(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014049860
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】ボトム衣類
(51)【国際特許分類】
   A41C 1/00 20060101AFI20160725BHJP
   A41C 1/02 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !A41C1/00 F
   !A41C1/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
【出願番号】2012553137
(21)【国際出願番号】JP2012075201
(22)【国際出願日】20120928
(11)【特許番号】5204933
(45)【特許公報発行日】20130605
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】306033379
【氏名又は名称】株式会社ワコール
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院中島町29番地
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129137
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 ゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100183058
【弁理士】
【氏名又は名称】李 京佳
(72)【発明者】
【氏名】北川 由香
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院中島町29番地 株式会社ワコール内
(72)【発明者】
【氏名】隈井 順子
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院中島町29番地 株式会社ワコール内
【テーマコード(参考)】
3B131
【Fターム(参考)】
3B131AA08
3B131AB15
3B131BA11
3B131BA21
3B131BA41
(57)【要約】
着用して動いても着崩れることなく、効果的にヒップアップ可能であり、かつ、締め付け感を軽減することができるボトム衣類を提供する。
本発明のボトム衣類(100)は、ヒップを覆う後部分(101A)及び後部分に向かい合う前部分(101B)を含むボトム衣類であって、さらに、一対のヒップ引き上げ部(102)を含み、ヒップ引き上げ部(102)は、逆U字状であり、ヒップ引き上げ部(102)の下側部分は、ヒップトップPを囲むように臀裂側と脇側とにそれぞれ分岐し、臀裂側の下端部Sと脇側の下端部Tとが一定の距離を置いて離れた状態に形成されており、ヒップ引き上げ部(102)は、ヒップ引き上げ部(102)によって囲まれたヒップトップPを含む後部分(101A)の一部の領域よりも相対的に左右方向に難伸縮性を有するように形成されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒップを覆う後部分及び前記後部分に向かい合う前部分を含むボトム衣類であって、
さらに、一対のヒップ引き上げ部を含み、
前記ヒップ引き上げ部は、逆U字状であり、
前記ヒップ引き上げ部の下側部分は、ヒップトップを囲むように臀裂側と脇側とにそれぞれ分岐し、臀裂側の下端部と脇側の下端部とが一定の距離を置いて離れた状態に形成されており、
前記ヒップ引き上げ部は、前記ヒップ引き上げ部によって囲まれたヒップトップを含む前記後部分の一部の領域よりも相対的に左右方向に難伸縮性を有するように形成されていることを特徴とするボトム衣類。
【請求項2】
前記ヒップ引き上げ部の上辺部は、着用時における腸骨稜上端の位置よりも下側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のボトム衣類。
【請求項3】
前記ヒップ引き上げ部は、上側よりも下側の方が相対的に伸び難くなるように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のボトム衣類。
【請求項4】
前記ヒップ引き上げ部の逆U字状の両腕部が、波形状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のボトム衣類。
