(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014049908
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】無線送信装置、VSWR測定装置及びVSWR測定方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/00 20150101AFI20160725BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !H04B17/00 H
   !H04B1/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】2014538089
(21)【国際出願番号】JP2013002939
(22)【国際出願日】20130507
(11)【特許番号】5790886
(45)【特許公報発行日】20151007
(31)【優先権主張番号】2012211229
(32)【優先日】20120925
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目7番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】望月 拓志
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株式会社内
【テーマコード(参考)】
5K042
5K060
【Fターム(参考)】
5K042CA02
5K042CA11
5K042DA26
5K042FA21
5K060BB07
5K060CC04
5K060HH01
5K060HH06
5K060HH11
5K060HH22
5K060JJ16
5K060LL28
5K060LL29
(57)【要約】
VSWRの測定値の信頼性を正確に判定できる無線送信装置、VSWR測定装置及びVSWR測定方法を提供する。一態様では無線送信装置は、VSWRを測定するVSWR測定手段(104)と、前記VSWR測定手段で測定したVSWRの測定値の信頼性を判定するVSWR判定手段(200)と、を備え、前記VSWR判定手段は、反射波をベースバンド信号に変換する反射波ベースバンド変換手段(2)と、前記反射波ベースバンド変換手段により変換されたベースバンド信号について、所定の遅延量を加えた遅延波と主波との自己相関をとる自己相関手段(19)と、自己相関手段によって自己相関が所定値以上の場合に1シンボル内に含まれる同一値が検出されたとして希望反射波の推定可能性が高いと判定する判定手段(20)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
VSWRを測定するVSWR測定手段と、
前記VSWR測定手段で測定したVSWRの測定値の信頼性を判定するVSWR判定手段と、
を備え、
前記VSWR判定手段は、
反射波をベースバンド信号に変換する反射波ベースバンド変換手段と、
前記反射波ベースバンド変換手段により変換されたベースバンド信号について、所定の遅延量を加えた遅延波と主波との自己相関をとる自己相関手段と、
自己相関手段によって自己相関が所定値以上の場合に1シンボル内に含まれる同一値が検出されたとして希望反射波の推定可能性が高いと判定する判定手段とを備える無線送信装置。
【請求項2】
前記自己相関手段は、OFDMの各シンボル内のGIコピーと、GIの相関がとれるように遅延量を調整する請求項1記載の無線送信装置。
【請求項3】
前記判定手段は、希望反射波の推定可能性が高いと判定されない場合には、VSWRの出力を制限する請求項2又は3項に記載の無線送信装置。
【請求項4】
前記判定手段は、自己相関ピークが所定値以上であることを判定した場合には、前記遅延量を保持する制御を実行する請求項1〜3いずれか1項に記載の無線送信装置。
【請求項5】
前記自己相関手段での自己相関ピーク値に基づいて、CIRを推定する相関値対CIR推定手段をさらに備えた、請求項1〜4いずれか1項に記載の無線送信装置。
【請求項6】
前記無線送信装置は、異なるシステムの基地局系無線送信装置とアンテナを共用していることを特徴とする、請求項1〜5いずれか1項に記載の無線送信装置。
【請求項7】
前記無線送信装置はLTEのOFDM方式の基地局系無線送信装置と他の基地局系無線送信装置が結合してアンテナを共用していることを特徴とする、請求項1〜6いずれか1項に記載の無線送信装置。
【請求項8】
VSWRの測定値の信頼性を判定するVSWR判定装置であって、
