(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050112
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】固体電解コンデンサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/012 20060101AFI20160725BHJP
   H01G 9/004 20060101ALI20160725BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !H01G9/05 E
   !H01G9/05 C
   !H01G9/24 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】2014538189
(21)【国際出願番号】JP2013005717
(22)【国際出願日】20130926
(31)【優先権主張番号】2012217238
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区城見2丁目1番61号
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】藤井 永造
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(57)【要約】
絶縁基板2の上面にコンデンサ素子1が配された固体電解コンデンサにおいて、コンデンサ素子1の陽極部材に電気的に接続された陽極引出し構造体3が、絶縁基板2の上面に配された第1陽極接続部材301と、絶縁基板2の下面に配された陰極端子32と、コンデンサ素子1の陽極部材と第1陽極接続部材301とを互いに電気的に接続する枕部材34と、枕部材34を第1陽極接続部材301に接着させる陽極接着部材35とを有している。第1陽極接続部材301には、その表面を局所的に窪ませた凹部、又は表面から裏面へ貫通する貫通孔21が形成されている。陽極接着部材35は、その一部が凹部又は貫通孔21に入り込むと共に、該凹部又は貫通孔21上の位置又はその近傍の位置にて枕部材34の底面の縁部に接している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面及び下面を有する絶縁基板と、
陽極部材、陰極部材、及び誘電体部材を有し、前記絶縁基板の上面に配されたコンデンサ素子と、
前記絶縁基板の下面に配された陽極端子を有し、前記コンデンサ素子の陽極部材に電気的に接続された陽極引出し構造体と、
前記絶縁基板の下面に配された陰極端子を有し、前記コンデンサ素子の陰極部材に電気的に接続された陰極引出し構造体とを備える固体電解コンデンサであって、
前記陽極引出し構造体は、
表面及び裏面を有し、該裏面が前記絶縁基板の上面に接した第1陽極接続部材と、
前記第1陽極接続部材と前記陽極端子とを互いに電気的に接続する第2陽極接続部材と、
頂面及び底面を有し、前記コンデンサ素子の陽極部材と前記第1陽極接続部材とを互いに電気的に接続する枕部材と、
前記枕部材を前記第1陽極接続部材に接着させる陽極接着部材とを更に有し、
前記第1陽極接続部材には、前記表面を局所的に窪ませた凹部、又は前記表面から前記裏面へ貫通する貫通孔が形成され、
前記陽極接着部材は、その一部が前記凹部又は前記貫通孔に入り込むと共に、前記凹部又は前記貫通孔上の位置又はその近傍の位置にて前記枕部材の底面の縁部に接している、固体電解コンデンサ。
【請求項2】
前記枕部材の底面の形状は、複数の角部を有する多角形であり、
前記第1陽極接続部材には、前記複数の角部のうち少なくとも2つの角部と重なる位置に前記凹部又は前記貫通孔が形成されている、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項3】
前記枕部材の底面の形状は、複数の辺部を有する多角形であり、
前記第1陽極接続部材には、前記複数の辺部のうち少なくとも2つの辺部と重なる位置に前記凹部又は前記貫通孔が形成されている、請求項1又は請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
前記第2陽極接続部材は、前記絶縁基板を前記上面から前記下面へ貫通する導電ビアであり、前記凹部又は前記貫通孔は、前記導電ビア上に形成されている、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の固体電解コンデンサ。
【請求項5】
上面及び下面を有する絶縁基板と、該絶縁基板の上面に配されたコンデンサ素子と、陽極引出し構造体と、陰極引出し構造体とを備え、前記コンデンサ素子は、陽極部材、陰極部材、及び誘電体部材を有し、前記陽極引出し構造体は、前記絶縁基板の下面に配された陽極端子を有すると共に、前記コンデンサ素子の陽極部材に電気的に接続され、前記陰極引出し構造体は、前記絶縁基板の下面に配された陰極端子を有すると共に、前記コンデンサ素子の陰極部材に電気的に接続されている固体電解コンデンサを製造する方法であって、
前記絶縁基板の上面に第1陽極接続部材を形成すると共に、前記第1陽極接続部材に、その表面を局所的に窪ませる凹部、又は前記表面から裏面へ貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記第1陽極接続部材の表面に、導電性材料を含む接着材料を塗布する工程と、 前記第1陽極接続部材上に枕部材を配置する工程であって、前記枕部材の底面を前記接着材料に接触させると共に、前記枕部材の底面の縁部を前記凹部又は前記貫通孔に重ね合わせる工程と、
前記接着材料を加熱することより、前記導電性材料を溶融させる工程とを有する、固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項6】
前記接着材料を塗布する工程では、前記導電性材料として、溶融した状態のときに前記第1陽極接続部材に対して濡れ性を有する材料を用いる、請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁基板にコンデンサ素子が配された固体電解コンデンサに関し、特に絶縁基板に形成された電極構造に特徴を有する固体電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
