(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050065
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】薬液投与装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20160725BHJP
   A61M 37/00 20060101ALI20160725BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !A61M5/145 502
   !A61M37/00
   !A61M5/142 522
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
【出願番号】2014538167
(21)【国際出願番号】JP2013005609
(22)【国際出願日】20130924
(31)【優先権主張番号】2012212603
(32)【優先日】20120926
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
【住所又は居所】東京都渋谷区幡ヶ谷二丁目44番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
(72)【発明者】
【氏名】近藤 晃
【住所又は居所】日本国神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内
【テーマコード(参考)】
4C066
4C167
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD02
4C066DD12
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4C167AA71
4C167BB02
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4C167CC08
4C167GG02
4C167GG21
4C167GG22
4C167HH14
(57)【要約】
本発明は、装置全体を小型化する。
本発明は、初期状態において、ピストン21が引戻位置よりも引かれた位置で、かつ円錐台形状に形成された先端部21Aの一部が周方向に渡ってパッキン27と接触するような初期位置に配され、薬液が薬液貯蔵部6に注入される前にピストン21を引き戻し位置させることにより、ピストン21が初期位置にあるときにはパッキン27のつぶれ量が減少し、パッキン27がピストン21の本体部21Bと接触しているときよりも接触抵抗を減少させることができるので、使用開始時に始動抵抗を受けてピストンを始動させるために大きな力が必要なく、装置全体を小型化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の皮膚に貼着されて使用される薬液投与装置であって、
薬液が貯蔵される薬液貯蔵部と、
前記薬液貯蔵部から生体内へ薬液が流れる流路を形成する流路部と、
ピストンと、
一端が前記流路部と接続され、他端側から前記ピストンが挿入されて摺動する内部空間を形成するシリンダ部と、
前記ピストンを前記シリンダ部の内部空間内で、最も押し切られた押切位置から最も引き戻された引戻位置までの間で摺動させる駆動部と、
前記シリンダ部の内部空間における前記ピストンが引戻位置にあるときに該ピストンの先端より他端側に配され、前記ピストンと周方向にわたって接し、前記ピストンと前記シリンダ部との間から外部に薬液が漏れることを防止するパッキンとを有し、
前記ピストンは、初期状態において、前記引戻位置よりもさらに引かれた位置であって、かつ前記ピストンと前記パッキンとの間の接触抵抗が前記ピストンが前記引戻位置にあるときより小さくなる初期位置に配される
薬液投与装置。
【請求項2】
前記薬液貯蔵部に薬液が外部から注入される前に、前記ピストンを前記初期位置から前記引戻位置に移動させるよう前記駆動部を制御する制御部をさらに有する
請求項1に記載の薬液投与装置。
【請求項3】
前記ピストンは、
先端部がテーパ状に形成され、初期状態において、該テーパ状に形成された先端部が前記パッキンと接する
請求項1に記載の薬液投与装置。
【請求項4】
前記ピストンは、
円柱形状に形成され、初期状態において、先端部が前記パッキンの一部と接する
請求項1に記載の薬液投与装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液投与装置に関し、例えばインスリンを体内に投与する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薬液(インスリン)を投与する装置として、使用者の皮膚に付着させて用いられる携帯型の装置であって、外筒内に充填された薬液をプランジャーを介して押し出すことにより体内に投与する、所謂シリンジポンプ型の薬液投与装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−501283公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、薬液投与装置では、所謂ピストンポンプ型の送出部により薬液を体内に送出することも考えられる。ピストンポンプ型の送出部を使用した薬液投与装置では、シリンダ内で摺動するピストン外周にOリングやXリング等のパッキンが設けられ、該シリンダとピストンとの間から薬液が外部に漏れてしまうことを防止する。
【0005】
ここで、ピストンとパッキンとの摺動部分の始動抵抗は、図1及び図2に示すように、放置時間とともに増加し、一定の時間経過後にはその増加が落ち着いて一定値に近づく傾向にある。これは、時間経過とともにピストンの摺動面の凹部にパッキンが徐々に入り込むことが一因であると考えられる。なお、図1は複数種類のパッキンの時間経過による始動抵抗の変化を示す。図2は、直径が1.03mmのピストンとXリングを用いて、異なる放置時間(0、24、72、96時間)経過後にピストンを始動させた際の推力(始動抵抗)の変化を示す実験結果である。