反射波をベースバンド信号に変換する反射波ベースバンド変換手段と、
前記反射波ベースバンド変換手段により変換されたベースバンド信号について、所定の遅延量を加えた遅延波と主波との自己相関をとる自己相関手段と、
自己相関手段によって自己相関が所定値以上の場合に1シンボル内に含まれる同一値が検出されたとして希望反射波の推定可能性が高いと判定する判定手段とを備えるVSWR判定装置。
【請求項9】
VSWRの測定値の信頼性を判定するVSWR判定方法であって、
反射波をベースバンド信号に変換するステップと、
変換されたベースバンド信号について、所定の遅延量を加えた遅延波と主波との自己相関をとるステップと、
自己相関が所定値以上の場合に1シンボル内に含まれる同一値が検出されたとして希望反射波の推定可能性が高いと判定するステップとを備えるVSWR判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線送信装置、VSWR測定装置及びVSWR測定方法に関し、特にVSWRの測定に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の通信規格であるLTE(Long Term Evolution)では、設置時の施工性の向上および運用コストの低減を図るため、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)とLTEがアンテナを共用するRRE(Remote Radio Equipment)等のシステム構成をとっている。共用アンテナ等でLTE等のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式からなる自システムの基地局系無線送信装置と他システムの基地局系無線送信装置とが結合している場合、他システムの無線送信装置からの干渉波が自システムの無線送信装置に入力され、妨害波となる。そのような環境下でも、VSWR(電圧定在波比:Voltage Standing Wave Ratio)を精度よく測定し、その結果をシステムに反映させ、無線通信を制御することが重要である。
【0003】
関連技術にかかるVSWR測定装置及び方法を図5に示す。ベースバンド信号発生器2は、MAC1で生成されたデータ信号を入力して、変調ベースバンド信号としてI/Q軸信号に変換する。そして、変調器3は、I/Q軸信号を、局部発振器40からの発振信号に基づいて、RF帯変調ダウンリンク信号に変調する。高出力増幅器4は、RF帯変調ダウンリンク信号を所定の送信電力まで高め、フィルタ5に出力する。フィルタ5は、RF帯変調ダウンリンク信号の送信スプリアスを低減させる。RF帯変調ダウンリンク信号は、アンテナ7によって空間に放射される。その際、アンテナ7を見込んだ場合のVSWRを測定し、アンテナからの空間放射が問題なく行なわれていることを確認するために、VSWR測定回路がアンテナ7前段に装備される。ここでは、VSWR測定のための進行波と反射波を検出するために、アンテナ7前段には方向性結合器6が挿入されている。
【0004】
方向性結合器6は、進行波を進行波検出器8に出力する。また、方向性結合器6は、反射波を反射波検出器9に出力する。進行波検出器8は、進行波の検波電圧値を検出する。また、反射波検出器8は、反射波の検波電圧値を検出する。差分検出器10は、進行波検波電圧と反射波検波電圧の差分を検出する。この差分検出電圧を元にVSWR計算器11でVSWRを計算し、更にVSWR平均化器12で平滑化される。そして、この第1の関連技術では、VSWR平均化器12で平滑化されたVSWRを、最終報告値としてそのまま出力表示する。しかしながら、後述の環境時等においては、VSWR測定に大きな誤差が生じてしまう。
【0005】
次に環境面で懸念される観点を説明する。図7に共用アンテナ等でLTE等のOFDM方式からなる自システムの基地局系無線送信装置と他システムの基地局系無線送信装置とが結合している場合を示す。この場合には、他システムの無線送信装置からの干渉波が自システムの無線送信装置に入力される。
【0006】
そして図8にLTEダウンリンク信号の時間波形を示す。テストモデルであるE-TM1.1やE-TM2では時間軸上密に信号が存在している。その一方で、実運用信号の中で最も疎な信号となる(端末リンクが無い状態)制御チャネル信号では1フレーム(=10サブフレーム・10msec)中には、短Durationの報知情報(Broadcast情報)と、更に短Durationで端末側でのトレーニング信号となるReference Signalが時間軸上疎らに存在する様相となる。
