(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014049960
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】駆動装置およびこれを用いた撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/00 20060101AFI20160725BHJP
【FI】
   !H02N2/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】2014512573
(21)【国際出願番号】JP2013005091
(22)【国際出願日】20130828
(11)【特許番号】5569665
(45)【特許公報発行日】20140813
(31)【優先権主張番号】2012215794
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番2号
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】松尾 隆
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 コニカミノルタ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】川崎 豊年
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 コニカミノルタ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】森川 拓真
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 コニカミノルタ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】阿川 訓弘
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 コニカミノルタ株式会社内
【テーマコード(参考)】
5H680
5H681
【Fターム(参考)】
5H680AA19
5H680BB02
5H680BC01
5H680CC02
5H680DD73
5H681AA19
5H681BB02
5H681BC01
5H681CC02
5H681DD73
(57)【要約】
本発明にかかる駆動装置および撮像装置では、電気機械変換素子の機械エネルギーが伝達される駆動軸に所定の摩擦力で係合される移動体は、前記駆動軸を摺動する第1摺動面を一部に含む外周面を持つ筒状に形成された金属製の移動体本体部と、前記移動体本体部の外周面から外周側に突設され前記駆動軸を摺動する第2摺動面を有するガイド部とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを、伸縮する機械エネルギーに変換する電気機械変換素子と、
前記電気機械変換素子の前記機械エネルギーが伝達される駆動軸と、
前記駆動軸に所定の摩擦力で係合され、前記駆動軸の軸方向に沿って摺動可能な移動体とを備え、
前記移動体は、
前記駆動軸を摺動する第1摺動面を一部に含む外周面を持つ筒状に形成された金属製の移動体本体部と、
前記移動体本体部の外周面から外周側に突設され前記駆動軸を摺動する第2摺動面を有するガイド部とを備える、
駆動装置。
【請求項2】
前記移動体本体部における前記筒状に形成された部分の肉厚は、0.05mm〜0.3mmである、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1摺動面は、平面である、
請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記電気機械変換素子および駆動軸を保持した保持部材をさらに備え、
前記保持部材は、前記駆動軸の軸方向の一方側から見て、略矩形状を呈し、
前記駆動軸は、前記保持部材における第1隅角部に配置され、
前記第1摺動面は、前記駆動軸の軸方向の一方側から見て、前記駆動軸の軸心と前記保持部の中心とを結ぶ線に略垂直である、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記移動体は、前記移動体本体部と別体の金属製板体を備え、
前記ガイド部は、前記金属製板体の一端に形成され、
前記金属製板体は、前記移動体本体部に溶接により連結されている、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記移動体は、前記駆動軸を前記第1摺動面および前記第2摺動面に押圧する弾性を有する押圧片を備え、
前記押圧片は、前記金属製板体の他端に形成される、
請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記電気機械変換素子および駆動軸を保持した保持部材をさらに備え、
前記保持部材は、前記駆動軸の軸方向の一方側から見て、略矩形状を呈し、
前記駆動軸は、前記保持部材における第1隅角部に配置され、
前記押圧片は、前記保持部材における第1隅角部から、前記第1隅角部と隣接する第2隅角部に延されている、
請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記移動体は、前記駆動軸に対する前記駆動軸の軸心回りの回転を規制する回転規制部を備え、
前記回転規制部は、前記金属製板体の中間部に形成されている、
請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記電気機械変換素子および駆動軸を保持した保持部材をさらに備え、
前記保持部材は、前記駆動軸の軸方向の一方側から見て、略矩形状を呈し、
前記駆動軸は、前記保持部材における第1隅角部に配置され、
前記移動体は、前記駆動軸を前記第1摺動面および前記第2摺動面に押圧する弾性を有する押圧片を備え、
前記押圧片は、前記保持部材における第1隅角部から、前記第1隅角部と隣接する第2隅角部に延されている、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記移動体本体部は、当該移動体本体部の外周面と略垂直なフランジを備える、
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記移動体本体部は、ステンレス製である、
