比べ電界が集中しやすい。そのため、コーナー部で破壊が起きやすい。このとき、コーナー部での空乏層の伸びは、ライン部の空乏層の伸びに比べて小さくなるため、ライン部とコーナー部とでは最適なp型リング間距離やp型リングを構成する不純物濃度が異なってくる。
【0008】
特開2004−158817号公報(特許文献1)では、p型リングのコーナー部の外側にのみ選択的に不純物を添加することで、コーナー部へ集中していた電界をコーナー部の外側へ分散させ、破壊を生じにくくしている。
【0009】
特開2011−171552号公報(特許文献2)では、p型リングコーナー部の幅をライン部よりも広くしているため、結果としてコーナー部でのp型リング間距離が小さくなり、コーナー部での電界集中が緩和される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−158817号公報
【特許文献2】特開2011−171552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1の各コーナーの外側にのみ選択的に不純物を添加する構造は、p型リングの不純物インプラント用マスクとは別のマスクで不純物をインプラントせざるをえない。しかし、インプラントする領域がp型リングの外側に限定されているので、マスクの位置ズレにより耐圧が変動しやすい。また、深い位置だけのインプラントは不純物濃度の制御が難しい。従って、この構造では高い再現性で高耐圧の炭化珪素半導体装置が得られない。
【0012】
特許文献2の不純物濃度を一様に小さくしてリング内への空乏層の伸びを大きくする方法では、リング内に空乏層が伸びきってしまい、破壊が生じてしまう。
【0013】
本発明の目的は、高い再現性のある高耐圧炭化珪素半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、上記目的を解決する代表的な手段簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0015】
第1導電型の炭化珪素基板と、前記炭化珪素基板の表面上に形成された第1導電型の炭化珪素エピタキシャル層と、前記エピタキシャル層上に配置された第1電極と、前記炭化珪素基板の裏面に配置された第2電極とを備えた炭化珪素半導体装置において、前記エピタキシャル層は平面視領域として、アクティブ領域と、前記アクティブ領域を囲む端部領域とを備え、前記端部領域は、前記アクティブ領域を前記リング状に囲む平面視形状となる第2導電型の不純物が注入され、前記第1電極に直接接していないリングを多重に備え、前記リングは、平面視形状で直線状のライン部と、前記ライン部を繋ぐコーナー部とを備え、前記ライン部と前記コーナー部の接続部から前記コーナーの中間に向かうにしたがって前記リング間距離が徐々に狭くし、さらに、前記リングは、平面視形状で高濃度領域を低濃度領域で挟み込む構造を備え、前記ライン部と前記コーナー部の接続部から前記コーナーの中間に向かうにしたがって前記低濃度領域の不純物濃度を薄くする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高い再現性を備えた高耐圧な炭化珪素半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の炭化珪素半導体装置の要部上面図である。
【図2】実施例1の炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図3】実施例1の炭化珪素半導体装置の別構造における終端領域断面図である。
【図4】実施例1の炭化珪素半導体装置を終端領域の断面詳細図である。
【図5】図4におけるリング3の不純物濃度について示した図である。
【図6】実施例1の炭化珪素半導体装置の終端領域におけるコーナー部とライン部の断面図である。
【図7】実施例1の炭化珪素半導体装置の終端領域の一部を拡大して示す模式断面図である。
【図8】実施例1の製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図9】図8に続く製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図10】図9に続く製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図11】図12のI―I線の断面に相当する断面図とII―IIに相当する断面図である。
【図12】実施例1による炭化珪素半導体の要部上面図である。
【図13】実施例1による炭化珪素半導体の製造工程における終端領域断面図である。
【図14】実施例1による炭化珪素半導体の製造工程における終端領域断面図である。
【図15】実施例1による炭化珪素半導体の製造工程における終端領域断面図である。
【図16】実施例1の炭化珪素半導体の製造工程を説明する終端領域断面図である。