【0007】
そこで図5に示すVSWR測定装置の構成例を以って各種環境下でのVSWR測定を行なった場合の課題を説明する。図9に示されるように、密度のあるテスト信号の場合は、信号レベルは変動するが、検波器のダイナミックレンジ内の変動であるため、VSWR測定値は常に正しい値(この場合1.5)を示す。
【0008】
図10に示されるように、疎なダウンリンク信号の場合は、信号がオンオフを頻繁に繰り返し、検波器のダイナミックレンジを大部分の範囲で下回ってしまうため、VSWR測定値は悪めの値となってしまう。一方、報知情報が出力される期間は、信号密度が高いため、VSWRは正しい測定値となる。
【0009】
更に、図11に示されるように、運用時の疎なダウンリンク信号に他システムからの妨害波が逆流して加わった場合は、妨害波が反射波と誤認されてしまうことで誤差が大幅に拡大する。そして、妨害波のレベルによっては最悪のVSWR測定値となる。但し、報知情報が出力されている期間は、信号密度が高いので、正しいVSWR測定値となる。
【0010】
以上の様に、実環境下で、信号密度が疎な場合で、更に共用アンテナで結合した他システムからの妨害波逆流がある場合は、VSWR測定値はかなり劣化する。また、アンテナを見込んだ場合のVSWR報告としては全反射様相と誤認されることで、監視局で誤アラーム等が発動し、自システムが停波してしまうとの懸念があった。
【0011】
上記の関連技術にかかるVSWR測定回路の構成を開示する先行文献としては、以下が挙げられる。これらについては外部からの干渉波・妨害波逆流によって発生するVSWR測定誤差に関する解決方法については記載されていない。
・VSWR検出回路及びVSWR検出方法(特許文献1、図1)
・VSWR測定回路(特許文献2、図1)
・VSWRモニタ回路(特許文献3、図1)
・アンテナポート監視システムとその方法(特許文献4、図1)
【0012】
なお、上述した関連技術の発展型として、外部からの干渉波・妨害波逆流によって発生するVSWR測定誤差に関する回路的工夫や考慮がなされた先行文献としては、以下が挙げられる。
・アンテナ監視装置(特許文献5、図1、図2)
・定在波比測定装置(特許文献6)
・電圧定在波比測定装置(特許文献7)
【0013】
上記3件に関連した工夫が、特許文献5の図1に開示されている。ここでは、VSWR測定のための進行波と反射波を検波すべく挿入された方向性結合器を、アンテナに接続されたフィルタ(バンドパスフィルタ)と無線送信装置の間に挟んで装備している。これにより、フィルタによる帯域外減衰を期待している。さらに、方向性結合器から分岐された進行波用検波器と反射波用検波器の間にもバンドパスフィルタをそれぞれ挿入することにより、帯域外干渉波・妨害波を検波前に十分抑圧することで対応している。
【0014】
また上記3件に纏わる他の構成例が、特許文献5の図2に示されている。ここでは、方向結合器で分岐した進行波経路と反射波経路にそれぞれダウンコンバータを装備し、その局部発振器周波数を変えている。これにより、対象とする通過帯域を変えながら、コンバータ後のベースバンドもしくはIF周波数をより狭帯域のフィルタに通過させることで、更に急峻に外来の帯域外干渉波・妨害波を減衰させている。そして、これら干渉波・妨害波によるVSWR測定値の誤差を低減している。
【0015】
しかし、上記3件の先行技術に示される構成において効果が出るのは、外来の干渉波・妨害波の周波数帯域が希望送信帯域から離れている場合である。一方、自システムの送信帯域と他システムからの干渉帯域が近接していたり、帯域内にオーバーラップしてくる様な場合は、フィルタによる周波数選択度が期待できないという問題を生ずる。もしくは効果を出す場合はより急峻なフィルタ特性が必要となるため、設計難易度が格段に上がり、装置形状や価格増加に繋がる点で問題が生じる。また固定帯域のフィルタを検波系に挿入する構成の場合も、周波数的な融通性が無くなるという問題を生ずる。
【0016】
特許文献8では、送信用アンテナのVSWR正常性を確認するのではなく、受信用アンテナのVSWR正常性を確認する方法を開示している。また、受信アンテナのVSWRを測定するため、主信号受信系に取り混ぜて、別個かつ専用のPN(Pseudorandom Noise)拡散信号発生器と復調器が必要となるため、機器形状・コスト増大化の懸念がある。さらに、VSWR測定時に受信アンテナより運用送信信号とは異なるPN拡散信号が不用輻射として放射される点も問題となる。一方、アンテナ共用時等での外部からの干渉波逆流があった場合、VSWR=S1/(N+I')―S2/(N+I)のVSWR導出過程で、分母のIやI'が別測定時間で印加されるため、VSWR誤差が拡大されてしまう点も問題となる。更に大きなIやI'で分母が大きくなることで、C/N(Carrier to Noise Ratio)が確保できずPN復調不能となる可能性もある。