【請求項5】
前記ボトム衣類が、クロッチ部を含み、
前記ヒップ引き上げ部と前記クロッチ部とは、連結されていないことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のボトム衣類。
【請求項6】
前記ヒップ引き上げ部が、前記後部分における前記ヒップ引き上げ部以外の部分よりも復元力の大きい素材で形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のボトム衣類。
【請求項7】
前記衣類がガードルであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のボトム衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトム衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヒップの弛みを押し上げてきれいなシルエットに整えたいというニーズがある。このようなニーズに応えるため、ヒップアップ機能を有するショーツおよびガードル等のボトム衣類が、従来から使用されている。従来のヒップアップ機能を有するボトム衣類では、ヒップの肉を下から上へ持ち上げるために、ヒップ下部に難伸縮性を有する部位が設けられていた。例えば、特許文献1では、ウエストラインの背面部に於ける中央付近から、臀部と臀部の間を通り下に向かい、それぞれの臀部の輪郭に沿いながら臀部のおよそ下方と臀部のおよそ側面部を通り、ウエストラインに至る部分に釣り上げ用サポーターを設けたガードルが提案されている。また、特許文献2では、下着本体の裏側の前中心上端から脚部の付け根部分を巻いて左右対称に縫付けられた伸縮性生地からなる1対のヨーク部材が配置され、前記ヨーク部材には引っ張り力が掛けられている体型補整用下着が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−316902号公報
【特許文献2】特開2007−77566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記ガードルおよび体型補整用下着を含めたヒップアップ機能を有する従来のボトム衣類では、動いているうちにヒップ下部にガードル等が食い込んで着崩れてしまうという問題があった。さらに、前記従来のボトム衣類では、着用時に締め付け感があり、窮屈であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、着用して動いても着崩れることなく、効果的にヒップアップ可能であり、かつ、締め付け感を軽減することができるボトム衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のボトム衣類は、
ヒップを覆う後部分及び前記後部分に向かい合う前部分を含むボトム衣類であって、
さらに、一対のヒップ引き上げ部を含み、
前記ヒップ引き上げ部は、逆U字状であり、
前記ヒップ引き上げ部の下側部分は、ヒップトップを囲むように臀裂側と脇側とにそれぞれ分岐し、臀裂側の下端部と脇側の下端部とが一定の距離を置いて離れた状態に形成されており、
前記ヒップ引き上げ部は、前記ヒップ引き上げ部によって囲まれたヒップトップを含む前記後部分の一部の領域よりも相対的に左右方向に難伸縮性を有するように形成されている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のボトム衣類によれば、着用して動いても着崩れることなく、効果的にヒップアップ可能であり、かつ、締め付け感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係るガードル100を示す背面斜視図である。
【図2】図2(a)および(b)は、前記第1の実施形態に係るガードル100のヒップの持ち上げ方を説明する図である。
【図3】図3は、従来のガードルのヒップアップの仕方を模式的に説明する図である。
【図4】図4(a)は、前記第1の実施形態に係るガードル100のヒップ引き上げ部の配置を説明する図である。図4(b)は、人体の腰部付近を側面方向から見た骨格の模式図である。
【図5】図5は、前記第1の実施形態に係るガードル100のヒップ引き上げ部の配置を説明する図である。
【図6】図6(a)は、前記第1の実施形態に係るガードル100のヒップ引き上げ部102の上辺部Uの位置を説明する図である。図6(b)は、人体の腰部付近を前方向から見た骨格の模式図である。