【0006】
従って、このような薬液投与装置では、ピストンとパッキンとの間の始動抵抗が大きいために、使用開始時に始動抵抗を受けてピストンを始動させるために大きな力が必要となる。
【0007】
一方で、携帯型の薬液投与装置にあっては、使用者の皮膚に付着させて使用させるため、より小型化することが求められる。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、装置全体の大きさを小型化し得る薬液投与装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明は、生体の皮膚に貼着されて使用される薬液投与装置であって、薬液が貯蔵される薬液貯蔵部と、薬液貯蔵部から生体内へ薬液が流れる流路を形成する流路部と、ピストンと、一端が前記流路部と接続され、他端側からピストンが挿入されて摺動する内部空間を形成するシリンダ部と、ピストンをシリンダ部の内部空間内で、最も押し切られた押切位置から最も引き戻された引戻位置までの間で摺動させる駆動部と、シリンダ部の内部空間におけるピストンが引戻位置にあるときに該ピストンの先端より他端側に配され、ピストンと周方向にわたって接し、ピストンとシリンダ部との間から外部に薬液が漏れることを防止するパッキンとを有し、ピストンは、初期状態において、引戻位置よりもさらに引かれた位置であって、かつピストンとパッキンとの間の接触抵抗がピストンが引戻位置にあるときより小さくなる初期位置に配される。
【0010】
これにより、初期状態においてピストンとパッキンとの接触抵抗を、ピストンが引戻位置にある場合よりも小さくすることができるで、ピストンが引戻位置にある場合と比してピストンとパッキンとの間に生じる始動抵抗が減少し、使用開始時に始動抵抗を受けてピストンを始動させるための力を従来よりも小さくすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、初期状態においてピストンとパッキンとの接触抵抗を、ピストンが引戻位置にある場合よりも小さくするで、ピストンが引戻位置にある場合と比してピストンとパッキンとの間に生じる始動抵抗が減少し、使用開始時に始動抵抗を受けてピストンを始動させるための力を従来よりも小さくすることができ、かくして装置全体の大きさを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】時間経過による始動抵抗の変化のグラフを示す略線図である。
【図2】異なる時間経過ごとの始動推力の変化のグラフを示す略線図である。
【図3】薬液投与装置の構成を示す略線図である。
【図4】薬液投与装置の分解斜視図である。
【図5】送出部の構成を示す略線図である。
【図6】初期状態のピストンの位置を示す略線図である。
【図7】駆動部の構成を示す略線図である。
【図8】駆動部の構成を示す略線図である。
【図9】薬液投与装置の電気的構成を示す略線図である。
【図10】薬液投与処理手順を示すフローチャートである。
【図11】他の実施の形態におけるピストンの形状及び初期位置を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0014】
〔1.薬液投与装置の全体構成〕
図3及び図4に示すように、薬液投与装置1は、使用者の皮膚に貼り付けることにより保持されて使用される携帯型の装置であり、上側が開口し内部に空間が設けられた下筐体部2と該下筐体部2の開口に嵌合する上筐体部3により扁平な略直方体形状に形成される。
【0015】
薬液投与装置1の大きさは、使用者の皮膚に貼り付けることができる程度にまで小型化されていればよいが、例えば横32mm、縦44mm、高さ11mmの略直方体形状が挙げられる。
【0016】
下筐体部2は、両面テープ等でなる貼付部4が底面2Aに設けられる。薬液投与装置1は、貼付部4が使用者の皮膚に貼り付けられることにより該使用者に保持される。
【0017】
薬液投与装置1は、下筐体部2と上筐体部3とで形成される空間に穿刺機構5、薬液貯蔵部6、流路部7、送出部8、駆動部9、基板部10等が設けられる。
【0018】
穿刺機構5は、薬液貯蔵部6に貯蔵された薬液(例えば、インスリン)を使用者の体内へ投与するために該使用者の皮膚を穿刺するための針やカニューレ等でなる穿刺針(図示せず)を、下筐体部2の底面2Aに設けられる穿刺針孔2Bから突出させる。
【0019】
薬液貯蔵部6は、例えば外筒及びピストンにより構成され、外筒とピストンとにより形成される空間に薬液が貯蔵される。薬液貯蔵部6は、送出部8により薬液が引き出される際にその力によって外筒内をピストンが移動する。
【0020】
流路部7は、吸込管7A、送出管7B、送出部8に形成される流路22B、23A、24A及び穿刺機構5の穿刺針を含み、薬液貯蔵部6から体内までの薬液が流れる流路を形成する。吸込管7Aは、薬液貯蔵部6と送出部8に形成される流路23Aとを連通させる。送出管7Bは、送出部8に形成される流路24Aと穿刺機構5の穿刺針とを連通させる。
【0021】
送出部8は、詳しくは後述するように、シリンダ部22(図5)の内部空間22A内をピストン21が摺動することにより、薬液貯蔵部6に貯蔵された薬液を流路部7を介して体内に送出する。
【0022】
駆動部9は、CPU51(図9)の制御に基づいてピストン21を駆動し、該ピストン21をシリンダ部22の内部空間22A内で摺動させる。
【0023】
基板部10は、電源電力を供給する電源部54(図9)やCPU51等の回路などが配される。
【0024】
〔2.送出部の構成〕
送出部8は、図5(A)及び(B)に示すように、ピストン21、シリンダ部22、蓋部23、24、一方向弁25、26、パッキン27、パッキン固定部28及び固定部材29を含む構成とされる。なお、図5(A)においてピストン21は往復動する際に最も引き戻される位置(以下、これを引戻位置とも呼ぶ)にあり、図5(B)においてピストン21は往復動する際に最も押し込まれる位置(以下、押切位置とも呼ぶ)にある。
【0025】
ピストン21は、先端部21A以外の本体部21Bが例えば直径が1.03mmの円柱形状でなり、先端部21Aが先端に近づくに連れて径が小さくなる円錐台形状に形成される。
