(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014049885
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】III族窒化物半導体素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20160725BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20160725BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20160725BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20160725BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20160725BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !H01L21/78 S
   !H01L21/02 C
   !H01L21/20
   !H01L29/44 S
   !H01L33/00 186
   !H01L21/306 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
【出願番号】2014538076
(21)【国際出願番号】JP2012075869
(22)【国際出願日】20120928
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】514137034
【氏名又は名称】ビービーエスエイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BBSA Limited
【住所又は居所】中華人民共和国 ホンコン ワンチャイ クイーンズロードイースト 58−64 クイーンズセンター 3/F ユニットエイ
(71)【出願人】
【識別番号】506334182
【氏名又は名称】DOWAエレクトロニクス株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区外神田四丁目14番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100136858
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】▲チョ▼ 明煥
【住所又は居所】大韓民国 449863 ギョンギドー ヨンイン−シティ チェオイン−グ バエカム−ミョオン ゴアン−リ 633−2 ウェーブスクエア,インコーポレイテッド内
(72)【発明者】
【氏名】李 錫雨
【住所又は居所】大韓民国 449863 ギョンギドー ヨンイン−シティ チェオイン−グ バエカム−ミョオン ゴアン−リ 633−2 ウェーブスクエア,インコーポレイテッド内
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 隆一
【住所又は居所】東京都千代田区外神田4−14−1 DOWAエレクトロニクス株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】門脇 嘉孝
【住所又は居所】東京都千代田区外神田4−14−1 DOWAエレクトロニクス株式会社内
【テーマコード(参考)】
4M104
5F043
5F063
5F141
5F152
5F241
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104BB02
4M104BB04
4M104BB05
4M104BB06
4M104BB07
4M104BB08
4M104BB09
4M104BB13
4M104BB14
4M104CC01
4M104DD08
4M104DD34
4M104FF04
4M104GG04
4M104GG09
5F043AA40
5F043BB30
5F043DD18
5F043GG10
5F063AA05
5F063BA33
5F063CB08
5F063CC13
5F141AA41
5F141CA05
5F141CA40
5F141CA65
5F141CA74
5F141CA77
5F141CA93
5F152LL05
5F152LP08
5F152MM10
5F152MM16
5F152NN13
5F152NP17
5F152NQ09
5F241AA41
5F241CA05
5F241CA40
5F241CA65
5F241CA74
5F241CA77
5F241CA93
(57)【要約】
半導体構造部のコーナー近傍から中央部に伸展するX型のクラックだけでなく、中央部分に生じる点状のクラックの発生をも抑制した高品質のIII族窒化物半導体素子、および該III族窒化物半導体素子を効率的に製造する方法を提供する。
本発明のIII族窒化物半導体素子は、支持体146Aと、この支持体146A上に設けられる、横断面の形状が略四角形の2つの半導体構造部114と、を有し、2つの半導体構造部114は、それぞれの1つの側面150A同士が向かい合って位置し、支持体146Aが、半導体構造部114における4つの側面のうち残りの3つの側面150B,150Cを覆うことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長用基板の上にリフトオフ層を介して、第1導電型III族窒化物半導体層、活性層および第2導電型III族窒化物半導体層を順次積層してなる半導体積層体を形成する工程と、
該半導体積層体の一部を除去して、前記成長用基板の一部が底部で露出する複数の溝を格子状に形成することで、横断面の形状が略四角形の半導体構造部を複数個形成する工程と、
前記複数の溝を、一方向に一列おきに充填材で塞ぐ工程と、
メッキ法により、複数個の前記半導体構造部を一体支持する支持体を形成する工程と、
該支持体に、前記充填材に連通する貫通孔を形成する工程と、
前記充填材を除去して空隙を形成する工程と、
前記貫通孔から前記空隙へとエッチング液を供給して、それぞれの前記半導体構造部の1つの側面のみから前記リフトオフ層のエッチングを進行させ、前記リフトオフ層を除去する工程と、
前記第1および第2導電型III族窒化物半導体層とそれぞれ電気的に接続する第1および第2電極を形成する工程と、
前記複数の溝に沿って前記支持体を切断する個片化工程と、
を有し、該個片化工程では、前記充填材を設けた溝以外の少なくとも一部の溝に沿って前記支持体を切断することにより、切断後の前記支持体のそれぞれにm×n列の半導体構造部(ここでmは自然数、nは2以上の偶数である)が支持されたIII族窒化物半導体素子を作製することを特徴とするIII族窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記個片化工程では、前記充填材を設けた溝以外の全ての溝に沿って前記支持体を切断することにより、切断後の前記支持体のそれぞれに2つの半導体構造部が支持されたIII族窒化物半導体素子を作製することを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記第1または第2電極の少なくとも一方の電極は、前記支持体を兼ねており、
前記第1または第2電極の他方の電極の、片方の前記半導体構造部と接続する第1の部分と、他方の前記半導体構造部と接続する第2の部分とを、隣接して位置させる請求項2に記載のIII族窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項4】
支持体と、
該支持体上に設けられ、第2導電型III族窒化物半導体層、活性層および第1導電型III族窒化物半導体層をこの順に有し、横断面の形状が略四角形の2つの半導体構造部と、
前記第1および第2導電型III族窒化物半導体層とそれぞれ電気的に接続する第1および第2電極と、
を有するIII族窒化物半導体素子であって、
前記2つの半導体構造部は、それぞれの1つの側面同士が向かい合って位置し、
前記支持体が、前記半導体構造部における4つの側面のうち残りの3つの側面、または、対向する他の2つの側面を覆うことを特徴とするIII族窒化物半導体素子。
【請求項5】
前記第1または第2電極の少なくとも一方の電極は、前記支持体を兼ねており、
前記第1または第2電極の他方の電極の、片方の前記半導体構造部と接続する第1の部分と、他方の前記半導体構造部と接続する第2の部分とが、隣接して位置する請求項4に記載のIII族窒化物半導体素子。
【請求項6】
前記第1または第2電極の両方が前記支持体を兼ねる請求項5に記載のIII族窒化物半導体素子。
【請求項7】
前記第1または第2の電極の一方のみが前記支持体を兼ね、
他方の電極は前記支持体と前記半導体構造部との間から引き出され、前記2つの半導体構造部の間で露出している請求項5に記載のIII族窒化物半導体素子。
【請求項8】