【0017】
特許文献9では、アンテナ(ANT)VSWR測定において、アンテナ(ANT)負荷と結合ポート(CPL)間の電気長が異なる場合で、かつCPL ディレクティビティの悪さにより進行波成分が反射波ポートに漏洩すると、反射波の合成ベクトルとして誤差が生じVSWR誤差が発生する。そして、アンテナと結合ポート間に位相器を挿入し、電気長を変えることで、最大反射波ベクトルと最小反射ベクトルの演算から進行波漏洩成分を除去し、VSWR精度を改善している。従って、特許文献9に示す例は、外来干渉波がない状態でのVSWR精度向上を提供するものであり、進行波の疎密度や外来干渉波に対する考慮は示されていない。
【0018】
特許文献10では、VSWR測定は、時分割複信(TDD)システムに限定した構成のもと、アンテナ(ANT)VSWRモニタ用の進行波・反射波取得用カプラーをアンテナフロントエンドに設置することによって生じる送受ロスの増加によるインパクトを回避することを目的としている。さらに、カプラロスによる送信消費電力の増加等も回避することを目的としている。このような目的を達成するために、特許文献10ではTDD用のアンテナ部分に送受信系結合用サーキュレータを活用し、それらのルーティングにより工夫をしている。
【0019】
そして、VSWR測定時(受信時に測定される)、進行波はPA入力をモニタし、PAをバイパスした進行波によるアンテナからの反射波は、受信部途中から分岐してモニタした上で、それら進行波と反射波の差分よりVSWRを算出するメカニズムとしている。特許文献10では、VSWR測定用反射波から干渉波成分を除去してVSWR精度を改善することについて示されていない。また特許文献10に記載された構成は、VSWR測定回路自体が、TDDに限定した構成であり、周波数分割複信(FDD)システムに使用できないという問題がある。
【0020】
特許文献11では、CP(Cyclic Prefix)コピーをGI(Guard Interval)部に配したOFDMシステム受信側(特にディジタル放送受信)において、GI除去とFFT実施のための有効FFT長の同定を低消費電力で簡易に行うことを目的としている。特許文献11では、OFDMシンボル遅延波との自己相関検出後、雑音除去のため、シンボル周波数の高調波のみを通過させるスペクトル強調フィルタを実装し、有効FFT長を同定している。そして、特許文献11では、これら機能による消費電力増加を解決すべき問題としてあげている。また、特許文献11では、CP/GIの周期性に着目した遅延・自己相関をとることで、その自己相関ピークの周期をもって有効FFT長を確定している点が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特許第4379034号公報
【特許文献2】特開平03−051772号公報
【特許文献3】特開2004−286632号公報
【特許文献4】特許第4062023号公報
【特許文献5】特開平04−357471号公報
【特許文献6】特許第3271277号公報
【特許文献7】特許第2697342号公報
【特許文献8】特開2011−010185公報
【特許文献9】特開2005−017138公報
【特許文献10】特開2011−114417公報
【特許文献11】特開2005−064615公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
上述のように、送信状態(送信信号密度の濃淡)によってVSWR測定値は悪くなるという課題があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、VSWRの測定値の信頼性を正確に判定できる無線送信装置、VSWR測定装置及びVSWR測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
一態様にかかる無線送信装置は、VSWRを測定するVSWR測定手段と、前記VSWR測定手段で測定したVSWRの測定値の信頼性を判定するVSWR判定手段と、を備え、前記VSWR判定手段は、
反射波をベースバンド信号に変換する反射波ベースバンド変換手段と、