図21は、従来の固体電解コンデンサの一例を示した断面図である(例えば、特許文献1参照)。図21に示す様に、この固体電解コンデンサは、コンデンサ素子101と、絶縁基板102とを備えており、絶縁基板102の上面にコンデンサ素子101が配されている。コンデンサ素子101は、陽極部材である陽極リード103及び陽極体113と、陰極部材である電解質層114及び陰極層104と、陽極部材と陰極部材との間に介在した誘電体部材115とを有している。絶縁基板102の上面には、陽極接続部材105と陰極接続部材106とが互いに離間した位置に配されている。絶縁基板102の下面には、陽極端子107と陰極端子108とが互いに離間した位置に配されている。更に絶縁基板102には、上面から下面へ貫通する孔を導電性材料で充填することにより構成された陽極導電ビア109と陰極導電ビア110とが形成されている。陽極導電ビア109は、陽極接続部材105と陽極端子107とを互いに電気的に接続し、陰極導電ビア110は、陰極接続部材106と陰極端子108とを互いに電気的に接続している。そして、陽極接続部材105と陽極リード103とが、これらの間に枕部材111を介在させることにより、互いに電気的に接続されている。又、陰極接続部材106と陰極層104とが、これらの間に導電性ペースト112を介在させることにより、互いに電気的に接続されている。
【0003】
図21に示す枕部材111は、絶縁基板102の上面にコンデンサ素子101を配置する前に、陽極接続部材105の表面に設置される。このとき、枕部材111は、導電性接着部材116により陽極接続部材105に接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−123728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、枕部材111と陽極接続部材105とを導電性接着部材116により接続する際に、枕部材111の位置が、枕部材111が配置されるべき所定位置からずれ易かった。ここで、この所定位置は、絶縁基板102上にコンデンサ素子101が配置されたときに、陽極リード103が枕部材111に確実に接触する位置である。近年、固体電解コンデンサの小型化に伴い、枕部材111のサイズが小さくなり、この様な位置ずれが顕著になってきている。このため、絶縁基板102の上面にコンデンサ素子101を配置したときに、陽極リード103と枕部材111との間に電気的な接続不良が生じ易くなっている。
【0006】
そこで本発明の目的は、コンデンサ素子の陽極部材と枕部材との間に電気的な接続不良が生じ難い固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る固体電解コンデンサは、上面及び下面を有する絶縁基板と、該絶縁基板の上面に配されたコンデンサ素子と、陽極引出し構造体と、陰極引出し構造体とを備えている。コンデンサ素子は、陽極部材、陰極部材、及び誘電体部材を有している。陽極引出し構造体は、絶縁基板の下面に配された陽極端子を有し、コンデンサ素子の陽極部材に電気的に接続されている。陰極引出し構造体は、絶縁基板の下面に配された陰極端子を有し、コンデンサ素子の陰極部材に電気的に接続されている。陽極引出し構造体は更に、第1陽極接続部材と、第2陽極接続部材と、枕部材と、陽極接着部材とを有している。第1陽極接続部材は、表面及び裏面を有し、該裏面が絶縁基板の上面に接している。そして、第1陽極接続部材には、その表面を局所的に窪ませた凹部、又は表面から裏面へ貫通する貫通孔が形成されている。第2陽極接続部材は、第1陽極接続部材と陽極端子とを互いに電気的に接続している。枕部材は、頂面及び底面を有し、コンデンサ素子の陽極部材と第1陽極接続部材とを互いに電気的に接続している。陽極接着部材は、枕部材を第1陽極接続部材に接着させている。そして、陽極接着部材は、その一部が第1陽極接続部材の凹部又は貫通孔に入り込むと共に、該凹部又は貫通孔上の位置又はその近傍の位置にて枕部材の底面の縁部に接している。
【0008】
上記固体電解コンデンサにおいては、枕部材が配置されるべき位置に凹部又は貫通孔が設けられている。そして、陽極接着部材の一部が凹部又は貫通孔に入り込むことにより、凹部又は貫通孔上の位置又はその近傍の位置に枕部材の底面の縁部が配置されている。この様に、枕部材が配置されるべき位置から枕部材の位置が大きくずれることが抑制されている。よって、上記固体電解コンデンサによれば、コンデンサ素子の陽極部材と枕部材とを確実に接続することが出来るため、これらの間に電気的な接続不良が生じ難い。
【0009】
上記固体電解コンデンサの好ましい具体的構成において、枕部材の底面の形状は、複数の角部と複数の辺部とを有する多角形であり、第1陽極接続部材には、複数の角部のうち少なくとも2つの角部と重なる位置に凹部又は貫通孔が形成されている。或いは、又はこれに加えて、第1陽極接続部材には、複数の辺部のうち少なくとも2つの辺部と重なる位置に凹部又は貫通孔が形成されている。
【0010】
上記固体電解コンデンサの好ましい他の具体的構成において、第2陽極接続部材は、絶縁基板を上面から下面へ貫通する導電ビアであり、第1陽極接続部材の凹部又は貫通孔は、導電ビア上に形成されている。
【0011】
本発明に係る製造方法は、上面及び下面を有する絶縁基板と、該絶縁基板の上面に配されたコンデンサ素子と、陽極引出し構造体と、陰極引出し構造体とを備えた固体電解コンデンサを製造する方法である。ここで、コンデンサ素子は、陽極部材、陰極部材、及び誘電体部材を有している。陽極引出し構造体は、絶縁基板の下面に配された陽極端子を有し、コンデンサ素子の陽極部材に電気的に接続されている。陰極引出し構造体は、絶縁基板の下面に配された陰極端子を有し、コンデンサ素子の陰極部材に電気的に接続されている。この製造方法では、先ず、絶縁基板の上面に第1陽極接続部材を形成すると共に、第1陽極接続部材に、その表面を局所的に窪ませる凹部、又は表面から裏面へ貫通する貫通孔を形成する。次に、第1陽極接続部材の表面に、導電性材料を含む接着材料を塗布する。その後、第1陽極接続部材上に枕部材を配置する。このとき、枕部材の底面を接着材料に接触させると共に、枕部材の底面の縁部を第1陽極接続部材の凹部又は貫通孔に重ね合わせる。更にその後、接着材料を加熱することより、導電性材料を溶融させる。