【図7】図7は、本発明におけるヒップ引き上げ部のバリエーションを示す図である。
【図8】図8は、前記第1の実施形態に係るガードル100を下から見たクロッチ部付近の図である。
【図9】図9(a)および(b)は、本発明の着用評価の結果を示す図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施形態に係るガードル200を示す背面斜視図である。
【図11】図11は、臀部の皮膚の上下方向への伸びを説明する図である。
【図12】図12は、ヒップの弛みを持ち上げる方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者は、ガードル等のヒップ下部への食い込みが生じる原因を解明するため、鋭意研究を行った。その結果、後述のとおり、臀溝部の皮膚が非常に伸びやすいことが判明した。そして、食い込みの原因は、ガードル等の着用時に臀溝部に該当する位置の生地が、着用者の動作または姿勢変化に伴う前記臀溝部の皮膚の伸縮に追随できないことにあることがわかった。
【0010】
図11は、臀部の皮膚の上下方向への伸びを説明する図である。図11において、Xで示す部分は、立位から座位となった時の、皮膚の伸び率が最も大きい箇所である。図11に示すように、腰部、臀部および大腿部の中で、臀溝部の皮膚が最も伸び率が大きくなっている。このように、臀溝部の皮膚は非常に伸び易く、運動による変化が大きい箇所といえる。
【0011】
従来のヒップアップ機能を有するボトム衣類では、前述のとおり、ヒップ下部に難伸縮性を有する補整力(サポート力または緊締力とも表現できる)の強い部位が設けられており、臀溝部に該当する位置が伸びにくくなっていた。そのため、前述のように運動時に大きく変化する臀溝部の皮膚の動きに衣類の生地が追随できず、食い込みが生じていた。そこで、本発明者は、臀溝部の皮膚の動きが大きい箇所には伸びにくい部位を設けないようにすることで、食い込みを防ぐことができることを確認した。
【0012】
以上により、本発明者は、臀溝部の皮膚の動きが大きい箇所には伸びにくい部位を設けないようにするとともに、ヒップ下部の臀裂側と脇側(例えば、図12に示すヒップ下部の臀裂側Wと脇側Z)とを上側に押し上げる機能を衣類に持たせることで、着用して動いても着崩れることなく、効果的にヒップアップ可能となることを確認し、本発明を完成するに至った。本発明では、以下に詳細に説明するとおり、衣類における他の部分よりも相対的に伸び難いヒップ引き上げ部が、臀溝部の皮膚の動きが大きい箇所には配置されていないため、衣類の生地が皮膚の伸びに追随することができ、着崩れを防ぐことができる。また、本発明では、以下に詳細に説明するとおり、前記ヒップ引き上げ部が図12に示すヒップ下部の臀裂側Wと脇側Zを上側に押し上げ、かつ、その押し上げた状態のヒップを上側から掴み上げるため、効果的にヒップアップすることが可能となる。なお、図12に示す臀裂側Wおよび脇側Zの位置は、厳密には特定されず、ヒップ下部の臀裂側および脇側において、ヒップの形状に応じて、ヒップを押し上げる効果を得ることができる位置であれば良い。
【0013】
本発明のボトム衣類について、例をあげて説明する。ただし、本発明は、以下の例に限定および制限されない。
【0014】
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態に係るガードル100を示す。図1は、ガードル100の背面斜視図である。本実施形態のガードル100は、ヒップを覆う後部分101A及び後部分101Aに向かい合う前部分101Bを含むボトム衣類であって、さらに、一対のヒップ引き上げ部102を含む。本実施形態において、ガードル100は、大腿部までを覆うロングタイプのガードルである。
【0015】
本発明において、ヒップ引き上げ部102は、逆U字状(「馬蹄状」ということもできる。)である。そして、ヒップ引き上げ部102の下側部分は、ヒップトップPを囲むように臀裂側(図1における102A)と脇側(図1における102B)とにそれぞれ分岐し、臀裂側の下端部Sと脇側の下端部Tとが一定の距離を置いて離れた状態に形成されている。本実施形態において、ヒップ引き上げ部102は、後部分101Aの左右それぞれにおいて、臀裂側から脇側にかけて配置されている。そして、ヒップ引き上げ部102は、後部分101Aを形成する引き上げ部102以外の部分よりも相対的に難伸縮性を有するように形成されている。より具体的には、ヒップ引き上げ部102は、左右方向L2に難伸縮性を有するように形成されている。