複数個の請求項4〜7のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体素子が、前記支持体において一体となり、m×n列の半導体構造部(ここでmは自然数、nは2以上の偶数である)を有するIII族窒化物半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III族窒化物半導体素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子には、電界効果トランジスタ(FET)、発光ダイオード(LED)などの各種デバイスがある。これらには、例えば、III族元素とV族元素との化合物からなるIII−V族半導体が用いられる。
【0003】
III族元素としてAl,Ga,Inなどを用い、V族元素としてNを用いたIII族窒化物半導体は、高融点で窒素の解離圧が高くバルク単結晶成長が困難であり、大口径で安価な導電性単結晶基板が無いという理由から、サファイア基板上に成長させることにより形成するのが一般的である。
【0004】
しかしながら、サファイア基板は絶縁性であって電流が流れない。そのため近年、サファイア基板などの成長用基板上に、発光層を含むIII族窒化物半導体層を形成し、このIII族窒化物半導体層上に、別途支持体を貼合せた後、サファイア基板を剥離(リフトオフ)して、III族窒化物半導体層が支持体に支持された縦型構造のLEDチップなどを作製する方法が研究されている。
【0005】
この方法の例として、特許文献1に記載されたIII族窒化物半導体縦型構造LEDチップの製造方法を図19および図20により説明する。図19(A)〜(F)は、従来のIII族窒化物半導体縦型構造LEDチップ500の製造方法の各工程を模式側面断面図で示したものである。まず、成長用基板501の上にリフトオフ層502を介して、第1導電型III族窒化物半導体層504、発光層505および第2導電型III族窒化物半導体層506を順次積層して半導体積層体503を形成する(図19(A))。次に、成長用基板501が露出するよう、半導体積層体503およびリフトオフ層502の一部を除去することで、独立した複数個の半導体構造部507を形成する(図19(B))。次に、下部電極を兼ね、複数個の半導体構造部507を一体支持する支持体512を形成する(図19(C))。そして、ケミカルリフトオフ法を用いてリフトオフ層502を除去することで、成長用基板501を複数個の半導体構造部507から剥離する(図19(D))。その後、上部電極516を半導体構造部507の剥離面側に形成し(図19(E))、最後に、半導体構造部507間で支持体512を図20の破線に沿って切断等により分離することにより、切断後の支持体512Aに1つの半導体構造部507が支持された複数個のLEDチップ500に個片化する(図19(F))。
【0006】
図20(A)は、個片化する前の複数の半導体構造部が形成された図19(E)の状態のウェハの模式上面図である。図20(A)の破線に沿った断面図が図19(E)となっている。図20(B)は、図20(A)の破線に沿って個片化した1つのLEDチップ500の模式側面図である。このように、特許文献1では、支持体512のうち隣接する半導体構造部507の間に位置する部分に、個片化の切断ライン(破線)に沿って貫通溝514を設けた。そのため、図19(C)から(D)にかけてリフトオフ層502を除去する際に、エッチング液が貫通溝514を介して各半導体構造部507の周囲に供給される。そのため、各半導体構造部507直下のリフトオフ層502のエッチングは、半導体構造部の外周部から中央部に向かって進行する。
【0007】
このとき、特許文献1では、図20に示すように、半導体構造部507の横断面の形状を円形またはコーナーに丸みを有する4n角形状(nは整数)としている。仮に、半導体構造部の横断面の形状が、コーナーに丸みを有しない4角形の場合、リフトオフ後の個々の半導体構造部にはかなりの比率で、図21(A)のような、コーナー近傍から中央部に伸展するX型のクラックが導入される。特許文献1では、半導体構造部の横断面の形状を上記のようにすることで、エッチング途中でコーナーに応力が集中する(半導体構造部の外周からのエッチング進行のベクトル同士が衝突する)のを回避することができ、上記X型のクラックが生じるのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2011/055462号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、本発明者らのさらなる検討によると、特許文献1に記載の方法では、リフトオフ後の個々の半導体構造部における、コーナーから中央に伸展するクラックは、有効に抑制することができるものの、図21(B)に示すように、半導体構造部の中央部分に新たに点状のクラックがかなりの比率で生じることが判明した。このような点状のクラック発生を問題としている公開された特許文献や学術文献は皆無であるが、III族窒化物半導体素子の量産化のためには解決すべき重要課題である。また、製造工程を簡略化して効率的にIII族窒化物半導体素子を製造することも、量産化においては重要である。
【0010】
そこで本発明は、前記課題に鑑み、ケミカルリフトオフ法を用いてリフトオフ層を除去するに際し、半導体構造部のコーナー近傍から中央部に伸展するX型のクラックだけでなく、中央部分に生じる点状のクラックの発生をも抑制した高品質のIII族窒化物半導体素子、および該III族窒化物半導体素子を効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)成長用基板の上にリフトオフ層を介して、第1導電型III族窒化物半導体層、活性層および第2導電型III族窒化物半導体層を順次積層してなる半導体積層体を形成する工程と、
該半導体積層体の一部を除去して、前記成長用基板の一部が底部で露出する複数の溝を格子状に形成することで、横断面の形状が略四角形の半導体構造部を複数個形成する工程と、
前記複数の溝を、一方向に一列おきに充填材で塞ぐ工程と、
メッキ法により、複数個の前記半導体構造部を一体支持する支持体を形成する工程と、
該支持体に、前記充填材に連通する貫通孔を形成する工程と、
前記充填材を除去して空隙を形成する工程と、
前記貫通孔から前記空隙へとエッチング液を供給して、それぞれの前記半導体構造部の1つの側面のみから前記リフトオフ層のエッチングを進行させ、前記リフトオフ層を除去する工程と、
前記第1および第2導電型III族窒化物半導体層とそれぞれ電気的に接続する第1および第2電極を形成する工程と、
前記複数の溝に沿って前記支持体を切断する個片化工程と、
を有し、該個片化工程では、前記充填材を設けた溝以外の少なくとも一部の溝に沿って前記支持体を切断することにより、切断後の前記支持体のそれぞれにm×n列の半導体構造部(ここでmは自然数、nは2以上の偶数である)が支持されたIII族窒化物半導体素子を作製することを特徴とするIII族窒化物半導体素子の製造方法。
【0012】
(2)前記個片化工程では、前記充填材を設けた溝以外の全ての溝に沿って前記支持体を切断することにより、切断後の前記支持体のそれぞれに2つの半導体構造部が支持されたIII族窒化物半導体素子を作製することを特徴とする上記(1)に記載のIII族窒化物半導体素子の製造方法。
【0013】
(3)前記第1または第2電極の少なくとも一方の電極は、前記支持体を兼ねており、
前記第1または第2電極の他方の電極の、片方の前記半導体構造部と接続する第1の部分と、他方の前記半導体構造部と接続する第2の部分とを、隣接して位置させる上記(2)に記載のIII族窒化物半導体素子の製造方法。
【0014】
(4)支持体と、
該支持体上に設けられ、第2導電型III族窒化物半導体層、活性層および第1導電型III族窒化物半導体層をこの順に有し、横断面の形状が略四角形の2つの半導体構造部と、
前記第1および第2導電型III族窒化物半導体層とそれぞれ電気的に接続する第1および第2電極と、
を有するIII族窒化物半導体素子であって、
前記2つの半導体構造部は、それぞれの1つの側面同士が向かい合って位置し、
前記支持体が、前記半導体構造部における4つの側面のうち残りの3つの側面、または、対向する他の2つの側面を覆うことを特徴とするIII族窒化物半導体素子。
【0015】
(5)前記第1または第2電極の少なくとも一方の電極は、前記支持体を兼ねており、
前記第1または第2電極の他方の電極の、片方の前記半導体構造部と接続する第1の部分と、他方の前記半導体構造部と接続する第2の部分とが、隣接して位置する上記(4)に記載のIII族窒化物半導体素子。
【0016】
(6)前記第1または第2電極の両方が前記支持体を兼ねる上記(5)に記載のIII族窒化物半導体素子。
【0017】
(7)前記第1または第2の電極の一方のみが前記支持体を兼ね、
他方の電極は前記支持体と前記半導体構造部との間から引き出され、前記2つの半導体構造部の間で露出している上記(5)に記載のIII族窒化物半導体素子。
【0018】