【0012】
上記製造方法においては、凹部又は貫通孔の位置により、枕部材が配置されるべき所定位置が規定されている。但し、第1陽極接続部材上に枕部材を配置するときに、枕部材の位置が所定位置からずれる虞がある。上記製造方法によれば、接着材料の加熱により導電性材料を溶融させたとき、溶融した導電性材料が凹部又は貫通孔の内側へ流れ込み、これにより、接着材料中に、溶融した導電性材料の流れが生じることになる。そして、この流れにより、枕部材には、第1陽極接続部材の表面に沿う様々な方向の力が作用する。枕部材の位置が所定位置に略一致している場合、枕部材に作用する力は互いに打ち消し合い、その結果、枕部材は所定位置に維持される。一方、枕部材の位置が所定位置からずれている場合、所定位置からずれた方向に作用する力より、その方向とは反対方向に作用する力の方が大きくなる。その結果、枕部材が所定位置の方へ引き寄せられ、枕部材の位置が所定位置に略一致することになる。よって、製造される固体電解コンデンサにおいて、コンデンサ素子の陽極部材と枕部材とが確実に接触し、その結果、これらの間に電気的な接続不良が生じ難くなる。
【0013】
上記製造方法の好ましい具体的構成において、接着材料に含める導電性材料として、溶融した状態のときに第1陽極接続部材に対して濡れ性を有する材料を用いる。これにより、接着材料の加熱により導電性材料を溶融させたとき、溶融した導電性材料が、第1陽極接続部材の表面に沿って濡れ拡がると共に、第1陽極接続部材に形成されている凹部又は貫通孔の内側へ流れ込み易くなる。その結果、接着材料中には、溶融した導電性材料の流れが生じ易くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る固体電解コンデンサ及びその製造方法によれば、コンデンサ素子の陽極部材と枕部材との間に電気的な接続不良が生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。
【図2】図1に示されるII領域の上面図である。
【図3】第1実施形態に係る固体電解コンデンサの製造方法にて実行される電極形成工程の第1過程の説明に用いられる断面図である。
【図4】電極形成工程の第2過程の説明に用いられる(a)断面図及び(b)上面図である。
【図5】電極形成工程の第3過程の説明に用いられる断面図である。
【図6】電極形成工程の第4過程の説明に用いられる(a)断面図及び(b)上面図である。
【図7】電極形成工程の第5過程の説明に用いられる(a)断面図及び(b)上面図である。
【図8】第5過程において枕部材の位置が所定位置からずれた様子を示した上面図である。
【図9】電極形成工程の第6過程の説明に用いられる(a)断面図及び(b)上面図である。
【図10】第6過程にて枕部材が所定位置の方へ引き寄せられる様子を示した上面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。
【図12】第2実施形態に係る固体電解コンデンサが備える陽極引出し構造体の他の例を示した断面図である。
【図13】第2実施形態に係る固体電解コンデンサの製造方法にて実行される電極形成工程の第1過程の説明に用いられる断面図である。
【図14】電極形成工程の第2過程の説明に用いられる断面図である。
【図15】電極形成工程の第3過程の説明に用いられる断面図である。
【図16】電極形成工程の第4過程の説明に用いられる断面図である。
【図17】電極形成工程の第5過程の説明に用いられる断面図である。
【図18】電極形成工程の第6過程の説明に用いられる(a)断面図及び(b)上面図である。
【図19】陽極引出し構造体の変形例を示した断面図である。
【図20】陽極引出し構造体の他の変形例を示した断面図である。
【図21】従来の固体電解コンデンサの一例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。図1に示す様に、固体電解コンデンサは、コンデンサ素子1と、絶縁基板2と、陽極引出し構造体3と、陰極引出し構造体4と、外装体5とを備えている。
【0017】
コンデンサ素子1は、陽極体11と、陽極リード12と、誘電体層13と、電解質層14と、陰極層15とを有している。陽極体11は、導電性を有する多孔質焼結体から構成されている。陽極リード12は、導電性を有するワイヤから構成されている。陽極リード12は、陽極体11に植立されており、陽極リード12の一部(引出し部12a)が陽極体11の外周面から引き出されている。
【0018】
陽極体11及び陽極リード12を構成する導電性材料には、同種又は異種の材料が用いられる。導電性材料としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)等の弁金属が用いられる。特に、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、及びニオブ(Nb)は、それらの酸化物(誘電体層13)の誘電率が高いので、使用する材料として適している。尚、導電性材料には、2種類以上の弁金属から成る合金や、弁金属と他の物質から成る合金等、弁金属を主成分として含む合金を用いてもよい。
【0019】
誘電体層13は、陽極体11を構成する導電性材料の表面に形成されている。具体的には、誘電体層13は、陽極体11を構成する導電性材料の表面を酸化させることにより形成された酸化被膜である。従って、誘電体層13は、陽極体11の最外周面、及び陽極体11に存在する微細な孔の内周面に形成されている。尚、図1では、誘電体層13のうち、陽極体11の最外周面に形成されている部分のみが、模式的に示されている。
【0020】