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記駆動軸は、当該駆動軸の外周面が前記電気機械変換素子の外周面から外周側に、全周に亘って突出している、
請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の駆動装置と、
光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、
1または複数の光学素子を備え、物体の光学像を前記撮像素子の受光面上に結像する撮像光学系とを備え、
前記撮像光学系における前記1または複数の光学素子のうちの光軸方向に沿って移動する光学素子は、前記駆動装置の前記移動体に取り付けられていること
を特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話等に搭載可能な撮像装置に好適に用いられる駆動装置およびこれを用いた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば携帯電話等の比較的小型で薄型の機器に搭載可能な撮像装置に好適に用いられる駆動装置として、SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism、「SIDM」は登録商標)と称される駆動装置が知られている。このSIDMの駆動装置は、電気機械変換素子である圧電素子と、前記圧電素子に固定された駆動軸と、前記駆動軸の外周に摩擦係合した移動体とを備えている。そして、このようなSIDMの駆動装置では、前記圧電素子の伸縮が駆動軸に伝えられ、その駆動軸に所定の摩擦力で係合した移動体が、前記圧電素子の伸張時と縮小時との速度差を利用することで駆動する。より詳しくは、このような駆動装置では、例えば駆動軸をゆっくりと伸張させることによって、その駆動軸に摩擦係合している移動体も駆動して移動する一方、前記所定の摩擦力を超える程、駆動軸を瞬時に縮小させると、前記移動体が伸張位置に取り残される。このような駆動軸の伸長と収縮とを繰返し行うことで、駆動装置は、前記移動体を前記駆動軸の軸方向に駆動させることができる。
【0003】
このような駆動装置において、駆動性能を高くするために、駆動軸と摺動する移動体の摺動面は、例えば金属のように硬度の高いことが好ましい。金属は、押圧力による弾性変形(微視的なもの)が小さいため駆動軸の変位(速度)の伝達ロスが小さく、摩擦力を高く(押圧力を大きく)設定でき駆動推力を大きくできる。したがって、撮像装置の姿勢による速度差が小さくでき、また、耐久性や固着などに対する信頼性が高くできる。
【0004】
このようなことから、例えば特許文献1には、樹脂製の移動体本体部における駆動軸との摺動部に、移動体本体部よりも硬度の高い金属片を接着した駆動装置が開示されている。また例えば特許文献2には、インサート成型により樹脂製の移動体本体部における駆動軸との摺動部に金属片を配置した駆動装置が開示されている。また例えば特許文献3には、金属製の円筒体を有する樹脂製の移動体本体部と、前記円筒体の外周の一部を磁力によって駆動する磁石と、移動体本体部における磁石との接触部(駆動部)と周方向に距離を隔てた別の箇所に設けられた軸案内孔に嵌挿され、移動の際に前記移動体本体部を案内するガイド軸と備えた駆動装置が開示されている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように、接着によって金属片を移動体本体部に配設した場合、或いは、上記特許文献2のようにインサート成型によって金属片を移動体本体部に配設した場合では、駆動装置の小型化によって部品が非常に小さくなる(例えば1mm角程度になる)と、金属片のハンドリングが非常に難しい。また、インサート成型の生産性が悪化する。更に、接着する場合では、硬化時間が必要になるため、タクトタイムの低下を招くおそれが高くなる。また、上記特許文献1および特許文献2では、移動体本体部が樹脂製であるため、例えば大口径のレンズ群を内周側に保持する場合、強度面から移動体本体部が相当大きくなってしまい、小型化し難くなってしまう。
【0006】
上記特許文献3のように、軸案内孔に嵌挿されたガイド軸に案内されるため、軸案内孔とガイド軸との両者間のクリアランスに伴うガタによって駆動軸に対する移動体本体部の傾き(チルト)が発生してしまう。また、上記特許文献3のように、駆動部と軸案内孔およびガイド軸とが離れているため、駆動部から軸案内孔およびガイド軸にモーメントがかかってこじれを生じ、その結果、駆動の動作が不安定になる恐れがある。
【0007】
この特許文献3でも、移動体本体部が樹脂製であるため、上記特許文献1および特許文献2と同様に、例えば大口径のレンズ群を内周側に保持する場合、強度面から移動体本体部が相当大きくなってしまい、小型化し難くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開WO2011/055504号
【特許文献2】特開2011−194604号公報
【特許文献3】特開2008−203583号公報
【発明の概要】
【0009】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、容易に製造でき、駆動軸に対する移動体本体部の傾きが発生し難く、しかも、小型化できる駆動装置およびこれを用いた撮像装置を提供することである。
【0010】
本発明にかかる駆動装置および撮像装置では、電気機械変換素子の機械エネルギーが伝達される駆動軸に所定の摩擦力で係合される移動体は、前記駆動軸を摺動する第1摺動面を一部に含む外周面を持つ筒状に形成された金属製の移動体本体部と、前記移動体本体部の外周面から外周側に突設され前記駆動軸を摺動する第2摺動面を有するガイド部とを備える。
【0011】
上記並びにその他の本発明の目的、特徴および利点は、以下の詳細な記載と添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態における駆動装置の斜視図である。
【図2】図1に示す駆動装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示す駆動装置に用いられるアクチュエータ本体の斜視図である。
【図4】図1に示す駆動装置に用いられる保持部材の斜視図である。
【図5】図1に示す駆動装置に用いられる移動体本体部の斜視図である。
【図6】図5に示す移動体本体部の平面図である。