(8)複数個の上記(4)〜(7)のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体素子が、前記支持体において一体となり、m×n列の半導体構造部(ここでmは自然数、nは2以上の偶数である)を有するIII族窒化物半導体素子。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、半導体構造部のコーナー近傍から中央部に伸展するX型のクラックだけでなく、中央部分に生じる点状のクラックの発生をも抑制した高品質のIII族窒化物半導体素子、および該III族窒化物半導体素子を効率的に製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A)〜(C)は、本発明の一実施形態にかかるIII族窒化物半導体素子100の製造方法の工程の一部を模式側面断面図で示したものである。
【図2】(A),(B)は、図1(B)に引き続く工程を模式側面断面図で示したものである。
【図3】(A)〜(C)は、図2(B)に引き続く工程を模式側面断面図で示したものである。
【図4】(A),(B)は、それぞれ図1(B),図2(A)の状態の模式横断面図である。
【図5】(A),(B)は、それぞれ図3(A),図3(B)の状態の模式横断面図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかるIII族窒化物半導体素子100の模式斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態にかかるIII族窒化物半導体素子200の模式斜視図である。
【図8】(A),(B)は、本発明の他の実施形態にかかるIII族窒化物半導体素子300の製造方法の工程の一部を模式側面断面図で示したものである。
【図9】(A),(B)は、図8(B)に引き続く工程を模式側面断面図で示したものである。
【図10】(A),(B)は、図9(B)に引き続く工程を模式側面断面図で示したものである。
【図11】図10(B)に引き続く工程を模式側面断面図で示したものである。
【図12】図11に引き続く工程を模式側面断面図で示したものである。
【図13】図12に引き続く工程を模式側面断面図で示したものである。
【図14】図13に引き続く工程を模式側面断面図で示したものである。
【図15】(A)および(B)は、それぞれ図8(B)および図9(A)の模式上面図である。
【図16】(A)および(B)は、それぞれ図9(B)および図10(B)の模式上面図である。
【図17】(A)は、本発明の他の実施形態にかかるIII族窒化物半導体素子400の一部の断面図であり、(B)は、図17(A)と直交する断面図である。
【図18】(A)は、III族窒化物半導体素子400の模式斜視図であり、(B)は、III族窒化物半導体素子400の上面図であり、(C)は(B)のIII−III断面図である。
【図19】(A)〜(F)は、従来のIII族窒化物半導体縦型構造LEDチップ500の製造方法の各工程を模式側面断面図で示したものである。
【図20】(A)は、個片化する前の複数の半導体構造部が形成された図19(E)の状態のウェハの模式上面図であり、(B)は、(A)の破線に沿って個片化した1つのLEDチップ500の模式側面図である。
【図21】(A)は、他の従来の製造方法でLEDチップの半導体構造部に生じたクラックを示す写真であり、(B)は、図19および図20に示す従来の製造方法でLEDチップの半導体構造部に生じたクラックを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、本明細書において、本発明に従う各実施形態のIII族窒化物半導体素子で共通する構成要素には、原則として下2桁が同一の参照番号を付し、説明は省略する。
【0022】
(第1の実施形態)
本発明の一実施形態にかかるIII族窒化物半導体素子100の製造方法を、図1〜3および図4,5により説明する。まず、図1〜3と図4,5との対応関係を先に説明する。図4(A)は、図1(B)に示した状態の活性層110における横断面図であり、図4(A)のI−I断面が図1(B)に相当する。なお、図1(B)以外の断面図も同様の位置でのものであるが、樹脂134は図4(B)の樹脂134の位置に在るものを投影して描写している。また、図4(A)以外の横断面図も、同様に活性層110の位置でのものである。図4(B)は、図2(A)に示した状態の横断面図であるが、樹脂134の位置も追記している。図5(A)は、図3(A)に示した状態の横断面図である。図5(B)は、図3(B)に示した状態の横断面図である。
【0023】
まず、図1(a)に示すように、成長用基板102の上にリフトオフ層104を介して、第1導電型のn型III族窒化物半導体層108、活性層110および第2導電型のp型III族窒化物半導体層112を順次積層して、半導体積層体113を形成する。
【0024】
次に、図1(B)および図4(A)に示すように、半導体積層体113の一部を除去して、成長用基板102の一部が底部で露出する複数の溝116を格子状に形成することで、横断面の形状が四角形で島状に独立した半導体構造部114を複数個形成する。
【0025】
次に、図4(B)に示すように、格子状の溝116を縦方向に1列おきに充填材としての第1樹脂124で塞ぐ。これにより、各半導体構造部114において1つの側面のみが第1樹脂124に覆われる。続いて、各半導体構造部114における第1樹脂124に覆われていない3つの側面に、絶縁層122を形成する。
【0026】
その後、図1(C)に示すように、半導体構造部114の表面、第1樹脂124の表面、および露出している溝116の底部にメッキシード層126を形成する。この際、メッキシード層126は絶縁層122表面にも形成される。なお、3つの側面に絶縁層122を形成した後に、各半導体構造部114の1つの側面のみを第1樹脂124で覆うこともできる。また、図示しないが、実際の工程において、フォトリソグラフ法を用いても絶縁層を側面のみへ限定的に形成することは困難のため、少なくとも、半導体構造部114の表面の一部(側面と隣り合う表面の外周部)の上や溝116の底部の一部にも、絶縁層が側面から連続するように形成されることが好ましい。
【0027】
次に、第1樹脂124の表面上の任意の位置、本実施形態では図4(B)に示す位置に、第1樹脂124上のメッキシード層126の表面から上方に延びる柱状の第2樹脂134を形成する。I−I断面上ではないが、図1(C)および図2(A)にもその柱状の第2樹脂134を投影して示す。その後、図2(A)に示すように、メッキ法によりメッキシード層126上に支持体146を成長させる。このとき、図4(A)および(B)に網点で示すように、第1樹脂124で塞がれていない溝116は、支持体146と同じ材料で埋められており、当該部分を埋め込み部142とする。すなわち、本実施形態では、支持体が埋め込み部142を兼ねている。
【0028】
その後、図2(B)に示すように、溶剤(アセトンなど)を用いて、第2樹脂134を除去することにより、支持体146に第1樹脂124に連通する貫通孔143を形成する。図中には柱状の貫通孔143を破線により投影して示す。さらに、貫通孔143直下のメッキシード層と、第1樹脂124とを貫通孔114を介して除去することで、溝116のうち第1樹脂124により塞がれていた部分を空隙144とする。この結果、貫通孔143は、空隙144と連通し、リフトオフ層104と外部が繋がる通路となる。
【0029】
次に、ケミカルリフトオフ法を用いて、リフトオフ層104を除去する工程を行う。ここで本実施形態では、図5(A)に示すように、すべての半導体構造部114は、1つの側面150Aが空隙144となった溝116に面しており、他の3つの側面150B,150Cは、埋め込み部142で塞がれた溝116と面している。つまり、それぞれの半導体構造部107における他の3つの側面150B,150C全てを覆うように、埋め込み部142を溝に形成している。そして、エッチング液は貫通孔143から空隙144となった溝116にのみ供給され、埋め込み部で塞がれた溝116へは供給されない。そのため、図5(A)および図3(A)の矢印で示すように、リフトオフ層104のエッチングは半導体構造部114の1つの側面150Aのみから対向する側面150Cにむけて進行する。すなわち、埋め込み部142は、それぞれの半導体構造部114における4つの側面のうち、エッチングの進行が開始する1つの側面150Aにのみエッチング液が供給され、他の3つの側面150B,150Cへのエッチング液の供給を阻害する機能を有する。
【0030】
本実施形態では、リフトオフ層104が除去されても、埋め込み部142の直下のメッキシード層126が成長用基板102と接しているため、成長用基板102は半導体構造部114から剥離されない。そこで、図3(B)に示すように、メッキシード層126の成長用基板102と接している部位を除去して、成長用基板102を剥離する。
【0031】
最後に、複数の溝116に沿って支持体146を切断する個片化工程を行う。本実施形態では、図5(B)の破線部に示すように、第1樹脂124を設けた溝以外の全ての溝に沿って支持体146を切断することにより、図3(C)に示すように、切断後の支持体146Aのそれぞれに2つの半導体構造部114が支持された複数個のIII族窒化物半導体素子100を得ることができる。また、n型III族窒化物半導体層108と電気的に接続するn側電極148を半導体構造部114の剥離面側に形成する。なお、p型III族窒化物半導体層112と電気的に接続するp側電極は、支持体146Aが兼ねている。なお、図5(B)の破線部を一部除いて切断箇所を減らすことにより、m×n列の半導体構造部(ここでmは自然数、nは2以上の偶数である)が支持されたIII族窒化物半導体素子を作製することもできる。