電解質層14は、誘電体層13の表面に形成されている。具体的には、電解質層14は、誘電体層13の最外周面、及び陽極体11に存在する微細な孔の内側に形成されている。電解質層14を構成する電解質材料には、二酸化マンガン等の導電性無機材料、TCNQ(Tetracyano-quinodimethane)錯塩や導電性ポリマー等の導電性有機材料が用いられる。尚、電解質材料には、これらの導電性無機材料や導電性有機材料に限定されない種々の物質を用いることが出来る。
【0021】
陰極層15は、電解質層14の最外周面に形成されている。具体的には、陰極層15は、電解質層14の最外周面に形成されたカーボン層(図示せず)と、該カーボン層の外周面に形成された銀ペイント層(図示せず)とから構成されている。尚、陰極層15はこれに限らず、集電機能を有するものであればよい。
【0022】
斯くして、陽極体11及び陽極リード12によりコンデンサ素子1の陽極部材が構成され、電解質層14及び陰極層15によりコンデンサ素子1の陰極部材が構成され、誘電体層13によりコンデンサ素子1の誘電体部材が構成されている。尚、陽極部材として、上記弁金属から構成された金属箔や金属板を用いてもよい。
【0023】
絶縁基板2は、ポリイミドやガラスエポキシ等の電気絶縁性材料から構成された平坦な基板であり、上面2aと下面2bとを有している。そして、コンデンサ素子1は、陽極リード12の延在方向が上面2aと平行になる様に、上面2a上に配されている。
【0024】
陽極引出し構造体3は、陽極リード12に通じる陽極電流路を絶縁基板2の下面2bに引き出す電極構造体である。具体的には、陽極引出し構造体3は、陽極接続層31と、陽極端子32と、陽極メッキ層33と、枕部材34と、陽極接着部材35とを有している。陽極接続層31は、絶縁基板2の上面2aに配されており、その上面2aに接した裏面31bを有している。陽極端子32は、絶縁基板2の下面2bに配されており、その下面に接した裏面32bを有している。尚、陽極接続層31及び陽極端子32には、銅などの金属材料から構成された金属箔や金属板が用いられている。又、陽極端子32の表面32aにはメッキ層が形成されていてもよい。
【0025】
陽極接続層31には、その表面31aから裏面31bへ貫通する複数の陽極接続層貫通孔211が形成されている。又、絶縁基板2には、その上面2aから下面2bへ貫通する複数の絶縁基板貫通孔221が形成されている。そして、絶縁基板貫通孔221は、陽極端子32の裏面32bに達している。ここで、陽極接続層貫通孔211は、絶縁基板貫通孔221上に1つずつ形成されている。従って、陽極接続層貫通孔211と絶縁基板貫通孔221とは互いに通じている。尚、本実施形態においては、陽極接続層貫通孔211及び絶縁基板貫通孔221の直径はそれぞれ、50〜150μmであることが好ましい。
【0026】
陽極メッキ層33は、陽極接続層31の表面31a、陽極接続層貫通孔211の内面、絶縁基板貫通孔221の内面、及び陽極端子32の裏面32bのうち絶縁基板貫通孔221に接した領域に形成されている。斯くして、陽極接続層31と、陽極メッキ層33のうち陽極接続層31の表面31a及び陽極接続層貫通孔211の内面に形成された部分331とにより、陽極引出し構造体3の第1陽極接続部材301が構成されている。又、陽極メッキ層33のうち各絶縁基板貫通孔221の内面及び陽極端子32の裏面32bに形成された部分により、陽極導電ビアが構成されており、この陽極導電ビアが、陽極引出し構造体3の第2陽極接続部材302となっている。そして、第2陽極接続部材302により、第1陽極接続部材301と陽極端子32とが互いに電気的に接続されている。この様にして、第1陽極接続部材301には、その表面(陽極メッキ層33の表面)から裏面(陽極接続層31の裏面31b)へ貫通する複数の第1貫通孔21が形成されている。又、各第2陽極接続部材302には第1凹部22が形成されており、該第1凹部22の内側が、その上に存在する第1貫通孔21に通じている。尚、陽極メッキ層33を構成する材料には、銅などの高い導電性を有する材料が用いられている。又、本実施形態においては、陽極メッキ層33の厚さは2〜20μmであることが好ましく、陽極メッキ層33は、陽極接続層貫通孔211及び絶縁基板貫通孔221を完全に塞いでしまうことがない様に形成されている。
【0027】
枕部材34は、陽極リード12の引出し部12aと第1陽極接続部材301との間に介在しており、引出し部12aに電気的に接続された頂面34aと、第1陽極接続部材301に電気的に接続された底面34bとを有している。これにより、枕部材34は、陽極リード12と第1陽極接続部材301とを互いに電気的に接続している。
【0028】
ここで、枕部材34と第1貫通孔21との位置関係について、図1及び図2を用いて説明する。図2は、図1に示されるII領域の上面図ある。尚、図2では、外装体5の図示を省略している。図1及び図2に示す様に、枕部材34は直方体形状を呈しており、枕部材34の底面34bの形状は、4つの角部341と4つの辺部342とを有する四角形である。又、第1陽極接続部材301には6つの第1貫通孔21が設けられており、そのうち4つの第1貫通孔21は、4つの角部341とそれぞれ重なる位置に形成され、残りの2つの第1貫通孔21は、2つの辺部342とそれぞれ重なる位置に形成されている。尚、この2つの辺部342は、4つの辺部342のうち、陽極リード12の延在方向に対して略垂直な方向へ互いに平行に延びた2つの辺部である。
【0029】
尚、本発明において、枕部材34と第1貫通孔21との位置関係は、上記関係に限定されるものではない。例えば、4つの角部341及び4つの辺部342の少なくとも何れか1つと重なる位置に、1又は複数の第1貫通孔21が形成されていてもよい。即ち、本発明には、1つの第1貫通孔21だけが角部341又は辺部342に重なるといった関係や、2つ以上の第1貫通孔21が1つの辺部342に重なるといった関係なども含まれる。但し、後述する電極形成工程の第6過程において枕部材34の位置を所定位置Pに精度良く一致させるためには、4つの角部341のうち少なくとも2つの角部341と重なる位置に、その角部341に対応する数の第1貫通孔21がそれぞれ重なるか、又は、4つの辺部342のうち少なくとも2つの辺部342と重なる位置に、その辺部342に対応する数の第1貫通孔21がそれぞれ重なっていることが好ましい。
【0030】