【図7】図1に示す駆動装置に用いられるガイドスプリングの斜視図である。
【図8】図7に示すガイドスプリングの平面図である。
【図9】図1に示す駆動装置のカバーを外した状態の平面図である。
【図10】図1に示す駆動装置における電極端子と圧電素子との接続部の説明図である。
【図11】図1に示す駆動装置における前記移動体本体部と前記ガイドスプリングとの連結状態の斜視図である。
【図12】図1に示す駆動装置における前記移動体本体部とガイドスプリングとを治具を用いて連結する際の説明図である。
【図13】図1に示す駆動装置を有する撮像装置のカバーを省略した断面図である。
【図14】移動体の他の実施形態を示す図である。
【図15】移動体の更に他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。なお、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。なお、以下の説明において、図1ないし図5、図7および図10ないし図13に示すX方向が上側とされ、そのY方向が下側とされる。
【0014】
図1ないし図13において、本実施形態における駆動装置1は、例えば携帯電話等に搭載可能な撮像装置に好適に用いられる。この実施形態の駆動装置1は、図1および図2に示すように、保持部材2と、保持部材2に保持された駆動本体部3と、移動体4と、カバー8とを備えている。
【0015】
保持部材2は、駆動本体部3を保持して支持するベース部材であり、LCP(液晶ポリマー)等の樹脂材料から形成され、図4に示すように、後述の電極端子22、23の一部をインサートした形で射出成形によって形成される。この実施形態の保持部材2は、矩形状の外周を有し、中心部に光路となる円形状の貫通孔20gを有する筒状体からなる。
【0016】
この保持部材2は、左前方側の第1隅角部2aには、前記筒状体の上面(一方面)2eからX方向に沿って立設する第1支持柱20aを備える。また、保持部材2は、第1隅角部2aにおける第1支持柱20aの内側に、駆動本体部3を保持するアクチュエータ保持部21を備える。
【0017】
このアクチュエータ保持部21は、保持部材2の上面2eから所定の深さで円柱状に窪むように形成される。
【0018】
保持部材2は、第1隅角部2aにおけるアクチュエータ保持部21を挟んでその両側に、第1電極端子22の先端22aと第2電極端子23の先端23aとが各側面を互いに向かい合わせて保持部材2の上方側に突出するように配設される。
【0019】
これら第1および第2電極端子22、23は、それぞれ、その中間部が保持部材2に埋設され、第1および第2電極端子22、23の各基端は、それぞれ、保持部材2の外側面から突設され、外部接続端子22b、23bと成っている。そして、この駆動装置1が搭載される図示しない携帯電話の回路基板やコネクタと、この外部接続端子22b、23bとが互いに接続される。
【0020】
この実施形態では、図10に示すように第1電極端子22の外部接続端子22bおよび第2電極端子23の外部接続端子23bは、それぞれ、互いの外部接続端子22b、23bの下面同士が面一になるように、段部を介して折り曲げ成形される。この構成によって、第1電極端子22の外部接続端子22bおよび第2電極端子23の外部接続端子23bは、それぞれ、例えば携帯電話の回路基板に置かれることにより回路基板に通電可能に接続できる。
【0021】
保持部材2は、図4に示すように、右前方側の第2隅角部2b、右後方側の第3隅角部2cおよび左後方側の第4隅角部2dのそれぞれに、前記筒状体の上面(一方面)2eからX方向に沿って立設するように、第2支持柱20b、第3支持柱20c、第4支持柱20dを備える。第3支持柱20cには、後述の移動体4の回転規制部61aを上下方向に移動可能に受容する規制部受容溝29が形成されている。なお、これら第1ないし第4隅角部2a〜2dは、本実施形態では、前記筒状体と一体に形成される。
【0022】
駆動本体部3は、図3に示すように、軸方向に伸縮する電気機械変換素子の一例である圧電素子31と、圧電素子31の一方端に連結された駆動軸32と、圧電素子31の他端に連結された錘33とを備える。
【0023】
錘33は、圧電素子31の伸縮による変位を主に駆動軸32側に、好ましくは駆動軸32側のみに、発生させるための部材である。この実施形態では、錘33は、タングステンやタングステン合金等比重の高い材料から形成される。
【0024】
錘33は、外径が圧電素子31の外周から全周に渡って外周方向に突出するように形成された円柱状である。
【0025】
なお、この錘33は、圧電素子31の他端が保持部材2に取付けられること等によって、錘33の機能と同様の機能を発揮することができる場合には、省略されてもよい。
【0026】
圧電素子31は、電気機械変換素子の一例である。この電気機械変換素子は、入力の電気エネルギーを、伸縮する機械エネルギー、すなわち、機械的な運動に変換する素子であり、例えば、入力の電気エネルギーを圧電効果によって機械的な伸縮運動に変換する圧電素子等である。本実施形態では、上述のように、電気機械変換素子として圧電素子31が用いられ、この圧電素子31は、例えば、積層体と、一対の外部電極とを備えている。
【0027】
積層体は、圧電材料から成る薄膜状(層状)の圧電層と導電性を有する薄膜状(層状)の内部電極層とを交互に複数積層して成るものである。積層体は、本実施形態では、四角柱形状となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、多角柱状や円柱形状等であってよい。
【0028】
複数の内部電極層は、これら複数の内部電極層のうちの複数の陽極層が積層体における外周側面の一方側に、そして、これら複数の陰極層が積層体における外周側面の他方側に、達するまでそれぞれ延設されることによって、それら各層の先端が互いに対向する一対の外周側面で外部に臨むように、それぞれ構成される。一対の外部電極31a、31aは、前記電気エネルギーを積層体に供給するものであり、積層体における前記一対の外周側面上に積層方向に沿って例えば銀等のスパッタ法によって形成され、各圧電層間の前記複数の内部電極を並列に接続するように、前記複数の内部電極と順次交互に接続される。
【0029】
圧電材料は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(いわゆるPZT)、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、ニオブ酸タンタル酸カリウム(K(Ta,Nb)O)、チタン酸バリウム(BaTiO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO)等の無機圧電材料である。