なお、「左右」方向とは、着用状態における左右方向を意味する。ヒップ引き上げ部102において、ヒップ引き上げ部102の下側部分を形成する腕部102Aおよび102Bの方が、ヒップ引き上げ部102の上側部分よりも左右方向(臀裂から脇側に向けての方向もしくはその逆方向)に難伸縮性を有するように形成されていることが好ましい。また、ヒップ引き上げ部102は、上下方向L1には伸縮性を有するように形成することが好ましい。なお、「上下」とは、着用時における上下方向を意味する。なお、本実施形態では、ヒップ引き上げ部102が、ヒップ引き上げ部102以外の後部分101Aよりも難伸縮である例を挙げて説明しているが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、ヒップ引き上げ部102によって囲まれたヒップトップを含む後部分の領域Hよりも、ヒップ引き上げ部102の方が左右方向に難伸縮性を有するように形成されていれば良い。この場合にも、本実施形態に係るガードル100と同様の効果を得ることができる。なお、領域Hは、腕部102Aと102Bとによって囲まれたヒップトップPを含む領域である。
【0016】
本発明において、ヒップ引き上げ部102は、前述のとおり、臀裂側の下端部Sと脇側の下端部Tとが一定の距離を置いて離れた状態に形成されている。これにより、ヒップ引き上げ部102の臀裂側の下端部Sおよび脇側の下端部Tは、図11においてXで示す臀溝部の皮膚の伸び率が最も大きい箇所を避けて配置されることになる。このように、本発明では、臀溝部の皮膚の動きが大きい箇所には、ヒップ引き上げ部102が配置されていないため、後部分101Aの生地が皮膚の動きへ追随することが妨げられることなく、生地がヒップ下部へ食い込むのを防ぐことができる。
【0017】
本実施形態に係るガードル100のヒップの持ち上げ方を説明する。本実施形態のガードル100を着用すると、ヒップ引き上げ部102が後部分101Aのヒップ引き上げ部102以外の部分よりも難伸縮であるため、ヒップ引き上げ部102には、上辺部Uと臀裂側の下端部Sおよび脇側の下端部Tとの間で互いに引き合う力が働く。そのため、図2(a)に示すように、ヒップ引き上げ部102の下端部SおよびTによってヒップ下部の臀裂側と脇側とが上側に押し上げられる。このヒップ引き上げ部102の下端部SおよびTの着用時における位置は、図12に示すヒップ下部の臀裂側Wおよび脇側Zに該当する位置である。これにより、本発明によれば、ヒップを押し上げ、丸みのあるヒップを造ることができる。そして、図2(b)に示すように、前記下端部SおよびTで押し上げたヒップを、ヒップ引き上げ部102が、上方向から掴み上げる。これにより、本発明によれば、ヒップを効果的に持ち上げることができる。
【0018】
本発明では、前述のとおり、ヒップ引き上げ部102は、臀溝部の皮膚の伸び率が最も大きい箇所を避けて配置されている。そのため、ガードル100の後部分101Aにおいて、臀溝部の皮膚の動きが大きい箇所に該当する位置には伸縮性を持たせることができ、ガードル100の生地が皮膚の伸びへ追随することができるため、食い込みを防ぐことができる。さらに、本発明では、締めつけることによってヒップを造形しているのではなく、ヒップアップに効果的な2箇所を押し上げ、押し上げたヒップを上から掴み上げるようにしてヒップアップさせており、ヒップ引き上げ部102以外の部分にはやわらかい生地を使用できるため、締め付け感が軽減される。
【0019】
従来のガードルは、前述のとおり、臀溝部に沿って難伸縮性を有する補整力の強い部位を設けることにより、ヒップアップしていた。そのため、図3に示すように、従来のガードルでは、ヒップ全体が中央(臀裂部)に寄せられており、パンツを着用した際には、シルエットが美しくなかった。これに対し、本発明では、ヒップ引き上げ部102によって、左右のヒップそれぞれを上方向から掴み上げている。そのため、本発明では、臀裂部にヒップが寄ることがない。したがって、本発明では、スカート、パンツどちらを着用した際にも、美しいシルエットを実現することができる。
【0020】
前述のように、本発明において、ヒップ引き上げ部102は、逆U字状であり、ヒップトップPを囲む状態で配置されている。すなわち、ヒップ引き上げ部102の逆U字状の下側部分における両腕部は、ヒップトップPを挟んで、臀裂側に腕部102Aが、脇側に腕部102Bが、それぞれ配置されている。このように、本発明では、ヒップトップを囲むようにヒップ引き上げ部を配置することで、ヒップトップの丸みをつぶさないようにヒップを持ち上げることができる。