【図17】図16に続く製造工程を説明する終端領域断面図である。
【図18】図17に続く製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図19】図17に続く製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図20】実施例2の炭化珪素半導体装置の製造工程を説明する終端領域断面図である。
【図21】図20に続く製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図22】実施例2の炭化珪素半導体装置のリング205の拡大図である。
【図23】実施例3の炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図24】実施例3の炭化珪素半導体装置の製造工程における終端領域断面図である。
【図25】実施例4の炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図26】実施例4による炭化珪素半導体装置の製造工程における終端領域断面図である。
【図27】図26に続く製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図28】図27に続く製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図29】実施例5の炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図30】実施例5の炭化珪素半導体装置の製造工程を説明する終端領域断面図である。
【図31】図30に続く製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図32】図31に続く製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図33】実施例6の炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図34】実施例6の製造工程を説明する終端領域断面図である。
【図35】図34に続く製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図36】実施例7の炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図37】実施例7の製造工程における終端領域断面図である。
【図38】図37に続く製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図39】図38に続く製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【図40】図39に続く製造工程を説明する炭化珪素半導体装置の終端領域断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、以下の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
[デバイス構造]
実施例1の炭化珪素半導体装置について図1〜図7を用いて説明する。図1は炭化珪素半導体装置の要部上面図、図2は実施例1の炭化珪素半導体装置の終端領域断面図、図3は実施例1の炭化珪素半導体装置の別構造における終端領域断面図、図4は実施例1の炭化珪素半導体装置の終端領域断面の詳細図、図5は図4におけるリングの不純物濃度について示した図、図6は実施例1の炭化珪素半導体装置の終端領域におけるコーナー部とライン部の断面図、図7は実施例1の炭化珪素半導体装置の終端領域の一部を拡大して示す模式断面図である。
【0020】
図1に示すように、炭化珪素半導体装置1は、ダイオードやトランジスタが配置される炭化珪素半導体装置の中央のアクティブ領域2と、平面視においてアクティブ領域2を囲む終端領域に、p型のウェル領域106と、互いに同心となるように多重に複数配置されたp型フローティング・フィールド・リミッティング・リング(以下、リングと記す)105と、さらに平面視において上記リング105を囲むn型のリング領域であるチャネルストッパ107がある。
【0021】
オフ時において、最大電界部分が順次外側のp型のリング105へ移り、最外周のリング105で降伏するようになるので、炭化珪素半導体装置を高耐圧とすることが可能となる。図1を用いて3重のリング105が形成されている例を図示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
次に、本実施例1による炭化珪素半導体装置の構造を、図2を用いて説明する。
【0023】
SiC基板101の裏面(第2主面)には電極104が形成されている。
【0024】