【0032】
本発明者らは、空隙144からエッチング液を供給して、リフトオフ層104を、半導体構造部114の1つの側面150Aから、該側面に対向する側面150Cにむけて、一方向でエッチングすることにより、半導体構造部114に生じるクラックを十分に抑制することができることを見出した。
【0033】
以下、本発明の技術的意義を作用効果とともに説明する。本発明者らは、半導体構造部の中央部位に生じる点状のクラックの発生形態について鋭意検討を行った。特許文献1のような、半導体構造部の外周部からのエッチング液供給の場合、リフトオフ層は外周部から中央部に向けてエッチングが進行するが、成長用基板と半導体構造部がまさに分離している溶解フロント部、すなわち半導体構造部の、リフトオフ層を介して成長用基板と接着状態である部分と成長用基板と分離された状態となった部分との境界部で局所的な応力が加わってクラックが発生することが判明した。リフトオフ層のエッチングが終了する間際は、中央部分にリフトオフ層がまだ残っているため、中央部に応力が集中しクラックが発生する。
【0034】
一方、本実施形態の場合、エッチングの進行とそれに伴うクラック抑制の作用効果は、以下のようになる。それぞれの半導体構造部114の1つの側面150Aのみからリフトオフ層のエッチングを進行させると、上記の溶解フロント部は側面150Aからその対向側面150Cに向けて一直線のまま平行に移動するため、リフトオフ層104のエッチングが終了する最終段階で半導体構造部114の中央部分に応力が集中することを回避でき、その結果、半導体構造部114の中央部分に点状のクラックが生じるのを抑制することができる。さらに、一方向のエッチングなのでコーナーに応力が集中することはないので、コーナーから中央部に大きく延びるX型のクラックも抑制できる。
【0035】
さらに、本実施形態では、半導体構造部の横断面の形状を、円形やコーナーを丸くする形状とする必要はなく、四角形とすることができる。このため、ウェハあたりの有効面積のロスを少なくすることができる。すなわち、クラック抑制と有効面積増の両方の効果により、ウェハあたりの歩留まりを増やすことができる。
【0036】
また、本実施形態では、第1樹脂124を設けた溝を含めた全ての溝116に沿って支持体146を切断する場合よりも切断の回数を減らすことができ、効率的にIII族窒化物半導体素子を製造することができる。さらに、第1樹脂124を設けた溝を切断する場合に比べ、デブリ等の心配も少ないため、半導体構造部の1つの側面150Aの保護も容易である。
【0037】
図6は、上記製造方法で得ることができる、本発明に従うIII族窒化物半導体素子100の模式斜視図である。この素子100は、支持体146Aと、この支持体146A上に設けられ、p型III族窒化物半導体層112、活性層110、および、n型III族窒化物半導体層108をこの順に有し、横断面の形状が略四角形の2つの半導体構造部114と、を有する。そして、2つの半導体構造部114は、それぞれ1つの側面150A同士が向かい合って位置する。また、支持体146Aが、半導体構造部114における4つの側面のうち、側面150Bおよび側面150Cの3側面を覆うことを特徴とする。なお、この3つの側面と支持体146Aとの間には、絶縁層122およびメッキシード層126が存在する。III族窒化物半導体素子100は、支持体146Aがp側電極として働き、半導体構造部114上に設けられたn側電極148と対になる。
【0038】
次に、第1の実施形態の変形例を説明する。上記では、3つの側面150B,150C全てを覆うように埋め込み部142を溝116に設ける例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、対向する2つの側面150Bを覆うように、埋め込み部を溝116に設け、側面150Cが面する溝は空隙または導電性サポート体とは異なる材料による埋め込みとなっていてもよい。この埋め込みとしては、例えばアセトンなどの樹脂を溶解する溶液の導入経路が無く残存した樹脂などが挙げられる。アセトンの侵入経路がなければ、リフトオフ層の除去の前に、この樹脂を除去することはできず、側面150Cに面する溝にエッチング液が供給されることはない。このような構成でも、対向する2つの側面150Bの埋め込み部が側面150Cへのエッチング液の供給を阻害し、エッチング液の供給が貫通孔143から空隙144への経路に限定されることにより、1つの側面150Aのみからリフトオフ層104のエッチングを進行させることができる。
【0039】
ただし、側面150Cが面する溝を空隙にすると、リフトオフ層104のエッチングが完了したら、エッチング液が当該溝に抜け、これにより、半導体構造部114表面の側面150C側端部にクラックが入るおそれがある。よって、当該溝は、リフトオフ層のエッチングでは空隙とせず、そのエッチング完了後に除去可能な埋め込みとすることが好ましい。
【0040】
この変形例で得られるIII族窒化物半導体素子200の模式斜視図を図7に示す。素子200は、支持体246Aと、支持体246A上に設けられたp型III族窒化物半導体層212、活性層210、およびn型III族窒化物半導体層208を有する、横断面の形状が略四角形の2つの半導体構造部214と、を有する。2つの半導体構造部214は、それぞれの1つの側面250A同士が向かい合って位置し、支持体246Aが、半導体構造部214における4つの側面のうち、対向する2つの側面250Bを覆うことを特徴とする。側面250Cは露出している。なお、この側面250Bと支持体246Aとの間には、絶縁層222およびメッキシード層226が存在する。素子200は、支持体246Aがp側電極として働き、半導体構造部214上に設けられたn側電極248と対になる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、図8〜図16を参照して、本発明の他の実施形態にかかるIII族窒化物半導体素子300の製造方法について説明する。まず、図8〜図14の断面図と図15,16の上面図との対応関係を先に説明する。図15(A)は図8(B)に対応する上面図であり、図15(A)のII−II断面が図8(B)に対応する。なお、図8(B)以外の断面図も同様の位置でのものであるが、第2樹脂334と第3樹脂341については図16(B)の第2樹脂334の位置に在るものを投影して描写している。図15(B)は図9(A)に対応する上面図である。図16(A)は図9(B)に対応する上面図である。図16(B)は図10(B)に対応する上面図である。
【0042】
まず、図8(A)に示すように、成長用基板302の上にリフトオフ層304を形成する。リフトオフ層304の上に、バッファ層としてi型III族窒化物半導体層306(以後、「i層」という。)を形成し、さらに、第1導電型であるn型III族窒化物半導体層308(以後、「n層」という。)、活性層310および第2導電型であるp型III族窒化物半導体層312(以後、「p層」という。)を順次積層させて、半導体積層体313を形成する。なお、i型III族窒化物半導体層とは、特定の不純物を意図的に添加していない層(アンドープ層)のことをいう。理想的には不純物を全く含まない半導体とするのが好ましいが、電気的にp型またはn型として機能しない半導体とすればよく、キャリア濃度が小さいもの(例えば5×1016/cm未満のもの)をi型と称することができる。
【0043】
次に、図8(B)および図15(A)に示すように、p層312、活性層310、n層308およびi層306の一部を除去して、成長用基板302の一部が底部で露出する複数の溝316を格子状に形成することで、横断面形状が四角形の縦横に整列したn層308、活性層310およびp層312からなる半導体構造部314を複数個形成する。なお、成長用基板302とこの上に形成される全ての構造物を含めたものは「ウェハ」と呼ぶ。
【0044】
引き続き図8(B)および図15(A)に示すように、各半導体構造部314において、p層312および活性層310の一部を除去して、n層308の一部を露出させる。本実施形態では、n層の露出部308Aは円形で、各半導体構造部314中に複数(4箇所)形成される。ただし、半導体構造部314の層構成による電流の広がり長(Current Spreading Length)およびチップサイズを考慮して、配置位置や配置個数などは適宜設定することができる。
【0045】
次に、図9(A)および図15(B)に示すように、n層の露出部308Aの上に第1コンタクト層としての円形のn側コンタクト層318を形成し、p層312のほぼ全面の上に第2コンタクト層としてのp側コンタクト層320を形成する。
【0046】