【0030】
そして、この圧電素子31は、下端面が錘33の上端面に、エポキシ接着剤等の接着剤によって接着される。本実施形態では、エポキシ接着剤には、錘との短絡防止および接着層厚を安定化させるため、直径5μm程度の樹脂性のビーズが混入される。
【0031】
駆動軸32は、軸方向にカーボン繊維を配列し、樹脂によって円柱状に成形した炭素繊維強化プラスチック(CFRP、carbon−fiber−reinforced plastic)から形成される。本実施形態の駆動軸32は、外径が圧電素子31の外周から全周に渡って外周方向に突出するように形成される。
【0032】
そして、駆動軸32は、その下端面が圧電素子31の上端面に、接着剤により接着される。この接着剤は、圧電素子31と錘33とを接着した接着剤と同じものである。
【0033】
駆動軸32と圧電素子31との接合面からはみ出た接着剤(フィレット)は、圧電素子31側に形成される。これによって、駆動軸32の全領域(外周面における軸方向の全域)が移動体4との摺動に使うことができ、短い駆動軸32で大きなストロークが実現できる。
【0034】
このように構成された駆動本体部3は、図13に示すように保持部材2の駆動本体部保持部21に錘33側から嵌挿され、接着剤(図示せず)によって駆動本体部保持部21の底面と錘33とが接着され、駆動本体部3は、駆動本体部保持部21内に固定される。
【0035】
この状態で、駆動軸32の軸方向と、保持部材2の軸方向とが一致した状態になっている。
【0036】
また、このように保持部材2の駆動本体部保持部21に保持された駆動本体部3において、2つの第1電極連結バネ24aおよび第2電極連結バネ24bを介して圧電素子31における一対の外部電極31aそれぞれと、第1電極端子22の先端22aおよび第2電極端子23の先端23aのそれぞれが、通電可能に接続される。
【0037】
より詳しくは、図10に示すように第1電極連結バネ24aと第2電極連結バネ24bとは、同じ構成であり、それぞれ、金や白金等でメッキされ、線材を巻き回したコイル部25aと、コイル部25aから径方向外側に突設された第1足部25bおよび第2足部25cとを備えたねじりコイルバネから構成されている。
【0038】
第1電極連結バネ24aでは、コイル部25aに第1電極端子22の先端22aが押し入れられ、第1足部25bが圧電素子31の一方の外部電極31aに当接し、そして、第2足部25cが保持部材2に設けられたバネ係止部26(図9参照)に係止される。この状態で、コイル部25aにねじり力が蓄積し、そのねじり力によって第1足部25bが圧電素子31の外部電極31aを押圧した状態になっている。
【0039】
第2電極連結バネ24bでは、コイル部25aに第2電極端子23の先端23aが押し入れられ、第1足部25bが圧電素子31の他方の外部電極31aに当接し、そして、第2足部25cが保持部材2に設けられたバネ係止部26(図9参照)に係止される。この状態で、コイル部25aにねじり力が蓄積し、そのねじり力によって第1足部25bが圧電素子31の外部電極31aを押圧した状態になっている。
【0040】
本実施形態では、第1電極連結バネ24aおよび第2電極連結バネ24bそれぞれの第1足部25bと圧電素子31の外部電極31aとの当接部からコイル部25aにかけて、導電性接着剤27が介在するように配設される。これによって、第1電極連結バネ24aおよび第2電極連結バネ24bに加えて、導電性接着剤27が圧電素子31の外部電極31aと第1電極端子22および第2電極端子23とを通電可能に接続し、両者をより確実に接続している。
【0041】
また、この実施形態では、導電性接着剤27は、その表面に、補強接着剤28によって被覆され、導電性接着剤27の接着強度が補強される。
【0042】
次に、移動体4について説明する。移動体4は、駆動軸32に所定の摩擦力で係合され、駆動軸32の軸方向に沿って摺動する。本実施形態の移動体4は、図2に示すように金属製の円筒状の移動体本体部5と、移動体本体部5とは別体のガイドスプリング(金属製板体)6とを備える。移動体本体部5は、本実施形態では、例えば、ステンレス製で、0.05mm〜0.3mmの厚さで、絞り加工によって形成される。ステンレス材は、金属材料の中でも、安価で成形性がよく、耐久性もよく、駆動性能も良好な材料である。
【0043】
移動体本体部5は、図5、図6に示すように内周側にレンズ保持部54を備え、このレンズ保持部54は、1または複数のレンズ群71を有する被移動体としてのレンズバレル7(図13参照)を保持する。レンズバレル7の側面には接着溝72が設けられ、接着溝72に接着剤73を充填してレンズ保持部54にレンズバレル7が接着される(図13参照)。
【0044】
移動体本体部5は、外周面の一部に、駆動軸32を摺動する第1摺動面51を備える。この第1摺動面51は、本実施形態では、移動体本体部5の成形加工に際し、移動体本体部5の一部を、周方向に所定の幅で軸方向の全体に亘って平板状にすることによって平面に形成される。このため、移動体本体部5が駆動軸32を摺動する際に、移動体本体部5が駆動軸32に対して傾くことなく一定の姿勢を保持しながら摺動できる。
【0045】
また、移動体本体部5は、下端に、径方向内側に突出するように形成された第1フランジ52を備えるとともに、上端に、径方向外側に突出するように形成された第2フランジ53を備えており、これらによって移動体本体部5の強度が高められている。
【0046】
第1フランジ52は、その上面がレンズバレル載置部52aをなしており、図13に示すようにレンズ保持部54にレンズバレル7を保持させる際に、このレンズバレル載置部52aにレンズバレル7を載置することにより、移動体本体部5の軸心とレンズバレル7のレンズ群71の光軸とが互いに傾くことなく揃うようになっている。
【0047】
このように、移動体本体部5が金属製の筒であるため強度や摩耗に対する耐久性が高く、また薄肉の金属筒のため内部に保持されるレンズ群71の大口径化を図ることが可能となる。駆動軸33が移動体本体部5に直接当接して駆動するため、アクチュエータ3と摩擦係合する部位を、レンズ群71を保持する部位と別に、設ける構成に比べ、移動体本体部5の内部に保持されるレンズ群71の大口径化を図ることができる。
【0048】