SiCからなるn型のSiC基板101の表面(第1主面)上に、SiC基板101よりも不純物濃度の低いSiCからなるn型のエピタキシャル層102が形成されている。n型のSiC基板101とn型のエピタキシャル層102の厚さを、5〜20μmの範囲内で設定されている。
【0025】
型のエピタキシャル層102内にはp型のリング105が形成されている。リング105のエピタキシャル層102の表面からの深さは、0.5〜2.0μmの範囲内で設定され、リング105間の距離は0.5〜2.5μmの範囲内で設定されている。図3に示してあるように、リング105間の各距離は必ずしも一定である必要はない。図3は、図2のウェル領域106とチャネルストッパ107との間の距離を保ちながら、リング105同士の間隔を変えた構造を示している。具体的には、内側のリング105間距離を狭め、外側のリング105間距離を広げることで耐圧を更に向上させる構造としている。なお、チャネルストッパと最外周のリング105との距離も縮めることで、p型ウェル領域106とリング間距離、リング105同士の距離、チャネルストッパ107と最外周のリング105との距離のうち、外側のリング105間距離が最も大きくなっている。
【0026】
型のエピタキシャル層102のリング105の内側にはp型のウェル領域106が形成されている。p型のウェル領域106のエピタキシャル層102の表面からの深さは、0.5〜2.0μmの範囲内で設定されている。
【0027】
リング105とウェル領域106とは個別に深さを設定可能であるが、同じ深さに設定する場合、同じ工程で同時に形成することができるのは言うまでもない。
【0028】
リング105の外側には、n型のエピタキシャル層102内にはn型の平面視形状がリング状であるチャネルストッパ107が形成されている。チャネルストッパ107のエピタキシャル層102の表面からの深さは、0.5〜2μmの範囲内で設定されている。
【0029】
なお、ここまでの説明で用いた「」および「」は、導電型がn型またはp型の相対的な不純物濃度を表記した符号である。「n」、「n」、「n」の順にn型不純物の不純物濃度は高くなる。n型のSiC基板101の不純物濃度の好ましい範囲は、1×1018〜1×1021cm−3、n型のエピタキシャル層102の不純物濃度の好ましい範囲は、1×1014〜1×1017cm−3、リング105及びp型のウェル領域は、1×1016〜1×1019cm−3、n型のチャネルストッパ107は、1×1019〜1×1021cm−3の範囲内で設定されている。
【0030】
図4に示すように、リング105は不純物濃度が濃い高濃度領域105aと、高濃度領域105aを挟み込む不純物濃度が低い低濃度領域105bで構成されている。より詳細な構造を示すと、図7に示すようになっている。リング105の高濃度領域105aの表面の位置は、リング105の低濃度領域及びリング105が形成されないn型のエピタキシャル層の表面の位置よりも、0.05μm低くなっている。これは、リング105の高濃度領域105aを形成する際のエッチング工程において、表面を削ることにより形成されるものである。
【0031】
図5のグラフは、縦軸にリング105の不純物濃度、横軸にリング105の幅をとったものである。図5に示すようにその濃度分布はリングの中央で最も濃くなり(高濃度領域105a)、リング105の周辺部にいくにしたがって徐々に薄くなる(低濃度領域105b)。本実施例では、リング中央部の高濃度領域105aの不純物濃度は、1×1017〜1×1018cm−3、リング周辺部の低濃度領域105bの不純物濃度は、1×1015〜2×1017cm−3になっている。
【0032】
図6に示すように、リング105のコーナー部における低濃度領域105bと、リング105のライン部における低濃度領域105bではリング105のコーナー部における低濃度領域105bの方が幅が大きくなっている。具体的には、ライン部のリング幅は実質的に一定であるが、ライン部とコーナー部との接続部から、コーナー部の中間にいくにしたがってリング105の幅は徐々に広くなり、リング105のコーナー部の最も中間で最も広くなっている。そして、コーナーブのリング幅の大きさはライン部のリング幅の1.3〜1.6倍になっている。
【0033】
コーナー部とライン部では周辺部分の濃度も異なっている。具体的には、ライン部の低濃度領域105bの不純物濃度は実質的に一定であるが、ライン部とコーナー部との接続部から、コーナー部の中間にいくにしたがって低濃度領域105bの不純物濃度は徐々に薄くなり、リング105のコーナー部の最も中間で最も薄くなっている。リング105のコーナー部の中間点における濃度はライン部の概ね半分になっている。
【0034】
以上のように、本実施例によれば、p型ウェル領域106にかかる電界集中が外側のリング105へと分散されやすくなっており、炭化珪素半導体装置を高耐圧にできる。
【0035】