【0021】
図4(a)に、大転子の位置と、本実施形態におけるヒップ引き上げ部102の脇側の腕部102Bの位置との関係を示す。図4(b)は、人体の腰部付近を側面方向から見た骨格の模式図である。図4(b)において、Qは大転子である。図4(a)に示すとおり、本実施形態において、脇側の腕部102Bは、大転子Qの位置よりもヒップ側に配置されていることが好ましい。このようにヒップ引き上げ部102を配置することにより、ヒップ引き上げ部102をヒップの膨らみに沿わせることができるため、ヒップの膨らみに沿ってヒップを持ち上げることができる。
【0022】
前述のように、本発明では、ヒップ引き上げ部102の下端部SおよびTは、臀溝部の皮膚の伸び率が最も大きい箇所を避けるように一定の距離をおいて離れた状態で配置されている。臀溝部の皮膚の伸び率が最も大きい箇所は、図5に示すヒップトップPから真下に下ろした仮想線(図中に二点鎖線で示す線)と臀溝部とが交差する位置周辺に存在するため、この位置には、下端部SおよびTがかからないことが好ましい。
【0023】
ヒップ引き上げ部102は、腕部102Aが臀溝部を跨がないことが好ましく、臀溝部に近接または接する位置となるように下端部Sの位置を設定することが好ましい。一方、腕部102Bにおいて、下端部Tは、臀溝部に近接または接する位置とすることが好ましいが、下端部Tの位置は、臀溝部よりも上側または下側のいずれの位置となるように配置してもよい。
【0024】
本発明において、「一定の距離」とは、臀溝部の皮膚の伸び率が最も大きい箇所を避けることができる距離であれば、特に制限されないが、例えば、ヒップ引き上げ部102の下端部SおよびTの間の距離が、着用状態において、2cm〜9cm離れていることが好ましく、より好ましくは3cm〜8cmであり、さらに好ましくは4cm〜6.5cmである。
【0025】
本実施形態において、ヒップ引き上げ部102の両腕部(腕部102Aおよび腕部102B)のそれぞれの幅は、特に制限されない。ヒップ引き上げ部102の両腕部の幅は、サイズまたは実現したいヒップの引き上げ力に応じて、決定することができる。また、ヒップ引き上げ部102の両腕部の幅は、臀裂側の腕部102Aと脇側の腕部102Bとで異なっていてもよい。例えば、臀裂側の腕部102Aの幅の方を、脇側の腕部102Bの幅よりも太くして、腕部102Aの引き上げ力の方が大きくなるように設定してもよい。また、腕部102Aの方が、腕部102Bよりも伸び難く形成することによって引き上げ力が大きくなるようにしてもよい。
【0026】
図6(a)に示すように、本実施形態において、ヒップ引き上げ部102の上辺部Uは、腸骨稜上端Rの位置よりも下側に配置されていることが好ましい。図6(b)は、人体の腰部付近を前方向から見た骨格の模式図である。図6(b)において、Rは腸骨稜上端である。このように、腸骨稜上端Rの位置よりも下側にヒップ引き上げ部102の上辺部Uを配置することにより、ウエストラインではなく、骨盤周辺部で、持ち上げたヒップを支えることができる。ここで、「ウエストライン」とは、腹部の最もくびれている箇所を水平に一周するラインをいう。ウエストラインには骨がないため、ウエストラインの位置に難伸縮性を有する生地を配置してヒップを支えるようにすると、食い込みが生じ易くなる。本実施形態では、ウエストラインではなく、骨盤周辺で持ち上げたヒップを支えることができるため、ウエストラインに該当する位置では衣類の伸縮性を高めることができる。これにより、ウエストラインへの生地の食い込みを防ぎ、違和感がなく、締め付け感が軽減された着心地を実現できる。
【0027】
本実施形態では、ヒップ引き上げ部102の上辺部Uは、ウエスト部104と連結されているが、本発明はこれに限られない。本発明において、「ウエスト部」とは、着用時における前記ウエストラインに該当する位置をいう。なお、本実施形態では、後部分101Aにおいてウエスト部104が別部材で構成されているが、本発明はこれに限られず、後部分はウエスト部に該当する部分まで一体に形成されていてもよい。また、本発明は、ウエスト部を有さないローライズタイプのガードルであってもよい。
【0028】