又、枕部材34の底面34bの形状は、四角形に限らず、複数の角部と複数の辺部とを有する種々の多角形であってもよい。更に、枕部材34の底面34bの形状は、多角形の角部が丸められた形や、円形、楕円形等、曲線部を有する形であってもよい。この場合、その曲線部と重なる位置に1又は複数の第1貫通孔21が形成されていることが好ましい。
【0031】
陽極接着部材35は、枕部材34を第1陽極接続部材301に接着させている。具体的には、陽極接着部材35は、その一部が各第1貫通孔21に入り込むと共に、各第1貫通孔21上の位置にて枕部材34の底面34bの角部341又は辺部342に接している。尚、本実施形態においては、第1凹部22にも、第1貫通孔21を通じて陽極接着部材35の一部が入り込んでいる。
【0032】
陽極接着部材35を構成する導電性材料には、半田が主成分として含まれている。具体的には、陽極接着部材35の構成材料として、溶融した状態のときに第1陽極接続部材301に対して濡れ性を有する導電性材料が用いられている。本実施形態においては、第1陽極接続部材301の表面は、陽極メッキ層33によって構成されている。従って、半田は、溶融した状態のときに第1陽極接続部材301に対して高い濡れ性を有する導電性材料である。
【0033】
陰極引出し構造体4は、陰極層15に通じる陰極電流路を絶縁基板2の下面2bに引き出す電極構造体である。具体的には、陰極引出し構造体4は、陰極接続層41と、陰極端子42と、陰極メッキ層43とを有している。陰極接続層41は、陽極接続層31から離間した位置にて絶縁基板2の上面2aに配されており、その上面2aに接した裏面41bを有している。陰極端子42は、陽極端子32から離間した位置にて絶縁基板2の下面2bに配されており、その下面2bに接した裏面42bを有している。尚、陰極接続層41及び陰極端子42には、銅などの金属材料から構成された金属箔や金属板が用いられている。又、陰極端子42の表面42aにはメッキ層が形成されていてもよい。
【0034】
陰極接続層41には、その表面41aから裏面41bへ貫通する複数の陰極接続層貫通孔231が形成されている。又、絶縁基板2には、その上面2aから下面2bへ貫通する複数の絶縁基板貫通孔241が形成されている。そして、絶縁基板貫通孔241は、陰極端子42の裏面42bに達している。ここで、陰極接続層貫通孔231は、絶縁基板貫通孔241上に1つずつ形成されている。従って、陰極接続層貫通孔231と絶縁基板貫通孔241とは互いに通じている。尚、本実施形態においては、陰極接続層貫通孔231及び絶縁基板貫通孔241の直径はそれぞれ、50〜150μmであることが好ましい。
【0035】
陰極メッキ層43は、陰極接続層41の表面41a、陰極接続層貫通孔231の内面、絶縁基板貫通孔241の内面、及び陰極端子42の裏面42bのうち絶縁基板貫通孔241に接した領域に形成されている。斯くして、陰極接続層41と、陰極メッキ層43のうち陰極接続層41の表面41a及び陰極接続層貫通孔231の内面に形成された部分431とにより、陰極引出し構造体4の第1陰極接続部材401が構成されている。又、陰極メッキ層43のうち各絶縁基板貫通孔241の内面及び陰極端子42の裏面42bに形成された部分により、陰極導電ビアが構成されており、この陰極導電ビアが、陰極引出し構造体4の第2陰極接続部材402となっている。そして、第2陰極接続部材402により、第1陰極接続部材401と陰極端子42とが互いに電気的に接続されている。この様にして、第1陰極接続部材401には、その表面(陰極メッキ層43の表面)から裏面(陰極接続層41の裏面41b)へ貫通する複数の第2貫通孔23が形成されている。又、各第2陰極接続部材402には第2凹部24が形成されており、該第2凹部24の内側が、その上に存在する第2貫通孔23に通じている。尚、陰極メッキ層43を構成する材料には、銅などの高い導電性を有する材料が用いられている。又、本実施形態においては、陰極メッキ層43の厚さは2〜20μmであることが好ましく、陰極メッキ層43は、陰極接続層貫通孔231及び絶縁基板貫通孔241を完全に塞いでしまうことがない様に形成されている。
【0036】
コンデンサ素子1は、陽極引出し構造体3及び陰極引出し構造体4に対して次の様に接続されている。即ち、陽極リード12の引出し部12aが枕部材34の頂面34aに溶接されることにより、陽極リード12と枕部材34とが互いに電気的に接続されている。又、陰極層15と第1陰極接続部材401とが、これらの間に導電性ペースト6を介在させることにより、互いに電気的に接続されている。
【0037】
外装体5は、絶縁基板2の上面2a上にてコンデンサ素子1を被覆している。その一方で、外装体5は、絶縁基板2の下面2bには形成されていない。この様にして、陽極端子32の表面32a及び陰極端子42の表面42aにより、固体電解コンデンサの下面電極が構成されている。尚、外装体5は、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等、封止材として機能する電気絶縁性材料から構成されている。
【0038】
上記固体電解コンデンサにおいては、枕部材34の底面34bの縁部(角部341又は辺部342)が第1貫通孔21に重なる一方で、底面34bの大部分は、第1陽極接続部材301の表面(陽極メッキ層33の平坦な表面)のうち第1貫通孔21の形成領域とは異なる領域に重なっている。従って、枕部材34は、第1陽極接続部材301を土台として、その土台の上に陽極接着部材35により固定されている。よって、枕部材34には、傾きが生じ難い。
【0039】
次に、第1実施形態に係る固体電解コンデンサの製造方法について具体的に説明する。本実施形態においては、電極形成工程と、素子配置工程と、外装体形成工程とが、この順に実行される。電極形成工程は、陽極引出し構造体3及び陰極引出し構造体4を形成する工程であり、第1〜第6過程から構成されている。
【0040】
図3は、電極形成工程の第1過程の説明に用いられる断面図である。図3に示す様に、第1過程では、絶縁基板2の上面2a及び下面2bにそれぞれ、銅などの金属材料から構成された金属箔51及び52を貼り付ける。尚、絶縁基板2の上面2a及び下面2bには、金属箔51及び52に代えて金属板を貼り付けてもよい。
【0041】