そして、以下の不純物の斜め注入による製造方法を採用可能になるので、再現性高く高耐圧の炭化珪素半導体装置を製造することも可能になる。
[炭化珪素半導体装置の製造方法]
実施例1による炭化珪素半導体装置の製造方法について図8〜図19を用いて工程順に説明する。
【0036】
図12は、実施例1の炭化珪素半導体装置の上面図で、図1のリング105を抜粋した図である。以下、リング105のコーナー部であるI―I線の断面に相当する断面図と、リング105のストライプ部であるII―II線の断面に相当する断面図を用いて、本実施例の炭化珪素半導体装置の製造方法を説明する。
【0037】
まず、図8に示すように、4H−SiC(炭化珪素)基板101を用意し、Si面を上面とする。SiC基板101としては、n型不純物である窒素が導入されている基板を用いる。
【0038】
次に、SiC基板101の表面(第1主面)にエピタキシャル成長法によりSiCのn型のエピタキシャル層102を形成する。エピタキシャル層102には、SiC基板101の不純物濃度よりも低い濃度となるようにn型不純物が導入されている。エピタキシャル層102の不純物濃度は炭化珪素半導体装置の素子定格に依存するが、1×1014〜1×1017cm−3の範囲で設定されている。また、エピタキシャル層102の厚さは、5〜20μmの範囲で設定されている。以上の工程により、SiC基板101およびエピタキシャル層102からなるSiCエピタキシャル基板103が形成される。
【0039】
次に、図9に示すように、エピタキシャル層102の表面上に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により絶縁膜を堆積する。実施例ではSiO膜109を堆積する。SiO膜109の厚さは、1〜3μmの範囲で設定されている。
【0040】
続いて、図10に示すようにレジストパターンをマスクとして、SiO膜109をドライエッチング法により加工することにより、ハードマスクパターン109aをエピタキシャル層102の表面上に形成する。リング105に対応したハードマスクパターン109aの幅は、1〜2.5μmの範囲で設定されている。この際、前述の図7を用いて説明したように、エピタキシャル層102の表面が数nm(5nm以下)削れて、ハードマスクパターン109aの側面下のエピタキシャル層102に第1段差が形成される(図10では図示せず)。
【0041】
次に、エピタキシャル層102にp型不純物をイオン注入する。実施例では、p型不純物としてAlを用いた。これにより、エピタキシャル層102のリング105を形成する。
【0042】
図11は図12のI―I線の断面に相当する断面図とII―IIに相当する断面図である。図12に示してある、N1、N2、N3、N4の方向から計4回、基板の法線から角度をつけて斜め不純物注入する。ここで、N1、N2、N3、N4は、リング105のライン部から45度傾いている。また、斜め不純物注入時の角度(仰角)は、SiCエピタキシャル基板103の法線方向から10〜45度(仰角45〜80度)である。リング105のエピタキシャル層102の表面からの深さは、0.5〜2μmの範囲内で設定されている。
【0043】
ここで、図13〜図16を用いて、斜め不純物注入によって図6のように、リング105のコーナー部とリング105のライン部で低濃度領域105bの幅・濃度を異ならしめる工程を説明する。
【0044】
図13は図12のN1方向から不純物注入したときのp型不純物分布である。本注入工程によるリングのみを示すとリング105cとなる。N1方向は、平面視した際にリング105の縦ラインから右45度傾けた図の右上に向かう方向であるので、ハードマスクパターン109aを右上方向にずらした領域に不純物が注入される。なお、リング105のコーナー部であるI―I断面での不純物の横方向への広がりとリング105のライン部であるII―II断面での不純物の横方向への広がりは異なり、コーナー部の方が大きく広がる。
【0045】
図14は図12のN2方向から不純物注入したときのp型不純物分布である。本注入工程によるリングのみを示すとリング105dとなる。N2方向は、平面視した際にリング105の縦ラインから左135度傾けた図の左下に向かう方向であるので、ハードマスクパターン109aを左下方向にずらした領域に不純物が注入される。なお、リング105のコーナー部であるI―I断面での不純物の横方向への広がりとリング105のライン部であるII―II断面での不純物の横方向への広がりは異なり、コーナー部の方が大きく広がる。
【0046】
図15は図12のN3方向から不純物注入したときのp型不純物分布である。本注入工程によるリングのみを示すとリング105eとなる。N3方向は、平面視した際にリング105の縦ラインから右135度傾けた図の右下に向かう方向であるので、ハードマスクパターン109aを右下方向にずらした領域に不純物が注入される。なお、リング105のコーナー部であるI―I断面での不純物の横方向への広がりとリング105のライン部であるII―II断面での不純物の横方向への広がりは異なり、コーナー部の方が大きく広がる。