前記反射波ベースバンド変換手段により変換されたベースバンド信号について、所定の遅延量を加えた遅延波と主波との自己相関をとる自己相関手段と、
自己相関手段によって自己相関が所定値以上の場合に1シンボル内に含まれる同一値が検出されたとして希望反射波の推定可能性が高いと判定する判定手段とを備える。
【0024】
また、一態様にかかるVSWR判定装置は、VSWRの測定値の信頼性を判定するVSWR判定装置であって、
反射波をベースバンド信号に変換する反射波ベースバンド変換手段と、
前記反射波ベースバンド変換手段により変換されたベースバンド信号について、所定の遅延量を加えた遅延波と主波との自己相関をとる自己相関手段と、
自己相関手段によって自己相関が所定値以上の場合に1シンボル内に含まれる同一値が検出されたとして希望反射波の推定可能性が高いと判定する判定手段とを備える。
【0025】
また、一態様にかかるVSWR判定方法は、VSWRの測定値の信頼性を判定するVSWR判定方法であって、
反射波をベースバンド信号に変換するステップと、
変換されたベースバンド信号について、所定の遅延量を加えた遅延波と主波との自己相関をとるステップと、
自己相関が所定値以上の場合に1シンボル内に含まれる同一値が検出されたとして希望反射波の推定可能性が高いと判定するステップとを備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、VSWRの測定値の信頼性を正確に判定できる無線送信装置、VSWR測定装置及びVSWR測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】本発明の実施の形態にかかる無線送信装置の図である。
【図1B】本発明の実施の形態にかかる無線送信装置の図である。
【図1C】本発明の実施の形態にかかる無線送信装置の図である。
【図2】OFDMシンボルフォーマットの図である。
【図3】自己相関器の内部構成の図である。
【図4】相関値対CIR推定器中に予め格納した相関値対CIR推定特性の図である。
【図5】先行技術にかかるVSWR測定装置及び方法の図である。
【図6】本発明にかかる無線送信装置の構成図である。
【図7】共用アンテナで自システムの基地局系無線送信装置と他システムの基地局系無線送信装置とが結合している場合の図である。
【図8】LTEダウンリンク信号の時間波形の図である。
【図9】VSWR測定で密度のあるテスト信号の場合の図である。
【図10】VSWR測定で通信の運用時の疎なダウンリンク信号の場合の図である。
【図11】VSWR測定で運用時の疎なダウンリンク信号に他システムからの妨害波が逆流して加わった場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1A、図1B、図1Cに本発明にかかる無線送信装置の構成を示す。図6は、無線送信装置内部のVSWR判定部200を示した概略図である。該VSWR判定部200は、進行波解析部103と、反射波解析部101と、スイッチ22と、干渉波、反射波調整部102から構成され、VSWR測定部104に接続されている。
ベースバンド信号発生器2は、MAC1で生成されたデータ信号を入力して、変調ベースバンド信号としてI/Q軸信号に変換する。
【0029】
そして、変調器3は、I/Q軸信号を、局部発振器40からの発振信号に基づいて、RF帯変調ダウンリンク信号に変調する。高出力増幅器4は、RF帯変調ダウンリンク信号を所定の送信電力まで高め、フィルタ5に出力する。フィルタ5は、RF帯変調ダウンリンク信号の送信スプリアスを低減させる。RF帯変調ダウンリンク信号は、アンテナ7によって空間に放射される。その際、アンテナ7を見込んだ場合のVSWRを測定し、アンテナからの空間放射が問題なく行なわれていることを確認するために、VSWR測定回路がアンテナ7前段に装備される。ここでは、VSWR測定のための進行波と反射波を検出するために、アンテナ7前段には方向性結合器6が挿入されている。
【0030】
方向性結合器6は、図1Cに示されるように、進行波を進行波解析部103に出力する。進行波解析部103は、進行波ダウンコンバータ13、ADC(Analog/Digital Converter)15、平均化回路17を備えている。
進行波ダウンコンバータ13は、進行波をベースバンド信号に変換する。ADC(Analog/Digital Converter)15は、ベースバンド信号に変換された進行波を量子化するベースバンド量子化手段である。平均化回路17は、進行波をRMS(Root Mean Square:平均二乗偏差)化し、進行波RMS値を出力する。