ガイドスプリング6は、本実施形態では、例えば、ステンレス製で、0.1mm〜0.3mmの厚さで形成される。このガイドスプリング6は、図7、図8に示すように円弧部61と、円弧部61の一端側に形成されたガイド部62と、円弧部61の他端側に形成された押圧片63とを備える。
【0049】
円弧部61は、ガイド部62から周方向に略180°隔てた位置に、回転規制部61aを備える。この回転規制部61aは、駆動軸32に対する移動体4の軸心回りの回転を規制するためのもので、規制枠部61bと、規制枠部61bに形成された半球状の突起61cとを備える。
【0050】
規制枠部61bは、円弧部61の一部を径方向外側に矩形状に突出させるようにして形成される。
【0051】
突起61cは、規制枠部61bの両外側面のそれぞれから外方に突出するように形成される。また、突起61c同士の外幅W1(図9参照)は、保持部材2の規制部受容溝29の内幅W2(図9参照)よりも若干狭く設定される。なお、図9では、突起61c同士の外幅W1と規制部受容溝29の内幅W2とは、同じ幅で表されている。
【0052】
また、本実施形態では、円弧部61は、一端(ガイド部62)と回転規制部61aとの間に、他の部分よりも幅が狭い幅狭部61dを備える。
【0053】
ガイド部62は、円弧部61の一端側の一部を円弧部61の径方向外側に折り曲げ成形することにより形成され、その一方面に、駆動軸32を摺動する第2摺動面62aを備える。
【0054】
押圧片63は、円弧部61の他端から段部を介して直線状に延設するように形成されており、その先端部に、駆動軸32を押圧する押圧部63aを備える。本実施形態の押圧部63aは、第1摺動面51および第2摺動面62aよりも幅狭に形成されている。
【0055】
そして、これらガイドスプリング6と移動体本体部5とは、溶接によって固定的に連結される。
【0056】
より詳しくは、これらガイドスプリング6と移動体本体部5とは、図11に示すように、移動体本体部5の第1摺動面51とガイドスプリング6の第2摺動面62aとが隣接するように、そして、移動体本体部5の外周にガイドスプリング6を巻き付けるように、配設される。
【0057】
そして、この状態で、両者は、複数個所(本実施形態では、図7に×印で示した互いに離間した4箇所)を例えば抵抗溶接(スポット溶接)およびレーザ溶接等の溶接によって、固定される。
【0058】
本実施形態では、その溶接に際し、図12に示すように回転規制部61aを把持した位置決め治具11およびガイド部62を把持した第2摺動面姿勢調整治具12を用いることによって、移動体本体部5とガイドスプリング6との互いの位置、第2摺動面の姿勢を決めた上で溶接が行われる。その際、例えば第2摺動面の姿勢を設定する場合に、円弧部61の幅狭部61dによって第2摺動面の姿勢を設定し易くなっている。
【0059】
この溶接によって固定された状態で、第1摺動面51と第2摺動面62aとが略直角になって、第1および第2摺動面51、62aは、両者でL字状を成している。
【0060】
このように移動体本体部5とガイドスプリング6とをステンレス等の金属から形成し、溶接によって結合することによって、移動体本体部5とガイドスプリング6とは、強固に固定でき、接着等と異なり瞬時に固定できるので、製造上のタクトタイムは、大幅に短縮できる。
【0061】
そして、移動体本体部5とガイドスプリング6とが連結された移動体4は、図9に示すように、回転規制部61aを保持部材2の規制部受容溝29に入れるように、そして、駆動軸32を第1摺動面51と第2摺動面62aと押圧部63aとで囲むように、配置される。
【0062】
これによって、押圧片63の弾性力によって第1摺動面51が駆動軸32の外周に押し付けられるとともに、第2摺動面62aが駆動軸32の外周における上記第1摺動面51と当接した箇所から周方向に所定距離隔てた位置に押し付けられることによって、移動体4は、駆動軸32と摩擦係合する。
【0063】
この状態で、押圧片63は、保持部材2の第2隅角部2bから第1隅角部2aに延された状態になっている。第1摺動面51は、駆動軸32の軸方向の上側(一方側)から見て、保持部材2の中心O1と駆動軸32の軸心O2とを結ぶ線Pと垂直になり、また、第2摺動面62aは、上記線Pと平行になっている。
【0064】
次に、カバー8について、図1および図2に基づいて説明する。本実施形態のカバー8は、例えば、0.1mm〜0.2mmのステンレス製の薄板を絞り加工またはプレス加工によって、一方面(下面)を開口した箱形状に形成され、上壁81に光路となる貫通孔82を備えている。この貫通孔82は、レンズバレル7における光路の形状に応じた形状であり、例えば円形状である。
【0065】
カバー8は、4つの側壁83それぞれに、保持部材2の側面に設けられた係止用突起20fに係止する係止用孔84を備える。なお、この実施形態では、係止用突起20fは、2個であり、対向する2つの係止用孔84と係止するようになっている。
【0066】
カバー8は、保持部材2における第1支持柱20a、第3支持柱20cおよび第4支持柱20dそれぞれの上面に設けられた載置台20e、および、第2支持柱20bの各上面に、カバー8の上壁81の内面が当接した状態で、係止用孔84と係止用突起20fとが係止している。
【0067】
この係止状態で、載置台20e、および、第2支持柱20bの各上面と、カバー8の上壁81の内面とが接着剤により接着されて結合される。
【0068】
以上のように構成された駆動装置1は、例えば図13に示すように移動体4のレンズ保持部54にレンズバレル(撮像光学系)7が保持され、保持部材2の下面側に、IRカットフィルタ102および撮像素子103を有するセンサ基板104が付設される。これによって撮像装置100が形成される。
【0069】
撮像素子103は、全体を図示していない撮像光学系によって結像された物体(被写体)の光学像における光量に応じてR(赤)、G(緑)、B(青)の各成分の画像信号に光電変換して所定の画像処理回路(不図示)へ出力する素子である。撮像素子103は、例えば、CCD型のイメージセンサや、CMOS型のイメージセンサ等である。
【0070】