次に、図9(B)および図16(A)に示すように、絶縁層322を形成する。絶縁層322は、半導体構造部314の露出している部位、n側コンタクト層318の上、およびp側コンタクト層320の上に形成される。ただし、これらの図中にも示すように、n側コンタクト層318の一部およびp側コンタクト層320の一部には絶縁層322を形成せず、露出させる。本実施形態では、n側コンタクト層の露出部318Aは、n型コンタクト層318の中心部分で円形をなす。また、p型コンタクト層の露出部320Aは、上面図(図16(A))において、p層312の端部312Aと該端部から最も近いn層の露出部308Aとの間で直線状に延在する。ここで、図16(A)に示すように、左側の半導体構造部では右寄りに露出部320Aを配置し、右側の半導体構造部では左寄りに露出部320Aを配置する。図16(A)においては図示しないが、この図の上下方向にも同様の構造が連続しており、左右方向にはこの図に示した単位構造がくり返されている。図16(A)では、n層の露出部308A、n側コンタクト層318およびp側コンタクト層320が絶縁層322で覆われている部分を破線で示している。なお、n型コンタクト層形成のための露出部308Aの形状は円形でなくともよく、同心状、櫛形状などであっても良い。
【0047】
引き続き図9(B)および図16(A)に示すように、格子状の溝316を縦方向に1列おきに第1樹脂324で塞ぐ。これにより第1の実施形態と同様に、各半導体構造部314において、1つの側面のみが第1樹脂324に覆われる。本実施形態では、図9(A)に示すように、露出部320Aが近接して挟む溝を第1樹脂324で塞ぐものとする。なお、この第1樹脂324は後の工程で除去される。
【0048】
次に、図10(A)に示すように、ウェハの表側露出表面のほぼ全面にメッキシード層326を形成する。このとき、各半導体構造部314において、pコンタクト層の露出部320Aとnコンタクト層の露出部318Aとの間の絶縁層322上に、pコンタクト層の露出部320Aとほぼ平行な直線状に、メッキシード層326を形成せず、絶縁層322の一部を露出させる。
【0049】
引き続き図10(A)に示すように、各半導体構造部314において、絶縁層322の一部の上に、具体的には、メッキシード層326の形成されていない絶縁層322の露出部を覆うように、絶縁体からなり露出表面を横断する第1構造物328を形成する。この第1構造物328により、露出表面は、n側コンタクト層の露出部318Aがある第1露出表面330と、p側コンタクト層の露出部320Aがある第2露出表面332とに分離される。なお、第1および第2の露出表面330,332はメッキシード層326を除いた露出表面と定義する。本実施形態では図10(A)に示すように、左側の半導体構造部314では第1構造物328の左側が第1露出表面330、右側が第2露出表面332となり、右側の半導体構造部314ではその逆となる。よって、2つの半導体構造部314における第2露出表面332が隣接している。
【0050】
引き続き図10(A)に示すように、第1樹脂324の上に、メッキシード層326を介して柱状の第2樹脂334を形成する。第2樹脂334の位置は、本実施形態では図16(B)に示す位置とした。この第2樹脂334も後の工程で除去される。
【0051】
次に、第1および第2露出表面330,332からそれぞれメッキ層を成長させる。本実施形態では、この工程は、図10(B)および図16(B)に示す第1メッキ工程と、図11に示す第2構造物形成工程と、図12に示す第2メッキ工程とを含む。
【0052】
まず、第1メッキ工程では、図10(B)および図16(B)に示すように、第1露出表面330上に、第1サポート体の第1層336Aを形成し、第2露出表面332上に、第2サポート体の第1層338Aをメッキ成長させる。メッキ成長は、第1層336Aと第1層338Aとが合体しない段階で止める。なお、隣接する半導体構造部の第1層338A同士は連結するが、第2樹脂334はメッキで埋めない。図16(B)に示すように、第1サポート体の第1層336Aは、n側コンタクト層の露出部318A(図中破線)と接触し、第2サポート体の第1層338Aはp側コンタクト層の露出部320A(図中破線)と接触している。第1構造物328は、第1および第2サポート体の第1層336A,338Aの間に位置する。
【0053】
続いて、図11に示すように、第1サポート体の第1層336Aの上に、第1構造物328と連結した、絶縁体からなる第2構造物340を形成する。本実施形態では、第1構造物328よりも幅広に第2構造物340を直線状に形成する。合わせて、第2樹脂334上に、これと連結した柱状の第3樹脂341を形成する。第3樹脂341の位置も、本実施形態では図16(B)の第2樹脂334に示す位置である。
【0054】
続いて、第2メッキ工程では、図12に示すように、露出した第1サポート体の第1層336Aおよび第2サポート体の第1層338Aから、それぞれ第1サポート体の第2層336Bおよび第2サポート体の第2層338Bをさらにメッキ成長させる。メッキ成長は、第2層336Bと第2層338Bとが合体しない段階で止める。なお、隣接する半導体構造部の第2層338B同士は連結するが、第3樹脂341はメッキで埋めない。第2構造物340は、第1および第2サポート体の第2層336B,338Bの間に位置する。
【0055】
このようにして、第1露出表面330上に、n側コンタクト層の露出部318Aと接触して第1電極であるn側電極として機能する第1サポート体336を形成し、第2露出表面332上に、第2コンタクト層の露出部320Aと接触して第2電極であるp側電極として機能する第2サポート体338を形成することができる。このとき、図12から明らかなように、第2構造物340の配置に起因して、第1メッキ工程後の第2サポート体の第1層338Aの上面積よりも、第2サポート体の第2層338Bの上面積が大きくなる。
【0056】
引き続き図12に示すように、アセトンなどの溶剤を用いて、第3樹脂342、第2樹脂334、および第1樹脂324を除去する。これにより、支持体346に貫通孔343ができ、第1樹脂324が除去された部分に空隙344が形成され、リフトオフ層304へ外部から繋がる通路となる。
【0057】
次に、図13に示すように、空隙344にエッチング液を供給して、ケミカルリフトオフ法を用いてリフトオフ層304を除去することで、成長用基板302を剥離する。本実施形態では、各半導体構造部では4つの側面のうち1つの側面のみが空隙344となっている。そのため、リフトオフ層304の除去は、空隙344となっている側面から一方向(図13中矢印方向)に進行する。
【0058】
最後に、図14に示すように、支持体346を切断する個片化工程を行う。図14中の破線が切断箇所となる。図14では貫通孔343の投影を省略した。このように、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、第1樹脂324を設けた溝以外の全ての溝に沿って支持体346を切断することにより、図14に示すように、切断後の支持体346Aのそれぞれに2つの半導体構造部314が支持された複数個のIII族窒化物半導体素子300を得ることができる。支持体346Aは、第1および第2サポート体336,338ならびに第1および第2構造物328,340を含む。
【0059】
本実施形態の製造方法によれば、第1の実施形態と同様に、半導体構造部のX型のクラックおよび中央部分に生じる点状のクラックを両方とも抑制でき、さらに、全ての溝に沿って支持体を切断する場合よりも切断の回数を減らすことができ、効率的にIII族窒化物半導体素子を製造することができる。
【0060】
また、支持体346をバンプによる接合で設けるのではなく、メッキ成長により形成したので、支持体に対して成長用基板を位置合わせする必要がなく、位置ずれが生じることもない。よって、従来の方法と比べてIII族窒化物半導体素子をより高い歩留まりで作製することができる。
【0061】
図14を参照して、III族窒化物半導体素子300を説明する。III族窒化物半導体素子300は、n層308、活性層310およびp層312をこの順に有する半導体構造部314を含む。p層312および活性層310を貫通する凹部の底にはn層308上にn側コンタクト層318が設けられている。また、p層312上にはp側コンタクト層320が設けられている。さらに、n側コンタクト層318とp側コンタクト層320とを絶縁するための絶縁層322が、n側コンタクト層318の一部、p側コンタクト層320の一部、およびn側コンタクト層318とp側コンタクト層320との間に位置する半導体構造部314の上に設けられている。この絶縁層322上には、単一の第1サポート体336、単一の第2サポート体338、および隣接する第1および第2サポート体336,338の間に位置する絶縁体からなる構造物328,340が設けられている。第1サポート体336は、部分的にn側コンタクト層318と接触してn側電極として機能する。第2サポート体338は、部分的にp側コンタクト層320と接触してp側電極として機能する。そして、第1および第2サポート体336,338ならびに構造物328,340が、半導体構造部314を支持する支持体346Aとなっている。そして、2つの半導体構造部314は、それぞれ1つの側面同士が向かい合って位置する。また、支持体346Aは、半導体構造部314における4つの側面のうち3側面を覆っている。
【0062】