また、方向性結合器6は、図1Bに示されるように、反射波を反射波解析部101に出力する。反射波解析部101は、反射波ダウンコンバータ14、ADC16、平均化回路18、自己相関器19、判定器20を備えている。
【0031】
反射波ダウンコンバータ14は、反射波をベースバンド信号に変換する。ADC16は、ベースバンド信号に変換された反射波を量子化するベースバンド量子化手段である。平均化回路18は、反射波をRMS化し、反射波RMS値を出力する。スイッチ22は、判定器20の出力に応じて、平均化回路18から出力された反射波RMS値を、干渉波・反射波調整部102に含まれる干渉波除去・反射波平均レベル補正器23に出力するか否かを選択する。自己相関器19、判定器20、相関値対CIR推定器21については後に説明する。
図1Cに示される差分検出器10は、進行波RMS値と反射波RMS値(干渉波除去・反射波平均レベル補正器23による補正後レベル)の差分を検出する。VSWR計算器11は、検出された差分に基づいてVSWRを計算し、VSWR出力表示として外部に報告する。
【0032】
次に反射波信号より希望OFDM送信信号による反射波成分と、外部からの干渉波・妨害波成分を弁別し、希望OFDM反射波レベルのみを推定する方法を説明する。
ADC16によってディジタル信号に変換された反射波デジタルベースバンド信号を分岐し、自己相関器19と平均化回路18に入力する。
自己相関器19では、図2のOFDM信号に含まれる各シンボル内のGIコピーに着目する。また、自己相関器19の内部構成を図3に示す。自己相関器19は、図に示されるように、遅延器24と、自己相関演算器25を備えている。自己相関器19では、遅延器24によって遅延されることにより遅延波が生成される。自己相関演算器25は、この遅延波と主波との自己相関を演算により求める。判定器20は、自己相関の値(特に、そのピーク値)が予め定められた閾値以上かどうかを判定する。判定器20は、自己相関値が、閾値以上であれば、十分希望OFDM反射波の推定が可能であると判定する。他方、自己相関値が閾値未満であれば、希望OFDM反射波の推定はできないものと判定する。
【0033】
判定器20が希望OFDM反射波の推定が可能であり、抽出可能と判定した場合には、スイッチ(SW)22を干渉波除去・反射波平均レベル補正器23へ接続すべく切り替える。この場合には、平均化回路18によりRMS化した反射波RMS値を干渉波除去・反射波平均レベル補正器23に出力される。
なお、判定器20から遅延器24へは遅延量制御を行い、自己相関ピークが判定閾値を超えたことを判定器20で判定した上で、閾値以上の間は遅延器24の遅延量を保持するように制御する。また判定器20を経た自己相関器19での自己相関ピーク値は、相関値対CIR推定器21に入力される。相関値対CIR推定器21は、予め設定された図4の相関値対CIR推定特性(図4参照)によりCIRを推定する。
【0034】
相関値対CIR推定器21は、推定したCIR推定値を干渉波除去・反射波平均レベル補正器23に出力する。
干渉波除去・反射波平均レベル補正器23は、平均化回路18からの反射波レベルとCIR推定値を以下(1)式に従い、希望送信信号の反射波レベルを最終的に求める。
希望送信信号の反射波レベル [dBm]=反射波レベルRMS値 [dBm] - 10Log(1+10^(-CIR [dB]/10)) ・・・ (1)
得られた希望送信信号の反射波レベルは、平均化回路17でRMS化した進行波RMS値との差分を取るべく差分検出器10に入力される。この差分検出レベルを元にVSWR計算器11でVSWRを計算することで、外部からの他システム干渉波・妨害波レベルを差し引いた上で送信信号に準拠した真のVSWR出力表示を外部に報告することができる。
【0035】
なお自己相関器19の相関ピーク値が、判定器20で閾値以下と判定された場合は、外部からの他システムからの妨害波が強すぎる懸念があり、精度良くVSWR報告が出来ないことが予想されるため、SW22をVSWR無効表示の方向へ切り替え、外部へのVSWR報告は無効化する。
【0036】
以上、本実施の形態にかかる構成によれば、共用アンテナで結合している他システムの基地局系無線送信器からの妨害波が存在していても、反射波に含まれるそれら干渉波・妨害波のレベルをOFDMシンボル毎のGIコピーに着目した自己相関で推定し、計算にて除去することにより、十分なVSWR測定確度が得られる。伴い誤動作によるVSWRアラーム等は発生せず、本当にアンテナ自身や接続に問題が発生し、VSWRが劣化した場合のみアラームが発動されることとなる。