【0026】
ピストン21は、駆動部9により駆動されてシリンダ部22に形成された円柱形状に形成された中空の内部空間22A内で所定のストロークで摺動する。ピストン21の材質としては、例えば、ステンレス鋼、銅合金、アルミ合金、チタン材、ポリプロピレンやポリカーボネートなどの熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0027】
シリンダ部22は、一端からピストン21が挿入されて摺動する内部空間22Aが設けられる。またシリンダ部22は、内部空間22Aの他端に接して該内部空間22Aと直交した流路22Bがシリンダ部22の対向する側面間を貫通するようにして設けられる。
【0028】
シリンダ部22は、内部空間22Aにおけるピストン21が挿入される一端に該ピストン21との間で薬液の漏洩を防止するパッキン27及び該パッキン27を固定するパッキン固定部28が設けられる。薬液の漏洩を防止するためのパッキン27には、例えばXリングやOリング等が挙げられ、本実施の形態においてはXリングが適応される。
【0029】
パッキン27は、シリンダ部22における内部空間22Aが設けられた面側からシリンダ部22内に挿入され、パッキン固定部28により押え付けられて固定される。パッキン固定部28は、一部がシリンダ部22内に嵌合され、残りの部分が外部に露出するようにしてパッキン27を固定する。
【0030】
シリンダ部22は、流路22Bが形成された側面にそれぞれ蓋部23及び24が固定部材29を介して接続される。蓋部23及び24は、シリンダ部22の流路22Bと対向する位置に、該流路22Bに沿って貫通した流路23A及び24Aが設けられる。
【0031】
蓋部23は、流路23Aの一端がシリンダ部22の流路22Bに接続され、流路23Aの他端が吸込管7Aに接続され、吸込管7Aと流路22Bとを連通させる。
【0032】
蓋部24は、流路24Aの一端がシリンダ部22の流路22Bに接続され、流路24Aの他端が送出管7Bに接続され、流路22Bと送出管7Bとを連通させる。
【0033】
送出部8は、蓋部23の流路23Aとシリンダ部22の流路22Bとの間に一方向弁25が設けられ、シリンダ部22の流路22Bと蓋部24の流路24Aとの間に一方向弁26が設けられる。
【0034】
一方向弁25は、蓋部23の流路23Aからシリンダ部22の流路22Bへ流れる薬液を通過させ、シリンダ部22の流路22Bから蓋部23の流路23Aへは薬液を通過させないものであり、例えばアンブレラ弁が適応される。
【0035】
一方向弁26は、シリンダ部22の流路22Bから蓋部24の流路24Aへ流れる薬液を通過させ、シリンダ部22の流路22Bから蓋部24の流路24Aへは薬液を通過させないものであり、例えばアンブレラ弁が適応される。
【0036】
送出部8は、薬液貯蔵部6から生体内に薬液を送出する際、ピストン21が押切位置から引戻位置まで内部空間22A内で駆動部9により移動され、薬液貯蔵部6に貯蔵された薬液を内部空間22A内に吸い出す。
【0037】
そして送出部8は、ピストン21が引戻位置から押切位置に駆動部9により移動されことにより、内部空間22Aに吸い出された薬液を生体内へ送出する。
【0038】
送出部8は、ピストン21を一往復させる動作で約1〜2μLの薬液を使用者の体内に投与でき、この動作を設定された周期及び間隔で繰り返し行うことにより、所望の投与速度及び投与量で薬液を使用者に投与できる。
【0039】
ところで送出部8では、図6に示すように、初期状態(出荷状態)において、ピストン21が引戻位置よりも引かれた位置で、かつ円錐台形状に形成された先端部21Aの一部が周方向に渡ってパッキン27と接触する位置(以下、これを初期位置とも呼ぶ)に配される。
【0040】
従って送出部8では、ピストン21がテーパ状の先端部21Aでパッキン27と接触しているので、パッキン27のつぶれ量がピストン21の本体部21Bと接触しているときよりも減少させることができる。これにより送出部8では、ピストン21とパッキン27との接触抵抗を減少させることができる。
【0041】
そして送出部8は、薬液投与装置1が起動されると、駆動部9によりピストン21が引戻位置に移動される。
【0042】
〔3.駆動部の構成〕
駆動部9は、図7に示すように、土台部31、モータ32、モータ支持部34、モータ固定板35、固定板支持部36、軸受部37、カップリング38、軸受支持部39を含む構成とされる。
【0043】
駆動部9は、土台部31の上に各部が配される。モータ32は、モータ支持部34と固定板支持部36に支持されるモータ固定板35とにより挟持されて土台部31に固定される。
【0044】
モータ32は、モータ固定板35側の側面から突出するモータ軸33が設けられる。モータ軸33の側面にはネジ溝33Aが形成される。
【0045】
軸受部37は、モータ32の軸方向に沿って細長い略直方体状で内部が中空に形成される。軸受部37は、略直方体状の短辺に相当する側面中央に、モータ32のモータ軸33が貫通して配されてネジ溝33Aと螺合するネジ孔37Aが設けられる。
【0046】
軸受部37は、略直方体状の短辺に相当してネジ孔37Aが設けられた側面と対向する側面にカップリング38を介してピストン21がモータ軸33と同軸上に接続される。また、軸受部37は、軸受支持部39に支持される。なお、カップリング38は、例えば、モータ軸33とピストン21との軸方向のずれを緩衝するものが適応される。
【0047】
駆動部9は、図7及び図8に示すように、モータ32が駆動されることによりモータ軸33が回転し、該回転に応じてモータ軸33に螺合された軸受部37が軸方向に移動してピストン21を軸方向に往復動させる。これにより駆動部9は、ピストン21をシリンダ部22の内部空間22A内で摺動させる。なお図7(A)及び(B)においてはピストン21が引戻位置にあり、図8においてはピストン21が押切位置にある。
【0048】
このように駆動部9は、モータ32のモータ軸33がピストン21と同軸上に配されているので、モータ軸33が回転することにより軸受部37に加えられる力と、該力によりピストン21に加えられる力とが同一方向となり、ピストン21の推力の損失がなくなる。