本実施形態では、n側電極およびp型電極の両方が支持体346Aを兼ねている。そして、p側電極の片方の半導体構造部と接続する第1の部分(図14中の左側の第2サポート体338)と、他方の半導体構造部と接続する第2の部分(図14中の右側の第2サポート体338)とが、隣接して位置するため、支持体346Aはn側電極−p側電極−n側電極という配置となる。よって、本実施形態では、n側電極よりも面積の小さくなりがちなp側電極を一体化して大きく取ることができるので、素子の実装の際の接続が容易になる。さらに、2つの独立した素子を並べるよりも必要な面積を省くことができる。なお、第2メッキ工程を行わない場合でも同じ効果を得ることができる。
【0063】
本実施形態のIII族窒化物半導体素子300によれば、放熱性の低いアンダーフィルを用いず、メッキ成長させた放熱性の高い第1および第2サポート体336,338が主の支持体となるため放熱性が良好で、ジャンクション温度の低減が図れるので、より大電流の動作が可能となる。
【0064】
本実施形態のIII族窒化物半導体素子300では、半導体構造部314には複数箇所に凹部があり、n側コンタクト層318が複数箇所にある。このため、素子内を均等に電流が流れるため、素子特性(LEDの場合は発光出力)が向上する。n側コンタクト層の配置は、図16(A)に限られない。例えば、直径20〜40μmの円形で、4×4の直交格子交差点位置に計16箇所に均等に配置することも好ましい。また、チップ外周部の電流密度の均一化のため外周側に偏らせた配置や、六方最密配置位置であってもよい。
【0065】
また、第1および第2サポート体336,338は、それぞれ絶縁層322上に設けられた第1層336A,338Aと、該第1層336A,338A上に設けられた第2層336B,338Bとを含む。構造物328,340は、第1および第2サポート体の第1層336A,338Aの間に位置する第1構造物328と、第1構造物328と連結し、第1および第2サポート体の第2層336B,338Bの間に位置する第2構造物340とを含む。
【0066】
ここで、第2サポート体の第1層338Aの上面積よりも第2サポート体の第2層338Bの上面積が大きい。この構造は、既述の2段階メッキにより作製できる。n側コンタクト層318を複数設ける場合、第2サポート体の第1層338Aは、どうしても第1サポート体の第1層336Aに比べてかなり小さくならざるを得ない。しかし、2段階メッキにより、第2サポート体の第1層338Aの上面積よりも第2サポート体の第2層338Bの上面積を大きくすることができる。この場合、III族窒化物半導体素子300を別途のパッケージ基材やプリント配線板などに実装する際の位置合わせが容易になるという効果がある。
【0067】
(第3の実施形態)
次に、図17,18を参照して、本発明の他の実施形態にかかるIII族窒化物半導体素子400を説明する。本実施形態については、第1および第2の実施形態と異なる点を重点的に説明する。図17(A)は、III族窒化物半導体素子400の一部の断面図であり、第2の実施形態における図14と同じ段階で、右側の素子のみを描いたものである。図17(B)は、図17(A)と直交する断面図である。図18(A)は、III族窒化物半導体素子400の模式斜視図であり、図18(B)は、III族窒化物半導体素子400の上面図である。図18(C)は、図18(B)のIII−III断面図である。
【0068】
本実施形態も、溝を一方向に一列おきに充填材で塞ぎ、半導体構造部の1つの側面のみからリフトオフ層のエッチングを進行させる点、充填材を設けた溝以外の溝に沿って支持体を切断する点は、実施形態1,2と同様である。そのため、図18(A)に示すように、III族窒化物半導体素子400は、2つの半導体構造部414の、それぞれ1つの側面同士が向かい合って位置し、残りの3つの側面は支持体446に覆われている。
【0069】
III族窒化物半導体素子400は、図17(A),(B)に示すように、支持体446と、この支持体446上に設けられ、p層412、活性層410およびn層408をこの順に有する2つの半導体構造部414(図では片方のみ示す。)と、を有する。p層412上にはp側コンタクト層420が設けられ、メッキシード層426からメッキ成長させた支持体446がp側電極として機能する。一方、n層408上にはn側コンタクト層418が設けられている。そして、本実施形態では、n側電極448が、支持体446と半導体構造部414との間から、絶縁層422に囲まれて配線として引き出される。ここで、図18(B),(C)に示すように、n側電極448は、支持体446に覆われていない半導体構造部の側面から引き出され、2つの半導体構造部414間で露出する。
【0070】
この実施形態でも、全ての溝で支持体を切断して個片化する場合よりも、露出するn側電極の面積を2倍にできるため、素子の実装の際の接続が容易になる。さらに、2つの独立した素子を並べるよりも必要な面積を省くことができる。なお、仮に、充填材を設けた溝をレーザーダイシングなどで切断しようとすると、溶融変質層やメタル等の周囲への飛び散りがあり、半導体構造部414の向い合う側面だけでなく、n側電極448と支持体446との間のショートが発生しやすい。そのため、このようにn側電極を横方向に引き出す場合には、本実施形態が好適である。第3の実施形態の変形として、上記の第2の実施形態と同様に、支持体446の一部にn側電極に連結する支持部を追加して支持体446をp側電極−n側電極−p側電極という配置にしても良い。
【0071】
以下、上記実施形態の各工程における好適な実施態様を説明する。複数の実施形態に共通する構成については、第1実施形態の符号のみ示す。
【0072】
成長用基板102は、サファイア基板またはサファイア基板上にAlN膜を形成したAlNテンプレート基板を用いるのが好ましい。形成するリフトオフ層の種類やIII族窒化物半導体からなる半導体積層体のAl、Ga、Inの組成、LEDチップの品質、コストなどにより適宜選択すればよい。
【0073】
リフトオフ層104は、ケミカルリフトオフ法ではCrNなどのIII族以外の金属や金属窒化物バッファ層が化学選択エッチングで溶解できるので好ましい。スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法やMOCVD法で成膜するのが好ましい。通常、リフトオフ層104の膜厚は2〜100nm程度とする。
【0074】
i層306、n層108、活性層110、p層112は、GaN、AlGaNなどの任意のIII族窒化物半導体からなる。活性層110がIII族窒化物半導体により多重量子井戸(MQW)構造を形成した発光層であればLEDとなり、発光層でない場合は他の半導体素子となる。これらの層は、例えばMOCVD法により、リフトオフ層104上にエピタキシャル成長させることができる。なお、本実施形態では、第1導電型をn型、第2導電型をp型としたが、この逆であってもよいことは勿論である。
【0075】
溝116の形成には、ドライエッチング法を用いるのが好ましい。これは、III族窒化物半導体層で構成される半導体積層体113のエッチングの終点を再現性良く制御できるからである。本発明において半導体構造部114の横断面形状は略四角形であれば特に限定されないが、有効面積の観点から矩形であることが好ましい。この略四角形とは、四角形の他には例えば、コーナーに多少丸みや面取りを有する四角形などを含む。ただし、エッチング進行方向を1方向に維持する観点から、エッチング液が供給される側面150Aは、本発明のクラック発生抑制効果を阻害しない程度に直線領域を有する必要がある。
【0076】
半導体構造部114の1辺は通常250〜3000μmとする。また、溝116の幅は、40〜200μmの範囲内とすることが好ましく、60〜100μmの範囲内とすることがより好ましい。40μm以上とすることにより、溝116へのエッチング液の供給を十分に円滑に行うことができ、200μm以下とすることにより、発光面積のロスを最小限に抑えることができるからである。
【0077】
第2および第3の実施形態において、p層312および活性層310の一部を除去して、n層308の一部を露出させる工程は、レジストをマスクとして、ドライエッチング法により行なうことが好ましい。n層308のエッチングの終点を再現性良く制御できるからである。n側コンタクト層318は、レジストをマスクとしたリフトオフ法により形成する。電極材としてはAl、Cr、Ti、Ni、Ag、Auなどが用いられる。p側コンタクト層320は、レジストをマスクとしたリフトオフ法により形成する。電極材としてはNi、Ag、Ti、Pd、Cu、Au、Rh、Ru、Pt、Irなどが用いられる。
【0078】
絶縁層122は、例えばSiOやSiNなどからなり、PECVDにより0.5〜2.0μm成膜した後、レジストパターンをマスクとしてウェットエッチングまたはドライエッチングにより形成する。場合により、メタルマスクを用いてもよく、スパッタ法や塗布法を用いて形成しても良い。
【0079】
第1樹脂124は、任意のレジスト材料を塗布し、任意のパターニング技術で形成すればよい。第2樹脂134および第3樹脂342も同様である。
【0080】