【0037】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上記一実施形態においてはLTEを挙げたが、例えば、第4世代以上の通信規格(e.g. LTE-Advanced、IMT-Advanced、WiMAX2)に関する通信システムに適用しても良い。
【0038】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0039】
この出願は、2012年9月25日に出願された日本出願特願2012−211229を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は無線通信分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 MAC
2 ベースバンド発生器
3 変調器
4 高出力増幅器
5 フィルタ
6 方向性結合器
7 アンテナ
8 進行波検出器
9 反射波検出器
10 差分検出器
11 VSWR計算器
12 VSWR平均化器
13 進行波ダウンコンバータ
14 反射波ダウンコンバータ
15 A/Dコンバータ
16 A/Dコンバータ
17 平均化回路
18 平均化回路
19 自己相関器
20 判定器
21 相関値対CIR推定器
22 スイッチ
23 干渉波除去、反射波平均レベル補正器
24 遅延器
25 自己相関演算器
40 局部発振器
101 反射波解析部
102 干渉波・反射波調整部
103 進行波解析部
104 VSWR測定部
200 VSWR判定部
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】

【手続補正書】
【提出日】20150203
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
VSWRを測定するVSWR測定手段と、
前記VSWR測定手段で測定したVSWRの測定値の信頼性を判定するVSWR判定手段と、
を備え、
前記VSWR判定手段は、
反射波をベースバンド信号に変換する反射波ベースバンド変換手段と、
前記反射波ベースバンド変換手段により変換されたベースバンド信号について、所定の遅延量を加えた遅延波と主波との自己相関をとる自己相関手段と、
自己相関手段によって自己相関が所定値以上の場合に1シンボル内に含まれる同一値が検出されたとして希望反射波の推定可能性が高いと判定する判定手段とを備える無線送信装置。
【請求項2】
前記自己相関手段は、OFDMの各シンボル内のGIコピーと、GIの相関がとれるように遅延量を調整する請求項1記載の無線送信装置。
【請求項3】
前記判定手段は、希望反射波の推定可能性が高いと判定されない場合には、VSWRの出力を制限する請求項1又は2項に記載の無線送信装置。
【請求項4】
前記判定手段は、自己相関ピークが所定値以上であることを判定した場合には、前記遅延量を保持する制御を実行する請求項1〜3いずれか1項に記載の無線送信装置。
【請求項5】
前記自己相関手段での自己相関ピーク値に基づいて、CIRを推定する相関値対CIR推定手段をさらに備えた、請求項1〜4いずれか1項に記載の無線送信装置。
【請求項6】
前記無線送信装置は、異なるシステムの基地局系無線送信装置とアンテナを共用していることを特徴とする、請求項1〜5いずれか1項に記載の無線送信装置。
【請求項7】
前記無線送信装置はLTEのOFDM方式の基地局系無線送信装置と他の基地局系無線送信装置が結合してアンテナを共用していることを特徴とする、請求項1〜6いずれか1項に記載の無線送信装置。
【請求項8】
VSWRの測定値の信頼性を判定するVSWR判定装置であって、
反射波をベースバンド信号に変換する反射波ベースバンド変換手段と、
前記反射波ベースバンド変換手段により変換されたベースバンド信号について、所定の遅延量を加えた遅延波と主波との自己相関をとる自己相関手段と、
自己相関手段によって自己相関が所定値以上の場合に1シンボル内に含まれる同一値が検出されたとして希望反射波の推定可能性が高いと判定する判定手段とを備えるVSWR判定装置。
【請求項9】
VSWRの測定値の信頼性を判定するVSWR判定方法であって、
反射波をベースバンド信号に変換するステップと、
変換されたベースバンド信号について、所定の遅延量を加えた遅延波と主波との自己相関をとるステップと、
自己相関が所定値以上の場合に1シンボル内に含まれる同一値が検出されたとして希望反射波の推定可能性が高いと判定するステップとを備えるVSWR判定方法。
【国際調査報告】