【0049】
従って駆動部9は、ピストン21をシリンダ部22の内部空間22A内で安定したストローク距離で摺動させることができる。また駆動部9は、ピストン21の推力の損失がなくなることにより、より小さい力でピストン21を駆動することができるので、モータ32やバッテリ等を小さくすることができ、装置全体を小型化することができる。なお、ピストン21の側面には摺動抵抗を減らすためにダイヤモンドライクカーボンがコーティングされていてもよい。
【0050】
一方、ピストンとモータの軸部とが同軸上に配されていない装置では、軸部が回転することにより軸受部に加えられる力と、該力によりピストンに加えられる力とがオフセットすることにより、ピストンの推力の損失が増大すると共に、力のオフセットにより軸受部やピストンの摺動抵抗が増加することになり、ピストンのストロークが安定しないだけでなく、装置全体が大型化してしまう。
【0051】
ところで薬液投与装置1では、パッキン固定部28とカップリング38との間がチューブ状の柔軟性を有するフィルム40で覆われる。フィルム40の材質としては、例えばポリエチレン等が適応される。
【0052】
フィルム40は、両端が例えばOリングでなるフィルム固定部41及び42によりパッキン固定部28及びカップリング38に対してそれぞれ周方向にわたって隙間なく固定される。
【0053】
フィルム40は、柔軟性を有しているので、ピストン21が引戻位置にある状態から押切位置にある状態にわたって常にピストン21を覆った状態を維持することができる。
【0054】
従って薬液投与装置1では、ピストン21をフィルム40外の空気に触れることなくシリンダ部22の内部空間22A内で摺動させることができる。これにより薬液投与装置1は、内部空間22A内に入り込むピストン21の清潔性をより保持することができる。
【0055】
〔4.薬液投与装置の電気的構成〕
薬液投与装置1は、図9に示すように、CPU(Central
Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、電源部54、インターフェース部(I/F部)55、報知部56及び駆動部9がバス57を介して接続される。
【0056】
CPU51、ROM52、RAM53、電源部54及び報知部56は、基板部10上に配される。電源部54は電池が適応される。インターフェース部55は、上筐体部3又は下筐体部2に配されユーザの入力命令を受け付けるボタン(図示せず)等が適応される。報知部56はスピーカが適応される。
【0057】
CPU51は、ROM52に格納された基本プログラムをRAM53に読み出して実行することより全体を統括制御すると共に、ROM52に記憶された各種アプリケーションプログラムをRAM53に読み出して実行することにより各種処理を実行する。
【0058】
薬液投与装置1は、薬液を使用者に投与する場合、図10に示すフローチャートに従って薬液投与処理を実行する。
【0059】
CPU51は、ステップSP1において薬液投与装置1に各種指示を与えるコントローラ(図示せず)から起動信号を受信すると各部を起動し、ステップSP2において駆動部9を駆動させてピストン21を初期位置から引戻位置に移動させる。
【0060】
ステップSP3において使用者により薬液貯蔵部6に薬液が注入され、ステップSP4において薬液投与装置1が貼付部4を介して使用者の皮膚に貼り付けられた後、穿刺機構5により穿刺針が使用者に穿刺される。
【0061】
CPU51は、ステップSP5において、コントローラから送信される投与量、投与速度等の投与パラメータを受信すると、該投与パラメータに応じて駆動部9を駆動させるようにパラメータ設定をする。
【0062】
CPU51は、ステップSP6において駆動部9を駆動させて薬液の投与を開始し、ステップSP7において薬液がすべて投与したと判断した場合には薬液の投与を終了する。
【0063】
一方、CPU51は、ステップSP7において薬液がすべて投与していないと判断した場合にはステップSP8において設定された投与量の薬液を投与したか判断し、投与していないと判断した場合にはステップSP9において薬液の投与を継続する。
【0064】
CPU51は、ステップSP8において設定された投与量の薬液を投与したと判断した場合にはステップSP10においてコントローラからの指示入力を待ち、指示があった場合にはステップSP5〜SP10を順次行う。
【0065】
〔5.効果等〕
以上の構成によれば、薬液投与装置1は、初期状態(出荷状態)において、ピストン21が引戻位置よりも引かれた位置で、かつ円錐台形状に形成された先端部21Aの一部が周方向に渡ってパッキン27と接触する位置(初期位置)に配され、薬液が薬液貯蔵部6に注入される前にピストン21を引き戻し位置させる。
【0066】
これにより薬液投与装置1では、ピストン21が初期位置にあるときにはパッキン27のつぶれ量が減少するので、パッキン27がピストン21の本体部21Bと接触しているときよりも接触抵抗を減少させることができる。
【0067】
従って薬液投与装置1は、ピストン21とパッキン27との接触抵抗(始動抵抗)を減少させることができるので、ピストン21とパッキン27とが時間経過とともに始動抵抗が大きくなったとしても、その値を従来と比して格段に減少させることができる。
【0068】
かくして薬液投与装置1は、使用開始時に始動抵抗を受けてピストンを始動させるために大きな力が必要なく、装置全体の大きさを小型化することができる。
【0069】
また薬液投与装置1では、ピストン21が円錐台形状に形成されているので初期位置から引戻位置に移動する際にその作動をより確実に行うことができる。
【0070】
〔6.他の実施の形態〕
上述した実施の形態においては、ピストン21の先端部21Aが円錐台形状に形成されているようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ピストンの先端が本体部と同様に円柱状に形成されていてもよい。
【0071】