第2の実施形態において、第1構造物328および第2構造物340は、上記の第1樹脂124に用いる材料とは異なり、支持体として素子の一部となるものである。そのような絶縁性材料として、例えばエポキシ樹脂やポリイミドなどの樹脂、SiOやSiNなどの無機材料を用いることができる。任意のパターニング技術で形成すればよいが、MEMS(Micro Electro Mechanical System)などで使用される永久膜用フォトレジスト(SU−8など)であれば工程を簡略化できる。高さは10〜100μm、幅はそれぞれ10〜100μm、500〜900μmが望ましい。
【0081】
支持体146(第2実施形態においては第1サポート体336および第2サポート体338)は、湿式メッキまたは乾式メッキのようなメッキ法により形成する。たとえばCuまたはAuの電気メッキでは、メッキシード層126の表面(導電性サポート体側)としてCu,Ni,Auなどを用いることができる。この場合、メッキシード層126の成長基板側(半導体構造部側)は、半導体構造部114および絶縁層122との密着性が十分な金属、例えばTiまたはNiを用いるのが好ましい。メッキシード層126は、例えばスパッタ法により形成できる。メッキシード層126の厚さは2.0〜20μm、第1サポート体336および第2サポート体338の厚さは、10〜200μm程度とすることができる。
【0082】
第1樹脂124、第2樹脂134および第3樹脂342は、例えばアセトン、アルコール類などの樹脂を溶解する溶液を用いて行なうことができる。このとき、第1樹脂124と第2樹脂134との間のメッキシード層126は、アセトンなどに溶解しないが、メッキシード層126は、第1樹脂124と第2樹脂134に比べて極めて薄い膜であるため、除去は容易である。機械的に除去しても良いし、金属エッチング等により除去しても良い。このとき、第1構造物328および第2構造物340は、除去されないようにする。
【0083】
リフトオフ層104の除去は、一般的なケミカルリフトオフ法またはフォトケミカルリフトオフ法により行う。ケミカルリフトオフ法は、リフトオフ層をエッチングする方法であり、その中でも、エッチング中に紫外光などの光を照射し、リフトオフ層を活性化させながらエッチングを行う方法をフォトケミカルリフトオフ法という。使用可能なエッチング液としては、リフトオフ層がCrNの場合、硝酸第二セリウムアンモン溶液やフェリシアンカリウム系の溶液、リフトオフ層がScNの場合、塩酸、硝酸、有機酸など選択性のある公知のエッチング液を挙げることができる。
【0084】
リフトオフ後には、成長用基板102は、メッキシード層126を介して支持体146と接着していることが好ましい。これにより、中央クラックやX型のクラックだけではなく、エッチングの終端部(側面150C側)に発生する端部クラックも抑制することができる。よって、リフトオフに用いるエッチング液のメッキシード層126に対するエッチング性は、全くないか、または、リフトオフの完了後も成長用基板とメッキシード層111との接合が維持できる程度であることが好ましい。成長用基板102は機械的に剥がすこともできるし、メッキシード層126が成長用基板102と接する箇所に特異的なエッチング液を用いることでメッキシード層126の一部を化学的に除去して剥離することもできる。
【0085】
リフトオフ層304の除去により露出したi層306の面は、ウェット洗浄で清浄化されるのが好ましい。次いで、ドライエッチングおよび/またはウェットエッチングで所定量削り、n層308を露出させてもよい。第2の実施形態によるIII族窒化物半導体素子300は、n側電極およびp側電極の両方を支持体346側に集めているため、リフトオフ層304の除去後に露出した面に対する処理は任意である。素子300がLEDの場合、この露出面は光取り出し面となるため、ウェットエッチングにより凹凸処理を施すとともに、耐湿等の信頼性確保のため、SiOなどの保護膜で覆うことが好ましい。
【0086】
支持体146の切断は、例えばブレードダイサーやレーザーダイサーを用いることができる。また、上記第1〜第3実施形態では、第1樹脂を設けた溝以外の全ての溝に沿って支持体を切断する例を示したが、本発明はこれに限定されず、第1樹脂を設けた溝以外の溝のうち一部の溝に沿って支持体を切断してもよい。この場合、切断の仕方によって、これまで示した図6,7,14などの複数個のIII族窒化物半導体素子が支持体において一体となった、m×n列の半導体構造部(ここでmは整数、nは偶数である)を有するIII族窒化物半導体素子を作製することができる。
【実施例】
【0087】
(実施例1)
図1〜5に示す製造方法で、図6に示すLEDチップを作製した。具体的には、まず、サファイア基板上に、スパッタ法によりCr層を形成しアンモニアを含む雰囲気中で熱処理することによりリフトオフ層(CrN層、厚さ:18nm)を形成後、n型GaN層(厚さ:7μm)、発光層(InGaN系MQW層、厚さ:0.1μm)、p型GaN層(厚さ:0.2μm)をMOCVD法により順次エピタキシャル成長させて半導体積層体を形成した。その後、サファイア基板の一部が露出するよう、半導体積層体の一部をドライエッチングにより除去して格子状の溝を形成することで、横断面の形状が正方形の島状に独立した複数個の半導体構造部を形成した。半導体構造部の幅Wは1200μmであり、個々の素子の配置は碁盤の目状とした。素子間のピッチは1300μm、すなわち溝幅は100μmである。
【0088】
各々のp型GaN層の上に、EB蒸着法によりオーミック電極層(Ag、厚さ:0.2μm)を形成した。また、プラズマCVDにより絶縁膜(SiO、厚さ0.6μm)を形成し、各々の半導体構造部における樹脂に覆われない3つの側面と半導体構造部上の一部とを覆う箇所以外の絶縁層をエッチングにより除去した。その後、エッチング液を供給するための空隙を設けるために、図4(B)に示すように、溝を縦方向に1列おきに樹脂(フォトレジスト)で塞いだ。その後、スパッタ法により、半導体構造部の表面(厳密には上記のオーミック電極層および絶縁膜の表面上)、樹脂の表面、および露出している溝の底部および側面にメッキシード層(Ti/Ni/Au、各厚さ:0.02μm/0.2μm/0.6μm)を形成した。
【0089】
次に、フォトリソグラフ法を用いて、図4(B)に示す位置に、100μm角の貫通孔形成用のピラーを樹脂(厚膜フォトレジスト:厚さ30μm)により形成した。その後、メッキによりメッキシード層上にCu(半導体積層体上の厚さ:100μm)を形成し、支持体とした。めっきは硫酸銅系の電解液を用いた電気めっきであり、液温は25〜30℃の範囲で、成膜速度は35μm/hrであった。これにより、メッキシード層を形成した溝にはCuメッキによる埋め込み部が形成された。このとき、貫通孔形成用のピラーを設けた部位にはCuはめっきされず、該ピラーをアセトンで除去することで、導電性サポート体中を貫通して樹脂を設けた溝に通じる、貫通孔を形成した。この際、貫通孔直下のメッキシード層は該ピラーをアセトンで除去した後、HF添加のAuエッチング液を用いて貫通孔直下部を除去した。この貫通孔を介して、引き続きアセトンにより溝の樹脂を取り除き、空隙を形成した。
【0090】
その後、エッチング液としてCr選択エッチング液を用いて、ケミカルリフトオフ法によりリフトオフ層を除去した。このとき、エッチング液への浸漬によりエッチング液が上記の貫通孔を通ってリフトオフ層に供給され、それぞれの半導体構造部では、リフトオフ層のエッチングが1つの側面のみから進行した。その後、サファイア基板側を僅かにBHF液に浸し、溝の底部においてサファイア基板と接合している箇所のメッキシード層のTiを溶解させ、サファイア基板を剥離した。
【0091】
リフトオフ後の半導体構造部を光学顕微鏡(倍率200倍および1000倍)によって観察し、マクロ・マイクロクラックの発生状況を調べた。調査個数は2000個で、マクロ・マイクロクラックともに発生個数は皆無であった。
【0092】
その後、露出したn型GaN層を、ドライエッチングにより厚さ方向に3μmエッチングし、KOH溶液によりさらに表面を凹凸化させた。その後、スパッタ法によりn型GaN層上にTi/Alを用いてn型オーミック電極を形成し、さらにNi/Auによるパッド電極を形成した。その後、露出している半導体構造部の表面、側面および露出している埋め込み部表面上にプラズマCVDによる絶縁膜(SiO、厚さ0.3μm)を形成し、パッド電極上部の絶縁膜をエッチングにより除去してパッド電極上部を露出させた。
【0093】
レーザーダイサーにより、樹脂を設けた溝以外の溝に沿って支持体を切断し、支持体に2つの半導体構造部が支持され、半導体構造部における4つの側面のうち、3つの側面を埋め込み部が覆う図6に示した構造の発光素子を形成した。この実施例では、全ての溝に沿って支持体を切断する場合よりも切断の回数を減らすことができ、効率的に発光素子を製造することができた。
【0094】
(比較例)
図19および図20に示す従来の製造方法でLEDチップを作製した。具体的には、まず、サファイア基板上に、実施例と同じ半導体積層体を形成し、その後、サファイア基板の一部が露出するよう、半導体積層体の一部をドライエッチングにより除去して溝を形成することで、横断面の形状が直径1000μmの円形の島状に独立した複数個の半導体構造部を形成した。半導体構造部の素子間のピッチは1250μmである。