【0047】
図16は図12のN4方向から不純物注入したときのp型不純物分布である。本注入工程によるリングのみを示すとリング105fとなる。N3方向は、平面視した際にリング105の縦ラインから左45傾けた図の左上に向かう方向であるので、ハードマスクパターン109aを左上方向にずらした領域に不純物が注入される。なお、リング105のコーナー部であるI―I断面での不純物の横方向への広がりとリング105のライン部であるII―II断面での不純物の横方向への広がりは異なり、コーナー部の方が大きく広がる。
【0048】
以上、4つの斜め不純物工程を経ると、リング105c〜fを重ね打ちしたことになるので、図11に示す高濃度領域105aと低濃度領域105bを有するリング105が形成される。なお、リング105のコーナー部(I−I断面)における高濃度領域105aを挟むようにリング内外に配置された低濃度領域105bにおける不純物濃度は不純物注入1回分であるのに対し、リング105のライン部(II―II断面)における低濃度領域105bの不純物濃度は不純物注入2回分である。つまり、リング105のコーナー部の低濃度領域105bは、リング105のライン部の低濃度領域105bの半分の濃度となる。また、リング105のコーナー部の低濃度領域105bの広がりは、注入角度を45度にしているため、リング105のライン部の低濃度領域105bの広がりの最大1/√2となる。さらに、高濃度領域105aの濃度を高める場合には、斜め注入の他に垂直注入を組み合わせる。
【0049】
なお、リング105の高濃度領域105aの不純物濃度は1×1016〜1×1019cm−3、低濃度領域105bの不純物濃度は1×1015〜1×1018cm−3で設定されている。
【0050】
また、図17に示すように、ウェル領域106を、斜め不純物注入によるリング105形成と同時に形成する場合、高濃度領域106aの外側に低濃度領域106bが形成される。そして、この低濃度領域106bはウェル領域106のハードマスクパターン109aの開口が大きいため、リング105の低濃度領域105bよりも幅が広くなる。高濃度領域106aの濃度をさらに高める場合には、垂直注入を組み合わせる。なお、ウェル領域106の不純物濃度は、1×1016〜1×1019cm−3の範囲で設定されている。
【0051】
なお、図18に示すように、ウェル領域106を斜め不純物注入によるリング105形成と別に形成する場合、ハードマスクパターン109bをマスクとして、不純物を垂直注入する。
【0052】
次に、図19に示すように、ハードマスクパターン109cをマスクとして、エピタキシャル層102にn型不純物として窒素をイオン注入して、n型のチャネルストッパ107を形成する。チャネルストッパ107の不純物濃度は、1×1019〜1×1021cm−3の範囲で設定されている。
【0053】
実施例1の製造方法によれば、リング105を不純物の斜め注入で形成した結果、リング105のコーナー部での不純物の広がりが大きくなるので、不純物の垂直注入よりも、電界が緩和されやすくなる。さらに、1枚のハードマスクで実現可能なので、マスクの位置ズレがなく再現性が高い。
【実施例2】
【0054】
実施例2と前述した実施例1との相違点は、リング205を斜め不純物注入で形成せず、2回以上の不純物注入工程で形成することである。
【0055】
実施例2による炭化珪素半導体装置の製造方法について図20〜図22を用いて工程順に説明する。
【0056】
前述した実施例1と同様にして、n+型のSiC基板101の表面(第1主面)上にn型のエピタキシャル層102を形成して、SiC基板101とエピタキシャル層102とからなるSiCエピタキシャル基板103を形成する。SiC基板101の不純物濃度は、1×1018〜1×1021cm−3の範囲で設定されており、エピタキシャル層102の不純物濃度は、1×1014〜1×1017cm−3の範囲で設定されている。
【0057】
次に、図20に示すように、SiO膜からなるハードマスクパターン209aをマスクとして、エピタキシャル層102にp型不純物、Alをイオン注入する。これにより、低濃度領域205bを形成する。このとき、隣り合うハードマスクパターン209aの距離(開口幅)はライン部よりもコーナー部のほうが広く、ライン部で一定にとした開口幅がライン部とコーナー部との接続部からコーナー部の中間点に向かって広くなっている。この低濃度領域205bの不純物濃度は、1×1015〜2×1017cm−3の範囲である。なお、上記ハードマスクパターン209aをエピタキシャル層102の表面上に形成する際には、前述した実施例1と同様に、エピタキシャル層102の表面が1〜5nm削れて、ハードマスクの側面下のエピタキシャル層102に第1段差が形成される。
【0058】