例えば図11に示すように、ピストン121は、先端部121A及び本体部121Bが同一径の円柱形上をしており、初期状態において、引戻位置よりも引かれた位置で、かつパッキン27における摺動方向に沿った一部と接触する初期位置にある。これにより初期状態において、ピストン121とパッキン27との接触抵抗(始動抵抗)を減少させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、例えば医療分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1……薬液投与装置、2……下筐体部、3……上筐体部、4……貼付部、5……穿刺機構、6……薬液貯蔵部、7……流路部、8……送出部、9……駆動部、10……基板部、11……外筒、11D……突出部、11F……突起部、12……ピストン、12A……溝部、13……薬液貯蔵空間、21……ピストン、22……シリンダ部、22A……内部空間、22B……流路、22C……対向面、23、24……蓋部、25、26……一方向弁、27……パッキン、28……パッキン固定部、31……土台部、32……モータ、33……モータ軸、37……軸受部、38……カップリング、40……フィルム、51……CPU、52……ROM、53……RAM、54……電源部、55……インターフェース部、56……報知部、57……バス
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】

【手続補正書】
【提出日】20150401
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の皮膚に貼着されて使用される薬液投与装置であって、
薬液が貯蔵される薬液貯蔵部と、
前記薬液貯蔵部から生体内へ薬液が流れる流路を形成する流路部と、
ピストンと、
一端が前記流路部と接続され、他端側から前記ピストンが挿入されて摺動する内部空間を形成するシリンダ部と、
前記ピストンを前記シリンダ部の内部空間内で、最も押し切られた押切位置から最も引き戻された引戻位置までの間で摺動させる駆動部と、
前記シリンダ部の内部空間における前記ピストンが引戻位置にあるときに該ピストンの先端より他端側に配され、前記ピストンと周方向にわたって接し、前記ピストンと前記シリンダ部との間から外部に薬液が漏れることを防止するパッキンとを有し、
前記ピストンは、初期状態において、前記引戻位置よりもさらに引かれた位置であって、かつ前記ピストンと前記パッキンとの間の接触抵抗が前記ピストンが前記引戻位置にあるときより小さくなる初期位置に配される
薬液投与装置。
【請求項2】
前記薬液貯蔵部に薬液が外部から注入される前に、前記ピストンを前記初期位置から前記引戻位置に移動させるよう前記駆動部を制御する制御部をさらに有する
請求項1に記載の薬液投与装置。
【請求項3】
前記ピストンは、
先端部がテーパ状に形成され、初期状態において、該テーパ状に形成された先端部が前記パッキンと接する
請求項1に記載の薬液投与装置。
【請求項4】
前記ピストンは、
円柱形状に形成され、初期状態において、先端部が前記パッキンの一部と接する
請求項1に記載の薬液投与装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液投与装置に関し、例えばインスリンを体内に投与する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薬液(インスリン)を投与する装置として、使用者の皮膚に付着させて用いられる携帯型の装置であって、外筒内に充填された薬液をプランジャーを介して押し出すことにより体内に投与する、所謂シリンジポンプ型の薬液投与装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−501283公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、薬液投与装置では、所謂ピストンポンプ型の送出部により薬液を体内に送出することも考えられる。ピストンポンプ型の送出部を使用した薬液投与装置では、シリンダ内で摺動するピストン外周にOリングやXリング等のパッキンが設けられ、該シリンダとピストンとの間から薬液が外部に漏れてしまうことを防止する。
【0005】
ここで、ピストンとパッキンとの摺動部分の始動抵抗は、図1及び図2に示すように、放置時間とともに増加し、一定の時間経過後にはその増加が落ち着いて一定値に近づく傾向にある。これは、時間経過とともにピストンの摺動面の凹部にパッキンが徐々に入り込むことが一因であると考えられる。なお、図1は複数種類のパッキンの時間経過による始動抵抗の変化を示す。図2は、直径が1.03mmのピストンとXリングを用いて、異なる放置時間(0、24、72、96時間)経過後にピストンを始動させた際の推力(始動抵抗)の変化を示す実験結果である。
【0006】
従って、このような薬液投与装置では、ピストンとパッキンとの間の始動抵抗が大きいために、使用開始時に始動抵抗を受けてピストンを始動させるために大きな力が必要となる。
【0007】
一方で、携帯型の薬液投与装置にあっては、使用者の皮膚に付着させて使用させるため、より小型化することが求められる。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、装置全体の大きさを小型化し得る薬液投与装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明は、生体の皮膚に貼着されて使用される薬液投与装置であって、薬液が貯蔵される薬液貯蔵部と、薬液貯蔵部から生体内へ薬液が流れる流路を形成する流路部と、ピストンと、一端が前記流路部と接続され、他端側からピストンが挿入されて摺動する内部空間を形成するシリンダ部と、ピストンをシリンダ部の内部空間内で、最も押し切られた押切位置から最も引き戻された引戻位置までの間で摺動させる駆動部と、シリンダ部の内部空間におけるピストンが引戻位置にあるときに該ピストンの先端より他端側に配され、ピストンと周方向にわたって接し、ピストンとシリンダ部との間から外部に薬液が漏れることを防止するパッキンとを有し、ピストンは、初期状態において、引戻位置よりもさらに引かれた位置であって、かつピストンとパッキンとの間の接触抵抗がピストンが引戻位置にあるときより小さくなる初期位置に配される。