【0095】
個別の半導体構造部のp層上に実施例と同様のオーミック電極層を形成し、次いで全ての溝にフォトレジストを埋め込むとともに個々の半導体構造部のp−オーミック電極層の部分は開口して、メッキシード層(Ni/Au/Cu)を形成した。次いで、後述のCuめっきの際に成膜を防止するため、厚膜レジストによるピラーの形成を行った。形成位置は図20(A)のように半導体構造部を取り囲む升目の辺上とした。なお、ピラー形成位置の接続層はエッチングにより予め除去した。
【0096】
次いで、硫酸銅系の電解液を用いてCuを80μm電気めっきし、支持体を形成した。液温は25〜30℃の範囲で、成膜速度は25μm/hrであった。次いで、ピラー部ならびに溝に埋め込んだレジストをアセトンにより除去し、サポート体の上下に貫通する貫通溝を形成した。なお、図20(A)に示す貫通溝は、幅70μm、長さ900μmとして四辺に形成した。
【0097】
その後、エッチング液としてCr選択エッチング液を用いて、ケミカルリフトオフ法によりリフトオフ層を除去してサファイア基板を剥離した。このとき、それぞれの半導体構造部では、リフトオフ層のエッチングが半導体構造部の外周部から中央部に向かって進行し、中央部のリフトオフ層が最後に除去された。
【0098】
リフトオフ後の半導体構造部を光学顕微鏡によって観察したところ、比較例では調査個数1900個のうち、コーナーから中央部に大きく伸展するX型のクラックが発生したものは38個(発生率は2.0%)であったが、半導体構造部の中央領域に点状のクラックが発生した試料が1045個あり、発生率は55.0%であった。
【0099】
(実施例2)
図8(A)から図10(B)までを行い、その後2段階メッキを行なうことなく、ケミカルリフトオフ法によりLEDチップを作製した。具体的には、まず、図8(A)に示すように、サファイア基板上に、スパッタ法によりCr層を形成しアンモニアを含む雰囲気中で熱処理することによりリフトオフ層(CrN層、厚さ:18nm)を形成後、i型GaN層(厚さ:4μm)、n型GaN層(厚さ:6μm)、発光層(AlInGaN系MQW層、厚さ:0.1μm)、p型GaN層(厚さ:0.2μm)をMOCVD法により順次エピタキシャル成長させた。
【0100】
その後、図8(B)および図16(A)に示すように、p型GaN層、発光層、n型GaN層およびi型GaN層の一部をドライエッチングにより除去して格子状の溝を形成することで、横断面形状が正方形の縦横に整列した複数個の半導体構造部を形成した。半導体構造部の1辺は1500μmとし、溝の最大幅は100μmとした。
【0101】
また、レジストをマスクとして、ICP−RIEドライエッチングにより、p型GaN層および発光層の一部を除去して、n型GaN層の一部を露出させた。n型GaN層の露出部の配置は図16(A)では各素子単位で4箇所としたが、本実施例では16箇所とし、直径は60μmとした。
【0102】
次に、図9(A)および図15(B)に示すように、レジストをマスクとした後、EB蒸着法にて、n型GaN層の露出部の上に円形のn側コンタクト層(材質:Cr/Ni/Ag、厚さ:50nm/20nm/400nm)を形成し、レジストを除去した。また、レジストをマスクとした後、EB蒸着法にて、p型GaN層のほぼ全面の上にp側コンタクト層(材質:Ni/Ag/Ni/Ti、厚さ:5Å/200nm/25Å/25Å)を形成し、レジストを除去した。
【0103】
次に、図9(B)および図16(A)に示すように、絶縁層(SiO、厚さ:0.7μm)をPECVD法によりほぼ全面に成膜した後、レジストをマスクとしてBHFにより絶縁層の一部をウェットエッチングして、n側コンタクト層の一部およびp側コンタクト層の一部は露出させた。n側コンタクト層の露出部は直径30μmとし、p側コンタクト層の露出部は幅60μmとした。また、フォトリソグラフ法を用いて、格子状の溝を縦方向に1列おきにフォトレジスト(幅:100μm、高さ:10μm)で塞いだ。
【0104】
次に、図10(A)に示すように、ウェハの表側露出表面のほぼ全面に、スパッタ法によりメッキシード層(Ti/Ni/Au、各厚さ:0.02μm/0.2μm/0.6μm)を形成した。レジストをマスクとし、ウェットエッチングによって、図10(A)に示す位置のみ絶縁層を露出させた。絶縁層の露出部は幅50μmとした。これにより、メッキシード層を後述の第1サポート体を形成する領域と第2サポート体を形成する領域とに分け、電気的に分離した。
【0105】
また、フォトリソグラフ法を用いて、絶縁層の露出部を覆うように、SU−8からなる第1構造物(幅:100μm、高さ:30μm)を形成した。同様にフォトリソグラフ法を用いて、溝に1列おきに形成したフォトレジスト上にさらにフォトレジスト(幅:550μm、高さ:30μm)を形成し、第1構造物と同じ高さにした。
【0106】
次に、図10(B)および図16(B)に示すように、メッキ法によりメッキシード層からCuを形成し、第1および第2サポート体の第1層(p型GaN層上での厚さ:40μm)を形成した。メッキは硫酸銅系の電解液を用いた電気メッキであり、液温は25〜30℃の範囲で、成膜速度は35μm/hrであった。第1および第2サポート体の第1層の幅は、それぞれ1200μmおよび150μmであった。第1サポート体と第2サポート体とは、第1構造物により電気的に分離されている。
【0107】
その後、溝に設けたフォトレジストのみをアセトンで除去し、サファイア基板およびリフトオフ層に連通する空隙を形成した。
【0108】
この空隙にリフトオフ層の選択エッチング液を供給し、ケミカルリフトオフ法によりリフトオフ層を除去することで、サファイア基板を剥離した。
【0109】
その後、リフトオフ層の除去によって露出したi型GaN層を、ICP−RIE装置を用いてドライエッチングを行った。そして、レーザーダイサーにより、樹脂を設けた以外の溝に沿って第1サポート体および第2サポート体を切断し、実施例2にかかる600個のLEDチップを得た。
【0110】
調査個数600個のうち、クラックが発生したものは0個(発生率は0%)であった。また、この実施例では、全ての溝に沿って支持体を切断する場合よりも切断の回数を減らすことができ、効率的に発光素子を製造することができた。さらに、支持体はn側電極−p側電極−n側電極という配置となっており、素子の実装の際の接続が容易であった。
【0111】
(実施例3)
図8(A)〜図14に示す2段階メッキの製造方法で、図14に示すLEDチップを作製した。図10(B)および図16(B)の工程までは実施例2と同様なので、説明を省略する。
【0112】
その後、図11に示すように、フォトリソグラフ法を用いて、第1サポート体の第1層の上に、第1構造物と連結した、SU−8からなる第2構造物(幅:550μm、高さ:30μm)を形成した。同様にフォトリソグラフ法を用いて、溝に1列おきに形成したフォトレジストの上方に、さらにフォトレジスト(幅:80μm、高さ:25μm)を形成した。
【0113】
次に、図12に示すように、メッキ法により第1サポート体および第2サポート体の第1層からさらにCuを形成し、第1および第2サポート体の第2層(第1層上での厚さ:200μm)を形成した。メッキは硫酸銅系の電解液を用いた電気メッキであり、液温は25〜30℃の範囲で、成膜速度は35μm/hrであった。第1および第2サポート体の第2層の幅は、それぞれ930μmおよび310μmであった。このように、2段階メッキにより、第1メッキ工程後の第2サポート体の第1層の上面積よりも、第2サポート体の第2層の上面積を大きくすることができた。
【0114】
その後のリフトオフ層の除去以降の工程も実施例2と同様なので、説明を省略する。このようにして、実施例3にかかる600個のLEDチップを得た。
【0115】
調査個数600個のうち、クラックが発生したものは0個(発生率は0%)であった。それ以外の効果についても実施例2と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明によれば、半導体構造部のコーナー近傍から中央部に伸展するX型のクラックだけでなく、中央部分に生じる点状のクラックの発生をも抑制した高品質のIII族窒化物半導体素子、および該III族窒化物半導体素子を効率的に製造する方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0117】
100 III族窒化物半導体素子
102 成長用基板
104 リフトオフ層
108 n型III族窒化物半導体層
110 活性層
112 p型III族窒化物半導体層
113 半導体積層体
114 半導体構造部
116 溝
124 第1樹脂(充填材)
126 メッキシード層
134 樹脂の柱(ピラー)
146 支持体
146A 切断後の支持体
142 埋め込み部
143 貫通孔
144 空隙
148 n側電極
150A 側面(エッチング液を供給する側面)
150B 対向する2つの側面
150C 側面(エッチング終了時にエッチング液が到達する側面)
122 絶縁層
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【国際調査報告】