次に、図21に示すように、ハードマスクパターン209aよりハードマスク間の幅が狭い、SiO膜からなるハードマスクパターン209bをマスクとして、エピタキシャル層102にp型不純物であるAlを注入する。この高濃度領域205aの不純物濃度は、1×1017〜1×1018cm−3の範囲内で設定されている。これにより、低濃度領域205bの内側に高濃度領域205aを形成する。この工程により、低濃度領域205bは高濃度領域205aを挟むように配置されたことになる。
【0059】
なお、上記ハードマスクパターン2をエピタキシャル層102の表面上に形成する際には、前述した第1段差と同様に、エピタキシャル層102の表面が1〜5nm削れて、ハードマスクの側面下のエピタキシャル層102に第2段差が形成される(図22参照)。
【0060】
次に、ハードマスクパターン209cをマスクとして、エピタキシャル層203にp型不純物、Alをイオン注入することで、ウェル領域206を形成する(図は省略)。ウェル領域206の不純物濃度は、1×1016〜1×1019cm−3の範囲である。なお、ウェル領域206は、リング205と同時に形成してもかまわない。また、ウェル領域206は、リング205と同時に2回以上の露光工程で形成してもかまわない。
【0061】
次に、別のハードマスクパターンをマスクとして、エピタキシャル層102にn型不純物、窒素をイオン注入して、n型のリングを形成する(図は省略)。n型リングの不純物濃度は、1×1019〜1×1021cm−3の範囲で設定してある。
【0062】
以上が2回の露光での製造方法であるが、リング形成時のハードマスクパターンを増やすことで、2回以上の露光でリングを形成してもかまわない。
【0063】
本実施例2による炭化珪素半導体装置では、2つのハードマスクパターンで垂直に不純物注入するため、実施例1の斜めイオン注入とは異なり、最終的な低濃度領域205bの幅・不純物濃度を任意に設定できる。
【実施例3】
【0064】
実施例3と前述した実施例1との相違点は、ウェル領域内306に、p型の補助リング310を形成することである。
【0065】
図23に示すように、ウェル領域内に、p型の補助リング310が形成されている。p型の補助リング310のエピタキシャル層102の表面からの深さは、0.1〜0.5μmの範囲で設定してある。p型の補助リング310の不純物濃度は、1×1019〜1×1021cm−3の範囲で設定されている。
【0066】
p+型の補助リング310は図24に示す工程にて形成される。SiO2膜からなるハードマスク309aをパターンとして、エピタキシャル層102にp型不純物、Alを注入する。なお、リング105の形成、チャネルストッパ107の形成は、実施例1と同様である。
【0067】
このように、実施例3によれば、p型ウェル領域306の濃度が薄くp型ウェル領域306内を空乏層が伸びていくときでも、不純物濃度の大きいp型の補助リング310によってウェル領域306内における空乏層の伸びがとまる。つまり、ウェル領域306における破壊が生じにくくなるため、アクティブ領域の終端構造に対してロバストとなる。
【実施例4】
【0068】
実施例4と前述した実施例1との相違点は、p型のリングの深さが、リングによって異なることである。アクティブ領域に近いリングは浅く形成され、アクティブ領域から遠ざかるにつれて深く形成される。
【0069】
実施例4における炭化珪素半導体装置の構成の特徴を、図25を用いて説明する。図25は炭化珪素半導体装置の終端領域の断面図を示したものである。リング405の形成深さがアクティブ領域から遠ざかるにしたがって深くなっている。各リング405の深さは、0.5〜4.0μmで設定してある。リング405gの外側隣のリング405hの深さは第1リング以上、リング405hの外側隣のリング405iの深さはリング405h以上となるように、アクティブ領域側のリングよりも外側のリングのうほうが深くなるように形成される。従って、よりロバストなターミネーションを形成することができる。
【0070】
実施例4における炭化珪素半導体装置の製造方法を図26〜28を用いて説明する。なお、p型リング以外の製造方法は実施例1と同様であるため記さない。
【0071】
図26に示すようにエピタキシャル層102にp型不純物、Alをイオン注入する。これにより、最も内側のリング405gを形成する。
【0072】
次に、図27に示すように、エピタキシャル層102にp型不純物、Alを斜めイオン注入することで、リング405gの外側隣にリング405gよりも表面からの深さがあるp型のリング405hを形成する。
【0073】
次に、図28に示すように、エピタキシャル層102にp型不純物、Alを斜めイオン注入することで、リング405gの外側隣にリング405gよりも表面からの深さがあるp型のリング405iを形成する。
【0074】
各リングは実施例1と同様、斜めイオン注入で形成する。
【0075】