図4(a)及び(b)はそれぞれ、電極形成工程の第2過程の説明に用いられる断面図及び上面図である。図4(a)及び(b)に示す様に、第2過程では、金属箔51及び絶縁基板2に対してエッチング処理を施すことにより、金属箔51から陽極接続層31及び陰極接続層41を形成すると共に、陽極接続層貫通孔211、絶縁基板貫通孔221、陰極接続層貫通孔231、及び絶縁基板貫通孔241を形成する。又、金属箔52に対してエッチング処理を施すことにより、金属箔52から陽極端子32及び陰極端子42を形成する。
【0042】
本実施形態においては、図4(b)に示す様に(図2も参照)、陽極接続層31に対して6つの陽極接続層貫通孔211を形成する。このとき、6つの陽極接続層貫通孔211は、枕部材34が所定位置Pに配置されたときに枕部材34の底面34bの縁部が全ての陽極接続層貫通孔211の中心と重なることとなる様に形成される。具体的には、6つの陽極接続層貫通孔211は、そのうちの4つの陽極接続層貫通孔211の中心にそれぞれ底面34bの4つの角部341が重なると共に、残りの2つの陽極接続層貫通孔211の中心にそれぞれ底面34bの2つの辺部342が重なる様に形成される。
【0043】
図5は、電極形成工程の第3過程の説明に用いられる断面図である。図5に示す様に、第3過程では、陽極接続層31の表面31a、陽極接続層貫通孔211の内面、絶縁基板貫通孔221の内面、及び陽極端子32の裏面32bのうち絶縁基板貫通孔221の形成により露出した領域に、これらに対してメッキ処理を施すことにより、陽極メッキ層33を形成する。この様にして、第1陽極接続部材301及び第2陽極接続部材302を形成すると共に、第1陽極接続部材301には第1貫通孔21を形成し、更に第2陽極接続部材302には第1凹部22を形成する。又、第3過程では、陰極接続層41の表面41a、陰極接続層貫通孔231の内面、及び絶縁基板貫通孔241の内面、及び陰極端子42の裏面42bのうち絶縁基板貫通孔241の形成により露出した領域に、これらに対してメッキ処理を施すことにより、陰極メッキ層43を形成する。この様にして、第1陰極接続部材401及び第2陰極接続部材402を形成すると共に、第1陰極接続部材401には第2貫通孔23を形成し、更に第2陰極接続部材402には第2凹部24を形成する。尚、第3過程では、陽極端子32の表面32a及び陰極端子42の表面42aにもメッキ層を形成してもよい。
【0044】
図6(a)及び(b)はそれぞれ、電極形成工程の第4過程の説明に用いられる断面図及び上面図である。図6(a)及び(b)に示す様に、第4過程では、第1陽極接続部材301の表面(陽極メッキ層33の表面)のうち第1貫通孔21の全ての形成領域を含む領域Rに、導電性材料を含む接着材料53を塗布する。本実施形態では、接着材料53として、半田粉末とフラックスとを含む半田ペーストが用いられる。
【0045】
図7(a)及び(b)はそれぞれ、電極形成工程の第5過程の説明に用いられる断面図及び上面図である。図7(a)及び(b)に示す様に、第5過程では、第1陽極接続部材301上に枕部材34を配置することにより、枕部材34の底面34bを接着材料53に接触させる。このとき、枕部材34の底面34bの4つの角部341を、6つの第1貫通孔21のうち、図7(b)の紙面において上段と下段とに存在する4つの第1貫通孔21に重ね合わせる。又、枕部材34の底面34bの2つの辺部342を、図7(b)の紙面において中段に存在する2つの第1貫通孔21にそれぞれ重ね合わせる。これにより、枕部材34を所定位置Pに配置する。但し、第5過程においては、図8に示す様に、枕部材34の位置が所定位置Pからずれる虞がある。尚、本実施形態においては、図7(b)に示す様に、枕部材34の4つの角部341に対応する4つの第1貫通孔21の中心を結んだ線で囲まれた領域の面積が、枕部材34の底面34bの面積と等しくなる様に、第1貫通孔21が配置されている。そして、その領域が、所定位置Pとなっている。
【0046】
図9(a)及び(b)はそれぞれ、電極形成工程の第6過程の説明に用いられる断面図及び上面図である。この第6過程では、接着材料53を加熱することにより、接着材料53中の半田粉末及びフラックスを溶融させる。溶融した半田は、凝集すると共に、枕部材34の底面34b及び陽極メッキ層33の表面に濡れ拡がる。ここで、溶融した半田は、特に陽極メッキ層33に対して高い濡れ性を有している。従って、図9(a)において実線矢印で示す様に、溶融した半田は、陽極メッキ層33の表面に沿って濡れ拡がりながら、各第1貫通孔21及びこれに対応する第1凹部22の内側へ流れ込む。これにより、接着材料53中に、溶融した半田の流れが生じることになる。そして、この流れにより、枕部材34には、陽極メッキ層33の表面(第1陽極接続部材301の表面)に沿う様々な方向の力が作用する。枕部材34の位置が所定位置Pに略一致している場合、図9(a)及び(b)において白抜き矢印で示す様に、枕部材34に作用する力は互いに打ち消し合い、その結果、枕部材34は所定位置Pに維持される。
【0047】
一方、枕部材34の位置が所定位置Pからずれている場合、図10において白抜き矢印で示す様に、所定位置Pからずれた方向に作用する力より、その方向とは反対方向に作用する力の方が大きくなる。その結果、枕部材34が所定位置Pの方へ引き寄せられ、枕部材34の位置が所定位置Pに略一致することになる。即ち、枕部材34の位置が所定位置Pから大きくずれることが抑制される。
【0048】
その後、半田及びフラックスを固化させる。これにより、陽極接着部材35が形成され、枕部材34と第1陽極接続部材301との間に電気的に良好な接続状態が形成される。又、枕部材34の位置が、所定位置P又はその位置から僅かにずれた位置に固定される。更に、陽極接着部材35の一部が、各第1貫通孔21及びこれに対応する第1凹部22に入り込むことにより、アンカー効果が得られ、その結果、枕部材34と第1陽極接続部材301との接合強度が向上する。
【0049】