本実施形態において、ヒップ引き上げ部102は、上側よりも下側の方が相対的に伸び難くなるように形成されていることが好ましい。具体的には、本実施形態において、ヒップ引き上げ部102は、前述のとおり、上下方向(図1におけるL1の方向)には伸縮性を有することが好ましいが、上辺部Uから下端部SおよびTに向かうにつれて、上下方向に伸び難く形成されていることが好ましい。ヒップ引き上げ部102の下端部SおよびTは、ヒップを押し上げて弛みを持ち上げるとともに、ヒップに丸みを持たせる部分であるため、この部分をヒップ引き上げ部102の中で最も伸び難くすることで、ヒップの肉の重みに負けず、効果的にヒップを引き上げることができる。また、ヒップ引き上げ部102の上辺部Uに向かうにつれて伸び易く形成することにより、骨盤周辺部での締め付け感がより緩和され、着用感がより楽になるため、好ましい。なお、本実施形態では、ヒップ引き上げ部の上側よりも下側の方が伸び難く形成されている例を挙げているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、ヒップ引き上げ部全体の伸び難さを均等に形成するようにしてもよい。
【0029】
本実施形態において、ヒップ引き上げ部102の逆U字状の両腕部は、波形状となっている。これにより、着用時に、ヒップ引き上げ部102とそれ以外の部分との境界において段差が生じるのを防ぐことができ、好ましい。本発明において、前記両腕部の両辺が波形状であってもよいし、一方の辺のみが波形状であってもよい。ただし、本発明はこれに限られず、後述のように、ヒップ引き上げ部102の逆U字状の両腕部は、帯状であってもよい。
【0030】
本実施形態において、ヒップ引き上げ部102は、別部材を後部分101Aに取り付けて形成されている。ただし、本発明はこれに限られず、例えば樹脂を本体部101に塗布してヒップ引き上げ部102を形成してもよいし、さらには、後部分101Aの編み組織を部分的に変更することによってヒップ引き上げ部102を形成してもよい。また、ヒップ引き上げ部102は、後部分101Aにおけるヒップ引き上げ部102以外の部分よりも復元力が大きくなるように形成してもよい。これにより、ヒップ引き上げ部の補整力をより高めることができる。
【0031】
本発明において、ヒップ引き上げ部に使用できる素材は、特に制限されないが、例えば、ワンウェイパワーネット等を後部分101Aに縫着または接着等の手法によって取り付けて形成することができる。
【0032】
図7に、本発明におけるヒップ引き上げ部102のバリエーションの図を示す。本発明において、ヒップ引き上げ部102の逆U字状の両腕部は、図7に示すように、帯状に形成されていてもよい。また、本発明において、ヒップ引き上げ部102の逆U字状の両腕部に花柄または幾何学的な図柄を施してもよい。このように、本発明において、ヒップ引き上げ部102には様々なデザインを施すことができるため、外観上好ましい。
【0033】
前述のように、本発明において、ヒップ引き上げ部102は、臀溝部の皮膚の伸び率が最も大きい箇所には配置されていない。そのため、後部分101Aの生地を伸縮性の高い生地とすることにより、臀溝部の皮膚の伸びに後部分101Aの生地が追随できるため、食い込み等の着崩れを防止することができる。
【0034】
本発明において、後部分101Aに使用できる素材は、特に制限されないが、前述のように、伸縮性の高い生地を使用することが好ましい。特に、臀溝部の皮膚は、上下方向への伸び率が大きいため、この皮膚の動きに追随できるように、上下方向へ伸縮性が高いことが好ましい。後部分101Aに使用できる素材として、例えば、ツーウェイラッセル、ツーウェイトリコット等が挙げられる。
【0035】
本実施形態において、図8に示すように、ヒップ引き上げ部102は、クロッチ部103と連結していないことが好ましい。図8は、本実施形態に係るガードル100を下から見たクロッチ部103付近の図である。クロッチ部103は、足を前に出したとき、前方向に引かれる。そのため、クロッチ部103とヒップ引き上げ部102とが連結されていると、ヒップ引き上げ部102もクロッチ部103によって前方向に引かれる。そうすると、ヒップ引き上げ部102には、ヒップを持ち上げる方向と反対方向の力が及ぶことになる。そこで、ヒップ引き上げ部102をクロッチ部103と連結させないことにより、足を前に出した時でも、ヒップ引き上げ部102が前方向に引かれることがないため、ヒップ引き上げ部102がヒップを引き上げる効果が阻害されず、好ましい。
【0036】
本発明において、前部分101Bの構成は、特に制限されず、デザインに応じて自由に設計することができる。また、本発明において、ヒップ引き上げ部102の上辺部Uは、後部分101Aから脇側を通って前部分101Bにまで配置されていてもよい。