前記撮像光学系は、レンズ群71を含む、1または複数のレンズ群(光学素子)を備え、物体の光学像を撮像素子103の受光面上に結像する。レンズ群71は、このような撮像光学系における前記1または複数の光学素子のうちの光軸に沿って移動する光学素子である。レンズ群71は、1枚のレンズであってよく、また複数のレンズを備えるものであってもよい。レンズ群71は、例えば、フォーカシング(合焦)を行うために光軸に沿って移動する光学系であってよく、また例えば、ズーミング(変倍)を行うために光軸に沿って移動する光学系であってよい。このようなレンズ群71を備える撮像光学系によって物体の光学像が、撮像光学系によりその光軸に沿って撮像素子103の受光面まで導かれ、撮像素子103によって前記物体の光学像が撮像される。
【0071】
そして、例えば携帯電話機の回路基板に、第1電極端子22の外部接続端子22bおよび第2電極端子23の外部接続端子23bが配置され、携帯電話機の筐体内に設置される。
【0072】
図略の駆動回路から第1電極端子22の外部接続端子22bおよび第2電極端子23の外部接続端子23bに電力(駆動信号)が供給されると、駆動装置3の圧電素子31が軸方向に伸縮してその伸縮によって駆動軸32が往復移動し、その往復移動によって移動体4が駆動軸32の軸方向(光軸方向)に移動する。
【0073】
より詳しくは、駆動信号として所定のデューティ比の矩形波が圧電素子31に供給されることによって、圧電素子31の変位が三角波状となり、その矩形波のデューティ比を変えることによって上昇時(伸張時)と下降時(収縮時)とで傾きの異なる三角波状の伸縮運動が発生する。駆動本体部3の駆動メカニズムは、これを利用するものである。
【0074】
例えば、駆動軸32をゆっくりと伸張させることで、その駆動軸32に摩擦係合している移動体4もその伸張に応じて移動し、摩擦係合した摩擦力を超える程の瞬時に、駆動軸32を収縮させると、移動体4がその移動先の位置でそのまま取り残される。このような駆動軸32の軸方向の伸縮を繰返し行うことで、移動体4が駆動軸32の軸方向に移動する。
【0075】
本実施形態では、この移動体4が駆動軸32を摺動する際に、第1摺動面51と第2摺動面62aとが駆動軸32に押し付けられた状態で摺動するため、駆動軸に対する移動体本体部の傾きが発生し難く、移動体4の姿勢が変わることなく移動できる。
【0076】
本実施形態では、押圧部63aが第1摺動面51および第2摺動面62aよりも幅狭に形成されているため、例えば押圧片63がねじれを生じている場合でも、駆動装置1は、確実に駆動軸32を第1摺動面51および第2摺動面62aに線接触させることができ、より一層確実に、移動体4の姿勢が変わることなく移動できる。
【0077】
本実施形態では、移動体4が駆動軸32の軸心回りに回転しようとすると、回転規制部61aの何れか一方の突起61cが規制部受容溝29の内壁に当接することで、移動体4の回転が規制される。また、突起61cが規制部受容溝29の内壁に当接した状態から、移動体4が駆動軸32を摺動する場合、突起61cが半球状に形成されて規制部受容溝29の内壁に点接触するため、その接触による抵抗を殆ど受けることなく移動体4は、駆動軸32を摺動できる。
【0078】
なお、上記実施形態では、移動体4のガイド部62は、移動体本体部5と別体で構成されたが、この形態に限らず、適宜に変更できる。
【0079】
図14は、移動体の他の実施形態を示す図である。図14Aは、その斜視図であり、そして、図14Bは、その平面図である。例えば、図14Aおよび図14Bに示す移動体本体部205は、所定の幅および長さの板状体から形成され、前記板状体が長さ方向に沿って円弧状に折り曲げ成形されるとともに、その中間部に回転規制部261aが形成されることで、構成されている。そして、この移動体本体部205では、その移動体本体部205の長さ方向の一端側に第1摺動面251が形成されるとともに、移動体本体部205を構成した板状体の一部を径方向外側に折り曲げ成形して第2摺動面262aを有するガイド部262が形成される。
【0080】
そして、この移動体本体部205では、押圧片263の基端は、移動体本体部205の外周面に溶接等の固定手段によって固定され、押圧片263の先端側の押圧部263aは、図14Bに示すように、駆動軸32を第1摺動面251および第2摺動面262aに押し当てて押圧部263aと第1摺動面251と第2摺動面262aとで駆動軸32を摩擦係合できる位置に、配設されている。
【0081】
なお、この場合において、第1摺動面251は、平面に形成されてもよいが、図14Aおよび図14Bに示すように円弧状でもよい。また、移動体本体部205の長さ方向の一端と他端とが連結されてもよいが、図14Aおよび図14Bに示すように、両者間に隙間210ができても良い。すなわち、移動体本体部205の長さ方向の一端と他端とは、連結されずに(非接続で)、離間してもよい。
【0082】
図15は、移動体のさらに他の実施形態を示す図である。図15Aは、その斜視図であり、そして、図15Bは、その平面図である。押圧片263は、移動体本体部205と別体に形成される形態に限らず、例えば、図15に示すように、移動体本体部205の一部を切り離すとともに、折り返すように折り曲げ成形することで、形成されてもよく、適宜に変更できる。
【0083】
また、上記実施形態の駆動装置1は、押圧片の弾性力によって押圧部と第1摺動面と第2摺動面とで駆動軸を摩擦係合したが、この形態に限らず、適宜に変更できる。例えば駆動軸に磁石を付設し、移動体(移動体本体部とガイドスプリング)を磁性材料とすることによって、第1摺動面と第2摺動面と駆動軸とを摩擦係合できるように、駆動装置1は、構成されてもよい。したがって、その場合は、押圧片は、設けなくてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、第1摺動面51と第2摺動面62aとは、略直角になって両者でL字状をなしているが、この形態に限らず、適宜に変更できる。例えば第1摺動面51と第2摺動面62aとは、鋭角をなすV字状に形成されてよく、或いは、第1摺動面51と第2摺動面62aとは、鈍角をなすように形成されてよい。また、第1摺動面51および第2摺動面62aの一方または両方は、湾曲面に形成されてもよい。
【0085】
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
【0086】
一態様にかかる駆動装置は、伸縮する機械エネルギーに電気エネルギーを変換する電気機械変換素子と、前記電気機械変換素子の前記機械エネルギーが伝達される駆動軸と、前記駆動軸に所定の摩擦力で係合され、前記駆動軸の軸方向に沿って摺動可能な移動体とを備え、前記移動体は、前記駆動軸を摺動する第1摺動面を一部に含む外周面を持つ筒状に形成された金属製の移動体本体部と、前記移動体本体部の外周面から外周側に突設され前記駆動軸を摺動する第2摺動面を有するガイド部とを備える。好ましくは、上述の駆動装置において、前記移動体本体部における前記筒状に形成された部分の肉厚は、0.05mm〜0.3mmである。