【0010】
これにより、初期状態においてピストンとパッキンとの接触抵抗を、ピストンが引戻位置にある場合よりも小さくすることができるで、ピストンが引戻位置にある場合と比してピストンとパッキンとの間に生じる始動抵抗が減少し、使用開始時に始動抵抗を受けてピストンを始動させるための力を従来よりも小さくすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、初期状態においてピストンとパッキンとの接触抵抗を、ピストンが引戻位置にある場合よりも小さくするで、ピストンが引戻位置にある場合と比してピストンとパッキンとの間に生じる始動抵抗が減少し、使用開始時に始動抵抗を受けてピストンを始動させるための力を従来よりも小さくすることができ、かくして装置全体の大きさを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】時間経過による始動抵抗の変化のグラフを示す略線図である。
【図2】異なる時間経過ごとの始動推力の変化のグラフを示す略線図である。
【図3】薬液投与装置の構成を示す略線図である。
【図4】薬液投与装置の分解斜視図である。
【図5】送出部の構成を示す略線図である。
【図6】初期状態のピストンの位置を示す略線図である。
【図7】駆動部の構成を示す略線図である。
【図8】駆動部の構成を示す略線図である。
【図9】薬液投与装置の電気的構成を示す略線図である。
【図10】薬液投与処理手順を示すフローチャートである。
【図11】他の実施の形態におけるピストンの形状及び初期位置を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0014】
〔1.薬液投与装置の全体構成〕
図3及び図4に示すように、薬液投与装置1は、使用者の皮膚に貼り付けることにより保持されて使用される携帯型の装置であり、上側が開口し内部に空間が設けられた下筐体部2と該下筐体部2の開口に嵌合する上筐体部3により扁平な略直方体形状に形成される。
【0015】
薬液投与装置1の大きさは、使用者の皮膚に貼り付けることができる程度にまで小型化されていればよいが、例えば横32mm、縦44mm、高さ11mmの略直方体形状が挙げられる。
【0016】
下筐体部2は、両面テープ等でなる貼付部4が底面2Aに設けられる。薬液投与装置1は、貼付部4が使用者の皮膚に貼り付けられることにより該使用者に保持される。
【0017】
薬液投与装置1は、下筐体部2と上筐体部3とで形成される空間に穿刺機構5、薬液貯蔵部6、流路部7、送出部8、駆動部9、基板部10等が設けられる。
【0018】
穿刺機構5は、薬液貯蔵部6に貯蔵された薬液(例えば、インスリン)を使用者の体内へ投与するために該使用者の皮膚を穿刺するための針やカニューレ等でなる穿刺針(図示せず)を、下筐体部2の底面2Aに設けられる穿刺針孔2Bから突出させる。
【0019】
薬液貯蔵部6は、例えば外筒及びピストンにより構成され、外筒とピストンとにより形成される空間に薬液が貯蔵される。薬液貯蔵部6は、送出部8により薬液が引き出される際にその力によって外筒内をピストンが移動する。
【0020】
流路部7は、吸込管7A、送出管7B、送出部8に形成される流路22B、23A、24A及び穿刺機構5の穿刺針を含み、薬液貯蔵部6から体内までの薬液が流れる流路を形成する。吸込管7Aは、薬液貯蔵部6と送出部8に形成される流路23Aとを連通させる。送出管7Bは、送出部8に形成される流路24Aと穿刺機構5の穿刺針とを連通させる。
【0021】
送出部8は、詳しくは後述するように、シリンダ部22(図5)の内部空間22A内をピストン21が摺動することにより、薬液貯蔵部6に貯蔵された薬液を流路部7を介して体内に送出する。
【0022】
駆動部9は、CPU51(図9)の制御に基づいてピストン21を駆動し、該ピストン21をシリンダ部22の内部空間22A内で摺動させる。
【0023】
基板部10は、電源電力を供給する電源部54(図9)やCPU51等の回路などが配される。
【0024】
〔2.送出部の構成〕
送出部8は、図5(A)及び(B)に示すように、ピストン21、シリンダ部22、蓋部23、24、一方向弁25、26、パッキン27、パッキン固定部28及び固定部材29を含む構成とされる。なお、図5(A)においてピストン21は往復動する際に最も引き戻される位置(以下、これを引戻位置とも呼ぶ)にあり、図5(B)においてピストン21は往復動する際に最も押し込まれる位置(以下、押切位置とも呼ぶ)にある。
【0025】
ピストン21は、先端部21A以外の本体部21Bが例えば直径が1.03mmの円柱形状でなり、先端部21Aが先端に近づくに連れて径が小さくなる円錐台形状に形成される。
【0026】
ピストン21は、駆動部9により駆動されてシリンダ部22に形成された円柱形状に形成された中空の内部空間22A内で所定のストロークで摺動する。ピストン21の材質としては、例えば、ステンレス鋼、銅合金、アルミ合金、チタン材、ポリプロピレンやポリカーボネートなどの熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0027】
シリンダ部22は、一端からピストン21が挿入されて摺動する内部空間22Aが設けられる。またシリンダ部22は、内部空間22Aの他端に接して該内部空間22Aと直交した流路22Bがシリンダ部22の対向する側面間を貫通するようにして設けられる。
【0028】
シリンダ部22は、内部空間22Aにおけるピストン21が挿入される一端に該ピストン21との間で薬液の漏洩を防止するパッキン27及び該パッキン27を固定するパッキン固定部28が設けられる。薬液の漏洩を防止するためのパッキン27には、例えばXリングやOリング等が挙げられ、本実施の形態においてはXリングが適応される。
【0029】