図1を参考にして、素子配置工程について説明する。素子配置工程では先ず、第1陰極接続部材401の表面(陰極メッキ層43の表面)に導電性ペースト6を塗布する。その後、絶縁基板2の上面2a上にコンデンサ素子1を配置する。このとき、コンデンサ素子1の姿勢を、陽極リード12の延在方向が上面2aと平行になる様に調整する。この様にして、陽極リード12の引出し部12aを枕部材34の頂面34aに接触させると共に、陰極層15を第1陰極接続部材401上にて導電性ペースト6に接触させる。そして、陽極リード12と枕部材34との接触面に溶接を施す。
【0050】
上述した様に、第1実施形態に係る製造方法によれば、枕部材34の位置が、所定位置P又はその位置から僅かにずれた位置に固定される。従って、絶縁基板2の上面2a上にコンデンサ素子1を配置したときに、陽極リード12と枕部材34とが確実に接触することになる。よって、溶接後の陽極リード12と枕部材34との間には、良好な接続状態が形成され、その結果、電気的な接続不良が生じ難くなる。
【0051】
図1を参考にして、外装体形成工程について説明する。外装体形成工程では、エポキシ樹脂等の樹脂を用いて絶縁基板2の上面2a上に外装体5をモールドする。具体的には、エポキシ樹脂(主剤)、イミダゾール化合物(硬化剤)、及びフィラーとしてのシリカ粒子を含む封止材を用い、トランスファーモールド法により外装体5を形成する。これにより、外装体5によってコンデンサ素子1を被覆する。この様にして、固体電解コンデンサが完成する。尚、エポキシ樹脂に代えて、シリコーン樹脂を封止材として用いてもよい。
【0052】
<第2実施形態>
図11は、本発明の第2実施形態に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。以下では、この固体電解コンデンサの構成のうち、第1実施形態の構成と相違している陽極引出し構造体3及び陰極引出し構造体4について説明する。尚、他の構成については、第1実施形態の構成と同じであるので説明を省略する。
【0053】
第2実施形態においては、図11に示す様に、陽極引出し構造体3は、第1実施形態の第1陽極接続部材301及び第2陽極接続部材302とは構成がそれぞれ異なる第1陽極接続部材303及び第2陽極接続部材304を有している。具体的には、第2陽極接続部材304は、各絶縁基板貫通孔221に充填された導電性材料36により構成されている陽極導電ビアである。そして、導電性材料36の表面は、絶縁基板2の上面2aに対して窪んでいる。
【0054】
第1陽極接続部材303は、絶縁基板2の上面2a及び導電性材料36の表面に形成された金属層である。本実施形態においては、この金属層は、導電性を有したメッキ層であり、導電性材料36の表面上の位置にて窪んでいる。即ち、第1陽極接続部材303には、その表面を第2陽極接続部材304(陽極導電ビア)上の位置にて局所的に窪ませる複数の凹部25が形成されている。この様に、第2実施形態においては、第1実施形態の第1貫通孔21の代わりに凹部25が形成されている。そして、枕部材34と凹部25と位置関係には、第1実施形態にて説明した枕部材34と第1貫通孔21との位置関係がそのまま適用される(図2参照)。
【0055】
陽極接着部材35は、その一部が各凹部25に入り込むと共に、各凹部25上の位置にて枕部材34の底面34bの角部341又は辺部342に接している(図2参照)。
【0056】
尚、第1陽極接続部材303は、銅などの金属材料から構成された金属箔又は金属板であってもよい。この場合、凹部25は、この金属箔又は金属板に対して例えばプレス加工を施すことにより形成される。
【0057】
第2実施形態においては更に、図11に示す様に、陰極引出し構造体4は、第1実施形態の第1陰極接続部材401及び第2陰極接続部材402とは構成がそれぞれ異なる第1陰極接続部材403及び第2陰極接続部材404を有している。具体的には、第2陰極接続部材404は、各絶縁基板貫通孔241に充填された導電性材料37により構成されている陰極導電ビアである。第1陰極接続部材403は、絶縁基板2の上面2a及び導電性材料37の表面に形成されたメッキ層である。
【0058】
図12は、陽極引出し構造体3の他の例を示した断面図である。図12に示す様に、第2陽極接続部材304を構成している導電性材料36の表面は、絶縁基板2の上面2aから下方へ後退していてもよい。この構成によれば、各凹部25の深さが大きくなる。
【0059】
次に、第2実施形態に係る固体電解コンデンサの製造方法について具体的に説明する。以下では、この製造方法の構成のうち、第1実施形態の構成と相違している電極形成工程について説明する。尚、他の構成については、第1実施形態の構成と同じであるので説明を省略する。
【0060】
第2実施形態においては、電極形成工程は、第1〜第7過程から構成されている。
【0061】
図13は、電極形成工程の第1過程の説明に用いられる断面図である。図13に示す様に、第1過程では、絶縁基板2の下面2bに、銅などの金属材料から構成された金属箔52を貼り付ける。尚、絶縁基板2の下面2bには、金属箔52に代えて金属板を貼り付けてもよい。
【0062】
図14は、電極形成工程の第2過程の説明に用いられる断面図である。図14に示す様に、第2過程では、絶縁基板2に対してエッチング処理を施すことにより、絶縁基板貫通孔221及び絶縁基板貫通孔241を形成する。このとき、絶縁基板貫通孔221は、枕部材34が所定位置Pに配置されたときに底面34bの縁部が全ての絶縁基板貫通孔221の中心と重なることとなる様に形成される(図4(b)参照)。又、金属箔52に対してエッチング処理を施すことにより、金属箔52から陽極端子32及び陰極端子42を形成する。
【0063】
図15は、電極形成工程の第3過程の説明に用いられる断面図である。図15に示す様に、第3過程では、絶縁基板貫通孔221を導電性材料36によって充填する。このとき、導電性材料36の充填量を調整することにより、充填された導電性材料36の表面を、絶縁基板2の上面2aに対して窪ませるか、又は上面2aから下方へ後退させておく。又、絶縁基板貫通孔241を導電性材料37によって充填する。この様にして、第2陽極接続部材304及び第2陰極接続部材404を形成する。
【0064】