【0087】
このような駆動装置では、移動体本体部は、金属製の筒状のもので形成され、その外周面の一部が駆動軸を摺動する第1摺動面を成す。このため、このような駆動装置は、第1摺動面を移動体本体部と別途に形成せずに済み、容易に製造できる。
【0088】
移動体本体部は、金属製の筒状のもので形成されるため、このような駆動装置は、従来の樹脂製のものに較べて強度が大きく、径方向の厚さを樹脂製のものに比して薄くできる。これによって、このような駆動装置は、例えば内周側に大口径のレンズ群を保持する場合も外径を抑えることができ、一方、内周側に小口径のレンズ群を保持する場合は外径を小さくできる。したがって、移動体本体部、ひいては駆動装置全体の小型化が可能となる。また、移動体本体部の軸方向の長さを樹脂製のものに較べて短くでき、背低化が可能となる。
【0089】
また、駆動軸を摺動する第2摺動面を有するガイド部は、移動体本体部の外周面から外周側に突設されており、ガイド部の第2摺動面と移動体本体部外周面の第1摺動部とで、移動体を光軸方向に移動させる案内部材として機能するため、ガイド軸が不要であり、また駆動部とガイド部とがこじれを生じるようなことがなく、駆動軸に対する移動体本体部の傾きが発生し難く、円滑に駆動軸を摺動できる。
【0090】
他の一態様では、これら上述の駆動装置において、前記第1摺動面は、平面である。
【0091】
このような駆動装置では、移動体本体部が駆動軸を摺動する際に、移動体本体部が駆動軸に対して傾くことなく一定の姿勢を保持しながら摺動できる。
【0092】
他の一態様では、これら上述の駆動装置において、前記電気機械変換素子および駆動軸を保持した保持部材をさらに備え、前記保持部材は、前記駆動軸の軸方向の一方側から見て、略矩形状を呈し、前記駆動軸は、前記保持部材における第1隅角部に配置され、前記第1摺動面は、前記駆動軸の軸方向の一方側から見て、前記駆動軸の軸心と前記保持部の中心とを結ぶ線に略垂直である。
【0093】
このような駆動装置では、電気機械変換素子および駆動軸は、保持部材における第1隅角部に配置されているため、例えば移動体の移動体本体部にレンズ群を保持させて保持部材における中央部側にそのレンズ群を配置でき、大口径のレンズ群を配置することも可能になる。これによって、保持部材に対して電気機械変換素子および駆動軸や移動体本体部に保持させるレンズ群の配置効率が向上し、装置全体の小型化を図ることができる。
【0094】
他の一態様では、これら上述の駆動装置において、前記移動体は、前記移動体本体部と別体の金属製板体を備え、前記ガイド部は、前記金属製板体の一端に形成され、前記金属製板体は、前記移動体本体部に溶接により連結されている。
【0095】
このような駆動装置は、ガイド部と移動体本体部とを容易に、しかも即座に連結可能で、製造効率を上げることができる。また、このような駆動装置は、移動体全体の小型化を図ることができる。
【0096】
他の一態様では、上述の駆動装置において、前記移動体は、前記駆動軸を前記第1摺動面および前記第2摺動面に押圧する弾性を有する押圧片を備え、前記押圧片は、前記金属製板体の他端に形成される。
【0097】
このような駆動装置は、ガイド部と押圧片とを容易に形成できる。このような駆動装置は、ガイド部および押圧片と移動体本体部とを容易に、しかも即座に連結でき、製造効率を向上できるとともに、移動体全体の小型化を図ることができる。
【0098】
他の一態様では、上述の駆動装置において、前記電気機械変換素子および駆動軸を保持した保持部材をさらに備え、前記保持部材は、前記駆動軸の軸方向の一方側から見て、略矩形状を呈し、前記駆動軸は、前記保持部材における第1隅角部に配置され、前記押圧片は、前記保持部材における第1隅角部から、前記第1隅角部と隣接する第2隅角部に延されている。
【0099】
このような駆動装置では、押圧片は、保持部材における第1隅角部から、その第1隅角部と隣接する第2隅角部に延されているため、駆動軸を第1摺動面および第2摺動面に押圧するに必要十分な弾性力を有する長さの押圧片が形成できる。しかも、例えば移動体の移動体本体部にレンズ群を保持させて保持部材における中央部側にレンズ群を配置する場合に、押圧片が邪魔になることなくレンズ群が配置できる。したがって、このような駆動装置は、配置効率を向上でき、装置全体の小型化を図ることができる。
【0100】
他の一態様では、これら上述の駆動装置において、前記移動体は、前記駆動軸に対する前記駆動軸の軸心回りの回転を規制する回転規制部を備え、前記回転規制部は、前記金属製板体の中間部に形成されている。
【0101】
このような駆動装置では、回転規制部によって、駆動軸の軸心回りの移動体の回転が規制され、これによって、このような駆動装置は、移動体が駆動軸に対して軸心の位置ずれを起こすことを低減または防止できる。このような駆動装置は、回転規制部、ガイド部および押圧片を、金属製板体の一部に形成でき、容易に形成できる。このような駆動装置は、回転規制部、ガイド部および押圧片と移動体本体部とを容易に、しかも即座に連結でき、製造効率を向上できるとともに、移動体全体の小型化を図ることができる。
【0102】
他の一態様では、これら上述の駆動装置において、前記電気機械変換素子および駆動軸を保持した保持部材をさらに備え、前記保持部材は、前記駆動軸の軸方向の一方側から見て、略矩形状を呈し、前記駆動軸は、前記保持部材における第1隅角部に配置され、前記移動体は、前記駆動軸を前記第1摺動面および前記第2摺動面に押圧する弾性を有する押圧片を備え、前記押圧片は、前記保持部材における第1隅角部から、前記第1隅角部と隣接する第2隅角部に延されている。
【0103】
このような駆動装置では、押圧片は、保持部材における第1隅角部から、その第1隅角部と隣接する第2隅角部に延されているため、駆動軸を第1摺動面および第2摺動面に押圧するに必要十分な弾性力を有する長さの押圧片が形成できる。しかも、例えば移動体の移動体本体部にレンズ群を保持させて保持部材における中央部側にレンズ群を配置する場合に、押圧片が邪魔になることなくレンズ群が配置できる。したがって、このような駆動装置は、配置効率を向上でき、装置全体の小型化を図ることができる。
【0104】
他の一態様では、これら上述の駆動装置において、前記移動体本体部は、当該移動体本体部の外周面と略垂直なフランジを備える。