パッキン27は、シリンダ部22における内部空間22Aが設けられた面側からシリンダ部22内に挿入され、パッキン固定部28により押え付けられて固定される。パッキン固定部28は、一部がシリンダ部22内に嵌合され、残りの部分が外部に露出するようにしてパッキン27を固定する。
【0030】
シリンダ部22は、流路22Bが形成された側面にそれぞれ蓋部23及び24が固定部材29を介して接続される。蓋部23及び24は、シリンダ部22の流路22Bと対向する位置に、該流路22Bに沿って貫通した流路23A及び24Aが設けられる。
【0031】
蓋部23は、流路23Aの一端がシリンダ部22の流路22Bに接続され、流路23Aの他端が吸込管7Aに接続され、吸込管7Aと流路22Bとを連通させる。
【0032】
蓋部24は、流路24Aの一端がシリンダ部22の流路22Bに接続され、流路24Aの他端が送出管7Bに接続され、流路22Bと送出管7Bとを連通させる。
【0033】
送出部8は、蓋部23の流路23Aとシリンダ部22の流路22Bとの間に一方向弁25が設けられ、シリンダ部22の流路22Bと蓋部24の流路24Aとの間に一方向弁26が設けられる。
【0034】
一方向弁25は、蓋部23の流路23Aからシリンダ部22の流路22Bへ流れる薬液を通過させ、シリンダ部22の流路22Bから蓋部23の流路23Aへは薬液を通過させないものであり、例えばアンブレラ弁が適応される。
【0035】
一方向弁26は、シリンダ部22の流路22Bから蓋部24の流路24Aへ流れる薬液を通過させ、シリンダ部22の流路22Bから蓋部24の流路24Aへは薬液を通過させないものであり、例えばアンブレラ弁が適応される。
【0036】
送出部8は、薬液貯蔵部6から生体内に薬液を送出する際、ピストン21が押切位置から引戻位置まで内部空間22A内で駆動部9により移動され、薬液貯蔵部6に貯蔵された薬液を内部空間22A内に吸い出す。
【0037】
そして送出部8は、ピストン21が引戻位置から押切位置に駆動部9により移動されことにより、内部空間22Aに吸い出された薬液を生体内へ送出する。
【0038】
送出部8は、ピストン21を一往復させる動作で約1〜2μLの薬液を使用者の体内に投与でき、この動作を設定された周期及び間隔で繰り返し行うことにより、所望の投与速度及び投与量で薬液を使用者に投与できる。
【0039】
ところで送出部8では、図6に示すように、初期状態(出荷状態)において、ピストン21が引戻位置よりも引かれた位置で、かつ円錐台形状に形成された先端部21Aの一部が周方向に渡ってパッキン27と接触する位置(以下、これを初期位置とも呼ぶ)に配される。
【0040】
従って送出部8では、ピストン21がテーパ状の先端部21Aでパッキン27と接触しているので、パッキン27のつぶれ量がピストン21の本体部21Bと接触しているときよりも減少させることができる。これにより送出部8では、ピストン21とパッキン27との接触抵抗を減少させることができる。
【0041】
そして送出部8は、薬液投与装置1が起動されると、駆動部9によりピストン21が引戻位置に移動される。
【0042】
〔3.駆動部の構成〕
駆動部9は、図7に示すように、土台部31、モータ32、モータ支持部34、モータ固定板35、固定板支持部36、軸受部37、カップリング38、軸受支持部39を含む構成とされる。
【0043】
駆動部9は、土台部31の上に各部が配される。モータ32は、モータ支持部34と固定板支持部36に支持されるモータ固定板35とにより挟持されて土台部31に固定される。
【0044】
モータ32は、モータ固定板35側の側面から突出するモータ軸33が設けられる。モータ軸33の側面にはネジ溝33Aが形成される。
【0045】
軸受部37は、モータ32の軸方向に沿って細長い略直方体状で内部が中空に形成される。軸受部37は、略直方体状の短辺に相当する側面中央に、モータ32のモータ軸33が貫通して配されてネジ溝33Aと螺合するネジ孔37Aが設けられる。
【0046】
軸受部37は、略直方体状の短辺に相当してネジ孔37Aが設けられた側面と対向する側面にカップリング38を介してピストン21がモータ軸33と同軸上に接続される。また、軸受部37は、軸受支持部39に支持される。なお、カップリング38は、例えば、モータ軸33とピストン21との軸方向のずれを緩衝するものが適応される。
【0047】
駆動部9は、図7及び図8に示すように、モータ32が駆動されることによりモータ軸33が回転し、該回転に応じてモータ軸33に螺合された軸受部37が軸方向に移動してピストン21を軸方向に往復動させる。これにより駆動部9は、ピストン21をシリンダ部22の内部空間22A内で摺動させる。なお図7(A)及び(B)においてはピストン21が引戻位置にあり、図8においてはピストン21が押切位置にある。
【0048】
このように駆動部9は、モータ32のモータ軸33がピストン21と同軸上に配されているので、モータ軸33が回転することにより軸受部37に加えられる力と、該力によりピストン21に加えられる力とが同一方向となり、ピストン21の推力の損失がなくなる。
【0049】
従って駆動部9は、ピストン21をシリンダ部22の内部空間22A内で安定したストローク距離で摺動させることができる。また駆動部9は、ピストン21の推力の損失がなくなることにより、より小さい力でピストン21を駆動することができるので、モータ32やバッテリ等を小さくすることができ、装置全体を小型化することができる。なお、ピストン21の側面には摺動抵抗を減らすためにダイヤモンドライクカーボンがコーティングされていてもよい。
【0050】
一方、ピストンとモータの軸部とが同軸上に配されていない装置では、軸部が回転することにより軸受部に加えられる力と、該力によりピストンに加えられる力とがオフセットすることにより、ピストンの推力の損失が増大すると共に、力のオフセットにより軸受部やピストンの摺動抵抗が増加することになり、ピストンのストロークが安定しないだけでなく、装置全体が大型化してしまう。
【0051】
ところで薬液投与装置1では、パッキン固定部28とカップリング38との間がチューブ状の柔軟性を有するフィルム40で覆われる。フィルム40の材質としては、例えばポリエチレン等が適応される。
【0052】