このように実施例4によれば、実施例1と同様に効果を得るだけでなく、リング形成深さがリングによって異なるリング405g〜iを形成しているので、よりロバストなターミネーションを形成することができる。
【実施例5】
【0076】
実施例5と前述した実施例1との相違点は、リングのエピタキシャル層をp型のウェル領域506で所定の深さ掘り込み、段差の下段にp型のリング505を形成することである。
【0077】
実施例5における炭化珪素半導体装置の特徴を、図29を用いて説明する。図29は炭化珪素半導体装置の終端領域の断面図を示したものである。
【0078】
リング505bを形成する領域が、エピタキシャル層102の表面から所定の深さ掘り込んである。所定の深さは、0.5〜1.5μmである。
【0079】
p型のウェル領域506の深さは掘り込んだ面から0.5〜2.0μmで、不純物濃度は、1×1016〜1×1019cm−3の範囲である。
【0080】
実施例5における炭化珪素半導体装置の製造方法を図30〜33を用いて説明する。
【0081】
エピタキシャル層102の表面上に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により絶縁膜、SiO膜を堆積する。SiO膜の厚さは、1〜3μmである。続いて、図30に示すようにレジストパターンをマスクとして、SiO膜をドライエッチング法により加工することにより、SiO膜からなるハードマスクパターン509aをエピタキシャル層102の表面上に形成する。
【0082】
次に、図31に示すように、ハードマスクが無いリング領域をドライエッチング法により加工する。加工された領域のエピタキシャル層102の表面からの深さは、0.5〜1.5μmである。
【0083】
次に、図32に示すように、掘り込まれることによってできた段差の下段に、実施例1と同様にして、p型のリング505を形成する。このとき、p型のウェル領域506も同時に形成される。
【0084】
p型のウェル領域506は、図33に示すように、掘り込まれた段差にまたがっている。p型のウェル領域506はリングと同様に斜め不純物注入にて形成されるため、通常の不純物注入では形成されない領域506bが形成される。これにより、p型ウェル領域底部における段差部の側壁から表面の段差部までの距離が長くなり、p型ウェル領域での破壊が生じなくなる。
【0085】
このように実施例5によれば、実施例1の効果を得ることができるだけでなく、さらに、リングをエピタキシャル層102からの距離がアクティブ領域より深い位置に形成することができるので、より高耐圧な炭化珪素半導体装置をとなっている。
【実施例6】
【0086】
本実施例6と前述した実施例1との相違点は、p型のリング605g、605h,605iの幅が一定でなく、アクティブ領域に近いリング幅は広く形成され、アクティブ領域から遠ざかるにつれて狭く形成される点である。
【0087】
図34は炭化珪素半導体装置の終端領域の断面図を示したものである。図34に示すようにリングの幅がアクティブ領域から遠ざかるにしたがって小さくなっている。最もアクティブに近い第1リングの幅は、4.0〜5.0μmである。第1リングの外側の第2リングの幅は第1リング以下、第2リングの外側の第3リングの幅は第2リング以下、となるように、一つ内側のリング幅よりも外側のリング幅のほうが小さくなるように形成される。
【0088】
本実施例6における炭化珪素半導体装置の製造方法を図35〜36を用いて説明する。なお、p型のリング605以外の製造方法は実施例1と同様であるため割愛する。
【0089】
エピタキシャル層102の表面上に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により絶縁膜、SiO膜を堆積する。SiO膜の厚さは、1〜3μmである。続いて、図35に示すようにレジストパターンをマスクとして、SiO膜をドライエッチング法により加工することにより、SiO膜からなるハードマスクパターン609aをエピタキシャル層102の表面上に形成する。ハードマスクパターン609aにおいて、最も内側のパターン幅L1は、4.0〜5.0μmである。最も内側より1つ外側のパターン幅L2は、パターン幅L1よりも狭い。また、パターン幅L2の1つ外側のパターン幅L3は、パターン幅L2よりも狭い。以上のように、パターン幅Lnはパターン幅Ln−1よりも狭く形成される。
【0090】
次に、図36に示すように、エピタキシャル層102にp型不純物、Alを斜めイオン注入することで、リング605を形成する。この時、リング605の幅は図36のパターン幅によるため、パターン幅同様、外側に行くほど狭くなる。
【0091】
このように実施例6によれば、アクティブに近い領域におけるリングの総不純物濃度は大きく、遠ざかるにつれて総不純物濃度が小さくなるため、よりロバストなターミネーションを形成することができる。
【実施例7】
【0092】