図16は、電極形成工程の第4過程の説明に用いられる断面図である。図16に示す様に、第4過程では、絶縁基板2の上面2a及び導電性材料36の表面にメッキ処理を施すことにより、第1陽極接続部材303となるメッキ層を形成する。このとき、導電性材料36の表面上にてメッキ層の表面が窪む様に、メッキ層の厚さを調整する。この様にして、第1陽極接続部材303に複数の凹部25を形成する。又、絶縁基板2の上面2a及び導電性材料37の表面にメッキ処理を施すことにより、第1陰極接続部材403となるメッキ層を形成する。尚、第1陽極接続部材303は、絶縁基板2の上面2a及び導電性材料36の表面に金属箔を貼り付けた後、金属箔の表面にメッキ処理を施すことにより形成されてもよい。このとき、金属箔を導電性材料36の窪みに沿わせることにより、第1陽極接続部材303には凹部25が形成される。第1陰極接続部材403についても同様に形成することが出来る。
【0065】
図17は、電極形成工程の第5過程の説明に用いられる断面図である。図17に示す様に、第5過程では、第1陽極接続部材303の表面のうち凹部25の全ての形成領域を含む領域Rに、導電性材料を含む接着材料53を塗布する。本実施形態では、接着材料53として、半田粉末とフラックスとを含む半田ペーストが用いられる。
【0066】
図18(a)及び(b)はそれぞれ、電極形成工程の第6過程の説明に用いられる断面図及び上面図である。図18(a)及び(b)に示す様に、第6過程では、第1陽極接続部材303上に枕部材34を配置することにより、枕部材34の底面34bを接着材料53に接触させる。このとき、枕部材34の底面34bの4つの角部341を、6つの凹部25のうち、図18(b)の紙面において上段と下段とに存在する4つの凹部25に重ね合わせる。又、枕部材34の底面34bの2つの辺部342を、図18(b)の紙面において中段に存在する2つの凹部25にそれぞれ重ね合わせる。これにより、枕部材34を所定位置Pに配置する。尚、本実施形態においては、図18(b)に示す様に、枕部材34の4つの角部341に対応する4つの凹部25の中心を結んだ線で囲まれた領域の面積が、枕部材34の底面34bの面積と等しくなる様に、凹部25が配置されている。そして、その領域が、所定位置Pとなっている。
【0067】
次に、電極形成工程の第7過程において、接着材料53を加熱することにより、接着材料53中の半田粉末及びフラックスを溶融させる。この第7過程においては、第1実施形態の電極形成工程の第6過程と同様、溶融した半田が、枕部材34の底面34b及び第1陽極接続部材303の表面に濡れ拡がりながら、各凹部25の内側へ流れ込む(図9(a)参照)。これにより、接着材料53中に、溶融した半田の流れが生じることになる。その結果、枕部材34には力が作用し、枕部材34の位置が所定位置Pからずれている場合には、枕部材34が所定位置Pの方へ引き寄せられる。即ち、枕部材34の位置が所定位置Pから大きくずれることが抑制される。
【0068】
その後、半田及びフラックスを固化させる。これにより、陽極接着部材35が形成され、枕部材34と第1陽極接続部材303との間に電気的に良好な接続状態が形成される。又、枕部材34の位置が、所定位置P又はその位置から僅かにずれた位置に固定される。
【0069】
従って、第2実施形態に係る製造方法によれば、第1実施形態と同様、絶縁基板2の上面2a上にコンデンサ素子1を配置したときに、陽極リード12と枕部材34とが確実に接触することになる。よって、溶接後の陽極リード12と枕部材34との間には、良好な接続状態が形成され、その結果、電気的な接続不良が生じ難くなる。
【0070】
尚、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、図19に示す様に、第1実施形態に係る固体電解コンデンサにおいて、陽極端子32には、絶縁基板貫通孔221を介して第1貫通孔21に通じる貫通孔26が形成されていてもよい。
【0071】
第1実施形態においては、第1貫通孔21が、第2陽極接続部材302である陽極導電ビア上に形成されている。又、第2実施形態においては、凹部25が、第2陽極接続部材304である陽極導電ビア上に形成されている。しかし、本発明は、これらの構成に限定されるものではない。例えば、図20に示す様に、第1陽極接続部材には、陽極導電ビア上の位置とは異なる位置に凹部25又は貫通孔が形成されていてもよい。図20に示す例では、絶縁基板2の上面2aにおいて、陽極導電ビア(第2陽極接続部材304)の形成位置とは異なる位置に窪みが形成されている。そして、その窪みに沿って第1陽極接続部材303を形成することにより、凹部25が形成されている。又、この凹部25は、第1陽極接続部材303を形成した後、第1陽極接続部材303に対して例えばプレス加工を施すことにより形成されてもよい。
【0072】
上記実施形態においては、陽極接着部材35の形成に用いる接着材料53として、半田粉末とフラックスとを含む半田ペーストが用いられている。しかし、本発明は、この構成に限定されるものではない。接着材料53には、半田に限定されない種々の導電性材料が含まれていてもよい。但し、導電性材料としては、溶融した状態のときに第1陽極接続部材に対して濡れ性を有する材料が好ましく、半田が特に好ましい。
【符号の説明】
【0073】
1 コンデンサ素子
2 絶縁基板
2a 上面
2b 下面
3 陽極引出し構造体
4 陰極引出し構造体
5 外装体
6 導電性ペースト
P 所定位置
11 陽極体
12 陽極リード
12a 引出し部
13 誘電体層
14 電解質層
15 陰極層
21 第1貫通孔
22 第1凹部
23 第2貫通孔
24 第2凹部
25 凹部
26 貫通孔
31 陽極接続層
31a 表面
31b 裏面
32 陽極端子
32a 表面
32b 裏面
33 陽極メッキ層
34 枕部材
34a 頂面
34b 底面
35 陽極接着部材
36、37 導電性材料
41 陰極接続層
41a 表面
41b 裏面
42 陰極端子
42a 表面
42b 裏面
43 陰極メッキ層
51、52 金属箔
53 接着材料
301、303 第1陽極接続部材
302、304 第2陽極接続部材
341 角部
342 辺部
401、403 第1陰極接続部材
402、404 第2陰極接続部材
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【国際調査報告】