フィルム40は、両端が例えばOリングでなるフィルム固定部41及び42によりパッキン固定部28及びカップリング38に対してそれぞれ周方向にわたって隙間なく固定される。
【0053】
フィルム40は、柔軟性を有しているので、ピストン21が引戻位置にある状態から押切位置にある状態にわたって常にピストン21を覆った状態を維持することができる。
【0054】
従って薬液投与装置1では、ピストン21をフィルム40外の空気に触れることなくシリンダ部22の内部空間22A内で摺動させることができる。これにより薬液投与装置1は、内部空間22A内に入り込むピストン21の清潔性をより保持することができる。
【0055】
〔4.薬液投与装置の電気的構成〕
薬液投与装置1は、図9に示すように、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、電源部54、インターフェース部(I/F部)55、報知部56及び駆動部9がバス57を介して接続される。
【0056】
CPU51、ROM52、RAM53、電源部54及び報知部56は、基板部10上に配される。電源部54は電池が適応される。インターフェース部55は、上筐体部3又は下筐体部2に配されユーザの入力命令を受け付けるボタン(図示せず)等が適応される。報知部56はスピーカが適応される。
【0057】
CPU51は、ROM52に格納された基本プログラムをRAM53に読み出して実行することより全体を統括制御すると共に、ROM52に記憶された各種アプリケーションプログラムをRAM53に読み出して実行することにより各種処理を実行する。
【0058】
薬液投与装置1は、薬液を使用者に投与する場合、図10に示すフローチャートに従って薬液投与処理を実行する。
【0059】
CPU51は、ステップSP1において薬液投与装置1に各種指示を与えるコントローラ(図示せず)から起動信号を受信すると各部を起動し、ステップSP2において駆動部9を駆動させてピストン21を初期位置から引戻位置に移動させる。
【0060】
ステップSP3において使用者により薬液貯蔵部6に薬液が注入され、ステップSP4において薬液投与装置1が貼付部4を介して使用者の皮膚に貼り付けられた後、穿刺機構5により穿刺針が使用者に穿刺される。
【0061】
CPU51は、ステップSP5において、コントローラから送信される投与量、投与速度等の投与パラメータを受信すると、該投与パラメータに応じて駆動部9を駆動させるようにパラメータ設定をする。
【0062】
CPU51は、ステップSP6において駆動部9を駆動させて薬液の投与を開始し、ステップSP7において薬液がすべて投与したと判断した場合には薬液の投与を終了する。
【0063】
一方、CPU51は、ステップSP7において薬液がすべて投与していないと判断した場合にはステップSP8において設定された投与量の薬液を投与したか判断し、投与していないと判断した場合にはステップSP9において薬液の投与を継続する。
【0064】
CPU51は、ステップSP8において設定された投与量の薬液を投与したと判断した場合にはステップSP10においてコントローラからの指示入力を待ち、指示があった場合にはステップSP5〜SP10を順次行う。
【0065】
〔5.効果等〕
以上の構成によれば、薬液投与装置1は、初期状態(出荷状態)において、ピストン21が引戻位置よりも引かれた位置で、かつ円錐台形状に形成された先端部21Aの一部が周方向に渡ってパッキン27と接触する位置(初期位置)に配され、薬液が薬液貯蔵部6に注入される前にピストン21を引き戻し位置させる。
【0066】
これにより薬液投与装置1では、ピストン21が初期位置にあるときにはパッキン27のつぶれ量が減少するので、パッキン27がピストン21の本体部21Bと接触しているときよりも接触抵抗を減少させることができる。
【0067】
従って薬液投与装置1は、ピストン21とパッキン27との接触抵抗(始動抵抗)を減少させることができるので、ピストン21とパッキン27とが時間経過とともに始動抵抗が大きくなったとしても、その値を従来と比して格段に減少させることができる。
【0068】
かくして薬液投与装置1は、使用開始時に始動抵抗を受けてピストンを始動させるために大きな力が必要なく、装置全体の大きさを小型化することができる。
【0069】
また薬液投与装置1では、ピストン21が円錐台形状に形成されているので初期位置から引戻位置に移動する際にその作動をより確実に行うことができる。
【0070】
〔6.他の実施の形態〕
上述した実施の形態においては、ピストン21の先端部21Aが円錐台形状に形成されているようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ピストンの先端が本体部と同様に円柱状に形成されていてもよい。
【0071】
例えば図11に示すように、ピストン121は、先端部121A及び本体部121Bが同一径の円柱形上をしており、初期状態において、引戻位置よりも引かれた位置で、かつパッキン27における摺動方向に沿った一部と接触する初期位置にある。これにより初期状態において、ピストン121とパッキン27との接触抵抗(始動抵抗)を減少させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、例えば医療分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1……薬液投与装置、2……下筐体部、3……上筐体部、4……貼付部、5……穿刺機構、6……薬液貯蔵部、7……流路部、8……送出部、9……駆動部、10……基板部、11……外筒、11D……突出部、11F……突起部、12……ピストン、12A……溝部、13……薬液貯蔵空間、21……ピストン、22……シリンダ部、22A……内部空間、22B……流路、22C……対向面、23、24……蓋部、25、26……一方向弁、27……パッキン、28……パッキン固定部、31……土台部、32……モータ、33……モータ軸、37……軸受部、38……カップリング、40……フィルム、51……CPU、52……ROM、53……RAM、54……電源部、55……インターフェース部、56……報知部、57……バス
【国際調査報告】