実施例7と前述した実施例1との相違点は、p型のリング705を構成する総不純物濃度が、内側のリングほど総不純物濃度が大きく、外側にいくにしたがって、総不純物濃度が小さくなる点である。
【0093】
実施例7における炭化珪素半導体装置の終端領域の特徴を、図37を用いて、同終端領域の製造方法を、図38〜40を用いて説明する。
【0094】
図37は炭化珪素半導体装置の終端領域の断面図を示したものである。図38〜40は実施例7における炭化珪素半導体装置の製造方法を示す図である。なお、p型リング以外の製造方法は実施例1と同様であるため割愛する。
【0095】
図37に示すように、アクティブ領域に近い領域におけるリング705の総不純物濃度は大きく、アクティブ領域から遠ざかるにつれて総不純物濃度が小さくなるようにしたものである。
【0096】
図38に示すようにエピタキシャル層102にp型不純物、Alをイオン注入することにより、エピタキシャル層102にp型の第1リング705aを形成する。ここでリング705gは実施例1と同様、斜めイオン注入で形成する。
【0097】
次に、図39に示すように、エピタキシャル層102にp型不純物、Alを斜めイオン注入することで、第1リングの外側に第1リングの総不純物濃度よりも低い総不純物濃度を有したp型の第2リング705hを形成する。
【0098】
次に、図40に示すように、エピタキシャル層102にp型不純物、Alを斜めイオン注入することで、第2リングの外側に第2リングの総不純物濃度よりも低い総不純物濃度を有したp型の第3リング705iを形成する。
【0099】
このように実施例7によれば、アクティブ領域に近い領域におけるリングの総不純物濃度は大きく、アクティブ領域に遠ざかるにつれて総不純物濃度が小さくなるため、よりロバストなターミネーションを形成することができる。
【符号の説明】
【0100】
1…炭化珪素半導体装置、2…アクティブ領域、3…リング、4…チャネルストッパ、5…p型ウェル領域、101…SiC基板、102…エピタキシャル層、103…SiCエピタキシャル基板、104…電極、105…p型リング、105a…リング105の高濃度領域、105b…リング105の低濃度領域、106…p型ウェル領域、106a…p型ウェル領域の高濃度領域、106b…p型ウェル領域の高濃度領域、107…チャネルストッパ、108…SiO膜、109…ハードマスク、109a、109b、109c…ハードマスクパターン、N1…不純物注入方向、N2…不純物注入方向、N3…不純物注入方向、N4…不純物注入方向、
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】

【手続補正書】
【提出日】20150629
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の炭化珪素基板と、前記炭化珪素基板の表面上に形成された第1導電型の炭化珪素エピタキシャル層と、前記エピタキシャル層上に配置された第1電極と、前記炭化珪素基板の裏面に配置された第2電極とを備えた炭化珪素半導体装置において、
前記エピタキシャル層は平面視領域として、アクティブ領域と、前記アクティブ領域を囲む端部領域とを備え、
前記端部領域は、前記アクティブ領域を前記リング状に囲む平面視形状となる第2導電型の不純物が注入され、前記第1電極に直接接していないリングを多重に備え、
前記リングは、平面視形状で直線状のライン部と、前記ライン部を繋ぐコーナー部とを備え、前記ライン部と前記コーナー部の接続部から前記コーナーの中間に向かうにしたがって前記リング間距離が徐々に狭くなり、
前記リングは、平面視形状で高濃度領域を低濃度領域で挟み込む構造を備え、前記ライン部と前記コーナー部の接続部から前記コーナーの中間に向かうにしたがって前記低濃度領域の不純物濃度が薄くなることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記コーナー部のリング幅は、前記コーナー部の中間に向かって前記コーナー部内側と外側の両方に広がっていることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記リングの間隔がライン部から前記コーナー部に向かって徐々に狭くなっていることを特徴とした炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記リングの高濃度領域の不純物濃度は1×1016〜1×1019cm−3
前記リングの低濃度領域の不純物濃度は1×1015〜1×1018cm−3であることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記リングは前記アクティブ領域より一段低い位置に設けられていることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【国際調査報告】