【0037】
本発明のボトム衣類は、前部分と後部分とが別部材であり、互いに固着することによって形成されていてもよいし、前部分と後部分とが一体で形成されていてもよい。
【0038】
(着用客観評価)
図1に示すタイプの本発明の実施形態1に係るガードル100を作製し、着用評価を行った。図9は、前記ガードル100、および、従来品のヒップアップ機能を有するガードルAについて、それぞれ同一のモニターが着用した状態で写真撮影した結果の図である。図9において、(a)が本発明のガードル100の結果であり、(b)が従来品のガードルAの結果である。図9(a)および(b)それぞれにおいて、左側はモアレ干渉縞による立体的な造型性を等高線で示した結果の図である。本評価において、従来品のガードルAは、臀溝部に沿ってヒップを持ち上げるための難伸縮性の緊締部が配置されているタイプのガードルである。
【0039】
図9(a)および(b)の右側について比較すると、本発明に係るガードル100着用時の方が、従来品のガードルA着用時と比べ、臀溝部の弛みがなく、ヒップ全体がきれいに持ち上がっていることがわかる。また、従来品のガードルAでは、緊締部が設けられている位置に沿って段差が生じているが、本発明のガードル100では、段差のない自然な丸みを有するシルエットに造形できている。次に、図9(a)および(b)の左側について比較すると、本発明に係るガードル100では、ほぼ同心円状の等高線になっているのに対し、従来品のガードルAでは、図中に二点鎖線で囲んで示す部分のように等高線がいびつな形になっている。また、従来品のガードルAでは、臀裂部に等高線が密集しており、ヒップが全体的に臀裂部に寄せられているのに対し、本発明に係るガードル100では、従来品のガードルAを着用した場合と比べて臀裂部における等高線の間隔が広く、左右のヒップがそれぞれ持ち上がっていることがわかる。これにより、本発明に係るガードル100では、効果的に美しいシルエットでヒップアップできることがわかった。
【0040】
(着用主観評価)
図1に示すタイプの本発明の実施形態1に係るガードル100を作製し、着用評価を行った。40代〜50代のモニター11名に、本発明のガードル100を着用してもらい、コメントを求めた。その結果、「楽な着け心地である」、「お尻の下に手を添えて持ち上げているような感じがする」、「お尻が違和感なくきれいなシルエットに整えられている」、「脚が長く見える」、「運動後も食い込まない」という回答が得られた。これにより、本発明に係るガードル100では、効果的にヒップアップ可能であり、締め付け感が軽減され、運動後も食い込みが生じないことが確認できた。
【0041】
(第2の実施形態)
図10に、本発明の第2の実施形態に係るガードル200を示す。図10は、ガードル200の背面斜視図である。図10において、図1と同一部分には、同一符号を付し、説明を省略している。
【0042】
本実施形態において、ガードル200は、大腿部を覆う部分を有さない、ショーツタイプのガードルである。このように、本発明は、ロングタイプのガードルに限らず、様々なタイプのガードルに適用することができる。
【0043】
以上、実施の形態の具体例として、ガードルをあげて本発明を説明したが、本発明のボトム衣類は、これらの具体例で記載されたもののみに限定されるものではなく、種々の態様が可能である。例えば、ガードルの他、ショーツにも適用可能であるし、さらに、上記の実施形態のようなファンデーション衣類以外にも、タイツ、レギンス、レオタード、水着、アウターパンツ、その他各種の衣類に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、着用して動いても着崩れることなく、効果的にヒップアップ可能であり、かつ、締め付け感を軽減することができるボトム衣類を提供することができる。したがって、本発明は、体型を補整するための衣類において、有効に利用することができるが、その用途は限定されず、広い分野で使用することができる。
【符号の説明】
【0045】
100、200 ボトム衣類(ガードル)
101A 後部分
101B 前部分
102 ヒップ引き上げ部
102A 臀裂側腕部
102B 脇側腕部
103 クロッチ部
104 ウエスト部
P ヒップトップ
S、T ヒップ引き上げ部の下端部
U ヒップ引き上げ部の上辺部
Q 大転子
R 腸骨稜上端
L1 上下方向
L2 左右方向
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【国際調査報告】