【0105】
このような駆動装置は、フランジによって、移動体本体部の強度を向上でき、移動体本体部を薄肉化、低背化できる。
【0106】
例えばフランジを、移動体本体部の径方向内側に突出するように形成することによって、このような駆動装置は、移動体本体部の内周側にレンズ群を保持する場合に、フランジをレンズ載置部として機能させることができる。これによって、このような駆動装置は、フランジにレンズ群を載置することで、移動体本体部の軸心に対するレンズ群の光軸を合わせた状態にして移動体本体部の内周側に配置できる。
【0107】
他の一態様では、これら上述の駆動装置において、前記移動体本体部は、ステンレス製である。
【0108】
このような駆動装置は、移動体本体部を、より一層、薄肉化、低背化できる。
【0109】
他の一態様では、これら上述の駆動装置において、前記駆動軸は、当該駆動軸の外周が前記電気機械変換素子の外周から外周側に、全周に亘って突出している。
【0110】
このような駆動装置は、電気機械変換素子が邪魔になることなく駆動軸の軸方向の一端から他端に至る全長さに亘って第1摺動面および第2摺動面が摺動できる。これによって、このような駆動装置は、駆動軸の軸方向の長さを短くでき、駆動装置の低背化を図ることができる。
【0111】
また、他の一態様にかかる撮像装置は、これら上述の駆動装置のいずれかの駆動装置と、光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、1または複数の光学素子を備え、物体の光学像を前記撮像素子の受光面上に結像する撮像光学系とを備え、前記撮像光学系における前記1または複数の光学素子のうちの光軸方向に沿って移動する光学素子は、前記駆動装置の前記移動体に取り付けられている。
【0112】
このような撮像装置は、これら上述の駆動装置のいずれかの駆動装置を備えるので、第1摺動面を移動体本体部と別途に形成せずに済み、容易に製造でき、移動体本体部、ひいては駆動装置全体を小型化、背低化できる。駆動軸を摺動する第2摺動面を有するガイド部は、移動体本体部の外周面から外周側に突設されているため、駆動部とガイド部とがこじれを生じるようなことがなく、駆動軸に対する移動体本体部の傾きが発生し難く、円滑に駆動軸を摺動できる。
【0113】
この出願は、2012年9月28日に出願された日本国特許出願特願2012−215794を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
【0114】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明によれば、例えば携帯電話等に搭載可能な撮像装置に好適に用いられる駆動装置およびこれを用いた撮像装置を提供することができる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】

【手続補正書】
【提出日】20140313
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを、伸縮する機械エネルギーに変換する電気機械変換素子と、
前記電気機械変換素子の前記機械エネルギーが伝達される駆動軸と、
前記駆動軸に所定の摩擦力で係合され、前記駆動軸の軸方向に沿って摺動可能な移動体と、
前記電気機械変換素子および前記駆動軸を保持した保持部材とを備え、
前記移動体は、
前記駆動軸を摺動する第1摺動面を一部に含む外周面を持つ筒状に形成された金属製の移動体本体部と、
前記移動体本体部の外周面から外周側に突設され前記駆動軸を摺動する第2摺動面を有するガイド部とを備え、
前記保持部材は、前記駆動軸の軸方向の一方側から見て、略矩形状を呈し
前記駆動軸は、前記保持部材における第1隅角部に配置され
前記第1摺動面は、前記駆動軸の軸方向の一方側から見て、前記駆動軸の軸心と前記保持部の中心とを結ぶ線に略垂直である、
駆動装置。
【請求項2】
前記移動体本体部における前記筒状に形成された部分の肉厚は、0.05mm〜0.3mmである、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1摺動面は、平面である、
請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記移動体は、前記移動体本体部と別体の金属製板体を備え、
前記ガイド部は、前記金属製板体の一端に形成され、
前記金属製板体は、前記移動体本体部に溶接により連結されている、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記移動体は、前記駆動軸を前記第1摺動面および前記第2摺動面に押圧する弾性を有する押圧片を備え、
前記押圧片は、前記金属製板体の他端に形成される、
請求項に記載の駆動装置。
【請求項6】
記押圧片は、前記保持部材における第1隅角部から、前記第1隅角部と隣接する第2隅角部に延されている、
請求項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記移動体は、前記駆動軸に対する前記駆動軸の軸心回りの回転を規制する回転規制部を備え、
前記回転規制部は、前記金属製板体の中間部に形成されている、
請求項ないし請求項のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記移動体本体部は、当該移動体本体部の外周面と略垂直なフランジを備える、
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記移動体本体部は、ステンレス製である、
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記駆動軸は、当該駆動軸の外周面が前記電気機械変換素子の外周面から外周側に、全周に亘って突出している、
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の駆動装置と、
光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、
1または複数の光学素子を備え、物体の光学像を前記撮像素子の受光面上に結像する撮像光学系とを備え、
前記撮像光学系における前記1または複数の光学素子のうちの光軸方向に沿って移動する光学素子は、前記駆動装置の前記移動体に取り付けられていること
を特徴とする撮像装置。
【国際調査報告】